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JPH0841260A - エレクトレット - Google Patents

エレクトレット

Info

Publication number
JPH0841260A
JPH0841260A JP6306446A JP30644694A JPH0841260A JP H0841260 A JPH0841260 A JP H0841260A JP 6306446 A JP6306446 A JP 6306446A JP 30644694 A JP30644694 A JP 30644694A JP H0841260 A JPH0841260 A JP H0841260A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electret
cyclic olefin
resin
modified
charge density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6306446A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuya Kusano
野 和 也 草
Satoshi Matsuura
浦 智 松
Tsuneo Yoshishiba
柴 常 雄 吉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP6306446A priority Critical patent/JPH0841260A/ja
Publication of JPH0841260A publication Critical patent/JPH0841260A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G7/00Capacitors in which the capacitance is varied by non-mechanical means; Processes of their manufacture
    • H01G7/02Electrets, i.e. having a permanently-polarised dielectric
    • H01G7/021Electrets, i.e. having a permanently-polarised dielectric having an organic dielectric
    • H01G7/023Electrets, i.e. having a permanently-polarised dielectric having an organic dielectric of macromolecular compounds

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Filtering Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】常温ないし高温下でも高い電荷密度を有し、か
つその表面電荷密度の保持性に優れたエレクトレットの
提供。 【構成】環状オレフィン系樹脂(A)と、高分子化合物
に不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれる少な
くとも1種の変性単量体をグラフト共重合してなる変性
高分子化合物(B)とを含む樹脂組成物からなるエレク
トレット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエレクトレットに関し、
特に、高い表面電荷密度を有し、高温における表面電荷
密度の保持性に優れる等、各種性能が良好なエレクトレ
ットに関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトレットは、マイクロホン、ピッ
クアップ、スピーカー等の音響機器の材料;電子複写や
印刷の用途;医療用材料などの各種用途に利用が広がっ
てきている。また、エレクトレットは、その使用態様に
応じて、フィルム、シート、繊維、不織布等の様々な形
態で用いられている。特に、エレクトレットを成形加工
してなるエレクトレットフィルターは、エアーフィルタ
ー等の用途に広く使用されている。
【0003】このエレクトレットフィルターが自動車の
エアフィルター等に使用される場合は、高温下での電荷
保持性が要求される。
【0004】このエレクトレットとして、従来、ポリプ
ロピレン等の無極性高分子化合物、ポリカーボネート等
の極性高分子化合物、さらに無水マレイン酸等の極性基
含有化合物によりグラフト変性された変性無極性高分子
化合物を配合してなる樹脂組成物からなるものが提案さ
れている(特公昭59−23098号公報、特開昭60
−225416号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の樹
脂組成物からなるエレクトレットは、常温ないし高温下
での表面電荷の保持性の面で改良の余地があった。
【0006】そこで、本発明の目的は、常温ないし高温
下でも高い電荷密度を有し、かつその表面電荷密度の保
持性に優れたエレクトレットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、環状オレフィン系樹脂(A)と、高分子
化合物に不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれ
る少なくとも1種の変性単量体をグラフト共重合してな
る変性高分子化合物(B)とを含む樹脂組成物からなる
エレクトレットを提供するものである。
【0008】以下、本発明のエレクトレットについて詳
細に説明する。
【0009】本発明のエレクトレットの原料として用い
られる樹脂組成物の構成成分である環状オレフィン系樹
脂は、下記式(I)、(II)
【0010】
【化1】
【0011】で表される環状オレフィン(a)および/
または(b)を主成分とするものである。本発明で用い
られる環状オレフィン系樹脂(A)は、環状オレフィン
(a)および(b)を、1種単独からなるものでもよい
し、2種以上の組み合わせを含むものでもよい。
【0012】環状オレフィン(a)を表す前記式(I)
において、kは0または1であり、lは0または正の整
数であり、hは0または1であり、R1 〜R18、ならび
にRaおよびRbは、同一でも異なっていてもよく、水
素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15
16、R17およびR18は相互に結合して環状の基を形成
していてもよい。
【0013】ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
また、炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜2
0のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル
基等が挙げられる。炭素原子数1〜20のアルキル基の
具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デ
シル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
炭素原子数3〜15のシクロアルキル基の具体例として
は、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0014】また、R15、R16、R17およびR18は相互
に結合して環状の基を形成していてもよく、例えば、R
15とR16、R17とR18、R15とR17、R16とR18、R15
とR 18、あるいはR16とR17とは、それぞれ相互に結合
して(互いに共同して)、単環状または多環状の基を形
成していてもよい。また、形成される単環状または多環
状の基は、二重結合を有していてもよい。
【0015】R15、R16、R17およびR18は相互に結合
して形成する単環状または多環状の基の具体例として
は、下記式:
【0016】
【化2】
【0017】で表される基を挙げることができる。この
単環状または多環状の基において、1および2の番号を
付した炭素原子は、式(I)において、R15〜R18で表
される基が結合している脂環式炭化水素構造の炭素原子
を表す。
【0018】また、R15とR16、およびR17とR18は、
それぞれ相互に結合してアルキリデン基を形成していて
もよい。このアルキリデン基としては、例えば、エチリ
デン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等の炭素
原子数2〜20のアルキリデン基が挙げられる。
【0019】また、環状オレフィン(b)を表す前記式
(II)において、pは0または正の整数であり、好ま
しくは0〜3である。また、mおよびnは、0、1また
は2である。さらに、qは0または正の整数であり、好
ましくは0または1である。
【0020】R19〜R37は、それぞれ同一でも異なって
いてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基であ
る。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
また、炭化水素基としては、炭素原子数1〜10のアル
キル基、炭素原子数5〜15のシクロアルキル基、炭素
原子数6〜12の芳香族炭化水素基等を挙げることがで
きる。炭素原子数1〜10のアルキル基の具体例として
は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル
基、n−アミル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、
n−オクチル基、n−デシル基、2−エチルヘキシル基
等を挙げることができ、炭素原子数5〜15のシクロア
ルキル基の具体例としては、シクロヘキシル基、メチル
シクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等を挙げる
ことができる。また、炭素原子数6〜12の芳香族炭化
水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビ
フェニル基等を挙げることができる。
【0021】また、R27が結合している炭素原子とR31
が結合している炭素原子、または、R28が結合している
炭素原子とR29が結合している炭素原子とは、炭素原子
数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、
また何の基も介さずに直接結合していてもよい。
【0022】さらに、n=m=0のとき、R33とR30
またはR33とR37とは、互いに結合して単環状または多
環状の芳香族環を形成していてもよい。特に、n=m=
0のとき、R33とR30が互いに結合して下記の式で表さ
れる基を形成していると、好ましい。下記式において、
qは式(II)におけるのと同じである。
【0023】
【化3】
【0024】前記式(I)または(II)で表わされる
環状オレフィン(a)または(b)の具体例としては、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体、トリ
シクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセン誘導体、ト
リシクロ[4.3.0.12, 5 ]−3−ウンデセン誘導
体、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.
3,6 .02,7 .09,14]−4−ヘキサデセン誘導体、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13
−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ[7.4.
0.12,5 .19,12.0 8,13]−3−ペンタデセン誘導
体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシク
ロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペン
タデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6
10,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン誘導
体、ヘプタシクロ[8.7.013.6.110,17 .1
12,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセン誘導体、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110 ,17 .1
12,17 .02,7 .011,16 ]−5−エイコセン誘導体、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .1
13,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン誘導
体、ヘプタシクロ[8.8.012,9.14,7
11,18 .03,8 .0 12,17 ]−5−ヘンエイコセン誘
導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9 .1 4,7 .1
11,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン
誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7
13,20 .115,18 .03,8 .02,10.012,21.0
14,19 ]−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ[1
0.10.1.15,8.114,21 .116,19 .02,11
4,9 .013,22 .015,20 ]−5−ヘキサコセン誘導
体1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ
フルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,
5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、
シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物等の誘導体
などを挙げることができる。
【0025】さらに、前記式(I)または(II)で表
される環状オレフィンの具体的な化合物として、以下に
示す化合物を挙げることができる。
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
【化13】
【0036】
【化14】
【0037】
【化15】
【0038】
【化16】
【0039】
【化17】
【0040】
【化18】
【0041】
【化19】
【0042】
【化20】
【0043】
【化21】
【0044】
【化22】
【0045】
【化23】
【0046】
【化24】
【0047】
【化25】
【0048】
【化26】
【0049】また、式(I)または(II)で表される
環状オレフィン(a)または(b)として、上記の化合
物の他に、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2
−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2
−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2
−プロピル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2
−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、
2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,
2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、2−メチル−3−エチル−1,4,5,8−ジメ
タノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒ
ドロナフタレン、2−クロロ−1,4,5,8−ジメタ
ノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒド
ロナフタレン、2−ブロム−1,4,5,8−ジメタノ
−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ
ナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ
−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ
ナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメ
タノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒ
ドロナフタレン、2−シクロヘキシル−1,4,5,8
−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オ
クタヒドロナフタレン、2−n−ブチル−1,4,5,
8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−
オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,
5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8
a−オクタヒドロナフタレン等のオクタヒドロナフタレ
ン類を例示することができる。
【0050】前記式(I)または式(II)で表わされ
る環状オレフィン(a)または(b)は、シクロペンタ
ジエン類と、対応するオレフィン類または環状オレフィ
ン類とをディールス・アルダー反応により縮合させるこ
とにより容易に製造することができる。
【0051】本発明において、環状オレフィン系樹脂
(A)は、前記式(I)で表される環状オレフィン
(a)および/または式(II)で表される環状オレフ
ィン(b)を主成分とするものであり、例えば、前記式
(I)で表される環状オレフィン(a)および/または
式(II)で表される環状オレフィン(b)と、エチレ
ンとの付加重合により得られるランダム共重合体(環状
オレフィンランダム共重合体)、前記式(I)で表され
る環状オレフィン(a)の単独の開環重合体または式
(II)で表される環状オレフィン(b)の単独の開環
重合体、式(I)で表される環状オレフィン(a)と式
(II)で表される環状オレフィン(b)の開環共重合
体(環状オレフィン開環(共)重合体)、またはこれら
の水素添加物である。
【0052】また、環状オレフィン系樹脂(A)は、エ
チレン以外にも、本発明のエレクトレットの特性を損な
わない範囲内で他のオレフィン化合物を、共重合単位と
して含んでいてもよい。この他のオレフィン化合物とし
ては、例えば、プロピレン、1 −ブテン、4−メチル−
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセ
ン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセ
ン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素原子数
3〜20のα−オレフィン;シクロペンテン、シクロヘ
キセン、3−メチルシクロヘキセン、シクロオクテン、
3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−
1H−インデン等の脂環式炭化水素;1,4−ヘキサジ
エン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル
−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、ジシ
クロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ン、5−ビニル−2−ノルボルネン等の非共役ジエン
類;ノルボルネン−2、5−メチルノルボルネン−2、
5−エチルノルボルネン−2、5−イソプロピルノルボ
ルネン−2、5−n −ブチルノルボルネン−2、5−i
−ブチルノルボルネン−2、5,6−ジメチルノルボル
ネン−2、5−クロロノルボルネン−2、2−フルオロ
ノルボルネン−2、5,6−ジクロロノルボルネン−2
等のノルボルネン類などを挙げることができる。これら
の他のオレフィン化合物は、1種単独でも2種以上の組
合せが、環状オレフィン系樹脂(A)中に含まれていて
もよい。これらの中でも、炭素原子数3〜15のα−オ
レフィンが好ましく、特に炭素原子数3〜10のα−オ
レフィンが好ましい。
【0053】式(I)および(II)で表される環状オ
レフィン以外の環状オレフィンとして二重結合を分子内
に二個以上有する化合物を用いた場合、耐熱性等を向上
させる目的で水素添加して用いることができる。
【0054】環状オレフィン系樹脂(A)の具体例であ
る前記環状オレフィンランダム共重合体は、通常、前記
式(I)で表される環状オレフィン(a)および/また
は前記式(II)で表わされる環状オレフィン(b)、
エチレン、ならびに必要に応じて使用される他のオレフ
ィン化合物を、反応溶媒に対して可溶性のバナジウム化
合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用い
て、反応溶媒中で反応させることにより製造することが
できる。
【0055】得られる環状オレフィンランダム共重合体
中において、式(I)または式(II)で表わされる環
状オレフィン(a)または(b)は、それぞれ、下記式
(I−1)または(II−1)で表わされる繰り返し構
造単位を形成していると考えられる。
【0056】
【化27】
【0057】上記式(I−1)において、k、l、h、
1 〜R18、Ra、Rbは、前記式(I)について定義
したとおりである。また、上記式(II−1)におい
て、p、q、m、n、R19〜R37は、前記式(II)に
ついて定義したとおりである。
【0058】前記式(I)で表される環状オレフィン
(a)の単独の開環重合体または式(II)で表される
環状オレフィン(b)の単独の開環重合体、もしくは式
(I)で表される環状オレフィン(a)と式(II)で
表される環状オレフィン(b)の開環共重合体(以下、
「環状オレフィン開環(共)重合体」という)は、前記
式(I)で表される環状オレフィン(a)および/また
は前記式(II)で表される環状オレフィン(b)、な
らびに必要に応じて使用される前記他のオレフィン化合
物を、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウ
ム、インジウム、白金等の金属のハロゲン化物、これら
の金属の硝酸塩、またはこれらの金属のアセチルアセト
ン化合物と、還元剤とからなる触媒;チタン、パラジウ
ム、ジルコニウム、モリブデン等の金属のハロゲン化
物、またはこれらの金属のアセチルアセトン化合物と、
有機アルミニウムとからなる触媒などの存在下に(共)
重合させることにより製造することができる。
【0059】環状オレフィン開環(共)重合体中におい
て、式(I)で表される環状オレフィン(a)および式
(II)で表される環状オレフィン(b)は、それぞれ
次式(I−2)または(II−2)で表わされる繰り返
し構造単位を形成していると考えられる。
【0060】
【化28】
【0061】上記式(I−2)において、k、l、h、
1 〜R18、Ra、Rbは、前記式(I)について定義
したとおりである。また、式(II−2)において、
p、q、m、n、R19〜R37は、前記式(II)につい
て定義したとおりである。
【0062】また、環状オレフィン開環(共)重合体の
水素添加物は、上記のようにして得られた環状オレフィ
ン開環(共)重合体を、水素添加触媒の存在下に水素で
還元することにより製造することができる。
【0063】この環状オレフィン開環(共)重合体の水
素添加物中において、式(I)で表される環状オレフィ
ン(a)および式(II)で表される環状オレフィン
(b)は、それぞれ次式(I−3)または(II−3)
で表わされる繰り返し構造単位を形成していると考えら
れる。
【0064】
【化29】
【0065】前記式(I−3)において、k、l、h、
1 〜R18、Ra、Rbは、前記式(I)について定義
したとおりである。また、式(II−3)において、
p、q、m、n、R19〜R37は、前記式(II)につい
て定義したとおりである。
【0066】前記のようにして製造される環状オレフィ
ン系樹脂(A)は、必要に応じて脱灰工程、濾過工程、
析出工程などを経て精製される。例えば、脱灰工程は、
反応混合物をアルカリ水溶液と接触させることにより樹
脂中に残存する触媒残渣を除去する工程である。また、
析出工程は、反応混合物を、樹脂に対する貧溶媒中に投
入して反応溶媒中に溶解している樹脂を析出させる工程
である。
【0067】また、本発明で用いる環状オレフィン系樹
脂(A)は、上記の外、本出願人が先に提案した各種の
方法(特開昭60−168708号公報、同61−12
0816号公報、同61−115912号公報、同61
−115916号公報、同61−271308号公報、
同61−272216号公報、同62−252406号
公報および同62−252407号公報等参照)に従
い、適宜条件を選択することにより、製造することもで
きる。
【0068】この環状オレフィン系樹脂(A)は、ヨウ
素価が、通常、5(g/樹脂100g)以下、その多く
は1(g/樹脂100g)以下のものである。
【0069】また、環状オレフィンランダム共重合体、
環状オレフィン開環(共)重合体、および環状オレフィ
ン開環(共)重合体の水素添加物は、通常、135℃の
デカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.01〜2
0dl/gのものであり、特に0.05〜10dl/
g、さらには0.08〜8dl/gであるものが好まし
い。
【0070】さらに、環状オレフィン系樹脂(A)は、
一般に非晶性または低結晶性のものであり、好ましくは
非晶性のものである。従って、この環状オレフィン系樹
脂(A)は、良好な透明性を有しているものである。ま
た、この環状オレフィン系樹脂(A)は、X線回折によ
って測定される結晶化度が、通常、5%以下、その多く
は0%であるものであり、示差走査型熱量計(DSC)
で融点を測定しても融点が観察されないものである。
【0071】この環状オレフィン系樹脂(A)は、ガラ
ス転移温度(Tg)および軟化温度(TMA)が高いも
のである。ガラス転移温度(Tg)は、通常、230℃
以下、好ましくは50〜230℃、特に100〜200
℃の範囲内である。特に、軟化温度が70〜180℃で
ある環状オレフィン系樹脂(A)が好ましい。
【0072】また、この環状オレフィン系樹脂(A)の
熱分解温度は、通常、350〜420℃、特に370〜
400℃の範囲内である。
【0073】この環状オレフィン系樹脂(A)の機械的
性質は、引張り弾性率が、通常、1×104〜5×10
4kg/cm2 であり、引張り強度は、通常、300〜
1500kg/cm2 である。
【0074】また、この環状オレフィン系樹脂(A)の
密度は、通常、0.86〜1.10g/cm3 、好まし
くは0.88〜1.08g/cm3 の範囲である。
【0075】本発明のエレクトレットを構成する樹脂組
成物の(B)成分である変性高分子化合物(B)は、高
分子化合物に不飽和カルボン酸およびその誘導体から選
ばれる少なくとも1種の変性単量体をグラフト共重合さ
せて変性してなるものである。
【0076】変性高分子化合物(B)の主成分である高
分子化合物は、通常の無極性高分子化合物でよく、特に
制限されない。この高分子化合物として、例えば、上記
の環状オレフィン系樹脂(A)、α−オレフィンの単独
重合体、2種以上のα−オレフィンからなる共重合体、
またはこれらの単独重合体および共重合体から選ばれる
少なくとも2種以上からなる混合物が挙げられる。α−
オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、イソペンテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペン
テン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、
1−オクタデゼン、1−エイコセン等が挙げられる。こ
の高分子化合物の具体例として、プロピレン、エチレ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテ
ン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロ
ピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチ
レン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン
・1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1
−デセン共重合体等が挙げられる。
【0077】変性単量体である不飽和カルボン酸および
その誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、
イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メ
チルテトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビシクロ
[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸(ナジック酸)、メチル−エンドシス−ビシクロ
[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸(メチルナジック酸)等の不飽和ジカルボン酸、およ
びこれらの不飽和ジカルボン酸の誘導体として、これら
の不飽和ジカルボン酸の酸ハライド、アミド、イミド、
酸無水物、エステルなどが挙げられる。この不飽和ジカ
ルボン酸の誘導体の具体例としては、塩化マレニル、マ
レイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイ
ン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル等が挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸およびその誘導体は、1種単
独でも2種以上を組合せても用いられる。これらの中で
も、不飽和ジカルボン酸およびその酸無水物が好まし
く、特に、マレイン酸、ナジック酸およびこれらの酸無
水物が好ましい。
【0078】変性高分子化合物(B)の製造は、特に制
限されず、常法にしたがって行うことができる。例え
ば、高分子化合物を溶融させ、変性単量体を添加してグ
ラフト共重合させる方法、あるいは高分子化合物を溶媒
に溶解させ、変性単量体を添加して共重合させる方法等
の方法にしたがって行うことができる。いずれの方法に
おいても、ラジカル重合開始剤の存在下に共重合反応を
行うと、グラフト共重合を効率よく行うことができるた
め、好ましい。用いられるラジカル重合開始剤として
は、例えば、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、ア
ゾ化合物等が挙げられる。また、電離放射線、紫外線等
の照射によってラジカル発生を促してもよい。
【0079】変性高分子化合物(B)において、これら
の不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれる少な
くとも1種の変性単量体の含有量、すなわち、変性高分
子化合物のグラフト量は、通常、0.05〜15重量%
であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0080】また、樹脂組成物中の環状オレフィン系樹
脂(A)および変性高分子化合物(B)の含有割合は、
環状オレフィン系樹脂(A)100重量部に対して、変
性高分子化合物(B)0.5〜40重量部、好ましくは
2〜15重量部の割合である。
【0081】さらに、本発明のエレクトレットを形成す
る樹脂組成物は、前記環状オレフィン系樹脂(A)およ
び変性高分子化合物(B)以外に、他の樹脂を含有して
いてもよい。樹脂組成物が他の樹脂を含有する場合、他
の樹脂が、環状オレフィン系樹脂(A)中に微細に分散
して、いわゆるポリマーアロイを形成していると、好ま
しい。
【0082】用いられる他の樹脂としては、下記(1)
〜(17)に例示のものが挙げられる。
【0083】(1)1個または2個の不飽和結合を有す
る炭化水素から誘導される重合体 具体例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメ
チルブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブ
テン−1、ポリスチレン等のポリオレフィン等を挙げる
ことができる。これらのポリオレフィンは、架橋構造を
有していてもよい。
【0084】(2)ハロゲン含有ビニル重合体 具体例として、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリフッ化ビニル、ポリクロロプレン、ポリ四フッ化エ
チレン、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合
体、塩素化ゴム等を挙げることができる。
【0085】(3)α, β−不飽和酸とその誘導体から
誘導される重合体 具体例として、ポリアクリレート、ポリメタクリレー
ト、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、また
は前記の重合体を構成するモノマーとの共重合体(例;
アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ア
クリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル
・スチレン・アクリル酸エステル共重合体)等を挙げる
ことができる。
【0086】(4)不飽和アルコール、アミン、そのア
シル誘導体またはアセタールから誘導される重合体 具体例として、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリスレアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポ
リマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリ
ルフタレート、ポリアリルメラミン、または前記重合体
を構成するモノマーとの共重合体(例;エチレン、酢酸
ビニル共重合体)等を挙げることができる。
【0087】(5)エポキシドから誘導される重合体 具体例として、ポリエチレンオキシドまたはビスグリシ
ジルエーテルから誘導される重合体等を挙げることがで
きる。
【0088】(6)ポリアセタール 具体例として、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレ
ン、コモノマーとしてエチレンオキシドを含むようなポ
リオキシメチレン等を挙げることができる。
【0089】(7)ポリフェニレンオキシド。 (8)ポリカーボネート。 (9)ポリスルフォン。
【0090】(10)ポリウレタンおよび尿素樹脂。 (11)ジアミンとジカルボン酸、アミノカルボン酸、
または相応するラクタムから誘導されるポリアミドおよ
びコポリアミド 具体例として、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン1
1、ナイロン12等を挙げることができる。
【0091】(12)ジカルボン酸、ジアルコール、オ
キシカルボン酸、または相応するラクトンから誘導され
るポリエステル 具体例として、ポリエステルテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリ1,4−ジメチロール・シク
ロヘキサンテレフタレート等を挙げることができる。
【0092】(13)アルデヒドとフェノール、尿素ま
たはメラミンから誘導される架橋構造を有する重合体 具体例として、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿
素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒ
ド樹脂等を挙げることができる。
【0093】(14)アルキッド樹脂 具体例として、グリセリン・フタル酸樹脂等を挙げるこ
とができる。 (15)飽和または不飽和ジカルボン酸と、多価アルコ
ールとの共重合体であるコポリエステルから誘導され、
架橋剤としてビニル化合物を使用して得られる不飽和ポ
リエステル樹脂、ならびにハロゲン含有改質樹脂。
【0094】(16)天然重合体 具体例として、セルロース、ゴム、蛋白質、あるいはそ
れらの誘導体(例;酢酸セルロース、プロピオン酸セル
ロース、セルロースエーテル)等を挙げることができ
る。
【0095】(17)軟質重合体 具体的には、以下に述べる(i)〜(v)の群から選ば
れるゴム状成分を挙げることができる。
【0096】(i)環状オレフィン成分を含む軟質重合
体 環状オレフィン成分を含む軟質重合体は、エチレンと、
前記環状オレフィン系樹脂(A)の製造の際に使用した
のと同種の環状オレフィン(a)または(b)(式
(I)または(II))とを共重合させることにより得ら
れる軟質重合体である。この軟質重合体(i)には、環
状オレフィンおよびエチレンを必須成分とする他に、α
−オレフィンを特性の損なわれない範囲で使用すること
ができる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレ
ン、1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テ
トラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1
−エイコセンなどを挙げることができる。これらの中で
は、炭素原子数3〜20のα−オレフィンが好ましい。
また、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシク
ロペンタジエン等の環状オレフィン、環状ジエンも好ま
しい。
【0097】環状オレフィン成分を含む軟質重合体
(i)において、エチレン含有量は、通常、40〜98
モル%、好ましくは50〜90モル%の範囲である。ま
た、α−オレフィンの含有量は、通常、2〜50モル%
の範囲であり、環状オレフィンの含有量は、通常、2〜
20モル%であり、好ましくは2〜15モル%の量であ
る。
【0098】この軟質重合体(i)は、前記環状オレフ
ィン系樹脂(A)と相違して、ガラス転移温度(Tg)
が0℃以下、好ましくは−10℃以下のものであり、1
35℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、通
常、0.01〜10dl/g、好ましくは0.8〜7d
l/gのものである。また、この軟質重合体(i)は、
X線回折法により測定した結晶化度が、通常、0〜10
%、好ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の範
囲のものである。
【0099】軟質重合体(i)は、特開昭60−168
708号公報、特開昭61−120816号公報、特開
昭61−115912号公報、特開昭61−11591
6号公報、特開昭61−271308号公報、特開昭6
1−272216号公報、特開昭62−252406号
公報、特開昭62−252406号公報などで提案され
ている方法に従い、適宜に条件を選択して製造すること
ができる。
【0100】なお、樹脂組成物が、環状オレフィン系樹
脂(A)と、これらゴム状成分とのポリマーアロイを含
む場合においては、有機過酸化物の存在下に架橋反応を
行なってもよく、このような架橋性ポリマーアロイを含
む樹脂組成物は、剛性および耐衝撃性に優れたエレクト
レットを形成することができる。
【0101】(ii)α−オレフィン系共重合体 軟質重合体として用いられるα−オレフィン系共重合体
(ii)は、少なくとも2種のα−オレフィンからな
り、非晶性ないし低結晶性の共重合体である。具体例と
しては、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレ
ン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0102】エチレン・α−オレフィン共重合体を構成
するα−オレフィンとしては、通常炭素数3〜20のも
のが用いられ、具体例として、プロピレン、1−ブテ
ン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オク
テン、1−デセン等のα−オレフィンおよびこれらの混
合物を挙げることができる。これらの中でも、特に炭素
数3〜10のα−オレフィンが好ましい。
【0103】エチレン・α−オレフィン共重合体中のエ
チレン/α−オレフィンのモル比は、通常、40/60
〜95/5である。また、α−オレフィンがプロピレン
である場合には、40/60〜90/10であることが
好ましく、α−オレフィンが炭素数4以上である場合に
は、50/50〜95/5であることが好ましい。
【0104】プロピレン・α−オレフィン共重合体を構
成するα−オレフィンとしては、通常炭素数4〜20の
ものが用いられ、具体例として、1−ブテン、4−メチ
ル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デ
セン等のα−オレフィンおよびこれらの混合物を挙げる
ことができる。これらの中でも、特に炭素数4〜10の
α−オレフィンが好ましい。
【0105】このプロピレン・α−オレフィン共重合体
におけるプロピレン/α−オレフィンのモル比は、通
常、50/50〜95/5である。
【0106】(iii)α−オレフィン・ジエン系共重
合体 軟質重合体として使用されるα−オレフィン・ジエン系
共重合体(iii)としては、エチレン・α−オレフィ
ン・ジエン共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィン
・ジエン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0107】これらの共重合体ゴムを構成するα−オレ
フィンとしては、例えば、炭素数3〜20(プロピレン
・α−オレフィンの場合は4〜20)のα−オレフィ
ン、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン、1−デセンおよびこれらの混合物などを挙げる
ことができる。これらの中では、炭素原子数3〜10の
α−オレフィンが好ましい。
【0108】また、これらの共重合体ゴムを構成するジ
エン成分としては、例えば、1,4−ヘキサジエン、
1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジ
エン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル
−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン、シクロ
ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒ
ドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネ
ン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−ク
ロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等
の環状非共役ジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5
−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデ
ン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノル
ボルナジエンなどを挙げることができる。
【0109】このエチレン・α−オレフィン・ジエン共
重合体ゴムにおけるエチレン/α−オレフィンのモル比
は、通常、40/60〜90/10である。
【0110】また、これら共重合体ゴム中において、ジ
エン成分から誘導される繰り返し構造単位の含有量は、
通常は1〜20モル%、好ましくは2〜15モル%であ
る。
【0111】(iv)芳香族ビニル系炭化水素・共役ジ
エン系軟質共重合体 軟質重合体として使用される芳香族ビニル系炭化水素・
共役ジエン系軟質共重合体は、芳香族ビニル系炭化水素
と、共役ジエンとのランダム共重合体、ブロック共重合
体またはこれらの水素化物である。具体例としては、ス
チレン・ブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレン・
ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン
・イソプレンブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプ
レン・スチレンブロック共重合体ゴム、水素添加スチレ
ン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、水素添加
スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴ
ム、スチレン・ブタジエンランダム共重合体ゴム等が挙
げられる。
【0112】これらの共重合体ゴムにおける芳香族ビニ
ル系炭化水素/共役ジエンのモル比は、通常、10/9
0〜70/30である。また、水素添加した共重合体ゴ
ムとは、上記の共重合体ゴム中に残存する二重結合の一
部または全部を水素化した共重合体ゴムである。
【0113】(v)イソブチレンまたはイソブチレン・
共役ジエンからなる軟質重合体、もしくは共重合体 このイソブチレン系軟質重合体または共重合体(v)の
具体例として、ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレン
ゴム、ポリブタジエンゴム、イソブチレン・イソプレン
共重合体ゴム等が挙げられる。
【0114】なお、軟質重合体である(ii)〜(v )の
共重合体の特性は、135℃のデカリン中で測定した極
限粘度[η]は、通常、0.01〜10dl/g、好ま
しくは0.08〜7dl/gの範囲であり、ガラス転移
温度(Tg)は、通常、0℃以下、好ましくは−10℃
以下、特に好ましくは−20℃以下である。また、X線
回折法により測定した結晶化度は、通常、0〜10%、
好ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の範囲内
にある。
【0115】本発明のエレクトレットを形成する樹脂組
成物が、環状オレフィン系樹脂(A)および変性高分子
化合物(B)以外に他の樹脂を配合して、環状オレフィ
ン系樹脂(A)と他の樹脂によってポリマーアロイを形
成する場合、他の樹脂として、前記(17)軟質重合体
(i )〜(v )を使用するときには、この軟質重合体
は、環状オレフィン系樹脂(A)100重量部に対し
て、通常、5〜150重量部、好ましくは5〜100重
量部、特に好ましくは10〜80重量部の割合で使用す
ることが、得られるエレクトレットの衝撃強度、剛性、
熱変形温度および硬度などの特性のバランスが良好にな
る。
【0116】また、樹脂組成物は、前記環状オレフィン
系樹脂(A)、変性高分子化合物(B)以外に、必要に
応じて、配合剤、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤、ス
リップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、無機あるいは
有機の充填剤、染料、顔料等を含んでいてもよい。
【0117】この樹脂組成物の製造は、環状オレフィン
系樹脂(A)および変性高分子化合物(B)、ならびに
必要に応じて配合される他の樹脂およびその他の添加剤
とを、公知の方法を利用して混合して行うことができ
る。例えば、各成分を同時に混合して行うことができ
る。
【0118】本発明のエレクトレットは、この樹脂組成
物を原料として用い、各種の形態に成形し、エレクトレ
ット化処理して、種々の形態のものとすることができ
る。
【0119】エレクトレット化処理は、特に制限され
ず、公知の種々の方法にしたがって行なうことができ
る。例えば、前記樹脂組成物を溶融または軟化するまで
加熱し、直流高電圧を加えながら冷却してエレクトレッ
ト化する方法(熱エレクトレット化法);樹脂組成物を
フィルム状に成形した後、フィルムの表面にコロナ放電
やパルス状高電圧を加えたり、フィルムの両面を誘電体
で保持し、両面に直流高電圧を加えてエレクトレット化
する方法(エレクトロエレクトレット化法);γ線や電
子線を照射してエレクトレット化する方法(ラジオエレ
クトレット化法)などが挙げられる。より具体的には、
前記樹脂組成物をフィルム状に成形した後、必要に応じ
て延伸しながら、コロナ放電を加える方法、フィルムを
針状電極対で挟み、コロナ放電を行なう方法などが挙げ
られる。延伸を行なう場合、1軸延伸でも2軸延伸でも
よい。
【0120】本発明のエレクトレットは、例えば、コロ
ナ放電によって製造されたものの場合、通常、10×1
-9〜50×10-9C/cm2 程度、好ましくは20×
10 -9〜40×10-9C/cm2 程度の表面電荷密度を
有するものである。
【0121】本発明のエレクトレットは、種々の形態と
することができ、用途、使用態様等に応じて、その形態
を適宜、選択することができる。例えば、フィルム、シ
ート、繊維、不織布等の種々の形態とすることができ
る。
【0122】たとえば前記の樹脂組成物から形成される
不織布をエレクトレット化するには、メルトブロー法、
スパンボンド法などの公知の合成樹脂不織布の製造方法
により得られる不織布をエレクトレット化することによ
り製造される。本発明では、樹脂組成物から微細な繊維
径の不連続繊維を形成し、この繊維を多孔質支持体上に
集積させることにより不織布(メルトブロー法)を形成
して次いで得られた不織布をエレクトレット化すること
が好ましい。以下にメルトブロー法によりエレクトレッ
ト化不織布を製造する例をより具体的に説明する。
【0123】まず樹脂組成物を押出機などに供給して加
熱溶融、混練し、多数の細孔を有するメルトブロー用ダ
イから微細な樹脂流として押出す。押出された樹脂流
を、高速の加熱気体流と接触させて冷却、固化させて微
細な繊維径の不連続繊維に形成する。樹脂組成物の溶
融、混練は、樹脂組成物が熱分解によって低分子量化す
ることがなくかつ溶融成形に適した溶融粘度となるよう
な温度で行うことが望ましく、通常200〜400℃特
に220〜380℃の温度下に行うことが望ましい。
【0124】メルトブロー用ダイのダイ幅は、通常、1
000〜2000mmでありとしては、その先端リップ
部には多数の細孔を有しており、通常、800〜300
0個の孔が穿設されている。この孔の径は、通常0.5
mm程度である。溶融された樹脂流は、このダイから通
常10〜130kg/hr程度の吐出量で押出されることが
望ましい。
【0125】このようにダイから押出された微細な樹脂
流は、高速の加熱気体流と接触することにより、分割さ
れるとともに溶融状態でドラフトされ繊維長方向に引き
延ばされて繊維径がさらに微細化され、微細な不連続繊
維に形成される。樹脂流に加熱気体流を吹付けるには、
ダイ先端リップ部の内部に設けられた吹出口から加熱気
体流を吹付けながら樹脂流を押出してもよく、ダイから
押出された樹脂流にリップ部の外側から加熱気体流を吹
付けてもよい。この加熱気体は空気であっても不活性ガ
スであってもよい。また加熱気体流の温度は、通常20
0〜360℃特に230〜330℃であることが望まし
い。加熱気体流は、通常100〜3500m3/hr特に
200〜3200m3/hrの流量で吹付けることが望ま
しい。
【0126】上記の微細な不連続繊維を、次いで多孔質
支持体上に集積させることによりウエッブ状のメルトブ
ロー不織布に形成する。この多孔質支持体としては、例
えばステンレス、ポリエステルなどで形成された網目構
造体を用いることができる。不織布の目付量は、通常5
〜100g/m2特に10〜80g/m2であることが望
ましい。このような目付量にすると、適度な通気性を有
し、局部的に目付量にバラツキがなく強度にも優れてい
た不織布を得ることができる。また不織布を形成する繊
維の平均繊維径は、0.5〜10μm特に1〜6μm、
繊維長は50〜400mm程度であることが望ましい。
この平均繊維径は、不織布表面の電子顕微鏡写真(50
0倍)上で測定した任意の30本の繊維径の平均値とし
て求めた。上記のような繊維から形成される不織布は、
通気性に優れるとともに微細粉塵に対する集塵性にも優
れている。不織布の嵩密度は、強度、取扱の容易性、通
気性などの面から、0.05〜0.40g/cm3特に0.0
6〜0.20g/cm3であることが望ましい。不織布の厚
さは、目付量および嵩密度によって決定されるが、通常
0.1〜5mm特に0.1〜0.6mmであることが望ま
しい。不織布を形成する樹脂組成物(繊維)の極限粘度
[η]は、0.30〜0.40dl/gであることが望まし
い。
【0127】本発明に係るエレクトレットは、このよう
にして得られる不織布を上述したような方法でエレクト
レット化処理することにより得られる。例えば、不織布
に直流電圧を印加する不場合には、直流電圧値は使用す
る電極の形状、電極間距離、処理速度、所望する帯電電
荷量などによって適宜選択されるが、電極間距離が20
mmの場合には少なくとも−10kV好ましくは−15
〜−30kVの直流電圧を不織布に印加することが望ま
しい。本発明では、このような不織布からなるエレクト
レットの平均表面電荷密度(量)は、通常0.5〜5×
10-9C(クローン)/cm2 程度であることが望まし
い。
【0128】本発明に係るエレクトレットは、そのまま
で用いることもできるし、補強層などを積層して用いる
こともできる。またプリーツ加工などの加工を施して用
いることもでき、このような加工を施す際には補強層な
どが積層されていることが好ましい。補強層は、ポリエ
チレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレンなど
の合成樹脂からなる織布、不織布、ネットまたは紙など
で形成することができる。
【0129】本発明のエレクトレットは、高い表面電荷
密度を有し、高温における表面電荷密度の保持性に優れ
ているため、マイクロホン、ピックアップ、スピーカー
等の音響機器の材料;電子複写や印刷の用途;医療用材
料、特に血液と接触する医療器具用材料等に好適であ
る。特に、エアーフィルター等に用いられるエレクトレ
ットフィルターの素材として好適である。
【0130】特に本発明に係るエレクトレットが不織布
から形成されている場合には、高温、高湿下における表
面電荷密度の保持性に優れており、フィルターとして用
いると捕集性能が長寿命である。このため本発明に係る
不織布からなるエレクトレットは、特にエアーフィルタ
ー用途例えばエアコン、空気清浄機、掃除機、ファンヒ
ーターおよび自動車用のエアーフィルターとして好適に
用いられる。またこのエレクトレット(不織布)は、捕
集性能に優れているのでマスクとして長時間装着しても
息苦しくなく、微細粉塵、バクテリア、ウイルスなどの
細菌類を除去する産業用、家庭用エアマスクなどとして
好適に用いることができる。
【0131】
【実施例】以下に実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例により限定されるもので
はない。
【0132】(実施例1)エチレンとテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(TCDと略す)とのラン
ダム共重合体(ガラス転移温度(Tg)80℃、比重
1.02、MFR(ASTM D1238):40g/
10min(以下この共重合体をTCD−Aと略す)9
5重量部と無水マレイン酸でグラフト変性されたポリプ
ロピレン(無水マレイン酸によるグラフト率:3重量
%)5重量部を、同時に、口径:40mmφの押出機
(日本製鋼所製、L/D=40)に供給して250℃で
加熱溶融して、樹脂ペレットを得た。
【0133】得られた樹脂ペレットを、インフレーショ
ンフィルム成形機(東芝機械(株)製、30mmφ押出
機、80mmφダイ)に供給して、成形温度:250
℃、押出機スクリュー回転数:54rpmの成形条件で
成形し、折径:110mm、厚さ:30μmのフィルム
を製造した。
【0134】このフィルムから、80mm×220mm
の寸法の試料を切り出した。この試料を、直流高圧電源
(松定プレシジョンデバイス(株)製)に接続した針状
電極とステンレス板アース電極からなる電荷印加装置の
アース電極上に載せ、温度25℃、電圧−7KV、荷電
時間30秒、電極間距離10mmの条件で荷電処理を行
った。次いで、両面をアルミニウム板でショートして不
安定な表面電荷を除いた後、室温(約25℃)下に1時
間静置してエレクトレットを得た。このエレクトレット
のの表面電荷密度を、表面電荷密度測定機(理化学研究
所製)により測定して初期表面電荷密度とした。
【0135】さらに、このエレクトレットを、温度60
℃、相対湿度80%に保った恒温恒湿機(田葉井製作製
LHL−111)内に24時間静置した後、室温まで冷
却し、表面電荷密度測定機により、24時間静置後の表
面電荷密度を測定した。この24時間静置後の表面電荷
密度と初期の表面電荷密度とから、下記式にしたがって
表面電荷の保持率1を求めた。 保持率=[(静置後の表面電荷密度)/ (初期表面電荷密
度)]×100(%)
【0136】同様に、エレクトレットを、温度80℃、
相対湿度90%に保った恒温恒湿機(田葉井製作製LH
L−111)内に24時間静置し、室温まで冷却し、表
面電荷密度測定機により、24時間静置後の表面電荷密
度を測定した。この24時間静置後の表面電荷密度と初
期の表面電荷密度とから、前記式にしたがって表面電荷
の保持率2を求めた。その結果、高温下での表面電荷密
度の保持率が高いことが判った。結果を表1に示す。
【0137】(比較例1)実施例1で使用したエチレン
と環状オレフィンとの共重合体であるETCD−Aのみ
を用いて、実施例1と同様にしてフィルムに成形し、エ
レクトレットを製造した。得られたエレクトレットの表
面電荷密度の保持率1および2を実施例1と同様にして
測定した。その結果、高温下での表面電荷密度の保持率
が低いことが判った。結果を表1に示す。
【0138】(比較例2)環状オレフィン系樹脂の代わ
りに、ポリプロピレン(MFR:0.5g/10mi
n)95重量%を用いた以外は、実施例1と同様にして
エレクトレットを製造した。得られたエレクトレットの
表面電荷密度の保持率1および2を実施例1と同様にし
て測定した。その結果、高温下での表面電荷密度の保持
率が低いことが判った。結果を表1に示す。
【0139】(実施例2)ETCD−A90重量%と、
無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン(無水マレイ
ン酸グラフト率:2.22重量%)10重量%とからな
る樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてエレクトレ
ットを製造した。得られたエレクトレットの表面電荷密
度の保持率1および2を実施例1と同様にして測定し
た。その結果、高温下での表面電荷密度の保持率が高い
ことが判った。結果を表1に示す。
【0140】(実施例3)ETCD95重量%と、無水
マレイン酸でグラフト変性したETCD−A(無水マレ
イン酸グラフト率:0.69重量%)5重量%とからな
る樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてエレクトレ
ットを製造した。得られたエレクトレットの表面電荷密
度の保持率1および2を実施例1と同様にして測定し
た。その結果、高温下での表面電荷密度の保持率が高い
ことが判った。結果を表1に示す。
【0141】(実施例4)ETCD−A90重量%と、
無水マレイン酸でグラフト変性したETCD−A(無水
マレイン酸グラフト率0.69重量%)10重量%とか
らなる樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてエレク
トレットを製造した。得られたエレクトレットの表面電
荷密度の保持率1および2を実施例1と同様にして測定
した。その結果、高温下での表面電荷密度の保持率が高
いことが判った。結果を表1に示す。
【0142】(実施例5)エチレンとノルボルネンとの
ランダム共重合体(Tg80℃、比重1.02、MFR
(ASTM D1238):40g/10min)90
重量%と、無水マレイン酸でグラフト変性したプロピレ
ン(PP)(無水マレイン酸グラフト率:0.69重量
%)10重量%とからなる樹脂組成物を用いて、実施例
1と同様にしてエレクトレットを製造した。得られたエ
レクトレットの表面電荷密度の保持率1および2を実施
例1と同様にして測定した。その結果、高温下での表面
電荷密度の保持率が高いことが判った。結果を表1に示
す。
【0143】(実施例6)ETCD−A75重量%と、
無水マレイン酸でグラフト変性したETCD−A(無水
マレイン酸グラフト率0.69重量%)25重量%とか
らなる樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてエレク
トレットを製造した。得られたエレクトレットの表面電
荷密度の保持率1および2を実施例1と同様にして測定
した。その結果、高温下での表面電荷密度の保持率が高
いことが判った。結果を表1に示す。
【0144】(比較例3)ポリプロピレン(MFR:
0.5g/10min)のみを用いた以外は、実施例1
と同様にしてエレクトレットを製造した。得られたエレ
クトレットの表面電荷密度の保持率1および2を、実施
例1と同様にして測定した。その結果、高温下での表面
電荷密度の保持率が低いことが判った。結果を表1に示
す。
【0145】
【表1】
【0146】(実施例7) (A)下記物性を有するエチレンとテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]-3-ドデセンとのランダム共重合体(以下
これをETCD−Bと略す):(比重1.04(AST
M D792)、MFR150g/10分(ASTM D
1238、260℃)、Tg120℃)97重量%と、
(B)変性高分子化合物としての無水マレイン酸でグラ
フト変性したETCD−B(無水マレイン酸グラフト変
性率0.69重量%)とを、タンブラーブレンダーで混
合して樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を、
65mmφの単軸押出機に装入して350℃で溶融さ
せ、押出機の先端に接続されたメルトブロー用ダイから
20kg/hrの吐出量で押出すとともに引取り速度13m
/min で引取ることによりメルトブロー不織布に成形し
た。使用したメルトブロー用ダイのダイ幅は1.3mで
あり、ダイ全幅にわたって2列の成形孔が開口されてい
る。またメルトブロー用ダイには、320℃の加熱空気
を500m3/hrの流量で注入した。
【0147】上記のようにして得られたメルトブロー不
織布の厚さは0.25mmであり、目付量は20g/m
2 であり、嵩密度は0.085g/cm3 であった。また
この不織布を構成する繊維を顕微鏡で観察して平均繊維
径を測定したところ、4μmであった。繊維を形成する
樹脂の極限粘度[η]は0.37dl/gであった。
【0148】針状電極が長さ方向に12mm間隔で2列
に配列された構成の電極に、−18kVの直流電圧を印
加しながら、上記で得られた不織布を、20m/min の
速度で連続的に通過させて、不織布をエレクトレット化
した。得られたエレクトレット(不織布)の平均表面電
荷量を測定したところ、1.2×10-9クーロン/cm2
であった。なおこの平均表面電荷量は実施例1と同様の
表面電荷密度測定装置を用いて、面積1cm2 の電極プロ
ーブを不織布表面に接触させて測定した。
【0149】このエレクトレット(不織布)から30×
30cmの試料を5枚切り出してフィルターとし、下記の
方法にしたがって捕集効率を測定した。またこのフィル
ターを、温度80℃、湿度90%の恒温恒湿層に入れて
24時間後、取り出し、温度23℃、湿度50%の室内
で1時間状態調節した後、同様に捕集効率を測定した。
測定結果は、各時間とも5個の測定値で表示した。結果
を表2に示す。
【0150】〔捕集効率の測定〕図1に概略を示す装置
を用いて捕集効率を測定した。まず、エアロゾル発生機
(日本科学工業社製)1からNaCl粒子(粒径:0.
3μm)を供給するとともに、エアーフィルター2を通
した清浄空気をチャンバー3に供給した。チャンバー3
内のNaCl粒子濃度が一定濃度(2〜6×106個)
となった後、ブロワー4を作動させて、チャンバー3内
の気体を、流通経路5を通じて流量調整バルブ6で流量
を調整しながら吸引した。流速計7によって測定される
流通速度が一定速度(0.5m/sec)となった時に、
流通経路5に配設した、測定対象であるエレクトレット
フィルター8の上流側および下流側におけるNaCl粒
子濃度CinおよびCoutを、パーティクルカウンタ
ー(リオン社製、KC−01B)9aおよび9bによっ
て、それぞれ測定した。下記式に基づいて捕集効率を算
出した。また、このときの圧力損失(mmAg)を差圧
計10によって測定した。 捕集効率=[1−(Cout /Cin)]×100(%)
【0151】(実施例8)実施例7において、(A)/
(B)の配合比を95/5に変更した以外は、実施例7
と同様にしてエレクトレット化不織布を製造し、さらに
フィルターを作成した。得られたフィルターの嵩密度は
0.091g/cm3 、平均表面電荷密度は1.4×10-9
クーロン/cm2 、繊維を形成する樹脂の極限粘度[η]
は0.40dl/g、平均繊維径は4μmであった。この
フィルターの捕集効率を実施例7と同様にして測定し
た。結果を表2に示す。
【0152】(比較例4)実施例7において、変性高分
子化合物(B)を用いず、(A)の樹脂としてETCD
−Bのみを用いた以外は、実施例1と同様にしてエレク
トレット化不織布を製造し、さらにフィルターを作成し
た。得られたフィルターの嵩密度は0.086g/c
m3 、平均表面電荷密度は0.9×10-9クーロン/c
m2 、繊維を形成する樹脂の極限粘度[η]は0.40dl
/g、平均繊維径は4μmであった。このフィルターの
捕集効率を実施例7と同様にして測定した。結果を表2
に示す。
【0153】(比較例5)実施例7において、ポリプロ
ピレン〔比重0.91(D792)、MFR800g/1
0分(ASTM D1238、230℃〕97重量%
と、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン(無水
マレイン酸グラフト率2.7重量%)3重量%とからな
る樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてエ
レクトレット化不織布を製造し、さらにフィルターを作
成した。得られたフィルターの嵩密度は0.085g/c
m3 、平均表面電荷密度は1.2×10-9クーロン/c
m2 、繊維を形成する樹脂の極限粘度[η]は0.58dl
/g、平均繊維径は4μmであった。このフィルターの
捕集効率を実施例7と同様にして測定した。結果を表2
に示す。
【0154】(比較例6)実施例7において、樹脂組成
物に代えて、ポリプロピレン〔比重0.91(D79
2)、MFRが800g/10分(ASTM D 12
38、230℃)〕のみを用いた以外は、実施例1と同
様にしてエレクトレット化不織布を製造し、さらにフィ
ルターを作成した。得られたフィルターの嵩密度は0.
086g/cm3 、平均表面電荷密度は0.9×10-9
ーロン/cm2 、繊維を形成する樹脂の極限粘度[η]は
0.60dl/g、平均繊維径は4μmであった。このフ
ィルターの捕集効率を実施例7と同様にして測定した。
結果を表2に示す。
【0155】
【表2】
【0156】
【発明の効果】本発明のエレクトレットは、常温ないし
高温下でも高い電荷密度を有し、かつその表面電荷密度
の保持性に優れる等、各種性能が良好なエレクトレット
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例において捕集効率を測定する
際に用いたエアロゾル発生機を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 10/00 // D06M 101:20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環状オレフィン系樹脂(A)と、高分子化
    合物に不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれる
    少なくとも1種の変性単量体をグラフト共重合してなる
    変性高分子化合物(B)とを含む樹脂組成物からなるエ
    レクトレット。
  2. 【請求項2】変性高分子化合物(B)において、変性単
    量体のグラフト量が0.05〜15重量%である請求項
    1に記載のエレクトレット。
  3. 【請求項3】樹脂組成物が、環状オレフィン系樹脂
    (A)100重量部に対して、変性高分子化合物(B)
    0.5〜40重量部を含むものである請求項1または2
    に記載のエレクトレット。
  4. 【請求項4】樹脂組成物が、環状オレフィン系樹脂
    (A)100重量部に対して、変性高分子化合物(B)
    2〜15重量部を含むものである請求項1または2に記
    載のエレクトレット。
  5. 【請求項5】変性高分子化合物(B)が、変性α−オレ
    フィン(共)重合体または変性環状オレフィン系樹脂で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    エレクトレット。
  6. 【請求項6】エレクトレットが、フィルム状のものであ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエ
    レクトレット。
  7. 【請求項7】エレクトレットが、前記樹脂組成物の単繊
    維から形成された不織布からなることを特徴とする請求
    項1〜5のいずれかの請求項に記載のエレクトレット。
  8. 【請求項8】エレクトレットが、単繊維の平均繊維径
    0.5〜100μm、かつ目付量5〜100g/m2、嵩
    密度0.05〜0.40g/cm3である不織布からなり、
    平均表面電荷密度0.1×10-9クーロン/cm2以上であ
    ることを特徴とする請求項7に記載のエレクトレット。
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