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JPH0847399A - 生物発光の測定方法 - Google Patents

生物発光の測定方法

Info

Publication number
JPH0847399A
JPH0847399A JP20808094A JP20808094A JPH0847399A JP H0847399 A JPH0847399 A JP H0847399A JP 20808094 A JP20808094 A JP 20808094A JP 20808094 A JP20808094 A JP 20808094A JP H0847399 A JPH0847399 A JP H0847399A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
luciferase
compound
bioluminescence
reaction
measuring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20808094A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Hase
哲 長谷
Hiroshi Okuma
博 大熊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eiken Chemical Co Ltd
Original Assignee
Eiken Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eiken Chemical Co Ltd filed Critical Eiken Chemical Co Ltd
Priority to JP20808094A priority Critical patent/JPH0847399A/ja
Publication of JPH0847399A publication Critical patent/JPH0847399A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】本発明は、不安定で高価なCoAを用いること
なく、生物発光を増強すること、およびルシフェラーゼ
による生物発光の発光時間を持続させることを目的とし
ている。 【構成】本発明は、ルシフェラーゼによる生物発光反応
をポリリン酸化合物、およびスルフヒドリル化合物の存
在下で行う生物発光の測定方法である。本発明は、これ
らの化合物を利用した生物発光反応用の試薬、生物発光
の増強方法、ならびに増強剤をも提供する。 【効果】本発明は、安定性に優れ、ポリリン酸化合物の
ような安価に入手できる物質を使って、ルシフェラーゼ
による生物発光反応における発光強度の増強と、発光時
間の持続を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ルシフェラーゼを利用
した生物発光反応に関するものである。ルシフェラーゼ
(LUCIFERASE)は生物発光を触媒するオキシゲナーゼの総
称であり、発光酵素ともいわれている。この酵素は酸素
分子によるルシフェリンの酸化を触媒し、この時の化学
変化に伴いルシフェリンが発光する。この反応機構は種
によって異なることが知られている。このうちホタルか
ら分離されたルシフェラーゼによる生物発光反応がよく
研究されている。ホタルルシフェラーゼ(EC.1.13.12.7)
はアデノシン3リン酸(以下ATPと省略する)とホタ
ルルシフェリンに代表されるルシフェラーゼ基質に作用
し、アデノシン1リン酸(以下AMPと省略する)とオ
キシルシフェリンを生成すると同時に発光(式中にLE
で示した)を生じる(化1)。
【0002】
【化1】
【0003】このホタルルシフェラーゼによる生物発光
反応は、マグネシウムイオンを要求する。反応を更に細
かく見ると、まずATPとルシフェリンからAMP−ル
シフェリン(ルシフェニルアデニレート)とピロリン酸
が生成し、ついでこのAMP−ルシフェリンの酸化反応
により発光が起きる。この反応は、ピロリン酸やアミン
類等により阻害を受けるとされている(共立出版発行
「化学大辞典」)。種の異なるホタルの間でも、ルシフ
ェラーゼのアミノ酸構造は非常によく似ており、また以
下に述べるように同一のルシフェリンも基質となること
からその反応機構もほぼ同一と考えられている(G.Wien
hausen and M.DeLuca,Photochemistry and Photobiolog
y,42,609-611;1985)。なおルシフェラーゼの基質とな
るルシフェリンは、ルシフェラーゼの触媒活性によって
酸化され発光を生じる物質の総称で、由来によって大き
く構造が違っている(MERCK &Co.Inc.発行、THE MERCK
INDEX,10th)。したがって、例えば異なる種のホタルで
も同じ種類のルシフェリンが基質となるが、生物が異な
る場合は基質とはなり得ず、ある発光生物のルシフェリ
ンは近縁の種のルシフェラーゼに対してのみ基質として
機能できる。このようなルシフェリン−ルシフェラーゼ
系の生物発光としては、ホタル(Photinus pyralis)やコ
メツキムシ(Click beetle;Pyrophorus plagiophthalam
us)、そしてこれら以外に発光細菌(Photobacterium ph
otoreum, Vibrio harveyiなど)、ウミホタル(Vargula h
ilgendorfii)、およびウミシイタケ(Renilla reniformi
s)が知られている。発光細菌由来のルシフェラーゼ(EC.
1.14.14.3)はホタルルシフェラーゼとは還元型フラビン
モノヌクレオチド(FMNH2)の化学エネルギーを利
用する点で異なる。一方、ウミホタル、ウミシイタケの
ルシフェラーゼはホタルルシフェラーゼとは異なる単純
な反応であり、ルシフェリンまたはセレンテラジン、酸
素のみを基質とする。
【0004】ルシフェラーゼによる生物発光反応は、ペ
ルオキシダーゼ(以下、PODと省略する)を使った化
学発光に比べて感度の点で有利なため分析技術としては
非常に有用性が高い。しかしホタル等の生物材料から抽
出したルシフェラーゼは、高価であること、また安定性
にも問題が有ったため普及の妨げとなっていた。近年に
なってアミノ酸配列を変異させた安定性に優れるルシフ
ェラーゼ(特開平5−244942)が報告され、遺伝
子組換え技術により多量にかつ安定的にルシフェラーゼ
を供給できるようになってきた。
【0005】このような取り扱い易いルシフェラーゼに
より、従来は実用化が困難であった様々な分野に生物発
光反応の応用が可能になることが予想される。ルシフェ
ラーゼのもっとも代表的な利用分野が分析用試薬として
の利用である。分析用試薬としての具体的な例として、
第1にルシフェラーゼを標識物質として用いた各種結合
分析系が挙げられる。結合分析系には、抗原抗体反応を
利用した免疫学的測定法、相補的核酸の親和性を利用し
た核酸ハイブリダイゼーションアッセイ法、その他にア
ビジン−ビオチン、ホルモン−ホルモン受容体、糖−レ
クチンというような特異的な親和性を備えた物質同士の
結合を利用した分析系等が知られている。これらの結合
分析系においてルシフェラーゼを標識物質として利用す
れば、最終的に結合した(またはしなかった)物質の量
を追跡することが可能になる。ルシフェラーゼを標識物
質として利用する技術は、POD標識に比べて高い感度
を容易に実現できる可能性がある。具体的には、ホタル
ルシフェラーゼをハプテンやビオチン等の低分子に直接
標識し、酵素免疫測定法に応用した例が報告されてい
る。(Wannlund J.et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.
(1980)96,440-446、Eur.Patent Appl.141581,1985)。高
分子の抗原や抗体あるいはDNAに直接標識した報告は
されていないが、これはホタルルシフェラーゼが現在行
われている標識法では活性を失い易いためと考えられ
る。この点を解決するため、安定なATP産生酵素を標
識酵素として用い、ホタルルシフェラーゼを発光試薬と
した分析法が開発されており、甲状腺刺激ホルモン、ヒ
ト絨毛性性腺刺激ホルモン、17−αヒドロキシプロゲ
ステロンの生物発光酵素免疫測定法に応用されている
(臨床検査、38,190-195、1993)。他にもウミシイタケの
ルシフェラーゼを標識酵素とした分析法が報告されてい
る。既に組み換え体およびビオチン化ルシフェラーゼも
市販されており、酵素免疫測定法、DNAプローブアッ
セイに利用されている(Stults N.L.et al.In:Biolumin
escence and Chemiluminescence:Current Status, West
Sussex, pp533-536,1991)。ルシフェラーゼによる生物
発光反応には、この他にルシフェラーゼやATPそのも
のを検出する用途が考えられる。たとえば、ルシフェラ
ーゼ遺伝子を指標とする外来遺伝子のスクリーニング
や、遺伝子変異の分析にあたってはルシフェラーゼ活性
の追跡が必要となる。
【0006】ホタルルシフェラーゼを用いたATPの検
出は、細胞数の測定や、酵素反応生成物としてのATP
を指標とする酵素反応の追跡や、ATPそのものを標識
として用いた結合分析系に利用されている。即ち、水、
食品、化粧品などに含まれる微生物数の間接的な測定法
や、血球・精子などの細胞組織の活性測定法、薬物等の
ストレスの影響度測定への応用が報告されている。更に
ルシフェラーゼによる生物発光反応は、分析用試薬以外
にも応用が考えられる。たとえば電気や燃料を必要とし
ない発光体への応用が挙げられる。既に化学発光反応を
利用した携帯用の発光体が商品化されているが、生物発
光反応を同じように携帯用の発光体として実用化すれば
有用である。
【0007】
【従来技術の問題点】ルシフェラーゼによる生物発光反
応を実用化するときに大きな障害となっていたのが酵素
の安定性である。しかし酵素の安定性については先に述
べたとおり遺伝子組換え技術により解消されつつある。
【0008】次に問題となるのが、ルシフェラーゼによ
る生物発光が短時間の内に消失するという特徴である。
ルシフェラーゼによる生物発光反応は、生体外では非常
に強力な反面、わずか数秒の内に消失してしまう。その
ため生物発光反応を分析に利用する場合には、感度と精
度を維持するために反応時間の厳密な制御と、瞬間的な
発光を捉えるためにオートインジェクション機能を備え
たルミノメーターが要求されていた。発光を長い時間に
わたって安定化する技術として、反応系にコエンザイム
A(以下CoAと省略する)を添加する方法が提案され
た(特表平6−500921)。CoAの添加によって
発光時間が数分以上にわたって安定的に継続するように
なり、更に発光強度そのものも10倍以上に増強される
ので、結果として10-2 0M以下という微量のルシフェラ
ーゼを簡便に測定できるようになった。しかしCoAは
構造上SH基を持つため、酸化されやすく安定性に問題
が有る。また市販されているCoAは、酵母等から抽出
されたものなので高価であり、そのうえATPなどが混
入している可能性も指摘されている。ATPの混入は、
ATPを測定対象とする場合にバックグランドの上昇に
つながるので好ましくない。このような背景から、Co
Aに代る発光増強作用を持つ物質の提供が待たれてい
る。
【0009】CoAのようなスルフヒドリル化合物の他
に、ピロリン酸を利用する方法も報告されている(Arch.
Biochem.Biophys.46,399-416;1955)。先に述べたよう
に、ピロリン酸はホタルルシフェラーゼによる生物発光
反応に対して阻害的に作用することが知られている。し
かしこの報告においては、生物発光反応がある程度進行
して発光強度が低下してきた時点でピロリン酸を反応液
に供給するという特殊な条件のもとであれば、一時的に
強い発光が生じる現象が観察されている。これらのリン
酸化合物をATPの添加前に加えると、ATPを加えて
反応を開始させても初期発光量が低下することから、ピ
ロリン酸等による発光の増大は反応途中でしか期待でき
ず初期発光を含めた発光の増幅には利用できないと考え
られていた。いずれにせよ、生物発光反応を反応開始直
後から高い水準に維持する技術としては不十分なもので
あった。
【0010】更に公開特許公報昭55−13893にお
いては、ピロリン酸とともに拮抗阻害剤として働くD−
ルシフェリン誘導体(L−ルシフェリン等)を添加し
て、発光反応を安定化することが示されている。この報
告では10-4M以下、特に10- 6Mのピロリン酸と拮抗的
阻害剤の併用効果により、発光強度そのものの低下と引
き換えに安定した発光レベルを実現している。作用機序
としては、競合的な阻害反応によって発光反応の急激な
進行を抑制させる結果、安定な発光が得られるとしてい
る。しかしこの反応では発光レベルの安定化は期待でき
るが、発光強度そのものを強めるものではないためルシ
フェラーゼを用いた高感度測定系の実現は困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、CoAのよ
うな高価で安定性に問題の有る物質を使わず、ルシフェ
ラーゼによる生物発光の発光時間を十分な発光強度を維
持しながら延長する技術の提供を課題としている。更に
本発明は、CoAを越える性能を持つ生物発光の増強物
質の提供を課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は以下の手
段により解決される。すなわち第1に本発明は、ルシフ
ェラーゼ基質にルシフェラーゼを作用させ、発生する生
物発光を測定する方法において、ポリリン酸化合物また
はその塩、およびスルフヒドリル化合物の共存下で生物
発光反応を行う生物発光の測定方法を提供する。
【0013】本発明では、ルシフェラーゼによる生物発
光反応をポリリン酸化合物またはその塩(以下、塩も含
め単にポリリン酸化合物と表記する:「特徴1」)、お
よびスルフヒドリル化合物(以下SH化合物と省略す
る:「特徴2」)の存在下で行うことが特徴となってい
る。
【0014】特徴1:ポリリン酸化合物 ポリリン酸化合物は、反応の場に少なくともおよそ10
-6M以上、好ましくは10-6−10-2Mとなるように添加
する。ポリリン酸化合物による発光時間の持続作用と発
光の増強効果は、濃度に依存して大きくなるので、あま
りにも低い濃度では十分な効果を得られない場合が有
る。また逆に濃度が高すぎる場合には、使用するルシフ
ェラーゼや反応条件によっては阻害的な作用の原因とな
る。特に実用的な濃度範囲としては、10-5−10-3M
を挙げることができる。この濃度範囲は、他の反応条件
の変動によって発光反応増強効果が影響を受けることの
無い十分な濃度であり、同時に不必要な添加によって反
応阻害が現れる可能性の低い安全な範囲でもある。本発
明において有効なポリリン酸化合物には、トリポリリン
酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、およびピロリン酸
のような無機ピロリン酸化合物を挙げられる。これらの
化合物は、塩の形で用いても良い。塩の種類にはナトリ
ウム、カリウム、鉄等が知られている。中でも、トリポ
リリン酸とピロリン酸の効果が優れており、好ましいポ
リリン酸化合物として示すことができる。一方塩の種類
に着目した場合、たとえばピロリン酸ではカリウム塩が
特に発光強度の増強効果と発光時間の延長効果に優れて
いる。本発明のポリリン酸化合物は、発光を計測してい
る時に反応液中に存在していれば良い。したがって必ず
しも反応開始時点から存在する必要はなく、その他の成
分によって発光反応が進行しつつあるときに添加し、発
光計測を開始するという使い方も可能である。しかし、
あらかじめ共存させることを避けた方が良い成分以外は
できるだけ同時に加えるようにした方が試薬組成が単純
化され、測定操作、反応時間の管理等も容易なので有利
である。たとえばピロリン酸の場合、あらかじめルシフ
ェラーゼと共存すると酵素活性の低下につながるおそれ
が有るため反応前に両者の接触を避けるようにしたほう
が好ましいが、ルシフェラーゼや基質やATP等と共存
させるのであれば支障は無い。
【0015】特徴2:SH化合物 SH化合物には、ジチオスレイトール(以下DTTと省
略する)、ジチオエリトルトール、βメルカプトエタノ
ール、2−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプ
ロパノール、2,3−ジチオプロパノール、グルタチオ
ン、およびCoA等が利用できる。本発明においては、
これらの化合物を反応液中で0.1−200mM、好まし
くは8−100mMとなるように添加する。なおこの濃度
範囲はポリリン酸化合物で例示した濃度範囲と同じよう
に本発明の効果を確実に得ることができ、しかも悪影響
の現れる可能性の低い、より実用的な濃度範囲であるこ
とは言うまでもない。本発明のSH化合物は、発光を計
測している時に反応液中に存在していれば良い。したが
って必ずしも反応開始時点から存在する必要はなく、そ
の他の成分によって発光反応が進行しつつあるときに添
加し、発光計測を開始するという使い方も可能である。
ただしSH化合物の発光強度を維持するという効果を十
分に生かすためには、できるだけ発光強度が高いレベル
にあるときに作用させるのが効果的である。したがっ
て、好ましくはたとえばあらかじめルシフェラーゼや基
質類と共存させておいて、SH化合物存在下で発光反応
を開始できる構成とする。また必要な成分はできるだけ
同時に加えるようにした方が、試薬組成が単純化され、
測定操作、反応時間の管理等も容易なので有利である。
特にDTT等のSH化合物では、酵素に対する保護作用
が期待できるのでルシフェラーゼとの共存により保存性
の向上をもたらすものと思われる。もちろんこれらのS
H化合物は基質類と共存させることにも問題は無い。
【0016】本発明における生物発光反応とは、各種ル
シフェラーゼによって触媒される発光反応を意味する。
ホタルルシフェラーゼは本発明における代表的なルシフ
ェラーゼである。ルシフェラーゼには、この他に発光細
菌、ウミホタル、ウミシイタケに由来するものが知られ
ている。ルシフェラーゼによる生物発光反応の利用につ
いては、前述したように分析用試薬としての利用がある
が、それ以外に次のような利用法もある。
【0017】すなわち、レポーター遺伝子としての利用
である。ホタルルシフェラーゼについては既に遺伝子が
単離され、その塩基配列も決定されているため(T.Masu
da et al.Gene 77,265-270;1989)、このルシフェラー
ゼ遺伝子をレポーター遺伝子として使用し、種々の遺伝
子の作用機序、細胞内の代謝機構を明らかにすることが
できる(Alam,J., and Cook,J.L.Anal.Biochem.188,245
-254;1990)。ルシフェラーゼは次のような特徴を持っ
ているので、レポーター遺伝子として非常に優れている
といわれている。 (1)活性測定の感度が極めて高く、迅速・簡便でかつ安
価であること(de Wet,J.R. et al.Mol.Cell.Biology,
7,725-737;1987)、(2)各種の発光反応の中で最も高い
量子効率を持つこと(Seliger,H.H. and McElroy,W.D.A
rcheves of Biochem. and Biophys.88,136-141;196
0)、(3)ルシフェラーゼは分子量62,000の単一ポ
リペプチドでかつ、酵素発現のために特別な翻訳後修飾
を必要としないためmRNAの翻訳後直ちにレポーター
遺伝子として機能すること(de Wet,J.R. et al. Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 82,7870-7873;1985) 更にプロモーターやエンハンサーの転写活性解析のよう
な遺伝子発現の解析(Williams,T.M. et al.Anal.Bioch
em.176,28-32;1989)、細胞中のmRNAの構造、作用
機序の解明(J.Callis et al.Genes and Development,
1,1183-1200;1987)、遺伝子調節機能を持つ蛋白質の構
造と作用機序(M.L.Waterman et al.Mol.Endorc.,2,14-
21;1988)、トランスジェニック植物・動物における器
官特異的な発現様式の解析(Ow,D, et al.Science 234,
856-859;1986)、ウイルスや細胞のマーカー(Rodrigue
tz, D.,Proc.Natl.Acad.Sci,USA 86,1287-1291;1989)
への利用と非常に広い範囲への応用が可能である。
【0018】ホタルルシフェラーゼの中では、アメリカ
ホタル(Photinus pyralis)由来のものが最も研究が進
んでいる。ゲンジボタル、ヘイケボタル、コメツキムシ
などはアメリカホタルとそのアミノ酸一次構造は異なる
が、ATPとホタルルシフェリンを基質とした発光を行
う点で同一であり反応機構が類似している。したがっ
て、種の異なるホタルに由来するルシフェラーゼによっ
て触媒される生物発光反応に対しても、本発明の方法を
応用することができる。これらのルシフェラーゼの多く
は、既に構造が決定されており遺伝子組換えによって得
られたものが知られている。また一部のアミノ酸を置換
して、安定性や発光波長を改変した変異体も知られてい
る。本発明においては、天然の酵素と同様のルシフェラ
ーゼ基質を基質として利用できる限り、これらの組換え
体であっても天然のものと同様に利用することが可能で
ある。特にアミノ酸の置換により安定性を改善したルシ
フェラーゼは、試薬成分の保存性を向上させるのみなら
ず測定感度の向上にも貢献するので好ましいルシフェラ
ーゼとして例示することができる。この種のルシフェラ
ーゼには、ゲンジボタルもしくはヘイケボタルのルシフ
ェラーゼを耐熱性としたもの(特開平5−24494
2)が知られている。
【0019】一方、本発明におけるルシフェラーゼ基質
についても、反応系を構成するルシフェラーゼの基質と
なるものであれば特に構造や由来は限定されない。ルシ
フェリンは生物発光において反応の基質となって光を発
する物質の総称で発光素ともいわれるものである。ルシ
フェラーゼ存在下で酸素分子によって酸化されるときの
自由エネルギーで励起され、可視光を発して基底状態に
戻る。この時、一分子のルシフェリンの酸化によって一
個の光子が放出される。たとえば、ホタルのルシフェリ
ンは化学的には4,5-Dihydro-2-[6-hydroxy-2-benzothiz
olyl]-4-thiazocarboxylic acidであることが知られて
いる。これ以外に、4−メチル−D−ルシフェリン(Mi
ller,J.L. et al.(1990) J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,2
8,471-474)、D−ルシフェニル−L−メチオニン(特
表昭63−501571)のようなD−ルシフェリン誘
導体や、アミノルシフェリン誘導体(特表平01−50
2431)等も利用することができる ルシフェリンとルシフェラーゼは、その構造(あるいは
アミノ酸配列)の変異により、発光波長が変化する場合
の有ることは先に述べた。この特徴を生かして、感度を
得やすい発光波長となるように両者の組合せを選択する
と良い。また結合分析方法における標識酵素としてルシ
フェラーゼを利用する時には、項目によって発光波長の
違うルシフェラーゼを組み合せれば多項目同時測定が可
能となる。
【0020】本発明をルシフェラーゼ活性の測定に用い
る場合、ポリリン酸化合物とSH化合物以外の成分、す
なわちルシフェラーゼ基質は、公知の利用形態にしたが
って用いる。これらの基質は、ルシフェラーゼに対して
十分な濃度で供給する。具体的には、ルシフェラーゼを
含む反応液中0.1−1mM程度の濃度とする。基質の濃
度は、ルシフェラーゼの由来と比活性、あるいは予め存
在が予想される酵素活性値にも左右されるため、実験的
に最適な条件を与える濃度を選択すると良い。ルシフェ
ラーゼ基質の他に、利用するルシフェラーゼによっては
補酵素や金属イオン等を要求するものが有る。したがっ
て酵素に合わせて活性発現に必要な成分を組み合わせな
ければならない。たとえばホタルから抽出されるルシフ
ェラーゼは、発光反応にATPやマグネシウムイオンを
要求する。ATPは、反応液中0.1−1.0mM程度、
またマグネシウムイオンは2−15mMとなるように添加
すれば良い。本発明の生物発光測定方法は、利用するル
シフェラーゼに好適な温度とpHのもとで行う。たとえ
ばアメリカホタルのルシフェラーゼを用いる場合であれ
ば、温度は20−30℃、pHは6−8という条件を示
すことができる。このような基本的な反応条件が、酵素
の変更や、あるいはアミノ酸配列を改変した組み換え体
の利用により適宜変更可能であることは言うまでもな
い。更に酵素安定化剤として牛血清アルブミンを0.0
1−5mg/ml添加するとよい。ゲンジボタル、ヘイケボ
タルの場合も同様の条件が使用でき、更に耐熱性とした
ルシフェラーゼを用いる場合にはより高温での反応も可
能である。
【0021】本発明における生物発光は、公知の方法に
よって検出することができる。具体的には市販のルミノ
メーターにより定量的に発光強度を計数する、あるいは
感光材料により可視的に検出する方法等が一般に知られ
ている。本発明においては発光が高いレベルでしかも安
定して持続するので、これまでの生物発光測定に要求さ
れていたような厳しい時間管理は必ずしも必要としな
い。実施例で確認したとおり、本発明における発光反応
ではポリリン酸化合物とSH化合物という条件がそろっ
たときに強力で安定な発光を生じるので、発光強度の測
定はこの条件がそろった後であれば任意の時間帯で行う
ことができる。したがって発光反応が継続している間の
一定の時間帯で発光強度を追跡すれば良い。このとき発
光強度をできるだけ長い時間にわたって積算するように
すれば感度の向上を期待できるので有利である。
【0022】発光測定の具体的なタイミングとして、た
とえば次のような例を挙げることができる。最も基本的
なタイミングのひとつに、ルシフェラーゼに発光反応の
ために必要な他の成分を同時に加え、その直後から発光
を追跡する場合が有る。この例では試薬成分をひとまと
めにできるので簡便な測定が可能となり、また発光開始
直後から測定を行うため計数時間を長く取れるので感度
の点でも有利である。もちろん発光反応開始直後とはい
え厳密なものではなく、本発明においては多少のタイム
ラグは実際の測定結果になんら影響を与えない。発光反
応をポリリン酸とSH化合物の存在下で開始するには、
反応に必須の成分の少なくともひとつとともにポリリン
酸を加えるという構成とすれば良い。具体的には、たと
えばATPを要求するホタルルシフェラーゼの場合、ル
シフェラーゼ+ルシフェリンに対してATP+ポリリン
酸を加えることで発光反応を開始する、という構成とす
ることができる。この場合SH化合物は任意の成分に加
えておけば良い。この他にも、ルシフェラーゼに基本的
な基質類を加えて構成した従来の発光反応系に、ポリリ
ン酸化合物とSH化合物を後から添加し、このときに増
強される発光を追跡する方法を採用することもできる。
この方法では反応を構成する試薬が1種類増えることに
なるが、一般に市販されている生物発光反応試薬をその
まま利用できるという点では手軽な方法である。
【0023】本発明による生物発光の測定方法は、ルシ
フェラーゼ活性の測定に利用することができる。ルシフ
ェラーゼには、遺伝子マーカーとして、また標識酵素と
して活性測定の意義が有る。特に標識酵素としてのルシ
フェラーゼ活性を測定するときには、より高い感度と精
度が要求される。被標識物質には、免疫学的活性物質、
核酸、および特異結合リガンド等が例示できる。更に具
体的には、免疫学的活性物質として抗体、抗原、ハプテ
ンが、また核酸としてはDNAとRNAが、特異結合リ
ガンドとしてはアビジンに対するビオチン、ホルモンに
対するホルモン受容体、糖に対するレクチンやホウ酸化
合物というような組み合わせが知られている。ルシフェ
ラーゼを標識酵素とする分析系には、様々な応用形態が
存在する。たとえば免疫検定に採用されている反応原理
として、次のような例を示すことができる。
【0024】反応原理1:競合法 抗体に対してルシフェラーゼ標識抗原と検体中の被分析
抗原とを競合的に反応させる。この場合、抗体は固相化
されていてもよいし、あるいは第2抗体を使ってB/F
分離されるものであってもかまわない。抗体と結合する
ルシフェラーゼ標識抗原の量は、被分析抗原の量と逆比
例の関係を示す。競合法の原理を応用した結合阻止反応
法と呼ばれる原理も知られている。この原理では、抗体
に対してまず被測定抗原を結合させ、次いで標識抗原を
反応させる。競合法の場合と同じように標識抗原の結合
量は被測定抗原の量に逆比例する。なお、いずれの原理
においても抗原と抗体の関係を入れ換えれば抗体の分析
が可能である。
【0025】反応原理2:サンドイッチ法 固相抗体と反応した被測定抗原に対してルシフェラーゼ
標識抗体を反応させる。被測定抗原が、少なくとも2つ
の結合サイトを持つことが条件となる。最終的に[固相
抗体]+[被測定抗原]+[ルシフェラーゼ標識抗体]
というサンドイッチ状の複合体が形成され、結合したル
シフェラーゼ標識抗体の量は被測定抗原の量と比例関係
にある。サンドイッチ法では、固相抗体とルシフェラー
ゼ標識抗体を抗原と同時に反応させる1ステップ法、固
相抗体かルシフェラーゼ標識抗体のいずれかと反応後に
もう一方との反応を行わせる2ステップ法、更に固相抗
体と被測定抗原を反応させ洗浄した後にルシフェラーゼ
標識抗体を接触させる方法等が知られている。サンドイ
ッチ法には抗原の測定の他、固相化した抗原に対して被
測定抗体を反応させ、これをルシフェラーゼ標識した抗
体を認識する抗体により検出する方法も含まれる。反応
原理を問わずいずれの場合であっても、なんらかの手段
により結合した(または、しなかった)ルシフェラーゼ
標識成分を分離し、ルシフェラーゼ活性を測定すること
によって分析は完了する。このルシフェラーゼ活性の測
定にあたり、本発明による生物発光の測定方法を応用す
ることができる。
【0026】これらの反応原理による免疫学的な測定に
おいて、ルシフェラーゼで標識が可能な物質は抗原、抗
体、あるいはそれらの活性断片を含むものである。すな
わち、抗原の抗原決定基を含むドメイン・ペプチド、あ
るいはF(ab’)2、Fab’、Fab、Facb等
の抗体の抗原結合部位であってもよい。また抗体にはモ
ノクローナル抗体を用いることもできる。ルシフェラー
ゼのような酵素蛋白と免疫学的活性物質との結合につい
ては、多くの方法が知られている。(臨床病理、臨時増
刊・特集第53号、P39-42,1983等) なお説明の都合上抗原−抗体反応を例としたが、本発明
がその他の各種結合分析系に応用できることは言うまで
もない。すなわち抗原−抗体反応を相補的な配列を持つ
核酸の親和性を利用したハイブリダイゼーションアッセ
イに置き換えれば、核酸の分析にも応用することができ
る。核酸分子の酵素による標識方法も公知である。核酸
にはルシフェラーゼを直接的に導入することもできる
し、アビジン−ビオチン反応や、抗原−抗体反応により
間接的に結合させることも可能である。
【0027】第2に本発明は、先に述べた本発明による
生物発光の測定方法を実施することが可能な試薬を提供
する。このような試薬としては、ルシフェラーゼ、ルシ
フェラーゼ基質、ポリリン酸化合物、およびSH化合物
とを含む生物発光測定用試薬が有る。この他に本発明に
基づく試薬として、ルシフェラーゼ基質、ポリリン酸化
合物、およびSH化合物とを含む生物発光反応によるル
シフェラーゼ活性測定用試薬を示すことができる。本発
明に基づく試薬としては、ホタルルシフェラーゼが発光
反応にATPを要求することを利用した、ATP測定用
試薬を示すこともできる。本発明によるATP測定用試
薬は、ホタルルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ基質、ポ
リリン酸化合物、およびSH化合物とで構成される。こ
れらの試薬における各成分の使用量は、最終的な反応液
中で必要十分な濃度を得られるように設定する。本発明
による生物発光測定用試薬、ルシフェラーゼ活性、ある
いはATP測定用試薬は、必要な成分を溶解した溶液状
態で供給しても良いし、あるいは公知の方法によって凍
結乾燥して供給することもできる。いずれの場合であっ
ても、保存中に発光反応が進行しないようにルシフェラ
ーゼと、ルシフェラーゼ以外の成分とが接触しないよう
にしておくことは言うまでもない。ポリリン酸化合物の
なかでもピロリン酸はホタルルシフェラーゼとあらかじ
め共存させない方が好ましいが、その他のポリリン酸化
合物ではルシフェラーゼとの共存が可能な場合も有る。
またSH化合物についてはルシフェラーゼとの共存が可
能であり、更に基質類についてはポリリン酸化合物とS
H試薬のいずれの成分を加えておいても問題を生じな
い。全ての試薬を乾燥状態で流通させるのであれば、た
とえルシフェラーゼと基質類が共存していても保存中に
発光反応が進行するおそれは無い。したがって、たとえ
ば必要なすべての試薬を反応容器に充填し、試料を添加
するだけで発光反応が開始するという簡便な商品形態が
考えられる。
【0028】これらの試薬類には、先に述べた好ましい
反応条件を与える付加的な成分をあらかじめ添加してお
いても良い。具体的には、ルシフェラーゼの活性発現に
必要なATPのような基質、マグネシウムイオンのよう
な補因子、反応に好適なpHを与える緩衝剤、必要な塩
濃度を提供する塩類等を挙げることができる。またルシ
フェラーゼや基質類の保存安定性を高めるために、公知
の安定剤を添加しても良い。緩衝剤の例としては、トリ
シン、グリシルグリシン、トリス−酢酸、トリス等を好
適なpHのもとで利用することができる。また安定剤と
しては、シュークロースやガラクトース等の糖、エチレ
ングリコール、グリセロール等の多価アルコール、ウシ
血清アルブミン等の不活性蛋白、EDTAのようなキレ
ート剤が知られている。糖類や不活性蛋白は、凍結乾燥
を行う時の賦形剤としても機能する。本発明によるルシ
フェラーゼ活性測定用試薬は、先に述べたルシフェラー
ゼを標識酵素として利用する各種の結合分析方法に利用
することができる。この種の結合分析方法に応用するの
であれば、必要な試薬類を標準試料と組み合せてキット
化しておくと便利である。
【0029】第3に本発明は、ルシフェラーゼ基質にル
シフェラーゼを作用させ、発生する生物発光を測定する
方法において、生物発光反応をポリリン酸化合物、およ
びSH化合物の存在下で行う生物発光の増強方法を提供
する。本発明による生物発光の増強方法とは、公知の方
法で得られる発光強度をポリリン酸化合物とSH化合物
の添加により少なくとも2倍以上強化する方法を意味す
る。生物発光に限らず発光強度は一般に単位時間当りの
発光回数を計数した結果で表示される(単位CPM;Count
Per Minute)が、本発明の生物発光増強方法ではこの数
値を10倍以上増強することも可能である。
【0030】第4に本発明は、ポリリン酸化合物、およ
びSH化合物を含むことを特徴とする、ルシフェラー
ゼ、およびルシフェラーゼ基質による生物発光の増強剤
を提供する。
【0031】第5に本発明は、ルシフェラーゼ基質にル
シフェラーゼを作用させ、発生する生物発光を測定する
方法において、生物発光反応をポリリン酸化合物、およ
びSH化合物の存在下で行う生物発光の発光時間延長方
法を提供する。本発明による生物発光の発光時間の延長
方法とは、公知の方法で得られる発光時間をポリリン酸
化合物とSH化合物の添加により少なくとも2倍以上
(60秒以上)延長する方法を意味する。生物発光によ
る発光は一般に数秒程度で急速に減衰する。この発光の
減衰を抑制し長い時間にわたって強い発光強度を持続さ
せるのが、本発明の発光時間の延長方法である。
【0032】第6に本発明は、ポリリン酸化合物、およ
びSH化合物を含むことを特徴とする、ルシフェラー
ゼ、およびルシフェラーゼ基質による生物発光の発光時
間延長剤を提供する。本発明の生物発光の増強方法、増
強剤、発光時間の延長方法、そして発光時間の延長剤
は、ルシフェラーゼとルシフェラーゼ基質によって進行
する生物発光反応であれば、幅広い反応に応用すること
ができる。このような生物発光反応の例としては、これ
までに述べてきた標識酵素を用いる各種結合分析反応、
ルシフェラーゼやATPそのものを検出対象とする分析
方法、そして分析方法以外の用途である携帯用発光体等
を例示できる。
【0033】第7に本発明は、ポリリン酸化合物、およ
びSH化合物の存在下でルシフェラーゼ基質にルシフェ
ラーゼを作用させ、生物発光反応を行う方法、並びにポ
リリン酸化合物、およびSH化合物、ルシフェラーゼ基
質、およびルシフェラーゼとで構成される生物発光反応
組成物を提供する。本発明の生物発光反応を行う方法、
あるいは生物発光反応組成物は、先に述べた携帯用発光
体としての用途に有用である。発光反応を任意のタイミ
ングで開始させるために、ルシフェラーゼと基質類とは
あらかじめ区画された容器に充填しておくのが好まし
い。この容器の区画を外部からの圧力によって破ること
ができるようにしておけば、外部から圧力を加えるだけ
で発光反応が開始する簡便な発光体とすることができ
る。あるいはルシフェラーゼを固定化した粒子や膜と、
基質類を含む溶液という構成にしておけば、基質類を含
む溶液を交換するだけでルシフェラーゼを繰り返し発光
反応に利用することができるので経済的である。本発明
による生物発光反応組成物は、ルシフェラーゼやルシフ
ェリンの組合せにより様々な波長の発光を得ることがで
きるので、この特徴を利用すれば発光色を選択すること
が可能となる。
【0034】
【作用】本発明のポリリン酸化合物は、SH化合物との
組合せによって、式1に示した生物発光反応において、
発光強度を増強する作用と、発光時間を延長する作用を
持っている。ポリリン酸化合物のうちピロリン酸は、A
TPとホタルルシフェリンを基質とする発光反応の反応
生成物の一つである。したがって従来の生物発光反応も
厳密にいえばピロリン酸の存在下で進行していたと言え
る。しかしこれまでに報告された生物発光反応では、非
常に短い発光時間と必ずしも十分とは言えない発光強度
しか得られていなかった。その理由は、試料中に最初か
ら共存しているピロリン酸や、あるいは発光反応生成物
として反応液中に蓄積するピロリン酸の量が極めて微量
であったためと考えられる。このような状態で存在する
ピロリン酸は本発明を構成するものではない。また本発
明のような優れた効果をもたらすものでもない。本発明
におけるポリリン酸化合物は、あくまでも反応系に人為
的に、しかも通常存在が予想される濃度を越える量で添
加したものを意味する。
【0035】ポリリン酸化合物の作用機序は不明である
が、本発明者らはポリリン酸化合物をSH化合物ととも
に人為的に発光反応の場に供給することで生物発光の発
光強度の増強と発光時間の延長というまったく新規な作
用が得られることを確認し、本発明にいたったものであ
る。酵素反応の平衡状態を考慮すれば、反応生成物であ
るピロリン酸はむしろ反応系から除去すべきものであ
る。反応生成物の除去によって、反応平衡を傾ける、す
なわち生成物阻害を除くことができる可能性が有るため
である。実際に先に照会した先行技術文献でも、ホタル
ルシフェラーゼの反応においてはピロリン酸が阻害的に
作用することが記載されている。したがってピロリン酸
のようなポリリン酸化合物の添加により発光強度の増強
と発光時間の延長という作用が得られることは、予想の
域を大きく越えるものといわざるをえない。
【0036】なおポリリン酸化合物に関しては、生物発
光増強機構について先の文献の中で次のように説明され
ている。すなわち、ピロリン酸等のポリリン酸化合物は
いずれもATPの代わりの発光試薬とはならない。生物
発光反応は「ATP−ルシフェリン−ルシフェラーゼ−
Mg++」の複合体を経由して発光に至るが、同時に不活
性体も生じ発光反応が抑制される(ATPのほぼ97%
が反応に利用されなくなっていると言う)。この状態で
ポリリン酸化合物を添加すると、不活性化状態が活性型
へと変換し発光が一時的に増加すると説明されている。
また先に紹介したCoAの発光増強作用については、C
oAがオキシルシフェリンの生成による発光の減衰を抑
制するためと説明されている。硫黄原子を欠いたデチオ
CoAは発光反応そのものには影響せず、CoAの競合
阻害剤として働く。このことから、デチオCoAおよび
CoAはルシフェラーゼの同一部位に結合するが、チオ
ール基を欠失しているデチオCoAは発光増強には寄与
しないと考えられる。CoAの活性発現にはシステアミ
ンの末端のチオール基が有効であるので、CoAの効果
はピロリン酸などの化合物の作用とは異なるものと考え
られる。
【0037】一方、本発明の第2の特徴となっているS
H化合物は、酵素反応の場において酵素保護剤として利
用されることの多い成分である。しかし本発明において
ポリリン酸化合物との組合せで実現する効果の大きさ
は、実施例に示したように従来の利用目的から予想でき
る範囲をはるかに越えている。また酵素保護剤として利
用する場合の一般的な濃度は、たとえばDTTでは5mM
以下が好ましいとされている。5mMを越えるとルシフェ
ラーゼを阻害する場合が有る。CoAを利用する場合に
は更に高い濃度のSH化合物を利用することが示されて
いるが、例示されている濃度は30−80mMである。こ
れに対して本発明におけるSH化合物は8−100mMが
好ましい濃度範囲である。このような至適濃度の違いと
本発明による効果の大きさを考え合せると、本発明にお
けるSH化合物の作用機序は、従来のCoA共存下での
SH化合物とは異なっていると考えられる。このよう
に、本発明で利用するポリリン酸化合物とSH化合物の
作用機序は、従来の生物発光増強剤とは異なっているも
のと予測できる。
【0038】
【発明の効果】本発明によって、安定性や経済性に問題
を残すCoA等を利用することなく、生物発光の増強と
発光時間の延長という2つの新規な効果を得ることがで
きる。本発明で利用するピロリン酸等のポリリン酸化合
物は、CoAに比べて安定性に優れており、しかも安価
な合成品が市販されているので経済的にも非常に有利で
ある。
【0039】また本発明によって得られる生物発光の増
強効果は、CoAによる増強効果をはるかに上回ってい
る。具体的には、ルシフェラーゼの検出感度で比較した
場合にCoAを用いた従来法が10-22M程度が限界であ
るのに対して、本発明の好ましい実施態様においては更
に5倍以上高い検出感度を示し、本発明による増強効果
の優れていることが明らかである。更に発光時間の延長
効果について比較してみても、CoAを利用した従来法
に遜色はなくCoAに代えて利用することが可能であ
る。本発明は、生物発光反応における発光強度を安価で
取扱いの容易な安定な成分により増強するとともに、安
定した強度の発光を長時間にわたって維持することを可
能にする。本発明によって生物発光の様々な分野におけ
る実用化が大きく前進するものと期待できる。
【0040】本発明によれば、生物発光反応における発
光強度が増強されるのみならず、発光強度が減衰しにく
くなるので各種測定方法に応用した場合に著しい感度の
向上を期待できる。すなわち、従来は初期発光量のみを
定量していたため検出感度に限界が有った。ところが本
発明を利用すれば、長時間にわたって安定した強い発光
が得られ全発光量を積算することにより非常に高い感度
を実現することが可能である。また本発明によれば強い
発光が長時間にわたって継続するので、反応時間の厳密
な管理をしなくても十分な感度を維持することができる
ようになる。この効果によって、従来は特殊な機器を必
要としていた生物発光の測定方法が一般的なルミノメー
ターで追跡できるようになり、結果として生物発光反応
の普及を助けるものである。つづいて実施例に基づき本
発明を更に詳細に説明する。
【0041】
【実施例】
1.ポリリン酸化合物を発光反応の途中で添加した場合
の効果(SH化合物無しの場合) 先行技術に有る、発光反応の途中でピロリン酸等の無機
ポリリン酸塩を添加した場合の効果について追試を行っ
た。ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応において、発光
反応の途中にピロリン酸を添加すると発光量が増大する
ことが報告されているが、これらの報告は1950年代
のもので調製されたルシフェリンやルシフェラーゼは部
分精製されたものを用いた結果であった。そこで、先ず
この現象が高度に精製されたルシフェラーゼおよびルシ
フェリンを用いた場合にも再現されるのかどうかについ
ての確認実験を行った。実験に用いた各試薬を次に示
す。
【0042】・ルシフェラーゼ:ベーリンガーマンハイ
ム製 From Photinus pyralis, Cat.No.634409 ・ルシフェリン:ベーリンガーマンハイム製 D-(-)-Liciferin (Photinus pyralis Luciferin), Cat.
No.411400 ・ATP:ベーリンガーマンハイム製 以下に示す組成のルシフェラーゼ溶液100μlと基質
溶液100μlとを25℃で混合し、発光反応開始後1
20秒のときに最終濃度で5μM−50mMとなるように
ピロリン酸を添加した。発光強度はルミネセンスリーダ
ー(BLR−201:アロカ製)により、15秒おきに
測定した。なおピロリン酸水溶液等の添加によるpHの
変動は観察されなかった。 ルシフェラーゼ溶液:640ng/ml Luciferase in buffe
r A buffer A:20mM Tricine(pH7.75),1mg/ml BS
A,8mM MgSO4,0.13mM EDTA 基質溶液:470μM ルシフェリン,530μM ATP,
10μM−100mM ピロリン酸 in buffer A 結果は図1に示すとおりである。5μM−0.5mMのピ
ロリン酸を添加すると発光量が増加することが確認でき
た。また、5mM以上添加すると逆に発光量が低下するこ
とがわかった。
【0043】2.ポリリン酸化合物を添加するタイミン
グについて 1)の結果から、ATP存在下で反応後ピロリン酸等を
加えると一時的に強い発光が起こることが確認できた。
しかし、これらのリン酸化合物をATPの添加前に加え
た場合、ATPを加えて反応を開始させても初期発光量
が激減する(W.D.McElroy et al.(1955) Arch.Bioche
m.Biophys.,46, 399-416 )ことから、ピロリン酸など
による発光の増大は反応途中でしか起こせず初期発光を
含めた発光の増幅には利用できないと考えられていた。
そこでポリリン酸化合物を反応系に添加するタイミング
を変えて、発光反応に与える影響を観察した。ポリリン
酸化合物を添加するタイミングは、(1)ピロリン酸をル
シフェラーゼ溶液に加える、(2)基質溶液に加える、お
よび(3)これらの溶液とは別にピロリン酸溶液を用意し
ておいてこれを添加する、という3種類について検討し
た。その結果、(1)のルシフェラーゼとピロリン酸が発
光反応開始前に接触してしまうケースを除いて、発光量
を増加させかつポリリン酸化合物による阻害効果を避け
られることが確認された。したがって次のようなタイミ
ングAあるいはBでポリリン酸化合物を利用すれば良い
ことが明らかとなった。 タイミングA:「ルシフェラーゼ溶液にATPを予め添
加した溶液」に「ルシフェリン+ポリリン酸化合物」を
加える、 タイミングB:「ルシフェラーゼ溶液」に「ルシフェリ
ン+ATP+ポリリン酸化合物溶液」を加えて反応を開
始させる。
【0044】3.ポリリン酸化合物とSH化合物と組み
合わせた場合の効果 1や2の結果では、ポリリン酸化合物により初期発光量
は増加するものの、この強い初期発光の後速やかに発光
強度は減衰した(図1)。そこでこの発光の減衰が、S
H化合物の添加によって抑制できるかどうかを調べた。
操作は次のとおりである。DTTを33.3mM含むルシ
フェラーゼ溶液と、同じく33.3mMDTTと0.2mM
ピロリン酸カリウムを含む基質溶液(反応液中でのピロ
リン酸カリウムの最終濃度は0.1mMとなる)の各10
0μlを混合し、25℃での発光反応を1と同じルミノ
メーターで追跡した。結果は図2〜図5に示した。発光
増強成分を含まない場合には初期発光強度が低い上にほ
とんど瞬間的に発光強度が低下するのに対して、ピロリ
ン酸カリウムを添加した場合には初期発光強度が増強さ
れ(図3)、あるいはDTTを添加した場合には発光強
度の維持効果が確認された(図4)。そしてピロリン酸
カリウムとDTTを組合せた本発明による結果(図5)
においては、初期発光強度の増強とともに、発光強度が
高い水準で維持されていることが確認された。
【0045】4.本発明におけるポリリン酸化合物の至
適濃度 本発明におけるピロリン酸の至適濃度を求めた。ルシフ
ェラーゼ溶液および基質溶液のDTT濃度を33.3mM
とし、基質溶液のピロリン酸濃度を0.02−22mM
(反応液中でのピロリン酸の最終濃度は0.01−11
mMとなる)に変える他は3と同じ条件で生物発光反応を
行い、発光強度に与えるピロリン酸濃度の影響を調査し
た。結果を図6に示した。反応液中でのピロリン酸の最
終濃度が10-4M程度存在する場合に最も初期発光量が
増大することがわかった。
【0046】5.本発明におけるSH化合物の至適濃度 本発明におけるSH化合物の至適濃度を求めた。ルシフ
ェラーゼ溶液と基質溶液のDTT濃度を4.2−33.
3mMとし、ピロリン酸濃度を0.2mM(反応液中でのピ
ロリン酸の最終濃度は0.1mMとなる)とする他は3と
同じ条件で生物発光反応を行い、発光強度に与えるSH
化合物濃度の影響を調査した。結果を図7に示した。反
応液中に最終濃度8−33mM程度のDTTが存在する場
合に、発光強度が高い水準で長い時間にわたって維持さ
れることがわかった。
【0047】6.ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸
等のポリリン酸化合物の影響 これまでの実験ではポリリン酸化合物としてピロリン酸
を使用した。本実施例では、3におけるピロリン酸を各
種ポリリン酸化合物に置き換えることによってピロリン
酸塩、トリポリリン酸の効果について検討した。その結
果、反応液中に最終濃度0.1mMピロリン酸カリウム塩
を添加した場合には、0.1mMピロリン酸を添加した場
合の1.3倍の発光量を得ることが出来た。また、0.
1mMトリポリリン酸を加えた場合には、ピロリン酸を添
加した場合の1.7倍の発光量を得ることが出来た。こ
の結果からピロリン酸のみならずトリポリリン酸等のポ
リリン酸化合物やその塩も発光強度の増強に有用である
ことが確認された。
【0048】7.ルシフェラーゼ活性の検出 本発明による生物発光測定方法の、ルシフェラーゼ活性
検出への応用を試みた。ルシフェラーゼ溶液と基質溶液
のDTT濃度を16.6mMとし、また基質溶液のピロリ
ン酸濃度を0.2mM(反応液中でのピロリン酸の最終濃
度は0.1mM)とする他は3と同じ操作により発光強度
を測定した。比較対照として、増強剤を含まない無添加
区と、従来の増強技術である1mMCoA+33.3mMD
TT(共に最終濃度)を応用した区を設けて結果を比較
した。 結果を表1(表中にはピロリン酸をPPiと略
した)、ならびに図8に示した。本発明で得られた発光
強度は無添加の場合の30倍に及び、更に公知の増強剤
であるCoA+DTTと比較しても7倍という極めて強
い発光を示した。また図8に示したように本発明の発光
増強技術は単に増強するばかりではなく、高度な定量性
を維持していることも確認された。増強効果が定量的な
のでルシフェラーゼ活性の定量を高い感度と精度で行う
ことができた。
【0049】
【表1】
【0050】8.ATPの検出 本発明による生物発光測定方法の、ATP活性検出への
応用を試みた。ルシフェラーゼ溶液と基質溶液のDTT
濃度を16.6mMに、基質溶液のピロリン酸カリウム濃
度を0.2mM(反応液中でのピロリン酸の最終濃度は
0.1mM)に、そしてATP濃度を0.0001−10
0nMとする他は同じ操作により発光強度を測定した。比
較対照として、増強剤を含まない無添加区を設けて結果
を比較した。結果を図9に示した。本発明によれば低濃
度から高濃度にいたる広い範囲でATPの定量が可能で
あることが確認された。特に高濃度域においては、従来
の無添加の場合に比べてより高い濃度まで測定範囲の中
に含んでおり、本発明が測定範囲の拡大に貢献している
ことが明らかである。また低濃度域においては本発明の
標準曲線の傾きが大きく、感度の向上をもたらしてい
る。更にこの実験でも単なる発光強度の増強ではなく、
高度な定量性を維持しつつ発光強度を増強していること
から、本発明がATPの生物発光反応による測定に有用
であることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】発光反応開始後にピロリン酸を添加したときの
発光強度の変化を示すグラフ。縦軸は発光強度(KCPM)、
横軸は時間(秒)を示す。
【図2】発光増強成分の無い条件下で生物発光反応を開
始したときの発光強度の変化を示すグラフ。縦軸は発光
強度(KCPM)、横軸は時間(秒)を示す。
【図3】ピロリン酸存在下で生物発光反応を開始したと
きの発光強度の変化を示すグラフ。縦軸は発光強度(KCP
M)、横軸は時間(秒)を示す。
【図4】DTT存在下で生物発光反応を開始したときの
発光強度の変化を示すグラフ。縦軸は発光強度(KCPM)、
横軸は時間(秒)を示す。
【図5】ピロリン酸とDTTの両者の存在下で生物発光
反応を開始したときの発光強度の変化を示すグラフ。縦
軸は発光強度(KCPM)、横軸は時間(秒)を示す。
【図6】発光強度に与えるピロリン酸濃度の影響を示す
グラフ。縦軸は発光強度(KCPM)、横軸は時間(秒)を示
す。
【図7】発光強度に与えるDTT濃度の影響を示すグラ
フ。縦軸は発光強度(KCPM)、横軸は時間(秒)を示す。
【図8】本発明におけるルシフェラーゼ濃度の変化に伴
う発光強度の変化を示すグラフ。縦軸は発光強度(KCP
M)、横軸はルシフェラーゼ濃度(amol/tube)を示す。
【図9】本発明におけるATP濃度の変化に伴う発光強
度の変化を示すグラフ。縦軸は発光強度(KCPM)、横軸は
ATP濃度(nmol/tube)を示す。

Claims (24)

    【整理番号】 P−000304 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ルシフェラーゼ基質にルシフェラーゼを作
    用させ、発生する生物発光を測定する方法において、ポ
    リリン酸化合物またはその塩、およびスルフヒドリル化
    合物の共存下で生物発光反応を行う生物発光の測定方法
  2. 【請求項2】ルシフェラーゼがホタルに由来するもので
    あり、ルシフェラーゼ基質としてホタルルシフェラーゼ
    基質またはその誘導体を用いるとともに、基質としてア
    デノシン3リン酸を添加する請求項1の生物発光の測定
    方法
  3. 【請求項3】ホタルルシフェラーゼが遺伝子組換えによ
    って得られたもの、または一部のアミノ酸を置換して耐
    熱性としたものである請求項2の生物発光の測定方法
  4. 【請求項4】ポリリン酸化合物を10-6−10-2M存在
    させる請求項1の生物発光の測定方法
  5. 【請求項5】ポリリン酸化合物を10-5−10-3M存在
    させる請求項4の生物発光の測定方法
  6. 【請求項6】ポリリン酸化合物が無機ポリリン酸化合物
    である請求項1の生物発光の測定方法
  7. 【請求項7】無機ポリリン酸化合物が、トリポリリン
    酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、ピロリン酸、およ
    びこれらの塩で構成される群から選択される請求項6の
    生物発光の測定方法
  8. 【請求項8】ポリリン酸化合物が有機ポリリン酸化合物
    である請求項1の生物発光の測定方法
  9. 【請求項9】有機ポリリン酸化合物が、シチジン5’−
    3リン酸(CTP)、シチジン5’−2リン酸(CD
    P)、デオキシシチジン5’−3リン酸(dCTP)、
    デオキシシチジン5’−2リン酸(dCDP)、ジデオ
    キシシチジン5’−3リン酸(ddCTP)、シチジン
    5’−3リン酸あるいはシチジン5’−2リン酸の過ヨ
    ウ素酸酸化物、シチジン5’−3リン酸あるいはシチジ
    ン5’−2リン酸のエテノ誘導体、およびこれらの塩で
    構成される群から選択される請求項8の生物発光の測定
    方法
  10. 【請求項10】ポリリン酸化合物が、生物発光反応を開
    始するまでルシフェラーゼと接触しないことを特徴とす
    る請求項1の生物発光の測定方法
  11. 【請求項11】ポリリン酸化合物を、ルシフェラーゼ基
    質、アデノシン3リン酸とともにルシフェラーゼに添加
    する請求項1の生物発光の測定方法
  12. 【請求項12】スルフヒドリル化合物が、ジチオスレイ
    トール、ジチオエリトルトール、βメルカプトエタノー
    ル、2−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロ
    パノール、2,3−ジチオプロパノール、グルタチオ
    ン、およびコエンザイムAで構成される群から選択され
    る請求項1の生物発光の測定方法
  13. 【請求項13】スルフヒドリル化合物が、ジチオスレイ
    トールである請求項12の生物発光の測定方法
  14. 【請求項14】スルフヒドリル化合物を0.1−200
    mM存在させる請求項1の生物発光の測定方法
  15. 【請求項15】スルフヒドリル化合物を8−100mM存
    在させる請求項14の生物発光の測定方法
  16. 【請求項16】ルシフェラーゼが、標識酵素である請求
    項1の生物発光の測定方法
  17. 【請求項17】被標識物質が、免疫学的活性物質、核
    酸、および特異結合リガンドで構成される群から選択さ
    れる請求項16の生物発光の測定方法
  18. 【請求項18】ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ基質、
    ポリリン酸化合物またはその塩、およびスルフヒドリル
    化合物を含む生物発光測定用試薬
  19. 【請求項19】ルシフェラーゼ基質、ポリリン酸化合物
    またはその塩、およびスルフヒドリル化合物とを含む生
    物発光反応によるホタルルシフェラーゼの活性測定用試
  20. 【請求項20】ホタルルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ
    基質、ポリリン酸化合物またはその塩、およびスルフヒ
    ドリル化合物とを含む生物発光によるアデノシン3リン
    酸測定用試薬
  21. 【請求項21】ルシフェラーゼ基質にルシフェラーゼを
    作用させることによって生成する生物発光を増強する方
    法であって、生物発光反応をポリリン酸化合物またはそ
    の塩、およびスルフヒドリル化合物の存在下で行う生物
    発光の増強方法
  22. 【請求項22】ポリリン酸化合物、およびスルフヒドリ
    ル化合物とを含むことを特徴とする、ルシフェラーゼ、
    およびルシフェラーゼ基質による生物発光の増強剤
  23. 【請求項23】ポリリン酸化合物またはその塩、および
    スルフヒドリル化合物の存在下でルシフェラーゼ基質に
    ルシフェラーゼを作用させ、生物発光反応を行う方法で
    あって、各成分を実質的に同時に接触させることにより
    発光を増強し、かつ発光時間を延長することを特徴とす
    る生物発光反応を行う方法
  24. 【請求項24】ポリリン酸化合物またはその塩、スルフ
    ヒドリル化合物、ルシフェラーゼ基質、およびルシフェ
    ラーゼとで構成される生物発光反応組成物
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