JPH07229412A - 高温耐摩耗性の優れたエンジンバルブ - Google Patents
高温耐摩耗性の優れたエンジンバルブInfo
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- JPH07229412A JPH07229412A JP6043293A JP4329394A JPH07229412A JP H07229412 A JPH07229412 A JP H07229412A JP 6043293 A JP6043293 A JP 6043293A JP 4329394 A JP4329394 A JP 4329394A JP H07229412 A JPH07229412 A JP H07229412A
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- JP
- Japan
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- engine valve
- face surface
- build
- phase
- high temperature
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高温耐摩耗性の優れたエンジンバルブを提供
する。 【構成】 エンジンバルブの肉盛り溶接フェース面が、
重量%で、C:0.7〜1.5%、Mn:10〜15
%、Cr:24〜30%、Mo:6.1〜9.8%、N
i:10〜15%、N:0.1〜0.4%、Si:0.
2〜1.5%、を含有し、さらに、必要に応じてNb:
0.1〜5%、Ta:0.1〜5%、およびW:0.1
〜5%の1種または2種以上(但し合量で5%以下)を
含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成、並び
にオーステナイト相と共晶炭化物相の2相組織を有する
Fe基合金からなる。
する。 【構成】 エンジンバルブの肉盛り溶接フェース面が、
重量%で、C:0.7〜1.5%、Mn:10〜15
%、Cr:24〜30%、Mo:6.1〜9.8%、N
i:10〜15%、N:0.1〜0.4%、Si:0.
2〜1.5%、を含有し、さらに、必要に応じてNb:
0.1〜5%、Ta:0.1〜5%、およびW:0.1
〜5%の1種または2種以上(但し合量で5%以下)を
含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成、並び
にオーステナイト相と共晶炭化物相の2相組織を有する
Fe基合金からなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高温耐摩耗性のすぐ
れたエンジンバルブに関するものである。
れたエンジンバルブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車などのエンジンの構造部材
であるエンジンバルブが、耐熱鋼やステンレス鋼などの
エンジンバルブ本体のフェース面、すなわち局部的に高
い耐摩耗性が要求されるバルブシートとの当接面に、肉
盛り溶接材として、例えば特開平2−92494号公報
などに記載されるFe基合金粉末はじめ、その他多くの
Fe基合金粉末を用い、プラズマアーク肉盛り溶接法や
レーザービーム肉盛り溶接法などにて、上記Fe基合金
粉末を肉盛り溶接することにより製造されることは良く
知られるところである。
であるエンジンバルブが、耐熱鋼やステンレス鋼などの
エンジンバルブ本体のフェース面、すなわち局部的に高
い耐摩耗性が要求されるバルブシートとの当接面に、肉
盛り溶接材として、例えば特開平2−92494号公報
などに記載されるFe基合金粉末はじめ、その他多くの
Fe基合金粉末を用い、プラズマアーク肉盛り溶接法や
レーザービーム肉盛り溶接法などにて、上記Fe基合金
粉末を肉盛り溶接することにより製造されることは良く
知られるところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の自動車の
高出力化および高速化はめざましく、これに伴ない、エ
ンジンの運転条件はより高温に移行するのが避けられ
ず、したがってこれの構造部材であるエンジンバルブも
より一段と高温の雰囲気にさらされることになるが、上
記の従来エンジンバルブにおいては、特にこれのフェー
ス面に肉盛り溶接されたFe基合金の高温耐摩耗性が十
分でないために、フェース面の摩耗進行が速くなり、こ
れらの高温化に十分満足に対応することができない。
高出力化および高速化はめざましく、これに伴ない、エ
ンジンの運転条件はより高温に移行するのが避けられ
ず、したがってこれの構造部材であるエンジンバルブも
より一段と高温の雰囲気にさらされることになるが、上
記の従来エンジンバルブにおいては、特にこれのフェー
ス面に肉盛り溶接されたFe基合金の高温耐摩耗性が十
分でないために、フェース面の摩耗進行が速くなり、こ
れらの高温化に十分満足に対応することができない。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、特にエンジンバルブのフェース
面の高温耐摩耗性に着目し研究を行なった結果、エンジ
ンバルブのフェース面を、重量%で(以下、%は重量%
を示す)、C:0.7〜1.5%、 Mn:10〜
15%、Cr:24〜30%、 Mo:6.1〜
9.8%、Ni:10〜15%、 N:0.1〜
0.4%、Si:0.2〜1.5%、を含有し、さらに
必要に応じてNb:0.1〜5%、Ta:0.1〜5
%、W:0.1〜5%、のうちの1種または2種以上
(但し合量で5%以下)を含有し、残りがFeと不可避
不純物からなる組成、並びに図1に金属顕微鏡による組
織写真で見られるようにオーステナイト相と共晶炭化物
相の2相組織、この場合、望ましくは前記共晶炭化物相
の面積率を10〜50%、前記オーステナイト相の2次
デンドライトアーム長さを15μm以下とした組織を有
するFe基合金の肉盛り溶接により形成すると、この結
果のエンジンバルブは、特にフェース面を構成する上記
Fe基合金がきわめてすぐれた高温耐摩耗性を有するこ
とから、エンジンのより一段の高温での運転にもフェー
ス面の摩耗が著しく抑制されるようになるという研究結
果を得たのである。
上述のような観点から、特にエンジンバルブのフェース
面の高温耐摩耗性に着目し研究を行なった結果、エンジ
ンバルブのフェース面を、重量%で(以下、%は重量%
を示す)、C:0.7〜1.5%、 Mn:10〜
15%、Cr:24〜30%、 Mo:6.1〜
9.8%、Ni:10〜15%、 N:0.1〜
0.4%、Si:0.2〜1.5%、を含有し、さらに
必要に応じてNb:0.1〜5%、Ta:0.1〜5
%、W:0.1〜5%、のうちの1種または2種以上
(但し合量で5%以下)を含有し、残りがFeと不可避
不純物からなる組成、並びに図1に金属顕微鏡による組
織写真で見られるようにオーステナイト相と共晶炭化物
相の2相組織、この場合、望ましくは前記共晶炭化物相
の面積率を10〜50%、前記オーステナイト相の2次
デンドライトアーム長さを15μm以下とした組織を有
するFe基合金の肉盛り溶接により形成すると、この結
果のエンジンバルブは、特にフェース面を構成する上記
Fe基合金がきわめてすぐれた高温耐摩耗性を有するこ
とから、エンジンのより一段の高温での運転にもフェー
ス面の摩耗が著しく抑制されるようになるという研究結
果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、エンジンバルブのフェース面を
Fe基合金粉末を用いた肉盛り溶接により形成してなる
エンジンバルブにおいて、上記肉盛り溶接フェース面
を、C:0.7〜1.5%、 Mn:10〜15
%、Cr:24〜30%、 Mo:6.1〜9.
8%、Ni:10〜15%、 N:0.1〜0.
4%、Si:0.2〜1.5%、を含有し、さらに必要
に応じて、Nb:0.1〜5%、Ta:0.1〜5%、
W:0.1〜5%、のうちの1種または2種以上(但し
合量で5%以下)を含有し、残りがFeと不可避不純物
からなる組成、並びにオーステナイト相と共晶炭化物相
の2相組織を有するFe基合金で構成することにより高
温耐摩耗性の向上をはかったエンジンバルブに特徴を有
するものである。
なされたものであって、エンジンバルブのフェース面を
Fe基合金粉末を用いた肉盛り溶接により形成してなる
エンジンバルブにおいて、上記肉盛り溶接フェース面
を、C:0.7〜1.5%、 Mn:10〜15
%、Cr:24〜30%、 Mo:6.1〜9.
8%、Ni:10〜15%、 N:0.1〜0.
4%、Si:0.2〜1.5%、を含有し、さらに必要
に応じて、Nb:0.1〜5%、Ta:0.1〜5%、
W:0.1〜5%、のうちの1種または2種以上(但し
合量で5%以下)を含有し、残りがFeと不可避不純物
からなる組成、並びにオーステナイト相と共晶炭化物相
の2相組織を有するFe基合金で構成することにより高
温耐摩耗性の向上をはかったエンジンバルブに特徴を有
するものである。
【0006】つぎに、この発明のエンジンバルブの肉盛
り溶接フェース面を構成するFe基合金の組成を上記の
通りに限定した理由を説明する。 (a) C C成分には、オーステナイト相に固溶して、これの高温
強度を向上させるほか、共晶炭化物相を形成して高温耐
摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が0.7%
未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含
有量が1.5%を越えると、相手部材であるバルブシー
トの摩耗進行が促進するようになることから、その含有
量を0.7〜1.5%と定めた。
り溶接フェース面を構成するFe基合金の組成を上記の
通りに限定した理由を説明する。 (a) C C成分には、オーステナイト相に固溶して、これの高温
強度を向上させるほか、共晶炭化物相を形成して高温耐
摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が0.7%
未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含
有量が1.5%を越えると、相手部材であるバルブシー
トの摩耗進行が促進するようになることから、その含有
量を0.7〜1.5%と定めた。
【0007】(b) Mn Mn成分には、NiおよびCrと共にオーステナイト相
を形成して高温耐食性を向上させる作用があるが、その
含有量が10%未満では所望の高温耐食性向上効果が得
られず、一方その含有量が15%を越えると、高温耐摩
耗性が低下するようになることから、その含有量を10
〜15%と定めた。
を形成して高温耐食性を向上させる作用があるが、その
含有量が10%未満では所望の高温耐食性向上効果が得
られず、一方その含有量が15%を越えると、高温耐摩
耗性が低下するようになることから、その含有量を10
〜15%と定めた。
【0008】(c) Cr Cr成分には、上記の通り高温耐食性のすぐれたオース
テナイト相を形成すると共に、共晶炭化物相を形成して
高温耐摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が
24%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方
その含有量が30%を越えると、相手部材であるバルブ
シートの損傷が急激に増加するようになることから、そ
の含有量を24〜30%と定めた。
テナイト相を形成すると共に、共晶炭化物相を形成して
高温耐摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が
24%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方
その含有量が30%を越えると、相手部材であるバルブ
シートの損傷が急激に増加するようになることから、そ
の含有量を24〜30%と定めた。
【0009】(d) Mo Mo成分には、オーステナイト相に固溶して、これの高
温耐摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が
6.1%未満では、所望のすぐれた高温耐摩耗性を確保
することができず、一方、その含有量が9.8%を越え
ると、高温耐食性が低下するようになることから、その
含有量を6.1〜9.8%と定めた。
温耐摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が
6.1%未満では、所望のすぐれた高温耐摩耗性を確保
することができず、一方、その含有量が9.8%を越え
ると、高温耐食性が低下するようになることから、その
含有量を6.1〜9.8%と定めた。
【0010】(e) Ni Ni成分には、上記の通りMnおよびCrと共に高温耐
食性のすぐれたオーステナイト相を形成する作用がある
が、その含有量が10%未満では所望のすぐれた高温耐
食性を有するオーステナイト相を形成することができ
ず、一方その含有量が15%を越えると高温耐摩耗性が
低下するようになることから、その含有量を10〜15
%と定めた。
食性のすぐれたオーステナイト相を形成する作用がある
が、その含有量が10%未満では所望のすぐれた高温耐
食性を有するオーステナイト相を形成することができ
ず、一方その含有量が15%を越えると高温耐摩耗性が
低下するようになることから、その含有量を10〜15
%と定めた。
【0011】(f) N N成分には、微細に分散する炭窒化物を形成して高温耐
摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が0.1
%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その
含有量が0.4%を越えると、肉盛り溶接性が低下する
ようになることから、その含有量を0.1〜0.4%と
定めた。
摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が0.1
%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その
含有量が0.4%を越えると、肉盛り溶接性が低下する
ようになることから、その含有量を0.1〜0.4%と
定めた。
【0012】(g) Si Si成分には、肉盛り溶接時の流動性(湯流れ性)を向
上させると共に、強力な脱酸作用を発揮して溶接性の向
上に役立つ作用があるが、その含有量が0.2%未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が
1.5%を越えると、靱性が低下し、割れが発生し易く
なることから、その含有量を0.2〜1.5%と定め
た。
上させると共に、強力な脱酸作用を発揮して溶接性の向
上に役立つ作用があるが、その含有量が0.2%未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が
1.5%を越えると、靱性が低下し、割れが発生し易く
なることから、その含有量を0.2〜1.5%と定め
た。
【0013】(h) Nb、Ta、およびW Nb、Ta、およびW成分には、オーステナイト相に固
溶して、これの高温耐摩耗性をさらに向上させる作用が
あるので必要に応じて含有させるが、その含有量がそれ
ぞれ0.1%未満では、所望の優れた高温耐摩耗性の向
上が得られず、一方、その含有量が5%、合量で5%を
越えると共晶炭化物以外の高温生成型炭化物を形成し、
肉盛り溶接性が低下するようになるのことから、その含
有量を0.1〜5%と定めた。
溶して、これの高温耐摩耗性をさらに向上させる作用が
あるので必要に応じて含有させるが、その含有量がそれ
ぞれ0.1%未満では、所望の優れた高温耐摩耗性の向
上が得られず、一方、その含有量が5%、合量で5%を
越えると共晶炭化物以外の高温生成型炭化物を形成し、
肉盛り溶接性が低下するようになるのことから、その含
有量を0.1〜5%と定めた。
【0014】(i) 不可避不純物 合金原料に含まれる不純物および肉盛り材溶製時の脱酸
剤、炉材から汚染などによって不純物の混入は避けられ
ないが、Al:0.1%まで、 B:0.05%ま
で、P:0.04%まで、 S:0.05%まで、
O:0.05%までの混入はエンジンバルブの特性を害
するものではない。
剤、炉材から汚染などによって不純物の混入は避けられ
ないが、Al:0.1%まで、 B:0.05%ま
で、P:0.04%まで、 S:0.05%まで、
O:0.05%までの混入はエンジンバルブの特性を害
するものではない。
【0015】(j) 共晶炭化物面積率 肉盛り溶接によって初晶のデンドライト状に成長したオ
ーステナイト相と共晶炭化物相からなる組織で構成され
る、本発明Fe基合金のフェース面を有するエンジンバ
ルブを作製できるが、その共晶炭化物相の面積率が10
%未満では高温耐摩耗性を向上させる作用が十分ではな
く、一方、その面積率が50%を越えると肉盛り溶接性
が低下するようになることからその面積率を10〜50
%とするのが望ましい。
ーステナイト相と共晶炭化物相からなる組織で構成され
る、本発明Fe基合金のフェース面を有するエンジンバ
ルブを作製できるが、その共晶炭化物相の面積率が10
%未満では高温耐摩耗性を向上させる作用が十分ではな
く、一方、その面積率が50%を越えると肉盛り溶接性
が低下するようになることからその面積率を10〜50
%とするのが望ましい。
【0016】(k) オーステナイト相の2次デンドラ
イトアーム間隔 2次デンドラトアームは肉盛り溶接時にオーステナイト
相が凝固成長した際に形成されるが、その2次デンドラ
イトアームは、その間隔が大きくなると組織の均一性が
低下し、同時に粗大化したオーステナイト相が容易に変
形するために高温耐摩耗性を害するようになることか
ら、その2次デンドライトアーム間隔は15μm以下に
するのが望ましい。
イトアーム間隔 2次デンドラトアームは肉盛り溶接時にオーステナイト
相が凝固成長した際に形成されるが、その2次デンドラ
イトアームは、その間隔が大きくなると組織の均一性が
低下し、同時に粗大化したオーステナイト相が容易に変
形するために高温耐摩耗性を害するようになることか
ら、その2次デンドライトアーム間隔は15μm以下に
するのが望ましい。
【0017】
【実施例】つぎに、この発明のエンジンバルブを実施例
により具体的に説明する。通常の溶解法により表1、2
に示される組成をもったFe基合金溶湯を調製し、必要
に応じてAlおよび/またはMgで脱酸処理した状態
で、これをN2ガスを用いたガスアトマイズ法により粉
化して、いずれも110μmの平均粒径をもったFe基
合金粉末とし、この粉末を肉盛溶接材として用い、傘
径:31.5mmのSUH35(耐熱鋼)製自動車エン
ジンバルブのフェース面を、プラズマ電流:105A/
125A、プラズマガス流量:0.9/min 、シー
ルドガス流量:15l/min 、粉末供給ガス流量:
1l/min 、1本当りの肉盛量:3.0〜4・0
g、の条件でのプラズマアーク肉盛溶接、並びに、レー
ザー出力:2.4〜3・8KW、シールドガス流量:1
5l/min 、1本当りの肉盛量:3.0〜4・0
g、の条件でのレーザービーム肉盛り溶接にて形成する
ことにより肉盛り溶接フェース面が上記Fe基合金粉末
と実質的に同一の組成をもったFe基合金で構成された
本発明エンジンバルブ1〜17および比較エンジンバル
ブ1〜4をそれぞれ製造した。特にプラズマ電流とレー
ザー出力を制御して、それぞれのバルブの肉盛り溶接フ
ェース面の金属顕微鏡による断面ミクロ組織から共晶炭
化物相の面積率および2次デンドライトアームの間隔を
測定した。
により具体的に説明する。通常の溶解法により表1、2
に示される組成をもったFe基合金溶湯を調製し、必要
に応じてAlおよび/またはMgで脱酸処理した状態
で、これをN2ガスを用いたガスアトマイズ法により粉
化して、いずれも110μmの平均粒径をもったFe基
合金粉末とし、この粉末を肉盛溶接材として用い、傘
径:31.5mmのSUH35(耐熱鋼)製自動車エン
ジンバルブのフェース面を、プラズマ電流:105A/
125A、プラズマガス流量:0.9/min 、シー
ルドガス流量:15l/min 、粉末供給ガス流量:
1l/min 、1本当りの肉盛量:3.0〜4・0
g、の条件でのプラズマアーク肉盛溶接、並びに、レー
ザー出力:2.4〜3・8KW、シールドガス流量:1
5l/min 、1本当りの肉盛量:3.0〜4・0
g、の条件でのレーザービーム肉盛り溶接にて形成する
ことにより肉盛り溶接フェース面が上記Fe基合金粉末
と実質的に同一の組成をもったFe基合金で構成された
本発明エンジンバルブ1〜17および比較エンジンバル
ブ1〜4をそれぞれ製造した。特にプラズマ電流とレー
ザー出力を制御して、それぞれのバルブの肉盛り溶接フ
ェース面の金属顕微鏡による断面ミクロ組織から共晶炭
化物相の面積率および2次デンドライトアームの間隔を
測定した。
【0018】なお、比較エンジンバルブ1〜4は、いず
れもこれの肉盛溶接フェース面を構成するFe基合金の
構成成分のうち、高温耐摩耗性を向上させる成分、すな
わちC、Cr、Mo、のうちのいずれかの成分の含有量
がこの発明の範囲から外れて低い組成をもつものであ
る。
れもこれの肉盛溶接フェース面を構成するFe基合金の
構成成分のうち、高温耐摩耗性を向上させる成分、すな
わちC、Cr、Mo、のうちのいずれかの成分の含有量
がこの発明の範囲から外れて低い組成をもつものであ
る。
【0019】ついで、この結果得られた各種のエンジン
バルブを容量:2000ccのガソリンエンジンに組込
み、 使用ガソリン:有鉛ガソリン(Pb:1.8g/l含
有)、 回転数:7500r.p.m 、 運転時間:100時間、 の条件で摩耗加速試験を行ない、試験後のフェース面の
最大摩耗深さを測定した。これらの測定結果を表3に示
した。
バルブを容量:2000ccのガソリンエンジンに組込
み、 使用ガソリン:有鉛ガソリン(Pb:1.8g/l含
有)、 回転数:7500r.p.m 、 運転時間:100時間、 の条件で摩耗加速試験を行ない、試験後のフェース面の
最大摩耗深さを測定した。これらの測定結果を表3に示
した。
【0020】また、表3には、本発明エンジンバルブ1
〜17および比較エンジンバルブ1〜4の肉盛り溶接フ
ェース面の常温および800℃のビッカース硬さ(荷
重:200g)を示した。さらに、図1には本発明エン
ジンバルブ2の金属顕微鏡による組織写真(500倍)
を示す。
〜17および比較エンジンバルブ1〜4の肉盛り溶接フ
ェース面の常温および800℃のビッカース硬さ(荷
重:200g)を示した。さらに、図1には本発明エン
ジンバルブ2の金属顕微鏡による組織写真(500倍)
を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【発明の効果】表1〜3に示される結果から、本発明エ
ンジンバルブ1〜17は、いずれもその肉盛り溶接フェ
ース面が高い高温硬さを有し、かつ、共晶炭化物相の面
積率が10〜50%を有する優れたれた高温耐摩耗性を
示すのに対して、比較エンジンバルブ1〜4に見られる
ように、これの肉盛り溶接フェース面を構成するFe基
合金の構成成分であるC、Cr、Mo、N、のうちのい
ずれかの成分含有量(表2に*印を付す)でもこの発明
の範囲から低い方に外れると、高温硬さが相対的に低下
し、かつ高温耐摩耗性も劣ったものになることが明らか
である。
ンジンバルブ1〜17は、いずれもその肉盛り溶接フェ
ース面が高い高温硬さを有し、かつ、共晶炭化物相の面
積率が10〜50%を有する優れたれた高温耐摩耗性を
示すのに対して、比較エンジンバルブ1〜4に見られる
ように、これの肉盛り溶接フェース面を構成するFe基
合金の構成成分であるC、Cr、Mo、N、のうちのい
ずれかの成分含有量(表2に*印を付す)でもこの発明
の範囲から低い方に外れると、高温硬さが相対的に低下
し、かつ高温耐摩耗性も劣ったものになることが明らか
である。
【0025】上述のように、この発明のエンジンバルブ
は、相手部材であるエンジンバルブシートへの繰り返し
当接によって烈しい摩耗を受ける肉盛り溶接フェース面
が、高温硬さと高温耐摩耗性にすぐれたFe基合金で構
成されているので、エンジンの高出力化および高速化に
伴なう高温雰囲気下においてもすぐれた性能を著しく長
期に亘って発揮するのである。
は、相手部材であるエンジンバルブシートへの繰り返し
当接によって烈しい摩耗を受ける肉盛り溶接フェース面
が、高温硬さと高温耐摩耗性にすぐれたFe基合金で構
成されているので、エンジンの高出力化および高速化に
伴なう高温雰囲気下においてもすぐれた性能を著しく長
期に亘って発揮するのである。
【図1】 図1は本発明エンジンバルブ2の金属顕微鏡
による組織写真(500倍)である。
による組織写真(500倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 修身 埼玉県桶川市上日出谷1230 三菱マテリア ル株式会社桶川製作所内
Claims (2)
- 【請求項1】 エンジンバルブのフェース面をFe基合
金粉末を用いた肉盛り溶接により形成してなるエンジン
バルブにおいて、 上記肉盛溶接フェース面を、重量%で、 C:0.7〜1.5%、 Mn:10〜15%、 Cr:24〜30%、 Mo:6.1〜9.8
%、 Ni:10〜15%、 N:0.1〜0.4%、 Si:0.2〜1.5%、を含有し、残りがFeと不可
避不純物からなる組成、並びにオーステナイト相と共晶
炭化物相の2相組織を有するFe基合金で構成したこと
を特徴とする高温耐摩耗性の優れたエンジンバルブ。 - 【請求項2】 エンジンバルブのフェース面をFe基合
金粉末を用いた肉盛り溶接により形成してなるエンジン
バルブにおいて、上記肉盛り溶接フェース面を、重量%
で、 C:0.7〜1.5%、 Mn:10〜15%、 Cr:24〜30%、 Mo:6.1〜9.8%、 Ni:10〜15%、 N:0.1〜0.1%、 Si:0.2〜1.5%、を含有し、さらに Nb:0.1〜5%、 Ta:0.1〜5%、 W :0.1〜5%、のうちの1種または2種以上(但
し合量で5%以下)を含有し、残りがFeと不可避不純
物からなる組成、並びにオーステナイト相と共晶炭化物
相の2相組織を有するFe基合金で構成したことを特徴
とする高温耐摩耗性の優れたエンジンバルブ。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6043293A JPH07229412A (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | 高温耐摩耗性の優れたエンジンバルブ |
DE4443772A DE4443772C2 (de) | 1994-02-18 | 1994-12-08 | Motorventil mit verbesserter Hochtemperatur-Verschleißfestigkeit |
KR1019940033457A KR100216764B1 (ko) | 1994-02-18 | 1994-12-09 | 고온내마모성이 우수한 엔진밸브 |
US08/353,915 US5495837A (en) | 1993-06-11 | 1994-12-12 | Engine valve having improved high-temperature wear resistance |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6043293A JPH07229412A (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | 高温耐摩耗性の優れたエンジンバルブ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH07229412A true JPH07229412A (ja) | 1995-08-29 |
Family
ID=12659752
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP6043293A Withdrawn JPH07229412A (ja) | 1993-06-11 | 1994-02-18 | 高温耐摩耗性の優れたエンジンバルブ |
Country Status (1)
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JP (1) | JPH07229412A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08121125A (ja) * | 1994-10-21 | 1996-05-14 | Fuji Oozx Inc | エンジンバルブ及びその製造方法 |
CN101954534A (zh) * | 2009-07-13 | 2011-01-26 | 中央发条株式会社 | 碟形弹簧及其制造方法 |
-
1994
- 1994-02-18 JP JP6043293A patent/JPH07229412A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08121125A (ja) * | 1994-10-21 | 1996-05-14 | Fuji Oozx Inc | エンジンバルブ及びその製造方法 |
CN101954534A (zh) * | 2009-07-13 | 2011-01-26 | 中央发条株式会社 | 碟形弹簧及其制造方法 |
JP2011021624A (ja) * | 2009-07-13 | 2011-02-03 | Chuo Spring Co Ltd | 皿ばね及びその製造方法 |
US8530779B2 (en) | 2009-07-13 | 2013-09-10 | Chuo Hatsujo Kabushiki Kaisha | Disc spring and process of manufacturing the same |
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