JPH089120B2 - 静水圧プレス成形法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）技術分野 本発明は、粉体の静水圧プレス成形法に関するもので
ある。

（ロ）従来技術 一般に、粉体の成形法としては、（ａ）金型に粉末を
充填し、金属製のパンチで加圧して成形体を得る方法
や、（ｂ）シリコンゴムやウレタンゴム等の弾性を有す
る容器に粉末を充填し、冷間静水圧により等方向圧縮し
て成形体を得る方法等が提案され、実施されている。

しかしながら、（ａ）法では、加圧力に耐えるため
に、型枠とパンチの両方を厚肉の金属で製作しなければ
ならず、また（ｂ）法では、ゴム型枠の場合には、ゴム
自体の変形のために成形体の形状精度が悪く、この対策
として金型とゴム型とを組合せたりしなければならな
い。

そのため、上記の方法には更に次のような欠点があ
る。

（１）金型の場合には型自体の重量が重く、成形圧力が
高くなるほど、また成形体の寸法が大きくなるほど、そ
の傾向が強くなるため、特に大型成形体を得ようとする
場合には過大な設備が必要になり、そのために設備費や
型枠費用が増大する。

（２）弾性体製のゴム型の場合は、例えば金型を組合せ
た場合でも、得られる成形体の形状精度が悪く、必ず機
械加工が必要となる。また、金型プレス成形等の予備成
形を必要とするゴム型のみの場合には、静水圧により等
方向に収縮するので、加圧容器の寸法に比してかなり小
さく変形した形状精度の悪い成形体しか得られない。

（３）しかも、上記の金型成形法では、型から成形体を
取り出すときにパンチを移動させて該型から抜き出す手
法が取られるが、大型成形体になるほど成形体のスプリ
ングバックが大きくて割れ易くなる。

（ハ）発明の開示 そこで、本発明は上記のような諸問題を始め、特に大
型成形体を形成する場合の型の小型化，軽量化，寸法精
度の向上ならびに型抜き時の割れの発生防止に着目し、
これらの課題を解決すべく鋭意研究したところ、静水圧
装置を用いて１軸成形を行なうことにより、型枠にもパ
ンチと同等の圧力が加わり、パンチの加圧力と型枠を押
える力がバランスするので、型枠の厚みを薄くできると
共に、パンチ面にも均一な水圧がかかるために、パンチ
自体にそれ程の強度を必要とすることなく、平行度を保
つ程度の厚みがあれば充分であることを見い出し、本発
明をなすに至ったのである。即ち、 第１の発明は、粉体を静水圧プレス成形するにあた
り、該静水圧に対して剛性の型枠内に該粉体を装入し、
該静水圧に対して剛性の成型パンチを該型枠内に該型枠
内面と摺動自在に挿入し、静水圧で駆動して該粉体をプ
レス成形することを特徴とする静水圧プレス成形法であ
り、 第２の発明は、粉体を静水圧プレス成形するにあた
り、該静水圧に対して剛性の組立式型枠内に該粉体を装
入し、該静水圧に対して剛性の成型パンチを該型枠内に
該型枠内面と摺動自在に挿入し、静水圧で駆動して該粉
体をプレス成形した後、該組立式型枠を分解して粉体の
成形体を得ることを特徴とする静水圧プレス成形法であ
る。

次に、本発明を詳細に説明する。

本発明は上記のように構成された静水圧プレス成形法
であり、本発明方法に使用する型枠は、プレス型にアク
リル樹脂あるいはテフロン樹脂等の材質で製作した剛性
の型枠であり、パンチも型枠と同様の材質で製作した剛
性の成型パンチである。

型枠の構造は所望する成形体の形状（平板状，円板状
等）により任意形状に製作すればよいのであるが、本発
明における型枠の構造例を第１図及び第２図（平板状成
形体を成形する型枠）に示したが、冷間静水圧プレス成
形後の成形体の離型性を向上させるために、一体構造の
型枠でも勿論よいが、型枠は組立式型枠とすると更によ
い。基本的には、型枠が容易に分解できて、成形体が容
易に取出せる構造の型枠であればよいのである。第２図
はその一例を示したもので、型枠の構造自体は特に限定
されるものではない。

本発明における剛性の型枠及び成型パンチは、上記の
ような材質で製作されているために、軽量かつ低コスト
であり、容易に大型化することができる。また、本発明
による型枠や成型パンチを使用して冷間静水圧プレス成
型を行なうことにより、形状精度の高い成形体が容易に
かつ低コストで得られるのである。更に、組立式型枠な
ので型抜き時の割れの発生が完全に防止できるのであ
る。

本発明によれば、特に大型の成形体の成形が、従来の
成形法に比べて容易である。

また、本発明において、型枠のみに鉄等の金属を使用
すれば、重量増によるハンドリング性の低下があるが、
更に形状精度の高い成形体が得られる。

次に、本発明を実施例により説明する。

（ニ）実施例 実施例１ 第２図に示すアクリル樹脂製の組立式型枠（外形寸
法:80w×310l×40t、内形寸法:60w×290l×40t）と成型
パンチ（60w×290l×20t）とからなる型を用い、アルミ
ナ粉の成形を行なった。

供試したアルミナ粉は市販のアルミナ顆粒であり、成
形圧は1000Kgf/cm²で冷間静水圧プレス成形を行なっ
た。成形後の離型は組型枠を分解して成形体を取り出し
た。

この成形により、60w×290l×5.3tの平板状の成形体
が得られ、厚み分布：±0.10mm,グリーン密度:2.34g/cm
³の形状精度の高いアルミナ製平板状成形体が得られ
た。しかも、型抜き時の成形体の割れ等は全く認められ
なかった。

実施例２ アクリル樹脂製の組立式型枠（外形寸法:190w×500l
×40t、内形寸法:170w×480l×40t）と成型パンチ（170
w×480l×20t）からなる型を用いて、アルミナ粉の成形
を行なった。

供試したアルミナ粉は市販のアルミナ顆粒であり、成
形圧は3000Kgf/cm²で冷間静水圧プレス成形を行なっ
た。

成形後の離型は、組立式型枠を分解して成形体を取り
出した。

この成形により、170w×480l×6.5tの寸法で、厚み分
布：±0.15mm、グリーン密度:2.45g/cm³の形状精度の高
い大型のアルミナ製平板状成形体が得られた。また、型
抜き時の成形体の割れ等は全く認められなかった。

実施例３ アクリル樹脂製の円筒状の組立式型枠（外径寸法190
φ×40t、内径寸法180φ×40t）とテフロン製の成型パ
ンチ（180φ×20t）とからなる型を用いて、アルミナ粉
の成形を行なった。

供試したアルミナ粉末としては市販のアルミナ顆粒を
供試し、成形圧は3000Kgf/cm²で冷間静水圧プレス成形
を行なった。

成形後の離型は組立式型枠を分解して成形体を取り出
した。

この成形により、180φ×7.1tの寸法で、厚み分布：
±0.12mm、グリーン密度:2.45g/cm³の形状精度の高いア
ルミナ製円板状の成形体が得られた。また、型抜き時の
成形体の割れ等は全く認められなかった。

比較例 従来のゴム製型枠とアクリル製型パンチとからなる内
径寸法60w×290l×8tの板状成形体用の型を用いて、ア
ルミナ粉の成形を行なった。

アルミナ粉末は市販のアルミナ顆粒を供試し、成形圧
は1000Kgf/cm²で冷間静水圧プレス成形を行なった。

得られた成形体の平均外形寸法は51.4w×278l×4.8t
で、厚み分布：±0.28mm、グリーン密度:2.21g/cm³であ
った。また、ゴム製型枠の弾性変形のためにエッヂの直
線性が悪く、形状精度，面の厚み分布ともに本発明法に
よる場合に比較してかなり劣っている成形体である。

（ホ）発明の効果 上記のように、冷間静水圧プレス成形の型枠及び成型
パンチに剛性の樹脂製や金属製の型を用いる本発明法に
よれば、従来のゴム製型枠の場合では得られなかった形
状精度の高い成形体を得ることができる。

さらに、型枠を組立式とすることにより、型抜き時の
成形体の割れを防止することできる。

また、本発明法により成形体の加工に要する時間が著
しく短縮されると共に、加工歩留りも大幅に改善され、
しかも樹脂製型は容易に大型化することができ、更に低
コストであるために、多品種少量生産にも適応できる
等、多くの利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明により平板状の成形体を成形する場合に
使用する剛性の型枠の平面図であり、第２図は成型パン
チと組合された型枠の正面図である。 符号説明 １……型枠、２……成型パンチ、３……貫通孔、４……
材料、５……固定具（ピン）

フロントページの続き (72)発明者 江島 光一郎 東京都秋川市牛沼27―１ マウンテン秋川 ハイツ302号 (56)参考文献 特開 昭63−86803（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−89600（ＪＰ，Ａ) 特開 昭52−64072（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】粉体を静水圧プレス成形するにあたり、該
   静水圧に対して樹脂体で製作した組立式型枠内に該粉体
   を装入し、該静水圧に対して上記型枠と同じ材質で製作
   した上下の成型パンチを該型枠内面で摺動自在に挿入し
   て静水圧で均一な冷間静水圧プレス成形を施して形状精
   度の高い板状成形体を成形した後、該組立式型枠を分解
   して粉体の成形体を得ることを特徴とする静水圧プレス
   成形法。