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JPH0912975A - 塗料組成物及び塗膜の形成方法 - Google Patents

塗料組成物及び塗膜の形成方法

Info

Publication number
JPH0912975A
JPH0912975A JP18348795A JP18348795A JPH0912975A JP H0912975 A JPH0912975 A JP H0912975A JP 18348795 A JP18348795 A JP 18348795A JP 18348795 A JP18348795 A JP 18348795A JP H0912975 A JPH0912975 A JP H0912975A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
weight
meth
resin
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18348795A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideki Takayama
英樹 高山
Hidekazu Nishimura
英一 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP18348795A priority Critical patent/JPH0912975A/ja
Priority to US08/666,738 priority patent/US5741552A/en
Priority to CA002179561A priority patent/CA2179561A1/en
Priority to GB9613432A priority patent/GB2303139A/en
Publication of JPH0912975A publication Critical patent/JPH0912975A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬化性、耐酸性、耐擦傷性等に優れていると
ともに、良好な下地密着性を有し、再塗装の容易な塗料
組成物及び塗膜の形成方法を提供する。 【構成】 (a) (i) 複数のヒドロシリル基を有する少な
くとも一種の化合物と複数のアルケニル基を有する少な
くとも一種の化合物とのブレンド、及び/又は(ii)複数
のヒドロシリル基及び複数のアルケニル基を併有する少
なくとも一種の化合物と、(b) 触媒量のヒドロシリル化
触媒とを含有し、前記(a) の化合物の少なくとも一部
が、リン酸基及び/又はアルコキシシリル基を、前記
(a) 成分に対して固形分基準で0.001 〜5mol/kg含有す
ることを特徴とする塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗料組成物及び塗膜の形
成方法に関し、特に硬化性、耐酸性、耐擦傷性等に優れ
ているとともに、良好な下地密着性を有し、再塗装の容
易な塗料組成物及び複層塗膜の形成方法に関する。
【0002】自動車、特に乗用車の仕上げ塗装には、顔
料を含むベースコートの上に透明なトップコートが施さ
れる。トップコートの役割は、主として塗膜外観の向上
にあるが、そのためには高い光沢を長期間保持するよう
に優れた耐候性、耐擦傷性、耐薬品性等が要求される。
また同種又は異種の塗料を塗り重ねる場合や、トップコ
ート塗装後の不良欠塗装部分に同種の塗料を再塗装する
場合には、最初に塗装した塗膜と後から塗装した塗膜と
の間で剥離を生じるおそれがあるため、トップコート組
成物は下地密着性の高いものが望まれる。
【0003】現在耐候性、耐擦傷性、耐薬品性等の向上
を目的として、例えばヒドロシリル基含有アクリルポリ
マーをメラミン樹脂又はポリイソシアネート化合物を配
合した溶剤型のトップコート用組成物が使用されてい
る。しかしながら、メラミン樹脂を硬化剤として用いた
場合には、メラミンのトリアジン骨格に起因して耐候性
や、近年問題になっている酸性雨に対する耐久性等が満
足ではないという問題がある。またポリイソシアネート
化合物を硬化剤として用いた場合には、毒性、塗膜の黄
変、耐候性の低下等の問題がある。このような問題点
は、トップコートの上に塗装されるオーバーコートにつ
いても当てはまる。
【0004】ところで、近年環境保全及び省資源の見地
から有機溶剤型塗料に対する規制が厳しくなりつつあ
る。しかしながら、有機溶剤を使用しない粉体塗料及び
水性塗料ではこの目的に要求される外観(透明性、光沢
等)を得るのが難しい。
【0005】これらの問題点を解決する方法として、炭
素−炭素二重結合へのヒドロシリル基の付加(ヒドロシ
リル化反応)を硬化メカニズムとする硬化性樹脂組成物
が提案されている(例えば、特開平3-277645号、同5-28
7206号等)。これらの組成物の硬化反応では、新たに形
成される結合が化学的に極めて安定な珪素−炭素結合で
あるため耐候性、耐酸性等が高く、またヒドロシリル化
硬化剤の凝集力は低いために無溶剤又は超ハイソリッド
型塗料に設計できる。このため、これらの組成物を従来
の有機溶剤型トップコート又はオーバーコート組成物の
代わりに使用することにより、例えば自動車車体の仕上
げ塗装のための複層塗膜の性能を一層向上させるととも
に、大気中への有機溶剤の放出を排除又は大幅に減らす
ことが期待できる。しかしながら、このようなトップコ
ート組成物は、幾分下地密着性に劣るという問題が生じ
ることが分かった。
【0006】従って、本発明の目的は、硬化性、耐酸
性、耐擦傷性等に優れているとともに、良好な下地密着
性を有し、再塗装の容易な塗料組成物及び塗膜の形成方
法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題に鑑み鋭意研究
した結果、本発明者らは、被塗物上にヒドロシリル基及
びアルケニル基を含有するトップコート組成物を塗装す
る場合に、トップコート組成物に、リン酸基、ヒドロキ
シル基、カルボキシル基、エポキシ基及びアルコキシシ
リル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基
を含有する塗料組成物を用いることにより、硬化性、耐
酸性、耐擦傷性等に優れているとともに、良好な下地密
着性を有し、再塗装の容易な塗膜が得られることを見出
し、本発明に想到した。
【0008】すなわち、本発明の第一の塗料組成物は、
(a) (i) 複数のヒドロシリル基を有する少なくとも一種
の化合物と複数のアルケニル基を有する少なくとも一種
の化合物とのブレンド、及び/又は(ii)複数のヒドロシ
リル基及び複数のアルケニル基を併有する少なくとも一
種の化合物と、(b) 触媒量のヒドロシリル化触媒とを含
有し、前記(a) の化合物の少なくとも一部が、リン酸基
及び/又はアルコキシシリル基を、前記(a) 成分に対し
て固形分基準で0.001 〜5mol/kg含有することを特徴と
する。
【0009】また本発明の第二の塗料組成物は、(a)
(i) 複数のヒドロシリル基を有する少なくとも一種の化
合物と複数のアルケニル基を有する少なくとも一種の化
合物とのブレンド、及び/又は(ii)複数のヒドロシリル
基及び複数のアルケニル基を併有する少なくとも一種の
化合物と、(b) 触媒量のヒドロシリル化触媒と、(c) リ
ン酸、リン酸エステル、カルボキシル基含有双性イオン
型化合物、及びヒドロキシル基、カルボキシル基、エポ
キシ基、アルコキシシリル基及びアミノ基の少なくとも
一種の官能基を有する化合物からなる群から選ばれた少
なくとも1種とを含有することを特徴とする
【0010】さらに、本発明の塗膜の形成方法は、被塗
物上にトップコート組成物として上記第一又は第二の塗
料組成物を塗布することを特徴とする。
【0011】本発明を以下詳細に説明する。本発明の塗
料組成物は主としてトップコート用に使用し、場合によ
ってはオーバーコート用にも使用するが、説明の簡略化
のためにトップコート組成物の場合について以下詳細に
説明する。従って、この説明はオーバーコート組成物と
しても当然成り立つものである。
【0012】[A] トップコート組成物 [1] 第一のトップコート組成物の組成 本発明の第一のトップコート組成物は、(a) (i) 複数の
ヒドロシリル基を有する少なくとも一種の化合物(以下
「ヒドロシリル基含有化合物」という。)と複数のアル
ケニル基を有する少なくとも一種の化合物(以下「アル
ケニル基含有化合物」という。)とのブレンド、及び/
又は(ii)複数のヒドロシリル基及び複数のアルケニル基
を併有する少なくとも一種の化合物(以下「自己架橋型
樹脂」という。)と、(b) 触媒量のヒドロシリル化触媒
とを含有する。前記(a) の化合物の少なくとも一部は、
リン酸基及び/又はアルコキシシリル基を前記(a) 成分
に対して固形分基準で0.001 〜5mol/kg含有する。前記
官能基はヒドロキシル基含有化合物、アルケニル基含有
化合物及び自己架橋型樹脂のいずれに含有されていても
良い。
【0013】以下にまず各成分の基本構造について説明
し、官能基の導入については各成分の欄の最後に説明す
る。
【0014】(A) ヒドロシリル基含有化合物とアルケニ
ル基含有化合物のブレンドの場合 (1) ヒドロシリル基含有化合物 (a) 第一のヒドロシリル基含有化合物の基本構造 第一のヒドロシリル基含有化合物としては、(i) 一般
式:
【化3】 (但し、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基
又はフェネチル基であり、R2 は水素原子、炭素数1〜
6のアルキル基、フェニル基又はフェネチル基であり、
aは2〜200 の数である。)で表される構造単位を有
し、かつ一分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を
含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
/又は(ii)一般式:
【化4】 (但し、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基
又はフェネチル基であり、R2 は水素原子、炭素数1〜
6のアルキル基、フェニル基又はフェネチル基であり、
bは1〜30の数である。)で表される構造単位を有し、
かつ一分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有す
るとともに、シロキサン骨格の途中又は末端に少なくと
も1つの(メタ)アクリロイルオキシアルキレン基を有
するハイドロジェンポリシロキサンマクロモノマーの単
独重合体又は共重合体(但し、アルケニル基は含まな
い。)を使用するのが好ましい。
【0015】オルガノハイドロジェンポリシロキサンの
好ましい例としては、下記構造式(3) 〜(5) で表される
化合物が挙げられる。
【0016】
【化5】 (但し、R3 及びR4 は炭素数1〜6のアルキル基、フ
ェニル基又はフェネチル基であり、dは0〜100 の数で
あり、eは2〜100 の数である。)。構造単位−SiO
3 3 −と−SiOR4 H−とはランダムに配列され
ていてよく、また末端基−SiR3 3 3 は任意の組
合せでシロキサン骨格に結合していてよい。
【0017】
【化6】 (但し、R3 及びR4 は炭素数1〜6のアルキル基、フ
ェニル基又はフェネチル基であり、f及びgはそれぞれ
0〜100 の数である。)。上記構造式(3) と同様に、構
造単位−SiOR3 3 −と−SiOR4 H−とはラン
ダムに配列されていてよく、また末端基−SiR3 3
3 は任意の組合せでシロキサン骨格に結合していてよ
い。
【0018】
【化7】 (但し、R3 及びR4 は炭素数1〜6のアルキル基、フ
ェニル基又はフェネチル基であり、hは0〜8の数であ
り、iは2〜10の数であり、かつ(h+i)は3〜10の
数である。)。これらのオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンの詳細は特開平3-277645号に開示されている。
【0019】R3 及びR4 における炭素数1〜6のアル
キル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基等が挙げられる。工業的観点から特にメチル基及
びプロピル基が好ましい。オルガノハイドロジェンポリ
シロキサンの重合度はd〜iによって規定されるが、上
記範囲より大きな重合度を有するオルガノハイドロジェ
ンポリシロキサンは粘度が高くて作業性に乏しいうえ、
アルケニル成分との相溶性も悪い。相溶性を向上させる
ためには、有機基としてフェニル基を含有するものが好
ましい。特に好ましいオルガノハイドロジェンポリシロ
キサンとしては、メチルフェニルハイドロジェンポリシ
ロキサン及びメチルプロピルハイドロジェンポリシロキ
サン等が挙げられる。
【0020】(b) 第二のヒドロシリル基含有化合物の基
本構造 第二のヒドロシリル基含有化合物は、シロキサン骨格の
途中又は末端に(メタ)アクリロイルオキシアルキレン
基が結合したハイドロジェンポリシロキサンマクロモノ
マーの単独重合体又は共重合体である。(メタ)アクリ
ロイルオキシアルキレン基としては、3−(メタ)アク
リロイルオキシプロピル基等が好ましい。ハイドロジェ
ンポリシロキサンマクロモノマーの単独重合又は共重合
は公知の溶液重合法によって行うことができる。なお、
ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノマーの単独重
合体又は共重合体(但し、アルケニル基は含まない。)
の詳細は、特開平7-11141 号に開示されている。
【0021】ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノ
マーの好ましい例としては、下記構造式(6) 〜(8) で表
される化合物等が挙げられる。
【0022】
【化8】 (但し、R3 は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基
又はフェネチル基であり、Aは3−(メタ)アクリロイ
ルオキシアルキレン基であり、jは0〜20の数であり、
kは1〜3の数であり、lは0〜10の数である。)。但
し各構造単位及び末端基の配列は任意である。
【0023】
【化9】 (但し、R3 は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基
又はフェネチル基であり、Aは3−(メタ)アクリロイ
ルオキシアルキレン基であり、jは0〜20の数であり、
kは1〜3の数であり、mは1〜10の数である。)。但
し各構造単位及び末端基の配列は任意である。
【0024】
【化10】 (但し、Aは3−(メタ)アクリロイルオキシアルキレ
ン基であり、R3 及びR4 は炭素数1〜6のアルキル
基、フェニル基、フェネチル基又は−OSi(R32
Hであり、R5 は水素原子又は−OSi(R3 2 Hで
あり、nは1〜10の数である。)。これらのハイドロジ
ェンポリシロキサンマクロモノマーは特開平4-169589号
に開示されている。なお本明細書で使用する用語「(メ
タ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイ
ルを意味する。
【0025】(メタ)アクリロイル基含有ハイドロジェ
ンポリシロキサンマクロモノマーを共重合体として使用
する場合、共重合用モノマー(但し、アルケニル基は含
まない。)としてエチレン性不飽和モノマー(例えばア
クリル系モノマー、ビニル系モノマー)を使用するのが
好ましい。アクリル系モノマーとしては、(メタ)アク
リル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)ア
クリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メ
タ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロ
キシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル)、(メ
タ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルとポリ−ε−カプロ
ラクトンとの付加物、エポキシ基含有(メタ)アクリル
酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジ
ル)、(メタ)アクリル酸3-トリメトキシシリルプロピ
ル、(メタ)アクリル酸3-トリエトキシシリルプロピ
ル、(メタ)アクリル酸3-ジメトキシメチルシリルプロ
ピル、(メタ)アクリル酸-2- アクリルアミド-2- メチ
ルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸トリブチル
錫、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルイ
シアネート、(メタ)アクリル酸-2- イソシアネートエ
チル、シリコーンマクロモノマー等が挙げられる。また
ビニル系モノマーとしては、スチレン、α- メチルスチ
レン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニル、酢酸アリ
ル、N- シクロヘキシルマレイミド、N- フェニルマレ
イミド等が挙げられる。
【0026】ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノ
マーの単独重合体又は共重合体(但し、アルケニル基は
含まない。)において、ハイドロジェンポリシロキサン
マクロモノマーの配合量は20〜100 重量%で、アルケニ
ル基を含有しない共重合成分(エチレン性不飽和モノマ
ー)の配合量は80〜0重量%であるのが好ましい。より
好ましくはハイドロジェンポリシロキサンマクロモノマ
ーの配合量が40〜100重量%であり、アルケニル基を含
有しないエチレン性不飽和モノマーの配合量が60〜0重
量%である。ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノ
マーが20重量%未満では(共重合成分の配合量が80重量
%を越える場合には)、硬化塗膜の架橋密度が低く、十
分な耐擦傷性及び耐酸性等が得られない。
【0027】ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノ
マーの単独重合体又は共重合体(但し、アルケニル基は
含まない。)の数平均分子量は、1,000 〜30,000である
のが好ましい。さらに硬化塗膜の硬化性を考慮すると、
これらの重合体中のヒドロシリル基の濃度は1×10-3
ol/g以上が望ましい。
【0028】(c) ヒドロシリル基含有化合物への官能基
の導入 ヒドロシリル基含有化合物に官能基を導入する場合、反
応性の観点から第二のヒドロシリル基含有化合物に上記
官能基を導入するのが好ましい。この場合、ハイドロジ
ェンポリシロキサンマクロモノマーと上記官能基を含有
するモノマーとを共重合する。官能基含有モノマーとし
て、以下のものが好ましい。
【0029】(イ) リン酸基含有モノマー リン酸基含有モノマーとしては、モノ〔β- ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート〕アシッドホスフェート、
〔β- ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート〕アシ
ッドホスフェート、アシッドホスホキシプロピルメタク
リレート等が挙げられる。
【0030】(ロ) アルコキシシリル基含有モノマー アルコキシシリル基含有モノマーとしては、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメ
チルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、(メタ)アクリル酸3-トリメトキシシリルプロピ
ル、(メタ)アクリル酸3-トリエトキシシリルプロピ
ル、(メタ)アクリル酸3-ジメトキシメチルシリルプロ
ピル等が挙げられる。
【0031】上記(イ) 及び(ロ) のモノマーの中には、リ
ン酸基又はアルコキシシリル基を単独で含有するものだ
けでなく、これらの官能基を組み合わせて含有するもの
もあるが、異種の官能基を組み合わせて含有するモノマ
ーを使用することも勿論本発明の範囲内である。また同
種又は異種の官能基を有する複数のモノマーを組み合わ
せて使用することもできる。
【0032】(d) ヒドロシリル基含有化合物に添加可能
なその他のモノマー 上記官能基含有モノマーの他に、共重合用モノマーとし
てエチレン性不飽和モノマー(例えばアクリル系モノマ
ー、ビニル系モノマー等)を配合してもよい。アクリル
系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル(例
えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル
酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベン
ジル、(メタ)アクリル酸-2- アクリルアミド-2- メチ
ルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸トリブチル
錫、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルイ
シアネート、(メタ)アクリル酸-2- イソシアネートエ
チル等が挙げられる。またビニル系モノマーとしては、
スチレン、α- メチルスチレン、酢酸ビニル、酢酸アリ
ル、N- シクロヘキシルマレイミド、N- フェニルマレ
イミド等が挙げられる。さらにシリコーンマクロモノマ
ー等も使用可能である。
【0033】(2) アルケニル基含有化合物 本発明に使用し得るアルケニル基含有化合物(上記官能
基を含有していてもしていなくても良い。)としては、
例えば(a) アルケニル基含有ポリエーテル樹脂、(b) ア
ルケニル基含有アクリル樹脂、(c) アルケニル基含有ポ
リエステル樹脂、(d) アルケニル基含有ポリカーボネー
ト樹脂、及び(e) アルケニル基含有エポキシ樹脂等が挙
げられる。
【0034】(a) アルケニル基含有ポリエーテル樹脂 アルケニル基含有ポリエーテル樹脂は、アルケニル基を
有する1,2-エポキシ化合物を活性水素化合物(水、一価
もしくは多価アルコール)を開始剤として開環重合して
得られるポリエーテルが好ましい。例えば、エチレング
リコールを開始剤としてアリルグリシジルエーテルを開
環重合して得られるポリエーテル(数平均分子量1200、
ヨウ素価212 )や、ブタノール、アリルアルコール又は
プロパルギルアルコールを開始剤としてビニルシクロヘ
キサン-1,2- エポキサイドを開環重合して得られる下記
の構造式(9) 〜(15)及び物性を有するポリエーテル(特
開平4-23829 号)が挙げられる。
【0035】(数平均分子量450 、ヨウ素価170 )。
【化11】
【0036】(数平均分子量820 、ヨウ素価185 )。
【化12】
【0037】(数平均分子量890 、ヨウ素価170 )。
【化13】
【0038】(数平均分子量980 、ヨウ素価130 )。
【化14】
【0039】(数平均分子量780 、ヨウ素価196 )。
【化15】
【0040】(数平均分子量750 、ヨウ素価170 )。
【化16】
【0041】(数平均分子量430 、ヨウ素価236 )。
【化17】
【0042】またトリエチレングリコールジビニルエー
テル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等
のジビニルエーテル樹脂もアルケニル基含有ポリエーテ
ル樹脂に含まれる。
【0043】(b) アルケニル基含有アクリル樹脂 アルケニル基含有アクリル樹脂は、アルケニル基含有ア
クリル系モノマーの単独重合、又はその他のアクリル系
モノマーとの共重合により得られる。アルケニル基含有
アクリル系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル
酸アリル、(メタ)アクリル酸2-ブテニル、(メタ)ア
クリル酸3-メチル-3- ブテニル、(メタ)アクリル酸3-
メチル-2- ブテニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキセ
ニルメチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2- プロペニ
ル、(メタ)アクリル酸3-ヘプテニル、(メタ)アクリ
ル酸4-ヘキセニル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルと
ビニルシクロヘキセンモノエポキシドとの1:1の付加
物等が挙げられる。なお、このようなアルケニル基含有
アクリル系モノマーは、例えば(メタ)アクリル酸クロ
ライドとアルケニルアルコールとの反応、(メタ)アク
リル酸アルキルとアルケニルアルコールとのエステル交
換反応、イソシアネート基含有アクリル系モノマーとア
ルケニルアルコールとの付加反応等によって合成するこ
とができる。
【0044】アルケニル基含有アクリル系モノマーと共
重合し得る他のアクリル系モノマーとしては、例えば
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-
エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メ
タ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジ
ル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)
アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸
4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ
エチルとポリ−ε−カプロラクトンとの付加物、(メ
タ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3-トリ
メトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸3-トリエ
トキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸3-ジメトキ
シメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸2-アクリ
ルアミド-2- メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アク
リル酸トリブチル錫、(メタ)アクリルアミド、(メ
タ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリル酸
2-イソシアネートエチル、シリコーンマクロモノマー等
が挙げられる。また50重量%以内の範囲で、上記アクリ
ル系モノマー以外のエチレン性モノマー(例えば、スチ
レン、α- メチルスチレン、2,4-ジフェニル-4- メチル
-1- ペンテン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニル、
酢酸アリル、N- シクロヘキシルマレイミド、N- フェ
ニルマレイミド等)も共重合することができる。
【0045】アルケニル基含有アクリル系樹脂の別の合
成方法としては、水酸基含有アクリル系樹脂とアルケニ
ルイソシアネート及び/又はアルケニル基含有カルボン
酸無水物との付加反応、イソシアネート基含有アクリル
系樹脂とアルケニルアルコールとの付加反応、カルボキ
シル基合有アクリル系樹脂とアルケニル基含有エポキシ
類との付加反応、エポキシ基含有アクリル系樹脂とアル
ケニル基含有カルボン酸との付加反応等を挙げることが
できる。
【0046】水酸基含有アクリル系樹脂は、(メタ)ア
クリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒ
ドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブ
チル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルとポリ−
ε−カプロラクトンとの付加物等の水酸基含有アクリル
系モノマーと、それ以外の前記のアクリル系モノマー
と、50重量%以内の範囲のエチレン性不飽和モノマーと
を共重合するか、もしくは水酸基含有アクリル系モノマ
ー単独で重合することにより得られる。
【0047】アルケニルイソシアネートとしては、例え
ばイソシアン酸アリル、(メタ)アクリロイルイソシア
ネート、(メタ)アクリル酸2-イソシアネートエチル等
が挙げられる。
【0048】アルケニル基含有カルボン酸無水物として
は、無水イタコン酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無
水フタル酸等が挙げられる。
【0049】イソシアネート基含有アクリル系樹脂は、
(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリ
ル酸2-イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有
アクリル系モノマーと、それ以外の上述のアクリル系モ
ノマーと、50重量%以下の配合量のエチレン性不飽和モ
ノマーとを共重合するか、若しくはイソシアネート基含
有アクリル系モノマーを単独重合することにより得られ
る。
【0050】アルケニルアルコールとしては、アリルア
ルコール、ビニルアルコール、3-ブテン-1- オール、2-
(アリルオキシ)エタノール、グリセリンジアリルエー
テル、シクロヘキセンメタノール、3-メチル-2- ブテン
-1- オール、3-メチル-3- ブテン-1- オール、2-メチル
-3- ブチン-2- オール、オレイルアルコール、クロチル
アルコール、ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げ
られる。
【0051】カルボキシル基含有アクリル系樹脂は、
(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基合有アクリル系
モノマー及び/又は50重量%以内の範囲のイタコン酸、
マレイン酸等のようなカルボキシル基含有エチレン性不
飽和モノマーと、それ以外の上述のアクリル系モノマー
及び/又は50重量%以下の配合量のエチレン性不飽和モ
ノマーとを共重合するか、若しくはカルボキシル基含有
アクリル系モノマーを単独重合することにより得られ
る。
【0052】アルケニル基含有エポキシ類としては、例
えば(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジル
エーテル等が挙げられる。エポキシ基含有アクリル系樹
脂は、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキ
シ基含有アクリル系モノマーと、それ以外の上述のアク
リル系モノマーと、50重量%以下の配合量のエチレン性
不飽和モノマーとを共重合するか、若しくはエポキシ基
含有アクリル系モノマーを単独重合することにより得ら
れる。
【0053】アルケニル基含有カルボン酸としては、ア
リル酢酸、(メタ)アクリル酸、2-ブテノン酸、3-ブテ
ノン酸、クロトン酸、ウンデシレン酸、リノール酸等が
挙げられる。
【0054】(c) アルケニル基含有ポリエステル樹脂 アルケニル基含有ポリエステル樹脂は、上述のアルケニ
ルアルコールと、多価アルコールと多塩基酸との重縮合
反応によって容易に製造される。多価アルコールとして
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6-
へキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリ
コールエステル、トリメチロールプロパン、両末端アル
コール性水酸基含有ジメチルシロキサン等が挙げられ
る。多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、
テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリメリッ
ト酸等が挙げられ、必要に応じて一価のアルコール又は
一塩基酸を一部用いてもよい。
【0055】アルケニル基含有ポリエステル樹脂を合成
する別法としては、例えば前述の多価アルコールと多
塩基酸との重合反応により得られたポリエステル樹脂の
カルボキシル基と前述のアルケニル基含有エポキシ類と
の付加反応、多価アルコールと多塩基酸との重縮合反
応により得られたポリエステル樹脂の水酸基と、上述の
アルケニルイソシアネート及び/又はアルケニル基含有
カルボン酸の無水物との付加反応等が挙げられる。
【0056】(d) アルケニル基含有ポリカーボネート樹
脂 アルケニル基含有ポリカーボネート樹脂は、最初にシク
ロヘキサンジメタノールのような二官能ポリオールとジ
メチルカーボネートとを反応させ、次に生成したポリカ
ーボネートの末端カーボネート基に対してペンタエリス
リトールトリアリルエーテル等のアルケニル基含有モノ
アルコールを反応させることにより得られる。
【0057】(e) アルケニル基含有エポキシ樹脂 アルケニル基含有エポキシ樹脂は、前述のエポキシ基含
有アクリル系樹脂の他、例えばビスフェノールAジグリ
シジルエーテルと前述のアルケニル基含有カルボン酸類
との付加反応、エピ−ビス型エポキシ樹脂中の水酸基と
前述のアルケニルイソシアネート及び/又はアルケニル
基含有カルボン酸無水物との付加反応等により容易に製
造することができる。
【0058】これらのアルケニル基含有ポリエーテル樹
脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂及びエポキシ樹脂のヨウ素価は50〜250 であるの
が好ましく、70〜200 であるのがより好ましい。ヨウ素
価が50未満では硬化塗膜の架橋密度が低く、充分な機械
的強度が得られない。一方250 を越えると、塗膜の可撓
性が低下する。また数平均分子量は300 〜20,000である
のが好ましく、400 〜10,000であるのがより好ましい。
数平均分子量が300 未満では機械的強度が低く、一方2
0, 000 を越えると塗膜形成上の作業性が低下する。
【0059】これらのアルケニル基含有化合物の中で
は、特にアルケニル基含有ポリエーテル樹脂、アルケニ
ル基含有ポリカーボネート樹脂及びアルケニル基含有ア
クリル樹脂が好ましい。
【0060】(f) 官能基の導入 上記アルケニル基含有化合物に官能基(リン酸基及び/
又はアルコキシシリル基)を導入する場合には、アルケ
ニル基含有化合物の製造の際に、[A] [1] (A)(1) (c)
の(イ) 及び(ロ) に記載した官能基含有モノマーを配合し
て共重合すれば良い。
【0061】(3) ブレンド比 ヒドロシリル基含有化合物とアルケニル基含有化合物を
ブレンドする場合、いずれか一方又は両方に上記官能基
が含有されているか否かに係わらず、ヒドロシリル基/
アルケニル基の比(アルケニル基含有化合物中のアルケ
ニル基1個に対するヒドロシリル基含有化合物の珪素原
子に結合した水素原子(ヒドロシリル基に相当)の数)
が0.3 〜4となるように設定するのが好ましく、0.5 〜
3とするのがより好ましい。珪素原子に結合した水素原
子がこの範囲外であると、残存するアルケニル基や水素
原子が水分や汚染物質等と反応したり、紫外線によって
塗膜が劣化したり、又は塗料の貯蔵安定性が低下するお
それがある。このようにヒドロシリル基含有化合物とア
ルケニル基含有化合物との配合割合を調節することによ
り、耐候性、光沢性及び可撓性に優れた硬化塗膜を得る
ことができる。
【0062】(B) ヒドロシリル基とアルケニル基を併有
する化合物の場合 一分子中に複数のヒドロシリル基と複数のアルケニル基
とを併有する化合物は、分子内ヒドロシリル化反応によ
って自己架橋し得るので、自己架橋型樹脂と言うことが
できる。自己架橋型樹脂は上述のハイドロジェンポリシ
ロキサンマクロモノマーと、アルケニル基含有アクリル
系モノマーと、必要に応じて他のエチレン性不飽和モノ
マーとを共重合することによって製造することができ
る。
【0063】(1) アルケニ3基含有アクリル系モノマー アルケニル基含有アクリル系モノマーは[A] [1] (A)
(2) (b) で記載したアルケニル基含有アクリルモノマー
を使用することができるが、その他に、式(16):
【化18】 (但し、pは1〜10の整数である。)で表される末端ビ
ニルポリジメチルシロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト等のシリコーン系モノマーも使用することができる。
【0064】(2) その他のモノマー 必要に応じて用いるその他の共重合用モノマーとして
は、[A] [1] (A) (1) (d) の「その他のモノマー」の欄
で記載したエチレン性不飽和モノマーが挙げられるが、
その他に、式(17):
【化19】 (但し、R6 は水素原子又はメチル基であり、qは0〜
10の整数である。)で表されるフッ素系(メタ)アクリ
ル系モノマーも使用することができる。
【0065】(3) 各モノマーの添加量 自己架橋型樹脂において、ハイドロジェンポリシロキサ
ンマクロモノマーの添加量は1〜99重量部が好ましく、
40〜60重量部がより好ましい。アルケニル基含有アクリ
ル系モノマーの添加量は1〜99重量部が好ましく、40〜
60重量部がより好ましい。エチレン性不飽和モノマーの
添加量は0〜80重量部が好ましく、20〜40重量部がより
好ましい。また自己架橋型樹脂の数平均分子量は500 〜
100,000が好ましく、1,000 〜20,000がより好ましい。
【0066】(4) 製造方法 自己架橋型樹脂は、溶液中で通常のラジカル重合を行う
ことにより製造することができる。また(メタ)アクリ
ル酸アリル、メタクリル酸3-ブテニル等の末端に二重結
合を有する(メタ)アクリル酸アルケニルエステルを用
いる場合には、アニオン重合又は連鎖移動剤を用いるラ
ジカル重合によって共重合することもできる。またアル
ケニル基含有アクリル系モノマーを用いる代わりにアク
リル酸又はメタクリル酸を他のモノマー成分と共重合し
た後、アルケニル基含有アルコール(例えばアリルアル
コール、2-ブテノール等)でエステル化してもよい。さ
らにメタクリル酸グリシジルを他のモノマー成分と共重
合した後、得られた共重合体のグリシジル基にアクリル
酸又はメタクリル酸を開環付加反応させてもよいし、メ
タクリル酸2-イソシアネートエチル、メタクリロイルイ
ソシアネート、m-イソプロペニル−α,α−ジメチル
ベンジルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノ
マーを他のモノマー成分と共重合した後、上述のアルケ
ニル基合有アルコールを付加反応させてもよい。
【0067】(5) 官能基の導入 自己架橋型樹脂に官能基(リン酸基及び/又はアルコキ
シシリル基)を導入する場合には、自己架橋型樹脂を製
造する際に、[A] [1] (A) (1) (c) の(イ) 及び(ロ) に記
載した官能基含有モノマーを配合して共重合すれば良
い。
【0068】(C) 第一のトップコート組成物中の官能基
の割合 第一のトップコート組成物中に存在すべき官能基(リン
酸基及び/又はアルコキシシリル基)の割合は、樹脂固
形分基準で0.001 〜5mol/kgであるのが好ましい。官能
基が0.001mol/kg 未満であると密着性が低く、また5mo
l/kgを越えても、それに見合う改善効果が見られない。
より好ましい官能基の割合は0.01〜3mol/kgである。特
にリン酸基を導入する場合、リン酸又はリン酸エステル
モノマーの配合量は0.05〜30重量部(塗料組成物中の樹
脂固形分基準)が好ましく、1〜20重量%がより好まし
い。リン酸又はリン酸エステルモノマーの添加量が上記
範囲未満では下地密着性が低く、一方上記範囲を越えて
もそれに見合う改善効果が見られない。
【0069】(D) ヒドロシリル化触媒 ヒドロシリル基含有化合物とアルケニル基含有化合物と
のブレンド又は自己架橋型樹脂における炭素−炭素二重
結合へのヒドロシリル化反応に用いるヒドロシリル化触
媒としては、VIII族遷移金属又はその化合物、例えば白
金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の化合物、特
に錯体を用いることができ、具体的にはPtCl4 、H
2 PtCl6 ・6H2 O、Pt−ビニルシロキサン錯体
(例えば、Ptr (ViMe2 SiOSiMe2 Vi)
s 等)、Pt−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh
3 4 等)、Pt−オレフィン錯体(例えば、PtCl
2(cod)2 、Pt(acac)2 、trans−又
はcis−〔PtCl2 (NH2 Pr)2 〕等)、Pd
Cl2 (PPh3 2 、PdCl2 (PhCN)2、R
hCl2 (PPh3 3 、〔RhCl(cod)〕2
Ru(cpd)2 (但し、Meはメチル基であり、Vi
はビニル基であり、Phはフェニル基であり、Prはプ
ロピル基であり、codはシクロオクタジエンであり、
acacはアセチルアセトナートであり、cpdはシク
ロペンタジエンであり、r及びsは整数である。)等が
挙げられる。
【0070】その他、ルテニウムカルボニル金属クラス
ター錯体や、特表平6-503591号に記載されている(シク
ロペンタジエニル)トリ−(脂肪族基)白金錯体、同6-
503592号に記載されている(ジオレフィン)(アリー
ル)白金錯体等も使用することができる。これらの中で
は、白金触媒が一般的である。これらの触媒は必要に応
じてアルコール類、芳香族又は脂肪族の炭化水素類、ケ
トン類、塩基性溶媒等の溶媒で希釈して用いることがで
きる。
【0071】ヒドロシリル化触媒の使用量は、塗料組成
物の樹脂固形分100 重量部当たり5〜10,000ppmが好
ましく、特に20〜1,000 ppmが好ましい。触媒の使用
量が5ppm未満では硬化性に乏しい。一方10,000pp
mを越えると、触媒の色で硬化塗膜が着色するおそれが
あることに加えて、VIII族遷移金属は高価であるので製
造コストが高くなる。
【0072】反応性を制御する目的で、アセチレン化合
物等の触媒に配位して硬化を遅らせる物質(遅効剤)を
適宜添加しても良い。このような遅効剤として、例えば
エチニルアルコール、プロパルギルアルコール、2-メチ
ル-3- ブチン-2- オール、3-トリメチルシロキシプロピ
ン、3-トリメチルシロキシ-3,3- ジメチルプロピン、ビ
ス(1,1-ジメチル-2- プロピニルオキシ)ジメチルシラ
ン、ビス(1,1-ジメチル-2- プロピニルオキシ)ジフェ
ニルシラン、ビス(1,1-ジメチル-2- プロピニルオキ
シ)フェニルメチルシラン、α,α- ジアルキルプロパ
ルギルアルコール等、もしくはそのエチレンオキサイド
付加物と、(メタ)アクリル酸とのエステルを重合した
ものを使用することができる。また特開平5-287206号に
記載されているアルキニル基含有アクリル重合体を用い
てもよい。
【0073】[2] 第二のトップコート組成物の組成 第二のトップコート組成物は、(a) ヒドロシリル基含有
化合物とアルケニル基含有化合物とのブレンド、又は自
己架橋型樹脂に、(b) ヒドロシリル化触媒とともに、
(c) リン酸、リン酸エステル、カルボキシル基含有双性
イオン型化合物、及びヒドロキシル基、カルボキシル
基、エポキシ基、アルコキシシリル基及びアミノ基から
なる群から選ばれた少なくとも一種の官能基を有する化
合物を配合したものである。(a) 及び(b) については、
種類及び添加量のいずれも[A] [1] に説明したものと同
じであるので、ここでは官能基含有化合物についてのみ
詳細に説明することにする。
【0074】(A) 官能基含有化合物 第二のトップコート組成物では、上記官能基をヒドロシ
リル基含有化合物等の中に導入する代わりに、(c) リン
酸、リン酸エステル、カルボキシル基含有双性イオン型
化合物、及びヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキ
シ基、アルコキシシリル基及びアミノ基の少なくとも一
種の官能基を有する化合物(以下「官能基含有化合物」
という。)の少なくとも1種が配合されている。
【0075】(1) リン酸及びリン酸エステル リン酸エステルは、低分子量ものでも、高分子量のもの
でもよい。低分子量のリン酸エステルは下記一般式(1
8):
【化20】 (但し、R7 は炭素数1〜18のアルキル基であり、tは
1又は2の整数である。)で表され、100 〜600 の分子
量を有する。低分子量のリン酸エステルとして、例えば
モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モ
ノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モ
ノステアリルホスフェート等のモノエステル類、ジメチ
ルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホス
フェート、ジオクチルホスフェート、ジステアリルホス
フェート等のジエステル類が挙げられる。これらは単独
で用いても、2種以上を併用してもよい。このような低
分子量のリン酸エステルは、五酸化リン(P2 5 )と
アルコール類とを反応させた後、必要に応じて加水分解
することにより得られる。
【0076】また高分子量のリン酸エステル(樹脂)と
しては、1,000 〜30,000の分子量を有し、下記一般式
(19):
【化21】 (但し、R8 は炭素数1〜18のアルキル基である。)で
表されるリン酸エステル基を有する重合体や、エポキ
シ化合物とリン酸又は酸性リン酸エステルとの付加物等
が挙げられる。のリン酸エステル基含有重合体として
は、モノ〔β- ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト〕アシッドホスフェート、〔β- ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート〕アシッドホスフェート等のリン
酸基を含有するモノマーの単独重合体又は共重合体等が
挙げられる。
【0077】共重合体の場合、リン酸基含有モノマーと
共重合可能なモノマーは特に限定されないが、スチレ
ン、ビニルトルエン等の芳香族化合物、メチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)ア
クリル酸エステル、β- ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、β- ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、β- ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステル、(メタ)アク
リル酸、イタコン酸、フマル酸等のカルボン酸、モノ
(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、マレイ
ン酸ブチル等のカルボン酸エステル等が好ましい。
【0078】のエポキシ化合物とリン酸又は酸性リン
酸エステルとの付加物は、エポキシ化合物にリン酸又は
リン酸モノブチル等の酸性リン酸エステルを付加して得
られるものである。エポキシ化合物としては、プロピレ
ンオキサイドや、ビスフェノールAのジグリシジルエー
テル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)
アクリレート等のグリシジル基含有モノマーの単独重合
体又は共重合体、又はカルボキシル基含有ポリエステル
に過剰のエポキシ化合物を付加して得られるエポキシ基
含有ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0079】上述のリン酸エステルの他に、下記一般式
(20)及び(21)で表される特開平4-96978 号に記載のアミ
ド基含有のリン酸エステルも使用することができる。
【0080】
【化22】 (但し、vは0又は1であり、uは1〜4の整数であ
り、R9 はu価のアルキル基又はアリール基であり、R
10及びR15は水素原子、炭素数1〜24ののアルキル基又
はアリール基であり、R11、R12、R13及びR14は水素
原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数6〜7のア
リール基である。なお、R9 〜R15は同一であっても異
なっていてもよい。)
【0081】
【化23】 (但し、xは0又は1であり、wは1又は2であり、R
20及びR21は水素原子、炭素数1〜24ののアルキル基又
はアリール基であり、R16、R17、R18及びR19は水素
原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数6〜7のア
リール基である。なお、R16〜R21は同一であっても異
なっていてもよい。)
【0082】(2) カルボキシル基含有双性イオン型化合
物 双性イオン型化合物としては、例えば下記一般式(22)で
表される化合物(特開昭57-74371号に記載)が挙げられ
る。
【化24】 (但し、R22は水酸基を含有することもある炭素数8〜
40ののアルキル基であり、R23は水素原子又は炭素数1
〜20のアルキル基であり、及びR24は炭素数1〜6のア
ルキレン基であり、Aは−COO基又は−SO3 基であ
る。)
【0083】(3) その他の官能基含有化合物 その他の官能基含有化合物は、ヒドロキシル基、カルボ
キシル基、エポキシ基及びアルコキシシリル基及びアミ
ノ基の少なくとも1種を有する化合物であり、下記(ハ)
〜(ホ) 及び前記(ロ) の化合物を用いることができる。ま
たアルコキシシリル基含有化合物としては、シランカッ
プリング剤を用いることができる。
【0084】(ハ) ヒドロキシル基含有モノマー ヒドロキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリ
ル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロ
キシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチ
ル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルとポリ−ε
−カプロラクトンとの付加物等の水酸基含有アクリル系
モノマーが挙げられる。
【0085】(ニ) カルボキシル基含有モノマー カルボキシル基含有モノマーとしては、イタコン酸、マ
レイン酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フタル酸
等のカルボキシル基含有モノマーが挙げられる。
【0086】(ホ) エポキシ基含有モノマー エポキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸
グリシジル、(メタ)アクリル酸4-グリシドキシブチル
等のエポキシ基含有アクリル系モノマー等が挙げられ
る。
【0087】(B) 官能基含有化合物の配合量 上記官能基含有化合物の配合量は、官能基の濃度がトッ
プコート組成物の樹脂固形分100 重量部に対して0.01
〜100 重量部となるように設定するのが好ましく、0.1
〜50重量部とするのがより好ましい。官能基含有化合物
の添加量が上記範囲未満では下地密着性が低く、一方上
記範囲を越えてもそれに見合う改善効果が見られない。
特にリン酸又はリン酸エステルモノマーを用いる場合に
は、塗料組成物中の樹脂固形分100 重量部に対して、0.
05〜30重量部が好ましく、0.05〜10重量部がより好まし
い。またリン酸基含有樹脂を用いる場合には、塗料組成
物中の樹脂固形分100 重量部に対して、0.05〜100 重量
部が好ましく、0.05〜50重量部がより好ましい。リン酸
及びリン酸エステル(モノマー又は樹脂)の添加量が上
記範囲未満では下地密着性が低く、一方上記範囲を越え
てもそれに見合う改善効果が見られない。
【0088】[3] その他の成分 トップコート組成物には、上記成分の他に、例えば有機
モンモリロナイト、ポリアミド、ポリエチレンワックス
のような粘度改質剤、シリコーンや有機高分子等の表面
調整剤、紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール、ヒンダ
ードアミン等の酸化防止剤及び光安定剤等の慣用の添加
剤を配合することができる。
【0089】[4] トップコート組成物の物性 トップコート組成物の粘度は、30〜1,000 センチポイズ
(20℃)であり、硬化塗膜の動的ガラス転移温度Tgは
40℃以上であるのが好ましい。また熱重量測定において
は、500 ℃での残重量が20重量%以上であるのが好まし
い。さらに80°以上の水接触角を有するのが好ましい。
【0090】トップコート組成物から得られる塗膜は、
耐候性、耐溶剤性、耐薬品性、耐衝撃性、耐擦傷性等の
トップコートに要求される優れた保護性能を発揮すると
ともに、ベースコート等の下地との密着性が良好であ
る。また透明性、光沢等の仕上げ外観にも優れている。
さらにフッ素樹脂を含有する公知の撥水性トップコート
に匹敵する高い撥水性を有するため、よごれが付着し難
く、付着しても洗浄除去が容易である。またトップコー
ト組成物は、不揮発物60重量%以上の超ハイソリッド型
に調製することができるため、大気中への有機溶剤の放
出を大幅に減らすことができる。
【0091】上述のように本発明のトップコート組成物
はオーバーコート組成物としても用いることができ、同
様に耐候性、耐溶剤性、耐薬品性、耐衝撃性、耐擦傷
性、透明性、光沢性及び撥水性に優れた硬化塗膜が得ら
れる。従って、本明細書における塗料組成物の説明はそ
のままオーバーコート組成物にも適用される。
【0092】[5] トップコート組成物の組成例 上記トップコート組成物中の樹脂成分について、具体的
な組成は以下の通りとなる。なお説明の簡略化のため
に、官能基としてリン酸基の場合だけ例示するが、その
他の官能基についても同様である。 (1) ヒドロシリル基含有化合物+アルケニル基含有化合
物(両化合物の少なくとも一部がリン酸基を含有)。 (2) 少なくとも一部にリン酸基を含有する自己架橋型樹
脂。 (3) ヒドロシリル基含有化合物+アルケニル基含有化合
物(両化合物の少なくとも一部がリン酸基を含有)+自
己架橋型樹脂(リン酸基を含有してもしなくてもよ
い)。 (4) ヒドロシリル基含有化合物(リン酸基を含有しても
しなくてもよい)+アルケニル基含有化合物(リン酸基
を含有してもしなくてもよい)+リン酸基含有自己架橋
型樹脂。 (5) ヒドロシリル基含有化合物(リン酸基を含有しても
しなくてもよい)+アルケニル基含有化合物(リン酸基
を含有してもしなくてもよい)+リン酸基含有化合物。 (6) 自己架橋型樹脂(リン酸基を含有してもしなくても
よい)+リン酸基含有化合物。 (7) ヒドロシリル基含有化合物(リン酸基を含有しても
しなくてもよい)+アルケニル基含有化合物(リン酸基
を含有してもしなくてもよい)+自己架橋型樹脂(リン
酸基を含有してもしなくてもよい)+リン酸基含有化合
物。
【0093】[B] 塗膜の形成方法 本発明の塗料組成物は、金属、プラスチック、電着塗膜
及び中塗り塗膜等の被塗物上に従来の塗装方法で塗布す
ることができる。またこのような被塗物上にベースコー
ト組成物を塗布し、そのベースコート上に本発明の塗料
組成物を塗布することにより、ベースコート及びトップ
コート(又は+オーバーコート)よりなる複層塗膜を形
成することもできる。
【0094】[1] ベースコート組成物 ベースコート組成物は、特に限定されないが、架橋剤、
官能性樹脂、溶剤、並びに必要に応じて添加する顔料そ
の他の添加物からなる。
【0095】(A) 架橋剤 ベースコート組成物の架橋剤は、後述するトップコート
組成物の硬化反応に利用されるヒドロシリル化反応を阻
害しないものであれば良い。このような架橋剤として
は、アミノ樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物、
エポキシ樹脂用硬化剤等が挙げられる。
【0096】(1) アミノ樹脂 アミノ樹脂としては、例えばメラミン、尿素、ベンゾグ
アナミン等のアミノ化合物の1種又は2種以上の混合物
をホルムアルデヒドと反応させた縮合物、及びその縮合
物にメタノール、ブタノール等の低級アルコールを反応
させたアルキルエーテル化メラミン樹脂等が挙げられ
る。このようなアルキルエーテル化メラミン樹脂の数平
均分子量は、400 〜1,200 であるのが好ましい。
【0097】特に、トリアジン環1個当たり平均で0〜
1個のイミノ基を有するアミノ樹脂が好ましく、特に平
均で0〜0.2 個のイミノ基を有するアミノ樹脂が好まし
い。イミノ基以外の部分はアルキルエーテル基等が結合
している。トリアジン環1個当たりのイミノ基の平均個
数が1を越えると、トップコート組成物のヒドロシリル
化反応を阻害し、塗膜硬度が低下する。なお、このトリ
アジン環1個当たりのイミノ基の平均個数は、元素分析
により求めた炭素、水素及び窒素の重量比と、1H−N
MRから求められるNH/−NCH2 ORのモル比とか
ら算出する。
【0098】(2) ブロックポリイソシアネート化合物 ブロックポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメ
チレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族多官能
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPD
I)等の脂環族多官能イソシアネート、及びジフェニル
メタン-4,4'-ジイソシアネート(MDI)や水添MDI
等のポリイソシアネート化合物の官能基を部分的又は完
全にブロックしたものが挙げられる。
【0099】(3) エポキシ樹脂用硬化剤 エポキシ樹脂用硬化剤としては、 ジエチレントリアミ
ン、 トリエチレンテトラアミン、 エチルアミノプロピル
アミン等の鎖状脂肪族ポリアミン、 環状脂肪族ポリアミ
ン、 脂肪族ポリアミンアダクト、 ケイミン、 変性脂肪族
ポリアミン、 ポリアミドアミン、 芳香族アミン、 芳香族
変性アミン、 ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリ
アミン、芳香族変性ポリアミン、 第三級アミン系硬化
剤、メルカプタン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、エチレ
ン−無水マレイン酸共重合体等の酸無水物基を有する共
重合体、フェノール樹脂初期縮合物等のフェノール性水
酸基を有する化合物、ジシアンジアミド、三弗化珪素−
アミン錯化合物等の三弗化珪素系複合物等が挙げられ
る。これらの硬化剤の中では、ジシアンジアミド、ジア
ミノジフェニルメタン、三弗化珪素ーアミン錯化合物が
好ましい。
【0100】(B) 官能性樹脂 ベースコート組成物に用いる官能性樹脂は、官能性基と
して上述の架橋剤との反応部位となる水酸基を一分子中
に少なくとも2個含有する樹脂であり、例えば水酸基含
有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂、エポキ
シ樹脂、水酸基含有フッ素樹脂、水酸基含有アミド樹脂
等が挙げられる。これらの中では、水酸基含有アクリル
樹脂、エポキシ樹脂及び水酸基含有ポリエステル樹脂が
好ましい。このような官能性樹脂は、水性及び溶剤型の
いずれでも使用することができる。
【0101】(1) 水酸基含有アクリル樹脂 水酸基含有アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸ヒド
ロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、N- メチロール
アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エス
テル系モノマー、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシル基
を有するエチレン性不飽和モノマー、及び(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-
エチルヘキシル、アクリル酸n- オクチル、アクリル酸
n- ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
等の少なくとも1種(但し、用いるモノマーのうち少な
くとも1種は水酸基を含有するものでなければならな
い。)を通常の方法により重合することにより得ること
ができる。
【0102】さらに上述のモノマーに、共重合可能な
(メタ)アクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリ
ル酸アミド、ジメチルアクリルアミド、N,N- ジメチ
ルプロピルアクリルアミド、N- ブトキシメチルアクリ
ルアミド、N- メチロール(メタ)アクリルアミド、ジ
アセトンアクリルアミド等を配合することができる。
【0103】水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量は
1,800 〜100,000 とするのが好ましい。数平均分子量が
1,800 未満では塗膜中の架橋が十分でないため、耐酸性
及び耐擦傷性が低く、一方100,000 を越えると塗料の粘
度が高くなり、平滑性等に優れた塗膜外観が得られな
い。
【0104】水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は20〜
200 であるのが好ましい。水酸基価が20未満では塗膜の
密着性及び塗料の硬化性が低く、一方200 を越えると残
存する水酸基によって耐水性及び耐酸性が低下する。ま
た水酸基含有アクリル樹脂の酸価は5〜150 であるのが
好ましい。酸価が5未満では塗膜が十分に硬化せず、ま
た150 を越えると塗料の貯蔵安定性が低下するととも
に、硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が悪くなる。
【0105】水酸基含有アクリル樹脂を水性とする場合
には、揮発性塩基で部分的又は完全に中和する。揮発性
塩基としてはアンモニアもしくはアミンが好ましい。特
に好ましいアミンとしては、モノプロピルアミン、モノ
ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリ
エチアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミ
ン、エチルモノエタノールアミン、ジメチルアミノエタ
ノール、2-アミノ-2- メチル-1- プロパノール、シクロ
ヘキシルアミン、モルホリン、ピペリジン等の第1級、
第2級及び第3級アミンが挙げられる。
【0106】(2) 水酸基含有ポリエステル樹脂 水酸基含有ポリエステル樹脂は多価アルコールと多塩基
酸又はその無水物とを重縮合(エステル化)して得られ
る。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサ
ンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコ
ール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリ
ット等が挙げられる。また多塩基酸又はその無水物とし
ては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキ
サヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、無水メリトット酸等が挙げられる。
【0107】水酸基含有ポリエステル樹脂の数平均分子
量は200 〜10,000であるのが好ましい。数平均分子量が
200 未満では塗膜中の架橋が十分でないため、耐酸性及
び耐擦傷性が低く、一方10,000を越えると塗料の粘度が
高くなり、平滑性等に優れた塗膜外観が得られない。よ
り好ましい範囲は数平均分子量は300 〜6,000 である。
【0108】水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基価は
50〜350 であるのが好ましい。水酸基価が50未満では塗
膜の密着性及び塗料の硬化性が低く、一方350 を越える
と残存する水酸基によって耐水性及び耐酸性が低下す
る。より好ましい水酸基価は70〜280 である。また水酸
基含有ポリエステル樹脂の酸価は3〜100 であるのが好
ましい。酸価が3未満では塗膜が十分に硬化せず、また
100 を越えると塗料の貯蔵安定性が低下するとともに、
硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が悪くなる。より
好ましい酸価は5〜50である。
【0109】なお、水酸基含有ポリエステル樹脂を水性
とする場合には、水酸基含有ポリエステル樹脂を上述の
揮発性塩基で部分的又は完全に中和すればよい。
【0110】(3) エポキシ樹脂 エポキシ樹脂としては、各種のビスフェノール型エポキ
シ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂の数平均分子量は
300 〜5,000 であるのが好ましい。数平均分子量が300
未満では塗膜中の架橋が十分でないため、耐酸性及び耐
擦傷性が低く、一方5,000 を越えると塗料の粘度が高く
なり、平滑性等に優れた塗膜外観が得られない。
【0111】エポキシ樹脂のエポキシ当量は200 〜2,00
0 であるのが好ましい。エポキシ当量が200 未満では耐
薬品性及び塗料の硬化性が低く、一方2,000 を越えると
耐水性が低下する。
【0112】なお、エポキシ樹脂を水性とする場合に
は、エポキシ樹脂を上述の揮発性塩基で部分的又は完全
に中和すればよい。
【0113】(4) 架橋剤と官能性樹脂の配合割合 樹脂固形分換算で架橋剤が10〜50重量%となるように、
(官能性樹脂が90〜50重量%となるように、) 架橋剤と
官能性樹脂とを配合する。架橋剤が10重量%未満では
(官能性樹脂が90重量%を越える場合には)、塗膜中の
架橋が十分でないため、耐酸性及び耐擦傷性が低い。一
方架橋剤が50重量%を越えると(官能性樹脂が50重量%
未満では)、塗料の貯蔵安定性が低下するとともに、硬
化速度が大きくなるため、塗膜外観が悪くなる。
【0114】(C) 溶剤 ベースコート組成物を溶剤型塗料として用いる場合に
は、ソルベッソ100 、ソルベッソ150 等の脂肪族炭化水
素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、アセトン、イソホロン等のケ
トン類の溶剤を単独で又は混合して用いることができ
る。また水溶性又は水分散型の水性塗料として用いる場
合には、酢酸カービトル、ブチルカービトル等のエーテ
ル類、メタノール、ブタノール、イソプロパノール、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチ
ルエーテルアセテート等のアルコール類等の親水性有機
溶剤を水と併用することができる。
【0115】(D) 顔料 顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、鉛
白、黒鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化クロム、クロム酸
亜鉛、クロム酸ストロンチウム、クロム酸バリウム、黄
色ニッケルチタン、黄色クロムチタン、酸化鉄、黄色酸
化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、フタロシアニンブル
ー、フタロシアニングリーン、ウルトラマリンブルー、
キナクリドン類、インダンスロン、イソインドリノン、
ペリレン、アンスラピリミジン、ベンズイミダゾロン、
硫化カドミウム、ジケトピロロピロール等の着色顔料、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケ
イ酸、ケイ酸塩、酸化アルミニウム水和物、硫酸カルシ
ウム等の体質顔料、及び各種金属箔、チタンマイカ、硫
化コバルト、硫化マンガン、硫化チタン、箔状フタロシ
アニンブルー等のメタリックもしくは光輝性顔料があ
る。ベースコート組成物は、顔料のタイプによりメタリ
ック及びソリッドタイプに大別される。顔料/樹脂固形
分の重量比は、0.01/1〜1/1であるのが好ましい。
【0116】(E) その他の添加物 ベースコート組成物には、必要に応じて酸触媒、ベンゾ
フェノール系の紫外線吸収剤、フェノール系及びスルフ
ァイド系の酸化防止剤、シリコーンや有機高分子等の表
面調整剤、タレ止め剤、増粘剤等を0.1 〜5重量%程度
添加することができる。
【0117】[2] 複層塗膜形成方法 ベースコート及びトップコート(又はトップコート+オ
ーバーコート)よりなる複層塗膜を形成する塗装方法は
従来法と同じでよい。例えば自動車ボディの場合を例に
とると、化成処理した鋼板に電着塗料を電着塗装し、必
要に応じてその上に中塗り塗料を塗装したものを被塗物
とする。被塗物にベースコート組成物を塗布し、セッテ
ィングした後にウェット−オン−ウェット方式でトップ
コート組成物の塗装を行うのが好ましい。またトップコ
ート組成物の塗装の後で、好ましくは透明なオーバーコ
ート組成物を塗装することもできる。ベースコート、ト
ップコート(及びオーバーコート)の焼付けは同時に行
っても良いし、また順次行っても良い。すなわち、3コ
ート1ベーク、2コート1ベーク、3コート3ベーク、
2コート2ベーク方式等で複層塗膜を形成することがで
きる。なお、ベースコートに水性塗料を用いて2コート
1ベーク方式で塗膜形成を行う場合には、ベースコート
組成物の塗布後セッティングする代わりに、100 ℃以下
(例えば80℃)で10分間程度プレヒートするのが好ま
しい。
【0118】塗装方法は、特に限定されないが、エアー
スプレー塗装、静電塗装等が好ましい。またベースコー
トの乾燥膜厚は10〜30μmが好ましく、トップコートの
乾燥膜厚は20〜50μmが好ましく、オーバーコートの乾
燥膜厚は20〜50μmが好ましい。焼付け温度は120 〜16
0 ℃が好ましく、焼付け時間は20〜40分が好ましい。
【0119】また2コート2ベーク方式で塗膜形成を行
う場合には、トップコート組成物として紫外線等の高エ
ネルギー線硬化型や常温硬化型塗料を使用することがで
きる。その場合にも組成物へ光増感剤を添加したり、触
媒に配位早期反応を抑制する遅効剤添加を省略する等の
修飾が必要である。
【0120】
【実施例】本発明を以下の実施例及び比較例により詳細
に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではな
い。
【0121】製造例1 リン酸基及びアルケニル基含有アクリル樹脂(A−1)
の合成 撹拌機、温度計、還流冷却機、窒素ガス導入管及び滴下
ロートを具備した反応容器にキシレン150 重量部を仕込
み、窒素ガスを導入しながら130 ℃に昇温した後、下記
混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。
【0122】 3-メチル-3- ブテニルメタクリレート 50重量部 シクロヘキセニルメチルメタクリレート 35重量部 2,4-ジフェニル-4- メチル-1- ペンテン 10重量部 2,2'- アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部 アシッドホスホキシプロピルメタクリレート 5重量部
【0123】滴下終了後130 ℃で1時間熟成した後、キ
シレン10重量部と2,2'- アゾビス(メチルイソブチレー
ト)0.5 重量部を30分かけて滴下し、130 ℃で2時間熟
成した後50℃まで冷却した。その後50℃、10mmHgで
溶剤を除去して、不揮発分95.2%のリン酸基及びアルケ
ニル基を含有するアクリル樹脂(A−1)を得た。
【0124】製造例2 リン酸基及びヒドロシリル基含有アクリル樹脂(A−
2)の合成 製造例1と同様の反応容器に、ソルベッソ100 (エクソ
ン社製)90重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら13
0 ℃に昇温した後、下記構造式(23)のハイドロジェンポ
リシロキサンマクロモノマーA98重量部と、アシッドホ
スホキシプロピルメタクリレート2重量部と、2,2'- ア
ゾビス(メチルイソブチレート)10重量部との混合液を
滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。次いで、製
造例1と同様に熟成及び溶剤の除去を行い、不揮発分8
5.3%のリン酸基/ヒドロシリル基含有アクリル樹脂
(A−2)を得た。構造式(23):
【化25】
【0125】製造例3 リン酸基、アルケニル基及びヒドロシリル基含有アクリ
ル樹脂(A−3)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕込
み、窒素ガスを導入しながら120 ℃に昇温した後、下記
混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。
【0126】 ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノマーB(1) 43重量部 3-メチル-3- ブテニルメタクリレート 48重量部 2-エチルヘキシルメタクリレート 6重量部 2,2'- アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部 アシッドホスホキシエチルメタクリレート 3重量部 注(1) 構造式(24):
【化26】
【0127】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分86.3%のリン酸基、アルケニ
ル基及びヒドロシリル基を含有するアクリル樹脂(A−
3)を得た。
【0128】製造例4 アルケニル基含有アクリル樹脂(A−4)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン150 重量部を仕
込み、窒素ガスを導入しながら130 ℃に昇温した後、下
記混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。
【0129】 3-メチル-3- ブテニルメタクリレート 50重量部 シクロヘキセニルメチルメタクリレート 40重量部 2,4-ジフェニル-4- メチル-1- ペンテン 10重量部 2,2'- アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0130】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分95.2%のアルケニル基含有ア
クリル樹脂(A−4)を得た。
【0131】製造例5 ヒドロシリル基含有アクリル樹脂(A−5)の合成 製造例1と同様の反応容器に、ソルベッソ100 (エクソ
ン社製)90重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら13
0 ℃に昇温した後、製造例2で用いたのと同じハイドロ
ジェンポリシロキサンマクロモノマーA100 重量部と、
2,2'- アゾビス(メチルイソブチレート)10重量部との
混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。次
いで、製造例1と同様に熟成及び溶剤の除去を行い、不
揮発分85.3%のヒドロキシル基含有アクリル樹脂(A−
5)を得た。
【0132】製造例6 アルケニル基及びヒドロシリル基含有アクリル樹脂(A
−6)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕込
み、窒素ガスを導入しながら120 ℃に昇温した後、下記
混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。
【0133】 ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノマーB(1) 43重量部 3-メチル-3- ブテニルメタクリレート 48重量部 2-エチルヘキシルメタクリレート 9重量部 2,2'- アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部 注(1) 構造式(24)を有する。
【0134】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分86.3%のアルケニル基及びヒ
ドロシリル基を含有するアクリル樹脂(A−6)を得
た。
【0135】製造例7 リン酸基及びヒドロキシル基を含有するアクリル樹脂
(A−7)の合成 製造例1と同様の反応容器に、イソプロパノール50重量
部及びエトキシプロパノール50重量部を仕込み、窒素ガ
スを導入しながら120 ℃に昇温した後、下記混合液を滴
下ロートから3時間かけて等速滴下した。
【0136】 β−アシッドホスホキシエチルメタクリレート 10重量部 β−ヒドロキシエチルメタクリレート 10重量部 スチレン 10重量部 n−ブチルメタクリレート 18重量部 n−ブチルアクリレート 50重量部 メタクリル酸 2重量部 2,2'- アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0137】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分50.0%のリン酸基及びヒドロ
キシル基を含有するアクリル樹脂(A−7)を得た。
【0138】製造例8 アルケニル基及びカルボキシル基を含有するアクリル樹
脂(A−8)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕込
み、窒素ガスを導入しながら130 ℃に昇温した後、下記
混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。
【0139】 3-メチル-3- ブテニルメタクリレート 50重量部 シクロヘキシルメタクリレート 35重量部 メタクリル酸 5重量部 2,4-ジフェニル-4- メチル-1- ペンテン 10重量部 2,2'- アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0140】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分88.1%のアルケニル基及びカ
ルボキシル基を含有するアクリル樹脂(A−8)を得
た。
【0141】製造例9 アルケニル基、エポキシ基及びアルコキシシリル基を含
有するアクリル樹脂(A−9)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕込
み、窒素ガスを導入しながら130 ℃に昇温した後、下記
混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。
【0142】 3-メチル-3- ブテニルメタクリレート 50重量部 シクロヘキシルメタクリレート 20重量部 グリシジルメタクリレート 10重量部 γ- メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 10重量部 2,4-ジフェニル-4- メチル-1- ペンテン 10重量部 2,2'- アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0143】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分92.8%のアルケニル基及びカ
ルボキシル基を含有するアクリル樹脂(A−9)を得
た。
【0144】製造例10 ヒドロキシル基及びカルボキシル基を含有するアクリル
樹脂(A−10)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕込
み、窒素ガスを導入しながら130 ℃に昇温した後、下記
混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。
【0145】 2-ヒドロキシプロピルメタクリレート 20重量部 メタクリル酸 5重量部 n−ブチルメタクリレート 50重量部 2-エチルヘキシルメタクリレート 15重量部 2,4-ジフェニル-4- メチル-1- ペンテン 10重量部 2,2'- アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0146】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分83.6%のヒドロキシル基及び
カルボキシル基を含有するアクリル樹脂(A−10)を得
た。
【0147】製造例11 ヒドロキシル基、エポキシ基及びアルコキシシリル基を
含有するアクリル樹脂(A−11)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕込
み、窒素ガスを導入しながら130 ℃に昇温した後、下記
混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。
【0148】 グリシジルメタクリレート 20重量部 2-ヒドロキシプロピルメタクリレート 10重量部 γ- メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 20重量部 2,4-ジフェニル-4- メチル-1- ペンテン 10重量部 n−ブチルメタクリレート 20重量部 2-エチルヘキシルメタクリレート 20重量部 2,2'- アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0149】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分85.2%のヒドロキシル基、エ
ポキシ基及びアルコキシシリル基を含有するアクリル樹
脂(A−11)を得た。
【0150】実施例1 リン酸亜鉛で化成処理した厚さ0.8 mmのダル鋼板にカ
チオン電着塗料(パワートップPU−50、日本ペイント
(株)製)を乾燥膜厚が約25μmとなるように電着塗装
し、その上に中塗り塗料(オルガP−2シーラー、日本
ペイント(株)製)を乾燥膜厚が約40μmとなるように
エアースプレー塗装し、140 ℃で30分間焼き付けた。
【0151】下記の水性メラミン樹脂メタリックベース
塗料(B−1)をフォードカップ#4で30秒に粘度を調
整し、エアースプレーで乾燥膜厚約15μmに2ステージ
塗装し、80℃で10分間プレヒートした。
【0152】 水性メラミン樹脂ベース塗料(B−1)の配合 成分 重量部(固形分基準) アルミフレークペースト(1) 10 メチルエーテル化メラミン樹脂(2) 30 イソステアリルホスフェート 1 水性アクリル樹脂ワニス(3) 56 注(1) アルミフレーク含量=65重量%。 (2) 不揮発分=100 重量%、トリアジン環1個当たりのイミノ基含量=0.1 。 (3) 不揮発分=50重量%、下記モノマーを重合して得られる樹脂固形分50重量 %、数平均分子量12,000、水酸基価70及び酸価58のアクリルアミド含有水 性アクリル樹脂。 エチレングリコールモノブチルエーテル76重量部、スチ
レン15重量部、メタクリル酸メチル63重量部、メタクリ
ル酸2-ヒドロキシエチル48重量部、アクリル酸n−ブチ
ル117 重量部、メタクリル酸27重量部、アクリルアミド
30重量部、アゾビスイソブチロニトリル3重量部、ジメ
チルエタノールアミン28重量部、及び脱イオン水200 重
量部。
【0153】次いで下記のトップコート組成物(T−
1)をソルベッソ100 でフォードカップ#4で26秒(20
℃)に粘度を調整してウェットオンウェット方式で塗装
した(以下、同一条件で粘度調整を行った。)。次いで
140 ℃で30分間焼き付けて、乾燥膜厚40μmの試験片を
得た。
【0154】 トップコート組成物(T−1)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−1) 58 ヒドロシリル基含有化合物A(1) 43 H2 PtCl6 ・6H2 (2) 1.5 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 EAADI(3) 5 注(1) 不揮発分=94重量%、構造式(25):
【化27】 (2) 2%イソプロピルアルコール(IPA)溶液。 (3) エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート。
【0155】得られた試験片について、以下の方法によ
り耐擦傷性、耐酸性及び密着性を評価した。これらの結
果を表1に示す。
【0156】(1) 耐擦傷性:クレンザーの50%水分散液
(ニューホーミングクレンザー、花王(株)製)1gを
含浸させた2cm×2cmのネル布を学振型染色摩擦堅
牢度試験機(大栄科学精機(株)製)の振動ヘッドに装
着し、試験片に500 gの負荷で当接させながら10往復さ
せた。その後テスト部の20°グロスを測定し、グロスリ
テンションを算出し、以下の基準に従って評価した。 ○・・・グロスリテンションが85%以上であった。 △・・・グロスリテンションが70%以上85%未満であっ
た。 ×・・・グロスリテンションが70%未満であった。
【0157】(2) 耐酸性:60℃において、40%の硫酸水
溶液0.2 mlに15分間接触させた後に、塗膜表面を目視
により判定した。 ◎・・・異常がなっかった。 ○・・・わずかに痕跡がある。 △・・・痕跡が大きかった。 ×・・・異常が認められた。
【0158】(3) 密着性 23℃、湿度50%の条件下に24時間以上放置した後の塗膜
の密着性(一次密着性)をJIS D0202 4.15に準拠して、
ゴバン目試験により評価した。また40℃の温水に10日間
以上放置した後の塗膜の密着性(二次密着性)を同様に
評価した。 ○・・・100 個中、剥離した数は0個未満であった。 △・・・100 個中、剥離した数は1以上、50未満であっ
た。 ×・・・100 個中、剥離した数は50個以上であった。
【0159】実施例2 トップコート組成物(T−1)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−2)を用いた以外は実施例1と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0160】 トップコート組成物(T−2)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 アクリル樹脂(A−7) 10 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1 ベンゾフェノン系光安定剤 5
【0161】実施例3 実施例1と同様に被塗物を作製し、下記の溶剤型メタリ
ックベース塗料(B−2)をエアースプレーで乾燥膜厚
約15μmとなるように塗装し、約7分間セッティングし
た。
【0162】 溶剤型メタリックベース塗料(B−2)の配合 成分 重量部(固形分基準) アルミフレークペースト(1) 11 ブチルエーテル化メラミン樹脂(2) 14 熱硬化型アクリル樹脂ワニス(3) 67 トルエン 6 n−ブタノール 2 トリエチルアミン 1 注(1) アルミフレーク含量=65重量%。 (2) 不揮発分=60重量%、トリアジン環1個当たりのイミノ基含量=0.7 。 (3) 不揮発分=48重量%、アルマテックNT−U−448 (三井東圧化学(株) 製)。
【0163】次いでトップコート組成物(T−3)をウ
ェットオンウェット方式で塗装した。次いで140 ℃で30
分間焼き付けて、乾燥膜厚40μmの試験片を作製し、実
施例1と同様に評価した。
【0164】 トップコート組成物(T−3)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−2) 50 アルケニル基含有化合物(1) 50 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 ベンゾフェノン系光安定剤 5 注(1) 不揮発分=100 重量%、構造式(9) :
【化28】
【0165】実施例4 トップコート組成物(T−3)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−4)を用いた以外は実施例3と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0166】 トップコート組成物(T−4)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ラウリルホスフェート 2
【0167】実施例5 全面切削加工後に、切削面を半分残して金属小片(SUS
430 、0.6 mmカットワイヤー)をショットブラストした
アルミニウム合金板(AC4C(V) 、150 mm×70mm×6 mm)
をサーフクリナー53(日本ペイント(株)製)を用いて
脱脂し、クロム酸クローメト処理(アルサーフ1000、日
本ペイント(株)製)した。次いで下記のトップコート
組成物(T−5)をスプレー塗装し、140 ℃で20分間焼
き付けて、乾燥膜厚約20μmの試験片を得た。
【0168】 トップコート組成物(T−5)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−3) 95 アクリル樹脂(A−7) 5 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ヒンダードアミン系光安定剤 1 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1
【0169】実施例6 トップコート組成物(T−5)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−6)を用いた以外は実施例5と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0170】 トップコート組成物(T−6)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−1) 67 アクリル樹脂(A−2) 44 アクリル樹脂(A−7) 5 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ヒンダードアミン系光安定剤 1 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1
【0171】実施例7 実施例1と同様に、中塗塗膜まで形成した被塗物を作製
した後、下記のトップコート組成物(T−7)を塗装し
た。次いで140 ℃で30分間焼き付けて、乾燥膜厚40μm
の試験片を得た。
【0172】 トップコート組成物(T−7)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−1) 50 アクリル樹脂(A−6) 72 アクリル樹脂(A−7) 3 〔RhCl(cod)〕2 (2%IPA溶液)(1) 1 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 ベンゾフェノン系光安定剤 5 酸化チタン 15 注(1) Rh−オレフィン錯体。
【0173】実施例8 トップコート組成物(T−7)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−8)を用いた以外は実施例7と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0174】 トップコート組成物(T−8)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 アクリル樹脂(A−7) 2 〔RhCl(cod)〕2 (2%IPA溶液) 1 ラウリルホスフェート 2 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 EAADI 5 酸化チタン 15
【0175】実施例8 トップコート組成物(T−7)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−8)を用いた以外は実施例7と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0176】 トップコート組成物(T−8)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 アクリル樹脂(A−7) 2 〔RhCl(cod)〕2 (2%IPA溶液) 1 ラウリルホスフェート 2 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 EAADI 5 酸化チタン 15
【0177】実施例9 トップコート組成物(T−2)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−9)を用いた以外は実施例2と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0178】 トップコート組成物(T−9)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 アクリル樹脂(A−10) 5 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1
【0179】実施例10 トップコート組成物(T−2)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−10)を用いた以外は実施例2と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0180】 トップコート組成物(T−10)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 GPTMS(1) 5 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1 注(1) γ- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
【0181】実施例11 トップコート組成物(T−2)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−11)を用いた以外は実施例2と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0182】 トップコート組成物(T−11)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 アクリル樹脂(A−11) 10 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1
【0183】実施例12 トップコート組成物(T−2)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−12)を用いた以外は実施例2と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0184】 トップコート組成物(T−12)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 アクリル樹脂(A−10) 2.5 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 N−ステアリル−β−アラニン 1 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1
【0185】実施例13 トップコート組成物(T−2)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−13)を用いた以外は実施例2と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0186】 トップコート組成物(T−13)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 AATMS(1) 5 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1 注(1) N- β- アミノエチル- γ- アミノプロピルトリメトキシシラン。
【0187】実施例14 トップコート組成物(T−1)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−14)を用いた以外は実施例1と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0188】 トップコート組成物(T−14)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−8) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 N−ステアリル−β−アラニン 1 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1
【0189】実施例15 トップコート組成物(T−1)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−15)を用いた以外は実施例1と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0190】 トップコート組成物(T−15)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−9) 58 アクリル樹脂(A−2) 43 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1
【0191】比較例1 トップコート組成物(T−1)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−16)を用いた以外は実施例1と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0192】 トップコート組成物(T−16)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 58 アクリル樹脂(A−5) 43 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1
【0193】比較例2 トップコート組成物(T−3)の代わりに比較例1で用
いたトップコート組成物(T−16)を用いた以外は実施
例3と同様に試験片を作製し、評価した。
【0194】比較例3 トップコート組成物(T−5)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−17)を用いた以外は実施例5と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0195】 トップコート組成物(T−17)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−6) 100 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ヒンダードアミン系光安定剤 1
【0196】比較例4 トップコート組成物(T−7)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−18)を用いた以外は実施例7と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0197】 トップコート組成物(T−18)の配合 成分 重量部(固形分基準) アクリル樹脂(A−4) 50 アクリル樹脂(A−6) 75 H2 PtCl6 ・6H2 O(2%IPA溶液) 1.5 ベンゾフェノン系光安定剤 5 ヒンダードフェノール系酸化防止剤 2 酸化チタン 15 3-メチル-1- ブチン-1- オール 1
【0198】実施例1〜15及び比較例1〜4の評価結果
を下記の表1に示す。 表1 塗料の種類 塗膜の特性 例No. ベース トップ 耐擦傷性 耐酸性 1次密着 2次密着 実施例1 B−1 T−1 ○ ◎ ○ ○ 実施例2 B−1 T−2 ○ ◎ ○ ○ 実施例3 B−2 T−3 ○ ◎ ○ ○ 実施例4 B−2 T−4 ○ ◎ ○ ○ 実施例5 Al 材(1) T−5 ○ ◎ ○ ○ 実施例6 Al 材(1) T−6 ○ ◎ ○ ○ 実施例7 ─ T−7 ○ ◎ ○ ○ 実施例8 ─ T−8 ○ ◎ ○ ○ 実施例9 B−1 T−9 ○ ◎ ○ ○ 実施例10 B−1 T−10 ○ ◎ ○ ○ 実施例11 B−1 T−11 ○ ◎ ○ ○ 実施例12 B−1 T−12 ○ ◎ ○ ○ 実施例13 B−1 T−13 ○ ◎ ○ ○ 実施例14 B−1 T−14 ○ ◎ ○ ○ 実施例15 B−1 T−15 ○ ◎ ○ ○ 比較例1 B−1 T−16 ○ ◎ ○ × 比較例2 B−2 T−16 ○ ◎ × × 比較例3 Al 材(1) T−17 ○ ◎ × × 比較例4 ─ T−18 ○ ◎ △ × 注(1) クロム酸クローメト処理。
【0199】表1から明らかなように、実施例1〜15の
塗膜は、耐擦傷性、耐酸性及び密着性に優れている。一
方比較例1〜4の塗膜は密着性が劣っている。
【0200】本発明の好ましい実施態様として、以下の
ものが挙げられる。 (1) 複数のアルケニル基を有する化合物が、アルケニル
基含有ポリエーテル樹脂、アルケニル基含有アクリル樹
脂、アルケニル基含有ポリエステル樹脂、アルケニル基
含有ポリカーボネート樹脂、又はアルケニル基含有エポ
キシ樹脂であることを特徴とする塗料組成物。 (2) 複数のアルケニル基を有する化合物がアルケニル基
含有アクリル樹脂であることを特徴とする塗料組成物。 (3) リン酸基含有化合物が、リン酸モノエステル又はジ
エステルのモノマーであることを特徴とする塗料組成
物。 (4) リン酸モノエステル又はジエステルのモノマーが、
1,000 〜30,000の分子量を有するリン酸エステル基含有
重合体、又はエポキシ化合物とリン酸又は酸性リン酸エ
ステルとの付加物であることを特徴とする塗料組成物。 (5) リン酸エステルモノマーの配合量が0.05〜30重量部
(樹脂固形分基準)であることを特徴とする塗料組成
物。 (6) リン酸及び/又はリン酸エステルモノマーが、下記
一般式(18)、(20)及び(21):
【化29】 (但し、R7 は炭素数1〜18のアルキル基であり、tは
1又は2の整数である。)、
【化30】 (但し、vは0又は1であり、uは1〜4の整数であ
り、R9 はu価のアルキル基又はアリール基であり、R
10及びR15は水素原子、炭素数1〜24ののアルキル基又
はアリール基であり、R11、R12、R13及びR14は水素
原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数6〜7のア
リール基である。なお、R9 〜R15は同一であっても異
なっていてもよい。)、及び
【化31】 (但し、xは0又は1であり、wは1又は2であり、R
20及びR21は水素原子、炭素数1〜24ののアルキル基又
はアリール基であり、R16、R17、R18及びR19は水素
原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数6〜7のア
リール基である。なお、R16〜R21は同一であっても異
なっていてもよい。)により表されるものの少なくとも
一種であることを特徴とする塗料組成物。 (7) リン酸及び/又はリン酸エステルモノマーが、下記
一般式(18):
【化32】 (但し、R7 は炭素数1〜18のアルキル基であり、tは
1又は2の整数である。)により表されることを特徴と
する塗料組成物。 (8) リン酸基含有樹脂が、アルケニル基及びヒドロシ
リル基を含有しないリン酸基含有樹脂、分子内に複数
のヒドロシリル基、リン酸基及びアルケニル基を有する
樹脂、分子内にリン酸基及び複数のアルケニル基を有
する樹脂、分子内に複数のヒドロシリル基及びリン酸
基を有する樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種
(但し請求項1の(a) の組み合わせを除く)であること
を特徴とする塗料組成物。 (9) リン酸及び/又はリン酸エステルモノマーを、塗料
組成物中の樹脂固形分100 重量部に対して、0.05〜30重
量部配合することを特徴とする塗料組成物。 (10)リン酸及び/又はリン酸エステルモノマーを、塗料
組成物中の樹脂固形分100 重量部に対して、0.05〜10重
量部配合することを特徴とする塗料組成物。 (11)リン酸基含有樹脂を、塗料組成物中の樹脂固形分10
0 重量部に対して、0.05〜100 重量部配合することを特
徴とする塗料組成物。 (12)リン酸基含有樹脂を、塗料組成物中の樹脂固形分10
0 重量部に対して、0.05〜50重量部配合することを特徴
とする塗料組成物。 (13)ヒドロシリル化触媒が白金、パラジウム、ロジウム
又はルテニウムの化合物であることを特徴とする塗料組
成物。 (14)ヒドロシリル化触媒が白金化合物であることを特徴
とする塗料組成物。 (15)白金化合物からなるヒドロシリル化触媒の添加量が
5〜10,000ppmであることを特徴とする塗料組成物。 (16)ヒドロシリル基/アルケニル基の比が0.3 〜4であ
ることを特徴とする塗料組成物。
【0201】
【発明の効果】ヒドロシリル基含有化合物とアルケニル
基含有化合物とのブレンド、又はヒドロシリル基とアル
ケニル基の両方を含有する自己架橋型樹脂を含有するト
ップコート組成物中に、少なくとも部分的にリン酸基、
ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基及びアル
コキシシリル基からなる群から選ばれた少なくとも1種
の官能基を存在させることにより、優れた硬化性、耐酸
性、耐擦傷性等を保持したまま、下地密着性を改善する
ことができる。またこのような官能基が存在するトップ
コート組成物からなる塗膜は再塗装性(リコート性)に
優れている。
【手続補正書】
【提出日】平成8年6月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 塗料組成物及び塗膜の形成方法
【特許請求の範囲】
【化1】(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フ
ェニル基又はフェネチル基であり、Rは水素原子、炭
素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はフェネチル基
であり、aは2〜200の数である。)で表される構造
単位を有し、かつ一分子中に少なくとも2つのヒドロシ
リル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン、及び/又は(ii)一般式:
【化2】(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フ
ェニル基又はフェネチル基であり、Rは水素原子、炭
素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はフェネチル基
であり、bは1〜30の数である。)で表される構造単
位を有し、かつ一分子中に少なくとも1つのヒドロシリ
ル基を有するとともに、シロキサン骨格の途中又は末端
に少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシアルキ
レン基を有するハイドロジェンポリシロキサンマクロモ
ノマーの単独重合体又は共重合体(但し、アルケニル基
は含まない。)であることを特徴とする塗料組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗料組成物及び塗膜の形
成方法に関し、特に硬化性、耐酸性、耐擦傷性等に優れ
ているとともに、良好な下地密着性を有し、再塗装の容
易な塗料組成物及び複層塗膜の形成方法に関する。
【0002】自動車、特に乗用車の仕上げ塗装には、顔
料を含むベースコートの上に透明なトップコートが施さ
れる。トップコートの役割は、主として塗膜外観の向上
にあるが、そのためには高い光沢を長期間保持するよう
に優れた耐候性、耐擦傷性、耐薬品性等が要求される。
また同種又は異種の塗料を塗り重ねる場合や、トップコ
ート塗装後の不良欠塗装部分に同種の塗料を再塗装する
場合には、最初に塗装した塗膜と後から塗装した塗膜と
の間で剥離を生じるおそれがあるため、トップコート組
成物は下地密着性の高いものが望まれる。
【0003】現在耐候性、耐擦傷性、耐薬品性等の向上
を目的として、例えばヒドロシリル基含有アクリルポリ
マーをメラミン樹脂又はポリイソシアネート化合物を配
合した溶剤型のトップコート用組成物が使用されてい
る。しかしながら、メラミン樹脂を硬化剤として用いた
場合には、メラミンのトリアジン骨格に起因して耐候性
や、近年問題になっている酸性雨に対する耐久性等が満
足ではないという問題がある。またポリイソシアネート
化合物を硬化剤として用いた場合には、毒性、塗膜の黄
変、耐候性の低下等の問題がある。このような問題点
は、トップコートの上に塗装されるオーバーコートにつ
いても当てはまる。
【0004】ところで、近年環境保全及び省資源の見地
から有機溶剤型塗料に対する規制が厳しくなりつつあ
る。しかしながら、有機溶剤を使用しない粉体塗料及び
水性塗料ではこの目的に要求される外観(透明性、光沢
等)を得るのが難しい。
【0005】これらの問題点を解決する方法として、炭
素−炭素二重結合へのヒドロシリル基の付加(ヒドロシ
リル化反応)を硬化メカニズムとする硬化性樹脂組成物
が提案されている(例えば、特開平3−277645
号、同5−287206号等)。これらの組成物の硬化
反応では、新たに形成される結合が化学的に極めて安定
な珪素−炭素結合であるため耐候性、耐酸性等が高く、
またヒドロシリル化硬化剤の凝集力は低いために無溶剤
又は超ハイソリッド型塗料に設計できる。このため、こ
れらの組成物を従来の有機溶剤型トップコート又はオー
バーコート組成物の代わりに使用することにより、例え
ば自動車車体の仕上げ塗装のための複層塗膜の性能を一
層向上させるとともに、大気中への有機溶剤の放出を排
除又は大幅に減らすことが期待できる。しかしながら、
このようなトップコート組成物は、幾分下地密着性に劣
るという問題が生じることが分かった。
【0006】従って、本発明の目的は、硬化性、耐酸
性、耐擦傷性等に優れているとともに、良好な下地密着
性を有し、再塗装の容易な塗料組成物及び塗膜の形成方
法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題に鑑み鋭意研究
した結果、本発明者らは、被塗物上にヒドロシリル基及
びアルケニル基を含有するトップコート組成物を塗装す
る場合に、トップコート組成物に、リン酸基、ヒドロキ
シル基、カルボキシル基、エポキシ基及びアルコキシシ
リル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基
を含有する塗料組成物を用いることにより、硬化性、耐
酸性、耐擦傷性等に優れているとともに、良好な下地密
着性を有し、再塗装の容易な塗膜が得られることを見出
し、本発明に想到した。
【0008】すなわち、本発明の第一の塗料組成物は、
(a)(i)複数のヒドロシリル基を有する少なくとも
一種の化合物と複数のアルケニル基を有する少なくとも
一種の化合物とのブレンド、及び/又は(ii)複数の
ヒドロシリル基及び複数のアルケニル基を併有する少な
くとも一種の化合物と、(b)触媒量のヒドロシリル化
触媒とを含有し、前記(a)の化合物の少なくとも一部
が、リン酸基及び/又はアルコキシシリル基を、前記
(a)成分に対して固形分基準で0.001〜5mol
/kg含有することを特徴とする。
【0009】また本発明の第二の塗料組成物は、(a)
(i)複数のヒドロシリル基を有する少なくとも一種の
化合物と複数のアルケニル基を有する少なくとも一種の
化合物とのブレンド、及び/又は(ii)複数のヒドロ
シリル基及び複数のアルケニル基を併有する少なくとも
一種の化合物と、(b)触媒量のヒドロシリル化触媒
と、(c)リン酸、リン酸エステル、カルボキシル基含
有双性イオン型化合物、及びヒドロキシル基、カルボキ
シル基、エポキシ基、アルコキシシリル基及びアミノ基
の少なくとも一種の官能基を有する化合物からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種とを含有することを特徴とす
【0010】さらに、本発明の塗膜の形成方法は、被塗
物上にトップコート組成物として上記第一又は第二の塗
料組成物を塗布することを特徴とする。
【0011】本発明を以下詳細に説明する。本発明の塗
料組成物は主としてトップコート用に使用し、場合によ
ってはオーバーコート用にも使用するが、説明の簡略化
のためにトップコート組成物の場合について以下詳細に
説明する。従って、この説明はオーバーコート組成物と
しても当然成り立つものである。
【0012】[A]トップコート組成物 [1]第一のトップコート組成物の組成 本発明の第一のトップコート組成物は、(a)(i)複
数のヒドロシリル基を有する少なくとも一種の化合物
(以下「ヒドロシリル基含有化合物」という。)と複数
のアルケニル基を有する少なくとも一種の化合物(以下
「アルケニル基含有化合物」という。)とのブレンド、
及び/又は(ii)複数のヒドロシリル基及び複数のア
ルケニル基を併有する少なくとも一種の化合物(以下
「自己架橋型樹脂」という。)と、(b)触媒量のヒド
ロシリル化触媒とを含有する。前記(a)の化合物の少
なくとも一部は、リン酸基及び/又はアルコキシシリル
基を前記(a)成分に対して固形分基準で0.001〜
5mol/kg含有する。前記官能基はヒドロシリル基
含有化合物、アルケニル基含有化合物及び自己架橋型樹
脂のいずれに含有されていても良い。
【0013】以下にまず各成分の基本構造について説明
し、官能基の導入については各成分の欄の最後に説明す
る。
【0014】(A)ヒドロシリル基含有化合物とアルケ
ニル基含有化合物のブレンドの場合 (1)ヒドロシリル基含有化合物 (a)第一のヒドロシリル基含有化合物の基本構造 第一のヒドロシリル基含有化合物は、一般式:
【化3】(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フ
ェニル基又はフェネチル基であり、Rは水素原子、炭
素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はフェネチル基
であり、aは2〜200の数である。)で表される構造
単位を有し、かつ一分子中に少なくとも2つのヒドロシ
リル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンである。
【0015】オルガノハイドロジェンポリシロキサンの
好ましい例としては、下記構造式(3)〜(5)で表さ
れる化合物が挙げられる。
【0016】
【化5】(但し、R及びRは炭素数1〜6のアルキ
ル基、フェニル基又はフェネチル基であり、dは0〜1
00の数であり、eは2〜100の数である。)。構造
単位−SiOR−と−SiORH−とはランダ
ムに配列されていてよく、また末端基−SiR
は任意の組合せでシロキサン骨格に結合していてよ
い。
【0017】
【化6】(但し、R及びRは炭素数1〜6のアルキ
ル基、フェニル基又はフェネチル基であり、f及びgは
それぞれ0〜100の数である。)。上記構造式(3)
と同様に、構造単位−SiOR−と−SiOR
H−とはランダムに配列されていてよく、また末端基−
SiRHは任意の組合せでシロキサン骨格に結合
していてよい。
【0018】
【化7】(但し、R及びRは炭素数1〜6のアルキ
ル基、フェニル基又はフェネチル基であり、hは0〜8
の数であり、iは2〜10の数であり、かつ(h+i)
は3〜10の数である。)。これらのオルガノハイドロ
ジェンポリシロキサンの詳細は特開平3−277645
号に開示されている。
【0019】R及びRにおける炭素数1〜6のアル
キル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基等が挙げられる。工業的観点から特にメチル基及
びプロピル基が好ましい。オルガノハイドロジェンポリ
シロキサンの重合度はd〜iによって規定されるが、上
記範囲より大きな重合度を有するオルガノハイドロジェ
ンポリシロキサンは粘度が高くて作業性に乏しいうえ、
アルケニル成分との相溶性も悪い。相溶性を向上させる
ためには、有機基としてフェニル基を含有するものが好
ましい。特に好ましいオルガノハイドロジェンポリシロ
キサンとしては、メチルフェニルハイドロジェンポリシ
ロキサン及びメチルプロピルハイドロジェンポリシロキ
サン等が挙げられる。
【0020】(b)第二のヒドロシリル基含有化合物の
基本構造 第二のヒドロシリル基含有化合物は、一般式:
【化4】(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フ
ェニル基又はフェネチル基であり、Rは水素原子、炭
素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はフェネチル基
であり、bは1〜30の数である。)で表される構造単
位を有し、かつ一分子中に少なくとも1つのヒドロシリ
ル基を有するとともに、シロキサン骨格の途中又は末端
に少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシアルキ
レン基を有するハイドロジェンポリシロキサンマクロモ
ノマーの単独重合体又は共重合体(但し、アルケニル基
は含まない。)である。
【0021】(メタ)アクリロイルオキシアルキレン基
としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピレン
基等が好ましい。ハイドロジェンポリシロキサンマクロ
モノマーの単独重合又は共重合は公知の溶液重合法によ
って行うことができる。ハイドロジェンポリシロキサン
マクロモノマーの単独重合体又は共重合体(但し、アル
ケニル基は含まない。)の詳細は、特開平7−1114
1号及び同特開平4−169589号に開示されてい
る。なお本明細書で使用する用語「(メタ)アクリロイ
ル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
【0022】ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノ
マーの好ましい例としては、下記構造式(6)〜(8)
で表される化合物等が挙げられる。
【0023】
【化8】(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フ
ェニル基又はフェネチル基であり、Aは(メタ)アクリ
ロイルオキシアルキレン基であり、jは0〜20の数で
あり、kは1〜3の数であり、1は0〜10の数であ
る。)。但し各構造単位及び末端基の配列は任意であ
る。
【0024】
【化9】(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フ
ェニル基又はフェネチル基であり、Aは(メタ)アクリ
ロイルオキシアルキレン基であり、jは0〜20の数で
あり、kは1〜3の数であり、mは1〜10の数であ
る。)。但し各構造単位及び末端基の配列は任意であ
る。
【0025】
【化10】(但し、Aは(メタ)アクリロイルオキシア
ルキレン基であり、R及びRは炭素数1〜6のアル
キル基、フェニル基、フェネチル基又は−OSi
(RHであり、Rは水素原子又は−OSi(R
Hであり、nは1〜10の数である。)。
【0026】(メタ)アクリロイル基含有ハイドロジェ
ンポリシロキサンマクロモノマーを共重合体として使用
する場合、共重合用モノマー(但し、アルケニル基は含
まない。)としてエチレン性不飽和モノマー(例えばア
クリル系モノマー、ビニル系モノマー等)を使用するの
が好ましい。エチレン性不飽和モノマーの具体例は、下
記[A][1](A)(1)(d)に詳細に記載されて
いる。
【0027】ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノ
マーの単独重合体又は共重合体(但し、アルケニル基は
含まない。)において、ハイドロジェンポリシロキサン
マクロモノマーの配合量は20〜100重量%で、アル
ケニル基を含有しない共重合成分(エチレン性不飽和モ
ノマー)の配合量は80〜0重量%であるのが好まし
い。より好ましくはハイドロジェンポリシロキサンマク
ロモノマーの配合量が40〜100重量%であり、アル
ケニル基を含有しないエチレン性不飽和モノマーの配合
量が60〜0重量%である。ハイドロジェンポリシロキ
サンマクロモノマーが20重量%未満では(共重合成分
の配合量が80重量%を超える場合には)、硬化塗膜の
架橋密度が低く、十分な耐擦傷性及び耐酸性等が得られ
ない。
【0028】ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノ
マーの単独重合体又は共重合体(但し、アルケニル基は
含まない。)の数平均分子量は、1,000〜30,0
00であるのが好ましい。さらに硬化塗膜の硬化性を考
慮すると、これらの重合体中のヒドロシリル基の濃度は
1×10−3mol/g以上が望ましい。
【0029】(c)ヒドロシリル基含有化合物への官能
基の導入 ヒドロシリル基含有化合物(オルガノハイドロジェンポ
リシロキサン及び/又はハイドロジェンポリシロキサン
マクロモノマーの単独重合体又は共重合体)に官能基を
導入する場合、オルガノハイドロジェンポリシロキサン
及び/又はハイドロジェンポリシロキサンマクロモノマ
ーと上記官能基を含有するモノマーとを共重合する。反
応性の観点から、第二のヒドロシリル基含有化合物(ハ
イドロジェンポリシロキサンマクロモノマーの単独重合
体又は共重合体)にリン酸基及び/又はアルコキシシリ
ル基からなる官能基をを含有するモノマーを共重合する
のが好ましい。このような官能基含有モノマーとして、
以下のものが好ましい。
【0030】(イ)リン酸基含有モノマー リン酸基含有モノマーとしては、モノ〔β−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート〕アシッドホスフェート、
〔β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート〕アシ
ッドホスフェート、アシッドホスホキシプロピルメタク
リレート等が挙げられる。
【0031】(ロ)アルコキシシリル基含有モノマー アルコキシシリル基含有モノマーとしては、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメ
チルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、(メタ)アクリル酸3−トリメトキシシリルプロピ
ル、(メタ)アクリル酸3−トリエトキシシリルプロピ
ル、(メタ)アクリル酸3−ジメトキシメチルシリルプ
ロピル等が挙げられる。
【0032】上記(イ)及び(ロ)のモノマーの中に
は、リン酸基又はアルコキシシリル基を単独で含有する
ものだけでなく、これらの官能基を組み合わせて含有す
るものもあるが、異種の官能基を組み合わせて含有する
モノマーを使用することも勿論本発明の範囲内である。
また同種又は異種の官能基を有する複数のモノマーを組
み合わせて使用することもできる。
【0033】(d)ヒドロシリル基含有化合物に添加可
能なその他のモノマー 上記官能基含有モノマーの他に、共重合用モノマーとし
てエチレン性不飽和モノマー(例えばアクリル系モノマ
ー、ビニル系モノマー等)を配合してもよい。
【0034】アクリル系モノマーとしては、(メタ)ア
クリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブ
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニ
ル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸
2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロ
キシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとポリ−
ε−カプロラクトンとの付加物]、エポキシ基含有(メ
タ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸
グリシジル]、(メタ)アクリル酸3−トリメトキシシ
リルプロピル、(メタ)アクリル酸3−トリエトキシシ
リルプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジメトキシメチ
ルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸−2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アク
リル酸トリブチル錫、(メタ)アクリルアミド、(メ
タ)アクリロイルイシアネート、(メタ)アクリル酸−
2−イソシアネートエチル等が挙げられる。ここで用語
「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸又はメタクリル
酸を意味する。
【0035】またビニル系モノマーとしては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、イタコン酸、マレイン酸、酢
酸ビニル、酢酸アリル、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。さらに、
シリコーンマクロモノマーを添加することもできる。
【0036】(2)アルケニル基含有化合物 本発明に使用し得るアルケニル基含有化合物(上記官能
基を含有してもしなくても良い。)としては、例えば
(a)アルケニル基含有ポリエーテル樹脂、(b)アル
ケニル基含有アクリル樹脂、(c)アルケニル基含有ポ
リエステル樹脂、(d)アルケニル基含有ポリカーボネ
ート樹脂、及び(e)アルケニル基含有エポキシ樹脂等
が挙げられる。
【0037】(a)アルケニル基含有ポリエーテル樹脂 アルケニル基含有ポリエーテル樹脂としては、アルケニ
ル基を有する1,2−エポキシ化合物を活性水素化合物
(水、一価もしくは多価アルコール)を開始剤として開
環重合して得られるポリエーテルが好ましい。例えば、
エチレングリコールを開始剤としてアリルグリシジルエ
ーテルを開環重合して得られるポリエーテル(数平均分
子量1200、ヨウ素価212)や、ブタノール、アリ
ルアルコール又はプロパルギルアルコールを開始剤とし
てビニルシクロヘキサン−1,2−エポキサイドを開環
重合して得られる下記の構造式(9)〜(15)及び物
性を有するポリエーテル(特開平4−23829号)が
挙げられる。
【0038】(i)(数平均分子量450、ヨウ素価1
70)。
【化11】
【0039】(ii)(数平均分子量820、ヨウ素価
185)。
【化12】
【0040】(iii)(数平均分子量890、ヨウ素
価170)。
【化13】
【0041】(iv)(数平均分子量980、ヨウ素価
130)。
【化14】
【0042】(v)(数平均分子量780、ヨウ素価1
96)。
【化15】
【0043】(vi)(数平均分子量750、ヨウ素価
170)。
【化16】
【0044】(vii)(数平均分子量430、ヨウ素
価236)。
【化17】
【0045】またトリエチレングリコールジビニルエー
テル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等
のジビニルエーテル樹脂もアルケニル基含有ポリエーテ
ル樹脂に含まれる。
【0046】(b)アルケニル基含有アクリル樹脂 アルケニル基含有アクリル樹脂は、アルケニル基含有ア
クリル系モノマーの単独重合、又はその他のアクリル系
モノマーとの共重合により得られる。アルケニル基含有
アクリル系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル
酸アリル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)
アクリル酸3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリ
ル酸3−メチル−2−ブテニル、(メタ)アクリル酸シ
クロヘキセニルメチル、(メタ)アクリル酸2−メチル
−2−プロペニル、(メタ)アクリル酸3−ヘプテニ
ル、(メタ)アクリル酸4−ヘキセニル、メタクリル酸
2−ヒドロキシエチルとビニルシクロヘキセンモノエポ
キシドとの1:1の付加物等が挙げられる。なお、この
ようなアルケニル基含有アクリル系モノマーは、例えば
(メタ)アクリル酸クロライドとアルケニルアルコール
との反応、(メタ)アクリル酸アルキルとアルケニルア
ルコールとのエステル交換反応、イソシアネート基含有
アクリル系モノマーとアルケニルアルコールとの付加反
応等によって合成することができる。
【0047】アルケニル基含有アクリル系モノマーと共
重合し得る他のアクリル系モノマーとしては、例えば
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2
−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メ
タ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシエチルとポリ−ε−カプロラクトンとの付加
物、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル
酸3−トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル
酸3−トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル
酸3−ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アク
リル酸2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸、(メタ)アクリル酸トリブチル錫、(メタ)アク
リルアミド、(メタ)アクリロイルイソシアネート、
(メタ)アクリル酸2−イソシアネートエチル等が挙げ
られる。
【0048】また50重量%以内の範囲で、上記アクリ
ル系モノマー以外のエチレン性モノマー(例えば、スチ
レン、α−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−4−
メチル−1−ペンテン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸
ビニル、酢酸アリル、N−シクロヘキシルマレイミド、
N−フェニルマレイミド等)も共重合することができ
る。さらにシリコーンマクロモノマーも共重合可能であ
る。
【0049】アルケニル基含有アクリル系樹脂の合成方
法としては、水酸基含有アクリル系樹脂とアルケニル
イソシアネート及び/又はアルケニル基含有カルボン酸
無水物との付加反応、イソシアネート基含有アクリル
系樹脂とアルケニルアルコールとの付加反応、カルボ
キシル基合有アクリル系樹脂とアルケニル基含有エポキ
シ類との付加反応、エポキシ基含有アクリル系樹脂と
アルケニル基含有カルボン酸との付加反応等を挙げるこ
とができる。
【0050】水酸基含有アクリル系樹脂は、(メタ)ア
クリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2
−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロ
キシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル
とポリ−ε−カプロラクトンとの付加物等の水酸基含有
アクリル系モノマーと、それ以外の前記のアクリル系モ
ノマーと、50重量%以内の範囲のエチレン性不飽和モ
ノマーとを共重合するか、もしくは水酸基含有アクリル
系モノマー単独で重合することにより得られる。
【0051】アルケニルイソシアネートとしては、例え
ばイソシアン酸アリル、(メタ)アクリロイルイソシア
ネート、(メタ)アクリル酸2−イソシアネートエチル
等が挙げられる。
【0052】アルケニル基含有カルボン酸無水物として
は、無水イタコン酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無
水フタル酸等が挙げられる。
【0053】イソシアネート基含有アクリル系樹脂は、
(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリ
ル酸2−イソシアネートエチル等のイソシアネート基含
有アクリル系モノマーと、それ以外の上述のアクリル系
モノマーと、50重量%以下の配合量のエチレン性不飽
和モノマーとを共重合するか、若しくはイソシアネート
基含有アクリル系モノマーを単独重合することにより得
られる。
【0054】アルケニルアルコールとしては、アリルア
ルコール、ビニルアルコール、3−ブテン−1−オー
ル、2−(アリルオキシ)エタノール、グリセリンジア
リルエーテル、シクロヘキセンメタノール、3−メチル
−2−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−
1−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、オ
レイルアルコール、クロチルアルコール、ヒドロキシブ
チルビニルエーテル等が挙げられる。
【0055】カルボキシル基含有アクリル系樹脂は、
(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基合有アクリル系
モノマー及び/又は50重量%以内の範囲のイタコン
酸、マレイン酸等のようなカルボキシル基含有エチレン
性不飽和モノマーと、それ以外の上述のアクリル系モノ
マー及び/又は50重量%以下の配合量のエチレン性不
飽和モノマーとを共重合するか、若しくはカルボキシル
基含有アクリル系モノマーを単独重合することにより得
られる。
【0056】アルケニル基含有エポキシ類としては、例
えば(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジル
エーテル等が挙げられる。エポキシ基含有アクリル系樹
脂は、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキ
シ基含有アクリル系モノマーと、それ以外の上述のアク
リル系モノマーと、50重量%以下の配合量のエチレン
性不飽和モノマーとを共重合するか、若しくはエポキシ
基含有アクリル系モノマーを単独重合することにより得
られる。
【0057】アルケニル基含有カルボン酸としては、ア
リル酢酸、(メタ)アクリル酸、2−ブテノン酸、3−
ブテノン酸、クロトン酸、ウンデシレン酸、リノール酸
等が挙げられる。
【0058】(c)アルケニル基含有ポリエステル樹脂 アルケニル基含有ポリエステル樹脂は、上述のアルケニ
ルアルコールと、多価アルコールと多塩基酸との重縮合
反応によって容易に製造される。多価アルコールとして
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチル
グリコールエステル、トリメチロールプロパン、両末端
アルコール性水酸基含有ジメチルシロキサン等が挙げら
れる。多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリメ
リット酸等が挙げられ、必要に応じて一価のアルコール
又は一塩基酸を一部用いてもよい。
【0059】アルケニル基含有ポリエステル樹脂を合成
する別法としては、例えば前述の多価アルコールと多
塩基酸との重合反応により得られたポリエステル樹脂の
カルボキシル基と前述のアルケニル基含有エポキシ類と
の付加反応、多価アルコールと多塩基酸との重縮合反
応により得られたポリエステル樹脂の水酸基と、上述の
アルケニルイソシアネート及び/又はアルケニル基含有
カルボン酸の無水物との付加反応等が挙げられる。
【0060】(d)アルケニル基含有ポリカーボネート
樹脂 アルケニル基含有ポリカーボネート樹脂は、最初にシク
ロヘキサンジメタノールのような二官能ポリオールとジ
メチルカーボネートとを反応させ、次に生成したポリカ
ーボネートの末端カーボネート基に対してペンタエリス
リトールトリアリルエーテル等のアルケニル基含有モノ
アルコールを反応させることにより得られる。
【0061】(e)アルケニル基含有エポキシ樹脂 アルケニル基含有エポキシ樹脂は、前述のエポキシ基含
有アクリル系樹脂の他、例えばビスフェノールAジグリ
シジルエーテルと前述のアルケニル基含有カルボン酸類
との付加反応、エピービス型エポキシ樹脂中の水酸基と
前述のアルケニルイソシアネート及び/又はアルケニル
基含有カルボン酸無水物との付加反応等により容易に製
造することができる。
【0062】これらのアルケニル基含有ポリエーテル樹
脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂及びエポキシ樹脂のヨウ素価は50〜250であ
るのが好ましく、70〜200であるのがより好まし
い。ヨウ素価が50未満では硬化塗膜の架橋密度が低
く、充分な機械的強度が得られない。一方250を超え
ると、塗膜の可撓性が低下する。また数平均分子量は3
00〜20,000であるのが好ましく、400〜1
0,000であるのがより好ましい。数平均分子量が3
00末満では機械的強度が低く、一方20,000を超
えると塗膜形成上の作業性が低下する。
【0063】これらのアルケニル基含有化合物の中で
は、特にアルケニル基含有ポリエーテル樹脂、アルケニ
ル基含有ポリカーボネート樹脂及びアルケニル基含有ア
クリル樹脂が好ましい。
【0064】(f)官能基の導入 上記アルケニル基含有化合物に官能基(リン酸基及び/
又はアルコキシシリル基)を導入する場合には、アルケ
ニル基含有化合物の製造の際に、[A][1](A)
(1)(c)の(イ)及び(ロ)に記載した官能基含有
モノマーを配合して共重合すれば良い。
【0065】(3)ブレンド比 ヒドロシリル基含有化合物とアルケニル基含有化合物と
のブレンドにおいて、いずれか一方又は両方に上記官能
基が含有されているか否かに係わらず、ヒドロシリル基
/アルケニル基の比(アルケニル基含有化合物中のアル
ケニル基1個に対するヒドロシリル基含有化合物の珪素
原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基に相当)の
数)が0.3〜4となるように設定するのが好ましく、
0.5〜3とするのがより好ましい。珪素原子に結合し
た水素原子がこの範囲外であると、残存するアルケニル
基や水素原子が水分や汚染物質等と反応したり、紫外線
によって塗膜が劣化したり、又は塗料の貯蔵安定性が低
下するおそれがある。このようにヒドロシリル基含有化
合物とアルケニル基含有化合物との配合割合を調節する
ことにより、耐候性、光沢性及び可撓性に優れた硬化塗
膜を得ることができる。
【0066】(B)ヒドロシリル基とアルケニル基を併
有する化合物の場合 一分子中に複数のヒドロシリル基と複数のアルケニル基
とを併有する化合物は、分子内ヒドロシリル化反応によ
って自己架橋し得るので、自己架橋型樹脂と言うことが
できる。自己架橋型樹脂は上述のハイドロジェンポリシ
ロキサンマクロモノマーと、アルケニル基含有アクリル
系モノマーと、必要に応じて他のエチレン性不飽和モノ
マーとを共重合することによって製造することができ
る。
【0067】(1)アルケニル基含有アクリル系モノマ
ー アルケニル基含有アクリル系モノマーは[A][1]
(A)(2)(b)で記載したアルケニル基含有アクリ
ルモノマーを使用することができるが、その他に、式
(16):
【化18】(但し、pは1〜10の整数である。)で表
される末端ビニルポリジメチルシロキシプロピル(メ
タ)アクリレート等のシリコーン系モノマーも使用する
ことができる。
【0068】(2)その他のモノマー 必要に応じて用いるその他の共重合用モノマーとして
は、[A][1](A)(1)(d)の「その他のモノ
マー」の欄で記載したエチレン性不飽和モノマーが挙げ
られるが、その他に、式(17):
【化19】(但し、Rは水素原子又はメチル基であ
り、qは0〜10の整数である。)で表されるフッ素系
(メタ)アクリル系モノマーも使用することができる。
【0069】(3)各モノマーの添加量 自己架橋型樹脂において、ハイドロジェンポリシロキサ
ンマクロモノマーの添加量は1〜99重量部が好まし
く、40〜60重量部がより好ましい。アルケニル基含
有アクリル系モノマーの添加量は1〜99重量部が好ま
しく、40〜60重量部がより好ましい。エチレン性不
飽和モノマーの添加量は0〜80重量部が好ましく、0
〜20重量部がより好ましい。また自己架橋型樹脂の数
平均分子量は500〜100,000が好ましく、1,
000〜20,000がより好ましい。
【0070】(4)製造方法 自己架橋型樹脂は、溶液中で通常のラジカル重合を行う
ことにより製造することができる。また(メタ)アクリ
ル酸アリル、メタクリル酸3−ブテニル等の末端に二重
結合を有する(メタ)アクリル酸アルケニルエステルを
用いる場合には、アニオン重合又は連鎖移動剤を用いる
ラジカル重合によって共重合することもできる。またア
ルケニル基含有アクリル系モノマーを用いる代わりにア
クリル酸又はメタクリル酸を他のモノマー成分と共重合
した後、アルケニル基含有アルコール(例えばアリルア
ルコール、2−ブテノール等)でエステル化してもよ
い。さらにメタクリル酸グリシジルを他のモノマー成分
と共重合した後、得られた共重合体のグリシジル基にア
クリル酸又はメタクリル酸を開環付加反応させてもよい
し、メタクリル酸2−イソシアネートエチル、メタクリ
ロイルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−
ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアネート基
含有モノマーを他のモノマー成分と共重合した後、上述
のアルケニル基合有アルコールを付加反応させてもよ
い。
【0071】(5)官能基の導入 自己架橋型樹脂に官能基(リン酸基及び/又はアルコキ
シシリル基)を導入する場合には、自己架橋型樹脂を製
造する際に、[A][1](A)(1)(c)の(イ)
及び(ロ)に記載した官能基含有モノマーを配合して共
重合すれば良い。
【0072】(C)第一のトップコート組成物中の官能
基の割合 第一のトップコート組成物中に存在すべき官能基(リン
酸基及び/又はアルコキシシリル基)の割合は、樹脂固
形分基準で0.001〜5mol/kgであるのが好ま
しい。官能基が0.001mol/kg未満であると密
着性が低く、また5mol/kgを越えても、それに見
合う改善効果が見られない。より好ましい官能基の割合
は0.01〜3mol/kgである。特にリン酸基を導
入する場合、リン酸又はリン酸エステルの配合量は0.
05〜30重量%(塗料組成物中の樹脂固形分基準)が
好ましく、1〜20重量%がより好ましい。リン酸又は
リン酸エステルの添加量が上記範囲未満では下地密着性
が低く、一方上記範囲を越えてもそれに見合う改善効果
が見られない。
【0073】(D)ヒドロシリル化触媒 ヒドロシリル基含有化合物とアルケニル基含有化合物と
のブレンド又は自己架橋型樹脂における炭素−炭素二重
結合へのヒドロシリル化反応に用いるヒドロシリル化触
媒としては、VIII族遷移金属又はその化合物、例え
ば白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の化合
物、特に錯体を用いることができ、具体的にはPtCl
、HPtCl・6HO、Pt−ビニルシロキサ
ン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMe
Vi)s等)、Pt−ホスフィン錯体(例えば、Pt
(PPh等)、pt−オレフィン錯体(例えば、
PtCl(cod)、Pt(acac)、tra
ns−又はcis−〔PtCl(NHPr)
等)、PdCl(PPh、PdCl(PhC
N)、RhCl(PPh、〔RhCl(co
d)〕、Ru(cpd)(但し、Meはメチル基で
あり、Viはビニル基であり、Phはフェニル基であ
り、Prはプロピル基であり、codはシクロオクタジ
エンであり、acacはアセチルアセトナートであり、
cpdはシクロペンタジエンであり、r及びsは整数で
ある。)等が挙げられる。
【0074】その他、ルテニウムカルボニル金属クラス
ター錯体や、特表平6−503591号に記載されてい
る(シクロペンタジエニル)トリー(脂肪族基)白金錯
体、同6−503592号に記載されている(ジオレフ
ィン)(アリール)白金錯体等も使用することができ
る。これらの中では、白金触媒が一般的である。これら
の触媒は必要に応じてアルコール類、芳香族又は脂肪族
の炭化水素類、ケトン類、塩基性溶媒等の溶媒で希釈し
て用いることができる。
【0075】ヒドロシリル化触媒の使用量は、塗料組成
物の樹脂固形分当たり5〜10,000ppmが好まし
く、特に20〜1,000ppmが好ましい。触媒の使
用量が5ppm未満では硬化性に乏しい。一方10,0
00ppmを超えると、触媒の色で硬化塗膜が着色する
おそれがあることに加えて、VIII族遷移金属は高価
であるので製造コストが高くなる。
【0076】反応性を制御する目的で、アセチレン化合
物等の触媒に配位して硬化を遅らせる物質(遅効剤)を
適宜添加しても良い。このような遅効剤として、例えば
エチニルアルコール、プロパルギルアルコール、2−メ
チル−3−ブチン−2−オール、3−トリメチルシロキ
シプロピン、3−トリメチルシロキシ−3,3−ジメチ
ルプロピン、ビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル
オキシ)ジメチルシラン、ビス(1,1−ジメチル−2
−プロピニルオキシ)ジフェニルシラン、ビス(1,1
−ジメチル−2−プロピニルオキシ)フエニルメチルシ
ラン、α,α−ジアルキルプロパルギルアルコール等、
もしくはそのエチレンオキサイド付加物と、(メタ)ア
クリル酸とのエステルを重合したものを使用することが
できる。また特開平5−287206号に記載されてい
るアルキニル基含有アクリル重合体を用いてもよい。
【0077】[2]第二のトップコート組成物の組成 第二のトップコート組成物は、(a)ヒドロシリル基含
有化合物とアルケニル基含有化合物とのブレンド、又は
自己架橋型樹脂に、(b)ヒドロシリル化触媒ととも
に、(c)リン酸、リン酸エステル、カルボキシル基含
有双性イオン型化合物、及びヒドロキシル基、カルボキ
シル基、エポキシ基、アルコキシシリル基及びアミノ基
からなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基を有す
る化合物を配合したものである。(a)及び(b)につ
いては、種類及び添加量のいずれも[A][1]に説明
したものと同じであるので、ここでは官能基含有化合物
についてのみ詳細に説明することにする。
【0078】(A)官能基含有化合物 第二のトップコート組成物では、上記官能基をヒドロシ
リル基含有化合物等の中に導入する代わりに、(c)リ
ン酸、リン酸エステル、カルボキシル基含有双性イオン
型化合物、及びヒドロキシル基、カルボキシル基、エポ
キシ基、アルコキシシリル基及びアミノ基の少なくとも
一種の官能基を有する化合物(以下「官能基含有化合
物」という。)の少なくとも1種が配合されている。
【0079】(1)リン酸及びリン酸エステル リン酸エステルは低分子量でも高分子量でもよいが、い
ずれの場合もリン酸エステルはアルケニル基及びヒドロ
シリル基を含有しない。
【0080】低分子量のリン酸エステルは下記一般式
(18):
【化20】(但し、Rは炭素数1〜18のアルキル基
であり、tは1又は2の整数である。)で表され、10
0〜600の分子量を有する。低分子量のリン酸エステ
ルとして、例えばモノメチルホスフェート、モノエチル
ホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチル
ホスフェート、モノステアリルホスフェート等のモノエ
ステル類、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、
ジステアリルホスフェート等のジエステル類が挙げられ
る。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよ
い。このような低分子量のリン酸エステルは、五酸化リ
ン(P)とアルコール類とを反応させた後、必要
に応じて加水分解することにより得られる。
【0081】また高分子量のリン酸エステル(樹脂)
は、1,000〜30,000の分子量を有し、下記
一般式(19):
【化21】(但し、Rは炭素数1〜18のアルキル基
である。)で表されるリン酸エステル基を有する重合体
や、エポキシ化合物とリン酸又は酸性リン酸エステル
との付加物等が挙げられる。
【0082】のリン酸エステル基含有重合体として
は、モノ〔β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト〕アシッドホスフェート、〔β−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート〕アシッドホスフェート等のリン
酸基を含有するモノマーの単独重合体又は共重合体等が
挙げられる。
【0083】共重合体の場合、リン酸基含有モノマーと
共重合可能なモノマーは特に限定されないが、スチレ
ン、ビニルトルエン等の芳香族化合物、メチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)
アクリル酸エステル、β−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、β−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステル、(メタ)アク
リル酸、イタコン酸、フマル酸等のカルボン酸、モノ
(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、マレイ
ン酸ブチル等のカルボン酸エステル等が好ましい。
【0084】のエポキシ化合物とリン酸又は酸性リン
酸エステルとの付加物は、エポキシ化合物にリン酸又は
リン酸モノブチル等の酸性リン酸エステルを付加して得
られるものである。エポキシ化合物としては、プロピレ
ンオキサイドや、ビスフェノールAのジグリシジルエー
テル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)
アクリレート等のグリシジル基含有モノマーの単独重合
体又は共重合体、又はカルボキシル基含有ポリエステル
に過剰のエポキシ化合物を付加して得られるエポキシ基
含有ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0085】上述のリン酸エステルの他に、下記一般式
(20)及び(21)で表される特開平4−96978
号に記載のアミド基含有のリン酸エステルも使用するこ
とができる。
【0086】
【化22】(但し、vは0又は1であり、uは1〜4の
整数であり、Rはu価のアルキル基又はアリール基で
あり、R10及びR15は水素原子、炭素数1〜24の
のアルキル基又はアリール基であり、R11、R12
13及びR14は水素原子、炭素数1〜3のアルキル
基又は炭素数6〜7のアリール基である。なお、R
15は同一であっても異なっていてもよい。)
【0087】
【化23】(但し、xは0又は1であり、wは1又は2
であり、R20及びR21は水素原子、炭素数1〜24
のアルキル基又はアリール基であり、R16、R17
18及びR19は水素原子、炭素数1〜3のアルキル
基又は炭素数6〜7のアリール基である。なお、R16
〜R21は同一であっても異なっていてもよい。)
【0088】(2)カルボキシル基含有双性イオン型化
合物 双性イオン型化合物としては、例えば下記一般式(2
2)で表される化合物(特開昭57−74371号に記
載)が挙げられる。
【化24】(但し、R22は水酸基を含有することもあ
る炭素数8〜40のアルキル基であり、R23は水素原
子又は炭素数1〜20のアルキル基であり、及びR24
は炭素数1〜6のアルキレン基であり、Aは−COO基
又は−SO基である。)
【0089】(3)その他の官能基含有化合物 その他の官能基含有化合物は、ヒドロキシル基、カルボ
キシル基、エポキシ基、アルコキシシリル基及びアミノ
基の少なくとも1種を有する化合物であり、下記(ハ)
〜(ホ)及び前記(ロ)の化合物を用いることができ
る。またアルコキシシリル基含有化合物としては、シラ
ンカップリング剤を用いることができる。
【0090】(ハ)ヒドロキシル基含有モノマー ヒドロキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒ
ドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシ
ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとポ
リ−ε−カプロラクトンとの付加物等の水酸基含有アク
リル系モノマーが挙げられる。
【0091】(ニ)カルボキシル基含有モノマー カルボキシル基含有モノマーとしては、イタコン酸、マ
レイン酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フタル酸
等のカルボキシル基含有モノマーが挙げられる。
【0092】(ホ)エポキシ基含有モノマー エポキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸
グリシジル、(メタ)アクリル酸4−グリシドキシブチ
ル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー等が挙げられ
る。
【0093】(B)官能基含有化合物の配合量 上記官能基含有化合物の配合量は、官能基の濃度がトッ
プコート組成物の樹脂固形分100重量部に対して0.
01〜100重量部となるように設定するのが好まし
く、0.1〜50重量部とするのがより好ましい。官能
基含有化合物の添加量が上記範囲未満では下地密着性が
低く、一方上記範囲を越えてもそれに見合う改善効果が
見られない。特にリン酸又はリン酸エステルを用いる場
合には、塗料組成物中の樹脂固形分100重量部に対し
て、0.05〜30重量部が好ましく、0.05〜10
重量部がより好ましい。またリン酸基含有樹脂を用いる
場合には、塗料組成物中の樹脂固形分100重量部に対
して、0.05〜100重量部が好ましく、0.05〜
50重量部がより好ましい。リン酸及びリン酸エステル
(モノマー又は樹脂)の添加量が上記範囲未満では下地
密着性が低く、一方上記範囲を越えてもそれに見合う改
善効果が見られない。
【0094】[3]その他の成分 トップコート組成物には、上記成分の他に、例えば有機
モンモリロナイト、ポリアミド、ポリエチレンワックス
のような粘度改質剤、シリコーンや有機高分子等の表面
調整剤、紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール、ヒンダ
ードアミン等の酸化防止剤及び光安定剤等の慣用の添加
剤を配合することができる。
【0095】[4] トップコート組成物の物性 トップコート組成物の粘度は、30〜1,000センチ
ポイズ(20℃)であり、硬化塗膜の動的ガラス転移温
度Tgは40℃以上であるのが好ましい。また熱重量測
定においては、500℃での残重量が20重量%以上で
あるのが好ましい。さらに80゜以上の水接触角を有す
るのが好ましい。
【0096】トップコート組成物から得られる塗膜は、
耐候性、耐溶剤性、耐薬品性、耐衝撃性、耐擦傷性等の
トップコートに要求される優れた保護性能を発揮すると
ともに、ベースコート等の下地との密着性が良好であ
る。また透明性、光沢等の仕上げ外観にも優れている。
さらにフッ素樹脂を含有する公知の撥水性トップコート
に匹敵する高い撥水性を有するため、よごれが付着し難
く、付着しても洗浄除去が容易である。またトップコー
ト組成物は、不揮発物60重量%以上の超ハイソリッド
型に調製することができるため、大気中への有機溶剤の
放出を大幅に減らすことができる。
【0097】上述のように本発明のトップコート組成物
はオーバーコート組成物としても用いることができ、同
様に耐候性、耐溶剤性、耐薬品性、耐衝撃性、耐擦傷
性、透明性、光沢性及び撥水性に優れた硬化塗膜が得ら
れる。従って、本明細書における塗料組成物の説明はそ
のままオーバーコート組成物にも適用される。
【0098】[5] トップコート組成物の組成例 上記トップコート組成物中の樹脂成分について、具体的
な組成は以下の通りとなる。なお説明の簡略化のため
に、官能基としてリン酸基の場合だけ例示するが、その
他の官能基についても同様である。 (1)ヒドロシリル基含有化合物+アルケニル基含有化
合物(両化合物の少なくとも一部がリン酸基を含有)。 (2)少なくとも一部にリン酸基を含有する自己架橋型
樹脂。 (3)ヒドロシリル基含有化合物+アルケニル基含有化
合物(両化合物の少なくとも一部がリン酸基を含有)+
自己架橋型樹脂(リン酸基を含有してもしなくてもよ
い)。 (4)ヒドロシリル基含有化合物(リン酸基を含有して
もしなくてもよい)+アルケニル基含有化合物(リン酸
基を含有してもしなくてもよい)+リン酸基含有自己架
橋型樹脂。 (5)ヒドロシリル基含有化合物(リン酸基を含有して
もしなくてもよい)+アルケニル基含有化合物(リン酸
基を含有してもしなくてもよい)+リン酸基含有化合
物。 (6)自己架橋型樹脂(リン酸基を含有してもしなくて
もよい)+リン酸基含有化合物。 (7)ヒドロシリル基含有化合物(リン酸基を含有して
もしなくてもよい)+アルケニル基含有化合物(リン酸
基を含有してもしなくてもよい)+自己架橋型樹脂(リ
ン酸基を含有してもしなくてもよい)+リン酸基含有化
合物。
【0099】[B]塗膜の形成方法 本発明の塗料組成物は、金属、プラスチック、電着塗膜
及び中塗り塗膜等の被塗物上に従来の塗装方法で塗布す
ることができる。またこのような被塗物上にベースコー
ト組成物を塗布し、そのベースコート上に本発明の塗料
組成物を塗布することにより、ベースコート及びトップ
コート(又は+オーバーコート)よりなる複層塗膜を形
成することもできる。
【0100】[1]ベースコート組成物 ベースコート組成物は、特に限定されないが、架橋剤、
官能性樹脂、溶剤、並びに必要に応じて添加する顔料そ
の他の添加物からなる。
【0101】(A)架橋剤 ベースコート組成物の架橋剤は、後述するトップコート
組成物の硬化反応に利用されるヒドロシリル化反応を阻
害しないものであれば良い。このような架橋剤として
は、アミノ樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物、
エポキシ樹脂用硬化剤等が挙げられる。
【0102】(1)アミノ樹脂 アミノ樹脂としては、例えばメラミン、尿素、ベンゾグ
アナミン等のアミノ化合物の1種又は2種以上の混合物
をホルムアルデヒドと反応させた縮合物、及びその縮合
物にメタノール、ブタノール等の低級アルコールを反応
させたアルキルエーテル化メラミン樹脂等が挙げられ
る。このようなアルキルエーテル化メラミン樹脂の数平
均分子量は、400〜1,200であるのが好ましい。
【0103】特に、トリアジン環1個当たり平均で0〜
1個のイミノ基を有するアミノ樹脂が好ましく、特に平
均で0〜0.2個のイミノ基を有するアミノ樹脂が好ま
しい。イミノ基以外の部分はアルキルエーテル基等が結
合している。トリアジン環1個当たりのイミノ基の平均
個数が1を超えると、トップコート組成物のヒドロシリ
ル化反応を阻害し、塗膜硬度が低下する。なお、このト
リアジン環1個当たりのイミノ基の平均個数は、元素分
析により求めた炭素、水素及び窒素の重量比と、H−
NMRから求められるNH/−NCHORのモル比と
から算出する。
【0104】(2)ブロックポリイソシアネート化合物 ブロックポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメ
チレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族多官能
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPD
I)等の脂環族多官能イソシアネート、及びジフェニル
メタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)や水添
MDI等のポリイソシアネート化合物の官能基を部分的
又は完全にブロックしたものが挙げられる。
【0105】(3)エポキシ樹脂用硬化剤 エポキシ樹脂用硬化剤としては、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラアミン、エチルアミノプロピル
アミン等の鎖状脂肪族ポリアミン、環状脂肪族ポリアミ
ン、脂肪族ポリアミンアダクト、ケチミン、変性脂肪族
ポリアミン、ポリアミドアミン、芳香族アミン、芳香族
変性アミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリ
アミン、芳香族変性ポリアミン、第三級アミン系硬化
剤、メルカプタン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、エチレ
ン−無水マレイン酸共重合体等の酸無水物基を有する共
重合体、フェノール樹脂初期縮合物等のフェノール性水
酸基を有する化合物、ジシアンジアミド、三弗化珪素−
アミン錯化合物等の三弗化珪素系複合物等が挙げられ
る。これらの硬化剤の中では、ジシアンジアミド、ジア
ミノジフェニルメタン、三弗化珪素−アミン錯化合物が
好ましい。
【0106】(B)官能性樹脂 ベースコート組成物に用いる官能性樹脂は、官能性基と
して上述の架橋剤との反応部位となる水酸基を一分子中
に少なくとも2個含有する樹脂であり、例えば水酸基含
有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂、エポキ
シ樹脂、水酸基含有フッ素樹脂、水酸基含有アミド樹脂
等が挙げられる。これらの中では、水酸基含有アクリル
樹脂、エポキシ樹脂及び水酸基含有ポリエステル樹脂が
好ましい。このような官能性樹脂は水性及び溶剤型のい
ずれでも使用することができる。
【0107】(1) 水酸基含有アクリル樹脂 水酸基含有アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸ヒド
ロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、N−メチロール
アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エス
テル系モノマー、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシル基
を有するエチレン性不飽和モノマー、及び(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル
酸n−ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル等の少なくとも1種(但し、用いるモノマーのうち少
なくとも1種は水酸基を含有するものでなければならな
い。)を通常の方法により重合することにより得ること
ができる。
【0108】さらに上述のモノマーに、共重合可能な
(メタ)アクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリ
ル酸アミド、ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチ
ルプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリ
ルアミド、ジアセトンアクリルアミド等を配合すること
ができる。
【0109】水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量は
1,800〜100,000とするのが好ましい。数平
均分子量が1,800未満では塗膜中の架橋が十分でな
いため、耐酸性及び耐擦傷性が低く、一方100,00
0を超えると塗料の粘度が高くなり、平滑性等に優れた
塗膜外観が得られない。
【0110】水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は20
〜200であるのが好ましい。水酸基価が20未満では
塗膜の密着性及び塗料の硬化性が低く、一方200を超
えると残存する水酸基によって耐水性及び耐酸性が低下
する。また水酸基含有アクリル樹脂の酸価は5〜150
であるのが好ましい。酸価が5未満では塗膜が十分に硬
化せず、また150を超えると塗料の貯蔵安定性が低下
するとともに、硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が
悪くなる。
【0111】水酸基含有アクリル樹脂を水性とする場合
には、揮発性塩基で部分的又は完全に中和する。揮発性
塩基としてはアンモニアもしくはアミンが好ましい。特
に好ましいアミンとしては、モノプロピルアミン、モノ
ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリ
エチルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミ
ン、エチルモノエタノールアミン、ジメチルアミノエタ
ノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、
シクロヘキシルアミン、モルホリン、ピペリジン等の第
1級、第2級及び第3級アミンが挙げられる。
【0112】(2)水酸基含有ポリエステル樹脂 水酸基含有ポリエステル樹脂は多価アルコールと多塩基
酸又はその無水物とを重縮合(エステル化)して得られ
る。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘ
キサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレング
リコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、ペンタエリトリット、ジペンタエリ
トリット等が挙げられる。また多塩基酸又はその無水物
としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、
ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。
【0113】水酸基含有ポリエステル樹脂の数平均分子
量は200〜10,000であるのが好ましい。数平均
分子量が200未満では塗膜中の架橋が十分でないた
め、耐酸性及び耐擦傷性が低く、一方10,000を超
えると塗料の粘度が高くなり、平滑性等に優れた塗膜外
観が得られない。より好ましい数平均分子量は300〜
6,000である。
【0114】水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基価は
50〜350であるのが好ましい。水酸基価が50未満
では塗膜の密着性及び塗料の硬化性が低く、一方350
を超えると残存する水酸基によって耐水性及び耐酸性が
低下する。より好ましい水酸基価は70〜280であ
る。また水酸基含有ポリエステル樹脂の酸価は3〜10
0であるのが好ましい。酸価が3未満では塗膜が十分に
硬化せず、また100を超えると塗料の貯蔵安定性が低
下するとともに、硬化速度が大きくなるため、塗膜外観
が悪くなる。より好ましい酸価は5〜50である。
【0115】なお、水酸基含有ポリエステル樹脂を水性
とする場合には、水酸基含有ポリエステル樹脂を上述の
揮発性塩基で部分的又は完全に中和すればよい。
【0116】(3)エポキシ樹脂 エポキシ樹脂としては、各種のビスフェノール型エポキ
シ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂の数平均分子量は
300〜5,000であるのが好ましい。数平均分子量
が300未満では塗膜中の架橋が十分でないため、耐酸
性及び耐擦傷性が低く、一方5,000を超えると塗料
の粘度が高くなり、平滑性等に優れた塗膜外観が得られ
ない。
【0117】エポキシ樹脂のエポキシ当量は200〜
2,000であるのが好ましい。エポキシ当量が200
未満では耐薬品性及び塗料の硬化性が低く、一方2,0
00を超えると耐水性が低下する。
【0118】なお、エポキシ樹脂を水性とする場合に
は、エポキシ樹脂を上述の揮発性塩基で部分的又は完全
に中和すればよい。
【0119】(4)架橋剤と官能性樹脂の配合割合 樹脂固形分換算で架橋剤が10〜50重量%となるよう
に(官能性樹脂が90〜50重量%となるように)、架
橋剤と官能性樹脂とを配合する。架橋剤が10重量%未
満では(官能性樹脂が90重量%を超える場合には)、
塗膜中の架橋が十分でないため、耐酸性及び耐擦傷性が
低い。一方架橋剤が50重量%を超えると(官能性樹脂
が50重量%未満では)、塗料の貯蔵安定性が低下する
とともに、硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が悪く
なる。
【0120】(C)溶剤 ベースコート組成物を溶剤型塗料として用いる場合に
は、ソルベッソ100、ソルベッソ150等の脂肪族炭
化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸
エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、アセトン、イソホロン等
のケトン類の溶剤を単独で又は混合して用いることがで
きる。また水溶性又は水分散型の水性塗料として用いる
場合には、酢酸カービトル、ブチルカービトル等のエー
テル類、メタノール、ブタノール、イソプロパノール、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブ
チルエーテルアセテート等のアルコール類等の親水性有
機溶剤を水と併用することができる。
【0121】(D)顔料 顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、鉛
白、黒鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化クロム、クロム酸
亜鉛、クロム酸ストロンチウム、クロム酸バリウム、黄
色ニッケルチタン、黄色クロムチタン、酸化鉄、黄色酸
化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、フタロシアニンブル
ー、フタロシアニングリーン、ウルトラマリンブルー、
キナクリドン類、インダンスロン、イソインドリノン、
ペリレン、アンスラピリミジン、ベンズイミダゾロン、
硫化カドミウム、ジケトピロロピロール等の着色顔料、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、
ケイ酸、ケイ酸塩、酸化アルミニウム水和物、硫酸カル
シウム等の体質顔料、及び各種金属箔、チタンマイ
カ、硫化コバルト、硫化マンガン、硫化チタン、箔状フ
タロシアニンブルー等のメタリックもしくは光輝性顔料
がある。ベースコート組成物は、顔料のタイプによりメ
タリック及びソリッドタイプに大別される。顔料/樹脂
固形分の重量比は、0.01/1〜1/1であるのが好
ましい。
【0122】(E)その他の添加物 ベースコート組成物には、必要に応じて酸触媒、ベンゾ
フェノン系の紫外線吸収剤、フェノール系及びスルファ
イド系の酸化防止剤、シリコーンや有機高分子等の表面
調整剤、タレ止め剤、増粘剤等を0.1〜5重量%程度
添加することができる。
【0123】[2]複層塗膜形成方法 ベースコート及びトップコート(又はトップコート+オ
ーバーコート)よりなる複層塗膜を形成する塗装方法は
従来法と同じでよい。例えば自動車ボディの場合を例に
とると、化成処理した鋼板に電着塗料を電着塗装し、必
要に応じてその上に中塗り塗料を塗装したものを被塗物
とする。被塗物にベースコート組成物を塗布し、セッテ
ィングした後にウェット−オン−ウェット方式でトップ
コート組成物の塗装を行うのが好ましい。またトップコ
ート組成物の塗装の後で、好ましくは透明なオーバーコ
ート組成物を塗装することもできる。ベースコート、ト
ップコート(及びオーバーコート)の焼付けは同時に行
っても良いし、また順次行っても良い。すなわち、3コ
ート1ベーク、2コート1ベーク、3コート3ベーク、
2コート2ベーク方式等で複層塗膜を形成することがで
きる。なお、ベースコートに水性塗料を用いて2コート
1ベーク方式で塗膜形成を行う場合には、ベースコート
組成物の塗布後セッティングする代わりに、100℃以
下(例えば80℃)で10分間程度プレヒートするのが
好ましい。
【0124】塗装方法は、特に限定されないが、エアー
スプレー塗装、静電塗装等が好ましい。またベースコー
トの乾燥膜厚は10〜30μmが好ましく、トップコー
トの乾燥膜厚は20〜50μmが好ましく、オーバーコ
ートの乾燥膜厚は20〜50μmが好ましい。焼付け温
度は120〜160℃が好ましく、焼付け時間は20〜
40分が好ましい。
【0125】また2コート2ベーク方式で塗膜形成を行
う場合には、トップコート組成物として紫外線等の高エ
ネルギー線硬化型や常温硬化型塗料を使用することがで
きる。その場合にも組成物へ光増感剤を添加したり、触
媒に配位早期反応を抑制する遅効剤添加を省略する等の
修飾が必要である。
【0126】
【実施例】本発明を以下の実施例及び比較例により詳細
に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではな
い。
【0127】製造例1 リン酸基及びアルケニル基含有アクリル樹脂(A−1)
の合成 攪拌機、温度計、還流冷却機、窒素ガス導入管及び滴下
ロートを具備した反応容器にキシレン150重量部を仕
込み、窒素ガスを導入しながら130℃に昇温した後、
下記混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下し
た。
【0128】 3−メチル−3−ブテニルメタクリレート 50重量部 シクロヘキセニルメチルメタクリレート 35重量部 2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン10重量部 2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部 アシッドホスホキシプロピルメタクリレート 5重量部
【0129】滴下終了後130℃で1時間熟成した後、
キシレン10重量部と2,2’−アゾビス(メチルイソ
ブチレート)0.5重量部を30分かけて滴下し、13
0℃で2時間熟成した後50℃まで冷却した。その後5
0℃、10mmHgで溶剤を除去して、不揮発分95.
2%のリン酸基及びアルケニル基を含有するアクリル樹
脂(A−1)を得た。
【0130】製造例2 リン酸基及びヒドロシリル基含有アクリル樹脂(A−
2)の合成 製造例1と同様の反応容器に、ソルベッソ100(エク
ソン社製)90重量部を仕込み、窒素ガスを導入しなが
ら130℃に昇温した後、下記構造式(23)のハイド
ロジェンポリシロキサンマクロモノマーA98重量部
と、アシッドホスホキシプロピルメタクリレート2重量
部と、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)1
0重量部との混合液を滴下ロートから3時間かけて等速
滴下した。次いで、製造例1と同様に熟成及び溶剤の除
去を行い、不揮発分85.3%のリン酸基/ヒドロシリ
ル基含有アクリル樹脂(A−2)を得た。構造式(2
3):
【化25】
【0131】製造例3 リン酸基、アルケニル基及びヒドロシリル基含有アクリ
ル樹脂(A−3)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕
込み、窒素ガスを導入しながら120℃に昇温した後、
下記混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下し
た。
【0132】 ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノマーB(1)43重量部 3−メチル−3−ブテニルメタクリレート 48重量部 2−エチルヘキシルメタクリレート 6重量部 2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部 アシッドホスホキシエチルメタクリレート 3重量部 注(1)構造式(24):
【化26】
【0133】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分86.3%のリン酸基、アル
ケニル基及びヒドロシリル基を含有するアクリル樹脂
(A−3)を得た。
【0134】製造例4 アルケニル基含有アクリル樹脂(A−4)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン150重量部を
仕込み、窒素ガスを導入しながら130℃に昇温した
後、下記混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下
した。
【0135】 3−メチル−3−ブテニルメタクリレート 50重量部 シクロヘキセニルメチルメタクリレート 40重量部 2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン10重量部 2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0136】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分95.2%のアルケニル基含
有アクリル樹脂(A−4)を得た。
【0137】製造例5 ヒドロシリル基含有アクリル樹脂(A−5)の合成 製造例1と同様の反応容器に、ソルベッソ100(エク
ソン社製)90重量部を仕込み、窒素ガスを導入しなが
ら130℃に昇温した後、製造例2で用いたのと同じハ
イドロジェンポリシロキサンマクロモノマーA100重
量部と、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)
10重量部との混合液を滴下ロートから3時間かけて等
速滴下した。次いで、製造例1と同様に熟成及び溶剤の
除去を行い、不揮発分85.3%のヒドロキシル基含有
アクリル樹脂(A−5)を得た。
【0138】製造例6 アルケニル基及びヒドロシリル基含有アクリル樹脂(A
−6)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕
込み、窒素ガスを導入しながら120℃に昇温した後、
下記混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下し
た。
【0139】 ハイドロジェンポリシロキサンマクロモノマーB(1)43重量部 3−メチル−3−ブテニルメタクリレート 48重量部 2−エチルヘキシルメタクリレート 9重量部 2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部 注(1)構造式(24)を有する。
【0140】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分86.3%のアルケニル基及
びヒドロシリル基を含有するアクリル樹脂(A−6)を
得た。
【0141】製造例7 リン酸基及びヒドロキシル基を含有するアクリル樹脂
(A−7)の合成 製造例1と同様の反応容器に、イソプロパノール50重
量部及びエトキシプロパノール50重量部を仕込み、窒
素ガスを導入しながら120℃に昇温した後、下記混合
液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。
【0142】 β−アシッドホスホキシエチルメタクリレート 10重量部 β−ヒドロキシエチルメタクリレート 10重量部 スチレン 10重量部 n−ブチルメタクリレート 18重量部 n−ブチルアクリレート 50重量部 メタクリル酸 2重量部 2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0143】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分50.0%のリン酸基及びヒ
ドロキシル基を含有するアクリル樹脂(A−7)を得
た。
【0144】製造例8 アルケニル基及びカルボキシル基を含有するアクリル樹
脂(A−8)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕
込み、窒素ガスを導入しながら130℃に昇温した後、
下記混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下し
た。
【0145】 3−メチル−3−ブテニルメタクリレート 50重量部 シクロヘキシルメタクリレート 35重量部 メタクリル酸 5重量部 2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン 10重量部 2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0146】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分88.1%のアルケニル基及
びカルボキシル基を含有するアクリル樹脂(A−8)を
得た。
【0147】製造例9 アルケニル基、エポキシ基及びアルコキシシリル基を含
有するアクリル樹脂(A−9)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕
込み、窒素ガスを導入しながら130℃に昇温した後、
下記混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下し
た。
【0148】 3−メチル−3−ブテニルメタクリレート 50重量部 シクロヘキシルメタクリレート 20重量部 グリシジルメタクリレート 10重量部 γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 10重量部 2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン 10重量部 2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0149】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分92.8%のアルケニル基、
エポキシ基及びアルコキシシリル基を含有するアクリル
樹脂(A−9)を得た。
【0150】製造例10 ヒドロキシル基及びカルボキシル基を含有するアクリル
樹脂(A−10)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕
込み、窒素ガスを導入しながら130℃に昇温した後、
下記混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下し
た。
【0151】 2−ヒドロキシプロピルメタクリレート 20重量部 メタクリル酸 5重量部 n−ブチルメタクリレート 50重量部 2−エチルヘキシルメタクリレート 15重量部 2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン 10重量部 2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0152】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分83.6%のヒドロキシル基
及びカルボキシル基を含有するアクリル樹脂(A−1
0)を得た。
【0153】製造例11 ヒドロキシル基、エポキシ基及びアルコキシシリル基を
含有するアクリル樹脂(A−11)の合成 製造例1と同様の反応容器に、キシレン90重量部を仕
込み、窒素ガスを導入しながら130℃に昇温した後、
下記混合液を滴下ロートから3時間かけて等速滴下し
た。
【0154】 グリシジルメタクリレート 20重量部 2−ヒドロキシプロピルメタクリレート 10重量部 γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 20重量部 2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン 10重量部 n−ブチルメタクリレート 20重量部 2−エチルヘキシルメタクリレート 20重量部 2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート) 10重量部
【0155】滴下終了後、製造例1と同様に熟成及び溶
剤の除去を行い、不揮発分85.2%のヒドロキシル
基、エポキシ基及びアルコキシシリル基を含有するアク
リル樹脂(A−11)を得た。
【0156】実施例1 リン酸亜鉛で化成処理した厚さ0.8mmのダル鋼板に
カチオン電着塗料(パワートップU−50、日本ペイン
ト(株)製)を乾燥膜厚が約25μmとなるように電着
塗装し、その上に中塗り塗料(オルガP−2シーラー、
日本ペイント(株)製)を乾燥膜厚が約40μmとなる
ようにエアースプレー塗装し、140℃で30分間焼き
付けた。
【0157】下記の水性メラミン樹脂メタリックベース
塗料(B−1)をフォードカップ#4で30秒に粘度を
調整し、エアースプレーで乾燥膜厚約15μmに2ステ
ージ塗装し、80℃で10分間プレヒートした。
【0158】
【0159】エチレングリコールモノブチルエーテル7
6重量部、スチレン15重量部、メタクリル酸メチル6
3重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル48重量
部、アクリル酸n−ブチル117重量部、メタクリル酸
27重量部、アクリルアミド30重量部、アゾビスイソ
ブチロニトリル3重量部、ジメチルエタノールアミン2
8重量部、及び脱イオン水200重量部。
【0160】次いで下記のトップコート組成物(T−
1)をソルベッソ100でフォードカップ#4で26秒
(20℃)に粘度を調整してウェットオンウェット方式
で塗装した(以下、同一条件で粘度調整を行った。)。
次いで140℃で30分間焼き付けて、乾燥膜厚40μ
mの試験片を得た。
【0161】
【化27】(2)2%イソプロピルアルコール(IP
A)溶液。 (3)エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレー
ト。
【0162】得られた試験片について、以下の方法によ
り耐擦傷性、耐酸性及び密着性を評価した。これらの結
果を表1に示す。
【0163】(1)耐擦傷性:クレンザーの50%水分
散液(ニューホーミングクレンザー、花王(株)製)1
gを含浸させた2cm×2cmのネル布を学振型染色摩
擦堅牢度試験機(大栄科学精機(株)製)の振動ヘッド
に装着し、試験片に500gの負荷で当接させながら1
0往復させた。その後テスト部の20゜グロスを測定
し、グロスリテンションを算出し、以下の基準に従って
評価した。 ○・・・グロスリテンションが85%以上であった。 △・・・グロスリテンションが70%以上85%未満で
あった。 ×・・・グロスリテンションが70%朱満であった。
【0164】(2)耐酸性:60℃において、40%の
硫酸水溶液0.2mlに15分間接触させた後に、塗膜
表面を目視により判定した。 ◎・・・異常がなっかった。 ○・・・わずかに痕跡がある。 △・・・痕跡が大きかった。 ×・・・異常が認められた。
【0165】(3)密着性 23℃、湿度50%の条件下に24時間以上放置した後
の塗膜の密着性(一次密着性)をJIS D0202
4.15に準拠して、ゴバン目試験により評価した。ま
た40℃の温水に10日間以上放置した後の塗膜の密着
性(二次密着性)を同様に評価した。 ○・・・100個中、剥離した数は0個であった。 △・・・100個中、剥離した数は1以上、50未満で
あった。 ×・・・100個中、剥離した数は50個以上であっ
た。
【0166】実施例2 トップコート組成物(T−1)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−2)を用いた以外は実施例1と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0167】
【0168】実施例3 実施例1と同様に被塗物を作製し、下記の溶剤型メタリ
ックベース塗料(B−2)をエアースプレーで乾燥膜厚
約15μmとなるように塗装し、約7分間セッティング
した。
【0169】
【0170】次いでトップコート組成物(T−3)をウ
ェットオンウェット方式で塗装した。次いで140℃で
30分間焼き付けて、乾燥膜厚40μmの試験片を作製
し、実施例1と同様に評価した。
【0171】
【化28】
【0172】実施例4 トップコート成物(T−3)の代わりに下記トップコー
ト組成物(T−4)を用いた以外は実施例3と同様に試
験片を作製し、評価した。
【0173】
【0174】実施例5 全面切削加工後に、切削面を半分残して金属小片(SU
S 430、0.6mmカットワイヤー)をショットブ
ラストしたアルミニウム合金板(AC4C(V)、15
0mm×70mm×6mm)をサーフクリナー53(日
本ペイント(株)製)を用いて脱脂し、クロム酸クロメ
ート処理(アルサーフ1000、日本ペイント(株)
製)した。次いで下記のトップコート組成物(T−5)
をスプレー塗装し、140℃で20分間焼き付けて、乾
燥膜厚約20μmの試験片を得た。
【0175】
【0176】実施例6 トップコート組成物(T−5)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−6)を用いた以外は実施例5と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0177】
【0178】実施例7 実施例1と同様に、中塗塗膜まで形成した被塗物を作製
した後、下記のトップコート組成物(T−7)を塗装し
た。次いで140℃で30分間焼き付けて、乾燥膜厚4
0μmの試験片を得た。
【0179】
【0180】実施例8 トップコート組成物(T−7)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−8)を用いた以外は実施例7と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0181】
【0182】実施例9 トップコート組成物(T−2)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−9)を用いた以外は実施例2と同様に
試験片を作製し、評価した。
【0183】
【0184】実施例10 トップコート組成物(T−2)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−10)を用いた以外は実施例2と同様
に試験片を作製し、評価した。
【0185】
【0186】実施例11 トップコート組成物(T−2)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−11)を用いた以外は実施例2と同様
に試験片を作製し、評価した。
【0187】
【0188】実施例12 トップコート組成物(T−2)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−12)を用いた以外は実施例2と同様
に試験片を作製し、評価した。
【0189】
【0190】実施例13 トップコート組成物(T−2)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−13)を用いた以外は実施例2と同様
に試験片を作製し、評価した。
【0191】
【0192】実施例14 トップコート組成物(T−1)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−14)を用いた以外は実施例1と同様
に試験片を作製し、評価した。
【0193】
【0194】実施例15 トップコート組成物(T−1)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−15)を用いた以外は実施例1と同様
に試験片を作製し、評価した。
【0195】
【0196】比較例1 トップコート組成物(T−1)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−16)を用いた以外は実施例1と同様
に試験片を作製し、評価した。
【0197】
【0198】比較例2 トップコート組成物(T−3)の代わりに比較例1で用
いたトップコート組成物(T−16)を用いた以外は実
施例3と同様に試験片を作製し、評価した。
【0199】比較例3 トップコート組成物(T−5)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−17)を用いた以外は実施例5と同様
に試験片を作製し、評価した。
【0200】
【0201】比較例4 トップコート組成物(T−7)の代わりに下記トップコ
ート組成物(T−18)を用いた以外は実施例7と同様
に試験片を作製し、評価した。
【0202】
【0203】実施例1〜15及び比較例1〜4の評価結
果を下記の表1に示す。
【0204】表1から明らかなように、実施例1〜15
の塗膜は、耐擦傷性、耐酸性及び密着性に優れている。
一方比較例1〜4の塗膜は密着性が劣っている。
【0205】本発明の好ましい実施態様として、以下の
ものが挙げられる。 (1)複数のアルケニル基を有する化合物が、アルケニ
ル基含有ポリエーテル樹脂、アルケニル基含有アクリル
樹脂、アルケニル基含有ポリエステル樹脂、アルケニル
基含有ポリカーボネート樹脂、又はアルケニル基含有エ
ポキシ樹脂であることを特徴とする塗料組成物。 (2)複数のアルケニル基を有する化合物がアルケニル
基含有アクリル樹脂であることを特徴とする塗料組成
物。 (3)リン酸基含有化合物が、リン酸モノエステル又は
ジエステルのモノマーであることを特徴とする塗料組成
物。 (4)リン酸モノエステル又はジエステルのモノマー
が、1,000〜30,000の分子量を有するリン酸
エステル基含有重合体、又はエポキシ化合物とリン酸又
は酸性リン酸エステルとの付加物であることを特徴とす
る塗料組成物。 (5)リン酸エステルの配合量が0.05〜30重量部
(樹脂固形分基準)であることを特徴とする塗料組成
物。 (6)リン酸及び/又はリン酸エステルが、下記一般式
(18)、(20)及び(21):
【化29】(但し、Rは炭素数1〜18のアルキル基
であり、tは1又は2の整数である。)、
【化30】(但し、vは0又は1であり、uは1〜4の
整数であり、Rはu価のアルキル基又はアリール基で
あり、R10及びR15は水素原子、炭素数1〜24の
のアルキル基又はアリール基であり、R1112、R
13及びR14は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基
又は炭素数6〜7のアリール基である。なお、R〜R
15は同一であっても異なっていてもよい。)、及び
【化31】(但し、xは0又は1であり、wは1又は2
であり、R20及びR21は水素原子、炭素数1〜24
ののアルキル基又はアリール基であり、R16
17、R18及びR19は水素原子、炭素数1〜3の
アルキル基又は炭素数6〜7のアリール基である。な
お、R16〜R21は同一であっても異なっていてもよ
い。)により表されるものの少なくとも一種であること
を特徴とする塗料組成物。 (7)リン酸及び/又はリン酸エステルが、下記一般式
(18):
【化32】(但し、Rは炭素数1〜18のアルキル基
であり、tは1又は2である。)により表されることを
特徴とする塗料組成物。 (8)リン酸基を含有する化合物が、分子内にリン酸
基及び複数のヒドロシリル基を有する樹脂、分子内に
リン酸基及び複数のアルケニル基を有する樹脂、及び
分子内にリン酸基及び複数のヒドロシリル基及びアルケ
ニル基を有する樹脂からなる群から選ばれた少なくとも
1種であることを特徴とする塗料組成物。 (9)リン酸及び/又はリン酸エステルを、塗料組成物
中の樹脂固形分100重量部に対して、0.05〜30
重量部配合することを特徴とする塗料組成物。 (10)リン酸及び/又はリン酸エステルを、塗料組成
物中の樹脂固形分100重量部に対して、0.05〜1
0重量部配合することを特徴とする塗料組成物。 (11)リン酸基含有樹脂を、塗料組成物中の樹脂固形
分100重量部に対して、0.05〜100重量部配合
することを特徴とする塗料組成物。 (12)リン酸基含有樹脂を、塗料組成物中の樹脂固形
分100重量部に対して、0.05〜50重量部配合す
ることを特徴とする塗料組成物。 (13)官能基含有化合物(c)がアルケニル基及びヒ
ドロシリル基を含有しないリン酸基含有化合物であるこ
とを特徴とする塗料組成物。 (14)ヒドロシリル化触媒が白金、パラジウム、ロジ
ウム又はルテニウムの化合物であることを特徴とする塗
料組成物。 (15)ヒドロシリル化触媒が白金化合物であることを
特徴とする塗料組成物。 (16)白金化合物からなるヒドロシリル化触媒の添加
量が5〜10,000ppmであることを特徴とする塗
料組成物。 (17)ヒドロシリル基/アルケニル基の比が0.3〜
4であることを特徴とする塗料組成物。
【0206】
【発明の効果】ヒドロシリル基含有化合物とアルケニル
基含有化合物とのブレンド、又はヒドロシリル基とアル
ケニル基の両方を含有する自己架橋型樹脂を含有するト
ップコート組成物中に、少なくとも部分的にリン酸基、
ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基及びアル
コキシシリル基からなる群から選ばれた少なくとも1種
の官能基を存在させることにより、優れた硬化性、耐酸
性、耐擦傷性等を保持したまま、下地密着性を改善する
ことができる。またこのような官能基が存在するトップ
コート組成物からなる塗膜は再塗装性(リコート性)に
優れている。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) (i) 複数のヒドロシリル基を有する
    少なくとも一種の化合物と複数のアルケニル基を有する
    少なくとも一種の化合物とのブレンド、及び/又は(ii)
    複数のヒドロシリル基及び複数のアルケニル基を併有す
    る少なくとも一種の化合物と、(b) 触媒量のヒドロシリ
    ル化触媒とを含有し、前記(a) の化合物の少なくとも一
    部が、リン酸基及び/又はアルコキシシリル基を、前記
    (a) 成分に対して固形分基準で0.001 〜5mol/kg含有す
    ることを特徴とする塗料組成物。
  2. 【請求項2】 (a) (i) 複数のヒドロシリル基を有する
    少なくとも一種の化合物と複数のアルケニル基を有する
    少なくとも一種の化合物とのブレンド、及び/又は(ii)
    複数のヒドロシリル基及び複数のアルケニル基を併有す
    る少なくとも一種の化合物と、(b) 触媒量のヒドロシリ
    ル化触媒と、(c) リン酸、リン酸エステル、カルボキシ
    ル基含有双性イオン型化合物、及びヒドロキシル基、カ
    ルボキシル基、エポキシ基、アルコキシシリル基及びア
    ミノ基の少なくとも一種の官能基を有する化合物からな
    る群から選ばれた少なくとも1種とを含有することを特
    徴とする塗料組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の塗料組成物において、
    さらに(c) リン酸、リン酸エステル、カルボキシル基含
    有双性イオン型化合物、及びヒドロキシル基、カルボキ
    シル基、エポキシ基、アルコキシシリル基及びアミノ基
    の少なくとも一種の官能基を有する化合物からなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする
    塗料組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の塗料組成物において、
    前記複数のヒドロシリル基を有する化合物が、(i) 一般
    式: 【化1】 (但し、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基
    又はフェネチル基であり、R2 は水素原子、炭素数1〜
    6のアルキル基、フェニル基又はフェネチル基であり、
    aは2〜200 の数である。)で表される構造単位を有
    し、かつ一分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を
    含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
    /又は(ii)一般式: 【化2】 (但し、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基
    又はフェネチル基であり、R2 は水素原子、炭素数1〜
    6のアルキル基、フェニル基又はフェネチル基であり、
    bは1〜30の数である。)で表される構造単位を有し、
    かつ一分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有す
    るとともに、シロキサン骨格の途中又は末端に少なくと
    も1つの(メタ)アクリロイルオキシアルキレン基を有
    するハイドロジェンポリシロキサンマクロモノマーの単
    独重合体又は共重合体(但し、アルケニル基は含まな
    い。)であることを特徴とする塗料組成物。
  5. 【請求項5】 被塗物上にトップコート組成物として請
    求項1〜4のいずれかに記載の塗料組成物を塗布するこ
    とを特徴とする塗膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の塗膜の形成方法におい
    て、被塗物上にベースコート組成物を塗装し、その上に
    前記トップコート組成物を塗装し、両者を別々又は同時
    に硬化させることにより塗膜を形成することを特徴とす
    る方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の塗膜の形成方法におい
    て、前記ベースコート組成物が、(d) トリアジン環1個
    当たり0〜1個のイミノ基を有するアミノ樹脂及び(e)
    前記アミノ樹脂と反応し得る官能性樹脂とを含有するこ
    とを特徴とする塗膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7のいずれかに記載の塗膜の
    形成方法において、被塗物が金属、プラスチック、電着
    塗膜又は中塗り塗膜からなることを特徴とする塗膜の形
    成方法。
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