【発明の詳細な説明】
骨の再吸収を阻害する環状化合物及び組成物
本発明は、過剰な骨吸収を阻害する新規。環式化合物と前記化合物の製造方法
に関する。医薬上許容される担体と共に前記化合物を含有する組成物、および過
剰な骨吸収および/または制限されたカルシウム排除により特徴づけられる病気
の治療方法も記載される。当該方法は、所望により医薬上適当な担体と一緒に、
いずれかの新規環式化合物または前記化合物の混合物の骨吸収阻害有効量を、そ
のような処置の必要な被検者に投与することを含んで成る。
骨吸収の刺激に関係づけられる典型的な病気は、骨粗しょう症、骨のパジェッ
ト病、悪性の体液性高カルシウム血症および転移性骨疾患である。骨吸収の増加
は、骨折や変形がしやすくなる脆弱な骨を引き起こす。高カルシウム血は腎臓内
へのカルシウムの沈着そして最終的には腎機能の障害を引き起こし得る。
理論上、骨吸収の刺激に関係づけられる病気は、骨がまだ十分にエストロゲン
、二リン酸塩およびカルシトニンが豊富である段階では骨再吸収を阻害すること
により予防的に;または実質的な骨損失や骨折が起こった後では、フッ化物で骨
形成を刺激することにより治療的に、という2つの方法で治療することができる
。
そのような病気の治療について現在主として検討されている化合物はIGF(
インスリン様増殖因子)、PTH(ヒト副甲状腺ホルモン)およびPTHrP(
ヒト副甲状腺ホルモン関連タンパク質)である。PTHrPは様々な癌により生
産されるタンパク質である。それは扁平上皮癌細胞抽出物から最初に単離され、
均質に精製された〔Moseley他、Proc.Natl.Acad.Sci.(1987),85,5048-505
2〕。
PTHrPの残基107〜111を含んで成るペンタペプチドThr-Arg-Ser-Ala-Trp
(TRSAW)がラットにおいて骨吸収の強力な阻害剤であることが最近発見された
〔Fenton他、Endocrinology(1991),129,3424-3426〕。WO 92/10511には、TRSAW
の数種類の変形が記載されている。TRSAW断片の主な欠点は、タンパク質分解に
よるラット血清中での非常に短い半減期である。
驚くべきことに、式(1):
〔上式中、
Aは、12〜17個の環形成原子を有する環式基であり、
Bは、鎖の骨格中に1〜6個の炭素原子と0〜2個の窒素原子と0または1個
の酸素原子を有する、炭素または窒素原子経由で環式基Aに結合したスペーサー
基であり;ここで前記炭素原子はオキソにより、ヒドロキシにより、スルホによ
り、C1〜C4アルキルにより、モルホリノにより、アミノにより、カルボキシに
よりおよび/または天然アミノ酸の残基もしくは2〜5個の天然アミノ酸を含有
するペプチドの残基により置換されることがあり;そして前記窒素原子はC1〜
C4アルキルにより、C1〜C4アルカノイルにより、例えばホルミルおよびアセ
チルにより、および/または天然アミノ酸の残基もしくは2〜5個の天然アミノ
酸を含むペプチドの残基により置換されることがあり;
Dはアリール−C1〜C4アルキルであって、ここで前記アリール基は単環式ま
たは二環式でありそして非置換であるかまたはOH,SH,NH2もしくはハロゲン、
例えばF,Cl,Br,Iにより置換されており;
EはNH2;C1〜C4アルキルによりまたはアミノ−C1〜C4アルキルにより置
換されたNH2;1個または複数個、特に1個または2個のアミノ基により置換さ
れたC1〜C4アルキル;1個または2個の窒素原子を含有する5員または6員の
複素環式基;あるいは天然アミノ酸のアシル基によりまたは2〜5個の天然アミ
ノ酸を含むペプチドのアシル基により置換されたNH2であり;
FはNHまたはCH2であり;
xは1〜6であり;
yは0〜4であり;
ただし、(CH2)x-F-C(=NH)NH2,(CH2)y-OHおよびB−D基を有する残基は環式
基Aにより想定される平面の上に位置し、且つ基Eは環式基Aにより想定される
平面の下に位置することを前提とする〕により表される環式化合物;または薬理
学的に許容されるその塩が、優れた安定性と過剰な骨吸収の阻害により特徴づけ
られることを発見した。
本発明に含まれる環式基Aとしては、例えば、クラウンエーテル、ステロイド
、ポルフィリンおよび環状ペプチドが挙げられる。好ましい環式基では、環式基
へのB−D基の結合部位と環式基へのE基の結合部位との距離が0.50〜0.65nm、
好ましくは0.55〜0.60nmであり、環式基への(CH2)y基の結合部位と環式基への
E基の結合部位との距離が0.50〜0.62nm、好ましくは0.55〜0.60nmであり、そし
て環式基への(CH2)x基の結合部位と環式基へのB−D基の結合部位との距離が
0.55〜0.75nm、好ましくは0.60〜0.70nmである。
特に好ましいのは、環状ペプチド(頭から末尾に配列された)、または2アミ
ノ酸の側鎖または1アミノ酸の側鎖と別のアミノ酸のN末端もしくはC末端が直
接にまたは連結基を経由して結合されているペプチドである。例えばタンパク質
分解酵素による生物中での迅速な分解を避けるために、1または複数の、例えば
1〜5個の遺伝的にコードされるアミノ酸を遺伝的にコードされないアミノ酸に
より置き換えることができ、あるいは、2個以上の、例えば2〜3個のアミノ酸
を、式(1)の立体的必要条件を満たすように置換されている適当なω−アミノ
−カルボン酸により置き換えることができる。本発明の好ましい態様では、環式
基はD形とL形のアミノ酸の混合物を含んで成る。
連結基は、例えば、CH2,C2H4,C2H2.CH(CH3)-CH2,O,CH2-O,C2H4-O,CH2-
O-CH2,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S-CH2,S-S,S=O,O=S=O,NH,NH-COおよびSeで
ある。
アミノ酸は、例えば全ての天然アミノ酸、例えば遺伝的にコードされるアミノ
酸、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン
、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン
、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、ト
リプトファン、チロシンおよびバリン;前記アミノ酸のD形、または2−アミノ
アジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アラニン、2−アミノ酪酸、4−アミ
ノ酪酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、
3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−ジアミノ酪酸、デスモシ
ン、2,2′−ジアミノピメリン酸、2,3′−ジアミノプロピオン酸、N−エ
チルグリシン、N−エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロ−ヒドロキシ
リジン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシ
ン、アロ−イソロイシン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、6−
N−メチルリジン、N−メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン
、シトルリン、γ−カルボキシグルタミン酸、o−ホスホセリン、ホモセリン、
ホモシステイン、カルボキシエチルピペリジン、アミノイソ酪酸、ジアミノプロ
ピオン酸もしくはN−(3−グリシニル)プロピルグアニジンのようなアミノ酸
である。アミノ酸のコンホメーションは、式(1)の化合物の立体的必要条件が
満たされるように選択される。
スペーサー基が炭素原子経由で環式基Aに結合される場合、スペーサー基Bは
C1〜C6アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペ
ンチレンまたはヘキシレンであることができる。スペーサー基は、鎖の骨格中に
2個までの窒素原子および/または1個の酸素原子を含んで成ることができ、例
えば-CH2-NH-,-CH2-CH2-NH-,-CH2-NH-CH2-であることができる。
スペーサー基が窒素原子経由で環式基Aに結合される場合、スペーサー基Bは
式−N(HまたはC1〜C4アルキル)−(C1〜C4アルキル)の基、例えば-NH-
CH2-,-N(CH3)-CH2-,-NH-CH2-CH2-,−N(CH3)-CH2-CH2-および-NH-CH(CH3)-CH2
-であることができる。
本発明の好ましい態様では、スペーサー基は骨格中に2〜6原子を有し、より
好ましい態様ではアミノ酸鎖の骨格である。このスペーサー基の1個または複数
個の炭素もしくは窒素原子は、C1〜C4アルキルにより、例えばメチルまたはエ
チルにより;カルボキシによりおよび/または天然アミノ酸の残基もしくは2〜
5個の天然アミノ酸を含むペプチドの残基により置換され得る。アミノ酸残基お
よびペプチド残基は好ましくはアミド結合により結合される。スペーサー基中の
炭素原子は、オキソ、ヒドロキシ、スルホおよびアミノにより更に置換され得る
。最初のアミノ酸の一部分が複素環式基
Aの構成員であることもできる。
アリール基Dは、例えば、5員もしくは6員の単環式基であるか、または2つ
の5員環もしくは2つの6員環または1つの5員環と1つの6員環から成る二環
式基である。アリール基の例はフェニル、ビフェニル、イソベンゾフラニル、ク
ロメニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリ
ミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、イン
ダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニルおよびナフチルで
ある。それらのアリール基は、非置換であるか、またはメチルもしくはエチルの
ようなC1〜C4,アルキルにより、ヒドロキシにより、スルホにより、アミノに
よりおよび/またはカルボキシにより置換され、例えばフェノール、アニリン、
ナフトキノン、フタルイミド、フタル酸、サリチル酸、スルファニル酸、ピコリ
ン酸またはニコチン酸の対応する基を与える。
好ましいD基は、例えば、アリール−C1〜C3アルキル基、例えばフェニル−
C1〜C3アルキル、ヒドロキシフェニル−C1〜C3アルキル、イミダゾリル−C1
〜C3アルキルまたはナフチル−C1〜C3アルキルである。より好ましくは、D
基はTrp,Phe,TyrおよびHisのような芳香族アミノ酸の側鎖であり、Trpの側鎖
が特に好ましい。
E基は、例えば、1個もしくは2個のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ア
ミノメチルもしくはアミノエチルにより置換されることがあるアミノ基;または
窒素原子経由で環式基Aに結合された、1個もしくは2個の窒素を含有する5員
もしくは6員の複素環式基、例えばピペリジル、2−オキソピロリジルまたはピ
ペラジルである。E基は、天然アミノ酸のアシル基または2〜5個の天然アミノ
酸を含むペプチドのアシル基により置換されたNH2であることもでき
る。
(CH2)x基および(CH2)y基は、例えば直鎖、例えばメチレン、エチレン、プ
ロピレンおよびブチレンである。
環式基Aの環形成原子は、非置換であるかまたはC1〜C4アルキルのような小
さい置換基により置換されている。好ましい前記環形成原子は非置換であるかま
たはメチルもしくはエチルにより置換されている。
式(1)の塩基性化合物は酸付加塩を形成することができる。医薬上許容され
る酸付加塩は、例えば、式(1)の化合物と適当な無機酸、例えばハロゲン化水
素酸、硫酸またはリン酸との塩、例えば塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、硫酸水素
塩またはリン酸塩;適当な脂肪族もしくは芳香族スルホン酸またはN−置換スル
ファミン酸との塩、例えばメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−ト
ルエンスルホン酸塩もしくはN−シクロヘキシルスルファミン酸塩(シクラメー
ト);あるいは有機酸、例えば低級アルカンカルボン酸、または場合により非置
換であるかまたはヒドロキシル化されることがあるジカルボン酸との塩、例えば
酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩また
はクエン酸塩である。可能であれば、式(1)の化合物のアミノ基とカルボキシ
基との間での内部塩(分子内塩)の形成が好ましい。
式(1a)の環式化合物が好ましい:
上式中、6個以下、好ましくは3個の環形成C原子を酸素、硫黄または窒素(
好ましい)に置き換えることができ;そして前記環原子は6個以下、好ましくは
3個以下のC1〜C4アルキル、オキソ、ヒドロキシ、スルホおよびアミノ基によ
り更に置換され得る(この場合メチル、エチルまたはオキソが好ましい)。
Xは、C1〜C4アルキレンまたはC1〜C4アルケニレンであって、2個以下の
C原子、好ましくは1個のC原子を酸素、硫黄、ジスルフィド、スルホキシ、ス
ルホニルまたは窒素に置き換えることできる。好ましいのは酸素、硫黄およびジ
スルフィドである。前記C1〜C4アルキレンまたはC1〜C4アルケニレン基はメ
チル、エチル、オキソまたはアミノにより置換され得る。例はCH2,C2H4,C2H2
,CH(CH3)-CH2,S,S-CH2,CH2-S,CH2-S-S,S-S-CH2,S-S,S=O,O=S=O,NH,N
H-CO,CO-NH,O,O-CH2,CH2-O,Seであり;好ましいのはCH2,C2H4,S,S-CH2
,CH2-S,CH2-S-S,S-S,NH,NH-CO,CO-NH,O,O-CH2,CH2-O,Seであり;そし
て最も好ましいのはCH2,CH2-CH2,S,S-CH2,CH2-S,S-S-CH2,S-S,NH-CO,CO
-NH,O-CH2,CH2-Oである。
RaまたはRbは、天然アミノ酸の基または2〜5個の天然アミノ酸を含むペプ
チドの基であって、この場合環形成原子の後の第一のまたは第二のアミノ酸が芳
香族側鎖を有するアミノ酸、例えばトリプトファン、フェニルアラニン、チロシ
ンまたはヒスチジンであり;またはC1〜C7アルキル−アリールであって、この
場合前記C1〜C7アルキルスペーサー基のC原子を3個以下の窒素または酸素原
子(窒素が好ましい)に置き換えることができる。前記スペーサー基はオキソ、
C1〜C4アルキル(好ましくはメチルおよびエチル)、アミノ、オキソまたはカ
ルボキシにより置換され得る。
Rc,RdまたはReは、ヒドロキシまたはヒドロキシ置換され
たC1〜C4アルキルであり;好ましくはヒドロキシ、ヒドロキシメチルおよびヒ
ドロキシメチルであり;より好ましくはヒドロキシおよびヒドロキシメチルであ
り;最も好ましくはヒドロキシメチルであり;
Rf,RgまたはRhは、-C(=NH)NH2または-NH-C(=NH)NH2により置換されたC2
〜C5アルキルであり;好ましくは-CH2-CH2-CH2-NH-C(=NH)NH2であり;
RiまたはRkは、NH2;C1〜C4アルキルによりまたはアミノ−C1〜C4アル
キルにより置換されたNH2;1個または複数個、特に1個または2個のアミノ基
により置換されたC1〜C4アルキル;1個または2個の窒素原子を含有する5員
または6員の複素環式基;あるいは天然アミノ酸の残基または2〜5個の天然ア
ミノ酸を含むペプチドの残基である。
より好ましい環式化合物は、式(2):
〔上式中、
R1は、CH2,C2H4,C2H2,CH(CH3)-CH2,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S-CH2,S-S,
S=O,O=S=O,NH,NH-CO,O,O-CH2,CH2-OまたはSeであり;好ましくはCH2,C2H4
,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S,NH,NH-CO,O,O-CH2,CH2-O,Seであり;最も好
ましくはCH2,CH2-CH2,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S,NH-CO,O-CH2であり;
R2は、−C1〜C6アルキル−アリールまたは−CO−NH−CH
(C1〜C3アルキル−アリール)R11であり;好ましくは−C1〜C6アルキル−
R13または−CO-NH−CH(C1〜C3アルキル−R13)R11であり;最も好ましく
は−CO−NH−CH(C1〜C3アルキル−R13)R11であり;
R3,R4,R6およびR9は、互いに独立的に水素またはC1〜C4アルキルであ
り;好ましくは水素、メチルまたはエチルであり;より好ましくは水素またはメ
チルであり;最も好ましくは水素であり;
R5はヒドロキシまたはヒドロキシにより置換されたC1〜C4アルキルであり
;好ましくはヒドロキシ、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルであり;よ
り好ましくはヒドロキシまたはヒドロキシメチルであり;最も好ましくはヒドロ
キシメチルであり;
R7およびR8の一方の基は-C(=NH)NH2または-NH-C(=NH)NH2により置換された
C2〜C5アルキルであり、好ましくは-CH2-CH2-CH2-NH-C(=NH)NH2であり;そし
て他方の基は水素またはC1〜C4アルキルであり、好ましくは水素またはメチル
であり、最も好ましくは水素であり;
R10はNH2;C1〜C4アルキルにより置換されたNH2;NH2に
またはメチルもしくはエチルにより置換された、-NH-CO-CH2-NH2または-NH-CH2-
CH2-NH2であり;より好ましくはNH2;C1〜C2アルキルにより置換されたNH2;N
H2により置換されたC1〜C2アルキル;-NH-CO-CH2-NH2または-NH-CO-CH(CH3)-N
H2であり;最も好ましくはNH2;-NH-CO-CH2-NH2または-NH-CO-CH(CH3)-NH2あり
;
好ましくは水素,-COOH,-CONH2または-CO-R12であり;最も好ましくは水素,-C
OOHまたは-CONH2であり;
R12は天然アミノ酸の残基または2〜5個の天然アミノ酸を含むペプチドの残
基であり;好ましくは天然アミノ酸の残基であり;ここで前記アミノ酸残基また
はペプチド残基は好ましくはアミド結合により結合され;
R13はフェニル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、インドリル、ピリジル、キ
ノリル、イソキノリルまたはピロリルであり;好ましくはフェニル、ヒドロキシ
フェニルまたはインドリルであり;最も好ましくはインドリルである〕
により表される複素環式化合物である。
R1がCH2,C2H4,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S,NH,NH-CO,O,O-CH2,H2C-Oまた
はSeであり;
R2が−C1〜C6アルキル−R13または−CO−NH−CH(C1〜C3アルキル−R1 3
)R11であり;
R3,R4,R6およびR9が互いに独立的に水素、メチルまたはエチルであり;
R5がヒドロキシまたはヒドロキシにより置換されたC1〜C3アルキルであり
;
R7およびR8の一方の基が-C(=NH)NH2または-NH-C(=NH)NH2により置換された
C2〜C5アルキルであり、そして他方の基が水素、メチルまたはエチルであり;
R10がNH2;C1〜C4アルキルにより置換されたNH2;NH2に
-NH-CO-CH(CH3)-NH2または-NH-CH2-CH2-NH2であり;
R11が水素,-COOH,-CONH2または-CO-R12であり;
R12が天然アミノ酸の残基であり;
R13がフェニル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、インドリル、ピリジル、キ
ノリル、イソキノリルまたはピロリルである、
式(2)の化合物が更に好ましい。
R1がCH2,CH2-CH2,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S,NH-CO,O,O-CHまたはCH2-Oで
あり;
R2が−C3〜C6アルキル−R13または−CO−NH−CH(C1〜C3アルキル−R1 3
)R11であり;
R3,R4,R6およびR9が互いに独立的に水素、メチルまたはエチルであり;
R5がヒドロキシ、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルであり;
R7およびR8の一方の基が-C(=NH)NH2または-NH-C(=NH)NH2により置換された
C2〜C5アルキルであり、そして他方の基が水素メチルまたはエチルであり;
R10がNH2;C1〜C2アルキルにより置換されたNH2;NH2により置換されたC1
〜C2アルキル;-NH-CO-CH2-NH2または-NH-CO-CH(CH3)-NH2であり;
R11が水素、-COOH、-CONH2または-CO-R12であり;
R12が天然アミノ酸の残基であり;
R13がフェニル、ヒドロキシフェニルまたはインドリルである
式(2)の化合物が更に好ましい。
最も好ましいのは、
R1がCH2,CH2-CH2,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S,NH-CO,O,O-CH2,CH2-Oであ
り;
R2が−C3〜C6アルキル−R13または−CO−NH−CH(C1〜C3アルキル−R1 3
)R11であり;
R3,R4,R6およびR9が互いに独立的に水素またはメチルであり;
R5がヒドロキシ、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで
あり;
R7およびR8の一方の基が-C(=NH)NH2または-NH-C(=NH)NH2により置換された
C2〜C5アルキルであり、そして他方の基が水素、メチルまたはエチルであり;
R10がNH2;-NH-CH3;-NH-CH2-CH3;-CH2-NH2;-CH2-CH2-NH2;-NH-CO-CH2-NH2
または-NH-CO-CH(CH3)-NH2であり;
R11が水素、-COOH、-CONH2または-CO-R12であり;
R12が天然アミノ酸の残基であり;
R13がフェニル、ヒドロキシフェニルまたはインドリルである
式(2)の化合物、
R1がCH2,CH2-CH2,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S,NH-COまたはO-CH2であり;
R2が−CO−NH−CH(C1〜C3アルキル−R13)R11であり;
R3が水素またはメチルであり;
R4,R6およびR9が水素であり;
R5がヒドロキシ、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルであり;
R7およびR8の一方の基が-CH2-CH2-CH2-NH-C(=NH)NH2であり、そして他方の
基が水素であり;
R10がNH2;-NH-CH3;-CH2-NH2;-CH2-CH2-NH2;-NH-CO-CH2-NH2または-NH-CO
-CH(CH3)-NH2であり;
R11が水素、-COOHまたは-CONH2であり;
R13がフェニル、ヒドロキシフェニルまたはインドリルである
式(2)の化合物、および
R1がCH2,CH2-CH2,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S,NH-COまたはO-CH2であり;
R2が-CO-NH-CH(CH2-R13)R11であり;
R3が水素またはメチルであり;
R4,R6およびR9が水素であり;
R5がヒドロキシまたはヒドロキシメチルであり;
R7およびR8の一方の基が-CH2-CH2-CH2-NH-C(=NH)NH2であり、そして他方の
基が水素であり;
R10がNH2;-NH-CO-CH2-NH2または-NH-CO-CH(CH3)-NH2であり;最も好ましく
はNH2であり;
R11が水素、-COOHまたは-CONH2であり;
R13がインドリルである
式(2)の化合物である。
本発明に係る化合物の例は、式(3),(4),(5),(6),(7),(8)お
よび(9)の化合物である:
別の好ましい環式化合物は、式(2):
〔上式中、
R1はCH2,C2H4,C2H2,CH(CH3)-CH2,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S-CH2,S-S,S=
O,O=S=O,NH,NH-CO,O,O-CH2,CH2-OまたはSeであり;好ましくはCH2,C2H4
,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S,NH,NH-CO,O,O-CH2,CH2-O,Seであり;最も好ま
しくはCH2,CH2-CH2,S,CH2-S,S-S,S-S-CH2,NH-CO,O-CH2であり;
R2はNH2、NH2により置換されたC1〜C4アルキル、
CO-NH2,-CO-NH-CH(CH3)-CO-NH2または-CO-NH-CH2-CH2-NH2であり;より好まし
くは、NH2,-CH2-NH2,-CH2-CH2-NH2,-CO-NH-CH2-CO-NH2,-CO-NH-CH(CH3)-CO-
NH2または-CO-NH-CH2-CH2-NH2であり;最も好ましくは-CH2-NH2,-CO-NH-CH2-CO
-NH2または-CO-NH-CH2-CH2-NH2であり;
R3,R4,R8およびR9は互いに独立的に水素またはC1〜
C4アルキルであり;好ましくは水素、メチルまたはエチルであり;より好まし
くは水素またはメチルであり;最も好ましくは水素であり;
R5およびR6の一方の基は-C(=NH)NH2または-NH-C(=NH)NH2により置換された
C2〜C5アルキルであり、好ましくは-CH2-CH2-CH2-NH-C(=NH)NH2であり;そし
て他方の基は水素またはC1〜C4アルキルであり、好ましくは水素またはメチル
であり、最も好ましくは水素であり;
R7はヒドロキシまたはヒドロキシにより置換されたC1〜C4アルキルであり
;好ましくはヒドロキシ、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルであり;よ
り好ましくはヒドロキシまたはヒドロキシメチルであり;最も好ましくはヒドロ
キシメチルであり;
R10は−NH−C1〜C6アルキル−アリールまたは−NH−CO−CH(C1〜C3アル
キル−アリール)R11であり;好ましくは−NH−C1〜C6アルキル−R13または
−NH−CO−CH(C1〜C3アルキル−R13)R11であり;最も好ましくは−NH−CO
−CH(C1〜C3アルキル−R13)R11であり;
R11は水素,NH2,−NH−CO(C1〜C4アルキル)または−NH−R12であり;
好ましくは水素,NH2,-NH-COCH3,-NH-COCH2CH3または-NH-R12であり;最も好
ましくは水素,NH2または-NH-COCH3であり;
R12は天然アミノ酸の残基または2〜5個の天然アミノ酸を含むペプチドの残
基であり、好ましくは天然アミノ酸の残基であり、ここで前記アミノ酸残基また
はペプチド残基は好ましくはアミド結合により結合され;
R13はフェニル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、インドリル、ピリジル、キ
ノリル、イソキノリルまたはピロリルであり;好まし
くはフェニル、ヒドロキシフェニルまたはインドリルであり;最も好ましくはイ
ンドリルである〕
により表される複素環式化合物である。
R1がCH2,C2H4,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S-CH2,S-S,NH,NH-CO,O,Se,O-C
H2,CH2-Oであり;
R2がNH2;NH2により置換されたC1〜C4アルキル;
-CO-NH-CH2-CH2-NH2であり;
R3,R4,R8およびR9が互いに独立的に水素、メチルまたはエチルであり;
R5およびR6の一方の基が-C(=NH)NH2または-NH-C(=NH)NH2により置換された
C2〜C5アルキルであり、そして他方の基が水素、メチルまたはエチルであり;
R7がヒドロキシまたはヒドロキシにより置換されたC1〜C3アルキルであり
;
R10が−NH−C1〜C6アルキル−R13または−NH−CO−CH(C1〜C3アルキル
−R13)R11であり;
R11が水素,NH2,-NH-COCH3,-NH-COCH2-CH3または-NH-R12であり;
R12が天然アミノ酸の残基であり;
R13がフェニル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、インドリル、ピリジル、キ
ノリル、イソキノリルまたはピロリルである、
上述の式(2)の化合物が更に好ましい。
R1がCH2,CH2-CH2,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S-CH2,S-S,NH-CO,O,O-CH2ま
たはCH2-Oであり;
R2がNH2;NH2により置換されたC1〜C4アルキル;
-CO-NH-CH2-CH2-NH2であり;
R3,R4,R8およびR9が各々独立的に水素、メチルまたはエチルであり;
R5およびR6の一方の基が-C(=NH)NH2または-NH-C(=NH)NH2により置換された
C2〜C5アルキルであり、そして他方の基が水素、メチルまたはエチルであり;
R7がヒドロキシ、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルであり;
R10が−NH−C3〜C6アルキル−R13または−NH−CO−CH(C1〜C3アルキル
−R13)R11であり;
R11が水素,NH2,-NH-COCH3,-NH-COCH2-CH3または-NH-R12であり;
R12が天然アミノ酸の残基であり;
R13がフェニル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、インドリル、ピリジル、キ
ノリル、イソキノリルまたはピロリルである、
式(2)の化合物がより好ましい。
最も好ましいのは、
R1がCH2,CH2-CH2,S,CH2-S,CH2-S-S,S-S-CH2,S-S,NH-CO,O,O-CH2ま
たはCH2-Oであり;
R2がNH2;-CH2-NH2;-CH2-CH2-NH2;-CO-NH-CH2-CO-NH2;-CO-NH-CH(CH3)-CO
-NH2;または-CO-NH-CH2-CH2-NH2であり;
R3,R4,R8およびR9が互いに独立的に水素またはメチルであり;
R5およびR6の一方の基が水素またはメチルであり、そして他方の基が-C(=NH
)NH2または-NH-C(=NH)NH2により置換されたC2〜C4アルキルであり;
R7がヒドロキシ、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで
あり:
R10が−NH−C3〜C6アルキル−R13または−NH−CO−CH(C1〜C3アルキル
−R13)R11であり;
R11が水素,NH2,-NH-COCH3または-NH-R12であり;
R12が天然アミノ酸の残基であり;
R13がフェニル、ヒドロキシフェニルまたはインドリルである
式(2)の化合物、
R1がS,CH2-CH2,CH2-S,S-S,CH2-S-S,NH-CO,O-CH2またはCH2-Oであり;
R2がNH2,-CH2-NH2,-CH2-CH2-NH2,-CO-NH-CH2-CO-NH2,-CO-NH-CH(CH3)-CO
-NH2または-CO-NH-CH2-CH2-NH2であり;
R3,R4およびR8が水素であり;
R5およびR6の一方の基が水素でありそして他方が-CH2-CH2-CH2-NH-C(=NH)NH2
であり;
R7がヒドロキシ、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルであり;
R9が水素またはメチルであり;
R10が−NH−CO−CH(C1〜C3アルキル−R13)R11であり;
R11が水素、NH2または-NH-COCH3であり;
R13がフェニル、ヒドロキシフェニルまたはインドリルである
式(2)の化合物、および
R1がS,CH2-S,S-S,CH2-S-S,NH-COであり;
R2が-CH2-NH2,-CO-NH-CH2-CO-NH2または-CO-NH-CH2-CH2-NH2であり;
R3,R4,R6およびR8が水素であり;
R5が-CH2-CH2-CH2-NH-C(=NH)NH2であり;
R7がヒドロキシまたはヒドロキシメチルであり;
R9が水素またはメチルであり;
R10が-NH-CO-CH(CH2-R13)R11であり;
R11がNH2または-NH-COCH3であり;
R13がインドリルである
式(2)の化合物である。
本発明の化合物の例は、式(10)および(11)の化合物である:
本発明の化合物はそれ自体既知の方法で合成される。
該化合物の合成は使用する環式基に依存する。クラウンエーテル、ステロイド
およびピルフィリンは市販されているか、または標準法により単離することがで
きる。該化合物の官能基は有機化学の常法により導入することができる。様々な
アミノ酸、アミノ酸類似体および修飾アミノ酸から成る環状ペプチドは、それ自
体既知の方法で合成することができる。
修飾アミノ酸の合成は、例えば、R.M.Williams,Synthesis of
optically active α-amino acids,Pergamon Press 1989;J.P.Greensteinおよ
びM.Winitz,Chemistry of the Amino Acids,Whiley & Sons INC.,1961;R.J
.Simon他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992),89,9367-9371;E.Altmann他
,Helv.Chim.Acta(1991),74,800-806並びにM.Rodrigez他,Tetrahedron Le
tt.(1991),32,923-926中に記載されている。
本発明に係る環状ペプチドの製造方法は、例えば、式(1)の化合物のアミド
結合形成性第一断片を式(1)の化合物のアミド結合形成性第二断片と反応させ
、ここで前記第一断片と第二断片は、前記第一断片と第二断片の間にアミド結合
が形成されて前記式(1)の化合物を生成するように互いに相補的であり、前記
第一断片と第二断片の一方がそれぞれ反応性遊離カルボキシ基とスルホキシ基、
または反応性カルボン酸もしくはスルホン酸誘導体を含み、そして前記第一断片
と第二断片の他方が遊離アミノ基またはそれの反応性誘導体を含み、前記断片中
の遊離官能基は、必要であれば、反応に関与する2つの基を除いて、保護された
形であり;存在し得る保護基を除去し;そして、所望であれば、該方法に従って
得られる塩を遊離化合物に変更しそして/または該方法に従って得られる遊離化
合物を塩に変換することを含んで成る。適当な合成方法は、例えば、M.Bondans
zky,Peptide Chemistry,Springer Verlag,Berlin 1988中;E.Athertonおよ
びR.C.Sheppard,Solid Phase Peptide Synthesis,IRL Press,Oxford,1989
中に記載されている。
反応性カルボン酸およびスルホン酸誘導体は、特に反応性活性エステルまたは
反応性無水物、更には反応性環状アミドであり、上述したように、反応性カルボ
ン酸誘導体はその場で形成させることができる。
反応性カルボン酸およびスルホン酸誘導体は、特に反応性活性エ
ステルまたは反応性無水物、更には反応性環状アミドであり、上述したように、
反応性カルボン酸誘導体は、例えば適当な縮合剤の使用により、その場で形成さ
せることができる。
酸の活性エステルは、特にエステル化する基の結合炭素原子のところが不飽和
であるエステル、例えばビニルエステル型のエステル、例えば真のビニルエステ
ル(例えば、対応するエステルと酢酸ビニルとのエステル交換により得ることが
できる;活性ビニルエステル法)、カルバモイルエステル(例えば、対応する酸
をイソキサゾリウム試薬で処理することにより得ることができる;1,2−オキ
サゾリウムまたはウッドワード法)もしくは1−低級アルコキシビニルエステル
(例えば、対応する酸を低級アルコキシアセチレンで処理することにより得られ
る;エトキシアセチレン法)、またはアミジノ型のエステル、例えばN,N′−
二置換アミジノエステル(例えば、対応する酸を適当なN,N′−二置換カルボ
ジイミド、例えばN,N′−ジイソプロピルカルボジイミドまたはN,N′−ジ
シクロヘキシルカルボジイミドで処理することにより得られる;カルボジイミド
法)もしくはN,N−二置換アミジノエステル(例えば、対応する酸をN,N−
二置換シアナミドで処理することにより得られる;シアナミド法)である。活性
エステルはまた、例えば適当なアリーエステル、特に電子吸引性置換基により適
当に置換されたフェニルエステル(例えば、対応する酸を、縮合剤、例えばN,
N′−ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で、適当に置換されたフェノー
ル、例えば4−ニトロフェノール、4−メチルスルホニルフェノール、2,4,
5−トリクロロフェノール、2,3,4,5,6−ペンタクロロフェノール、ペ
ンタフルオロフェノールまたは4−フェニルジアゾフェノールで処理することに
より得られる;活性アリールエステル法)、シアノメチルエステル(例えば、対
応する
酸を塩基の存在下でクロロアセトニトリルで処理することにより得られる;シア
ノメチルエステル法)、適当なチオエステル、特に非置換のもしくは例えばニト
ロにより置換されたフェニルチオエステル(例えば、特に無水物法またはカルボ
ジイミド法を使って、対応する酸を非置換のまたは例えばニトロにより置換され
たチオフェノールで処理することにより得られる;活性チオールエステル法)、
またはアミノもしくはアミドエステル(例えば、対応する酸を、例えば無水物法
またはカルボジイミド法に従って、それぞれN−ヒドロキシアミノまたはN−ヒ
ドロキシアミド化合物、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシ
ピペリジン、N−ヒドロキシフタルイミドまたは1−ヒドロキシ−1H−ベンゾ
トリアゾールで処理することにより得られる;活性N−ヒドロキシエステル法)
である。
反応性酸無水物は、それらの酸の対称無水物または好ましくは混合無水物であ
り、例えば、無機酸との無水物、例えば酸ハライド、特に酸クロリド〔例えば、
対応する酸(スルホン酸を含む)を、適当なハロゲン化剤、例えば塩化チオニル
、五塩化リンまたは塩化オキサリルで処理することにより得られる;酸クロリド
法〕、アジド(例えば、対応する酸エステルから対応するヒドラジドを経て亜硝
酸での処理により得ることができる;アジド法)、炭酸半誘導体との無水物、例
えば炭酸半エステルとの無水物、例えば炭酸低級アルキル半エステルとの無水物
(例えば、対応する酸を、ハロ蟻酸低級アルキルエステル、例えばクロロ蟻酸低
級アルキルエステル、または1−低級アルコキシカルボニル−2−低級アルコキ
シ−1,2−ジヒドロキノリン、例えば1−低級アルコキシカルボニル−2−エ
トキシ−1,2−ジヒドロキノリンで処理することにより得られる;混合O−ア
ルキル炭酸無水物法)、またはジハロゲン化された特に
ジクロロ化されたリン酸との無水物(例えば、対応する酸をオキシ塩化リンで処
理することにより得られる;オキシ塩化リン法)、有機酸との混合無水物、例え
ば有機カルボン酸との混合無水物(例えば、対応する酸を、非置換のまたは置換
された低級アルカンカルボン酸もしくはフェニル−低級アルカンカルボン酸ハラ
イド、例えばフェニル酢酸クロリド、ピバル酸クロリドまたはトリフルオロ酢酸
クロリドで処理することにより得られる;混合カルボン酸無水物法)、または有
機スルホン酸との無水物(例えば、対応する酸の塩、例えばアルカリ金属塩を、
適当な有機スルホン酸ハライド、例えば低級アルカンスルホン酸クロリドまたは
アリール−スルホン酸クロリド、例えばメタン−またはp−トルエン−スルホン
酸クロリドで処理することにより得られる;混合スルホン酸無水物法)、更には
対称無水物(例えば、対応する酸をカルボジイミドまたは1−ジエチルアミノプ
ロピンの存在下で縮合させることにより得られる;対称無水物法)であることが
できる。
適当な環状アミドは、特に芳香族性の5員のジアザ環を有するアミド、例えば
イミダゾールとのアミド、例えばイミダゾール(例えば、対応する酸をN,N′
−カルボニルジイミダゾールで処理することにより得られる;イミダゾリド法)
またはピラゾール、例えば3,5−ジメチルピラゾール(例えば、酸ヒドラジド
を経由してアセチルアセトンでの処理により得られる;ピラゾリド法)とのアミ
ドである。
上述したように、カルボン酸誘導体はその場で形成させることもできる。例え
ば、N,N′−二置換アミジノエステルは、遊離アミノ基を有する相補的断片と
遊離カルボキシ基を有するペプチド断片との混合物を、適当なN,N′−二置換
カルボジイミド、例えばN,N′−ジイソプロピル−またはN,N′−ジシクロ
ヘキシル−カル
ボジイミドの存在下で反応させることにより、その場で形成せしめることができ
る。更に、酸のアミノまたはアミドエステルは、対応する酸とアミノ出発物質の
混合物を、N,N′−二置換カルボジイミド、例えばN,N′−ジシクロヘキシ
ル−またはN,N′−ジイソプロピル−カルボジイミドの存在下でおよびN−ヒ
ドロキシアミンまたはN−ヒドロキシアミド、例えばN−ヒドロキシスクシンイ
ミドの存在下で、所望により適当な塩基、例えば4−ジメチルアミノピリジンの
存在下で反応させることにより形成させることができる。
あるいは、本発明の方法は、遊離カルボキシ基を有する断片を、アミノ基が反
応性形態で存在する相補的断片と反応させることにより実施することもできる。
アミノ基は、例えば、ホスフィット、例えばジエチルクロロホスフィット、1,
1−フェニレンクロロホスフィット、エチルジクロロホスフィット、エチレンク
ロロホスフィットもしくはテトラエチルピロホスフィット、または適当なシリル
化剤、例えば有機ハロシラン、例えばトリメチルクロロシランとの反応により、
活性化することができる。アミノ基は、ハロカルボニル、例えばクロロカルボニ
ルへの結合により活性化することもでき、またはイソシアネート基の形で活性化
することができる。
反応に関与しなければ有利には保護された形である上述の断片中の官能基は、
特にカルボキシ、アミノおよびヒドロキシ基、更にはカルバモイル基およびグア
ニジノ基である。
保護基およびそれらを導入または除去する方法は、例えば、“Protective Gro
ups in Organic Chemistry”,Plenum Press,London,New York,1973;“Meth
oden der organischen Chemie”,Houben-Weyl,第4版,第15/1巻,Georg-Thie
me-Verlag,Stuttgart 1974;Th.W.Greene,“Protective Groups in Organic
Synthesis”,
Wiley & Sons,New York,1981中に記載されている。保護基の特徴は、それらを
容易に、即ち望ましくない二次反応が起こることなく、例えば加溶媒分解、還元
または光分解により、除去できることである。
ヒドロキシ保護基は、例えばアシル基、例えば非置換のもしくは置換された、
例えばハロ置換された、低級アルカノイル、例えば2,2−ジクロロアセチル、
または炭酸半エステルのアシル基、特にtert−ブトキシカルボニル、非置換のも
しくは置換されたベンジルオキシカルボニル、例えば4−ニトロベンジルオキシ
カルボニルもしくはジフェニルメトキシカルボニル、または2−ハロ−低級アル
コキシカルボニル、例えば2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルもしくは
ホルミルである。他のヒドロキシ保護基、例えば、適当なエーテル化基、例えば
トリチル、tert−低級アルキル、例えばtert−ブチル、2−オキサ−もしくは2
−チア−脂肪族もしくは−脂環式炭化水素基、特に1−低級アルコキシ−低級ア
ルキルもしくは1−低級アルキルチオ−低級アルキル、例えばメトキシメチル、
1−メトキシエチル、1−エトキシエチル、メチルチオメチル、1−メチルチオ
エチルもしくは1−エチルチオエチル、または5個〜6個の環原子を有する2−
オキサ−もしくは2−チア−シクロアルキル、例えば2−テトラヒドロフリルも
しくは2−テトラヒドロピラニルまたは対応するチア同族体、更には非置換のも
しくは置換された1−フェニル−低級アルキル、例えば非置換のもしくは置換さ
れたベンジルもしくはジフェニルメチルであり、ここで前記フェニル基の置換基
として、例えばハロゲン、例えば塩素、低級アルコキシ、例えばメトキシ、およ
び/またはニトロが適当である。更なるヒドロキシ保護基は、好ましくは置換基
として低級アルキル、特にメチル、および/またはアリール、例えばフェニルを
含む、有機シ
リルまたはスタンニル基であり、特にトリ低級アルキルシリル、特にトリメチル
シリル、ジメチル−tert−ブチルシリル、または対応する置換されたスタンニル
、例えばトリ−n−ブチルスタンニルである。
チオール基も同様な形で、例えばトリチル、アセトアミドメチルまたはtert−
ブチルにより保護される。
カルボキシ基は、好ましくは穏和な条件下で容易に開裂させることができるエ
ステル基の形で保護される。この形で保護されたカルボキシ基は、エステル化基
として特に低級アルキル基(1位で枝分かれしているかまたは1位もしくは2位
で適当に置換されている)を含有する。エステル化された形の好ましいカルボキ
シ基は、特に、tert−低級アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボ
ニル、1個または2個のアリール基を有するα−アリール−低級アルコキシカル
ボニルであって、ここで前記アリールが非置換のフェニル基であるかまたは例え
ば低級アルキルにより、例えばtert−低級アルキルにより、例えばtert−ブチル
により、低級アルコキシにより、例えばメトキシにより、ヒドロキシにより、ハ
ロゲンにより、例えば塩素により、ニトロによりおよび/またはフェニルにより
置換されたフェニル基である、α−アリール−低級アルコキシカルボニル、例え
ば非置換であるかまたは例えば上述したように置換されたベンジルオキシカルボ
ニル、例えば4−メトキシベンジルオキシカルボニルまたは4−ニトロベンジル
オキシカルボニル;ビフェニリルがα位を置換するビフェニリル−低級アルコキ
シカルボニル、例えば2−(p−ビフェニリル)−2−プロポキシカルボニル;
非置換であるかまたは上述したように置換されたジフェニルメトキシカルボニル
、例えばジフェニルメトキシカルボニルまたはジ(4−メトキシフェニル)メト
キシカルボニル;1−低級アルコキシ−低
級アルコキシカルボニル、例えばメトキシメトキシカルボニル、1−メトキシエ
トキシカルボニルまたは1−エトキシエトキシカルボニル;2,2−ジアリール
−エトキシカルボニルであって、前記アリール基が非置換のフェニルであるかま
たは例えばニトロにより置換されたフェニル(例えば4−ニトロフェニル)であ
る、2,2−ジアリール−エトキシカルボニル、例えば2,2−ジ(4−ニトロ
フェニル)エトキシカルボニル、ここで前記2つのアリール基、例えばフェニル
基が互いに結合していてもよく、例えば2−(9−フルオレニル)エトキシカル
ボニル;1−低級アルキルチオ−低級アルコキシカルボニル、例えば1−メチル
チオメトキシカルボニルまたは1−エチルチオエトキシカルボニル;アロイルメ
トキシカルボニルであってアロイル基が非置換であるかまたは例えばハロゲンに
より、例えば臭素により置換されたベンゾイルであるアロイルメトキシカルボニ
ル、例えばフェナシルオキシカルボニル;2−ハロ−低級アルコキシカルボニル
、例えば2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−ブロモエトキシカル
ボニルまたは2−ヨードエトキシカルボニル;あるいは2−(三置換シリル)−
低級アルコキシカルボニルであって、前記置換基の各々が互いに独立的に、脂肪
族、芳香脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素基であり、前記基は非置換である
かまたは例えば低級アルキルにより、低級アルコキシにより、アリールにより、
ハロゲンによりおよび/またはニトロにより置換されており、例えば非置換であ
るかまたは対応する基により置換された低級アルキル、フェニル−低級アルキル
、シクロアルキルまたはフェニルである、2−(三置換シリル)−低級アルコキ
シカルボニル、例えば2−トリ低級アルキルシリルエトキシカルボニル、例えば
2−トリメチルシリルエトキシカルボニルもしくは2−〔メチル−ジ(n−ブチ
ル)シリル〕エトキシカルボニル、また
は2−トリアリールシリルエトキシカルボニル、例えば2−トリフェニルシリル
エトキシカルボニルである。
好ましい保護されたカルボキシ基は、例えば、tert−低級アルコキシカルボニ
ル、例えばtert−ブトキシカルボニル、非置換であるかまたは例えば上述したよ
うに置換されたベンジルオキシカルボニル、例えば4−メトキシ−もしくは4−
ニトロベンジルオキシカルボニル、またはジフェニルメトキシカルボニル、更に
は2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニルである。
保護されたアミノ基は、例えば、容易に開裂可能であるアシルアミノ、アリー
ルメチルアミノ、エーテル化メルカプトアミノ、2−アシル−低級アルカ−1−
エニルアミノ、シリルアミノもしくはスタンニルアミノ基の形で、またはアジド
基の形であることができる。
対応するアシルアミノ基において、アシルは、例えば、18個までの炭素原子を
有する有機カルボン酸のアシル基、特に非置換であるかまたは例えばハロゲンに
よりもしくはアリールにより置換された低級アルカンカルボン酸のアシル基、あ
るいは非置換であるかまたは例えばハロゲンにより、例えば塩素により、低級ア
ルコキシにより、例えばメトキシにより、ニトロによりおよび/またはフェニル
により置換された安息香酸のアシル基、あるいは炭酸半−エステルのアシル基で
ある。このようなアシル基は、例えば、低級アルカノイル、例えばホルミル、ア
セチルまたはプロピオニル;ハロ−低級アルカノイル、例えば2−ハロアセチル
、特に2−クロロ−、2−ブロモー、2−ヨード−、2,2,2−トリフルオロ
または2,2,2−トリクロロアセチル;非置換であるかまたは例えばハロゲン
により、低級アルコキシにより、ニトロによりおよび/またはフェニルにより置
換されたベンゾイル、例えばベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−メトギシ
ベンゾイルまたは4−ニトロベンゾイル;
低級アルキル基の1位において枝分かれしているかまたは1位もしくは2位にお
いて適当に置換されている低級アルコキシカルボニル、特にtert−低級アルコキ
シカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニル、低級アルケニルオキシカルボ
ニル、例えばアリルオキシカルボニル、α−アリール−低級アルコキシカルボニ
ルであって、1個もしくは2個のアリール基を有し、前記アリール基が好ましく
は非置換のフェニルであるかまたは例えば低級アルキルにより、特にtert−低級
アルキルにより、例えばtert−ブチルにより、低級アルコキシにより、例えばメ
トキシにより、ヒドロキシにより、ハロゲンにより、例えば塩素により、ニトロ
によりおよび/またはフェニルにより置換されたフェニルであるα−アリール−
低級アルコキシカルボニル、例えば非置換のまたは置換されたベンジルオキシカ
ルボニル、例えば4−ニトロベンジルオキシカルボニル、ビフェニリル−低級ア
ルコキシカルボニルであって、ビフェニリルがα位を置換するビフェニリル−低
級アルコキシカルボニル、例えば2−(p−ビフェニリル)−2−プロポキシカ
ルボニル、または置換されたジフェニルメトキシカルボニル、例えばベンゾヒド
リルオキシカルボニルもしくはジ(4−メトキシフェニル)メトキシカルボニル
、2,2−ジアリールエトキシカルボニルであって前記アリールが非置換のフェ
ニルであるかまたは例えばニトロにより置換されたフェニル(例えば4−ニトロ
フェニル)である2,2−ジアリールエトキシカルボニル、例えば2,2−ジ(
4−ニトロフェニル)エトキシカルボニル、2個のアリール基例えばフェニル基
が互いに結合していてもよく、例えば9−フルオレニルメトキシカルボニル、ア
ロイルメトキシカルボニルであってアロイル基が好ましくは非置換のベンゾイル
であるかまたは例えばハロゲンにより、例えば臭素により置換されたベンゾイル
であるアロイルメトキシカルボニル、例え
ばフェナシルオキシカルボニル、2−ハロ−低級アルコキシカルボニル、例えば
2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−ブロモエトキシカルボニルも
しくは2−ヨードエトキシカルボニル、場合により置換されることがある2−フ
ェニルスルホニルエトキシカルボニル、例えば2−(4−メチルスルホニルフェ
ニルスルホニル)エトキシカルボニル、あるいは2−(三置換シリル)エトキシ
カルボニルであって、前記置換基の各々が互いに独立的に、15個までの炭素原子
を有しそして非置換であるかまたは例えば低級アルキルにより、低級アルコキシ
により、アリールにより、ハロゲンによりもしくはニトロにより置換されている
脂肪族、芳香脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素基、例えば対応する非置換の
または置換された低級アルキル、フェニル−低級アルキル、シクロアルキルまた
はフェニルである、2−(三置換シリル)エトキシカルボニル、例えば2−トリ
低級アルキルシリルエトキシカルボニル、例えば2−トリメチルシリルエトキシ
カルボニルもしくは2−(ジ−n−ブチルメチルシリル)エトキシカルボニル、
または2−トリアリールシリルエトキシカルボニル、例えば2−トリフェニルシ
リルエトキシカルボニルである。
アミノ保護基として適当である他のアシル基は、有機リン酸、ホスホン酸また
はホスフィン酸のアシル基、例えばジ−低級アルキルホスホリル、例えばジメチ
ルホスホリル、ジエチルホスホリル、ジ−n−プロピルホスホリルまたはジイソ
プロピルホスホリル、ジシクロアルキルホスホリル、例えばジシクロヘキシルホ
スホリル、非置換のまたは置換されたジフェニルホスホリル、例えばジフェニル
ホスホリル、非置換であるかまたは例えばニトロにより置換されたジ(フェニル
−低級アルキル)ホスホリル、例えばジベンジルホスホリルまたはジ(4−ニト
ロベンジル)ホスホリル、非置換のまた
は置換されたフェノキシフェニルホスホニル、例えばフェノキシフェニルホスホ
ニル、ジ−低級アルキルホスフィニル、例えばジエチルホスフィニル、あるいは
非置換のまたは置換されたジフェニルホスフィニル、例えばジフェニルホスフィ
ニルである。
モノ−、ジ−または特にトリ−アリールメチルアミノ基であることができるア
リールメチルアミノ基において、アリール基は特に非置換のまたは置換されたフ
ェニル基である。このような基は例えばベンジルアミノ、ジフェニルメチルアミ
ノおよび特にトリチルアミノである。
エーテル化されたメルカプトアミノ基により保護されたアミノ基中のエーテル
化されたメルカプト基は、特にアリールチオまたはアリール−低級アルキルチオ
であって、ここでアリールは特に非置換のフェニルであるかまたは例えば低級ア
ルキルにより、例えばメチルもしくはtert−ブチルにより、低級アルコキシによ
り、例えばメトキシにより、ハロゲンにより、例えば塩素により、および/また
はニトロにより置換されたフェニルである。対応するアミノ保護基は、例えば4
−ニトロフェニルチオである。
アミノ保護基として使用することができる2−アシル−低級アルカ−1−エン
−1−イル基において、アシルは、例えば、低級アルカンカルボン酸のアシル基
、非置換であるかまたは例えば低級アルキルにより、例えばメチルもしくはtert
−ブチルにより、低級アルコキシにより、例えばメトキシにより、ハロゲンによ
り、例えば塩素により、および/またはニトロにより置換された安息香酸のアシ
ル基、または特に炭酸半エステル、例えば炭酸低級アルキル半エステルのアシル
基である。対応する保護基は、特に1−低級アルカノイルプロパ−1−エン−2
−イル、例えば1−アセチルプロパ−1−エン−2−イル、または低級アルコキ
シカルボニルプロパ−1−
エン−2−イル、例えば1−エトキシカルボニルプロパ−1−エン−2−イルで
ある。
アミノ基はプロトン化した形で保護することもできる。対応するアニオンとし
て、特に、無機強酸、例えばハロゲン化水素酸のアニオン、例えば塩素もしくは
臭素アニオン、または有機スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸のアニオ
ンが挙げられる。
好ましいアミノ保護基は、炭酸半エステルのアシル基、特にtert−ブトキシカ
ルボニル、アリルオキシカルボニル、または非置換であるかもしくは例えば指摘
のように置換されたベンジルオキシカルボニル、例えば4−ニトロベンジルオキ
シカルボニル、またはジフェニルメトキシカルボニル、9−フルオレニル−メト
キシカルボニル、または2−ハロ−低級アルコキシカルボニル、例えば2,2,
2−トリクロロエトキシカルボニル、更にはトリチルまたはホルミルである。
非置換のカルバモイル基は、例えば、N−(9−キサンテニル)誘導体の形ま
たはN−(モノ−、ジ−もしくはトリ−アリールメチル)誘導体の形で保護され
る。ここで前記アリールは、特に非置換のフェニルであるかまたは5個以下の同
一もしくは異なる置換基、好ましくは低級アルキル、例えばメチル、もしくは低
級アルコキシ、例えばメトキシ、を含有するフェニルである。そのようなアリー
ルメチル保護基の例として次のものを挙げることができる:4−メトキシベンジ
ル、2,4,6−トリメトキシベンジル、ジフェニルメチル、ジ(4−メトキシ
フェニル)メチル、ジ(4−メチルフェニル)メチルおよび(4−メチルフェニ
ル)−(〔重合体担体〕−フェニル)メチル。好ましいカルバモイル基はトリチ
ルである。
グアニジノ基は、例えばプロトン化により;あるいはニトロによりまたは適当
に置換されたスルホニル基により、例えばアリールス
ルホニルであってアリールが非置換のフェニルであるかまたは例えば低級アルキ
ル例えばメチルを含むフェニルであるか、または非置換のまたは例えば低級アル
キルにより例えばメチルにより置換されたベンゾヘテロ環、例えばクロマニルで
あり、且つ芳香属炭素原子を介して結合しているアリールスルホニルにより、例
えば4−メトキシ−2,3,5−トリメチルフェニルスルホニルもしくは2,2
,5,7,8−ペンタメチル−6−クロマニルスルホニルにより、保護すること
ができる。
本願発明において、保護基、特にカルボキシ保護基とは、保護すべき官能基(
特にカルボキシ基)に結合している重合体担体をも表わすものとして理解すべき
である。該担体はいわゆるメリフィールドペプチド合成に適し、且つ容易に取り
除くことができる。そのような重合体担体は、例えば、好ましくはジビニルベン
ゼンを用いた共重合により弱く架橋されており、アミノ酸とペプチド残基との可
逆的結合に適する架橋員(bridging member)を担持しているポリスチレン樹脂
である。特に上述の弱く架橋したポリスチレン樹脂と関連して、それらの架橋員
は特に、非置換であるかまたは置換されており且つポリスチレン樹脂の芳香族基
に直接結合されているメチレン基である。メチレン基の置換基は、好ましくはエ
ーテルまたはエステル基によりメチレン基に結合し、アミノ酸またはペプチド断
片の官能基、特にカルボキシ基と一緒になって、保護された基、特に対応するカ
ルボキシ基、例えばエステル化されたカルボキシ基、を形成することができる適
当な官能基を含有する。そのような架橋員は、例えば、所望によりα位に低級ア
ルコキシ、例えばメトキシ、または非置換であるかまたは例えばo位および/ま
たはp位で例えば低級アルコキシにより例えばメトキシにより置換されたフェニ
ルを含有する4−メトキシベンジルアルコールの二価の基であり、こ
こで4−メトキシベンジルアルコール中の4−メトキシ基の炭素原子がポリスチ
レン樹脂のフェニル基に直接結合し、そしてベンジルヒドロキシ基がアミノ酸の
またはペプチド断片のカルボキシ機能をエステル化する。
アミド結合を形成するための反応はそれ自体既知の方法で行うことができ、反
応条件は反応に関与するカルボキシが活性化されているかどうかと、いかに活性
化されているかに依存する。普通、適当な溶剤もしくは希釈剤またはそれらの混
合物の存在下で、そして必要なら縮合剤(例えば、反応に関与するカルボシキ基
が無水物の形で存在する場合には適当な酸結合剤であってもよい)の存在下で、
冷却または加熱しながら、例えば約−30℃〜約+150℃、特に+10℃〜約+70℃
、好ましくは室温(約+20℃)〜+50℃の温度範囲で、密閉した反応容器中でそ
して/または不活性ガス、例えば窒素雰囲気下で行われる。
常用の縮合剤は、例えばカルボジイミド、例えばN,N′−ジエチル−、N,
N′−ジイソプロピル−、N,N′−ジシクロヘキシル−もしくはN−エチル−
N′−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド、適当なカルボニル化
合物、例えばカルボニルジイミダゾール、または1,2−オキサゾリウム化合物
、例えば2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3′−スルホン
酸塩および2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウム過塩素酸塩、また
は適当なアシルアミノ化合物、例えば2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−
1,2−ジヒドロキノリン、更にはウロニウム化合物、例えば2−(1H−ベン
ゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラ
フルオロボレート(TBTU)、またはホスホニウム化合物、例えばベンゾトリアゾ
ール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキ
サフルオロホスフェート(BOP)もしくはベンゾトリアゾール−1−イルオキシ
−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)である。常
用の酸結合剤は、例えば、アルカリ金属炭酸塩もしくは炭酸水素塩、例えば炭酸
ナトリウムもしくはカリウムまたは炭酸水素ナトリウムもしくはカリウム(通常
硫酸塩と一緒に)、または有機塩基、例えば、立体的に嵩張ったトリ低級アルキ
ルアミン、例えばN,N−ジイソプロピル−N−エチルアミンである。
上述のメリフィールドペプチド合成は、式(2a)の化合物の半自動または全自
動合成に特に適当である。この合成では、反応に関与しない官能基が通常保護さ
れた形である、アミノ酸および/またはペプチド断片および/または別の非ペプ
チド成分を、形成するペプチド断片を単離せずに、アミド基によって互いに結合
する。末端ペプチド中に存在する官能基の1つ、通常は末端カルボキシ基は、所
望により上述したような架橋員により適当な重合体担体に結合される。理論上、
この変法は通常のペプチド合成と同様に行われるが、重合体担体成分を含む既に
合成された(ペプチド断片)において、反応に関与する官能基(通常は末端アミ
ノ基)の保護基の除去が、各場合に反応に関与しない官能基の保護基が保持され
る条件下で行われるように注意する。
カルボキシ−、アミノ−、ヒドロキシ−、カルボン酸アミド−、カルバモイル
−および/またはグアニジノ−保護基の除去は、それ自体既知の方法により、例
えばβ−脱離、加溶媒分解、特に加水分解(酸性または塩基性条件下での)、ア
ルコリシス、アシドリシスもしくは塩基での処理により、または還元、特に水添
分解もしくは化学的還元により、所望により段階的にまたは同時に行なわれ、酵
素的方法を用いることも可能である。
例えば、tert−低級アルコキシカルボニル、トリ有機シリル基に
より2位で置換された低級アルコキシカルボニルまたは低級アルコキシによりも
しくは低級アルキルチオにより1位で置換された低級アルコキシカルボニル、ま
たは非置換のもしくは置換されたジフェニルメトキシカルボニルは、求核性化合
物、例えばフェノールまたはアニソールの添加を伴ってまたは伴わずに、適当な
酸、例えばハロゲンを含むことがある低級アルカンカルボン酸、例えばギ酸また
はトルフルオロ酢酸で処理することにより、遊離カルボキシに変換することがで
きる。非置換のまたは置換されたベンジルオキシカルボニルは、例えば水添分解
により、即ち金属水素化触媒の存在下、例えばパラジウム触媒の存在下で水素処
理することにより、遊離カルボキシにすることができる。更に、適当に置換され
たベンジルオキシカルボニル、例えば4−ニトロベンジルオキシカルボニルは、
化学的還元により、例えばアルカリ金属ジチオニット、例えばナトリウムジチオ
ニットでの処理により、あるいは通常は金属と一緒なって発生期の水素を生成す
ることができる水素供与体の存在下で、例えば酸、特に適当なカルボン酸、例え
ば非置換のまたは例えばヒドロキシにより置換された低級アルカンカルボン酸、
例えば酢酸、ギ酸、グリコール酸、ジフェニルグリコール酸、乳酸、マンデル酸
、4−クロロマンデル酸もしくは酒石酸、またはアルコールもしくはチオールの
存在下で、好ましくは水が加えられて、還元性金属、例えば亜鉛、または還元性
金属塩、例えばクロム(II)塩、例えば塩化クロム(II)での処理により、遊離
カルボキシに変換することもできる。2,2−ジアリールエトキシカルボニルま
たは2−(9−フルオレニル)エトキシカルボニル基は、穏和な塩基性条件下で
、例えばピペリジンでの処理により、開裂させることができる。上記の如く、還
元性金属または金属塩で処理することにより、2−ハロ−低級アルコキシカルボ
ニル(所望により2−ブロモ−低級アルコ
キシカルボニル基を対応する2−ヨード−低級アルコキシカルボニル基に変換し
た後に)またはアロイルメトキシカルボニルを遊離カルボキシに変換することも
できる。アロイルメトキシカルボニルはまた、求核性の、好ましくは塩形成性の
試薬、例えばナトリウムチオフェノラートまたはヨウ化ナトリウムで処理するこ
とにより開裂せしめることができる。置換された2−シリルエトキシカルボニル
は、大環状ポリエーテル(「クラウンエーテル」)の存在下で、フッ化物アニオ
ンを生成するフッ化水素酸の塩、例えばフッ化アルカリ金属、例えばフッ化ナト
リウムもしくはカリウムでの処理により;または非プロトン性極性溶剤、例えば
ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルアセトアミドの存在下で、有機第
四級塩基のフッ化物、例えばフッ化テトラ低級アルキルアンモニウムもしくはフ
ッ化トリ低級アルキルアリール−低級アルキルアンモニウム、例えばフッ化テト
ラエチルアンモニウムもしくはフッ化テトラブチルアンモニウムでの処理により
、遊離カルボキシに変換することもできる。
保護されたアミノ基は、それ自体既知の方法でそして保護基の性質に応じて種
々の方法により、好ましくは加溶媒分解または還元により、遊離アミノに変換さ
れる。2−ハロ−低級アルコキシカルボニルアミノ(場合により2−ブロモ−低
級アルコキシカルボニルアミノ基を2−ヨード−低級アルコキシカルボニルアミ
ノ基に変換した後に)、アロイルメトキシカルボニルアミノまたは4−ニトロベ
ンジルオキシカルボニルアミノは、例えば、適当な化学還元剤、例えば適当なカ
ルボン酸例えば水性酢酸の存在下での亜鉛での処理により、開裂せしめることが
できる。アロイルメトキシカルボニルアミノは、求核性の、好ましくは塩形成性
の試薬、例えばナトリウムチオフェノラートで処理することにより開裂させるこ
ともでき、そして4−ニトロベンジルオキシカルボニルアミノは、アルカリ金属
ジチオニット、例えばナトリウムジチオニットで処理することにより開裂させる
こともできる。非置換のまたは置換されたジフェニルメトキシカルボニルアミノ
、tert−低級アルコキシカルボニルアミノまたは2−三置換シリルエトキシカル
ボニルアミノは、適当な酸、例えば非置換のまたは例えばハロゲンにより例えば
フッ素により置換された低級アルカンカルボン酸、例えばギ酸またはトリフルオ
ロ酢酸で処理することにより遊離アミノにすることができ;2,2−ジアリール
エトキシカルボニルアミノ、例えば2,2−ジ(4−ニトロフェニル)エトキシ
カルボニルアミノ、2−(4−メチルスルホニルフェニルスルホニル)エトキシ
カルボニルおよび9−フルオレニルメトキシカルボニルアミノは、適当な塩基、
例えば脂肪族アミン、好ましくは第二アミン、例えばピペリジンでの処理により
、遊離アミノに変換することができる。非置換のまたは置換されたベンジルオキ
シカルボニルアミノから、例えば水添分解により、即ち適当な水素化触媒、例え
ばパラジウム触媒の存在下での水素処理により、アミノ基を遊離させることでき
;非置換のまたは置換されたトリアリールメチルアミノもしくはホルミルアミノ
から、水の存在下または不在下で、酸、例えば無機酸、例えば塩化水素酸、また
は有機酸、例えばギ酸、酢酸もしくはトリフルオロ酢酸での処理により、アミノ
基を遊離させることでき;そして有機シリルアミノ基から、例えば加水分解また
はアルコリシスにより、アミノ基を遊離させることできる。2−ハロアセチル、
例えば2−クロロアセチルにより保護されたアミノ基は、例えば、塩基の存在下
でチオ尿素を用い、またはチオ尿素のチオラート塩、例えばアルカリ金属チオラ
ートを用いて処理し、そして得られた縮合生成物を次いで加溶媒分解、例えばア
ルコリシスまたは加水分解することにより、遊離アミノにすることができる。2
−置換シリルエトキシカルボニルにより保護
されたアミノ基は、対応する保護されたカルボキシ基の遊離に関連して上記に指
摘したようなフッ化物アニオンを生じるフッ化水素酸の塩での処理によっても遊
離アミノ基に変換することができる。
アジド基の形で保護されたアミノは、例えば、還元により、例えば水素化触媒
、例えば酸化白金、パラジウムもしくはラネイニッケルの存在下で水素を使った
接触水添により、または酸、例えば酢酸の存在下での亜鉛での処理により、遊離
アミノに変換することができる。接触水添は、好ましくは不活性溶剤中、例えば
アルコール、例えばメタノール、テトラヒドロフラン、あるいは水、または水と
有機溶剤(例えばアルコールもしくはジオキサン)との混合物中、約20℃〜25℃
の温度で、または冷却もしくは加熱しながら行なわれる。
適当なアシル基により、有機シリル基によりまたは非置換のもしくは置換され
た1−フェニル−低級アルキルにより保護されたヒドロキシ基は、対応する保護
されたアミノ基と同様に遊離ヒドロキシにすることができる。2,2−ジクロロ
アセチルにより保護されたヒドロキシ基は例えば塩基性加水分解により遊離ヒド
ロキシに変換することができ、そしてtert−低級アルキル、例えばtert−ブチル
によりまたは2−オキサ−もしくは2−チア−脂肪族もしくは−脂環式炭化水素
基によりエーテル化されたヒドロキシ基はアシドリシスにより、例えば鉱酸もし
くは強カルボン酸、例えばトリフルオロ酢酸での処理により遊離ヒドロキシに変
換することができる。
9−キサンテニルにより保護されたカルボン酸アミド基は、例えば、氷酢酸中
での臭化水素での処理により、またはアニソールの存在下でのフッ化水素での処
理により、遊離させることができる。モノ−、ジ−またはトリ−アリールメチル
により保護されたカルボン酸アミド基は、例えば、アニソールの存在下でのフッ
化水素での処
理により遊離させることができ;更に、ジフェニルメチル保護基は例えばパラジ
ウム/炭素触媒の存在下での水添分解により、ジ(4−メトキシフェニル)メチ
ル保護基または2,4,6−トリメトキシベンジル保護基は例えばトリフルオロ
酢酸での処理により、除去することができる。
有機スルホニル基により保護されたグアニジノ基、例えば4−メチルフェニル
スルホニルグアニジノまたは2,2,5,7,8−ペンタメチル−6−クロマニ
ルスルホニルグアニジノ基は、例えば、適当な酸、例えばトリフルオロ酢酸での
処理により、遊離グアニジノ基に変換することができる。ニトロにより保護され
たグアニジノ基は、例えばパラジウム/炭素触媒の存在下での水添分解またはカ
チオン還元により、遊離グアニジノにすることができる。
保護基が同時に上述のMerrifieldペプチド合成の担体材料としても働くような
保護された官能基、特に対応するカルボキシ基は、それ自体既知の方法で、例え
ば上述したように開裂させることができる。適当な架橋員を経由して重合体担体
材料に結合されている対応するエステル化カルボキシ基は、架橋員の性質に従っ
て開裂される。例えば、活性ベンジル型架橋員を有するエステル基によって重合
体担体材料に結合したカルボキシ基、例えばメトキシ基の炭素が例えばジビニル
ベンゼンにより弱く架橋されたポリスチレン樹脂に結合している4−メトキシベ
ンジルオキシカルボニル基は、上述したような非置換のまたは置換されたベンジ
ルオキシカルボニル基と同様にして、例えば適当な酸、例えばトリフルオロ酢酸
での処理により、遊離させることができる。
数個の保護された官能基が存在する場合、所望であれば、例えばアシドリシス
、例えばトリフルオロ酢酸もしくは蟻酸での処理、または還元、例えば亜鉛と酢
酸での処理もしくは水素と水素化触媒
(例えばパラジウム/炭素触媒)での処理によるそれらの保護基の複数の保護基
の同時除去を容易にするように、保護基を選択することができる。
環化は、例えば対応するアミノ酸間での上述のようなペプチド結合の形成とそ
れに続く残りの保護基の除去による、直鎖状前駆体の全合成の後に通常実施され
る。環化がジスルフィドまたはスルフィド結合に基づくならば、通常は例えば酸
素、空気、ヨウ素、ジナトリウムジスルフィド、1,2−ジヨードエタンまたは
他の酸化剤による酸化的環形成の前に保護基が除去される。
本発明は、医薬上有効な量の1もしくは複数の式(1)の化合物から成る医薬
組成物、または常用の補助剤(典型的には担体および希釈剤)と一緒に前記混合
物を含んで成る医薬組成物にも関する。
本発明の医薬組成物は、温血動物(ヒトおよび動物)への、腸内、経口、直腸
または非経口投与、例えば皮下、静脈内または腹腔内投与用の組成物であって、
前記組成物は、単独でまたは医薬上許容される担体と共に薬理活性化合物を含ん
で成る。1日量、担体、投与頻度および投与経路は、患者の年齢および個体の状
態並びに投与方法および選択された化合物の個々の活性に依存する。約70kgの体
重を有する患者についての式(1)の化合物の骨吸収阻害有効量は、1μg〜1g
、またはそれ以上であり得る。投与単位は約10μg〜10mg、好ましくは10μg〜5
00μg、より好ましくは10μg〜100μgの活性化合物を含んで成ることができ
る。
新規医薬組成物は活性化合物を約10%〜約80%、好ましくは約20%〜約60%含
有する。腸内投与用または非経口投与用の医薬組成物は、典型的には、投薬単位
形態、例えば糖剤、錠剤、カプセル剤または坐剤、更にはアンプルの形である。
それらの投薬形態はそれ自体既知の方法で、典型的には常用の混合、造粒、圧縮
、溶解または
凍結乾燥法により調製される。
適当な担体は、特に、充填剤、例えば糖、便利には乳糖、ショ糖、マンニトー
ルもしくはソルビトール、セルロース製品および/またはリン酸カルシウム、典
型的にはリン酸三カルシウムもしくはリン酸水素カルシウム、更には結合剤、例
えば便利にはトウモロコシ、小麦、米もしくはジャガイモのデンプンを使ったデ
ンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロースおよび/またはポリビニ
ルピロリドン、および/または、所望により、崩壊剤、例えば上述のデンプン、
カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸もし
くはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムである。賦形剤は、特に滑剤、流れ調
整剤および潤滑剤、好都合にはシリカ、タルク、ステアリン酸もしくはその塩、
例えばステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/ま
たはポリエチレングリコールである。糖剤コアには適当なコーティング、場合に
より非腸溶性または腸溶性コーティングが提供される。コーティングには、典型
的にはアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール
および/または二酸化チタンを含有することができる濃縮糖液、適当な有機溶剤
中または溶剤混合物中のコーティング溶液、あるいは腸溶コーティングの調製に
は、適当なセルロース製剤、例えばアセチルセルロースフタレートもしくはヒド
ロキシプロピルメチルセルロースフタレートの溶液が用いられる。例えば識別の
目的でまたは活性成分の種々の用量を表示するために、錠剤または糖剤コーティ
ングに着色剤または顔料を添加してもよい。
更なる経口投与用医薬組成物は、ゼラチン製の乾式充填カプセル、更にはゼラ
チンと可塑剤(例えばグリセロールもしくはソルビトール)とから成る軟質密封
カプセルである。乾式充填カプセルは、例
えば充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプン、および/または滑沢
剤、例えばタルクもしくはステアリン酸マグネシウム、並びに安定剤と共にまた
は伴わずに、顆粒の形で活性成分を含有することができる。軟カプセルでは、活
性成分は好ましくは適当な液体、例えば脂肪油、パラフィン油または液体ポリエ
チレングリコール中に懸濁または溶解され、それに安定剤を加えてもよい。
適当な直腸投与用医薬組成物は、典型的には活性化合物と坐剤基剤の組合せか
ら成る坐剤である。適当な坐剤基剤の例は、天然または合成トリグリセリド、パ
ラフィン系炭化水素、ポリエチレングリコールおよび高級アルカノールである。
活性化合物と基剤物質の組合せを含有する直腸投与用ゼラチンカプセルを使うこ
ともできる。適当な基剤物質は典型的には液体トリグリセリド、ポリエチレング
リコールまたはパラフィン系炭化水素である。
非経口投与用組成物であって、便利には活性化合物の非毒性塩の水性溶液また
は活性化合物の懸濁液の形、例えば適当な親油性溶剤または賦形剤、例えば脂肪
油、典型的にはゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルも
しくはトリグリセリドを使った油性注射用懸濁液;または増粘性物質、例えばカ
ルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストラ
ンを含むことができ、更に安定剤も含むかまたは含まない水性注射用懸濁液の形
の非経口投与用組成物が好ましい。
本発明は、好ましくは医薬組成物の形での式(1)の化合物の利用にも関する
。活性化合物の投与量は、温血動物の種、患者の年齢および個体状態、並びに投
与形態に依存するだろう。
本発明の別の態様は、ヒトまたは動物の体の療法的処置方法に使われる式(1
)の化合物に関する。
本発明は、過剰な骨吸収、例えば骨粗しょう症、骨のパジェット病、体液性高
カルシウム血症または悪性疾患並びに転移性骨疾患の治療に利用することができ
る。
本発明を次の非限定例によってより詳細に説明する。
略号:
Ac=アセチル基
Acm=アセトアミドメチル
Boc=tert−ブチルオキシカルボニル
ブライン=飽和NaCl水溶液
Bzl=ベンジル
DCCI=ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCB=1,2−ジクロロエタン
DCM=ジクロロメタン
DIBAH=水素化ジイソブチルアルミニウム
DICD=ジイソプロピルカルボジイミド
DIPB=ジイソプロピルエーテル
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
DMA=ジメチルアセトアミド
DMAP=p−N−ジメチルアミノピリジン
DMB=1,2−ジメトキシエタン
Dpr=L−ジアミノプロピオン酸
Fmoc=9−フルオレニルメトキシカルボニル
HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
NArg=アルギニン側鎖によりN置換されたグリシン誘導体
Pmc=2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル
TBTU=2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テト
ラメチルウロニウムテトラフルオロボレート〔R.Knorr他、(1989)THL 30,19
27-1930〕
TCA=トリクロロ酢酸
TFA=トリフルオロ酢酸
TFB=トリフルオロエタノール
THF=テトラヒドロフラン
Tra=トリプタミン
Trt=トリチル
MALDI=マトリックス補助レーザー脱着イオン化質量分析法
Tlc=シリカ上での薄層クロマトグラフィー(Merck-Kieselgel60,F254プレー
ト)、検出:UV光。CMV=クロロホルム、メタノールおよび水の混合物(70
:30:5 v/v);CM=クロロホルムとメタノールの混合物(85:15 v/v)
Z=ベンジルオキシカルボニル
TAB-エステル樹脂=ヒドロキシトリアルコキシベンズヒドリル樹脂
Wang樹脂=Fmoc−「C末端アミノ酸」−p−ベンジルオキシベンジルエステル
ポリスチレン樹脂
特記しない限り、全ての反応は室温で行う。直鎖状前駆体の固相合成のための一般的方法:
合成はFmoc−「C末端アミノ酸」−p−ベンジルオキシベンジルエステルポリ
スチレン樹脂(1%架橋、Wang樹脂、Novabiochem,Laeufelfingen,Switzerlan
d)から出発する。本件のFmoc基の場合、アミノ保護基の除去、および各段階で
得られるペプチド/樹脂中間体の単離を伴わないFmoc−アミノ酸誘導体のカップ
リングに適当である、全自動ペプチド合成装置を使用する。三官能性アミノ酸は
、
対応して保護されたLまたはD配置の保護誘導体として導入される:Fmoc-Ser(
But),Fmoc-Cys(Trt),Fmoc-Arg(Pmc),Boc-Dpr(Fmoc),Fmoc-Trp(Boc
)またはFmoc-Trp。
第一段階において、Fmocアミノ酸を樹脂上の最終アミノ酸とカップリングさせ
、次いで別のFmocアミノ酸を適当な配列で順番にカップリングさせる。個々の段
階は次のスキームに従って行われる:各場合に約20mlの洗浄液を使用し、各作業
を行い、そして反応混合物を規則正しく振盪する。
保護された直鎖状前駆体の合成には、NOVABIOCHBMから入手可能なヒドロキシ
トリアルコキシベンズヒドリル樹脂(TAB)〔=TAB-エステル樹脂、Hans Rink,
(1987)Tetrahedron Lett.28,3787-3790〕を使用する。
カルボキシ末端ペプチドアミドの合成には、NOVABIOCHBMから入手可能なアミ
ノトリアルコキシベンズヒドリル樹脂〔=TAB-アミド樹脂、Hans Rink,Tetrahe
dron Lett.(1987),28,3787-3790〕を使用する。実施例1
:式(3)の化合物の合成
実施例1.1:直鎖状前駆体の合成
1.12gのFmoc-Trp-Wang樹脂(約0.35ミリモル、Novabiochem)から出発し、各
段階に繰り返される次の工程段階を実施する:
−イソプロパノールで0.8分間の1回洗浄;
−最初のカップリングのための予備活性化:各々適当に保護されたFmoc−アミノ
酸1.4ミリモルをDMA中0.5M HOBt 3.08mlに溶かし、DMA中2M DICD溶液0.77mlを
加える。反応混合物を約40分間維持し、次いでその形で使用する。この時間中に
、次の洗浄とFmoc保護基の除去が既に進行している;
−DMA中の20%ピペリジン溶液による、各々1分間の樹脂出発材料の8回処理(F
moc保護基の除去);
−DMA(減圧下で予め脱気したもの)での各々0.4分間の3回洗浄;
−イソプロパノールでの0.8分間の1回洗浄;
−DMA(脱気したもの)での各々0.4分間の5回洗浄;
−その合間に調製された(上記参照)カップリング試薬の添加。反応混合物を振
盪しながら約60秒間維持する。カップリングの開始後5分と15分の2回、120μl
のDIPEA(0.7ミリモル)を加える。
−60分後、カップリング混合物の除去;
−DMA(脱気したもの)での0.4分間の2回洗浄;
−無水酢酸、ピリジンおよびDMAの1:1:8(v/v/v)混合物約15mlでの5分間の1
回処理(伸長ペプチド鎖中のまだ遊離であるアミノ基のアセチル化のため);
−DMA(脱気したもの)での各々0.4分間の4回洗浄;
−イソプロパノールでの各々0.8分間の2回洗浄。
こうして、Fmoc-D-Cys(Trt),Fmoc-Ser(But),Fmoc-Arg(Pmc)およびFmo
c-Cys(Trt)の連続カップリングにより、次のFmoc−ペプチド/樹脂中間体が得
られる:Fmoc-Cys(Trt)-Arg(Pmc)-Ser(But)-D-Cys(Trt)-Trp−樹脂;こ
こで、「樹脂」は、カルボキシ基エステル化ポリスチレン(ジビニルベンゼンで
1%架橋)−メトキシ−4−
フェニルメトキシ基を表す。
N末端システイン残基のところのFmoc保護基の除去、および上述したようなDM
Aとイソプロパノールでの徹底的な洗浄の後、樹脂を真空乾燥する(1.45g)。実施例1.2:樹脂および保護基の除去
重合体担体と酸不安定性保護基を除去するために、0.3gのCys(Trt)-Arg(Pmc)-
Ser(But)-D-Cys(Trt)-Trp−樹脂(約63μモル)をTFA(95%)とエタンジチ
オールの85:15(v/v)混合物4mlと共に5分間2回振盪する。次いで濾過残渣を
各々4mlのDCEと各々4mlのDCEで3回洗浄する。合わせた濾液と洗浄液を
減圧下で約2mlの容量に濃縮し、そしてDIPBと石油エーテル(低沸点)の1:1(v
/v)混合物15mlの添加により、粗製ペプチドを沈澱させる。沈澱物を濾過により
単離し、5mlの前記沈澱混合物で洗浄し、そして減圧下で乾燥する。
保護基を完全に除去するために、固体(64mg)を4mlの前記開裂混合物中に溶
かし、2時間置き、沈澱させ、減圧下で乾燥する。実施例1.3:直鎖状ペプチドCys-Arg-Ser-D-Cys-Trpの環化
72.5mgの直鎖状ペプチドを1100mlの水に溶かし、25μlのアンモニア(水中10
%)の添加によりpHを8に調整する。該溶液に空気を4時間吹き込むことにより
、ジスルフィド形成による環化を行う。5mlのAcOHでの酸性化の後、該溶液を減
圧下で約10mlに濃縮し、凍結乾燥する。
精製のため、得られた67mgの粗製ペプチドを4.5mlのCH3CN/水(1:9v/v)と0.
1mlのAcOHの混合物中に溶かし、次の条件下での高圧液体クロマトグラフィー(H
PLC)にかける:Machery-Nagel,Dueren,Germanyにより製造されたカラムサイ
ズ20×250mmのNucleosil 7C18(10nm);溶離液(A)として0.1%TFAを使用し
、
そして溶離液(B)として0.1%TFA/CH3N溶液を使用する。直線勾配は30分間で1
0%Bから50%Bへであり、流速は18ml/分、検出は215nm波長である。約11分の
保持時間を有する主画分を集め、減圧下で濃縮し、そしてTFAをAcOHと交換する
ためにAcOHを使って事前充填したイオン交換カラム(15ml)AGl-X8を通して濾過
する。カラムを水で徹底的に洗浄し、合わせた画分(40ml)を凍結乾燥する。式
(3)を有する化合物がふわふわの無色粉末として得られる。
分析:
HPLC:Machery-Nagel,Dueren,Germanyにより製造されたカラムサイズ4.6×250
mmのNucleosil 7C18(10nm);溶離液(A)として0.1%TFAを使用し、そして溶
離液(B)として0.1%TFA/CH3N溶液を使用する。直線勾配は30分間で10%Bか
ら90%Bへであり、流速1ml/分、215nm波長での検出である。単一ピークの保
持時間は13.1分である。
MALDI、ネガティブモード:650.7(計算質量:650.8)。1
H-NMR(TOCSYおよびROBSY実験):水/D2O(95:5 v/v)混合物中,25℃,DSSに
対する化学シフト(ppm):Cys(1),αH 4.11,βH 3.31,2.96;Arg,NH 8.9
4,αH 4.37,βH 1.84,1.81,γH 1.66,1.60,δH 3.20,3.20;グアニジノ-
NH 7,16,6,61;Ser,NH 8.56,αH 4.26,βH 3.78,3.76;Cys(4),NH 7.71
,αH 4.53,βH 3.06,2.89;Trp,NH 7.85,αH 4.59,βH 3.38,3.10,2H 7
.18,4H 7.68,5H 7.14,6H 7.22,7H 7,47,NH 10.00。実施例2
:式(4)の化合物の合成
実施例2.1:直鎖状ペプチド前駆体
式(4)の化合物の直鎖状中間体は実施例1.1および1.2に記載したものと同様
な方法で調製されるが、L−システインの代わりにL−ホモシステインが用いら
れる〔BachemからのFmoc−ホモCys(Trt)〕。実施例2.2:ホモCvs-Arg-Ser-D-Cys-Trpの酸化
40mgの直鎖状ペプチドを600mlの水に溶かし、そして95%AcOH中の900μlの0.
1Mヨウ素の溶液を15分間に渡り添加する。1時間後、過剰のヨウ素を還元する
ために10mgのアスコルビン酸を加え、生成した無色溶液を減圧下で30℃にて30ml
に濃縮する。
この溶液を凍結乾燥し、生成した白色粉末(約60mg)を実施例1.3のようなHPL
Cにかける。式(4)の化合物がふわふわの白色粉末として得られる。
分析:
上述と同様の分析用HPLC:単一ピークの保持時間は13.1分である。MALDI、ポジ
ティブモード:666.7(計算質量:666.8)。実施例3
:式(5)の化合物の合成
実施例3.1:Fmoc-NAr(Pmc)の合成 実施例3.1.1:N−ベンジル−N−3−フタルイミドプロピルグリシンベンジル エステルの合成
16g(62.6ミリモル)のN−ベンジルグリシンベンジルエステルを160mlの乾
燥DMF中に溶かす。この溶液に、21g(78.2ミリモル)の3−ブロモプロピル
フタルイミドと13.4ml(78.2ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを加える
。反応混合物を水分排除下で60℃の浴温で16時間攪拌する。DMFを減圧下で蒸
発させ、油状残渣を300gのシリカゲル(70〜230メッシュ)上で石油エーテル/
酢酸エチル(95:5→85:15)を使ったクロマトグラフィーにより精製し、N−ベ
ンジル−N−3−フタルイミドプロピルグリシンベンジルエステルを得る。
TLC:Rf=0.32(石油エーテル/酢酸エチル4:1)。1
H-NMR(CDCl3;300MHz):7.85(2H);7.71(2H)フタルイミド;7.38-7.24(
10H)ベンジル:5.13(2H)CH2−グリシン;3.78(2H)OCH2;3.75(2H);3.39
(2H);2.77(2H)3×N-CH2;1.88(2H)CH2-プロピル。実施例3.1.2:N−3−アミノプロピル−N−ベンジルグリシンの合成
17.4g(39.3ミリモル)のN−ベンジル−N−3−フタルイミドプロピルグリ
シンベンジルエステルを100mlの6N HCl中に懸濁する。この懸濁液を還流させな
がら6時間攪拌する。冷却すると反応混合物からフタル酸が分離する。このフタ
ル酸を濾別し、4N HClで洗浄する。濾液を少量(約20ml)にまで蒸発させ、メタ
ノールと共に数回同時蒸発させる。油状残渣を60mlのエタノールで溶解させ、そ
してプロピレンオキシドの添加により過剰のHClを除去する。アセトンの添加に
よりN−3−アミノプロピル−N−ベンジルグリシンを得る。無色固体を濾過し
、アセトンとジエチルエーテルで洗浄し、水酸化カリウム上でデシケーター中で
乾燥する。
TLC:Rf=0.44(CHCl3/MeOH/AcOH/H2O)。
MALDI:C12H18N2O2(222.29)についての実測値223.9(MH+)。実施例3.1.3:ジメチル(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−ス ルホニルイミノ)ジチオカーボネート(Pmc-NC(SCH3)2
)の合成
943mg(3.33ミリモル)の2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−
スルホンアミドを3mlの乾燥DMF中に溶かす。酸素排除下で200μlの20N水
酸化ナトリウム溶液(4ミリモル)と139.3mg(1.83ミリモル)のCS2を加える。
追加の200μlの20N水酸化ナトリウム溶液と139.3mgのCS2を2部分にわけてそ
れぞれ10分後と20分後に加える。該懸濁液に415μl(6.66ミリモル)のヨウ化
メチルを加え、反応混合物を2時間攪拌する。得られた溶液を30 mlの酢酸エチ
ルで希釈し、そして30mlの水で抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸
発乾固させる。石油エーテル/酢酸エチル(95:5→85:5)を使った20gのシリカ
ゲル(70〜230メッシュ)上でのクロマトグラフィーにより粗生成物を精製する
。
TLC:Rf=0.44(石油エーテル/酢酸エチル4:1)。1
H-NMR(CDCl3;300MHz):2.66(2H);1.84(2H)2×CH2クロマン;2.58(3H
);2.55(3H);2.15(3H)3×CH3クロマン;2.52(6H)2×SCH3:1.34(6H
)2×CH3クロマン。実施例3.1.4:式(5.1)の化合物の合成
565mg(1.914ミリモル)のN−3−アミノプロピル−N−ベンジルグリシン(
実施例3.1.2)を22.5mlの乾燥エタノール中に懸濁させる。これに675mg(1.74ミ
リモル)のPmc-NC(SCH3)2(実施例3.1.3)と1.84ml(10.77ミリモル)のジイ
ソプロピルエチルアミンを加える。反応混合物を60℃の浴温で一晩攪拌する。エ
タノールを蒸発させ、粗製残渣をジクロロメタン/メタノール(100:1から100:
10)を使った20gのシリカゲル(70〜230メッシュ)上でのクロマトグラフィーに
より精製すると、S−メチル−N−(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマ
ン−6−スルホニル)−N′−(3−N−ベンジルグリシン)プロピルイソチオ
尿素(5.1)が得られる。
TLC:Rf=0.26(ジクロロメタン/メタノール9:1)。
MALDI:C28H39N3S2O5(561.76)についての実測値563.07(MH+)。1
H-NMR(CDCl3;300MHz):8.22(1H)NH;7.35(5H);3.92(2H);3.45(2H
);3.37(2H);2.84(2H)4×NCH2;2.65(2H);1.88(2H)2×CH2クロマン
;2.58(3H);2.55(3H);2.17(3H)3×CH3クロマン:2.38(3H)SCH3;1.9
1(2H)CH2-プロピル;1.33(6H)2×CH3クロマン。実施例3.1.5:-NH2による-SCH3基の置換
715mg(1.27ミリモル)のS−メチル−N−(2,2,5,7,8−ペンタメ
チルクロマン−6−スルホニル)−N′−(3−N−ベンジルグリシニル)プロ
ピルイソチオ尿素(17)を、無水アンモニアで飽和させたアセトニトリル24ml中
に溶かす。この溶液を氷浴で冷却し、6mlのアセトニトリル中の208.5mg(1.23
ミリモル)の硝酸銀の溶液を滴下添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌する。沈
澱(AgSCH3)が生成し、これを濾過により除去する。アセトニトリルを減圧下で
蒸発させ、残渣を25mlの酢酸エチル中に溶かし、0.1N HClとブラインで洗浄する
。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、再び蒸発乾固せしめる。ジクロロメタン
/メタノール(100:2から100:20)を使った20gのシリカゲル(70〜230メッシュ
)上でのクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、N−(2,2,5,
7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル)−N′−(3−N−ベンジル
グリシニル)プロピルグアニジンが得られる。
TLC:Rf=0.12(ジクロロメタン/メタノール9:1)。
MALDI:C27H38N3SO5(530.68)についての実測値532.24(MH+)。1
H-NMR(DMSO-d6/D2O;300MHz):7.23(5H);3.65(2H);3.12(2H);3.05
(2H)3×NCH2;2.58(2H);1.75(2H)2×CH2クロマン;2.47(6H);2.01
(3H)3×CH3クロマン;1.54(2H)CH2−プロピル;1.24(6H)2×CH3クロマ
ン。実施例3.1.6:ベンジル基の除去
630mg(1.19ミリモル)のN−(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン
−6−スルホニル)−N′−(3−N−ベンジルグリシニル)プロピルグアニジ
ン(実施例3.1.5)を20mlの乾燥メタノール中に溶かし、そして130mgの10%Pd/C
を使って水素化する。17時間後、理論量の水素が消費されたら、反応を停止させ
る。触媒を
濾過により除去し、濾液を蒸発乾固せしめる。得られたフォーム〔N−(2,2
,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル)−N′−(3−グリシ
ニル)プロピルグアニジン〕を高真空下で乾燥し、そして更に精製することなく
次の段階に使用する。
TLC:Rf=0.38(1%AcOHを含むメタノール)。
MALDI:C20H32N4SO5(440.56)についての実測値441.9(MH+)。実施例3.1.7:Fmoc保護基の導入
520mg(1.18ミリモル)のN−(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン
−6−スルホニル)−N′−(3−グリシニル)プロピルグアニジンを2.83mlの
9%炭酸ナトリウム溶液と2.83mlのジメチルホルムアミドの混合物中に懸濁させ
る。反応混合物を氷浴中で冷却し、2.2mlのDMF中の335mg(0.99ミリモル)の
スクシンイミジル−9−フルオレニルメチルカーボネートの溶液を1度に添加す
る。この混合物を超音波処理して十分に分散された懸濁液を形成させる。室温で
45分間攪拌した後、反応混合物を30mlの水で希釈し、そして酢酸エチルで抽出す
る(2×75ml)。残った水相を4H HClでpH2に酸性化し、酢酸エチルで再抽出す
る(3×30ml)。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで蒸発乾固
せしめる。ジクロロメタン/メタノール(100:1から100:10)を使った20gのシリ
カゲル(70〜230メッシュ)上でのクロマトグラフィーにより、精製された生成
物N−(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル)−N′
−(3−N−9−フルオレニルメトキシカルボニルグリシニル)プロピルグアニ
ジン(Fmoc-NArg(Pmc))が得られる。Fmoc-NArg(Pmc)の調製はSimon他、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA(1992),89,9367-9371中に記載されている。
TLC:Rf=0.52(ジクロロメタン/メタノール9:1)。
MALDI:C35H42N4SO7(662.80)についての実測値662.86(MH+)。実施例3.2:直鎖状ペプチド前駆体
式(5)の化合物の直鎖状中間体は、実施例1.1と1.2に記載したものと同様な
方法で調製されるが、ただしArgの代わりにNArgが含まれる。実施例3.3:CYs-NArg-Ser-D-Cys-Trpの酸化
70mgの直鎖状前駆体を1000mlの水に溶かし、そして濃アンモニア(約0.5ml)
の添加により該溶液のpHを8.0に調整する。この溶液に22時間空気を吹き込む。1
5mlのAcOHの添加後、該溶液を濃縮し、凍結乾燥する。
粗製物質をHPLCにより精製し、実施例1.3に記載の通りに酢酸塩に変換する。
式(5)の化合物がふわふわの白色粉末として得られる。
分析:
標準的Tlcにおいて均質;上述の分析用HPLC:単一ピークの保持時間は13.1分。
MALDI、+モード:652.8(計算質量:653.4)。実施例4
:式(6)の化合物の合成
実施例4.1:ジアミノプロピオン酸(Fmoc)〔Dpr(Fmoc)〕の合成
6.04g(43.0ミリモル)のL−ジアミノプロピオン酸(Fluka)と68.8g(68.
8ミリモル)の塩基性炭酸銅を144−の水に懸濁させ、1時間還流させる。不溶性
成分を濾過により除去し、残渣を10mlの
水(70℃)で洗浄する。生成した深青色のジアミノプロピオン酸銅溶液に50mlの
DMAを加え、そしてトリエチルアミン(約1ml)でpHを約9に調整する。15.2
3gのフルオレニルメトキシカルボニル−N−ヒドロキシスクシンイミデート(N
ovabiochem)を250mlのDMA中に溶かし、この溶液を前記銅錯体に加え、0.5時
間ゆっくり攪拌する。トリエチルアミンの添加により(計6ml)pHを8-9に維持す
る。該溶液を1.5時間置き、次いでそれを30〜40℃にて減圧下で40mlに濃縮し、
そしてゆっくり攪拌しながら950mlの水(0〜5℃)に添加する。1時間攪拌し
た後、沈澱物を濾過し、水で洗浄し(180ml)、P2O5上で乾燥する。50mlのDIPB
での処理後、固体を濾過し、減圧下で乾燥する。8.9gの青色のFmoc-Dpr−銅錯
体が得られる。
銅を除去するために、上記錯体(12.46ミリモル)を1100mlのエタノールと水
の混合物(1:1v/v)中に溶かし、そこに4.0g(13.71ミリモル)のエチレン
ジアミン四酢酸(EDTA)を添加する。該混合物を40分間還流させ、次いで固体成
分を濾過により除去する。得られた溶液を0〜5℃に冷却し、そして15時間後、
沈澱物を濾過により単離し、減圧下で乾燥する。50℃のイソプロパノール40mlで
の処理後、懸濁液を0〜5℃に1時間維持し、そして濾過する。固体を減圧下で
乾燥する。白色粉末2.76g。
Tlc CMW:1つの少量の副成分と主要スポット、Rf=約0.25。
上述のような分析用HPLC:保持時間18.8分。実施例4.2:Boc−L−ジアミノプロピオン酸(Fmoc)の合成
0.119gのDpr(Fmoc)(365μモル)を1.3mlのDMA中に懸濁させ、それに50
.8μl(65μモル)のトリエチルアミンと0.087g(401μモル)のBoc−無水物
(Fluka)を加え、該混合物を1.5時間攪拌する。1mlの水を加え、そして0〜5
℃に冷却した後、120μ
lの2N HClで該混合物を酸性にする(約pH 4)。白色乳液を70mlの酢酸エチルで
抽出し、有機相を水で3回(各回20ml)洗浄する。硫酸ナトリウム上での乾燥後
、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を1.3mltert−ブタノールに溶かし、凍結乾燥
する。上記化合物が白色粉末として得られる。
Tlc CMW:単一スポット、Rf=約0.55。1
H-NMRは構造と一致する;化学シフト(ppm):tert−ブチル(Boc)1.1,CHα4
.03,CH24.23,CH2(Fmoc)4.28,NH6.95,7.35,芳香族H(Fmoc)7.4,7.68,
7.9。実施例4.3:Fmoc-D-Asp(OBut)-Trp(Boc)-TAB-アミド樹脂の合成
実施例1.1と同様に、1.36gのFmoc-TAB-アミド樹脂(Novabiochem)(0.60ミリ
モル)から出発して、実施例1.1に記載したようなFmoc-Trp(Boc)とFmoc-D-Asp(O
But)の逐次カップリングにより上記化合物を合成する。得られた樹脂を減圧下で
乾燥する:4.7g。実施例4.4:TAB-アミド樹脂からのFmoc-D-Asp-Trp-アミドの開裂およびその後の tert−ブチル保護基の除去
4.7g(1.79ミリモル)のFmoc-D-Asp(OBut)-Trp(Boc)-TAB-アミド樹脂を、2
%エタンジチオールを含有する15mlの95%TFAとDCEの混合物(1:1 v/v)で各5分
間6回処理する。樹脂を濾過し、次の通り洗浄する:DCEで3回(各15ml)、TFE
で3回(各15ml)。合わせた濾液を25〜30℃にて減圧下で10mlの量に濃縮し、そ
して攪拌しながら250mlのDIPEとPEの混合物(1:1 v/v)に添加する。沈澱を濾過
し、そして前記沈澱混合物(30ml)で洗浄した後、減圧下で乾燥する:0.883g
。
tert−ブチル保護基の完全除去のために、無色固体を20mlのTFAとエタンジチ
オールの混合物(98:2 v/v)で20分間処理する。該溶
液を約10〜15mlに濃縮し、上述の如く生成物を沈澱させ、そして単離する。カル
ボキシ−N−インドリル中間体の完全な脱炭酸のため、粗製物質(約0.836g)を
CH3CNとDMFの混合物(1:1 v/v)120ml中に溶かし、15時間置く。減圧下で濃縮後
、上述の如く生成物を沈澱させ、そして減圧下で乾燥する:0.663g。
Tlc CMW:単一スポット、Rf=約0.5。
上述の分析用HPLC:保持時間24.0分。
MALDI、+モード:539.9(計算値:541.6)。実施例4.5:Asp 側鎖を経由したTAB-エステル樹脂へのFmoc-D-Asp-Trp-アミドの カップリング
0.660g(1.22ミリモル)のFmoc-D-Asp-Trp-アミドを2mlのDMA(脱気したも
の)中に溶かし、ゆっくり攪拌しながら10mlのDCEと2.10g(1.22ミリモル)のT
AB-樹脂(Novabiochem)を加える。該混合物を0〜5℃に冷やし、1mlのDMAと0
.3mlのDCE中の0.503gのDCCI(2.44ミリモル)の溶液を添加する。0〜5℃で5
分後、2mlのDCE中の29.8mg(0.244ミリモル)のDMAPの溶液を加える。0〜5℃
で20分後、135.6μlのN−メチルモルホリンを加える。次いで反応混合物を4
時間振盪する。樹脂を次の通り洗浄する:DMA(各30ml)で6回、イソプロパノ
ール(各30ml)で5回。樹脂を減圧下で乾燥する:2.5g(極微量の溶剤を含む
)。実施例4.6:樹脂結合型保護ペプチドBoc-Dr-Arg(Pmc)-Ser(But)-D-Asp(TAB −エステル樹脂)-Trp-アミドの合成
2.5g(1.22ミリモル)のFmoc-D-Asp(TAB−エステル樹脂)-Trp-アミドを実
施例1.1と同様な固相合成にかけ、次のアミノ酸誘導体を順に結合させる:Fmoc-
Ser(But),Fmoc-Arg(Pmc)およびBoc-Dpr(Fmoc)。合成の終わりに、Dpr側
鎖のところのFmoc基を除去し(DMA中の20%ピペリジン溶液、実施例1.1を参照の
こと)、樹脂
を減圧下で乾燥する:約3.0g(極微量の溶剤を含む)。実施例4.7:TAB-エステル樹脂からの直鎖状保護ペプチドの開裂
647μモルのペプチド−樹脂(約3.0g、溶剤を含む)を50mlの99%AcOHとDCMの
混合物(1:9 v/v)と共に1.5時間振盪する。樹脂を濾過し、DCE(各40ml)で2
回、DCEとTFEの混合物(1:9 v/v)(40ml)で1回、そしてTFE(各40ml)で4回
、樹脂を洗浄する。合わせた濾液を25〜30℃にて減圧下で濃縮し、油状残渣を約
100mlのDMSO(蒸留済)中に溶かし、凍結乾燥する。その後の環化工程を妨害し
得る極微量のAcOHの完全除去のため、2回の追加の凍結乾燥を該生成物に行う(
各回257mlのDMSOから):0.704mg(極微量の溶剤を含む)。
上述の分析用HPLC:保持時間23.9分。
MALDI、+モード:1091.1(計算値1089.3)。実施例4.8:直鎖状保護ペプチドBoc-Dr-Arg(Pmc)-Ser(But)-D-Asp-Trp-アミドの 環化
0.874g(6.47ミリモル)のHOBtと1.33g(6.47ミリモル)のDCClを162mlのD
MF(減圧下で脱気したもの)中に溶かす。この溶液に、攪拌しながら162mlの
DMF中に溶解した0.704gの直鎖状ペプチド(0.647ミリモル)を9.5時間に渡
り添加し、次いで15時間反応させる。反応混合物を減圧下で約5mlの容量に濃縮
し、沈澱したジシクロヘキシル尿素を濾過により除去し、そして濾液を120mlのD
IPBに添加する。0℃で30分後、生成した沈澱を濾過し、50mlのDIPBで洗浄し、
減圧下で乾燥する(0.649g)。
上述の分析用HPLC:保持時間26.8分。実施例4.9:環状ペプチド上の保護基の除去
56.7mgの粗製の保護環状ペプチドを95%TFAとエタンジチオールの混合物(9:1
v/v)1ml中に溶かし、2時間反応させる。DIPEと石
油エーテル(低沸点)の1:1(v/v)混合物10mlの添加により、粗製ペプチドを沈
澱させる。沈澱を濾過により単離し、前記沈澱混合物3mlで洗浄し、そして減圧
下で乾燥する。粗製物質をHPLCにより精製し(保持時間10.0分)、実施例1.3に
記載した通りに酢酸塩に変換する。式(6)の化合物がふわふわの白色粉末とし
て得られる。
分析:
上述の分析用HPLC:単一ピークの保持時間11.0分。
MALDI、+モード:628.3(計算質量630.7)。実施例5
:式(7)の化合物の合成
実施例5.1:Boc-Cys(Acm)-Arg(Pmc)-Ser(But)-D-Cys(Trt)-Trp(Boc)−Wang樹脂
実施例1.1と同様にしてFmoc-D-Cys(Trt),Fmoc-Ser(But),Fmoc-Arg(Pmc)およ
びBoc-Cys(Acm)の逐次カップリングにより固相結合型保護ペプチドを合成する。実施例5.2:樹脂上のペプチドのジスルフィド環化
イソプロパノールで予備処理した0.8gのペプチド−樹脂(0.145ミリモル)を
、1.57mlのエタノールと1.5mlのクロロホルム中の185mg(0.725ミリモル)の溶
液の中で振盪する。7分後、HIの中和のため10μlのDIPEAを加える。15分間
の全反応時間の後、樹脂を濾過し、次の通り洗浄する:エタノールで5回、クロ
ロホルムで5
回、DMAで5回(各10ml)。次いで100μlの水と4.9mlのエタノール中の25mg
のアスコルビン酸の溶液で1分間樹脂を2回処理する。次いで徹底的な洗浄を施
し〔DMAとイソプロパノール(10ml)で3回〕、樹脂を低温で乾燥する:0.8
g。
実施例1.2に記載のように樹脂から分析試料を開裂させ、そして所望の環状ジ
スルフィドペプチドが形成されたことを証明する。
MALDI、+モード:652.5(計算値652.7)。実施例5.3:樹脂上の環状ジスルフィドペプチドの脱硫
0.8gのペプチド−樹脂(0.145ミリモル)を「乾燥」DMA(各回10ml)で12
回洗浄する。5mlの「乾燥」DMA中の220μl(0.8ミリモル)のトリス(ジエ
チルアミノ)ホスフィンの溶液を該樹脂に加え、該混合物を水分排除下で且つ1
時間あたり6回のゆっくりした1分間の振盪を行いながら48時間維持する。濾過
により溶液を除去し、樹脂を次の通り洗浄し:DMAで8回、およびイソプロパ
ノールで5回(各10ml)、そして減圧下で乾燥する:0.8g。実施例5.4:樹脂からの開裂と保護基の除去
実施例1.2に記載したのと同様な方法で上述の樹脂からの開裂を行い、90mgを
得る。HPLCによる精製は実施例1.3と同様であるが、ただし30分間で10%から60
%への勾配が適用される。10.5分の保持時間を有するピークを収集し、濃縮し、
そして実施例1.3に記載の酢酸イオン交換体を通して濾過する。凍結乾燥後、式
(7)の化合物が白色粉末として得られる。
上述の分析用HPLC:保持時間14.9分。
MALDI、+モード:620.6(計算値620.7)。実施例6
:式(8)の化合物の合成
実施例6.1:式(8.1)の化合物の合成
実施例6.1.1:1,1−ジメチルエチル−4−ホルミル−2,2−ジメチル−3 −オキサゾリジンカルボキシレートの合成
1,1−ジメチルエチル−4−ホルミル−2,2−ジメチル−3−オキサゾリ
ジンカルボキシレートは、D−セリンから出発してGarner他、J.Org.Chem.(
1987),52,2361-2364に従って合成する。1
H-NMR(CDCl3):9.52(s,1H);4.20(m,1H);4.08(m,2H);1.62(s,3H)
;1.55(s,3H);1.47(s,9H)。実施例6.1.2:カルボキシアルケン基の付加
等モル量のトリフェニルホスフィンと3−ブロモプロピオン酸をトルエン中に
溶かし、アルゴン下で16〜20時間還流させる。冷却した反応混合物を濾過し、エ
ーテルで洗浄し、真空乾燥する。3.89g
(9.07ミリモル)の生成ホスホニウム塩をアルゴン雰囲気下で三つ口フラスコ中
の50mlの乾燥THFに懸濁する。該懸濁液を−75℃に冷却し、そしてn−ブチル
リチウム(9.07ミリモル、ヘキサン中1.3M)を滴下添加する。混合物を0.5時間
攪拌し、温度を0℃にまで上げ、その温度で更に1時間攪拌する。この懸濁液を
−75℃に冷却し、実施例6.1.1に記載のアルデヒド1.22g(5.34ミリモル)を添
加し、そして反応を0℃で30分間、次いで室温で1時間進行させる。式(8.2)
の化合物が透明オイルとして得られる
〔P.L.Beaulieu他、J.Org.Chem.(1991),56,4196-4204〕。
1H-NMR(CDCI3):5.49(m,2H);4.08(dd,1H);2.67(m,1H);2.45(m,4H)
;1.59(s,3H);1.52(s,3H);1.47(s,9H)。実施例6.1.3:カルボキシ基のメチル化
塩化メチレン中の0.91gの式(8.2)の化合物の溶液に、0.72gのジシクロヘキ
シルカルボジイミド、0.3mlのMeOHおよび0.04gのDMAPを加える。反応混合物を
室温で3時間攪拌し、濾過し、濾液を真空中で濃縮する。フラッシュクロマトグ
ラフィー(塩化メチレン/メタノール 10:0.1)による残渣の精製は、無色オイ
ルとして純粋なメチルエステルを与える。1
H-NMR(CDCl3):5.65(m,2H);4.60(m,1H);4.10(dd,2H);3.70(s,3H)
;3.25(m,2H);1.59(s,3H);1.52(s,3H);1.47(s,9H)。実施例6.1.4:エステル基の還元
塩化メチレン中の0.76gの前記メチルエステルの溶液に、トルエ
ン中の1.2M水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)4.7mlを0℃で滴下添加
する。反応混合物を0℃で1時間攪拌し、次いで10mlの1N HClを滴下添加する。
該混合物をH2O上に注ぎ、有機層を分離し、CaCl2上で乾燥し、そして真空中で濃
縮する。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン7:3)による
残渣の精製は、無色オイルとしてアルコール化合物を与える。1
H-NMR(CDCl3):5.55(m,2H),4.70(m,1H);4.10(dd,2H);3.80-3.50(m
,4H);1.52(s,6H);1.42(s,9H)。実施例6.1.5:アルコール基のトシル化
塩化メチレン中の0.680gの前記アルコールの溶液に、0.45mlの(CH3CH2)3N
、0.52 gのトルエン−4−スルホニルクロリドおよび0.04gのジメチルアミノピ
リジンを0℃で加える。氷浴をすぐに取り外し、反応混合物を室温で4時間攪拌
する。それを氷上に注ぎ、塩化メチレンで2回抽出する。合わせた有機抽出液を
CaCl2上で乾燥し、そして真空中で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフ
ィー(ヘキサン/酢酸エチル6:1)により精製する。1
H-NMR(CDCl3):7.8(d,2H);7.35(d,2H);5.55(m,1H);5.40(m,1H);
4.53(m,1H);4.18-3.90(m,4H);3.60(dd,1H);2.60(dd,1H);2.47(s,3
H);1.59(s,3H);1.52(s,3H);1.47(s,9H)。実施例6.1.6:ヨウ素によるトシル基の置換
DMF中の0.535gの前記トシレートの溶液に0.675gのLiIを加え、反応混合
物を70℃に20分間温める。反応混合物をH2Oと酢酸エチルの間に分配させ、有機
層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮する。残渣をフラッシュ
クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル7:1)により精製すると、僅かに黄
色のオイルとして純粋なヨウ素化化合物が得られる。1
H-NMR(CDCl3):5.55(m,1H);5.45(m,1H);4.6(m,1H);4.1
(dd,1H);3.70(dd,1H);3.30(m,1H);3.10(m,1H);2.75(m,2H);1.5
9(s,3H);1.52(s,3H);1.47(s,9H)。実施例6.1.7:式(8.3)の化合物の合成
0.5mlのTHF中の0.17mlの1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザ
ンの溶液を−78℃に冷却し、これに0.59mlの1.6Mブチルリチウムを加える。生
じた溶液を−78℃で10分間攪拌し、次いで0.8mlのTHF中の0.232gの(2S,
4R)−3−〔(ベンジルオキシ)カルボニル〕−4−メチル−2−フェニル−
1,3−オキサゾリン−5−オン〔Altmann他、Helv.Chim.Acta(1991),74
,800-806〕の予冷溶液(−78℃)に移す。僅かに黄色のエノラート溶液を−78
℃で5分間攪拌し、次いで1mlのTHF中に溶解された実施例6.1.6のヨウ素化
化合物0.568gを添加する。反応混合物を−40℃に温め、この温度で4時間攪拌
し、次いで飽和塩化アンモニウム溶液とエーテルの間に分配させる。水層を分離
し、エーテルで2回洗浄し、合わせたエーテル抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥
し、真空中で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/エーテル8:
2)により残渣を精製する。1
H-NMR(C2D2Cl4;100℃):7.36-7.10(m,10H);6.48(s,1H);5.40(m,1H);
5.30(m,1H);4.50(m,1H);4.00(dd,1H);3.60(dd,1H);2.40(m,1H);2.
10(m,1H);2.00(m,2H);1.70(s,3H);1.59(s,3H);1.52(s,3H); 1.45
(s,9H)。実施例6.1.8:ベンジル基の除去
3mlのメタノール中の0.232gの式(8.3)の化合物の溶液に、0.5mlの2N水
性LiOH溶液を添加する。反応混合物を45℃で2時間攪拌し、水で希釈し、そして
エーテルで2回抽出する。合わせたエーテル抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥し
、真空中で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン/メ
タノール 10:0.4→10:1)により精製すると、白色フォームとして式(8.4)の
化合物が得られる。
1H-NMR(CDCl3):7.30(s,5H);6.72(s,1H);5.35(m,2H);5.20(d,2H)
;4.70(m,1H);3.95(dd,1H);3.58(dd,1H);2.40-1.90(m,4H);1.59(s
,3H);1.52(s,3H);1.48(s,9H)。実施例6.1.9:遊離カルボキシ基へのトリプタミンのカップリング
塩化メチレン中の0.150gの式(8.4)の化合物の溶液に、74.5mgのDCC、55.3m
gのHOBtおよび58mgのトリプタミンを加える。反応混合物を室温で2時間攪拌し
、濾過し、塩化メチレンで希釈し、そしてブラインで洗浄する。有機層を塩化カ
ルシウム上で乾燥し、真空中で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー
(塩化メチレン/メタノール200:5)により精製すると白色フォームが得られる
。1
H-NMR(CDCl3):8.08(s,1H);7.58(d,1H);7.35(s,5H);7.25-7.00(m,
3H);6.58(s,1H);5.35(d,1H);5.30(s,1H);5.08(d,2H);4.50(m,1H
);3.88-3.50(m,3H);2.99(t,2H);2.38-1.55(m,4H);1.50(s,6H);1.
45(s,3H);1.42-1.22(m,2H);1.39(s,
9H)。実施例6.1.10:Bzl-O-CO-保護基の除去
8mlのTHF中の0.200gの実施例6.1.9の化合物の溶液に、窒素雰囲気下で0.
030gの10%パラジウム/炭素を加え、得られた混合物を室温で3時間水素化す
る。濾過により触媒を除去し、次いで溶媒を蒸発させると、白色フォームとして
遊離アミンが得られる。1
H-NMR(CDCl3):8.92(s,1H);7.65(d,1H);7.52(s,1H);7.40(d,1H)
;7.2-7.1(m,2H);7.08(s,1H);3.90(dd,1H);3.85(m,1H);3.80(m,1H
);3.72(dd,1H);3.52(m,1H);3.00(t,2H);1.90-1.40(m,6H);1.60(
s,3H);1.52(s,6H);1.45(s,9H);1.30(s,2H);1.25-1.10(m,2H)。実施例6.1.11:Fmocでの遊離アミノ基の保護
THF中の0.150gの前記遊離アミンの溶液に0.054mlのN−エチルジイソプロ
ピルアミンと0.081gのFmoc-Clを加え、反応混合物を室温で一晩攪拌する。反応
混合物を塩化メチレンとブラインの間に分配させ、有機層を分離し、CaCl2上で
乾燥し、真空中で溶媒を蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(エ
ーテル/ヘキサン 8:2→9:1)により精製すると、Fmoc保護化合物が白色フォー
ムとして得られる。1
H-NMR(CDCl3):8.92(s,1H);7.89(d,2H);7.60(d,2H);7.45-7.30(m,
2H);7.20(t,1H);7.12(t,1H);7.00(s,1H);6.28(s,1H);5.85(s,1H
);4.35(d,2H);4.15(t,1H);3.83(m,2H);3.65(m,3H);3.00(t,2H)
;1.80-1.00(m,8H);1.58(s,3H);1.55(s,3H);1.50(s,3H);1.46(s,9
H)。実施例6.1.12:アセチル化保護基の除去
メタノール/水(95:5)中の0.180gの前記Fmoc保護化合物の溶液に2mgのト
ルエン−4−スルホン酸を加え、反応混合物を75℃に
5時間温める。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフ
ィー(エーテル/メタノール200:5→100:5)により精製すると遊離アルコールが
得られる。1
H-NMR(CDCl3):8.92(s,1H);7.89(d,2H);7.60(d,2H);7.45-7.30(m,
2H);7.20(t,1H);7.12(t,1H);7.00(s,1H);6.28(s,1H);5.85(s,1H
);4.35(d,2H);4.15(t,1H);3.83(m,2H);3.65(m,2H);3.00(t,2H)
;1.80-1.00(m,8H);1.62(s,3H);1.46(s,9H)。実施例6.1.13:遊離ヒドロキシ基の酸化
DMF中の0.100gの前記遊離アルコールの溶液に0.112gのジクロム酸ピリジ
ニウムを加える。反応混合物を室温で5時間攪拌し、次いで酢酸エチルとブライ
ンの間に分配させる。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃
縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール;10
:1)により精製すると式(8.1)の純粋生成物が得られる。1
H-NMR(CDCl3):8.92(s,1H);7.89(d,2H);7.60(d,2H);7.45-7.30(m,
2H);7.20(t,1H);7.12(t,1H);7.00(s,1H);6.28(s,1H);5.85(s,1H
);4.48(m,1H);4.35(d,2H);4.15(t,1H);3.66(m,2H);3.08(t,2H)
;1.92-1.00(m,8H);1.62(s,3H);1.47(s,9H)。実施例6.2:TAB-エステル樹脂への式(8.1)の化合物のカップリング
実施例4.5に記載したのと同様な方法で、式(8.1)の化合物を樹脂に結合させ
る。実施例6.3:樹脂結合型保護ペプチドArg(Pmc)-Ser(But)-(8.1)-(TAB-エステル 樹脂)の合成
実施例6.2の化合物1.5g(0.7ミリモル)を実施例1.1と同様
な固相合成法にかけ、次のアミノ酸誘導体を順次結合させる:Fmoc-Ser(But)
およびFmoc-Arg(Pmc)。合成の終わりに、ArgのFmoc基を除去し、そして樹脂を
減圧下で乾燥する:約1.9g(微量の溶剤を含む)。実施例6.4:TAB-エステル樹脂からの直鎖状保護ペプチドの開裂
約1.9gのペプチド−樹脂(約0.65ミリモル)を99%AcOHとDCMの混合物(1:9 v
/v)30mlと共に1.5時間振盪する。樹脂を濾過し、DCE(各回20ml)で2回、
DCEとTFEの混合物(1:1 v/v)(20ml)で1回、そしてTFE(各回20ml
)で4回洗浄する。合わせた濾液を25〜30℃にて減圧下で濃縮し、油状残渣を約
50mlのDMSO(蒸留済)中に溶かし、凍結乾燥する。次の環化工程を妨害し得る微
量のAcOHの完全除去のために、生成物に更に2回の凍結乾燥(各々10mlのDMSOか
ら)を適用する。
上記の分析用HPLC:保持時間26.3分。
MALDI,+モード:1027.1(計算値1027.3)。実施例6.5:直鎖状保護ペプチドの環化
実施例6.4の直鎖状ペプチド0.48g(0.467ミリモル)を実施例4.9に記載した
のと同様な方法で環化せしめる。
上記の分析用HPLC:保持時間27.2分。
MALDI、+モード:1009.0(計算値1009.2)。実施例6.6:環状ペプチド上の保護基の除去
180mgの粗製の保護された環状ペプチドを95%TFAとエタンジチオールの混合物
(9:1 v/v)2ml中に溶かす。DIPEと石油エーテル(低沸点)の1:1 (v/v)混合
物15mlの添加により、粗製ペプチドを沈澱させる。沈澱を濾過により単離し、前
記沈澱混合物5mlで洗浄し、そして減圧下で乾燥する。粗製物質をHPLCにより精
製し(保持時間12.3分)、実施例1.3に記載した通りに酢酸塩に変換する。
式(8)の化合物がふわふわの白色粉末として得られる。
上記の分析用HPLC:単一ピークの保持時間12.0分。
MALDI、+モード:586.1(計算質量586.7)。実施例6.7:式(8)の化合物の別の合成方法 実施例6.7.1:式(8.3)の化合物中のオキサゾリジンの開環
メタノール/水(95:5)中の1.20gの式(8.3)の化合物(実施例6.1.7)の溶
液に0.060gのトルエン−4−スルホン酸を加え、そして反応混合物を75℃で7
時間攪拌する。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフ
ィー(エーテル/ヘキサン2:1)により精製し、白色フォームとして純粋生成物
を得る。1
H-NMR(CDCl3):7.40(m,6H);7.20(m,2H);6.90(m,2H);6.50(s,1H)
;5.60(m,1H);5.31(m,1H);5.08(m,2H);4.70(d,1H);4.39(m,1H);
3.57(m,2H);2.60(m,1H);2.22(m,1H);2.02(m,2H);1.79(s,3H);1.
71(m,1H);1.48(s,9H)。実施例6.7.2:OH基の酸化
147mlのアセトン中の0.600gの実施例6.7.1の化合物の溶液を0℃に冷却し、0
.90mlのJones試薬(3.25M CrO3 .29M H2SO4)を滴下添加する。反応混合物を0
℃で2時間攪拌し、次いで1.3mlのイソプロパノールを滴下添加する。反応混合
物を濾過し、濾液を酢酸エチルとブラインの間に分配させる。水層を酢酸エチル
で3回抽出する。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で
乾燥し、真空中で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレ
ン/メタノール 10:0.5)により精製し、白色フォームとして純粋生成物を得る
。1
H-NMR(CDCl3):7.40(m,6H);7.20(m,2H);6.85(m,2H);6.54(s,1H)
;5.55(m,1H);5.33(m,1H);5.08(m,2H);4.82(m,1H);4.39(m,1H);
2.24(m,1H);2.05(m,2H);1.82(s,3H);1.75(m,
1H);1.48(s,9H)。実施例6.7.3:オキサゾリドンの開環
17mlのメタノール中の1.10 gの実施例6.7.2の化合物の溶液に、1.0mlのH2O中
に溶かした0.09gのLiOHを加える。反応混合物を室温で30分間攪拌し、次いで水
とエーテルの間に分配させる。水層を分離し、1N HClで酸性にし、エーテルで再
抽出する。酸性エーテル抽出液を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒の
蒸発により式(8.5)の純粋生成物が白色フォームとして得られる。1
H-NMR(CD3OD):7.30(s,5H);6.12(m,1H);5.10(m,2H);5.25(m,1H)
;5.10(m,2H);3.80(s,3H);2.30-2.10(m,3H);1.60(s,3H);1.42(s,9
H);1.28(t,2H)。
実施例6.7.4:2−トリメチルシリルエチル保護基の導入
15mlの塩化メチレン中の0.74 gの式(8.5)の化合物の溶液に、0.36gのジシ
クロヘキシルカルボジイミド、0.019gのジメチルアミノピリジンおよび0.23ml
の2−トリメチルシリルエタノールを添加する。反応混合物を室温で18時間維持
し、それを濾過し、濾液を蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(
エーテル/ヘキサン1:1)により精製し、無色オイルとして精製化合物を得る。1
H-NMR(CDCl3):7.36(m,5H);6.21(brs,1H);5.59(m,1H);5.20(m,1H
);5.10(s,2H);5.02(d,1H);4.20(t,2H);3.75(m,1H);3.70(s,3H)
;2.00-1.90(m,1H);1.60(s,3H);1.40(s,9H);1.20(t,2H);0.99(t,2
H);0.20(s,9H)。実施例6.7.5:Z保護基の除去
実施例6.7.4の化合物0.780gを40mlのテトラヒドロフラン中で0.150gの10%Pd
/Cの存在下で水素化する。触媒を濾過により除去し、濾液を真空中で蒸発させ
、無色オイルとして純粋生成物を得る。1
H-NMR(CDCl3):5.02(d,1H);4.21(t,2H);4.10(m,1H);3.80(s,3H);
1.90-1.10(m,6H);1.60(s,3H);1.40(s,9H);1.28(t,2H);1.00(t,2H
);0.20(s,9H)。実施例6.7.6:Z-Ser(But)-OHとの縮合
13mlのテトラヒドロフラン中の0.400gの実施例6.7.5の化合物の溶液に、0.87
2gのZ-Ser(But)-OSuと0.31mlのEt3Nを加える。反応混合物を室温で17時間攪
拌し、次いで溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(エーテル
/メタノール 10:0.5)により精製し、式(8.6)の純粋生成物を得る。
FAB-MS:709(M+H)+。1
H-NMR(DMSO;80℃):7.38-7.29(m,5H);5.07(s,2H);4.13(m,3H);3.9
0(m,1H);3.59(s,3H);3.47(d,2H);1.77(m,2H);1.60(m,2H);1.39
(s,9H);1.38(s,3H);1.35-1.16(m,4H);1.14(s,9H);0.95(t,2H);0
.04(s,9H)。
実施例6.7.7:Z保護基の除去
0.639gの式(8.6)の化合物を40mlのテトラヒドロフラン中で0.220gの10%P
d/Cの存在下で水素化する。触媒を濾過により除去し、濾液を蒸発させて純粋
生成物を得る。1
H-NMR(CDCl3):5.00(brd,1H);4.21(m,3H);3.82(s,3H);3.50(m,3H
);2.20(m,1H);1.80(m,1H);1.65(s,2H);1.58(s,3H);1.45(s,9H)
;1.40-1.10(m,4H);1.20(s,9H);1.00(t,2H);0.30(s,9H)。実施例6.7.8:Z-Ar(Pmc)-OHとの縮合
15mlのテトラヒドロフラン中の0.639gのZ-Arg(Pmc)-OHの溶液に、0℃にお
いて0.439gのベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ
)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(BOP)と0.14mlのEt3Nを加える。反応
混合物を5分間攪拌し、次いで0.584gの実施例6.7.7の化合物を加える。氷浴を
取り外し、反応混合物を室温で2時間攪拌する。次いで飽和NH4Cl溶液中に注ぎ
、水層をエーテルで3回抽出する。合わせた有機抽出液を水とブラインで洗浄し
、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで溶媒を蒸発させる。残渣をフラッシュクロ
マトグラフィー(塩化メチレン/メタノール10:0.3)により精製し、フォームと
して式(8.7)の純粋生成物を得る。
FAB-MS:1132(M+H)+。1
H-NMR(DMSO;120℃):7.37-7.27(m,5H);5.06(s,2H);4.33(m,1H);4.
16(t,2H);4.04(m,1H);3.93(m,1H);3.60(s,3H);3.53(m,1H);3.43
(m,1H);3.08(q,2H);2.62(t,2H);2.53(s,3H);2.52(s,3H);2.06(
s,3H);1.81(t,2H);1.78-1.18(m,12H);1.42(s,3H);1.40(s,9H);1.
30(s,6H);1.15(s,9H);0.97(t,2H);0.05(s,9H)。
実施例6.7.9:2−トリメチルシリルエチル保護基の除去
18mlのテトラヒドロフラン中の1.045gの(8.7)の溶液に0.584gのフッ化テ
トラブチルアンモニウムを加木る。反応混合物を室温で24時間攪拌し、次いで飽
和NH4Cl溶液中に注ぎ、水層を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機抽出液
を水とブラインで洗浄し、溶媒を真空中で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマ
トグラフィー(塩化メチレン/メタノール 10:0.8)により精製し、白色フォー
ムとして純粋生成物を得る。
FAB-MS:1032(M+H)+。1
H-NMR(DMSO;100℃):7.30-7.25(m,5H);5.06(s,2H);4.33(m,1H);4.
06(m,1H);3.65(m,1H);3.59(s,3H);3.53(m,1H);3.43(m,1H);3.08
(q,2H);2.62(t,2H);2.53(s,3H);2.52(s,3H);2.06(s,3H);1.80(
t,2H);1.78-1.20(m,12H);1.42(s,3H);1.40(s,9H);1.30(s,6H);1.
15(s,9H)。実施例6.7.10:Z保護基の除去
0.697gの実施例6.7.9の化合物を40mlのメタノール中で0.136gの10%Pd/Cの存
在下で水素化する。触媒を濾過により除去し、濾液を蒸発させ、白色フォームと
して純粋生成物を得る。
FAB-MS:898(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):4.47(m,1H);3.95(m,1H);3.65(m,1H);3.59(s,5H)
;3.20(m,2H);2.68(t,2H);2.53(s,3H);2.52(s,3H);2.10(s,3H);
1.90-1.20(m,12H);1.82(t,2H);1.48(s,3H);1.42(s,9H);1.30(s,6H
);1.20(s,9H)。実施例6.7.11:環化
56mlのジメチルホルムアミド中の0.341gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾー
ルと0.459gのジシクロヘキシルカルボジイミドの溶液に、56mlのジメチルホル
ムアミド中に溶かした0.200gの実施例
6.7.10の化合物の溶液を9.5時間に渡り滴下添加する。反応混合物を室温で16時
間攪拌し、次いで真空中で溶媒を蒸発させ、そして残渣をフラッシュクロマトグ
ラフィー(塩化メチレン/メタノール10:0.9)により精製し、白色粉末として式
(8.8)の純粋生成物を得る。
FAB-MS:881(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):4.32(m,1H);4.21(m,1H);3.90(m,1H);3.78(s,3H)
;3.57(m,2H);3.19(m,2H);2.78(t,2H);2.58(s,3H);2.56(s,3H);
2.10(s,3H);1.82(t,2H);1.73-1.20(m,10H);1.42(s,3H);1.38(s,9H
);1.30(s,9H);1.18(m,8H)。
実施例6.7.12:メチルエステルの開裂
2mlのメタノール中の0.087 gの(8.8)の溶液に0.12mlの1N NaOHを加える。
反応混合物を45〜50℃で20時間攪拌し、H2Oで希釈し、水層をエーテルで1回抽
出する。水層を1%KHSO4溶液で酸性にし、そして酢酸エチルで再び抽出する。合
わせた酢酸エチル抽出液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒
を蒸発させ、白色粉末として純粋生成物を得る。
FAB-MS:866(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):4.32(m,1H);4.18(m,1H);3.90(m,1H);3.60(m,2H)
;3.20(m,2H);2.68(t,2H);2.57(s,3H);2.56(s,3H);2.10(s,3H);
1.80(t,2H);1.80-1.20(m,10H);1.43(s,3H);
1.38(s,9H);1.30(s,9H);1.18(m,8H)。実施例6.7.13:トリプタミンとの縮合
2mlの塩化メチレン中の0.08gの実施例6.7.12の化合物の溶液に、0.021gの
ジシクロヘキシルカルボジイミドと0.016gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾー
ルを加える。反応混合物を室温で10分間攪拌し、次いで2mlの塩化メチレン中の
16.2mgのトリプタミンの溶液を加える。反応混合物を室温で3.5時間攪拌し、次
いで溶媒を真空中で蒸発させる。フラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン
→塩化メチレン/メタノール 10:0.5)により2つのジアステレオマー生成物か
ら所望の式(8.9)の生成物を分離する。
FAB-MS:1008(M+H)+。
式(8.8)の化合物の1H-NMR(CD3OD):7.58(d,1H);7.30(d,1H);7.10-6.9
0(m,3H);4.28(m,1H);4.18(m,1H);3.92(m,1H);3.58(m,2H);3.50
(t,2H);3.20(m,2H);2.98(m,2H);2.59(t,2H);2.57(s,3H);2.56(
s,3H);2.10(s,3H);1.80(t,2H);1.80-1.20(m,10H);1.43(s,3H);1.
40(s,9H);1.30(s,9H);1.15(m,8H)。
実施例6.7.14:保護基の除去
0.035gの(8.9)を1.6mlのトリフルオロ酢酸/水(90:10)中に溶かし、反
応混合物を室温で4.5時間攪拌する。次いで溶媒を蒸発させ、残渣をエーテルで
凝固させる。式(9)の生成物を、Nucleosil逆相C18カラム;30分間での10%CH3
CN(0.09%トリフルオロ酢酸)/90%H2O(0.09%トリフルオロ酢酸)から90%
CH3CN(0.09%トリフルオロ酢酸)/10%H2O(0.09%トリフルオロ酢酸)への勾
配を使ったHPLCにより精製する;
Rt=12.00分。
FAB-MS:586(M+H)+。実施例7
:式(9)の化合物の合成
実施例7.1:3−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−(R)−2,2− ジメチル−3,4−オキサゾリジンカルボキシレートの合成
3−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−(R)−2,2−ジメチル−
3,4−オキサゾリジンカルボキシレート(式9.1)は、D−セリンから出発し
てGarner他,J.Org.Chem.(1987),52,2361-2364に従って合成する。1
H-NMR(CDCl3):4.49-4.39(m,1H);4.18-4.00(m,2H); 3.75(s,3H);1.6
5(d,3H);1.5(d,3H);1.45(s,9H)。
実施例7.2:(9.1)の還元
450mlのトルエン中の22.3gの(9.1)の溶液を0℃に冷却し、トルエン中の1.
2M DIBAH溶液200mlを滴下添加する。生じた溶液を0〜5℃に1時間冷却し、次
いで200mlの1N HCl中に注ぐ。水層を分離し、酢酸エチルで3回抽出する。合わ
せた有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させて粗生成物を得る。フラ
ッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル7:3)による精製は、無色オ
イルとして式(9.2)の純粋生成物を与える。1
H-NMR(CDCl3):4.15-3.5(m,6H);1.55(s,3H);1.45(s,12H)。
実施例7.3:ブロモ酢酸メチルでのアルキル化
100mlのテトラヒドロフラン(無水)中の2.50gのNaHの懸濁液に、10.6gの(
9.2)を滴下添加する。反応混合物を1時間攪拌した後、14mlのブロモ酢酸メチ
ルを1度に添加する。反応混合物を室温で更に20時間攪拌し、次いでNH4Cl溶液
中に注ぎ、そして水性層をエーテルで3回抽出する。合わせた有機抽出液を硫酸
ナトリウム上で乾燥し、溶媒を蒸発させる。フラッシュクロマトグラフィー(エ
ーテル/石油エーテル3:7)による精製は、無色オイルとして純粋生成物を与え
る。1
H-NMR(CDCl3):4.2-3.9(m,5H);3.72(s,3H);3.68-3.30(m,2H);1.55
(s,3H);1.52(s,3H);1.49(s,9H)。実施例7.4:酢酸メチル基の還元
120mlのトルエン中の6.20gの実施例7.3の化合物の溶液を0℃に冷却し、そし
てトルエン中の1.2M DIBAH溶液48.0mlを滴下添加する。生じた溶液を0〜5℃で
1時間攪拌し、次いで150mlの1NHCl中に注ぐ。水層を分離し、酢酸エチルで3回
抽出する。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮する
。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン4:6)による精製は、
わずかに黄色のオイルとして式(9.3)の純粋生成物を与える。1
H-NMR(CDCl3):4.1-3.9(m,3H);3.7-3.4(m,7H);1.60(s,3H);1.55(s
,3H);1.4(s,9H)。
実施例7.5:トルエン−4−スルホニルクロリドとの反応
100mlの塩化メチレン中の6.30gの(9.3)の溶液に、4.1mlのEt3N、4.80gのト
ルエン−4−スルホニルクロリドおよび0.28gのジメチルアミノピリジンを0℃
で加える。氷浴をすぐに取り外し、反応混合物を室温で4時間攪拌し、次いでそ
れを氷上に注ぎ、塩化メチレンで2回抽出する。合わせた有機抽出液を硫酸ナト
リウム上で乾燥し、真空中で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(
酢酸エチル/ヘキサン2:8)により精製すると、わずかに黄色のオイルとして純
粋生成物が得られる。1
H-NMR(CDCl3):7.8(d,2H);7.35(d,2H);4.12-3.30(m,9H);
2.48(s,3H);1.55(s,3H);1.48(s,12H)。実施例7.6:ヨウ素によるトルエン−4−スルホニル基の置換
ジメチルホルムアミド中の1.58gの実施例7.5の化合物の溶液に2.17gのLiIを
添加し、反応混合物を70℃で20分間攪拌する。反応混合物を水と酢酸エチルの間
に分配させ、有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮する。
残渣をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン/ヘキサン4:1)により精
製すると、わずかに黄色のオイルとして純粋なヨウ素化生成物が得られる。1
H-NMR(CDCl3):4.1-3.2(m,9H);1.56(s,3H);1.54(s,3H);1.48(s,9H
)。実施例7.7:(2S,4R)−3−〔(ベンジルオキシ)カルボニル〕−4−メ チル−2−フェニル−1,3−オキサゾリジン−5−オンによるヨウ素の置換
2.1mlのテトラヒドロフラン中の1.1mlの1,1,1,3,3,3−ヘキサメチ
ルジシラザンの溶液を−78℃に冷却し、これに3.20mlの1.6 M BuLi/ヘキサンを
加える。生じた溶液を−78℃で10分間攪拌し、次いで4.8mlのテトラヒドロフラ
ン中の1.45gの(2S,4R)−3−〔(ベンジルオキシ)カルボニル〕−4−
メチル−2−フェニル−1,3−オキサゾリン−5−オン〔Altmann他、Helv.C
him.Acta(1991),74,800-806〕の予冷溶液(−78℃)に移す。僅かに黄色の
エノラート溶液を−78℃で5分間攪拌し、次いで6mlのTHF中に溶解された実
施例7.6の化合物3.6gを添加する。反応混合物を−78℃で24時間攪拌し、次いで
飽和塩化アンモニウム溶液とエーテルの間に分配させる。水層を分離し、エーテ
ルで2回抽出し、合わせたエーテル抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中
で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィー(エーテル/ヘキサン3:7)により
式(9.4)の化合物を精製する。
FAB-MS:596(M+H)+。1
H-NMR〔(CCl2D)2;80℃〕:7.38(s,5H);7.22(s,5H);6.32(s,1H);5.
02(d,2H);3.90(m,3H);3.58(d,1H);3.42(m,2H);3.28(t,1H); 2.5
2(m,1H); 2.20(m,1H);1.72(s,3H);1.53(s,3H);1.46(s,9H);1.43
(s,3H)。
実施例7.8:オキサゾリジンの開環
メタノール/水(95:5)中の1.45gの式(9.4)の化合物の溶液に73mgのトルエ
ン−4−スルホン酸を加え、そして反応混合物を75℃で2時間攪拌する。反応混
合物を真空中で濃縮し、残渣(式9.5)をフラッシュクロマトグラフィー(エー
テル/ヘキサン3:1)により精製する。
FAB-MS:529(M+H)+。1
H-NMR〔(CCl2D)2;80℃〕:7.38(s,5H);7.28(s,5H);6.37(s,1H);5.
13-4.92(m,3H);3.78-3.52(m,4H);3.47(m,3H);2.52(brs,1H);2.28(
m,1H);2.10(m,1H);1.72(s,3H);1.41(s,9H)。
実施例7.9:ヒドロキシ基の酸化
48mlのアセトン中の1.85gの(9.5)の溶液を0℃に冷却し、2.82mlのJones試
薬(3.25M CrO3 .29M H2SO4)を滴下添加する。反応混合物を0℃で2時間攪拌
し、次いで4mlのイソプロパノールを滴下添加する。反応混合物を濾過し、濾液
を酢酸エチルとブラインの間に分配させる。水層を酢酸エチルで3回抽出する。
合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で
濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール10
:0.75)により精製し、白色フォームとして純粋生成物を得る。
FAB-MS:542(M+H)+。1
H-NMR〔(CCl2D)2;80℃〕:7.38(m,5H);7.21(s,5H);6.45(s,1H);5.
58(s,1H);5.03(m,2H);4.38(s,1H);3.72(m,1H);3.58(m,1H);3.35
(m,2H);2.40(m,2H);1.64(s,3H);1.38(s,9H)。実施例7.10:オキサゾリドンの開環
40mlのメタノール/テトラヒドロフラン(1:1)中の1.65gの実施例7.9の化合
物の溶液に、0.5mlの水に溶かした0.128gのLiOHを加える。反応混合物を室温で
1.5時間攪拌し、次いで水とエーテルの間に分配させる。水層を分離し、1N HCl
で酸性にし、エーテルで再抽出する。酸性エーテル抽出液を合わせ、硫酸ナトリ
ウム上で乾燥する。溶媒の蒸発により式(9.6)の純粋生成物が白色フォームと
して得られる。
FAB-MS:469(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):7.16(m,5H);5.10(s,2H);4.30(t,1H),3.78(dd,1H)
;3.70(s,3H);3.58(dd,1H);3.50(m,2H);2.18(m,2H);1.50(s,3H)
;1.43(s,9H)。
実施例7.11:2−トリメチルシリルエチルエステルとしての遊離カルボキシル基 の保護
30mlの塩化メチレン中の1.25gの(9.6)の溶液に、0.66gのジシクロヘキシ
ルカルボジイミド、0.032gのジメチルアミノピリジンおよび0.46mlの2−トリ
メチルシリルエタノールを添加する。反応混合物を室温で4時間攪拌し、次いで
それを濾過し、濾液を蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキ
サン/エーテル75:25)により精製し、わずかに黄色のオイルとして純粋生成物
を得る。
FAB-MS:569(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):7.32(m,5H);5.06(s,2H);4.26(m,1H);4.25(t,2H)
;3.70(m,1H);3.68(s,3H);3.50(m,4H);2.10(t,2H);1.49(s,3H);
1.44(s,9H);1.00(t,2H);0.5(s,9H)。実施例7.12:Z保護基の除去
実施例7.11の化合物1.08gを20mlのテトラヒドロフラン中で0.360gの10%Pd/
Cの存在下で水素化する。触媒を濾過により除去し、濾液を真空中で蒸発させて
純粋生成物を得る。
FAB-MS:435(M+H)+。1
H-NMR(CDCl3):5.68(d,1H);4.33(m,1H);4.20(t,2H);3.85(m,1H)
;3.72(s,3H);3.50(m,3H);2.10(m,1H);1.78(m,1H);1.70(s,2H);
1.47(s,9H);1.32(s,3H);1.00(t,2H);0.50(s,9H)。実施例7.13:保護セリンとの縮合
25mlのテトラヒドロフラン中の0.780gの実施例7.12の化合物の
溶液に、0.845gのZ-Ser(But)-Osuと0.40mlのEt3Nを加える。反応混合物を室
温で40時間攪拌し、次いで溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィ
ー(エーテル/ヘキサン1:1)により精製し、無色オイルとして式(9.7)の純粋
生成物を得る。
FAB-MS:712(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):7.38(m,5H);5.12(s,2H);5.05(m,1H); 4.29-4.10(m
,4H);3.75(s,3H);3.71-3.30(m,5H);2.12(m,2H);1.50(s,3H);1.42
(s,9H);1.20(s,9H);1.00(t,2H);0.50(s,9H)。
実施例7.14:Z保護基の除去
0.855gの式(9.7)の化合物を30mlのテトラヒドロフラン中で0.300gの10%P
d/Cの存在下で水素化する。触媒を濾過により除去し、濾液を蒸発させ、無色オ
イルとして純粋生成物を得る。
FAB-MS:578(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):4.25(m,4H);3.75(s,3H);3.71-3.30(m,6H);2.12(m,
2H);1.52(s,2H);1.49(s,3H);1.44(s,9H);1.21(s,9H);1.00(t,2H
);0.50(s,9H)。実施例7.15:保護アルギニンとの縮合
15mlのテトラヒドロフラン中の0.825gのZ-Arg(Pmc)-OHの溶液に、0℃にお
いて0.360gのベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ
)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(BOP)と0.20mlのEt3Nを加える。反応
混合物を10分間攪拌し、次
いで0.75gの実施例7.14の化合物を加える。氷浴を取り外し、反応混合物を室温
で2.5時間攪拌する。次いで飽和NH4Cl溶液中に注ぎ、水層をエーテルで3回抽出
する。合わせた有機抽出液を水とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し
、次いで溶媒を蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(エーテル/
メタノール10:0.3)により精製し、わずかに黄色のフォームとして式(9.8)の
純粋生成物を得る。
FAB-MS:1134(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):7.32(m,5H);5.10(s,2H);4.35(m,1H);4.20(m,4H)
;3.72(s,3H);3.69(m,2H);3.58(m,2H);3.45(m,2H);3.19(t,2H);
2.68(t,2H);2.56(s,3H);2.55(s,3H);2.40-2.10(m,2H);2.08(s,3H
);1.82(t,2H);1.68-1.40(m,4H);1.50(s,3H);1.42(s,9H);1.39(s
,6H);1.20(s,9H);1.00(t,2H);0.50(s,9H)。
実施例7.16:2−トリメチルシリルエチル基の除去
20mlのテトラヒドロフラン中の0.700gの(9.8)の溶液に0.39gのフッ化テト
ラブチルアンモニウムを加える。反応混合物を室温で5時間攪拌し、次いで飽和
NH4Cl溶液中に注ぎ、水層を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機抽出液を
水とブラインで洗浄し、溶媒を真空中で蒸発させる。残渣をフラッシュクロマト
グラフィー(塩化メチレン/メタノール10:0.2)により精製し、わずかに黄色の
フォームとして純粋生成物を得る。
FAB-MS:1034(M+H)+。1
H-NMR(DMSO):8.40(d,1H);7.82(m,1H);7.75(d,1H);7.62(d,1H);
7.32(m,5H);6.02(d,1H);5.00(s,2H);4.35(m,1H);4.05(m,1H);3.
79(m,1H);3.66(s,3H);3.42-3.23(m,5H);3.19(m,2H);3.00(m,3H)
;2.60(t,2H);2.49(s,3H);2.48(s,3H);2.10(s,3H);1.82-1.40(m,4
H);1.75(t,2H);1.42(s,9H);1.40(s,3H);1.22(s,6H);1.10(s,9H
)。実施例7.17:Z保護基の除去
0.555gの実施例7.16の生成物を15mlのメタノール中で0.110gの10%Pd/Cの存
在下で水素化する。触媒を濾過により除去し、濾液を蒸発させ、白色粉末として
純粋生成物を得る。
FAB-MS:900(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):4.35(m,1H);4.05(m,1H);3.78-3.45(m,7H);3.65(s,
3H);3.20(m,3H);2.68(t,2H);2.58(s,3H);2.56(s,3H);2.12(m,1H
);2.10(s,3H);1.82(t,2H);1.70-1.40(m,4H);1.50(s,3H);1.42(s
,9H);1.30(s,6H);1.20(s,9H)。実施例7.18:環化
30mlのジメチルホルムアミド中の0.207gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾー
ルと0.280gのジシクロヘキシルカルボジイミドの溶液に、30mlのジメチルホル
ムアミド中に溶かした0.122gの実施例7.17の化合物の溶液を9.5時間に渡り滴下
添加する。反応混合物を室温で15時間攪拌し、次いで真空中で溶媒を蒸発させ、
そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール10:0.3
)により精製し、わずかに黄色の粉末として式(9.9)の純粋生成物を得る。
FAB-MS:882(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):4.41(m,1H);4.22(m,1H);4.02(m,1H);3.82
(m,1H);3.72-3.48(m,4H);3.69(s,3H);3.50(m,1H);3.2(t,2H);2.
69(t,2H);2.57(s,3H);2.56(s,3H);2.10(S,3H);2.02(m,2H);1.92
-1.75(m,2H);1.84(t,2H);1.65-1.58(m,2H);1.51(s,3H);1.43(s,9H
);1.30(s,6H);1.18(s,9H)。
実施例7.19:メチルエステルの開裂
1.4mlのメタノール中の0.063gの(9.9)の溶液に0.4mlのH2O中の0.008gのLi
OHの溶液を加える。反応混合物を45〜50℃で7時間攪拌し、H2Oで希釈し、水層
をエーテルで1回抽出する。水層を1%KHSO4溶液で酸性にし、そして酢酸エチ
ルで再び抽出する。合わせた酢酸エチル抽出液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリ
ウム上で乾燥し、溶媒を蒸発させ、白色粉末として純粋生成物を得る。
FAB-MS:868(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):4.41(m,1H);4.22(m,1H);4.00(m,1H);3.82(m,1H)
;3.72-3.48(m,5H);3.20(t,2H);2.69(t,2H);2.57(s,3H);2.56(s,
3H);2.10(s,3H);2.02(m,2H);1.92-1.75(m,2H);1.84(t,2H);1.65-
1.57(m,2H);1.51(s,3H);1.43(s,9H);1.30(s,6H);1.18(m,9H)。実施例7.20:2−アミノエチルインドールとの縮合
2mlの塩化メチレン中の0.055gの実施例7.19の化合物の溶液に、0.014gのジ
シクロヘキシルカルボジイミドと0.011gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを
加える。反応混合物を室温で10分間攪拌し、次いで2mlの塩化メチレン中のN−
Boc−3−(2−アミノ
エチル)インドールの溶液を加える。反応混合物を室温で4時間攪拌し、次いで
溶媒を真空中で蒸発させる。フラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン/メ
タノール10:0.5)により残渣を精製し、式(9.10)の2つのジアステレオマー生
成物の1:1混合物を得る。
FAB-MS:1110(M+H)+。1
H-NMR(CD3OD):7.60(d,1H);7.49(d,1H);7.40(s,1H);7.30-7.15(m,
2H);4.49(m,1H);4.30(t,1H);4.20(m,1H);4.10(m,1H);3.80-3.70
(dd,1H);3.70-3.50(m,4H);3.50(t,2H);3.20(dd,1H);2.92(q,2H)
;2.82-2.60(m,2H);2.52(s,3H);2.50(s,3H);2.10(s,3H);2.00-1.50
(m,8H);1.50(d,3H);1.40(s,9H);1.35(s,6H);1.15(d,9H)。
実施例7.21:保護基の除去とジアステレオマーの分離
0.030gの(9.10)を1mlのトリフルオロ酢酸/エタンジチオール(85:15)
に溶かし、室温で4.5時間攪拌する。次いで溶媒を真空中で蒸発させ、残渣をエ
ーテルで凝固させる。Nucleosil逆相C18カラムを使ったHPLCにより2つのジア
ステレオマー生成物の分離を行う;勾配:50分間で10%CH3CN(0.09%トリフル
オロ酢酸)/90%H2O(0.09%トリフルオロ酢酸)から20%CH3CN(0.09%トリフ
ルオロ酢酸)/90%H2O(0.09%トリフルオロ酢酸)へ。
Rt(式9の化合物)=30.3分;FAB-MS:588(M+H)+。
Rt((D)−異性体)=29.1分;FAB-MS:588(M+H)+。
式9の化合物の1H-NMR(D2O):7.62(d,1H);7.42(d,1H);7.20(t,1H);7
.18(s,1H);7.10(t,1H);4.90(m,1H);4.43(t,1H);4.18(s,1H);4.1
6(t,1H);3.85(dd,1H);3.67(m,2H);3.58(t,2H);3.31(dd,1H);3.1
9(m,2H);3.10(m,1H);2.98(t,2H);2.90(t,2H);1.90-1.57(m,6H);
1.42(s,3H)。
(D)−異性体の1H-NMR(D2O):7.63(d,1H);7.42(d,1H);7.20(tおよびs
,2H);7.10(t,1H);4.90(m,1H);4.50(m,1H);4.10(t,1H);4.05(m,1
H);3.79(m,2H); 3.60(m,1H);3.50(m,4H);3.29(m,1H);3.19(m,2H
);3.00(m,3H);1.84-1.42(m,6H);1.40(s,3H)。実施例8
:式(10)の化合物の合成
実施例8.1:Fmoc-D-Cys(Trt)-TAB-エステル樹脂
Fmoc-D-Cys(Trt)(0.24ミリモル)を0.4mlのDMA(脱気したもの)に溶かし
、ゆっくり攪拌しながら2mlのDCEと0.40gのTAB-エステル樹脂(0.24ミリモル
)(Novabiochem)を加える。この混合物を0〜5℃に冷却し、0.2mlのDMAと0.0
6mlのDCE中の0.1g(0.48ミリモル)のDCCIの溶液を加える。0〜5℃で5分後
、0.4mlのDCE中の5.9mg(0.048ミリモル)のDMAPの溶液を加える。0〜5℃で20
分後、27.3μlのN−メチルモルホリンを加える。次いで反応混合物を4時間振
盪する。樹脂を次の通り洗浄する:DMAで6回(各6ml)、イソプロパノールで
5回(各6ml)。減圧下で樹脂を乾燥する:0.5g(微量の溶剤を含む)。実施例8.2:保護された樹脂結合型ペプチドAc-D-Trp-CYs(Trt)-D-Ser(But)- D-Arg(Pmc)-D-Cvs(Trt)-(TAB-エステル樹脂)の合成
0.25gのFmoc-D-Cys(Trt)-TAB-エステル樹脂(0.15ミリモル)から出発して
、各段階で繰り返される次の工程段階を実施する。
−イソプロパノールでの0.8分間の1回洗浄;
−最初のカップリングのための予備活性化:各々適当に保護されたFmoc−アミノ
酸1.4ミリモルをDMA中0.5 M HOBt 3.08mlに溶かし、DMA中2 M DICD溶液0.77ml
を加える。反応混合物を約40分間維持し、次いでその形で使用する。この時間中
に、次の洗浄とFmoc保護基の除去が既に進行している;
−DMA中の20%ピペリジン溶液による、各々1分間の樹脂出発材料の8回処理(F
moc保護基の除去);
−DMA(減圧下で予め脱気したもの)での各々0.4分間の3回洗浄;
−イソプロパノールでの0.8分間の1回洗浄;
−DMA(脱気したもの)での各々0.4分間の5回洗浄;
−その合間に調製しておいたカップリング試薬の添加(上記参照)。
反応混合物を振盪しながら約60秒間維持する。カップリングの開始後5分と15分
の2回、120μlのDIPEA(0.7ミリモル)を加える;
−60分後、カップリング混合物の除去;
−DMA(脱気したもの)での0.4分間の2回洗浄;
−無水酢酸、ピリジンおよびDMAの1:1:8(v/v/v)混合物約15mlでの5分間の1
回処理(伸長ペプチド鎖中のまだ遊離であるアミノ基のアセチル化のため);
−DMA(脱気したもの)での各々0.4分間の4回洗浄;
−イソプロパノールでの各々0.8分間の2回洗浄。
こうして、Fmoc-D-Arg(Pmc),Fmoc-D-Ser(But),Fmoc-Cys(Trt)およびF
moc-D-Trpの連続カップリングにより、次のFmoc−ペプチド/樹脂中間体が得ら
れる:Ac-D-Trp-Cys(Trt)-D-Ser(But)-D-Arg(Pmc)-D-Cys(Trt)-(TAB-
エステル樹脂)。
合成の終わりに、Fmoc基を除去し、そして上述のようなキャップ剤により末端
アミノ基をアセチル化する。イソプロパノールでの最終洗浄の後、樹脂を真空乾
燥する:0.38 g。実施例8.3:樹脂からの直鎖状保護ペプチドの開裂
0.38 gのペプチド装填樹脂(0.13ミリモル)を99%AcOHとDCMの混合物(1:9 v
/v)100mlと共に振盪する。次いで樹脂を濾過し、DCEで2回(各80ml)、DCEとT
FEの混合物(1:1 v/v)(80ml)で1回、そしてTFEで4回(各80ml)洗浄する。
合わせた濾液を25〜30℃で減圧下で濃縮し、油状残渣を約200mlのDMSO(蒸留済
)中に溶かし、凍結乾燥する。次の環化工程を妨害し得る微量のAcOHの完全除去
のため、生成物に更に2回の凍結乾燥を適用する(各々50mlのDMSOから)。DMSO
からの凍結乾燥後、わずかに黄色の粉末が得られる:0.21g。
Tlc,CM:単一スポット。Rf=約0.4。
MALDI,+モード:1606.7(計算値:1604.1)。実施例8.4:モノ−Boc−1,2−ジアミノエタンへの直鎖状保護ペプチドのカッ プリング
0.101g(65μモル)の直鎖状保護ペプチドを0.70mlのDMA(脱気したもの)に
溶かし、それに12.2μlのDIPEA(75μモル)と28.8mg(65μモル)のTBTUを加
え、予備反応を3分間行う。41.9mgのモノ−Boc−1,2−ジアミノエタン(262
μモル)を加え、混合物を16時間維持する。粗生成物を10mlの水(0〜5℃)で
沈殿させ、濾過し、3mlの水で洗浄する。固体をP2O5上で真空乾燥する:95mg。
Tlc,CM:Rf=約0.4。
MALDI,+モード:1746.5(計算値:1746.0)。実施例8.5:保護基の開裂
重合体担体と酸不安定性保護基を除去するために、95mgの合成ペプチドをTFA
(95%)とエタンジチオールの85:15(v/v)混合物4mlと共に5分間2回振盪し
、次いで濾過する。濾過残渣を次いで各回4mlのDCEで3回洗浄し、そして各回
4mlのTFEで3回洗浄する。合わせた濾液と洗浄液を減圧下で約2mlの量に濃縮
し、DIPEと石油エーテル(低沸点)の1:1(v/v)混合物15mlの添加により、粗製
ペプチドを沈殿させる。該沈殿を濾過により単離し、5mlの前記沈殿混合物で洗
浄し、そして減圧下で乾燥する。
保護基の完全な除去のため、固体を4mlの上記開裂混合物中に溶かし、2時間
維持し、沈殿させ、そして減圧下で乾燥する:43mgの白色粉末。
分析用HPLC:保持時間 約14.3分。
MALDI,+モード:737.3(計算値:738.9)。実施例8.6:直鎖状ペプチドの環化
43mg(58.4μモル)の前記ペプチドを600mlの水に溶かし、アンモニア(水中1
0%)の添加によりpHを8に調整する。該溶液に空気を4時間吹き込むことによ
りジスルフィド形成による環化を行う。2.5mlのAcOHで酸性化した後、溶液を減
圧下で約10mlに濃縮し、凍結乾燥する。
精製のため、粗製ペプチドを4.5mlのCH3CN/水(1:9 v/v)と0.1mlのAcOHの混
合物中に溶かし、次の条件下での高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)にかける
:20×250mmの寸法のカラム、Machery-Nagel,Dueren,Germanyにより製造され
たNucleosil 7C18(10nm);溶離液(A)として0.1%TFAを使い、そして溶離液
(B)として0.1%TFA/CH3Nを使う。直線勾配は30分間で10%Bから90%Bであ
り、流速は10ml/分、検出は215nmの波長である。約16分の保持時間を有する主
画分を収集し、減圧下で濃縮し、そしてTFAをAcOHに交換するために、AcOHを使
って予め充填されたAG1-X8(Bio-Rad)イオン交換カラム(15ml)を通して濾過
する。カラムを水で徹底的に洗浄し、合わせた画分(40ml)を凍結乾燥する。無
色白色粉末として式(10)の化合物が得られる。
分析用HPLC:保持時間約15.3分を有する単一ピーク。
MALDI,+モード:736.9(計算値:736.9)。実施例9
:式(11)の化合物の合成
実施例9.1:式(11.1)の化合物の合成
実施例9.1.1:Fmoc-Cys(Trt)のカルボキシ基の還元
10mlのDME中の10ミリモルのFmoc-Cys(Trt)の冷却溶液(−15℃)に、1.11ml
(10ミリモル)のN−メチルモルホリンと1.36ml(10ミリモル)のクロロ蟻酸イ
ソブチルを順に添加した。1分後、沈殿したN−メチルモルホリン塩酸塩を濾過
により除去し、DME(5×2ml)で洗浄し、そして濾液と洗浄液を氷浴中の大型フ
ラスコ中に一緒にした。5mlの水中の570mgの水素化ホウ素ナトリウム(15ミリ
モル)の溶液を1度に加えて強力にガスを発生させ、その後すぐに250mlの水を
加えた。生じたアルコールをジエチルエーテルで抽出し、フラッシュクロマトグ
ラフィー(エーテル/石油エーテル6:4)により精製した。1
H-NMR(CDCl3):7.8-7.0(m,23H);4.84(d,1H);4.40(d,2H);4.20(t,1
H);3.50(m,4H);2.45(m,1H)。実施例9.1.2:アルコールのトシル化
20mlのCH2Cl2中の9.1gの実施例9.1.1の単離されたアルコール化合物の溶液に
、0℃において0.65mlの(CH3CH2)3N、0.710gのトルエン−4−スルホニルク
ロリドおよび0.04gのジメチルアミノピリジンを添加する。氷浴をすぐに取り外
し、反応混合物を室温で4時間攪拌する。反応混合物を氷上に注ぎ、塩化メチレ
ンで2回抽出する。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で
濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(エーテル/ヘキサン1:1)に
より精製すると、白色フォームとして対応するトシレートが得られる。1
H-NMR(CDCl3):7.8-7.18(m,27H);4.65(d,1H);4.43(m,2H);4.15(t,
1H);3.91(m,2H);3.52(m,1H);2.42(d,2H);1.58(s,3H)。実施例9.1.3:アジド基によるアルコール基の置換およびFmoc保護基の除去
20mlのジメチルホルムアミド中の1.5gの実施例9.1.2の化合物の溶液に、0.16
0gのナトリウムアジドを加える。反応混合物を60℃で3時間攪拌し、次いで飽
和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルとの間に分配させる。有機層を分離し、硫
酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮して黄色オイルを得る。フラッシュクロ
マトグラフィー(エーエル)により、純粋生成物として式(11.2)の化合物が得
られる。
1H-NMR(CDCl3):7.35(s,15H);3.15(d,2H);2.52(m,1H);2.28(d,2H)
;1.48(s,2H)。
IR(CH2Cl2):2106cm-1(s,N3);1720cm-1(s,C=O)。実施例9.1.4:Fmoc保護基の導入
20mlの塩化メチレン中の1.10gの式(11.2)の化合物の溶液に、0℃において
0.5mlのN−エチルジイソプロピルアミンと0.760gのFmoc-Clを加える。反応混
合物を室温に温め、4時間攪拌する。次いでそれを塩化メチレンと飽和塩化アン
モニウム溶液の間に分配させる。有機層を分離し、塩化カルシウム上で乾燥し、
溶媒を真空中で留去する。フラッシュクロマトグラフィー(エーテル/ヘキサン
80:20)による粗生成物の精製により、白色フォームとしてFmoc−保護化合物が
得られる。1
H-NMR(CDCl3):7.80-7.20(m,23H);4.40(d,2H);4.20(t,1H);3.54(m
,1H);3.30(m,2H);2.41(m,2H)。
IR(CH2Cl2):2108cm-1(s,N3);1730cm-1(s,C=O)。実施例9.1.5:アジド基からアミノ基への還元
30mlのTHF中の1.5gのFmoc−保護化合物の溶液に、0.735gのトリフェニルホ
スフィンと0.54mlのH2Oを加える。反応混合物を室温で12時間攪拌し、次いで氷
/飽和塩化アンモニウム溶液上に注ぎ、そして酢酸エチルで2回抽出する。合わ
せた有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮すると、式(11.3)
の化合物が得られる。
1H-NMR(CDCl3):7.80-7.20(m,23H);4.85(d,1H);4.40(d,2H);4.28(t
,1H);3.45(dd,1H);2.65(m,2H);2.41(m,2H);1.60(s,2H)。実施例9.1.6:Boc保護基の導入
30mlのTHF中の1.5gの式(11.3)の化合物の溶液に、0.660gのジ−tert−ブ
チルジカーボネートと0.45mlのN−エチルジイソプロピルアミンを0℃にて加え
る。氷浴をすぐに取り外し、反応混合物を室温で2時間攪拌する。次いでそれを
飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルの間に分配させ、有機層を分離し、硫酸
ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィ
ー(酢酸エチル/ヘキサン2:6)により精製し、無色オイルとして純粋生成物を
得る。1
H-NMR(CDCl3):7.80-7.20(m,23H);5.22(d,1H);4.45(d,1H);4.35(d
,2H);4.18(t,1H);3.58(m,1H);3.10(t,2H);2.40(t,
2H);1.40(s,9H)。実施例9.1.7:Fmoc保護基の除去
ジメチルホルムアミド中の15mlのジメチルアミンの溶液に、2gの実施例9.1.
6の化合物を加える。反応混合物を室温で30分間攪拌した後、飽和塩化アンモニ
ウム溶液と酢酸エチルの間に分配させ、有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾
燥し、真空中で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル)
により精製し、式(11.1)の純粋な化合物を得る。1
H-NMR(CD3OD):7.46-7.18(m,15H);2.90(dd,1H);2.82(dd,1H);2.48
(m,1H);2.35(dd,1H);2.22(dd,1H);1.40(s,9H)。実施例9.2:Fmoc-D-Ar(Pmc)-(TAB−エステル樹脂)
実施例8.1に記載したのと同様な方法でFmoc-Arg(Pmc)を樹脂に結合させる。実施例9.3:Ac-D-Trp(Boc)-Cys(Trt)-D-Ser(But)-D-Arg(Pmc)-(TAB-エ ステル樹脂)
0.30gのFmoc-D-Arg(Pmc)-TAB-エステル樹脂(0.19ミリモル)を実施例8.2
と同様な固相合成にかけ、次のアミノ酸誘導体:Fmoc-D-Ser(But),Fmoc-Cys
(Trt)およびFmoc-D-Trpを順に結合させる。合成の終わりに、Fmoc基を除去し
、末端アミノ基を実施例8.2に記載のキャップ剤によりアシル化する。イソプロ
パノールでの最終洗浄後、樹脂を減圧下で乾燥する:0.47g。実施例9.4:樹脂からの直鎖状保護ペプチドの開裂
実施例8.3に記載したのと同様に0.39gのペプチド装填樹脂(0.17ミリモル)
を処理する。DMSOからの凍結乾燥後、わずかに黄色の粉末が得られる:0.19g。
Tlc,CM:Rf=約0.35を有する単一スポット。
MALDI,+モード:1258.1(計算値:1258.6)。実施例9.5:式(11.1)の化合物への直鎖状保護ペプチドのカップリング
69mgの直鎖状保護ペプチド(55μモル)を0.40mlのDMA(脱気したもの)中に
溶かし、DIPEA(60.5μモル)と24.4mgのTBTU(55μモル)を加え、3分間予備
活性化を行う。49.3mgの式(11.1)の化合物(110μモル)を添加し、混合物を1
6時間維持する。粗生成物を3.0mlの水(0〜5℃)で沈澱させ、濾過し、そして
1.0mlの水で洗浄する。固相をP2O5上で真空乾燥する:85mg。
Tlc,CM:Rf=約0.91。
MALDI,+モード:1688.7(計算値:1689.2)。実施例9.6:保護基の開裂
85mgの粗製保護ペプチドを、実施例8.5の「保護基の完全除去」の部分に記載
したような保護基開裂にかける:39mgの白色粉末。
分析用HPLC:保持時間 約13.1分。実施例9.6:直鎖状ペプチドの環化
39mgのペプチド(57.3μモル)を400mlの水中で実施例8.6に記載したのと同様
に酸化する。粗生成物を標準条件下でのHPLC精製と酢酸塩変換(実施例8.6)に
かける。ただし、30分間での10%から90%への勾配を使用する。保持時間:約15
分。凍結乾燥後、式(11)の化合物が白色粉末として得られる。
分析用HPLC:約14.8分の保持時間を有する単一ピーク。
MALDI,+モード:678.9(計算値:679.8)。実施例10
:タンパク質分解活性
生理学的関連媒質中でのTRSAWと類似体のタンパク質分解活性(t1/2)を試験
するために、ペプチドを200μMの濃度でラット血清中で37℃にてインキュベー
トした。インキュベーション混合物のアリコート(100μl)を様々な時点で取
り、60μlの20%過塩
素酸と混合してタンパク質を沈澱させ、12,000gで8分間遠心分離する。Nucleo
sil C18とNucleosil C8カラムを用い、216nmでのUVモニタリング、流速1.0ml/
分および30分間に渡る10%→90%CH3CNの勾配を使った逆相HPLCにより、血清中
に残っている残留出発物質と分解産物を測定する(表1)。
実施例11:卵巣摘出ラットの海綿質に対するTRASW類似体の効果
130〜150gの体重を有するSprague-Dawley由来株Tif:RAIFの雌のラット(Siss
eln)を使用した。カルシウム1.2%、リン0.9%およびタンパク質24.8%を含有
する標準的ラット繁殖用飼料(NAFAG,Grossau,Switzerland)を任意に与えた
。ベタナルコール(Veter-inaria,Zurich,Switzerland)での麻酔下で背側か
ら電気メスによる卵巣摘出術(OVX)を行った。該動物を8つのグループに分
けた。
処置は卵巣摘出術の日に開始した。TRASWまたはその類似体を、0.1%ラット血
清アルブミンを含有するリン酸塩緩衝化塩溶液中に溶かした。週5日での毎日の
皮下注射により試験化合物を投与した。無傷の対照動物と卵巣摘出した対照動物
には適当な賦形剤を投与した。処置は3週間続いた。
最後の注射の24時間後に動物を殺した。両大腿から結合組織を取
り除き、Gunness-HeyおよびHock〔Metab.Bone Dis & Rel.Res.(1984),5,
177-181〕に従って海面質の量を測定した。手術用メスを使って大腿を中央骨幹
のところで半分に切断し、近位の半体を捨てた。遠位の半体の骨端を小刀で切り
落とし、骨を矢状半体に割いた。水で骨髄を洗い落とした。歯科用キューレット
を使って両皮質の外皮から海面質を掻き落とし、一緒にし、5%TCA中に入れ
た。室温で16時間置いた後、TCA抽出物を取り、原子吸光分光法によるカルシ
ウムの測定に使った。
結果を平均±SEMとして与える(表2)。該データの統計分析は2末端Stud
ent対合試験により行った。
実施例12:プロテインキナーゼC活性化に対する影響
プロテインキナーザC(PKC)を活性化できる化合物は、おそらく骨の同化
作用においても活性であり、骨粗しょう症患者におけ
る骨損失を逆転させるのに有効な薬剤であろう〔H.Jouishomme他、Endocrinolo
gy(1992),130,53-60〕。従って、化合物(3)のPKC活性化を、骨粗しょ
う症保護において不活性であることが知られているアセチル−TRSAW、および活
性であることが知られているTRSAW−アミドと比較する〔Gagnon他、J.Bone and
Mineral Res.(1993),8,497-503〕。膜局在型PKCと細胞質局在型PK
Cの%の差として活性を測定する。実施例12.1:試験化合物での刺激
無血清細胞(骨肉腫細胞系UMR 106)を問題の化合物で刺激する(30℃で10分
、濃度は表1を参照のこと)。実施例12.2:細胞質関連型PKCと膜関連型PKCの分離
細胞を冷塩溶液(4℃)で2回洗浄し、
ショ糖 85.60g
EDTA 0.58g
Tris 2.42g
EGTA 1.90g
1000mlの水を加え、HClを使ってpH7.5に調整し、この緩衝液10mlに、使用
前に
DTT(1M)20μl
PMSF(50mM)20μl
ロイペプチン(2.5mg/ml)40μl
を補足した、緩衝液(A)800μlを使って掻き集め、そして遠心管中で4℃に
て低強度で10秒間超音波処理する。次いで細胞を100,000gで60分間遠心し、上
清(細胞質性PKC)を分離する。ペレットを776μlの緩衝液Aを使って懸濁
させ、25μlのトリトン(10%)を加え、試験管を4℃で1時間振盪し、再び10
0,000gで60分間遠心する。上清は膜関連型PKCを含有する。
5mlのDEAE-Sephacelを、
2.42g/l Tris,pH7.5
0.29g/l EDTA
0.38g/l EGTA
から成る緩衝液(B)20mlで3回洗浄し、各洗浄後に該樹脂を遠心により分離す
る。最後に、該樹脂を
緩衝液(B)40ml
DTT(1M)80μl
PMSF(50mM)80μl
ロイペプチン(2.5mg/ml)40μl
から成る緩衝液(C)で洗浄する。
1650μlの緩衝液(C)を333μlの洗浄済樹脂に加える。細胞質関連型PK
Cと膜関連型PKCを別々の容器において加え、それらの懸濁液を4℃で1時間
混合する。遠心により上清を除去し、樹脂を緩衝液(B)各回1mlで3回、20mM
NaClを含む緩衝液(B)1mlで1回洗浄する。
300μlのNaCl(130mM)を加え、4℃で15分間振盪し、そして遠心分離後に上
清を単離することにより、樹脂に結合したPKCを溶出させる。200μlのNaCl
(130mM)を加え、4℃で15分間振盪し、そして遠心分離後に上清を単離するこ
とにより、残りの樹脂に結合したPKCを溶出させる。2つの上清を一緒にする
。実施例12.3:活性の測定
緩衝液:
ホスファチジルセリン混合物:
ホスファチジルセリン(10mg/ml)150μl
ジオレイン(5mg/ml)60μl
tris(20mM,pH7.5)5mlを加える
ペプチド:
リン酸化のための基質(FKKSFKL-NH2)
細胞質画分または膜画分50μlをブランク混合物200μlに加える(反応時間3
0℃で5分)。濃酢酸125μlの添加により反応を停
く。ブランク混合物の代わりに反応混合物を使って、この実験を繰り返す。ブラ
ンク混合物を使った各実験を2回行い、反応混合物を使った各実験を3回行う。
濾紙をシンチレーションバイアル中に入れ、カウントする。反応混合物の平均
計数からブランク混合物の平均計数を差し引き、そして放射性ATPの比活性を
使って各試料中のタンパク質の量を算出する。
細胞質関連型PKCと膜関連型PKCの差を表1に示す。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CZ,FI,GE,HU,JP,KG,KP,K
R,KZ,LK,LV,MD,MG,MN,MW,NO
,NZ,PL,RO,RU,SD,SI,SK,TJ,
TT,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 ブロマーズ,マルセル
スイス国,ツェーハー―4103 ボットミン
ゲン,ドロッセルシュトラーセ 19
(72)発明者 ミュラー,クラウス
スイス国,ツェーハー―4107 エッティン
ゲン,フュアシュテンシュテインホフ 17
(72)発明者 ホール,トニー
フランス国,エフ―68870 バルテンヘイ
ム―ラ―シャッセ,ル ドゥイステイン
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