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JPH08236823A - 超伝導放射線検出装置及びその製造方法 - Google Patents

超伝導放射線検出装置及びその製造方法

Info

Publication number
JPH08236823A
JPH08236823A JP7067386A JP6738695A JPH08236823A JP H08236823 A JPH08236823 A JP H08236823A JP 7067386 A JP7067386 A JP 7067386A JP 6738695 A JP6738695 A JP 6738695A JP H08236823 A JPH08236823 A JP H08236823A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
counter
base layer
film
lower electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7067386A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Morohashi
信一 諸橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP7067386A priority Critical patent/JPH08236823A/ja
Publication of JPH08236823A publication Critical patent/JPH08236823A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 超伝導放射線検出装置及びその製造方法に関
し、エネルギー分解能の優れたTa超伝導放射線検出装
置を再現性良く形成すると共に、製造工程を複雑化する
ことなく位置分解能の優れたTa超伝導放射線検出装置
を形成する。 【構成】 単結晶シリコン基板1上にTaとNbのエネ
ルギーギャップΔTaとΔ Nbとの関係がΔTa<ΔNbとなる
Nbベース層2、Taベース層3、及び、Al層4から
なる下部電極を設け、AlOx バリア層5を介して、T
aとNbのエネルギーギャップの関係がΔTa>ΔNbとな
るNbカウンタ層6及びTaカウンタ層7からなる上部
電極を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超伝導放射線検出装置及
びその製造方法に関するものであり、特に、物性分析分
野或いは医療分野において用いるエネルギー分解能及び
放射線収集能力を高めた超伝導放射線検出装置及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、X線を代表とする放射線は、物性
分析分野或いは医療分野等において広く用いられてお
り、その際に、X線検出装置としてはシリコンを代表と
する半導体放射線検出装置が使用されている。
【0003】しかしながら、シリコンを用いた半導体放
射線検出装置のエネルギー分解能は、6keVの入射X
線に対して最大150eVであり、より微細な物性分析
を行うには限界に達している。
【0004】このエネルギー分解能(相対分解能P)
は、電子−正孔対の生成に必要なエネルギーεに依存
し、Eを入射X線のエネルギー、Fをファノ因子とする
と、 P=2.355×(ε×F×E)1/2 ・・・ 式(1) で表される。なお、ファノ因子Fは、エネルギーEのX
線を入射させた場合に生成する電子−正孔対の数をNと
し、<>で囲まれたものをその平均値とした場合、<
(N−<N>)2 >/<N>で定義され、励起された電
子の数のゆらぎがポワソン分布のゆらぎより小さくなる
程度を示すパラメータであり、ポワソン分布に従う場合
は、F=1、従わない場合には、F<1となる(合志陽
一、佐藤公隆編,「エネルギー分散型X線分析」,日本
分光学会,学会出版センタ)。また、電子−正孔対の生
成に必要なエネルギーεは、Eg を放射線検出装置を構
成する半導体の禁制帯幅とすると、 ε=2.8×Eg +(0.5〜1.0)eV ・・・ 式(2) で表される(C.A.Klein,J.Appl.Ph
ys.,vol.39,p.2090,1968)。
【0005】例えば、Eg =1.16eVのシリコンの
pn接合を用いた放射線検出装置においては電子−正孔
対の生成に必要なエネルギーεは数eV(3.748〜
4.248eV、実測値3.76eV)となるため、6
keVの入射X線で励起される電子−正孔対の数N
1 は、 N1 =6000/3.76≒1.6×103 個 となり、かなり少ないものであるが、半導体放射線検出
装置の場合には、pn接合に外部から電界を印加するこ
とによって略100%に近い値で電子及び正孔を収集で
きるため、エネルギー分解能としては150eV(6k
eVにおいて)が達成されており、このエネルギー分解
能150eVは、ファノ因子Fの実測値0.08におけ
る理論限界(略100eV)に近づいている。
【0006】したがって、エネルギー分解能Pは上記の
式(1)に示したように、ε1/2 に比例するので、エネ
ルギー分解能を高めるためには、εの小さな材料を用い
る必要がある。そして、εを小さくするためには上記の
式(2)に示したようにEg を小さくすれば良いが、E
g を小さくしても、εを付加定数項の0.5〜1.0e
V以下にすることはできないため、エネルギー分解能P
の向上には限界がある。
【0007】一方、超伝導技術分野においては、ジョセ
フソン接合におけるエネルギーギャップが、半導体のバ
ンド・ギャップに比べて約3桁程度小さいことが知られ
ており、この超伝導体を用いて放射線検出装置を構成し
た場合には、数eVのエネルギー分解能、即ち、半導体
放射線検出装置に対して10倍の分解能が期待されるた
め、この超伝導体を用いた各種の放射線検出装置が提案
されている。
【0008】超伝導放射線検出装置においては、半導体
放射線検出装置における電子−正孔対の代わりにクーパ
ー対が励起されて準粒子が生成されることになり、一個
の準粒子の生成に必要なエネルギーεは、上記の式
(2)では表されないが、高エネルギー分解能の超伝導
放射線検出装置を実現するためには、半導体放射線検出
装置の場合と同様に、(1)生成される準粒子の数が多
いこと、及び、(2)生成された準粒子が途中でロスす
ることなしに収集できること、の二つが必要である。
【0009】例えば、ジョセフソン接合を用いた放射線
検出装置の場合には、6keVの入射X線で励起される
準粒子の数は、励起に要するエネルギーεを3.0me
Vとすると、 N1 =6000/3.0meV=2.0×106 個 となり、シリコンを用いた半導体放射線検出装置に比べ
て3桁程度多くなることが理論的に期待される。
【0010】しかし、超伝導体として錫(Sn)を用い
た超伝導放射線検出装置の場合には、6keVの入射X
線に対して37eVのエネルギー分解能、即ち、シリコ
ン半導体放射線検出装置の約5倍のエネルギー分解能が
得られているだけであり、理論的に期待される数eVの
エネルギー分解能の1/10程度しか得られていない
(W.Rothmund.et.al.,“X−RAY
DETECTIONBY SUPERCONDUCT
ING TUNNEL JUNCTIONS”,edi
ted by A.Barone(World Sci
entific,Singapore),pp.63,
1991)。
【0011】この錫を用いた超伝導放射線検出装置にお
いて、期待された値が得られない理由としては、超伝導
体では電界が進入できないため、半導体のように電界を
印加して準粒子を収集することができず、したがって、
準粒子の生成数が多いにもかかわらず、準粒子の収集効
率が悪いことが原因として考えられる。
【0012】そして、この錫を用いた超伝導放射線検出
装置は、そのエネルギー分解能が理論的予測値より遙に
劣るだけでなく、80年代前半までジョセフソン集積回
路接合材料として用いられていた鉛(Pb)接合と同様
に、経時変化、及び、室温−極低温−室温の熱サイクル
に弱い、即ち、熱サイクルによってバリアが劣化してシ
ョートするという致命的欠陥を有しているため、実用的
な放射線検出装置とは言えなかった。
【0013】また、超伝導デジタル集積回路において広
く用いられている経時変化及び熱サイクルに対して安定
なNb/AlOX −Al/Nb接合を用いて、放射線検
出装置を構成する実験が多くの研究機関で行われている
が、錫を用いた放射線検出装置のエネルギー分解能より
低い値しか得られていない。
【0014】近年、この様な錫やNbを用いた超伝導放
射線検出装置の有する欠点を改善するために、各種の提
案がなされているが、生成された準粒子が途中でロスな
しに収集されるためには準粒子の寿命が長い方が有利で
あると考えられるので、各種の代表的な超伝導材料の準
粒子寿命を調べてみた。その結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】なお、表1には、X線吸収能、即ち、放射
線阻止能も合わせて示しており、表においては、10k
eVの入射X線を90%吸収するために必要な層厚を示
しているものであり、この値が小さければ小さいほど、
X線吸収能が大きいことを示している。この、X線吸収
能は、単結晶シリコン基板の裏面からX線を入射させる
場合に、必要となる特性であり、以下におけるX線吸収
能の評価は表1に示した膜厚の逆数で行うものである。
【0017】ここで、表1を参照して、各種の超伝導材
料の準粒子寿命を検討することにする。表1から明らか
なように、Alの準粒子寿命τ0 は438ns(10-9
sec)で、他の材料に比べて2桁程度長いものの、X
線吸収能は300μmで他の材料より1桁低いものであ
り、また、Sn(錫)の準粒子寿命τ0 は2.30ns
で、0.149のNbに比べて約1桁大きく、且つ、X
線吸収能もNbの略1.5倍であるため、この点から
は、超伝導放射線検出装置として最適の材料ではある
が、上述のように熱サイクル、即ち、熱的安定性に弱い
という致命的欠陥があるものである。
【0018】一方、熱的安定性に強い材料としてはTa
があり、且つ、Taの準粒子寿命τ 0 は、1.78ns
とNbやPb等の他の材料と比較して大きく、且つ、X
線吸収能が高いため、超伝導体として、この準粒子寿命
の長く、且つ、熱的に安定なTaを用いた超伝導放射線
検出装置が試みられている。
【0019】この従来の超伝導放射線検出装置を図13
を参照して説明する。図13参照この従来の超伝導放射
線検出装置は、単結晶シリコン基板27上にTaベース
層28、バリア層29、及び、Taカウンタ層30をス
パッタリング法によって堆積させたのちパターニングす
ることにより、所定面積のジョセフソン接合を形成し
て、SiO2 等の保護絶縁膜31で被覆し、次いで、T
aベース層28及びTaカウンタ層30と電気的に接続
するTa配線層32を設けたものである。この様に、T
aを用いた超伝導放射線検出装置は、熱的安定性が良好
で、また、準粒子寿命も比較的長いので、Taを用いる
ことによってエネルギー分解能が高く、且つ、実用性の
ある超伝導放射線検出装置が得られる。
【0020】さらに、物性分析或いは医療応用の検出装
置としては、高エネルギー分解能のみならず、位置分解
能も重要な要因であるため、放射線検出素子をアレイ化
して位置検出能力をもたせることも期待されており、こ
の様な位置検出能力を有する従来の超伝導放射線検出装
置を図14及び図15を参照して説明する。
【0021】図14(a)参照 先ず、単結晶シリコン基板27の裏面にTa放射線阻止
膜33をスパッタリング法で堆積させたのち、単結晶シ
リコン基板27表面側に、Taベース層28、バリア層
29、及び、Taカウンタ層30を同じくスパッタリン
グ法によって堆積させる。
【0022】図14(b)参照 次いで、第1のフォトレジストマスク31をマスクとし
て、RIE(反応性イオンエッチング)法によって、T
a放射線阻止膜33をパターニングしたのち、このTa
放射線阻止膜33からなるパターンをマスクとしてKO
H水溶液で単結晶シリコン基板27をエッチングして、
X線が入射するX線入射孔35を形成する。
【0023】図14(c)参照 次いで、第2のフォトレジストマスク36を用いて、ま
ず、Taカウンタ層30をRIE法によってエッチング
し、次いで、バリア層29をArを用いたイオンミーリ
ング法によってエッチングすることによって、ジョセフ
ソン接合の面積を所定の大きさに画定する。
【0024】図15(d)参照 次いで、第3のフォトレジストマスク37を用いてTa
ベース層28を再びRIE法によってエッチングして、
Taベース層28の大きさを画定する。 図15(e)参照 次いで、SiO2 膜を保護絶縁膜38として用いてジョ
セフソン接合を被覆する。
【0025】図15(f)参照 次いで、第4のフォトレジストマスク(図示せず)を用
いて、Taベース層28及びTaカウンタ層30に対す
るコンタクトホールを形成したのち、Ta層を全面にス
パッタリング法によって堆積させ、次いで、第5のフォ
トレジストマスク(図示せず)を用いてパターニングし
てTa配線層39を形成して、位置検出能力を有するT
a放射線検出装置が完成する。
【0026】なお、単結晶シリコン基板27の裏面に設
けたTa放射線阻止膜33の残部は、表1に示したよう
にTaはX線吸収能が非常に高いためX線遮蔽膜として
作用し、X線入射孔35においてのみX線を透過させる
ので、ジョセフソン接合部にX線入射孔35以外からの
X線が入射することがなく、位置検出精度が高まるもの
である。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図13
に示した従来のTa超伝導放射線検出装置においては、
再現性良く、良好な素子特性を有する放射線検出装置が
得られないという問題がある。即ち、上記の表1に示し
たTaは体心立方晶(bcc)構造をもち、相転移温度
(Tc )は4.47°Kであるが、Taの結晶構造は下
地基板の影響を受けやすく、通常の堆積工程において
は、相転移温度(Tc )が0.5°Kの正方晶(Tet
ragonal)構造の薄膜が形成されやすい。
【0028】この、正方晶構造のTaは相転移温度(T
c )が0.5°Kで、液体ヘリウム温度4.2°Kより
低いため、超伝導放射線検出装置として動作させるため
の極低温環境を形成することが困難であった。また、正
方晶構造のTaの形成を避けるためには、基板温度を3
00℃程度に加熱すれば良いが、基板を加熱することに
よって接合界面の乱れが生じるので、良好な素子特性を
得ることができなかった。
【0029】また、従来のジョセフソン接合構造では、
生成した準粒子を閉じ込めておく機構が存在しないた
め、準粒子寿命が長いわりにはエネルギー分解能が向上
しないという欠点があった。
【0030】一方、図14及び図15に示した従来の他
の超伝導放射線検出装置においては、充分な集積度を得
ることができないため、位置分解能を充分に高めること
ができないという問題がある。即ち、位置分解能は、隣
接するX線入射孔の間隔に依存するが、従来において
は、単結晶シリコン基板の面方位を充分に意識せずに使
用していたため、一般には(100)面方位の単結晶シ
リコン基板を用いていた。
【0031】図16(a)参照 この単結晶シリコン基板にX線入射孔を形成するために
KOH液を用いてエッチングした場合、所謂エッチピッ
トと呼ばれる面方位に依存した形状のエッチング孔が形
成され、例えば、通常用いている厚さ400μmの(1
00)面方位単結晶シリコン基板40においては、10
0×100μm2 のジョセフソン接合に合わせた開口を
形成するためには、Ta放射線阻止膜との界面におい
て、900×900μm2 の開口部を設けておく必要が
あり、位置分解能のためにはデッドスペースになり、位
置分解能が向上しないという問題がある。
【0032】この問題を解決するには、単結晶シリコン
基板の厚さを薄くすれば良いが、あまり薄くしすぎる
と、ハンドリングの際の基板の損傷が問題となり、ま
た、現在の通常の研磨技術からは薄層化は100μm程
度が限度であるので、100μmの厚さの(100)面
方位単結晶シリコン基板40に100×100μm2
ジョセフソン接合に合わせた開口を形成するためには、
Ta放射線阻止膜との界面において、300×300μ
2 の開口部を設けることが必要となり、依然として位
置分解能の不確定性は大きいものである。
【0033】また、他の手段として、KOH液を用いた
ウェット・エッチングの代わりに、異方性エッチング特
性を有するドライ・エッチングを用いれば、略垂直な壁
面を有する開口部の形成が可能であるため、位置分解能
の問題は一応解決されるが、エッチング速度の遅いドラ
イ・エッチングを用いて、100〜400μmの厚さを
有する単結晶シリコン基板を貫通するX線入射孔を形成
するためには、膨大な時間を必要とし、非現実的な手段
である。
【0034】したがって、本発明は、エネルギー分解能
の優れたTa超伝導放射線検出装置を再現性良く形成す
ると共に、製造工程を複雑化することなく位置分解能の
優れたアレイ化したTa超伝導放射線検出装置を形成す
ることを目的とする。
【0035】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理的構
成の説明図であり、図1を参照して、本発明における課
題を解決するための手段を説明する。なお、図1(a)
は、本発明の超伝導放射線検出装置の基本的素子構造の
断面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A’の
一点鎖線に沿ったエネルギーギャップ構造を示すもので
ある。
【0036】図1(a)及び(b)参照 本発明は、超伝導放射線検出装置において、基板1上に
Nbベース層2、Taベース層3、及び、Al層4から
なる下部電極を設け、AlOx バリア層5を介して、N
bカウンタ層6及びTaカウンタ層7からなる上部電極
を設けると共に、下部電極におけるTaとNbのエネル
ギーギャップΔTaとΔNbとの関係がΔTa<ΔNbであり、
また、上部電極におけるTaとNbのエネルギーギャッ
プの関係がΔTa>ΔNbであることを特徴とする。なお、
図1(a)における符号10は保護絶縁膜である。
【0037】また、本発明は、上部電極構造として、バ
リア層5側から順次Al層、Nbカウンタ層6、及び、
Taカウンタ層7を積層させた三層構造を用いることを
特徴とする。
【0038】また、本発明は、超伝導放射線検出装置に
おいて、基板1上にNbベース層2、Taベース層3、
及び、Al層4からなる下部電極を設け、AlOx バリ
ア層5を介して、Wカウンタ層及びTaカウンタ層7か
らなる上部電極を設けると共に、下部電極におけるTa
とNbのエネルギーギャップΔTaとΔNbとの関係がΔ Ta
<ΔNbであることを特徴とする。
【0039】また、本発明は、上部電極構造として、バ
リア層5側から順次Al層、Wカウンタ層、及び、Ta
カウンタ層7を積層させた三層構造を用いることを特徴
とする。
【0040】また、本発明は、配線層12としてTaベ
ース層3及びTaカウンタ層7とのエネルギーギャップ
の関係がΔTa<ΔNbであるNb層を用いたことを特徴と
する。
【0041】また、本発明は、超伝導放射線検出装置の
製造方法において、単結晶シリコン基板1上に相転移温
度が9.25°Kになる成膜条件で下部電極のNb層2
をスパッタリングすると共に、上部電極のNb層6を下
部電極のNb層2よりも低印加電力密度で、且つ、遅い
堆積速度でスパッタリングして、上部電極のNb層6の
エネルギーギャップが下部電極のNb層2のエネルギー
ギャップよりも小さくなるようにしたことを特徴とす
る。
【0042】また、本発明は、超伝導放射線検出装置に
おいて、基板の表面上にNbベース層、Taベース層、
及び、Al層からなる下部電極を設け、AlOx バリア
層を介して、Nbカウンタ層及びTaカウンタ層からな
る上部電極を設け、且つ、下部電極におけるTaとNb
のエネルギーギャップΔTaとΔNbとの関係をΔTa<Δ Nb
とし、また、上部電極におけるTaとNbのエネルギー
ギャップの関係をΔTa>ΔNbとすると共に、基板の裏面
に放射線阻止膜を設け、この放射線阻止膜及び基板に放
射線入射孔を設けたことを特徴とする。
【0043】また、本発明は、超伝導放射線検出装置に
おいて、基板の表面上にNbベース層、Taベース層、
及び、Al層からなる下部電極を設け、AlOx バリア
層を介して、Wカウンタ層及びTaカウンタ層からなる
上部電極を設け、且つ、下部電極におけるTaとNbの
エネルギーギャップΔTaとΔNbとの関係をΔTa<ΔNb
すると共に、基板の裏面に放射線阻止膜を設け、この放
射線阻止膜及び基板に放射線入射孔を設けたことを特徴
とする。
【0044】また、本発明は、Nbベース層及びTaベ
ース層からなる一つの下部電極に対して一つのジョセフ
ソン接合を形成すること、或いは、Nbベース層及びT
aベース層からなる一つの下部電極に対して複数のジョ
セフソン接合を形成することを特徴とする。
【0045】また、本発明は、基板として面方位が(1
10)面の単結晶シリコン基板を用いると共に、放射線
阻止膜としてTa膜を用い、且つ、Ta膜をAl膜で被
覆し、さらに、下部電極、バリア層、及び、上部電極を
シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜で順次被覆したこと
を特徴とする。
【0046】
【作用】基板上にNbベース層2を介してTaベース層
3を設けることによって、また、Nbカウンタ層6を介
してTaカウンタ層7を設けることによって、体心立方
晶構造を有する相転移温度が4.47°KのTaベース
層3及びTaカウンタ層7を再現性良く形成することが
でき、また、Al層4を介してAlOx バリア層5を設
けることにより、良好な界面特性を有するバリア層を形
成することがでる。
【0047】また、下部電極におけるTaとNbのエネ
ルギーギャップΔTaとΔNbとの関係をΔTa<ΔNbとし、
且つ、上部電極におけるTaとNbのエネルギーギャッ
プの関係をΔTa>ΔNbとすることによって、エネルギー
・バリアによる閉じ込め機構が形成されるので、準粒子
の収集効率を高めることができる。
【0048】この様子を図2を参照して説明する。 図2参照 図2は、図1(b)に示す構造をバイアスした状態にお
いてX線が入射した場合のエネルギーバリア構造を示し
たもので、Taベース層3において入射X線13によっ
て電子対14が励起されて準粒子15が生成され、生成
された準粒子はAlOx バリア層5をトンネルして、T
aカウンタ層7を介してNb配線層12から取り出され
る。
【0049】この場合、Nbベース層2の方向に向かう
準粒子15は、Nbベース層2とTaベース層3とのエ
ネルギーギャップの差に起因するエネルギーバリアによ
って跳ね返されてAlOx バリア層5側に向かい、Al
x バリア層5をトンネルして、Taカウンタ層7を介
してNb配線層12から取り出されることになり、準粒
子15の収集効率が高まる。
【0050】また、上部電極構造としてバリア層5側か
ら順次Al層、Nbカウンタ層6、及び、Taカウンタ
層7を積層させた三層構造を用いることにより、バリア
をさらに高品質に保つことができる。
【0051】また、基板1上にNbベース層2を介して
Taベース層3を設けることによって、また、Wカウン
タ層を介してTaカウンタ層7を設けることによって、
体心立方晶構造を有する相転移温度が4.47°KのT
aベース層3及びTaカウンタ層7を再現性良く形成す
ることができ、また、Al層4を介してAlOx バリア
層5を設けることにより、良好な界面特性を有するバリ
ア層を形成することがでる。
【0052】また、下部電極におけるTaとNbのエネ
ルギーギャップΔTaとΔNbとの関係はΔTa<ΔNbとな
り、且つ、上部電極におけるTaとWのエネルギーギャ
ップの関係はΔTa>ΔW となるので、エネルギー・バリ
アによる閉じ込め機構が形成されて準粒子の収集効率を
高めることができる。
【0053】また、上部電極構造としてバリア層5側か
ら順次Al層、Wカウンタ層、及び、Taカウンタ層7
を積層させた三層構造を用いることにより、バリアをさ
らに高品質に保つことができる。
【0054】また、配線層12としてエネルギーギャッ
プの関係がΔTa<ΔNbであるNb層を用いたことによ
り、準粒子の閉じ込めをさらに効率的に行うことができ
る。
【0055】また、下部電極のNbベース層2と、上部
電極のNbカウンタ層6の堆積条件を変えることによっ
て、Nb層のエネルギーギャップを変え、同じ材料を使
用して効率的な準粒子の閉じ込め構造を形成することが
できる。
【0056】また、基板の裏面に放射線阻止膜を設け、
この放射線阻止膜及び基板に放射線入射孔を設けること
により、別の位置に入射した放射線の散乱光を誤って検
出することがないので、アレイ化した場合の超伝導放射
線検出装置の位置検出能を高めることができる。
【0057】また、一つの下部電極に対して一つのジョ
セフソン接合を形成することよって、位置検出能を高く
することができ、一方、一つの下部電極に対して複数の
ジョセフソン接合を形成することによって、複数のジョ
セフソン接合からの出力を利用できるため、放射線の収
集効率を高めることができる。
【0058】図16(b)参照 また、基板として面方位が(110)面の単結晶シリコ
ン基板41を用いることによって、KOH液を用いてエ
ッチングした場合にも、図16(b)に示すように放射
線入射孔の壁面を略垂直にできるので、放射線入射孔を
設ける密度を高めることができ、したがって、アレイ化
した場合の超伝導放射線検出装置の位置検出能を高める
ことができる。
【0059】また、放射線阻止膜としてジョセフソン接
合を形成するTa膜と同じTa膜を用いることによっ
て、堆積装置の構成を簡素化することができ、さらに、
下部電極、バリア層、及び、上部電極をシリコン酸化膜
及びシリコン窒化膜で順次被覆することによって、シリ
コン酸化膜及びシリコン窒化膜が、放射線入射孔形成の
際の耐エッチング保護膜として機能すると共に、配線層
形成の際の表面保護膜としても機能する。
【0060】
【実施例】図3乃至図5は本発明の第1の実施例の製造
工程の説明図である。 図3(a)参照 まず、(110)面の単結晶シリコン基板1上に、DC
マグネトロンスパッタリング法を用いて、印加電流1.
5A、印加電圧300V、Arガス圧を1.3Paとし
た条件で、2.5nm/秒の堆積速度で50nmのNb
ベース層2を堆積させたのち、200nmのTaベース
層3、及び、20nmのAl層4からなる下部電極を堆
積させる。
【0061】この場合、Nbベース層2の堆積条件は、
その相転移温度が9.25°Kになる条件を選択して、
相転移温度の大きな、即ち、エネルギーギャップの大き
なNb層を得るものであり、また、その厚さは、単なる
バッファ層として用いる場合には、2〜5nm程度でも
良いが、Nbの超伝導性を積極的に利用して準粒子の閉
じ込め構造を形成するためには10〜100nmの厚さ
が必要であり、さらに、100〜300nmにしても良
い。また、Taベース層3の厚さは50nm以上あれば
良く、上限はTaベース層3においてX線を吸収するも
のである以上、検出対象とするX線のエネルギーにより
決定され、例えば、高エネルギーの場合には10μmに
しても良い。さらに、Al層4の厚さは5〜50nmの
範囲であれば良いが、50〜100nmの範囲であって
も問題はない。
【0062】次いで、Al層4の表面を酸化することに
よって、約10Å(1nm)の厚さのAlOx バリア層
5を形成したのち、同じく、DCマグネトロンスパッタ
リング法を用いて、印加電流0.3A、印加電圧250
V、Arガス圧1.3Pa、及び、堆積速度0.5nm
/秒とした条件で、相転移温度が3.0°KのNbカウ
ンタ層6を5nm堆積させ、次いで、20nmの厚さの
Taカウンタ層7を堆積させて上部電極を形成する。
【0063】なお、このAlOx バリア層5はAl層4
の酸化により形成したため、ピンホールのない均一なバ
リア層となり、また、Nbカウンタ層6の堆積条件は、
Nbベース層2のエネルギーギャップより小さく、且
つ、Taカウンタ層7より小さくなる低堆積速度の条件
を選択することにより、相転移温度が低い、即ち、エネ
ルギーギャップの小さなNb層を形成して、体心立方晶
のTa成膜のためのバッファ層としては作用するもの
の、準粒子に対するエネルギーバリアとはならないよう
にする必要がある。エネルギーギャップが小さい材料は
相転移温度が低いため、このNbカウンタ層6は液体H
e温度では超伝導体とならないため、近接効果等の素子
特性に与える影響を少なくするために、その厚さは10
nm以下にすることが望ましく、さらに、Taカウンタ
層7の厚さは10〜500nmの範囲であれば良い。
【0064】図3(b)参照 次いで、第1のフォトレジストマスク8をマスクとし
て、CF4 +5%O2 ガスを用いた7Paの圧力、及
び、印加電力50Wの条件下でRIE(反応性イオンエ
ッチング)を行うことによって、Taカウンタ層7及び
Nbカウンタ層6をエッチングしたのち、Arを用いた
イオンミーリングによって、AlOx バリア層5及びA
l層4をエッチングし、ジョセフソン接合の接合面積を
決定する。
【0065】図4(c)参照 次いで、第1のフォトレジストマスクを除去したのち、
新たに設けた第2のフォトレジストマスク9をマスクと
して、同じく、CF4 +5%O2 ガスを用いた7Paの
圧力、及び、印加電力50Wの条件下で反応性イオンエ
ッチングを行うことによって、Taベース層3及びNb
ベース層2をエッチングして、ベース層の大きさを決定
する。
【0066】図4(d)参照 次いで、第2のフォトレジストマスクを除去したのち、
RFスパッタリング法によって、600nm以上の厚さ
のSiO2 膜からなる保護絶縁膜10を堆積させる。な
お、この保護絶縁膜として、SiO2 膜以外にシリコン
窒化膜を用いても良いし、また、SiO2 膜とシリコン
窒化膜の2層膜を用いても良い。
【0067】図5(e)参照 次いで、新たに設けた第3のフォトレジストマスク11
をマスクとして、CHF3 +30%O2 ガスを用いた7
Paの圧力、及び、印加電力50Wの条件下で反応性イ
オンエッチング法によって保護絶縁膜10をエッチング
して、上部電極及び下部電極に対するコンタクトホール
を形成する。
【0068】図5(f)参照 次いで、第3のフォトレジストマスクを除去したのち、
Nb層を堆積させ、新たなフォトレジストマスク(図示
せず)をマスクとして反応性イオンエッチング法によっ
てエッチングすることによって、800nmの厚さのN
b配線層12を形成して、超伝導放射線検出装置が完成
する。
【0069】ここで、Ta層を堆積させる下地バッファ
層としてNb層を用いる理由を説明するが、発明が解決
しようとする課題において触れたように、堆積させたT
a層の結晶構造は下地依存性が強いものであるので、先
ず、調べた各種のバッファ層に対する下地依存性を説明
する。
【0070】(100)面方位の単結晶シリコン基板上
に、直接、Al(面心立方晶構造:fcc)バッファ層
を介して、Zr(六方最密構造:hcp)を介して、N
b(体心立方晶構造:bcc)を介して、及び、W(b
cc)を介して、200nmのTa膜をDCマグネトロ
ンスパッタリング法を用いて堆積させる。なお、バッフ
ァ層の厚さは、全て10nmとする。
【0071】次いで、これらの試料のX線回折試験を行
うと、基板に直接Taを堆積させた場合には、ダイアモ
ンド構造のシリコンと体心立方晶構造のTaの格子定数
の差が大きいため正方晶構造(Tetragonal)
のTa膜が得られ、一方、バッファ層を介した場合に
は、体心立方晶構造のTa膜が得られていることが分か
った。しかし、X線回折強度からは、回折強度の弱いA
lバッファ層を用いた場合には、4.2°K(液体He
温度)における電気抵抗の測定で超伝導性を示さず、Z
rバッファ層、Nbバッファ層、及び、Wバッファ層の
場合に、4.2°Kにおいて超伝導性を示した。
【0072】したがって、単にバッファ層として用いる
だけであるのならば、Zr或いはWを用いても良いが、
図1(b)に示すように準粒子を閉じ込めるためのエネ
ルギーバリア構造を形成するためには、下部電極として
は、Zr(相転移温度:0.55°K)及びW(相転移
温度:0.012°K)に比べてエネルギーギャップの
大きなNb(相転移温度:9.25°K)を用いること
が必要となる。即ち、BCS理論からは、超伝導体のエ
ネルギーギャップΔは、Tc を相転移温度及びkB をボ
ルツマン定数とすると、Δ=1.76kB ・Tc である
ので、相転移温度が大きいほど、エネルギーギャップが
大きくなるためである。
【0073】一方、上部電極においても閉じ込め構造を
形成するためには、Taカウンタ層7の下地膜として、
エネルギーギャップの小さな下地膜が必要であるが、N
b膜は結晶構造及び相転移温度に顕著な下地依存性は見
られないが、堆積条件によって、得られる膜のエネルギ
ーギャップが異なるものであるため、この特性を利用し
て、Taカウンタ層7の下地膜としても、下部電極のT
aベース層3の下地膜と同じNbを用いることによっ
て、スパッタリング装置の構成簡素化することができ
る。
【0074】また、配線層12として、相転移温度が
9.25°KのNb膜を用いることによって、上部電極
のTaカウンタ層7に対してエネルギーギャップの大き
なNb配線層12がエネルギーバリアとなるため、準粒
子の閉じ込め効果をさらに高めることができる。
【0075】なお、上記の第1の実施例においては、基
板として、(110)面の単結晶シリコン基板1を用い
ているが、この場合には、(100)面の単結晶シリコ
ン基板でも良いし、或いは、ガラス等の他の基板でも良
いものである。また、上部電極として、AlOx バリア
層5とNbカウンタ層6との間に40〜50Å程度のA
l層を介在させて、Al/Nb/Taの三層構造として
も良く、この場合には、バリアの界面特性がさらに高ま
る。
【0076】次に、図6を参照して、本発明の第2の実
施例を説明する。なお、図6(a)は第2の実施例の超
伝導放射線検出装置の断面図であり、また、図6(b)
は図6(a)のA−A’を結ぶ一点鎖線に沿ったエネル
ギーギャップ構造を示すもので、さらに、図6(c)
は、第2の実施例の超伝導放射線検出装置のI−V特性
(電流−電圧特性)を示すものである。
【0077】図6(a)参照 この第2の実施例は、第1の実施例におけるNbカウン
タ層6をWカウンタ層16に置き換えた点、及び、各層
の厚さが異なる点で相違するのみで、その他の製造条件
及び製造工程順等は図3乃至図5の工程と同じであるの
で簡単に説明する。
【0078】まず、(110)面の単結晶シリコン基板
1上に、DCマグネトロンスパッタリング法を用いて、
印加電流1.5A、印加電圧300V、Arガス圧を
1.3Paとした条件で、2.5nm/秒の堆積速度で
100nmのNbベース層2を堆積させたのち、300
nmのTaベース層3、及び、50nmのAl層4から
なる下部電極を堆積させる。なお、Nbベース層2の厚
さは、10〜300nm、Taベース層3の厚さは50
nm以上、また、Al層4の厚さは5〜100nmの範
囲であれば良い。
【0079】次いで、Al層4の表面を酸化することに
よって、約10Å(1nm)の厚さのAlOx バリア層
5を形成したのち、同じく、DCマグネトロンスパッタ
リング法を用いて、印加電流1.5A、印加電圧300
V、Arガス圧を1.3Paとした条件で、2.5nm
/秒の堆積速度でWカウンタ層16を20nm堆積さ
せ、次いで、200nmの厚さのTaカウンタ層7を堆
積させて上部電極を形成する。その後のエッチング工
程、成膜工程等は第1の実施例と同じに行い、超伝導放
射線検出装置を完成する。
【0080】この場合、WはNbと同様に結晶構造に顕
著な下地依存性が見られないので、Wカウンタ層16は
体心立方晶のTa成膜のためのバッファ層として作用す
るものであるが、その相転移温度が0.012°Kと非
常に低いため、したがって、そのエネルギーギャップの
小さいため、準粒子に対するエネルギーバリアとはなら
ない。また、Wカウンタ層16はTa成膜のためのバッ
ファ層であるので薄い方が、例えば、10nm以下であ
ることが望ましいが、Wは抵抗率が非常に小さいため多
少厚くしても接合特性に悪影響を及ぼさないので、20
nm以下、さらには100nm以下であっても良い。
【0081】図6(b)参照 この第2の実施例の超伝導放射線検出装置のエネルギー
ギャップ構造は、第1の実施例の超伝導放射線検出装置
のエネルギーギャップ構造とほとんど同等であり、上部
電極側のNbカウンタ層6がよりエネルギーギャップの
小さなWカウンタ層16に置き換わっているだけで、接
合特性は略同じである。
【0082】図6(c)参照 図6(c)は、ジョセフソン接合の面積を50×50μ
2 としたTa/W/AlOx −Al/Ta/Nb構造
の超伝導放射線検出装置のI−V特性を0.5°Kにお
いて測定したものであり、ギャップ電圧の立ち上がりが
急峻で、しかも、暗電流も非常に小さことがわかり、良
好なジョセフソン接合が形成されているのが確認され
た。
【0083】次に、図7乃至図10を参照して、本発明
の第3の実施例である位置検出能力を有する超伝導放射
線検出装置を説明する。なお、図においては、一つのジ
ョセフソン接合部を示しているが、実際には、これらが
アレイ化して設けられているものである。
【0084】図7(a)参照 まず、(110)面の単結晶シリコン基板1の裏面上
に、DCマグネトロンスパッタリング法を用いて、5μ
mのTa放射線阻止膜17及び50nmのAl保護膜1
8を堆積させる。なお、Taは表1から明らかなように
X線吸収能が高いため良好な放射線阻止膜となるもので
あり、このTa放射線阻止膜17の厚さは、検出対象と
する放射線のエネルギーによって適当な厚さを選択する
ものであるが、一般的には1〜10μmの範囲であれば
良く、また、Al保護膜18は、後工程における厚さ1
〜10μmのTa放射線阻止膜17にX線入射孔を形成
する際の、数十分かかる反応性イオンエッチング工程に
おいてフォトレジストマスクが消失してTa放射線阻止
膜17がエッチングされるのを防ぐためのものであり、
10〜100nmの厚さであれば良い。
【0085】次いで、単結晶シリコン基板1の反対側の
表面上に、DCマグネトロンスパッタリング法を用い
て、印加電流1.5A、印加電圧300V、Arガス圧
を1.3Paとした条件で、2.5nm/秒の堆積速度
で50nmのNbベース層2を堆積させたのち、200
nmのTaベース層3、及び、20nmのAl層4から
なる下部電極を堆積させる。
【0086】この場合、Nbベース層2の堆積条件も、
その相転移温度が9.25°Kになる条件を選択するも
のであり、また、その厚さは、単なるバッファ層として
用いる場合には、2〜5nm程度でも良いが、Nbの超
伝導性を積極的に利用して準粒子の閉じ込め構造を形成
するめには10〜100nmの厚さが必要であり、さら
に、100〜300nmにしても良い。また、Taベー
ス層3の厚さは50nm以上あれば良く、上限はTaベ
ース層3においてX線を吸収するものである以上、検出
対象とするX線のエネルギーにより決定され、例えば、
高エネルギーの場合には10μmにしても良い。さら
に、Al層4の厚さは5〜50nmの範囲であれば良い
が、50〜100nmにしても問題はない。
【0087】次いで、Al層4の表面を酸化することに
よって、約1nmの厚さのAlOxバリア層5を形成し
たのち、同じく、DCマグネトロンスパッタリング法を
用いて、印加電流0.3A、印加電圧250V、Arガ
ス圧を1.3Paとした条件で、0.5nm/秒の堆積
速度で5nmのNbカウンタ層6、及び、200nmの
厚さのTaカウンタ層7からなる上部電極を堆積させ
る。
【0088】なお、この場合の、Nbカウンタ層6の堆
積条件も、Nbベース層2のエネルギーギャップより、
且つ、Taカウンタ層7より小さくなる低堆積速度の条
件を選択すれば良く、また、その厚さは素子特性を良好
にするために10nm以下にすることが望ましく、Ta
カウンタ層7の厚さは10〜500nmの範囲であれば
良い。
【0089】図7(b)参照 次いで、第1のフォトレジストマスク8をマスクとし
て、CF4 +5%O2 ガスを用いた7Paの圧力、及
び、印加電力50Wの条件下で反応性イオンエッチング
を行うことによって、Taカウンタ層7及びNbカウン
タ層6をエッチングしたのち、Arを用いたイオンミー
リングによって、AlOx バリア層5及びAl層4をエ
ッチングし、ジョセフソン接合の接合面積を決定する。
【0090】図8(c)参照 次いで、第1のフォトレジストマスクを除去したのち、
新たに設けた第2のフォトレジストマスク9をマスクと
して、同じく、CF4 +5%O2 ガスを用いた7Paの
圧力、及び、印加電力50Wの条件下で反応性イオンエ
ッチングを行うことによって、Taベース層3及びNb
ベース層2をエッチングして、ベース層の大きさを決定
する。
【0091】図8(d)参照 次いで、第2のフォトレジストマスクを除去したのち、
RFスパッタリング法によって、600nmの厚さのS
iO2 膜19及び200nmのシリコン窒化膜20を堆
積させる。なお、SiO2 膜19は600nm以上の厚
さがあれば良いものであり、また、シリコン窒化膜20
は、後工程における単結晶シリコン基板1にX線入射孔
を形成するためのKOH液を用いたウェット・エッチン
グ工程においてSiO2 膜19がエッチングされること
を防ぐ保護マスクとして機能する程度の厚さであれば良
く、ここでは、10〜300nmの厚さであれば良い。
【0092】図9(e)参照 次いで、基板の裏面側に第3のフォトレジストマスク2
1を設けて、Arを用いたイオンミーリング法によって
Al保護膜18にX線入射孔22を形成するための開口
を形成し、次いで、このAl保護膜18をマスクとし
て、CF4 +5%O2 ガスを用いた50Paの圧力、及
び、印加電力100Wの条件下で反応性イオンエッチン
グを行うことによって、Ta放射線阻止膜17をエッチ
ングしてX線入射孔22を形成するための開口を形成す
る。なお、この時のエッチングレートは100nm/分
である。
【0093】図9(f)参照 ついで、基板全体をKOH液中に浸漬することによっ
て、単結晶シリコン基板1に壁面が略垂直なX線入射孔
22が形成される。この場合、壁面が略垂直であるた
め、アレイ化した超伝導放射線検出装置のX線入射孔2
2を接近して設けることができ、位置検出能が向上す
る。
【0094】図10(g)参照 次いで、第4のフォトレジストマスク23をマスクとし
て、CHF3 +30%O2 ガスを用いた25Paの圧
力、及び、印加電力100Wの条件下で反応性イオンエ
ッチング法によって、30nm/分のエッチングレート
でシリコン窒化膜20及びSiO2 膜19をエッチング
して、上部電極及び下部電極に対するコンタクトホール
24を形成する。
【0095】図10(h)参照 次いで、第4のフォトレジストマスクを除去したのち、
Nb層を堆積させ、新たなフォトレジストマスク(図示
せず)をマスクとして反応性イオンエッチング法によっ
てエッチングすることによって、800nmの厚さのN
b配線層25を形成して、高い位置検出能を有する超伝
導放射線検出装置が完成する。
【0096】なお、上記の第3の実施例においても、上
部電極として、AlOx バリア層5とNbカウンタ層6
との間に40〜50Å程度のAl層を介在させて、Al
/Nb/Taの三層構造としても良く、この場合には、
バリアの界面特性がさらに高まる。また、配線層25と
して、相転移温度が9.25°KのNb膜を用いること
によって、上部電極のTaカウンタ層7に対してエネル
ギーギャップの大きなNb配線層25がエネルギーバリ
アとなるため、準粒子の閉じ込め効果をさらに高めるこ
とができる。
【0097】また、上記第3の実施例においても、第1
の実施例と同様の下部電極、バリア層、及び、上部電極
からなるジョセフソン接合を形成しているが、この場合
には、X線を吸収する下部電極のみにTa膜を用い、上
部電極をバリア層側から5〜50nm、好適には20n
mのAl層、及び、10〜500nm、好適には20n
mのNbカウンタ層を順次堆積させた2層構造としても
良い。
【0098】次に、図11を参照して、本発明の第4の
実施例であるAlOx バリア層とTaカウンタ層との間
にWカウンタ層を設けた位置検出能力を有する超伝導放
射線検出装置を説明する。なお、図においては、一つの
ジョセフソン接合部を示しているが、実際には、これら
がアレイ化して設けられているものである。
【0099】図11参照 この第4の実施例は、第3の実施例におけるNbカウン
タ層6をWカウンタ層16に置き換えた点、及び、各層
の厚さが異なる点で相違するのみで、その他の製造条件
及び製造工程順等は図7乃至図10の工程と同じである
ので簡単に説明する。
【0100】図11参照 まず、(110)面の単結晶シリコン基板1の裏面上
に、DCマグネトロンスパッタリング法を用いて、5μ
mのTa放射線阻止膜17及び50nmのAl保護膜1
8を堆積させる。なお、この場合も、Ta放射線阻止膜
17の厚さは一般的には1〜10μmの範囲であれば良
く、また、Al保護膜18は10〜100nmの厚さで
あれば良い。
【0101】次いで、単結晶シリコン基板1の反対側の
表面上に、DCマグネトロンスパッタリング法を用い
て、印加電流1.5A、印加電圧300V、Arガス圧
を1.3Paとした条件で、2.5nm/秒の堆積速度
で100nmのNbベース層2を堆積させたのち、30
0nmのTaベース層3、及び、50nmのAl層4か
らなる下部電極を堆積させる。なお、Nbベース層2の
厚さは、10〜300nm、Taベース層3の厚さは5
0nm以上、また、Al層4の厚さは5〜100nmの
範囲であれば良い。
【0102】次いで、Al層4の表面を酸化することに
よって、約1nmの厚さのAlOxバリア層5を形成し
たのち、同じく、DCマグネトロンスパッタリング法を
用いて、印加電流1.5A、印加電圧300V、Arガ
ス圧を1.3Paとした条件で、2.5nm/秒の堆積
速度で20nmのWカウンタ層16、及び、200nm
の厚さのTaカウンタ層7からなる上部電極を堆積させ
る。なお、Wカウンタ層16の厚さは素子特性を良好に
するために100nm以下、より好適には20nm以下
にすることが望ましく、また、Taカウンタ層7の厚さ
は10〜500nmの範囲であれば良い。
【0103】次いで、図7(b)乃至図10(h)の工
程と同じ工程を経て高い位置検出能力を有する超伝導放
射線検出装置が完成する。
【0104】なお、上記の第4の実施例においても、上
部電極として、AlOx バリア層5とWカウンタ層16
との間に40〜50Å程度のAl層を介在させてAl/
W/Taの三層構造としても良く、この場合には、バリ
アの界面特性がさらに高まる。また、配線層25とし
て、相転移温度が9.25°KのNb膜を用いることに
よって、上部電極のTaカウンタ層7に対してエネルギ
ーギャップの大きなNb配線層25がエネルギーバリア
となるため、準粒子の閉じ込め効果をさらに高めること
ができる。
【0105】また、上記第4の実施例においても、第2
の実施例と同様の下部電極、バリア層、及び、上部電極
からなるジョセフソン接合を形成しているが、この場合
には、X線を吸収する下部電極のみにTa膜を用い、上
部電極をバリア層側から5〜100nm、好適には50
nmのAl層、及び、10〜500nm、好適には20
0nmのNbカウンタ層を順次堆積させた2層構造とし
ても良い。
【0106】次に、図12を参照して本発明の第5の実
施例を説明する。 図12参照 図12は、一つの下部電極に対して複数のジョセフソン
接合を形成することによって、X線収集効率を高めた超
伝導放射線検出装置の素子断面図であり、図12におい
ては、一つの放射線検出素子部を示しているが、実際に
は、これらがアレイ化して設けられているものであり、
また、その製造工程及び用いている材料は第3の実施例
と略同様である。
【0107】即ち、まず、(110)面の単結晶シリコ
ン基板1の裏面上に、DCマグネトロンスパッタリング
法を用いて、1〜10μm、好適には5μmのTa放射
線阻止膜17及び10〜100nm、好適には50nm
のAl保護膜18を堆積させる。次いで、反対側の単結
晶シリコン基板1の表面上に、DCマグネトロンスパッ
タリング法を用いて、印加電流1.5A、印加電圧30
0V、Arガス圧を1.3Paとした条件で、2.5n
m/秒の堆積速度で10〜100nm、好適には50n
mのNbベース層2を堆積させたのち、50nm〜10
μm、好適には200nmのTaベース層3、及び、5
〜50nm、好適には20nmのAl層4からなる下部
電極を堆積させる。
【0108】次いで、Al層4の表面を熱酸化すること
によって、約1nmの厚さのAlO x バリア層5を形成
したのち、同じく、DCマグネトロンスパッタリング法
を用いて、印加電流0.3A、印加電圧250V、Ar
ガス圧を1.3Paとした条件で、0.5nm/秒の堆
積速度で10nm以下、好適には5nmのNbカウンタ
層6、及び、10〜500nm、好適には20nmの厚
さのTaカウンタ層7からなる上部電極を堆積させる。
【0109】次いで、第1のフォトレジストマスクをマ
スクとして、CF4 +5%O2 ガスを用いた7Paの圧
力、及び、印加電力50Wの条件下で反応性イオンエッ
チングを行うことによって、Taカウンタ層7及びNb
カウンタ層6をエッチングしたのち、Arを用いたイオ
ンミーリングによって、AlOx バリア層5及びAl層
4をエッチングし、所定面積の複数のジョセフソン接合
を形成する。
【0110】次いで、第1のフォトレジストマスクを除
去したのち、新たに設けた第2のフォトレジストマスク
をマスクとして、同じく、CF4 +5%O2 ガスを用い
た7Paの圧力、及び、印加電力50Wの条件下で反応
性イオンエッチングを行うことによって、Taベース層
3及びNbベース層2をエッチングして、複数のジョセ
フソン接合部に対して共通のベース層の大きさを決定す
る。
【0111】次いで、第2のフォトレジストマスクを除
去したのち、RFスパッタリング法によって、600n
m以上の厚さのSiO2 膜19及び10〜300nm、
好適には200nmのシリコン窒化膜20を堆積させ
る。次いで、基板の裏面側にジョセフソン接合に対応す
る複数の開口部を有する第3のフォトレジストマスクを
設けて、Arを用いたイオンミーリング法によってAl
保護膜18にX線入射孔22を形成するための開口を形
成し、次いで、このAl保護膜18をマスクとして、C
4 +5%O2 ガスを用いた50Paの圧力、及び、印
加電力100Wの条件下で反応性イオンエッチングを行
うことによって、Ta放射線阻止膜17をエッチングし
てX線入射孔22を形成するための開口を形成する。
【0112】次いで、基板全体をKOH液中に浸漬する
ことによって、単結晶シリコン基板1に壁面が略垂直な
X線入射孔22を形成する。次いで、第4のフォトレジ
ストマスクをマスクとして、CHF3 +30%O2ガス
を用いた25Paの圧力、及び、印加電力100Wの条
件下で反応性イオンエッチング法によって、約30nm
/分のエッチングレートでシリコン窒化膜20及びSi
2 膜19をエッチングして、上部電極及び下部電極に
対するコンタクトホールを形成する。
【0113】次いで、第4のフォトレジストマスクを除
去したのち、800nmの厚さのNb層を堆積させ、新
たなフォトレジストマスクをマスクとして反応性イオン
エッチング法によってエッチングすることによって、N
b配線層25を形成して、高いX線収集効率を有する超
伝導放射線検出装置が完成する。
【0114】この一つのベース層、即ち、下部電極に対
して複数のジョセフソン接合及び対応するX線入射孔2
2を有する2次元アレイの超伝導放射線検出装置を構成
すると1方向の位置分解能は低下するものの、複数のジ
ョセフソン接合においてX線を検出することができるた
め、一つの下部電極に対する入射X線26の照射量が大
きくなるため、X線収集効率、即ち、感度が高まるもの
である。
【0115】この場合、X線収集効率を高めるために
は、原理的には複数のジョセフソン接合を設けることな
く、一つの大きなジョセフソン接合を設ければ良いが、
そうすると、このような大面積に対してピンホールのな
い均一なバリア層を形成することが困難になるので、小
さい面積のジョセフソン接合を複数個設けて、合計の接
合面積を大きくするものである。
【0116】なお、上記第5の実施例においても、第3
の実施例と同様の下部電極、バリア層、及び、上部電極
からなるジョセフソン接合を形成しているが、この場合
にも、X線を吸収する下部電極のみにTa膜を用い、上
部電極をバリア層側から5〜50nm、好適には20n
mのAl層、及び、10〜500nm、好適には20n
mのNbカウンタ層を順次堆積させた2層構造としても
良い。
【0117】また、この第5の実施例においても、第2
或いは第4の実施例のように、Nbカウンタ層6をWカ
ウンタ層に置き換えても良く、その場合の、置き換えに
伴う各条件の変更は第2或いは第4の実施例の場合と同
じである。
【0118】また、上記各実施例において、第2の実施
例以外はジョセフソン接合の面積に言及しておらず、原
理的大きさに制限はないものであるが、実際には、50
×50μm2 〜100×100μm2 程度の大きさにす
るものである。さらに、上記各実施例においては単結晶
シリコン基板の厚さに言及していないが、通常は400
μmのシリコンウェハを用いるものであり、必要に応じ
て研磨により100μm程度まで薄層化しても良いもの
である。
【0119】また、上記第3及び第5の実施例において
は、ジョセフソン接合部をパターニングしたのち、X線
入射孔を開口しているが、従来例と同様に、X線入射孔
を開口してからジョセフソン接合部をパターニングして
も良く、その場合には、シリコン窒化膜は必ずしも必要
としないものである。
【0120】
【発明の効果】本発明によれば、Ta層の下地層として
Nb層或いはW層を用いたことにより、4.47°Kの
相転移温度を有するTa膜を再現性良く得ることができ
るので、エネルギー分解能に優れた超伝導放射線検出装
置を提供することができ、また、基板として(110)
面の単結晶シリコン基板を用いることにより、アレイ化
した場合の素子密度、即ち、X線入射孔密度を高めるこ
とができるので、位置分解能の優れたアレイ化した超伝
導放射線検出装置を提供することができ、さらに、一つ
の下部電極に対して複数のジョセフソン接合を設けるこ
とによって、X線収集効率の高いアレイ化した超伝導放
射線検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の作用の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施例の途中までの製造工程の
説明図である。
【図4】本発明の第1の実施例の図3以降の途中までの
製造工程の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施例の図4以降の製造工程の
説明図である。
【図6】本発明の第2の実施例の説明図である。
【図7】本発明の第3の実施例の途中までの製造工程の
説明図である。
【図8】本発明の第3の実施例の図7以降の途中までの
製造工程の説明図である。
【図9】本発明の第3の実施例の図8以降の途中までの
製造工程の説明図である。
【図10】本発明の第3の実施例の図9以降の製造工程
の説明図である。
【図11】本発明の第4の実施例の超伝導放射線検出装
置の断面図である。
【図12】本発明の第5の実施例の超伝導放射線検出装
置の断面図である。
【図13】従来の超伝導放射線検出装置の断面図であ
る。
【図14】従来の他の超伝導放射線検出装置の途中まで
の製造工程の説明図である。
【図15】従来の他の超伝導放射線検出装置の図14以
降の製造工程の説明図である。
【図16】X線入射孔の断面形状の面方位依存性の説明
図である。
【符号の説明】
1 単結晶シリコン基板 2 Nbベース層 3 Taベース層 4 Al層 5 AlOx バリア層 6 Nbカウンタ層 7 Taカウンタ層 8 第1のフォトレジストマスク 9 第2のフォトレジストマスク 10 保護絶縁膜 11 第3のフォトレジストマスク 12 Nb配線層 13 入射X線 14 電子対 15 準粒子 16 Wカウンタ層 17 Ta放射線阻止膜 18 Al保護膜 19 SiO2 膜 20 シリコン窒化膜 21 第3のフォトレジストマスク 22 X線入射孔 23 第4のフォトレジストマスク 24 コンタクトホール 25 Nb配線層 26 入射X線 27 単結晶シリコン基板 28 Taベース層 29 バリア層 30 Taカウンタ層 31 保護絶縁膜 32 Ta配線層 33 Ta放射線阻止膜 34 第1のフォトレジストマスク 35 X線入射孔 36 第2のフォトレジストマスク 37 第3のフォトレジストマスク 38 保護絶縁膜 39 Ta配線層 40 (100)面単結晶シリコン基板 41 (110)面単結晶シリコン基板

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にNbベース層、Taベース層、
    及び、Al層からなる下部電極を設け、AlOx バリア
    層を介して、Nbカウンタ層及びTaカウンタ層からな
    る上部電極を設けると共に、前記下部電極におけるTa
    とNbのエネルギーギャップΔTaとΔNbとの関係がΔTa
    <ΔNbであり、また、前記上部電極におけるTaとNb
    のエネルギーギャップの関係がΔTa>ΔNbであることを
    特徴とする超伝導放射線検出装置。
  2. 【請求項2】 上記上部電極構造として、上記バリア層
    とNbカウンタ層との間にAl層を介在させたことを特
    徴とする請求項1記載の超伝導放射線検出装置。
  3. 【請求項3】 基板上にNbベース層、Taベース層、
    及び、Al層からなる下部電極を設け、AlOx バリア
    層を介して、Wカウンタ層及びTaカウンタ層からなる
    上部電極を設けると共に、前記下部電極におけるTaと
    NbのエネルギーギャップΔTaとΔNbとの関係がΔTa
    ΔNbであることを特徴とする超伝導放射線検出装置。
  4. 【請求項4】 上記上部電極構造として、上記バリア層
    とWカウンタ層との間にAl層を介在させたことを特徴
    とする請求項3記載の超伝導放射線検出装置。
  5. 【請求項5】 配線層として、上記Taベース層及びT
    aカウンタ層とのエネルギーギャップの関係がΔTa<Δ
    NbであるNb層を用いたことを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれか1項に記載の超伝導放射線検出装置。
  6. 【請求項6】 単結晶シリコン基板上に相転移温度が
    9.25°Kになる成膜条件で上記下部電極のNbベー
    ス層をスパッタリングすると共に、上記上部電極のNb
    カウンタ層を前記Nbベース層よりも低印加電力密度
    で、且つ、遅い堆積速度でスパッタリングして、前記N
    bカウンタ層のエネルギーギャップが前記Nbベース層
    のエネルギーギャップ及び上記Taカウンタ層のエネル
    ギーギャップよりも小さくなるようにしたことを特徴と
    する請求項1記載の超伝導放射線検出装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 基板の表面上にNbベース層、Taベー
    ス層、及び、Al層からなる下部電極を設け、AlOx
    バリア層を介して、Nbカウンタ層及びTaカウンタ層
    からなる上部電極を設け、且つ、前記下部電極における
    TaとNbのエネルギーギャップΔTaとΔNbとの関係を
    ΔTa<ΔNbとし、また、前記上部電極におけるTaとN
    bのエネルギーギャップの関係をΔTa>ΔNbとすると共
    に、基板の裏面に放射線阻止膜を設け、この放射線阻止
    膜及び基板に放射線入射孔を設けたことを特徴とする超
    伝導放射線検出装置。
  8. 【請求項8】 基板の表面上にNbベース層、Taベー
    ス層、及び、Al層からなる下部電極を設け、AlOx
    バリア層を介して、Wカウンタ層及びTaカウンタ層か
    らなる上部電極を設け、且つ、前記下部電極におけるT
    aとNbのエネルギーギャップΔTaとΔNbとの関係をΔ
    Ta<ΔNbとすると共に、基板の裏面に放射線阻止膜を設
    け、この放射線阻止膜及び基板に放射線入射孔を設けた
    ことを特徴とする超伝導放射線検出装置。
  9. 【請求項9】 上記Nbベース層及びTaベース層から
    なる一つの下部電極に対して一つのジョセフソン接合を
    形成することを特徴とする請求項7または8記載の超伝
    導放射線検出装置。
  10. 【請求項10】 上記Nbベース層及びTaベース層か
    らなる一つの下部電極に対して複数のジョセフソン接合
    を形成することを特徴とする請求項7または8記載の超
    伝導放射線検出装置。
  11. 【請求項11】 上記基板として面方位が(110)面
    の単結晶シリコン基板を用いると共に、上記放射線阻止
    膜としてTa膜を用い、且つ、前記Ta膜をAl膜で被
    覆し、さらに、上記下部電極、バリア層、及び、上部電
    極をシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜で順次被覆した
    ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記
    載の超伝導放射線検出装置。
JP7067386A 1994-12-28 1995-03-27 超伝導放射線検出装置及びその製造方法 Withdrawn JPH08236823A (ja)

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