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JPH0779639B2 - クリーム状乳加工品の品質改良剤 - Google Patents

クリーム状乳加工品の品質改良剤

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Publication number
JPH0779639B2
JPH0779639B2 JP63110904A JP11090488A JPH0779639B2 JP H0779639 B2 JPH0779639 B2 JP H0779639B2 JP 63110904 A JP63110904 A JP 63110904A JP 11090488 A JP11090488 A JP 11090488A JP H0779639 B2 JPH0779639 B2 JP H0779639B2
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JP
Japan
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product
fatty acid
acid ester
protein
weight
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JP63110904A
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厚 津田
賢治 半埜
栄 片山
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Katayama Chemical Works Co Ltd
Original Assignee
Katayama Chemical Works Co Ltd
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Publication date
Application filed by Katayama Chemical Works Co Ltd filed Critical Katayama Chemical Works Co Ltd
Priority to JP63110904A priority Critical patent/JPH0779639B2/ja
Publication of JPH01281043A publication Critical patent/JPH01281043A/ja
Publication of JPH0779639B2 publication Critical patent/JPH0779639B2/ja
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  • Grain Derivatives (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 この発明は、コーヒホワイトナー、ホイップクリーム、
アイスクリーム等のクリーム状乳加工品の品質改良剤に
関する。
(ロ)従来の技術 コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、アイスクリ
ームなどのクリーム状食品は、いずれも牛乳、脂肪乳等
の乳固型分と油脂と水とを主たる構成成分とする乳加工
品であり、これら各成分の複雑な作用によりO/W型のエ
マルジョンを形成しているものといわれている。
かかるクリーム状乳加工品においては、そのエマルジョ
ンができるだけ安定に維持されること、クリームの保型
性が良好であること、目的に応じた適切な粘性を有して
いること等が品質上望まれる。さらにコーヒーホワイト
ナーなどにおいては、コーヒーに添加した際に生じうる
いわゆるフェザリング(コーヒー液面に羽毛状の凝固物
が浮く現象)や表面の油脂膜形成をできるだけ防止され
る品質が望まれる。
このような品質の付与や向上のために、従来から、これ
らのクリーム状乳加工品に乳化安定剤を添加することが
行われている。そして、このような乳化安定剤として
は、添加対象が食品であるが由に、安全なものが望ま
れ、この観点から、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖
脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル等のいわゆる多価アルコ
ール脂肪酸エステル型界面活性剤やレシチン等が汎用さ
れている(特公昭55−43739号、特公昭51−6161号、特
公昭54−39459号、特公昭51−9823号、特公昭55−42617
号、特公昭58−44347号、特公昭59−41689号、特公昭55
−34052号、特開昭56−42546号、特公昭58−26309号公
報等)。
(ハ)発明が解決しようとする課題 しかしながら、前述の多価アルコール脂肪酸エステル等
の界面活性剤は、食品添加物として認められているもの
の、それ自体化学合成品であるため、毒性の点で不安が
残るものである。さらにこれらの界面活性剤は、コスト
及び品質改良効果の点で、必ずしも満足できるものでは
なかった。
この発明は、かかる状況下なされたものであり、ことに
従来汎用されている多価アルコール脂肪酸エステル等の
界面活性剤に代替できる安全かつ安価でしかも品質改良
効果の優れた新しいクリーム状乳加工品用添加剤を提供
しようとするものである。
(ニ)課題を解決するための手段 上記観点から、本発明者らは、種々研究、検討を行った
結果、アルカリ分解処理を必須とし、これに酸、酵素、
酸化剤又は還元剤による分解処理を組合わせた逐次的多
段分解処理によって得られる特定の蛋白質部分分解物
が、(i)通常の蛋白質部分分解物とはその性状等が全
く異なる新規物質であると共に、(ii)前述した従来の
界面活性剤や、単なるアルカリ分解物、酵素分解物、酸
化分解物等に比して優れたクリーム状乳加工品の品質改
良効果を奏する事実を見出した。
かくしてこの発明によれば、穀物蛋白質の部分分解物で
あって、以下の物性、 (a)重量平均分子量(ゲル濾過法による)が500〜900
00の範囲にある、 (b)紫外吸収λmaxが、260〜280nm付近で、かつ赤外
吸収が1400,1630及び3400cm-1付近である、 (c)等電点が、3.9〜5.0の範囲にある、 (d)pH緩衝性(本品の5重量%水溶液100mlのpHを6
から2まで低下させるのに1N−塩酸を2〜25ml必要とす
る)を有する、 (e)水に可溶であり、メタノール、エタノール、アセ
トン、エーテルに不溶である、 (f)外観は淡黄色なしい赤茶色の粉末である、 (g)キサントプロティン反応、ニンヒドリン反応によ
って呈色する、 (h)強い表面張力低下能(本品を25℃の純水に0.1重
量%添加することによって、純水の表面張力を50dyne/c
m以下(デュヌイの表面張力計で計測)に低下させる)
を有する、 (i)強い乳化能(本品1gの添加使用により少なくと
も、大豆油を30重量%含有する水−大豆油混合物100gを
完全乳化(均一な乳化状態を少なくとも10分、好ましく
は1時間以上維持することを意味する)しうる)を有す
る、 で特性づけられる物質からなるクリーム状乳加工品の品
質改良剤が提供される。
上記で特定される蛋白質部分分解物は、それ自体本願出
願前に文献未記載の新規物質であり、とくに上記表面張
力低下能(h)及び乳化能(i)の点で従来公知の穀物
蛋白質部分分解物とは区別されるものである。
この発明の品質改良剤はクリーム状乳加工品の製造時に
添加して用いられ、必要量の添加により各種の品質改良
効果を発揮するものである。
例えば、牛乳を原料として得られる生クリームや牛乳、
脱脂乳等の乳固型分と油脂と水とを主たる構成成分とす
る乳加工品はそのままコーヒーホワイトナーとして用い
られ、またこれに攪拌して空気を抱き込ませることによ
りホイップクリームとして用いることができるが、前者
に添加して用いることにより、フェザリング現象や表面
油脂膜の発生を抑制されたコーヒーホワイトナーを簡便
に提供するものである。また後者においては安定で保型
性の優れた泡状体(ホイップ)を簡便に提供するもので
ある。さらにアイスクリームについても、保型性の安定
化等の種々の品質改良効果を発現するものである。
そして、このような各種の効果は、いずれも、従来の汎
用界面活性剤や通常の穀物蛋白質部分分解物に比して優
れたものである。
この発明の対象となるクリーム状乳加工品とは、前述し
たコーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、アイスク
リーム等が代表的であるが、これ以外に少なくとも乳固
型分と油脂と水とを必須構成成分とする液状、泡状の食
品が挙げられる。
この発明で穀物蛋白質とは、穀物に含有される蛋白質を
意味し、ここで穀物としては、麦類(例えば、小麦)、
トウモロコシ類、豆類(例えば、大豆)などが挙げられ
る。かかる穀物に含まれる蛋白質のうち、例えば小麦蛋
白質は、グルテニンとグリアジンを主成分として含み、
通常小麦グルテンと称せられる。また、トウモロコシ蛋
白質は、ゼインを主成分として含み、通常トウモロコシ
グルテンと称せられる。これらはいずれも公知の物質で
あり、穀物から常法によって分離や抽出して得ることが
できる。例えば、小麦蛋白質(小麦グルテン)を得る場
合、小麦粉に少量の水を加えて固く練り、次いでこれを
多量の水中で練ると澱粉は水中に懸濁し、グルテン含有
分は粘着性のかたまりとなって残る。この操作を、水を
替えて数回行うと灰褐色、粘稠な塊状物となって得るこ
とができる。この発明の部分分解物の調製のためには、
このような塊状物をそのまま使用することができるが、
その乾燥品を用いてもよく、さらに精製したものや部分
変性品等を用いてもよい。例えば、小麦グルテンは、乾
燥品が市販されており容易に入手することができる。そ
の他市販のトウモロコシグルテンや大豆蛋白質を簡便に
使用することができる。
なお、かかる蛋白質は、粗製品を用いても精製品を用い
てもよいが、蛋白質を70%以上含有するものを用いるの
が好ましい。
この発明の部分分解物は、穀物蛋白質を、アルカリによ
る加水分解処理と、酸、酵素、酸化剤又は還元剤を用い
た分解処理とを組合わせた多段分解処理に付すことによ
り得られる。即ち、アルカリ分解処理とこれ以外の分解
処理とを組合わせることにより得られる。
上記アルカリによる加水分解処理は、希アルカリ水溶液
中で加熱することにより行うのが適している。通常、加
水分解対象物の水溶液又は水分散液を、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等のアルカリ剤の存在下、約60〜180
℃下、約10〜600分攪拌して行うのが適している。ここ
で加水分解対象物の水溶液又は水分散液としては2〜40
重量%のものを用いるのが好ましく、また使用するアル
カリ剤の量は、加水分解対象物20gに対し0.1〜6gとする
のが好ましい。
一方、上記アルカリによる加水分解処理に組合わせる他
の分解処理のうち、酸による分解処理は、希酸水溶液の
中で加熱して行うのが適している。通常、分解対象物の
水溶液や水分散液を、塩酸、硫酸等の無機酸や酢酸等の
有機酸の存在下約60〜120℃下、約10〜600分攪拌して行
うのが適している。ここで量的条件は前述したアルカリ
加水分解の際の条件と同一とするのが好ましい。
同じく、酵素による分解処理は、プロテアーゼ活性を有
する酵素の希水溶液中で行うのが適しており、通常、分
解対象物の水溶液や水分散液に、ペプシン、アルカリプ
ロテアーゼ、パパイン等の酵素を少量存在させた状態で
この酵素の至適pH条件下で約10〜60℃下、約60〜600分
行われる。ここで量的条件は分解対象物20gに対し酵素
使用量を0.02〜5gとする以外上記と同様とするのが好ま
しい。
同じく還元剤又は酸化剤による分解処理は、還元剤又は
酸化剤の希水溶液中で行うのが適しており、通常、分解
対象物の水溶液や水分散液に、亜硫酸塩、チオール系化
合物、エリソルビン酸、ヒドラジン等の還元剤又は過酸
化水素、次亜塩素酸塩等の酸化剤を少量存在させた状態
で、約10〜100℃下で、10〜600分行われる。この際の量
的条件は、分解対象物20gに対する還元剤又は酸化剤の
使用量を0.1〜5gとする以外上記と同様とするのが好ま
しい。
上記多段分解処理の順序はとくに限定されない。即ち、
小麦グルテン等の原料を最初にアルカリ加水分解処理
(A)に付した後、上述した酸、酵素、還元剤及び酸化
剤を用いた分解処理(B)(アルカリ以外の分解処理)
のいずれか又はその二種以上の処理に付してもよく、ま
たこの逆の順で分解処理を行ってもよい。また、先にア
ルカリ以外の分解処理(B)に付した後、アルカリ加水
分解処理(A)に付し、再びアルカリ以外の分解処理
(B)に付すことにより得ることも可能である。また、
これらの各処理間では、適宜、中和処理がなされてもよ
い。
この発明において、より優れた効果は、重量平均分子量
が500〜80000の範囲で認められる。これらの分子量は、
前記した部分分解処理の条件を調節することにより適宜
制御することができる。
なお、これらの分子量は、標準物質として1600,6500,16
000,65000,88000の分子量を有するポリスチレンスルホ
ン酸ソーダを用い、ファルマシン社製のセファデックス
G−75又はG−100を担体として用いゲル濾過法によっ
て測定した値である。
このようにして得られる蛋白質部分分解物は分解後の水
溶液と形態でそのままクリーム状乳加工品の品質改良剤
として使用できるが、乾燥後に粉末として用いることも
できる。また、例えば現外濾過等による脱塩処理あるい
は脱色処理などによる精製品も良好に使用できる。
この発明の品質改良剤は、市販の生クリームに直接添加
して用いてもよく、またクリーム状物を製造する過程で
添加して用いてもよい。例えば、油脂と牛乳、脱脂乳あ
るいはこれらの乾燥品とを水に添加混合し、必要に応じ
てカゼイン等の添加剤を加えてクリーム状物を作製する
いずれかの過程や原料に添加して用いることができる。
この際の添加量は、乳加工品素材(全固型分)に対して
0.02〜5重量%とするのが適しており、0.1〜2重量%
とするのが好ましい。ここで添加量が0.02重量%未満で
は、品質改良効果が不充分であり、5重量%を越えると
添加量の上昇に見合う効果の向上が得られず適さない。
なお、この発明の品質改良剤中に、上記蛋白質部分分解
物以外に他の品質改良成分が含まれていてもよい。特に
ショ糖脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルのよ
うな多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤と併用
するのが一つ好ましい態様である。この際蛋白質部分分
解物と界面活性剤との配合比を1:6〜6:1(重量比)
((好ましくは1:4〜4:1)とすると、相乗的な品質改良
効果が得られるので、より好ましい。
またエタノール、プロピオン酸、乳酸、ソルビン酸、デ
ヒドロ酢酸、食塩などの通常使用される防腐剤が併用さ
れていてもさしつかえはなく、これも一つの好ましい使
用態様である。
(ホ)実施例 この発明を実施例及び試験例によって詳細に説明する。
実施例1〜10(小麦グルテンの酸による部分分解と次い
で実施したアルカリによる部分分解により分解物の調
製) 塩化水素換算で0.5g,1g,2g及び4gに相当する塩酸水溶液
100gの入ったフラスコにそれぞれ和光純薬工業(株)製
の小麦グルテン(試薬品)20gを加え、80℃及び100℃に
て60分間加熱攪拌した。その後、苛性ソーダで中和し純
水で総量200gにして、小麦グルテンの酸による部分分解
物の10%水溶液を調製し、その各100gをフラスコもしく
はオートクレーブ10個に入れ、これらに苛性ソーダ又は
炭酸ナトリウム0.5〜2gの範囲内の量を各別に加え、80
℃〜150℃にて30分〜360分間加熱攪拌した。その後、塩
酸にて中和し純水で総量200gにしてこの発明の部分分解
物である発明品No.1〜10を得た。
表−1に分解条件と分解物の平均分子量を示す。
なお、発明品No.1を等電点沈澱又は透析により脱塩した
ものは、ほとんど無味無臭であった。
実施例11〜14(とうもろこしグルテン及び大豆蛋白の酸
による部分分解と次いで実施したアルカリによる部分分
解による分解物の調製) 日本食品化工(株)製とうもろこしグルテンを原料とし
実施例6及び1と同じ条件で酸及びアルカリを用いて順
次、部分分解を実施して発明品No.11,12を得た。平均分
子量はそれぞれ11800と27100であった。
また、市販の湯葉をアセトンで脱脂して得た大豆蛋白を
原料とし、実施例6及び1と同様の条件で酸及びアルカ
リを用いて順次部分分解を行い発明品No.13,14を得た。
平均分子量はそれぞれ12000と29000であった。
実施例15,16(小麦グルテンのアルカリにより部分分解
と次いで実施した酸による部分分解による分解物の調
製) 苛性ソーダ2g又は4gを溶解した水溶液100gに実施例1〜
10で用いた小麦グルテン20gを加えて100℃にて60分間加
熱攪拌後、塩酸にて中和し、純水で総量200gにて小麦グ
ルテンのアルカリによる部分分解物の10%水溶液を調製
し、その100gに塩化水素換算で0.5g及び1gに相当する塩
酸を各別に加え、100℃にて60分間加熱攪拌した。その
後苛性ソーダで中和し、純水で総量200gにして発明品N
o.15,16を得た。表−2に分解条件と分解物の平均分子
量を示す。
実施例17(小麦グルテンの酵素による部分分解と次いで
実施したアルカリによる部分分解による分解物の調製) 実施例1〜10で用いた小麦グルテン20gを0.1N−塩酸液1
50gが入ったフラスコに加え、pH1.5の水溶液を得た。こ
れに0.2gのペプシンを加え37℃で90分間反応させた。そ
の後、苛性ソーダで中和し純水で総量200gにして小麦グ
ルテンの酵素による部分分解物の10%水溶液を調製し、
その100gに苛性ソーダを1g加えフラスコ中で60分間加熱
攪拌した。その後塩酸にて中和して純水で総量200gとし
発明品No.17を得た。
平均分子量は29000であった。
実施例18(小麦グルテンの還元剤による部分分解と次い
で実施したアルカリによる部分分解による分解物の調
製) 亜硫酸ナトリウム4gを溶解した水溶液100gに実施例1〜
10で用いた小麦グルテン20gを加えて、30℃にて60分間
攪拌後、純水で総量200gにして小麦グルテンの還元剤に
よる部分分解物の10%水溶液を調製し、その100gに苛性
ソーダ1gを加え、フラスコ中で100℃で60分間加熱攪拌
した。その後、塩酸にて中和した純水で総量を200gとし
発明品No.18を得た。平均分子量は39500であった。実施
例19(小麦グルテンのアルカリによる部分分解と次いで
実施した酵素による部分分解(実施例17と順次が逆)に
よる分解物の調製) 苛性ソーダ2gを溶解した水溶液100gに実施例1〜10で用
いた小麦グルテン20gを加えて100℃にて60分間加熱攪拌
後、塩酸にて中和し、純水で総量200gにして小麦グルテ
ンのアルカリによる部分分解物の10%水溶液を調製し、
その100gに試薬塩酸を加えてpH1.5の水溶液を得、これ
をフラスコ中で、0.1gのペプシンを加えて37℃で90分間
反応させた。この後、苛性ソーダで中和し純水で総量20
0gにした発明品No.19を得た。
平均分子量は24500であった。
実施例20(小麦グルテンのアルカリによる部分分解と次
いで実施した酸化剤による部分分解による分解物の調
製) 苛性ソーダ2gを溶解した水溶液100gに実施例1〜10で用
いた小麦グルテン20gを加えて100℃にて60分間加熱攪拌
後、塩酸にて中和し、純水で総量200gにして小麦グルテ
ンのアルカリによる部分分解物の10%水溶液を調製し、
その100gにH2O2換算で0.5gに相当する過酸化水素を加
え、40℃で60分間加熱攪拌した。その後、残存している
H2O2と当量のチオ硫酸ナトリウムを加え、純水で総量20
0gにして発明品20を得た。
平均分子量は37000であった。
以下に実施例1〜20によって得られたこの発明の蛋白質
部分分解物の諸物性及び粒子分散作用を表−3に、表面
張力及び乳化持続時間の測定結果を表−4に示す。
表中、原料欄のWは小麦グルテンを、Cはとうもろこし
グルテンを、Bは大豆蛋白をそれぞれ意味する。なお空
欄は、測定または試験せずを意味する。
各諸物性及び粒子分散作用の測定方法、試験方法は以下
のとおりである。
〔平均分子量〕
これらの分子量は、標準物質として1600,6500,16000,65
000,88000の分子量を有するポリスチレンスルホン酸ソ
ーダを用い、ファルマシア社製のセファデックスG−75
又はG−100を担体として用いてゲル濾過法によって測
定した値である。
〔等電点〕
ビーカにこの発明の実施例で得られた発明品1〜20を各
100gづつ取り、室温にて攪拌下、1N−HClを1mlずつ添加
し、pHを測定した。得られたpH曲線の傾きが緩やかにな
るpH値を等電点とした。
(緩衝能〕 等電点の測定方法と同様にして得られたpH曲線より、pH
を6から2まで低下させるに必要な1Nの塩酸量を緩衝能
とした。なお、この際のpH中和曲線を、発明品No.1,No.
7,No.11,及びNo.13について第1図(イ)〜(ニ)に示
した。
〔UV〕
日立U−3200形分光光度計を用いて800〜200nmの範囲の
吸光度を測定した。
〔IR〕
日立260−10形赤外分光光度計を用いてKBr法で測定し
た。
〔粒子分散力〕(炭酸カルシウムスラリー) ・ナショナルMI型ミキサーに発明品および水道水を計25
0g入れ、炭酸カルシウム(竹原化学工業製軽質炭酸カル
シウム)を250g加え2分間混合し、50重量%スラリーを
調製する。その後直ちにスラリーをビーカーに移し、東
京計器製DVH−B型粘度計にて、回転数を50rpm,ロータ
ーNo.3〜5にて粘度(cps)を測定する。ただし、その
発明の部分分解物の添加濃度は、総量500gに対して0.3
重量%である。
(カオリンスラリー) ・ナショナルMI型ミキサーに、この発明の部分分解物お
よび水道水を200g入れ、カオリン〔土屋カオリン工業
(株)製〕粉末を300g加えて2分間混合し、60重量%ス
ラリーを調製する。その後直ちにスラリーをビーカーに
移し、東京計器製DVH−B型粘度計にて、回転数50rpm、
ローターNo.3〜5にて粘度を測定する。ただし、この発
明の部分分解物の添加濃度は、総量500gに対して0.3重
量%である。
表面張力及び乳化持続時間の測定方法は以下のとおりで
ある。
[表面張力の測定] 実施例で調製した発明品の表面張力を温度25℃で純水を
溶媒として用いてデュヌイの表面張力計によって測定し
た。
[乳化持続時間の測定] 実施例で調製した発明品の乳化持続時間を下記の試験方
法により測定した。
《試験方法》 ・ビーカーに試供薬剤および水道水を合計70g入れ、pH
を7.0に調整する。大豆油〔キシダ化学(株)製試薬〕3
0gを加え特殊機化工業(株)製HV−M型ホモミキサーで
回転数8000rpmにて5分間混合する。混合後直ちに乳化
液を比色管に移し室温にて放置し、分離が始まるまでの
時間を乳化持続時間とする。乳化持続時間の測定は、放
置開始後1時間後までは10分毎に観察し、その後は1時
間毎に観察した。ただし、この発明の部分分解物の添加
濃度は、総量に対して1.0重量%である。
比較例1(小麦グルテンの調製) 実施例1〜10に用いた小麦グルテンを分解処理せずその
まま比較品No.1として用いた。
比較例2(小麦グルテンのアルカリによる部分分解物の
調製) 苛性ソーダ2gを溶解した水溶液100gに実施例1〜10で用
いた小麦グルテン20gを加えて100℃で60分間加熱攪拌
後、塩酸で中和し、純水で総量200gとして比較品No.2を
得た。
平均分子量は、47000であった。
比較例3(小麦グルテンの酸による部分分解物の調製) 塩化水素換算で4gに相当する塩酸水溶液100gの入ったフ
ラスコに和光純薬工業(株)製の小麦グルテン(試薬
品)20gを加え、100℃、60分間加熱攪拌した。その後、
苛性ソーダで中和し純水で総量200gにして、比較品No.3
を得た。部分加水分解物の平均分子量は47000であっ
た。
比較例4(小麦グルテンの酵素による部分分解物の調
製) 実施例1〜10で用いた小麦グルテン20gを0.1N−塩酸液1
50gが入ったフラスコに加え、pH1.5の水溶液を得た。こ
れに0.2gのペプシンを加え37℃で90分間反応させた。そ
の後、苛性ソーダで中和し純水で総量200gにて比較品N
o.4を得た。部分分解物の平均分子量は60000であった。
この発明の実施例の発明品No.1〜20、比較例の比較品N
o.1〜4、及び公知の品質改良剤であるショ糖脂肪酸エ
ステル[第1工業製薬(株)製、商品名:DKエステルF
−160(HLB15)、比較品No.5]パルミチン酸モノグリセ
ライド[太陽化学(株)製、商品名:サンソフトNo.800
1、比較品No.6]について以下の試験例を実施した。
試験例1(コーヒーホワイトナーの品質改良効果) 各供試品1〜3gと脱脂粉乳(雪印乳業株式会社製スキム
ミルク)30gを65℃の温水に分散又は溶解させ全量を700
gとしてA液を調製した。別途パルミチン酸モノグリセ
リド(サンソフトNo.8001:太陽化学(株)製)を0.1g溶
解した70℃の大豆硬化油(上昇融点36℃)700gに上記A
液を攪拌しながら徐々に添加し、70℃で10分間攪拌し
た。その後高圧ホモジナイザーを使用して50kg/cm2で均
質化し、コーヒーホワイトナーを得た。
このコーヒーホワイトナーの品質を下記の方法で試験し
た。
<試験方法> 焙煎したコーヒー豆“ブラジル”を13g秤取し、熱水85
℃100mlで抽出した、コーヒー液を80℃に保温し100mlの
上記コーヒーホワイトナーを添加し、攪拌後、フェザリ
ング(コーヒー液面に羽毛状の凝固物が浮く現象)の有
(+)僅かに有(±)無(−)及び膜形成までの時間を
測定した。
[試験結果] 供試品として各実施例により調製した発明品No.1〜20に
ついて上記試験を行った結果、フェザリング現象は生起
せず、膜形成まで10分以上を要した。その代表例の試験
結果を比較例とともに表−5に示す。
なお、上記発明品No.7の部分分解物とショ糖脂肪酸エス
テル(比較例No.5)とを併用した結果を表−6に示し
た。
このように発明品を用いることにより、フェザリング現
象や膜生成現象が著しく抑制されていることが判る。ま
た、かかる効果はショ糖脂肪酸エステルとの併用により
相乗的に上昇していることが判る。
試験例2(ホイップクリームの品質改良効果) 大豆硬化油(上昇融点36℃)45部と各供試品を添加した
原乳65部を70℃の温度で15分間ホモミキサーで攪拌し
た。その後ホモジナイザーを使用して80kg/cm2で均質化
しその乳化状態を観察した。その後70℃で10分間加熱滅
菌し、10℃まで急冷した。5℃の冷蔵庫で12時間エージ
ングしてクリーム状油脂組成物を得た。このクリーム状
組成物を電動ハンドホイッパーで毎分600回転の速度で
攪拌し、ホイップクリームを得た。このホイップクリー
ムの品質を下記の項目について試験を行い評価した。
<評価項目及び方法> (1)粘度:リオンBO−2型粘度計使用 (2)オーバーラン:次式で算出される最適起泡状態に
達したときの増加体積割合 (3)起泡時間:電動ハンドホイッパーを使用し、600
回転の速度で500mlのクリーム状組成物を起泡させたと
きの最適起泡状態に達するまでの時間 (4)起泡終点の幅:上記と同様にして起泡させたとき
の、最適起泡状態を維持する時間。
(5)保型性、キメ:A……良好、AB……やや良好、B…
…悪、実用できない。
[試験結果] 供試品として各実施例により調製した発明品No.1〜20に
ついて上記試験を行った。その代表例を比較例とともに
表−7に示す。なお、上記発明品No.7とショ糖脂肪酸エ
ステル(比較品No.5)とを併用した結果についても同表
に示した。
このように発明品を用いることにより保型性に優れたホ
イップクリームを簡便に作製できることが判る。
(ヘ)発明の効果 この発明の品質改良剤は、各種クリーム状乳加工品の優
れた品質改良効果を奏するものである。そして、有効成
分である穀物蛋白質の部分分解物は食品又は食品に類す
るものゆえ、毒性がない点で極めて有利であり、食品添
加用として安全性も向上され、しかも安価である。
従って、この発明の安定化剤は乳化油性食品用添加剤と
して極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ)〜(ニ)は、この発明に用いる部分加水分
解物についてのpH中和曲線を別々例示するグラフ図であ
る。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】穀物蛋白質の部分分解物であって、以下の
    物性、 (a)重量平均分子量(ゲル濾過法による)が500〜900
    00の範囲にある、 (b)紫外吸収λmaxが、260〜280nm付近で、かつ赤外
    吸収が1400,1630及び3400cm-1付近である、 (c)等電点が、3.9〜5.0の範囲にある、 (d)pH緩衝性(本品の5重量%水溶液100mlのpHを6
    から2まで低下させるのに1N−塩酸を2〜25ml必要とす
    る)を有する、 (e)水に可溶であり、メタノール、エタノール、アセ
    トン、エーテルに不溶である、 (f)外観は淡黄色なしい赤茶色の粉末である、 (g)キサントプロティン反応、ニンヒドリン反応によ
    って呈色する、 (h)強い表面張力低下能(本品を25℃の純水に0.1重
    量%添加することによって、純水の表面張力を50dyne/c
    m以下(デュヌイの表面張力計で計測)に低下させる)
    を有する、 (i)強い乳化能(本品1gの添加使用により少なくと
    も、大豆油を30重量%含有する水−大豆油混合物100gを
    完全乳化(均一な乳化状態を少なくとも10分、好ましく
    は1時間以上維持することを意味する)しうる)を有す
    る、 で特性づけられる物質からなるクリーム状乳加工品品質
    改良剤。
  2. 【請求項2】部分分解物が、穀物蛋白質を(A)アルカ
    リによる加水分解処理と、(B)酸、酵素、酸化剤又は
    還元剤を用いた分解処理の1種又は2種以上との組合わ
    せによる多段部分分解処理に付して得られた物質である
    請求項(1)に記載の品質改良剤。
  3. 【請求項3】部分分解物が、アルカリによる加水分解処
    理と、酸による加水分解処理との組合わせによる二段部
    分分解処理により得られたものである請求項(2)に記
    載の品質改良剤。
  4. 【請求項4】穀物が、小麦グルテン、とうもろこしグル
    テン又は大豆蛋白である請求項(1)〜(3)のいずれ
    かに記載の品質改良剤。
  5. 【請求項5】クリーム状乳加工品がコーヒホワイトナ
    ー、ホイップクリーム又はアイスクリームである請求項
    (1)〜(4)のいずれかに記載の品質改良剤。
  6. 【請求項6】多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性
    剤がさらに併用されてなる請求項(1)の品質改良剤。
  7. 【請求項7】蛋白質部分分解物と多価アルコール脂肪酸
    エステル型界面活性剤が重量比1:6〜6:1で配合されてな
    る請求項(6)記載の品質改良剤。
  8. 【請求項8】多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性
    剤が、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪
    酸エステルである請求項(7)記載の品質改良剤。
  9. 【請求項9】クリーム状乳加工品素材に対して、0.02〜
    5重量%添加して用いられる請求項(1)又は(6)記
    載の品質改良剤。
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