JPH08114775A - 老視矯正用レンズ - Google Patents
老視矯正用レンズInfo
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Abstract
で、調節力のない人が所定の近距離の物を見るだけでな
く、その近距離よりもやや遠い距離及び近くの距離の物
を容易に見るとともに、近距離の物を見るときに幅広い
鮮明な視野を得ることを目的とする。 【解決手段】中央基準線S上で、幾何中心Oの近傍に老
視を矯正し、かつ、近距離の物を見るのに適した屈折力
(2.50D) を有する近用中心Aを設けた。近用中心Aより
も上方にその屈折力よりも弱い屈折力(1.75D) を有する
弱度中心Bを設けた。近用中心Aよりも下方にその屈折
力よりも強い屈折力(3.25D) を有する強度中心Cを設け
た。弱度中心Bと強度中心Cとの間に、1.50D の屈折力
が累進的に付加される中間部領域5を設けた。近用中心
Aから4mm上で、2mm鼻側に装用ポイントPを配置
した。中間部領域5の明視域(非点収差0.50D 以下の領
域)の水平方向の幅をほぼ一定にし、中間部領域5の準
明視域(非点収差0.75D 以下の領域) の水平方向の幅を
幾何中心Oの近傍位置で最大にした。
Description
係り、詳しくは、老視で調節力のほとんどない人が室内
でのデスクワークや読書、新聞閲読等を行う場合に、近
距離の物を幅広く見るのに最適な老視矯正用レンズに関
するものである。
の人)における眼の水晶体の弾力性が弱まることによ
り、近距離の物を見るときの調節機能が低下するのを補
って、近業を主体とする作業に適切なレンズとしては、
単焦点レンズや累進多焦点レンズ等のレンズがある。
補い、見ようとする近距離の物体の位置に焦点を結ぶよ
うなレンズである。このレンズは、極端に強い度数でな
ければ収差(特に、非点収差)が小さいため、そのほぼ
全面を使用して鮮明な視野が得られる。又、凸面及び凹
面は球面レンズであるため、非回転対称的なプリズム効
果はないので不自然なゆれはないが、歪曲はあるので物
は歪んで見える。しかしながら、その歪曲は、老視に限
らず一般的な近視や遠視の人が眼鏡を装用したときに感
じる回転対称的なプリズム効果による歪みと同じである
ので、通常、すぐに慣れて自覚することはない。
ようになっている。一般に累進多焦点レンズの凸面は、
部分的に異なる面屈折力を有する非球面形状に形成され
ており、遠くの物から手元までを見るのに適するレンズ
の屈折力を与える働きをしている。凹面は球面あるいは
トーリック面形状に形成されており、眼鏡使用者の各々
の眼の処方に合わせて近視、遠視、乱視等を矯正する働
きをしている。
についてさらに詳しく説明すると、図18(a)に示す
ように、その表面(屈折面)には遠用部領域F,中間部
領域M,近用部領域Nがそれぞれ設けられている。遠用
部領域Fはおよそ1mないし2mより遠距離の物を見る
(以下、遠方視という)ときに適した屈折力を有する領
域である。中間部領域Mは50cmから1mないし2m
の中距離の物を見る(以下、中間視という)とき、近用
部領域Nはおよそ50cmより手前の近距離の物を見る
(以下、近方視という)ときに適した屈折力を有する領
域である。
Sが上下方向へ伸びるようにして設けられており、レン
ズ屈折面を左右に分けている。中央基準線Sは上方から
下方にかけて非点収差がほとんど零に等しく、屈折力が
累進的に変化する線であって、累進多焦点レンズの基本
的な機能をもたらしている。なお、中央基準線Sは、図
18(a)に示されるように、左右対称に分割する場合
には「主子午線」、そうでない場合は「主注視線」と呼
ばれることもある。
に遠用中心と呼ばれ、このレンズの幾何中心の近傍に位
置している。又、点Aよりも下方の中央基準線S上に存
在する点Bは、近用中心と呼ばれている。従って、点A
よりも上方を遠用部領域F、点Bよりも下方を近用部領
域N、それらの間の部分を中間部領域Mと考えることが
できる。これら各領域F,M,Nはレンズの構造を考え
る上で有効的であることから一般的に採用されている分
け方であって、レンズの屈折面上では屈折力が連続的に
変化しており、各領域F,M,Nを明確に分けることは
できない。
折力変化を示す。この図に示すように、屈折力(単位は
ディオプトリー:D)は点Aから点Bにかけて累進的に
増加しており、点Aより上方の遠用部領域F内の屈折力
D1 、及びB点より下方の近用部領域N内の屈折力D2
はほぼ一定となっている。屈折力D2 とD1 の差は加入
度と呼ばれ、この加入度は通常0.5ディオプトリー
(以下、Dという)から3.5Dの範囲内で付加され
る。
屈折力について説明する。面屈折力はその凸面における
曲率と次のような関係がある。 S=(n−1)×C (ディオプトリー) なお、S:面屈折力(単位はD)、n:レンズ素材の屈
折率、C:曲率(単位はm-1)である。この式におい
て、屈折率nは一定であるから、曲率と面屈折力は比例
の関係にある。従って、図18(b)は中央基準線Sの
曲率の変化と見なすことができる。このようにレンズの
ほぼ中央に設けられた中央基準線Sにおいて曲率が変化
していることから、累進多焦点レンズの凸面は遠用部領
域Fから近用部領域Nにかけて非球面形状となってい
る。非球面形状では凸面上の1点における曲率は、方向
によりその値が異なり、その点での曲率の最大値C1 と
最小値C2 (これらは主曲率とよばれる)との差に応じ
て、次の式で示されるような面屈折力の差がレンズ表面
上の点に生じる。
下、非点収差を面屈折力の差の意味で、ディオプトリー
(D)を単位として用いる。累進多焦点レンズはこのよ
うに屈折力の異なる部分を一つの滑らかな曲面にするた
め非球面形状をとらざるを得ず、そのために非点収差が
レンズに発生することになる。
進多焦点レンズにおいて、その非点収差の分布を表した
ものである。この図は非点収差を地図の等高線と同様に
レンズの中心部側から0.50D〜1.00Dの等非点
収差線を0.25Dおきに表したものである。一般に、
人が非点収差を知覚し、像のぼけを感じるのは0.5D
以上と言われている。従って、図中ハッチングピッチの
最も狭い領域すなわち、レンズの側方部分、特に中間部
領域及び近用部領域の側方部分では非点収差が大きくな
り、像のぼけを感じて物体を正しく視覚できないことに
なる。又、この非点収差により像が歪められるため、頭
を動かしたときに像のずれとして知覚され、使用の際に
不快感を与える。逆に、非点収差が0.5D以下の部分
(図中の白い部分)は、経験的にいって物体をぼけを感
じることなく視覚できることから、明視域と呼ばれてい
る。そして、中間部領域の明視域は、一般的に累進部と
呼ばれている。なお、この明視域をレンズ屈折面の形状
として正確に表すと次式のようになる。
ー) なお、n:レンズ素材の屈折率、C1 ,C2 :明視域内
のレンズ屈折面上の任意の点における異なる方向の主曲
率(単位はm-1)である。
が、累進多焦点レンズの基本構成上非点収差を無くすこ
とは不可能である。つまり例えば遠用部領域と近用部領
域とを完全な球面としてその部分の非点収差を無くそう
としても、その異なる曲率をもつ遠用部領域と近用部領
域とを滑らかに連ねる中間部領域では急激な形状の変化
を余儀なくされる。この結果、中間部領域内に大きな非
点収差が発生してしまう。逆に、遠用部領域と近用部領
域の明視域を狭くしてその側方に非点収差を拡散させれ
ば、中間部領域での非点収差は減少し、その領域におい
て視野が広く、像のゆれも少なくなるが、遠方視及び近
方視が損なわれてしまう。従って、累進多焦点レンズを
設計する上では、装用者の使用目的に対して非点収差に
よる弊害が極力少なくなるようにすることが必要とな
る。
においては、単に患者の調節力の不足分を補うだけであ
るので、見ることができる近くの距離が限られてしま
い、例えば、50cmの近距離の物と25cmの近距離
の物を一度に見ることができないという問題点がある。
従って、このレンズで所定の近距離よりも例えば近くの
物を見るためには、ある程度の調節力を必要とする。例
えば、50cmの距離が見えるようなレンズで25cm
の近距離の物を見ようとした場合、必要な調節力は2D
である。すなわち、50cmの距離の物を見るのには2
D(1/0.5m)、25cmの距離の物を見るのには
4D(1/0.25m)の屈折力が必要である。従っ
て、4D−2D=2Dの調節力が必要となる。このた
め、調節力のほとんどない人は、単焦点レンズを使用す
る際、頭を動かすことで距離を調節して机の上を見渡し
たり、広げた新聞を読んだりしていた。
がやや衰えた人は、単焦点老視鏡を使用しても、調節力
に若干の余裕があるため、ある程度の距離範囲を見るこ
とができる。しかしながら、例えば、机上をすみずみま
で見渡すのに、持てる調節力をすべて使ってしまうこと
になり、長時間の視作業により眼精疲労を感じるという
問題点がある。
を見るということには必然性がある。例えば、普通のサ
イズの本に書かれた日本語の縦書きの文章を読むとき
は、文の上の方と下の方では眼からの距離が10cmく
らいは変わってくる。従って、自然な読書に適した近点
をみるための度数の眼鏡を製作すると、実際には読書に
は不適当であり、特に、新聞のような大きな物の全面を
見たり、自分の体の胸の部分まで近くに広がる机の上の
全体を見渡すのにも不適当である。
0cm離れた位置の物が明視できるように度数を処方し
ている。調節力のほとんどない人は、見える距離の範囲
が限られているので、30cmあるいは40cmといっ
た個人個人が読書などに適した距離がよく見えるような
度数を処方したレンズを装用している現状である。
視できる範囲は、装用者から見て横に長い楕円状にな
る。なぜならば、縦方向(前後方向)の明視範囲の幅
は、見える距離の範囲が狭いので狭くなり、横方向(左
右方向)の明視範囲の幅は、縦方向に比べて距離の変化
が少ないので広くなるためである。このように縦方向の
明視範囲の幅が狭いことによって、縦書きの文章の読み
書きに不便であるばかりでなく、デスクワークの際には
縦方向の視野が狭いのをカバーするために、頭を前後に
移動させねばならないという不便さがある。視線を移動
するために頭を前後に移動させることは、首を回転させ
て頭を左右に振るよりも苦痛であり、かつ不自然であ
る。
節力のほとんどない人でも、ある程度の距離範囲を見渡
せることができる。しかしながら、明視域が単焦点レン
ズにくらべて極端に狭いため、明視できる範囲が限られ
る。一般的な累進多焦点レンズにおいては、遠用部領域
Fの明視域の幅W1 は広いが、近用部領域Nの明視域の
幅W3 は狭い。又、中間部領域Mの明視域(累進部)の
幅W2 は、幅W1 ,W3 と比較して極端に狭い。従っ
て、近用部領域Nにおいて近距離の物を見るときに幅広
い鮮明な視野を得ることができないという問題点があ
る。
い距離の物を見ることができるが、明視域の幅W2 が狭
いため特に加入度が2.50Dを越えるような場合、戸
の隙間から見ているような感じで中間視がしづらいもの
であった。近用部領域Nにおいて近距離の物よりも近い
距離の物を見るためには、その領域Nの下部に近用度数
よりも強度数の領域を設ければよいが、あまりにも下す
ぎて極めて使いずらい。又、調節力の残っている人は、
その調節力を最大限に使ってその強度数の領域で物を見
ることになるので眼精疲労を起こしやすい。
に準明視域という概念で説明すべき特性があることが、
調査研究によって明らかになった。この準明視域をレン
ズ屈折面の形状として正確に表すと次式のようになる。
リー) なお、n:レンズ素材の屈折率、C1 ,C2 :明視域内
のレンズ屈折面上の任意の点における異なる方向の主曲
率(単位はm-1)である。
域だけではなく、無意識のうちに明視域からはみでた領
域も使用している。従って、明視域以外の領域でも非点
収差は、できるだけ小さいほうが望ましい。すなわち、
非点収差0.5Dを越える値がなるべく小さいような領
域を明視域の周辺に広く確保することが望ましい。
うちに準明視域よりも外側の非点収差のより大きい領域
で物を見ることはなくなり、明視域及び準明視域で歪み
の少ない広い視野が得られる。
C2 |≦1.00(ディオプトリー)として定義するこ
ともできるが、より歪みの少ないクリアな視野を得るに
は0.75D以下の準明視域であることが望ましい。
視域は明視域と同様に遠用部領域F及び近用部領域Nの
幅が広く、中間部領域Mの幅が狭くなっている。これ
は、遠方視及び近方視を重視した分、中間視を犠牲にし
ているためである。従って、遠用中心Aの近傍に設けら
れるアイポイント(図示せず)を通常の視線の位置とし
た場合、そのアイポイントの近傍に非点収差の大きい領
域が配置されて、歪みの少ない視野が狭くなっている。
れたものであって、その目的は遠・中距離の物を見ると
きの使用頻度が極度に少なくデスクワークや読書等の近
距離を主体とした視作業を行う場合に最適で、調節力の
ない人が所定の近距離の物を見るだけでなく、その近距
離よりもやや遠い距離及び近くの距離の物を容易に見る
ことができるとともに、近距離の物を見るときに幅広い
鮮明な視野を得ることができる老視矯正用レンズを提供
することにある。
に請求項1に記載の発明は、レンズを構成する2つの屈
折面のうち少なくとも1つのレンズ屈折面において、該
レンズ屈折面の上下方向に非点収差が最も小さくなるよ
うに伸びてその屈折面を左右に分ける中央基準線と、前
記中央基準線上に設けられた近用中心と、前記中央基準
線上で、かつ前記近用中心よりも上方に設けられ、前記
近用中心の屈折力よりも弱い屈折力を与える弱度中心
と、前記中央基準線上で、かつ前記近用中心よりも下方
に設けられ、前記近用中心の屈折力よりも強い屈折力を
与える強度中心と、前記弱度中心と前記強度中心との間
に設けられ、前記弱度中心から前記近用中心を介して前
記強度中心までの間に所定の屈折力が累進的に増加する
領域とを備え、前記弱度中心と前記強度中心との間の屈
折力の差が0.50D〜4.00Dの範囲内であり、前
記増加領域において、n:レンズ素材の屈折率、C1,C
2 :レンズ屈折面上の点における異なる方向の主曲率
(単位はm-1)を用いて、次式、 (n−1)×|C1 − C2 |≦0.5 (m-1) の条件により定義される明視域、及び次式、 (n−1)×|C1 − C2 |≦0.75 (m-1) の条件により定義される準明視域を有し、前記増加領域
における明視域の水平方向の幅は、前記レンズの幾何中
心の近傍位置で最大になるか、又は前記弱度中心から前
記近用中心を介して前記強度中心までの間でほぼ一定で
あり、前記増加領域における準明視域の水平方向の幅
は、前記幾何中心の近傍位置で最大であることを要旨と
する。
のレンズにおいて、前記近用中心が、前記レンズの幾何
中心の下方2mm〜15mm以内に配置されていること
を要旨とする。
に記載のレンズが、前記近用中心の上方15mm以内に
配置された装用ポイントを有していることを要旨とす
る。請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか
1項に記載のレンズにおいて、前記増加領域における上
下方向の長さは20mm以上であり、かつ、前記弱度中
心と前記強度中心との間の屈折力の差は、1.00D〜
2.00Dの範囲内であることを要旨とする。
いずれか1項に記載のレンズにおいて、前記増加領域に
おける上下方向の長さは14mm以上、25mm未満で
あり、前記弱度中心と前記強度中心との間の屈折力の差
は、0.50D〜1.50Dの範囲内であることを要旨
とする。
ずれか1項に記載の老視矯正用レンズにおいて、前記幾
何中心よりも上方領域において、該幾何中心を通り、か
つ前記中央基準線に垂直な平面を想定し、その平面に平
行である平面と前記屈折面との第1交線は、前記中央基
準線の交点から水平方向へ遠ざかるに従って曲率が増加
する非円形曲線であり、前記幾何中心よりも下方領域に
おいて、該幾何中心を通り、かつ前記中央基準線に垂直
な平面を想定し、その平面に平行である平面と前記屈折
面との第2交線は、前記中央基準線の交点から水平方向
へ遠ざかるに従って曲率が減少する非円形曲線であり、
前記前記幾何中心の近傍を通る水平線を想定し、その水
平線からの前記上方領域及び前記下方領域における距離
とが等しく、かつ、前記中央基準線からの前記上方領域
及び前記下方領域における距離とが等しい任意の2点を
それぞれ通る前記第1交線の曲率の増加率と、前記第2
交線の曲率の減少率とがほぼ等しいことを要旨とする。
よりも上方の増加領域においては、その近用中心から弱
度中心に向かって屈折力が徐々に弱くなっているので、
近用中心で見ることができる所定の近距離からその近距
離よりもやや遠い距離までの物を容易に見ることが可能
となる。又、近用中心よりも下方の増加領域において
は、その近用中心から強度中心に向かって屈折力が徐々
に強くなっているので、所定の近距離からその近距離よ
りもやや近い距離までの物を調節せずに容易に見ること
が可能となる。従って、近用中心よりも上方及び下方の
増加領域において、調節力のほとんどない人が頭を前後
に動かすことなく例えば、机の上全体を見渡したり、広
げた新聞を全面に亘って読んだりするような視作業を行
うことが可能となる。
0.50D〜4.00Dにしたのは、以下の理由によ
る。0.50Dより屈折力が小さくなると、所定の近距
離だけでなく見渡すことが可能となる遠くや近くの距離
が前記した所定の近距離とほとんど変わらなくなり、単
焦点レンズを使用しているのとほとんど同じことにな
る。4.00Dより屈折力が大きくなると弱度中心から
強度中心までの屈折力の差が大きくなりすぎて、使用者
にとっては使いずらいものになる。
(ディオプトリー)とした場合、正視でほとんど調節力
のない人であっても近用中心では40cm(1/2.5
0=0.4m、以下同様の計算にて距離が求められる)
程度の近距離の物を見ることができる。ここで、屈折力
の差を0.50Dにすると、弱度中心及びその近傍の領
域では44cm程度の距離の物を見ることができ、強度
中心及びその近傍の領域では36cm程度の距離の物を
見ることができる。又、屈折力の差を4.00Dにする
と、弱度中心及びその近傍の領域では2m程度の距離の
物を見ることができ、強度中心及びその近傍の領域では
22cm程度の距離の物を見ることができる。
幾何中心の近傍位置で最大になるようにしたことによ
り、レンズ上部の左右およびレンズ下部の左右に非点収
差が拡散される。その結果、幾何中心の近傍位置におけ
る側方の非点収差が減るので、老視矯正用レンズとして
比較的使用頻度の高い幾何中心の近傍におけるレンズの
中央部分で幅広い鮮明な視野が得られる。
が、レンズの幾何中心の下方2mm〜15mm以内に配
置されていることにより、近用中心の近傍の任意の点と
近用中心との間において、装用者は負担なく目を垂直方
向に移動させて、近距離からその近距離よりもやや遠い
距離の物を見ることが可能となる。
15mm以内に装用ポイントを配置したことにより、装
用ポイントと近用中心との間において、装用者は負担な
く目を垂直方向に移動させることが可能となる。
における上下方向の長さを20mm以上にしたことによ
り、増加領域の中央基準線上における弱度中心と強度中
心との間の屈折力の勾配が比較的小さくなり、発生する
収差が小さくなる。特に、増加領域における屈折力の差
を1.00D〜2.00Dとしたことにより、屈折力の
勾配がきつくならず、発生する収差(非点収差や歪曲収
差)が小さくなる。従って、明視域及び準明視域が広く
なって、弱度中心と強度中心との間で視線を移す際に像
のゆれや歪みが少なくなる。
して近用中心で見ることができる近距離を40cm程度
とする。屈折力の差を1.00Dにすると、弱度中心及
びその近傍の領域では50cm程度の距離の物を見るこ
とができ、強度中心及びその近傍の領域では33cm程
度の距離の物を見ることができる。又、屈折力の差を
2.00Dにすると、弱度中心及びその近傍の領域では
67cm程度の距離の物を見ることができ、強度中心及
びその近傍の領域では29cm程度の距離の物を見るこ
とができる。
における上下方向の長さが14mm以上、25mm未満
であっても屈折力の差を0.50D〜1.50Dとした
ことにより、屈折力の勾配が大きくなることがなく、像
のゆれや歪みの少ないレンズを得ることが可能となる。
して近用中心で見ることができる近距離を40cmとし
た場合、屈折力の差を0.50Dにすると、前記した請
求項1の作用における例と同様に36〜44cm程度の
距離の物を見ることができる。屈折力の差を1.50D
にすると、弱度中心及びその近傍の領域では57cm程
度の距離の物を見ることができ、強度中心及びその近傍
の領域では31cm程度の距離の物を見ることができ
る。
より上方領域においては、中央基準線から水平方向へ遠
ざかるに従って水平断面の屈折力が増加し、幾何中心よ
り下方領域においては、中央基準線から水平方向へ遠ざ
かるに従って水平断面の屈折力が減少する。この屈折力
の増加及び減少によって上方領域と下方領域との間の度
数の差が縮まる。この結果、上方領域から下方領域への
面の接続がなめらかとなって、幾何中心の側方における
非点収差や歪曲の集中が少なくなり、幾何中心の近傍に
おける側方視が良好となる。
中心を通る水平線を想定し、その水平線に対して上下対
称な任意の2点を通る第1曲率の増加率と、第2曲率の
減少率とをほぼ等しくしたことにより、レンズの水平方
向の曲率は幾何中心を通る水平線を基準として上下対称
的に変化する。この結果、最も使用頻度の高いレンズ中
央近傍領域において、非点収差が小さく抑えられ、使用
頻度の低いレンズ上部の左右と下部の左右との領域に非
点収差が分散される。
ら水平方向へ遠ざかるに従って水平断面の屈折力が減少
している。従って、強度中心の近傍領域において例え
ば、机上あるいは新聞の手前側の側面を見るときに都合
が良くなる。それは、机上等において手前側の側面を見
る場合の距離は、正面を見る場合の距離と比べて大きく
なるからである。本発明によれば、前記した屈折力の減
少により側方視できる距離が大きくなり、強度中心近傍
から正面を見るときの距離よりも若干遠くの距離に位置
する側面を比較的クリアに見ることが可能となる。
態を図1〜図6に従って説明する。
ズ(以下、単にレンズという)1の凸面側のレンズ屈折
面2には、中央基準線Sが上下方向に伸びるように設け
られている。中央基準線S上におけるレンズ1の幾何中
心Oよりも2mm下方には、近用中心Aが設けられてい
る。この幾何中心Oは中央基準線S上になくてもよい。
中央基準線S上における幾何中心Oよりも13mm上方
には、弱度中心Bが設けられている。中央基準線S上に
おける幾何中心Oよりも17mm下方には、強度中心C
が設けられている。
中心Bよりも上方には、弱度領域3が設けられている。
レンズ屈折面2の強度中心Cよりも下方には、強度領域
4が設けられている。レンズ屈折面2の弱度領域3と強
度領域4との間には、中間部領域5が設けられている。
なお、このレンズ1の直径は50mmである。
ぼ零となる線(所謂、へそ状曲線)である。線といって
も仮想的なものであって、その線を目視では確認するこ
とはできない。
正視である人が老視である場合、その老視を矯正し、か
つ近距離の物を見るのに適した屈折力(この場合、2.
50D:ディオプトリー)を有している。本実施形態で
は、屈折力が2.50Dであるため、見るのに適した近
距離(近点)は40cmとなっている。ここで、40c
mという距離は、1/2.50D=0.40(m)とい
う計算に基づいている。 弱度中心Bは、近用中心Aの
屈折力よりも弱い屈折力(この場合、1.75D)を有
し、弱度領域3は、その弱い屈折力とほぼ同じ屈折力を
有している。従って、弱度中心B及び弱度領域3では、
近点よりもやや遠くの距離の物を見ることが可能となっ
ている。本実施形態では、屈折力が1.75Dであるた
め、見ることが可能な遠くの距離は57cmとなってい
る。ここで、57cmは、1/1.75D=0.57
(m)という計算に基づいている。
強い屈折力(この場合、3.25D)を有し、強度領域
4は、その強い屈折力とほぼ同じ屈折力を有している。
従って、強度中心C及び強度領域4では、調節力のない
人が近点よりもやや近くの距離の物を見ることが可能と
なっている。本実施形態では、屈折力が3.25Dであ
るため、見ることが可能な近くの距離は31cmとなっ
ている。ここで、31cmは、1/3.25D=0.3
1(m)という計算に基づいている。
Aを介して強度中心Cに所定の屈折力が累進的に増加し
ている領域である。中間部領域5は、図1(b)に示す
ように、本実施形態では、弱度中心Bと強度中心Cとの
屈折力の差が1.50Dとなっており、中間部領域5に
おいてはその1.50Dの屈折力(レンズ内変化度数)
が累進的に増加している。従って、中間部領域5では、
1.75Dの弱度数から3.25Dの強度数まで度数が
変化している。ここで、度数とはレンズ1の凸面側の屈
折面の屈折力と、凹面側の屈折面の屈折力とを合わせた
屈折力(レンズのパワー)をいう。中間部領域5は、中
央基準線Sを含む領域に非点収差が0.50D以下の明
視域である累進部6を有している。累進部6における屈
折力の勾配は、変化する度数と累進部6の長さで表すこ
とができ、本実施形態では、勾配=1.50D/30m
m=0.05(D/mm)となっている。
る。図3に示すように、度数分布は度数の大きさが等し
い点を結んだ等度数曲線で表されている。中間部領域5
の水平方向には、2.50Dの度数が近用中心Aを通る
ほぼ一直線の等度数曲線101で表されている。その等
度数曲線101よりも上方の中間部領域5には2.25
Dの度数が等度数曲線102で、更に上方には2.00
Dの度数が等度数曲線103で表されている。弱度領域
3には、1.75Dの度数が弱度中心Bを通る等度数曲
線104で表されている。
5には2.75Dの度数が等度数曲線105で、更に下
方には3.00Dの度数が等度数曲線106で表されて
いる。強度領域4には、3.25Dの度数が強度中心C
を通る等度数曲線107で表されている。各等度数曲線
101〜107は、実際には目で見えない。
5及び弱度領域3において、等度数曲線102〜104
は、中央基準線Sから左右両方向へ約15mm離れるに
従って上方に湾曲した後、下方に湾曲した形状となって
いる。すなわち、度数が中央基準線Sから離れるに従っ
て増加した後、減少するようになっている。
5において、等度数曲線105〜107は、中央基準線
Sから左右両方向へ約15mm離れるに従って下方に湾
曲した後、上方に湾曲した形状となっている。すなわ
ち、度数が中央基準線Sから離れるに従って減少した
後、増加するようになっている。そして、等度数曲線1
02〜104と、等度数曲線105〜107とはほぼ上
下対称的となっており、等度数曲線101よりも上方の
領域5,3での度数の増加から減少への変化の様子と、
下方の領域5,4での度数の減少から増加への変化の様
子とが上下対称的となっている。
ら左右両方向へ約10mm離れるまでの各等度数曲線1
02〜106のカーブが緩やかとなっており、10mm
以上の領域と比較して度数の変化が小さく比較的度数の
安定した領域となっている。従って、その中間部領域
5、特に累進部6の領域においては、弱度中心Bでの5
7cmの視距離から強度中心Cでの31cmの視距離の
間の距離の物を良好に見ることが可能となっている。
Oよりも2mm上で、幾何中心Oからレンズ1の耳側
(図1におけるレンズの右側)に2mmずれた位置に
は、装用ポイントPが設定されている。この装用ポイン
トPは、幾何中心Oと同じ高さに配置されてもよい。近
用中心Aは、装用ポイントPから見た場合、その装用ポ
イントPよりも4mm下で2mm鼻側に配置されてい
る。装用ポイントPは、レンズ1を眼鏡枠に枠入れした
状態で装用する際に正面遠方を見るときの視線が通過す
るポイントである。本実施形態では、装用ポイントPを
耳側に配置することで、装用時にレンズ全体が鼻側に移
動して、近用中心Aから近距離の物を見るときの眼の輻
輳に対応することができるようになっている。
域5における明視域及び準明視域について説明する。明
視域および準明視域は、以下の式(1),(2)に従っ
てそれぞれ定義される。
点における異なる方向の主曲率(単位はm-1) 上記式(1)により非点収差0.5D以下の領域が明視
域となり、上記式(2)により非点収差0.75D以下
の領域が準明視域となる。
面2には非点収差の大きさがディオプトリーの単位で、
0.25D、0.50D、0.75Dの等非点収差曲線
AS1 〜AS3 でそれぞれ表されている。等非点収差曲
線AS2 で囲まれた領域が、明視域で、等非点収差曲線
AS3 で囲まれた領域が、準明視域である。これらの等
非点収差曲線AS1 〜AS3 は、実際に眼で見えない。
ほぼ一定である。厳密にいうと累進部6は、幾何中心O
よりも下方2mmの位置で12mmの最大幅を有してお
り、弱度中心A及び強度中心Cの位置で11mmの最小
幅を有している。従って、その最大幅は最小幅に対して
1.1倍となっている。
位置(この場合、近用中心Aよりも2mm上)で40m
mの水平方向の最大幅Wmax を有しており、弱度中心A
及び強度中心Cの位置で20mmの水平方向の最小幅W
min を有している。従って、最大幅Wmax は、最小幅W
min に対して2.0倍の長さとなっている。
明視域をもたらすレンズ屈折面2の屈折力分布について
説明する。図4に示すように、図示はしないが幾何中心
Oを通り、かつ中央基準線Sに垂直な平面を想定し、そ
の平面に平行である複数の平面(以下、水平断面とい
う)とレンズ屈折面2との交線L1 〜L8 を仮定する。
本実施形態では、交線を表すのに屈折力((n−1)/
R(D:ディオプトリー),n:レンズ素材の屈折率、
R:曲率半径)を用いることとする。
の弱度中心Aを通る。交線L2 は、近用中心Aよりも1
0mm上の中央基準線Sの交点E1 を通る。交線L3
は、近用中心Aよりも5mm上の中央基準線Sの交点E
2 を通る。交線L4 は、近用中心Aを通る。
中央基準線Sの交点E3 を通る。交線L6 は、近用中心
Aよりも10mm下の中央基準線Sの交点E4 を通る。
交線L7 は、近用中心Aよりも15mm下の強度中心C
を通る。交線L8 は、近用中心Aよりも20mm下の中
央基準線Sの交点E5 を通る。
は、近用中心A、交点E1 ,E2 及び弱度中心Bからそ
れぞれ水平方向へ約15mm遠ざかるに従って屈折力す
なわち、水平断面の屈折力(以下、水平屈折力という)
が増加し、再び、減少する非円形曲線となっている。
度中心Cからそれぞれ水平方向へ約15mm遠ざかるに
従って水平屈折力が減少し、再び、増加する非円形曲線
となっている。なお、屈折力の増加及び減少は左右対称
であるため、右側のみ図示している。
かつ中央基準線Sに垂直な平面を想定し、その平面と中
間部領域5における屈折面(以下、累進面という)との
交線を水平基準線とし、その水平基準線に垂直な面(以
下、垂直断面という)と屈折面2との交線(図示せず)
を仮定する。この交線は、前記各交線L1 〜L8 と交差
する線である。
8 と図示しない交線との交点において、垂直断面の屈折
力(以下、垂直屈折力という)は、近用中心A、交点E
1 〜E4 、弱度中心B及び強度中心Cからそれぞれ遠ざ
かるに従ってほとんど変化せずほぼ一定の値となってい
る。従って、累進面における垂直屈折力は、水平屈折力
と比較して水平方向の変化の割合が小さくなっている。
上記のように構成されたレンズ1においては、弱度中心
Bから近用中心Aを介して強度中心Cまでの間に、所定
の屈折力(1.50D)が累進的に増加する中間部領域
5を設けた。従って、近用中心Aよりも上方の中間部領
域5においては、近用中心Aから弱度中心Bに向かって
屈折力が徐々に弱くなっているので、近用中心Aで見る
ことができる所定の近距離(40cm)からその近距離
よりもやや遠い距離(57cm)までの物を容易に見る
ことができる。又、近用中心Aよりも下方の中間部領域
5においては、その近用中心Aから強度中心Cに向かっ
て屈折力が徐々に強くなっているので、所定の近距離
(40cm)からその近距離よりもやや近い距離(31
cm)までの物を調節せずに容易に見ることができる。
Bとほぼ同じ屈折力の弱度領域3を設けたことにより、
やや遠い距離(57cm)の物を広い範囲で見ることが
できる。強度中心Cよりも下方にその強度中心Cとほぼ
同じ屈折力の強度領域4を設けたことにより、やや近い
距離(31cm)の物を広い範囲で見ることができる。
従って、近用中心Aよりも上方及び下方の領域におい
て、調節力のほとんどない人が頭を前後に動かすことな
く例えば、机の上全体を見渡したり、広げた新聞を全面
に亘って読んだりするような視作業を行うことができ
る。また、遠・中距離の物を見る機会が極度に少なく、
近距離を主体とした視作業、例えば、室内でのデスクワ
ーク、読書、新聞閲読、外科等の医療手術、旋盤等の工
作機械作業等を行う場合に最適となる。更には、近距離
より遠くの距離や近くの距離の物を見るときに調節力を
必要としないので、レンズ1を長時間装用しても眼性疲
労を起こしにくくなり、快適な装用感を得ることができ
る。
いては、近用中心Aよりも上方の領域においては水平屈
折力が中央基準線Sから約15mm離れるまで増加し、
下方の領域においてはその逆に減少している。このた
め、近用中心Aを通る交線L4については、他の交線L1
〜L3 と比較してその水平屈折力の増加及び減少の割
合が少なくなる。又、垂直屈折力の水平方向の変化の割
合は小さい。従って、近用中心Aの位置においては、曲
面のうねりが抑えられ水平断面が円に近い形状になり、
水平方向の像倍率はほぼ一定となる。この結果、近用中
心Aの位置において水平方向の非点収差が小さくなっ
て、累進部6の幅をほぼ一定にしたり、近用中心Aの位
置においてその幅を水平方向に最大にしたり、更には、
準明視域の幅を近用中心Aの近傍位置で最大にすること
ができる。
置で最大になるようにしたことにより、レンズ1上部の
左右及びレンズ1下部の左右に非点収差が拡散される。
その結果、近用中心Aの位置における側方の非点収差が
減るので、老視矯正用レンズとして最も使用頻度の高い
領域、すなわち、近用中心Aあるいは幾何中心Oの近傍
におけるレンズ1の中央部分で幅広い鮮明な視野を得る
ことができる。
一般的な累進多焦点レンズの遠用中心と近用中心との間
の累進部6の最小幅は3〜7mmである。本実施形態の
累進部6では、近距離よりもやや遠くや近くの物を見る
ことができ、従来の累進部では遠距離と近距離との間の
中距離の物を見ることができることから用途が異なる
が、数値的な観点から見て本実施形態の累進部が十分に
広いことが分かる。
累進多焦点レンズの近用部領域の最大幅の値6〜15m
mと同等あるいは大きい方の値であるため、近方視のた
めの明視域が充分に確保されている。従って、近方視の
際に鮮明な視野を得ることができる。累進部6は、非点
収差が0.50D以下の領域であるため、その領域内で
は像の歪曲が極力抑えられている。図6はレンズ1を通
して正方格子を見た時の歪曲図を示す。この図に示すよ
うに、非点収差(破線にて図示)が0.50D以下の領
域では、レンズ1を通して見た格子は強度領域4におい
ては多少拡大されているものの、元の正方形にほぼ等し
くなっている。従って、非点収差が0.50D以下の領
域では、像の歪曲を極力抑えることができるとともに、
視線を移動させるときのゆれを少なくすることができ
る。
下の領域であるため、その領域内では像の歪曲が比較的
抑えられている。この準明視域は、レンズの下半分での
比較では、図19に示すような一般的な累進多焦点レン
ズよりも広い。従って、レンズの下半分は、従来の累進
多焦点レンズよりも大幅に歪曲が抑えられている。
が小さいので、垂直方向にプリズムが発生する割合が減
って、顔を左右に振ったときに物が上下するようなゆれ
感を少なくすることができる。更には、垂直屈折力の水
平方向の変化の割合が小さいため、その垂直屈折力と水
平屈折率との差が拡大されることがなくなり、非点収差
をより減少させることができる。
対してその近用度数よりも若干弱い度数及び強い度数を
得るための屈折力を累進部6で増加させている。従っ
て、一般の累進多焦点レンズの遠用度数に対して近用度
数を得るための度数を累進部で加入する場合とは異な
り、レンズ1の累進部6で増加させる屈折力が小さくて
済む。従って、例えば、従来の累進多焦点レンズの累進
部の長さと、弱度中心Bと強度中心Cとの間に設けられ
た累進部6の長さとが同じであっても、その累進部6に
おいて増加する屈折力は従来の累進多焦点レンズの加入
度数よりも小さくなる。この結果、累進部6の中央基準
線S上における屈折力の勾配(本実施形態では勾配=
0.05)が緩くなって、累進部6で発生する収差(非
点収差や歪曲収差)が小さくなる。そして、明視域及び
準明視域が広くなって、累進部6において視線を弱度中
心Bと強度中心Cとの間で移す際に像のゆれが少なくな
る。
ズ1を用いた眼鏡について説明する。図7に示すよう
に、眼鏡7は眼鏡フレーム8と2枚の老視矯正用レンズ
1とから構成されている。眼鏡フレーム8には左右の玉
型9に装用者に応じて設定された図示しないアイポイン
ト(遠用アイポイント)にレンズ1の装用ポイントPが
一致するように同レンズ1が玉型加工されてそれぞれ枠
入れされている。アイポイントは遠くを見たときに視線
が通過するポイントであり、フィッティングポイントと
も呼ばれる。各レンズ1は、幾何中心Oを中心に垂直方
向に対して鼻側へ所定の角度θ(この場合、2度)回転
された状態で枠入れされている。従って、強度中心Cは
近方視のときの輻湊を考慮して、装用ポイントPから
2.5mm鼻側へ変位(所謂、内寄せ)している。
は、装用ポイントPや近用中心Aを含む中間部領域5で
幅広い明視域が確保された状態で近方視を行うことがで
きる。又、累進部6の領域で弱度中心Bと強度中心Cと
の間で視線を移動させて近方視を行う際に、像のゆれが
少なくなる。
いて説明する。なお、前記第1実施形態と同様の構成に
ついては同一符号を付してある。
における幾何中心Oよりも7mm上方には、弱度中心B
が設けられている。中央基準線S上における幾何中心O
よりも11mm下方には、強度中心Cが設けられてい
る。
50D)よりも弱い屈折力(この場合、2.00D)を
有し、弱度領域3は、その弱い屈折力とほぼ同じ屈折力
を有している。本実施形態では、屈折力が2.00Dで
あるため、見ることが可能な遠くの距離は50cmとな
っている。
強い屈折力(この場合、3.00D)を有し、強度領域
4は、その強い屈折力とほぼ同じ屈折力を有している。
本実施形態では、屈折力が3.00Dであるため、見る
ことが可能な近くの距離は33cmとなっている。
は、弱度中心Bと強度中心Cとの屈折力の差が1.00
Dとなっており、中間部領域5においてはその1.00
Dの屈折力(レンズ内変化度数)が累進的に増加してい
る。従って、中間部領域5では、2.00Dの弱度数か
ら3.00Dの強度数まで度数が変化しており、累進部
6では調節力のない人が50cmから33cmの近方視
を行うのに適している。
その累進部6における屈折力の勾配は、1.00D/1
8mm=0.06(D/mm)となっている。累進部6
の水平方向の幅は、約10mmでほぼ一定である。厳密
にいうと累進部6は、幾何中心Oよりも2mm下の幾何
中心Aの位置で11mmの最大幅を有しており、弱度中
心A及び強度中心Cの位置で10mmの最小幅を有して
いる。従って、その最大幅は、最小幅に対して1.1倍
となっている。
合、近用中心Aよりも2mm上)で34mmの水平方向
の最大幅Wmax を有しており、弱度中心A及び強度中心
Cの位置で17mmの最小幅Wmin を有している。従っ
て、その最大幅Wmax は、最小幅Wmin に対して2.0
倍の長さとなっている。
前記第1実施形態での度数の増加及び減少の変化の様子
とほぼ同じになっている。図9(a)に示すように、近
用中心Aを除く交点E3 〜E5 及び強度中心Cにおける
屈折力が第1実施形態での屈折力よりも若干小さく、か
つ、交点E1 , E2 及び弱度中心Bにおける屈折力が第
1実施形態での屈折力よりも若干大きくなっている。そ
して、各交線L1 〜L8 は、その若干小さくあるいは大
きくなった屈折力に従って、第1実施形態と同様に水平
屈折力が増減する非円形曲線となっている。
は、弱度中心Bと強度中心Cとの屈折力の差が1.00
Dであるので、累進部6の長さが18mmと短くなって
も、屈折力の勾配を第1実施形態の値(0.05)とほ
ぼ同じ値(0.06)に維持することができる。この結
果、第1実施形態と同様の効果を得て、像のゆれや歪み
の少ないレンズを得ることができる。
いて説明する。なお、前記第1実施形態と同様の構成に
ついては同一符号を付してある。
上下方向に伸びる子午線Tを定める。幾何中心Oよりも
上方の領域(中間部領域5の上部及び弱度領域3を含む
領域)における中央基準線S1 は、子午線Tに対して平
行に1.0〜2.0mm程度鼻側に変位している。又、
幾何中心Oよりも下方の領域(中間部領域5の下部及び
強度領域4を含む領域)における中央基準線S2 は、子
午線Tに対して下方にいくほど鼻側に向かって離れるよ
うに変位している。
側の中央基準線S2 上には近用中心Aが設けられてい
る。幾何中心Oから7mm上の中央基準線S1 上には、
弱度中心Bが設けられている。幾何中心Oから11mm
下の中央基準線S2 上には、強度中心Cが設けられてい
る。幾何中心Oから2mm上の中央基準線S1 上には、
装用ポイントPが設けられている。そして、本実施形態
では、累進部6の長さが18mmで、第2実施形態と同
じ長さとなっている。又、近用中心A,弱度中心B及び
強度中心Cにおける屈折力は、第2実施形態と同じであ
り、累進部6の中央基準線S上における屈折力の勾配
は、1.00D/18mm≒0.06となっている。
又、このレンズ1の直径は70mmとなっている。
面2aは、中央基準線S1 を境として装用時の水平方向
に対して鼻側と耳側へそれぞれ15mm以内の領域にお
いて非点収差の分布が左右非対称となっている。又、そ
の屈折面2aは水平方向における耳側の非点収差の分布
が鼻側の非点収差の分布よりも緩慢な変化を有してい
る。
面2bは、中央基準線S2 を境として装用時の水平方向
に対して鼻側と耳側へそれぞれ15mm以内の領域にお
いて非点収差の分布が左右非対称となっている。又、そ
の屈折面2bは水平方向における耳側の非点収差の分布
が鼻側の非点収差の分布よりも緩慢な変化を有してい
る。
水平屈折力のグラフ及び図13の垂直屈折力のグラフに
て示される。図12において交線L1 〜L4 は、近用中
心A、交点E1 ,E2 及び弱度中心Bから鼻側へ約14
mm、耳側へ約16mm遠ざかるに従って水平屈折力が
増加し、再び、減少する非円形曲線となっている。
度中心Cから鼻側へ約12mm、耳側へ約18mm遠ざ
かるに従って水平屈折力が減少し、再び、増加する非円
形曲線となっている。
ない交線との交点において、垂直断面の屈折力(以下、
垂直屈折力という)は、近用中心A、交点E1 〜E4 、
弱度中心B及び強度中心Cから鼻側及び耳側へそれぞれ
遠ざかるに従ってほとんど変化せずほぼ一定の値となっ
ている。
は、第1実施形態と同様の効果のみならず、中央基準線
S1,S2 を鼻側に変位させ、各屈折面2aの水平方向に
おける耳側の非点収差の分布を鼻側の非点収差の分布よ
りも緩慢な変化を有するようにしたことにより以下のよ
うな効果を得ることができる。
側方視する場合、右眼球ER の耳側への視線の移動量α
1 が、左眼球EL の鼻側への視線の移動量α2 よりも大
きくなるということが分かっている。本実施形態によれ
ば耳側の非点収差の分布が緩慢であるため、その緩慢な
領域において像のゆれの少ない良好な両眼側方視を行う
ことができる。
方にいくほど鼻側に向かって離れるように変位させ、そ
の中央基準線S2 上に強度中心Cを設けたことにより、
その強度中心Cは常に鼻側に変位している。従って、レ
ンズ1を眼鏡枠に枠入れするときに、第2実施形態のよ
うに強度中心Cが鼻側に位置するようにレンズ1を所定
の角度だけ回転させる手間を省くことができる。
いて説明する。なお、前記第1実施形態と同様の構成に
ついては同一符号を付してある。
上における幾何中心Oよりも13mm上方には、弱度中
心Bが設けられている。中央基準線S上における幾何中
心Oよりも17mm下方には、強度中心Cが設けられて
いる。近用中心Aは、幾何中心から下方に7mm離れた
中央基準線S上に配置され、2.50Dの屈折力を有し
ている。
50D)よりも弱い屈折力(この場合、1.50D)を
有し、弱度領域3は、その弱い屈折力とほぼ同じ屈折力
を有している。従って、弱度中心B及び弱度領域3を通
して、0.67m(=1/1.50D)離れた物を見る
ことができる。
強い屈折力(この場合、3.00D)を有し、強度領域
4は、その強い屈折力とほぼ同じ屈折力を有している。
従って、強度中心C及び強度領域4を通して、0.33
m(1/3.00D)離れた物を見ることができる。
は、弱度中心Bと強度中心Cとの屈折力の差が1.50
Dとなっており、中間部領域5においてはその1.50
Dの屈折力(レンズ内変化度数)が累進的に増加してい
る。従って、中間部領域5では、1.50Dの弱度数か
ら3.00Dの強度数まで度数が変化しており、累進部
6では調節力のない人が57cmから33cm離れたも
の見ることができる。中間部領域5における累進部6の
垂直方向の長さは30mmとなっており、その累進部6
における屈折力の勾配は、1.50D/30mm=0.
05(D/mm)となっている。
ほぼ一定である。厳密にいうと累進部6は、幾何中心O
から2mm下の位置で12mmの最大幅を有しており、
弱度中心A及び強度中心Cの位置で11mmの最小幅を
有している。従って、その最大幅は、最小幅の1.1倍
である。
置において40mmの水平方向の最大幅Wmax を有し、
かつ、弱度中心A及び強度中心Cの位置で20mmの最
小幅Wmin を有している。従って、その最大幅W
max は、最小幅Wmin の2.0倍である。
ポイントPから下方へ9mm、鼻側へ2mm離れて配置
されている。このように近用中心Aが配置されることに
より、装用者が近くの物を見るときに、上半身が前かが
みになって視線が下方に向いても、その視線は近用中心
Aを通過する。従って、装用者は近用中心Aを通して最
適な近方視を得ることができる。すなわち、装用者が椅
子に座って机の上を見るとき、人は顔を約40度前に傾
け、更に、目を約20度下に向けるという自然な動作を
する。そして、この動作により約60度下を向く視線
は、近用中心Aを通過する。
の変化の様子は、前記第1実施形態の図3に示す等度数
曲線101〜107とほぼ同じであるので、その説明を
省略する。
て、交線L4 は、幾何中心Oから2mm下で、近用中心
Aから5mm上に配置され、中央基準線Sと重なる交点
E3を有している。交線L5 は、中央基準線S上の近用
中心Aを有している。その他の交線L1 〜L3 及びL6
〜L8 は、第1実施形態と同じ交点を有している。
では、各交線L1 〜L8 の水平屈折力は、図5(a)に
示す第1実施形態における水平屈折力よりも全体的に小
さくなっている。幾何中心Oよりも上方のレンズ領域に
おいて、各交線L1 〜L3 の水平屈折力は、第1実施形
態と同様に、中央基準線Sから水平方向に遠ざかるに従
って増加する。又、幾何中心Oよりも下方のレンズ領域
において、各交線L5〜L7 の水平屈折力は、中央基準
線Sから水平方向に遠ざかるに従って減少する。更に、
交線L1 〜L3 の水平屈折力の増加率と、交線L5 〜L
7 の水平屈折力の減少率とは、第1実施形態と同様にほ
ぼ等しい。従って、凸面2の水平屈折力は、交線L4 の
上下において、対称的に変化する。この結果、使用頻度
の高いレンズ中央部に非点収差が集中するのを抑え、使
用頻度の低いレンズ上部及び下部の左右領域に非点収差
が分散され、累進部6が幅広くなる。
では、各交線L1 〜L8 と直交する交線(図示せず)に
おける垂直方向の屈折力は、図5(b)に示す第1実施
形態における水平屈折力よりも全体的に小さくなってい
る。この垂直屈折力は、第1実施形態と同様に、中央基
準線Sから遠ざかる方向において、ほぼ一定の値を示
す。従って、レンズの垂直方向に発生するプリズムが減
少して、顔を左右に振ったときに生じるゆれ感が少なく
なる。
節力がないかあるいはほとんどなくなった人がデスクワ
ーク等近距離を主体とした作業を行う場合に最適である
ばかりでなく、以下のような人が装用するのに有用とな
る。
いるが、近方視がしずらいため近業では単焦点老視鏡を
使用している人。単焦点老視鏡を使用しているが見える
距離の範囲が狭いため、新聞等を見るときに顔を新聞等
に近づけるようにしている人。
ともでき、その場合にも上記実施形態と同様の効果を得
ることができる。 (1)上記第1実施形態において、弱度中心Bから強度
中心Cまで増加させることが可能な屈折力の範囲は0.
50D〜4.00Dであり、好ましい範囲は1.00〜
2.00Dであり、最適な範囲は1.25D〜1.75
Dである。
調節力のなくなった人でも例えば机の上の全面に亘って
見渡せることを考慮にいれて決定されるのが好ましい。
又、中間部領域5で増加する屈折力が小さくなると、凸
面の非点収差が小さくなり明視域と準明視域を幅広く確
保することができるとともに、歪曲収差が小さくなるの
で歪みとゆれを小さくすることができる。又、屈折力が
大きくなると、見ることが可能な近距離よりも遠くの距
離から近くの距離までの範囲が広くなる。例えば、近用
中心Aが2.50Dで屈折力を4.00Dとした場合、
調節力のない人で2m〜22cmの範囲の物が見えるよ
うになる。
進屈折力の勾配は従来の累進多焦点レンズよりも小さい
値すなわち、0.10(D/mm)以下であることが望
ましい。一般の累進多焦点レンズにおける勾配の値は、
およそ0.15〜0.25(D/mm)の範囲にある。
この値は、調節力がほとんどなくなった人が加入度数
3.00Dで累進部の長さが12〜20mmのレンズを
装用した場合を相当している。この勾配が小さいほど非
点収差・歪み・ゆれの少ない老視矯正用レンズが得られ
る。従って、例えば、累進屈折力を4.00Dとした場
合、累進部6の長さは40mm以上であることが好まし
い。
更してもよい。このとき、累進屈折力は、1.00D〜
2.00Dあるいは1.25D〜1.75Dの範囲内に
あることが、累進屈折力の勾配を小さくするという点で
好ましい。例えば、累進部6の長さが25mmで、累進
屈折力が1.25D〜1.75Dの範囲内にあるとき、
累進屈折力の勾配は、0.05〜0.07(D/mm)
となる。更に、累進部6の長さは、14mm以上25m
m未満の範囲で任意に変更されてもよい。この場合、累
進屈折力は、0.50D〜1.50Dあるいは0.75
〜1.25Dの範囲内にあることが、勾配を小さくする
という点で好ましい。例えば、累進部6の長さが16m
mで、累進屈折力が0.75D〜1.25Dの範囲内に
あるとき、勾配は、0.05〜0.08(D/mm)と
なる。
幅を最小幅の2倍としたが、1.5倍〜3倍に変更して
もよい。1.5倍〜3倍にしたのは、最小幅と最大幅と
のバランスを考慮したことによる。中間部領域5におけ
る準明視域の最小幅は、最低でも12mmは必要であ
る。最小幅がこれ以上狭いと、従来の累進多焦点レンズ
と同様に狭い視野になってしまうからである。従って、
最大幅と最小幅の比の上限は、3倍程度とすべきであ
る。この範囲内の倍率であれば、レンズ1の中央部、す
なわち、近用中心Aの近傍位置で水平方向の幅が最大と
なるように準明視域を配置することができる。又、準明
視域の幅を1.5倍〜3倍という倍率でなく、単に最大
幅が最小幅より10mm以上大きいとしても良い。更に
は、幾何中心Oから上下方向に±10mm以内の範囲
で、最大幅と最小幅の比が1.3以下であるとしてもよ
い。
中心Oの上下5〜10mm、好ましくは上下5〜7m
m、最適であれば上下5mmの範囲内に設定してもよ
い。この理由は、最大幅Wmax が幾何中心Oの上下10
mmの範囲外に存在するとき、準明視域が使用頻度の高
い領域(中間部6)から外れてしまうためである。この
とき、その領域において幅広い鮮明な視野を得ることは
できない。
Pを近用中心Aの4mm上で2mm耳側にしたが、その
近用中心Aの耳側への変位を2.5〜3mmとしてもよ
い。このようにすると、レンズ1を枠入れする際に、レ
ンズ1の回転角度を2度よりも小さくして、例えば、0
度(回転させない)にしても強度中心Cは鼻側に位置し
ているので、輻湊に対応することができる。又、装用ポ
イントPは、幾何中心に対しては、その上方2mm以内
に配置されてもよく、近用中心Aに対しては、その上方
15mm、好ましくは13mm、最適であれば10mm
以内に配置されてもよい。このように近用中心Aの上方
15mm以内に装用ポイントPを配置することにより、
装用ポイントPと近用中心Aとの間において、装用者は
負担なく目を垂直方向に移動させることができる。逆
に、近用中心Aの上方15mmを越える位置に装用ポイ
ントPが配置された場合、装用者の目の移動に負担がか
かる。
方2mmから15mmの間、好ましくは2mmから12
mmの間に配置してもよい。この範囲内であれば、近用
中心の近傍の任意の点と近用中心との間において、装用
者は負担なく目を垂直方向に移動させて、近距離からそ
の近距離よりもやや遠い距離の物を見ることが可能とな
る。逆に、近用中心Aが幾何中心Oの下方15mmを越
えて配置されると、装用者が近くの物を見るときの目の
角度が大きくなり、負担となり使いにくくなる。
更してもよい。 (9)上記第1実施形態において、装用ポイントPの4
mm下で2mm鼻側に近用中心Aが位置するようにレン
ズ1を枠入れする以外に、玉型9の装用ポイントの下方
4mmから上方4mm〜6mmの間に近用中心Aが位置
するように枠入れしてもよい。
ズ1の上半分で近点より遠い距離の物を見るときの視線
の移動量は、レンズ1の下半分で近点より近い距離の物
を見るときの視線の移動量よりも小さい。従って、幾何
中心Oよりも上方の領域における鼻側の非点収差の分布
が、下方の領域における鼻側の非点収差の分布より緩慢
でなくてもよい。この結果、中央基準線S1 を子午線T
に対して変位させる量が小さくて済む。又、非点収差の
分布が左右非対称である領域を中央基準線Sを境として
鼻側と耳側へそれぞれ15mm以内の領域としたが、2
0.0mm以内の領域としてもよい。
ンズ1の凸面側のレンズ屈折面2について具体化した
が、凹面側の屈折面で具体化してもよい。この場合、第
1〜第4実施形態における各交線L1 〜L8 の屈折力の
増減は全く反対になる。
する。 累進部:弱度領域と強度領域との間の中間部領域におい
て、中央基準線を含み弱度中心から近用中心を介して強
度中心までの間で屈折力が累進的に増加し、かつ非点収
差が0.50D以下の明視域の部分である。
技術思想について、以下にその効果とともに記載する。 (1)請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の老視矯
正用レンズを用いて、眼鏡枠の玉型に設定された遠用ア
イポイントの下方4mmから上方6mmの間に近用中心
が位置するように枠入れ加工したことを特徴とする眼
鏡。このようにすれば、眼鏡として装用するときにレン
ズの性能を充分に発揮させることができる。
において、装用ポイントを近用中心に対して、レンズを
装用したときに耳側となる方向に2.5mm〜3.0m
m変位した位置に設けた。このようにすれば、レンズの
回転角度を少なくするかあるいは回転せずにレンズを枠
入れすることができる。
発明によれば、遠・中距離の物を見るときの使用頻度が
極度に少なくデスクワークや読書等の近距離を主体とし
た視作業を行う場合に最適で、調節力のない人が所定の
近距離の物を見るだけでなく、その近距離よりもやや遠
い距離及び近くの距離の物を容易に見ることができると
ともに、近距離の物を見るときに幅広い鮮明な視野を得
ることができる。
が、レンズの幾何中心の下方2mm〜15mm以内に配
置されていることにより、近用中心の近傍の任意の点と
近用中心との間において、装用者は負担なく目を垂直方
向に移動させてく近距離からその近距離よりもやや遠い
距離の物を見ることが可能となる。
15mm以内に装用ポイントを配置したことにより、装
用ポイントと近用中心との間において、装用者は負担な
く目を垂直方向に移動させることが可能となる。
に加えて、中間部領域の中央基準線上における弱度中心
と強度中心との間の屈折力の勾配が比較的小さくなるの
で、幅広い明視域及び準明視域が得られて弱度中心と強
度中心との間で視線を移す際に像のゆれや歪みを少なく
することができる。
勾配が大きくなることがなく、像のゆれや歪みの少ない
レンズを得ることができる。請求項6に記載の発明によ
れば、幾何中心の側方における非点収差や歪曲の集中が
少なくなり、幾何中心を含むレンズ中央部において、側
方視を良好に行うことができる。又、強度中心近傍での
側方視において、強度中心近傍から正面を見るときの距
離よりも若干遠くの距離に位置する側面を比較的クリア
に見ることができる。
し,(a)は非点収差の分布を示す説明図、(b)は屈
折力の変化を示すグラフ。
及びその平面に平行な平面群と屈折面との交線を示す説
明図。
交線の水平屈折力と中央基準線からの距離との関係を示
すグラフ、(b)は垂直屈折力と中央基準線からの距離
との関係を示すグラフ。
正面図。
非点収差の分布を示す説明図であり、(b)は屈折力の
変化を示すグラフ。
交線の水平屈折力と中央基準線からの距離との関係を示
すグラフ、(b)は垂直屈折力と中央基準線からの距離
との関係を示すグラフ。
す説明図。
面、及びその平面に平行な平面群と屈折面との交線を示
す説明図。
を示すグラフ。
を示すグラフ。
を示す模式図。
し,(a)は非点収差の分布を示す説明図、(b)は屈
折力の変化を示すグラフ。
面、及びその平面に平行な平面群と屈折面との交線を示
す説明図。
各交線の水平屈折力と中央基準線からの距離との関係を
示すグラフ、(b)は垂直屈折力と中央基準線からの距
離との関係を示すグラフ。
(a)は各領域を示す説明図、(b)は屈折力の変化を
示すグラフ。
を示す説明図。
域、4…強度領域、5…中間部領域、S…中央基準線、
A…近用中心、B…弱度中心、C…強度中心、O…幾何
中心、P…装用ポイント、L1 〜L4 …交線(第1の交
線)、L5 〜L8 …交線(第2の交線)、E1 〜E5 …
交点。
Claims (6)
- 【請求項1】 レンズを構成する2つの屈折面のうち少
なくとも1つのレンズ屈折面において、該レンズ屈折面
の上下方向に非点収差が最も小さくなるように伸びてそ
の屈折面を左右に分ける中央基準線と、 前記中央基準線上に設けられた近用中心と、 前記中央基準線上で、かつ前記近用中心よりも上方に設
けられ、前記近用中心の屈折力よりも弱い屈折力を与え
る弱度中心と、 前記中央基準線上で、かつ前記近用中心よりも下方に設
けられ、前記近用中心の屈折力よりも強い屈折力を与え
る強度中心と、 前記弱度中心と前記強度中心との間に設けられ、前記弱
度中心から前記近用中心を介して前記強度中心までの間
に所定の屈折力が累進的に増加する領域とを備え、 前記弱度中心と前記強度中心との間の屈折力の差が0.
50D〜4.00Dの範囲内であり、 前記増加領域において、n:レンズ素材の屈折率、C1,
C2 :レンズ屈折面上の点における異なる方向の主曲率
(単位はm-1)を用いて、次式、 (n−1)×|C1 − C2 |≦0.5 (m-1) の条件により定義される明視域、及び次式、 (n−1)×|C1 − C2 |≦0.75 (m-1) の条件により定義される準明視域を有し、 前記増加領域における明視域の水平方向の幅は、前記レ
ンズの幾何中心の近傍位置で最大になるか、又は前記弱
度中心から前記近用中心を介して前記強度中心までの間
でほぼ一定であり、前記増加領域における準明視域の水
平方向の幅は、前記幾何中心の近傍位置で最大であるこ
とを特徴とする老視矯正用レンズ。 - 【請求項2】 請求項1に記載の老視矯正用レンズにお
いて、前記近用中心は、前記レンズの幾何中心の下方2
mm〜15mm以内に配置されていることを特徴とする
老視矯正用レンズ。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の老視矯正用レン
ズは、前記近用中心の上方15mm以内に配置された装
用ポイントを有していることを特徴とする老視矯正用レ
ンズ。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の老
視矯正用レンズにおいて、前記増加領域における上下方
向の長さは、20mm以上であり、かつ、前記弱度中心
と前記強度中心との間の屈折力の差は、1.00D〜
2.00Dの範囲内であることを特徴とする老視矯正用
レンズ。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の老
視矯正用レンズにおいて、前記増加領域における上下方
向の長さは、14mm以上、25mm未満であり、前記
弱度中心と前記強度中心との間の屈折力の差は、0.5
0D〜1.50Dの範囲内であることを特徴とする老視
矯正用レンズ。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の老
視矯正用レンズにおいて、前記幾何中心よりも上方領域
において、該幾何中心を通り、かつ前記中央基準線に垂
直な平面を想定し、その平面に平行である平面と前記屈
折面との第1交線は、前記中央基準線の交点から水平方
向へ遠ざかるに従って曲率が増加する非円形曲線であ
り、 前記幾何中心よりも下方領域において、該幾何中心を通
り、かつ前記中央基準線に垂直な平面を想定し、その平
面に平行である平面と前記屈折面との第2交線は、前記
中央基準線の交点から水平方向へ遠ざかるに従って曲率
が減少する非円形曲線であり、 前記前記幾何中心の近傍を通る水平線を想定し、その水
平線からの前記上方領域及び前記下方領域における距離
とが等しく、かつ、前記中央基準線からの前記上方領域
及び前記下方領域における距離とが等しい任意の2点を
それぞれ通る前記第1交線の曲率の増加率と、前記第2
交線の曲率の減少率とがほぼ等しいことを特徴とする老
視矯正用レンズ。
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- 1995-08-25 JP JP21769895A patent/JP3691876B2/ja not_active Expired - Fee Related
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