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JPH07268605A - 合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH07268605A
JPH07268605A JP5862594A JP5862594A JPH07268605A JP H07268605 A JPH07268605 A JP H07268605A JP 5862594 A JP5862594 A JP 5862594A JP 5862594 A JP5862594 A JP 5862594A JP H07268605 A JPH07268605 A JP H07268605A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
vapor
steel
temperature
vapor deposition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP5862594A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuyuki Sakamoto
和志 坂本
Yasushi Fukui
康 福居
Masanori Matsuno
雅典 松野
Hiroshi Tanaka
宏 田中
Yasumi Ariyoshi
康実 有吉
Minoru Saito
実 斎藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP5862594A priority Critical patent/JPH07268605A/ja
Publication of JPH07268605A publication Critical patent/JPH07268605A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 めっき層表面までFeが拡散した加工性及び
耐食性に優れた合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板を得
る。 【構成】 連続走行する鋼帯を表面清浄化した後、還元
性又は不活性雰囲気下で真空室に導入し、100℃以上
の鋼板温度でMg蒸着した後、Zn蒸着し、真空室を出
た直後の鋼帯に、めっき層表面まで下地鋼からFeが拡
散するように、不活性雰囲気又は大気雰囲気中で鋼板温
度を330〜600℃にする合金化加熱処理を施す。真
空室から独立した加熱炉を使用し、非酸化性雰囲気中で
200〜400℃にZnめっき後の鋼帯を1〜25時間
保持することにより、合金化加熱処理を施しても良い。
或いは、Mg蒸着前の鋼板温度を100℃以上とし、Z
n蒸着後の鋼板温度が330〜500℃となるように温
度管理し、鋼板の顕熱により合金化加熱処理することも
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建材,家電,自動車用
構造体,部品等として使用され、耐パウダリング性を改
善した合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】耐食性を向上させた表面処理鋼板とし
て、合金化Znめっき鋼板が知られている。合金化Zn
めっき鋼板は、Znめっき後、加熱処理によってZnめ
っき層と下地鋼とを合金化させたものであり、めっき層
の表面までFeが拡散している。この合金化Znめっき
鋼板は、塗膜の密着性がよいので、塗装鋼板として広範
な分野で使用されている。しかし、屋外で使用される機
器等の鋼板としては、塗膜の密着性だけではなく、塗装
後の耐食性が重視されるようになってきている。塗装後
耐食性を向上させたものとしては、厚目付けのZnめっ
きを施して加熱合金化させた高付着量の合金化Znめっ
き鋼板が使用されている。高付着量の合金化Znめっき
鋼板は、めっき層表面まで下地鋼からFeを拡散させる
ために、高温又は長時間の加熱処理を必要とする。高温
又は長時間の加熱処理は、必然的に硬くて脆いΓ相やΓ
1 相を生成し、プレス成形時にパウダリングやフレーキ
ングを多量に発生させる原因となる。その結果、プレス
成形が困難になるばかりでなく、めっき層に亀裂等の欠
陥が発生し易い。欠陥部を介して下地鋼が露出するた
め、合金化Znめっき層の防食作用が活かされず、短時
間で錆が発生する。
【0003】合金化Znめっき層の厚膜化は、溶融めっ
き法でも製造上の制約が加わる。この点、めっき層を厚
くして耐食性の向上を図ることにも限界がある。厚膜の
めっき層は、スポット溶接性も悪化させる。他方、電気
めっき法で厚いめっき層を形成しようとすると、Zn付
着量の増大に伴って製造コストが著しく上昇する。溶融
めっき法や電気めっき法の欠点を解消するものとして、
高耐食性のZn系合金めっき鋼板を蒸着法で製造するこ
とが検討されている。なかでも、Zn−Mg合金めっき
は、Zn−Ni合金めっき,Zn−Al合金めっき等に
比較して遥かに優れた防食作用を呈する。たとえば、特
開平2−305975号公報では、Zn及びMgを鋼板
上に同時に蒸着した後、Ar雰囲気で加熱処理すること
により合金化Zn−Mgめっき層の形成を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】合金化Zn−Mgめっ
き鋼板は、合金化Znめっき鋼板に比較して耐食性が非
常に高い。合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板の特性は、
めっき層のMg濃度分布や製造時の温度管理等に影響さ
れるが、所定の特性を得るための操業条件が確立されて
いないそのため、合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板を工
業的に製造することは困難であった。合金化Zn−Mg
蒸着めっき鋼板は、通常の純Znめっき鋼板に比較し
て、プレス加工時に多量のパウダリングやフレーキング
を発生する傾向が強い。パウダリングやフレーキング
は、下地鋼が露出する欠陥をめっき層に発生させ、合金
化Zn−Mg蒸着めっき本来の特性を損なう。また、め
っき層から剥離した粉末がプレス金型に堆積して成形を
困難にすると共に、めっき鋼板の表面に押し付けられ疵
発生の原因となる。本発明は、このような問題を解消す
べく案出されたものであり、鋼板温度やめっき層形成温
度を管理することにより、めっき層の表面までFeを拡
散させ、耐パウダリング性を改善すると共に、安定した
品質を持つ合金化Zn−Mg蒸着めっき層が形成された
めっき鋼板を高い再現性で工業的に製造することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の合金化Zn−M
g蒸着めっき鋼板製造方法は、その目的を達成するた
め、連続走行する鋼帯を真空室に導入し、100℃以上
の鋼板温度でMg蒸着した後、Zn蒸着し、真空室を出
た直後の鋼帯に、めっき層の表面まで下地鋼からFeが
拡散するように、窒素又は大気雰囲気中で鋼板温度33
0〜600℃で10秒以下の加熱処理を施すことを特徴
とする。Feを拡散合金化させる加熱処理は、蒸着工程
に連続して或いは蒸着工程から独立して行われる。独立
した加熱処理では、200〜400℃に1〜25時間加
熱する条件が採用される。また、鋼材の顕熱を利用して
合金化反応を自然に進行させる処理も可能である。この
場合、Zn蒸着後の鋼板温度が330〜500℃となる
ように温度管理する。ガス還元炉等による前処理を採用
するとき、鋼帯は前処理炉からダクト内をMg蒸着部ま
で搬送される。このとき、ダクト内をH2 ,N2 +H2
等の還元性雰囲気又は非反応性ガス雰囲気とすることが
好ましい。非反応性ガスとしては、鋼板と反応しないO
2 濃度30ppm以下及び露点−20℃以下のN,Ar
等が使用される。
【0006】
【作用】合金化Zn−Mgめっき鋼板を蒸着法で工業的
に製造する場合、めっき原板をMg蒸着めっきする工
程,Zn蒸着めっきする工程及び下地鋼からFeを拡散
させて合金化する工程を経る。本発明者等は、この製造
プロセスにおける良好なめっき層の形成や密着性の向上
に鋼板温度,加熱処理温度及び鋼板の表面清浄性が重要
な影響を与えていることを解明した。めっき原板である
鋼板にMg蒸着めっきするとき、Mg蒸着めっき層の密
着性を確保する上で、100℃以上の鋼板温度でMgを
蒸着させることが必要である。鋼板温度が100℃より
低いとMgめっき層と下地鋼との間の密着性が不十分と
なり、めっき鋼板として実用化できない。めっき層を合
金化させるためには、Feを下地鋼から拡散させる必要
がある。Feの拡散は、下地鋼の表面に酸化膜がなく、
或いは存在しても薄い膜厚であるとき円滑に進行する。
下地鋼を覆う厚い酸化皮膜は、Feの拡散を阻害する。
したがって、酸化皮膜の除去により表面清浄化された鋼
板は、酸化皮膜が厚く成長しない雰囲気で蒸着部まで搬
送する必要がある。そこで、還元性ガス雰囲気又は非反
応性ガス雰囲気中で、清浄化後の鋼板を蒸着部まで搬送
する。
【0007】還元性ガスには、N2 +H2 ,H2 等があ
る。N2 +H2 雰囲気を使用するとき、所定の還元力を
得るために0.5体積%以上のH2 濃度が好ましい。鋼
板と反応して酸化膜を作らないN2 ,Ar等の非反応性
ガス雰囲気で鋼板を搬送することもできる。非反応性ガ
スに含まれる微量のO2 やH2 O等により鋼板表面に厚
い酸化皮膜が形成され、Feの拡散が阻害される虞れが
ある。そこで、非反応性ガスを使用するとき、O2 濃度
を30ppm以下,露点を−20℃以下とし、ダクト内
の搬送時間を360秒以下に設定することが好ましい。
これにより、搬送中の鋼板表面に酸化皮膜が成長して
も、Feとめっき層のMg及びZnの拡散を阻害しない
薄層に留まる。めっき層を合金化させるための加熱温度
は、加熱処理時間内にめっき層の表面まで下地鋼からF
eが拡散して合金化するために必要な温度以上に設定さ
れる。他方、高過ぎる加熱温度は、合金層を厚くし且つ
合金層中のFe濃度を上昇させることから、めっき層を
脆くする。その結果、得られた合金化めっき層は、プレ
ス成形等の際にパウダリングを発生させ易い。
【0008】このようなことから、加熱温度は、合金化
処理方法に応じ適正な温度範囲に定まる。そこで、めっ
き時の鋼板温度及び合金化処理温度を規定することによ
り、めっき密着性に優れた合金化Zn−Mg蒸着めっき
鋼板が工業的に安定して生産される。加熱処理をZn蒸
着めっきの直後に連続して行う場合、めっき鋼板が加熱
される時間が数秒程度あるので、加熱時間を330〜6
00℃とし、窒素等の不活性雰囲気又は大気雰囲気で加
熱処理できる。このときの加熱保持時間は、10秒以下
に設定する。加熱温度が330℃より低いと、Feの拡
散速度が遅く、めっき層を完全に合金化できない。逆に
600℃を超える加熱温度では、めっき層のFe濃度が
高くなり、結果として脆いΓ相,Γ1 相等が生成し、プ
レス成形時にパウダリング等の欠陥を発生させる。加熱
保持時間が10秒以下では、加熱温度330℃以上でめ
っき層の表面までFeが拡散し、完全にめっき層が合金
化される。加熱保持時間0秒、すなわち最高温度が瞬間
的に高温に達する加熱処理では、最高到達温度を330
〜600℃の範囲にすることが必要である。この場合、
温度330℃以下で完全な合金化が期待できず、600
℃を超える高温ではパウダリングが多量に発生する。
【0009】パウダリングの発生は、加熱温度及び保持
時間の双方に影響される。たとえば、加熱保持時間が1
0秒で585℃を超える温度に加熱すると、パウダリン
グが多量に発生する。そこで、加熱保持時間10秒以下
及び加熱温度330〜600℃の範囲で、加熱保持時間
が長い場合には加熱温度を低く設定し、加熱保持時間が
短い場合には加熱温度を高く設定する。加熱処理は、Z
n蒸着めっきの後で、めっき設備から独立した加熱炉を
使用したバッチ式で行うことも可能である。この場合、
1〜25時間の加熱保持時間をとり、めっき鋼板を20
0〜400℃に加熱する。加熱時間が比較的長時間とな
ることから、加熱雰囲気を窒素,窒素+水素等の非酸化
性雰囲気にする必要がある。保持温度が200℃より低
いと、Feの拡散がほとんどみられず、25時間までの
処理時間内ではめっき層の表面まで合金化が完了しな
い。逆に400℃を超える加熱温度では、処理時間が1
時間でもめっき層のFe濃度が高くなり過ぎ、多量のパ
ウダリングを発生させる原因となる。
【0010】加熱保持時間を1時間未満とすることは、
実操業上で困難を伴う。すなわち、バッチ式の加熱処理
を行い場合、加熱炉の昇温に時間がかかること、また炉
内の温度分布をある程度均一にするためには所要の時間
が必要となる。このような実操業上の問題を考慮して、
加熱保持時間を1時間以上に設定する。また、めっき付
着量が多い場合でも、加熱によるめっき鋼板の変化は約
25時間でほぼ完了し、それ以上の長時間にわたって加
熱保持しても事実上の変化は生じない。このことから、
加熱保持時間の上限を25時間に定めた。Zn蒸着後の
鋼板温度を管理することにより、特に加熱処理をする必
要なく、鋼板の顕熱を利用した合金化反応を自然に起こ
させることもできる。この場合、Zn蒸着後の鋼板温度
が330〜500℃になるように、鋼板温度を調節す
る。Zn蒸着後の鋼板温度が330℃を下回ると、Fe
の拡散速度が遅く、めっき層の表面まで完全に合金化す
ることができない。逆にZn蒸着後の鋼板温度が500
℃を超えると、Znの再蒸発が生じ、蒸着したZnめっ
き層が消失する。
【0011】本発明に従ったZn−Mg合金蒸着めっき
鋼板は、たとえば概略を図1に示すめっき設備で製造さ
れる。めっき原板10は、ペイオフリール11から巻き
戻され、無酸化炉21,還元焼鈍炉22及び雰囲気置換
室23からなる前処理ゾーン20から連結ダクト24を
経て真空室30に導かれる。還元焼鈍炉22では、たと
えば50%H2 −N2組成の還元雰囲気での加熱によ
り、めっき原板10が表面活性化及び焼鈍される。真空
室20は、入側真空ロール31及び出側真空ロール32
によって内部が気密状態に維持され、真空ポンプ(図示
せず)により1Pa程度まで減圧される。真空室20の
内部には、めっき原板10の搬送経路に沿ってMg蒸着
室40,第1Zn蒸着室50及び第2Zn蒸着室60が
配列される。また、必要に応じて、補助的なZn蒸着室
55を第1Zn蒸着室50と第2Zn蒸着室60との間
に設けても良い。Mg蒸着室40は、入側真空ロール3
3及び出側真空ロール34で気密になっており、真空ポ
ンプ(図示せず)で更に高真空度に維持される。
【0012】Mgの蒸着は、電気抵抗加熱蒸発,高周波
加熱蒸発,電子ビーム加熱蒸発,アーク蒸発等が採用可
能であるが、Mgが昇華性金属であることから蒸発量の
制御性,Mgの補給性,装置のコンパクト化等からアー
ク蒸発方式が好ましい。図示の設備では、Mg蒸発源4
1及びMg蒸気案内フード42をめっき原板の両面に対
向配置している。Mg蒸発源41は、片面めっき又は両
面めっきに対応させて何れか一方又は双方を稼動させ
る。Zn蒸着室50,60は、Zn蒸気発生器51,6
1及びZn蒸気案内フード52,62を、Mg蒸着され
ためっき原板12の片面に対向させている。Zn蒸着室
50,60は、片面めっき又は両面めっきに対応させて
何れか一方又は双方を稼動させ、巻付けロール53,6
3に巻き付けられためっき原板12にZn蒸着する。
【0013】Zn蒸着後のめっき鋼帯13は、出側真空
ロール32を経て加熱炉70に導かれる。めっき鋼帯1
3は、加熱炉70で高周波加熱,誘導加熱,抵抗加熱等
の適宜の加熱手段により加熱処理される。加熱後のめっ
き鋼帯14は、後処理ゾーン80を通過するとき、必要
な化成処理等の処理が施される。最終的に、合金化Zn
−Mg蒸着めっき鋼帯15として巻取りリール16に巻
き取られる。加熱炉70でめっき層を合金化させる加熱
処理を行わない場合、別途の加熱炉でめっき鋼帯13を
バッチ加熱することも可能である。このようにして製造
されためっき鋼板は、必要に応じて片面又は両面に合金
化Zn−Mg蒸着めっき層を形成している。たとえば、
片面に合金化Zn−Mg蒸着めっき層を形成する場合に
は、何れか一方のMg蒸発源41又は41及びZn蒸気
発生器51又は61を稼動させる。
【0014】
【実施例】
実施例1:めっき原板として、表1に示した組成を持つ
板厚0.5mm及び板幅700mmの未焼鈍冷延鋼板を
使用した。めっき原板を図1に示しためっき設備に通板
し、合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板を製造した。ま
た、比較のため、合金化処理しないZn−Mg蒸着めっ
き鋼板も製造した。
【0015】
【表1】
【0016】得られためっき鋼板から試験片を切り出
し、めっき層の密着性を調査するため0t曲げテープ剥
離試験に供した。合金化処理を施さないめっき鋼板のめ
っき層密着性を表2に示す。このとき、連結ダクト24
内の雰囲気は、O2 濃度10ppm,露点−30℃と
し、連結ダクト24を鋼板が通過する所要時間を150
秒に設定した。Mg蒸着時の鋼板温度が100℃未満で
あった試験番号1〜3の試験片では、何れもめっき層が
完全剥離した。剥離部分を調査したところ、Mg層と下
地鋼との界面に剥離が生じていることが判った。これに
対し、Mg蒸着時の鋼板温度を100℃以上に上げた試
験番号4〜8の試験片では、剥離がみられず、めっき層
の密着性が良好であった。
【0017】
【表2】
【0018】高周波加熱炉70でZn蒸着めっき直後に
合金化加熱処理した合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板に
ついて、めっき層の耐パウダリング性に与える合金化処
理の影響を調査した。この場合のめっき鋼板は、Mgめ
っき前の鋼板温度を200℃,Znめっき前の鋼板温度
を170℃,Znめっき後の鋼板温度を195℃とし、
Mg濃度3重量%のめっき層が付着量30g/m2 で形
成される蒸着条件を採用した。また、合金化処理は、昇
温速度40℃/秒,加熱温度300〜630℃,保持時
間0秒及び10秒,1気圧のN2 雰囲気の条件で行っ
た。連結ダクト24内の雰囲気はO2 濃度10ppm,
露点−30℃とし、鋼板の通過時間を150秒に設定し
た。合金化加熱温度及び加熱保持時間が耐パウダリング
性に与える影響を、表3に示す。なお、耐パウダリング
性は、試験片を6t曲げし、次いで曲げ戻した後、テー
プ剥離試験を行い、テープに転写された剥離片の多少に
よって評価した。評価基準を、表4に示す。
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】めっき付着量30g/m2 の合金化Zn−
Mgめっき鋼板を瞬間的に加熱する合金化処理(保持時
間0秒)の場合、試験番号9にみられるように加熱温度
が350℃に達しないとき、めっき層の表面まで合金化
できず、めっき層表面にZn−Mg合金層が残った。こ
の場合、加熱温度が350℃以上になると、保持時間0
秒でも合金化が完了し、パウダリング試験の結果も評価
5であった。しかし、600℃を超える加熱温度では、
多量のパウダリングが発生した。同じめっき鋼板であっ
ても加熱保持時間が10秒の場合、加熱温度が高くなる
とパウダリングが起こり易くなる傾向がみられ、加熱温
度585℃で多量のめっき層が剥離した。他方、加熱温
度が330℃であっても、合金化反応が十分に進行し、
めっき層の表面までFeが拡散した。その結果、耐パウ
ダリング性は、評価点5の高い値を示している。
【0022】表5は、連結ダクト24内の雰囲気が合金
化に与える影響を示す。雰囲気置換室23で雰囲気を変
更し、連結ダクト24内を同一雰囲気に維持した。表5
から明らかなように、O2 濃度30ppm以下で且つ露
点−20℃以下であり、連結ダクト24内を鋼板が通過
する時間を360秒以下に設定するとき、合金化反応が
進行していることが判る。また、連結ダクト24内をN
2 +2%H2 の還元性雰囲気とした場合も、同様に合金
化が進行している。
【0023】
【表5】
【0024】実施例2:表6に示す条件下でMg及びZ
nを蒸着した鋼帯をコイルに巻き、コイルを加熱するバ
ッチ式の合金化処理を施した。合金化処理は、露点−2
5℃のN2 雰囲気でコイルを180〜430℃に1〜2
5時間加熱することにより行った。得られた合金化Zn
−Mg蒸着めっき鋼板の耐パウダリング性を、合金化処
理時の加熱条件で整理して表7に示す。
【0025】
【表6】
【0026】
【表7】
【0027】試験番号101は合金化温度が180℃で
あり、この温度に25時間保持してもめっき層の合金化
が完了しなかった。加熱保持温度を200℃以上,保持
時間を1時間以上に設定することにより、めっき層が完
全に合金化し、耐パウダリング性の評価点も高い値4,
5を示した。加熱時間0.5時間の短時間処理も行った
が、加熱温度が均一にならず、一部に合金化が完了して
いない部分があり、しかも焼けムラが発生していた。他
方、400℃を超える加熱保持温度で合金化処理したも
のでは、試験番号113,114にみられるように、1
時間の加熱処理でもパウダリングが発生し易くなった。
このことから、バッチ式で合金化加熱処理する場合、2
00〜400℃の温度範囲が好適であることが確認され
た。表8には、連結ダクト24内の雰囲気及び通過時間
が合金化に与える影響を示す。表8から、連結ダクト2
4内がN2 +2%H2 の還元性雰囲気、又はO2 濃度3
0ppm以下及び露点−20℃以下の不活性雰囲気に維
持されているとき、合金化反応が進行していることが判
る。
【0028】
【表8】
【0029】実施例3:付着量60g/m2 でZn蒸着
めっきした後の鋼板温度が330〜500℃となるよう
に鋼板温度を調節し、特に加熱処理を行うことなく自然
にめっき層を合金化させる製造条件下で、合金化Zn−
Mg蒸着めっき鋼板を製造した。このときの製造条件
を、耐パウダリング性との関係で整理して表9に示す。
このとき、連結ダクト24内は、O2 濃度5ppm及び
露点−35℃のN2 +2%H2 雰囲気に維持した。な
お、Zn蒸着後の鋼板温度は、Mgめっき前の鋼板温度
及び/又はZn蒸着室内にある巻付けロールの温度によ
って所定範囲に調節した。
【0030】
【表9】
【0031】Zn蒸着後の鋼板温度が300℃であった
試験番号201の試験片は、めっき層表面までFeが拡
散しておらず、Zn−Mg合金層が残存していた。Zn
蒸着後の鋼板温度が330℃であった試験番号201〜
206の試験片は、合金化しためっき層が形成されてお
り、パウダリングは全く起こさない(評価点5)或いは
実用上で問題のない極く僅か(評価点4)であった。し
かし、Zn蒸着後の鋼板温度が500℃を超える試験番
号207,208の試験片では、再蒸発によってZnめ
っき層が消失していた。
【0032】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板を製造する際、各
段階における鋼板温度及び表面清浄化後の雰囲気を調整
することにより、めっき密着性及び耐パウダリング性を
改善している。この方法によるとき、高品質の合金化Z
n−Mg蒸着めっき鋼板が工業的に安定して製造され
る。得られた合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板は、加工
性及び高耐食性を活かした広範な用途に使用される。ま
た、十分に合金化されためっき層が形成されることか
ら、得られた製品の品質信頼性も高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従ってZn−Mg合金蒸着めっき鋼
板を製造するめっき設備
【符号の説明】
10:めっき原板 15:Zn−Mg合金蒸着
めっき鋼板 24:連結ダクト 30:真空室 40:
Mg蒸着室 50,60:Zn蒸着室 70:加熱炉
フロントページの続き (72)発明者 田中 宏 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 有吉 康実 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 斎藤 実 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社鉄鋼研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続走行する鋼帯を真空室に導入し、1
    00℃以上の鋼板温度でMg蒸着した後、Zn蒸着し、
    真空室を出た直後の鋼帯に、めっき層の表面まで下地鋼
    からFeが拡散するように、不活性雰囲気又は大気雰囲
    気中で鋼板温度330〜600℃で10秒以下の加熱処
    理を連続的に施す合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 連続走行する鋼帯を真空室に導入し、1
    00℃以上の鋼板温度でMg蒸着した後、Zn蒸着し、
    真空室を出た鋼帯に、めっき層の表面まで下地鋼からF
    eが拡散するように、不活性雰囲気又は大気雰囲気中で
    鋼板温度を200〜400℃に1〜25時間保持する加
    熱処理を施す合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 連続走行する鋼帯を真空室に導入し、1
    00℃以上の鋼板温度でMg蒸着した後、Zn蒸着後の
    鋼板温度が330〜350℃となる温度管理の下でZn
    蒸着し、真空室を出た直後の鋼帯の顕熱によりめっき層
    の表面まで下地鋼からFeを拡散させる合金化Zn−M
    g蒸着めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の真空室
    は、ダクトを介して前処理部が接続されたMg蒸着部を
    もち、ダクト内が還元性ガス雰囲気に維持されている合
    金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3の何れかに記載の真空室
    は、ダクトを介して前処理部が接続されたMg蒸着部を
    もち、ダクト内を鋼板と反応しない非反応ガス雰囲気と
    し、該ガス雰囲気のO2 濃度を30ppm以下及び露点
    を−20℃以下とし、ダクト内を360秒以下の時間内
    で鋼帯を通過させる合金化Zn−Mg蒸着めっき鋼板の
    製造方法。
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