JPH0830707B2 - 走査型トンネル顕微鏡の探針 - Google Patents
走査型トンネル顕微鏡の探針Info
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- JPH0830707B2 JPH0830707B2 JP2561091A JP2561091A JPH0830707B2 JP H0830707 B2 JPH0830707 B2 JP H0830707B2 JP 2561091 A JP2561091 A JP 2561091A JP 2561091 A JP2561091 A JP 2561091A JP H0830707 B2 JPH0830707 B2 JP H0830707B2
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Landscapes
- Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、被測定物と探針の間
に流れるトンネル電流に基づき、被観察物の表面を観察
する走査型トンネル顕微鏡において、その探針に関す
る。
に流れるトンネル電流に基づき、被観察物の表面を観察
する走査型トンネル顕微鏡において、その探針に関す
る。
【0002】
【従来の技術】走査型トンネル顕微鏡の探針は従来、そ
の先端が白金(Pt)、イリジウム(Ir)、タングス
テン(W)等の金属から形成されるもの、或いは電気伝
導性の基体に半導体ダイヤモンド材料の先端が一体化さ
れてなるものが知られている。
の先端が白金(Pt)、イリジウム(Ir)、タングス
テン(W)等の金属から形成されるもの、或いは電気伝
導性の基体に半導体ダイヤモンド材料の先端が一体化さ
れてなるものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】走査型トンネル顕微鏡
の探針では、検出部である先端部は原子レベルで突出し
た形状であることが必要である。先端が金属、又は半導
体ダイヤモンドからなる走査型トンネル顕微鏡の探針は
共に、針状部の断面が数100nmオーダーと細く、し
かも先端側が尖頭形状であって、更に先端部が原子レベ
ルの突出形状を有しているようにつくられている。従っ
て、探針をこの形状に製造するには例えば機械研磨や電
解研磨といった加工技術を用いるか、高い精度が求めら
れるために製造が煩雑であるという問題があった。又、
観察時つまり使用時において、検出部である探針の先端
部の表面が酸化や汚染(コンタミネーション)され易い
という問題があった。更に、所定通りに製造しても、実
際には歩留まりが極めて低いという問題があった。
の探針では、検出部である先端部は原子レベルで突出し
た形状であることが必要である。先端が金属、又は半導
体ダイヤモンドからなる走査型トンネル顕微鏡の探針は
共に、針状部の断面が数100nmオーダーと細く、し
かも先端側が尖頭形状であって、更に先端部が原子レベ
ルの突出形状を有しているようにつくられている。従っ
て、探針をこの形状に製造するには例えば機械研磨や電
解研磨といった加工技術を用いるか、高い精度が求めら
れるために製造が煩雑であるという問題があった。又、
観察時つまり使用時において、検出部である探針の先端
部の表面が酸化や汚染(コンタミネーション)され易い
という問題があった。更に、所定通りに製造しても、実
際には歩留まりが極めて低いという問題があった。
【0004】又、金属製の探針は検出部である先端部の
形状保持が重要であるが、探針自体が細身であることよ
り極く僅かな衝突や振動によって極めて簡単に先端が損
なわれたり曲がったりし、そうなった探針では結果的に
被観察物の観察ができなくなるという問題があった。
形状保持が重要であるが、探針自体が細身であることよ
り極く僅かな衝突や振動によって極めて簡単に先端が損
なわれたり曲がったりし、そうなった探針では結果的に
被観察物の観察ができなくなるという問題があった。
【0005】更に、金属製の、例えばタングステンから
なる探針では、極く簡単に表面が酸化されて酸化タング
ステンになる。このため、タングステンとして捕えるべ
きトンネル電流が特性の異なるものとなったり、或いは
全く観察できないということより、得られるデータに十
分な信頼がおけないという問題があった。又、金属から
なる探針が表面で酸化した場合その表面のみ取り除くと
再び使用が可能となるが、その酸化した部分を実際に取
り除くことは探針の形状を損なわせることを伴いがちで
あって酸化部分の除去は極めて難しく、金属製の探針は
表面が一度酸化すると簡単には再び使用できないという
問題があった。
なる探針では、極く簡単に表面が酸化されて酸化タング
ステンになる。このため、タングステンとして捕えるべ
きトンネル電流が特性の異なるものとなったり、或いは
全く観察できないということより、得られるデータに十
分な信頼がおけないという問題があった。又、金属から
なる探針が表面で酸化した場合その表面のみ取り除くと
再び使用が可能となるが、その酸化した部分を実際に取
り除くことは探針の形状を損なわせることを伴いがちで
あって酸化部分の除去は極めて難しく、金属製の探針は
表面が一度酸化すると簡単には再び使用できないという
問題があった。
【0006】半導体ダイヤモンドからなる探針では、検
出をおこなうために、先端部に厚さが数μmの薄膜を形
成してなるが、この薄膜の形成が極めて煩雑であるとい
う問題があった。
出をおこなうために、先端部に厚さが数μmの薄膜を形
成してなるが、この薄膜の形成が極めて煩雑であるとい
う問題があった。
【0007】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
のであり、製造が簡便であると共に出来上がったものの
歩留まりが高く、しかも均質なものを大量に得ることが
でき、電気伝導性において安定していて信頼性の高い観
察結果が得られると共に、検出部分である先端表面で汚
染や酸化が生じ難く、或いは例え酸化によって検出部分
である先端表面が電気伝導性を失っても簡単に電気導電
性を得て検出可能、つまり観察可能となり、又衝突や振
動等によって針本体に対する検出先端部の形状が初期の
ままであって損なわれ難い走査型トンネル顕微鏡の探針
を提供するものである。
のであり、製造が簡便であると共に出来上がったものの
歩留まりが高く、しかも均質なものを大量に得ることが
でき、電気伝導性において安定していて信頼性の高い観
察結果が得られると共に、検出部分である先端表面で汚
染や酸化が生じ難く、或いは例え酸化によって検出部分
である先端表面が電気伝導性を失っても簡単に電気導電
性を得て検出可能、つまり観察可能となり、又衝突や振
動等によって針本体に対する検出先端部の形状が初期の
ままであって損なわれ難い走査型トンネル顕微鏡の探針
を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】かくして、この
発明の発明者は、まず走査型トンネル顕微鏡の探針とし
て第一の必須要件である高い電気伝導性を有していて、
しかも物質として安定しており、更に質的に均等なもの
を大量に得ることができるということから、少なくとも
先端検出部の材料として電気伝導性を有する単結晶の金
属酸化物に着目した。
発明の発明者は、まず走査型トンネル顕微鏡の探針とし
て第一の必須要件である高い電気伝導性を有していて、
しかも物質として安定しており、更に質的に均等なもの
を大量に得ることができるということから、少なくとも
先端検出部の材料として電気伝導性を有する単結晶の金
属酸化物に着目した。
【0009】次に発明者は、電気伝導性を有する単結晶
の金属酸化物の中から、観察の際に安定した状態でトン
ネル電流が得られるように、結晶が整った状態のもので
あって、且つ被観察物と対向する先端部が容易に鋭い形
状のエッジとなり得、更に先端表面が経時によっても電
気伝導性が損なわれ難い、或いは経時変化によって安定
性を求めて非電気伝導性の物質に変化しても極めて簡単
に元の電気伝導性を有する金属酸化物を得られるものと
して、以下の物質を見い出した。尚、元の電気伝導性を
有するとは、実質的に先端表面が電気伝導性のある状態
に回復することを意味する。
の金属酸化物の中から、観察の際に安定した状態でトン
ネル電流が得られるように、結晶が整った状態のもので
あって、且つ被観察物と対向する先端部が容易に鋭い形
状のエッジとなり得、更に先端表面が経時によっても電
気伝導性が損なわれ難い、或いは経時変化によって安定
性を求めて非電気伝導性の物質に変化しても極めて簡単
に元の電気伝導性を有する金属酸化物を得られるものと
して、以下の物質を見い出した。尚、元の電気伝導性を
有するとは、実質的に先端表面が電気伝導性のある状態
に回復することを意味する。
【0010】TiO,VO,NbO,LiV2O4,F
e3O4,ReO3, MXReO3(M=Li,N
a,K,Rb,Cs等の金属一般),MXWO3,MX
MoO3,MXNbO3,LaTiO3,CaVO3,
SrVO3,La1−XSrXVO3(0.23<
x),CaCrO3,SrCrO3,La1−XSrX
MnO3(0.2<x<0.4),CaFeO3,Sr
FeO3,SrCoO3,LaCoO3,La1−XS
rXCoO3,LaNiO3,LaCuO3,LuNi
O3,CaRuO3,SrRuO3,SrIrO3,B
aPbO3,BaPb1−XBiXO3,NaXTay
W1−yO3,(Ba,Ca,Sr)TiO3−X(x
≠0),V2O3,Ti2O3,VO2,CrO2,M
oO2,WO2,α−ReO2,β−ReO2,RuO
3,RhO2,OsO2,IrO2,PtO2,V n O
2n−1 (4≦n<8),Ti3O5,TiO2n−1
(n=4,5,6),Mo17O47,Mo4O11,
SnOZ−X,NaXTiO2,La2NiO4,Nd
2NiO4,Tl2Rh2O7,Tl2Os2O7,T
l2Ir2O7,Pb2Ru2O7−X,Pb2Os2
O7−X,Pb2Ir2O7−X,Pb2Tc2O
7−X,Pb2Re2O7−X,Bi2Ru
2O7−X,Bi2Rh2O7−X,Bi2Ir2O
7−X,Cd2Re2O7,Lu 2 Os 2 O 7 ,Lu2
Ru2O7,Lu2Ir2O7,Tl2O3−X,Tl
O1−XF,MXV2O5−X。
e3O4,ReO3, MXReO3(M=Li,N
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Ru2O7,Lu2Ir2O7,Tl2O3−X,Tl
O1−XF,MXV2O5−X。
【0011】尚、金属酸化物が安定性を求めて経時変化
することによって表面が非電気伝導性の物質に変化して
も、極めて簡便に元の電気伝導性を有する金属酸化物を
得るとは、一つにその金属酸化物の持つ結晶性を利用し
て非電気伝導性の物質となった表面部分を劈開する方法
が挙げられ、具体的には非電気伝導性の物質となった表
面部分をサンドペーパーで削り落とす方法が挙げられ
る。
することによって表面が非電気伝導性の物質に変化して
も、極めて簡便に元の電気伝導性を有する金属酸化物を
得るとは、一つにその金属酸化物の持つ結晶性を利用し
て非電気伝導性の物質となった表面部分を劈開する方法
が挙げられ、具体的には非電気伝導性の物質となった表
面部分をサンドペーパーで削り落とす方法が挙げられ
る。
【0012】又、二つには、非電気伝導性となっている
表面が可溶であって且つ元の電気伝導性の金属酸化物が
不溶である溶媒であって入手及び取り扱いが簡単なもの
によって洗浄することにより、非電気伝導性の表面部分
を溶解させて取り除き、表面を前記溶媒に対して不溶性
であって電気伝導性を有する元の金属酸化物で構成する
方法が挙げられる。その溶媒は具体的に、水、アルコー
ル、エーテル等が挙げられる。
表面が可溶であって且つ元の電気伝導性の金属酸化物が
不溶である溶媒であって入手及び取り扱いが簡単なもの
によって洗浄することにより、非電気伝導性の表面部分
を溶解させて取り除き、表面を前記溶媒に対して不溶性
であって電気伝導性を有する元の金属酸化物で構成する
方法が挙げられる。その溶媒は具体的に、水、アルコー
ル、エーテル等が挙げられる。
【0013】
【実施例】この発明を、以下に実施例を用いて詳述す
る。しかし、この実施例によって、この発明が限定され
るものではない。三酸化レリウム(以下、ReO3)の
結晶体を、棒形状であって白金を主成分とする基材の先
端部近傍に、ReO3の結晶体が基材の先端部より突出
する状態で、銀ペイントを用いて接着一体化することに
よって、走査型トンネル顕微鏡の探針を得る。
る。しかし、この実施例によって、この発明が限定され
るものではない。三酸化レリウム(以下、ReO3)の
結晶体を、棒形状であって白金を主成分とする基材の先
端部近傍に、ReO3の結晶体が基材の先端部より突出
する状態で、銀ペイントを用いて接着一体化することに
よって、走査型トンネル顕微鏡の探針を得る。
【0014】こうして得られた探針を、超音波水槽中で
純水によってクリーン状態に洗浄し、大気中で乾燥させ
た。この洗浄によって、探針の表面のReO3の一部が
酸化してRe2O7に変化していても、そのRe2O7は溶
解し表面はReO3のみから構成されることになる。更
に、探針を上記基材を曲げることによってReO3の結
晶体の先端が被測定物に対して垂直の方向となるように
調節し、走査型トンネル顕微鏡(ナノスコープ−1タイ
プ)にセットした。
純水によってクリーン状態に洗浄し、大気中で乾燥させ
た。この洗浄によって、探針の表面のReO3の一部が
酸化してRe2O7に変化していても、そのRe2O7は溶
解し表面はReO3のみから構成されることになる。更
に、探針を上記基材を曲げることによってReO3の結
晶体の先端が被測定物に対して垂直の方向となるように
調節し、走査型トンネル顕微鏡(ナノスコープ−1タイ
プ)にセットした。
【0015】ここで、走査型トンネル顕微鏡をグラファ
イトからなる被測定物の表面の広さが21.2オングス
トローム×21.2オングストロームの部分を6.8秒
の時間で走査させ作動させると、探針は前記グラファイ
トの面を検出し、その観察結果は画像処理をすることに
よりCRTに映し出して得た。尚、走査シーケンスは、
160点×160線であり、又電流はバイアス値が−4
0mVにおいて0.43nAであった。観察結果を示す
像は、白色で円形のスポットが地に対して規則正しく並
んだものであった。この白色のスポットは、高さが高
い、つまり電流放出のより多いスポットと受け取れた。
尚、検出先端部がReO3である探針を空気中に24時
間の間晒してから同様の観察をおこなったところ、観察
結果、つまり得られた像はクリアーで同様なものであっ
た。
イトからなる被測定物の表面の広さが21.2オングス
トローム×21.2オングストロームの部分を6.8秒
の時間で走査させ作動させると、探針は前記グラファイ
トの面を検出し、その観察結果は画像処理をすることに
よりCRTに映し出して得た。尚、走査シーケンスは、
160点×160線であり、又電流はバイアス値が−4
0mVにおいて0.43nAであった。観察結果を示す
像は、白色で円形のスポットが地に対して規則正しく並
んだものであった。この白色のスポットは、高さが高
い、つまり電流放出のより多いスポットと受け取れた。
尚、検出先端部がReO3である探針を空気中に24時
間の間晒してから同様の観察をおこなったところ、観察
結果、つまり得られた像はクリアーで同様なものであっ
た。
【0016】次に、被観察物をReO3として、上述の
場合と同じように、つまり検出先端部がReO3からな
る探針で同じSTMを用い、走査条件を上述の場合と同
じにして、観察をおこなった。被観察物及び探針は、予
め水の中で濯がれた。観察結果は、像として簡単にCR
Tに映し出されて得られた。像は明るいスポット、つま
り高さが高いことを示す部分が等間隔で規則正しく並ん
でいるものであった。その像の明るいスポットは、被観
察物がグラファイトの場合では丸いのに対し、多角形状
であった。この差異は、両物質の電子分布の差異に起因
していると考えられる。尚、電流は、バイアス値が−5
mVにおいて1.86nAであった。
場合と同じように、つまり検出先端部がReO3からな
る探針で同じSTMを用い、走査条件を上述の場合と同
じにして、観察をおこなった。被観察物及び探針は、予
め水の中で濯がれた。観察結果は、像として簡単にCR
Tに映し出されて得られた。像は明るいスポット、つま
り高さが高いことを示す部分が等間隔で規則正しく並ん
でいるものであった。その像の明るいスポットは、被観
察物がグラファイトの場合では丸いのに対し、多角形状
であった。この差異は、両物質の電子分布の差異に起因
していると考えられる。尚、電流は、バイアス値が−5
mVにおいて1.86nAであった。
【0017】又、探針の先端検出部であるReO3の結
晶体の表面が更に酸化し、非電気伝導性であるRe2O7
になり、電気伝導性が失われて検出が不可となった際
に、その探針の先端検出部の表面を3000番のサンド
ペーパーで数回摩擦し、表面のReO7を擦り落とし、
純水で洗浄し更に乾燥させた。このように加工した探針
を上記走査型トンネル顕微鏡にセットして観察をおこな
ったところ、探針の先端検出部がReO3である場合と
同じ観察結果が得られた。又、先端検出部の表面が酸化
してReO3からRe2O7になった探針を水の張ってい
る水槽に入れて超音波水槽中で洗うことにより、結晶体
の表面にあるRe2O7を溶解させて流取り去ることによ
っても、検出先端部の結晶の表面が電気伝導性を有する
ReO3である探針を得ることができる。更に、ReO3
が水に対して安定であることより、ReO3を検出先端
部として水中での観察も可能である。
晶体の表面が更に酸化し、非電気伝導性であるRe2O7
になり、電気伝導性が失われて検出が不可となった際
に、その探針の先端検出部の表面を3000番のサンド
ペーパーで数回摩擦し、表面のReO7を擦り落とし、
純水で洗浄し更に乾燥させた。このように加工した探針
を上記走査型トンネル顕微鏡にセットして観察をおこな
ったところ、探針の先端検出部がReO3である場合と
同じ観察結果が得られた。又、先端検出部の表面が酸化
してReO3からRe2O7になった探針を水の張ってい
る水槽に入れて超音波水槽中で洗うことにより、結晶体
の表面にあるRe2O7を溶解させて流取り去ることによ
っても、検出先端部の結晶の表面が電気伝導性を有する
ReO3である探針を得ることができる。更に、ReO3
が水に対して安定であることより、ReO3を検出先端
部として水中での観察も可能である。
【0018】この発明の走査型トンネル顕微鏡の探針
は、上述したように煩雑な加工を必要としないと共に、
加工工程数も少ないことから製造が簡便になっている。
は、上述したように煩雑な加工を必要としないと共に、
加工工程数も少ないことから製造が簡便になっている。
【0019】又、探針の要部である検出先端部は物性的
に均質であって安定なReO3からなることより、簡便
に大量に得ることができ、しかも高い歩留まりが期待で
きる。
に均質であって安定なReO3からなることより、簡便
に大量に得ることができ、しかも高い歩留まりが期待で
きる。
【0020】更に、ReO3は空気中で安定しているこ
とより、酸化によって観察結果が損なわれたり得られな
いということがなく、又例え検出先端部で酸化やコンタ
ミネーションが生じても簡便にそれらを取除くことがで
き、結果的に初期の観察能力を回復することができる。
加えて、探針の針本体を振動や衝撃を受けて形状が変わ
るほどに細身に形成する必要がないことから、探針の針
本体は振動や衝突を受けても初期の形状が保たれ、針本
体に対する検出先端部の方向が保持され得る。
とより、酸化によって観察結果が損なわれたり得られな
いということがなく、又例え検出先端部で酸化やコンタ
ミネーションが生じても簡便にそれらを取除くことがで
き、結果的に初期の観察能力を回復することができる。
加えて、探針の針本体を振動や衝撃を受けて形状が変わ
るほどに細身に形成する必要がないことから、探針の針
本体は振動や衝突を受けても初期の形状が保たれ、針本
体に対する検出先端部の方向が保持され得る。
【0021】又、ReO3の結晶体は従来、いわゆるペ
ーパトランスファー法により得ていた。この発明の発明
者はこの方法以外のものとして、Reを酸化して極く容
易に得られたReO7をアルコールに溶かし、その溶液
を加熱することによって得ることを提唱する。つまり、
メタノールとReO7を体積比で略10:1の割合の溶
液を作り、略110℃でメタノールを注ぎたしながら約
2時間の加熱し続けると、大きさが数〜数10μmのR
eO3の結晶が得られた。この加熱の際、突沸を防ぐた
めにN2ガスを送った。このようにして得られたReO3
の結晶を金属棒に接着することにより、走査型トンネル
顕微鏡の探針を得ることができる。ペーパートランスフ
ァー法で同等の大きさのReO3の結晶を得るには、数
倍の時間が必要とされた。
ーパトランスファー法により得ていた。この発明の発明
者はこの方法以外のものとして、Reを酸化して極く容
易に得られたReO7をアルコールに溶かし、その溶液
を加熱することによって得ることを提唱する。つまり、
メタノールとReO7を体積比で略10:1の割合の溶
液を作り、略110℃でメタノールを注ぎたしながら約
2時間の加熱し続けると、大きさが数〜数10μmのR
eO3の結晶が得られた。この加熱の際、突沸を防ぐた
めにN2ガスを送った。このようにして得られたReO3
の結晶を金属棒に接着することにより、走査型トンネル
顕微鏡の探針を得ることができる。ペーパートランスフ
ァー法で同等の大きさのReO3の結晶を得るには、数
倍の時間が必要とされた。
【0022】尚、上述の方法によりReO3の結晶を得
る場合、加熱温度は約95〜130℃の範囲でよく、メ
タノールとReO3の体積比も他の値であってもよい。
但し、加熱温度が高いほうが、より大きなReO3の結
晶を得ることができる。
る場合、加熱温度は約95〜130℃の範囲でよく、メ
タノールとReO3の体積比も他の値であってもよい。
但し、加熱温度が高いほうが、より大きなReO3の結
晶を得ることができる。
【0023】又、溶媒は、例えばエタノールといったよ
うにメタノール以外のアルコールであってもよい。つま
り、溶液を加熱して溶質を還元するものであればよい。
又、上述した実施例においては、探針の基材は白金を主
成分としているが、他の金属を用いることもできる。
うにメタノール以外のアルコールであってもよい。つま
り、溶液を加熱して溶質を還元するものであればよい。
又、上述した実施例においては、探針の基材は白金を主
成分としているが、他の金属を用いることもできる。
【0024】
【発明の効果】この発明は、検出をおこなう先端部を電
気伝導性を有する単結晶の金属酸化物で構成したことに
より、製造加工が簡便であると共に大量の生産が可能で
あり、しかも歩留まりが極めて高く均質であり、又検出
部である先端部表面が電気伝導性において安定していて
信頼の高い観察結果が得られると共に酸化やコンタミネ
ーションが生じ難く、例えそれらが生じて電気伝導性を
失っても簡便に回復させることができ、更に衝突や振動
を受けても針本体に対する検出先端部が初期の形状を維
持し得る走査型トンネル顕微鏡の探針である。
気伝導性を有する単結晶の金属酸化物で構成したことに
より、製造加工が簡便であると共に大量の生産が可能で
あり、しかも歩留まりが極めて高く均質であり、又検出
部である先端部表面が電気伝導性において安定していて
信頼の高い観察結果が得られると共に酸化やコンタミネ
ーションが生じ難く、例えそれらが生じて電気伝導性を
失っても簡便に回復させることができ、更に衝突や振動
を受けても針本体に対する検出先端部が初期の形状を維
持し得る走査型トンネル顕微鏡の探針である。
Claims (1)
- 【請求項1】 検出をおこなう先端部が、電気伝導性を
有する単結晶の金属酸化物からなることを特徴とする走
査型トンネル顕微鏡の探針。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2561091A JPH0830707B2 (ja) | 1991-01-26 | 1991-01-26 | 走査型トンネル顕微鏡の探針 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2561091A JPH0830707B2 (ja) | 1991-01-26 | 1991-01-26 | 走査型トンネル顕微鏡の探針 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0545109A JPH0545109A (ja) | 1993-02-23 |
JPH0830707B2 true JPH0830707B2 (ja) | 1996-03-27 |
Family
ID=12170663
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2561091A Expired - Lifetime JPH0830707B2 (ja) | 1991-01-26 | 1991-01-26 | 走査型トンネル顕微鏡の探針 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0830707B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4323412B2 (ja) | 2004-11-02 | 2009-09-02 | 株式会社ミツトヨ | 表面性状測定用探針およびこれを用いた顕微鏡 |
KR101168342B1 (ko) * | 2010-12-20 | 2012-07-24 | 부산대학교 산학협력단 | 단결정을 이용한 4-포인트 프로브 홀더의 제조방법 및 이에 의해 제조된 단결정 4-포인트 프로브 홀더 |
-
1991
- 1991-01-26 JP JP2561091A patent/JPH0830707B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0545109A (ja) | 1993-02-23 |
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