JPH09124701A - 多糖誘導体 - Google Patents
多糖誘導体Info
- Publication number
- JPH09124701A JPH09124701A JP28554095A JP28554095A JPH09124701A JP H09124701 A JPH09124701 A JP H09124701A JP 28554095 A JP28554095 A JP 28554095A JP 28554095 A JP28554095 A JP 28554095A JP H09124701 A JPH09124701 A JP H09124701A
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- Japan
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- water
- polysaccharide
- polymer
- group
- substituent
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Abstract
(57)【要約】
【課題】多糖を原料として、熱可塑性と吸水性を併せ持
った材料を開発すること。 【解決手段】多糖のエ−テル化によって得られる水溶性
高分子に対し、適当な大きさの疎水性原子団を適当量導
入する。
った材料を開発すること。 【解決手段】多糖のエ−テル化によって得られる水溶性
高分子に対し、適当な大きさの疎水性原子団を適当量導
入する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の多糖誘導体は、医療材料
や吸水材など、さまざまな産業分野で利用できる。
や吸水材など、さまざまな産業分野で利用できる。
【0002】
【従来の技術】吸水性を有する高分子材料は、多用途へ
の展開の可能性が大きく、工業的に重要である。たとえ
ばコンタクトレンズや人工血管、人工臓器に代表される
医療材料、衛生材料などである。通常、水に溶けない
が、吸水性を有する材料を設計する場合、もともと水溶
性を示す高分子に架橋剤を加えたり、何等かの反応によ
って架橋結合を形成することのできる原子団を最初から
水溶性高分子に導入しておくことが必要である。このよ
うな方法でいったん架橋を形成したものは流動性を欠く
ため、熱成型はできない。これに対して、吸水性と熱可
塑性を兼ね備えたものがサ−モプラスチックヒドロゲル
である。サ−モプラスチック性を付与することにより、
溶媒を用いることなく、短時間で加工することが可能と
なり、成型品を作るにしても、接着、粘着剤などとして
用いるにしても、工業的製造のコストを著しく低減でき
る。しかしこのような材料はまだ一般化しているわけで
はなく、開発の段階にある。合成高分子としては、G.
Gordon Brookの論文(G.Gordon
Brook, British Polymer Jo
urnal 23(1990)257)に紹介された高
分子が最初のものであったが、多糖を主成分として含む
ものは報告されたことがなかった。多糖を原料にすると
いうことは、該材料が、環境分解性を持つ、生体適合性
が良好である、燃焼熱が小さい、原料選択の余地が広い
など、様々の利点につながる。にもかかわらず今までこ
のような材料が開発されていなかったのは、多糖が、そ
の構造の複雑さ、極性官能基を有することなどのため熱
可塑性を付与することが難しく、また熱分解しやすいた
め、加工温度をあまり高くできなかったこと、一方、セ
ルロ−スアセテ−トプロピオネ−トやセルロ−スアセテ
−トブチレ−トなどのように疎水性置換基を導入すれば
熱可塑性は発現するが、親水性を失うという問題があっ
たからである。また、セルロ−スのヒドロキシアルキル
誘導体にさらに疎水性原子団を導入したものとして、H
MHEC(疎水化ヒドロキシエチルセルロ−ス)、HP
MC(ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス)などが知
られている。しかし、これらはあくまで水溶性の高分子
であるHECやHPCを疎水化し、水溶液の粘性を変化
させるなどの目的で作られた物であり、熱可塑性を目的
としたものではない。したがって、HMHECの場合、
比較的長鎖の炭化水素基を少量導入したものである。例
えば、特公平1−28041には、疎水基が10〜24
の炭素原子を有し、その水にたいする溶解性が1重量%
以上であるセルロ−スエ−テルがクレ−ムされており、
増粘作用、界面活性などに特徴がある。一方、特公平1
−2804には同じ疎水基を8重量%以下含有し、水に
解けないものがクレ−ムされている。また米国特許30
91542、3272640、3435027、382
4085、3960514も水溶性セルロ−ス誘導体の
化学修飾について述べているが、これらは、実質的に溶
解速度のコントロ−ルや、界面活性の発現を目指したも
ので、置換度が低く熱可塑性を示さなかったり、逆に置
換度が極めて高く親水性に乏しいものであり、前述の特
性を合せ持つものは知られていなかった。
の展開の可能性が大きく、工業的に重要である。たとえ
ばコンタクトレンズや人工血管、人工臓器に代表される
医療材料、衛生材料などである。通常、水に溶けない
が、吸水性を有する材料を設計する場合、もともと水溶
性を示す高分子に架橋剤を加えたり、何等かの反応によ
って架橋結合を形成することのできる原子団を最初から
水溶性高分子に導入しておくことが必要である。このよ
うな方法でいったん架橋を形成したものは流動性を欠く
ため、熱成型はできない。これに対して、吸水性と熱可
塑性を兼ね備えたものがサ−モプラスチックヒドロゲル
である。サ−モプラスチック性を付与することにより、
溶媒を用いることなく、短時間で加工することが可能と
なり、成型品を作るにしても、接着、粘着剤などとして
用いるにしても、工業的製造のコストを著しく低減でき
る。しかしこのような材料はまだ一般化しているわけで
はなく、開発の段階にある。合成高分子としては、G.
Gordon Brookの論文(G.Gordon
Brook, British Polymer Jo
urnal 23(1990)257)に紹介された高
分子が最初のものであったが、多糖を主成分として含む
ものは報告されたことがなかった。多糖を原料にすると
いうことは、該材料が、環境分解性を持つ、生体適合性
が良好である、燃焼熱が小さい、原料選択の余地が広い
など、様々の利点につながる。にもかかわらず今までこ
のような材料が開発されていなかったのは、多糖が、そ
の構造の複雑さ、極性官能基を有することなどのため熱
可塑性を付与することが難しく、また熱分解しやすいた
め、加工温度をあまり高くできなかったこと、一方、セ
ルロ−スアセテ−トプロピオネ−トやセルロ−スアセテ
−トブチレ−トなどのように疎水性置換基を導入すれば
熱可塑性は発現するが、親水性を失うという問題があっ
たからである。また、セルロ−スのヒドロキシアルキル
誘導体にさらに疎水性原子団を導入したものとして、H
MHEC(疎水化ヒドロキシエチルセルロ−ス)、HP
MC(ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス)などが知
られている。しかし、これらはあくまで水溶性の高分子
であるHECやHPCを疎水化し、水溶液の粘性を変化
させるなどの目的で作られた物であり、熱可塑性を目的
としたものではない。したがって、HMHECの場合、
比較的長鎖の炭化水素基を少量導入したものである。例
えば、特公平1−28041には、疎水基が10〜24
の炭素原子を有し、その水にたいする溶解性が1重量%
以上であるセルロ−スエ−テルがクレ−ムされており、
増粘作用、界面活性などに特徴がある。一方、特公平1
−2804には同じ疎水基を8重量%以下含有し、水に
解けないものがクレ−ムされている。また米国特許30
91542、3272640、3435027、382
4085、3960514も水溶性セルロ−ス誘導体の
化学修飾について述べているが、これらは、実質的に溶
解速度のコントロ−ルや、界面活性の発現を目指したも
ので、置換度が低く熱可塑性を示さなかったり、逆に置
換度が極めて高く親水性に乏しいものであり、前述の特
性を合せ持つものは知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は多糖を
原料として、熱可塑性と吸水性を併せ持った材料を開発
することにある。
原料として、熱可塑性と吸水性を併せ持った材料を開発
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、多糖をエ−テル化によって変性して得られる水溶
性高分子に対し、適当な大きさの疎水性原子団を適当量
導入することにより、目的とする物性を実現できること
を見出だした。
結果、多糖をエ−テル化によって変性して得られる水溶
性高分子に対し、適当な大きさの疎水性原子団を適当量
導入することにより、目的とする物性を実現できること
を見出だした。
【0005】
【発明の構成】即ち本発明は主置換基としてヒドロキシ
アルキル基を有し、その置換度(MS)が1.5以上、
10.0未満であり、さらに炭素原子2個以上、10個
未満よりなる炭化水素基を含む副置換基を有し、その炭
化水素残基の重量含量が、全体の1.0%以上、10.
0%未満であることを特徴とする多糖誘導体よりなる。
アルキル基を有し、その置換度(MS)が1.5以上、
10.0未満であり、さらに炭素原子2個以上、10個
未満よりなる炭化水素基を含む副置換基を有し、その炭
化水素残基の重量含量が、全体の1.0%以上、10.
0%未満であることを特徴とする多糖誘導体よりなる。
【0006】本発明の多糖とは、糖残基がグリコシド結
合によって重合したもので、数平均重合度10以上のも
のならいかなるものであっても良いが、実用物性からす
れば50以上のものが好ましい。多糖を構成する糖残基
の種類は単一であっても複数であってもよく、そのグリ
コシド結合の様式、いわゆるαかβかは問わない。ま
た、天然多糖、合成多糖のいずれであっても良い。ただ
し、実用性においては、原料の入手し易さ、高分子材料
としての物理的特性などの見地から、グルコ−スを主成
分とする天然多糖、即ちデンプン(アミロ−スも含
む)、デキストラン、プルラン、セルロ−スが好まし
く、さらに好ましくは、セルロ−スである。
合によって重合したもので、数平均重合度10以上のも
のならいかなるものであっても良いが、実用物性からす
れば50以上のものが好ましい。多糖を構成する糖残基
の種類は単一であっても複数であってもよく、そのグリ
コシド結合の様式、いわゆるαかβかは問わない。ま
た、天然多糖、合成多糖のいずれであっても良い。ただ
し、実用性においては、原料の入手し易さ、高分子材料
としての物理的特性などの見地から、グルコ−スを主成
分とする天然多糖、即ちデンプン(アミロ−スも含
む)、デキストラン、プルラン、セルロ−スが好まし
く、さらに好ましくは、セルロ−スである。
【0007】ここで主置換基と呼ぶものは、炭素数が
2,3又は4、好ましくは2又は3よりなるヒドロキシ
アルキル基であり、その結合量は、置換度(MS)にし
て1.5以上、10.0未満である。この範囲以下では
目的とする物質の熱可塑性が低く、この範囲以上では多
糖としての特徴即ち、生分解性、物理的強度などが失わ
れる。主置換基の化学構造は上記の条件を満たすもので
あれば、いかなるものであっても良い。実用上は多糖に
対し、種々のエポキシドを反応することによって導入で
きるものが好ましいが、対応するβ−ヒドロキシアルキ
ルハライドもしくはβ−ヒドロキシアルキルスルホネ−
トを用いても良い。エポキシドについて具体的に例示す
るなら、エチレンオキサイドを用いれば2−ヒドロキシ
エチル基を、プロピレンオキサイドを用いれば2−ヒド
ロキシプロピル基あるいは1−ヒドロキシ−2−プロピ
ル基を、イソブチレンオキサイドを用いれば2−ヒドロ
キシ−2−メチルプロピル基を導入することができる。
またこれらの置換基を何種類か混合して含むこともでき
る。反応条件は、所定の置換基を導入できるものであれ
ばいかなるものであっても良いが、通常は水酸化ナトリ
ウム等の塩基性化合物を共存させる方法が一般的であ
る。そのような反応には、所望の反応を達成させるもの
であればいかなる単一あるいは混合溶媒を用いても良
い。また、温度、圧力も同様にいかなるものであっても
良いが、一般にアルケンオキサイド類は沸点が低いの
で、工業生産には加圧反応が有利な場合もある。通常こ
のような反応を行うと、当初ヒドロキシアルキル基は多
糖の水酸基の水素を置換するが、そのうち既に多糖に結
合したヒドロキシアルキル基の水酸基の水素を置換し、
アルケンオキサイドの多量体を結合した構造がある割合
で生成する。その割合によって目的とする生成物の物性
も変化するが、本発明においては、本発明の機能を損ね
るものでなければ、その割合は問わない。
2,3又は4、好ましくは2又は3よりなるヒドロキシ
アルキル基であり、その結合量は、置換度(MS)にし
て1.5以上、10.0未満である。この範囲以下では
目的とする物質の熱可塑性が低く、この範囲以上では多
糖としての特徴即ち、生分解性、物理的強度などが失わ
れる。主置換基の化学構造は上記の条件を満たすもので
あれば、いかなるものであっても良い。実用上は多糖に
対し、種々のエポキシドを反応することによって導入で
きるものが好ましいが、対応するβ−ヒドロキシアルキ
ルハライドもしくはβ−ヒドロキシアルキルスルホネ−
トを用いても良い。エポキシドについて具体的に例示す
るなら、エチレンオキサイドを用いれば2−ヒドロキシ
エチル基を、プロピレンオキサイドを用いれば2−ヒド
ロキシプロピル基あるいは1−ヒドロキシ−2−プロピ
ル基を、イソブチレンオキサイドを用いれば2−ヒドロ
キシ−2−メチルプロピル基を導入することができる。
またこれらの置換基を何種類か混合して含むこともでき
る。反応条件は、所定の置換基を導入できるものであれ
ばいかなるものであっても良いが、通常は水酸化ナトリ
ウム等の塩基性化合物を共存させる方法が一般的であ
る。そのような反応には、所望の反応を達成させるもの
であればいかなる単一あるいは混合溶媒を用いても良
い。また、温度、圧力も同様にいかなるものであっても
良いが、一般にアルケンオキサイド類は沸点が低いの
で、工業生産には加圧反応が有利な場合もある。通常こ
のような反応を行うと、当初ヒドロキシアルキル基は多
糖の水酸基の水素を置換するが、そのうち既に多糖に結
合したヒドロキシアルキル基の水酸基の水素を置換し、
アルケンオキサイドの多量体を結合した構造がある割合
で生成する。その割合によって目的とする生成物の物性
も変化するが、本発明においては、本発明の機能を損ね
るものでなければ、その割合は問わない。
【0008】本発明において副置換基とよぶものは、多
糖が本来もっている水酸基あるいは、主置換基の水酸基
の水素原子を置換するもので、−R(以下アルキル基と
略するが、飽和炭化水素基のみを意味するものではな
い))あるいは−XRの構造を持つ。ここにRは炭素数
2以上、10未満より成る炭化水素基であり、さらに置
換基としてのヘテロ原子を含んでも良い。Xは−CON
H−(以下カルバモイル基と略)、−CO2−(以下オ
キシカルボニル基と略)、−CO−(以下アシル基と
略)、−CHR´CR´´OH−(以下、ヒドロキシア
ルキル基と略。R´、R´´はいずれも水素あるいは炭
素数2以下より成る炭化水素基)である。本発明におい
ては、これらの副置換基を単独あるいは混合して含有
し、その結合量は、該サ−モプラスチックハイドロゲル
にたいする炭化水素基の重量含量にして1.0%以上、
20%未満である。炭化水素基含量がこれより小さい
と、熱可塑性が低く(別な見方では軟化温度が高く、ま
た同じ温度であれば流動性が悪く)なる。一方、炭化水
素基含量がこれより大きいと、軟化点が低過ぎて、強度
を欠いたり、親水性を失ったりする。本発明のサ−モプ
ラスチックハイドロゲルにおいては、その必要物性をそ
こなわない限りにおいて、該主置換基および副置換基以
外の原子団を含有しても良い。
糖が本来もっている水酸基あるいは、主置換基の水酸基
の水素原子を置換するもので、−R(以下アルキル基と
略するが、飽和炭化水素基のみを意味するものではな
い))あるいは−XRの構造を持つ。ここにRは炭素数
2以上、10未満より成る炭化水素基であり、さらに置
換基としてのヘテロ原子を含んでも良い。Xは−CON
H−(以下カルバモイル基と略)、−CO2−(以下オ
キシカルボニル基と略)、−CO−(以下アシル基と
略)、−CHR´CR´´OH−(以下、ヒドロキシア
ルキル基と略。R´、R´´はいずれも水素あるいは炭
素数2以下より成る炭化水素基)である。本発明におい
ては、これらの副置換基を単独あるいは混合して含有
し、その結合量は、該サ−モプラスチックハイドロゲル
にたいする炭化水素基の重量含量にして1.0%以上、
20%未満である。炭化水素基含量がこれより小さい
と、熱可塑性が低く(別な見方では軟化温度が高く、ま
た同じ温度であれば流動性が悪く)なる。一方、炭化水
素基含量がこれより大きいと、軟化点が低過ぎて、強度
を欠いたり、親水性を失ったりする。本発明のサ−モプ
ラスチックハイドロゲルにおいては、その必要物性をそ
こなわない限りにおいて、該主置換基および副置換基以
外の原子団を含有しても良い。
【0009】この副置換基を導入する方法は、本発明の
化合物を与えるものであればいかなるものであっても良
い。代表的な手法を例示するなら、カルバモイル基を導
入するためには、イソシアン酸エステルと反応させる。
このとき、ピリジンなどの三級アミン塩基やスズ塩など
のルイス酸を触媒に用いることが有効である。アシル
基、オキシカルボニル基を導入するためには、アシルハ
ライド、アシルイミダゾ−ル、酸無水物、アルケニルカ
ルボキシレ−ト、アルキリデンジカルボキシレ−ト等、
一般にアシル化剤といわれるものを作用させる。このと
きやはり、ピリジンなどの三級アミンや酸触媒が反応を
促進する上で有効である。また、最近カルボン酸に無水
トリフルオロ酢酸、塩化トルエンスルホニルなどの脱水
剤(実際には混合無水物を経る)を併用する方法もあ
る。ヒドロキシアルキル基を導入するための常法は、ア
ルカリの存在下、エポキシ化合物あるいはその等価体で
あるβ−ヒドロキシアルキルハライドもしくはスルホネ
−トをを作用させるものである。このエポキシ化合物が
非対象に置換基を持つ場合、二種類の反応形式が考えら
れるが、本発明においてはその如何を問わない。アルキ
ル基を導入する場合には、対応するアルキル化剤(一般
的にはハロゲン化物、硫酸あるいはスルホン酸エステ
ル)をアルカリ存在下に反応させるのが容易な方法であ
る。特殊な場合として、無水の条件下において、イソブ
テンやイソプロペニルベンゼンを酸触媒によって作用さ
せるという方法もある。副置換基を導入する反応は、い
ったん主置換基を導入し、生成物を単離した後におこな
っても良いが、反応条件の如何によっては、主置換基導
入反応の系でそのまま並行して副置換基を導入すること
もでき、このことは工業生産においてはきわめて有利で
ある。また、主、副の反応順序の入れ替えが可能な場合
もある。
化合物を与えるものであればいかなるものであっても良
い。代表的な手法を例示するなら、カルバモイル基を導
入するためには、イソシアン酸エステルと反応させる。
このとき、ピリジンなどの三級アミン塩基やスズ塩など
のルイス酸を触媒に用いることが有効である。アシル
基、オキシカルボニル基を導入するためには、アシルハ
ライド、アシルイミダゾ−ル、酸無水物、アルケニルカ
ルボキシレ−ト、アルキリデンジカルボキシレ−ト等、
一般にアシル化剤といわれるものを作用させる。このと
きやはり、ピリジンなどの三級アミンや酸触媒が反応を
促進する上で有効である。また、最近カルボン酸に無水
トリフルオロ酢酸、塩化トルエンスルホニルなどの脱水
剤(実際には混合無水物を経る)を併用する方法もあ
る。ヒドロキシアルキル基を導入するための常法は、ア
ルカリの存在下、エポキシ化合物あるいはその等価体で
あるβ−ヒドロキシアルキルハライドもしくはスルホネ
−トをを作用させるものである。このエポキシ化合物が
非対象に置換基を持つ場合、二種類の反応形式が考えら
れるが、本発明においてはその如何を問わない。アルキ
ル基を導入する場合には、対応するアルキル化剤(一般
的にはハロゲン化物、硫酸あるいはスルホン酸エステ
ル)をアルカリ存在下に反応させるのが容易な方法であ
る。特殊な場合として、無水の条件下において、イソブ
テンやイソプロペニルベンゼンを酸触媒によって作用さ
せるという方法もある。副置換基を導入する反応は、い
ったん主置換基を導入し、生成物を単離した後におこな
っても良いが、反応条件の如何によっては、主置換基導
入反応の系でそのまま並行して副置換基を導入すること
もでき、このことは工業生産においてはきわめて有利で
ある。また、主、副の反応順序の入れ替えが可能な場合
もある。
【0010】本発明の多糖系高分子は、軟化点が低いこ
とと含水量が大きいことを特徴とする。軟化点が低いこ
とは、熱成型がしやすいことを意味し、工業生産を効率
的に行うなう上で大きいメリットである。熱成型性の尺
度としては、溶融状態の流動性を表すメルトインデック
スがもっとも一般的な指標である。さらに、実際的には
熱分解温度と軟化温度の差が重要なファクタ−となる。
しかしこれはそれぞれ特定の材料、特定の用途に個別的
な問題であり、概括的には軟化点を尺度として用いるこ
とができる。ここで、軟化点は、温度調整されたプレ−
ト上に試料を載せ、所定の温度に5分間保った後、20
0gの分銅を置いた時、試料が変形を始める温度をもっ
て定義する。一方、親水性が、水溶性という形をとる
か、溶けずに膨潤してハイドロゲルという形をとるか、
あるいは、単に水に溶けない沈殿という形をとるかは、
一あらかじめ予測することは難しい。ここで水溶性と
は、2%相当の濃度で水に溶かし、もっとも良く溶ける
条件において、G2グラスフィルタで濾過した場合にろ
別される不溶物の量が該高分子の50%以内であるこ
と、あるいは濾液中に50%以上の該高分子が含まれる
ことをもって定義する。また、ハイドロゲルは、以下に
述べるwater−of−inhibitionmet
hodによって測定した含水率が50%以上であること
を以て定義する。試料0.5gを70時間室温の水中に
浸した後、4000G相当の条件において10分間、遠
心分離を行い、上層の水を十分に除き、残った固形分を
秤量し、この値をW1 とする。さらに、この固形分を5
0℃、2Torr以下の真空において真空乾燥した後再
び秤量し、この値をW2 とする。試料表面に付着した水
の量を補正する目的で、乾燥した試料に改めて10ml
の蒸留水を加えてすぐに取り出し、表面の濡れた試料の
重さを測ってW0 とする。含水率を次式で定義する。
とと含水量が大きいことを特徴とする。軟化点が低いこ
とは、熱成型がしやすいことを意味し、工業生産を効率
的に行うなう上で大きいメリットである。熱成型性の尺
度としては、溶融状態の流動性を表すメルトインデック
スがもっとも一般的な指標である。さらに、実際的には
熱分解温度と軟化温度の差が重要なファクタ−となる。
しかしこれはそれぞれ特定の材料、特定の用途に個別的
な問題であり、概括的には軟化点を尺度として用いるこ
とができる。ここで、軟化点は、温度調整されたプレ−
ト上に試料を載せ、所定の温度に5分間保った後、20
0gの分銅を置いた時、試料が変形を始める温度をもっ
て定義する。一方、親水性が、水溶性という形をとる
か、溶けずに膨潤してハイドロゲルという形をとるか、
あるいは、単に水に溶けない沈殿という形をとるかは、
一あらかじめ予測することは難しい。ここで水溶性と
は、2%相当の濃度で水に溶かし、もっとも良く溶ける
条件において、G2グラスフィルタで濾過した場合にろ
別される不溶物の量が該高分子の50%以内であるこ
と、あるいは濾液中に50%以上の該高分子が含まれる
ことをもって定義する。また、ハイドロゲルは、以下に
述べるwater−of−inhibitionmet
hodによって測定した含水率が50%以上であること
を以て定義する。試料0.5gを70時間室温の水中に
浸した後、4000G相当の条件において10分間、遠
心分離を行い、上層の水を十分に除き、残った固形分を
秤量し、この値をW1 とする。さらに、この固形分を5
0℃、2Torr以下の真空において真空乾燥した後再
び秤量し、この値をW2 とする。試料表面に付着した水
の量を補正する目的で、乾燥した試料に改めて10ml
の蒸留水を加えてすぐに取り出し、表面の濡れた試料の
重さを測ってW0 とする。含水率を次式で定義する。
【0011】含水率(%)=100(W1 −W0 )/
(W2 +W1 −W0 )
(W2 +W1 −W0 )
【0012】
【発明の効果】サ−モプラスチックハイドロゲルの一般
的な用途としては、生体組織と接触する医療用具、例え
ば、人工臓器や人工軟骨、コンタクトレンズ等、乾燥剤
(例えば、油中の水滴を除くためのもの)、分離膜、そ
の他様々なものが考えられる。しかしすでに述べたよう
に、吸水性と、熱可塑性にもとづく成型性を兼ね備えた
素材はまだ多くはなく、前述のG.Brookの論文が
あるに過ぎない。現在、様々の工業製品が環境保護の観
点からリサイクル性や環境分解性を求められている。ま
た、将来来るべき化石資源の枯渇を想定するとき、リニ
ュ−アブルな資源を用いることによる原料供給の安定化
も重要な要請である。ここで多糖をベ−スとしたサ−モ
プラスチックハイドロゲルが開発されたことは、多糖起
源であることによる環境との適合性、リニュ−アブルな
資源の利用という二つの意味において重要である。な
お、該発明の高分子が上記のサ−モプラスチックハイド
ロゲルの定義にあてはまらない場合でも、水溶性ホット
メルト(熱可塑性と水溶性を合わせ持った材料)とし
て、水溶性接着剤などの用途に用いることができる。
的な用途としては、生体組織と接触する医療用具、例え
ば、人工臓器や人工軟骨、コンタクトレンズ等、乾燥剤
(例えば、油中の水滴を除くためのもの)、分離膜、そ
の他様々なものが考えられる。しかしすでに述べたよう
に、吸水性と、熱可塑性にもとづく成型性を兼ね備えた
素材はまだ多くはなく、前述のG.Brookの論文が
あるに過ぎない。現在、様々の工業製品が環境保護の観
点からリサイクル性や環境分解性を求められている。ま
た、将来来るべき化石資源の枯渇を想定するとき、リニ
ュ−アブルな資源を用いることによる原料供給の安定化
も重要な要請である。ここで多糖をベ−スとしたサ−モ
プラスチックハイドロゲルが開発されたことは、多糖起
源であることによる環境との適合性、リニュ−アブルな
資源の利用という二つの意味において重要である。な
お、該発明の高分子が上記のサ−モプラスチックハイド
ロゲルの定義にあてはまらない場合でも、水溶性ホット
メルト(熱可塑性と水溶性を合わせ持った材料)とし
て、水溶性接着剤などの用途に用いることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0014】
【実施例1、2】約3gのHPC(DS 2.4、MS
4.1)を150mlのピリジンに溶解し、適量
(0.5〜6.0ml)のイソシアン酸ブチル、触媒と
して0.5mlのジラウリン酸ジ−n−ブチルスズを加
え、40℃で12時間反応した。反応液を2lの水に加
え、生じた沈殿を濾別した後、順次、メタノ−ル、水で
洗浄し、乾燥した。イソシアン酸エステル残基による置
換度(DS(RNCO))は、一般に元素分析によって
得られる窒素含量(N(%))から、 DS(RNCO)=N(%)×M1/(14−N(%)
×M2) の式によって求められる。ここに、M1とは、出発原料
のグルコ−ス単位当たりの分子量、M2とは、導入した
イソシアン酸エステル残基の分子量である。本実施例に
おいては、M1は399、M2は99である。得られた
試料のイソシアン酸エステル残基による置換度、軟化
点、水にたいする性質を表1に記した。
4.1)を150mlのピリジンに溶解し、適量
(0.5〜6.0ml)のイソシアン酸ブチル、触媒と
して0.5mlのジラウリン酸ジ−n−ブチルスズを加
え、40℃で12時間反応した。反応液を2lの水に加
え、生じた沈殿を濾別した後、順次、メタノ−ル、水で
洗浄し、乾燥した。イソシアン酸エステル残基による置
換度(DS(RNCO))は、一般に元素分析によって
得られる窒素含量(N(%))から、 DS(RNCO)=N(%)×M1/(14−N(%)
×M2) の式によって求められる。ここに、M1とは、出発原料
のグルコ−ス単位当たりの分子量、M2とは、導入した
イソシアン酸エステル残基の分子量である。本実施例に
おいては、M1は399、M2は99である。得られた
試料のイソシアン酸エステル残基による置換度、軟化
点、水にたいする性質を表1に記した。
【0015】
【実施例3、4】約3gのHECを300mlのピリジ
ンに溶解し、適量(0.5〜6.0ml)のイソシアン
酸ブチル、触媒として0.5mlのジラウリン酸ジ−n
−ブチルスズを加え、40℃で12時間反応した。反応
液を2lの水に加え、生じた沈殿を濾別した後、順次、
メタノ−ル、水で洗浄し、乾燥した。実施例1、2と同
様にしてイソシアン酸エステル残基による置換度を求
め、諸物性とともに表1に記した。
ンに溶解し、適量(0.5〜6.0ml)のイソシアン
酸ブチル、触媒として0.5mlのジラウリン酸ジ−n
−ブチルスズを加え、40℃で12時間反応した。反応
液を2lの水に加え、生じた沈殿を濾別した後、順次、
メタノ−ル、水で洗浄し、乾燥した。実施例1、2と同
様にしてイソシアン酸エステル残基による置換度を求
め、諸物性とともに表1に記した。
【0016】
【実施例5、6、7、8】約2gのHPC(実施例1、
2と同じもの)を100mlのDMSOに溶解し、0.
5〜5mlのフェニルイソシアネ−トを加えて、70℃
で5時間反応した。反応液を500mlの水に加え、生
じた沈殿をグラスフィルタ−で濾別し、得られた沈殿物
を順次、水、メタノ−ルでそれぞれ3回づつ洗浄した。
こうして得られた粗生成物を約50mlのTHFに溶解
し、セロファンチュ−ブの透析膜に入れ、500mlの
THF中で24時間透析する操作を3回繰り返した。最
後に透析膜中の溶液をエバポレ−タ−で濃縮、乾燥し
た。生成物のイソシアン酸エステル残基による置換度を
実施例1、2と同様にして窒素含量から求め、表1に記
した。
2と同じもの)を100mlのDMSOに溶解し、0.
5〜5mlのフェニルイソシアネ−トを加えて、70℃
で5時間反応した。反応液を500mlの水に加え、生
じた沈殿をグラスフィルタ−で濾別し、得られた沈殿物
を順次、水、メタノ−ルでそれぞれ3回づつ洗浄した。
こうして得られた粗生成物を約50mlのTHFに溶解
し、セロファンチュ−ブの透析膜に入れ、500mlの
THF中で24時間透析する操作を3回繰り返した。最
後に透析膜中の溶液をエバポレ−タ−で濃縮、乾燥し
た。生成物のイソシアン酸エステル残基による置換度を
実施例1、2と同様にして窒素含量から求め、表1に記
した。
【0017】
【実施例9、10】約3gのHEC(実施例3、4と同
じもの)を300mlのDMSOに溶解し、適量のフェ
ニルイソシアネ−トを加えて、70℃で5時間反応し
た。回収は実施例5、6、7、8と同様に行った。生成
物のイソシアン酸エステル残基による置換度を実施例
1、2と同様にして窒素含量から求め、表1に記した。
じもの)を300mlのDMSOに溶解し、適量のフェ
ニルイソシアネ−トを加えて、70℃で5時間反応し
た。回収は実施例5、6、7、8と同様に行った。生成
物のイソシアン酸エステル残基による置換度を実施例
1、2と同様にして窒素含量から求め、表1に記した。
【0018】
【実施例11、12、13、14】プロピオン酸0.5
〜4mlに無水トリフルオロ酢酸20mlを加え、50
℃で30分撹拌した。これに精製乾燥したHPC5g
(実施例1、2と同じもの)を添加し、50℃で5時間
反応した。均一となった反応溶液を室温まで冷却した
後、多量のメタノ−ルに加えて沈殿を得た。試料は数日
間、セロファンチュ−ブ膜を用いてアセトンで透析し、
さらに水に加えて沈殿させ、回収、乾燥した。プロピオ
ン酸の結合量は、以下に示す逆滴定法によって求めた。
試料約0.15g(精秤しておく)に1/10Nの水酸
化ナトリウムの水/メタノ−ル(8:2)10mlを加
え、3日間放置した。これに1/10N塩酸10mlを
加えた後、フェノ−ルフタレインを指示薬として、1/
10Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。滴定に要
した水酸化ナトリウムのモル数が試料に含まれるプロピ
オン酸のモル数である。こうして求めたプロピオン酸基
の置換度と、試料物性を表1に記した。
〜4mlに無水トリフルオロ酢酸20mlを加え、50
℃で30分撹拌した。これに精製乾燥したHPC5g
(実施例1、2と同じもの)を添加し、50℃で5時間
反応した。均一となった反応溶液を室温まで冷却した
後、多量のメタノ−ルに加えて沈殿を得た。試料は数日
間、セロファンチュ−ブ膜を用いてアセトンで透析し、
さらに水に加えて沈殿させ、回収、乾燥した。プロピオ
ン酸の結合量は、以下に示す逆滴定法によって求めた。
試料約0.15g(精秤しておく)に1/10Nの水酸
化ナトリウムの水/メタノ−ル(8:2)10mlを加
え、3日間放置した。これに1/10N塩酸10mlを
加えた後、フェノ−ルフタレインを指示薬として、1/
10Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。滴定に要
した水酸化ナトリウムのモル数が試料に含まれるプロピ
オン酸のモル数である。こうして求めたプロピオン酸基
の置換度と、試料物性を表1に記した。
【0019】
【実施例15、16、17、18】3gのHPC(実施
例1、2と同じもの)を200mlのDMSOに溶解
し、窒素気流中、撹拌しながら11g(約13モル等
量)の微粉末水酸化ナトリウムを加えた。一時間後、溶
液はゲル状になったが、このなかに適量(6〜48m
l)のヨ−ドエタンを加え、室温で反応を続けた。一時
間後、反応器を50℃の浴で加温し、10時間反応を継
続した。反応液を200倍容の蒸留水で希釈し、セロフ
ァンチュ−ブの透析膜に入れ大過剰の水で75時間洗浄
した。透析膜中の溶液を凍結乾燥し、生成物を得た。こ
の試料の置換度は1H−NMRによって求めた。求めら
れた置換度と、試料物性を表1に記した。また、実施例
18の生成物の1H−NMRスペクトルを図1に示し
た。
例1、2と同じもの)を200mlのDMSOに溶解
し、窒素気流中、撹拌しながら11g(約13モル等
量)の微粉末水酸化ナトリウムを加えた。一時間後、溶
液はゲル状になったが、このなかに適量(6〜48m
l)のヨ−ドエタンを加え、室温で反応を続けた。一時
間後、反応器を50℃の浴で加温し、10時間反応を継
続した。反応液を200倍容の蒸留水で希釈し、セロフ
ァンチュ−ブの透析膜に入れ大過剰の水で75時間洗浄
した。透析膜中の溶液を凍結乾燥し、生成物を得た。こ
の試料の置換度は1H−NMRによって求めた。求めら
れた置換度と、試料物性を表1に記した。また、実施例
18の生成物の1H−NMRスペクトルを図1に示し
た。
【0020】
【実施例19】4gのHPC(実施例1、2と同じも
の)を25mlのイソプロピルアルコ−ルに加え、更に
0〜5℃に保ちながら、水2.5mlに溶解した水酸化
ナトリウム1.3gを撹拌しながら滴下した。1時間
後、1,2−エポキシヘキサンを3倍量のイソプロピル
アルコ−ルで希釈した液6.5mlを滴下し、浴を用い
て温度を80℃に保ち、10時間反応を行った。冷却し
た後、1N−塩酸によって、PHが7になるまで中和
し、200mlの水に加え、沈殿を得た。これをグラス
フィルタ−で濾別後、順次アセトン、ヘキサン、アセト
ンでそれぞれ2回づつ洗浄した。得られた粗生成物を5
0mlの水と共にセロファンチュ−ブの透析膜に入れ大
過剰の水で75時間透析し、精製した。透析膜中に生じ
た沈殿を遠心分離によって分離、回収し、乾燥した。置
換度は1H−NMRによって求めた。求められた置換度
と、試料物性を表1に記した。また、1H−NMRスペ
クトルを図2に示した。
の)を25mlのイソプロピルアルコ−ルに加え、更に
0〜5℃に保ちながら、水2.5mlに溶解した水酸化
ナトリウム1.3gを撹拌しながら滴下した。1時間
後、1,2−エポキシヘキサンを3倍量のイソプロピル
アルコ−ルで希釈した液6.5mlを滴下し、浴を用い
て温度を80℃に保ち、10時間反応を行った。冷却し
た後、1N−塩酸によって、PHが7になるまで中和
し、200mlの水に加え、沈殿を得た。これをグラス
フィルタ−で濾別後、順次アセトン、ヘキサン、アセト
ンでそれぞれ2回づつ洗浄した。得られた粗生成物を5
0mlの水と共にセロファンチュ−ブの透析膜に入れ大
過剰の水で75時間透析し、精製した。透析膜中に生じ
た沈殿を遠心分離によって分離、回収し、乾燥した。置
換度は1H−NMRによって求めた。求められた置換度
と、試料物性を表1に記した。また、1H−NMRスペ
クトルを図2に示した。
【0021】
【実施例20】4gのHEC(実施例3、4と同じも
の)を25mlのイソプロピルアルコ−ルに加え、更に
0〜5℃に保ちながら、水2.5mlに溶解した水酸化
ナトリウムを撹拌しながら滴下した。1時間後、1,2
−エポキシヘキサンを3倍量のイソプロピルアルコ−ル
で希釈した液13mlを滴下し、浴を用いて温度を80
℃に保ち、10時間反応を行った。冷却した後、1N−
塩酸によって、PHが7になるまで中和し、200ml
の水に加え、沈殿を得た。これをグラスフィルタ−で濾
別後、順次アセトン、ヘキサン、アセトンでそれぞれ2
回づつ洗浄した。得られた粗生成物を50mlの水と共
にセロファンチュ−ブの透析膜に入れ大過剰の水で75
時間透析し、精製した。透析膜中に生じた沈殿を遠心分
離によって分離、回収し、乾燥した。置換度は1H−N
MRによって求めた。求められた置換度と、試料物性を
表1に記した。また、1H−NMRスペクトルを図3に
示した。
の)を25mlのイソプロピルアルコ−ルに加え、更に
0〜5℃に保ちながら、水2.5mlに溶解した水酸化
ナトリウムを撹拌しながら滴下した。1時間後、1,2
−エポキシヘキサンを3倍量のイソプロピルアルコ−ル
で希釈した液13mlを滴下し、浴を用いて温度を80
℃に保ち、10時間反応を行った。冷却した後、1N−
塩酸によって、PHが7になるまで中和し、200ml
の水に加え、沈殿を得た。これをグラスフィルタ−で濾
別後、順次アセトン、ヘキサン、アセトンでそれぞれ2
回づつ洗浄した。得られた粗生成物を50mlの水と共
にセロファンチュ−ブの透析膜に入れ大過剰の水で75
時間透析し、精製した。透析膜中に生じた沈殿を遠心分
離によって分離、回収し、乾燥した。置換度は1H−N
MRによって求めた。求められた置換度と、試料物性を
表1に記した。また、1H−NMRスペクトルを図3に
示した。
【0022】
【表1】
【図1】実施例18の生成物の1H−NMRスペクトル
を示す図である。
を示す図である。
【図2】実施例19の生成物の1H−NMRスペクトル
を示す図である。
を示す図である。
【図3】実施例20の生成物の1H−NMRスペクトル
を示す図である。
を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】軟化温度が50℃以上、150℃以下であ
り、含水率が50%以上であることを特徴とする多糖誘
導体よりなるサーモプラスチックヒドロゲル。 - 【請求項2】主置換基としてヒドロキシアルキル基を有
し、その置換度(MS)が1.5以上、10.0未満で
あり、さらに炭素原子2個以上、10個未満よりなる炭
化水素基を含む副置換基を有し、その炭化水素残基の重
量含量が、全体の1.0%以上、15.0%未満である
ことを特徴とする多糖誘導体。 - 【請求項3】軟化温度が50℃以上、150℃以下であ
り、含水率が50%以上であることを特徴とする請求項
2記載の多糖誘導体よりなるサーモプラスチックヒドロ
ゲル。 - 【請求項4】原料である多糖が主にセルロースであるこ
とを特徴とする請求項1,2又は3記載のサーモプラス
チックヒドロゲルあるいは多糖誘導体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28554095A JPH09124701A (ja) | 1995-11-02 | 1995-11-02 | 多糖誘導体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28554095A JPH09124701A (ja) | 1995-11-02 | 1995-11-02 | 多糖誘導体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09124701A true JPH09124701A (ja) | 1997-05-13 |
Family
ID=17692867
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28554095A Pending JPH09124701A (ja) | 1995-11-02 | 1995-11-02 | 多糖誘導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09124701A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010090311A (ja) * | 2008-10-09 | 2010-04-22 | Fujifilm Corp | セルロース誘導体、樹脂組成物、成形体、電子機器用筺体、及びセルロース誘導体の製造方法 |
-
1995
- 1995-11-02 JP JP28554095A patent/JPH09124701A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010090311A (ja) * | 2008-10-09 | 2010-04-22 | Fujifilm Corp | セルロース誘導体、樹脂組成物、成形体、電子機器用筺体、及びセルロース誘導体の製造方法 |
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