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JPH08245691A - 化合物tan−2177、その製造法および用途 - Google Patents

化合物tan−2177、その製造法および用途

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JPH08245691A
JPH08245691A JP8003084A JP308496A JPH08245691A JP H08245691 A JPH08245691 A JP H08245691A JP 8003084 A JP8003084 A JP 8003084A JP 308496 A JP308496 A JP 308496A JP H08245691 A JPH08245691 A JP H08245691A
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JP
Japan
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tan
compound
acid
salt
microorganism
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Application number
JP8003084A
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English (en)
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JP3733163B2 (ja
Inventor
Ryuichi Tozawa
隆一 兎澤
Shigetoshi Tsuboya
重利 坪谷
Mikio Shirosaki
幹雄 白▲さき▼
Eiji Sunahara
英次 砂原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication of JPH08245691A publication Critical patent/JPH08245691A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高脂血症の治療剤として有用なスクアレン合成
酵素阻害活性を有する新規化合物の提供。 【解決手段】式 【化1】 〔式中、Rはメチル基または水素原子を示す〕で表され
る化合物TAN−2177またはその塩は、優れたスク
アレン合成酵素阻害活性を有しており、高脂血症の予防
および治療剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクアレン合成酵
素阻害作用を有し、高脂血症の治療剤として有用な新規
化合物TAN−2177に関する。
【0002】
【従来の技術】高脂血症は、高血圧、喫煙とともに虚血
性心疾患に対する三大危険因子として知られており、血
中コレステロール値の適切なコントロールは、高脂血症
に起因する虚血性心疾患、脳血管障害、腎疾患などの予
防または治療に極めて重要である。スクアレン合成酵素
を阻害し血中コレステール低下作用を有する天然物由来
の化合物として、ザラゴジック酸(米国特許第5096923
号)、スクアレスタチン 1〔ジャーナル・オブ・バイ
オロジカル・ケミストリー(Journal of BiologicalChe
mistry)、第267巻、No. 17、11705頁〜11708頁〕など
が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの化合
物は血中コレステロール低下作用、経口吸収性等の点で
十分とは言えない。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み、
本発明者らは強力な活性を有するスクアレン合成酵素阻
害物質を微生物代謝産物の中に求め研究を重ねた結果、
タラロミセス(Talaromyces)属に属する糸状菌の培養
液中に強力なスクアレン合成酵素阻害活性を有する化合
物が含まれることを見いだし、当該活性化合物の単離に
成功し、これらをTAN−2177AおよびBと称する
こととした。これらの化合物の物理化学的および生物学
的性質を詳細に検討して、該化合物が新規化合物である
ことを確かめ、本発明を完成した。
【0005】すなわち本発明は、(1)式
【化2】 〔式中、Rはメチル基または水素原子を示す〕で表され
る化合物TAN−2177またはその塩、(2)タラロ
ミセス属に属し、(1)記載の化合物TAN−2177
を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養物
中に該化合物を生成蓄積せしめ、生成物を採取すること
を特徴とする(1)記載の化合物TAN−2177また
はその塩の製造法、(3)(1)記載の化合物TAN−
2177を生産する能力を有する微生物タラロミセス・
フラバス、(4)(1)記載の化合物TAN−2177
を生産する能力を有する微生物タラロミセス・フラバス
FL−55755株、(5)(1)記載の化合物TA
N−2177またはその塩を含有してなる医薬、(6)
(1)記載の化合物TAN−2177またはその塩を含
有してなるスクアレン合成酵素阻害剤、および(7)
(1)記載の化合物TAN−2177またはその塩を含
有してなる抗高脂血症剤に関する。
【0006】式〔I〕中、-Arg-Gly-Gly-Leu-はアミノ
酸残基からなるアミノ酸配列であり、Argはアルギニン
残基、Glyはグリシン残基、Leuはロイシン残基を示す。
これらのアミノ酸残基は、D体、L体のどちらの場合も
本発明に含まれるが、アルギニン残基としては、D−ア
ルギニン残基が、ロイシン残基としては、D−ロイシン
残基が好ましい。式〔I〕中、Rがメチルを示す化合物
(TAN−2177Aと称す)では、アミノ酸配列のC
末端側のアミノ酸残基は、4−メチル−プロリン残基を
示す。式〔I〕中、Rが水素原子を示す化合物(TAN
−2177Bと称す)では、アミノ酸配列のC末端側の
アミノ酸残基は、プロリン残基を示す。プロリン残基と
してはL−プロリン残基が好ましい。また、本発明化合
物は溶液中において、溶液のpHにより、式中における
【化3】
【化4】 に変換された化合物が存在し得るが、それらの変換され
た化合物またはそれらの混合物も本発明に含まれる。T
AN−2177は、二重結合(>C=C<)を有してい
るので幾何異性体(シス、トランス型)が存在し得る。
また、不斉炭素を含むので光学異性体(D−体、L−
体)等の異性体が存在し得るが、それらの各異性体、お
よびそれらの混合物も本発明に含まれる。TAN−21
77は、コンフォーマーの混合物として存在し得るが、
それらのコンフォーマーおよびそれらの混合物も本発明
に含まれる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いることができる微生
物としては、タラロミセス(Talaromyces)属に属し化
合物TAN−2177Aおよび/またはBを生産する微
生物であればいずれでも良い。例えば、インド土壌より
分離された糸状菌タラロミセス・フラバス FL−55
755(Talaromyces flavus FL-55755)株が使用し得
る例として挙げられる。
【0007】FL−55755株は以下のような性質を
示す。 (a)形態的特徴 分生子柄 :表面は滑面。基底菌糸層から分枝する。
80〜100×2〜2.5μm。 ペニシリ :複輪生体。 メトレ :4〜6本が群生。8〜10×1.5〜
2.5μm。 フィアライド:ペン先型。4〜6本が輪生体を形成。6
〜9×1.5〜2μm。 分生子 :楕円形。両端はしばしばとがる。表面は
滑面。長い連鎖を形成。0.75〜1×1.5〜2μ
m。 子嚢果 :球形。黄色の菌糸網が発達して壁とな
る。直径200〜300μm。 子嚢 :卵形〜球形。6〜8細胞。7〜9μm。 子嚢胞子 :楕円形。4〜5×2.5〜3.5μm。
表面は刺状。
【0008】(b)寒天培地上の性状 1)麦芽エキス寒天培地 生育は良好で24℃、2週間後のコロニーの直径は70
mmであった。表面はやや盛り上がった羊毛状の菌糸体
よりなり、中央部はやや隆起し黄色の菌糸の塊が認めら
れ、外縁は規則正しく縁取られている。気生菌糸の発
達、分生子の形成は良好である。コロニー表面の色調
は、中央部は黄色から黄褐色を呈し、周辺部は黄緑色か
らくすんだ緑色を呈する。裏面は淡黄色から淡黄褐色を
呈する。可溶性色素の生成は認められない。3週間後に
は、黄色から赤褐色の多数の子嚢果の形成が認められ
る。 2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地 生育は良好で24℃、2週間後のコロニーの直径は80
mmであった。表面はやや盛り上がった羊毛状の菌糸体
よりなり、中央部に赤褐色の水滴が認められ、外縁は規
則正しく縁取られている。気生菌糸の発達、分生子の形
成は良好である。コロニー表面の色調は、中央部は淡黄
色から淡赤褐色を呈し、周辺部は淡黄灰色から緑黄灰色
を呈する。裏面中央部から周辺部にかけて黄褐色から淡
黄褐色を呈する。可溶性色素の生成は認められない。3
週間後には灰黄色から橙色の子嚢果の形成が認められ
る。 3)ツァペック寒天培地 生育は中程度で24℃、2週間後のコロニーの直径は3
7mmであった。表面は平坦で羊毛状の菌糸体よりな
り、外縁は規則正しく縁取られている。コロニー表面の
色調は、淡黄色から淡黄灰色を呈する。裏面は、象芽色
を呈する。可溶性色素の生成は、認められない。 4)オートミール寒天培地 生育は良好で24℃、2週間後のコロニーの直径は75
mmであった。表面はやや盛り上がった羊毛状の菌糸体
よりなり、中央部に黄色の菌糸の塊と水滴が認められ、
外縁は規則正しく縁取られている。気生菌糸の発達、分
生子の形成は良好である。コロニー表面の色調は、中央
部は淡黄色から黄褐色を呈し、周辺部から外周部にかけ
て淡黄緑色から緑黄色を呈する。裏面中央部は淡黄色か
ら淡黄褐色を呈し、周辺部は淡黄橙色から橙黄色を呈す
る。可溶性色素の生成は認められない。3週間後には、
淡黄橙色から赤褐色の多数の子嚢果の形成が認められ
る。
【0009】(c)生理学的性質 本菌株の生育条件をバレイショ・ブドウ糖寒天培地で調
べると、PH3〜PH10のいずれでも生育は良好であ
り、生育温度範囲は10℃〜35℃であり、至適生育温
度は24℃〜28℃である。37℃では生育しない。
【0010】以上の諸性質を、ディー・マロチ(D.Mall
och)著、宇田川俊一訳「かびの分離・培養と同定」
(昭和58年、医歯薬出版株式会社)51頁記載の同定
検索表と照合すると、本菌株は、タラロミセス(Talaro
myces)属に属する事が明らかであり、さらに、宇田川
俊一・椿啓介ら著「菌類図鑑(上)」(1978年,講
談社サイエンティフィク)を参照すると、本菌株はタラ
ロミセス・フラバス(Talaromyces flavus)の記載の性
質とよく一致する。したがって本菌はタラロミセス・フ
ラバス FL−55755(Talaromyces flavus FL-55
755)と同定した。
【0011】本菌株は、平成6年12月12日に財団法
人発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO−32670
として、また平成7年1月11日に通商産業省工業技術
院生命工学工業技術研究所(NIBH)に、受託番号F
ERM BP−4967としてそれぞれ寄託されてい
る。
【0012】本発明の化合物TAN−2177、具体的
にはTAN−2177Aおよび/またはB、またはそれ
らの塩は、これらの菌株に限らず、遺伝子操作技術を含
め、自体公知の方法(例、X線、ガンマー線、紫外線等
の放射線の照射、薬剤処理、薬剤含有培地上での培養な
ど)により、これらの菌株から誘導される本化合物の生
産能を有する変異株をはじめ、当該生産能を有する微生
物を培地中で培養し、本化合物を培地中に生成蓄積せし
め、それを採取することにより製造できる。
【0013】本発明の化合物の生産菌の培養に用いる培
地は、該菌が利用し得る栄養源を含むものなら液状でも
固体状でもよいが、大量に処理するときに液体培地を用
いるのが適当である。培地には、該化合物生産菌が同化
し得る炭素源、窒素源、無機物質、微量栄養源を適宜配
合する。炭素源としては、例えばグルコース、乳糖、シ
ョ糖、麦芽糖、デキストリン、澱粉、グリセリン、マン
ニトール、ソルビトール、油脂類(例、綿実油、大豆
油、ラード油、チキン油など)、n-パラフィンなどが用
いられる。窒素源としては、例えば、肉エキス、酵母エ
キス、乾燥酵母、大豆粉、コーン・スティープ・リカ
ー、ペプトン、生大豆粉、綿実粉、トマトペースト、ピ
ーナッツミール、廃糖蜜、尿素、アンモニア塩類(例、
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム、酢酸アンモニウムなど)などが用いられる。さら
に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム
などを含む塩類、鉄、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッ
ケルなどの金属塩類、リン酸、ホウ酸などの塩類、酢
酸、プロピオン酸などの有機酸の塩類を適宜用いてもよ
い。その他、アミノ酸(例、グリシン、ロイシン、アル
ギニン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸な
ど)、ペプチド(例、ジペプチド、トリペプチドな
ど)、ビタミン類(例、ビタミンB1、ビタミンB2、ニ
コチン酸、ビタミンB12、ビタミンCなど)、核酸類
(例、プリン、ピリミジン、その誘導体など)などを含
有させてもよい。培地中のpHを調整する目的で、無機
または有機の酸またはアルカリ類、緩衝剤などを加え、
あるいは消泡の目的で油脂類、界面活性剤などの適量を
添加しても差し支えない。液体培養に際しては、培地の
pHは中性付近、pH6〜8が好ましい。培養温度は約
14〜30℃、培養時間は約1〜14日が好ましい。培
養の手段は静置培養、振とう培養あるいは通気撹拌培養
法等の自体公知の方法に従えばよい。大量の処理には、
通気撹拌培養法が好ましい。通常、5〜10日の培養で
TAN−2177Aおよび/またはBの生産量は最高に
達する。
【0014】培養物から目的とする化合物TAN−21
77Aおよび/またはBを採取する方法を以下に述べ
る。微生物の生産する代謝物をその微生物培養物から採
取するのに通常使用される分離手段が適宜利用される。
例えばTAN−2177AおよびBは、培養濾液および
菌体中に含まれるので、まず培養物にアセトンまたはメ
タノールなどを加えて活性物質を抽出し、得られた抽出
液を濃縮後、吸着性樹脂、例えばダイヤイオンHP−2
0またはSP−207(三菱化成社製)、アンバーライ
トXAD−IまたはII(ローム・アンド・ハース社製,
米国)などを用いたクロマトグラフィ−に付す方法が有
利に用いられる。カラムから目的とする活性物質を溶出
するためには、水と混和し得る有機溶媒(例、メタノー
ル、エタノール、アセトン、アセトニトリル等)と水溶
液〔例えば、水、アルカリ(例、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム等)含有水溶液、酸
(例、塩酸、酢酸、ギ酸、リン酸等)含有水溶液、塩類
含有水溶液(例、食塩水、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液
等)など〕との適宜の割合の混合溶媒が用いられる。ま
た、TAN−2177AおよびBは水と混和しない有機
溶媒(例、イソブタノ−ル、メチルイソブチルケトン
等)で抽出することもできる。かくして得られる溶出液
あるいは抽出液を、減圧下濃縮すると、TAN−217
7Aおよび/またはBを含有する粗物質が得られる。
【0015】粗物質をさらに精製し、純粋なTAN−2
177AまたはBを得るには周知の種々のクロマトグラ
フィー法が有利に用いられる。担体としては活性炭、シ
リカゲル、微結晶セルロース、吸着性樹脂など化合物の
吸着性の差を利用するもの、またはイオン交換樹脂、イ
オン交換セルロース、イオン交換セファデックスなど化
合物の官能基の差を利用するもの、あるいは分子ふるい
性樹脂など化合物の分子量の差を利用するもの等が有利
に用いられる。これら担体から目的とする化合物を溶出
するためには担体の種類、性質によって組み合わせが異
なるが、適当な有機溶媒(例、ジクロロメタン、クロロ
ホルム等のハロゲン化炭化水素類、トルエン等の芳香族
炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等の
ケトン類、メタノ−ル、エタノール、イソブタノール等
のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類な
ど)、有機酸(例、酢酸、ギ酸等)、水溶液〔例えば、
水、アルカリ(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸水素ナトリウム等)含有水溶液、酸(例、塩
酸、酢酸、ギ酸、リン酸等)含有水溶液、塩類含有水溶
液(例、食塩水、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液等)など〕
の単独あるいは適宜の割合の混合溶媒が用いられる。
【0016】更に詳しくは、担体としてクロマト用活性
炭(武田薬品工業社製)、キーゼルゲル60(メルク社
製、ドイツ)、微結晶セルロース〔例、アビセル(旭化
成社製)、フナセル(フナコシ株式会社製)等〕、吸着
性樹脂〔例、ダイヤイオンHP−20またはSP−20
7(三菱化成社製),アンバーライトXAD−Iまたは
II(ローム・アンド・ハース社製、米国)等〕、陽イオ
ン交換樹脂〔例、アンバ−ライトIR−120、IRC
−50またはCG−50(ローム・アンド・ハース社
製、米国)、ダウエックス50W(ダウ・ケミカル社
製,米国),ダイヤイオンSK1A(三菱化成社製)
等〕、陰イオン交換樹脂〔例、アンバーライトIRA−
402またはIRA−68(ローム・アンド・ハース社
製,米国)、ダウエックス1(ダウ・ケミカル社製,米
国)、ダイヤイオンSA10B,PA−404またはW
A−30(三菱化成社製)等〕、イオン交換セファデッ
クス〔例、QAEまたはCM−セファデックス(ファル
マシア社製,スウェーデン)等〕、分子ふるい性樹脂
〔例、セファデックスLH−20(ファルマシア社製,
スウェーデン)等〕などが有利に用いられる。
【0017】さらに、化合物を精製する場合に、分取用
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法も有利に用
いられる。この方法を適用する場合、担体としてはオク
タデシルシラン(ODS)系、ポリマー系およびシリカ
ゲル系のものが有利に用いられる。例えばODSの場
合、YMCゲル(山村化学研究所製)あるいはTSKゲ
ル(東洋曹達工業社製)などが、ポリマー系の場合、ポ
リマーにオクタデシル基を導入したODP(旭化成社
製)あるいはポリマーにポリアミンを導入したNH2P
(旭化成社製)などが用いられ、移動相としてはメタノ
ールあるいはアセトニトリルと水あるいは塩類含有水溶
液の混合溶液が有利に用いられる。
【0018】TAN−2177AおよびBは塩基性物質
なので、自体公知の方法により酸付加塩、とりわけ薬理
学的に許容される酸付加塩としても得ることができ、例
えば、無機酸(例、塩酸、硫酸、リン酸)あるいは有機
酸(例、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、酒石酸、リン
ゴ酸、蓚酸、メタンスルホン酸、オクタンスルホン酸)
などの塩が挙げられる。
【0019】本発明の化合物TAN−2177Aおよび
B、またはそれらの塩は低毒性であり安全に用いること
ができる。化合物TAN−2177AおよびB、または
それらの塩はスクアレン合成酵素阻害作用を有し、コレ
ステロール合成を抑制する効果を示す。化合物TAN−
2177AおよびB、またはそれらの塩はスクアレン合
成酵素阻害剤として、ヒトや哺乳動物(例、サル、ウ
マ、ウシ、ブタ、ネコ、イヌ、ウサギ等)の高脂血症の
予防または治療剤として用いられる。更に具体的には、
高脂血症に起因する虚血性心疾患(例、狭心症、心筋梗
塞など)、脳血管障害(例、一過性脳虚血、脳梗塞、脳
血栓など)、腎疾患(例、腎硬化症、腎不全、腎性高血
圧など)、腹部大動脈瘤、間けつ性跛行などを伴う末梢
動脈硬化症などの予防または治療剤として用いられる。
化合物TAN−2177AおよびB、またはそれらの塩
は、酵母、例えばカンジダ・アルビカンス(Candida al
bicans)、及び糸状菌、例えばアスペルギルス・ニガー
(Aspergillus niger)等の菌に優れた抗菌活性を示す
ので、例えば人および哺乳動物のこれら微生物による感
染症の治療に用いることができる。該化合物は薬理学的
に許容される担体と混合することにより、医薬として適
切な剤型の非経口剤または経口剤として提供される。非
経口剤として、例えば注射剤、点滴剤、外用剤(例、経
鼻投与製剤、経皮製剤など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣
坐剤など)などが、経口剤として、例えばカプセル剤、
錠剤、シロップ剤、散剤および顆粒剤等が挙げられる。
【0020】これらの製剤は、製剤工程において通常一
般に用いられる方法により製造することができる。例え
ば、化合物TAN−2177AまたはB、またはその塩
は、分散剤(例、ツィーン (Tween) 80 (アトラスパウ
ダー社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリ
エチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ア
ルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベ
ン、ベンジルアルコール、クロロブタノールなど)、等
張化剤(例、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトー
ル、ブドウ糖など)などと共に水性注射剤に、あるいは
オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿実油、コーン油
などの植物油、プロピレングリコールなどに溶解、懸濁
あるいは乳化して油性注射剤に成形し、注射剤とするこ
とができる。
【0021】経口投与製剤にするには、自体公知の方法
に従い、化合物TAN−2177AまたはB、またはそ
の塩を、例えば賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンな
ど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、
結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチ
ルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロ
ピルセルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステ
アリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール 6000
など)などを添加して圧縮成形する。錠剤、顆粒剤、細
粒剤に関しては、味のマスキング、腸溶性、持続性の目
的で自体公知の方法でコーティングしてもよい。そのコ
ーティング剤としては、例えば一般のフィルム形成コー
ティング剤〔例、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、TC−5(信越化学工業(株))、エチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ポリオキシエチレングリコール等〕、水性
コーティング剤〔例、セルロースアセテートフタレー
ト、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、
ヒドロキシプロピルメチルセルースアセテートサクシメ
ート等〕、メチルメタクリレート・メタクリル酸共重合
体、オイラギッド−L,S(ローム社、ドイツ)、メチ
ルアクリレート・メタクリル酸共重合体、色素(例、タ
ルク、酸化チタン、ベンガラ等〕等が用いられる。腸溶
性コーティングを行う場合、活性成分を含む中心核と腸
溶皮膜との間に、自体公知の方法に従い、上記フィルム
形成コーティング剤で一層又は2層以上の中間層を設け
ることも有効である。
【0022】外用剤とするには、自体公知の方法に従
い、化合物TAN−2177AまたはB、またはその塩
を固状、半固状または液状の外用投与剤とすることがで
きる。例えば、上記固状のものとしては、化合物TAN
−2177AまたはB、またはその塩をそのまま、ある
いは賦形剤(例、グリコール、マンニトール、デンプ
ン、微結晶セルロースなど)、増粘剤(例、天然ゴム
類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体など)などを
添加、混合して粉状の組成物とする。上記液状のものと
しては、注射剤の場合とほとんど同様で、油性あるいは
水性懸濁剤とする。半固状の場合は、水性または油性の
ゲル剤、あるいは軟膏状のものがよい。また、これらは
いずれも、pH調節剤(例、炭酸、リン酸、クエン酸、
塩酸、水酸化ナトリウムなど)、防腐剤(例、パラオキ
シ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザ
ルコニウムなど)などを加えても良い。
【0023】坐剤とするには、自体公知の方法に従い、
化合物TAN−2177AまたはB、またはその塩を油
性または水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とする
ことができる。上記組成物に用いる油性基剤としては、
例えば高級脂肪酸のグリセリド 〔例、カカオ脂、ウイ
テプゾル類(ダイナマイトノーベル社製)など〕、ある
いは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが
挙げられる。また、水性基剤としては、例えばポリエチ
レングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基
剤としては、例えば天然ゴム類、セルロース誘導体、ビ
ニル重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。
【0024】化合物TAN−2177をヒトに用いる場
合の投与量は対象疾病の種類、程度、患者の年齢などで
変動し得るが、通常、化合物TAN−2177Aまたは
B、またはその塩の含量として、1日成人(体重50k
g)1人当たり約1mgから約500mg、とりわけ好
ましくは約2mgから100mgが疾患の予防、治療に
用いられる。これらの製剤は、1日1回または2から4
回に分けて投与することができる。化合物TAN−21
77AまたはB、またはその塩を、注射剤として非経口
的に皮下、静脈内または筋肉内に投与する場合、その投
与量は約0.5〜約200mg/日、好ましくは約1〜
約50mg/日である。
【0025】
【実施例】以下に実施例、試験例をあげて本発明を更に
詳しく説明するが、これによって本発明が限定されるも
のではない。なお、実施例、試験例におけるパーセント
(%)は、特に断りの無い限り、重量/容量パーセント
を示す。また、溶媒の混合比率は、特に断りの無い限
り、容量比を示す。13C NMRスペクトルは、ブルカ
ーAC−300型スペクトルメーター(ブルカー社製、
ドイツ)を用いて測定した、内部標準としてテトラメチ
ルシランを用い、全δ値をppmで示した。また、本明
細書中の記号は次のような意味を有する。Q:4級炭素
【0026】
【実施例1】バクト・ポテト・デキストロース寒天培地
(米国ディフコ社製)からなる斜面培地上で生育させた
タラロミセス・フラバス(Talaromyces flavus)FL-557
55株の胞子懸濁液(10%グリセロール中)を、グルコ
ース2.0%、マルトース3.0%、生大豆粉1.5
%、コーン・スチープ・リカー1.0%、ポリペプトン
0.5%、酵母エキス0.3%、食塩0.3%、pH
6.0からなる種培養培地500mlを分注滅菌した2
リットル容坂口フラスコに接種して、28℃で2日間振
とう培養した。この培養液の1リットルを、グルコース
1.0%、マンニトール4.0%、生大豆粉0.5%、
トマトペースト0.5%、ピーナッツミール0.5%、
ポリペプトン0.5%、グリシン0.1%、酵母エキス
0.1%、綿実油0.5%、リン酸水素二カリウム0.
05%、硫酸鉄7水和物0.05%、硫酸マグネシウム
7水和物0.05%、硫酸マンガン4水和物0.05
%、炭酸カルシウム0.5%、アクトコール0.05
%、シリコン0.02%、pH7.0からなる主培養培
地120リットルを蒸気滅菌した200リットル容醗酵
槽に移植した。この主醗酵は28℃、通気120リット
ル/分、撹拌150rpm、内圧1.0kg/cm2
て162時間培養し、TAN−2177AおよびBを生
成蓄積させた。
【0027】
【実施例2】実施例1で得られた培養液(110リット
ル)にメタノール(110リットル)を加え、30分間
撹拌後、濾過補助剤(ラジオライト 600、昭和化学
工業社製)を用いて濾過した。濾液に水(60リット
ル)を加え、アンバ−ライトXAD−II(10リット
ル)のカラムクロマトグラフィーに付し、50%(v/v)
メタノ−ル水(30リットル)で洗浄後、80%(v/v)
メタノ−ル水(50リットル)で溶出した。溶出液を濃
縮してメタノ−ルを除去後、水を加えて15リットルと
した。水溶液のpHを3.0に調整後、イソブタノ−ル
(5リットル)で2回抽出し、水(3リットル)で洗浄
した。有機層を濃縮乾固後、残渣をヘキサンで処理して
粗粉末I(17.8g)を得た。実施例1と同様にして
得られた培養液(225リットル)を上記と同様に処理
して粗粉末II(24.2g)を得た。得られた粗粉末I
およびIIを合わせ、シリカゲル(キ−ゼルゲル60、5
00ml)のカラムクロマトグラフィーに付し、クロロ
ホルム−ギ酸混液にメタノールを順次増量添加した溶出
液で溶出し、クロロホルム/メタノール/ギ酸(12:
8:1)溶出画分から粉末(1.63g)を得た。この
粉末を2回に分けてセファデックスLH−20(1リッ
トル)のカラムクロマトグラフィーに付し、メタノール
で溶出分画した。活性画分を集めて濃縮乾固し、粉末
(926mg)を得た。
【0028】得られた粉末を4回に分けて分取HPLC
〔カラム;アサヒパック(Asahipak)ODP-90, 直径 21.
5 mm × 長さ 300 mm(旭化成社製)、移動相;25%
(v/v)アセトニトリル/0.05Mリン酸緩衝液(pH
2.5)、流速;10ml/分〕に付し、分析用HPL
CでTAN−2177AまたはBの単一ピークを与える
2画分に分けた。TAN−2177Aを含有する画分の
pHを7.0に調整後、減圧下アセトニトリルを留去
し、アンバーライトIRA−402(Cl型,400m
l)を充填したカラムを通過させ、水(400ml)で
洗浄した。通過液と水洗液を合わせpH6.5に調整
後、アンバ−ライトXAD−II(50ml)のカラムク
ロマトグラフィーに付した。水(150ml)で洗浄
後、80%(v/v)メタノール水(100ml)で溶出
し、溶出液を濃縮後、凍結乾燥してTAN−2177A
・一塩酸塩(256mg)が白色粉末として得られた。
TAN−2177Bを含有する画分も同様の操作を行
い、TAN−2177B・一塩酸塩(54mg)が白色
粉末として得られた。
【0029】得られたTAN−2177A・一塩酸塩お
よびTAN−2177B・一塩酸塩の物理化学的性状を
以下に示す。 TAN−2177A・一塩酸塩 (1)外観:白色粉末 (2)比旋光度:-32゜(c 0.50, H2O, 22℃) (3)分子量:SI−マススペクトル;m/z 877
(M + H)+ 高分解能FAB−マススペクトル;m/z 実測値;877.5281 計算値;877.5259 (4)元素分析値:(%)(水分4モルとして計算) 実測値;C, 48.69; H, 7.82; N, 17.36; Cl, 4.05 計算値;C, 48.75; H, 7.87; N, 17.05; Cl, 3.60 (5)分子式:C40H68N12O10・HCl (6)UVスペクトル:メタノ−ル中 末端吸収 (7)IRスペクトル:KBr 錠剤中,主な吸収を示す
(波数,cm-1)。(図1) 3340, 2960, 1660, 1550, 1460, 1390, 1250, 1100, 10
30, 610 (8)13C NMR スペクトル:75 Mz, 重メタノール中,
δppm (図2) (TAN−2177A・一塩酸塩は重メタノール中、2
種のコンフォーマーの混合物として存在するので、主コ
ンフォーマーのシグナルを示す) 180.1 (Q), 175.0 (Q), 174.1 (Q), 173.9 (Q), 172.5
(Q), 172.2 (Q), 171.8(Q), 171.0 (Q), 161.2 (Q), 15
8.7 (Q), 134.6 (Q), 121.8 (CH), 76.2 (CH),64.5 (C
H), 55.5 (CH2), 54.9 (CH), 54.3 (CH), 52.1 (CH), 5
0.5 (CH), 49.4(CH2), 44.4 (CH2), 43.9 (CH2), 43.7
(CH2), 42.3 (CH2), 42.1 (CH2), 39.1(CH2), 38.4 (CH
2), 37.4 (CH2), 35.7 (CH), 34.8 (CH), 29.2 (CH2),
26.3 (CH2), 25.6 (CH), 23.9 (CH3), 22.0 (CH3), 21.
3 (CH3), 17.3 (CH3), 15.5 (CH3), 15.2 (CH3), 13.6
(CH3) (9)アミノ酸分析:6N塩酸中、110℃で15時間
反応後、分析。グリシン(2モル)、ロイシン(1モ
ル)、アルギニン(1モル) (10)呈色反応:陽性;坂口,リンモリブデン酸反応 陰性;ドラ−ゲンドルフ,エールリッヒ反応 (11)高速液体クロマトグラフィー: カラム;アサヒパック(Asahipak)ODP-50, 直径 6.0 m
m × 長さ 150mm(旭化成社製) 移動相;28%(v/v)アセトニトリル/0.05Mリン酸
緩衝液(pH2.5) 流 速;1.0ml/分 検出法;214nm 保持時間;9.8分 (12)薄層クロマトグラフィー: 担体;シリカゲル60F254(メルク社製,ドイツ) 展開溶媒;クロロホルム:メタノ−ル:水:ギ酸(6:
4:1:0.1) Rf値;0.49
【0030】TAN−2177B・一塩酸塩 1)外観:白色粉末 2)比旋光度:-31゜(c 0.51, H2O, 22℃) 3)分子量:SI−マススペクトル;m/z 863 (M + H)
+ 高分解能FAB−マススペクトル;m/z 実測値;863.5110 計算値;863.5103 4)分子式:C39H66N12O10・HCl 5)UVスペクトル:メタノ−ル中 末端吸収 6)IRスペクトル:KBr 錠剤中,主な吸収を示す(波
数,cm-1)。(図3) 3350, 2960, 1660, 1550, 1450, 1390, 1250, 1100, 10
30, 610 7)13C NMR スペクトル:75 Mz, 重メタノール中,δp
pm (図4) (TAN−2177B・一塩酸塩は重メタノール中、2
種のコンフォーマーの混合物として存在するので、主コ
ンフォーマーのシグナルを示す) 179.9 (Q), 175.0 (Q), 174.1 (Q), 173.9 (Q), 173.3
(Q), 172.5 (Q), 172.1(Q), 171.0 (Q), 161.1 (Q), 15
8.6 (Q), 134.5 (Q), 121.7 (CH), 76.1 (CH),63.7 (C
H), 54.8 (CH), 54.3 (CH), 52.0 (CH), 50.5 (CH), 4
9.1 (CH2), 48.5(CH2), 44.5 (CH2), 43.8 (CH2), 43.6
(CH2), 42.5 (CH2), 42.0 (CH2), 38.4(CH2), 37.0 (C
H2), 35.7 (CH), 31.0 (CH2), 29.0 (CH2), 26.2 (C
H2), 25.7 (CH2), 25.6 (CH), 23.9 (CH3), 22.0 (C
H3), 21.3 (CH3), 15.5 (CH3), 15.2 (CH3), 13.6 (C
H3) 8)アミノ酸分析:6N塩酸中、110℃で15時間反
応後、分析。グリシン(2モル)、ロイシン(1モ
ル)、アルギニン(1モル)、プロリン(1モル) 9)呈色反応:陽性;坂口,リンモリブデン酸反応 陰性;ドラ−ゲンドルフ,エールリッヒ反応 10)高速液体クロマトグラフィー: カラム;アサヒパック(Asahipak)ODP-50, 直径 6.0 m
m × 長さ 150 mm(旭化成社製) 移動相;28%(v/v)アセトニトリル/0.05Mリン酸
緩衝液(pH2.5) 流 速;1.0ml/分 検出法;214nm 保持時間;6.9分 11)薄層クロマトグラフィー: 担体;シリカゲル60F254(メルク社製,ドイツ) 展開溶媒;クロロホルム:メタノ−ル:水:ギ酸(6:
4:1:0.1) Rf値;0.46
【0031】上述した物理化学的データおよびNMRス
ペクトルの詳細な検討によりTAN−2177A・一塩
酸塩およびB・一塩酸塩は下記の構造を有するものと決
定した。
【化5】
【0032】
【試験例1】スクアレン合成酵素阻害試験 〔方法〕 1. ヒト細胞由来酵素の調製 10%(v/v)牛胎児血清(ギブコ社製、米国)を含む
ダルベッコ改変イーグル培地(ギブコ社製、米国)で培
養して得られたヒト肝癌細胞 HepG2(約 1×109 cell
s)を氷冷緩衝液〔100mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.
4)、30mM ニコチンアミド、2.5mM MgCl2〕10mlに懸
濁後、超音波処理(30秒間、2回)によって細胞を破砕
した。得られたソニケートを4℃、10,000×gで
20分間遠心分離し、得られた上清を更に4℃、10
5,000×gで90分間遠心分離した。得られた沈渣
を氷冷10mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)に懸濁
後、再度4℃、105,000×gで90分間遠心分離
した。このようにして得られた沈渣(ミクロソーム画
分)を氷冷100 mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)
に懸濁(蛋白濃度 4mg/ml)し酵素液とした。
【0033】2.スクアレン合成酵素阻害活性の測定 5μM [1-3H] ファルネシルピロリン酸(25μCi/μmol
e、ニューイングランド・ニュークリアー社製、米国)
、1mM NADPH、5mM MgCl2、6mM グ
ルタチオン、100mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.
4)、及びTAN−2177A・一塩酸塩を含む溶液に、
ヒト細胞由来酵素液(蛋白量0.8μg)を添加し全量50
μlとした後に、37℃にて45分間反応させた。反応
液にクロロホルム・メタノール混液(1:2)150μlを添
加し反応を停止させた後、クロロホルム50μlおよび
3N水酸化ナトリウム溶液50μlを添加し反応生成物
をクロロホルム層(下層)に抽出した。スクアレン合成
酵素阻害活性は、クロロホルム層に取り込まれた放射活
性を被検化合物の代わりに水を加えた対照と比較するこ
とで算出した。被検化合物のスクアレン合成酵素50%
阻害濃度を〔表1〕に示す。 〔結果〕
【表1】スクアレン合成酵素阻害活性化合物 IC 50 (nM)TAN-2177A・一塩 酸塩 37
【0034】
【試験例2】ラット肝細胞におけるコレステロール生合
成阻害試験 〔方法〕セグレン(Seglen P.O.)の方法(メソッド・
イン・セル・バイオロジー、13巻、29頁、1976年)に従
ってコラゲナーゼ還流法により6週令雄性SDラットか
ら肝細胞を分離し、24穴マルチプレートに播種(105
細胞/穴)した後、5%(v/v)牛胎児血清および1n
M インスリン、1nM デキサメサゾン、100uni
t/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマ
イシンを含むウイリアムスE培地(大日本製薬)で一夜
培養した。このようにして得られた初代肝細胞に、TA
N−2177A・一塩酸塩を含む10%(v/v)リポ蛋
白欠乏ヒト血清(シグマ社製、米国)添加ダルベッコ改
変イーグル培地(ギブコ社製、米国) 250μlを添
加し、1時間インキュベートした後、25mM[14C]
酢酸(2.8μCi/μmole)10μlを添加し、更に4時間
インキュベートした。ダルベッコ・リン酸緩衝食塩水で
2度洗浄後、15%水酸化カリウム 100μlを加え
37℃にて細胞を溶解した。15%水酸化カリウム/8
0%(v/v)エタノール400μlを加え75℃にて1
時間ケン化した後、蒸留水 300μl及びヘキサン 8
00μlを加え不ケン化脂質を抽出した。ヘキサン層
400μlを減圧乾固後、0.1%コレステロール溶液
(アセトン:エタノール=1:1中)200μlに溶解
し、0.5%ジギトニン溶液(50%(v/v)エタノール
中)400μlを加え、一夜室温にて放置した。得られ
た沈澱をガラスフィルター(アドバンテック東洋、GC-5
0)上に集め50%(v/v)アセトンで洗浄した。コレス
テロール生合成阻害活性は、ジギトニン沈澱に取り込ま
れた放射活性を被検化合物の代わりに水を加えた対照と
比較することで算出した。被検化合物のコレステロール
生合成50%阻害濃度を〔表2〕に示す。 〔結果〕
【表2】ラット肝細胞におけるコレステロール生合成阻
害活性化合物 IC 50 (nM)TAN-2177A・一塩酸塩 140
【0035】
【試験例3】マウス毒性試験 TAN−2177A・一塩酸塩をマウス2匹に200m
g/kg腹腔内投与しても死亡例を認めなかった。
【0036】以上の試験例に示すように、本発明の化合
物またはその塩は、毒性が低く、非常に低濃度でヒト細
胞由来のスクアレン合成酵素の活性を阻害し、またラッ
ト肝細胞におけるコレステロール生合成を強力に阻害し
た。
【0037】
【製剤例1】化合物TAN−2177A・一塩酸塩を用
いて、下記に示す処方の全成分を混和し、ゼラチンカプ
セルに充填し、カプセル1個当たり、30mgの化合物
TAN−2177A・一塩酸塩を含有するカプセル剤を
製造した。 化合物TAN−2177A・一塩酸塩 30mg 乳糖 100mg コーンスターチ 40mgステアリン酸マグネシウム 10mg 合 計 180mg
【0038】
【製剤例2】化合物TAN−2177A・一塩酸塩、乳
糖、コーンスターチ(下記に示す量の半分)及びヒドロ
キシプロピルセルロースを混合し、これに水を加えて練
合・造粒した。次いで真空乾燥後、これとステアリン酸
マグネシウム及びコーンスターチ(下記に示す量の半
分)の混合物とを混合した。得られた混合物を圧縮成型
し、下記に示す処方の錠剤を製造した。 化合物TAN−2177A・一塩酸塩 60 mg 乳糖 68.4mg コーンスターチ 65 mg ヒドロキシプロピルセルロース 6 mgステアリン酸マグネシウム 0.6mg 合 計 200.0mg
【0039】
【製剤例3】化合物TAN−2177A・一塩酸塩を3
0%(w/v)ポリエチレングリコール400を含む生理
食塩水に溶解して、化合物TAN−2177A・一塩酸
塩の0.05%(w/v)溶液を調製し、滅菌瀘過して、バ
イアルに30mlずつ分注した。バイアル1個当たり、
15mgの化合物TAN−2177A・一塩酸塩を含有
する静注剤を製造した。
【0040】
【製剤例4】化合物TAN−2177B・一塩酸塩を用
いて、下記に示す処方の全成分を混和し、ゼラチンカプ
セルに充填し、カプセル1個当たり、30mgの化合物
TAN−2177B・一塩酸塩を含有するカプセル剤を
製造した。 化合物TAN−2177B・一塩酸塩 30mg 乳糖 110mg コーンスターチ 30mgステアリン酸マグネシウム 10mg 合 計 180mg
【0041】
【製剤例5】化合物TAN−2177B・一塩酸塩、乳
糖、コーンスターチ(下記に示す量の半分)及びヒドロ
キシプロピルセルロースを混合し、これに水を加えて練
合・造粒した。次いで真空乾燥後、これとステアリン酸
マグネシウム及びコーンスターチ(下記に示す量の半
分)の混合物とを混合した。得られた混合物を圧縮成型
し、下記に示す処方の錠剤を製造した。 化合物TAN−2177B・一塩酸塩 60 mg 乳糖 68.4mg コーンスターチ 65 mg ヒドロキシプロピルセルロース 6 mgステアリン酸マグネシウム 0.6mg 合 計 200.0mg
【0042】
【製剤例6】化合物TAN−2177B・一塩酸塩を3
0%(w/v)ポリエチレングリコール400を含む生理
食塩水に溶解して、化合物TAN−2177B・一塩酸
塩の0.05%(w/v)溶液を調製し、滅菌瀘過して、バ
イアルに30mlずつ分注した。バイアル1個当たり、
15mgの化合物TAN−2177B・一塩酸塩を含有
する静注剤を製造した。
【0043】
【発明の効果】化合物TAN−2177AおよびBまた
はそれらの塩は低毒性で、優れたスクアレン合成酵素阻
害活性を有しており、高脂血症の予防および治療剤とし
て有用である。また、該化合物は、酵母、例えばカンジ
ダ・アルビカンス(Candida albicans)、及び糸状菌、
例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)
等の菌に優れた抗菌活性を示す。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物TAN−2177Aの赤外線吸収スペク
トル(KBr錠剤中)
【図2】化合物TAN−2177Aの13C核磁気共鳴
(NMR)スペクトル(重メタノール中、内部標準とし
てテトラメチルシランを添加)
【図3】化合物TAN−2177Bの赤外線吸収スペク
トル(KBr錠剤中)
【図4】化合物TAN−2177Bの13C核磁気共鳴
(NMR)スペクトル(重メタノール中、内部標準とし
てテトラメチルシランを添加)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/14 C12R 1:645) (C12P 21/00 C12R 1:645) (72)発明者 砂原 英次 茨城県つくば市梅園2丁目5番地3 梅園 スクエアB棟307号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 【化1】 〔式中、Rはメチル基または水素原子を示す〕で表され
    る化合物TAN−2177またはその塩。
  2. 【請求項2】タラロミセス属に属し、請求項1記載の化
    合物TAN−2177を生産する能力を有する微生物を
    培地に培養し、培養物中に該化合物を生成蓄積せしめ、
    生成物を採取することを特徴とする請求項1記載TAN
    −2177の化合物またはその塩の製造法。
  3. 【請求項3】請求項1記載TAN−2177の化合物を
    生産する能力を有する微生物タラロミセス・フラバス。
  4. 【請求項4】請求項1記載の化合物TAN−2177を
    生産する能力を有する微生物タラロミセス・フラバス
    FL−55755株。
  5. 【請求項5】請求項1記載の化合物TAN−2177ま
    たはその塩を含有してなる医薬。
  6. 【請求項6】請求項1記載の化合物TAN−2177ま
    たはその塩を含有してなるスクアレン合成酵素阻害剤。
  7. 【請求項7】請求項1記載の化合物TAN−2177ま
    たはその塩を含有してなる抗高脂血症剤。
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CN113717860A (zh) * 2021-07-07 2021-11-30 昆明理工大学 黄篮状菌在三七总皂苷转化为小极性人参皂苷中的应用
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