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JPH09150415A - Smcの製造方法 - Google Patents

Smcの製造方法

Info

Publication number
JPH09150415A
JPH09150415A JP31246595A JP31246595A JPH09150415A JP H09150415 A JPH09150415 A JP H09150415A JP 31246595 A JP31246595 A JP 31246595A JP 31246595 A JP31246595 A JP 31246595A JP H09150415 A JPH09150415 A JP H09150415A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
smc
resin
vibration
impregnation
resin paste
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31246595A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Muranaka
健 村中
Makoto Yamaguchi
真 山口
Koji Matsumoto
晃治 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP31246595A priority Critical patent/JPH09150415A/ja
Publication of JPH09150415A publication Critical patent/JPH09150415A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 SMC中の気泡を微細なものまで均一且つほ
ぼ完全に排除することによって、含浸性に優れるSM
C、すなわち、ボイド、巣等の表面欠点が無く、機械強
度も良好な成形品に成形可能なSMCを製造する方法を
提供する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂、無機充填材、硬化剤及び
増粘剤等を含む樹脂ペーストPを補強繊維9に含浸させ
てSMCを製造するにあたり、前記含浸工程において、
振動発振機3a、3b(例えば、偏心軸式発振機)によ
り振動を与えながら樹脂ペーストPを補強繊維9に含浸
させる。振動特性は、振動周波数が10〜5000H
z、振動振幅が1〜500μmの範囲である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱硬化性樹脂を含
む樹脂ペーストを補強繊維に含浸させてSMCを製造す
る方法に関し、より詳しくは、SMC中の気泡が非常に
低減されるSMCの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱硬化性樹脂に充填材、硬化剤及び増粘
剤等を加えた樹脂ペーストをガラス繊維等の補強繊維に
含浸し、シート状に形成して得られる熱硬化性樹脂成形
材料は、シートモールディングコンパウンド(SMC)
と呼ばれている。SMCは主に圧縮成形されて、住宅設
備、輸送機器、工業部品等の大型成形品に広く用いられ
ている。
【0003】SMCの品質上重要なものの一つとして、
含浸性が挙げられる。これは、上記樹脂ペーストによっ
て補強繊維が充分に濡らされているか否かの尺度であ
り、含浸性が悪いと成形品表面にボイドや巣ができるば
かりでなく、機械強度も低下する。この含浸性を阻害す
る主原因は、SMC中に含まれる空気(以下、気泡と呼
ぶ)の存在である。この気泡は、原料の樹脂や補強繊維
内に含まれるもの、樹脂ペーストの混合工程時に混入す
るもの、またSMC含浸工程において混入するもの等が
考えられる。すなわち、SMC含浸工程では、樹脂ペー
ストをキャリアフィルム上に塗布し、そのフィルム上に
一定長にカットされた補強繊維を散布し、さらに樹脂ペ
ーストが塗布されたキャリアフィルムで補強繊維を挟み
込み、これをロールで加圧含浸させるが、この加圧含浸
時において気泡が混入する。
【0004】通常、含浸性を向上させる手段としては、
SMC製造における加圧含浸工程にンベアーベルト方式
やダブルメッシュ方式を用いているが、これらの方式で
はいずれも気泡を完全に除去するには至っていない。
【0005】そこで、気泡を除去すべく、例えば、特公
平6−57409号公報には、SMCの含浸工程におい
て、含浸ローラー前方に溜まるSMC中の気泡を、SM
Cの進行方向に直角に移動する空気抜具をSMCに接触
させつつ横行往復運動させることにより、SMCの側端
より排出させる方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報に記載されている方法では、確かに含浸ロール前にあ
る大きな気泡に対しては有効であるが、SMC中の微細
な気泡に対してはほとんど効果がない。この微細な気泡
は、樹脂ペーストと補強繊維との間に入り込み含浸性を
損なわせるだけでなく、SMCから製造される成形品の
表面性や機械強度を低下させる。
【0007】本発明の目的は、このような従来技術の問
題点を解決し、SMC中の気泡を微細なものまで均一且
つほぼ完全に排除することによって、含浸性に優れるS
MC、すなわち、ボイド、巣等の表面欠点が無く、機械
強度も良好な成形品に成形可能なSMCを製造する方法
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のSMCの製造方
法は、熱硬化性樹脂を含む樹脂ペーストを補強繊維に含
浸させてSMC(シート・モールディング・コンパウン
ド)を製造する方法において、前記含浸工程において、
振動を与えながら樹脂ペーストを補強繊維に含浸させる
ことを特徴とするものである。樹脂ペーストは、通常、
熱硬化性樹脂の他に、無機充填材、硬化剤及び増粘剤等
を含む。以下、本発明について詳しく説明する。
【0009】まず、SMCの製造工程の概略を説明す
る。SMCの製造工程は、通常、混合工程、含浸工程お
よび熟成工程の3工程からなる。混合工程は、熱硬化性
樹脂、無機充填材、硬化剤、増粘剤等の補強繊維以外の
原料を混練して樹脂ペーストを得る工程である。含浸工
程は、この樹脂ペーストを一定量キャリアフィルム上に
塗布し、そのフィルム上に一定長にカットされたガラス
繊維等の補強繊維を散布し、もう一方で樹脂ペーストが
塗布されたキャリアフィルムをこの上に載せ、これらを
挟み込みロールで加圧含浸させ、得られたシートを巻き
取り、スチレン等の重合性単量体が揮発しないようにポ
リエチレンフィルム等で包装する一連の工程である。熟
成工程は、巻き取られたSMCを通常、半日〜2日間、
25〜50℃の温調された熟成室に貯えて、所定の粘度
まで増粘させる工程である。
【0010】本発明において、含浸方式としては、特に
限られるものではないが、従来から用いられているコン
ベアーベルト含浸方式(コンベアーベルトを挟んだコン
パクションロールとエアーシリンダーによる圧着によっ
て含浸させる方式)やダブルメッシュベルト含浸方式
(上下交互に配列されたロールと特殊な編み方をされた
Dual-Wire-Mesh-Belt との組み合わせにより、シートの
厚み、上下間に発生する周速差を利用して含浸させる方
式)等が挙げられる。
【0011】コンベアーベルト含浸方式について、図面
を参照して説明する。すなわち、図1は、コンベアーベ
ルト含浸方式の概略を示すものであり、SMCは、コン
ベアーベルト(6) により図面の左方から右方に搬送され
て得られる。図1において、混合工程で得られた樹脂ペ
ースト(P) をドクターブレード(5b)の作用により、単位
面積あたり一定量でキャリアフィルム(4b)上に塗布し、
このフィルム(4b)上に、ガラスロービング(8) をチョッ
パー(7) で一定長に切断することにより得られたチョッ
プドストランド(9) を散布する。一方、コンベアーベル
ト(6) 上方で樹脂ペースト(P) をドクターブレード(5a)
の作用によりキャリアフィルム(4a)上に塗布する。この
フィルム(4a)を樹脂ペースト(P) が下側を向くようにし
て、キャリアフィルム(4b)上に載せ、このようにして上
下のキャリアフィルム(4a)(4b)間に挟まれたチョップド
ストランド(9) を含む樹脂ペースト(P) を得て、これを
加圧含浸部に導く。すなわち、コンパクションロール(1
a)(1b)が上下対に配された加圧含浸部に導き、コンパク
ションロール(1a)(1b)で挟み込み加圧含浸を行なう。本
発明においては、コンパクションロール(1a)(1b)をそれ
ぞれ支持するフレーム(2a)(2b)には、振動発振機(3a)(3
b)が取り付けられており、振動発振機(3a)(3b)からの振
動をコンパクションロール(1a)(1b)に伝えるようになさ
れている。従って、SMCは、コンパクションロール(1
a)(1b)によって振動を与えられつつ、加圧含浸される。
得られたシートを巻取りロール(10)で巻き取る。
【0012】図2は、図1におけるコンパクションロー
ル(1a)(1b)でのSMCの挟み込み加圧の詳細を示す垂直
断面図である。SMC中の気泡(A) が、コンパクション
ロール(1a)(1b)によって振動されつつ加圧されることに
より、SMC側端部より排出される。
【0013】次に、ダブルメッシュベルト含浸方式につ
いて、図3及び4を参照して説明する。すなわち、図3
は、ダブルメッシュベルト含浸方式の加圧含浸部の垂直
断面図であり、図4は、図3におけるロール(12b) 近傍
における詳細を示す垂直断面図である。図3において、
上下のキャリアフィルム(4a)(4b)間に挟まれたチョップ
ドストランド(9) を含む樹脂ペースト(P) を加圧含浸部
に導き、上下交互に配列されたロール(12a)(12b)により
駆動する上下一対のダブルメッシュベルト(13a)(13b)の
間を、シートの厚み、上下間に発生する周速差により加
圧し含浸させる。本発明においては、ロール(12a)(12b)
をそれぞれ支持するフレーム(13a)(13b)には、振動発振
機(3a)(3b)が取り付けられており、振動発振機(3a)(3b)
からの振動をロール(12a)(12b)に伝えるようになされて
いる。従って、SMCは、ロール(12a)(12b)によって振
動を与えられつつ、加圧含浸される。
【0014】上記いずれの方式においても、振動発振機
(3a)(3b)としては、公知のものを用いることができる。
すなわち、偏心軸式、カム・クランク式、アンバランス
ウェイト式などの機械的方式による振動発振機、動電型
加振機などの電磁型の電気的方式による振動発振機、電
気油圧方式による振動発振機等を用いることができる。
【0015】例えば、図5は、偏心軸式振動発振機が上
述のコンベアーベルト含浸方式におけるコンパクション
ロール(1b)の支持フレーム(2b)に取り付けられている例
を示すものである。図5において、偏心回転軸(21)を有
するベアリング(22)が回転することにより、ケーシング
(23)が水平方向、垂直方向に振動する。そして、この垂
直方向の振動が垂直軸(24)を振動させ、支持フレーム(2
b)が振動させられる。
【0016】加圧含浸部に与える振動特性としては、通
常、振動周波数が10〜5000Hz、振動振幅が1〜
500μmの範囲とされる。振動周波数が10Hz未満
であると、振動の効果が充分に現れない。また、振動周
波数が5000Hzを超えると、SMC自体が発熱し、
部分的に硬化現象が生じ易い。振動周波数は、短時間で
の振動の効果とSMCへの影響とのバランスを考慮して
250〜3000Hzの範囲が好ましい。また、振動振
幅が1μm未満であると、振動の効果が充分に現れず、
また、振動振幅が500μmを超えると、機械設備に悪
影響を及ぼす恐れがある。好ましい振動振幅は50〜3
50μmの範囲である。
【0017】振動の方向は、垂直(SMCの厚さ方
向)、水平(SMCの搬送方向、搬送方向に直角の方
向)、および3次元のいずれの振動でもよいが、3次元
振動がより効果的である。
【0018】次に、本発明において用いる樹脂ペースト
および補強繊維について説明する。
【0019】樹脂ペーストは、一般に、熱硬化性樹脂、
充填材、硬化剤及び増粘剤等からなる。
【0020】熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポ
リエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂等を挙げることができる。中でも不飽和
ポリエステル、ビニルエステル樹脂が好ましく、増粘
性、成形性が良いことから不飽和ポリエステル樹脂が特
に好ましい。
【0021】不飽和ポリエステル樹脂とは、不飽和二塩
基酸とグリコールと必要に応じて飽和二塩基酸とを重縮
合せしめた不飽和ポリエステル、重合性単量体、及び必
要により添加される低収縮化のための熱可塑性樹脂から
なる混合物である。
【0022】不飽和二塩基酸としては、例えば、無水マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が使
用される。グリコールとしては、例えば、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、
ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフ
ェノールAのエチレンオキサイド付加物、ネオペンチル
グリコール等が挙げられる。飽和二塩基酸としては、例
えば、無水フタル酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、
テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、テトラクロロフ
タル酸、へット酸等が挙げられる。
【0023】重合性単量体としては、例えば、スチレ
ン、ジクロロスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、
メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸、ア
クリル酸エステル、フタル酸ジアリル等が挙げられる
が、スチレンが好ましく使用される。
【0024】また、低収縮化のための熱可塑性樹脂とし
ては、例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメ
チルメタクリレート、ポリエチレン、ポリε−カプロラ
クトン、飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタ
ジエン、ポリスチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチ
レン−ポリ酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体等が挙げられる。
【0025】ビニルエステル樹脂とは、エステル連鎖ま
たはエーテル連鎖の末端にビニル基を有する樹脂であ
り、一般にはエポキシアクリレート樹脂を指す。エポキ
シアクリレート樹脂とは、ビスフェノール型、ノボラッ
ク型等のエポキシ樹脂にアクリル酸、メタアクリル酸等
の不飽和−塩基酸を反応せしめたエポキシアクリレート
と、重合性単量体と、必要により添加される低収縮化の
ための熱可塑性樹脂とからなる混合物である。重合性単
量体及び必要により添加される低収縮化のための熱可塑
性樹脂は、上記したものが用いられる。
【0026】充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化
アルミニウム、硫酸カルシウム、ガラス粉末、タルク、
マイカ等の無機充填材が使用される。無機充填材の粒径
は、一般に0.1〜200μmであり、好ましくは0.
5〜60μmである。粒径が0.1μmより小さいと、
組成物粘度が大きくなり、補強繊維に十分合浸せず、材
料内部に気泡を混入しやすくなり、その結果成形品に巣
が入りやすい。一方、粒径が200μmより大きいと、
粒子の比表面積が小さくなることにより、組成物粘度が
小さくなり取扱い性が低下する。充填材の添加量は、上
記充填材のうちの一種を単独使用する場合であっても二
種以上を併せて使用する場合であっても、熱硬化性樹脂
組成物100重量部に対して、50〜350重量部の範
囲である。好ましくは60〜300重量部の範囲であ
る。添加量が50重量部より少ないと、成形前の材料の
取扱い性が低下する。また、添加量が350重量部より
多いと、粘度が大幅に上昇し、充填材と樹脂との均一混
合が難しく、硬化物が脆くなり、力学物性が低下する。
また成形加工時の流動性が低下するとともに、補強繊維
への含浸性が低下し、材料内部に気泡を混入しやすくな
り、その結果成形品に巣が入りやすくなる。ここで、熱
硬化性樹脂組成物100重量部とは、不飽和ポリエステ
ル樹脂、エポキシアクリレート等の重合体(オリゴマ
ー)成分と、重合性単量体と、必要により添加される低
収縮化のための熱可塑性樹脂とを合計した量100重量
部である。
【0027】硬化剤としては、ターシャリーブチルパー
オキシイソブチレート、ターシャリーブチルパーオキシ
2−エチルヘキサノエート、ターシャリーアミルパーオ
キシ2−エチルヘキサノエート、2,4,4−トリメチ
ルペンチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ター
シャリーブチルパーオキシピバレート、ターシャリーブ
チルパーオキシベンゾエート、ターシャリーブチルパー
オキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーブチル
パーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオ
キサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられ
る。硬化剤の添加量は、一般に熱硬化性樹脂組成物10
0重量部に対して、0.2〜2.0重量部程度である。
【0028】増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸
化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等が挙げら
れる。増粘剤の添加量は、一般に熱硬化性樹脂組成物1
00重量部に対して、0.2〜3重量部程度である。
【0029】本発明における補強繊維としては、ガラス
繊維、炭素繊維、石綿繊維、ホイスカー、有機合成繊
維、天然繊維等が使用される。好ましくは、物性、価格
面でガラス繊維が用いられる。一定長さ、または連続し
た繊維をそのまま使用する場合の他に、マット状やクロ
ス状のものも使用される。例えば、ガラス繊維の場合、
ストランドを一定長さに切断したチョップドストラン
ド、チョップドストランドをバインダーで接着しマット
状にしたチョップドストランドマット等が使用される。
一定長さの繊維長は、通常1〜80mmであり、好まし
くは10〜50mmである。繊維長が1mmより短いと
補強効果がなく、一方80mmより長いと粘度が上昇し
て成形性が悪くなる。また、不飽和ポリエステル樹脂組
成物中の繊維の方向性は、ランダムにしたものの他に、
一方向に並べたもの、X字状に並べたもの、等が使用さ
れる。
【0030】また補強繊維の量は、補強繊維を合む熱硬
化性樹脂ペースト(SMC)全体に対して、2〜40重
量%の範囲であり、好ましくは3〜35重量%の範囲で
ある。補強繊維の量が2重量%より少ないと、材料の取
扱い性が低下するとともに、補強効果がなく成形品に割
れ、曲がりを生じやすい。一方、補強繊維の量が40重
量%より多いと、粘度が上昇して流動性が悪くなる。
【0031】また、本発明において、樹脂ペーストに
は、上記の熱硬化性樹脂、充填材、硬化剤、増粘剤の他
に、通常、さらに離型剤、顔料等も含まれる。離型剤と
してはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等が
挙げられる。
【0032】本発明により製造されるSMCのシート厚
みは、一般に1〜8mm程度である。
【0033】本発明のSMCの製造方法によれば、含浸
工程において、振動を与えながら樹脂ペーストを補強繊
維に含浸させることを特徴とするものであり、すなわ
ち、加圧含浸時のSMCが振動されるので、樹脂粘度が
低下し補強繊維への濡れ性が向上されるとともに、樹脂
ペースト中の微細な気泡さえも、振動により近隣の微細
な気泡と結合し、大きな気泡へと変化し、その後SMC
外へと排出される。また、補強繊維にまとわりついてい
る気泡に関しては、振動により補強繊維から樹脂ペース
ト中へと移動し、先述したのと同様な機構でSMC外へ
と排出される。
【0034】以上のような作用により、本発明の方法に
より得られるSMCは、微細な気泡も完全に排除され、
含浸性に非常に優れたものである。従って、それから得
られる成形品も表面性及び機械的特性に優れたものとな
る。
【0035】
【実施例】本発明の実施例を比較例と対比し、以下に説
明する。
【0036】[実施例1]不飽和ポリエステル40重量
部とポリスチレン10重量部とをスチレン単量体50重
量部に溶解した不飽和ポリエステル樹脂100重量部
に、炭酸カルシウム140重量部、ターシャリーブチル
パーオキシベンゾエート1.5重量部、ステアリン酸亜
鉛5重量部、および酸化マグネシウム0.7重量部を加
えて攪拌機にて混合し、樹脂ペーストを得た。次に、S
MC製造装置(図1に示したコンベアーベルト含浸方式
の装置)の上下各ドクターブレードにこの樹脂ペースト
を装填し、SMC中のガラス繊維(長さ25mm)含有
量が25重量%になるようロービングチョッパー回転数
を調整し、振動発振機(図5に示した偏心軸式発振機)
からコンパクションロールに振動周波数260Hz、振
幅300μmの振動を垂直方向に与え、ライン速度15
m/分にてSMCを製造し、続いて40℃にて24時間
熟成した。得られたSMCの評価として気泡率測定、目
視評価を行った。
【0037】次に得られたSMCを、雄型150℃、雌
型135℃に温調されたミニバス形状をした金型(幅3
50mm×長さ600mm×高さ270mm)にチャー
ジし、川崎油工社製300トンプレス機を用い、成形圧
力100kg/cm2 、加圧時間4分にて圧縮成形し、
成形品を得た。得られた成形品の評価としては、曲げ強
さ(底面、側面)、表面性評価を行なった。
【0038】なお、SMCの気泡率測定、目視評価、及
び成形品の曲げ強さ測定、表面性評価は、以下のように
して行なった。 <気泡率測定>JIS K 7053に準拠して3回の測定を行な
い、その平均値を気泡率(%)とした。 <目視評価>SMCを切断して、SMC内部のガラス繊
維と樹脂との濡れ具合を目視にて観察し、 ◎:非常に良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良 として評価した。 <曲げ強さ測定>成形品の底面、側面のそれぞれについ
て、JIS K 69llに準拠して5回の測定を行ない、その平
均値を曲げ強さ(MPa)とした。 <表面性>成形品表面の巣、ピンホール、ガラス繊維の
浮き出し等の有無を観察した。
【0039】[実施例2]振動発振機として、実施例1
の偏心軸式発振機に代えて電磁型発振機を用いて、振動
周波数2500Hz、振幅300μmの振動を与えた以
外は、実施例1と同様にしてSMCおよび成形品を製造
し、それらの評価を行なった。
【0040】[実施例3]炭酸カルシウムを200重量
部に増量した以外は、実施例1と同様にしてSMCおよ
び成形品を製造し、それらの評価を行なった。
【0041】[実施例4]ガラス繊維含有量を40重量
%に増量した以外は、実施例1と同様にしてSMCおよ
び成形品を製造し、それらの評価を行なった。
【0042】[実施例5]SMCシート厚みがを5.0
mmになるように上下コンパクションロールの加圧を設
定した以外は、実施例1と同様にしてSMCおよび成形
品を製造し、それらの評価を行なった。
【0043】[実施例6]SMC製造装置のライン速度
を25m/分に上げた以外は、実施例1と同様にしてS
MCおよび成形品を製造し、それらの評価を行なった。
【0044】[実施例7]SMC製造装置として、図3
に示したダブルメッシュベルト含浸方式の装置を用い
て、SMCシート厚みがを3.0mmになるようにした
以外は、実施例1と同様にしてSMCおよび成形品を製
造し、それらの評価を行なった。
【0045】[実施例8]振動周波数9Hz、振幅30
0μmmの振動を与えた以外は、実施例1と同様にして
SMCおよび成形品を製造し、それらの評価を行なっ
た。
【0046】[比較例1]振動を与えなかった以外は、
実施例1と同様にしてSMCおよび成形品を製造し、そ
れらの評価を行なった。
【0047】[比較例2]炭酸カルシウムを200重量
部に増量し、振動を与えなかった以外は、実施例1と同
様にしてSMCおよび成形品を製造し、それらの評価を
行なった。
【0048】[比較例3]ガラス繊維含有量を40重量
%に増量し、振動を与えなかった以外は、実施例1と同
様にしてSMCおよび成形品を製造し、それらの評価を
行なった。
【0049】[比較例4]SMCシート厚みがを5.0
mmになるように上下コンパクションロールの加圧を設
定し、振動を与えなかった以外は、実施例1と同様にし
てSMCおよび成形品を製造し、それらの評価を行なっ
た。
【0050】実施例1〜8および比較例1〜4の製造条
件のまとめと、SMCおよび成形品の評価結果を表1に
示す。
【表1】
【0051】表1に示したように、振動を与えながら加
圧含浸を行なった実施例1〜7で得られたSMCは、い
ずれも気泡を殆ど含有せず、含浸性に優れたものであっ
た。実施例8で得られたSMCも気泡が少ないものであ
った。また、それらのSMCを圧縮成形して得られた成
形品も機械的特性及び表面性に非常に優れたものであっ
た。振動を与えることなく加圧含浸を行った比較例1〜
4で得られたSMCは、気泡率が大きく含浸性に劣った
ものであった。また、実施例3と比較例2との比較、実
施例4と比較例3との比較、実施例5と比較例4との比
較より、また、加圧含浸時に振動を与えることにより、
充填材添加量やガラス繊維含有量も増加させることがで
き、さらにSMCのシート厚みも増加させることができ
る。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によれば、上述のように、
SMC中の微細な気泡までもほぼ完全に排出することに
よって、含浸性に優れるSMCを製造することができ
る。そのため、本方法により得られたSMCから、表面
性及び機械的特性に非常に優れる成形品を製造すること
ができる。また、本方法によれば、SMCの含浸性が向
上することから、充填材量やガラス繊維含有量を増やす
ことができる。そのため、本方法により得られたSMC
から製造される成形品の機械的特性の更なる向上が望め
る。さらに、SMCのシート厚みも増加させることがで
きるため、成形時のチャージ枚数を減らすことができ
る。さらに、本方法によれば、含浸の時間効率も向上す
るため、SMC製造装置のライン速度のアップも可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンベアーベルト含浸方式の概略を示す図で
ある。
【図2】 図1におけるコンパクションロール(1a)(1b)
でのSMCの挟み込み加圧の詳細を示す垂直断面図であ
る。
【図3】 ダブルメッシュベルト含浸方式の加圧含浸部
の垂直断面図である。
【図4】 図3におけるロール(12b) 近傍における詳細
を示す垂直断面図である。
【図5】 図1におけるコンパクションロール(1b)の支
持フレーム(2b)に、偏心軸式振動発振機が取り付けられ
ている例を示す図である。
【符号の説明】
(P) …樹脂ペースト (1a)(1b)…コンパクションロール (2a)(2b)…コンパクションロールの支持フレーム (3a)(3b)…振動発振機 (4a)(4b)…キャリアフィルム (5a)(5b)…ドクターブレード (6) …コンベアーベルト (7) …チョッパー (8) …ガラスロービング (9) …チョップドストランド (10)…巻取りロール (A) …気泡

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂を含む樹脂ペーストを補強
    繊維に含浸させてSMC(シート・モールディング・コ
    ンパウンド)を製造する方法において、前記含浸工程に
    おいて、振動を与えながら樹脂ペーストを補強繊維に含
    浸させることを特徴とする、SMCの製造方法。
JP31246595A 1995-11-30 1995-11-30 Smcの製造方法 Pending JPH09150415A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114761191A (zh) * 2019-11-25 2022-07-15 Dic株式会社 片状模塑料和成型品的制造方法
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