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JPH08172055A - 窒化物半導体結晶の成長方法およびその装置 - Google Patents

窒化物半導体結晶の成長方法およびその装置

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Publication number
JPH08172055A
JPH08172055A JP31631594A JP31631594A JPH08172055A JP H08172055 A JPH08172055 A JP H08172055A JP 31631594 A JP31631594 A JP 31631594A JP 31631594 A JP31631594 A JP 31631594A JP H08172055 A JPH08172055 A JP H08172055A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nitrogen
organometallic compound
active hydrogen
nitride semiconductor
semiconductor crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31631594A
Other languages
English (en)
Inventor
Michio Sato
理夫 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP31631594A priority Critical patent/JPH08172055A/ja
Publication of JPH08172055A publication Critical patent/JPH08172055A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】窒化物半導体の結晶成長を低い温度で行う際
に、実用に供するための十分な結晶成長速度と高い原料
の使用効率を獲得すると共に、低温成長で問題となる残
留不純物の取り込みを低減し、高品質の窒化物半導体結
晶の成長方法およびそれを実施する結晶成長装置を提供
する。 【構成】少なくともIII族元素を含む有機金属化合物お
よび窒素もしくは窒素元素を含む化合物を原料物質とし
て用い、反応容器内に導入して所定の基板表面に窒化物
半導体結晶を成長する方法において、活性水素原子と上
記原料物質とを同時に反応容器内の基板表面部もしくは
その近傍に導入して、III族元素の窒化物からなる半導
体結晶を成長する方法およびそれを実施する結晶成長装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は緑色・青色・紫外の発光
デバイス、高い電圧や高い温度において動作する電子デ
バイスに用いられる窒化物半導体結晶の気相成長方法お
よびその結晶成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】代表的な窒化物半導体である窒化ガリウ
ムを主たる材料として、青色で発光する半導体発光素子
(発光ダイオード)が実用化されている。そして、種々
の文献や学会に発表され〔S. Nakamura, M. Seno, and
T. Mukai:Jpn. Appl. Phys.,32(1993)L8−.や、S. N
akamura:Conference digest of 7th International Con
ference on Metalorganic Vapor Phase Epitaxy, Yokoh
ama(1994),A9−1等〕、窒化物半導体は多くの注目を
集めている。窒化物半導体の結晶成長には様々な方法が
ある。その中の代表的なものとして、上述の発光素子の
作製方法は、有機金属を用いた気相成長法(MOCVD
法)である。この方法では、水素や窒素等のガスをキャ
リアガスとして用い、有機金属および窒素原料をキャリ
アガスで同伴して成長室に供給して結晶成長を行ってい
る。MOCVD法による窒化物の結晶成長には、アンモ
ニアを窒素原料として用いる場合が多い。この方法は、
アンモニアの分解に高い温度を必要とするため、基板の
温度を1000℃程度に保つ必要がある。また、この温
度では結晶の表面から窒素原子の蒸発を無視するとがで
きないため、結晶表面に一定以上の活性な窒素の圧力を
かけておく必要があり、原料分解率の低さとあいまっ
て、多量のアンモニアの供給を必要とする問題がある。
同じ基板の上に、複数の色で発光する構造の発光素子を
作製することにより、単一の素子構造で多くの色を発光
させることが可能となる。この目的のため、緑・青で発
光する窒化物半導体よりなる素子構造を、ヒ素あるいは
リンを含む構造の素子上に直接成長する構造とすること
が望ましい。しかしながら、ヒ素あるいはリンを含む半
導体は、おおむね800℃以上の高温で破壊されるた
め、このような素子構造の実現には、結晶成長温度を低
くすることが重要な条件となる。また、結晶の品質を均
一化させ、急峻な界面を得るためには低い圧力下で結晶
の成長を行う必要性も生じる。MOCVD法において、
窒化物を低温で成長させる場合に、窒素原料であるアン
モニアの分解が非常に遅くなることが問題となる。これ
を解決するために、アンモニアより不安定な窒素原料を
用いる場合がある。例えばヒドラジン(N24)やジメ
チルヒドラジン〔(CH3222〕を用いた例が報
告されている〔M. Mizuta, S. Fujieda, Y. Matsumoto,
and T. Kawamura: Jpn. J. Appl. Phys.25 (1986) L94
5−.と、尾鍋研太郎:応用物理 63,(1994) p156−.〕。
しかし、このような不安定な窒素原料は毒性が強く、刺
激により爆発するといった欠点を持っている。より低い
温度で結晶成長を行うことを目的とし、プラズマにより
窒素原料の分解を促進し、活性窒素の形で基板表面に供
給する方法が提案されている。この手法により、500
℃程度の低い温度においても窒化物の結晶を得ることが
できるようになった。低い温度では、原料であるIII族
元素を含む有機金属化合物の分解速度も遅くなる。ま
た、高温におけるMOCVD法においては有機金属化合
物の分解は無視しうるほど速いが、600℃程度まで温
度を下げていくと、その分解速度は窒素原料と同様に無
視できなくなってくる。おおむね0.1気圧程度以上の
高い圧力で行うMOCVD法では、有機金属化合物の分
子は気相中において、キャリアガスによる熱伝導により
与えられるエネルギーにより一部が熱分解する。気相中
で熱分解によって生じる中間生成物は、不安定であるた
め基板の表面に到達すると、基板の表面の状態によらず
に吸着される。窒化物の表面はイオン性が強いために吸
着力は弱いが、中間生成物の不安定性の故、吸着力の弱
さが結晶成長速度に顕著な影響を与えることがない。一
方、急峻なガスの切り換えや、活性窒素原子の効率的な
供給を得るために、結晶成長時の圧力を減じていくと気
相中で熱分解が生じる量は減少していく。有機金属化合
物の分解は、ほとんど表面で生じるようになるために、
表面の吸着力の差が結晶成長速度の変化として顕著に現
われてくる。特に、窒化物の表面はイオン性が強いため
に吸着力が弱く、表面に到達した有機金属化合物の分子
は容易に脱離する。有機金属化合物が脱離するまでの間
の、短い吸着時間のうちに熱分解した有機金属化合物の
みが、金属原子を基板表面に供給して結晶成長の反応に
寄与する。このため、結晶成長速度は極めて小さくな
る。表面への吸着時間や結晶表面での反応速度は温度に
非常に敏感であるので、結晶成長に際しては温度の精密
な制御が要求される。また、結晶成長速度が遅すぎるこ
とは、実用化を考えると大きなデメリットである。実用
的な結晶成長速度を得るためには、過剰な有機金属を供
給しなければならない。これは原料の使用効率を悪化さ
せ、ポンプや排気ガスの処理系に大きな負荷をかけるこ
とになる。窒化物半導体結晶を得る手法として、高真空
中で金属蒸気あるいは金属を含む原料ガスと活性窒素原
子を分子線として半導体表面に供給する方法がある。こ
の方法は、分子線エピタキシャル法(MBE法)と呼ば
れている。MBE法における窒素原料としては、プラズ
マにより生成した活性窒素原子を用いられることが多
い。このため、アンモニアを原料とするMOCVD法よ
りも低い温度で窒化物半導体結晶を成長することができ
る。MBE法におけるIII族元素の原料としては、Ga
やAlなどの単体金属を真空中でルツボから蒸発させて
用いる場合が多い。しかしながら、原料を消費しきると
高真空の装置を、いったん大気圧に戻してから原料を補
充・交換する必要が生じ保守性・量産性に問題がある。
また、真空容器の壁面などで反射した活性窒素原子が、
ルツボ内の金属の表面で反応して窒化物を生成して表面
を覆うため、ルツボからの金属蒸発量が不安定となり再
現性に乏しいという問題もある。このようなことによ
り、MBE法においても有機金属化合物をIII族元素の
原料として用いることが検討されている。有機金属を用
いたMBE法においては、有機金属は全く分解を受けず
に表面に到達するので、低い圧力でのMOCVD法と同
様、あるいはそれ以上に窒化物半導体の表面の活性の低
下が顕著に現われる。比較的分解の容易なエチル系の有
機金属化合物を用いた場合においても、窒化物の結晶成
長速度は極めて小さい。MBE法では高真空を維持する
必要があるために、原料の供給量を増加させることは容
易ではない。原料供給量を増すことにより結晶成長速度
を増加させることはきわめて困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したごとく、従来
技術においては、MOCVD法による低温成長において
も、また、有機金属化合物を用いたMBE法において
も、窒化物半導体の表面での有機金属化合物の分解が遅
いという問題がある。有機金属化合物の分解は結晶成長
速度のみならず、成長した結晶の品質にも影響を与え
る。窒化物半導体の結晶を得るためには、有機金属化合
物の分子の金属と炭素の間の結合を切る必要がある。分
解速度が遅いことは、未分解の有機金属分子からの炭素
を結晶中に取り込む可能性を増大させる。この炭素の取
り込みは結晶成長が低温になると顕著となる。また、結
晶成長速度を増加させるために有機金属化合物の供給量
を増すことは、有機金属原料容器内に存在する不純物が
半導体表面に供給される量も同時に増加させてしまう。
これらは良質な半導体結晶を成長するためには好ましく
ないという問題があった。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術における問
題点を解消し、窒化物半導体の結晶成長を低い温度で行
う際に、実用に供するための十分な結晶成長速度と高い
原料の使用効率を獲得すると共に、低温成長で問題とな
る残留不純物の取り込みを低減し高品質の窒化物半導体
結晶の成長方法およびそれを実施する結晶成長装置を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するために、本発明は特許請求の範囲に記載されている
ような構成とするものである。すなわち、本発明は請求
項1に記載のように、少なくともIII族元素を含む有機
金属化合物および窒素もしくは窒素元素を含む化合物を
原料物質として用い、反応容器内に導入して所定の基板
表面に窒化物半導体結晶を成長する方法において、活性
水素原子と上記原料物質とを同時に反応容器内の基板表
面部もしくはその近傍に導入して、III族元素の窒化物
からなる半導体結晶を成長する方法である。また、本発
明は請求項2に記載のように、請求項1において、活性
水素原子はプラズマ分解により生成するか、もしくは高
温に保持したフィラメントにより接触分解して生成する
ものである。さらに、本発明は請求項3に記載のよう
に、III族元素を含む有機金属化合物と、窒素もしくは
窒素元素を含む化合物を反応容器内に供給して、III族
元素の窒化物からなる半導体結晶を成長する装置におい
て、プラズマ分解により活性水素原子を生成する手段
と、上記活性水素原子と上記有機金属化合物および窒素
原料とを同時に反応容器内の基板表面部もしくはその近
傍に供給する手段を少なくとも備えた窒化物半導体結晶
の成長装置である。また、本発明は請求項4に記載のよ
うに、III族元素を含む有機金属化合物と、窒素もしく
は窒素元素を含む化合物を、高真空に保持した反応容器
内に供給して、III族元素の窒化物からなる半導体結晶
を成長する装置において、プラズマ分解により活性水素
原子を生成する手段と、上記活性水素原子と上記有機金
属化合物および窒素原料とを同時に反応容器内の基板表
面部もしくはその近傍に供給する手段を少なくとも備え
た窒化物半導体結晶の成長装置である。また、本発明は
請求項5に記載のように、III族元素を含む有機金属化
合物と、窒素もしくは窒素元素を含む化合物を、高真空
に保持した反応容器内に供給して、III族元素の窒化物
からなる半導体結晶を成長する装置において、高温に加
熱保持したフィラメントに水素ガスを接触させて活性水
素原子を生成する手段と、上記活性水素原子と上記有機
金属化合物および窒素原料とを同時に反応容器内の基板
表面部もしくはその近傍に供給する手段を少なくとも備
えた窒化物半導体結晶の成長装置である。本発明のプラ
ズマ分解により活性水素原子を生成する手段は、例え
ば、高周波を印加してプラズマを生成し閉じ込める手
段、もしくは磁場の印加のもとで高周波を印加し、電子
のサイクロトロン共鳴を利用して、さらなるプラズマ閉
じ込めを行う手段を用いるものである。
【0006】
【作用】従来技術において、有機金属化合物を原料とし
て用い、窒化物半導体結晶の成長を低い温度で行うと、
表面での有機金属化合物の分解効率が低いために結晶成
長速度が遅く、原料の使用効率も著しく低い。また、原
料ガスの分解が不十分なことにより、結晶に不純物が取
り込まれて窒化物半導体結晶の品質が低下するという問
題がある。上記の窒化物半導体表面で有機金属化合物の
分解が遅い理由は、表面のイオン性が強いため、有機金
属化合物の表面での吸着が起こりにくいということであ
る。大部分の有機金属化合物の分子は、表面において分
解に必要なエネルギーを得る前に脱離して結晶成長に寄
与しなくなる。本発明の窒化物半導体結晶の成長方法
は、活性水素原子が有機金属化合物の窒化物半導体表面
での分解を著しく促進するという発見に基づいたもので
ある。活性水素原子が関与した有機金属化合物の分解速
度は、活性水素原子が関与しない熱分解に比べて著しく
速いため、有機金属化合物が窒化物半導体表面に滞在す
る僅かな時間の間に十分に分解させることができ、その
ため窒化物半導体結晶の成長速度を著しく増大させるこ
とができ、かつ原料物質の使用効率を向上させることが
できる。また、活性水素原子は、不純物原子とIII族金
属原子あるいは窒素原子との間の結合を切断する効果を
有するため、残留する不純物量もいっそうの低減が可能
となる。本発明の窒化物半導体結晶の成長方法は、請求
項1に記載のように、III族元素を含む有機金属化合物
と同時に活性水素原子を供給し、有機金属化合物の分解
を促進することにより、高い結晶成長速度と高い原料使
用効率を実現することができると共に、窒化物半導体結
晶内部への残留不純物の取り込みを低減することがで
き、高品質の窒化物半導体結晶が得られる。そして、活
性水素原子は、請求項2に記載のように、プラズマ分解
または高温のフィラメントによる接触分解によって容易
に生成することができ、有機金属化合物の分解を促進す
ることができる。さらに、本発明の窒化物半導体結晶の
成長を行う装置として、請求項3に記載のように、ガス
混合・流量制御部を設け、活性水素原子供給用石英反応
管(またはセル)を設けているので、活性水素原子の供
給量を自在に調整制御することが可能となり、有機金属
化合物の分解が促進でき、高品質の窒化物半導体結晶を
高効率で得ることができる。また、本発明の窒化物半導
体結晶の成長装置は、請求項4に記載のように、高真空
に保持した反応容器内の基板表面上に、プラズマにより
生成した活性水素原子と有機金属化合物等を供給手段を
設けているので、所望する窒化物半導体結晶の種類によ
って最良の成長条件に設定することが可能となる。ま
た、請求項5に記載のように、活性水素原子の生成手段
として、高温に加熱保持したフィラメントに水素ガスを
接触させて解離することによっても活性水素原子を容易
に得ることができ、窒化物半導体結晶の成長装置を安価
に構成することが可能となる。
【0007】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、図面を用いて
さらに詳細に説明する。 〈実施例1〉図1は、本実施例で例示するIII族元素を
含む有機金属化合物を用いる窒化物半導体結晶の成長装
置の構成の一例を示す模式図である。この窒化物半導体
結晶の成長装置は、ガス混合・流量制御部1、原料ガス
等を供給する配管である有機金属・キャリアガス供給配
管2、窒素供給配管3、水素供給配管4、活性窒素原子
および活性水素原子の供給装置である活性窒素原子供給
用石英反応管5、プラズマ閉じ込めシールド6、同軸ケ
ーブル(または導波路)7、高周波発振器8、活性水素
原子供給用石英反応管9、プラズマ閉じ込めシールド1
0、同軸ケーブル(または導波路)11、高周波発振器
12、半導体基板を所定の温度に保つことができる反応
容器13、基板14、基板用ヒータ15、真空排気装置
16、有害な排気ガスを処理する排気ガス処理装置17
から構成されている。本発明の実施例においては、特に
符号9ないし12で示す活性水素原子の供給装置を持つ
ことを特徴としている。窒化物半導体の結晶成長にあた
っては、ガス混合・流量制御部1で、ガスを所定の濃
度、流量に調節した後、有機金属・キャリアガス供給配
管2、窒素供給配管3、水素供給配管4を介して反応容
器13に供給する。有機金属化合物は、あらかじめ分解
させることなしに反応容器13に供給する。窒素および
水素は、プラズマにより分解して、活性窒素原子および
活性水素原子として供給する。活性原子の供給は次の手
順により行う。すなわち、高周波発振器8および12に
より高周波を発振し、同軸ケーブル7および11を介し
て、プラズマ閉じ込めシールド6および10に高周波を
供給する。シールドの内部に石英反応管5および9を保
持しておく。石英管5および9の内部に窒素および水素
ガスを供給しておき、高周波の吸収が管の中心で最大と
なるように調整すると窒素および水素のプラズマがそれ
ぞれの石英管5、7内で形成される。プラズマ中で生成
する活性原子は、ガス流に同伴されて基板14の表面近
傍に供給される。活性窒素原子および活性水素原子の量
は、各石英管5、7に供給するガスの流量とプラズマ閉
じ込めシールド6、10に印加する高周波出力によって
制御する。同軸ケーブル7および11の代わりに、導波
路を用いて高周波発振器とプラズマ閉じ込めシールド
6、10を直結して用いることも可能である。図1で
は、活性窒素供給用と活性水素供給用の2系統のプラズ
マ分解機構を備えているが、分解機構を1系統にして、
そこに窒素と水素の混合ガスを供給することによって
も、活性水素原子と活性窒素原子を同時に供給すること
が可能である。この場合には、混合比を変えることによ
り、各々の供給量を制御することができる。分解機構が
1系統の場合には、窒素と水素の混合気中でプラズマが
形成されるため、活性原子の他、窒素と水素が結合した
活性分子も生成する。図1では、活性原子供給用石英反
応管5、9と、反応容器13を分けて図示しているが、
反応容器13を石英で作製し、反応容器13の外周をプ
ラズマ閉じ込めシールド6、10で覆うか、あるいは高
周波印加用のコイルを配設することにより、反応容器1
3内にプラズマを形成することができる。反応容器13
中のプラズマ領域で窒素および水素が分解し、活性窒素
原子および活性水素原子が生成する。これらはガス流に
同伴されるか、あるいは拡散によって基板表面に供給さ
れる。図1では、窒素原料としてプラズマにより活性化
した活性窒素原子を用いる場合を示しているが、活性原
子供給用石英反応管5、プラズマ閉じ込めシールド6、
同軸ケーブル(または導波路)7、高周波発振器8から
なる活性窒素の生成機構を備えずに、アンモニアやジメ
チルヒドラジンなどの窒素原料を用いることも可能であ
る。特にジメチルヒドラジンを用いた場合には、活性水
素原子がジメチルヒドラジンの窒素と炭素の間の結合を
切る効果を併せもつので、有機金属化合物の使用効率の
向上に併せてジメチルヒドラジンの使用効率も向上す
る。
【0008】〈実施例2〉図1に示した窒化物半導体結
晶の成長装置を用いて、代表的な窒化物半導体である窒
化ガリウムの結晶成長を行った。原料ガスとしては、ト
リエチルガリウムと窒素ガスを用い、キャリアガスには
水素ガスを用いた。基板14としては、(100)面、
半絶縁性のヒ化ガリウムを用い、結晶成長の初期条件を
一定に保つために、基板14上に0.2マイクロメート
ルのヒ化ガリウム層を同一装置内で成長させ、その後、
試料を大気中に出すことなく窒化ガリウムの結晶成長を
開始した。反応容器内の圧力は、真空排気装置16によ
り50パスカル(1気圧は約100000パスカル)の
減圧に保った。ガスの供給量は、トリエチルガリウム
0.3SCCM(SCCMは、標準状態でのミリリット
ル/分を表わす)、窒素ガス100SCCM、活性水素
を供給する場合には水素ガス量を50SCCMとした。
高周波はマグネトロンにより発振させた2.45GHz
を用い、高周波出力は200Wとした。図2に、基板温
度と結晶成長速度の関係を示す。図における白丸は活性
水素原子を供給しない従来法により得られた結晶成長速
度を示し、黒丸は活性水素原子を有機金属化合物と同時
に供給した本実施例における結晶成長速度を表わす。図
に示すように、従来法は結晶成長速度は遅く、その成長
速度は温度に対して強い依存性を示している。基板の温
度を500℃とした場合には、基板の表面が変化したこ
とが認められたが、結晶成長速度が測定できるほどの厚
さとはならなかった。遅い結晶成長速度と強い温度依存
性は、窒化ガリウムの表面での有機金属化合物の分解が
遅いことを示している。結晶成長速度は表面での分解に
より決まっているので、有機金属化合物の供給量を増加
させても、結晶成長速度は比例して増加しない。600
℃において、トリエチルガリウム供給量を3倍に増やし
た場合でも、結晶成長速度は50%程度増加しただけで
あった。本実施例によると、結晶成長速度は温度の上昇
と共に増加し、500℃から750℃の範囲で結晶成長
速度は温度によらず一定となった。これは、結晶成長表
面での有機金属の分解速度が活性水素原子により促進さ
れ、有機金属化合物の供給速度に対して、その分解速度
が十分に速くなっていることを示している。有機金属化
合物の分解速度が十分に速いため、結晶成長速度は有機
金属化合物の供給量に比例する。600℃において、ト
リエチルガリウム供給量を3倍にした場合には、結晶成
長速度もほぼ3倍に増加した。結晶成長速度の温度依存
性が少ないため、結晶成長中に多少の温度変動が生じる
場合、あるいは表面上に温度分布が生じている場合であ
っても、成長した結晶膜の厚さをほぼ一定に保つことが
できた。
【0009】〈実施例3〉図3に、ヒ化ガリウム基板上
に600℃で1時間半成長させた窒化ガリウム結晶のX
線回折パターンを示す。図3(b)は、従来法による結
晶成長で、X線回折強度(任意単位)と2θ回折角度
(度)の関係を示す。図3(a)は、本実施例により結
晶成長させたもので、X線回折強度(任意単位)と2θ
回折角度(度)の関係を示す。図3(a)、(b)にお
いて、回折角度が31度付近のピークはヒ化ガリウム基
板の(200)回折、34度付近は六方晶窒化ガリウム
の(0002)回折、40度付近は立方晶窒化ガリウム
の(200)回折である。窒化ガリウムは自然界では六
方晶であるが、シリコン、砒化ガリウム、シリコンカー
バイド等の立方晶の結晶上に成長させると、立方晶の窒
化ガリウムが成長することが知られている〔H. Okumur
a, S. Misawa, T. Okahisa, and S. Yoshida:J of Cry
stal Growth 136, (1994)p.361−、尾鍋研太郎:応用物
63,(1994)p.156−〕。立方晶の窒化ガリウムを得る
ためには、立方晶である基板の表面状態を維持したまま
結晶成長を開始し、かつ、面内で均一な成長を行う必要
がある。実施例2で説明したように、ヒ化ガリウムの表
面状態がすべて等しくなるようにヒ化ガリウムをヒ化ガ
リウム基板上にエピタキシャル成長させ、その上に窒化
ガリウムを成長させている。従来法と本実施例との結晶
品質の違いは、結晶成長前の表面状態に起因するもので
はなく結晶成長中に生じるものである。従来法による窒
化ガリウムの結晶は、図3(b)に示されるように、結
晶成長速度が遅いために回折強度が小さくなっている。
また、得られた窒化ガリウムの結晶は、六方晶と立方晶
が混ざったものとなっており結晶成長が均一に行われて
いないことを示している。 立方晶窒化ガリウムからの
回折ピークの半値幅は2.5度と広く、結晶性が良く
ないことを示している。本実施例による窒化ガリウムの
結晶は、図3(a)に示されるように、強く鋭い回折ピ
ークを示し、得られた窒化ガリウムの結晶は、すべて立
法晶窒化ガリウムであり、34度付近を拡大しても六法
晶窒化ガリウムからの回折ピークは観測できなかった。
立方晶窒化ガリウムの回折ピークの半値幅は0.58度
と、極めて狭く結晶が良質であることを示している。
【0010】〈実施例4〉窒化物半導体により発光素子
を作製する場合には、基板の上に緩衝層を成長させて、
基板と窒化物半導体との格子定数の差(格子不整合)を
緩和させる手法が用いられる。基板と窒化物半導体の間
には、熱膨張係数の差があるため緩衝層は可能な限り低
温で成長させることが望ましい。本実施例においては、
500℃程度の低温で窒化ガリウムを成長させることが
できるので、この低温成長膜を緩衝層として用いて結晶
の高品質化を行った。実施例2に示した成長条件のもと
で、500℃で15分間、約0.2マイクロメートルの
緩衝層を成長させた後、トリエチルガリウムの供給を一
時停止する。活性窒素原子および活性水素原子を供給し
ている状態で、基板温度を650℃まで上昇させ、トリ
エチルガリウムの供給を再開する。そして650℃で1
時間半、窒化ガリウムを成長させた。得られた結晶のX
線回折パターンは、図3(a)で示したものとほぼ同じ
であり、すべて立方晶窒化ガリウムが形成されているこ
とが確認できた。図4に、本実施例で得られた窒化ガリ
ウム結晶の発光(フォトルミネッセンス)スペクトルを
示す。フォトルミネッセンスとは、半導体の試料表面に
バンドギャップよりも大きな光子エネルギーを持つ光を
照射し、半導体中に形成される電子と正孔が再結合する
際に発する光を計測するものである。図4は、得られた
結晶を液体窒素温度(77K)に冷やし、ヘリウム−カ
ドミウムレーザからでる波長325ナノメートルのレー
ザ光を照射して測定した結果である。図4に示す350
ナノメートルの発光は、立方晶窒化ガリウムのバンドギ
ャップの発光である。この発光は極めて鋭い。これは結
晶性が良いことの現われである。バンドギャップの発光
よりも長波長側には、ほとんど発光が見られない。これ
は、得られた結晶中にはバンドギャップ内に順位を形成
するような不純物や欠陥がほとんど存在していないこと
を示している。500℃で緩衝層を成長させた立方晶窒
化ガリウムからの発光強度は、緩衝層を持たない結晶か
らの発光強度の約5倍であった。また従来法により成長
させた立方晶と六方晶が混ざった結晶からの発光と比較
すると、100倍以上の発光強度となった。本発明によ
り、より低い温度で緩衝層を成長させることが可能とな
った。低温で成長させた緩衝層の上に結晶成長させるこ
とにより、実施例3で述べた良質の窒化ガリウムを、さ
らに高品質なものとすることができた。
【0011】〈実施例5〉図1に示す成長装置を用い、
実施例1に示した窒化物半導体結晶の成長方法を用い
て、紫色の発光ダイオードを作製した。基板としては
(100)面のヒ化ガリウムを用い、緩衝層となる窒化
ガリウム層は500℃で成長し、発光ダイオードとなる
構造は650℃で作製した。この温度は、従来のアンモ
ニアを窒素原料とし大気圧で結晶成長を行うMOCVD
法における結晶成長温度(1000℃付近)と比較する
と、はるかに低い温度である。作製した構造は、ヒ化ガ
リウム基板の側より、0.2マイクロメートルの窒化ガ
リウム緩衝層、1マイクロメートルのn型窒化ガリウ
ム、0.2マイクロメートルの窒化ガリウムと窒化イン
ジウムの合金半導体からなる発光活性層、0.5マイク
ロメートルのp型窒化ガリウムである。n型およびp型
の導電性を得るために、シリコンおよびマグネシウムを
窒化ガリウムに添加した。シリコン原料にはシランを、
マグネシウム原料にはビス−シクロペンタジエニルマグ
ネシウムを用い、有機金属化合物ガスと同時に供給し
た。発光活性層のインジウムの比率は10%とした。活
性水素原子は、トリエチルガリウムと同様に、シランお
よびビス−シクロペンタジエニルマグネシウムの分解を
促進する効果をもつ。そのため、高いドーピング効率が
得られた。アンモニアを原料とするMOCVD法におい
ては、p型の導電性を得るためには電子ビームによる処
理〔H. Amano, M. Kito, K. Hiramatsu, and I. Akasak
i: Jpn. J. Appl. Phys. 28 (1989) L2112〕、あるいは
窒素気流中における熱処理〔S. Nakamura, N. Iwasa,
M. Seno, and T. Mukai:Jpn. J. Appl. Phys. 31 (199
2)p.1258〕をすることが必要であった。本発明の実施例
による立方晶窒化ガリウムを用いて構造を作製した場合
には、結晶成長後になんら処理を行わなくても良好なp
型の導電性を得ることができた。作製した発光ダイオー
ド構造に、室温で順方向に3.5ボルト印加すると紫色
の発光が観測された。発光波長は400ナノメートル
で、これは窒化ガリウムと窒化インジウムの合金半導体
からなる発光活性層のバンドギャップに相当する。20
ミリアンペアの電流を流した時に15マイクロワットの
発光強度が得られた。この発光強度は、従来の高温の結
晶成長で得られた発光ダイオードの特性とほぼ同等であ
る。本実施例においては、650℃という比較的低い温
度で良質の発光ダイオードを作製することができた。
【0012】〈実施例6〉図5に、III族元素の原料と
して有機金属化合物を用いる窒化物半導体結晶を高真空
中で成長する方法(MBE法)を実施する成長装置の一
例を示す。本成長装置は、図に示すように、ガス混合・
流量制御部、ガスの供給配管、活性窒素原子および活性
水素原子の供給装置、半導体基板を所定の温度に保つこ
とができる反応容器、高真空排気装置、有害な排気ガス
を処理する装置等から構成されている。本実施例の装置
は、図において、特に、活性水素原子供給用セル27、
同軸ケーブル(または導波路)28、高周波発振器29
で示した活性水素原子の供給装置を設けたことを特徴と
するものである。窒化物半導体の結晶成長にあたって
は、ガス混合・流量制御部1で、ガスを所定の濃度、流
量に調節した後、有機金属・キャリアガス供給配管2
1、窒素供給配管22、水素供給配管23の配管を介し
て高真空反応容器38に供給する。有機金属化合物は、
あらかじめ分解させることなしに高真空反応容器38に
供給する。窒素および水素は、プラズマにより分解し
て、活性窒素原子および活性水素原子として基板36に
供給する。ガスとして供給することが不適当である原料
は、原料ルツボ30に充填し、加熱して蒸発させること
により基板へ供給する。原料ルツボからの原料の供給量
は、ルツボの温度を制御することにより行い、供給の開
始・停止はシャッタ35の開・閉により行う。液体窒素
シュラウド41は、高真空容器中に存在する不純物の分
子を冷却した壁面に吸着させるために用いる。活性原子
を供給する手順は以下の通りである。高周波発振器26
および29により高周波を発振し、同軸ケーブル25お
よび28を介して、活性原子供給用セル24および27
に高周波を供給する。高周波の吸収が最大になるように
調整すると、窒素および水素のプラズマがセル内で形成
される。プラズマ中で生成する活性原子はセルの高真空
側出口より基板36の表面へ供給される。活性窒素およ
び活性水素の量は、セルに供給する量と印加する高周波
出力により制御する。シャッタ33、34により、活性
原子の供給の開始・停止を行うことが可能である。反応
容器の真空度を一定に保ち、活性原子の供給量を急峻に
変化させるためには、活性原子供給セル中に窒素あるい
は水素と不活性ガス(アルゴン等)の混合ガスを供給
し、全流量を一定にしておき混合比を変化させることが
有効である。同軸ケーブル25および28の代わりに、
導波路を用いて高周波発振器と活性原子供給用セルを直
結して用いることも可能である。プラズマを用いた活性
原子供給用セルは、以下に示す2つのタイプが多く使わ
れている。タイプ1として、セル内を高真空反応容器よ
りも高い圧力(10パスカルから500パスカル程度)
に保持し、その領域に高周波を印加してプラズマを形成
し、原料ガスを分解するタイプである。このタイプで
は、セル内部と高真空側を隔てる板に細孔をあけてお
き、その孔を通過した活性原子が高真空中で他の分子や
活性原子と衝突することなく基板表面まで供給される。
タイプ2として、磁場をかけたセルに高周波を印加し、
高周波により発生するプラズマ内の電子のサイクロトロ
ン共鳴を利用してプラズマを閉じ込めるタイプである。
このタイプでは、磁場による共鳴がプラズマの安定性に
寄与するため、0.01パスカル程度の真空中でもプラ
ズマを保持することができる。このプラズマ中で生成し
た活性原子が基板表面に供給される。上述のいずれのタ
イプを用いても、本発明において必要とする活性水素原
子を供給することが可能である。
【0013】〈実施例7〉図5に示した成長装置を用
い、窒化ガリウムの結晶成長を行った。活性原子供給用
セルは実施例6のタイプ1を用いた。ガリウムの原料に
はトリメチルガリウムおよびトリエチルガリウムを用
い、窒素の原料には窒素ガスをプラズマ分解することに
より生成した活性窒素原子を用いた。活性水素原子はプ
ラズマにより水素ガスを分解することにより生成した。
基板としては(100)面のヒ化ガリウムを用いた。有
機金属化合物、窒素ガス、水素ガスの供給量は、それぞ
れ0.1SCCM、2SCCM、1SCCMとした。高
周波出力は200ワットとした。従来法、すなわち、活
性水素原子を供給しないで窒素原料と有機金属化合物の
みを供給した場合、トリメチルガリウム、トリエチルガ
リウムいずれの有機金属原料からも走査型電子顕微鏡で
観察できるほどの厚さの結晶は成長しなかった。比較的
分解の容易なトリエチルガリウムを用いた場合には、結
晶成長装置に付属の表面電子線回折装置(図5では、こ
のような測定装置類は省略している)により、結晶表面
の格子定数が20%小さくなっていることが観測され
た。この差はヒ化ガリウムと窒化ガリウムの格子定数の
差と一致している。これは、表面付近には窒化ガリウム
が成長していることを示している。一方、より安定なト
リメチルガリウムを用いた場合には、結晶表面が僅かに
窒化されたことが観察されたのみで、結晶成長は全く生
じていなかった。活性水素原子を同時に供給した場合、
結晶成長は明瞭に観測された。トリエチルガリウムを用
いた場合、基板温度400℃から700℃の範囲で、温
度によらずに毎時0.2マイクロメートルの結晶成長速
度が得られた。温度に対する依存性がないことは、分解
反応は十分に速く、有機金属化合物の供給量が結晶成長
速度を決定していることを示している。トリメチルガリ
ウムを用いた場合、基板温度550℃から700℃の範
囲では温度によらず毎時0.2マイクロメートルの結晶
成長速度が得られ、それ以下の温度では結晶成長速度の
急激な減少が見られた。活性水素原子を有機金属と同時
に半導体基板表面に供給することは、表面での有機金属
化合物の分解を促進し、結晶成長速度を増加させる効果
があった。
【0014】〈実施例8〉図5に示す活性水素原子供給
用セルに代えて、タングステンのフィラメントを用いた
熱分解セルを取り付けて活性水素原子を供給した。フィ
ラメント温度は、1000℃から1500℃とし、ガス
供給量は実施例7と同様にした。高温のフィラメント上
では水素ガス分子は解離し、活性水素原子が生成する。
活性水素原子の量は、フイラメント温度が高いほど多く
なる。1500℃においても熱解離度はあまり高くない
ことに加え、ガス分子がフィラメントと接触する確率も
低いので、プラズマを用いた場合ほど多くの活性水素を
供給することはできない。トリエチルガリウムをガリウ
ム原料として用い、1500℃のフィラメントに水素ガ
スを接触させて活性水素原子を供給した場合には、毎時
0.05マイクロメートルの結晶成長速度が得られた。
熱フィラメントにより生成した活性水素原子によって
も、有機金属化合物の分解を促進し結晶成長速度を増加
させることができた。水素ガスの供給量を増やすと結晶
成長速度が増加した。活性水素原子の量が有機金属化合
物の量よりも少ない場合には、その供給量が結晶成長速
度を決定することになる。
【0015】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、III族元素
を含む有機金属化合物および窒素もしくは窒素元素を含
む化合物を原料物質として用い、反応容器内に導入して
所定の基板表面に窒化物半導体結晶を成長する方法にお
いて、活性水素原子と上記原料物質とを同時に反応容器
内の基板表面部もしくはその近傍に導入することによ
り、窒化物半導体表面での有機金属化合物の分解をいっ
そう促進することができる。その結果、低い温度におけ
る結晶成長においても、高い結晶成長速度と高い原料使
用効率を実現することができ、良質のIII族元素の窒化
物からなる半導体結晶が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜5で例示した窒化物半導体
結晶を気相で成長する装置の構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施例2で例示した基板温度と結晶成
長速度との関係を従来法と比較して示すグラフ。
【図3】本発明の実施例3で例示した窒化ガリウム結晶
のX線回折パターンを従来法と比較して示す図。
【図4】本発明の実施例4で例示した窒化ガリウム結晶
の発光スペクトルを示す図。
【図5】本発明の実施例6〜8で例示した窒化物半導体
結晶を高真空中で成長する装置の構成を示す模式図。
【符号の説明】
1…ガス混合・流量制御部 2…有機金属・キャリアガス供給配管 3…窒素供給配管 4…水素供給配管 5…活性窒素原子供給用石英反応管 6…プラズマ閉じ込めシールド 7…同軸ケーブル(または導波路) 8…高周波発振器 9…活性水素原子供給用石英反応管 10…プラズマ閉じ込めシールド 11…同軸ケーブル(または導波路) 12…高周波発振器 13…反応容器 14…基板 15…基板用ヒーター 16…真空排気装置 17…排気ガス処理装置 20…ガス混合・流量制御部 21…有機金属・キャリアガス供給配管 22…窒素供給配管 23…水素供給配管 24…活性窒素原子供給用セル 25…同軸ケーブル(または導波路) 26…高周波発振器 27…活性水素原子供給用セル 28…同軸ケーブル(または導波路) 29…高周波発振器 30…原料ルツボ 31…ケーブル・熱電対 32…加熱用電源・温度調整器 33…シャッタ 34…シャッタ 35…シャッタ 36…基板 37…基板用ヒータ 38…高真空反応容器 39…真空排気装置 40…排気ガス処理装置 41…液体窒素シュラウド

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともIII族元素を含む有機金属化合
    物および窒素もしくは窒素元素を含む化合物を原料物質
    として用い、反応容器内に導入して所定の基板表面に窒
    化物半導体結晶を成長する方法において、活性水素原子
    と上記原料物質とを同時に反応容器内の基板表面部もし
    くはその近傍に導入して、III族元素の窒化物からなる
    半導体結晶を成長することを特徴とする窒化物半導体結
    晶の成長方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、活性水素原子はプラズ
    マ分解により生成するか、もしくは高温に保持したフィ
    ラメントにより接触分解して生成することを特徴とする
    窒化物半導体結晶の成長方法。
  3. 【請求項3】III族元素を含む有機金属化合物をキャリ
    アガスと共に反応容器内に供給する手段と、窒素もしく
    は窒素元素を含む化合物を反応容器内に供給する手段を
    備えた窒化物半導体結晶の成長装置において、プラズマ
    分解により活性水素原子を生成する手段と、上記活性水
    素原子と上記有機金属化合物および窒素原料とを同時に
    反応容器内の基板表面部もしくはその近傍に供給する手
    段を少なくとも設けたことを特徴とする窒化物半導体結
    晶の成長装置。
  4. 【請求項4】III族元素を含む有機金属化合物と、窒素
    もしくは窒素元素を含む化合物を、高真空に保持した反
    応容器内に供給して、III族元素の窒化物からなる半導
    体結晶を成長する装置において、プラズマ分解により活
    性水素原子を生成する手段と、上記活性水素原子と上記
    有機金属化合物および窒素原料とを同時に反応容器内の
    基板表面部もしくはその近傍に供給する手段を少なくと
    も備えたことを特徴とする窒化物半導体結晶の成長装
    置。
  5. 【請求項5】III族元素を含む有機金属化合物と、窒素
    もしくは窒素元素を含む化合物を、高真空に保持した反
    応容器内に供給して、III族元素の窒化物からなる半導
    体結晶を成長する装置において、高温に加熱保持したフ
    ィラメントに水素ガスを接触させて活性水素原子を生成
    する手段と、上記活性水素原子と上記有機金属化合物お
    よび窒素原料とを同時に反応容器内の基板表面部もしく
    はその近傍に供給する手段を少なくとも備えたことを特
    徴とする窒化物半導体結晶の成長装置。
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