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JPH07292004A - 懸濁重合方法 - Google Patents

懸濁重合方法

Info

Publication number
JPH07292004A
JPH07292004A JP8893194A JP8893194A JPH07292004A JP H07292004 A JPH07292004 A JP H07292004A JP 8893194 A JP8893194 A JP 8893194A JP 8893194 A JP8893194 A JP 8893194A JP H07292004 A JPH07292004 A JP H07292004A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerizable monomer
continuous phase
cylinder
taylor
droplet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8893194A
Other languages
English (en)
Inventor
Hironobu Nagasaki
宏宣 長崎
Hideaki Kubo
英明 久保
Jun Shida
純 志田
Naoki Katada
直樹 片田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP8893194A priority Critical patent/JPH07292004A/ja
Publication of JPH07292004A publication Critical patent/JPH07292004A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 均一な粒径を有し、かつ高重合率のポリマー
ビーズを高収率で製造することができる懸濁重合方法を
提供する。 【構成】 分散剤を含有する連続相に重合性モノマー液
滴群が分散された懸濁液を、静止した外円筒と回転可能
な内円筒を有する共軸二重回転円筒の環状部で、アルキ
メデス数(Arで表す)が7×10-4以下の場合にはテイ
ラー数(Taで表す)が1.16×105Ar+38.8≦Ta≦2
000の範囲内、アルキメデス数が7×10-4より大きい場
合にはテイラー数が8.12×105Ar−367≦Ta≦2000の
範囲内となるように内円筒を回転させながら重合させる
ことによりポリマービーズを製造することを特徴とする
懸濁重合方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、懸濁重合方法に関す
る。より詳細には、この発明は、重合性モノマー液滴群
が分散された懸濁液を、外円筒と内円筒を有する共軸二
重回転円筒の環状部でテイラー渦を生じさせながら懸濁
重合を行うことによる懸濁重合方法に関するものであ
る。この発明の懸濁重合方法は、ポリマービーズを均一
粒径かつ高収率に得るのに有用である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】中心軸
を共有する2円筒間に流体を満たし、外円筒を静止さ
せ、内円筒をある臨界値以上に回転することにより特殊
な渦流れが生じることが知られている。このような装置
においては、内円筒付近の流速は外円筒付近の流速より
も大きく、そのため内円筒付近を回転する流体塊の遠心
力の方が外円筒付近を回転する流体塊の遠心力よりも大
きくなり、内円筒付近の流体塊は外円筒の方へ吐出流と
なって噴出し、代わりに外円筒付近の流体塊は帰還流と
なって内円筒に向かって流れる。このような吐出流と帰
還流は円筒軸方向に規則正しく並ぶため、内円筒を巻く
ようにドーナツ状の渦が形成される。この渦がテイラー
渦と呼ばれている。
【0003】このテイラー渦を生じさせる装置として
は、静止した外円筒と回転可能な内円筒を有する共軸回
転円筒構造を有するものであればよく、例えば特開昭第
56-139122号公報に開示のものがある。
【0004】また、テイラー渦を生じさせながら懸濁重
合を行うことによって重合体粒子を製造する方法が、特
開平第5−132504号公報に開示されている。しかしなが
ら、上記公報に開示の方法では、重合体液滴の比重と分
散剤を含有する連続相の比重との差が大きい場合には、
テイラー渦による攪拌力に比べて重合体液滴に対する浮
力あるいは重力の効果が強くなるために、連続的に重合
反応を行う場合には、重合体液滴(分散相)が反応器内
をショートパスしてしまい、一部の重合体液滴が目的の
反応率に達する前に反応器から排出されてしまったり、
逆に反応器から排出されずに過剰に反応器内に蓄積し、
その結果流路を閉塞させてしまうという問題がある。ま
た、上記公報に開示の方法で回分反応を行う場合には、
重合体液滴の比重が連続相の比重より軽いと、反応器上
部に重合体液滴が浮遊し、逆に重合体液滴の比重が連続
相の比重より重いと、反応器底部に重合体液滴が沈降し
てしまい、重合体液滴の合一が生じ、その結果収率が低
下してしまうという問題点がある。更には、上記公報に
開示の方法では、得られるポリマービーズの粒径分布が
広いという欠点もある。
【0005】一方、重合に先立って均一粒径を有する重
合性モノマーの水中油型分散液を別の装置で製造した
後、この分散液を重合反応器中に供給して懸濁重合を行
う方法が考えられている。特開昭第57-102905号公報に
は、重合性モノマーをノズルを通して噴出させ、この噴
出流に機械的振動を与えて均一粒径を有する重合性モノ
マーの水中油型分散液を製造し、それを懸濁重合する方
法が開示されており、特開平第3-249931号公報には、多
数の噴出孔が環状に配設されているノズルプレートを用
いて均一粒径を有する重合性モノマーの水中油型分散液
を製造し、それを懸濁重合する方法が開示されている。
【0006】発明者らは、重合性モノマー液滴群が分散
された懸濁液を重合させる方法について鋭意研究を重ね
た結果、液滴形成装置を介して形成された重合性モノマ
ー液滴群が分散された懸濁液を、外円筒と内円筒を有す
る共軸二重回転円筒の環状部でテイラー渦を生じさせな
がら懸濁重合を行う場合に、取り扱う反応系において重
合性モノマー液滴が反応器内をショートパスあるいは浮
遊もしくは沈降しないようなテイラー数条件を見い出
し、この発明を完成するに至った。この発明は、均一粒
径のポリマービーズを高収率で製造することができる懸
濁重合方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明によれば、分散
剤を含有する連続相に重合性モノマー液滴群が分散され
た懸濁液を、静止した外円筒と回転可能な内円筒を有す
る共軸二重回転円筒の環状部で、アルキメデス数(Ar
で表す)が7×10-4以下の場合にはテイラー数(Taで
表す)が1.16×105Ar+38.8≦Ta≦2000の範囲内、
アルキメデス数が7×10-4より大きい場合にはテイラー
数が8.12×105Ar−367≦Ta≦2000の範囲内となるよ
うに内円筒を回転させながら重合させることによりポリ
マービーズを製造することを特徴とする懸濁重合方法が
提供される。
【0008】テイラー数とは、テイラー渦の発生を規定
するものであり、下記式、 Ta=(Ri・ω・d/ν)(d/Ri)1/2 (式中、Taはテイラー数、Riは内円筒の外径、ωは
内円筒の回転角速度、dは内外円筒の環状部の巾、νは
動粘度を示す)で求められるものである。すなわち、テ
イラー渦は内円筒の外径、内円筒の回転角速度、内外円
筒の環状部の巾及び動粘度の各パラメーターにより決定
される。また、アルキメデス数とは、液滴に対する浮力
(重力)を考慮した無次元数であり、下記式、 Ar=(Δρ2・Dp3・g)/μ2 (式中、Arはアルキメデス数、Δρは液滴と連続相と
の比重差、Dpは液滴径、μは連続相粘度、gは重力加
速度を示す)で求められるものである。この式より、ア
ルキメデス数が大きいほど、すなわち液滴と連続相との
比重差や液滴径が大きいほど又は連続相粘度が小さいほ
ど、液滴に対する浮力又は重力の影響が大きくなること
が理解される。
【0009】ここで、アルキメデス数とテイラー数の関
係について説明する。図4は、分散相(液滴)の比重が
連続相の比重に比べて軽い場合における、テイラー数を
755に保持して連続的に懸濁重合反応を行ったときの、
分散相の滞留時間分布のピークが現れる時間(tD)を
連続相の滞留時間分布のピークが現れる時間(tC)で
割った値(tD/tC)とアルキメデス数との関係を示し
ている。図4より、あるアルキメデス数まではtD/tC
=1.0、つまり分散相は連続相の流れに従って反応器内
を流動するが、アルキメデス数がある値を越えて大きく
なると、分散相に対する浮力の影響が大きくなるために
D/tC<1.0となり、分散相は反応器内をショートパ
スしてしまうことが理解される。従って、分散相が反応
器内をショートパスすることなく反応を進行させるため
には、tD/tC=1.0となるようなアルキメデス数(す
なわち、tD/tC<1.0となり始めるアルキメデス数よ
り小さいアルキメデス数)を有する反応系で懸濁重合反
応を行う必要がある。この様なtD/tCの値が1.0より
ずれ始めるアルキメデス数を臨界アルキメデス数(Ar
cで表す)と称す。また、分散相の比重が連続相の比重
に比べて重い場合には、tD/tC>1.0となる。
【0010】図5は、アルキメデス数及びテイラー数を
種々変化させてArcを求めたときのテイラー数とAr
cとの関係を示している。図5より、Arcはテイラー
数に依存して変化し、テイラー数が大きくなるにつれて
Arcも大きくなることが明らかである。つまり、図5
は、アルキメデス数が大きくなる様な反応系を取り扱う
場合ほどテイラー数を大きくする必要があることを示し
ている。また、図5より、テイラー数(Ta)とArc
との関係が、Arcが7×10-4以下の場合にはTa=1.
16×105Ar+38.8であり、Arcが7×10-4より大き
い場合にはTa=8.12×105Ar−367であることが理解
される。従って、分散相が反応器内をショートパスする
ことなく反応を進行させるためには、Arcが7×10-4
以下の場合には少なくともテイラー数を1.16×105Ar
+38.8以上とし、Arcが7×10- 4より大きい場合には
少なくともテイラー数を8.12×105Ar−367以上とする
必要がある。
【0011】また、この発明においては、テイラー数が
2000を越えるとテイラー渦が乱れ始め連続相のプラグフ
ロー性が低下するために好ましくない。
【0012】従って、この発明において用いられるテイ
ラー数としては、アルキメデス数が7×10-4以下となる
場合には1.16×105Ar+38.8≦Ta≦2000の範囲内
(図5における領域)、アルキメデス数が7×10-4
り大きい場合には8.12×105Ar−367≦Ta≦2000の範
囲内(図5における領域)であるが好ましい。より好
ましくは上記領域又はであって40≦Ta≦1600であ
り、特に好ましくは40≦Ta≦800である。この発明に
おいて用いられるテイラー数は、取り扱う反応系の物性
(重合性モノマー液滴の比重、分散剤を含有する連続相
の比重及び粘度等)及び目的とするポリマービーズの粒
径、すなわち取り扱う反応系におけるアルキメデス数に
応じて上記範囲内で適切に変更される。上記のテイラー
数の範囲内であれば、重合性モノマー液滴は反応器内を
ショートパスあるいは浮遊もしくは沈降することなく目
的の反応率まで反応させることが可能であり、均一な粒
径を有するポリマービーズを高収率で得ることができ
る。
【0013】この発明の懸濁重合方法によって製造され
るポリマービーズにおける粒子の均一性は、粒径分布の
分散係数〔(標準偏差÷平均直径)×100〕によって示
すことができる。この発明の懸濁重合方法によれば、分
散係数が20%以下、好ましくは15%以下、更に好ましく
は10%以下の粒径分布を有するポリマービーズが製造さ
れる。また、収率は、供給した重合性モノマーと得られ
たポリマーとの重量比より与えられる。
【0014】この発明における重合性モノマー液滴群が
分散された懸濁液は、反応器内(即ち、静止した外円筒
と回転可能な内円筒を有する共軸二重回転円筒の環状
部)で調製されてもよく、反応器の外で調製され、調製
後、懸濁液を反応器内に供給してもよい。この発明にお
ける重合性モノマー液滴群が分散された懸濁液の調製方
法について、以下に説明する。
【0015】この発明における重合性モノマー液滴群が
分散された懸濁液は、通常、液滴形成装置を用いて形成
される。この液滴形成装置は、多孔部材、例えばマルチ
ノズル、多孔オリフィスプレート又は多孔質膜を備えて
いる。懸濁液中における重合性モノマー液滴群は、均一
なサイズ(又は液滴径、以下サイズと称す)を有するの
が好ましい。上記のような多孔部材を介して形成された
重合性モノマー液滴群は十分に均一なサイズを有するも
のであるが、振動法又は電界法を同時に適用することに
より、さらにサイズの均一性を高めることができる。
【0016】この発明において用いられるマルチノズル
又は多孔オリフィスプレートの噴出孔の孔径は、分散剤
を含有する連続相の液体及び液滴化対象液である重合性
モノマーの物性、振動等の種々の因子の影響を受ける
が、主として、目的とする液滴のサイズにより決定され
る。一般に、重合性モノマー液滴のサイズは5〜10000
μmが適切であるために、噴出孔の孔径は2〜5000μm
が適切であり、3〜2000μmがより好ましい。また、噴
出孔の配列ピッチは孔径の10〜200倍が適切であり、15
〜100倍がより好ましい。
【0017】噴出孔から噴出する液滴化対象液である重
合性モノマーの噴出速度はレイノルズ数により決定さ
れ、均一なサイズを有する液滴群を得るためには層流に
することが必要である。レイノルズ数とは、下記式、 Re=D・u・ρ/μ (式中、Reはレイノルズ数、Dは噴出孔の孔径、uは
噴出速度、ρは液滴化対象液の密度、μは液滴化対象液
の粘度を示す)で求められるものである。この発明にお
いては、レイノルズ数が10未満の場合には、流量が小さ
くなり、生産効率が低下するので好ましくない。また、
2000を越えると乱流領域になるために均一なサイズを有
する液滴群が生成しないので好ましくない。従って、レ
イノルズ数の大きさは10〜2000の範囲内が適切であり、
20〜1000の範囲内がより好ましい。液滴化対象液である
重合性モノマーの噴出速度を上記レイノルズ数の範囲内
となるように設定することにより、均一なサイズを有す
る重合性モノマーの液滴群を得ることができる。
【0018】反応器内で重合性モノマー液滴群が分散さ
れた懸濁液を調製する場合には、重合性モノマーの噴出
孔は、二重回転円筒の環状部の下部面あるいは上部面に
設けることもできるし、環状部の側面に設けることもで
きる。また、反応器の外で懸濁液を調製する場合には、
反応器の外に噴出口を有する液滴生成部を設け、そこで
調製された懸濁液を反応器内に供給することができる。
【0019】多孔部材としてマルチノズル、多孔オリフ
ィスプレート又は多孔質膜を使用する場合には、重合性
モノマー液滴におけるサイズの均一性を高めるために、
分散剤を含有する連続相及び/又は噴出孔から噴出する
重合性モノマーの液滴化対象液を振動させるのが好まし
い。この発明において用いられる振動法としては、噴出
流を均一な液滴群に分散させることのできる振動特性を
有するものであれば何れでもよく、その振動数として
は、一般には10〜100000Hzが適切であり、20〜50000
Hzがより好ましい。具体的な振動手段としては、例え
ば機械的振動子、電音響的振動子、水音響的振動子、電
磁的振動子、磁気抵抗的トランスデューサー、圧電振動
子等を用いることができる。振動手段は、ノズルに接続
してノズルを振動させるようにしてもよいし、反応器又
は反応器の外の液滴生成装置に接続して反応器又は液滴
生成装置内の重合性モノマーの液滴化対象液を振動させ
るようにしてもよい。上記のように、分散剤を含有する
連続相と液滴化対象液である重合性モノマーの両方、あ
るいはそのどちらか一方に振動を与えながら重合性モノ
マー液滴群を形成させることによって、サイズの均一な
液滴群が分散された懸濁液を得ることができる。
【0020】また、多孔部材としてマルチノズル又は多
孔オリフィスプレートを使用する場合には、重合性モノ
マー液滴におけるサイズの均一性を高めるために、電界
法を適用するのも好ましい。電界法としては、例えば分
散剤を含有する連続相内に電極を設け、電極と噴出孔間
に交流または直流の電圧を印加することにより重合性モ
ノマーの液滴化対象液を微細化する方法を適用すること
ができる。電圧印加条件としては、交流電界の場合には
交流周波数が1〜30000Hzで、電圧が200〜5000Vであ
るのが適切であり、直流電界の場合には電圧が10〜5000
Vであるのが適切である。
【0021】多孔部材として多孔質膜を使用して重合性
モノマー液滴群を形成する方法としては、例えば均一細
孔を有する多孔質膜を介して重合性モノマーを分散剤を
含有する連続相に圧入分散させる方法を適用することが
でき、このような方法によって、サイズの揃った重合性
モノマー液滴群が調製される。この方法においては、通
常の操作条件(例えば、圧力条件等)ではサイズは細孔
径のみに依存し、重合性モノマー液流量には依存しな
い。細孔径は、液滴の粒径に合わせて50nm〜50μmの範
囲で適宜選択することができる。
【0022】多孔質膜を使用して重合性モノマー液滴群
を形成する場合には、連続相に振動を与えることによっ
て、重合性モノマーの液滴が多孔質膜表面に付着するの
を防止することができ、より均一な粒径を有する重合性
モノマー液滴群を形成することができる。
【0023】この発明の懸濁重合方法に用いられる重合
性モノマーとしては、一般的に懸濁重合に使用される重
合性モノマーであれば何れでも適用することができる。
この発明に用いられる水不溶性重合性モノマーの好まし
い例としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、
ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、アクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル等のビニル系モノマー又は
これらの混合物等があげられる。また、必要に応じて該
重合性モノマーを溶媒により希釈することが可能であ
り、希釈剤としては、例えばトルエン、ヘキサン等を用
いることができる。この発明に用いられる水溶性重合性
モノマーの好ましい例としては、例えばアクリルアミ
ド、メタアクリルアミド、フマルアミド、アクリル酸、
アクリル酸塩、メタアクリル酸、メタアクリル酸塩等が
あげられる。
【0024】水不溶性重合性モノマーに対しては、連続
相の液体として、例えば水あるいは水と1種又はそれ以
上の水混和性有機溶媒との混合液を用いることができ
る。水混和性有機溶媒の好ましい例としては、例えばメ
タノール、エタノール等があげられる。また、水溶性重
合性モノマーに対しては、連続相の液体として、例えば
水と混和しない芳香族炭化水素(例えばベンゼン、キシ
レン、トルエン等)及び脂肪族炭化水素(例えばヘプタ
ン、シクロヘキサン等)を用いることができる。
【0025】一般に、懸濁重合では、重合性モノマーに
重合開始剤を溶解させて反応が行われる。重合開始剤と
しては、水不溶性重合性モノマーに対しては、例えば過
酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物、
アゾビスイソブチルニトリル等のアゾ化合物を使用する
ことができ、水溶性重合性モノマーに対しては、例えば
過硫酸塩、過酸化水素等の水溶性フリーラジカル開始剤
を使用することができる。
【0026】この発明において用いられる分散剤として
は、一般的に懸濁重合に使用される分散剤であれば何れ
でも適用することができる。水系の連続相に対して用い
られる分散剤の例としては、例えば高分子保護コロイ
ド、界面活性剤、水不溶性無機物質等があげられ、具体
的には、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、でん
ぷん、メチルセルロース誘導体、ポリアクリル酸塩、ア
ニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、リン酸カ
ルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等
があげられる。水と混和しない連続相に対して用いられ
る分散剤の例としては、例えばソルビタン脂肪酸エステ
ル類、高分子分散剤等があげられ、具体的には、例えば
ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレー
ト、エチルセルロース、ベンジルセルロース、エチルヒ
ドロキシエチルセルロース等があげられる。
【0027】この発明の懸濁重合方法には、回分法と連
続法がある。回分法では、例えば図1に示したような装
置が使用される。図1を用いて回分法について説明す
る。分散剤を含有する連続相の貯槽10及び重合性モノマ
ーの貯槽11から、分散剤を含有する連続相及び重合性モ
ノマー溶液を液滴生成装置7に供給する。液滴生成装置
7で重合性モノマー液滴群のスラリーを形成した後、外
円筒2と内円筒1の間隙に重合性モノマー液滴群のスラ
リーを供給する。このとき、予め外円筒2と内円筒1の
間隙には、分散剤を含有する連続相が満たされていても
よい。この装置は排気口5を有している。内円筒1はモ
ーター4により所定の回転速度で回転している。所定量
の重合性モノマーの液滴群のスラリーを供給した後、ジ
ャケット3に温水を温水入口8より供給して温水出口9
より排出させて循環させることにより反応器内を所定の
温度に調節し、重合反応を行う。反応が完結した後、ポ
リマービーズのスラリーがスラリー出口6より排出され
る。こうして得られるポリマービーズは、均一粒径を有
するものである。
【0028】図1の装置は、液滴生成装置7が反応器の
下部に設置されているが、このように液滴生成装置7が
反応器の下部に設置されている装置は、重合性モノマー
液滴群の比重が連続相の比重よりも小さい場合に有効で
ある。重合性モノマー液滴群の比重が連続相の比重より
も大きい場合には、図3に示されるように、液滴生成装
置7を反応器の上部に設置するのが好ましい。
【0029】連続法では、例えば図2に示したような装
置が使用される。図2を用いて連続法について説明す
る。分散剤を含有する連続相の貯槽10及び重合性モノマ
ーの貯槽11から分散剤を含有する連続相及び重合性モノ
マー溶液を連続的に液滴生成装置7に供給する。液滴生
成装置7で重合性モノマー液滴群のスラリーを形成した
後、外円筒2と内円筒1の間隙に重合性モノマー液滴群
のスラリーを連続的に供給する。このとき、予め外円筒
2と内円筒1の間隙には、分散剤を含有する連続相が満
たされていてもよい。内円筒1はモーター4により所定
の回転速度で回転している。一定流量の重合性モノマー
の液滴群のスラリーを反応器に連続的に供給する。ジャ
ケット3に温水を温水入口8より供給し温水出口9より
排出させて循環させることにより反応器内を所定の温度
に調節し、重合反応を進行させる。反応が進行したポリ
マービーズは、本反応器内で反応を完結させてもよい
し、本反応器から排出した後、排気口5を有する熟成槽
12において反応を完結させてもよい。反応を完結したポ
リマービーズのスラリーは、スラリー出口6より連続的
に排出される。こうして得られるポリマービーズは、均
一な粒径を有するものである。
【0030】連続法の場合には、液滴生成装置7は反応
器の下部あるいは上部のいずれに設置してもよいが、実
際には、連続相及び重合性モノマー液滴群の比重、重合
性モノマー液滴群のサイズ、連続相及び重合性モノマー
の液滴化対象液の流量等を考慮して適宜選択される。
【0031】重合温度は、使用する重合開始剤の分解温
度、連続相の沸点等を考慮して適宜選択されるが、一般
的には約40〜95℃が好ましい。
【0032】
【作用】この発明に係わる懸濁重合方法によれば、静止
した外円筒と回転可能な内円筒を有する共軸二重回転円
筒の環状部で、アルキメデス数(Arで表す)が7×10
-4以下の場合にはテイラー数(Taで表す)が1.16×10
5Ar+38.8≦Ta≦2000の範囲内、アルキメデス数が
7×10-4より大きい場合にはテイラー数が8.12×105
r−367≦Ta≦2000の範囲内となるように内円筒を回
転させながら、分散剤を含有する連続相に多孔部材を介
して重合性モノマーを導入して形成された重合性モノマ
ー液滴群が分散された懸濁液における重合反応が行われ
る。
【0033】このようにして懸濁重合を行う場合には、
共軸二重回転円筒の環状部における半径方向の混合の度
合いがよくかつ一様であるために、テイラー渦内の重合
性モノマー液滴は分裂/合一することがなく、かつアル
キメデス数に応じた適切なテイラー数範囲を用いている
ために、重合性モノマー液滴は反応器内をショートパス
あるいは浮遊もしくは沈降することなく目的の反応率ま
で反応が進行し、均一粒径を有するポリマービーズが高
収率で製造されることとなる。また、共軸二重回転円筒
の環状部における軸方向においては、混合の度合いが小
さくプラグフローに近いため、重合性モノマー液滴を装
置に連続的に供給することにより、高重合率のポリマー
ビーズが連続的に製造されることとなる。
【0034】
【実施例】以下、実施例を示してこの発明を詳細に説明
するが、この発明は、以下の実施例に限定されないこと
はいうまでもない。 実施例1 2重量%のポリビニルアルコール水溶液(比重0.99、粘
度2cp)を満たした液滴生成装置内において、粒径の揃
った重合性モノマー溶液(アクリル酸ラウリル/酢酸ビ
ニル/ジビニルベンゼン/ラウロイルパーオキサイド=
67/23/9/1;比重0.97)の液滴群を形成させた。該
液滴生成装置は共軸二重回転円型反応器下部に設置され
ており、液滴生成装置下部には圧電振動子が装着されて
いる。オリフィス孔数は19孔、ピッチ幅は1.5mm、孔径
は30μmである。重合性モノマー溶液を、オリフィス孔
から1孔当たり0.3g/minの流量で分散剤を含有する連続
相中に噴出させ、5000Hzの正弦波の振動を与え、粒径
120μmの液滴を形成させた(Ar=2.05×10-3)。ま
た、液滴生成部に分散剤を含有する連続相である1重量
%ポリビニルアルコール水溶液を57g/minの流量で連続
的に供給した。
【0035】形成した液滴群のスラリーを、液滴生成装
置上部より連続的に共軸二重回転円筒型反応器下部に供
給し、重合反応を進行させた。共軸二重回転円筒型反応
器の内円筒の外径は100mm、外円筒の内径は150mm、高さ
は1000mm、反応器体積は98mlであり、内円筒を35rpm
(テイラー数1570)で回転させた。内円筒内部は熱媒が
流通する構造になっており、反応器内温度を75℃に設定
した。滞留時間は約2.5時間であり、反応器上部より粒
径の揃ったポリマービーズのスラリーが連続的に得られ
た。得られたポリマービーズの粒径を測定した結果(測
定器:LS−130、コールター社製)、体積平均直径
は120μm、分散係数は8%、収率は98%であった。
【0036】実施例2 直径10mm、長さ180mm、平均細孔径0.9μmのガラス多孔
質膜を10本配し、連相として1重量%のポリビニルアル
コール水溶液(比重0.99、粘度0.9cp)を満たした液滴
生成装置において、実施例1と同組成の重合性モノマー
をガラス多孔質膜を介して連続相中に圧入し液滴群を形
成させた(粒径5μm、Ar=3.78×10 -6)。また、液
滴生成装置には振動子が装着されており、連続相に振動
を与えて重合性モノマーを分散させている。重合性モノ
マーを19g/min、連続相を57g/minの流量で連続的に供給
した。形成した液滴群のスラリーを液滴生成装置上部よ
り連続的に共軸二重回転円筒型反応器下部に供給し、重
合反応を進行させた。反応器内の温度は75℃、平均滞留
時間は2.0時間であった。内円筒を5rpm(テイラー数51
0)で回転させて重合反応を行った。実施例1と同様に
して得られたポリマービーズの粒径を測定した結果、体
積平均直径は5μm、分散係数は17%、収率99%であっ
た。
【0037】実施例3 実施例1と同条件で液滴濃度30重量%の懸濁液9800mlを
形成し、この懸濁液を実施例1で使用した反応器内に満
たし、実施例1と同条件で回分反応にて重合反応を行っ
た。得られたポリマービーズの体積平均直径は120μ
m、分散係数は8%、収率は98.5%であった。
【0038】実施例4 分散剤としてエチルセルロースを含有する連続相である
シクロヘキサン(比重0.78、粘度0.5cp)を満たした実
施例2の液滴生成装置内において、粒径の揃った重合性
モノマー溶液〔80重量%のアクリル酸510gを30重量%の
水酸化ナトリウム水溶液600gで中和し、重合開始剤とし
て過硫酸カリウム0.4g及び架橋剤としてデナコールEX-8
10(ナガセ化成工業(株)製)20.4gを、イオン交換水4
0gと共に加えて調製した;比重1.20〕の液滴群を形成さ
せた(粒径5μm、Ar=7.42×10-4)。また、連続相
であるシクロヘキサンを50g/minの流量で連続的に供給
した。
【0039】分散剤としてエチルセルロースを含有する
シクロヘキサンが満たされた共軸二重回転円筒型反応器
に、形成した液滴群を連続的に反応器上部より供給し重
合反応を進行させた。内円筒を10rpm(テイラー数668)
で回転させた。反応器内の温度は72℃、平均滞留時間は
2.0時間であった。実施例1と同様にして得られたポリ
マービーズの粒径を測定した結果、体積平均直径は170
μm、分散係数は15%、収率98.5%であった。
【0040】比較例1 内円筒の回転数を5rpm(テイラー数455)とし、その他
の条件は実施例1と同条件で重合反応を行ったところ、
得られたポリマービーズの体積平均直径は120μm、分
散係数は9%、収率は65%であった。以上の実施例及び
比較例より、反応系におけるアルキメデス数が7×10-4
以下の場合には1.16×105Ar+38.8≦Ta≦2000の範
囲内のテイラー数で、反応系におけるアルキメデス数が
7×10-4より大きい場合には8.12×105Ar−367≦Ta
≦2000の範囲内のテイラー数で重合反応を行ったとき
に、高い収率で均一な粒径を有するポリマービーズが得
られることが明らかである。
【0041】
【発明の効果】この発明に係わる懸濁重合方法によれ
ば、静止した外円筒と回転可能な内円筒を有する共軸二
重回転円筒の環状部で、アルキメデス数(Arで表す)
が7×10 -4以下の場合にはテイラー数(Taで表す)が
1.16×105Ar+38.8≦Ta≦2000の範囲内、アルキメ
デス数が7×10-4より大きい場合にはテイラー数が8.12
×105Ar−367≦Ta≦2000の範囲内となるように内円
筒を回転させることにより、分散剤を含有する連続相に
多孔部材を介して重合性モノマーを導入して形成された
重合性モノマーの液滴群が分散された懸濁液にテイラー
渦を生じさせながら重合反応を行うことができる。
【0042】このようにして懸濁重合を行うと、共軸二
重回転円筒の環状部における半径方向の混合の度合いが
よくかつ一様であるために、テイラー渦内の重合性モノ
マー液滴は分裂/合一することがなく、かつアルキメデ
ス数に応じた適切なテイラー数範囲を用いているため
に、重合性モノマー液滴は反応器内をショートパスある
いは浮遊もしくは沈降することなく目的の反応率まで反
応が進行する。従って、この方法によれば、均一な粒径
を有するポリマービーズを高収率で製造することができ
る。
【0043】また、共軸二重回転円筒の環状部における
軸方向においては、混合の度合いが小さくプラグフロー
に近いため、重合性モノマー液滴群を装置に連続的に供
給することにより、高重合率のポリマービーズを連続的
に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の回分法で用いられる装置の概略図で
ある。
【図2】この発明の連続法で用いられる装置の概略図で
ある。
【図3】この反応の回分法で用いられる装置の概略図で
ある。
【図4】臨界アルキメデス数の説明図である。
【図5】臨界アルキメデス数とテイラー数の関係図であ
る。
【符号の説明】
1 内円筒 2 外円筒 3 ジャケット 4 モーター 5 排気口 6 スラリー出口 7 液滴生成装置 8 温水入口 9 温水出口 10 連続相の貯槽 11 重合性モノマーの貯槽 12 熟成槽

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散剤を含有する連続相に重合性モノマ
    ー液滴群が分散された懸濁液を、静止した外円筒と回転
    可能な内円筒を有する共軸二重回転円筒の環状部で、ア
    ルキメデス数(Arで表す)が7×10-4以下の場合には
    テイラー数(Taで表す)が1.16×105Ar+38.8≦T
    a≦2000の範囲内、アルキメデス数が7×10-4より大き
    い場合にはテイラー数が8.12×105Ar−367≦Ta≦20
    00の範囲内となるように内円筒を回転させながら重合さ
    せることによりポリマービーズを製造することを特徴と
    する懸濁重合方法。
  2. 【請求項2】 ポリマービーズが、20%以下の分散係数
    で製造される請求項1記載の懸濁重合方法。
  3. 【請求項3】 重合性モノマー液滴群が分散された懸濁
    液が、連続相と重合性モノマーの両方、あるいはそのど
    ちらか一方に振動を与えながら液滴形成装置を介して重
    合性モノマーを連続相に導入することによって形成され
    る請求項1又は2に記載の懸濁重合方法。
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