JPH0637345A - 放射線検出素子 - Google Patents
放射線検出素子Info
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- JPH0637345A JPH0637345A JP4191127A JP19112792A JPH0637345A JP H0637345 A JPH0637345 A JP H0637345A JP 4191127 A JP4191127 A JP 4191127A JP 19112792 A JP19112792 A JP 19112792A JP H0637345 A JPH0637345 A JP H0637345A
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- Japan
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- layer
- superconductor
- transition temperature
- radiation
- superconductor layer
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Abstract
(57)【要約】
【目的】本発明は、X線、γ線等の放射線を検出するた
めの放射線検出素子に関し、エネルギー分解能の特性に
優れ、熱サイクル耐性にも優れた放射線検出素子を提供
することを目的とする。 【構成】超伝導転移温度が4.48KのTa超伝導体層
12と超伝導転移温度が1.19KのAl超伝導体層1
4の二層構造の下部電極と、超伝導転移温度が4.48
KのTa超伝導体層20と超伝導転移温度が1.19K
のAl超伝導体層18の二層構造の上部電極とでAlO
xバリア層を挟んでジョセフソン接合構造が形成されて
いる。Ta超伝導体層12、20で生成された準粒子が
Al超伝導体層14、18で転移温度の差を利用して効
率よく収集される。
めの放射線検出素子に関し、エネルギー分解能の特性に
優れ、熱サイクル耐性にも優れた放射線検出素子を提供
することを目的とする。 【構成】超伝導転移温度が4.48KのTa超伝導体層
12と超伝導転移温度が1.19KのAl超伝導体層1
4の二層構造の下部電極と、超伝導転移温度が4.48
KのTa超伝導体層20と超伝導転移温度が1.19K
のAl超伝導体層18の二層構造の上部電極とでAlO
xバリア層を挟んでジョセフソン接合構造が形成されて
いる。Ta超伝導体層12、20で生成された準粒子が
Al超伝導体層14、18で転移温度の差を利用して効
率よく収集される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はX線、γ線等の放射線を
検出するための放射線検出素子に関する。X線、γ線等
の放射線を利用した技術として最も代表的なものに、シ
ンクロトロン放射光を利用したものがある。シンクロト
ロン放射光は、円形加速器から放射される光速に近い速
度で運動する電子が、磁場により軌道を曲げられるとき
に接線方向に放出される極めて指向性の強い電磁波のこ
とである。シンクロトロン放射光は、波長連続性、偏向
性、パルス性等が非常に優れているため、結晶の解析や
表面、界面の解析、物性研究、イメージング技術、工学
応用の他に、生体応用や医学応用等の非常に多岐にわた
る分野での利用が期待されている。
検出するための放射線検出素子に関する。X線、γ線等
の放射線を利用した技術として最も代表的なものに、シ
ンクロトロン放射光を利用したものがある。シンクロト
ロン放射光は、円形加速器から放射される光速に近い速
度で運動する電子が、磁場により軌道を曲げられるとき
に接線方向に放出される極めて指向性の強い電磁波のこ
とである。シンクロトロン放射光は、波長連続性、偏向
性、パルス性等が非常に優れているため、結晶の解析や
表面、界面の解析、物性研究、イメージング技術、工学
応用の他に、生体応用や医学応用等の非常に多岐にわた
る分野での利用が期待されている。
【0002】また、シンクロトロン放射光でけでなく、
通常のX線等の他の放射線も、医療の分野や物性分析の
分野において広範に用いられている。このような分野で
用いられている放射線検出素子としては、後述するよう
に、その検出部分の形状や検出特性等、種々のものが用
途に応じて用いられている。どの分野で用いられる場合
でも、エネルギー分解能が優れていることが放射線検出
素子として非常に重要な要素である。
通常のX線等の他の放射線も、医療の分野や物性分析の
分野において広範に用いられている。このような分野で
用いられている放射線検出素子としては、後述するよう
に、その検出部分の形状や検出特性等、種々のものが用
途に応じて用いられている。どの分野で用いられる場合
でも、エネルギー分解能が優れていることが放射線検出
素子として非常に重要な要素である。
【0003】
【従来の技術】エネルギー分解能の高い放射線検出素子
として、SiやGe等の半導体を用いた半導体放射線検
出素子が知られている。これら半導体放射線検出素子の
分解能は、放射線によって検出素子中で作り出される電
子−空孔対数の統計的ゆらぎによる限界まで近づいてい
る。
として、SiやGe等の半導体を用いた半導体放射線検
出素子が知られている。これら半導体放射線検出素子の
分解能は、放射線によって検出素子中で作り出される電
子−空孔対数の統計的ゆらぎによる限界まで近づいてい
る。
【0004】上述した応用分野のなかには、半導体放射
線検出素子の原理的に限界とされるエネルギー分解能よ
りも、よりエネルギー分解能の高い放射線検出素子の出
現が切望されている。このためには、統計的ゆらぎによ
るエネルギー分解能の限界が原理的に小さい放射線検出
素子が求められている。そのようななかで超伝導体を用
いた放射線検出素子が注目されている。
線検出素子の原理的に限界とされるエネルギー分解能よ
りも、よりエネルギー分解能の高い放射線検出素子の出
現が切望されている。このためには、統計的ゆらぎによ
るエネルギー分解能の限界が原理的に小さい放射線検出
素子が求められている。そのようななかで超伝導体を用
いた放射線検出素子が注目されている。
【0005】放射線検出素子に、エネルギーEの放射線
が入射すると、多数の荷電子対が生成され、検出信号と
して収集される。生成された荷電子対の数Nのゆらぎに
起因する相対分解能Pは、次式で表される。 P=2.355(ε×F×E)1/2 ここで、εは、放射線によって電子1個を励起するのに
必要なエネルギーである。また、Fは、ファノ因子と呼
ばれ、<(N−<N>)2 >/<N>で定義される、励
起電子の数のゆらぎがポアソン分布のゆらぎより小さく
なる程度を示すパラメータである。ポアソン分布に従う
ならF=1、従わない場合はF<1である(合志陽一、
佐藤公隆編「エネルギー分散型X線分析」、日本分光学
会 測定法シリーズ、学会出版センタ)。
が入射すると、多数の荷電子対が生成され、検出信号と
して収集される。生成された荷電子対の数Nのゆらぎに
起因する相対分解能Pは、次式で表される。 P=2.355(ε×F×E)1/2 ここで、εは、放射線によって電子1個を励起するのに
必要なエネルギーである。また、Fは、ファノ因子と呼
ばれ、<(N−<N>)2 >/<N>で定義される、励
起電子の数のゆらぎがポアソン分布のゆらぎより小さく
なる程度を示すパラメータである。ポアソン分布に従う
ならF=1、従わない場合はF<1である(合志陽一、
佐藤公隆編「エネルギー分散型X線分析」、日本分光学
会 測定法シリーズ、学会出版センタ)。
【0006】上記式から、入射する放射線に対して、い
かに荷電子対の数Nを多く生成できる材料を見つける
か、すなわち、いかにエネルギーεが小さい材料を見つ
けるかが、放射線検出素子のエネルギー分解能を向上さ
せる上で重要な要因であることかがわかる。放射線検出
素子に用いられる材料のエネルギーギャップEgが小さ
ければ、小さなε値で荷電子対を生成することが可能に
なるといえる。ところが、半導体材料を用いた場合、エ
ネルギーεは次式 ε=2.8×Eg+(0.5〜1.0)[eV] のように表され、エネルギーギャップEgが小さいから
といって、それに比例してε値が小さくなるということ
が、必ずしも当てはまらないことが知られている(C.
A. Klein, J. Appl. Phys., vol.39, p.2090, (196
8))。
かに荷電子対の数Nを多く生成できる材料を見つける
か、すなわち、いかにエネルギーεが小さい材料を見つ
けるかが、放射線検出素子のエネルギー分解能を向上さ
せる上で重要な要因であることかがわかる。放射線検出
素子に用いられる材料のエネルギーギャップEgが小さ
ければ、小さなε値で荷電子対を生成することが可能に
なるといえる。ところが、半導体材料を用いた場合、エ
ネルギーεは次式 ε=2.8×Eg+(0.5〜1.0)[eV] のように表され、エネルギーギャップEgが小さいから
といって、それに比例してε値が小さくなるということ
が、必ずしも当てはまらないことが知られている(C.
A. Klein, J. Appl. Phys., vol.39, p.2090, (196
8))。
【0007】つまり、エネルギーギャップEgがいかに
小さかろうと、エネルギーεは0.5〜1.0eV以下
にはならないこと、すなわち、生成できる荷電子対数
が、これによって制限されることを示している。半導体
材料では、放出されたフォノン(最大エネルギーとして
数十meV)では荷電子対を励起することはできない。
一方、超伝導体材料を用いた場合には、エネルギーギャ
ップEgが小さい(約数meV)ために、放出されたフ
ォノン(最大エネルギーとして数十meV)でも電子対
を破壊して準粒子の生成、つまりは荷電子対Nの数を多
くすることができ、高エネルギー分解能の放射線検出素
子の作成が可能となる。
小さかろうと、エネルギーεは0.5〜1.0eV以下
にはならないこと、すなわち、生成できる荷電子対数
が、これによって制限されることを示している。半導体
材料では、放出されたフォノン(最大エネルギーとして
数十meV)では荷電子対を励起することはできない。
一方、超伝導体材料を用いた場合には、エネルギーギャ
ップEgが小さい(約数meV)ために、放出されたフ
ォノン(最大エネルギーとして数十meV)でも電子対
を破壊して準粒子の生成、つまりは荷電子対Nの数を多
くすることができ、高エネルギー分解能の放射線検出素
子の作成が可能となる。
【0008】超伝導体材料を用いた放射線検出素子にお
いて、放射線による電子の直接励起と、準粒子によるフ
ォノン放出と、フォノンによる準粒子生成とからなる、
準粒子とフォノンのカスケード励起過程を計算機を用い
たモンテカルロシュミレーションを行った結果、半導体
材料に比べて3桁も多い準粒子数が生成され、エネルギ
ーε=0.969meV、パラメータF=0.2という
値が、理論検討から得られている(M. Kurakado and H.
Mazaki, Phys. Rev. B22 (1980) 168)。
いて、放射線による電子の直接励起と、準粒子によるフ
ォノン放出と、フォノンによる準粒子生成とからなる、
準粒子とフォノンのカスケード励起過程を計算機を用い
たモンテカルロシュミレーションを行った結果、半導体
材料に比べて3桁も多い準粒子数が生成され、エネルギ
ーε=0.969meV、パラメータF=0.2という
値が、理論検討から得られている(M. Kurakado and H.
Mazaki, Phys. Rev. B22 (1980) 168)。
【0009】後述するSn/SnOx/Sn接合の実験
ではエネルギーε=2.4meVが得られている(M. K
urakado, Nucl. Nucl. Instrum and Methods vol.196,
p.275 (1982))。ケース1として理論値のε及びFを用
い、ケース2として実験値のεを用い、F=1と仮定し
たときの、エネルギー分解能と入射エネルギーとの関係
を図6に示す。なお、図6には、現在のところ、最もエ
ネルギー分解能のよい半導体材料であるSiを用いた場
合(ε=3.76eV、F=0.08(何れも実験
値))のエネルギー分解能と入射エネルギーとの関係も
比較のために示す。
ではエネルギーε=2.4meVが得られている(M. K
urakado, Nucl. Nucl. Instrum and Methods vol.196,
p.275 (1982))。ケース1として理論値のε及びFを用
い、ケース2として実験値のεを用い、F=1と仮定し
たときの、エネルギー分解能と入射エネルギーとの関係
を図6に示す。なお、図6には、現在のところ、最もエ
ネルギー分解能のよい半導体材料であるSiを用いた場
合(ε=3.76eV、F=0.08(何れも実験
値))のエネルギー分解能と入射エネルギーとの関係も
比較のために示す。
【0010】図6から分かるように、超伝導材料を用い
た場合には、半導体材料を用いた場合に比べて、10倍
程度のエネルギー分解能のよい放射線検出素子が実現で
きる可能性があることを示している。超伝導体1/バリ
ア/超伝導体2からなるジョセフソン接合において、放
射線を照射したときのトンネリング過程を図7を用いて
説明する。図7に示すように、ジョセフソン接合に電圧
を印加しているので、片側の超伝導体1のバンドエネル
ギーがが eUだけ高くなっている状態を示している。
た場合には、半導体材料を用いた場合に比べて、10倍
程度のエネルギー分解能のよい放射線検出素子が実現で
きる可能性があることを示している。超伝導体1/バリ
ア/超伝導体2からなるジョセフソン接合において、放
射線を照射したときのトンネリング過程を図7を用いて
説明する。図7に示すように、ジョセフソン接合に電圧
を印加しているので、片側の超伝導体1のバンドエネル
ギーがが eUだけ高くなっている状態を示している。
【0011】片側の超伝導体1に放射線が入射すること
によって、電子対が破壊されて準粒子が生成される。こ
の準粒子の生成は放射線の直接励起又はフォノンによる
励起による。この準粒子がバリアをトンネルして超伝導
体2に達する。エネルギー分解能の向上には、生成され
た準粒子がいかに効率よく絶縁体をトンネルするかによ
る。このトンネル現象は本質的に非平衡状態であり、い
かに効率よくトンネルするかは、第1に、準粒子のトン
ネル時間とフォノンの放出を伴う準粒子の再結合時間と
の関係により決定される。準粒子のトンネル時間と再結
合時間は、超伝導材料によって大きく異なる。第2に
は、熱的に励起される準粒子の影響をできるだけ小さく
することが重要であり、放射線の測定を低温(<4.2
K)にすることが必要であると考えられる。
によって、電子対が破壊されて準粒子が生成される。こ
の準粒子の生成は放射線の直接励起又はフォノンによる
励起による。この準粒子がバリアをトンネルして超伝導
体2に達する。エネルギー分解能の向上には、生成され
た準粒子がいかに効率よく絶縁体をトンネルするかによ
る。このトンネル現象は本質的に非平衡状態であり、い
かに効率よくトンネルするかは、第1に、準粒子のトン
ネル時間とフォノンの放出を伴う準粒子の再結合時間と
の関係により決定される。準粒子のトンネル時間と再結
合時間は、超伝導材料によって大きく異なる。第2に
は、熱的に励起される準粒子の影響をできるだけ小さく
することが重要であり、放射線の測定を低温(<4.2
K)にすることが必要であると考えられる。
【0012】ジョセフソン接合における準粒子のトンネ
リング過程は、図8に示すような電流−電圧特性を示
す。すなわち、電圧VB がバンドギャップエネルギー2
Δに相当する値2Δ/eよりも小さいときは、エネルギ
ーバンドより上に励起されている準粒子とその空孔のみ
が電流に寄与する。ジョセフソン接合に一定の電圧VB
を印加する定電圧方式の場合には、放射線の入射前後に
より電流変化分ΔIが生じ、この電流変化分ΔIを信号
として取り出す。ジョセフソン接合に一定の電流IB を
流す定電流方式の場合には、放射線の入射前後により電
圧変化分ΔVが生じ、この電圧変化分ΔVを信号として
取り出す。これら電流変化分ΔI及び電圧変化分ΔVは
放射線の入射エネルギーに比例する。
リング過程は、図8に示すような電流−電圧特性を示
す。すなわち、電圧VB がバンドギャップエネルギー2
Δに相当する値2Δ/eよりも小さいときは、エネルギ
ーバンドより上に励起されている準粒子とその空孔のみ
が電流に寄与する。ジョセフソン接合に一定の電圧VB
を印加する定電圧方式の場合には、放射線の入射前後に
より電流変化分ΔIが生じ、この電流変化分ΔIを信号
として取り出す。ジョセフソン接合に一定の電流IB を
流す定電流方式の場合には、放射線の入射前後により電
圧変化分ΔVが生じ、この電圧変化分ΔVを信号として
取り出す。これら電流変化分ΔI及び電圧変化分ΔVは
放射線の入射エネルギーに比例する。
【0013】このように超伝導材料を用いた放射線検出
素子は、半導体材料を用いた放射線検出素子を凌駕する
性能を秘めており、放射線検出素子として非常に有望で
あることがわかった。超伝導材料を用いた従来の放射線
検出素子について説明する。ジョセフソン接合に放射線
を入射させる実験は約20年前に行われた(C. H.Wood
and B. L. White, Appl. Phys. Lett., vol.15 (1969),
p.237)。接合材料はSn/SnOx/Snである。こ
の実験ではα線入射による信号が判別できる程度であっ
た。
素子は、半導体材料を用いた放射線検出素子を凌駕する
性能を秘めており、放射線検出素子として非常に有望で
あることがわかった。超伝導材料を用いた従来の放射線
検出素子について説明する。ジョセフソン接合に放射線
を入射させる実験は約20年前に行われた(C. H.Wood
and B. L. White, Appl. Phys. Lett., vol.15 (1969),
p.237)。接合材料はSn/SnOx/Snである。こ
の実験ではα線入射による信号が判別できる程度であっ
た。
【0014】その後、同じSn/SnOx/Sn接合を
用いて一連の実験が精力的に行われた(M. Kurakado,
S. Tachi, R.Katano and H. Mazaki, Bull. Inst. Che
m. Res. 59 (Kyoto Univ. 1981等)。その結果、放射線
入射による信号が単なる温度上昇によるのではなく、放
射線による過剰準粒子の生成が、ジョセフソン接合から
の信号の発生に本質的であることがわかった。
用いて一連の実験が精力的に行われた(M. Kurakado,
S. Tachi, R.Katano and H. Mazaki, Bull. Inst. Che
m. Res. 59 (Kyoto Univ. 1981等)。その結果、放射線
入射による信号が単なる温度上昇によるのではなく、放
射線による過剰準粒子の生成が、ジョセフソン接合から
の信号の発生に本質的であることがわかった。
【0015】その後、ニュートリノの質量決定、太陽ニ
ュートリノのエネルギー分布測定、暗黒物質や磁気単極
子の検出といった宇宙物理、素粒子物理の問題とも関連
して世界各地で、超伝導放射線検出器の研究開発が行わ
れつつある。1986年に、Kraus 等(H. Kraus, et.
al., Europhys. Lett. 1 (1986) 161)、とTwerenbold
(D. Twerenbold, Europhys. Lett. 1 (1986) 209)が、
別個に、55FeからのMnKα、MnKβのX線検出に
成功した。ジョセフソン接合材料はSn/SnOx/S
nであり、熱的な影響をできるだけ除くために測定温度
は0.3Kであった。Twerenbold等の実験によれば、
5.9KeVの入射X線に対して、半値幅として90e
V、このうち配線へのエネルギー拡散の影響を除いた場
合の半値幅として65eV、ノイズによる広がりを除い
た場合の半値幅として41eVのエネルギー分解能を得
ている。
ュートリノのエネルギー分布測定、暗黒物質や磁気単極
子の検出といった宇宙物理、素粒子物理の問題とも関連
して世界各地で、超伝導放射線検出器の研究開発が行わ
れつつある。1986年に、Kraus 等(H. Kraus, et.
al., Europhys. Lett. 1 (1986) 161)、とTwerenbold
(D. Twerenbold, Europhys. Lett. 1 (1986) 209)が、
別個に、55FeからのMnKα、MnKβのX線検出に
成功した。ジョセフソン接合材料はSn/SnOx/S
nであり、熱的な影響をできるだけ除くために測定温度
は0.3Kであった。Twerenbold等の実験によれば、
5.9KeVの入射X線に対して、半値幅として90e
V、このうち配線へのエネルギー拡散の影響を除いた場
合の半値幅として65eV、ノイズによる広がりを除い
た場合の半値幅として41eVのエネルギー分解能を得
ている。
【0016】その後、配線幅を4μmまで狭くすること
によって、5.9KeVの入射X線に対して半値幅とし
て48eV、ノイズによる広がりを除いた場合の半値幅
として37eVのエネルギー分解能を得ている(W. Rot
hmund and A. Zehnder, Superconductive Particle Det
ectors, edited by A. Barone (World Scientific, Sin
gapore))。
によって、5.9KeVの入射X線に対して半値幅とし
て48eV、ノイズによる広がりを除いた場合の半値幅
として37eVのエネルギー分解能を得ている(W. Rot
hmund and A. Zehnder, Superconductive Particle Det
ectors, edited by A. Barone (World Scientific, Sin
gapore))。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】このように超伝導材料
を用いた放射線検出素子は、半導体材料を用いた放射線
検出素子より性能が優れていることが実証された。しか
しながら、これらのエネルギー分解能はSnのエネルギ
ーギャップから予想される理論値2.5eVよりまだ一
桁近く大きいので、素子構造の改良が必要と考えられ
る。更には、Snは室温とヘリウム温度との熱サイクル
に弱く、室温保持でさえも劣化しやすいという致命的な
欠点を有している。
を用いた放射線検出素子は、半導体材料を用いた放射線
検出素子より性能が優れていることが実証された。しか
しながら、これらのエネルギー分解能はSnのエネルギ
ーギャップから予想される理論値2.5eVよりまだ一
桁近く大きいので、素子構造の改良が必要と考えられ
る。更には、Snは室温とヘリウム温度との熱サイクル
に弱く、室温保持でさえも劣化しやすいという致命的な
欠点を有している。
【0018】そこで、熱サイクルに強い材料を用いたジ
ョセフソン接合による開発が行われつつある。Barone等
は熱サイクルに強いNbを下部電極にしたPb/NbO
x/Nb接合を用い、配線幅を狭くすれば波高スペクト
ルは鋭くなることを示した(A. Barone et al., Nucl.
Instrum. and Methods., A234 (1985) 61 等)。デジタ
ル応用で実績のあるNb/AlOx−Al/Nb接合を
放射線検出素子に用いる試みも行われつつある(M. Kur
akado and A. Matsumura, J. J. Appl.Phys. 28 (1989)
L459 等)が、Sn/SnOx/Sn接合に用いた場
合に比べて特性は良くない。特性向上を図るために、倉
門等は下部電極のNbを単結晶化することで、5.9K
eVのX線入射にたいして半値幅として160eVのエ
ネルギー分解能を得ている(倉門等、電子通信学会技術
報告 SCB90−19pp7)が、Snの接合に比べ
て特性がよくないという問題があった。
ョセフソン接合による開発が行われつつある。Barone等
は熱サイクルに強いNbを下部電極にしたPb/NbO
x/Nb接合を用い、配線幅を狭くすれば波高スペクト
ルは鋭くなることを示した(A. Barone et al., Nucl.
Instrum. and Methods., A234 (1985) 61 等)。デジタ
ル応用で実績のあるNb/AlOx−Al/Nb接合を
放射線検出素子に用いる試みも行われつつある(M. Kur
akado and A. Matsumura, J. J. Appl.Phys. 28 (1989)
L459 等)が、Sn/SnOx/Sn接合に用いた場
合に比べて特性は良くない。特性向上を図るために、倉
門等は下部電極のNbを単結晶化することで、5.9K
eVのX線入射にたいして半値幅として160eVのエ
ネルギー分解能を得ている(倉門等、電子通信学会技術
報告 SCB90−19pp7)が、Snの接合に比べ
て特性がよくないという問題があった。
【0019】本発明の目的は、エネルギー分解能の特性
に優れ、熱サイクル耐性にも優れた放射線検出素子を提
供することにある。
に優れ、熱サイクル耐性にも優れた放射線検出素子を提
供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、非平衡超
伝導現象を利用する放射線検出素子として高性能な特性
を実現するためには、入射放射線とこれに伴うフォノン
により励起された準粒子が、途中でロスすることなく如
何に効率よくバリアをトンネルするかが非常に重要であ
ると考えた。
伝導現象を利用する放射線検出素子として高性能な特性
を実現するためには、入射放射線とこれに伴うフォノン
により励起された準粒子が、途中でロスすることなく如
何に効率よくバリアをトンネルするかが非常に重要であ
ると考えた。
【0021】このためには、超伝導材料の有する準粒子
の寿命とフォノンの寿命が長いことが重要であると考え
た。そのような観点から、本願発明者は新しいデバイス
構造とデバイス材料を用いた放射線検出素子を提案す
る。デバイス材料としては、前述したように、現状で高
性能な結果が得られているのはSn/SnOx/Sn接
合であり、安定なNb系ではまだ不十分な結果しか得ら
れていない。これは、励起された準粒子が効率よく、つ
まりは再結合することなく、バリアをトンネルする割合
に差があることが本質的な原因であると考えた。そのよ
うに考えると、準粒子の寿命が長い材料が、放射線検出
素子に向いていることになる。また、フォノンの寿命が
長い方が、フォノンによる準粒子生成がより効率よくで
きると考えた。したがって、超伝導材料の有する準粒子
の寿命とフォノンの寿命が共に長いことが望ましいと考
えた。
の寿命とフォノンの寿命が長いことが重要であると考え
た。そのような観点から、本願発明者は新しいデバイス
構造とデバイス材料を用いた放射線検出素子を提案す
る。デバイス材料としては、前述したように、現状で高
性能な結果が得られているのはSn/SnOx/Sn接
合であり、安定なNb系ではまだ不十分な結果しか得ら
れていない。これは、励起された準粒子が効率よく、つ
まりは再結合することなく、バリアをトンネルする割合
に差があることが本質的な原因であると考えた。そのよ
うに考えると、準粒子の寿命が長い材料が、放射線検出
素子に向いていることになる。また、フォノンの寿命が
長い方が、フォノンによる準粒子生成がより効率よくで
きると考えた。したがって、超伝導材料の有する準粒子
の寿命とフォノンの寿命が共に長いことが望ましいと考
えた。
【0022】そこで、代表的な超導電材料について準粒
子及びフォノンの寿命を調べた。図1に超伝導材料の準
粒子及びフォノンの寿命を示す(井口家成、日本物理学
会誌、第35巻、第4号、第314頁)。なお、図1に
示す値は熱平衡状態における値であり、実際の非平衡状
態において、その値を保持しているかは不明である。図
1に示すように、Al、Sn、Pb等のいわゆる軟らか
い金属が準粒子の再結合時間が大きいことがわかる。そ
れに対して、Nbの準粒子の再結合時間はSnに比べて
1桁以上小さく、寿命が短いことが分かる。また、Nb
は、フォノンの寿命というという点でもSnに比べて2
桁小さいことがわかる。このように、Sn、Pbは、準
粒子及びフォノンの寿命の面から考えれば、放射線検出
素子のための材料としては好ましい材料である。しか
し、Sn、Pbは熱サイクル耐性に欠けるため採用する
ことができない。
子及びフォノンの寿命を調べた。図1に超伝導材料の準
粒子及びフォノンの寿命を示す(井口家成、日本物理学
会誌、第35巻、第4号、第314頁)。なお、図1に
示す値は熱平衡状態における値であり、実際の非平衡状
態において、その値を保持しているかは不明である。図
1に示すように、Al、Sn、Pb等のいわゆる軟らか
い金属が準粒子の再結合時間が大きいことがわかる。そ
れに対して、Nbの準粒子の再結合時間はSnに比べて
1桁以上小さく、寿命が短いことが分かる。また、Nb
は、フォノンの寿命というという点でもSnに比べて2
桁小さいことがわかる。このように、Sn、Pbは、準
粒子及びフォノンの寿命の面から考えれば、放射線検出
素子のための材料としては好ましい材料である。しか
し、Sn、Pbは熱サイクル耐性に欠けるため採用する
ことができない。
【0023】これに対し、超伝導転移温度4.5KのT
aは、フォノンの寿命がSnに比べてやや短いが、準粒
子の寿命がSnと同程度の長さがあり、かつ、Nbと同
様に融点が高く、熱サイクル耐性に優れているという特
性がある。一方、超伝導体電極層を、超伝導転移温度が
異なる低転移温度超伝導体層と高転移温度超伝導体層と
を積層した二層構造とし、バリア層側の超伝導体層を相
対的に転移温度の低い低転移温度超伝導体層にすると、
図2に示すように、高転移温度超伝導体層において放射
線の入射により生成された準粒子が超伝導転移温度が異
なることを利用して、低転移温度超伝導体層に効率よく
収集できることが分かった。
aは、フォノンの寿命がSnに比べてやや短いが、準粒
子の寿命がSnと同程度の長さがあり、かつ、Nbと同
様に融点が高く、熱サイクル耐性に優れているという特
性がある。一方、超伝導体電極層を、超伝導転移温度が
異なる低転移温度超伝導体層と高転移温度超伝導体層と
を積層した二層構造とし、バリア層側の超伝導体層を相
対的に転移温度の低い低転移温度超伝導体層にすると、
図2に示すように、高転移温度超伝導体層において放射
線の入射により生成された準粒子が超伝導転移温度が異
なることを利用して、低転移温度超伝導体層に効率よく
収集できることが分かった。
【0024】そこで、本願発明者は、放射線検出素子の
超伝導材料としてTaを採用すると共に、バリア層側に
Taよりも超伝導転移温度の低いAlを用いれば、生成
する準粒子の寿命とフォノンの寿命が比較的長く、熱サ
イクル耐性に優れ、しかも、発生した準粒子とフォノン
を低転移温度のAlにより効率よく収集できる放射線検
出素子が実現できると考えた。
超伝導材料としてTaを採用すると共に、バリア層側に
Taよりも超伝導転移温度の低いAlを用いれば、生成
する準粒子の寿命とフォノンの寿命が比較的長く、熱サ
イクル耐性に優れ、しかも、発生した準粒子とフォノン
を低転移温度のAlにより効率よく収集できる放射線検
出素子が実現できると考えた。
【0025】
【作用】本発明によれば、生成する準粒子の寿命とフォ
ノンの寿命が比較的長く、熱サイクル耐性に優れ、しか
も、発生した準粒子とフォノンを効率よく収集すること
ができる。
ノンの寿命が比較的長く、熱サイクル耐性に優れ、しか
も、発生した準粒子とフォノンを効率よく収集すること
ができる。
【0026】
【実施例】本発明の一実施例による放射線検出素子を図
3を用いて説明する。約300μm厚のSi基板10上
に約200nm厚のTa超伝導体層12が形成され、こ
のTa超伝導体層12上に約10〜100nm厚のAl
超伝導体層14が形成されている。超伝導転移温度が
4.48KのTa超伝導体層12と、超伝導転移温度が
1.19KのAl超伝導体層14により下部電極を構成
している。
3を用いて説明する。約300μm厚のSi基板10上
に約200nm厚のTa超伝導体層12が形成され、こ
のTa超伝導体層12上に約10〜100nm厚のAl
超伝導体層14が形成されている。超伝導転移温度が
4.48KのTa超伝導体層12と、超伝導転移温度が
1.19KのAl超伝導体層14により下部電極を構成
している。
【0027】下部電極のAl超伝導体層14上には約1
nm厚のAlOxバリア層16を介して上部電極が形成
され、ジョセフソン接合を形成している。AlOxバリ
ア層16上に約10〜100nm厚のAl超伝導体層1
8が形成され、このAl超伝導体層18上に約200n
m厚のTa超伝導体層20が形成されている。超伝導転
移温度が1.19KのAl超伝導体層18と、超伝導転
移温度が4.48KのTa超伝導体層20により上部電
極を構成している。
nm厚のAlOxバリア層16を介して上部電極が形成
され、ジョセフソン接合を形成している。AlOxバリ
ア層16上に約10〜100nm厚のAl超伝導体層1
8が形成され、このAl超伝導体層18上に約200n
m厚のTa超伝導体層20が形成されている。超伝導転
移温度が1.19KのAl超伝導体層18と、超伝導転
移温度が4.48KのTa超伝導体層20により上部電
極を構成している。
【0028】Ta超伝導体層12、20はSiO2 層2
2により覆われている。SiO2 層22上には約600
nm厚のTa配線層24、26が形成され、Ta配線層
24はコンタクトホールを介してTa超伝導体層12に
接続され、Ta配線層26はコンタクトホールを介して
Ta超伝導体層20に接続されている。放射線検出時に
は、全体を液体ヘリウムに浸漬させる。放射線はSi基
板10の底面又はTa超伝導体層12上方からジョセフ
ソン接合部分に入射され、ジョセフソン接合部分におい
て入射した放射線が検出される。
2により覆われている。SiO2 層22上には約600
nm厚のTa配線層24、26が形成され、Ta配線層
24はコンタクトホールを介してTa超伝導体層12に
接続され、Ta配線層26はコンタクトホールを介して
Ta超伝導体層20に接続されている。放射線検出時に
は、全体を液体ヘリウムに浸漬させる。放射線はSi基
板10の底面又はTa超伝導体層12上方からジョセフ
ソン接合部分に入射され、ジョセフソン接合部分におい
て入射した放射線が検出される。
【0029】このように本実施例によれば、ジョセフソ
ン接合をTa超伝導体層により形成したので、準粒子の
寿命とフォノンの寿命が長く、十分な熱サイクル耐性を
確保することができる。また、上部電極及び下部電極と
も、超伝導転移温度が低いAl超伝導体層と超伝導転移
温度が高いTa超伝導体層との二層構造とし、バリア層
側に相対的に転移温度が低いAl超伝導体層が設けられ
ているので、Ta超伝導体層において生成された準粒子
がAl超伝導体層で効率よく収集される。
ン接合をTa超伝導体層により形成したので、準粒子の
寿命とフォノンの寿命が長く、十分な熱サイクル耐性を
確保することができる。また、上部電極及び下部電極と
も、超伝導転移温度が低いAl超伝導体層と超伝導転移
温度が高いTa超伝導体層との二層構造とし、バリア層
側に相対的に転移温度が低いAl超伝導体層が設けられ
ているので、Ta超伝導体層において生成された準粒子
がAl超伝導体層で効率よく収集される。
【0030】次に、本発明の一実施例による放射線検出
素子を図4及び図5を用いて説明する。まず、約300
μm厚のSi基板10上に、スパッタ法により約200
nm厚のTa超伝導体層12を堆積する。続いて、Ta
超伝導体層12上に約10〜100nm厚のAl超伝導
体層14をスパッタ法により堆積する。続いて、Al超
伝導体層14の表面を酸化して約1nm厚のAlOxバ
リア層16を形成する。続いて、AlOxバリア層16
上に約10〜100nm厚のAl超伝導体層18をスパ
ッタ法により堆積する。続いて、Al超伝導体層18上
に約200nm厚のTa超伝導体層20をスパッタ法に
より堆積する(図4(a))。
素子を図4及び図5を用いて説明する。まず、約300
μm厚のSi基板10上に、スパッタ法により約200
nm厚のTa超伝導体層12を堆積する。続いて、Ta
超伝導体層12上に約10〜100nm厚のAl超伝導
体層14をスパッタ法により堆積する。続いて、Al超
伝導体層14の表面を酸化して約1nm厚のAlOxバ
リア層16を形成する。続いて、AlOxバリア層16
上に約10〜100nm厚のAl超伝導体層18をスパ
ッタ法により堆積する。続いて、Al超伝導体層18上
に約200nm厚のTa超伝導体層20をスパッタ法に
より堆積する(図4(a))。
【0031】スパッタ法による成膜条件は、Ar圧力が
1.3Paで、Taの場合、DCマグネトロンスパッタ
の印加電流が2.0A、印加電圧が300Vであり、A
lの場合、DCマグネトロンスパッタの印加電流が0.
3A、印加電圧が100Vである。次に、Ta超伝導体
層18上に、ジョセフソン接合の形成予定領域が残存す
るようにパターニングされたレジスト層30を形成し、
このレジスト層30をマスクとして、CF4 +5%O2
ガスをエッチングガスとして用い、圧力7Pa、印加電
力50Wの条件で反応性イオンエッチング(RIE)に
よりTa超伝導体層20をエッチングする。このエッチ
ングはAl超伝導体層18で停止する。続いて、同じレ
ジスト層30をマスクとして、Arガスを用い、圧力1
Pa、印加電力100Wの条件で反応性イオンエッチン
グ(RIE)によりAl超伝導体層18、AlOxバリ
ア層16、Al超伝導体層14を続けてエッチングす
る。このエッチングはTa超伝導体層12で停止する
(図4(b))。
1.3Paで、Taの場合、DCマグネトロンスパッタ
の印加電流が2.0A、印加電圧が300Vであり、A
lの場合、DCマグネトロンスパッタの印加電流が0.
3A、印加電圧が100Vである。次に、Ta超伝導体
層18上に、ジョセフソン接合の形成予定領域が残存す
るようにパターニングされたレジスト層30を形成し、
このレジスト層30をマスクとして、CF4 +5%O2
ガスをエッチングガスとして用い、圧力7Pa、印加電
力50Wの条件で反応性イオンエッチング(RIE)に
よりTa超伝導体層20をエッチングする。このエッチ
ングはAl超伝導体層18で停止する。続いて、同じレ
ジスト層30をマスクとして、Arガスを用い、圧力1
Pa、印加電力100Wの条件で反応性イオンエッチン
グ(RIE)によりAl超伝導体層18、AlOxバリ
ア層16、Al超伝導体層14を続けてエッチングす
る。このエッチングはTa超伝導体層12で停止する
(図4(b))。
【0032】次に、Ta超伝導体層12、20上に下部
電極の形成予定領域が残存するようにパターニングされ
たレジスト層32を形成し、このレジスト層32をマス
クとして、CF4 +5%O2 ガスをエッチングガスとし
て用い、圧力7Pa、印加電力50Wの条件で反応性イ
オンエッチング(RIE)によりTa超伝導体層12を
エッチングする。このエッチングはSi基板10で停止
する(図4(c))。
電極の形成予定領域が残存するようにパターニングされ
たレジスト層32を形成し、このレジスト層32をマス
クとして、CF4 +5%O2 ガスをエッチングガスとし
て用い、圧力7Pa、印加電力50Wの条件で反応性イ
オンエッチング(RIE)によりTa超伝導体層12を
エッチングする。このエッチングはSi基板10で停止
する(図4(c))。
【0033】次に、電力900W、圧力1.3Paの条
件でArを用いるスパッタ法により全面にSiO2 層2
2を堆積する(図5(a))。次に、SiO2 層22上
にコンタクトホール形成予定領域が開口するようにパタ
ーニングされたレジスト層34を形成し、このレジスト
層34をマスクとして、CHF3 +30%O2 ガスをエ
ッチングガスとして用い、圧力7Pa、印加電力100
Wの条件で反応性イオンエッチング(RIE)によりS
iO2 層22をTa超伝導体層12、20が露出するま
でエッチングする(図5(b))。
件でArを用いるスパッタ法により全面にSiO2 層2
2を堆積する(図5(a))。次に、SiO2 層22上
にコンタクトホール形成予定領域が開口するようにパタ
ーニングされたレジスト層34を形成し、このレジスト
層34をマスクとして、CHF3 +30%O2 ガスをエ
ッチングガスとして用い、圧力7Pa、印加電力100
Wの条件で反応性イオンエッチング(RIE)によりS
iO2 層22をTa超伝導体層12、20が露出するま
でエッチングする(図5(b))。
【0034】次に、SiO2 層22上に約600nm厚
のTa配線層24、26を形成する。Ta配線層24は
コンタクトホールを介してTa超伝導体層12に接続さ
れ、Ta配線層26はコンタクトホールを介してTa超
伝導体層20に接続される(図5(c))。これにより
本実施例による放射線検出素子が完成する。本発明は上
記実施例に限らず種々の変形が可能である。
のTa配線層24、26を形成する。Ta配線層24は
コンタクトホールを介してTa超伝導体層12に接続さ
れ、Ta配線層26はコンタクトホールを介してTa超
伝導体層20に接続される(図5(c))。これにより
本実施例による放射線検出素子が完成する。本発明は上
記実施例に限らず種々の変形が可能である。
【0035】例えば、上記実施例では、転移温度の低い
低転移温度超伝導体層にAlを用い、転移温度の高い高
転移温度超伝導体層にTaを用いたが、他の超伝導材料
を用いてもよい。また、上記実施例ではバリア層として
AlOx層を用いたが、他の絶縁層を用いてもよい。
低転移温度超伝導体層にAlを用い、転移温度の高い高
転移温度超伝導体層にTaを用いたが、他の超伝導材料
を用いてもよい。また、上記実施例ではバリア層として
AlOx層を用いたが、他の絶縁層を用いてもよい。
【0036】更に、上記実施例ではSi基板を用いた
が、Si以外の材料、例えば、Ta,W、Hf、Pt又
はAuを基板として用いてもよい。
が、Si以外の材料、例えば、Ta,W、Hf、Pt又
はAuを基板として用いてもよい。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、生成する準粒子の寿命
とフォノンの寿命が比較的長く、熱サイクル耐性に優
れ、しかも、発生した準粒子とフォノンを効率よく収集
することができる。
とフォノンの寿命が比較的長く、熱サイクル耐性に優
れ、しかも、発生した準粒子とフォノンを効率よく収集
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な超伝導材料の準粒子及びフォノンの寿
命を示す図である。
命を示す図である。
【図2】二層構造の超伝導体電極層での準粒子の収集過
程の説明図である。
程の説明図である。
【図3】本発明の一実施例による放射線検出素子を示す
断面図である。
断面図である。
【図4】本発明の一実施例による放射線検出素子の製造
方法の工程断面図(その1)である。
方法の工程断面図(その1)である。
【図5】本発明の一実施例による放射線検出素子の製造
方法の工程断面図(その2)である。
方法の工程断面図(その2)である。
【図6】超伝導材料と半導体材料におけるエネルギー分
解能と入射エネルギーとの関係を示すグラフである。
解能と入射エネルギーとの関係を示すグラフである。
【図7】放射線を照射したときのジョセフソン接合にお
けるトンネリング過程の説明図である。
けるトンネリング過程の説明図である。
【図8】ジョセフソン接合における準粒子のトンネリン
グ過程の電流−電圧特性を示すグラフである。
グ過程の電流−電圧特性を示すグラフである。
10:Si基板 12:Ta超伝導体層 14:Al超伝導体層 16:AlOxバリア層 18:Al超伝導体層 20:Ta超伝導体層 22:SiO2 層 24、26:Ta配線層 30、32、34:レジスト層
Claims (2)
- 【請求項1】 基板と、前記基板上に形成された第1の
超伝導体層と、前記第1の超伝導体層上に形成されたバ
リア層と、前記バリア層上に形成された第2の超伝導体
層とを有し、前記第1の超伝導体層と前記バリア層と前
記第2の超伝導体層により形成される接合部分に放射線
を入射することにより放射線を検出する放射線検出素子
において、 前記第1の超伝導体層は、 前記バリア層に接合する第1の転移温度を有する第1の
低転移温度超伝導体層と、 前記第1の低転移温度超伝導体層に接し、前記第1の転
移温度より高い第2の転移温度を有する第1の高転移温
度超伝導体層とを有し、 前記第2の超伝導体層は、 前記バリア層に接合する前記第1の転移温度を有する第
2の低転移温度伝導体層と、 前記第2の低転移温度超伝導体層に接し、前記第2の転
移温度を有する第2の高転移温度超伝導体層とを有し、 前記バリア層は、前記第1の低転移温度超伝導体層の酸
化物層又は窒化物層であることを特徴とする放射性検出
素子。 - 【請求項2】 請求項1記載の放射線検出素子におい
て、 前記第1及び第2の低転移温度超伝導体層は、Alであ
り、 前記第1及び第2の高転移温度超伝導体層は、Taであ
り、 前記バリア層は、AlOxであることを特徴とする放射
線検出素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4191127A JPH0637345A (ja) | 1992-07-17 | 1992-07-17 | 放射線検出素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4191127A JPH0637345A (ja) | 1992-07-17 | 1992-07-17 | 放射線検出素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0637345A true JPH0637345A (ja) | 1994-02-10 |
Family
ID=16269323
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4191127A Withdrawn JPH0637345A (ja) | 1992-07-17 | 1992-07-17 | 放射線検出素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0637345A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015215888A (ja) * | 2014-04-28 | 2015-12-03 | ユニヴェルシテ ドゥ ジュネーヴ | 光学系に基づく量子乱数発生の方法及びデバイス |
-
1992
- 1992-07-17 JP JP4191127A patent/JPH0637345A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015215888A (ja) * | 2014-04-28 | 2015-12-03 | ユニヴェルシテ ドゥ ジュネーヴ | 光学系に基づく量子乱数発生の方法及びデバイス |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19991005 |