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JPH07237018A - ドリル - Google Patents

ドリル

Info

Publication number
JPH07237018A
JPH07237018A JP3063294A JP3063294A JPH07237018A JP H07237018 A JPH07237018 A JP H07237018A JP 3063294 A JP3063294 A JP 3063294A JP 3063294 A JP3063294 A JP 3063294A JP H07237018 A JPH07237018 A JP H07237018A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drill
groove
cutting edge
outer diameter
tip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP3063294A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Nakamura
伸一 中村
Katsuyuki Suzuki
克征 鈴木
Takeshi Inoue
武 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP3063294A priority Critical patent/JPH07237018A/ja
Publication of JPH07237018A publication Critical patent/JPH07237018A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高硬度材から軟質材、高硬薄肉材などにわた
り汎用性を高める。 【構成】 ドリル本体1の先端に、ドリル外径Dに対し
て0.2×D〜0.4×Dの長さLで直線状に延びる外周
側の芯上がりの第一切刃6と、これよりも突出する凸曲
線を描いてドリル回転中心Cに至る第二切刃7とから切
刃4が形成され、第二切刃7の第一切刃6に対する突出
量δは0.01×D〜0.05×Dに、第二切刃7の頂部
H近傍の曲率半径φは0.15×D〜0.5×Dに設定さ
れている。切屑排出溝2は、3つの並んだ溝より構成さ
れ、第一の溝10の先端側稜線部には第一切刃6が形成
され、第三の溝12の幅W3は0.03×D〜0.2×D
とされている。第二の溝11の曲率半径rは、ドリル外
径円EDとドリル芯厚部13の円ETとに接する円ER
半径Rに対して0.9×R〜1.2×Rに設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼材の穴明け加工はも
とより、高硬度材やアルミ材、あるいは高硬度薄肉材な
どの穴明け加工にも用い得るドリルに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】金属加工材の穴明け加工に用いられるド
リルにおいては、周囲が閉塞された加工穴内にドリル本
体を挿入して加工を行なうことから、特に切屑の分断や
排出といった切屑処理性能が重要視される。そして、こ
のような高い切屑処理性能を得るために切刃の形状や切
屑排出溝の形状の改良を図ったドリルとしては、例えば
特公平5−32164号公報や特公昭61−30845
号公報に記載されたものなど、枚挙にいとまがない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の公報に記載されたドリルは専ら鋼材の穴明け加工を主
目的としてなされたものであり、例えば一般鋼材よりも
硬度の高い各種合金のような高硬度材や、逆に硬度の低
いアルミニウムのような軟質材、あるいは高硬度であっ
ても加工材強度が確保し難い薄肉材などの穴明けに上記
従来のドリルを用いた場合には、新たな問題が惹起され
ることとなる。すなわち、高硬度材の穴明けの場合に
は、切屑は比較的細かく分断され易いものの、切刃や切
屑排出溝の形状如何によっては加工時の負荷によって切
刃やドリル本体に欠損や破損が生じるおそれがある。そ
の一方で、アルミ材のような軟質材の穴明け加工の場合
には、加工時に作用する負荷は小さく切刃に欠損が生じ
たりするおそれは少ない反面、切屑の溶着などに対する
配慮が必要となる。さらに、高硬度薄肉材の穴明け加工
の場合には、高硬度切削に耐え得る切刃強度と薄肉材切
削に必要とされる切削抵抗の低さとを兼ね備えたドリル
が求められる。
【0004】本発明は、このような背景の下になされた
ものであって、一般鋼材の穴明けはもとより、高硬度材
や軟質材、あるいは高硬度薄肉材などの穴明け加工にも
対応し得る汎用性の高いドリルを提供することを目的と
している。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決してかか
る目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転さ
れるドリル本体の側面に、先端から基端側に向けて切屑
排出溝が形成され、この切屑排出溝の底面と上記ドリル
本体の先端逃げ面との交差稜線部にドリル回転方向を向
く切刃が形成されて成るドリルであって、上記切刃を、
上記軸線方向先端視にドリル外径Dに対して0.2×D
〜0.4×Dの長さでドリル外周から内周側に向けて直
線状に延びる芯上がりに配置された第一切刃と、この第
一切刃の内周端から内周側に向かって上記第一切刃より
もドリル回転方向に突出する凸曲線を描いた後にドリル
回転中心に至る第二切刃とから構成するとともに、この
第二切刃の上記第一切刃に対する突出量を上記ドリル外
径Dに対して0.01×D〜0.05×Dの範囲に設定す
る一方、上記切屑排出溝を、上記軸線に直交する断面に
おいて、互いに凹曲する底面を備えてマージン側からヒ
ール側に順に並ぶ第一、第二、第三の溝より構成し、第
一の溝を、その底面と上記先端逃げ面との交差稜線部に
上記第一切刃が形成されるように配し、また上記第三の
溝の幅を上記ドリル外径Dに対して0.03×D〜0.2
×Dの範囲に設定し、さらに上記第二の溝の底面の曲率
半径を、ドリル外径円に内接するとともにドリル芯厚部
に外接する円の半径Rに対して、0.9×R〜1.2×R
の範囲に設定したことを特徴とする。
【0006】
【作用】このような構成のドリルでは、まず切刃が外周
側の直線状の第一切刃と内周側の曲線状の第二切刃とか
ら構成されており、外周側の第一切刃を芯上がりに配置
することによりその径方向すくい角を負角側として切刃
強度を確保する一方、その長さをドリル外径Dに対して
0.2×D〜0.4×Dとすることにより、切刃全体に作
用する切削抵抗が過大になるのを抑えることができる。
ここで、第一切刃の長さがドリル外径Dに対して0.2
×Dを下回ると、切刃強度を確保できずに特に切刃外周
部において欠損等が生じるおそれがあり、逆に0.4×
Dを上回ると、切刃全体に作用する切削抵抗の増大を招
くとともに、該第一切刃によって幅広の切屑が生成され
て円滑な切屑分断が阻害されるおそれが生じる。
【0007】一方、この第一切刃の内周端に連なる第二
切刃は、この第一切刃側からドリル回転中心側に向かっ
て、一旦第一切刃よりもドリル回転方向側に凸曲線を描
いて膨らんだ後、ドリル回転中心に至るように形成され
ており、この凸曲線の頂点よりも内周側では、第二切刃
の径方向すくい角は第一切刃の径方向すくい角よりも正
角側に大きくなる。このため、切刃の内周側では切れ味
を高めることができ、第一切刃の長さを制限することと
相俟って、切刃全体としての切削抵抗が過大になるのを
一層確実に抑えることができる。
【0008】また、本発明では切屑排出溝が上記軸線に
直交する断面において互いに凹曲する底面を備えてマー
ジン側からヒール側に並ぶ第一、第二、第三の溝より構
成されている。このうち、切屑排出溝のマージン側に設
けられる第一の溝は、上記第一切刃の基端側に連なるよ
うに形成されており、従ってその幅は第一切刃の長さと
同様にドリル外径Dに対して0.2×D〜0.4×Dとさ
れる。また、その底面は上述の通り軸線に直交する断面
において凹曲するように形成されており、この底面の先
端側の部分において所定の先端角を付すことにより、ド
リル本体の先端逃げ面との交差稜線部に上述のような直
線状の第一切刃が形成される。そして、第一切刃により
生成された切屑はこの第一の溝に案内され、切屑分断に
関与する後述の第二の溝に導入される。さらに、この第
一の溝とは反対のヒール側に設けられる第三の溝は、ヒ
ール部分におけるドリル本体の強度を確保するととも
に、切屑排出溝内への切削油の供給を促すためのもので
あり、その幅はドリル外径Dに対して0.03×D〜0.
2×Dの範囲に設定されている。すなわち、この第三の
溝の幅が0.03×Dを下回ると、ドリル本体のヒール
近傍の肉厚が小さくなって欠け等が生じ易くなるととも
に、切屑排出溝内への切削油の供給が困難となるおそれ
がある。また、逆にこの第三の溝の幅が0.2×Dを上
回ると、相対的に第二の溝が幅狭となってしまい、十分
な切屑分断が行えなくなるおそれが生じる。
【0009】一方、上述のように第一切刃により生成さ
れて第一の溝に流出した切屑は、第二の溝に案内されて
その底面を擦過するうちにカールされ、分断される。こ
こで、カールされた切屑が加工穴の内周面に摺接する
と、切削抵抗の増大や加工面精度の劣化を招くとともに
効率的な切屑の分断が阻害されてしまうため、切屑は切
屑排出溝内に収納された状態のままカールされることが
望ましい。従って切屑は、理想的にはドリル外径円に内
接するとともにドリル芯厚部に外接する円よりも小さな
円を描くようにカールされるのが望ましく、第二の溝の
底面の曲率半径もこの円の半径に準じて設定されるのが
望ましい。しかしながら、実際には加工材の材質や加工
条件による切屑の厚さ、流出速度等により切屑のカール
され易さは微妙に変動し、しかも切屑を小さなカール径
に強制的にカールさせようとすると、切屑はカールの途
中で折れてしまい、却ってその排出性が損なわれて切屑
詰まりを生じたりする。また、逆にカール径が大きすぎ
ると、切屑が十分にカールされずに分断が促されなかっ
たり、上述のように加工穴の内周面に切屑が摺接して切
削抵抗の増大等を招いたりする結果となる。
【0010】そこで、本発明では、この第二の溝の底面
の曲率半径を、ドリル外径円に内接するとともにドリル
芯厚部に外接する上記円の半径Rに対し、0.9×R〜
1.2×Rの範囲に設定することにより、切屑の排出性
を確保した上で、加工材の材質や加工条件に係わらず効
率的な切屑の分断が行なわれるように図られている。す
なわち、第二の溝の曲率半径を上記円の半径Rに対して
0.9×R以上とすることにより、強制的かつ急激なカ
ールによって切屑が途中で折れるのを防ぎ、良好な切屑
排出性を保つ一方、この曲率半径を1.2×R以下とす
ることにより、切屑を加工穴内周に摺接させることなく
十分にカールさせて分断することが可能となる。
【0011】
【実施例】図1ないし図4は、本発明の一実施例を示す
ものである。本実施例においてドリル本体1は超硬合金
から形成された略円柱状をなすものであり、図示しない
シャンクの先端に刃部が設けられ、この刃部の先端から
基端側に向けてドリル回転方向(図中反時計回り方向)
の後方側に捩れる2条の切屑排出溝2,2が周方向に等
間隔に形成されるとともに、これらの切屑排出溝2,2
とドリル本体1の先端逃げ面3との交差稜線部に、先端
逃げ面3のドリル回転中心(先端逃げ面3と軸線Oとの
交点)Cに関して対称に、ドリル回転方向側を向く一対
の切刃4,4が形成された構成となっている。なお、先
端逃げ面3のドリル回転方向後方側の縁部にはクロスシ
ンニングが施されており、これによって先端逃げ面3に
は、ドリル回転方向後方に向かうに従い基端側に向かっ
て傾斜するシンニング面5,5が形成される。
【0012】切刃4は、軸線O方向先端視に、図1に示
すようにドリル本体1の外周から内周側に向かって直線
状に延びる第一切刃6と、この第一切刃6の内周端から
ドリル回転方向に膨らむ凸曲線を描きつつドリル回転中
心Cに達する第二切刃7とから構成されている。第一切
刃6は、その長さLがドリル外径Dに対して0.2×D
〜0.4×Dの範囲となるように設定されており、また
軸線O方向先端視にドリル回転中心Cを通り該第一切刃
6に平行な直線Aよりもドリル回転方向側に位置してお
り、いわゆる芯上がりに配置されている。しかして、こ
の芯上がり量Bは、加工材の材質や加工条件等にもよる
が、上記ドリル径Dに対して0.05×D〜0.2×D程
度に設定されるのが望ましい。なお、切刃4,4がドリ
ル回転中心Cに対称に形成されているため、各第一切刃
6,6同士は軸線O方向先端視に互いに平行に形成され
ることとなり、上記直線Aはその中間に配置されること
となる。
【0013】第二切刃7は、上記シンニング面5の内周
縁と先端逃げ面3との交差稜線部分に、第一切刃6の内
周端から内周側に延びてドリル回転中心Cに至るように
形成されている。ここで、この第二切刃7は軸線O方向
先端視において、上記第一切刃6の内周端からドリル回
転中心C側に向けて、第一切刃6の延長線に対して一旦
ドリル回転方向側に凸曲線を描くようにして突出し、し
かる後内周側に延びて上記延長線を越え、ドリル回転中
心Cに達するように形成されている。そして、このよう
に形成されることにより第二切刃7の径方向すくい角
は、上記凸曲線の頂部Hよりも内周側において、ドリル
回転中心C側に向かうに従い第一切刃6の径方向すくい
角よりも漸次正角側に大きくなるように形成される。な
お、この第二切刃7の上記頂部Hの突出量δは、本実施
例では上記ドリル外径Dに対し、軸線O方向先端視にお
いて第一切刃6から0.01×D〜0.05×Dの範囲と
されている。また、この第二切刃7が軸線O方向先端視
においてなす凸曲線は、その頂部Hの近傍においてドリ
ル外径Dに対し、0.15×D〜0.5×Dの曲率半径φ
をとるように形成されている。さらに、この第二切刃7
が軸線O方向先端視になす凸曲線は、第一切刃6の内周
端側から離間するに従い漸次その曲率半径が変化する渦
巻状に形成するのが望ましい。さらにまた、この第二切
刃7の内周側のドリル回転中心Cに至る部分を直線状に
形成して、第三切刃としてもよい。
【0014】一方、この切刃4の基端側に連なる切屑排
出溝2は、図3に示すようにドリル本体1のマージン8
側からヒール9側に向けて順に並ぶ第一の溝10、第二
の溝11、および第三の溝12から構成されている。こ
れら第一、第二、および第三の溝10,11,12は、
ドリル本体1の先端から基端側に向けて、それぞれ略一
定の幅で切屑排出溝2の捩れに従って捩れるように形成
されている。また、それぞれの溝10,11,12の底
面10A,11A,12Aは、図3に示すようにいずれ
も凹曲面状に形成されており、かつ互いに鈍角をなして
凹曲して隣接するようになされている。
【0015】これらの溝10〜12のうちマージン8側
に位置する第一の溝10は、その底面10Aとドリル本
体1の先端逃げ面3との交差稜線部に上記第一切刃6が
形成されるものであり、従ってこの第一の溝10の幅W
1は、第一切刃6の長さLに合わせて、ドリル外径Dに
対して0.2×D〜0.4×Dの範囲とされている。さら
に、この第一の溝10の底面10Aとドリル本体1側面
のマージン8とは、鈍角に交差するように形成されてい
る。また、この第一の溝10の底面10Aは、上述の通
り軸線Oに直交する断面において凹曲するように形成さ
れており、この第一の溝10の先端側に部分において所
定の先端角を付すことにより、上述のような直線状の第
一切刃6が形成されるようになされている。一方、この
第一の溝10とは反対側のヒール9側に位置する第三の
溝12は、その幅W3がドリル外径Dに対して0.03×
D〜0.2×Dの範囲内とされていて、3つの溝10〜
12のうち最も幅狭に形成されている。また、本実施例
ではこの第三の溝12は、軸線Oに直交する断面におい
て、その底面12Aが図3に示すように、略軸線Oに対
する径方向に延びるように配置されている。
【0016】これら第一および第三の溝10,12の間
に配置される第二の溝11は、3つの溝10〜12のう
ち最もドリル本体1の径方向内側に凹んだ溝であり、従
って本実施例のドリルの芯厚Tは、この第二の溝11の
深さによって決定される。なお、この芯厚Tの大きさ
は、加工材の材質や加工条件等にもよるが、ドリル径D
に対して0.1×D〜0.35×D程度に設定されるのが
望ましい。そして本実施例では、この第二の溝11の底
面11Aは軸線Oに直交する断面において略円弧状を呈
するように形成されており、かつ、この円弧の半径r
は、該断面においてドリル外径円EDに内接するととも
にドリル芯厚部13がなす円ETに外接する円ERの半径
Rに対して、0.9×R〜1.2×Rの範囲となるように
設定されている。ただし、ここでドリル外径円ED
は、軸線Oに直交する断面において軸線Oを中心にドリ
ル外径Dを直径とする円であり、またドリル芯厚部13
がなす円ETとは、同断面において同じく軸線Oを中心
に芯厚Tを直径とする円である。なお、この第二の溝1
1の底面11Aは、その断面が厳密な円弧とならずと
も、曲率半径が上記範囲内にあるような凹曲面であれば
よい。
【0017】さらに本実施例では、この第二の溝11
は、軸線O方向先端視において、上記ドリル回転中心C
を通り第一切刃6,6に垂直な方向に延びる仮想直線F
と、この仮想直線Fに平行に延びて第二の溝11の底面
11Aがなす凹曲線に接する直線Gとの間の距離Sが、
ドリル外径Dに対して0.1×D以下となるように形成
されている。すなわち、図1に示すように軸線O方向先
端視において、第二の溝11の底面11Aとシンニング
面5との交差稜線部14がなす円弧状の凹曲線に対し、
同じく軸線O方向視においてドリル回転中心Cを通って
第一切刃6,6に垂直な方向に延びる仮想直線F、つま
り上記直線Aにドリル回転中心Cにて直交する仮想直線
Fを想定したとき、この仮想直線Fからみた第二の溝1
1の溝底(交差稜線部14がなす凹曲線と直線Gとの接
点)Qと上記仮想直線Fとの間の距離Sが、0.1×D
以下となるように設定されているのである。ただし、図
1では交差稜線部14が仮想直線Fに交差することなく
直線Gや溝底Qが仮想直線Fよりもドリル回転方向後方
側に位置しているが、逆に交差稜線部14が仮想直線F
に交差して直線Gや溝底Qが仮想直線Fのドリル回転方
向側に位置する場合もある。しかして、このような場合
でも仮想直線Fと直線Gとの距離Sは0.1×D以下と
されるのが望ましい。
【0018】一方、図2は、軸線Oと第一切刃6,6と
に直交する方向、すなわち図1における矢線X方向から
のドリル側面視の図であるが、この図2に示すようにこ
の側面図において、ドリル本体1先端のドリル回転中心
Cを中心にドリル外径Dと等しい直径の仮想円ECを描
き、この仮想円ECと該側面図における切屑排出溝2の
第二の溝11の先端側稜線部との交点、すなわち仮想円
Cと上記稜線部14との交点をPとすると、本実施例
では、この交点Pを図1の軸線O方向先端視における稜
線部14上に投影したとき、該軸線O方向先端視におい
て、投影された上記交点Pの位置が、ドリル回転中心C
からドリル外径Dに対してD/3の範囲よりも外周側に
配置されている。つまり、軸線O方向先端視の図1にお
いてドリル回転中心C(軸線O)を中心に直径2/3×
Dの円EOを想定したとき、この図1における稜線部1
4上に投影された上記交点Pが円EOよりも外周側に位
置するようになされているのである。
【0019】ただし、シンニング面5の傾斜等によって
は、図2における仮想円ECとの交点Pが、第二の溝1
1の底面11Aとシンニング面5とが交差する稜線部1
4上ではなく、第三の溝12の底面12Aとシンニング
面5とが交差する稜線部15上に位置する場合がある
が、このような場合においても軸線O方向先端視の図1
においては、該交点Pはドリル回転中心Cからドリル外
径Dに対してD/3の範囲よりも外周側、すなわち円E
Oの外側に配置されるのが望ましい。
【0020】このような構成のドリルでは、切刃4が外
周側に位置する直線状の第一切刃6と内周側に位置する
凸曲線状の第二切刃7とから構成されており、第一切刃
6が芯上がりに配置されてその径方向すくい角が負角側
に設定されることにより、切刃4全体に高い強度を確保
することが可能となる。その一方で、この第一切刃6の
長さLをドリル外径Dに対して0.2×D〜0.4×Dと
することにより、こうして第一切刃6の径方向すくい角
を負角としたことで切刃4全体の切れ味が鈍るのを防ぐ
ことができ、また切刃4全体に作用する切削抵抗が過大
になるのを抑えることができる。
【0021】さらに、この第一切刃6の内周側に形成さ
れる第二切刃7は、第一切刃6に対してドリル回転方向
側に突出量δで凸曲線を描くように突出した後、ドリル
回転中心Cに至るように形成されており、従ってこの凸
曲線の頂部Hよりも内周側では、第二切刃7の径方向す
くい角は第一切刃6の径方向すくい角よりも正角側に大
きくなるように設定されることとなる。このため、上記
頂部Hの内周側では第二切刃7に鋭い切れ味を与えるこ
とが可能となるから、上記構成のドリルでは上述のよう
に第一切刃6の長さLを所定の範囲に制限することとも
相俟って、切刃4全体に作用する切削抵抗をより効果的
に抑制して軽減することができる。従って、上記構成の
ドリルによれば、各種合金のような高硬度の加工材に対
しては、高い切刃強度によって切刃4に欠損等が生じる
のを未然に防ぐことができる一方、アルミニウムのよう
な軟質加工材に対しては、鋭い切れ味を維持して溶着等
の発生を防止することができる。また、十分な切刃強度
と低い切削抵抗とを要求される高硬度薄肉材の穴明け加
工にも、何等支障なく対応することが可能となる。
【0022】なお、上記ドリルでは、切刃4の第一切刃
6の長さLをドリル外径Dに対して0.2×D〜0.4×
Dの範囲としたが、この第一切刃6の長さLが0.2×
Dを下回ると、切刃強度を確保できずに特に切刃4の外
周部において欠損等が生じるおそれがある。また、逆に
第一切刃6の長さLが0.4×Dを上回ると、径方向す
くい角が負角側となる部分が大きくなりすぎて切刃4全
体に作用する切削抵抗の増大を招くとともに、長い第一
切刃6によって幅広の切屑が生成されてしまい、切屑の
分断性が阻害されるおそれが生じる。さらに、上記ドリ
ルでは、この第一切刃6の芯上がり量Bを0.05×D
〜0.02×Dとしているが、この芯上がり量Bが小さ
すぎると切刃強度の確保が不十分となり、逆に芯上がり
量Bが大きすぎると第一切刃6の径方向すくい角が負角
側に大きくなりすぎて過大な切削抵抗が生じるおそれが
ある。従って、第一切刃6の芯上がり量Bについては、
上記範囲内に設定されるのが望ましい。
【0023】また、上記ドリルでは、切刃4の第二切刃
7が描く凸曲線の第一切刃6からの突出量δを上記ドリ
ル外径Dに対して0.01×D〜0.05×Dとしている
が、これは、この突出量δが0.01×Dを下回るほど
小さいと、上述した第二切刃7による切削抵抗の抑制効
果が十分に奏功されなくなるおそれがあるからである。
他方、これとは逆に突出量δが0.05×Dを上回る
と、切屑排出溝2の第二の溝11の形成に支障を来すと
ともに、切屑排出溝2の先端側において第一の溝10と
第二の溝11との間に、第一切刃6の内周端から第二切
刃7の上記頂部Hに至る部分に連なるように立壁が形成
されてしまい、これによって第一の溝10から第二の溝
11への切屑の導入が阻害されるおそれが生じる。さら
にまた、第二切刃7がなす凸曲線の頂部H近傍における
曲率半径φが小さすぎると、該頂部Hが鋭い形状となっ
て欠け等が発生し易くなり、逆に曲率半径φが大きすぎ
ると第二切刃7全体が平坦な形状に近くなって、切刃4
全体としての鋭い切れ味やが期待できなくなる可能性が
ある。このため、この第二切刃7の曲率半径φについて
は、本実施例のように、0.15×D〜0.5×Dの範囲
に設定されるのが望ましい。
【0024】一方、上記構成のドリルでは、切屑排出溝
2が第一、第二、第三の溝10,11,12より構成さ
れており、このうち第一の溝10は、その底面10Aと
先端逃げ面3との交差稜線部に上記第一切刃6が形成さ
れており、図4に示すように切刃4の特に第一切刃6に
より生成された切屑Kは、まずこの第一の溝10内に流
出し、この第一の溝10の底面10Aを擦過しながら、
カールの準備状態となる。そして、さらに該底面10A
に案内されつつ内周側に巻き込まれて第二の溝11に送
られ、この第二の溝11の底面11Aに摺接して摩擦抵
抗を受けることによりカールされる。
【0025】ここで、第二の溝11内に案内された切屑
Kのカール径は、切屑K自体のカールされ易さと第二の
溝11の底面11Aの曲率半径rとによって決定される
が、後者の曲率半径rが大きすぎると切屑Kは十分にカ
ールされずに分断されなくなってしまう。また、逆に第
二の溝11の底面11aの曲率半径rが小さすぎると、
切屑Kは急激かつ強制的に小さな径にカールされるため
カールの途中で折れてしまい、排出性が損なわれて却っ
て切屑詰まりを起こす結果となる。その一方で、切屑K
は図4に示すように切屑排出溝2内に収納された状態の
ままカールされるのが望ましく、これよりも大きな径で
カールされると切屑Kが加工穴の内周面に当たって擦れ
てしまい、切削抵抗の増大を招いたり、加工面を傷つけ
て面精度を劣化させたり、あるいは円滑な切屑の分断を
阻害したりする。しかるに、切屑Kがこのように切屑排
出溝2内に収納された状態でカールされるには、切屑K
のカール径は、加工穴の内周円、すなわちドリル外径円
Dに内接するとともにドリル芯厚部13がなす円ET
外接する円ERの径R以下とされなければならない。
【0026】これに対して上記構成のドリルでは、加工
材の材質や切屑Kの厚さ、流出速度等による切屑K自体
のカールされ易さを考慮して、この第二の溝11の底面
11Aの曲率半径rを上記円ERの半径Rに対して0.9
×R〜1.2×Rとすることにより、急激かつ強制的な
カールを避けて切屑排出性を維持しつつ、切屑Kを加工
穴の内周面に摺接させることなく十分にカールさせて、
その確実な分断を可能としている。すなわち、この第二
の溝11の底面11Aの曲率半径rを上記円ERの半径
Rに対して0.9×R以上とすることにより、切屑Kが
強制的かつ急激にカールされるのを防いで、切屑Kが途
中で折れてしまうのを防止し、良好な切屑排出性を維持
して切屑詰まりの発生を避けることができる。その一方
で、この曲率半径rを上記円ERの半径Rに対して1.2
×R以下とすることにより、切屑Kを加工穴の内周面に
摺接させることなく十分にカールさせて効率的に分断
し、効率的な切屑処理を促すことが可能となる。
【0027】さらに、この第二の溝11を挟んで上記第
一の溝10とは反対側の切屑排出溝2のヒール9側に
は、軸線Oに直交する断面において第二の溝11の底面
11Aに鈍角に交差する底面12Aを備えた第三の溝1
2が形成されている。このため上記ドリルにおいては、
切屑Kをカールさせる第二の溝11からドリル本体1外
周のヒール9に至る間に肉厚が薄くなる部分が形成され
るのを避けることができ、切屑Kが第二の溝11に摺接
してカールされる際にヒール9の近傍に欠け等が生じる
のを防ぐことができる。また、このような第三の溝12
を形成することにより、穴明け加工時に供給される切削
油がこの第三の溝12を通って切屑排出溝2内や切刃4
側に侵入し易くなるため、切屑Kの排出性を一層向上さ
せることができるとともに、切刃4の効率的な冷却およ
び潤滑を図って溶着等の発生を未然に防止することが可
能となる。
【0028】なお、上記構成のドリルでは、この第三の
溝12の幅W3をドリル外径Dに対して0.03×D〜
0.2×Dの範囲内としたが、これは、第三の溝12の
幅W3が0.03×Dを下回ると第三の溝12が幅狭とな
りすぎて上述の効果が得られなくなるおそれがあるから
である。また、これとは逆に幅W3が0.2×Dを上回る
と、相対的に第二の溝11が幅狭となって切屑Kが摺接
する面積が減少し、切屑Kを十分にカールさせるだけの
摩擦抵抗が与えられなくなって切屑分断性が損なわれる
おそれが生じる。
【0029】このように、上記構成のドリルによれば、
切刃4を第一および第二切刃6,7から構成するととも
に、この切刃4の基端側に連なる切屑排出溝2を第一、
第二、および第三の溝10,11,12から構成するこ
とにより、切刃4およびドリル本体1の強度を確保しつ
つ鋭い切れ味を切刃4に与え、さらに良好な切屑排出性
を維持しながら切屑Kを十分にカールさせて効率的に分
断、処理することが可能となる。そしてこれにより、一
般的な鋼材の穴明け加工はもとより、各種合金のような
高硬度材やアルミニウムのような軟質材、あるいは高硬
度薄肉材の穴明け加工も対応し得る汎用性の高いドリル
を提供することが可能となる。
【0030】また、これに加えて本実施例のドリルで
は、軸線O方向先端視において、ドリル回転C中心を通
り第一切刃6,6に垂直な方向に延びる仮想直線Fと、
この仮想直線Fに平行に延びて上記第二の溝11の底面
11Aがなす凹曲線に接する直線Gとの間の距離Sが、
ドリル外径Dに対して0.1×D以下とされている。し
かるに、上記仮想直線Fに対して上記直線Gがドリル回
転方向前方側に位置する場合、すなわち第二の溝11の
溝底Qが仮想直線Fよりも深い場合には、両者の間の距
離Sが大きすぎると第二の溝11の溝深さが深くなり、
このため第一の溝10から導入された切屑Kが十分に第
二の溝11の底面11Aに接触されなくなって、切屑K
のカールが阻害されるおそれがある。一方、逆に図1に
示すように上記仮想直線Fに対して直線Gがドリル回転
方向後方側に位置する場合、すなわち第二の溝11の溝
底Qが仮想直線Fよりも浅い位置にある場合には、上記
距離Sが大きすぎると第二の溝11の溝深さも浅くな
り、カールされた切屑Kが排出され難くなるという問題
が生じる。
【0031】そこで本実施例では、上記仮想直線Fと直
線Gとの間の距離Sを上述のように0.1×Dとして、
第二の溝11の溝深さが深くなりすぎたり、浅くなりす
ぎたりするのを防ぐことにより、切屑排出性の維持と効
率的な切屑の分断とをより確実に両立させることを可能
としているのである。従って、このような構成を採るこ
とにより、一層安定的な切屑処理を行なうことが可能と
なり、より円滑な穴明け加工を促すことができるように
なる。
【0032】ところで、このような構成のドリルの切刃
4により生成された切屑は、ドリル側面視においては、
ドリル先端のドリル回転中心Cを中心に半径D/2の扇
型を描くようにして流出し、上述のように切屑排出溝2
の第一の溝10によって第二の溝11に案内されてカー
ルされる。すなわち、生成された切屑は図2に示す仮想
円ECの円弧に沿った扇型の軌跡を描いて切屑排出溝2
内に導入されることとなる。しかるに、こうして切屑排
出溝2内に導入された切屑が第二の溝11の内周側の部
分にしか摺接しないと、切屑と第二の溝11の底面11
Aとの摺接面積が小さくなってしまい、切屑を十分にカ
ールさせて効率的に分断することが困難となるおそれが
生じる。
【0033】そこで本実施例のドリルでは、図2に示す
ように軸線Oと第一切刃6とに直交する方向からのドリ
ル側面視において、ドリル本体1先端のドリル回転中心
Cを中心に、ドリル外径Dと等しい直径、すなわち半径
D/2の仮想円ECを描き、この仮想円ECと上記側面視
における切屑排出溝2の第二または第三の溝11,12
の先端側稜線部14,15との交点Pを、軸線O方向先
端視における第二または第三の溝11,12の先端側稜
線部14,15上に投影したとき、該軸線O方向先端視
において、投影された上記交点Pの位置がドリル回転中
心Cからドリル外径Dに対してD/3よりも外周側に配
置されるようになされている。つまり、投影された上記
交点Pが、軸線O方向先端視においてドリル回転中心C
を中心とする直径2/3×Dの円EOよりも外周側に配
置されるようになされており、このような構成を採るこ
とにより、切屑排出溝2に案内された切屑と第二の溝1
1との摺接面積が十分に確保されるように図られてい
る。
【0034】すなわち、上述のように切屑はドリル側面
視において仮想円ECに沿った軌跡の扇型を描くから、
この側面視における上記交点Pは、生成された切屑の外
周縁が第二または第三の溝11,12の先端側の稜線部
14,15に当たる位置を示しており、これを軸線O方
向先端側からみると、稜線部14,15上に投影された
交点Pの位置よりも内周側の溝11,12の部分に切屑
が摺接することとなる。従って、軸線O方向先端視にお
いて投影された交点Pの位置が、上記円EOよりも外周
側に配置されていれば、案内された切屑を第二の溝11
の底面11Aの略全域に摺接させて両者の接触面積を十
分に確保することが可能となり、当該第二の溝11によ
る切屑分断効果をより確実に奏功し得るようになるので
ある。逆に、先端視における交点Pの位置が上記円EO
の内周側にあると、案内された切屑が第二の溝11に十
分に摺接されない事態が生じるおそれがある。
【0035】なお、上述の通りシンニング面5の傾斜等
によっては、ドリル側面視における交点Pは、第二の溝
11の稜線部14上ではなく第三の溝12の稜線部15
上に位置する場合もあるが、このような場合には案内さ
れた切屑は第二の溝11の底面11A全域に接触して摺
接することとなるので、かかる場合でも軸線O方向先端
視における投影された交点Pの位置が上記円EOより外
周側にあれば、切屑のカールが阻害されることはない。
【0036】次に、より好ましい第一切刃6の長さL、
第二切刃7の突出量δおよび頂部H近傍の曲率半径φ、
第二の溝11の底面11Aの曲率半径r、第二の溝11
の深さ(上記仮想直線Fと直線Gとの距離S)、および
芯厚T、芯上がり量Bについて、加工材の種別に応じて
説明する。ただし、第二の溝11の深さ、すなわち距離
Sについては、直線Gが仮想直線Fのドリル回転方向側
にある場合を負とし、逆に直線Gが仮想直線Fのドリル
回転方向後方側にある場合を正とする。まず、一般的な
鋼材の穴明け加工の場合には、第一切刃6の長さLを
0.3×D程度に、第二切刃7の突出量δおよび曲率半
径φをそれぞれ0.02×D〜0.04×Dおよび0.3
×D〜0.4×D程度に、第二の溝11の曲率半径r
を、ドリル外径円EDに内接するとともにドリル芯厚部
13の円ETに外接する円ERの半径Rに対して、1.2
×R程度に、また第二の溝11の深さ(距離S)を−
0.1×D程度とし、さらに芯厚Tを0.25×D〜0.
3×Dに、芯上がり量Bを0.12×D〜0.15×Dに
設定するのが好ましい。このような設定とすることによ
り、切刃4の強度を十分に維持しつつ、切屑のスプリン
グバック等による拡大にも対処でき、良好な切削性能を
得ることができる。
【0037】また、高硬度材の穴明けの場合には、第一
切刃6の長さLを0.25×D程度に、第二切刃7の突
出量δおよび曲率半径φをそれぞれ0.01×D〜0.0
2×Dおよび0.4×D〜0.5×D程度に、第二の溝1
1の曲率半径rを上記半径Rに対して0.9×R程度
に、第二の溝11の深さ(距離S)を+0.1×D程度
に、芯厚Tを0.3×D〜0.35×Dに、芯上がり量B
を0.15×D〜0.18×Dに、それぞれ設定するのが
好ましい。すなわち、高硬度材の場合には切屑は比較的
細かく分断され易く、また切削後の切屑拡大も少ないた
め、このように切刃4の強度とドリル本体1の強度の確
保を主とした設定とするのがよい。さらに、アルミ材の
ような軟質材の場合には、第一切刃6の長さLを0.4
×D程度に、第二切刃7の突出量δおよび曲率半径φを
それぞれ0.03×D〜0.05×Dおよび0.15×D
〜0.3×D程度に、第二の溝11の曲率半径rを上記
半径Rに対して0.9×R程度に、距離Sを0とし、か
つ芯厚Tを0.1×D〜0.15×Dに、芯上がり量Bを
0.05×D〜0.08×Dに設定するのが好ましい。軟
質材の場合には、切屑分断が容易で、しかも材料硬度も
低切れ味を重視した設定とするのが好ましい。
【0038】さらにまた、高硬度でありながら加工材自
体の強度が少ない高硬度薄肉材の穴明けの場合には、第
一切刃6の長さLを0.2×D程度に、第二切刃7の突
出量δおよび曲率半径φをそれぞれ0.01×D〜0.0
2×Dおよび0.4×D〜0.5×D程度に、第二の溝1
1の曲率半径rを上記半径Rに対して0.9×R程度
に、距離Sを+0.1×D程度に、芯厚Tを0.2×D〜
0.25×Dに、芯上がり量Bを0.15×D〜0.18
×Dとするのが好ましい。このような高硬度薄肉材の穴
明けでは、高硬度材の切削に耐え得る十分な切刃強度
と、薄肉材の切削に必要とされる切削抵抗の低さ、すな
わち鋭い切れ味とが要求されるため、このような設定を
採るのが望ましい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
切刃を第一の切刃と第二切刃とから構成して第一切刃に
より切刃強度を確保しつつ、第二切刃を第一切刃よりも
突出する凸曲線状とすることで、切刃全体としての鋭い
切れ味を維持して切削抵抗の低減を図ることができる。
また、これに加えて切屑排出溝を第一、第二、および第
三の溝から構成することにより、各溝の相互の働きによ
って良好な切屑排出性を維持しながら切屑を十分にカー
ルさせることができ、より一層効率的な切屑の分断、処
理が可能となる。そしてこれにより、一般的な鋼材の穴
明け加工はもとより、各種合金のような高硬度材やアル
ミニウムのような軟質材、あるいは高硬度薄肉材の穴明
け加工も対応し得る汎用性の高いドリルを提供すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すドリルの軸線O方向先
端視の図である。
【図2】図1における矢線X方向のドリル側面視の図で
ある。
【図3】図1に示す実施例の軸線Oに直交する断面図で
ある。
【図4】図1に示す実施例によって切屑Kがカールされ
る状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ドリル本体 2 切屑排出溝 3 先端逃げ面 4 切刃 5 シンニング面 6 第一切刃 7 第二切刃 8 マージン 9 ヒール 10 第一の溝 11 第二の溝 12 第三の溝 10A,11A,12A 第一、第二、第三の溝10〜
12の底面 13 芯厚部 14 第二の溝11の先端側稜線部(シンニング面5と
の交差稜線部) 15 第三の溝12の先端側稜線部(シンニング面5と
の交差稜線部) O ドリルの回転軸線 C ドリル先端の回転中心 D ドリル外径 L 第一切刃6の長さ B 第一切刃6の芯上がり量 H 第二切刃7の頂点 δ 第二切刃7の突出量 φ 第二切刃7の曲率半径 W1 第一の溝10の幅 W3 第三の溝12の幅 ED ドリル外径円 ET 芯厚部13がなす円 ER ドリル外径円EDに内接するとともに芯厚部13の
円ETに内接する円 R 円ERの半径 r 第二の溝11の底面11Aの曲率半径 A 軸線O方向先端視にドリル回転中心Cを通り第一切
刃6,6に平行となる直線 F 軸線O方向先端視にドリル回転中心Cを通り直線A
に直交する仮想直線 G 軸線O方向先端視に仮想直線Fに平行で第二の溝1
1の溝底Qを通る直線 S 仮想直線Fと直線Gとの間の距離(第二の溝11の
深さ) EC ドリル側面視においてドリル回転中心Cを中心と
する直径Dの仮想円 P ドリル側面視における仮想円ECと稜線部14,1
5との交点 EO 軸線O方向先端視においてドリル回転中心Cを中
心とする直径2/3×Dの円
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 武 岐阜県安八郡神戸町大字横井字中新田1528 番地 三菱マテリアル株式会社岐阜製作所 内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線回りに回転されるドリル本体の側面
    に、先端から基端側に向けて切屑排出溝が形成され、こ
    の切屑排出溝の底面と上記ドリル本体の先端逃げ面との
    交差稜線部にドリル回転方向を向く切刃が形成されて成
    り、 上記切刃は、上記軸線方向先端視にドリル外径Dに対し
    て0.2×D〜0.4×Dの長さでドリル外周から内周側
    に向けて直線状に延びる芯上がりに配置された第一切刃
    と、この第一切刃の内周端から内周側に向かって上記第
    一切刃よりもドリル回転方向に突出する凸曲線を描いた
    後にドリル回転中心に至る第二切刃とから構成されると
    ともに、この第二切刃の上記第一切刃に対する突出量は
    上記ドリル外径Dに対して0.01×D〜0.05×Dの
    範囲に設定される一方、 上記切屑排出溝は、上記軸線に直交する断面において、
    互いに凹曲する底面を備えてマージン側からヒール側に
    順に並ぶ第一、第二、第三の溝より構成され、第一の溝
    は、その溝の底面と上記先端逃げ面との交差稜線部に上
    記第一切刃が形成され、また上記第三の溝の幅は上記ド
    リル外径Dに対して0.03×D〜0.2×Dの範囲に設
    定され、さらに上記第二の溝の底面の曲率半径は、ドリ
    ル外径円に内接するとともにドリル芯厚部に外接する円
    の半径Rに対して、0.9×R〜1.2×Rの範囲に設定
    されていることを特徴とするドリル。
  2. 【請求項2】 上記第一切刃の芯上がり量が、上記ドリ
    ル外径Dに対して、0.05×D〜0.2×Dの範囲に設
    定されていることを特徴とする請求項1記載のドリル。
  3. 【請求項3】 上記軸線方向先端視において、上記第二
    切刃の描く凸曲線の曲率半径が、上記ドリル外径Dに対
    して0.15×D〜0.5×Dの範囲に設定されているこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドリ
    ル。
  4. 【請求項4】 上記軸線方向先端視において、上記ドリ
    ル回転中心を通り上記第一切刃に垂直な方向に延びる仮
    想直線と、この仮想直線に平行に延びて上記第二の溝の
    底面がなす凹曲線に接する直線との間の距離が、上記ド
    リル外径Dに対して0.1×D以下とされていることを
    特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の
    ドリル。
  5. 【請求項5】 上記軸線と上記第一切刃とに直交する方
    向からのドリル側面視において上記ドリル本体の先端の
    ドリル回転中心を中心に上記ドリル外径Dと等しい直径
    の仮想円を描き、この仮想円と上記側面視における上記
    切屑排出溝の第二または第三の溝の先端側稜線部との交
    点を、上記軸線方向先端視における上記第二または第三
    の溝の先端側稜線部上に投影したとき、該軸線方向先端
    視において、投影された上記交点の位置が上記ドリル回
    転中心から上記ドリル外径Dに対してD/3よりも外周
    側に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項
    4のいずれかに記載のドリル。
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