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JPH0767545A - 反芻動物用飼料添加剤と製造方法 - Google Patents

反芻動物用飼料添加剤と製造方法

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Publication number
JPH0767545A
JPH0767545A JP5213615A JP21361593A JPH0767545A JP H0767545 A JPH0767545 A JP H0767545A JP 5213615 A JP5213615 A JP 5213615A JP 21361593 A JP21361593 A JP 21361593A JP H0767545 A JPH0767545 A JP H0767545A
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JP
Japan
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coating
film
feed additive
calcium
nucleus
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JP5213615A
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English (en)
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Kazuyoshi Sato
一義 佐藤
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SHIRAISHI CALCIUM KAISHA
SHIRAISHI CALCIUM KK
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SHIRAISHI CALCIUM KAISHA
SHIRAISHI CALCIUM KK
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Publication date
Application filed by SHIRAISHI CALCIUM KAISHA, SHIRAISHI CALCIUM KK filed Critical SHIRAISHI CALCIUM KAISHA
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有効物質の含有率が高く、かつ反芻胃内にて
安定性に富み、第4胃以降の消化器官にて速かに崩壊
し、消化吸収性に優れた反芻動物用飼料添加剤とその製
造方法を提供する。 【構成】 本発明は少なくとも1種以上の有効物質55
〜65%と、弱酸性〜弱アルカリ性の水溶液に難溶性、
もしくは不溶性塩、あるいはこれらの水溶液に安定な賦
形材20〜25%と、さらに2〜3%アルギン酸ナトリ
ウム水溶液10〜20%のバインダーとからなる混合物
によって核を成形し、該核に反芻胃内溶液に安定な物質
で第1〜第3の三重の被膜構造を形成することを特徴と
する反芻動物用飼料添加剤の製造方法であり、また本発
明は有効物質55〜65%からなる核と、該核の表層に
形成したアルギン酸カルシウムからなる第1被膜と、こ
の第1被膜上に形成した平均粒径1μm 以下の微細な炭
酸カルシウムからなる第2被膜と、この第2被膜上に形
成したアルギン酸カルシウムからなる第3被膜とからな
ることを特徴とする反芻動物用飼料添加剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有効物質を反芻動物の
反芻胃内で保護し、第4胃以降の消化器官にて消化・吸
収させるべく処理した反芻動物用飼料添加剤とその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】反芻動物ではその反芻胃に数種の微生物
を生存させ、本来は高等動物では利用できないセルロー
スなどの繊維質をはじめ、飼料中の各種栄養分がこれら
微生物の働きにより醗酵分解されて生成された数種の揮
発性低級脂肪酸を吸収利用し生体のエネルギー源として
いる。また、これらの反芻胃胃液の性状、特にpHにつ
いては摂取飼料の差異による醗酵状態や年齢・体調など
によりpH5〜8の範囲で変化している。しかしなが
ら、生体にとってそのままのかたちで吸収利用したい生
体内生理活性物質(以下有効物質とする)までもが、こ
れらの微生物により分解されたり、反芻胃液のpHの変
化により変性したりするために、その物質の利用効率の
点で制限を受けている。これに対処するため、現在、反
芻胃内保護製剤として、その有効物質を反芻胃内不活性
物質(以下、保護物質)のマトリックス中に分散させ、
粒状、もしくは球状に成形したものや、あるいは有効物
質を核とし、これを保護物質でコーティング処理した製
剤などが使用されている。例えば、炭素数が少なくとも
14以上の飽和の直鎖、または分岐状の脂肪族モノカル
ボン酸、あるいはその塩との混合物からなるマトリック
ス中に有効物質を分散被覆させたものや、有効物質に炭
素数14〜22の脂肪族モノカルボン酸、または前記の
脂肪酸の混合物の塩や硬化した植物、及び動物性脂肪な
どとキトサンを含有する疏水性物質で被覆処理を施した
ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の製剤においては被覆物質が十二指腸以降で崩壊される
ため、その消化・吸収に要する時間に制約があり、吸収
利用が十分に行われない欠点がある。また、第4胃以降
で崩壊されるべき被覆物質に関してもその崩壊性が十分
ではなく、吸収利用効果はかならずしも安定していると
は限らない。更に、これらの製剤において有効物質の反
芻胃内での安定性を重視した場合には、被覆物質をより
強固にするために必然的にこれらの占める割合が多くな
り、有効物質の含有率は40%程度に制限され、結果的
に製剤としての原価コストが高価なものとなっている。
すなわち、有効物質を保護物質のマトリックス中に分散
させ、粒状もしくは球状化した製剤や、あるいは有効物
質の顆粒もしくは球粒に保護物質を被覆させた製剤で
は、反芻胃胃液のpHの変化(pH5〜8)により被覆
物質の一部に崩壊が生じ、その保護性が低下する。ま
た、反芻胃内で安定性を重視した場合には、被覆物質の
占める割合が高くなり一般的に有効物質の含有率は40
%程度に制限されている。また、被覆物質として使用さ
れる炭素数14〜22の脂肪族モノカルボン酸の大部分
は硬化された植物性、あるいは動物性脂肪である為、そ
の脂肪酸組成はステアリン酸中心となる。したがって、
これらの脂肪酸は高融点(68℃)となるため、胆液に
よる乳化作用が抑えられ、結果的に吸収利用性が低下す
る。本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、可能
な限り有効物質の含有率を高め、前記問題点を解決すべ
く、反芻胃内で変動するpHに対しても有効物質が安定
的に保護され、かつ、第4胃以降の消化器官にて速やか
に崩壊し、消化吸収性に優れた反芻動物用飼料添加剤
と、その製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿い、本発明
は少なくとも1種以上の有効物質55〜65%と、弱酸
性〜弱アルカリ性の水溶液に難溶性、もしくは不溶性
塩、あるいはこれらの水溶液に安定な賦形材20〜25
%と、さらに2〜3%アルギン酸ナトリウム水溶液10
〜20%のバインダーとからなる混合物によって核を成
形し、該核に反芻胃内溶液に安定な物質で第1〜第3の
三重の被膜構造を形成する反芻動物用飼料添加剤の製造
方法とすることによって前記課題を解消した。また本発
明は有効物質55〜65%からなる核と、該核の表層に
形成したアルギン酸カルシウムからなる第1被膜と、こ
の第1被膜上に形成した平均粒径1μm 以下の微細な炭
酸カルシウムからなる第2被膜と、この第2被膜上に形
成したアルギン酸カルシウムからなる第3被膜とからな
る反芻動物用飼料添加剤とすることによって前記課題を
解消した。
【0005】本発明者らは、種々検討した結果、弱酸〜
弱アルカリ性の水溶液に対して安定な物質を賦形材とし
て球状成形した有効物質からなる核をつくり、この核
に、アルギン酸カルシウムを第1被膜とし、粒径1μm
以下の微細な炭酸カルシウムか、あるいはこれにモノ脂
肪酸グリセリンエステルをコーティングした微細な炭酸
カルシウムを第2被膜とし、さらにその表面をアルギン
酸カルシウムにより被覆処理して第3被膜とした製剤が
反芻胃内での安定性に優れ、なおかつ、第4胃以降の消
化器官において速やかに崩壊することを見いだし、本発
明を完成するに至った。本発明の飼料添加剤が投与の対
象となる動物は肉牛,乳牛,綿羊,山羊などのように反
芻胃をもち、この反芻胃内に微生物を生存せしめ、これ
らと共存関係にある動物を言う。また、有効物質とは生
体にとっての栄養源,疾病に対する治療、もしくは予防
のための有用な物質、即ち、具体的にはメチオニン,リ
ジン,トリプトファンなどのアミノ酸,及びこの誘導
体,脂溶性,並びに水溶性ビタミンとその誘導体,及び
蛋白質,炭水化物などの栄養源があげられる。また、本
発明に示される有効物質を主成分とする核の成形に必要
な賦形材は弱酸〜弱アルカリ性水溶液に対して難溶性,
もしくは不溶性塩,あるいは安定な物質で、その例とし
ては第3リン酸カルシウム,炭酸カルシウムなどのカル
シウム塩やゼオライト,及びベントナイトなどのケイ酸
化合物を言う。また、被膜処理に用いる保護物質は賦形
材と同様に弱酸〜弱アルカリ性水溶液に安定であると同
時に強酸の水溶液中において速やかに分解されるべき物
質であって、その例としてはアルギン酸カルシウムのよ
うな増粘性多糖類とカルシウムが結合した不溶性のゲル
物質や炭酸カルシウムの様な弱酸基と結合したカルシウ
ム化合物を言う。
【0006】次に本発明に係る飼料添加剤の製造方法に
ついて述べる。まず、有効物質を主成分とする球状核の
成形は、前記の有効物質の1種、もしくは2種以上の混
合物55〜65%、賦形材としてカルシウム塩18〜2
0%、ゼオライト4〜6%、及びベントナイト1〜2%
と、2〜3%アルギン酸ナトリウム溶液10〜20%で
残量調整した混合物を、粒径1mmφ程度の粒状に押し出
し造粒し、これをプレート転動式球状成形機により球径
1〜2mmに球状化したものを核とする。ここで有効物質
を55%としたのは、それ未満では従来の含有率とあま
り変らず、また65%を越えた含有率は賦形材の量が少
なくなり、強度上問題がある。また賦形材として弱酸〜
弱アルカリ性の水溶液にて難溶性、もしくは不溶性の安
定物質を用いる。特にゼオライト、及びベントナイトを
選んだ理由は、前者の造粒物が液体に対する崩壊性に優
れていること、更に後者は少量の添加にて他の造粒物の
硬度を高める点と膨潤性が強く、後述する核の被膜を核
の内部から崩壊させ、第4胃以降における分解の促進効
果に寄与する点である。また、それぞれの賦形剤の添加
材については、核中の有効物質の含有量を可能な限り高
め、かつ製剤としての硬度、並びに反芻胃内での安定性
を維持し、さらに第4胃以降での崩壊性を考慮した場合
に最適なものとしてあり、総量として20〜25%が好
ましい。バインダーとしては、核のみを成形するために
は、飼料の造粒化に一般に使用されるものであれば特に
制限はないが、本発明の特徴であるアルギン酸カルシウ
ムの第1被膜の形成にあたり、核の転動球状化の際に発
現するチクソトロピー現象(核中の粉体間に遊離してい
る水溶性が転動により流れやすくなる現象をいう。この
場合では核表面へバインダー水溶液が漏出する。)を利
用するため、特に、アルギン酸ナトリウムの水溶液を使
用する。バインダーとして用いたアルギン酸ナトリウム
の水溶液の濃度、及び添加率は核の硬度、並びに後述の
被膜成形性、更に乾燥効率を考慮すると、濃度2〜3
%、添加率は10〜20%で、10〜15%が最適であ
る。
【0007】本発明におけるアルギン酸カルシウムの第
1被膜形成は、前記内容によって得られた核に転動を継
続させながら塩化カルシウムの水溶液を均一にスプレー
噴霧するか、あるいは又チクソトロピー現象にて核の表
面にアルギン酸ナトリウム水溶液が十分に漏出した状態
で、塩化カルシウムの水溶液に短時間浸漬させることに
より漏出したアルギン酸カルシウム水溶液にカルシウム
イオンが介在し、ナトリウムがカルシウムイオンに置換
され不溶性のアルギン酸カルシウムのゲル被膜が均一に
形成される。一般に水溶液中においてアルギン酸、ある
いはアルギン酸ナトリウムとカルシウムイオンが結合、
もしくは置換反応により不溶性のアルギン酸カルシウム
のゲルが生成されることは周知であるが、本発明中にあ
る有効物質を主成分とする核のごとく固形物の表面に均
一にアルギン酸カルシウムのゲル被膜を形成させること
は、一方の水溶液を噴霧、もしくは浸漬などの方法を用
いても固形物表面に均一に分散させる点で甚だ困難であ
り、この為かかる反応によって生成されるべきアルギン
酸カルシウムのゲル被膜の形成状態も一定とは言い難
い。しかしながら、本発明では核の球状成形加工時の転
動処理により発現するチクソトロピー現象で核の造粒バ
インダーとして用いているアルギン酸ナトリウム水溶液
が均一に核の表面に漏出することを利用し、これに噴
霧、もしくは浸漬などの方法によりカルシウムイオンの
存在する水溶液との接触による反応だけで、核の表面に
均一な不溶性のアルギン酸カルシウムのゲル被膜を形成
することが可能となる。なお、この処理に際し用いられ
た塩化カルシウム水溶液の濃度、及び添加率は被膜強
度,乾燥効率,並びに第3被膜(アルギン酸カルシウ
ム)の形成を考慮すると、濃度が20%,添加率3〜5
%が最適である。
【0008】次に微細な炭酸カルシウムによる第2被膜
の形成であるが、前記の方法によりアルギン酸カルシウ
ムによって被膜された核に、更に転動処理を施しながら
微細な炭酸カルシウムを添加し、これと同時にバインダ
ーとしてアルギン酸ナトリウムの水溶液を噴霧する。こ
の処理によって炭酸カルシウムが粘張性の高いアルギン
酸カルシウムのゲル被膜上に点着していくが、一般に1
μm 以下の微細な炭酸カルシウム、例えば、物理的粉砕
処理によってできる微細な重質炭酸カルシウムや、ある
いは化学反応によって生成したコロイド性炭酸カルシウ
ムなどは粒子同志が凝集しやすく分散性が悪くなるた
め、アルギン酸カルシウムのゲル被膜上に均一に点着し
ない欠点が生じる。この点に関して発明者らは脂肪酸,
グリセリン脂肪酸エステルなど油脂類で表面処理された
微細な炭酸カルシウムが粉体としては極めて流動性,並
びに分散性に優れており、アルギン酸カルシウムのゲル
被膜上に均一に点着させるために適していることを知
り、これを適用した。なお、表面処理に使用される油脂
類についてはいずれのものであっても制限はないが、特
に反芻胃内での安定性,及び安価で市販されている点を
考慮すればモノステアリン酸グリセリンエステル(ステ
アリン酸モノグリセライド)が好ましい。また、表面処
理に使用する油脂類の添加割合については0.5〜2.
0%で十分に先の目的が達成される。即ち、0.5%以
下では流動性、並びに分散性の点で、また2.0%以上
では油脂類特有の疏水性による炭酸カルシウム自体の点
着の点で良好な結果が得られない。この点着させた微細
炭酸カルシウムは前記の一次処理により形成されたアル
ギン酸カルシウムのゲル被膜上に点在するピンホールを
埋めるのに役立ち、反芻胃内において第1被膜としての
作用を高める。なお、この微細な炭酸カルシウム粒子に
よる第2被膜形成に必要な添加量については、当該する
核重量に対し、10〜15%が最も好ましい。
【0009】また、この際に使用するバインダーについ
ては第1被膜形成処理時に噴霧した塩化カルシウム水溶
液の未反応のカルシウムイオンを再度利用し、核の最表
層に第3被膜としてアルギン酸カルシウムを生成させ、
弱酸〜弱アルカリ性の溶液に対してより安定性の高い第
2被膜とするために、再度1%アルギン酸ナトリウム水
溶液を、当該する核重量に対し最適な3〜5%の割合で
核表面に噴霧処理する。以上の処理によって第1,2,
及び第3被膜の形成された球状製剤が得られ、これを乾
燥することにより、本発明の目的である有効物質の含有
率が高く、かつ反芻胃内にて安定性に富み、第4胃以降
の消化管にて速やかに分解・吸収性に優れた反芻動物用
の飼料添加剤を得ることができる。なお、図1に本発明
に係る飼料添加剤の構成を示す。即ち4は有効物質等か
らなる核、1は核4の表面を被覆する第1被膜、2は第
2被膜、3は第3被膜である。
【0010】本発明における有効物質からなる核は、反
芻胃内溶液の中にて安定な不溶塩、もしくは難溶塩を賦
形材として球状固形化したものであるが、この際に利用
されるゼオライトは液体に対する吸着性に優れ、その造
粒物の液体中での崩壊を促し、第4胃以降の消化管にて
有効物質の放出を容易にさせ消化吸収に寄与する。ま
た、ベントナイトの添加は核の強度を高らしめ、その後
の核への被膜形成に好影響を与えると供にベントナイト
自身の液体に対する高い膨潤性により被膜を核内部から
崩壊させ、第4胃以降の消化管での製剤の分解促進作用
をもつ。アルギン酸カルシウムの第1被膜層は、核成形
にバインダーとして添加したアルギン酸ナトリウム溶液
が転動処理により発現するチクソトロピー現象にて表層
に均一に漏出し、これと塩化カルシウム溶液中のカルシ
ウムイオンと反応して生成された水に不溶性のゲル状被
膜である。この第1被膜が反芻胃内溶液中にて安定性を
維持するには、アルギン酸カルシウムのゲル被膜上に点
在するピンホールを平均粒径1μm 以下の微細な炭酸カ
ルシウムで埋めるとともに炭酸カルシウム自身で第2被
膜を形成させ、反芻胃内溶液中でより安定性を高める。
また、第2被膜を形成後に使用するアルギン酸ナトリウ
ム溶液は先と同様にチクソトロピー現象により漏出した
塩化カルシウム溶液中の未反応のカルシウムイオンと反
応し、再度アルギン酸カルシウムのゲル状被膜を第3被
膜として核の表層に形成し、三重被膜構造を有する反芻
動物用飼料添加剤となる。この製剤は反芻胃液に対して
は第1〜3被膜の全てで核を保護し、反芻胃内で安定性
を維持し、第4胃以降で容易に分解される。即ち、第4
胃以降においては、第3被膜の微細な気孔から第4胃液
が浸透する。次いで胃液の強酸により炭酸カルシウムの
被膜、及び第1被膜のピンホールを埋めている炭酸カル
シウムが溶解する。そして核内部への胃液の浸透により
ベントナイトが膨潤し、製剤の崩壊を促進することにな
る。
【0011】
【実施例】DL−メチオニンを有効物質として表1に示
すA〜M区の13種の組成で核を成形し、これらの核に
表中の添加率にて第1〜3被膜処理、及び乾燥処理後
(水分3%以下)の製剤においての製剤回収率,強度,
メチオニン含有率,及び人工反芻胃液並びに第4胃液に
対するメチオニンの溶出率について表1に示すような結
果を得た。なお、人工反芻胃液はCaCl2 ・2H
2 O:0.01g、KCl:0.2g、NaCl:2.
6g、MgSO4 ・2H2 O:0.1g、Na2 HPO
4 ・12H2 O:15.0g、K2 HPO4 :2.0g
を純水1リットルに溶解させ、pHを7.2〜7.4に
調整した水溶液であり、また、人工第4胃液はマクロバ
イン緩衝液(A液として0.2M NaH2 PO4 、B
液として0.1M C68 7 を用いて適量混合)を
pHを2.0〜2.2に調整した溶液である。溶出試験
では人工反芻胃液、及び人工第4胃液を各々500mlを
入れた三角フラスコに、前記A〜M区の製剤各10gを
ナイロンネット袋に入れて浸漬させ、恒温振とう装置を
用いて38〜40℃の恒温下で前者を18時間、後者を
5時間処理した後、製剤から液中へ溶出したメチオニン
の重量を測定し、溶出率を算出した。
【0012】
【表1】
【0013】なお、表1の左端に示す各項目(便宜的に
No. 1〜9を付す)は、下記による。 No. 1 : 有効物質を形成する核成分内容の
割合を各区(A〜M)毎に示す。 No. 2,3,4 : 第1〜第3の被膜を形成する場合
に用いる各成分の核の重量に対する割合を示す。 No. 5 : 製剤回収率=製剤重量÷(核重量
+炭酸カルシウム重量)×100 No. 6 : フドー式レオメータにより測定し
たもの。 No. 8,9 : 溶出率(%)=各人工胃液中に溶
出したメチオニン重量÷製剤中のメチオニン含有量×1
00
【0014】表1に示す結果によれば、核の構成成分が
本発明の請求項1の範囲数値内にあり、かつその後の第
1〜3次被膜処理において請求項3〜5の記載範囲にあ
る製造条件時、即ち、B,C,E,F,G,K,Lの7
区において、本発明の目的に適合した製剤を得る事が確
認できた。即ち、A〜C区の比較により核のバインダー
に使用するアルギン酸ナトリウム溶液濃度が1%では製
剤強度、及び有効物質の人工反芻胃液中での溶出率の点
で不適である。また、D〜I区の比較により有効物質と
バインダーの構成比率を変えた場合においては、バイン
ダーのアルギン酸ナトリウム溶液濃度が適正数値であっ
ても構成比率が10%以下の場合(D区)は回収率,強
度,人工反芻胃液での溶出率の点で不適当であり、さら
に、核中の賦形物質が欠損した場合(H区)、或いは請
求範囲数値を外れた場合(I区)も同様な結果になる事
が見いだされた。また、J〜M区においては、請求範囲
数値内で構成される核に対して、1〜3次被膜形成処理
に用いる各物質の添加量が範囲以下の場合(J区)に人
工反芻胃液での溶出率の低下が認められ、また、本発明
の範囲以上に添加量を上げた場合(M区)でも強度,溶
出率に改善結果を確認できなかった。以上の結果に基づ
いて本発明の目的にあった製剤を製造するに最も適した
製造条件が各請求項に限定した数値の範囲内である事が
確認できた。
【0015】次に、以下の確認試験I及びIIをおこなっ
た。 〔試験I〕本発明の製造方法により得られた製剤につい
て、反芻胃液のpH変動に対する安定性を確認するため
に、前記実施例で用いた人工反芻胃液を、クエン酸及び
酸化カリウム水溶液でpHをそれぞれpH5.0とpH
8.0に調整した溶液を作り、これらの溶液下において
実施例と同様に有効物質メチオニンの溶出試験を行い、
表2の結果を得た。なお、本試験には実施例で得られた
E区、及びL区の2種類の製剤を用い、またその試験結
果を引用した。
【0016】
【表2】
【0017】表2によれば、pH5.0〜8.0の範囲
で、メチオニン溶出率が安定していることが判る。
【0018】〔試験II〕本発明における製造法によって
得られた製剤E区,L区と、従来の製造技術によって得
られた製剤(a区,b区)とを比較するため、表3に示
される内容で構成される反芻胃内保護製剤について前記
実施例と同様に人工反芻胃液、並びに第4胃液に対する
溶出試験を行い以下の結果を得た。
【0019】
【表3】
【0020】なお表3において、a区は反芻胃内不活性
物質(硬化油脂)マトリックス分散タイプ、b区は反芻
胃内不活性物質(硬化油脂)被膜処理タイプの製剤であ
る。以上の結果によれば本発明による製剤(E区,L
区)は、従来の製剤(a区,b区)に比較し、人工反芻
胃液におけるメチオニン溶出率は少なく、また人工第4
胃液におけるメチオニン溶出率は格段に大きいことが判
る。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、有効物質の含有率が高
く、かつ反芻胃内にて安定性に富み、第4胃以降の消化
器官にて速かに崩壊し、消化吸収性に優れた反芻動物用
飼料添加剤とその製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る飼料添加剤の右半分を断面にして
示す拡大説明図である。
【符号の説明】
1 第1被膜 2 第2被膜 3 第3被膜 4 核

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種以上の有効物質55〜6
    5%と、弱酸性〜弱アルカリ性の水溶液に難溶性、もし
    くは不溶性塩、あるいはこれらの水溶液に安定な賦形材
    20〜25%と、さらに2〜3%アルギン酸ナトリウム
    水溶液10〜20%のバインダーとからなる混合物によ
    って核を成形し、該核に反芻胃内溶液に安定な物質で第
    1〜第3の三重の被膜構造を形成することを特徴とする
    反芻動物用飼料添加剤の製造方法。
  2. 【請求項2】前記核の表層にアルギン酸カルシウムの被
    膜を形成して第1被膜とし、この被膜上に平均粒径1μ
    m 以下の微細な炭酸カルシウムで被膜を形成して第2被
    膜とし、更にこの被膜上に再度アルギン酸カルシウムの
    被膜を形成して第3被膜として、前記三重の被膜構造を
    形成することを特徴とする請求項1記載の反芻動物用飼
    料添加剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 第1被膜の形成にあたっては、前記核に
    転動処理を施すことにより行い、その核の表層に存在す
    るアルギン酸ナトリウム水溶液に3,000〜3,50
    0mgeq/lのカルシウム塩水溶液を核重量に対して3〜
    5%を接触させることによりアルギン酸カルシウムの被
    膜を反応生成することを特徴とする請求項1に記載の反
    芻動物用飼料添加剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 第2被膜の形成にあたっては、同様に転
    動処理を行い、0.5〜2.0%のモノ脂肪酸グリセリ
    ンエステルでコーティングした平均粒径1μm 以下の微
    細な炭酸カルシウムを核重量に対して10〜15%添加
    することによりアルギン酸カルシウムの被膜表面上に炭
    酸カルシウムを均一に点着させて被膜を形成することを
    特徴とする請求項1に記載の反芻動物用飼料添加剤の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 第3被膜の形成にあたっては、同様に転
    動処理を行い、1%のアルギン酸ナトリウム水溶液を核
    重量に対して3〜5%を噴霧し、第1の被膜におけるカ
    ルシウム塩水溶液と反応させてアルギン酸カルシウムの
    被膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の反芻
    動物用飼料添加剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 核の前記賦形材にカルシウム塩18〜2
    0%、ゼオライト4〜6%及びベントナイト1〜2%を
    用いることを特徴とする請求項1に記載の反芻動物用飼
    料添加剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 有効物質55〜65%からなる核と、該
    核の表層に形成したアルギン酸カルシウムからなる第1
    被膜と、この第1被膜上に形成した平均粒径1μm 以下
    の微細な炭酸カルシウムからなる第2被膜と、この第2
    被膜上に形成したアルギン酸カルシウムからなる第3被
    膜とからなることを特徴とする反芻動物用飼料添加剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013018844A (ja) * 2011-07-08 2013-01-31 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology アルギン酸塩と無機塩からなる微粒子、生体高分子を内包するアルギン酸塩と無機塩からなる微粒子、およびそれら微粒子の製造方法

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