JPH0741471B2 - 放電加工制御装置 - Google Patents
放電加工制御装置Info
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- JPH0741471B2 JPH0741471B2 JP1206058A JP20605889A JPH0741471B2 JP H0741471 B2 JPH0741471 B2 JP H0741471B2 JP 1206058 A JP1206058 A JP 1206058A JP 20605889 A JP20605889 A JP 20605889A JP H0741471 B2 JPH0741471 B2 JP H0741471B2
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Description
この発明は、放電加工において、常に放電加工状態を最
適に保ち、かつ放電加工能率が最大となるような制御を
実現する放電加工制御装置に関するものである。
適に保ち、かつ放電加工能率が最大となるような制御を
実現する放電加工制御装置に関するものである。
放電加工において、放電加工状態を安定に維持し、かつ
加工能率を向上できる加工条件としては、休止時間,放
電持続時間,サーボ基準電圧及び加工時の軸送り速度
(加工時の軸送り速度のゲインを制御することが上げら
れる。 第17図は、休止時間制御方式による従来の放電加工制御
装置を示すブロック図である。 図において、1は放電現象を含む放電加工プロセス、2
は放電加工プロセスの状況量、3は加工電源、4は状況
量2を検出する状況検出器、5はその検出値、6は休止
時間を設定する休止時間設定器、7はその指令値、8は
休止時間設定器6からの指令値と状況検出器4からの放
電加工プロセスの状況量の検出値5により休止時間を制
御する休止時間制御器、9はその休止時間操作量であ
る。 次に、上記のように構成された従来の放電加工制御装置
の動作について説明する。 作業者は、放電加工の加工条件の一つとして、休止時間
を休止時間設定器6により設定し、加工を行う。放電加
工時の加工電極と、被加工物との間隙は、一般に10μm
〜数10μm程度と狭く、加工が進むにつれて、放電加工
で生成される加工くずが加工電極と被加工物の間に定在
するようになり、放電がその部分に集中し、二次放電,
異常放電が生じ易い。この様な状況は、加工粉の発生量
が排出能力を上まわっているために生じるものであり、
これを防止する方法としては、異常状態を検知し、これ
に応じて休止時間を長くすることにより加工粉の発生を
抑える制御を行っている。 状況検出器4はプロセスの状況量2を検出し、異常放電
が発生したことを休止時間制御器8に検出値5として与
える。休止時間制御器8は、休止時間設定器6からの指
令値と状況検出器4からの放電加工プロセスの状況量の
検出値5により休止時間を制御する。その休止時間操作
量9は加工放電源3に与えられる。 以上の説明から明らかなように、休止時間の制御は常に
安定な放電加工状態を維持するために不何欠であるが、
加工能率の点から考えれば加工に寄与しない時間を浪費
しており、最適な休止時間制御を行うことが加工能率向
上を図る上で重要となる。この最適な休止時間制御を実
現するには、休止時間を大きく、あるいは小さくする条
件を加工電源のパルス条件、加工電源形状,加工電極と
被加工物の材質などの組み合せに対して決定する必要が
あり、一般的には熟練作業者の持つ手法によることが非
常に大きい。特に熟練作業者においては放電加工状態の
不安定度を監視し、これに適応して休止時間を変更して
いる。 第18図は、放電持続時間制御方式による従来の放電加工
制御装置を示すブロック図である。図において、1は放
電現象を含む放電加工プロセス、2は放電加工プロセス
の状況量、3は加工電源、4は状況量2を検出する状況
検出器,10は放電持続時間を設定する放電持続時間設定
器,11はその指令値12は放電持続時間設定器10からの指
令値と状況検出器4からの放電加工プロセスの状況量の
検出値5により放電持続時間を制御する放電持続時間制
御器、13はその放電持続操作量である。 次に、動作について説明する。 特に、グラファイト材料を電極材として用いて加工する
場合、作業者は放電加工の加工条件の一つとして放電持
続時間を、放電持続時間設定器10により設定し、加工を
行う。放電加工の特性上、放電持続時間を長くする程、
電極の消耗量は少なくなり、加工精度も向上するが、反
対に放電持続時間を長く設定しすぎると、電極のコーナ
部に放電が集中し、二次放電や異常放電が生じ易くな
る。さらには、グラファイト電極を使用した場合など第
19図に示すように電極40のコーナ部に突起41ができ、加
工不能にまで至ることがある。これを防止する為に異常
放電を検知して、放電持続時間を短くすることにより、
電極コーナ部に生成した突起を消耗させ、加工が安定に
なるまでそのままの条件で加工を続け、突起がすべて除
去された後、前の条件に戻しまた加工を続行する。この
操作の繰り返し実行することにより、電極消耗を最低に
押え込み、さらに加工時間も最適にできることになる。
上記異常放電を検知する状況検出器4は、例えば、加工
中の電極の動きの振幅や、加工最深値からの上昇量を検
出するものである。 状況検出器4は、プロセスの状況量2を検出し、異常放
電が発生したことを放電持続時間制御器12に検出値5と
して与える。放電持続時間制御器12は、放電持続時間設
定器10からの指令値と、状況検出器4からの放電加工プ
ロセスの状況量の検出値5により、放電持続時間を制御
する。その放電持続時間操作量13は加工電源3に与えら
れる。 以上の説明から明らかなように、放電持続時間の制御は
安定した加工を維持するために不可欠であるが、加工精
度の点から見れば、必ずしもプラスではなく、最適な放
電維持時間制御を行うことが加工能率上を図る上で重要
となる。この最適な放電持続時間制御を実現するには、
放電持続時間を長く、あるいは短くする条件を、加工電
源のパルス条件、加工電極形状、加工電極と工作物の材
質などの組み合せに対して決定する必要があり、一般的
には熟練作業者の持つ手伝に依存するところが非常に大
きい。特に、熟練作業者においては、放電加工状態の不
安定度を監視し、これに適応して放電持続時間を変更し
ている。 第20図は、サーボ基準電圧制御方式による従来の放電加
工制御装置を示すブロック図である。図において、1は
セグメント現象を含む放電加工プロセス、2は放電加工
プロセスの状況量、14は電極制御系、15は電極制御系に
より調節される加工電極と被加工物との加工間隙に相涛
する距離4は状況量2を検出する状況検出器、5はその
検出値、16は放電加工のサーボ基準電圧を設定するため
のサーボ基準電圧設定器、17はその指令値(Vref)、18
は上記の指令値17(Vref)と検出値5との偏差を取り出
す演算部で、その偏差18aは電極制御系14への入力とし
て与え、電極制御系14は偏差18aが零となるように加工
間隙距離信号15を調節する。 第21図と第22図はサーボ基準電圧指令値Vrefと極間電圧
波形との関係を示すものでVMは極間平均電圧、TMは
無負荷時間であり、第21図はサーボ基準電圧指令値Vref
が高い場合、第22図は低い場合をそれぞれ示す。第21図
に示す様にサーボ基準電圧指令値Vrefが高い場合には極
間の平均電圧VMが高く、無負荷時間TMが長く、即ち
極間に電圧印加後の放電待機時間が長くなり、結果的に
加工間隙の距離15は大きくなる。また、第22図に示す様
にサーボ基準電圧指令値Vrefが低い場合には、極間平均
電圧VMが低く、無負荷時間TMが短く、即ち極間に電
圧印加後の放電待機時間が短くなり、結果的に加工間隙
の距離15は小さくなる。その為、サーボ基準電圧指令値
Vrefを高くすれば加工間隙の距離15は大きくなり、加工
くずの排除が容易となって加工が安定になるが、加工速
度は遅くなる。逆にサーボ基準電圧指令値Vrefを低くす
れば、加工間隙の距離15は小さくなり、加工くずの排除
が難しくなって、加工が不安定気味になるが、加工速度
は早くなる。 通常、加工開始時に、作業者が加工深さ,電極形状,加
工液の供給方法,電極及び被加工物の材質等の加工内容
をもとにしてサーボ基準電圧指令値を決定し、これをサ
ーボ基準電圧設定器16に設定する。 以上の説明から明らかなように、サーボ基準電圧指令値
は加工の安定な放電加工状態を維持するため、及び加工
速度を高めるために不可欠であり、最適なサーボ基準電
圧値を設定することが加工能率向上を図る上で重要とな
る。この最適なサーボ基準電圧値を得るためには、刻々
と変化する加工深さ,加工電極パルス条件,加工電極が
被加工物と対向する面積加工液の供給方法、又、加工電
極と被加工物の材質などの組合せに対して決定する必要
があり、一般には熟練作業者の持つ手法に依存するとこ
ろが非常に大きい。特に熟練作業者においては、放電加
工状態の不安定度を監視し、これに適応してサーボ基準
電圧設定値を変更している。 第23図は、加工時の速度ゲイン制御方式による従来の放
電加工制御装置を示すブロック図である。図において、
1は放電現象を含む放電加工プロセス、2は放電加工プ
ロセスの状況量、4はプロセスの状況を検出する状況検
出器、5は状況量の検出値、43は電極制御系、43aは加
工制御系で制御される加工の応答速度、44は加工時の軸
送り速度のゲインを設定する速度ゲイン設定器、44aは
これから出力される設定値、45は軸送り速度指令値に速
度ゲインをかけるための増幅器、45aは速度ゲインで増
幅された増幅出力、46はサーボ電圧指令値に状況量の検
出値5をフィードバックして演算を行う演算部、46aは
その演算出力である。 次に動作について説明する。 放電加工に際しては、まず加工条件の1つである速度ゲ
インを速度ゲイン設定器44により設定する。放電加工時
は、基準のサーボ基準電圧指令値と状況検出器4により
検出した放電加工プロセス1の状況量の検出値とを演算
部46に加えて演算し、その演算出力46aを増幅器45に出
力する。増幅器45では、その入力A(演算出力46a)を
速度ゲイン設定器44で設定されたゲインKに応じて増幅
し、その増幅出力45a(AK=KA)を電極制御系43に与
える。電極制御系43では、与えられた出力45aに応じて
電極の前進/後退の応答速度43aを変更し、これにより
加工プロセス1の電極を制御する。 第24図及び第25図は、極間の電圧波形とゲイン設定値44
aとの関係を示すもので、図中TMは無負荷時間を表し
ている。速度ゲインが低い場合は、第24図に示すように
無負荷時間TMが変動する。これは速度ゲインの値が低
いと電極の応答速度が遅くなるため、前回の放電加工プ
ロセスで生じた極間の変動に追従できなくなり、そして
変動量の補正に時間を要するからである。このため、加
工速度は遅くなる。 また、速度ゲインが高い場合は、第25図に示すように電
極の応答速度が早くなり、極間の変動に対し追従が容易
となるため、前回の放電加工プロセスで生じた電極間の
変動状態の解消に要する時間も短くなる。従って、第25
図に示す如く無負荷時間TM,すなわち放電までの待機
時間が短くなり、加工速度が早くなる。但し、速度ゲイ
ンを高くしすぎると、逆に電極間の変動に過剰に応答し
てしまい、電極がハンチングして加工が不能になる。 なお、速度ゲイン設定器44による速度ゲインの設定値
は、通常加工開始時に作業者が加工深さ、電極の形状、
加工液の供給方法及び電極と被加工物の材質の組合せな
どに応じた加工内容をもとにして設定されるものであ
る。 以上の説明から明らかなように、速度ゲインは安定な放
電加工状態を維持し、加工速度を高めるために不可欠と
なり、そして最適な速度ゲインを設定することは加工効
率を向上させる上で重要となる。 この最適な速度ゲインを得るためには、加工深さの変
化,加工電源のパルス条件,加工電極が被加工物に対向
する面積、加工液の供給方法,加工電極と被加工物の材
質の組合せに対して決定する必要があるが、一段には熟
練作業者の持つ手法に依存するところが大きく、従って
熟練作業者が放電加工状態の不安定度を監視し、これに
適応した速度ゲインを設定し、変更しているのが現状で
ある。
加工能率を向上できる加工条件としては、休止時間,放
電持続時間,サーボ基準電圧及び加工時の軸送り速度
(加工時の軸送り速度のゲインを制御することが上げら
れる。 第17図は、休止時間制御方式による従来の放電加工制御
装置を示すブロック図である。 図において、1は放電現象を含む放電加工プロセス、2
は放電加工プロセスの状況量、3は加工電源、4は状況
量2を検出する状況検出器、5はその検出値、6は休止
時間を設定する休止時間設定器、7はその指令値、8は
休止時間設定器6からの指令値と状況検出器4からの放
電加工プロセスの状況量の検出値5により休止時間を制
御する休止時間制御器、9はその休止時間操作量であ
る。 次に、上記のように構成された従来の放電加工制御装置
の動作について説明する。 作業者は、放電加工の加工条件の一つとして、休止時間
を休止時間設定器6により設定し、加工を行う。放電加
工時の加工電極と、被加工物との間隙は、一般に10μm
〜数10μm程度と狭く、加工が進むにつれて、放電加工
で生成される加工くずが加工電極と被加工物の間に定在
するようになり、放電がその部分に集中し、二次放電,
異常放電が生じ易い。この様な状況は、加工粉の発生量
が排出能力を上まわっているために生じるものであり、
これを防止する方法としては、異常状態を検知し、これ
に応じて休止時間を長くすることにより加工粉の発生を
抑える制御を行っている。 状況検出器4はプロセスの状況量2を検出し、異常放電
が発生したことを休止時間制御器8に検出値5として与
える。休止時間制御器8は、休止時間設定器6からの指
令値と状況検出器4からの放電加工プロセスの状況量の
検出値5により休止時間を制御する。その休止時間操作
量9は加工放電源3に与えられる。 以上の説明から明らかなように、休止時間の制御は常に
安定な放電加工状態を維持するために不何欠であるが、
加工能率の点から考えれば加工に寄与しない時間を浪費
しており、最適な休止時間制御を行うことが加工能率向
上を図る上で重要となる。この最適な休止時間制御を実
現するには、休止時間を大きく、あるいは小さくする条
件を加工電源のパルス条件、加工電源形状,加工電極と
被加工物の材質などの組み合せに対して決定する必要が
あり、一般的には熟練作業者の持つ手法によることが非
常に大きい。特に熟練作業者においては放電加工状態の
不安定度を監視し、これに適応して休止時間を変更して
いる。 第18図は、放電持続時間制御方式による従来の放電加工
制御装置を示すブロック図である。図において、1は放
電現象を含む放電加工プロセス、2は放電加工プロセス
の状況量、3は加工電源、4は状況量2を検出する状況
検出器,10は放電持続時間を設定する放電持続時間設定
器,11はその指令値12は放電持続時間設定器10からの指
令値と状況検出器4からの放電加工プロセスの状況量の
検出値5により放電持続時間を制御する放電持続時間制
御器、13はその放電持続操作量である。 次に、動作について説明する。 特に、グラファイト材料を電極材として用いて加工する
場合、作業者は放電加工の加工条件の一つとして放電持
続時間を、放電持続時間設定器10により設定し、加工を
行う。放電加工の特性上、放電持続時間を長くする程、
電極の消耗量は少なくなり、加工精度も向上するが、反
対に放電持続時間を長く設定しすぎると、電極のコーナ
部に放電が集中し、二次放電や異常放電が生じ易くな
る。さらには、グラファイト電極を使用した場合など第
19図に示すように電極40のコーナ部に突起41ができ、加
工不能にまで至ることがある。これを防止する為に異常
放電を検知して、放電持続時間を短くすることにより、
電極コーナ部に生成した突起を消耗させ、加工が安定に
なるまでそのままの条件で加工を続け、突起がすべて除
去された後、前の条件に戻しまた加工を続行する。この
操作の繰り返し実行することにより、電極消耗を最低に
押え込み、さらに加工時間も最適にできることになる。
上記異常放電を検知する状況検出器4は、例えば、加工
中の電極の動きの振幅や、加工最深値からの上昇量を検
出するものである。 状況検出器4は、プロセスの状況量2を検出し、異常放
電が発生したことを放電持続時間制御器12に検出値5と
して与える。放電持続時間制御器12は、放電持続時間設
定器10からの指令値と、状況検出器4からの放電加工プ
ロセスの状況量の検出値5により、放電持続時間を制御
する。その放電持続時間操作量13は加工電源3に与えら
れる。 以上の説明から明らかなように、放電持続時間の制御は
安定した加工を維持するために不可欠であるが、加工精
度の点から見れば、必ずしもプラスではなく、最適な放
電維持時間制御を行うことが加工能率上を図る上で重要
となる。この最適な放電持続時間制御を実現するには、
放電持続時間を長く、あるいは短くする条件を、加工電
源のパルス条件、加工電極形状、加工電極と工作物の材
質などの組み合せに対して決定する必要があり、一般的
には熟練作業者の持つ手伝に依存するところが非常に大
きい。特に、熟練作業者においては、放電加工状態の不
安定度を監視し、これに適応して放電持続時間を変更し
ている。 第20図は、サーボ基準電圧制御方式による従来の放電加
工制御装置を示すブロック図である。図において、1は
セグメント現象を含む放電加工プロセス、2は放電加工
プロセスの状況量、14は電極制御系、15は電極制御系に
より調節される加工電極と被加工物との加工間隙に相涛
する距離4は状況量2を検出する状況検出器、5はその
検出値、16は放電加工のサーボ基準電圧を設定するため
のサーボ基準電圧設定器、17はその指令値(Vref)、18
は上記の指令値17(Vref)と検出値5との偏差を取り出
す演算部で、その偏差18aは電極制御系14への入力とし
て与え、電極制御系14は偏差18aが零となるように加工
間隙距離信号15を調節する。 第21図と第22図はサーボ基準電圧指令値Vrefと極間電圧
波形との関係を示すものでVMは極間平均電圧、TMは
無負荷時間であり、第21図はサーボ基準電圧指令値Vref
が高い場合、第22図は低い場合をそれぞれ示す。第21図
に示す様にサーボ基準電圧指令値Vrefが高い場合には極
間の平均電圧VMが高く、無負荷時間TMが長く、即ち
極間に電圧印加後の放電待機時間が長くなり、結果的に
加工間隙の距離15は大きくなる。また、第22図に示す様
にサーボ基準電圧指令値Vrefが低い場合には、極間平均
電圧VMが低く、無負荷時間TMが短く、即ち極間に電
圧印加後の放電待機時間が短くなり、結果的に加工間隙
の距離15は小さくなる。その為、サーボ基準電圧指令値
Vrefを高くすれば加工間隙の距離15は大きくなり、加工
くずの排除が容易となって加工が安定になるが、加工速
度は遅くなる。逆にサーボ基準電圧指令値Vrefを低くす
れば、加工間隙の距離15は小さくなり、加工くずの排除
が難しくなって、加工が不安定気味になるが、加工速度
は早くなる。 通常、加工開始時に、作業者が加工深さ,電極形状,加
工液の供給方法,電極及び被加工物の材質等の加工内容
をもとにしてサーボ基準電圧指令値を決定し、これをサ
ーボ基準電圧設定器16に設定する。 以上の説明から明らかなように、サーボ基準電圧指令値
は加工の安定な放電加工状態を維持するため、及び加工
速度を高めるために不可欠であり、最適なサーボ基準電
圧値を設定することが加工能率向上を図る上で重要とな
る。この最適なサーボ基準電圧値を得るためには、刻々
と変化する加工深さ,加工電極パルス条件,加工電極が
被加工物と対向する面積加工液の供給方法、又、加工電
極と被加工物の材質などの組合せに対して決定する必要
があり、一般には熟練作業者の持つ手法に依存するとこ
ろが非常に大きい。特に熟練作業者においては、放電加
工状態の不安定度を監視し、これに適応してサーボ基準
電圧設定値を変更している。 第23図は、加工時の速度ゲイン制御方式による従来の放
電加工制御装置を示すブロック図である。図において、
1は放電現象を含む放電加工プロセス、2は放電加工プ
ロセスの状況量、4はプロセスの状況を検出する状況検
出器、5は状況量の検出値、43は電極制御系、43aは加
工制御系で制御される加工の応答速度、44は加工時の軸
送り速度のゲインを設定する速度ゲイン設定器、44aは
これから出力される設定値、45は軸送り速度指令値に速
度ゲインをかけるための増幅器、45aは速度ゲインで増
幅された増幅出力、46はサーボ電圧指令値に状況量の検
出値5をフィードバックして演算を行う演算部、46aは
その演算出力である。 次に動作について説明する。 放電加工に際しては、まず加工条件の1つである速度ゲ
インを速度ゲイン設定器44により設定する。放電加工時
は、基準のサーボ基準電圧指令値と状況検出器4により
検出した放電加工プロセス1の状況量の検出値とを演算
部46に加えて演算し、その演算出力46aを増幅器45に出
力する。増幅器45では、その入力A(演算出力46a)を
速度ゲイン設定器44で設定されたゲインKに応じて増幅
し、その増幅出力45a(AK=KA)を電極制御系43に与
える。電極制御系43では、与えられた出力45aに応じて
電極の前進/後退の応答速度43aを変更し、これにより
加工プロセス1の電極を制御する。 第24図及び第25図は、極間の電圧波形とゲイン設定値44
aとの関係を示すもので、図中TMは無負荷時間を表し
ている。速度ゲインが低い場合は、第24図に示すように
無負荷時間TMが変動する。これは速度ゲインの値が低
いと電極の応答速度が遅くなるため、前回の放電加工プ
ロセスで生じた極間の変動に追従できなくなり、そして
変動量の補正に時間を要するからである。このため、加
工速度は遅くなる。 また、速度ゲインが高い場合は、第25図に示すように電
極の応答速度が早くなり、極間の変動に対し追従が容易
となるため、前回の放電加工プロセスで生じた電極間の
変動状態の解消に要する時間も短くなる。従って、第25
図に示す如く無負荷時間TM,すなわち放電までの待機
時間が短くなり、加工速度が早くなる。但し、速度ゲイ
ンを高くしすぎると、逆に電極間の変動に過剰に応答し
てしまい、電極がハンチングして加工が不能になる。 なお、速度ゲイン設定器44による速度ゲインの設定値
は、通常加工開始時に作業者が加工深さ、電極の形状、
加工液の供給方法及び電極と被加工物の材質の組合せな
どに応じた加工内容をもとにして設定されるものであ
る。 以上の説明から明らかなように、速度ゲインは安定な放
電加工状態を維持し、加工速度を高めるために不可欠と
なり、そして最適な速度ゲインを設定することは加工効
率を向上させる上で重要となる。 この最適な速度ゲインを得るためには、加工深さの変
化,加工電源のパルス条件,加工電極が被加工物に対向
する面積、加工液の供給方法,加工電極と被加工物の材
質の組合せに対して決定する必要があるが、一段には熟
練作業者の持つ手法に依存するところが大きく、従って
熟練作業者が放電加工状態の不安定度を監視し、これに
適応した速度ゲインを設定し、変更しているのが現状で
ある。
従来の放電加工制御装置は、上述のように構成されてい
るので、最適な休止時間制御,最適な放電持続時間制
御,又は最適なサーボ基準電圧制御,あるいは最適速度
ゲイン制御を行うために熟練作業者のもつ手法にしたが
って休止時間,放電持続時間,サーボ基準電圧又は速度
ゲインを設定しようとすると、その手法に含まれる定性
的なあいまいな表現を、適切な休止時間制御方法、放電
持続時間制御方法,サーボ基準電圧制御方法又は軸送り
速度の制御方法として記述することが難しく、個人差が
生じてしまう。また、熟練作業者に代って自動的に放電
加工状態の不安定度に応じ休止時間,放電持続時間,サ
ーボ基準電圧又は速度ゲインを制御する場合には、熟練
作業者の判定基準を適確に記述することが難しく、放電
加工能率の向上を図るには問題があった。 この発明は、上述のような問題点を解消するためになさ
れたもので、放電加工状態を最適に保ち、かつ放電加工
能率が最大となるように制御するのに有効な加工条件
(休止時間,放電持続時間,サーボ基準電圧,速度ゲイ
ン)の設定や放電加工状態の不安定度の判定基準などに
関する熟練作業者のもつ手法を適切かつ容易に記述でき
るとともに、これらの手法により最適な加工制御の実
行,およびその適切な変更が自動的に行える放電加工制
御装置を得ることを目的とする。
るので、最適な休止時間制御,最適な放電持続時間制
御,又は最適なサーボ基準電圧制御,あるいは最適速度
ゲイン制御を行うために熟練作業者のもつ手法にしたが
って休止時間,放電持続時間,サーボ基準電圧又は速度
ゲインを設定しようとすると、その手法に含まれる定性
的なあいまいな表現を、適切な休止時間制御方法、放電
持続時間制御方法,サーボ基準電圧制御方法又は軸送り
速度の制御方法として記述することが難しく、個人差が
生じてしまう。また、熟練作業者に代って自動的に放電
加工状態の不安定度に応じ休止時間,放電持続時間,サ
ーボ基準電圧又は速度ゲインを制御する場合には、熟練
作業者の判定基準を適確に記述することが難しく、放電
加工能率の向上を図るには問題があった。 この発明は、上述のような問題点を解消するためになさ
れたもので、放電加工状態を最適に保ち、かつ放電加工
能率が最大となるように制御するのに有効な加工条件
(休止時間,放電持続時間,サーボ基準電圧,速度ゲイ
ン)の設定や放電加工状態の不安定度の判定基準などに
関する熟練作業者のもつ手法を適切かつ容易に記述でき
るとともに、これらの手法により最適な加工制御の実
行,およびその適切な変更が自動的に行える放電加工制
御装置を得ることを目的とする。
この発明の放電加工制御装置は、休止時間,放電持続時
間及びサーボ基準電圧,及び加工時の軸送り速度等の加
工条件のうち少なくとも1つを制御する制御手段と、前
記制御手段による加工条件の制御を行うのに有効な手法
を格納する知識記憶手段と、少なくとも前記手法に必要
な加工状況を放電加工プロセスから検出する状況検出手
段と、前記状況検出手段により検出された現在もしくは
過去の加工状況の量の少なくとも一方を格納する状況記
憶手段と、前記状況記憶手段から読み出された加工状況
の量とこれらに関連して前記知識記憶手段から読み出さ
れた手法とから得られる複数個の結果を合成し、前記制
御手段による加工条件の制御の指令値を求める推論手段
とを備えてなるものである。 〔作 用】 この発明においては、休止時間,放電持続時間及びサー
ボ基準電圧,速度ゲイン等の加工条件の制御を行うのに
有効な手法を知識記憶手段に格納しておき、また、前記
手法において必要とされる加工状況を状況検出手段によ
り検出して、この検出値を状況記憶手段に格納してお
き、推論手段により知識記憶手段からの手法と状況記憶
手段からの加工状況の量とから得られる複数の結果を合
成して、最適な加工条件の制御を実行,及び適応的に変
更する指令値として求め、これによって制御手段を制御
するものであるから、放電加工状態を最適に保ち、かつ
放電加工能率が最大となる放電加工が実現でき、かつ、
最適な制御を行うのに有効な熟練作業者の定性的なあい
まいな表現を含む手法を適切かつ容易に記述することが
でき、さらに最適な加工条件の実行,及び適応的な変更
を自動的に行うことが可能になる。
間及びサーボ基準電圧,及び加工時の軸送り速度等の加
工条件のうち少なくとも1つを制御する制御手段と、前
記制御手段による加工条件の制御を行うのに有効な手法
を格納する知識記憶手段と、少なくとも前記手法に必要
な加工状況を放電加工プロセスから検出する状況検出手
段と、前記状況検出手段により検出された現在もしくは
過去の加工状況の量の少なくとも一方を格納する状況記
憶手段と、前記状況記憶手段から読み出された加工状況
の量とこれらに関連して前記知識記憶手段から読み出さ
れた手法とから得られる複数個の結果を合成し、前記制
御手段による加工条件の制御の指令値を求める推論手段
とを備えてなるものである。 〔作 用】 この発明においては、休止時間,放電持続時間及びサー
ボ基準電圧,速度ゲイン等の加工条件の制御を行うのに
有効な手法を知識記憶手段に格納しておき、また、前記
手法において必要とされる加工状況を状況検出手段によ
り検出して、この検出値を状況記憶手段に格納してお
き、推論手段により知識記憶手段からの手法と状況記憶
手段からの加工状況の量とから得られる複数の結果を合
成して、最適な加工条件の制御を実行,及び適応的に変
更する指令値として求め、これによって制御手段を制御
するものであるから、放電加工状態を最適に保ち、かつ
放電加工能率が最大となる放電加工が実現でき、かつ、
最適な制御を行うのに有効な熟練作業者の定性的なあい
まいな表現を含む手法を適切かつ容易に記述することが
でき、さらに最適な加工条件の実行,及び適応的な変更
を自動的に行うことが可能になる。
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。 実施例1 第1図乃至第4図は、この発明による放電加工制御装置
の第1の実施例を示すもので、特に放電状態を最適に保
ち、かつ放電加工能率が最大となるような休止時間制御
を実現する場合の放電加工制御装置である。 第1図は全体の構成図を示すもので、放電現象を含む放
電加工プロセス1と、放電加工プロセス1に加工電力を
供給する加工電源3と、放電加工の休止時間を設定する
休止時間設定器6と、休止時間設定器6からの休止時間
指令値7及び後述する推論部23からの指令値23aに基づ
いて休止時間を制御する休止時間制御器8とを備え、休
止時間制御器8から出力される休止時間操作量9は加工
電源3に入力される。放電加工プロセス1からは少なく
とも休止時間制御を行うのに有効な手法(第2図参照)
に必要とされる複数のプロセス状況量19が出力され、こ
の状況量19は状況検出器20に入力される。 状況検出器20は、前記手法に必要な加工状況量を検出す
るものであり、この検出された状況検出値20aは状況記
憶部21に格納される。状況記憶部21は、状況検出値20a
の現在又は過去の少なくとも一方を格納するものであ
り、これから読み出された状況量24は推論部23に入力さ
れる。 22は休止時間制御を行うのに有効な手法(第2図参照)
を格納する知識記憶部であり、この知識記憶部22から読
み出された手法22aは推論部23に入力される。 推論部23は、状況記憶部21からの状況量24と知識記憶部
22からの手法22aに基づいて最適な休止時間制御及び適
応的な変更を総合的に決定するものであり、この推論部
23で決定された最適休止時間制御用の指令値23aは休止
時間制御器8に与えられる。 なお、第1図において、破線で囲んだ部分が最適な休止
時間制御の指令値23aを生成するためのもので、本実施
例の主要部を構成している。 次に、上記のように構成された本実施例の動作,即ち最
適な休止時間制御の指令値23aを生成するための動作に
ついて説明する。 第2図は休止時間制御を行うのに有効な手法の一例であ
る。このような手法I,IIを適切かつ容易に記述するに
は、ファジイ集合を利用して行う。例えば、第3図に示
すファジイ集合を利用して第2図に示す手法I,IIをIF前
件部,THEN後件部からなるルール形式で知識記憶部22に
記憶できる。 即ち、第2図の手法Iに含まれている,「有効放電効率
が小さく」,「加工中の電極の動きの振幅が大きく」,
「加工深さが深い」,「休止時間は大きく」,あるいは
手法IIに含まれている,「有効放電効率が大きく」,
「加工中の電極の動きの振幅が小さく」,「加工深さが
浅い」,「休止時間は小さく」などの定性的なあいまい
な表現を第3図に示すようにメンバーシップ関数で記述
する。 例えば、手法Iにおける「有効放電率が小さい」という
特徴は、有効効放電率が25%以下ならば、全く満足する
という意味でメンバーシップ関数の値を「1」とし、有
効放電率が75%以上ならば、全く満足しないという意味
でメンバーシップ関数の値を「0」とし、有効放電率が
25〜75%ならば0〜1の間で満足するという意味でメン
バーシップ関数の値を「0〜1」とする。同様にして、
手法Iの「電極の動きの振幅」,「加工深さ」,「休止
時間」及び手法IIにおける「有効放電率」,「電極の動
きの振幅」,「加工深さ」,「休止時間」の定性的なあ
いまいな表現もメンバーシップ関数により適切かつ容易
に記述することができる。一方、状況記憶部21には、知
識記憶部22に格納された手法に必要な加工状況量19を状
況検出器20により手段した状況検出値20aが格納されて
いる。第2図に示すような場合には、有効放電率,電極
の動きの振幅,加工深さ等である。 推論部23では、知識記憶部22に格納された手法と状況記
憶部21に格納された状況とから第4図に示す手順に従っ
て、ファジイ推論を行い最適な休止時間制御の指令値23
aを決定する。同図において、24a,24b,24cは、状況記憶
部21に格納された「有効放電率」,「加工中の電極の動
きの振幅」,「加工深さ」の検出値である。ファジイ推
論では、それぞれの手法I,IIにおいて、これらの状況量
24がメンバーシップ関数で記述された前件部の定性的な
あいまいな表現を、どのくない満足するかを調べ、その
前件部において、一番満足度の小さいメンバーシップ関
数の値(手法Iでは検出値24a,手法IIでは検出値24c)
で、後件部のメンバーシップ関数の上限をカットし、そ
れぞれのメンバーシップ関数の中で常に一番大きい関数
値をもつようにメンバーシップ関数の合成を行い、合成
されたメンバーシップ関数の面積重心位置C.Cを求め
る。この値が最適な休止時間制御の指令値23aである。 上述のような本実施例にあっては、休止時間制御を行う
有効な手法を知識記憶部に格納し、該手法に少なくとも
必要な加工状況量を状況記憶部に格納し、該手法と該加
工状況量から推論部により休止時間の指令値を総合的に
決定できるように構成したので、休止時間制御に関する
熟練作業者のもつ手法を適切かつ容易に記述できるとと
もにそれらの手法により最適な休止時間制御の実行およ
び、適応的な変更が自動的に行うことができる。 上記第1実施例の第4図では、手法の前件部が3つの加
工状況,後件部が一つの休止時間制御量を記述したもの
であるが、これらを制限するものは何もない。また手法
の数が増えることにおいても同様に最適な休止時間制御
の指令値が求められることは群言うまでもない。さら
に、この実施例においては、放電加工状態の不安定度に
より適応的に休止時間の変更を行うことについて述べな
かったが、上述と同様の考え方で実現できる。 また、上記第1の実施例では、知識記憶部にファジイ集
合を利用し推論部でファジイ推論を行ったが、その他一
般のエキスパートシステムで利用されている知識表現と
推論方法を利用することも当然可能であり、上記実施例
と同様の効果を奏する。 実施例2 第5図乃至第8図は、この発明による放電加工制御装置
の第2の実施例を示すもので、特に休止加工状態を最適
に保ち、かつ放電加工能率が最大となるような放電持続
時間制御を実現する場合の放電加工制御装置である。 第5図は全体の構成図を示すもので、放電現象を含む放
電加工プロセス1と、放電加工プロセス1に加工電力を
供給する加工電源3と、放電加工の放電持続時間を設定
する放電持続時間設定器10と、放電持続時間設定器10か
らの放電持続時間指令値11及び後述する推論部30からの
指令値30aに基づいて放電持続時間を制御する放電持続
時間制御器12とを備え、放電持続時間制御器12から出力
される放電持続時間操作量13は加工電源3に入力され
る。放電加工プロセス1からは少なくとも放電持続時間
制御を行うのに有効な手法(第6図参照)に必要とされ
る複数の加工状況量25が出力され、この状況量25は状況
検出器26に入力される。 状況検出器26は、前記手法に必要な加工状況量を検出す
るものであり、この検出された状況検出値26aは状況記
憶部27に格納される。状況記憶部27は、状況検出値26a
の現在又は過去の少なくとも一方を格納するものであ
り、これから続み出された状況量28は推論部30に入力さ
れる。 29は放電持続時間制御を行うのに有効な手法(第6図参
照)を格納する知識記憶部であり、この知識記憶部29か
ら読み出された手法29aは推論部30に入力される。 推論部30は、状況記憶部27からの状況量28と知識記憶部
29からの手法29aに基づいて最適な放電持続時間制御及
び適応的な変更を総合的に決定するものであり、この推
論部30で決定された最適放電持続時間制御用の指令値30
aは放電持続時間制御器12に与えられる。 なお、第5図において、破線で囲んだ部分が最適な放電
持続時間制御の指令値30aを生成するためのもので、本
実施例の主要部を構成している。 次に、上記のように構成された本実施例の動作,即ち最
適な放電持続時間制御の指令値30aを生成するための動
作について説明する。 第6図は放電持続時間制御を行うのに有効な手法の一例
である。このような手法I,IIを適切かつ容易に記述する
には、ファジイ集合を利用して行う。例えば、第7図に
示すファジイ集合を利用して第6図に示す手法I,IIをIF
前件部、THEN後件部からなるルール形式で知識記憶部29
に記述できる。 即ち、第6図の手法Iに含まれている,「有効放電効率
が小さく」,「加工中の電極の動きの振幅が大きく」,
「加工深さが深い」,「放電持続時間は小さく,あるい
は手法IIに含まれている、「有効放電効率が大きく」,
「加工中の電極の動きの振幅が小さく」,「加工深さが
浅い」,「放電持続時間は大きく」などの定性的なあい
まいな表現を第7図に示すようにメンバーシップ関数で
記述する。 例えば、手法Iにおける「有効放電率が小さい」という
特徴は、有効放電率が25%以下ならば、全く満足すると
いう意味でメンバーズシップ関数の値を「1」とし、有
効放電率が75%以上ならば、全く満足しないという意味
でメンバーシップ関数の値を「0」とし、有効放電率が
25〜75%ならば0〜1の間で満足するという意味でメン
バーシップ関数の値を「0〜1」とする。同様にして、
手法Iの「電極の動きの振幅」,「加工深さ」,「放電
持続時間」及び手法IIにおける「有効放電率」,「電極
の動きの振幅」,「加工深さ」,「放電持続時間」の定
性的なあいまいな表現もメンバーシップ関数により適切
かつ容易に記述することができる。 一方、状況記憶部27には、知識記憶部29に格納された手
法に必要な加工状況量25を状況検出器26により検出した
状況検出値26aが格納されている。 第6図に示すような場合には、有効放電率,電極の動き
の振幅,加工深さ等である。 推論部30では、知識記憶部29に格納された手法と状況記
憶部27に格納された状況とから第8図に示す手順に従っ
てファジイ推論を行い最適な放電持続時間制御の指令値
30aを決定する。同図において、28a,28b,28cは、状況記
憶部27に格納された「有効放電率」,「加工中の電極の
動きの振幅」,「加工深さ」の検出値である。ファジイ
推論では、それぞれの手法I,IIにおいて、これらの状況
量28がメンバーシップ関数で記述された前件部の定性的
なあいまいな表現を、どのくらい満足するかを調べ、そ
の前件部において一番満足度の小さいメンバーシップ関
数の値(手法Iでは検出値28a,手法IIでは検出値28c)
で、後件部のメンバーズシップ関数の上限をカットし、
それぞれのメンバーズシップ関数の中で一番大きい関数
値をもつようにメンバーズシップ関数の合成を行い、合
成されたメンバーズシップ関数の面積重心位置C・Gを
求める。この値が最適な放電持続時間制御の指令値30a
である。 上述のような本実施例にあっては、放電持続時間制御を
行うに有効な手法を知識記憶部に格納し、該手法に少な
くとも必要な加工状況量を状況記憶部に格納し、該手法
と該加工状況量から推論部により放電持続時間の指令値
を総合的に決定できるように構成したので、放電持続時
間制御に関する熟練作業者のもつ手法により最適な放電
持続時間制御の実行および、適応的な変更が自動的に行
うことができる。 上記第2実施例の第8図では、手法の前件部が3つの加
工状況,後件部が1つの休止時間制御量を記述したもの
であるかが、これらを制限するものは何もない。また手
法の数が増えることにおいても同様に最適な放電持続時
間加工の指令値が求められることは言うまでもない。さ
らに、この実施例においては、放電加工状態の不安定度
により適応的に放電持続時間の変更を行うことについて
述べなかったが、上述と同様の考え方が実現できる。 また、上記第2の実施例では、知識記憶部にファジイ集
合を利用し推論部でファジイ推論を行ったが、その他一
般のエキスパートシステムで利用されている知識表現
と、推論方法を利用することも当然可能であり、上記実
施例と同様の効果を奏する。 実施例3 第9図乃至第12図は、この発明による放電加工制御装置
の第3の実施例を示すもので、特に放電加工状態を最適
に保ち、かつ放電加工能率が最大となるようなサーボ基
準電圧加工を実現する場合の放電加工制御装置である。 第9図は全体の構成図を示すもので、1は放電現象を含
む放電加工プロセス、2は放電加工プロセス1から出力
される状況量、4は状況量2を検出する状況検出器であ
り、これから出力される検出値5は演算部18に入力され
る。16は放電加工のサーボ基準電圧を設定するためのサ
ーボ基準電圧設定器であり、これから出力される指令値
17(Vref)は演算部18に入力され、この演算部18におい
て、検出値5と指令値17との偏差18aを取り出し、電極
制御系14へ入力される。電極加工系14は、偏差18aが零
となるように加工間隙距離信号15を調節する。 放電加工プロセス1及び電極制御系14からは、少なくと
もサーボ基準電圧制御を行うのに有効な手法(第10図参
照)に必要とされる加工状況量31が出力され、この状況
量31は状況検出器32に入力される。 状況検出器32は、前記手法に必要な加工状況量を検出す
るものであり、この検出された状況検出値32aは状況記
憶部33に格納される。状況記憶部33は、状況検出値32a
の現在又は過去の少なくとも一方を格納するものであ
り、これから読み出された状況量34は推論部36に入力さ
れる。 35はサーボ基準電圧制御を行うのに有効な手法(第10図
参照)を格納する知識記憶部であり、この知識記憶部35
から読み出された手法35aは推論部36に入力される。 推論部36は、状況記憶部33からの状況量34と知識記憶部
35からの手法35aに基づいて最適なサーボ基準電圧制御
及び適応的な変更を総合的に決定するものであり、この
推論部36で決定された最適サーボ基準電圧制御用の指令
値36aはサーボ基準電圧制御器37に与えられる。また、
サーボ基準電圧制御器37からは、サーボ基準電圧設定器
16に対しサーボ基準電圧操作量37aが出力されるように
なっている。 なお、第9図において、破線で囲んだ部分が最適なサー
ボ基準電圧制御の指令値36aを生成するためのもので、
本実施例の主要部を構成している。 次に、上記のように構成された本実施例の動作,即ち最
適なサーボ基準電圧の指令値36aを生成するための動作
について説明する。 第10図はサーボ基準電圧制御を行うのに有効な手法の一
例である。このような手法I,IIを適切かつ容易に記述す
るには、ファジイ集合を利用して行う。例えば、第11図
に示すファジイ集合を利用して第10図に示す手法I,IIを
IF前件部、THEN後件部からなるルール形式で記憶部35に
記述できる。 即ち、第10図の手法Iに含まれている,「有効放電効率
が小さく」,「加工中の電極の動きの振幅が大きく」,
「加工深さが深い」,「サーボ基準電圧は高く」,ある
いは、手法IIに含まれている,「有効放電効率が大き
く」,「加工中の電極の動きの振幅が小さく」,「加工
深さが浅い」,「サーボ基準電圧は低く」などの定性的
なあいまいな表現を第11図に示すようにメンバーシップ
関数で記述する。 例えば、手法Iにおける「有効放電率が小さい」という
特徴は、有効放電率が25%以下ならば、全く満足すると
いう意味で、メンバーシップ関数の値を「1」とし、有
効放電率が75%以上ならば、全く満足しないという意味
でメンバーシップ関数の値を「0」とし、有効放電率が
25〜75%ならば0〜1の間で満足するという意味でメン
バーシップ関数の値を「0〜1」とする。同様にして、
手法Iの「電極の動きに振幅」,「加工深さ」,「サー
ボ基準電圧」及び手法IIにおける「有効放電率」,「電
極の動きの振幅」,「加工深さ」,「サーボ基準電圧」
の定性的なあいまいな表現もメンバーシップ関数により
適切かつ容易に記述することができる。 一方、状況記憶部33には、知識記憶部35に格納された手
法に必要な加工状況量31を状況検出器32により検出した
状況検出値32aが格納されている。 第10図に示すような場合には、有効放電率,電極の動き
の振幅,加工深さ等である。 推論部36は、知識記憶部35に格納された手法と状況記憶
部33に格納された状況とから第12図に示す手順に従って
ファジイ推論を行い最適な休止時間制御の指令値36aを
決定する。同図において、34a,34b,34cは、状況記憶部3
3に格納された「有効放電率」,「加工中の電極の動き
の振幅」,「加工深さ」の検出値である。ファジイ推論
では、それぞれの手法I,IIにおいて、これらの状況量34
がメンバーシップ関数で記述された前件部の定性的なあ
いまい表現を、どのくらい満足するかを調べ、その前件
部において一番満足度の小さいメンバーシップ関数の値
(手法Iでは検出値34a,手法IIでは検出値34c)で、後
件部のメンバーシップ関数の上限をカットし、それぞれ
のメンバーシップ関数の中で常に一番大きい関数数値を
もつようにメンバーシップ関数の合成を行い、合成され
たメンバーシップ関数の面積重心位置C.Gを求める。こ
の値が最適なサーボ基準電圧制御の指令値36aである。 上述のような本実施例にあっては、サーボ基準電圧制御
を行うのに有効な手法を知識記憶部に格納し、該手法に
少なくとも必要な加工状況量を状況記憶部に格納し、該
手法と該加工状況量から推論部によりサーボ基準電圧の
指令値を総合的に決定できるように構成したので、サー
ボ基準電圧制御に関する熟練作業者のもつ手法を適切か
つ容易に記述できるとともにそれらの手法により最適な
サーボ基準電圧加工の実行および、適応的な変更が自動
的に行うことができる。 上記第3実施例の第12図では、手法の前件部が3つの加
工状況,後件部が1つのサーボ基準電圧制御量を記述し
たものであるが、これらを制限するものは何もない。ま
た、手法の数が増えることにおいても同様な最適なサー
ボ基準電圧制御の指令値が求められることは言うまでも
ない。さらに、この実施例においては、放電加工状態の
不安定度により適応的にサーボ基準電圧の変更を行うこ
とについて述べなかったが、上述と同様の考え方で実現
できる。 また、上記第3実施例では、知識記憶部にファジイ集合
を利用し推論部でファジイ推論を行ったが、その他一般
のエキスパートシステムで利用されている知識表現と推
論方法を利用することも当然可能であり、上記第3の実
施例と同様の効果を奏する。 実施例4 第13図乃至第16図は、この発明による放電加工制御装置
の第4の実施例を示すもので、特に放電加工状態を最適
に保ち、且つ放電加工能率を最大にするような速度ゲイ
ン制御を実現する放電加工制御装置である。 第13図は全体の構成を示すもので、1は放電現象を含む
放電加工プロセス、2は放電加工プロセス1より出力さ
れる状況量、4は状況量2を検出する状況検出器であ
る。5は状況検出器4より出力される状況量の検出値
で、本データは演算部46へ入力される。演算部46はサー
ボ電圧指令値と検出値5とを演算するもので、その演算
結果の出力46aは増幅器45に入力される。44は加工時の
送り速度ゲインを設定する速度ゲイン設定器で、その設
定器44aは増幅器45に入力される。増幅器45は演算部46
の演算結果の出力“A"(46a)に速度ゲイン設定器44で
設定した速度ゲイン設定値“K"(44a)の増幅率で増幅
して出力45a{“AK”(KA)}を電極制御系43へ与え
る。電極制御系43は与えられた値によって電極を駆動制
御し、電極の応答速度43aを変更調節する。 放電加工プロセス1及び速度ゲイン設定器44からは、少
なくとも速度ゲインの制御を行うのに必要な手法(第14
図参照)を行うのに必要な加工状況量47が出力され、こ
の状況量47は状況器48に入力される。 状況検出器48は、前記手法に必要な加工状況量を検出す
るものであり、この検出された状況検出値48aは状況記
憶部49に格納される。状況記憶部49は、状況検出値48a
の現在又は過去の少なくとも一方を格納するものであ
り、これから読み出された状況量50は推論部51に入力さ
れる。52は加工時の軸送り速度のゲイン制御を行うのに
有効な手法(第14図参照)を格納する知識記憶部であ
り、この知識記憶部52から読み出された手法52aは推論
部51に入力される。 推論部51は、状況記憶部49からの状況量50と知識記憶部
52からの手法52aに基づいて最適な速度ゲイン制御及び
適応的な変更を総合的に決定するものであり、この推論
部51で決定された最適な速度ゲイン制御用の指令値51a
は速度ゲイン制御器53に与えられる。また、この速度ゲ
イン制御器53からは、速度ゲイン設定器44に対して速度
ゲイン操作量53aが出力されるようになっている。 なお、第13図において破線で囲んだ部分が最適な速度ゲ
イン制御の指令値51aを生成するためのもので、本実施
例の主要部を構成している。 次に、上記のように構成された本実施例の動作,すなわ
ち最適な速度ゲイン制御の指令値53aを生成するための
動作について説明する。 第14図は、速度ゲイン制御を行うのに有効な手法の一例
である。このような手法I〜IVを適切かつ容易に記述す
るには、ファジイ集合を利用して行う。例えば、第15図
に示すファジイ集合を利用して第14図に示す手法I〜IV
をIF前件部、THEN後件部からなるルール形式で記憶部52
に記述できる。 すなわち、第14図の手法Iに含まれている「速度ゲイン
を増加」,「有効放電率が小さく」,「加工中の電極の
動きの振幅が大きく」,「速度ゲインは低く」或いは手
法IIに含まれている「速度ゲイン増加」,「有効放電率
が大きく」,「加工中の電極の振幅が小さく」,「速度
ゲインは高く」或いは手法IIIに含まれている「速度ゲ
インを減少」,「有効放電率が小さく」,「加工中の電
極の振幅が大きく」,「速度ゲインは高く」或いは手法
IVに含まれている「速度ゲインを減少」,「有効放電率
が大きく」,「加工中の電極の動きの振幅が小さく」,
「速度ゲインは低く」などの定性的なあいまいな表現を
第15図に示すようにメンバーシップ関数で記述する。 例えば、手法Iにおける「有効放電率が小さい」という
特徴は、有効放電率が25%以下ならば、全く満足すると
いう意味で、メンバーシップ関数の値を「1」とし、有
効放電率が75%以上ならば、全く満足しないという意味
でメンバーシップ関数の値を「0」とし、有効放電率が
25〜75%ならば0〜1の間で満足するという意味でメン
バーシップ関数の値を「0〜1」とする。同様にして、
手法Iの「電極の動きの振幅」,「速度ゲインの変化
量」,「速度ゲイン」及び手法IIにおける「有効放電
率」,「電極の動きの振幅」,「速度ゲインの変化
量」,「速度ゲイン」などの定性的なあいまいな表現も
メンバーシップ関数により適切かつ容易に記述すること
ができる。 一方、状況記憶部49には、知識記憶部52に格納された手
法に必要な加工状況量50を状況検出器48により検出した
状況検出値48aが格納されている。 第14図に示すような場合には、速度ゲインの変動量,有
効放電率,電極の動きの振幅,加工ゲイン等である。 推論部51は、知識記憶部52に格納された手法と状況記憶
部49に格納された状況量とから第16図に示す手順に従っ
てファジイ推論を行い最適な速度ゲインの指令値51aを
決定する。同図において、50a,50b,50cは、状況記憶部4
9に格納された「速度ゲインの変化量」,「有効放電
率」,「加工中の電極の動きの振幅」,「有効放電
率」,「加工中の電極の動きの振幅」の検出値である。
ファジイ推論では、それぞれの手法I,IIにおいて、これ
らの状況量50がメンバーシップ関数で記述された前件部
の定性的なあいまい表現を、どのくらい満足するかを調
べ、その前件部において一番満足度の小さいメンバーシ
ップ関数の値(手法Iでは検出値50b、手法IIでは検出
値50c)で、後件部のメンバーシップ関数の上限をカッ
トし、それぞれのメンバーシップ関数の中で常に一番大
きい関数値をもつようにメンバーシップ関数の合成を行
い、合成されたメンバーシップ関数の面積重心位置C.G
を求める。この値が最適な速度ゲイン制御の指令値51a
である。 上述のような本実施例であっては、速度ゲイン制御を行
うのに有効な手法を知識記憶部に格納し、該手法に少な
くとも必要な加工状況量を状況記憶部に格納し、該手法
と該加工状況量から推論部によりサーボ基準電圧の指令
値を総合的に決定できるように構成したので、速度ゲイ
ン制御に関する熟練作業者のもつ手法を適切かつ容易に
記述できるとともにそれらの手法により最適な速度ゲイ
ン制御の実行及び適応的な変更が自動的に行うことがで
きる。 上記の実施例の第16図では、手法の前件部が3つの加工
状況、後件部が1つの速度ゲイン制御量を記述したもの
であるが、これらを制限するものは何もない。また、手
法の数が増えることにおいても同様に最適な速度ゲイン
制御の指令値が求められることはいうまでもない。さら
に、この実施例においては、放電加工状態の不安定度に
より適応的に速度ゲインの変更を行うことについて述べ
なかったが、上述と同様の考え方で実現できる。 また、上記の実施例では、知識記憶部にファジイ集合を
利用し推論部でファジイ推論を行ったが、その他一般の
エキスパートシステムで利用されている知識表現と推論
方法を利用することも当然可能であり、上記の実施例と
同様の効果を奏する。
の第1の実施例を示すもので、特に放電状態を最適に保
ち、かつ放電加工能率が最大となるような休止時間制御
を実現する場合の放電加工制御装置である。 第1図は全体の構成図を示すもので、放電現象を含む放
電加工プロセス1と、放電加工プロセス1に加工電力を
供給する加工電源3と、放電加工の休止時間を設定する
休止時間設定器6と、休止時間設定器6からの休止時間
指令値7及び後述する推論部23からの指令値23aに基づ
いて休止時間を制御する休止時間制御器8とを備え、休
止時間制御器8から出力される休止時間操作量9は加工
電源3に入力される。放電加工プロセス1からは少なく
とも休止時間制御を行うのに有効な手法(第2図参照)
に必要とされる複数のプロセス状況量19が出力され、こ
の状況量19は状況検出器20に入力される。 状況検出器20は、前記手法に必要な加工状況量を検出す
るものであり、この検出された状況検出値20aは状況記
憶部21に格納される。状況記憶部21は、状況検出値20a
の現在又は過去の少なくとも一方を格納するものであ
り、これから読み出された状況量24は推論部23に入力さ
れる。 22は休止時間制御を行うのに有効な手法(第2図参照)
を格納する知識記憶部であり、この知識記憶部22から読
み出された手法22aは推論部23に入力される。 推論部23は、状況記憶部21からの状況量24と知識記憶部
22からの手法22aに基づいて最適な休止時間制御及び適
応的な変更を総合的に決定するものであり、この推論部
23で決定された最適休止時間制御用の指令値23aは休止
時間制御器8に与えられる。 なお、第1図において、破線で囲んだ部分が最適な休止
時間制御の指令値23aを生成するためのもので、本実施
例の主要部を構成している。 次に、上記のように構成された本実施例の動作,即ち最
適な休止時間制御の指令値23aを生成するための動作に
ついて説明する。 第2図は休止時間制御を行うのに有効な手法の一例であ
る。このような手法I,IIを適切かつ容易に記述するに
は、ファジイ集合を利用して行う。例えば、第3図に示
すファジイ集合を利用して第2図に示す手法I,IIをIF前
件部,THEN後件部からなるルール形式で知識記憶部22に
記憶できる。 即ち、第2図の手法Iに含まれている,「有効放電効率
が小さく」,「加工中の電極の動きの振幅が大きく」,
「加工深さが深い」,「休止時間は大きく」,あるいは
手法IIに含まれている,「有効放電効率が大きく」,
「加工中の電極の動きの振幅が小さく」,「加工深さが
浅い」,「休止時間は小さく」などの定性的なあいまい
な表現を第3図に示すようにメンバーシップ関数で記述
する。 例えば、手法Iにおける「有効放電率が小さい」という
特徴は、有効効放電率が25%以下ならば、全く満足する
という意味でメンバーシップ関数の値を「1」とし、有
効放電率が75%以上ならば、全く満足しないという意味
でメンバーシップ関数の値を「0」とし、有効放電率が
25〜75%ならば0〜1の間で満足するという意味でメン
バーシップ関数の値を「0〜1」とする。同様にして、
手法Iの「電極の動きの振幅」,「加工深さ」,「休止
時間」及び手法IIにおける「有効放電率」,「電極の動
きの振幅」,「加工深さ」,「休止時間」の定性的なあ
いまいな表現もメンバーシップ関数により適切かつ容易
に記述することができる。一方、状況記憶部21には、知
識記憶部22に格納された手法に必要な加工状況量19を状
況検出器20により手段した状況検出値20aが格納されて
いる。第2図に示すような場合には、有効放電率,電極
の動きの振幅,加工深さ等である。 推論部23では、知識記憶部22に格納された手法と状況記
憶部21に格納された状況とから第4図に示す手順に従っ
て、ファジイ推論を行い最適な休止時間制御の指令値23
aを決定する。同図において、24a,24b,24cは、状況記憶
部21に格納された「有効放電率」,「加工中の電極の動
きの振幅」,「加工深さ」の検出値である。ファジイ推
論では、それぞれの手法I,IIにおいて、これらの状況量
24がメンバーシップ関数で記述された前件部の定性的な
あいまいな表現を、どのくない満足するかを調べ、その
前件部において、一番満足度の小さいメンバーシップ関
数の値(手法Iでは検出値24a,手法IIでは検出値24c)
で、後件部のメンバーシップ関数の上限をカットし、そ
れぞれのメンバーシップ関数の中で常に一番大きい関数
値をもつようにメンバーシップ関数の合成を行い、合成
されたメンバーシップ関数の面積重心位置C.Cを求め
る。この値が最適な休止時間制御の指令値23aである。 上述のような本実施例にあっては、休止時間制御を行う
有効な手法を知識記憶部に格納し、該手法に少なくとも
必要な加工状況量を状況記憶部に格納し、該手法と該加
工状況量から推論部により休止時間の指令値を総合的に
決定できるように構成したので、休止時間制御に関する
熟練作業者のもつ手法を適切かつ容易に記述できるとと
もにそれらの手法により最適な休止時間制御の実行およ
び、適応的な変更が自動的に行うことができる。 上記第1実施例の第4図では、手法の前件部が3つの加
工状況,後件部が一つの休止時間制御量を記述したもの
であるが、これらを制限するものは何もない。また手法
の数が増えることにおいても同様に最適な休止時間制御
の指令値が求められることは群言うまでもない。さら
に、この実施例においては、放電加工状態の不安定度に
より適応的に休止時間の変更を行うことについて述べな
かったが、上述と同様の考え方で実現できる。 また、上記第1の実施例では、知識記憶部にファジイ集
合を利用し推論部でファジイ推論を行ったが、その他一
般のエキスパートシステムで利用されている知識表現と
推論方法を利用することも当然可能であり、上記実施例
と同様の効果を奏する。 実施例2 第5図乃至第8図は、この発明による放電加工制御装置
の第2の実施例を示すもので、特に休止加工状態を最適
に保ち、かつ放電加工能率が最大となるような放電持続
時間制御を実現する場合の放電加工制御装置である。 第5図は全体の構成図を示すもので、放電現象を含む放
電加工プロセス1と、放電加工プロセス1に加工電力を
供給する加工電源3と、放電加工の放電持続時間を設定
する放電持続時間設定器10と、放電持続時間設定器10か
らの放電持続時間指令値11及び後述する推論部30からの
指令値30aに基づいて放電持続時間を制御する放電持続
時間制御器12とを備え、放電持続時間制御器12から出力
される放電持続時間操作量13は加工電源3に入力され
る。放電加工プロセス1からは少なくとも放電持続時間
制御を行うのに有効な手法(第6図参照)に必要とされ
る複数の加工状況量25が出力され、この状況量25は状況
検出器26に入力される。 状況検出器26は、前記手法に必要な加工状況量を検出す
るものであり、この検出された状況検出値26aは状況記
憶部27に格納される。状況記憶部27は、状況検出値26a
の現在又は過去の少なくとも一方を格納するものであ
り、これから続み出された状況量28は推論部30に入力さ
れる。 29は放電持続時間制御を行うのに有効な手法(第6図参
照)を格納する知識記憶部であり、この知識記憶部29か
ら読み出された手法29aは推論部30に入力される。 推論部30は、状況記憶部27からの状況量28と知識記憶部
29からの手法29aに基づいて最適な放電持続時間制御及
び適応的な変更を総合的に決定するものであり、この推
論部30で決定された最適放電持続時間制御用の指令値30
aは放電持続時間制御器12に与えられる。 なお、第5図において、破線で囲んだ部分が最適な放電
持続時間制御の指令値30aを生成するためのもので、本
実施例の主要部を構成している。 次に、上記のように構成された本実施例の動作,即ち最
適な放電持続時間制御の指令値30aを生成するための動
作について説明する。 第6図は放電持続時間制御を行うのに有効な手法の一例
である。このような手法I,IIを適切かつ容易に記述する
には、ファジイ集合を利用して行う。例えば、第7図に
示すファジイ集合を利用して第6図に示す手法I,IIをIF
前件部、THEN後件部からなるルール形式で知識記憶部29
に記述できる。 即ち、第6図の手法Iに含まれている,「有効放電効率
が小さく」,「加工中の電極の動きの振幅が大きく」,
「加工深さが深い」,「放電持続時間は小さく,あるい
は手法IIに含まれている、「有効放電効率が大きく」,
「加工中の電極の動きの振幅が小さく」,「加工深さが
浅い」,「放電持続時間は大きく」などの定性的なあい
まいな表現を第7図に示すようにメンバーシップ関数で
記述する。 例えば、手法Iにおける「有効放電率が小さい」という
特徴は、有効放電率が25%以下ならば、全く満足すると
いう意味でメンバーズシップ関数の値を「1」とし、有
効放電率が75%以上ならば、全く満足しないという意味
でメンバーシップ関数の値を「0」とし、有効放電率が
25〜75%ならば0〜1の間で満足するという意味でメン
バーシップ関数の値を「0〜1」とする。同様にして、
手法Iの「電極の動きの振幅」,「加工深さ」,「放電
持続時間」及び手法IIにおける「有効放電率」,「電極
の動きの振幅」,「加工深さ」,「放電持続時間」の定
性的なあいまいな表現もメンバーシップ関数により適切
かつ容易に記述することができる。 一方、状況記憶部27には、知識記憶部29に格納された手
法に必要な加工状況量25を状況検出器26により検出した
状況検出値26aが格納されている。 第6図に示すような場合には、有効放電率,電極の動き
の振幅,加工深さ等である。 推論部30では、知識記憶部29に格納された手法と状況記
憶部27に格納された状況とから第8図に示す手順に従っ
てファジイ推論を行い最適な放電持続時間制御の指令値
30aを決定する。同図において、28a,28b,28cは、状況記
憶部27に格納された「有効放電率」,「加工中の電極の
動きの振幅」,「加工深さ」の検出値である。ファジイ
推論では、それぞれの手法I,IIにおいて、これらの状況
量28がメンバーシップ関数で記述された前件部の定性的
なあいまいな表現を、どのくらい満足するかを調べ、そ
の前件部において一番満足度の小さいメンバーシップ関
数の値(手法Iでは検出値28a,手法IIでは検出値28c)
で、後件部のメンバーズシップ関数の上限をカットし、
それぞれのメンバーズシップ関数の中で一番大きい関数
値をもつようにメンバーズシップ関数の合成を行い、合
成されたメンバーズシップ関数の面積重心位置C・Gを
求める。この値が最適な放電持続時間制御の指令値30a
である。 上述のような本実施例にあっては、放電持続時間制御を
行うに有効な手法を知識記憶部に格納し、該手法に少な
くとも必要な加工状況量を状況記憶部に格納し、該手法
と該加工状況量から推論部により放電持続時間の指令値
を総合的に決定できるように構成したので、放電持続時
間制御に関する熟練作業者のもつ手法により最適な放電
持続時間制御の実行および、適応的な変更が自動的に行
うことができる。 上記第2実施例の第8図では、手法の前件部が3つの加
工状況,後件部が1つの休止時間制御量を記述したもの
であるかが、これらを制限するものは何もない。また手
法の数が増えることにおいても同様に最適な放電持続時
間加工の指令値が求められることは言うまでもない。さ
らに、この実施例においては、放電加工状態の不安定度
により適応的に放電持続時間の変更を行うことについて
述べなかったが、上述と同様の考え方が実現できる。 また、上記第2の実施例では、知識記憶部にファジイ集
合を利用し推論部でファジイ推論を行ったが、その他一
般のエキスパートシステムで利用されている知識表現
と、推論方法を利用することも当然可能であり、上記実
施例と同様の効果を奏する。 実施例3 第9図乃至第12図は、この発明による放電加工制御装置
の第3の実施例を示すもので、特に放電加工状態を最適
に保ち、かつ放電加工能率が最大となるようなサーボ基
準電圧加工を実現する場合の放電加工制御装置である。 第9図は全体の構成図を示すもので、1は放電現象を含
む放電加工プロセス、2は放電加工プロセス1から出力
される状況量、4は状況量2を検出する状況検出器であ
り、これから出力される検出値5は演算部18に入力され
る。16は放電加工のサーボ基準電圧を設定するためのサ
ーボ基準電圧設定器であり、これから出力される指令値
17(Vref)は演算部18に入力され、この演算部18におい
て、検出値5と指令値17との偏差18aを取り出し、電極
制御系14へ入力される。電極加工系14は、偏差18aが零
となるように加工間隙距離信号15を調節する。 放電加工プロセス1及び電極制御系14からは、少なくと
もサーボ基準電圧制御を行うのに有効な手法(第10図参
照)に必要とされる加工状況量31が出力され、この状況
量31は状況検出器32に入力される。 状況検出器32は、前記手法に必要な加工状況量を検出す
るものであり、この検出された状況検出値32aは状況記
憶部33に格納される。状況記憶部33は、状況検出値32a
の現在又は過去の少なくとも一方を格納するものであ
り、これから読み出された状況量34は推論部36に入力さ
れる。 35はサーボ基準電圧制御を行うのに有効な手法(第10図
参照)を格納する知識記憶部であり、この知識記憶部35
から読み出された手法35aは推論部36に入力される。 推論部36は、状況記憶部33からの状況量34と知識記憶部
35からの手法35aに基づいて最適なサーボ基準電圧制御
及び適応的な変更を総合的に決定するものであり、この
推論部36で決定された最適サーボ基準電圧制御用の指令
値36aはサーボ基準電圧制御器37に与えられる。また、
サーボ基準電圧制御器37からは、サーボ基準電圧設定器
16に対しサーボ基準電圧操作量37aが出力されるように
なっている。 なお、第9図において、破線で囲んだ部分が最適なサー
ボ基準電圧制御の指令値36aを生成するためのもので、
本実施例の主要部を構成している。 次に、上記のように構成された本実施例の動作,即ち最
適なサーボ基準電圧の指令値36aを生成するための動作
について説明する。 第10図はサーボ基準電圧制御を行うのに有効な手法の一
例である。このような手法I,IIを適切かつ容易に記述す
るには、ファジイ集合を利用して行う。例えば、第11図
に示すファジイ集合を利用して第10図に示す手法I,IIを
IF前件部、THEN後件部からなるルール形式で記憶部35に
記述できる。 即ち、第10図の手法Iに含まれている,「有効放電効率
が小さく」,「加工中の電極の動きの振幅が大きく」,
「加工深さが深い」,「サーボ基準電圧は高く」,ある
いは、手法IIに含まれている,「有効放電効率が大き
く」,「加工中の電極の動きの振幅が小さく」,「加工
深さが浅い」,「サーボ基準電圧は低く」などの定性的
なあいまいな表現を第11図に示すようにメンバーシップ
関数で記述する。 例えば、手法Iにおける「有効放電率が小さい」という
特徴は、有効放電率が25%以下ならば、全く満足すると
いう意味で、メンバーシップ関数の値を「1」とし、有
効放電率が75%以上ならば、全く満足しないという意味
でメンバーシップ関数の値を「0」とし、有効放電率が
25〜75%ならば0〜1の間で満足するという意味でメン
バーシップ関数の値を「0〜1」とする。同様にして、
手法Iの「電極の動きに振幅」,「加工深さ」,「サー
ボ基準電圧」及び手法IIにおける「有効放電率」,「電
極の動きの振幅」,「加工深さ」,「サーボ基準電圧」
の定性的なあいまいな表現もメンバーシップ関数により
適切かつ容易に記述することができる。 一方、状況記憶部33には、知識記憶部35に格納された手
法に必要な加工状況量31を状況検出器32により検出した
状況検出値32aが格納されている。 第10図に示すような場合には、有効放電率,電極の動き
の振幅,加工深さ等である。 推論部36は、知識記憶部35に格納された手法と状況記憶
部33に格納された状況とから第12図に示す手順に従って
ファジイ推論を行い最適な休止時間制御の指令値36aを
決定する。同図において、34a,34b,34cは、状況記憶部3
3に格納された「有効放電率」,「加工中の電極の動き
の振幅」,「加工深さ」の検出値である。ファジイ推論
では、それぞれの手法I,IIにおいて、これらの状況量34
がメンバーシップ関数で記述された前件部の定性的なあ
いまい表現を、どのくらい満足するかを調べ、その前件
部において一番満足度の小さいメンバーシップ関数の値
(手法Iでは検出値34a,手法IIでは検出値34c)で、後
件部のメンバーシップ関数の上限をカットし、それぞれ
のメンバーシップ関数の中で常に一番大きい関数数値を
もつようにメンバーシップ関数の合成を行い、合成され
たメンバーシップ関数の面積重心位置C.Gを求める。こ
の値が最適なサーボ基準電圧制御の指令値36aである。 上述のような本実施例にあっては、サーボ基準電圧制御
を行うのに有効な手法を知識記憶部に格納し、該手法に
少なくとも必要な加工状況量を状況記憶部に格納し、該
手法と該加工状況量から推論部によりサーボ基準電圧の
指令値を総合的に決定できるように構成したので、サー
ボ基準電圧制御に関する熟練作業者のもつ手法を適切か
つ容易に記述できるとともにそれらの手法により最適な
サーボ基準電圧加工の実行および、適応的な変更が自動
的に行うことができる。 上記第3実施例の第12図では、手法の前件部が3つの加
工状況,後件部が1つのサーボ基準電圧制御量を記述し
たものであるが、これらを制限するものは何もない。ま
た、手法の数が増えることにおいても同様な最適なサー
ボ基準電圧制御の指令値が求められることは言うまでも
ない。さらに、この実施例においては、放電加工状態の
不安定度により適応的にサーボ基準電圧の変更を行うこ
とについて述べなかったが、上述と同様の考え方で実現
できる。 また、上記第3実施例では、知識記憶部にファジイ集合
を利用し推論部でファジイ推論を行ったが、その他一般
のエキスパートシステムで利用されている知識表現と推
論方法を利用することも当然可能であり、上記第3の実
施例と同様の効果を奏する。 実施例4 第13図乃至第16図は、この発明による放電加工制御装置
の第4の実施例を示すもので、特に放電加工状態を最適
に保ち、且つ放電加工能率を最大にするような速度ゲイ
ン制御を実現する放電加工制御装置である。 第13図は全体の構成を示すもので、1は放電現象を含む
放電加工プロセス、2は放電加工プロセス1より出力さ
れる状況量、4は状況量2を検出する状況検出器であ
る。5は状況検出器4より出力される状況量の検出値
で、本データは演算部46へ入力される。演算部46はサー
ボ電圧指令値と検出値5とを演算するもので、その演算
結果の出力46aは増幅器45に入力される。44は加工時の
送り速度ゲインを設定する速度ゲイン設定器で、その設
定器44aは増幅器45に入力される。増幅器45は演算部46
の演算結果の出力“A"(46a)に速度ゲイン設定器44で
設定した速度ゲイン設定値“K"(44a)の増幅率で増幅
して出力45a{“AK”(KA)}を電極制御系43へ与え
る。電極制御系43は与えられた値によって電極を駆動制
御し、電極の応答速度43aを変更調節する。 放電加工プロセス1及び速度ゲイン設定器44からは、少
なくとも速度ゲインの制御を行うのに必要な手法(第14
図参照)を行うのに必要な加工状況量47が出力され、こ
の状況量47は状況器48に入力される。 状況検出器48は、前記手法に必要な加工状況量を検出す
るものであり、この検出された状況検出値48aは状況記
憶部49に格納される。状況記憶部49は、状況検出値48a
の現在又は過去の少なくとも一方を格納するものであ
り、これから読み出された状況量50は推論部51に入力さ
れる。52は加工時の軸送り速度のゲイン制御を行うのに
有効な手法(第14図参照)を格納する知識記憶部であ
り、この知識記憶部52から読み出された手法52aは推論
部51に入力される。 推論部51は、状況記憶部49からの状況量50と知識記憶部
52からの手法52aに基づいて最適な速度ゲイン制御及び
適応的な変更を総合的に決定するものであり、この推論
部51で決定された最適な速度ゲイン制御用の指令値51a
は速度ゲイン制御器53に与えられる。また、この速度ゲ
イン制御器53からは、速度ゲイン設定器44に対して速度
ゲイン操作量53aが出力されるようになっている。 なお、第13図において破線で囲んだ部分が最適な速度ゲ
イン制御の指令値51aを生成するためのもので、本実施
例の主要部を構成している。 次に、上記のように構成された本実施例の動作,すなわ
ち最適な速度ゲイン制御の指令値53aを生成するための
動作について説明する。 第14図は、速度ゲイン制御を行うのに有効な手法の一例
である。このような手法I〜IVを適切かつ容易に記述す
るには、ファジイ集合を利用して行う。例えば、第15図
に示すファジイ集合を利用して第14図に示す手法I〜IV
をIF前件部、THEN後件部からなるルール形式で記憶部52
に記述できる。 すなわち、第14図の手法Iに含まれている「速度ゲイン
を増加」,「有効放電率が小さく」,「加工中の電極の
動きの振幅が大きく」,「速度ゲインは低く」或いは手
法IIに含まれている「速度ゲイン増加」,「有効放電率
が大きく」,「加工中の電極の振幅が小さく」,「速度
ゲインは高く」或いは手法IIIに含まれている「速度ゲ
インを減少」,「有効放電率が小さく」,「加工中の電
極の振幅が大きく」,「速度ゲインは高く」或いは手法
IVに含まれている「速度ゲインを減少」,「有効放電率
が大きく」,「加工中の電極の動きの振幅が小さく」,
「速度ゲインは低く」などの定性的なあいまいな表現を
第15図に示すようにメンバーシップ関数で記述する。 例えば、手法Iにおける「有効放電率が小さい」という
特徴は、有効放電率が25%以下ならば、全く満足すると
いう意味で、メンバーシップ関数の値を「1」とし、有
効放電率が75%以上ならば、全く満足しないという意味
でメンバーシップ関数の値を「0」とし、有効放電率が
25〜75%ならば0〜1の間で満足するという意味でメン
バーシップ関数の値を「0〜1」とする。同様にして、
手法Iの「電極の動きの振幅」,「速度ゲインの変化
量」,「速度ゲイン」及び手法IIにおける「有効放電
率」,「電極の動きの振幅」,「速度ゲインの変化
量」,「速度ゲイン」などの定性的なあいまいな表現も
メンバーシップ関数により適切かつ容易に記述すること
ができる。 一方、状況記憶部49には、知識記憶部52に格納された手
法に必要な加工状況量50を状況検出器48により検出した
状況検出値48aが格納されている。 第14図に示すような場合には、速度ゲインの変動量,有
効放電率,電極の動きの振幅,加工ゲイン等である。 推論部51は、知識記憶部52に格納された手法と状況記憶
部49に格納された状況量とから第16図に示す手順に従っ
てファジイ推論を行い最適な速度ゲインの指令値51aを
決定する。同図において、50a,50b,50cは、状況記憶部4
9に格納された「速度ゲインの変化量」,「有効放電
率」,「加工中の電極の動きの振幅」,「有効放電
率」,「加工中の電極の動きの振幅」の検出値である。
ファジイ推論では、それぞれの手法I,IIにおいて、これ
らの状況量50がメンバーシップ関数で記述された前件部
の定性的なあいまい表現を、どのくらい満足するかを調
べ、その前件部において一番満足度の小さいメンバーシ
ップ関数の値(手法Iでは検出値50b、手法IIでは検出
値50c)で、後件部のメンバーシップ関数の上限をカッ
トし、それぞれのメンバーシップ関数の中で常に一番大
きい関数値をもつようにメンバーシップ関数の合成を行
い、合成されたメンバーシップ関数の面積重心位置C.G
を求める。この値が最適な速度ゲイン制御の指令値51a
である。 上述のような本実施例であっては、速度ゲイン制御を行
うのに有効な手法を知識記憶部に格納し、該手法に少な
くとも必要な加工状況量を状況記憶部に格納し、該手法
と該加工状況量から推論部によりサーボ基準電圧の指令
値を総合的に決定できるように構成したので、速度ゲイ
ン制御に関する熟練作業者のもつ手法を適切かつ容易に
記述できるとともにそれらの手法により最適な速度ゲイ
ン制御の実行及び適応的な変更が自動的に行うことがで
きる。 上記の実施例の第16図では、手法の前件部が3つの加工
状況、後件部が1つの速度ゲイン制御量を記述したもの
であるが、これらを制限するものは何もない。また、手
法の数が増えることにおいても同様に最適な速度ゲイン
制御の指令値が求められることはいうまでもない。さら
に、この実施例においては、放電加工状態の不安定度に
より適応的に速度ゲインの変更を行うことについて述べ
なかったが、上述と同様の考え方で実現できる。 また、上記の実施例では、知識記憶部にファジイ集合を
利用し推論部でファジイ推論を行ったが、その他一般の
エキスパートシステムで利用されている知識表現と推論
方法を利用することも当然可能であり、上記の実施例と
同様の効果を奏する。
以上のように、この発明によれば、休止時間,放電持続
時間,サーボ基準電圧及び速度ゲイン等の加工条件の制
御を行うのに有効な手法を知識手段に格納し、前記手法
に少なくとも必要な加工状況の量を検出して、これを状
況記憶手段に格納し、これらの記憶手段からの手法及び
加工状況の量から推論部において加工条件の指令値を総
合的に決定できるよう構成したので、休止時間,放電持
続時間,サーボ基準電圧及び速度ゲイン等の最適な加工
条件制御に関する熟練作業者のもつ手法を適切かつ容易
に記述できると共に、それらの手法により最適な加工条
件制御の実行及び適応的な変更が自動的に行い得るとい
う効果がある。
時間,サーボ基準電圧及び速度ゲイン等の加工条件の制
御を行うのに有効な手法を知識手段に格納し、前記手法
に少なくとも必要な加工状況の量を検出して、これを状
況記憶手段に格納し、これらの記憶手段からの手法及び
加工状況の量から推論部において加工条件の指令値を総
合的に決定できるよう構成したので、休止時間,放電持
続時間,サーボ基準電圧及び速度ゲイン等の最適な加工
条件制御に関する熟練作業者のもつ手法を適切かつ容易
に記述できると共に、それらの手法により最適な加工条
件制御の実行及び適応的な変更が自動的に行い得るとい
う効果がある。
第1図はこの発明による放電加工制御装置の第1の実施
例を示す全体の構成図、第2図は第1実施例における休
止時間制御を行うのに有効な手法の一例を示す説明図、
第3図はファジイ集合を利用して第2図の手法を記述し
た場合の一例を示す説明図、第4図は第2図の手法での
ファジイ推論の過程を示す説明図、第5図はこの発明に
よる放電加工制御装置の第2の実施例を示す全体の構成
図、第6図は第2実施例における放電持続時間制御を行
うのに有効な手法の一例を示す説明図、第7図はファジ
イ集合を利用して第6図の手法を記述した場合の一例を
示す説明図、第8図は第6図の手法でのファジイ推論の
過程を示す説明図、第9図はこの発明による放電加工制
御装置の第3の実施例を示す全体の構成図、第10図は第
3実施例におけるサーボ基準電圧制御を行うのに有効な
手法の一例を示す説明図、第11図はファジイ集合を利用
して第10図の手法を記述した場合の一例を示す説明図、
第12図は第10図の手法でのファジイ推論の過程を示す説
明図、第13図はこの発明による放電加工制御装置の第4
の実施例を示す全体の構成図、第14図は、第13図の実施
例における速度ゲイン制御を行うのに有効な手法の一例
を示す説明図、第15図はファジイ集合を利用して第14図
の手法を記述した場合の一例を示す説明図、第16図は第
14図の手法でのファジイ推論の過程を示す説明図、第17
図は従来の休止時間制御による放電加工制御装置のブロ
ック図、第18図は従来の放電持続時間制御による放電加
工制御装置のブロック図、第19図は電極コーナ部の状態
を示す説明図、第20図は従来のサーボ基準電圧制御によ
る放電加工制御装置のブロック図、第21図及び第22図は
極間電圧波形図、第23図は、従来の速度ゲイン制御によ
る放電加工制御装置の実施例を示す全体の構成図、第24
図は速度ゲインの低い場合の電極間の電圧波形、第25図
は速度ゲインの高い場合の電極間の電圧波形図である。 1……放電加工プロセス、3……加工電源、6……休止
時間設定器、8……休止時間制御器、10……放電持続時
間設定器、12……放電持続時間制御器、16……サーボ基
準電圧設定器、18,46……演算部、14,43……電極制御
系、20,26,32,48……状況検出器、21,27,33,49……状況
記憶部、22,29,35,52……知識記憶部、23,30,36,51……
推論部、37……サーボ基準電圧制御部。 なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
例を示す全体の構成図、第2図は第1実施例における休
止時間制御を行うのに有効な手法の一例を示す説明図、
第3図はファジイ集合を利用して第2図の手法を記述し
た場合の一例を示す説明図、第4図は第2図の手法での
ファジイ推論の過程を示す説明図、第5図はこの発明に
よる放電加工制御装置の第2の実施例を示す全体の構成
図、第6図は第2実施例における放電持続時間制御を行
うのに有効な手法の一例を示す説明図、第7図はファジ
イ集合を利用して第6図の手法を記述した場合の一例を
示す説明図、第8図は第6図の手法でのファジイ推論の
過程を示す説明図、第9図はこの発明による放電加工制
御装置の第3の実施例を示す全体の構成図、第10図は第
3実施例におけるサーボ基準電圧制御を行うのに有効な
手法の一例を示す説明図、第11図はファジイ集合を利用
して第10図の手法を記述した場合の一例を示す説明図、
第12図は第10図の手法でのファジイ推論の過程を示す説
明図、第13図はこの発明による放電加工制御装置の第4
の実施例を示す全体の構成図、第14図は、第13図の実施
例における速度ゲイン制御を行うのに有効な手法の一例
を示す説明図、第15図はファジイ集合を利用して第14図
の手法を記述した場合の一例を示す説明図、第16図は第
14図の手法でのファジイ推論の過程を示す説明図、第17
図は従来の休止時間制御による放電加工制御装置のブロ
ック図、第18図は従来の放電持続時間制御による放電加
工制御装置のブロック図、第19図は電極コーナ部の状態
を示す説明図、第20図は従来のサーボ基準電圧制御によ
る放電加工制御装置のブロック図、第21図及び第22図は
極間電圧波形図、第23図は、従来の速度ゲイン制御によ
る放電加工制御装置の実施例を示す全体の構成図、第24
図は速度ゲインの低い場合の電極間の電圧波形、第25図
は速度ゲインの高い場合の電極間の電圧波形図である。 1……放電加工プロセス、3……加工電源、6……休止
時間設定器、8……休止時間制御器、10……放電持続時
間設定器、12……放電持続時間制御器、16……サーボ基
準電圧設定器、18,46……演算部、14,43……電極制御
系、20,26,32,48……状況検出器、21,27,33,49……状況
記憶部、22,29,35,52……知識記憶部、23,30,36,51……
推論部、37……サーボ基準電圧制御部。 なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】放電加工において,休止時間,放電持続時
間,サーボ基準電圧及び加工時の軸送り速度等の加工条
件のうち少なくとも1つを制御する制御手段と,前記制
御手段による加工条件の制御を行うのに有効な手法を格
納する知識記憶手段と,少なくとも前記手法に必要な加
工状況を放電加工プロセスから検出する状況検出手段
と、前記状況検出手段により検出された現在もしくは過
去の加工状況の量の少なくとも一方を格納する状況記憶
手段と,前記状況記憶手段から続み出された加工状況の
量とこれらに関連して前記知識記憶手段から読み出され
た手法とから得られる複数個の結果を合成し,前記制御
手段による加工条件の制御の指令値を求める推論手段と
を備えてなる放電加工制御装置。 - 【請求項2】請求項1記載の知識記憶手段において、休
止時間制御,放電持続時間制御,サーボ基準電圧制御を
行うに有効な手法が,判定すべき条件を記した前件部
と,その条件が満足あるいは満足されなかつた場合に実
行される内容を記した後件部とからなるルールにより格
納されている知識記憶部を持つことを特徴とする放電加
工制御装置。 - 【請求項3】請求項1記載の放電加工制御装置におい
て、知識記憶手段が一部あるいは全部のルールの前件部
および後件部をフアジイ集合により表現し,この表現と
そのフアジイ集合に対するメンバシツプ関数,あるいは
メンバシツプ関数とその関数間の関係を格納し,かつ推
論手段がフアジイ合成により状況記憶手段に格納された
加工状況と上記の知識記憶手段に格納されたこれらの状
況に関連する手法とから得られる複数個の結果を合成
し、休止時間制御,放電持続時間制御,サーボ基準電圧
制御の指令値を求めるようになつていることを特徴とす
る放電加工制御装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1206058A JPH0741471B2 (ja) | 1988-10-04 | 1989-08-09 | 放電加工制御装置 |
US07/563,650 US5200905A (en) | 1989-08-09 | 1990-08-07 | Electric discharge machining control apparatus |
CH2591/90A CH682310A5 (ja) | 1989-08-09 | 1990-08-09 | |
DE4025294A DE4025294C2 (de) | 1989-08-09 | 1990-08-09 | Steuervorrichtung für eine elektroerosive Bearbeitung |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63-250228 | 1988-10-04 | ||
JP25022888 | 1988-10-04 | ||
JP1206058A JPH0741471B2 (ja) | 1988-10-04 | 1989-08-09 | 放電加工制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02198714A JPH02198714A (ja) | 1990-08-07 |
JPH0741471B2 true JPH0741471B2 (ja) | 1995-05-10 |
Family
ID=26515423
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1206058A Expired - Fee Related JPH0741471B2 (ja) | 1988-10-04 | 1989-08-09 | 放電加工制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0741471B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4255634B2 (ja) | 2001-11-29 | 2009-04-15 | 三菱電機株式会社 | ワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法 |
-
1989
- 1989-08-09 JP JP1206058A patent/JPH0741471B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02198714A (ja) | 1990-08-07 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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