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JP3305738B2 - 耐摩耗性に優れた肉盛銅基合金 - Google Patents

耐摩耗性に優れた肉盛銅基合金

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JP3305738B2
JP3305738B2 JP32502791A JP32502791A JP3305738B2 JP 3305738 B2 JP3305738 B2 JP 3305738B2 JP 32502791 A JP32502791 A JP 32502791A JP 32502791 A JP32502791 A JP 32502791A JP 3305738 B2 JP3305738 B2 JP 3305738B2
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和彦 森
政宏 仲川
博之 村瀬
稔 河崎
卓 斎藤
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  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銅(Cu)基合金、よ
り詳しくは、耐摩耗性に優れている分散強化型の肉盛用
銅基合金に関する。
【0002】
【従来の技術】銅基合金の耐摩耗性材料としては、Cu
にベリリウム(Be)を添加したベリリウム銅あるいは
コルソン合金として知られるCu−Ni−Si合金など
の析出硬化型の合金や、銅基マトリックス中にSi
2 、Cr2 3 、BeO、TiO2 、ZrO2 、Mg
O、MnOなどの硬質酸化物を主体とする粒子を分散さ
せた分散強化型の合金などが知られている。
【0003】特に、ベリリウム銅は、鋼並みの強さ(1
00kg/mm2以上の引張強度)を有し、銅基合金の中では
高い硬さ(Hv300以上の硬度)を有している。しか
しながら、このような析出硬化処理(時効硬化処理)を
施したものでは、析出(時効)温度よりも高い温度状態
(350〜450℃)になると、急激に硬さが低下し、
耐摩耗部材としては不十分である。また、このような析
出硬化処理は大物部材に適用し難く、熱処理による歪み
の発生が問題となり、処理に長時間を必要とする。さら
に、析出は、固体内の拡散によって生じるため、析出粒
子の大きさは数μm程度と微細であり、このため硬さは
得られても、摺動(滑り)を伴う摩耗条件では、しばし
ば大きな摩耗を生じることがある。
【0004】また、分散強化型の銅基合金の内で、内部
酸化法によって得られるものは、固体内での酸素の拡散
により酸化物粒子を形成するので、この分散粒子は析出
型の場合と同様に微細なものとなってしまう。しかも、
固体内拡散のために高温長時間の処理を必要とし、大物
部材に適用し難く、歪み発生の問題もある。また、焼結
法によって得られるものは、原料粉体の粒径を変えるこ
とで容易に分散粒子の大きさをコントロールすることは
できるが、均一な分散をミクロンオーダでコントロール
することは困難である。しかも、肉盛のように局部的に
銅基合金層を形成しようとすると、基体である被処理部
材全体を焼結温度まで加熱しなければならず、それによ
って被処理部材に変形・歪みが発生してしまうので、肉
盛用には不向きである。
【0005】そこで、本出願人は、肉盛用耐摩耗性銅基
合金として、Cu−Ni−Fe−(B)−Si系の銅基
合金に珪化物や硼化物の硬質粒子を晶出により分散させ
た銅基分散強化合金を、特開昭63−157826号公
報で提案した。Fe−Ni系の珪化物および硼化物の硬
質粒子を分散させて、従来材よりも耐摩耗性を向上させ
ることができた。
【0006】ところで、内燃機関(例えば、自動車エン
ジン)の排気バルブは、その温度がフェース部では70
0℃以上であり、しかも排気ガス温度が1000℃以上
になる場合もある。このために、バルブシートは、70
0℃以上のバルブと接触しかつ1000℃以上のガスに
曝されることになる。したがって、バルブシートの表面
温度が高温になり、バルブに銅基合金が凝着しやすい状
態になる。そして、一旦凝着が発生すると、そこでは銅
(Cu)基合金同士の接触になるため、凝着が激しく進
行して大きな摩耗を生じることになる。上述した提案に
係る銅基合金は、硬質粒子の晶出による強化作用を利用
しているが、マトリックスの銅リッチ相の凝着を抑える
ことができないことが分かった。また、第2相の析出で
強化した従来の銅基分散強化合金においても、銅リッチ
相の凝着が抑えられないことが分かった。
【0007】そこで、本出願人は、マトリックスの銅リ
ッチ相の凝着を抑制するために、銅よりも酸化しやすい
亜鉛(Zn)、錫(Sn)を銅基初晶中に固溶させる方
法(特開平3−60895号)や鉛(Pb)を銅基α相
デンドライト(樹枝状晶)間に分散させる方法(特開平
3−87327号公報)を提案した。さらに、硼素
(B)添加(硼化物の形成)の代わりにモリブデン(M
o)を添加し、モリブデンの珪化物を形成することで潤
滑性を高めて改善することを提案した(特願平3−13
0737号)。
【0008】また、上記提案のCu−Ni−Fe−
(B)−Si系の銅基合金のFe−Ni系の珪化物/硼
化物では、高温での硬さが低下することがあるので、摩
擦により高温となり易い比較的負荷の高い滑り摩耗に対
して耐摩耗特性が劣る傾向がある。そこで、クロム(C
r)を添加して、Fe−Ni−Cr系の珪化物および硼
化物の硬質粒子を分散させることを特開平1−1118
31号公報にて提案し、さらに、鉄(Fe)を削除可能
にしたCu−Ni−Cr−B−Si系の銅基合金を特開
平1−152232号公報にて提案した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】滑り摩耗に対する耐摩
耗特性は、上述した提案の銅基合金で改善されたが、特
に、アブレッシブな摩耗に対してもっと耐磨耗性を高め
たものが求められている。そこで、本発明の目的は、十
分に耐摩耗性に優れた肉盛用銅基合金を提供することで
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的、Ni:5
〜30.0mass%、Si:0.5〜5.0mass%、B:
0.5〜3.0mass%、Co:2〜30mass%、および
残部:Cuおよび不可避的不純物からなり、Ni、S
i、BおよびCoの合計含有量が60mass%を超えな
い、耐摩耗性に優れた肉盛銅基合金によって達成され
る。なお、以下の記載において、含有量の単位である
「wt%」および「%」は「mass%」を意味する。
【0011】Coの一部をFeに置換することもできる
(ただし、Co≧2wt%)。さらに、上述の組成に、高
融点炭化物、Pb、SnおよびZnの一種または二種以
上を含有させても良い。
【0012】本発明に係る分散強化銅基合金は、先に提
案した合金と同様に、金属基体上にレーザ、TIGアー
ク、プラズマアーク、電子ビームなどの高密度加熱エネ
ルギーを用いて溶着(肉盛)することによって容易に形
成されるものである。その際の銅基合金は、粉末あるい
は溶接棒の形態で用意される。
【0013】
【作用】本発明における組成成分の限定理由は次の通り
である。NiはCuに固溶してCu基マトリックスを強
化し、硬質なNiの珪化物(シリサイド)をデンドライ
トの間に形成して分散強化により耐摩耗性を高める。ま
た、2液相分離後にマトリックス中に均一に分散する硬
質粒子中に珪化物、硼化物として存在し、耐摩耗性確保
に重要な役割を果たす。5%未満では効果が十分に現れ
ず、一方、30%を越えると、2液相分離化を抑制し、
耐摩耗性確保が難しくなる。また、肉盛合金(層)の靱
性が低下する。
【0014】Siは珪化物形成元素であって、主にNi
と、そしてFe、Coとで化合物(珪化物)を形成し
て、さらにCu基マトリックスの強化に寄与して耐摩耗
性などを確保する。その量が0.5%未満では、珪化物硬
質粒子の形成に不十分であり、一方、5%を越えると、
肉盛層(ビード)の靱性が低下し、割れの発生が見られ
る。
【0015】Bは主にCo、Fe、Niと化合物を形成
し、硬質粒子を構成する。この硬質粒子が耐摩耗性確保
に寄与する。その量が0.5%未満では十分な耐摩耗性確
保が難しく、5.0%を越えると、肉盛合金(層)靱性が
損なわれ、割れが発生し易くなる。
【0016】CoはCu基マトリックスとほとんど固溶
せず、2液相分離を促進し、主に硼化物として硬質粒子
を形成する。この硼化物は高温での硬度低下が比較的小
さいので、高温での耐摩耗性を向上させ、高負荷での耐
摩耗性を向上させることになる。その量が2%未満で
は、その効果が得られず、一方、30%を越えると相手
材への攻撃性の悪化や肉盛合金の靱性低下を招く。
【0017】FeはCoと同様な効果を有して、Coの
一部を置換するように添加される。Feは硬質粒子の耐
熱温度を下げるが、相手攻撃性との兼ね合いで、Co単
独添加の場合よりもトータルの摩耗量でバランスが良く
なることがある。高負荷下での特性確保のためにはCo
≧2%は必要であり、CoとFeとの合計量が2%未満
では耐摩耗性が十分でなく、30%を越えると相手材へ
の攻撃性の悪化や肉盛合金の靱性低下を招く。
【0018】高融点炭化物はマトリックス中に分散して
耐摩耗性をより一層向上させる効果がある。付加的に添
加する高融点炭化物とは、融点が1500℃以上であっ
て、実質的に肉盛合金と反応(固溶、晶出など)しない
炭化物であり、例えば、TaC、TiC、Cr3 2
VC、NbCなどである。高融点炭化物の添加量として
は、耐摩耗性効果を出すには1wt%以上が望ましく、一
方、20wt%を越えると溶着性を悪化させるので望まし
くない。
【0019】Pbは高温雰囲気において固体潤滑作用を
もたらす元素として添加するものである。Pbの添加量
としては、固体潤滑作用による凝着摩耗特性の改善効果
を出すには2wt%以上が望ましく、一方、20wt%を越
えると分散硬質粒子の凝集を招き、相手材攻撃性が増大
するので望ましくない。
【0020】SnおよびZnはCu基合金の耐凝着性向
上(Cu基初晶での酸化物被膜形成)のために添加する
ものである。Snの添加量としては、凝着摩耗特性の改
善効果を出すには3wt%以上が望ましく、一方、15wt
%を越えるとレーザやTIGなどにて肉盛した際に割れ
の発生を招くことがあり望ましくない。また、Znの添
加量としては、凝着摩耗特性の改善効果を出すには同じ
く3wt%以上が望ましく、一方、30wt%を越えると肉
盛した際に割れの発生を招くことがあり望ましくない。
【0021】
【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明の実施態
様例および比較例によって本発明をより詳細に説明す
る。表1に示した組成(wt%)の合金粉末の試料A〜I
(本発明実施例のCu基合金)と、比較例として特開昭
63−157826号公報(特許請求の範囲第1項)で
の合金粉末の試料Jと、特開平1−52232号公報で
の合金粉末の試料Kとを、後述するようにレーザ光を熱
源として用いて、Al合金(JIS・AC2C)基板上
に溶着させて肉盛(溶着)層を形成した。試料Fは高融
点炭化物としてTaC粒子を9.0%付加添加したもので
あり、試料GはPbを3.0%付加添加したものであり、
試料HはSnを5.0%付加添加したものであり、そして
試料IはZnを5.0%付加添加したものである。試料J
およびKは比較例のCu基合金である。
【0022】
【表1】
【0023】ここでの肉盛(溶着)は、図1に示すよう
な装置を用いて行った。図1において、金属基体(Al
合金基板:AC2C)1を矢印Tの方向へ450〜20
00mm/min の速度で連続的に移動させる。この金属基
体1上に、試料A〜Kの粉末2をホッパー(図示せず)
から粉末供給管3を介して、移動方向Tに対し直交する
方向にある幅Wで連続的に供給する。一方、レーザ光
4、はレーザ光源(図示せず)から折り返しミラー5お
よびオシレートミラー6で反射されて、金属基体1上の
粉末2に直径0.5〜5.0mmに集光された状態で1×10
2 〜2×104 w/mm2 のパワー密度で照射される。こ
こでオシレートミラー6は、ガルバノモータなどの振動
機構7によって所定角度の範囲で振動して、粉末2に照
射されるレーザ光4を移動方向Pに対し直交する方向、
すなわち、金属基体1上の粉末2の幅Wの方向に10〜
500Hzの周波数でオシレート(走査)する。
【0024】ここで、金属基体1上に配置された合金粉
末もしくは混合粉末2がレーザ光4の照射により急速溶
融された状態では、その溶融物9はCu基マトリックス
となる合金の液相と、分散相なるべき液相とが分離した
状態、すなわち2液相またはそれ以上の多液相状態とな
り、その多液相状態の溶融物9をレーザ光ビームのオシ
レートによって攪拌することにより、2液相以上の多液
相が分離したまま、水中で油を攪拌する如き様相を呈
し、最終的に分散相粒子となるべき液相が球状に近い状
態でマトリックスとなるべき液相中に均一に分散する。
そしてその状態でレーザビームと金属基体との相対移動
(走査)によって溶融物9が凝固する際には、分散相と
なるべき相がマトリックスとなる相中に均一に分散した
まま凝固して、CoとNiの珪化物や硼化物からなる分
散相粒子がCu基マトリックス中に分散した本発明のC
u基分散強化合金からなる溶着層8が金属基体1上に形
成されるものである。
【0025】このようなレーザ光4の照射によって、粉
末2(粒径:40〜150μm)は瞬時に溶融されて溶
融物9となり、かつレーザ光4をオシレートすることに
よりその溶融物9が攪拌され、引き続いてその溶融物9
が金属基体1のT方向への移動によりレーザ光4が照射
されない位置に到れば、金属基体1への熱移動により急
速凝固され、分散強化Cu基合金からなる肉盛層(溶着
層)8が形成される。
【0026】試料A〜Kについてレーザ肉盛(溶着)
を、例えば、レーザ出力4.5kW、レーザビーム径2.5
mm、処理走査速度800mm/min、レーザビームのオシレ
ート幅8mm、パワー密度225W/mm2 、オシレート周
波数200Hzの条件にて行い、Al基板1上に分散強
化Cu基合金の肉盛層8が得られる。試料Cの肉盛層の
表面研磨組織の金属組織写真(×400)を図2に示
す。なお、試料A、B、DおよびEの肉盛層も試料Cと
本質的に同様な組織であった。
【0027】この組織写真(図2)から、銅基合金での
Cu基のマトリックス中に比較的大きな硬質粒子が比較
的均一に分散していることが分かる。これらの粒子は、
Co、Niの珪化物、硼化物(HV>700)から構成
されている。
【0028】(摩耗試験)形成した肉盛層(分散強化C
u基合金)の摺動摩耗特性を調べるために、大越式摩耗
試験機により摩耗試験を行った。この試験は図3に示す
ように、金属基板1上の肉盛層8にステライトNo.6
(Co−Cr−W系の表面硬化用肉盛材)からなるロー
タ10を押しつけつつ該ロータを回転させ、摩耗痕の幅
L調べる方法である。
【0029】試験条件としては、すべり速度0.3m/
秒、すべり距離100m、最終荷重20kgとした。この
ような摩耗試験の結果を図4に示す。図4から明らかな
ように、本発明に係る銅基合金試料A〜Iでは、比較例
JおよびK(従来例)よりも摩耗痕幅が小さい。このよ
うに本発明の銅基合金は耐摩耗性が従来よりも向上して
いる。
【0030】(硬質粒子サイズ分布)試料C(本発明)
および試料K(比較例、特開平1−52232号公報で
のCu基合金)の硬質粒子(Cr、Co、Niの珪化物
および硼化物)のサイズを調べ、そのサイズ分布を図5
に示す。Crはその硼化物の融点(凝固点)が約180
0℃と高く、肉盛合金の凝固時に優先的に硼素(B)と
反応して硼化物を形成する。レーザ肉盛では凝固速度が
非常に速いために、この硼化物が大きく成長することな
く凝固が終了するので、粒子サイズの小さいものが多数
形成される。一方、Coを含有した試料Cでは、コバル
ト硼化物の融点が比較的低い(約1000℃)ために、
液相での2相分離を行うのに十分時間があり(時間の制
御が可能となる)、大きなサイズの粒子を晶出すること
ができる。そのために、図5に示すように、サイズ分布
がなだらかな曲線で大きなサイズの粒子も形成される。
一般に、アブレッシブな摩耗に対する特性を確保するに
は、ある程度大きなサイズの硬質粒子が相手材の硬質粒
子との兼ね合いで重要であり、Cr含有銅基合金では大
きなサイズの硬質粒子を形成することが困難であるの
で、耐摩耗特性確保が難しいと考えられる。
【0031】(硬質粒子の硬度)試料C(本発明)およ
び試料J(比較例、特願昭63−157826号公報で
のCu基合金)の硬質粒子(試料CではNi、Coの珪
化物および硼化物、試料JではNi、Feの珪化物およ
び硼化物)およびマトリックスのビッカース硬さ(HV
{9.8N})を調べ、その結果を図6に示す。図6から
分かるように、試料CおよびJのCu基マトリックス部
の硬さはほぼ同じであるが、硬質粒子の高温硬さは試料
Cのほうが試料Jよりも高い。これは、2液相分離によ
って生じた試料Cの硬質粒子の硬さは高温による低下が
少ないからであり、特に、高負荷を受ける場合に耐摩耗
性が優れることになる。
【0032】(CoのFeによる置換)本発明では、必
須成分のCoの一部をFeにて置換することができ、F
e置換効果を次のようにして調べた。銅基合金組成とし
ては、Ni:20wt%、Si:2.8wt%、B:1.3wt
%、CoおよびFeの合計(一定):10wt%、残部C
uとして、Fe量を変えた組成で、図1に関連して説明
したレーザ肉盛を上述した条件で行って、金属基体1の
上に肉盛層8を形成した。図3に示した大越式摩耗試験
機にて、ロータ10の材質をステライトNo.6(肉盛
用合金)とし、上述した条件にて摩耗試験を行い肉盛層
の摩耗痕幅(耐摩耗性)およびロータ減量(相手材攻撃
性)を調べ、その結果を図7に示す。CoおよびFeの
一定合計量(10%)においてFe量が多くなるほど、
耐摩耗性が低下するが、相手攻撃性が強くなる。したが
って、相手材に応じて銅基合金組成を規定することによ
って、相手攻撃性および耐摩耗性を含めた摩耗特性をよ
り適切なものとした肉盛層を形成することができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る分散
強化Cu基合金は、従来よりも高温状態での耐摩耗性が
優れている。そして、本発明のCu基合金を任意に金属
基体上に肉盛(溶着)できるので、各種の機械部品(エ
ンジンのバルブシートを含め)で耐摩耗性が必要な部位
のみにこれを形成して特性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属基板上へCu基合金をレーザ肉盛(溶着)
する方法を示す装置の概略斜視図である。
【図2】本発明にかかる試料Cの分散強化Cu基合金肉
盛層の金属組織写真(×400)である。
【図3】大越式摩耗試験機を模式的に示す概略図であ
る。
【図4】摩耗試験結果を示すグラフである。
【図5】試料CおよびKの硬質粒子サイズの分布を示す
グラフである。
【図6】試料CおよびKの硬質粒子およびマトリックス
の硬さを示すグラフである。
【図7】本発明の銅基合金でのFe量の摩耗痕幅および
ロータ減量への影響を示すグラフである。
【符号の説明】
1…金属基体 2…粉末 4…レーザ光 8…肉盛層(溶着層) 10…ロータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仲川 政宏 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 村瀬 博之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 河崎 稔 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 斎藤 卓 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 田中 浩司 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社豊田中央研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 9/00 - 9/10 B23K 35/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記組成: Ni:5〜30.0mass% Si:0.5〜5.0mass% B :0.5〜3.0mass% Co:2〜30mass%、および 残部:Cuおよび不可避的不純物 からなり、Ni、Si、BおよびCoの合計含有量が6
    0mass%を超えない、 耐摩耗性に優れた肉盛銅基合金。
  2. 【請求項2】 Co≧2mass%となる範囲内で、Coの
    一部をFeで置換した請求項1記載の肉盛銅基合金。
  3. 【請求項3】 融点が1500℃以上である高融点炭化
    物:1〜20mass%、Pb:2〜20mass%、Sn:3
    〜15mass%およびZn:3〜30mass%からなる群か
    ら選択された少なくとも一種を含有している請求項1ま
    たは2記載の肉盛銅基合金。
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