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JPH08507747A - 生物学的活性物質用の細包を保護し生体に適合する、再利用可能なマクロカプセル封入システム - Google Patents

生物学的活性物質用の細包を保護し生体に適合する、再利用可能なマクロカプセル封入システム

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JPH08507747A
JPH08507747A JP5514378A JP51437893A JPH08507747A JP H08507747 A JPH08507747 A JP H08507747A JP 5514378 A JP5514378 A JP 5514378A JP 51437893 A JP51437893 A JP 51437893A JP H08507747 A JPH08507747 A JP H08507747A
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JP
Japan
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macrocapsule
alginate
microcapsules
encapsulated
covalently
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Pending
Application number
JP5514378A
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English (en)
Inventor
− シオング,パトリック ソーン
ピー. デサイ,ネイル
エイ. ハインツ,ロスウィサ
Original Assignee
クローバー コンソリデイテッド,リミテッド
− シオング,パトリック ソーン
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Filing date
Publication date
Application filed by クローバー コンソリデイテッド,リミテッド, − シオング,パトリック ソーン filed Critical クローバー コンソリデイテッド,リミテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は生物学的活性物質、例えば生細胞、を含むマイクロカプセルまたは遊離の生細胞を内部に封入するためのマクロカプセルに関するものであり、これはマイクロカプセルに封入された生体物質の表面積と表面の粗さを減少させることにより、マイクロカプセルに封入した生体物質の機械的安定度を増加させることにより、生体内で分泌される細胞毒素から、カプセル封入された生体物質の拡散距離を増して細胞保護効果を大きくすることにより、マイクロカプセル封入物質に回収可能性を与えることにより、および細胞生産物の持続された放出のシステムを与えることにより前記システムの生体適合性を高めんとするものである。マイクロカプセルを含むそのようなマクロカプセルを製造する方法も開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 生物学的活性物質用の細胞を保護し生体に適合する、 再利用可能なマクロカプセル封入システム 本発明はカプセルに封入されたまたは遊離の細胞を包んで免疫障壁を与える新 しい形の生体適合性材料に関する。その結果カプセル封入された材料は一般に小 さいが、しかし巨視的であるので、それは現場で再利用できる。さらに詳細には 本発明は糖尿病の治療用の組成物およびシステムに関する。 発明の背景 糖尿病(Diabetes Mellitus)は世界中で1億人を超える人 人を悩ませている重要な病気である。アメリカ合衆国において1千2百万人以上 の糖尿病患者がおり、また毎年60万人の新しい患者が糖尿病と診断されている 。インシュリン依存の、すなわちタイプIの糖尿病患者は、昏睡に陥ることを防 ぐために毎日インシュリンの注射を必要とする。 1928年のインシュリンの発見と共に、糖尿病は治されてしまったと考えら れた。不幸なことに、インシュリン治療にもかかわらず、高い血糖濃度により起 されるこの病気の主要な合併症が残存する。毎年、アメリカ合衆国内で糖尿病は 4万人の手足切断および5千人の新しい盲目の患者を数える。ティーンエイジャ ーの間で、糖尿病は腎不全の一番の原因である。国立保健研究所(Nation al Institute of Health)からのデータは心臓病と心臓 発作の割合は糖尿病患者中で一般人口中の2倍である。 糖尿病患者は30%減少した寿命に直面する。一日中に定期的に与えられた多 数回のインシュリン注射は膵臓からのインシュリン分泌の精確な分泌量調節を模 倣することができない。分刻みに絶えずグルコースの調節を達成する現在唯一の 方法は膵臓移植による方法である。 全器官膵臓移植は糖尿病治療法における重要な進歩であるが、その手術は技術 的に難しく、拒絶の問題のために成功と使用を限定されるものであり、またそれ はいまだに患者に対してかなりの危険を提示する。魅力ある代りの方法は提供者 の膵臓からインシュリンを生産する細胞(アイレット)を抽出して、これらの細 胞を糖尿病患者に注射し、かくして治癒効果をあげることであろう。しかし、そ のような細胞の使用はなお受容者による拒絶の危険を冒すことになろう。 アルギン酸塩−PLL−アルギン酸塩膜(すなわち、アルギン酸塩−ポリ−L −リジン−アルギン酸塩膜)によるアイレットのマイクロカプセル化は受容者の 免疫系による拒絶の防止のため可能性ある方法である。この技術により、研究者 たちは、生きているアイレットを保護膜の中に閉じ込めることができ、その保護 膜はインシュリンの分泌を許すが、しかし抗体がアイレットに到達して細胞の拒 絶を起すことを防ぐ。この膜(またはマイクロカプセル)はアイレットを拒絶か ら保護しかつインシュリンをその「細孔」を通して分泌されることを許してイン シュリン患者を正常なグルコース調節に維持する。 マイクロカプセル化したアイレットの成功した移植は今までのところ臨床的に 実行可能になっていないが、それは移植拒絶および/またはマイクロカプセル膜 に対する線維形成反応の基本的問題のためである。LimとSun,1980. は糖尿病のラットにおいてマイクロカプセル化したアイレットの最初の成功した 移植を報告しかつ血糖の規定化を記述した。しかし、マイクロカプセル化したア イレットが人間において臨床上有効かつ適用可能になるためには、その免疫保護 膜が生体適合性であり、カプセル封入された細胞が刺激信号に適宜応答するため 適当な拡散を許し、カプセル封入された細胞に必要な栄養物を与えかつ回収可能 であることが重要である。回収可能性はいろいろな理由のために望ましい。例え ば、移植された物質の蓄積を避けることができる。カプセル封入した細胞をそれ がもはや必要でないかまたは望ましくない場合に(例えば、カプセル封入した細 胞がもはや必要でないとき、もしカプセル封入した細胞が望ましい働きをしない 、などの場合に)受容者からカプセル封入した細胞を除去することができる。も しカプセル封入した細胞が生育不能になる場合にそれらを除去することができる 。およびその他の理由である。現在、人間においてカプセル化したアイレットの 移植による糖尿病の逆転に成功したという報告はない。 カプセル封入されたアイレットの生体適合性は依然として基本的問題である。 ここで用語「生体適合性」はその広い意味で用いられており、そして移植された 生体用材料の長期の生体内機能を結果としてもたらすその材料の性能、並びに異 体、線維形成応答を避けるその性能に関する。マイクロカプセル封入技術の主な 問題はカプセル外表面の線維異常増殖が起り、その結果細胞の死および早期の機 能停止をもたらすことであった。広範な研究にもかかわらず、アルギン酸塩基材 のカプセルにおけるこの問題の病理学上の根據は殆ど理解されないままになって いる。しかし、若干の因子は最近において移植片の機能不全、例えば、使用され るアルギン酸塩のグルロン酸/マンヌロン酸含量、マイクロカプセルの欠陥(ポ リ−L−リジンを生体内環境へ露出させること)、カプセル封入された細胞を完 全に被覆するためにマイクロカプセルが不十分なこと(それにより細胞を生体環 境に露出させること)などに含まれると確認された。 アルギン酸塩は海の褐色藻類、例えば、Laminaria hyperbo rea,Laminaria digitata,Ascophyllum n odosumおよびMacrocytis pyrifera,から単離された 多糖である。アルギン酸塩は大低の二価および多価陽イオによりイオン的に橋か けされたゲルを形成する。カルシウム陽イオンは最も広く用いられ、そしてG− ブロックの間の鎖間結合によりイオン的橋かけゲルの形で三次元網目を生じさせ る。(Sajak−Bnaek,1988)。 最近証明されたことは、マンヌロン酸残基はアルギン酸塩において活性のシト キン(cytokine)誘導物質であり、そしてこれらのシトキン(IL−1 とTNF)は線維芽細胞増殖の潜在的促進剤であることが知られているので(O tterleiら、1991)、マンヌロン酸含量(M−含量)の高いアルギン 酸塩カプセルは過去において報告された線維形成反応(Soon−Shionら 、1991)につき一部原因となっていると推論されることである。さらに重要 なことに、グルロン酸は免疫刺激性であるとは見えないのでアルギン酸塩カプセ ルのグルロン酸含量(G−含量)を増すことによりこの反応を改善することはで きないことが判明した。さらに、シクロスポリンAは試験管内でヒトの単核細胞 のマンヌロン酸誘導のTNFおよびIL−1刺激の投与量依存阻害を結果として 生ずることが証明された。この情報に基づき、マイクロカプセルの線 維形成反応は、グルリン酸含量の高いアルギン酸塩配合により、並びにシトキン 刺激を阻害するためのシクロスポリンAの副治療コースにより、一部改善され得 ることが仮定された。この方法により、自発的糖尿病のイヌモデルにおける糖尿 病は、高いG−含量のアルギン酸塩中にカプセル封入された提供者のアイレット の移植により逆転に成功した(Soon−Shiongら、1991)。 ポリエチレングリコール(PEG、またポリエチレンオキシド、PEO、とも 呼ばれる)は近年広い範囲に、生体適合性の、タンパク質の反発性の、非炎症性 の、および非免疫原性の、医薬、タンパク質、酵素、および移植材料表面のため の改質剤として使用について研究されてきた。これらの異常な特徴の根據はポリ マー背骨の柔軟さ、および溶液中のまたは表面に固定されたときのこのポリマー の体積排除効果に帰せられた。水、並びに多数の普通の有機溶媒、の中における PEGの溶解度は多種の化学反応による改質を容易にする。最近のある評論(H arris,1985)は多数のPEG誘導体の合成およびその各種表面、タン パク質、および医薬に対する固定化を記載している。 ウシの血清アルブミンに結合されたPEGはラビットにおいて減少した免疫原 性と増加した循環時間を示した(Abuchowskiら、1977)。ペニシ リン、アスピリン、アンフエタミン、キニジン、プロカイン、およびアトロピン のような医薬は、低速の放出の結果としてそれらの活性の持続を増すためにPE Gに添付されたことがある(Weinerら、1974;Zalipskyら、 1983)。ポリ−L−リジン(PLL)に共有結合により結ばれたPEGは、 細胞のカプセル封入のために使用されたアルギン酸塩−PLLマイクロカプセル の生体適合性を増すために用いられたことがある。PEGは共有結合により多糖 類、例えばデキストラン(Pithaら、1979;Duvalら、1991) 、キトサン(Harrisら、1984)およびアルギン酸塩(Desaiら、 1991)に結合されたことがある。これらの改質は前記多糖類に有機溶解性を 与える。 PEGにより改質された表面は極めて非トロンボゲン形成性であり(Desa iとHubbell,1991a;NagoakaとNakao,1990)、 生体内の線維異常増殖に対して抵抗性があり(DesaiとHubbell,1 992a)および細菌付着に対して抵抗性がある(DesaiとHubbell ,1992b)ことが見いだされた。PEGを含む溶液もまた移植のための器官 の保存を強化することが見いだされた(Collinsら;Zhengら、19 91)。保存作用力の根據は明らかに理解されないが、細胞表面の分子にPEG が付着し、その結果免疫応答の特性を変えるように抗原の提供に変化を生じるこ とに帰せられた。 橋かけされたPEGゲルが調製されて酵素および微生物細胞の不動化のために 利用されたことがある。FukuiとTanaka(1979)およびFuku iら(1987)はPEGの重合性誘導体(例えば、ジメチルメタクリラート) を調製してからそれを適当な開始剤の存在で紫外光により光重合させて共有結合 で橋かけしたゲルを作った。KumakuraとKaetsu(1983)は微 生物細胞の不動化の目的でガンマ線によるPEGのジアクリラート誘導体の重合 と橋かけを報告した。光重合の温和な性質のために、すなわち、加熱のないため に、pHが極端な値に移動することなく、毒性化学薬品を使用することもないの で、FukuiとTanaka(1976)の発表は、この技術が酵素のみなら ず細胞および細胞器官を閉じ込めるために望ましいことを教示している。 Dupuyら(1988)は最近に、橋かけしたアクリルアミドの微小球の中 にアガロースで埋め込んだ膵臓アイレットを閉じ込めるための光重合法を報告し た。しかし、この文献は個々の微小球の閉じ込めを述べているが、しかしさらに これらの既に閉じ込められた細胞をさらに閉じ込めることを述べていない。重合 を開始させる放射線として可視光が光化学増感剤(ビタミンB2、すなわち、リ ボフラビン)、および助触媒(N−N−N′N′−テトラメチルエチレンジアミ ン)の存在で使用された。可視光線源として高圧水銀灯が使用され、そしてそれ らのアイレットは重合工程の後に試験管内で良好な生存状態を維持することが証 明された。 波長400−700nmの間の可視光線は生細胞に対して非毒性であることが 確認されている(Karu,1990;Dupuyら、1988)。最近の評論 (Eaton,1986)は、適当な可視光線の存在での重合開始剤としての使 用されることのできる多種の染料および助触媒を記載している。 近年において重合法のためレーザーの使用にかなりの関心が示されてきた(W u,1990)。これらの重合は極めて速く、そして数ミリ秒で完了することが ある。(DeckerとMoussa,1989:Hoyleら、1989;E aton,1986)。コヒーレント放射線の使用はしばしば生細胞に対して無 害な重合を結果としてもたらす。これは重合開始剤として波長特有の発色団の使 用から生じ、そしてこれらの発色団は一般に入射する放射線を吸収する、ポリマ ー/細胞懸濁液中の唯一の種である。 発明の要約 従来既に、タイプIのインシュリン依存糖尿病はラットとイヌにおいてマイク ロカプセルに封入された膵臓アイレットをこれらの動物の腹膜腔内に同種移植片 (イヌのアイレットをイヌの受容者に)および異種移植片(イヌのアイレットを ラットの受容者)モデルの両者を用いて移植することにより逆転され得ることが 証明された(Soon−Shiongら、1991)。これらの研究に使用され たアルギン酸塩マイクロカプセルは免疫保護生を与え、そして免疫抑制剤の不在 で数か月間同種移植片の移植生存をもたらす。しかし、アルギン酸塩ゲルはイオ ン的に橋かけされているので、従って生体内でのイオン的平衡の結果として分裂 と再収着にあう。その上、遊離のマイクロカプセルはそれらの小さなサイズ(2 00−600μm)および腹膜腔内の非局部化のために回収することが難しい。 使用されるアルギン酸塩のマヌロン酸−グルロン酸(M−G)比が線維形成の 防止に重要な役割をなすことが知られているが、本発明によれば、従来の技術の マイクロカプセルにおけるいろいろな欠陥を含むその他の因子が確認されており 、それらは移植片の長期の生育性において重要な役割を果す。これら従来技術の マイクロカプセルにおいて従来確認されなかった欠陥を顕微鏡写真が証明する。 本発明によれば、カプセル欠陥に関する多くの因子、すなわち、免疫応答を誘 導する可能性、カプセル封入された細胞の死による機能喪失の可能性、カプセル 封入された細胞に与えられる保護の程度など、は既に確認された。すなわち、 (i)マイクロカプセルの機械的および化学的安定性の両者ともが線維異常増殖 において重要な役割をなす。水溶性の膜は生体内で長期間露出されると溶 解して、その結果カプセルに封入された物質を受容者の免疫系に露出させ、そし て拒絶反応を開始させることが発見された。 (ii)カプセル膜の「粗さ」、並びに欠陥のあるマイクロカプセルは、結果とし てマクロファージ活性化、細胞付着、細胞の異常増殖および究極的な線維形成を 生じさせる。 (iii)カプセル膜のひび割れを伴うマイクロカプセルの破壊または破裂は結果 として線維形成をもたらす。 (iv)アルギン酸塩、特に高いG−含量のアルギン酸塩、は比較的生体適合性で あるが、ポリ−L−リジン(PLL)は生体内の線維異常増殖について潜在的刺 激剤である。確かに、従来の技術もこの異常増殖問題を予防するためにPLLの 外被をアルギン酸塩の外層で被覆する試みを記載している。しかし、本発明によ り、膜のいかなる破壊も、または膜のコーティングのいかなる不完全も、PLL のようなポリマー材料が露出しているときに線維形成を結果として生ずることが 発見された。および (v)マイクロカプセルの表面上における生物学的活性物質の露出は(そのよう な物質がマイクロカプセルを形成するゲルの中に適当に閉じ込められていないの で)そのような物質を受容者の免疫系にさらして、免疫反応を開始させる。 本発明により、さらに個々の球形のマイクロカプセルは大きな露出表面積を与 え、膜を通して栄養物の輸送を容易にするが、他方で細胞の付着と線維異常増殖 の確率を増すことが発見された。この露出したマイクロカプセル表面積を減少さ せることによりおよび/またはすべての束縛されない正に荷電したポリリジンの 露出を減ずることにより、その間免疫保護膜の限界拡散容量を維持することによ り、増加した生体適合性が結果として得られるであろうということが発見された 。露出したマイクロカプセル表面積を減少させることにより、各個のマイクロカ プセルに伴う「粗さ」の百分率は低下し、その結果改良された生体適合性を得る であろう。その上、本発明により、カプセルの機械的完全さを改良することは長 期の移植片機能の達成における重要な段階であることが認められた。 本発明により、生体適合性であるマクロカプセルの中に生物学的活性物質(任 意にマイクロカプセル内に収容されている)(例えば、個々のマイクロカプセル に封入された細胞)を閉じ込めるまたは収納することにより長期の移植片機能が 達成され得ることが発見された。 それにより、(i)閉じ込められた個別にカプセル封入された細胞の細胞保護 性を増加させ、(ii)受容者生体内環境に対する束縛されない正電荷のポリリジ ンの露出を減じ、(iii)カプセル膜の機械的安定性を強化し、(iv)露出した マイクロカプセル表面域の粗さを減じ、および(v)受容者生体内環境に対する 、マイクロカプセルの表面に付着する細胞の露出を減じる。上記の利点のすべて はカプセル化のために使用されるポリマー材料の拡散容量を維持し、それにより 閉じ込められたカプセル封入した細胞が栄養補給されかつ刺激信号に応答するこ とを可能ならしめることにより得られる。 その上、本発明のマクロカプセルはカプセル封入された細胞により造られかつ 分泌された物質の速やかでしかも持続した放出のシステムを提供し、そしてそれ が今度は生理学的プロセス(例えば、カプセル封入したアイレットの場合には血 糖濃度)のより規制された調節を与える。特に、静脈内グルコース刺激に応答し て、インシュリンの放出が、自由に浮流するマイクロカプセルに封入されたアイ レットからよりも速やかにマクロカプセル内に閉じ込められたカプセル封入した アイレットから起る。それは以下にあげる例9に述べられる生体内の静脈内グル コース刺激研究により証明された通りである。さらに、これらのゲルに閉じ込め られたマイクロカプセルからのインシュリン放出は、下の例8に記載した生体内 のグルコース刺激研究により証明されるように、より長い時間に亘って持続され る。 本発明はまた移植物の回収を可能にするが、それはその巨視的な大きさおよび いろいろなマイクロカプセル封入アイレットを単一の包装または複数の巨視的包 装の中に集団化することによるからである。回収可能性はいろいろな理由から望 ましいことである。例えば、移植された物質の蓄積を避けることができる。カプ セル封入した細胞を、もはや必要でないまたは望まれないとき(例えば、カプセ ル封入した細胞の生産物がもはや必要でないとき、もしカプセル封入した細胞が 望ましいように活動しなくなった場合、その他)受容者から除去することができ る。カプセル封入した細胞がもし生育しなくなるならばまたはなる時それを除く ことができる。その他同様の理由である。 本発明は移植された生物学的システムの細胞保護性および生体適合性を改良す ることにより従来の技術の問題を克服する。本発明はまた、ゲルに閉じ込められ たシステムを提供するが、そのシステムは刺激信号に対して閉じ込められた細胞 の速やかな応答を与える。本発明はさらにマクロカプセルにさらに包まれている マイクロカプセルから成る持続される放出システムを提供する。本発明はまたマ イクロカプセルをある特別の区域(例えば、大網のような高血管新生の区域)内 に局在するシステム、並びにマイクロカプセルの破裂を最小にする、そしてそれ らの速やかな回収を容易にするシステムもまた提供する。 当業者には容易に判るように、本発明のマクロカプセルはカプセル封入された または封入されない生細胞を閉じ込めるのみならず、ここに開示されたシステム により持続した放出を行う際に薬理学的または生理学的効果を有することのある すべての化学薬品を閉じ込めるために使用されることができる。 図面の簡単な説明 図1は、カプセル封入された生物学的物質を収容している本発明のマクロカプ セルの一実施態様の図である。 図2は、本発明による閉じ込められたカプセル化アイレット(黒い円●)、自 由に浮流するカプセル化アイレット(黒い三角形)およびカプセル化されないア イレット(白い円○)を移植されたラットの血糖(血中グルコース)の時間に対 するグラフであり、それらのアイレットが異種移植片(イヌのアイレット)であ る場合である。 図3は、本発明に従ってマクロカプセルに封入されたイヌのアイレットで処置 されたラットにおける静脈内グルコース誘発(IVGTT)に対する血清グルコ ース応答のグラフであり、自由に浮流するマイクロカプセルに封入されたイヌの アイレットを移植されたラットにおけるその応答と比較されているが、いずれも マイクロカプセルおよびマクロカプセルの移植の後7日目の試験である。 図4は、本発明に従ってマクロカプセルに封入されたイヌのアイレットで処置 さたラットにおける静脈内グルコース誘発(IVGTT)に対する血清グルコー ス応答のグラフであり、自由に浮流するマイクロカプセルに封入されたイヌのア イレットを移植されたラットにおけるその応答と比較されている。 図5は、本発明に従って閉じこめられたカプセル封入したアイレットで移植さ れたラット血糖濃度(黒い円●)の時間に対するグラフであり、そのアイレット が異種移植片(イヌのアイレット)である場合である。14日目に、閉じ込めら れたアイレットは回収された。その閉じ込められたカプセル封入したアイレット の回収の後24時間以内に糖尿病状態が再発したので、本発明のマクロカプセル 内に閉じ込められたアイレットの生活能力を証明した。 発明の詳細な説明 以下の明細書は生物学的活性物質、例えば生細胞、をマクロカプセルに封入す る材料および方法を説明するものであって、これらは、例えば、細胞の封じ込み および移植に有用な高い生体適合性を有しかつ回収可能なシステムを提供するも のである。以下の説明において特有の材料および方法のような多くの詳細は本発 明のより完全な理解を与えるために述べられる。本発明はこれらの特別の詳細事 項なしに実施され得ることは当業者により理解されるところである。他の場合に おいて、周知の材料および方法は、本発明を不明瞭にしないように詳細には述べ られない。さらに、次の説明は多くの場合においてアイレットと糖尿病の治療に 特別の言及される。この説明は本発明の特に好ましい適用として与えられる。そ れにもかかわらず、本発明が単一の病状の治療に限定されないことは明らかであ る。本発明は同等に他の種類の細胞および他の病気の治療のためまたは他の生理 学上の目的に用いることができ、そしていかなる形のマイクロカプセルに封入さ れた細胞または封入されない細胞にも使用されることができた。 本発明に従って行われた作業の一部として、顕微鏡写真が従来技術のアルギン 酸塩-PLL−アルギン酸塩マイクロカプセルについてその中の障害と欠陥を確 認するためにとられた[例えば、従来技術のマイクロカプセルの説明のため、C layton,J.Microencapsulation :221−23 3(1991)およびWijsmanら、J.Transplantation 54:588−592(1992)を参照さ れたい]。その結果得られた顕微鏡写真は従来技術のマイクロカプセル中の障害 と欠陥を容易に明らかにする。例えば、ある空のアルギン酸塩−PLL−アルギ ン酸塩マイクロカプセルの顕微鏡写真(40×)(ラットの腹膜腔からとられた )は細胞の異常増殖(暗色部として見える)がカプセル膜の完全性の失なわれる ときに露出したマイクロカプセルゲルの区域または露出したポリリジンの区域に 起ることを証明している。あるアルギン酸塩−PLL−アルギン酸塩カプセルに 封入されたアイレットの顕微鏡写真(100×)は個々のマイクロカプセルに伴 う「粗さ」または「ストレスマーク」の区域を示している。そのような個々のマ イクロカプセルの表面積は大きく、従ってこん度は、「粗い」表面の露出は莫大 であり、そして細胞の異常増殖の危険を増す。その上、アルギン酸塩の外被によ るポリリジンの不完全な被覆は結果として潜在的増殖をもたらす。 あるラットの腹膜腔からすべて同時に回収された、完全に空のアルギン酸塩マ イクロカプセルの中で、欠陥ある空のマイクロカプセルの顕微鏡写真(40×) は細胞異常増殖(暗色部として現われている)を証明している。激しい異常増殖 は欠陥のあるカプセルにのみ伴われていることが観察される。これはさらに、比 較的小さい欠陥が欠陥のあるカプセルにそして露出したカプセル材料、特にPL L、に対して異体反応を惹き起す証拠を与える。 糖尿病の逆転に失敗したとき糖尿病のイヌの腹膜腔から回収されたイヌのアイ レットを収容するアルギン酸塩マイクロカプセル(腹膜腔内へ自由浮流で移植さ れた)の破壊したものの顕微鏡写真(40×)は破壊したカプセルの存在を示し 、機械的安定性の喪失が移植片の機能停止に重要な役割を演じるという証拠を与 えている。これらのマイクロカプセルに封入されたイヌのアイレットは糖尿病の 逆転に成功したが、しかしそれは短期間のみであった。 ここで用いられるとき、用語「マクロカプセル」は生物学的活性物質を包むゲ ル材料のカプセルを意味し、前記活性物質は任意にマイクロカプセル(例えば、 一つ以上のマイクロカプセルで、各マイクロカプセルは少なくとも一つの生細胞 、例えばアイレット、またはその他の薬理学的薬剤を生産する細胞、あるいはあ る種の医薬または生理学上有効な薬剤を収容している)の中に含まれている。前 記用語「マクロカプセル」は「マクロ膜」、「マクロゲル」、「ゲル封入マイク ロ カプセル」、「レース」、「ヌ一ドル」、「ティーバッグ」「より糸」、「うじ 虫」などを含むことがある。それらを当業者はここに述べられた一般的種類の組 成物について理解するであろう。本発明の粒子のいろいろな成分の実際の寸法は 決定的に重要でないが、用語「マイクロカプセル」は一般に、その最大の寸法が 約5〜4000ミクロンの範囲内にある粒子に関して用いられているが、一方用 語「マクロカプセル」は一般にその最大の寸法が約500ミクロンから約50c mまでの範囲内にある粒子に関して用いられる。本発明に従って重要なことはマ イクロカプセルの内容物がさらにマクロカプセルの中に封入されることであり、 それにより、ここで述べられるように、マクロカプセルに封入するポリマーの付 加する諸利点を与えるのである。 本発明によれば、生物学的活性物質、例えば、多数の細胞を収容するマイクロ カプセル、はゲル化した物質の厚い層で被覆されて、マイクロカプセル収納マク ロカプセルを形成する。そのようなマクロカプセルの断面を示す略図が図1に与 えられている。この図を調べると、マクロカプセル自身はポリカチオンまたはそ の他の線維原表面を含まないことが判る。その代りに、免疫保護膜(すなわち、 PLLのようなポリカチオン)がマイクロカプセルの表面に局在しており、それ らのマイクロカプセルはマクロカプセルの内に深く埋め込まれている(そして何 千もの分子層により生体内環境に露出することから保護されている)。マイクロ カプセル(並びにマクロカプセル自身)の核心はゲル化状態(すなわち、橋かけ されたまたは不溶の形)に維持されており、これは従来技術のカプセル封入系と 対照的で、後者では核心材料は液化している。 一般に本発明のマクロカプセル内のゲル化材料の層は少なくとも約1ミクロン の厚さを有するが、少なくとも約20−40ミクロンの厚さを有するものが好ま しく、少なくとも50ミクロンまたはそれ以上の厚さが特に好ましい。これは従 来技術のマイクロカプセルの製造において達成された数分子の厚さ(アルギン酸 塩外層の)よりも効果のある、マイクロカプセル上のポリカチオン層のマスキン グを与える。本発明のマクロカプセル内のゲル化材料の層はマイクロカプセル表 面のすべての免疫原薬剤(例えば、ポリカチオン、カプセル封入されない細胞な ど)の生体内環境への直接露出を防ぎ、それにより従来技術のマイクロカプセル により発動された免疫反応を予防する。さらに、ゲル化材料の層は生理学的諸条 件への長期露出に対して例外的に安定である。それはゲル化材料がイオン的およ び/または共有結合的にそれ自身に橋かけされており、そして強度と安定度につ いて混入された材料との相互作用に依存しないからである。これは従来技術のマ イクロカプセルに使用されるアルギン酸塩外層と全く対照的である。後者におい てはカプセルへのアルギン酸塩外層の投錨の全手段はアルギン酸塩とポリカチオ ン免疫保護層の間の荷電錯体の形成(すなわち、イオン的相互作用)である。 本発明の好ましい実施態様において、マイクロカプセルがマクロカプセルの中 に取り入れられるとき、マイクロカプセル(およびマクロカプセル自身)はゲル 化状態に維持される(すなわち、イオン的および/または共有結合的に橋かけさ れる)。これは従来技術の教示と反対である。後者においてはマイクロカプセル のカプセル封入マトリックスは移植前に液化される。本発明により意外にも本発 明のマクロカプセル内への栄養物の拡散およびカプセル封入された細胞の生産物 のマクロカプセル外への拡散は高能率に行われることが発見された。 本発明のマクロカプセルはいろいろな形に製造されることができる。すなわち 、円箇(すなわち、その一辺の周りに長方形の回転により生じる幾何学的固体) 、球(その直径の周りに半円の回転により生じる固体の幾何学的形体)、円板( すなわち、一般に平たい、円い形)、平板(すなわち、一般に平たい多角形、好 ましくは正方形または長方形)、ウエフアー(すなわち、不規則の平たいシート )、ドッグボーン(すなわち、中央の幹と両端を有し、その両端は中央の幹より 直径の大きい形、例えば亜鈴)などの形に作ることができる。 そのような閉じ込めに用いられる材料はアルギン酸塩(好ましくは高いG−値 のアルギン酸塩)、またはその生体適合性と安定性を改良するためにそのような アルギン酸塩の改質品、例えば、共有結合橋かけを許す重合性アルギン酸塩、ま たは橋かけ可能のまたは重合可能の、水溶性のポリアルキレングリコール、また はこれらの材料の組み合わせであることができた。そのような材料のゲル閉じ込 みを起させる方法はイオン的または共有結合的橋かけのいずれかにより達成され ることができる。 本発明の実施において使用を予期されているマクロカプセルはその内に生物学 的活性物質を収容する。その場合に前記生物学的活性物質は任意にマイクロカプ セル内に収容される(すなわち、前記マクロカプセル内に多数のマイクロカプセ ルが収容される)。本発明のマクロカプセルはいろいろのポリマー材料から製造 することができる。例えば、共有結合で橋かけできるまたは重合性の線状または 枝分れ鎖のPEG、異なる分子量の共有結合橋かけ性または重合性の線状または 枝分れ鎖のPEGの混合物、イオン的橋かけ性アルギン酸塩、アルギン酸塩と共 有結合橋かけ性または重合性のPEGの組み合わせ、および共有結合的およびイ オン的に橋かけされることのできる改質アルギン酸塩などから製造できる。 本発明に従って製造されるマクロカプセルは上記の生体適合性の材料の中にカ プセル封入された生物学的活性物質から成る。その際マクロカプセルは、その中 で最大の物理的寸法が1mmより大きい容積を有する。マクロカプセルは「遊離 の」(すなわち、いかなるコーティングによっても改質されていない)細胞また は細胞群をその中に収容することができる。あるいは、マクロカプセルは、マク ロカプセルの内にそれ自身封入されている細胞または細胞群を収容することもあ り得る。 本発明に従って(マイクロカプセルおよび/またはマクロカプセルを製造する )カプセル封入のために予期されている生物学的活性物質に含まれるものは個個 の生細胞または生細胞のグループ、生物学的物質(診断目的の、例えば、そのよ うな生物学的物質の生物への効果、および反対に、それらの物質の生物への効果 の生体内評価のための)、腫瘍細胞(化学治療薬剤の評価のための)、HIVの 細胞変性効果に敏感なヒトのT−リンパ芽球状物細胞、薬理学上有効な薬品、診 断薬剤などである。ここで用いられるとき用語「生細胞」は、その出所を問わず 、すべての生育力ある細胞物質のことを言う。したがって、ウイルス細胞、原核 生物の細胞、および真核生物の細胞が予期されている。特に予期されている細胞 に含まれるものはランゲルハンス島(糖尿病の治療用の)、ドパミン分泌細胞( パーキンソン病の治療用)、神経生長因子を分泌する細胞(アルツハイマー病の 治療用)、肝細胞(肝臓の機能不全の治療用)、アドレナリン/アンギオテンシ ンを分泌する細胞(低/高血圧の調整用)、甲状腺労の細胞(甲状腺機能の代替 用)、ノルエピネフリン/メテンセフアリン分泌細胞(痛みの制御用)、ヘモ グロビン(人工血液の製造用)などである。 本発明の実施において使用を予期されている共有結合橋かけ性のおよび/また は重合性のポリエチレングリコール(PEG)に含まれるものは線状または枝分 れ鎖のPEG(STAR PEGを含む)でフリーラジカル重合を受けることの できる置換基Xにより改変されたものである(Xはフリーラジカル重合のできる 炭素−炭素二重結合を含む部分である。そしてXは前期PEGに、エステル、エ ーテル、チオエーテル、ジスルフイド、アミド、イミド、第二級アミン、第三級 アミン、直接炭素−炭素(C−C)結合、硫酸エステル、スルホン酸エステル、 リン酸エステル、ウレタン、カルボナートなどから選択される結合を通して共有 結合でつなげられている)。そのような共有結合で橋かけできるポリエチレング リコールの例に含まれるものはポリエチレングリコールのビニルおよびアリルエ ーテル、ポリエチレングリコールのアクリラートおよびメタクリラートエステル などである。 広い範囲の分子量を有するPEGを本発明の実施において使用することができ るので、従って本発明の実施において使用を予期されるいろいろな分子量の共有 結合で橋かけされ得るPEGの混合物に含まれるものは約200から1,000 ,000までの範囲のMWを有するPEGである(特に約500から100,0 00までの範囲の分子量を有するPEGが好まれ、そして現在約1000から5 0,000までの範囲の分子量を有するPEGが最も好まれる)。そのようなP EGは線状または枝分れ鎖であることができる(STER PEGも含む)。S TER PEGはある中心核(例えば、ジビニルベンゼン)を有する分子であっ て、その中心核は調節された条件の下でアニオン重合することができ、予め決め られた数の活性部位を有する生きている核を形成する。エチレンオキシドがその 生きている核に付加されて重合し、既知数のPEGの「腕」を生み、それらは望 みの分子量に達するとき水で停止される。あるいは、前記の中心核はエトキシル 化されたオリゴマーのグリセロールであることができ、後者はエチレンオキシド の重合を開始して望みの分子量のSTER PEGを製造するために使用される ものである。 本発明の実施において使用を予期されているアルギン酸に含まれるものは高い G−含量のアルギン酸塩、アルギン酸塩ナトリウムなどである。本発明の実施に おいて使用を予期されている共有結合で橋かけできるアルギン酸塩に含まれるも のはフリーラジカル重合を受けることのできる置換基により改変されたアルギン 酸塩である(Xはフリーラジカル重合のできる炭素−炭素二重結合または三重結 合を含む部分であり、そしてXはエステル、エーテル、チオエーテル、ジスルフ ィド、アミド、イミド、第二級アミン、第三級アミン、直接炭素−炭素(C−C )結合、硫酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル 、ウレタン、カ ルボナートなどから選択される結合を介して前記アルギン酸塩に共有結合してい る)。共有結合で橋かけできるアルギン酸塩に含まれるものはアルギン酸塩のア リルおよびビニルエーテル、アルギン酸塩のアクリラートおよびメタクリラート エステルなどである。 本発明の実施において使用を予期されているアルギン酸塩(イオン的および/ または共有重合的橋かけ可能な)と共有結合で橋かけ可能なPEGの組み合せは 上記のアルギン酸塩およびPEGのすべての二つ以上の組み合せを含む。 少量のコモノマーを重合速度を増すために橋かけ反応に添加することができる 。適当なコモノマーの例に含まれるものはビニルピロリジノン、アクリルアミド 、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタ クリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタク リラート(HEMA)、エチレングリコールジアクリラート、エチレングリコー ルジメタクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ペンタエリトリ トールトリメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメ チロールプロパントリメタクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラー ト、トリプロピレングリコールジメタクリラート、グリセリルアクリラート、グ リセリルメタクリラートなどである。 上記の改質材料のフリーラジカル重合はいろいろな方法で行われる。例えば、 適当な波長の電磁放射線(例えば、可視又は紫外線)で適当な光開始剤、および 任意に、助触媒および/またはコモノマーの存在において照射することにより開 始されて行われる。あるいは、フリーラジカル重合は適当なフリーラジカル触媒 による熱開始により開始されることもできる。 当業者により容易に認められることができるように、いろいろなフリーラジカ ル開始剤を本発明の実施において使用できる。したがって、光開始剤、熱開始剤 などを使用できる。例えば、適当なUV開始剤に含まれるものは2,2−ジメト キシ、2−フエニルアセトフエノンおよびその水溶性誘導体、ベンゾフエノンお よびその水溶性誘導体、ベンジルおよびその水溶性誘導体、チオキサントンおよ びその水溶性誘導体などである。可視光重合のためには、染料(また開始剤また は光増感剤としても知られている)および助触媒(また助相乗剤、活性化剤、開 始中間体、停止相手、またはフリーラジカル発生剤として知られている)のシス テムが使用される。適当な染料の例はエチルエオシン、エオシン、エリトロシン 、リボフラビン、フルオレシン、ローズベンガル、メチレンブルー、チオニンな どである。適当な助触媒の例はトリエタノールアミン、アルギニン、メチルジエ タノールアミン、トリエチルアミンなどである。 本発明の実施において使用を予期されているマイクロカプセルはいろいろな生 体適合性ゲル材料、例えば、アルギン酸塩、共有結合で橋かけできるアルギン酸 塩(すなわち、共有結合的におよびイオン的に橋かけできる改質アルギン酸塩) 、共有結合で橋かけできるPEG、上記のアルギン酸塩のいずれかと上記のPE Gのいずれかとの組み合せから、並びに前記のような、一種以上のコモノマーの 任意の存在で形成されることができる。 本発明の実施において使用されるマイクロカプセルは任意に、米国特許第4, 352,883号にLimにより記載されているように、(ここに引用により組 み入れられる)、免疫保護コーティングで処理される(Limはこのコーティン グを「永久的半透膜」と呼んでいる)。本発明の実施において使用を予期されて いる免疫保護材料に含まれるものはポリカチオン(例えば、ポリアミノ酸[例え ば、ポリヒスチジン、ポリリジン、ポリオルニチンなど]、第一級アミン基、第 二級アミン基、第三級アミン基またはピリジニル窒素を含むポリマー、例えばポ リエチレンイミン、ポリアリルイミン、ポリエーテルアミン、ポリビニルピリジ ンなど)である。そのような免疫保護材料による処理はいろいろな方法で行うこ とができる。例えば、カプセル封入した細胞を収容するアルギン酸塩のゲル化し た核の表面層を、アミンまたはイミン基のような酸反応性基を有するポリマーと 共に橋かけさせることにより行われる。これは一般に選択された免疫保護性ポリ マーの希薄溶液の中で行われる。限界内で、免疫保護性コーティングの半透過性 は免疫性ポリマーの分子量、その濃度、および下敷きのゲルとの橋かけ度の適当 な選択により調節することができる。免疫保護性ポリマーの分子量はまた望みの 透過度に関係して変る。一般的に分子量は約1,000と100,000の間か またはそれより高くなろう。現在本発明の実施において使用される特に好ましい 免疫保護性ポリマーは約10,000から50,000までの範囲内にある。免 疫保護コーティングの任意の処理は特に、マクロカプセルのまたはマイクロカプ セルの材料が共有結合で橋かけできる場合に省略することができる。その場合に は望みの多孔度(または免疫保護度)が使用される重合性のマクロモノマー(す なわち、重合性アルギン酸塩、重合性PEGなど)、並びにそれらのモノマーの 混合物の賢明な選択により達成されることができるであろう。 本発明の現在特に好ましい実施態様においては、多数のアルギン酸塩−PLL −アルギン酸塩マイクロカプセルが一つのアルギン酸塩マクロカプセル内に閉じ 込められる。使用されるそれらのマイクロカプセルは固体ゲル核を有することが 好ましい。使用されるアルギン酸塩はイオン的および/または共有結合的橋かけ 性であることができる。改質された、共有結合橋かけ性アルギン酸塩について、 マイクロカプセルの多孔度を調節するためおよび/または免疫保護障壁を与える ためにポリカチオンを導入することは任意である。それは望みの多孔度(または 免疫保護度)は適当な濃度の改質アルギン酸塩を使用することにより、またはX 部分によるいろいろな置換率を有する改質アルギン酸塩、またはそのような改質 アルギン酸塩の混合物を使用することにより達成されることができるからである 。 他の一つの現在特に好ましい本発明の実施態様は、懸濁されたアルギン酸塩マ イクロカプセル(例えば、アルギン酸塩−PLL−アルギン酸塩)を収容する生 理学的の、共有結合橋かけ性の、線状または枝分れ鎖のPEG水溶液(例えば、 PEG−ジアクリラート溶液、または重合性の同等物)の光重合を含む。それら のマイクロカプセルは固体ゲル核を有することが好ましい。適当なフリーラジカ ル開始剤と助触媒が、レーザーまたは水銀灯のような可視光源と共に使用される 。PEGの固体(すなわち、液化されない)ゲルがアルギン酸塩マイクロカプセ ル の周囲に形成され、そしてそれは機械的支持と回収可能性を与えるのに加えて、 非線維形成性の、細胞に非粘着性の、および免疫保護性の被覆をマイクロカプセ ルの周囲に形成する。この実施態様において、ポリカチオン層は任意である。な ぜなら前記PEGマクロカプセルは、橋かけ性PEGの適当な分子量と濃度の選 択により免疫保護性を容易に与えることができるからである。 さらに他の一つの現在好ましい実施態様においては、多数のアルギン酸塩、P LL−アルギン酸塩マイクロカプセルが、イオン的および/または共有結合的に 橋かけ可能なアルギン酸塩、および共有結合で橋かけできるPEGから成るマク ロカプセルの中に閉じ込められている。この実施態様では同様に、ポリカチオン 層は任意である。なぜならこのPEGマクロカプセルは、橋かけ可能なPEGの 適当な分子量と濃度を選択することにより免疫保護性を容易に与えることができ るからである。 なおさらに現在好ましい実施態様において、多数のアルギン酸塩−PLL−ア ルギン酸塩マイクロカプセルが(イオン的および/または共有結合的に橋かけ可 能な)アルギン酸塩マクロカプセル内に閉じ込められ、次いでPEGの被覆が施 されてPEGとアルギン酸塩か密接に接触するようになり、そしてそのPEGは マクロカプセルの表面に露出している。この実施態様においても同様に、ポリカ チオン層は任意である。なぜならば橋かけ可能なPEGの適当な分子量と濃度の 選択によりPEG外被は容易に免疫保護性を与えることができるからである。 さらに他の一つの現在好ましい実施態様において、生物学的活性物質は、イオ ン的および/または共有結合的に橋かけ可能なアルギン酸塩、および/または共 有結合により橋かけできる線状または枝分れ鎖のPEGから成るマクロカプセル 内に直接閉じ込められている。 本発明はこれから次の非限定的実施例によりなお詳細に説明されるであろう。 例1 アクリロイルクロリドを用いるPEGジアクリラートの製造 分子量185000PEG(略称18.5K、またPEG20Mとしても市販 されている)を次の手順を用いて化学的に改質してその分子を重合可能にするア クリラート官能基を分子中に導入した。他のPEGでその分子量が200程の低 いものから35000程の高いもの(しかしこれに限定されない)の範囲内のP EGも同じ手順で改質することができた。 PEGI8.5Kを真空オーブンの中で80℃に24時間加熱することにより 完全に乾燥した。またはその代りに、PEGをトルエン中に溶解してからその溶 液を蒸留すると、すべての湿分をトルエンとの共沸混合物として除去することが できた。20gの乾燥PEGを200−250mlの乾燥トルエン(アセトン、 ベンゼン、およびその他の有機溶媒もまた使用されてよい)の中に溶解した。2 倍のモル過剰のアクリロイルクロリドを使用し(0.35ml)、そしてトリエ チルアミン(0.6ml)を加えて生成するHCIを除いた。アクロイルクロリ ドを加える前に、前記の溶液を氷浴中で冷却させた。反応は丸底フラスコ内でア ルゴン下に絶えず還流させながら24時間行われた。その反応混合物を濾過して 不溶のトリエチルアミン塩酸塩を除去し、一方濾液を過剰のエーテルに加えてP Eジアクリラートを沈殿させた。生成物を再溶解と沈殿を2回行ってさらに精製 してから、すべて残る溶媒を真空中で除いた。他の精製方式、例えばPEG−水 溶液を脱イオン水に対して透析してから次に凍結乾燥することもまた採用できる 。 収率:17g。 例2 重合可能のPEGの他の製造方法 PEG鎖の末端に不飽和基を導入することより重合可能のまたは橋かけ可能の 改質PEGを製造するために数種の他の方法を使用することもできる。これらの 方法の若干を以下に簡単に要約する。 PEGとアクリル酸(またはより高級の同族体またはその誘導体)の間のエス テル化反応はトルエンのような有機溶媒中で行うことができる。少量の酸、例え はp−トルエンスルホン酸を用いて反応の触媒とすることもできる。反応物の一 つ(アクリル酸)の過剰は反応を生成物の方へ追いやるであろう。反応は数時間 還流される。反応の生成物として水が生じるので、平衡を生成物の方へ追いやる ために、それをトルエンとの共沸混合物の蒸留により連続的に除去することもで きる。標準的精製方式が用いられてもよい。メタクリル酸またはメタクリラート もPEGと同様にして反応させられて重合可能な誘導体を得ることができる (FukuiとTanaka,1976)。 あるいはその代り、PEGのビニルエーテルを生成するPEGアルコキシドと アセチレンガスとの反応を含むMathiasらの方法(1982)も重合可能 なPEG誘導体を製造するために使用できる。 乾燥した溶媒中で少量の塩化第二スズを触媒とするPEGとアリルクロリドの 間の反応もまた結果として重合可能なPEGを生成する。 その他数種の技術が重合可能なPEG誘導体を得るために利用されることがあ る。Harris(1985)は、それから他にとるべき合成方式が与えられる PEG化学を含む多数の論文を書いている。 例3 PEGゲルを製造するための可視光光重合 例1および2に要約された技術により製造されたPEG誘導体を重炭酸塩緩衝 水溶液(例えば4−50重量%、またはその他の緩衝液)中に溶解した。光増感 剤、エチルエオシン(0.01μM〜0.1M)、助触媒、トリエタノールアミ ン(0.01μM〜0.1M)、およびコモノマー、ビニルピロリドン(0.0 01〜10%、しかし不可欠ではない)がその溶液に加えられ、溶液は光重合反 応まで光から保護された。その代りに、その他の開始剤、助触媒、コモノマーお よび数波長のレーザー線が使用されてもよい。それらの選択は当業者に周知のこ とである。 調整された溶液の少量を試験管の中に取って、10mW〜2Wの出力で514 nmの波長のアルゴンイオンレーザーからか、または100ワット水銀アーク灯 (約514nmのかなり強い発光を有する)からの可視光に露出させた。ゲル化 時間が記録され、そしてレーザーによれば極めて速い(ミリ秒の程度)ことおよ び水銀灯によればかなり速い(大体数秒で)こと、またその系内のポリマー、開 始剤、助触媒、およびコモノマーの濃度により変ることが伴った。 例4 PEGゲルを製造するための紫外線光重合 前記と異なる開始システムがPEGゲルを製造するために用いられた。UV光 開始剤、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノンを1000−150 0ppmの濃度で水性緩衝液中の重合性PEG溶液に加えた。この溶液を100 ワットUVランプからの長波長紫外線に露光させた。ゲル化に要した時間は大体 数秒であり、そして開始剤の濃度およびビニルピロリドンのような他の重合性モ ノマーの添加(0.001〜10%)の関数であった。UVレーザーもまたその 光重合のために使用されてよい。その他の光開始剤もまた使用することができる (例えば、ベンゾインエチルエーテル)。 例5 移植用マイクロカプセル内蔵PEGゲルの形状寸法 細胞または酵素または医薬を内蔵するアルギン酸塩またはその他の材料のマイ クロカプセルはいろいろな形状寸法のマイクロカプセルを収容するPEGゲルを 用いて移植組織から解放および回収されることができる。多数の個々のマイクロ カプセルを橋かけされたPEGゲル内にこれらのマイクロカプセルを埋め込むこ とにより腹膜腔(または他の移植部位)内の特に好ましい区域に局在化させるこ とができよう。移植のためにいろいろな形状、例えば、円筒棒、円板、平板、ド ッグボーン、および長円箇の「レース」または「より糸」または「うじ虫」のよ うな形状が考えられてよい。 形状の如何にかかわらず、最終的な移植できる製品は同様の加工技術を必要と した。細胞を内蔵するマイクロカプセルを、トリエタノールアミン(0.01μ Mから0.1Mまで)、エチルエオシン(0.01μMから0.1Mまで)、お よびビニルピロリドン(0.001〜10%)を含むPEG18.5Kジアクリ ラートの生理学的溶液(30重量%、いろいろな分子量のPEGが使用されてよ い)の中に懸濁させた。この懸濁液をレーザーまたは水銀灯からの可視光に露光 させると、それは速やかなPEG−ジアクリラートの橋かけを生じさせ、その結 果PEGゲル内に埋め込ましたマイクロカプセルを作る。 円箇形の「レース」を造るためには、懸濁液を適当なゲージの針またはカニュ ーレを有する皮下注射針の中に入れ、そして出現する流れを緩衝液(もしアルギ ン酸塩が懸濁液中に使用されているならばそれは多価カチオンを有することにな る)の中に押出し、同時にもし光重合が反応に必要ならば、適当な灯源からのレ ーザー放射線に露出させる。そのランプは重合させられる物質および、当業界周 知のような、使用される光開始剤に応じてレーザー光源またはUV光源であるこ とができた。橋かけは瞬間的である。すなわち、出てくる流れは、それが押し出 されるのと同じ速さで光橋かけされ、その結果「レース」または「ヌードル」を 形成する。ゲルまたはその他の形状はその目的のために製作された適当な金型か ら製造されることができる。 例6 マイクロカプセル封入されたアイレットのアルギン酸塩閉じ込め イヌのアイレットを提供者の膵臓からコラーゲナーゼ消化により分離してから 、生理学的アイレット精製液を用いて精製した。次にアイレットをアルギン酸塩 −ポリリジン−アルギン酸塩マイクロカプセルの中に次の方法により封入した。 1万個の精製したアイレットをアルギン酸ナトリウムの1.8%溶液(G含量 64%)の中に懸濁させてから、空気−小滴発生装置を経由して、アルギン酸塩 を0.8%CaCl2溶液中で橋かけすることによりアイレットをアルギン酸塩 ゲルビーズの中に閉じ込めた。ポリリジン膜がこれらのアルギン酸塩カプセル封 入されたアイレットを0.1%ポリリジン溶液中に4−8分間懸濁させた後に形 成された。そのカプセル封入されたアイレットを次に0.2%アルギン酸溶液中 に5分間懸濁させることによりアルギン酸塩の外層で被覆した。 次にこれらのマイクロカプセル封入したアイレットを包むアルギン酸塩の円箇 形管(すなわち、レース、直径約1−5mm)を以下のようにして造った。 マイクロカプセル封入したアイレットを1.8%アルギン酸塩液中に4容積の アルギン酸塩に対して1容積のマイクロカプセルペレットの比率で懸濁させてか ら、CaCl2のみを含む二価陽イオンの溶液中に、またはバリウムとカルシウ ムの塩化物の組み合せの溶液中に押し出した。二価陽イオン橋かけ剤の組み合せ としての塩化バリウムと塩化カルシウムの比率は1:10から1:100まで( バリウム:カルシウム)変ることができ、そして特に好ましい比率は1:50か ら1:100までの範囲内にある。バリウムとカルシウムを組み合せることによ り、より高い強度のゲルを結果として生じる。したがって、このイオン的橋かけ の方法により、約8000個のマイクロカプセルに封入されたアイレットが16 cmの長さのアルギン酸塩ゲルの円筒管の中に閉じ込められる。 またその代りに、マイクロカプセル封入したアイレットを収容する球形のマク ロカプセルを、上記の溶液の小滴(すなわち、アルギン酸塩溶液中のマイクロカ プセル封入アイレット)を、前記のように、多価陽イオン(例えば、Ca++)を 含む浴の中へ導入することにより製造することができる。 例7 回収可能なシステムの組成における変態 回収可能なシステムの設計において用いられる組成と材料における数の変態が 受け入れられかつ有益である。アルギン酸塩マイクロカプセルを内蔵する橋かけ されたアルギン酸塩またはPEG球(またはレース)は適当な状況においてイオ ン的および/または共有結合的に橋かけしたアルギン酸塩球と取り替えられるこ ともできる。次の変態は、その他のものの中で、可能である。 (i)PEG単独、前記のように橋かけされたもの、いろいろな分子量の橋かけ 可能なPEG(線状または枝分れ鎖)の混合物が結果として生成するゲルの透過 度を調整するために用いられることができる。 (ii)アルギン酸塩単独、イオン的に橋かけされたもの。 (iii)アルギン酸塩単独、イオン的および共有結合的両方で橋かけできるよう に改質されたもの。 (iv)イオン的橋かけ可能なアルギン酸塩と共有結合的に橋かけ可能なPEG( 線状または枝分れ鎖)の組み合せ。 (v)改質されたアルギン酸塩(すなわち、イオン的および共有結合的に橋かけ 可能な)および共有結合で橋かけ可能なPEG(線状または枝分れ鎖)の組み合 せ。および (vi)イオン的および/または共有結合的に橋かけされたアルギン酸塩マクロカ プセル(例えば、球またはレース)であり、共有結合で橋かけされたPEG(線 状または枝分れ鎖)の被覆により包まれ、後者はPEGとアルギン酸塩が密接に 接触するように外側を覆っている。 アルギン酸塩のイオン的橋かけはCa++単独でかまたはBa++とCa++の1: 10〜1:100(Ba:Ca)の比率の組み合せかいずれによっても達成され ることができる。 前節において述べたアルギン酸塩は、そのイオン的ゲル化性能に加えて化学的 に橋かけできる改質アルギン酸塩で代替されてもよい。ここに述べた改質アルギ ン酸塩は同時係属特許出願第07/784,267号に詳細に記載されている( その全体を引用によりここに組み入れられる)。 前記のPLLもまた共有結合で橋かけできる改質PLLにより代替されてもよ い。ここに述べた改質PLLは同時係属特許出願第07/784,267号に詳 細に記載されている(その全体を引用によりここに組み入れられる)。 例8 ゲルに閉じ込められたカプセル封入アイレットからのインシュリン拡散の動力学 、試験管内の研究 ゲルに閉じ込められたカプセル封入アイレットからのインシュリン分泌の動力 学は個々のマイクロカプセル封入アイレットまたはカプセル封入されなかったイ ヌのアイレットと次のように比較された。遊離のカプセル封入されないイヌのア イレット(対照)またはカプセル封入されたイヌのアイレットまたはゲルに閉じ 込められたカプセル封入されたイヌのアイレットのいずれも基底濃度の60mg %グルコースを含むRPMI培地に60分間保温し、それから刺激濃度の450 mg%グルコースを含む培地に60分間移し、そして基底培地(60mg%グル コース)にさらに60分間戻した。これらの試験は三通りに行われた。上澄液を 各60分間の終りに採集した。インシュリン分泌は、RIAを使用して、上澄液 中のインシュリン濃度(アイレット相当計数につきμU/ml)を測定すること により評価された。 この試験は繰返し行われたか、しかしさらに、10mMのテオフイリンがイン シュリン分泌の追加刺激として前記450mg%のグリコースに加えられた。こ れらの試験の結果が表1に示されている。 当業者は、カプセル封入したイヌのアイレットをさらにポリマー材料の外被の 内に閉じ込めることは結果として刺激に対する応答を弱めかつインシュリンの拡 散を減少させることを期待しただろう。すなわち、カプセル封入したアイレット をさらに第二のポリマー材料の層の中に閉じ込める[マイクロカプセル・プラス ・マクロカプセル]ことはカプセル封入されたアイレットの外部刺激に対する敏 感度を減少させると期待されたであろう。意外なことに、本発明により、ゲルに 閉じ込められたマイクロカプセル封入アイレットの試験管内における応答は、自 由浮流のカプセル封入アイレットに比較して、より良いとは言えないとしても、 同等であることが判明した(表1参照)。 450mg%グルコース単独による刺激の後、マクロゲル内に固定されたマイ クロカプセル封入アイレット(「閉じ込められたMC」)からのインシュリン応 答(表1参照)は、自由浮流マイクロカプセル封入アイレット(「自由MC」) 並びに自由なカプセル封入されないアイレット(「自由アイレット」)と比較し て、もしそれらより良いと言えないにせよ、同等であった。この現象はまた45 0mg%グルコース+10mgテオフイリン刺激に対する応答においても見られ た。いかなる特定の理論にも束縛されたくないが、現在仮定されることは、この 驚くべき結果はインシュリンが負に荷電したタンパク質であり、そしてグルコー ス刺激に反応して閉じ込められたマイクロカプセルに封入された細胞からのイン シュリンの放出と共に、負荷電のインシュリンは負に荷電した閉じ込めているゲ ル材料から静電気的に排出され、かくしてインシュリン放出の応答時間を加速す るという事実により説明されることである。マクロゲル内のマイクロカプセル封 入アイレットからのインシュリン放出が、個々のカプセル封入アイレットからの インシュリン放出に比較して、高められることはまた、マイクロカプセル膜内に 正に荷電したPLLの存在のために、マイクロカプセルがマクロカプセルよりも さらに中性に荷電している事実によっても説明されることができる。この予期さ れなかった結果は生体内試験(例9に記載の)において確証された。その場合に 静脈内グルコース注射に反応する血清グルコースの低下は、ゲルに閉じ込められ たマイクロカプセル封入したイヌのアイレットで処置された糖尿病のラットにお いて急速に起った(図3参照)。このことはゲル閉じ込めは全身的なグルコース 信号に対する改良されたインシュリン応答という追加された利点を与えることを 暗示する。 表1に示された諸結果は、カプセル封入されたイヌのアイレットをゲルに閉じ 込めることは、グルコース刺激に反応するまたはグルコース+テオフイリンに反 応するインシュリン分泌を損わないことを証明している。インシュリン濃度の基 底状態への復帰は、しかし、マクロカプセル実験において遅らされ、そして外側 ゲル内のインシュリンの閉じ込めと一致し、その結果実質的に持続した放出薬送 り出しシステムをもたらす。生体内の適用において、この持続したインシュリン 放出はより安定な恒常性のメカニズムを提供することができよう。 したがってマイクロカプセル封入アイレットのゲル閉じ込めはインシュリン分 泌に関していくつか予期せぬ利点を提供する。 (i)グルコース刺激に対するインシュリン放出の速やかな反応、および (ii)一度インシュリンが放出されると、基底状態への復帰が遅いので、より長 い期間に亘り持続しかつ連続した放出を与える。 これらの反応のいずれもが糖尿病受容者におけるグルコース代謝の恒常的調節 を改善する上で重要である。 例9 ゲルに閉じこめたマイクロカプセル封入アイレットの生体内試験 ゲルに閉じこめたマイクロカプセル封入アイレットの有効性を自由浮流マイク ロカプセル封入アイレットとストレプトゾチシン誘導(STZ)糖尿病のラット の治療において比較した。8千個のカプセル封入したイヌのアイレット(自由浮 流の、またはアルギン酸塩の円筒管の中に閉じこめられた)を4匹のSTZ糖尿 病ラットの腹膜腔内に移植し、そして同じ方法で移植された8千個のカプセル封 入されないアイレット(対照)と比較した。 生育力、純度および機能に変動性のないことを確実にするため、同じイヌの膵 臓提供者からのアイレットが自由浮流マイクロカプセル封入およびゲル閉じ込め マイクロカプセル封入の両群に使用された。さらにマイクロカプセル自身の完全 さと構造に変動性のないことを確実にするため、アイレットはワンバッチ法です べてカプセル封入され、それから二つに分割された。一つの半分は自由浮流移植 のために使用され、残りの半分は移植の前にアルギン酸塩マクロカプセルの中に 閉じ込められた(すなわち、ゲル閉じ込めマイクロカプセル封入アイレット)。 カプセル封入されない(自由の)アイレットの免疫保護性、生体適合性、機能 および移植片生存が自由浮流カプセル封入アイレット(マイクロカプセルに入っ ているだけの)と比較して、閉じ込められたカプセル封入アイレット(その中に マイクロカプセルを有するマクロカプセルの中の)と比較して測定により比較さ れた。 (i)毎日の血清グルコース濃度(表2参照) 糖尿病がラットにおいてSTZ注射により誘発された。注射されたラットは、 もし血清グルコース濃度が200mg%より大きいならば糖尿病とみなされる。 カプセル封入しないイヌのアイレット(自由アイレット)は糖尿病のラットにお いて正常血糖値(200mg%以下の血清グルコース濃度)を回復することがで きなかった。自由浮流マイクロカプセル封入アイレットとマクロカプセル封入ア イレットは両者共これらの糖尿病ラットにおいて第3〜第4日により正常血糖値 を回復した。7日で、自由浮流マイクロカプセル封入アイレットは衰え始めて、 血清グルコース濃度がこれらの受容者において200mg%以上に上った。対照 的に、ゲル閉じ込めマイクロカプセル(マクロカプセル)を受容しているラット はその正常血糖状態を続け、血清グルコース濃度は100mg%以下を保った( 図2)。それ故これらの生体内試験は、(自由浮流マイクロカプセル封入アイレ ットに比較して)マイクロカプセル封入したアイレットのゲルに閉じ込められた ものは、移植片の生存を、多分細胞保護性および生体適合性を高めることにより 、期間延長するという証拠を提供する。 (ii)毎日の尿量 糖尿病の発病と共に、尿量は増加する。STZ注射の後、尿量は30cc/日 を超えて糖尿病状態を示す。糖尿病の消散と共に、尿量は正常水準に落ちる。尿 量の減少は血清グルコースの低下と一致して、移植片機能およびマクロカプセル 封入アイレットの生存は自由なカプセル封入されないアイレットおよび自由浮流 マイクロカプセル封入アイレットの両者に優っていた。7日目に、自由浮流マイ クロカプセル封入グループの尿量は糖尿病水準(>30ml)に上って、移植片 の機能停止を示したが、その一方でゲルに閉じ込められたマイクロカプセル(す なわち、マクロカプセル)を受容しているラットは排尿量の正常水準を維持して 、継続している移行片機能を示した。 (iii)体重 STZ注射の後、糖尿病のラットは劇的に体重を減らした。体重の維持または 体重増加は移植されたアイレットの機能の優れたパラメーターである。尿量と血 清糖濃度の間の関係と同様に体重の変化は上記の分析に確証を与えて、さらにマ クロカプセル封入アイレットを受容しているラットは、自由なカプセル封入され ないアイレットを受容しているラットおよび自由浮流マイクロカプセル封入アイ レットを受容しているラットにおける移植片機能停止に比較して、正常な移植片 機能を維持するという証拠を提供した。ゲルに閉じ込められたマイクロカプセル (すなわち、マクロカプセル)を受容する動物において体重は著しく向上したが 、その一方で糖尿病の結果としての体重減少は自由なカプセル封入されないアイ レットを受容した動物で続き、また自由浮流するカプセル封入アイレットを受容 した動物では7日後に起った。 (iv)系統的グルコース誘発に対するグルコース応答 (静脈内でグルコース許容度試験、IVGTT、図3参照) IVGTTは静脈内グルコース誘発に反応するインシュリン放出の動力学の生 体内評価を与える。時間に対してグルコースの低下速度を計算することにより、 数値(K−値)を確定し、そして正常な糖尿病でないラットに比較することがで きる。グルコース誘発の後に続く血清グルコースの低下が速いほど、K−値はそ れだけ高くなる。静脈内グルコース誘発に反応する血清グルコースの低下はラッ トのマクロカプセル封入アイレットを受容したものと自由浮流マイクロカプセル 封入アイレットを受容したものの両者において試験された。血清グルコースはk g当たり0.5ccの50%デキストロースの静脈内注射に続いて1、4、10 、20、30、60および90分に測定された。図3に見ることができるように 、静脈内注射の後で、血清グルコースはマクロカプセルに封入した群では489 mg%に上がって、それから10分以内に正常濃度まで急速に低下し、系統的グ ルコース誘発に対して優れた生体内インシュリン応答を示した。K−値 (それは時間に対するグルコースの低下%を表わす)はこの動物において正常( 3.81±0.56)であった。この意外に急速なインシュリン応答は例8に記 載の試験管内の所見、すなわち、アルギン酸塩ゲルに閉じ込められたマイクロカ プセルはグルコース刺激に対して速やかに反応することに確証を与え、そしてア ルギン酸塩閉じ込めの潜在的利点はカプセル内からの負荷電インシュリンの静電 的反発であり、したがって系統的誘発に反応する急速なグルコースの生理学的低 下である証拠をさらに提供する。 マクロカプセルを受容しているラットのK値は、自由浮流カプセル封入アイレ ットを受容しているラットのそれ(K=0.6±0.73)よりも著しく良い( K=3.8±0.56)ので、自由浮流カプセル封入アイレットを受容している ラットにおける移植片機能の損失を示す。両群に移植されたアイレットは同じイ ヌの提供者であり、かつ使用されたアイレットの容量は同一であるので、この応 答における差異はマクロカプセルの改良された免疫保護性を反映する。 別の実験において、自由浮流カプセル封入したイヌのアイレットが糖尿病のラ ットに移植され、そしてIVGTTがこれらの受容者において行われたが、その 間移植片の機能は正常(100mg%以下の血清グルコース)であった。図4に 見ることができるように、デキストロースの静脈内注射の後の血清グルコースの 正常濃度への低下はやっと30分後であった(K値2.4±0.9)がこれに比 較してマクロカプセルに封入されたアイレットを受容しているラットにおけるグ ルコースの低下はもっと速く(10分以内)であった(K値3.81±0.56 )。 上記の生体内試験から、以下のことが結論される。 (i)マイクロカプセルに封入されたアイレットをゲルに閉じ込めることはグル コース刺激に反応するインシュリンの拡散速度を試験管内および生体内の両方に おいて減少させない。 (ii)マイクロカプセルに封入されたアイレットをゲルに閉じ込めることは実際 にインシュリンの放出を促進する。 (iii)マイクロカプセルに封入されたアイレットをゲルに閉じ込めることは移 植片機能を延長する。 例10 ゲルに閉じ込められたマイクロカプセル封入アイレットの回収 ゲルに閉じ込められたマイクロカプセル封入アイレットをSTZに誘導された 糖尿病のラットに移植して、14日間追跡調査した。正常血清グルコース濃度は 3日以内に達成され、そして全観察期間に維持された。14日目に、マクロゲル 化されたカプセル封入アイレットは回収されて、顕微鏡で検査された。 顕微鏡写真で観察されたとき、閉じ込められたマイクロカプセル内の生育し得 る完全なアイレットかマクロゲルの外側表面層の細胞異常増殖の証拠なしに見い だされた。本発明によるイヌのアイレットを内蔵するマクロカプセルを移植の1 4日後にSTZ−糖尿病Lewisラットの腹膜腔から回収して撮影した顕微鏡 写真(100×)はマクロカプセルの外側露出層上に、細胞異常増殖の証拠のな い滑らかな表面を示した。カプセルに封入された生育し得る個々のイヌのアイレ ットがマクロカプセル内に含まれているのを見ることができる。その回収時にお いて、この糖尿病ラットは正常血糖性であった。 マクロゲル化されたカプセル封入アイレットの回収の後ラットにおける血清グ ルコース濃度を監視した。図5に見ることができるように、マクロカプセルの回 収後24時間以内に血清グルコース濃度は200mg%以上に上り、マクロゲル 化カプセル封入アイレットが血清グルコースの正常化の原因になっていることを 示し、そしてさらにマクロカプセルの免疫保護性および生体適合性の証拠を与え た。 これらの試験から、次のことを結論することができる。 (i)ゲルに閉じ込めることは、自由浮流するマイクロカプセルに封入されたア イレットよりも滑らかな表面、減少した露出表面積および従って増加した生体適 合性を与える。 (ii)ゲルに閉じ込めることはカプセル封入されたアイレットの機械的安定性を 増加しかつたとえ個々のカプセルが壊れたとしても保持するマトリックスを与え る。 例11 発明のマクロカプセルを移植された自発的糖尿病のイヌにおける糖尿病症状の緩 診断の時にタイプIの真性糖尿病の古典的病状、すなわち、多尿症、多食多渇 症、多食症、体重損失、持続性の空腹時高血糖症(すなわち、血糖>250mg /dl)、持続性糖尿、急速な代償不全を防ぐために毎日1−2回のインシュリ ン注射の必要などのような臨床徴候を有する自発的糖尿病のイヌが本発明のマク ロカプセル(多数のマイクロカプセル封入アイレットを収容する)の移植のため の受容者として選ばれた。 健康なイヌの提供者からのアイレットを従来の方法(例えば、コラーゲナーゼ 消化)を用いて分離した。次にアイレットを前記のように(例えば、例6参照) 、従来慣用のアルギン酸塩−PLL−アルギン酸塩マイクロカプセル(直径約6 00ミクロン)の中に封入した。それらのマイクロカプセルをそれからさらに、 塩化カルシウムを含む浴の中へアルギン酸塩溶液中マイクロカプセル懸濁液を押 し出すことによりイオン的に橋かけられたアルギン酸塩のマクロカプセル(約4 000−8000ミクロンの球形ビーズ)の中に閉じ込めた(すなわち、カプセ ル封入した)。約60−80個のマイクロカプセルが単独のマクロカプセルの中 に閉じ込められた。 移植の前に、その犬は毎日12単位のインシュリン食飼療法に維持されていた 。移植は一般的麻酔下に1.5腹正中切開を通して行われ、そしてそれらのマク ロカプセルはステンレスの漏斗を通って腹膜腔の中へ導入された。イヌは約20 ,000アイレット/kg体重の移植投与量を受容した。切開はそれから縫合に より閉じられた。プレドニゾロンの食飼療法が移植後14日間抗炎症薬として維 持された。空腹時血糖値、血漿C−ペプチド、排尿量および体重が移植後14日 間毎日、そしてその後7日毎に測定された。静脈内グルコース許容度試験(IV GTT)が移植前7日、移植後14および30出その後30日毎に行われた。 すべての測定されたパラメーターは移植後3日以内に正常の非糖尿病値に戻っ た。血糖は200mg/dl以下によく保たれ、そしてそのイヌは移植後150 日以上、外因性のインシュリンの必要なしに、正常血糖濃度のままであった。 IVGTTの結果は正常でありかつグルコースの大粒の丸薬による誘発の後で速 やかなグルコースクリアランスを示した。 例12 グン・ラット・モデル(Gunn Rat Model)におけるカプセル封入 肝細胞の移植による肝欠損症の逆転 肝臓酵素ウリジンジホスファートグルクロニルトランスフェラーゼ(UDPG T)の欠損およびその結果の高い血清ビリルビン濃度(一般に黄疸として知られ ている状態)を有する同型接合のグンラット(Gunn rat)が肝欠損症の モデルとして選ばれた。異常遺伝子を持つが、黄疸のない異型接合のグンラット が細胞移植のための肝細胞の提供者として選ばれた。 提供者の肝臓は門脈を経由してシリコーン管(内径0.025インチ、外径0 .047インチ)と共にカニューレを挿入され、そして15分以内に100ml の0.05%コラーゲナーゼ(Sigma,タイプIV)で灌流された。その肝 細胞は無菌のビーカーに取入れられ、そして3回RPMI媒液で洗われた。分離 された肝細胞の生育力はアクリジンオレンジ/ヨウ化プロピジウム染色により試 験されて、80%以上であることが伴った。 それらの肝細胞は従来慣用のアルギン酸塩−PLL−アルギン酸塩マイクロカ プセルの中へ前記のように封入された。これらのマイクロカプセルはさらに、前 記のように、イオン的に橋かけされたアルギン酸塩の球形マクロカプセルの中に 閉じ込められた(またはカプセル封入された)。約50−100個のマイクロカ プセルが単独のマクロカプセルの中に閉じ込められた。各受容者は〜107のカ プセル封入された肝細胞を受容した。それらのマクロカプセルは受容者の腹膜腔 内に移植された。 移植の前に、受容者のビリルビン濃度は5.3±0.3mg%であった。移植 後第2週までに、血清ビリルビン濃度は2.05±1.05mg%に減少した。 これは移植前の濃度より著しく低いものであった。これらの減少した濃度は平均 73±4日の間維持された。すべての受容者は抗炎症剤としてシクロスポリンA を受容した(10mg/kg,すなわち、免疫拒絶を防ぐために必要なよりも低 い水準で)。従って、本発明のマクロカプセルの可能性と効率は肝細胞の生体内 移植について証明される。 本発明は若干の特に好ましいその実施態様に関して詳細に説明されたが、一部 の修正および変形は記載されおよび請求されている精神と範囲の内にあることは 理解されるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 デサイ,ネイル ピー. アメリカ合衆国90036 カリフォルニア州 ロスアンジェルス,アランデル アベニュ ー 847 (72)発明者 ハインツ,ロスウィサ エイ. アメリカ合衆国90025 カリフォルニア州 ロスアンジェルス,マルコム アベニュー 1940

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.生物学的活性物質を封入するためのマクロカプセルであり、前記マクロカ プセルは生物学的活性物質を包囲する多数のマイクロカプセルから成り、前記マ イクロカプセルは生体適合性のゲルから形成されており、前記マイクロカプセル は任意に免疫保護性のコーティングにより処理されており、前記マクロカプセル はその中に多数の前記マイクロカプセルを含んでいる、および前記マクロカプセ ルは生体適合性のゲルから形成されている、生物学的活性物質を封入するための マクロカプセル。 2.該生体適合性ゲルは、共有結合的におよび/またはイオン的に橋かけ可能 なアルギン酸塩、共有結合的に橋かけ可能な線状または枝分れ鎖のPEG、いろ いろ異なる分子量の共有結合的に橋かけ可能な線状または枝分れ鎖のPEGの混 合物、アルギン酸塩とPEGの組み合わせ、並びにそれらのいずれか二種以上の 混合物から選択される請求項1に記載のマクロカプセル。 3.該免疫保護性のコーティングはポリカチオンである請求項1に記載のマク ロカプセル。 4.該ポリカチオンはポリリジンである請求項3に記載のマクロカプセル。 5.該マイクロカプセルは固体ゲル核を有する請求項1に記載のマクロカプセ ル。 6.該マクロカプセルは固体ゲル核を有する請求項1に記載のマクロカプセル 。 7.マイクロカプセルを封入するためのマクロカプセルを製造する方法におい て、それぞれの中に生物学的活性物質を含む多数のマイクロカプセルを共有結合 的におよび/またはイオン的に橋かけできる生体適合性の、液状ゲル化性物質の 中に懸濁させること、前記の懸濁されたマイクロカプセルを前もって決められた 形に配置すること、および前記ゲル化性物質を共有結合的および/またはイオン 的に橋かけさせることから成る前記の製造方法。 8.糖尿病患者の治療において、該患者の特定の区域に請求項1に記載のマク ロカプセルを挿入することから成る方法において、該マクロカプセルがアイレッ ト(islets)から成るマイクロカプセルを内に含んでいる前記の治療方法 。 9.マクロカプセルがもはや効果のないとき該患者より該マクロカプセルを除 去することおよびそれを新しいマクロカプセルと取り替えることからさらに成る 請求項8に記載の方法。 10.該マクロカプセルが円箇、球、円板、平板、ウエフアースまたはドッグ ボーンの形に作られている請求項1に記載のマクロカプセル。 11.該生物学的活性物質が薬理学的に有効な薬剤である請求項1に記載のマ クロカプセルから成る薬理学的に有効な薬剤の投与システム。 12.該生物学的活性物質が生細胞である請求項1に記載のマクロカプセルか ら成る薬理学的に有効な薬剤の投与システム。 13.アルギン酸塩が高いGのアルギン酸塩である請求項1に記載のマクロカ プセル。 14.該マクロカプセルが多数のアルギン酸塩/PLL/アルギン酸塩マイク ロカプセルから成る請求項1に記載のマクロカプセル。 15.該多数のアルギン酸塩/PLL/アルギン酸塩マイクロカプセルは、 イオン的および/または共有結合的に橋かけされたアルギン酸塩、 共有結合的に橋かけされた線状または枝分れ鎖のポリエチレングリコール、ま たは それらの混合物 の中に閉じ込められている請求項14に記載のマクロカプセル。 16.該生体適合性のゲルは、200より1,000,000までの範囲の分 子量を有する線状または枝分れ鎖のポリエチレングリコールである請求項1に記 載のマクロカプセル。 17.該アルギン酸塩は多価カチオンによりイオン的に橋かけされている請求 項1に記載のマクロカプセル。 18.該マイクロカプセルは、 イオン的および/または共有結合的に橋かけされたアルギン酸塩、 共有結合的に橋かけされた線状または技分れ鎖のポリエチレングリコール、ま たは それらの混合物 の中に閉じ込められている請求項1に記載のマクロカプセル。 19.該マクロカプセルがそれから製造される生体適合性の材料は、共有結合 的に橋かけ可能な線状または枝分れ鎖のポリエチレングリコールである請求項1 8に記載のマクロカプセル。 20.該マクロカプセルがそれから製造される生体適合性の材料は、イオン的 および/または共有結合的に橋かけ可能なアルギン酸塩および/または共有結合 的に橋かけ可能な線状または技分れ鎖のポリエチレングリコールの組み合わせか ら成る請求項18に記載のマクロカプセル。 21.その中に生物学的活性物質を閉じ込めているマクロカプセルにおいて、 前記生物学的活性物質が生体適合性ゲルに包囲されている前記のマクロカプセル 。
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