JPH08254540A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents
走査型プローブ顕微鏡Info
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- JPH08254540A JPH08254540A JP8477495A JP8477495A JPH08254540A JP H08254540 A JPH08254540 A JP H08254540A JP 8477495 A JP8477495 A JP 8477495A JP 8477495 A JP8477495 A JP 8477495A JP H08254540 A JPH08254540 A JP H08254540A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 走査型プローブ顕微鏡において、条件に応じ
て圧電素子の非線形性を変位計を用いて補償し、測定分
解能を高く保持する。 【構成】 試料12に対向する探針14を備えるカンチレバ
ー13と、試料と探針との相対的位置を変化させるXYZ
微動機構11と、カンチレバーの変位量を検出する変位検
出装置15,16,17と、走査を行うと共にカンチレバーの変
位量が所定値に保持されるようにXYZ微動機構の動作
を制御する制御手段31,34,51と、制御手段から出力され
る制御指令値に基づいて試料の表面物理情報を生成する
表示演算手段36と、XYZ微動機構に含まれる少なくと
もX軸、Y軸の各方向の圧電素子によって生じる変位を
測定する変位計と、走査時に変位計で測定された測定値
を記憶する記憶部36a と、走査終了後に記憶手段に記憶
された測定値を用いて表面物理情報を作成する手段とを
備える。
て圧電素子の非線形性を変位計を用いて補償し、測定分
解能を高く保持する。 【構成】 試料12に対向する探針14を備えるカンチレバ
ー13と、試料と探針との相対的位置を変化させるXYZ
微動機構11と、カンチレバーの変位量を検出する変位検
出装置15,16,17と、走査を行うと共にカンチレバーの変
位量が所定値に保持されるようにXYZ微動機構の動作
を制御する制御手段31,34,51と、制御手段から出力され
る制御指令値に基づいて試料の表面物理情報を生成する
表示演算手段36と、XYZ微動機構に含まれる少なくと
もX軸、Y軸の各方向の圧電素子によって生じる変位を
測定する変位計と、走査時に変位計で測定された測定値
を記憶する記憶部36a と、走査終了後に記憶手段に記憶
された測定値を用いて表面物理情報を作成する手段とを
備える。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は走査型プローブ顕微鏡に
関し、特に、試料表面の凹凸形状の測定において測定精
度を高めた走査プローブ顕微鏡に関する。
関し、特に、試料表面の凹凸形状の測定において測定精
度を高めた走査プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】走査型プローブ(探針)顕微鏡は原子オ
ーダの測定分解能を有し、表面形状の測定など各種分野
に利用される。走査型プローブ顕微鏡には、検出対象の
物理量に応じて、走査型トンネル顕微鏡(STM)、原
子間力顕微鏡(AFM)、磁気力顕微鏡(MFM)など
がある。この中で原子間力顕微鏡は、試料表面の形状を
高分解能で検出するのに適しており、半導体や光ディス
クなどの表面形状の測定に利用されている。以下では、
一例として原子間力顕微鏡について説明する。
ーダの測定分解能を有し、表面形状の測定など各種分野
に利用される。走査型プローブ顕微鏡には、検出対象の
物理量に応じて、走査型トンネル顕微鏡(STM)、原
子間力顕微鏡(AFM)、磁気力顕微鏡(MFM)など
がある。この中で原子間力顕微鏡は、試料表面の形状を
高分解能で検出するのに適しており、半導体や光ディス
クなどの表面形状の測定に利用されている。以下では、
一例として原子間力顕微鏡について説明する。
【0003】図11に従来の原子間力顕微鏡の基本構成
を示す。XYZ微動機構11の上に被測定試料12が載
置され、基端が固定されたカンチレバー13が試料12
の上方に配置され、カンチレバー13の先端に取り付け
た探針14が試料12の表面に臨んでいる。上記XYZ
微動機構11は、直交するX軸、Y軸、Z軸の各方向に
微動を行える移動機構であり、駆動用圧電素子を含む。
カンチレバー13の上側には、カンチレバー13の背面
にレーザ光16を照射するレーザ光源15と反射したレ
ーザ光を受ける光検出器17とが配置される。レーザ光
源15と光検出器17は検出光学系を構成する。この構
成において、カンチレバー接近機構(図示せず)によっ
て、探針14と試料12の距離を約1nmまで近付ける
と、両者の間に原子間力が作用し、カンチレバー13に
たわみ変形が生じる。そのたわみ角を、レーザ光源15
からのレーザ光を利用して光てこの原理を利用して検出
する。XYZ微動機構11によって試料12をXY軸方
向に走査し、かつそのときカンチレバー13のたわみ角
が一定になるように試料12をZ軸方向に移動させる。
試料12をZ軸方向に移動させる機構部分の移動量をモ
ニタすることによって試料12の表面の形状が測定され
る。
を示す。XYZ微動機構11の上に被測定試料12が載
置され、基端が固定されたカンチレバー13が試料12
の上方に配置され、カンチレバー13の先端に取り付け
た探針14が試料12の表面に臨んでいる。上記XYZ
微動機構11は、直交するX軸、Y軸、Z軸の各方向に
微動を行える移動機構であり、駆動用圧電素子を含む。
カンチレバー13の上側には、カンチレバー13の背面
にレーザ光16を照射するレーザ光源15と反射したレ
ーザ光を受ける光検出器17とが配置される。レーザ光
源15と光検出器17は検出光学系を構成する。この構
成において、カンチレバー接近機構(図示せず)によっ
て、探針14と試料12の距離を約1nmまで近付ける
と、両者の間に原子間力が作用し、カンチレバー13に
たわみ変形が生じる。そのたわみ角を、レーザ光源15
からのレーザ光を利用して光てこの原理を利用して検出
する。XYZ微動機構11によって試料12をXY軸方
向に走査し、かつそのときカンチレバー13のたわみ角
が一定になるように試料12をZ軸方向に移動させる。
試料12をZ軸方向に移動させる機構部分の移動量をモ
ニタすることによって試料12の表面の形状が測定され
る。
【0004】上記原子間力顕微鏡において、その測定精
度はXYZ微動機構11の運動精度に依存して決まる。
従来のXYZ微動機構11の代表例を図12に示す。図
12において、21は円筒(チューブ)型圧電セラミッ
クスであり、この円筒外面に、X駆動用電極22a,2
2bとY軸駆動用電極23a,23bが設けられ、円筒
表面の全周にわたりZ軸駆動用電極24が設けられてい
る。また円筒型圧電セラミックス21の円筒内面には共
通電極(GND)25が設けられる。上記構造におい
て、例えば電極22aにマイナス電圧を印加し、電極2
2bにプラス電圧を印加すると、移動部26がX軸方向
に変位する。また同様にして例えば電極23aにマイナ
ス電圧を印加し、電極23bにプラス電圧を印加する
と、移動部26がY軸方向に変位する。さらに、電極2
4に電圧を印加すると、印加電圧に応じてZ軸方向の変
位が生じる。上記探針は圧電セラミックス21の移動部
26の箇所に取り付けられる。
度はXYZ微動機構11の運動精度に依存して決まる。
従来のXYZ微動機構11の代表例を図12に示す。図
12において、21は円筒(チューブ)型圧電セラミッ
クスであり、この円筒外面に、X駆動用電極22a,2
2bとY軸駆動用電極23a,23bが設けられ、円筒
表面の全周にわたりZ軸駆動用電極24が設けられてい
る。また円筒型圧電セラミックス21の円筒内面には共
通電極(GND)25が設けられる。上記構造におい
て、例えば電極22aにマイナス電圧を印加し、電極2
2bにプラス電圧を印加すると、移動部26がX軸方向
に変位する。また同様にして例えば電極23aにマイナ
ス電圧を印加し、電極23bにプラス電圧を印加する
と、移動部26がY軸方向に変位する。さらに、電極2
4に電圧を印加すると、印加電圧に応じてZ軸方向の変
位が生じる。上記探針は圧電セラミックス21の移動部
26の箇所に取り付けられる。
【0005】圧電セラミックス21は圧電材料で形成さ
れるが、一般的に圧電素子における電圧・変位特性は、
例えば図13に示すような特性を有している。図13に
示された特性によれば、横軸の電圧に関して電圧値を次
第に大きくし、その後次第に小さくした場合、基本的に
電圧に比例した形で変位が生じるが、電圧が大きくなる
側と小さくなる側とでは、変位変化の履歴が異なり、ヒ
ステリシスが10%程度存在する。また変化特性におい
て線形性が悪く、電圧に対する変位の関係を直線近似す
る場合に高い精度で近似させることが困難である。さら
に、電圧印加サイクルによってもドリフトの現象が生じ
る。以上のように、圧電素子は、原子寸法のオーダの変
位分解能があることで、原子間力顕微鏡による原子観察
を可能にしている反面、その測定精度の保証は確実なも
のではなかった。
れるが、一般的に圧電素子における電圧・変位特性は、
例えば図13に示すような特性を有している。図13に
示された特性によれば、横軸の電圧に関して電圧値を次
第に大きくし、その後次第に小さくした場合、基本的に
電圧に比例した形で変位が生じるが、電圧が大きくなる
側と小さくなる側とでは、変位変化の履歴が異なり、ヒ
ステリシスが10%程度存在する。また変化特性におい
て線形性が悪く、電圧に対する変位の関係を直線近似す
る場合に高い精度で近似させることが困難である。さら
に、電圧印加サイクルによってもドリフトの現象が生じ
る。以上のように、圧電素子は、原子寸法のオーダの変
位分解能があることで、原子間力顕微鏡による原子観察
を可能にしている反面、その測定精度の保証は確実なも
のではなかった。
【0006】上記の問題を解決するための従来の方法と
して、圧電素子の変位特性を予め測定しておき、当該測
定で得たデータを用いて実際の測定を行う時にソフトウ
ェアによる補正処理で補正する方法が試みられている。
例えば変位特性をN次関数で補正し、所望の変位に対す
る印加電圧を決め、圧電素子の駆動を行う方式である。
しかしながら、この方式は、圧電素子のドリフトや圧電
素子間のばらつき等の影響で高精度化することは難し
く、補正の精度は5%程度である。
して、圧電素子の変位特性を予め測定しておき、当該測
定で得たデータを用いて実際の測定を行う時にソフトウ
ェアによる補正処理で補正する方法が試みられている。
例えば変位特性をN次関数で補正し、所望の変位に対す
る印加電圧を決め、圧電素子の駆動を行う方式である。
しかしながら、この方式は、圧電素子のドリフトや圧電
素子間のばらつき等の影響で高精度化することは難し
く、補正の精度は5%程度である。
【0007】そこで、図14に示すように、XYZ微動
機構11におけるX軸方向とY軸方向の各変位を直接に
測定して実際の変位量を得ることにより、実際の変位量
が所望の変位量になるように変位補正を行う方式が検討
される。このことは、例えば1993年度精密工学会春
季大会学術講演会講演論文集第879頁、第880頁に
記載される。
機構11におけるX軸方向とY軸方向の各変位を直接に
測定して実際の変位量を得ることにより、実際の変位量
が所望の変位量になるように変位補正を行う方式が検討
される。このことは、例えば1993年度精密工学会春
季大会学術講演会講演論文集第879頁、第880頁に
記載される。
【0008】図14によって、XYZ微動機構11のX
軸圧電素子とY軸圧電素子のそれぞれに変位計を付設
し、フィードバック制御を行うように構成される原子間
力顕微鏡の構成を示す。図14において図11で説明し
た要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付す。Z
指令値発生器31は、カンチレバー13のたわみ角(押
付け力)に対応する電圧信号Vrを出力する。加算器3
2は、Z指令値発生器31から出力される指令値Vr
と、光検出器17の出力信号を所要レベルまで増幅する
増幅器33からの出力信号Vpとの差を演算し、その差
に関する信号を制御器34に入力する。制御器34は、
比例、積分等の補償処理を行い、増幅器35を介してX
YZ微動機構11のZ方向の圧電素子に駆動電圧Vzを
与える。カンチレバー13で発生するたわみ角はレーザ
光16を利用した光てこ方式で検出され、光検出器17
の検出信号は前述の通り増幅器33を経由して加算器3
2に入力される。以上のフィードバック制御において、
カンチレバー13のたわみ角が一定に保持され、その結
果得られるZ方向駆動電圧Vzが表示演算部36に入力
される。この方式は、従来より一般的に用いられる方式
であり、Z軸方向の変位補正は行われない。
軸圧電素子とY軸圧電素子のそれぞれに変位計を付設
し、フィードバック制御を行うように構成される原子間
力顕微鏡の構成を示す。図14において図11で説明し
た要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付す。Z
指令値発生器31は、カンチレバー13のたわみ角(押
付け力)に対応する電圧信号Vrを出力する。加算器3
2は、Z指令値発生器31から出力される指令値Vr
と、光検出器17の出力信号を所要レベルまで増幅する
増幅器33からの出力信号Vpとの差を演算し、その差
に関する信号を制御器34に入力する。制御器34は、
比例、積分等の補償処理を行い、増幅器35を介してX
YZ微動機構11のZ方向の圧電素子に駆動電圧Vzを
与える。カンチレバー13で発生するたわみ角はレーザ
光16を利用した光てこ方式で検出され、光検出器17
の検出信号は前述の通り増幅器33を経由して加算器3
2に入力される。以上のフィードバック制御において、
カンチレバー13のたわみ角が一定に保持され、その結
果得られるZ方向駆動電圧Vzが表示演算部36に入力
される。この方式は、従来より一般的に用いられる方式
であり、Z軸方向の変位補正は行われない。
【0009】一方、X軸方向およびY軸方向の走査に関
しては、XY指令値発生器37によってVrx,Vryが出
力され、それぞれ加算器38,39に入力される。また
XYZ微動機構11には、X軸方向とY軸方向の各変位
量を検出する変位計が内蔵され、各変位計の出力値U
x,Uyがフィードバックされ、加算器38,39に入
力される。加算器38,39のそれぞれから出力される
2つの入力信号の偏差に関する出力信号は、制御器40
に入力され、制御信号として増幅器41,42を経由し
てXYZ微動機構11のX軸圧電素子とY軸圧電素子に
X方向駆動電圧VxとY方向駆動電圧Vyを与える。ま
たXY指令値発生器37から出力されるVrx,Vryは、
表示演算部36に入力される。この方式によれば、X軸
とY軸に関する変位計の精度でXYZ微動機構11のX
Y方向への移動を行うので、XYZ微動機構11に含ま
れる圧電駆動部として圧電素子の持つヒシテリシス、ド
リフト、非線形性を比較的に容易に補償することができ
る。表示演算部36は、前述の通りX方向およびY方向
の指令値Vrx,VryとZ方向の駆動電圧Vzを入力し、
これらの入力信号を処理し、表示部43において、X,
Yの変位特性を補正した形で、測定した試料表面の凹凸
形状を正確に表示する。
しては、XY指令値発生器37によってVrx,Vryが出
力され、それぞれ加算器38,39に入力される。また
XYZ微動機構11には、X軸方向とY軸方向の各変位
量を検出する変位計が内蔵され、各変位計の出力値U
x,Uyがフィードバックされ、加算器38,39に入
力される。加算器38,39のそれぞれから出力される
2つの入力信号の偏差に関する出力信号は、制御器40
に入力され、制御信号として増幅器41,42を経由し
てXYZ微動機構11のX軸圧電素子とY軸圧電素子に
X方向駆動電圧VxとY方向駆動電圧Vyを与える。ま
たXY指令値発生器37から出力されるVrx,Vryは、
表示演算部36に入力される。この方式によれば、X軸
とY軸に関する変位計の精度でXYZ微動機構11のX
Y方向への移動を行うので、XYZ微動機構11に含ま
れる圧電駆動部として圧電素子の持つヒシテリシス、ド
リフト、非線形性を比較的に容易に補償することができ
る。表示演算部36は、前述の通りX方向およびY方向
の指令値Vrx,VryとZ方向の駆動電圧Vzを入力し、
これらの入力信号を処理し、表示部43において、X,
Yの変位特性を補正した形で、測定した試料表面の凹凸
形状を正確に表示する。
【0010】図14に示した原子間力顕微鏡の測定方式
では、X軸方向とY軸方向の変位計の精度が理想状態で
あるときに、有効な測定として成立する。変位計として
は例えば前述の文献では光学式の変位計が使用され、そ
の他に静電容量型の変位計が使用される。
では、X軸方向とY軸方向の変位計の精度が理想状態で
あるときに、有効な測定として成立する。変位計として
は例えば前述の文献では光学式の変位計が使用され、そ
の他に静電容量型の変位計が使用される。
【0011】原子間力顕微鏡の測定における精度の高さ
は、駆動部として使用される圧電素子の分解能が高いこ
とによって得られるものであるが、上記の方式のごとく
変位計を利用したフィードバック制御を行う場合には、
変位計の分解能が圧電素子の分解能よりも低く、変位計
の分解能付近での微振動が避けられないので、結果的に
原子間力顕微鏡の測定精度を低下させる。例えば、分解
能が1nmの変位計を使用したとしても、圧電素子の分
解能はそれ以下であるので、変位計によるフィードバッ
ク制御の結果、原子間力顕微鏡の分解能を下げることに
なる。
は、駆動部として使用される圧電素子の分解能が高いこ
とによって得られるものであるが、上記の方式のごとく
変位計を利用したフィードバック制御を行う場合には、
変位計の分解能が圧電素子の分解能よりも低く、変位計
の分解能付近での微振動が避けられないので、結果的に
原子間力顕微鏡の測定精度を低下させる。例えば、分解
能が1nmの変位計を使用したとしても、圧電素子の分
解能はそれ以下であるので、変位計によるフィードバッ
ク制御の結果、原子間力顕微鏡の分解能を下げることに
なる。
【0012】また上記の原子間力顕微鏡においてZ軸方
向の変位補正に関して変位計を用いることは、前述した
XおよびYの各軸方向に変位計を用いた場合と同様な問
題を提起し、測定装置の持つ本来の分解能を低下させる
という問題を生じる。
向の変位補正に関して変位計を用いることは、前述した
XおよびYの各軸方向に変位計を用いた場合と同様な問
題を提起し、測定装置の持つ本来の分解能を低下させる
という問題を生じる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】変位計を用いたフィー
ドバック制御でXYZ微動機構の変位制御を行うように
構成された原子間力顕微鏡では、変位計の分解能がXY
Z微動機構を構成する圧電素子の分解能よりも低いこと
から、前述の通り、原子間力顕微鏡の分解能を低下させ
るという問題を生じる。かかる問題は、原子間力顕微鏡
だけの問題ではなく、走査型プローブ顕微鏡一般に生じ
る問題である。
ドバック制御でXYZ微動機構の変位制御を行うように
構成された原子間力顕微鏡では、変位計の分解能がXY
Z微動機構を構成する圧電素子の分解能よりも低いこと
から、前述の通り、原子間力顕微鏡の分解能を低下させ
るという問題を生じる。かかる問題は、原子間力顕微鏡
だけの問題ではなく、走査型プローブ顕微鏡一般に生じ
る問題である。
【0014】本発明の目的は、上記問題を解決するた
め、条件に応じて圧電素子の非線形性を変位計を用いて
補償することにより、測定分解能を高く保持できる走査
型プローブ顕微鏡を提供することにある。
め、条件に応じて圧電素子の非線形性を変位計を用いて
補償することにより、測定分解能を高く保持できる走査
型プローブ顕微鏡を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る走査型プロ
ーブ顕微鏡は、上記目的を達成するため、試料に対向す
る探針を先部に備えるカンチレバーと、試料と探針との
相対的位置をX軸、Y軸、Z軸の各方向に変化させるX
YZ微動機構と、試料と探針の間の物理量に起因して生
じるカンチレバーの変位量を検出する変位検出装置と、
探針による試料の走査を行うと共にカンチレバーの変位
量が設定値に保持されるようにXYZ微動機構の動作を
制御する制御手段と、制御手段から出力される制御指令
値に基づいて試料の表面の物理情報を生成する表示演算
手段とを備え、さらにXYZ微動機構に含まれる少なく
ともX軸、Y軸の各方向の圧電素子によって生じる変位
を測定する変位計と、走査時に変位計で測定された測定
値を記憶する記憶手段と、走査終了後に記憶手段に記憶
された測定値を用いて表面の物理情報を作成する手段と
を備える。
ーブ顕微鏡は、上記目的を達成するため、試料に対向す
る探針を先部に備えるカンチレバーと、試料と探針との
相対的位置をX軸、Y軸、Z軸の各方向に変化させるX
YZ微動機構と、試料と探針の間の物理量に起因して生
じるカンチレバーの変位量を検出する変位検出装置と、
探針による試料の走査を行うと共にカンチレバーの変位
量が設定値に保持されるようにXYZ微動機構の動作を
制御する制御手段と、制御手段から出力される制御指令
値に基づいて試料の表面の物理情報を生成する表示演算
手段とを備え、さらにXYZ微動機構に含まれる少なく
ともX軸、Y軸の各方向の圧電素子によって生じる変位
を測定する変位計と、走査時に変位計で測定された測定
値を記憶する記憶手段と、走査終了後に記憶手段に記憶
された測定値を用いて表面の物理情報を作成する手段と
を備える。
【0016】さらに変位計の分解能と試料で設定された
走査範囲における走査精度を比較する比較手段を含み、
この比較手段によって変位計の分解能が走査精度よりも
微細であると判定されたとき、変位計で得られた測定値
を用いて表面の物理情報を作成する。また、比較手段に
よって走査精度が分解能よりも微細であると判定された
ときには、制御手段から出力される制御指令値に基づい
て表面の物理情報を作成する。
走査範囲における走査精度を比較する比較手段を含み、
この比較手段によって変位計の分解能が走査精度よりも
微細であると判定されたとき、変位計で得られた測定値
を用いて表面の物理情報を作成する。また、比較手段に
よって走査精度が分解能よりも微細であると判定された
ときには、制御手段から出力される制御指令値に基づい
て表面の物理情報を作成する。
【0017】試料の走査範囲においてN×N個の測定点
を設定し、各測定点で測定した測定値を記憶手段に記憶
することが好ましい。
を設定し、各測定点で測定した測定値を記憶手段に記憶
することが好ましい。
【0018】また、試料の走査範囲においてN×N個の
測定点を設定し、周辺部の各測定点で測定した測定値を
記憶手段に記憶することもできる。周辺部の各測定点は
端部の測定点であることが好ましい。
測定点を設定し、周辺部の各測定点で測定した測定値を
記憶手段に記憶することもできる。周辺部の各測定点は
端部の測定点であることが好ましい。
【0019】また、走査範囲で任意に設定された線分の
Z軸断面情報を得る場合に、X軸とY軸の各圧電素子に
付設された変位計の出力値を用いて断面情報を生成し、
表示を行う。
Z軸断面情報を得る場合に、X軸とY軸の各圧電素子に
付設された変位計の出力値を用いて断面情報を生成し、
表示を行う。
【0020】測定対象である走査範囲に探針を移動させ
るとき、変位計の出力値を用いて移動を行うように構成
することもできる。
るとき、変位計の出力値を用いて移動を行うように構成
することもできる。
【0021】XYZ微動機構はカンチレバーを取り付け
るZ微動機構と試料を載置するXY微動機構とで分離し
て構成され、各微動機構は圧電素子を含む平板状弾性機
構で形成され、変位計は歪みゲージであることが好まし
い。
るZ微動機構と試料を載置するXY微動機構とで分離し
て構成され、各微動機構は圧電素子を含む平板状弾性機
構で形成され、変位計は歪みゲージであることが好まし
い。
【0022】XYZ微動機構はカンチレバーを取り付け
るZ微動機構と試料を載置するXY微動機構で分離して
構成され、各微動機構は圧電素子を含む平板状弾性機構
で形成され、Z微動機構の変位計は歪みゲージであり、
XY微動機構はXYステージ上に配置され、XY微動機
構の変位計はXY微動機構の変位とXYステージの変位
を加算した値を測定する変位計であることが好ましい。
るZ微動機構と試料を載置するXY微動機構で分離して
構成され、各微動機構は圧電素子を含む平板状弾性機構
で形成され、Z微動機構の変位計は歪みゲージであり、
XY微動機構はXYステージ上に配置され、XY微動機
構の変位計はXY微動機構の変位とXYステージの変位
を加算した値を測定する変位計であることが好ましい。
【0023】
【作用】本発明では、探針と試料の間の距離や位置関係
を変更するXYZ微動機構内のX軸、Y軸、Z軸の各方
向の駆動用圧電素子、望ましくはX軸、Y軸の各方向の
駆動用圧電素子に対し変位計を付設し、各圧電素子に制
御用の指令電圧を与え各圧電素子の有する電圧・変位特
性に基づいてXYZ微動機構による測定動作を行うと共
に、上記変位計によって各圧電素子の実際の移動量すな
わち変位量を測定する。XYZ微動機構の各圧電素子に
対し与えられる指令値および各変位計から出力される変
位信号は表示演算部に入力される。走査範囲で設定され
たすべての測定点のそれぞれで指令値と変位信号が得ら
れ、それらは表示演算部内の記憶手段に保存される。測
定後に表示を行うための形状データが生成される。試料
表面で観察対象として設定された走査範囲における走査
精度が変位計の分解能よりも微細であるときには従来の
測定と同様に各圧電素子に対する指令値を用いて物理デ
ータが作成される。変位計の分解能が上記走査精度より
も微細であるときにはには、変位計の変位信号を用いて
補正が行われた物理データが生成される。本発明では、
従来のごとく、この変位計から出力される変位信号を指
令値の側にフィードバックすることはない。
を変更するXYZ微動機構内のX軸、Y軸、Z軸の各方
向の駆動用圧電素子、望ましくはX軸、Y軸の各方向の
駆動用圧電素子に対し変位計を付設し、各圧電素子に制
御用の指令電圧を与え各圧電素子の有する電圧・変位特
性に基づいてXYZ微動機構による測定動作を行うと共
に、上記変位計によって各圧電素子の実際の移動量すな
わち変位量を測定する。XYZ微動機構の各圧電素子に
対し与えられる指令値および各変位計から出力される変
位信号は表示演算部に入力される。走査範囲で設定され
たすべての測定点のそれぞれで指令値と変位信号が得ら
れ、それらは表示演算部内の記憶手段に保存される。測
定後に表示を行うための形状データが生成される。試料
表面で観察対象として設定された走査範囲における走査
精度が変位計の分解能よりも微細であるときには従来の
測定と同様に各圧電素子に対する指令値を用いて物理デ
ータが作成される。変位計の分解能が上記走査精度より
も微細であるときにはには、変位計の変位信号を用いて
補正が行われた物理データが生成される。本発明では、
従来のごとく、この変位計から出力される変位信号を指
令値の側にフィードバックすることはない。
【0024】XYZ微動機構の測定動作時における例え
ばZ軸圧電素子の動作制御について述べる。Z軸圧電素
子の動作制御は、電圧・変位特性に基づく通常の制御が
行われ、Z軸圧電素子の印加電圧が試料の物理情報とし
て記憶される。同時にZ軸圧電素子の付設された変位計
の出力信号(変位信号)も記憶される。試料の表面の凹
凸が大きく、Z軸圧電素子の移動量、すなわちZ軸圧電
素子の印加電圧の変動が変位計の分解能よりも大きいと
きには、物理情報表示を行う時には変位計の出力値に基
づいて補正が行われる。これによりZ軸圧電素子の非線
形性の補正を行うことができる。一方、試料の表面の凹
凸が小さく、圧電素子の印加電圧の変動が変位計の分解
能よりも小さいときには、Z軸圧電素子の電圧・変位特
性に基づいて物理情報を作成し表示する。この場合に
は、圧電素子の非線形性の補正が行われないが、微小領
域においては圧電素子の非線形性を無視できるほど小さ
いので実用上問題にならない。
ばZ軸圧電素子の動作制御について述べる。Z軸圧電素
子の動作制御は、電圧・変位特性に基づく通常の制御が
行われ、Z軸圧電素子の印加電圧が試料の物理情報とし
て記憶される。同時にZ軸圧電素子の付設された変位計
の出力信号(変位信号)も記憶される。試料の表面の凹
凸が大きく、Z軸圧電素子の移動量、すなわちZ軸圧電
素子の印加電圧の変動が変位計の分解能よりも大きいと
きには、物理情報表示を行う時には変位計の出力値に基
づいて補正が行われる。これによりZ軸圧電素子の非線
形性の補正を行うことができる。一方、試料の表面の凹
凸が小さく、圧電素子の印加電圧の変動が変位計の分解
能よりも小さいときには、Z軸圧電素子の電圧・変位特
性に基づいて物理情報を作成し表示する。この場合に
は、圧電素子の非線形性の補正が行われないが、微小領
域においては圧電素子の非線形性を無視できるほど小さ
いので実用上問題にならない。
【0025】XYZ微動機構に含まれるX軸方向および
Y軸方向の圧電素子についても、上記のZ軸圧電素子の
場合と基本的に同じである。
Y軸方向の圧電素子についても、上記のZ軸圧電素子の
場合と基本的に同じである。
【0026】
【実施例】以下に、本発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。
て説明する。
【0027】図1は本発明に係る走査型プローブ顕微鏡
の代表的実施例を示し、この実施例では原子間力顕微鏡
の例について説明する。なお図1において、図14の構
成で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号
を付している。
の代表的実施例を示し、この実施例では原子間力顕微鏡
の例について説明する。なお図1において、図14の構
成で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号
を付している。
【0028】XYZ微動機構11の上には試料12が載
置され、試料12の観察すべき表面に探針14が対向す
るような状態で、当該探針14を先端部に備えたカンチ
レバー13が固定される。かかるカンチレバー13に対
してその上方位置に光てこ検出方式の位置検出装置を構
成するレーザ光源15と光検出器17が所定の配置関係
にて配置される。レーザ光源15からカンチレバー13
に対して出射されたレーザ光16は、カンチレバー13
の背面で反射され、光検出器17に入射される。XYZ
微動機構11には、その内部に直交するX軸、Y軸、Z
軸の各方向に試料12を微小に移動させるための3つの
駆動用圧電素子を含み、かつこれらの圧電素子のそれぞ
れまたは好ましくは少なくともX軸,Y軸の圧電素子に
動作時の動作量(変位量)を測定するための変位計が設
けられる。変位計には光学的なもの、静電量的なもの等
の任意な構成が採用される。XYZ微動機構11の各変
位計からは変位信号Ux,Uy,Uzが出力され、これ
らの変位信号は表示演算部36に直接に入力され、表示
演算部36内の記憶部36aに記憶される。本実施例の
場合には、X方向とY方向の各圧電素子に付設した変位
計に加えて、Z方向の圧電素子に対しても変位計を付設
し、その変位信号Uzを得るようにしている。なお、ど
の圧電素子に変位計を付設するかということは任意に選
択することができる。
置され、試料12の観察すべき表面に探針14が対向す
るような状態で、当該探針14を先端部に備えたカンチ
レバー13が固定される。かかるカンチレバー13に対
してその上方位置に光てこ検出方式の位置検出装置を構
成するレーザ光源15と光検出器17が所定の配置関係
にて配置される。レーザ光源15からカンチレバー13
に対して出射されたレーザ光16は、カンチレバー13
の背面で反射され、光検出器17に入射される。XYZ
微動機構11には、その内部に直交するX軸、Y軸、Z
軸の各方向に試料12を微小に移動させるための3つの
駆動用圧電素子を含み、かつこれらの圧電素子のそれぞ
れまたは好ましくは少なくともX軸,Y軸の圧電素子に
動作時の動作量(変位量)を測定するための変位計が設
けられる。変位計には光学的なもの、静電量的なもの等
の任意な構成が採用される。XYZ微動機構11の各変
位計からは変位信号Ux,Uy,Uzが出力され、これ
らの変位信号は表示演算部36に直接に入力され、表示
演算部36内の記憶部36aに記憶される。本実施例の
場合には、X方向とY方向の各圧電素子に付設した変位
計に加えて、Z方向の圧電素子に対しても変位計を付設
し、その変位信号Uzを得るようにしている。なお、ど
の圧電素子に変位計を付設するかということは任意に選
択することができる。
【0029】光検出器17、増幅器33、Z指令値発生
器31、加算器32、制御器34、増幅器35の構成お
よび作用は、図14で説明した場合と同じである。Z指
令値発生器31で与えられる制御対象のたわみ角に相当
する指令電圧値Vrは、加算器32で、実際に測定され
た実際のたわみ角(Vp)との差を求め、この差信号に
基づいて駆動信号Vzを生成し、これによって、設定さ
れたたわみ角になるように探針14とカンチレバー13
との距離が所定値に制御される。
器31、加算器32、制御器34、増幅器35の構成お
よび作用は、図14で説明した場合と同じである。Z指
令値発生器31で与えられる制御対象のたわみ角に相当
する指令電圧値Vrは、加算器32で、実際に測定され
た実際のたわみ角(Vp)との差を求め、この差信号に
基づいて駆動信号Vzを生成し、これによって、設定さ
れたたわみ角になるように探針14とカンチレバー13
との距離が所定値に制御される。
【0030】51はXY指令値発生器であり、このXY
指令値発生器51は、試料12の観察表面に設定された
走査範囲を走査動作させるための指令値としての電圧値
Vrx,Vryを出力し、これらの電圧値Vrx,Vryは直接
的に増幅器41,42を経由してXYZ微動機構11内
のX方向とY方向の各駆動用圧電素子に駆動信号Vx,
Vyとして与えられる。XY指令値発生器51は、図1
4で説明した従来の原子間力顕微鏡のXY指令値発生器
37の構成と基本的に同じである。しかしながら、構成
上指令電圧値Vrx,Vryと対応する変位計から出力され
る変位信号Ux,Uyとの偏差をとるようにフィードバ
ックされる構成を有していない点が相違する。
指令値発生器51は、試料12の観察表面に設定された
走査範囲を走査動作させるための指令値としての電圧値
Vrx,Vryを出力し、これらの電圧値Vrx,Vryは直接
的に増幅器41,42を経由してXYZ微動機構11内
のX方向とY方向の各駆動用圧電素子に駆動信号Vx,
Vyとして与えられる。XY指令値発生器51は、図1
4で説明した従来の原子間力顕微鏡のXY指令値発生器
37の構成と基本的に同じである。しかしながら、構成
上指令電圧値Vrx,Vryと対応する変位計から出力され
る変位信号Ux,Uyとの偏差をとるようにフィードバ
ックされる構成を有していない点が相違する。
【0031】またXY指令値発生器には、前述した通り
(前記段落0006)、制御対象である圧電素子の非線
形性を初期段階すなわち変位指令値としての電圧値Vr
x,Vryの段階でソフトウェア的に補正するための補正
手段を設けることもできる。そこで、本実施例によるX
Y指令値発生器51は、かかる補正手段としてソフト補
正器52を内蔵している。この点で、XY指令値発生器
51はXY指令値発生器37とは異なっている。従っ
て、XY指令値発生器51から出力される電圧値Vrx,
Vryは、対応する圧電素子の非線形性をソフトウェア的
に補正した結果得られた指令値である。これによって歪
みが大幅に改善される。またXY指令値発生器51で
は、ソフト補正器52で得られた指令電圧値に対応する
予定される指令変位Ux′,Uy′が求められる。この
指令変位Ux′,Uy′は表示演算部36に供給され
る。
(前記段落0006)、制御対象である圧電素子の非線
形性を初期段階すなわち変位指令値としての電圧値Vr
x,Vryの段階でソフトウェア的に補正するための補正
手段を設けることもできる。そこで、本実施例によるX
Y指令値発生器51は、かかる補正手段としてソフト補
正器52を内蔵している。この点で、XY指令値発生器
51はXY指令値発生器37とは異なっている。従っ
て、XY指令値発生器51から出力される電圧値Vrx,
Vryは、対応する圧電素子の非線形性をソフトウェア的
に補正した結果得られた指令値である。これによって歪
みが大幅に改善される。またXY指令値発生器51で
は、ソフト補正器52で得られた指令電圧値に対応する
予定される指令変位Ux′,Uy′が求められる。この
指令変位Ux′,Uy′は表示演算部36に供給され
る。
【0032】表示演算部36には、既に述べた通りXY
Z微動機構11内の各変位計から変位信号Ux,Uy,
Uzが入力されると共に、駆動信号Vzと指令変位U
x′,Uy′が入力される。これらの信号または値は、
走査範囲の各データ取得点ごとに表示演算部36に入力
され、その記憶部36aに記憶される。なお変位計から
の変位信号Ux,Uyは従来のごとく走査のための指令
値Vrx,Vryに対してフィードバックされない。また走
査のための指令電圧値Vrx,Vryを表示演算部36に直
接に入力するように構成することもできる。表示演算部
36は、測定終了後、後述するごとく比較手段の比較結
果に基づいて、その記憶部36aに記憶された測定値等
を用いて測定対象物の凹凸形状の表示データを作成す
る。
Z微動機構11内の各変位計から変位信号Ux,Uy,
Uzが入力されると共に、駆動信号Vzと指令変位U
x′,Uy′が入力される。これらの信号または値は、
走査範囲の各データ取得点ごとに表示演算部36に入力
され、その記憶部36aに記憶される。なお変位計から
の変位信号Ux,Uyは従来のごとく走査のための指令
値Vrx,Vryに対してフィードバックされない。また走
査のための指令電圧値Vrx,Vryを表示演算部36に直
接に入力するように構成することもできる。表示演算部
36は、測定終了後、後述するごとく比較手段の比較結
果に基づいて、その記憶部36aに記憶された測定値等
を用いて測定対象物の凹凸形状の表示データを作成す
る。
【0033】次に、図2に示すフローチャートと上記図
1および図3〜図5とを参照して、本実施例による原子
間力顕微鏡の測定の動作を説明する。
1および図3〜図5とを参照して、本実施例による原子
間力顕微鏡の測定の動作を説明する。
【0034】今仮に、試料12の表面において観察しよ
うとする領域を図3を示すような矩形領域に設定する。
この矩形領域は走査範囲53であり、走査範囲53は、
XY指令値発生器51から出力される指令値Vrx,Vry
を決定することにより設定される(ステップS11,S
12)。試料表面上の走査範囲53は、データ取得点
(測定点)に基づいて考えると、図3に示すごとくN×
N個の測定点からなるものとしてその領域を分けること
ができ、N×N個の各点でデータを取得するように測定
が行われる。走査範囲53におけるN×N個のデータ取
得点は走査移動によって所定順序で順次に走査される。
すなわち、XY指令値発生器51から出力される指令値
Vrx,Vryによってデータ取得点P(i,j)が順次に
確定され、XYZ微動機構11のX軸圧電素子とY軸圧
電素子の動作によってXYの各方向に関し走査が行われ
る(ステップS12〜S16)。判断ステップS16で
は、走査範囲53における走査がすべて終了したか否か
が判定される。この構成例では、試料12が移動するこ
とによって探針14による試料表面の走査が相対的に行
われる。XY指令値発生器51から出力される指令値V
rx,Vryは、基本的には、XYZ微動機構11に内蔵さ
れる駆動用圧電素子の非線形性とは関係なく出力され
る。ただし本実施例の場合には、前述のごとく、十分で
はないが、ソフト補正器52によって当該非線形性を補
正しており、大幅な歪みをなくすようにしている。デー
タ取得点での測定を順次に行っていきながら、走査範囲
53におけるN×N個のデータ取得点ごとに、表示演算
部36には駆動信号Vzと変位信号Ux,Uy,Uzが
入力され、記憶部36aに記憶される。また前述の通
り、本実施例では、走査範囲53におけるN×N個のデ
ータ取得点ごとに、XY指令値発生器51から指令変位
Ux′,Uy′が表示演算部36に入力され、記憶部3
6aに記憶される。
うとする領域を図3を示すような矩形領域に設定する。
この矩形領域は走査範囲53であり、走査範囲53は、
XY指令値発生器51から出力される指令値Vrx,Vry
を決定することにより設定される(ステップS11,S
12)。試料表面上の走査範囲53は、データ取得点
(測定点)に基づいて考えると、図3に示すごとくN×
N個の測定点からなるものとしてその領域を分けること
ができ、N×N個の各点でデータを取得するように測定
が行われる。走査範囲53におけるN×N個のデータ取
得点は走査移動によって所定順序で順次に走査される。
すなわち、XY指令値発生器51から出力される指令値
Vrx,Vryによってデータ取得点P(i,j)が順次に
確定され、XYZ微動機構11のX軸圧電素子とY軸圧
電素子の動作によってXYの各方向に関し走査が行われ
る(ステップS12〜S16)。判断ステップS16で
は、走査範囲53における走査がすべて終了したか否か
が判定される。この構成例では、試料12が移動するこ
とによって探針14による試料表面の走査が相対的に行
われる。XY指令値発生器51から出力される指令値V
rx,Vryは、基本的には、XYZ微動機構11に内蔵さ
れる駆動用圧電素子の非線形性とは関係なく出力され
る。ただし本実施例の場合には、前述のごとく、十分で
はないが、ソフト補正器52によって当該非線形性を補
正しており、大幅な歪みをなくすようにしている。デー
タ取得点での測定を順次に行っていきながら、走査範囲
53におけるN×N個のデータ取得点ごとに、表示演算
部36には駆動信号Vzと変位信号Ux,Uy,Uzが
入力され、記憶部36aに記憶される。また前述の通
り、本実施例では、走査範囲53におけるN×N個のデ
ータ取得点ごとに、XY指令値発生器51から指令変位
Ux′,Uy′が表示演算部36に入力され、記憶部3
6aに記憶される。
【0035】上記において駆動信号Vzは試料12の表
面における探針14の高さ方向(探針試料間距離)を制
御するための制御量に関する信号であり、駆動信号Vz
によって走査範囲53の表面凹凸形状の情報を得ること
ができる。また変位信号Uzに基づいても、駆動信号V
zと同様に走査範囲53の表面凹凸形状の情報を得るこ
とができる。
面における探針14の高さ方向(探針試料間距離)を制
御するための制御量に関する信号であり、駆動信号Vz
によって走査範囲53の表面凹凸形状の情報を得ること
ができる。また変位信号Uzに基づいても、駆動信号V
zと同様に走査範囲53の表面凹凸形状の情報を得るこ
とができる。
【0036】走査範囲53におけるすべてのデータ取得
点で測定が終了すると、判断ステップ17が実行され
る。この判断ステップ17では、XYZ微動機構11に
設置された変位計の分解能をチェックするもので、変位
計の分解能と走査範囲を数値Mで割った値との大小関係
が比較される。ここでMは10程度の数値である。この
比較は、変位計の分解能と走査精度すなわち走査ピッチ
の大小関係に関するものである。この比較処理は、表示
演算部36内の前述の比較手段によって実行される。
点で測定が終了すると、判断ステップ17が実行され
る。この判断ステップ17では、XYZ微動機構11に
設置された変位計の分解能をチェックするもので、変位
計の分解能と走査範囲を数値Mで割った値との大小関係
が比較される。ここでMは10程度の数値である。この
比較は、変位計の分解能と走査精度すなわち走査ピッチ
の大小関係に関するものである。この比較処理は、表示
演算部36内の前述の比較手段によって実行される。
【0037】上記比較処理の内容について具体例を述べ
る。原子の表面を測定する場合に、例えばXY走査範囲
である矩形領域53の一辺の長さを2nmとし、1辺に
ついてN=100であるとする。このような寸法および
データ取得点数では、走査ピッチは2nm/100=
0.02nmとなる。このような微小量を正確に測定で
きる変位計を設けることは極めて難しい。このような場
合には判断ステップS17ではNOと判定され、ステッ
プS18で変位計分解能不足用の処理が実行される。つ
まり、変位計の分解能より小さな領域を走査し測定を行
う場合には、変位計の変位信号を使用すると原子間力顕
微鏡の分解能を低下させるので、これらの変位信号を使
用することなく、記憶部36aに記憶された指令変位に
係る指令値Ux′,Uy′,Vzを用いることによって
試料表面の凹凸形状の表示データを作成し、表示部43
で表示を行う。図13で示したヒシテリシス特性でも明
らかなように、圧電素子の移動量が小さいのであれば、
その非線形量も小さくなるので、実用性は高いものであ
る。
る。原子の表面を測定する場合に、例えばXY走査範囲
である矩形領域53の一辺の長さを2nmとし、1辺に
ついてN=100であるとする。このような寸法および
データ取得点数では、走査ピッチは2nm/100=
0.02nmとなる。このような微小量を正確に測定で
きる変位計を設けることは極めて難しい。このような場
合には判断ステップS17ではNOと判定され、ステッ
プS18で変位計分解能不足用の処理が実行される。つ
まり、変位計の分解能より小さな領域を走査し測定を行
う場合には、変位計の変位信号を使用すると原子間力顕
微鏡の分解能を低下させるので、これらの変位信号を使
用することなく、記憶部36aに記憶された指令変位に
係る指令値Ux′,Uy′,Vzを用いることによって
試料表面の凹凸形状の表示データを作成し、表示部43
で表示を行う。図13で示したヒシテリシス特性でも明
らかなように、圧電素子の移動量が小さいのであれば、
その非線形量も小さくなるので、実用性は高いものであ
る。
【0038】次に判断ステップS17でYESと判定さ
れた場合、すなわち、変位計の分解能が走査精度よりも
微細であると判定された場合には、処理ステップS19
が実行される。この処理ステップS19では、記憶部3
6aに記憶された変位計の変位信号を用いて表示データ
作成の信号処理、および表示部43における表示が行わ
れる。この信号処理において、変位データの処理に当た
っては、例えば最小二乗近似等の手法を用いて表示デー
タを作成する。
れた場合、すなわち、変位計の分解能が走査精度よりも
微細であると判定された場合には、処理ステップS19
が実行される。この処理ステップS19では、記憶部3
6aに記憶された変位計の変位信号を用いて表示データ
作成の信号処理、および表示部43における表示が行わ
れる。この信号処理において、変位データの処理に当た
っては、例えば最小二乗近似等の手法を用いて表示デー
タを作成する。
【0039】図4の(a),(b)は測定に基づく表示
例をイメージ的に示したものである。試料12の表面の
走査範囲53に格子状の直交パターンが刻まれており、
かかる直交パターンの測定・表示を行った場合であっ
て、かつ変位計の分解能が走査精度よりも微細である
(判断ステップS17でYES)とするとき、XY指令
値発生器51から与えられる指令変位Ux′,Uy′に
基づく表示結果を示すと、図4の(a)にようになる。
この場合には、ソフト補正器52によって初期段階にお
ける補正が施されているけれども、十分に補正できず、
本来の直交パターンが圧電素子の非線形性のために歪ん
で表示される。これに対して、XYZ微動機構11内の
変位計から与えられる変位信号Ux,Uyに基づく表示
結果を示すと、図4の(b)のようになる。図4の
(b)によれば、像の外郭形状は歪んで見えるが、本来
の直交パターンに関しては変位計の分解能に基づいて正
確に測定されたことが判明する。
例をイメージ的に示したものである。試料12の表面の
走査範囲53に格子状の直交パターンが刻まれており、
かかる直交パターンの測定・表示を行った場合であっ
て、かつ変位計の分解能が走査精度よりも微細である
(判断ステップS17でYES)とするとき、XY指令
値発生器51から与えられる指令変位Ux′,Uy′に
基づく表示結果を示すと、図4の(a)にようになる。
この場合には、ソフト補正器52によって初期段階にお
ける補正が施されているけれども、十分に補正できず、
本来の直交パターンが圧電素子の非線形性のために歪ん
で表示される。これに対して、XYZ微動機構11内の
変位計から与えられる変位信号Ux,Uyに基づく表示
結果を示すと、図4の(b)のようになる。図4の
(b)によれば、像の外郭形状は歪んで見えるが、本来
の直交パターンに関しては変位計の分解能に基づいて正
確に測定されたことが判明する。
【0040】次に、走査範囲53におけるデータ取得点
の設定の仕方としては、いくつかの方式を考えることが
できる。例えば図5の(a)では走査範囲53における
X軸方向の両側周辺についてのみ変位信号Ux,Uyを
検出する方式を示す。図3で示したデータ取得点(N×
N)に比較してデータ数を少なくすることができる。ま
た図5の(b)では走査範囲53の4隅の端部箇所につ
いてのみ変位信号Ux,Uyを検出する方式を示す。こ
れらの方式では、走査範囲53の中央部分のデータ未取
得領域の変位値を直線近似等によって導出するようにす
る。従って、従来のごとく補正を行わない方式の原子間
力顕微鏡に比較して、測定精度を向上できる。
の設定の仕方としては、いくつかの方式を考えることが
できる。例えば図5の(a)では走査範囲53における
X軸方向の両側周辺についてのみ変位信号Ux,Uyを
検出する方式を示す。図3で示したデータ取得点(N×
N)に比較してデータ数を少なくすることができる。ま
た図5の(b)では走査範囲53の4隅の端部箇所につ
いてのみ変位信号Ux,Uyを検出する方式を示す。こ
れらの方式では、走査範囲53の中央部分のデータ未取
得領域の変位値を直線近似等によって導出するようにす
る。従って、従来のごとく補正を行わない方式の原子間
力顕微鏡に比較して、測定精度を向上できる。
【0041】図4の測定・表示例ではX軸方向およびY
軸方向の補正に関して説明したが、Z軸方向の非線形性
に関する補正についても同じように行われる。すなわ
ち、走査精度に比較して変位計の分解能が不足している
ときには、変位計から得られる変位信号Uzを使用しな
い。走査精度に比較して変位計の分解能が十分に足りて
いるときには、変位計から得られる変位信号Uzを測定
データとして使用する。また、圧電素子の非線形性に関
する補正は、X軸およびY軸の各方向についてのみ行
い、Z軸方向については、補正を行わないようにするこ
ともできる。
軸方向の補正に関して説明したが、Z軸方向の非線形性
に関する補正についても同じように行われる。すなわ
ち、走査精度に比較して変位計の分解能が不足している
ときには、変位計から得られる変位信号Uzを使用しな
い。走査精度に比較して変位計の分解能が十分に足りて
いるときには、変位計から得られる変位信号Uzを測定
データとして使用する。また、圧電素子の非線形性に関
する補正は、X軸およびY軸の各方向についてのみ行
い、Z軸方向については、補正を行わないようにするこ
ともできる。
【0042】次に、他の処理方式について説明する。図
6は、図4の(a),(b)におけるA−A線断面のZ
軸方向データ(高さデータ)をプロットしたものであ
る。今ここで、図6に示された断面の距離δxy,δz を
正確に求めたいとする。その場合には、図4の(b)に
示したような変位信号を用いて補正した平面像を作る必
要はない。各測定点ごとに対応する変位計の出力値を得
ることができるので、指令値を用いて平面表示を行い、
さらにこの平面表示から断面表示を行い、この表示のプ
ロセスの中で、各測定点の変位データを用いて測長を行
うことによって上記の距離δxy,δz を高い精度で求め
ることができる。この処理方式は、原子間力顕微鏡の測
長精度を高いものにすることができる簡易な方式で、極
めて有利な方式である。
6は、図4の(a),(b)におけるA−A線断面のZ
軸方向データ(高さデータ)をプロットしたものであ
る。今ここで、図6に示された断面の距離δxy,δz を
正確に求めたいとする。その場合には、図4の(b)に
示したような変位信号を用いて補正した平面像を作る必
要はない。各測定点ごとに対応する変位計の出力値を得
ることができるので、指令値を用いて平面表示を行い、
さらにこの平面表示から断面表示を行い、この表示のプ
ロセスの中で、各測定点の変位データを用いて測長を行
うことによって上記の距離δxy,δz を高い精度で求め
ることができる。この処理方式は、原子間力顕微鏡の測
長精度を高いものにすることができる簡易な方式で、極
めて有利な方式である。
【0043】次に、本発明の他の実施例を図7を参照し
て説明する。図7において、XfとYfはXYZ微動機
構11に含まれるX軸圧電素子およびY軸圧電素子の最
大移動範囲であり、XsとYsは測定すべき範囲すなわ
ち走査範囲53である。このような関係において、走査
範囲53の測定を行う場合には、原点(0,0)から点
(Xs0,Ys0)まで探針14を移動させる必要が生じ
る。本実施例では、この移動を行うに当たって変位計か
ら出力される変位信号を使用する。すなわち、実際の変
位と変位計の出力値との関係を求めておき、上記移動を
行うときには、所定の変位すなわち原点(0,0)から
点(Xs0,Ys0)への変位に関する出力値を変形計が出
力するように、XYZ微動機構11のX軸圧電素子およ
びY軸圧電素子を動作させる。位置決めが終了した後に
は、各圧電素子の印加電圧を保持する。この実施例によ
れば、XYZ微動機構11に含まれる圧電素子の非線形
性による測定範囲原点への移動精度の悪化という問題を
解決できる。換言すれば、原子間力顕微鏡による測定範
囲内における測定精度の補償と併せ、設定された測定範
囲へ移動する精度自体も変位計の出力値を利用して補償
することができる。
て説明する。図7において、XfとYfはXYZ微動機
構11に含まれるX軸圧電素子およびY軸圧電素子の最
大移動範囲であり、XsとYsは測定すべき範囲すなわ
ち走査範囲53である。このような関係において、走査
範囲53の測定を行う場合には、原点(0,0)から点
(Xs0,Ys0)まで探針14を移動させる必要が生じ
る。本実施例では、この移動を行うに当たって変位計か
ら出力される変位信号を使用する。すなわち、実際の変
位と変位計の出力値との関係を求めておき、上記移動を
行うときには、所定の変位すなわち原点(0,0)から
点(Xs0,Ys0)への変位に関する出力値を変形計が出
力するように、XYZ微動機構11のX軸圧電素子およ
びY軸圧電素子を動作させる。位置決めが終了した後に
は、各圧電素子の印加電圧を保持する。この実施例によ
れば、XYZ微動機構11に含まれる圧電素子の非線形
性による測定範囲原点への移動精度の悪化という問題を
解決できる。換言すれば、原子間力顕微鏡による測定範
囲内における測定精度の補償と併せ、設定された測定範
囲へ移動する精度自体も変位計の出力値を利用して補償
することができる。
【0044】次に、図8を参照してXYZ微動機構の例
について説明する。図8の実施例では、XYZ微動機構
をZ微動機構11Z とXY微動機構11XYに分けて構成
している。Z微動機構11Z は、固定側剛体100と移
動側剛体101を含み、これらの剛体の間を平板状弾性
部材103,104で結合し、さらに平板状弾性部材1
03,104の間に圧電素子102を装着している。圧
電素子102に電圧を印加すると、移動側剛体101に
おいてZ方向変位Uzが発生する。移動側剛体101
に、他探針14を備えたカンチレバー13が設けられ
る。また105〜108は歪みゲージである。これらの
歪みゲージは、弾性部材103,104の曲げ歪みを検
出する働きを有し、変位計としての機能を有するもので
ある。例えば、ストローク2μmのZ微動機構11Z に
対して約1nmの分解能の変位を検出することができ、
圧電素子102の非線形性の補償には十分な性能を有す
る。ただし原子オーダの分解能を期待することはできな
いが、実用的な価値としては十分である。また本実施例
のZ微動機構11Z によれば、平行平板タイプの構造を
有しているため、Z軸方向に変位するときXY方向には
変位がほとんど生じないので、非常に有利である。
について説明する。図8の実施例では、XYZ微動機構
をZ微動機構11Z とXY微動機構11XYに分けて構成
している。Z微動機構11Z は、固定側剛体100と移
動側剛体101を含み、これらの剛体の間を平板状弾性
部材103,104で結合し、さらに平板状弾性部材1
03,104の間に圧電素子102を装着している。圧
電素子102に電圧を印加すると、移動側剛体101に
おいてZ方向変位Uzが発生する。移動側剛体101
に、他探針14を備えたカンチレバー13が設けられ
る。また105〜108は歪みゲージである。これらの
歪みゲージは、弾性部材103,104の曲げ歪みを検
出する働きを有し、変位計としての機能を有するもので
ある。例えば、ストローク2μmのZ微動機構11Z に
対して約1nmの分解能の変位を検出することができ、
圧電素子102の非線形性の補償には十分な性能を有す
る。ただし原子オーダの分解能を期待することはできな
いが、実用的な価値としては十分である。また本実施例
のZ微動機構11Z によれば、平行平板タイプの構造を
有しているため、Z軸方向に変位するときXY方向には
変位がほとんど生じないので、非常に有利である。
【0045】また試料12を載置する上記XY微動機構
11XYは図9に示すような構造を有する。XY微動機構
11XYにおいて、固定用剛体200と移動用剛体201
とこれらを連結する平板状弾性部材203,204と剛
体200,201の間に介設される圧電素子202とに
よってX微動機構が形成され、圧電素子202に電圧を
印加すると、移動用剛体201にX軸方向の変位Uxが
生じる。また同じように、剛体201と剛体205とこ
れらを連結する平板状弾性部材と剛体201,205の
間に介設される圧電素子202とによってY微動機構が
形成される。この場合、圧電素子に電圧を印加すると、
剛体201を基準としてY軸方向に変位Uyが生じるよ
うに剛体205をY軸方向に移動できる。また各弾性部
材には歪みゲージ206が付設され、それぞれX微動機
構およびY微動機構の変位計としての機能を有する。か
かるXY微動機構11XYは、シリコンウェハ等の大型試
料の走査に十分対応できる。
11XYは図9に示すような構造を有する。XY微動機構
11XYにおいて、固定用剛体200と移動用剛体201
とこれらを連結する平板状弾性部材203,204と剛
体200,201の間に介設される圧電素子202とに
よってX微動機構が形成され、圧電素子202に電圧を
印加すると、移動用剛体201にX軸方向の変位Uxが
生じる。また同じように、剛体201と剛体205とこ
れらを連結する平板状弾性部材と剛体201,205の
間に介設される圧電素子202とによってY微動機構が
形成される。この場合、圧電素子に電圧を印加すると、
剛体201を基準としてY軸方向に変位Uyが生じるよ
うに剛体205をY軸方向に移動できる。また各弾性部
材には歪みゲージ206が付設され、それぞれX微動機
構およびY微動機構の変位計としての機能を有する。か
かるXY微動機構11XYは、シリコンウェハ等の大型試
料の走査に十分対応できる。
【0046】上記のごとくXY微動機構とZ微動機構に
分離して微動機構を形成し、さらに歪みゲージ型変位計
と組合せた構成によれば、低価格な変位計を得ることが
できる、および、各軸の案内精度が良好であるため、例
えばZ軸駆動時のXY方向の干渉変位が少ない、あるい
はXY駆動時のZ方向の干渉変位が少ないということか
ら変位補償の精度向上に極めて有利である等の利点を有
する。
分離して微動機構を形成し、さらに歪みゲージ型変位計
と組合せた構成によれば、低価格な変位計を得ることが
できる、および、各軸の案内精度が良好であるため、例
えばZ軸駆動時のXY方向の干渉変位が少ない、あるい
はXY駆動時のZ方向の干渉変位が少ないということか
ら変位補償の精度向上に極めて有利である等の利点を有
する。
【0047】図10に、変位計に関する他の実施例を示
す。この実施例において、Z微動機構11Z とXY微動
機構11XYは図8で説明したものと同じである。XY微
動機構11XYの上に載置された試料12は例えばシリコ
ンウェハ等の大型の試料である。60は試料位置決め用
のXYステージである。変位計として、Z微動機構に関
しては歪みゲージを使用し、XY微動機構についてはミ
ラー61、干渉計62、レーザ光63からなる長ストロ
ーク対応レーザ変位計が使用される。レーザ変位計で
は、XYステージ60に関する変位と、XY微動機構1
1XYの変位が加算された値が測定される。この実施例に
よれば、試料の位置決めとXY微動機構における圧電素
子の非線形性の補償を同時に行えるという利点を有す
る。
す。この実施例において、Z微動機構11Z とXY微動
機構11XYは図8で説明したものと同じである。XY微
動機構11XYの上に載置された試料12は例えばシリコ
ンウェハ等の大型の試料である。60は試料位置決め用
のXYステージである。変位計として、Z微動機構に関
しては歪みゲージを使用し、XY微動機構についてはミ
ラー61、干渉計62、レーザ光63からなる長ストロ
ーク対応レーザ変位計が使用される。レーザ変位計で
は、XYステージ60に関する変位と、XY微動機構1
1XYの変位が加算された値が測定される。この実施例に
よれば、試料の位置決めとXY微動機構における圧電素
子の非線形性の補償を同時に行えるという利点を有す
る。
【0048】前記各実施例では原子間力顕微鏡について
説明したが、本発明は走査型プローブ顕微鏡に対して一
般的に応用することができるのは勿論である。
説明したが、本発明は走査型プローブ顕微鏡に対して一
般的に応用することができるのは勿論である。
【0049】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、微動機構の内部の圧電素子に変位計を付設し、変
位計の分解能が走査精度に十分に足りているときに試料
表面近傍の物理情報を表示するデータとして変位計の出
力値を直接に利用するように構成したため、走査プロー
ブ顕微鏡自体が固有に有する測定分解能を低下させるこ
となく、かつ微動機構に含まれる圧電素子の非線形性を
補償することができ、極めて高精度で試料表面の物理情
報を測定することができる。
れば、微動機構の内部の圧電素子に変位計を付設し、変
位計の分解能が走査精度に十分に足りているときに試料
表面近傍の物理情報を表示するデータとして変位計の出
力値を直接に利用するように構成したため、走査プロー
ブ顕微鏡自体が固有に有する測定分解能を低下させるこ
となく、かつ微動機構に含まれる圧電素子の非線形性を
補償することができ、極めて高精度で試料表面の物理情
報を測定することができる。
【図1】本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の一例を示
す構成図である。
す構成図である。
【図2】主要な動作例を示すフローチャートである。
【図3】走査範囲のデータ取得点の配置を示す図であ
る。
る。
【図4】指令値と変位信号を用いて示す平面像の図であ
る。
る。
【図5】走査範囲の他のデータ取得点の決め方を示す図
である。
である。
【図6】断面像におけるZ軸方向の値を求め方を説明す
るための図である。
るための図である。
【図7】走査範囲への移動方法を説明するための図であ
る。
る。
【図8】微動機構の具体的構成例を示す側面図である。
【図9】XY微動機構の一例を示す外観斜視図である。
【図10】変位計の他の実施例を示す側面図である。
【図11】従来の原子間力顕微鏡の基本的な構成を示す
図である。
図である。
【図12】XYZ微動機構の従来例を示す外観斜視図で
ある。
ある。
【図13】圧電素子の電圧・変位特性を示す図である。
【図14】従来の原子間力顕微鏡の構成例を示す図であ
る。
る。
11 XYZ微動機構 12 試料 13 カンチレバー 14 探針 15 レーザ光源 16 レーザ光 17 光検出器 51 XY指令値発生器 52 ソフト補正器 36 表示演算部 36a 記憶部 43 表示部
Claims (10)
- 【請求項1】 試料に対向する探針を先部に備えるカン
チレバーと、前記試料と前記探針との相対的位置をX
軸、Y軸、Z軸の各方向に変化させるXYZ微動機構
と、前記試料と前記探針の間の物理量に起因して生じる
前記カンチレバーの変位量を検出する変位検出装置と、
前記探針による前記試料の走査を行うと共に前記カンチ
レバーの変位量が設定値に保持されるように前記XYZ
微動機構の動作を制御する制御手段と、前記制御手段か
ら出力される制御指令値に基づいて試料の表面の物理情
報を生成する表示演算手段とを備えた走査型プローブ顕
微鏡において、 前記XYZ微動機構に含まれる少なくとも前記X軸、Y
軸の各方向の圧電素子によって生じる変位を測定する変
位計と、走査時に前記変位計で測定された測定値を記憶
する記憶手段と、走査終了後に前記記憶手段に記憶され
た測定値を用いて前記表面の物理情報を作成する手段と
を備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 【請求項2】 前記変位計の分解能と前記試料で設定さ
れた走査範囲の走査精度を比較する比較手段を含み、こ
の比較手段によって前記分解能が前記走査精度よりも微
細であると判定されたとき、前記変位計で得られた前記
測定値を用いて前記表面の物理情報を作成するようにし
たことを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微
鏡。 - 【請求項3】 前記比較手段によって前記走査精度が前
記分解能よりも微細であると判定されたときには、前記
制御手段から出力される制御指令値に基づいて前記表面
の物理情報を作成するようにしたことを特徴とする請求
項2記載の走査型プローブ顕微鏡。 - 【請求項4】 前記試料の走査範囲においてN×N個の
測定点を設定し、各測定点で測定した測定値を前記記憶
手段に記憶したことを特徴とする請求項1〜3のいずれ
か1項に記載の走査型プローブ顕微鏡。 - 【請求項5】 前記試料の走査範囲においてN×N個の
測定点を設定し、周辺部の各測定点で測定した測定値を
前記記憶手段に記憶したことを特徴とする請求項1〜3
のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡。 - 【請求項6】 前記周辺部の各測定点は端部の測定点で
あることを特徴とする請求項5記載の走査型プローブ顕
微鏡。 - 【請求項7】 走査範囲で任意に設定された線分のZ軸
断面情報を得る場合に、X軸とY軸の前記各圧電素子に
付設された前記変位計の出力値を用いて断面情報を生成
し、表示を行うことを特徴とする請求項1記載の走査型
プローブ顕微鏡。 - 【請求項8】 測定対象である走査範囲に前記探針を移
動させるとき、前記変位計の出力値を用いて移動を行う
ように構成したことを特徴とする請求項1記載の走査型
プローブ顕微鏡。 - 【請求項9】 前記XYZ微動機構は前記カンチレバー
を取り付けるZ微動機構と試料を載置するXY微動機構
とで分離して構成され、前記各微動機構は圧電素子を含
む平板状弾性機構で形成され、前記変位計は歪みゲージ
であることを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ
顕微鏡。 - 【請求項10】 前記XYZ微動機構は前記カンチレバ
ーを取り付けるZ微動機構と試料を載置するXY微動機
構で分離して構成され、前記各微動機構は圧電素子を含
む平板状弾性機構で形成され、前記Z微動機構の前記変
位計は歪みゲージであり、前記XY微動機構はXYステ
ージ上に配置され、前記XY微動機構の前記変位計はX
Y微動機構の変位とXYステージの変位を加算した値を
測定する変位計であることを特徴とする請求項1記載の
走査型プローブ顕微鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8477495A JPH08254540A (ja) | 1995-03-16 | 1995-03-16 | 走査型プローブ顕微鏡 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8477495A JPH08254540A (ja) | 1995-03-16 | 1995-03-16 | 走査型プローブ顕微鏡 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08254540A true JPH08254540A (ja) | 1996-10-01 |
Family
ID=13840031
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8477495A Pending JPH08254540A (ja) | 1995-03-16 | 1995-03-16 | 走査型プローブ顕微鏡 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08254540A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001296229A (ja) * | 2000-04-17 | 2001-10-26 | Hitachi Ltd | 走査型プローブ顕微鏡 |
JP2008014903A (ja) * | 2006-07-10 | 2008-01-24 | Hitachi High-Technologies Corp | プローブ制御装置 |
JP2016017862A (ja) * | 2014-07-09 | 2016-02-01 | 株式会社日立ハイテクサイエンス | 3次元微動装置 |
JP2019109260A (ja) * | 2019-04-03 | 2019-07-04 | 株式会社日立ハイテクサイエンス | 3次元微動測定装置 |
-
1995
- 1995-03-16 JP JP8477495A patent/JPH08254540A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001296229A (ja) * | 2000-04-17 | 2001-10-26 | Hitachi Ltd | 走査型プローブ顕微鏡 |
JP2008014903A (ja) * | 2006-07-10 | 2008-01-24 | Hitachi High-Technologies Corp | プローブ制御装置 |
JP2016017862A (ja) * | 2014-07-09 | 2016-02-01 | 株式会社日立ハイテクサイエンス | 3次元微動装置 |
JP2019109260A (ja) * | 2019-04-03 | 2019-07-04 | 株式会社日立ハイテクサイエンス | 3次元微動測定装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20040127 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |