JPH0769873A - 緑膿菌用殺菌・消毒剤 - Google Patents
緑膿菌用殺菌・消毒剤Info
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- JPH0769873A JPH0769873A JP24072193A JP24072193A JPH0769873A JP H0769873 A JPH0769873 A JP H0769873A JP 24072193 A JP24072193 A JP 24072193A JP 24072193 A JP24072193 A JP 24072193A JP H0769873 A JPH0769873 A JP H0769873A
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- JP
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- troponoid
- metal
- pseudomonas aeruginosa
- hinokitiol
- metal complex
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 トロポノイド化合物の有する殺菌能力を保持
したまま、その欠点である昇華性と金属腐食を抑制しつ
つ、緑膿菌を殺菌または抑制すること。 【構成】 一般式 【化1】 (式中、R1は水素原子、低級アルキル基、低級アルケ
ニル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ヒド
ロキシル基またはヒドロキシアルキル基を、R2は水素
原子またはヒドロキシル基を表わし、Mは金属であり、
nはその金属の価数を、mは配位数であり、nとmは1
〜4の同じ整数である)で示されるトロポノイド金属錯
塩の1種または2種以上を有効成分として含有すること
を特徴とする緑膿菌用殺菌・消毒剤。
したまま、その欠点である昇華性と金属腐食を抑制しつ
つ、緑膿菌を殺菌または抑制すること。 【構成】 一般式 【化1】 (式中、R1は水素原子、低級アルキル基、低級アルケ
ニル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ヒド
ロキシル基またはヒドロキシアルキル基を、R2は水素
原子またはヒドロキシル基を表わし、Mは金属であり、
nはその金属の価数を、mは配位数であり、nとmは1
〜4の同じ整数である)で示されるトロポノイド金属錯
塩の1種または2種以上を有効成分として含有すること
を特徴とする緑膿菌用殺菌・消毒剤。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般式〔I〕
【化2】 (式中、R1は水素原子、低級アルキル基、低級アルケ
ニル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ヒド
ロキシル基またはヒドロキシアルキル基を、R2は水素
原子またはヒドロキシル基を表わし、Mは金属であり、
nはその金属の価数を、mは配位数であり、nとmは1
〜4の同じ整数である)で示されるトロポノイド金属錯
塩を有効成分として含有することからなる緑膿菌用殺菌
・消毒剤に関する。
ニル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ヒド
ロキシル基またはヒドロキシアルキル基を、R2は水素
原子またはヒドロキシル基を表わし、Mは金属であり、
nはその金属の価数を、mは配位数であり、nとmは1
〜4の同じ整数である)で示されるトロポノイド金属錯
塩を有効成分として含有することからなる緑膿菌用殺菌
・消毒剤に関する。
【0002】
【従来の技術】各種細菌の感染による様々な疾病の治療
法として、ペニシリンを始めとする抗生物質が開発され
たことにより、細菌感染症は大巾に減少してきている。
しかし、これら抗生物質に対しての抵抗力をもつ耐性菌
が発現し、新規抗生物質の開発とそれに対する耐性菌の
発現は、まさに「イタチごっこ」の関係にあると言うこ
とができる。特に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
はグラム染色陰性の稈菌に属し(1992年医学書院発行、
新臨床検査技術講座11、微生物学臨床微生物学、第3
版第120頁)、常在菌の一種として自然界に広く存在
しており、人に対して病原性を発揮することがある。と
りわけ、抗生物質に対する感受性が低く、術後感染、二
次感染を引き起こし、敗血症になる場合もしばしば報告
されている。また、緑膿菌は主要な環境消毒・殺菌剤で
ある塩化ベンザルコニウムやグルコン酸クロルヘキシジ
ンに耐性を持つ場合が多い〔防菌防黴、第19巻、第7
号、第359頁(1991)〕。さらに、現在問題にな
っているMRSA〔Methicillin-resistant Staphyloco
ccus aureus、すなわちメチシリン耐性黄色ブドウ球菌
(グラム染色陽性の球菌に属する)〕が優れた薬剤の出
現で急激に減少した場合、緑膿菌がこれにとって代わる
ことが真剣に懸念されている。
法として、ペニシリンを始めとする抗生物質が開発され
たことにより、細菌感染症は大巾に減少してきている。
しかし、これら抗生物質に対しての抵抗力をもつ耐性菌
が発現し、新規抗生物質の開発とそれに対する耐性菌の
発現は、まさに「イタチごっこ」の関係にあると言うこ
とができる。特に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
はグラム染色陰性の稈菌に属し(1992年医学書院発行、
新臨床検査技術講座11、微生物学臨床微生物学、第3
版第120頁)、常在菌の一種として自然界に広く存在
しており、人に対して病原性を発揮することがある。と
りわけ、抗生物質に対する感受性が低く、術後感染、二
次感染を引き起こし、敗血症になる場合もしばしば報告
されている。また、緑膿菌は主要な環境消毒・殺菌剤で
ある塩化ベンザルコニウムやグルコン酸クロルヘキシジ
ンに耐性を持つ場合が多い〔防菌防黴、第19巻、第7
号、第359頁(1991)〕。さらに、現在問題にな
っているMRSA〔Methicillin-resistant Staphyloco
ccus aureus、すなわちメチシリン耐性黄色ブドウ球菌
(グラム染色陽性の球菌に属する)〕が優れた薬剤の出
現で急激に減少した場合、緑膿菌がこれにとって代わる
ことが真剣に懸念されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般式〔II〕
【化3】 (式中、R1およびR2は前記と同一の意味を表わす)で
示されるトロポノイド化合物を殺菌剤として用いた公知
技術としては、青森ヒバ由来の天然ヒノキチオールおよ
びβ−ドラブリンの混合物を有効成分として含有する液
性消毒・殺菌剤(特公平2−32241号公報)が開示
されている。トロポノイド化合物は広い抗菌スペクトル
を有する優れた殺菌剤である反面、比較的融点が低
く、かつ昇華性であることほとんどの金属と反応し、
腐食や錆の原因となるなどの欠点を有し、実用化のため
の解決すべき問題点となっている。
示されるトロポノイド化合物を殺菌剤として用いた公知
技術としては、青森ヒバ由来の天然ヒノキチオールおよ
びβ−ドラブリンの混合物を有効成分として含有する液
性消毒・殺菌剤(特公平2−32241号公報)が開示
されている。トロポノイド化合物は広い抗菌スペクトル
を有する優れた殺菌剤である反面、比較的融点が低
く、かつ昇華性であることほとんどの金属と反応し、
腐食や錆の原因となるなどの欠点を有し、実用化のため
の解決すべき問題点となっている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、トロポノ
イド化合物の有する殺菌能力を保持したまま、その欠点
である昇華性と金属腐食を抑制する方法につき種々検討
を重ねた結果、トロポノイド化合物に金属を反応させる
ことにより安定な錯塩を形成すること、さらにこのトロ
ポノイド金属錯塩が緑膿菌に対して優れた殺菌能力を有
することを見い出し、本発明を完成したものである。
イド化合物の有する殺菌能力を保持したまま、その欠点
である昇華性と金属腐食を抑制する方法につき種々検討
を重ねた結果、トロポノイド化合物に金属を反応させる
ことにより安定な錯塩を形成すること、さらにこのトロ
ポノイド金属錯塩が緑膿菌に対して優れた殺菌能力を有
することを見い出し、本発明を完成したものである。
【0005】本発明において用いるトロポノイド金属錯
塩は、一般式〔I〕
塩は、一般式〔I〕
【化4】 (式中、R1、R2、M、mおよびnは前記と同一の意味
を表わす)の構造式で示されるもので、使用する金属の
イオン価に対応する数のトロポノイド化合物を金属と結
合させたものである。
を表わす)の構造式で示されるもので、使用する金属の
イオン価に対応する数のトロポノイド化合物を金属と結
合させたものである。
【0006】本発明におけるトロポノイド化合物は一般
式〔II〕
式〔II〕
【化5】 (式中、R1およびR2は前記と同一の意味を表わす)で
示されものであり、R1のアルキル基、アルケニル基と
しては炭素数1〜6が適している。代表的なトロポノイ
ド化合物としては、トロポロン〔別称2−ヒドロキシ−
2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン〕、ヒノ
キチオール〔別称β−ツヤプリシンあるいは2−ヒドロ
キシ−4−イソプロピル−2,4,6−シクロヘプタト
リエン−1−オン〕、α−ツヤプリシン〔別称2−ヒド
ロキシ−3−イソプロピル−2,4,6−シクロヘプタ
トリエン−1−オン〕、γ−ツヤプリシン〔別称2−ヒ
ドロキシ−5−イソプロピル−2,4,6−シクロヘプ
タトリエン−1−オン〕、α−ドラブリノール〔別称
2,7−ジヒドロキシ−3−イソプロペニル−2,4,
6−シクロヘプタトリエン−1−オン〕、β−ドラブリ
ン〔別称2−ヒドロキシ−4−イソプロペニル−2,
4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン〕、α−ツヤ
プリシノール〔別称2,7−ジヒドロキシ−3−イソプ
ロピル−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オ−
ル〕、7−ヒドロキシトロポロン〔別称2,7−ジヒド
ロキシ−2,4,6−シクロペンタトリエン−1−オ
ン〕などが例示されるが、これらに限定されない。な
お、これらのトロポノイド化合物は合成品でよく、また
青森ヒバの如き天然物より抽出等で得られるヒノキチオ
ールやβ−ドラブリンなどの天然物質であってもよい。
示されものであり、R1のアルキル基、アルケニル基と
しては炭素数1〜6が適している。代表的なトロポノイ
ド化合物としては、トロポロン〔別称2−ヒドロキシ−
2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン〕、ヒノ
キチオール〔別称β−ツヤプリシンあるいは2−ヒドロ
キシ−4−イソプロピル−2,4,6−シクロヘプタト
リエン−1−オン〕、α−ツヤプリシン〔別称2−ヒド
ロキシ−3−イソプロピル−2,4,6−シクロヘプタ
トリエン−1−オン〕、γ−ツヤプリシン〔別称2−ヒ
ドロキシ−5−イソプロピル−2,4,6−シクロヘプ
タトリエン−1−オン〕、α−ドラブリノール〔別称
2,7−ジヒドロキシ−3−イソプロペニル−2,4,
6−シクロヘプタトリエン−1−オン〕、β−ドラブリ
ン〔別称2−ヒドロキシ−4−イソプロペニル−2,
4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン〕、α−ツヤ
プリシノール〔別称2,7−ジヒドロキシ−3−イソプ
ロピル−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オ−
ル〕、7−ヒドロキシトロポロン〔別称2,7−ジヒド
ロキシ−2,4,6−シクロペンタトリエン−1−オ
ン〕などが例示されるが、これらに限定されない。な
お、これらのトロポノイド化合物は合成品でよく、また
青森ヒバの如き天然物より抽出等で得られるヒノキチオ
ールやβ−ドラブリンなどの天然物質であってもよい。
【0007】また、金属としてはナトリウム、カリウ
ム、カルシウム、銅、マグネシウム、バリウム、亜鉛、
アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、チタン、マンガ
ン、鉄などが容易に金属錯塩を形成し、かつトロポノイ
ド化合物の有する抗菌作用を阻害しないので好適であ
る。
ム、カルシウム、銅、マグネシウム、バリウム、亜鉛、
アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、チタン、マンガ
ン、鉄などが容易に金属錯塩を形成し、かつトロポノイ
ド化合物の有する抗菌作用を阻害しないので好適であ
る。
【0008】本発明で用いるトロポノイド金属錯塩は、
1価の金属には1個のトロポノイド化合物が、2価の金
属には2個のトロポノイド化合物が、3価の金属には3
個のトロポノイド化合物が、4価の金属には4個のトロ
ポノイド化合物がそれぞれ結合して錯塩を形成するもの
であり、これら金属錯塩の製造法としては、金属がナ
トリウムのようなアルカリ金属の場合には、水酸化ナト
リウムのようなアルカリ金属水酸化物の水溶液にアルカ
ル金属と等モルのトロポノイド化合物を添加し、撹拌下
に加熱して均一溶液としたのち冷却し、析出したアルカ
リ金属塩を分離する。またアルカリ金属以外の金属で
は、トロポノイド化合物のアルカリ金属塩水溶液に、所
定のモル数の金属塩化物水溶液を撹拌下に添加すること
で、直ちに金属錯塩を形成する。これらの金属錯塩のほ
とんどは難溶性であるため金属錯塩形成と同時に沈殿す
るので、濾過等の手段により分離する。これらの金属錯
塩は、必要により再結晶等の手段により精製する。
1価の金属には1個のトロポノイド化合物が、2価の金
属には2個のトロポノイド化合物が、3価の金属には3
個のトロポノイド化合物が、4価の金属には4個のトロ
ポノイド化合物がそれぞれ結合して錯塩を形成するもの
であり、これら金属錯塩の製造法としては、金属がナ
トリウムのようなアルカリ金属の場合には、水酸化ナト
リウムのようなアルカリ金属水酸化物の水溶液にアルカ
ル金属と等モルのトロポノイド化合物を添加し、撹拌下
に加熱して均一溶液としたのち冷却し、析出したアルカ
リ金属塩を分離する。またアルカリ金属以外の金属で
は、トロポノイド化合物のアルカリ金属塩水溶液に、所
定のモル数の金属塩化物水溶液を撹拌下に添加すること
で、直ちに金属錯塩を形成する。これらの金属錯塩のほ
とんどは難溶性であるため金属錯塩形成と同時に沈殿す
るので、濾過等の手段により分離する。これらの金属錯
塩は、必要により再結晶等の手段により精製する。
【0009】これらのトロポノイド金属錯塩は殺菌・消
毒作用、特に緑膿菌に対して優れた殺菌・消毒作用を有
するものであり、トロポノイド金属錯塩を添加したフロ
アワックスによる床面の清掃、つや出しや、トロポノイ
ド金属錯塩を含有する水を噴霧する、あるいは水拭する
ことによる天井、壁、床などの環境面の清掃に用いるこ
とで、清掃と同時に緑膿菌に対する殺菌・消毒作用を長
期間にわたって発揮するので、特に病院等医療施設内に
おける緑膿菌の院内感染の防止に役立つものである。も
ちろん医療施設のほか一般のビルや住宅の清掃に使用す
ることはなんら差支えなく、また環境面以外の器具など
の殺菌・消毒に用いることも可能である。
毒作用、特に緑膿菌に対して優れた殺菌・消毒作用を有
するものであり、トロポノイド金属錯塩を添加したフロ
アワックスによる床面の清掃、つや出しや、トロポノイ
ド金属錯塩を含有する水を噴霧する、あるいは水拭する
ことによる天井、壁、床などの環境面の清掃に用いるこ
とで、清掃と同時に緑膿菌に対する殺菌・消毒作用を長
期間にわたって発揮するので、特に病院等医療施設内に
おける緑膿菌の院内感染の防止に役立つものである。も
ちろん医療施設のほか一般のビルや住宅の清掃に使用す
ることはなんら差支えなく、また環境面以外の器具など
の殺菌・消毒に用いることも可能である。
【0010】本発明におけるトロポノイド金属錯塩をフ
ロアワックスに添加して使用する方法について以下に説
明する。フロアワックスに添加する場合は、トロポノイ
ド金属錯塩を親水性溶媒に溶解したのちフロアワックス
に添加混合する。このさい、金属がナトリウムのような
アルカリ金属の場合は水溶液でもよい。親水性溶媒とし
てはグリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテルが通常用いられる。フロアワッ
クスに対するトロポノイド金属錯体の添加量は、トロポ
ノイド化合物および金属の種類やフロアワックスの組成
などによっても異るが、通常200ppm以上添加すれ
ば効果があり、特に400ppm以上で優れた効果を示
す。なお、フロアワックスとしては一般に市販されてい
るような組成のものであれば全て使用でき、天然高分子
系、合成樹脂系いずれでもよい。
ロアワックスに添加して使用する方法について以下に説
明する。フロアワックスに添加する場合は、トロポノイ
ド金属錯塩を親水性溶媒に溶解したのちフロアワックス
に添加混合する。このさい、金属がナトリウムのような
アルカリ金属の場合は水溶液でもよい。親水性溶媒とし
てはグリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテルが通常用いられる。フロアワッ
クスに対するトロポノイド金属錯体の添加量は、トロポ
ノイド化合物および金属の種類やフロアワックスの組成
などによっても異るが、通常200ppm以上添加すれ
ば効果があり、特に400ppm以上で優れた効果を示
す。なお、フロアワックスとしては一般に市販されてい
るような組成のものであれば全て使用でき、天然高分子
系、合成樹脂系いずれでもよい。
【0011】また、単に清掃、消毒のため水溶媒系で使
用する場合には、トロポノイド金属錯塩を親水性溶媒に
溶解し、これに水と分散剤を加えて均一に撹拌すること
で、トロポノイド金属錯塩を含有するコロイド状分散液
とし、使用状況に応じて水で希釈する。トロポノイド金
属錯体として通常200ppm以上で効果があり、必要
に応じて濃度を加減すればよい。水溶媒系で清掃や消毒
に用いる場合には、水溶媒系に水溶性高分子をバインダ
ーとして添加し、トロポノイド金属錯塩の付着効率を高
めることができる。水溶性高分子としては、ポリアクリ
ル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、PVA、CM
C、アルギン酸メラミン樹脂初期縮合物、尿素樹脂初期
縮合物などを挙げることができる。また、同様の目的
で、各種の乳化重合物も使用することができ、ABS乳
化重合物、ポリブタジエン乳化重合物、ポリ塩化ビニー
ル乳化重合物などを例示することができる。
用する場合には、トロポノイド金属錯塩を親水性溶媒に
溶解し、これに水と分散剤を加えて均一に撹拌すること
で、トロポノイド金属錯塩を含有するコロイド状分散液
とし、使用状況に応じて水で希釈する。トロポノイド金
属錯体として通常200ppm以上で効果があり、必要
に応じて濃度を加減すればよい。水溶媒系で清掃や消毒
に用いる場合には、水溶媒系に水溶性高分子をバインダ
ーとして添加し、トロポノイド金属錯塩の付着効率を高
めることができる。水溶性高分子としては、ポリアクリ
ル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、PVA、CM
C、アルギン酸メラミン樹脂初期縮合物、尿素樹脂初期
縮合物などを挙げることができる。また、同様の目的
で、各種の乳化重合物も使用することができ、ABS乳
化重合物、ポリブタジエン乳化重合物、ポリ塩化ビニー
ル乳化重合物などを例示することができる。
【0012】
【実施例および実験例】以下、実施例および実験例によ
り本発明を説明する。なお、実施例および実験例におい
て、トロポノイド金属錯塩を
り本発明を説明する。なお、実施例および実験例におい
て、トロポノイド金属錯塩を
【化6】Ca2+−〔ヒノキチオール〕2 のように表示するが、これは2価の金属であるカルシウ
ム1個に2個のヒノキチオールが結合した錯塩であるこ
とを意味する。実験例1 ヒノキチオール・カルシウム
錯塩の製造
ム1個に2個のヒノキチオールが結合した錯塩であるこ
とを意味する。実験例1 ヒノキチオール・カルシウム
錯塩の製造
【化7】 ヒノキチオール3.28g(0.02モル)と水酸化ナ
トリウム0.8g(0.02モル)とを水100mlに
溶解した。このヒノキチオールナトリウム塩水溶液中
に、別途調整した塩化カルシウム(CaCl2)1.1
1g(0.01モル)を水50mlに溶解した溶液を、
撹拌下に滴下する。析出した沈殿物を濾別、乾燥して、
白色粉末3.58gを得た。次いでこの粉末を100m
lのエタノールに加え、50℃に加温して溶解した後、
氷冷することで得られる沈殿物を濾別し乾燥して、白色
粉末3.2gを得た。この白色粉末を示差走査熱量計
(マックスサイエンス社製、システム001)を用い、
昇温速度5℃/minで熱的挙動を測定した結果、融点
はみられず、分解点352〜393℃を示した。また、
原子吸光分光光度計(GBC社製)によりカルシウムの
量を測定した結果、10.8%であった。なお、
トリウム0.8g(0.02モル)とを水100mlに
溶解した。このヒノキチオールナトリウム塩水溶液中
に、別途調整した塩化カルシウム(CaCl2)1.1
1g(0.01モル)を水50mlに溶解した溶液を、
撹拌下に滴下する。析出した沈殿物を濾別、乾燥して、
白色粉末3.58gを得た。次いでこの粉末を100m
lのエタノールに加え、50℃に加温して溶解した後、
氷冷することで得られる沈殿物を濾別し乾燥して、白色
粉末3.2gを得た。この白色粉末を示差走査熱量計
(マックスサイエンス社製、システム001)を用い、
昇温速度5℃/minで熱的挙動を測定した結果、融点
はみられず、分解点352〜393℃を示した。また、
原子吸光分光光度計(GBC社製)によりカルシウムの
量を測定した結果、10.8%であった。なお、
【化8】Ca2+−〔ヒノキチオール〕2 の理論値(重量比)は、カルシウム11.0%、ヒノキ
チオール89.0%である。以上の結果よりこの白色粉
末はカルシウム1:ヒノキチオール2よりなる錯塩であ
ることが確認できた。
チオール89.0%である。以上の結果よりこの白色粉
末はカルシウム1:ヒノキチオール2よりなる錯塩であ
ることが確認できた。
【0013】実験例2 トロポロン・銅錯塩の製造
【化9】 トロポロン2.44g(0.02モル)と水酸化ナトリ
ウム0.8g(0.02モル)とを水100mlに溶解
した。このトロポロンナトリウム塩水溶液中に、別途調
整した塩化銅(II)(CuCl2)1.34g(0.0
1モル)を水50mlに溶解した溶液を、撹拌下に滴下
する。析出した沈殿物を濾別、乾燥して青緑色粉末2.
9gを得た。次いでこの粉末を実験例1と同様にエタノ
ールによる再結晶を行い、青緑色粉末2.45gを得
た。この青緑色粉末を実験例1と同様に示差走査熱量計
および原子吸光分光光度計で測定した結果、分解点は3
19℃であり、銅の量は21.3%であった。なお
ウム0.8g(0.02モル)とを水100mlに溶解
した。このトロポロンナトリウム塩水溶液中に、別途調
整した塩化銅(II)(CuCl2)1.34g(0.0
1モル)を水50mlに溶解した溶液を、撹拌下に滴下
する。析出した沈殿物を濾別、乾燥して青緑色粉末2.
9gを得た。次いでこの粉末を実験例1と同様にエタノ
ールによる再結晶を行い、青緑色粉末2.45gを得
た。この青緑色粉末を実験例1と同様に示差走査熱量計
および原子吸光分光光度計で測定した結果、分解点は3
19℃であり、銅の量は21.3%であった。なお
【化10】Cu2+−〔トロポロン〕2 の理論値(重量比)は銅20.9%、トロポロン79.
1%である。従って、この青緑色粉末は銅1:トロポロ
ン2よりなる錯塩である。
1%である。従って、この青緑色粉末は銅1:トロポロ
ン2よりなる錯塩である。
【0014】実験例3 ヒバ油を原料としたヒノキチオ
ール・カルシウム錯塩、β−ドラブリン・カルシウム錯
塩混合物の製造 青森県産ヒバより得たヒバ油(ヒノキチオール約1%、
β−ドラブリン約1%含有)100gに1N水酸化ナト
リウム50mlを加え、充分に振とうした溶液に、塩化
カルシウム(CaCl2)0.7gを加え、更に均一に
撹拌した。ヒバ油中の酸性成分のうちヒノキチオール、
β−ドラブリンなどのトロポノイド化合物はカルシウム
錯塩の混合物として下層に沈殿した。この沈殿物を濾
過、水洗、乾燥して白色粉末2.1gを得た。この白色
粉末を実験例1と同様に示差走査熱量計および原子吸光
分光光度計で測定した結果、310〜350℃の分解点
を示し、カルシウムの量は10.8%であった。なお、
ヒバ油中のヒノキチオールおよびβ−ドラブリンの含量
をそれぞれ1%とした場合の
ール・カルシウム錯塩、β−ドラブリン・カルシウム錯
塩混合物の製造 青森県産ヒバより得たヒバ油(ヒノキチオール約1%、
β−ドラブリン約1%含有)100gに1N水酸化ナト
リウム50mlを加え、充分に振とうした溶液に、塩化
カルシウム(CaCl2)0.7gを加え、更に均一に
撹拌した。ヒバ油中の酸性成分のうちヒノキチオール、
β−ドラブリンなどのトロポノイド化合物はカルシウム
錯塩の混合物として下層に沈殿した。この沈殿物を濾
過、水洗、乾燥して白色粉末2.1gを得た。この白色
粉末を実験例1と同様に示差走査熱量計および原子吸光
分光光度計で測定した結果、310〜350℃の分解点
を示し、カルシウムの量は10.8%であった。なお、
ヒバ油中のヒノキチオールおよびβ−ドラブリンの含量
をそれぞれ1%とした場合の
【化11】Ca2+−〔ヒノキチオール〕2+Ca2+−
〔β−ドラブリン〕2 の理論値(重量比)はカルシウム11.0%、ヒノキチ
オール44.5%、β−ドラブリン44.5%であるこ
とから、この白色結晶は、カルシウム1:ヒノキチオー
ル2よりなる錯塩とカルシウム1:β−ドラブリン2よ
りなる錯塩の1:1の混合物であると推定される。
〔β−ドラブリン〕2 の理論値(重量比)はカルシウム11.0%、ヒノキチ
オール44.5%、β−ドラブリン44.5%であるこ
とから、この白色結晶は、カルシウム1:ヒノキチオー
ル2よりなる錯塩とカルシウム1:β−ドラブリン2よ
りなる錯塩の1:1の混合物であると推定される。
【0015】前記の実験例において、本発明で用いられ
るトロポノイド金属錯塩の製造法につき、代表的な錯塩
を例示したが、他のトロポノイド化合物および金属の錯
塩も、これに準じて製造した。これらトロポノイド金属
錯塩の熱的性質を例示すると、分解点が、Mg2+−[ヒ
ノキチオール]2は約390℃、Ba2+−[ヒノキチオ
ール]2は326〜370℃、Zn2+−[ヒノキチオー
ル]2は319〜383℃、Co2+−[ヒノキチオー
ル]2は320〜382℃、Ti4+−[ヒノキチオー
ル]4は約230℃、Ca2+−[トロポロン]2は380
〜410℃、Mg2+−[トロポロン]2は約400℃、
Ba2+−[トロポロン]2は約310℃、Zn2+−[ト
ロポロン]2は384〜388℃、とほとんどが300
℃以上と、高温時に安定である。
るトロポノイド金属錯塩の製造法につき、代表的な錯塩
を例示したが、他のトロポノイド化合物および金属の錯
塩も、これに準じて製造した。これらトロポノイド金属
錯塩の熱的性質を例示すると、分解点が、Mg2+−[ヒ
ノキチオール]2は約390℃、Ba2+−[ヒノキチオ
ール]2は326〜370℃、Zn2+−[ヒノキチオー
ル]2は319〜383℃、Co2+−[ヒノキチオー
ル]2は320〜382℃、Ti4+−[ヒノキチオー
ル]4は約230℃、Ca2+−[トロポロン]2は380
〜410℃、Mg2+−[トロポロン]2は約400℃、
Ba2+−[トロポロン]2は約310℃、Zn2+−[ト
ロポロン]2は384〜388℃、とほとんどが300
℃以上と、高温時に安定である。
【0016】実施例1 表1記載のトロポノイド金属錯塩の、それぞれの1%プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を調整し、
被検材料とした。次いでこの被検材料を用い、緑膿菌
(Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027)の生育阻止効果
について測定した。測定は、感受性測定用培地としてミ
ュウラー・ヒントン(Mueller-Hinton)培地を用いた最
小発育阻止濃度(MIC)測定法〔日本化学療法学会1
981年再改訂(CHEMOTHERAPY、第29
巻、第1号、第76〜79頁(1981))〕により、
トロポノイド金属錯塩の濃度を変えて行った。結果は表
1に示すが、「生育あり」を+で、「生育なし」を−で
表示する。測定に用いたトロポノイド金属錯塩は、いず
れも緑膿菌の生育を阻止する能力を有することが認めら
れた。なお、被検材料の濃度は、含有するトロポノイド
金属錯塩の濃度で表示する。また、ヒノキチオールおよ
びトロポロンについて、同様の試験を行ったところ、ト
ロポノイド金属錯塩とほぼ同等の緑膿菌生育阻止能力が
認められた。
ロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を調整し、
被検材料とした。次いでこの被検材料を用い、緑膿菌
(Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027)の生育阻止効果
について測定した。測定は、感受性測定用培地としてミ
ュウラー・ヒントン(Mueller-Hinton)培地を用いた最
小発育阻止濃度(MIC)測定法〔日本化学療法学会1
981年再改訂(CHEMOTHERAPY、第29
巻、第1号、第76〜79頁(1981))〕により、
トロポノイド金属錯塩の濃度を変えて行った。結果は表
1に示すが、「生育あり」を+で、「生育なし」を−で
表示する。測定に用いたトロポノイド金属錯塩は、いず
れも緑膿菌の生育を阻止する能力を有することが認めら
れた。なお、被検材料の濃度は、含有するトロポノイド
金属錯塩の濃度で表示する。また、ヒノキチオールおよ
びトロポロンについて、同様の試験を行ったところ、ト
ロポノイド金属錯塩とほぼ同等の緑膿菌生育阻止能力が
認められた。
【0017】トロポノイド金属錯塩の緑膿菌成育阻止効
果
果
【表1】
【0018】実施例2 実施例1で用いたトロポノイド金属錯塩のプロピレング
リコールモノメチルエーテル溶液に、少量の水とポリア
クリル酸ナトリウム塩水溶液を加えて均一に撹拌して、
トロポノイド金属錯塩1%を含むコロイド状分散液を調
整する。次に、このコロイド状分散液を順次水で希釈し
て、被検材料と、実施例1と同様に、MIC測定法によ
り緑膿菌の生育阻止効果について測定した結果、測定に
用いたトロポノイド金属錯塩は、水溶液の状態において
も、緑膿菌の生育を阻止する能力を有することを認め
た。
リコールモノメチルエーテル溶液に、少量の水とポリア
クリル酸ナトリウム塩水溶液を加えて均一に撹拌して、
トロポノイド金属錯塩1%を含むコロイド状分散液を調
整する。次に、このコロイド状分散液を順次水で希釈し
て、被検材料と、実施例1と同様に、MIC測定法によ
り緑膿菌の生育阻止効果について測定した結果、測定に
用いたトロポノイド金属錯塩は、水溶液の状態において
も、緑膿菌の生育を阻止する能力を有することを認め
た。
【0019】実施例3 表2記載のトロポノイド金属錯塩の、それぞれの1%ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル溶液を、市販さ
れている合成樹脂系フロアワックス「パーフェクト」
(商品名、ジョンソン社製品)に添加し、ペーパーディ
スク法(注1)により、緑膿菌の生育を観察した。トロ
ポノイド金属錯塩の濃度は、フロアワックスの固型分
(20%)に対するトロポノイド金属錯塩の量である。
結果はいずれの錯体も2000〜3000ppmで緑膿
菌の生育を阻止することが認められた。また、ヒノキチ
オールを同様な操作でフロアワックスに添加し、同様な
試験を行ったところ、トロポノイド金属錯塩とほぼ同等
の緑膿菌生育阻止効果が認められた。
エチレングリコールモノメチルエーテル溶液を、市販さ
れている合成樹脂系フロアワックス「パーフェクト」
(商品名、ジョンソン社製品)に添加し、ペーパーディ
スク法(注1)により、緑膿菌の生育を観察した。トロ
ポノイド金属錯塩の濃度は、フロアワックスの固型分
(20%)に対するトロポノイド金属錯塩の量である。
結果はいずれの錯体も2000〜3000ppmで緑膿
菌の生育を阻止することが認められた。また、ヒノキチ
オールを同様な操作でフロアワックスに添加し、同様な
試験を行ったところ、トロポノイド金属錯塩とほぼ同等
の緑膿菌生育阻止効果が認められた。
【0020】トロポノイド金属錯塩を添加したフロアワ
ックスの緑膿菌成育阻止効果
ックスの緑膿菌成育阻止効果
【表2】 (注1)ペーパーディスク法:緑膿菌(Pseudomonas ae
ruginosa ATCC 9027)培養液0.1mlにSCD寒天培
地10mlを混釈法でシャーレに塗布し、固化させて試
験用培地とする。この試験用培地に各濃度のトロポノイ
ド金属錯塩を添加したフロアワックスを含浸させたペー
パーディスク(直径8mm)を置き、37℃で15時間
培養し、ディスクの周囲の発育阻止帯を観察し、明瞭に
阻止帯が確認されたものを−で表示し、確認されないも
のを+で表示する。
ruginosa ATCC 9027)培養液0.1mlにSCD寒天培
地10mlを混釈法でシャーレに塗布し、固化させて試
験用培地とする。この試験用培地に各濃度のトロポノイ
ド金属錯塩を添加したフロアワックスを含浸させたペー
パーディスク(直径8mm)を置き、37℃で15時間
培養し、ディスクの周囲の発育阻止帯を観察し、明瞭に
阻止帯が確認されたものを−で表示し、確認されないも
のを+で表示する。
【0021】実施例4 表3記載のヒノキチオール・金属錯塩およびヒノキチオ
ールを添加したフロアワックスと、青森県産ヒバより得
たヒバ油(ヒノキチオール1%、β−ドラブリン1%を
含有として、添加濃度を算出)を同様に添加したフロア
ワックスを試料〔添加濃度はフロアワックスの固形分
(20重量%)に対して5000ppm〕とし、試料中に
新しい鉄くぎおよびステンレス片を浸漬し、15〜20
℃に放置して、錆の発生状況を観察した。結果は表3に
示すように、ヒノキチオール・金属錯体はいずれも錆の
発生は認められなかった。
ールを添加したフロアワックスと、青森県産ヒバより得
たヒバ油(ヒノキチオール1%、β−ドラブリン1%を
含有として、添加濃度を算出)を同様に添加したフロア
ワックスを試料〔添加濃度はフロアワックスの固形分
(20重量%)に対して5000ppm〕とし、試料中に
新しい鉄くぎおよびステンレス片を浸漬し、15〜20
℃に放置して、錆の発生状況を観察した。結果は表3に
示すように、ヒノキチオール・金属錯体はいずれも錆の
発生は認められなかった。
【0022】
【表3】
【0023】実施例5 Na+−[ヒノキチオール]の1,000ppm水溶液
を用いて、病院内の病室の床を水拭きして、薬液の処理
前と薬液処理20分後における緑膿菌の菌数を測定し
た。採取場所は、病室入口に置かれたスリッパの底面か
らの1箇所とベッドまわりの床面からの6箇所の計7箇
所とした。アガースタンプ(バイオテスト社製、一般細
菌用25cm2)を用いて採取場所から採菌した後に、
37℃、24時間培養して検出された緑膿菌の菌数を測
定した。なお、緑膿菌の検出は、グラム染色陰性、NA
C(ナリジクス酸セトリマイド)寒天培地及びTSI
(Triple-Sugar-Iron)寒天培地で分離同定を行って確
認した。その結果を表4に示す。スリッパの底には薬液
処理前には緑膿菌が19個と最も多く検出されたが、薬
液処理後には全く検出されなかった。ベッドまわりの6
箇所の床からも1箇所を除いて処理後に緑膿菌は検出さ
れなかった。
を用いて、病院内の病室の床を水拭きして、薬液の処理
前と薬液処理20分後における緑膿菌の菌数を測定し
た。採取場所は、病室入口に置かれたスリッパの底面か
らの1箇所とベッドまわりの床面からの6箇所の計7箇
所とした。アガースタンプ(バイオテスト社製、一般細
菌用25cm2)を用いて採取場所から採菌した後に、
37℃、24時間培養して検出された緑膿菌の菌数を測
定した。なお、緑膿菌の検出は、グラム染色陰性、NA
C(ナリジクス酸セトリマイド)寒天培地及びTSI
(Triple-Sugar-Iron)寒天培地で分離同定を行って確
認した。その結果を表4に示す。スリッパの底には薬液
処理前には緑膿菌が19個と最も多く検出されたが、薬
液処理後には全く検出されなかった。ベッドまわりの6
箇所の床からも1箇所を除いて処理後に緑膿菌は検出さ
れなかった。
【0024】
【表4】
【0025】
【効果】本発明で用いるトロポノイド金属錯塩は、緑膿
菌に対して優れた殺菌・消毒作用を有するもので、トロ
ポノイド金属錯塩を有効成分として含有する殺菌・消毒
剤を用いて病院等の医療施設の清掃を行うことで、清掃
時の緑膿菌殺菌・消毒と共に、長期間にわたって殺菌・
消毒作用を持続して、緑膿菌の院内感染を防止するとい
う効果がある。また、トロポノイド化合物は比較的融点
が低く、かつ昇華性であり(例えば、ヒノキチオールは
52〜52.5℃で昇華)、またほとんどの金属と反応
して腐食や錆の原因となるのに対して、トロポノイド金
属錯塩とすることで、分解点が300℃以上となり熱的
性質が安定するので、殺菌・消毒剤として使用するさい
の特続性が向上すると共に、腐食や錆も防止できるの
で、施設内の金属部分の殺菌・消毒にも問題なく使用で
きる。
菌に対して優れた殺菌・消毒作用を有するもので、トロ
ポノイド金属錯塩を有効成分として含有する殺菌・消毒
剤を用いて病院等の医療施設の清掃を行うことで、清掃
時の緑膿菌殺菌・消毒と共に、長期間にわたって殺菌・
消毒作用を持続して、緑膿菌の院内感染を防止するとい
う効果がある。また、トロポノイド化合物は比較的融点
が低く、かつ昇華性であり(例えば、ヒノキチオールは
52〜52.5℃で昇華)、またほとんどの金属と反応
して腐食や錆の原因となるのに対して、トロポノイド金
属錯塩とすることで、分解点が300℃以上となり熱的
性質が安定するので、殺菌・消毒剤として使用するさい
の特続性が向上すると共に、腐食や錆も防止できるの
で、施設内の金属部分の殺菌・消毒にも問題なく使用で
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/315 9454−4C C07C 49/717 9049−4H 57/26 9356−4H C09G 1/00 (72)発明者 松本 清一郎 東京都板橋区坂下3−37−1 有機合成薬 品工業株式会社東京研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、R1は水素原子、低級アルキル基、低級アルケ
ニル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ヒド
ロキシル基またはヒドロキシアルキル基を、R2は水素
原子またはヒドロキシル基を表わし、Mは金属であり、
nはその金属の価数を、mは配位数であり、nとmは1
〜4の同じ整数である)で示されるトロポノイド金属錯
塩の1種または2種以上を有効成分として含有すること
を特徴とする緑膿菌用殺菌・消毒剤。 - 【請求項2】 トロポノイド化合物がヒノキチオール、
トロポロンまたはβ−ドラブリンである請求項1記載の
緑膿菌用殺菌・消毒剤。 - 【請求項3】 金属がナトリウム、カルシウム、銅、マ
グネシウム、バリウム、亜鉛、スズ、コバルトまたはチ
タンである請求項1記載の緑膿菌用殺菌・消毒剤。 - 【請求項4】 請求項1、2または3記載の緑膿菌用殺
菌・消毒剤を含有するフロアワックス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24072193A JPH0769873A (ja) | 1993-09-01 | 1993-09-01 | 緑膿菌用殺菌・消毒剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24072193A JPH0769873A (ja) | 1993-09-01 | 1993-09-01 | 緑膿菌用殺菌・消毒剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0769873A true JPH0769873A (ja) | 1995-03-14 |
Family
ID=17063719
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24072193A Pending JPH0769873A (ja) | 1993-09-01 | 1993-09-01 | 緑膿菌用殺菌・消毒剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0769873A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1997002025A1 (fr) * | 1995-06-30 | 1997-01-23 | P And Pf Co., Ltd. | Agent antibacterien, bactericide, antiseptique, preparation dermatologique et composition pour detergent |
WO1998017625A1 (fr) * | 1996-10-22 | 1998-04-30 | Daiichi Pharmaceutical Co., Ltd. | Nouveaux remedes pour des maladies infectieuses |
FR2821746A1 (fr) * | 2001-03-12 | 2002-09-13 | Oreal | Utilisation de complexes formes par l'association d'un derive de la tropolone et d'un sel metallique divalent comme agents de lutte contre les etats desquamatifs du cuir chevelu |
JP2006036733A (ja) * | 2004-07-30 | 2006-02-09 | Asahi Kagaku Kogyo Kk | ヒノキチオールの気化方法 |
CN110256504A (zh) * | 2019-07-26 | 2019-09-20 | 广西师范大学 | 环庚三烯酚酮与8-羟基喹啉混配铂配合物及其制备方法和应用 |
CN110330533A (zh) * | 2019-07-26 | 2019-10-15 | 广西师范大学 | 2-甲基-8-羟基喹啉与托酚酮混配铂配合物及其制备方法和应用 |
-
1993
- 1993-09-01 JP JP24072193A patent/JPH0769873A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1997002025A1 (fr) * | 1995-06-30 | 1997-01-23 | P And Pf Co., Ltd. | Agent antibacterien, bactericide, antiseptique, preparation dermatologique et composition pour detergent |
US6025312A (en) * | 1995-06-30 | 2000-02-15 | P & Pf Co., Ltd. | Antibacterial, bactericidal and antiseptic agent, dermatologic preparation and detergent composition |
CN1124132C (zh) * | 1995-06-30 | 2003-10-15 | 株式会社皮爱肤 | 抗菌、杀菌及防腐剂,皮肤科用制剂和洗涤剂组合物 |
WO1998017625A1 (fr) * | 1996-10-22 | 1998-04-30 | Daiichi Pharmaceutical Co., Ltd. | Nouveaux remedes pour des maladies infectieuses |
FR2821746A1 (fr) * | 2001-03-12 | 2002-09-13 | Oreal | Utilisation de complexes formes par l'association d'un derive de la tropolone et d'un sel metallique divalent comme agents de lutte contre les etats desquamatifs du cuir chevelu |
WO2002072048A3 (fr) * | 2001-03-12 | 2004-01-22 | Oreal | Utilisation de sels divalents de tropolone pour le traitement des cheveux |
JP2006036733A (ja) * | 2004-07-30 | 2006-02-09 | Asahi Kagaku Kogyo Kk | ヒノキチオールの気化方法 |
CN110256504A (zh) * | 2019-07-26 | 2019-09-20 | 广西师范大学 | 环庚三烯酚酮与8-羟基喹啉混配铂配合物及其制备方法和应用 |
CN110330533A (zh) * | 2019-07-26 | 2019-10-15 | 广西师范大学 | 2-甲基-8-羟基喹啉与托酚酮混配铂配合物及其制备方法和应用 |
CN110256504B (zh) * | 2019-07-26 | 2021-05-18 | 广西师范大学 | 环庚三烯酚酮与8-羟基喹啉混配铂配合物及其制备方法和应用 |
CN110330533B (zh) * | 2019-07-26 | 2021-05-28 | 广西师范大学 | 2-甲基-8-羟基喹啉与托酚酮混配铂配合物及其制备方法和应用 |
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