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JPH07189267A - ケーソンの刃口躯体形成工法 - Google Patents

ケーソンの刃口躯体形成工法

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Publication number
JPH07189267A
JPH07189267A JP15934793A JP15934793A JPH07189267A JP H07189267 A JPH07189267 A JP H07189267A JP 15934793 A JP15934793 A JP 15934793A JP 15934793 A JP15934793 A JP 15934793A JP H07189267 A JPH07189267 A JP H07189267A
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JP
Japan
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caisson
skeleton
lot
blade
press
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JP15934793A
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English (en)
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Masao Narita
征夫 成田
Toru Hanawa
亨 塙
Hitoshi Ouchi
仁 大内
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Toda Corp
Original Assignee
Toda Corp
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Publication date
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Publication of JPH07189267A publication Critical patent/JPH07189267A/ja
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】オープンケーソン工事の工期短縮と安全性の向
上とを両立させるケーソンの刃口躯体を実現する。 【構成】刃口躯体1を、ケーソン躯体2の構築とは別に
独立に地中で行い、地上で構築されたケーソン躯体2
と、後で連結するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケーソンの躯体に設け
られた刃口躯体の形成工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ケーソン工法は、予め地上で構築された
ケーソンの下端部(函内)の地山を掘削して行くと、こ
の地山がケーソンの重量を支え切れなくなった時にケー
ソンは自然に沈下するという基本原理によるものであ
り、工期が短かく、人員も少なくて済む等の利点によっ
て、近年、橋梁基礎等の構築において広く採用されてい
る。
【0003】最近、オープンケーソン工法において、油
圧ジャッキとアースアンカーとの組み合わせによってケ
ーソンをその上部から圧入する工法が開発され、これに
よって、ケーソン躯体の姿勢や沈下速度を外力によって
制御することができるようになった。
【0004】又、ケーソンの姿勢及び状態と、土の抵抗
力とに関する各種パラメータの計測技術が発達してき
た。又、計測データを処理し、処理結果を、地山の掘削
工事及びケーソンの圧入沈設工事に適切且つ迅速にフィ
ードバックする情報化された圧入管理技術も急速な進歩
を見せている。
【0005】上述のような各分野での技術の発達によっ
て、最近、都会地において周辺を建物や地下鉄等に囲ま
れた不整形な敷地に高層ビル等の大型建築物を構築する
場合に、少ないコスト及び人員で短い工期で構築するた
めに、その地下部分をオープンケーソン工法を用いて構
築しようとする傾向が増大しつつある。
【0006】オープンケーソン工法では、ケーソン躯体
の周壁下端に刃型の刃口躯体を設ける。この刃口躯体は
2つの機能を有する。即ち、第1に、函内を掘削してい
る時は、ケーソン躯体が不意に落下しないようにケーソ
ン躯体の荷重を支持していなければならないが、掘削時
に刃口躯体周辺の土を所定量だけ残すことによって、ケ
ーソン躯体の荷重の一部を刃口躯体に支持させる。
【0007】第2に、刃口躯体は、刃型形状をしている
ことによって、ケーソン躯体を圧入沈下させる時に、そ
の周辺の土を切り崩すための切り先としての機能を果た
し、ケーソン躯体の沈下が円滑且つ短時間で行われるよ
うにしている。
【0008】従来は、例えば図27に示すように、ケー
ソンの刃口躯体1はケーソン躯体2の最下端部にある梁
7と一緒に下記のように構築されていた。先ず、地山8
の表面GL上に、刃口躯体1を支持するための捨てコン
クリート3を打設する。
【0009】次に、足場を組んで、刃口躯体1とケーソ
ン躯体2とを一体として形成するための型枠4を組み立
てる。この際、型枠4のケーソン躯体2の部分を下から
支持するための支保工5を設置する。
【0010】そして、型枠4の中で鉄筋を組み、コンク
リートを打設することによって、刃口躯体1とケーソン
躯体2とを一体として構築する。その際、刃口躯体1の
先端部には刃先金物6を取り付ける。
【0011】上記のようにして、刃口躯体1とケーソン
躯体2の最下部とを一体として構築した後に支保工5を
撤去する。そして、刃口躯体1の周辺の土を残して地山
8の掘削を行った後にケーソン躯体2を上方から油圧で
圧入することによって、刃口躯体1の周辺の土を崩して
刃口躯体1及びケーソン躯体2を一体として沈設させて
いた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構築方法では、支保工5の設置及び撤去に多大の時
間を要するため、工期短縮の障害になっていた。その
上、支保工5を全部一緒に撤去することができないた
め、刃口躯体1の刃先金物6への荷重が不均一になり、
その結果、ケーソン躯体2の不同沈下が起こり安全上問
題となっていた。
【0013】従って、工期短縮と安全施工の両方の要求
を満足するケーソンの刃口躯体に解決しなければならな
い課題を有している。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係るケーソンの刃口躯体は、ケーソン躯体
の周壁下端に設けられ、且つ、刃型形状をなす刃口躯体
であって、上記ケーソン躯体の構築とは独立に、上記ケ
ーソン躯体を沈設する地中に先行的に構築され、後に、
地上で構築された上記ケーソン躯体と連結されるように
構成される。
【0015】又、上記刃口躯体は、予め鉄板とプレキャ
ストコンクリートとで一体構成された既製品を使用して
構成される。そして、上記刃口躯体は、現場打ちで作成
され、この際、刃先金物を鉄板で補強し、型枠として兼
用して構成される。更に、上記刃口躯体の先端部に、摩
擦切り部材を設ける。
【0016】
【作用】上記構成により、ケーソン躯体を沈設する地山
のケーソン刃口躯体該当部分を先行的に掘削し、この掘
削された地中にケーソン刃口躯体を配設する。一方、ケ
ーソン躯体は、地面によって支持されて地上で構築され
る。つまり、刃口躯体とケーソン躯体とは、夫々独立に
構築され、後に連結されて一体となるのである。
【0017】このように、刃口躯体はケーソン躯体とは
独立に地中に先行的に構築され、一方、ケーソン躯体は
地面に支持されて構築されるから、従来技術における支
保工5が不要となる。その結果、支保工5の組み立て及
び撤去のための人と時間とが節約され、工期が短縮され
ると共に、圧入時には、不同沈下の恐れがなく安全性が
向上する。
【0018】又、刃口躯体は、ケーソン躯体とは独立に
構築されるから、工場等で鉄板とプレキャストコンクリ
ートとによって一体として製作し、これを予め先行掘削
しておいた地山の該当位置に運搬して配設すればよく、
或はコンクリート現場打ちで構築してもよい。
【0019】現場打ちの場合には、刃先金物を鉄板で補
強し、型枠として兼用することにより資材、人件費共に
軽減される。又、刃口躯体の刃先先端部に摩擦切り部材
を設けることによって、周辺の土との間の摩擦を減少
し、ケーソン躯体の圧入を円滑にする。
【0020】
【実施例】以下、本発明に係るケーソンの刃口躯体を適
用したケーソン工事の実施例について図1〜図22を用
いて説明する。本実施例は、図1に示すように、隣接建
物、道路、地下鉄に囲まれた不整形の敷地に、高層建
築、例えば地上10階建ての建物の地下部分をオープン
ケーソンによって構築するものである。
【0021】このオープンケーソンは、ケーソン躯体2
と、ケーソン躯体2の周壁下端に設けられた刃型の刃口
躯体1とからなる。ケーソン躯体2は、4層のロット、
即ち、下から第1ロット躯体2a、第2ロット躯体2
b、第3ロット躯体2c、第4ロット躯体2dを、順次
積み重ねて構築している。
【0022】第1ロット躯体2aの高さは約5.5メー
トル、重量約4000トンであり、第2ロット躯体2b
は地下3階に相当し、その高さは約5.4メートル、重
量は約2500トンであり、第3のロット躯体2cは地
下2階に相当し、その高さは約5.4メートル、重量は
約2000トンであり、第4のロット躯体2dは地下1
階に相当し、その高さは約5.3メートル、重量は約1
800トンである。
【0023】ケーソン工事は、各ロット躯体の構築と、
そのロット躯体の直下のロット躯体以下の圧入沈設とを
併行して行う効率的な方法を用いている。
【0024】即ち、先ず刃口躯体1と第1ロット躯体2
aとを夫々独立に構築し、それらを連結する。そして、
刃口躯体1及び第1ロット躯体2aを一体として圧入沈
設しながら第1ロット躯体2aの上に第2ロット躯体2
bを構築する。
【0025】次に、第2ロット躯体2b以下の躯体を一
体として圧入沈設しながら、第2ロット躯体2bの上に
第3ロット躯体2cを構築してから、第3ロット躯体2
c以下を一体として圧入沈設しながら、第3ロット躯体
2cの上に第4ロット躯体2dを構築する。
【0026】最後に、第4ロット躯体2d以下を一体と
して圧入沈設することによって、ケーソンの施工を終了
する。
【0027】尚、圧入は、アースアンカー9と油圧ジャ
ッキ10との組み合わせからなる周知の圧入設備を第1
ロット躯体2a上の複数箇所に配設し、これらの圧入設
備の動作を各種計測器とデータ処理装置とで情報化され
た圧入制御システムによって制御することによって行っ
ている。
【0028】ケーソン工法においては、ある敷地に地下
躯体を安全、円滑、且つ能率的に沈設するためには、そ
の敷地の地質調査が重要である。本実施例の敷地の地質
調査の結果によれば、土質は、例えば図7に示す地質柱
状図で表わされるように、上から埋土が約2.30メー
トル、ローム層が約5.70メートル、疑灰質シルトが
約7.60メートル、粘土が約9.80メートル、粘土
質シルトが約10.60メートル、シルト質細砂が約1
2.05メートル、細砂が約13.10メートル、中砂
が約14.50メートル、シルト混じり細砂が約15.
50メートル、貝殻混じり細砂が約17.30メート
ル、シルトが約18.60メートル、細砂が約20.3
0メートル、砂質シルトが約19.30メートル、細砂
が約20.30メートル、砂混じりシルトが約23.4
0メートル、砂混じり中砂が約24.50メートル、砂
礫が約30.55メートルとなっており、これら土質の
N値、せん断抵抗角、粘着力共に、深度方向に大きな変
化が見られ、土砂の掘削とケーソンの沈設の管理を難し
くする要因の一つとなっている。
【0029】以下、ケーソン工事準備から工事完了まで
の工事全体の流れについて項目に従って説明する。 1.基礎杭及びアースアンカーの設置(図2、図4、図
5参照) 先ず、アースドリル工法等によって、数十本の基礎杭が
支持層の深さに打設される。この基礎杭はケーソン工法
により地下建設が完了した時に第1ロット躯体2aと連
結されることになる。
【0030】次に、複数のアースアンカー9を所定の複
数の位置に設置する。アースアンカー9は、ケーソンを
沈下するのに最適な深さまで削孔された穴の底に打ち込
まれ固定されたコンクリートからなるアンカー本体と、
このアンカー本体を上に引っ張る緊張材とを有してお
り、この緊張材は後に油圧ジャッキ10と連結される。
【0031】2.刃口躯体1の製作と地山の先行掘削
(図8〜図10参照) アースアンカー9等の設置とほぼ併行して、地山8の刃
口躯体1該当位置に、刃口躯体1を埋設するための穴8
aを先行的に掘削する。この時、既に工場等において、
図8に示すように、プレキャストコンクリート1aと、
鉄板1bと、空洞1cとからなる刃口躯体1が製作され
て準備されているようにする。
【0032】刃口躯体1は、プレキャストコンクリート
1aと鉄板1bとで一体形成されているため充分に大き
い耐圧強度を有している。又、刃口躯体1は鉄板1bの
厚さは薄く、その上、空洞1cを形成してあるから軽量
であり、現場での運搬等の作業に便利なように作られて
いる。
【0033】又、プレキャストコンクリート1aの内面
には凹凸を付けている。この凹凸によって、現場で空洞
1cにコンクリートを流し込み第1ロット躯体2aと一
体化した時に、両者の結合力が大きくなるようにしてい
る。
【0034】又、刃口躯体1の刃先には、摩擦切り18
を設けている。これは、ケーソン躯体2を沈下させる
時、ケーソン躯体の周面と周囲の土との摩擦をできるだ
け減少し、沈設を円滑にするためのものである。
【0035】3.刃口躯体1の配設 上記既製の刃口躯体1は、穴8aの掘削開始時には工事
現場に運搬され、既に準備されている。そこで、刃口躯
体1を、図9に示すように、掘削された穴8aの中に配
設する。
【0036】4.第1ロット躯体2aの構築(図1〜図
6参照) 第1ロット躯体2aの構築は、刃口躯体1の構築と併行
して独立に行われている。その構築作業は、地山8の地
面GLによって支持して行われ、鉄筋組み立て、型枠形
成、躯体コンクリート打設、養生、第1ロット躯体2a
完成、型枠及び足場の解体の各工程からなる。
【0037】この場合、第1ロット躯体2aは、地山8
によって支持されているので、支保工が不要であり、且
つ、安定性も良いので、従来に比して、施工工期が短縮
されると共に安全性も高い。
【0038】第1ロット躯体2aは、ケーソン躯体2の
周囲に沿って適当な間隔で立設された複数の柱2eと、
これらの柱2eを含む周壁2fと、2本の柱2e間を適
宜水平に連結するように設けられた複数の梁2gとで一
体に構成されている。尚、隣接する梁2gの間には複数
の開口12が形成される。
【0039】3.刃口躯体1と第1ロット躯体2aとの
連結(図10参照) 第1ロット躯体2aのコンクリート打ちの時に、刃口躯
体1の空洞部1cにコンクリートを流し込み、図10に
示すように、刃口躯体1と第1ロット躯体2aとを一体
化する。
【0040】4.圧入設備とクレーン等の設置(図1〜
図6参照) 完成した第1ロット躯体2aの上に、タワークレーン1
4を設置する。そして、第1ロット躯体2aの開口12
を跨ぐようにして加圧桁11を設置する。更に、加圧桁
11の上に油圧ジャッキ10を設置し、油圧ジャッキ1
0とアースアンカー9の上記緊張材の上端とを連結す
る。
【0041】このようにして、アースアンカー9の緊張
材を油圧ジャッキ10で引っ張ることによって、油圧ジ
ャッキ10の圧力を加圧桁11に対して下向きに印加す
ることができるようになる。尚、各油圧ジャッキ10の
配設位置は、上記土質調査結果に基づき決定されてい
る。
【0042】5.掘削(図3参照) ケーソン躯体2の外側の地面上にはグラブホッパー15
及びクラムシェル16が設置され、タワークレーン14
によって開口12を通って、ミニバックホウ13等の掘
削機器がケーソン躯体2の下に配置される。又、ケーソ
ン躯体2の外側の適当な位置にダンプトラック17が配
置される。
【0043】次に、刃口躯体1の周囲の土を、後述する
ように、土質に応じて定められた法面角度及び分量に従
っ残して、その他の土をミニバックホウ13等を用いて
掘削する。この掘削された土砂はタワークレーン14、
クラブホッパー15等によって開口12を通って吊りあ
げられ、ダンプトラック17に積載されて外部へ運搬さ
れる。
【0044】6.第1ロット躯体2aの圧入沈設(図2
〜図6参照) 掘削が終了したら、油圧ジャッキ10を動作させ、加圧
桁11を介して第1ロット躯体2aに下向きの圧力を加
える。すると、刃口躯体1の周囲に残してある土の抵抗
力が圧入力に抗し切れなくなった時、刃口躯体1と第1
ロット躯体2aとは、一体となって沈下する。
【0045】7.第2、第3、第4ロット躯体の構築及
び沈設 第iロット躯体(i=2〜4)の構築は、第(i−1)
ロット躯体以下の躯体の圧入沈設と併行して、上記の第
1ロット躯体2aの構築と同様の手順で、地上で、足場
の組立、鉄筋の組立、型枠の組立、コンクリート打設、
養生、型枠及び足場の解体の各工程によって行われる。
【0046】そして、第iロット躯体の構築が完了する
と、第iロット躯体以下の全躯体を、上記のように油圧
によって圧入沈設し、この圧入沈設と併行して、第(i
+1)ロット躯体の構築を行う。
【0047】8.機材の撤去等 以上のようにしてケーソン躯体2の沈設が完了したら、
タワークレーン14及びグラブホッパー15を解体し、
加圧桁11、及び油圧ジャッキ10を撤去する。尚、ア
ースアンカー9は、放置される。
【0048】9.底部コンクリート打設、完了 最後に、第1のロット躯体1aと基礎杭とを連結するた
めのコンクリートを打設してケーソンの沈設工事は完了
する。
【0049】上述したような、多数の人員と機器とを同
時に働かせて実施する大規模なケーソン沈設工事を安全
且つ最短期間で行うためには、従来のようにオペレータ
が沈下計を用いてその経験と勘によって行う方法では到
底実施不可能である。
【0050】そのため、本実施例においては、予め作業
工程毎に予想される危険項目を抽出してその対策をたて
ることによって形成された徹底した安全管理システム
と、経験や勘に頼らず科学的な理論と現実に採取された
データとに基づく情報化された半自動圧入管理システム
とが適用されている。
【0051】上記、安全管理システム及び情報化された
半自動圧入管理システムについては、本発明に係る刃口
躯体と直接関係がないので詳細説明は省略する。しかし
ながら、安全管理事項の中で一つだけ本発明に係る刃口
躯体1に関係のある、土の法面の角度管理について以下
説明する。
【0052】本ケーソン工事においては、地山を掘り進
むに従って、土質はローム、粘土、砂と変化して行く。
このことは、掘削した土の自然の法面角度が変化するこ
とを意味し、一律な掘削方法で掘削した場合には、土の
抵抗力とケーソンの荷重のアンバランスが生じ、ケーソ
ンの急沈下や、沈下不足の原因になる。
【0053】従って、本実施例においては、下記のよう
に、土質に応じて法面角度を変化するように管理を行っ
ている。この法面角度の管理は法尻位置を必ず確認する
ことによって確実に行っている。
【0054】土質がローム層の場合には、掘削は図11
〜図14に示すような手順で行われる。即ち、先ず、図
11に示すように、法尻位置Pから第1ロット躯体2a
梁2gの下のローム層19の法面角度を約45度にす
る。
【0055】次に、図12に示すように、梁2gの真下
のローム層19からなる土19aを、ケーソン躯体を支
持する部分19bを残して直角に削り取る。
【0056】そして、図13に示すように、ケーソン躯
体を圧入することによって、図12に示す残してあった
土19bを外側に押し出した後に、図14に示すよう
に、法面に押し出されて流れ落ちた土を掘削し搬出す
る。
【0057】又、粘土層20の場合には、最初は図15
に示すように、粘土層20が刃口躯体1と梁2gの一部
と接し、その法尻位置Pにおける法面角度は約45度と
する。そして、図16に示すように、法面に沿って所定
の厚さだけ土20aを掘削した後に、図17に示すよう
に、ケーソン躯体2を圧入して土20aに相当するぶん
の土20bを下側に押し出しをする。その結果、図18
に示すように、法面及びその下の面に流れ落ちた土20
cを掘削し搬出する。
【0058】砂質土21の場合には、先ず図19に示す
ように、砂質土21は刃口躯体1にのみ接し、法尻位置
Pからの法面角度は約60度となるようにする。
【0059】そして、図20に示すように、法面に沿っ
て所定の厚さの土21aだけ掘削し、次に図21に示す
ように、ケーソン躯体2を圧入する。その結果、図22
に示すように、傾斜面及びその下の面に流れ落ちた土2
1bを掘削し搬出する。
【0060】上記のように、深度による土質の変化に応
じて掘削と圧入の作業手順を変化させることによって、
ケーソン沈設工事の安全性が高まると共に、工事の進行
速度が一定となる。又、場所によって刃口抵抗力に偏り
があるような場合には場所によって掘削手順を変えるこ
とによって、不同沈下を防止することができる。
【0061】本ケーソン圧入沈設工事は、下記の基準に
従って実施される。 (1)圧入開始前は、全員退去し、点呼を行い、根切底
が無人状態であることを確認する。又、機械類は全て、
開口部12の下に集める。 (2)ケーソン躯体2の水平を確認する。
【0062】(3)各油圧ジャッキ10に平均に予備載
荷(例えば約50トン)する。この際、例えば0トンか
ら50トンに加圧した後0トンに戻し、これを3回繰り
返す。これによって、ケーソン外周の土によって発生す
る初期摩擦力を除去する。
【0063】(4)初期摩擦力が無くなったことを歪み
量によって確認した後に、例えば約75トンまで加圧す
る。 (5)沈下が進まない場合には、例えば25トンずつ最
大200トンまで増圧する。この場合、増圧後は充分な
静止時間(実施例においては5分以上)を設け、沈下の
傾向を把握する。
【0064】(6)例えば約175トンを越えても予定
沈下量に達しない場合は、原因を究明し、対策を再考す
る。なお、所定重量(実施例においては200トン)以
上の荷重は加えない。 (7)予定沈下量に達したら、全油圧ジャッキ10の油
圧を抜き、ケーソン躯体2が水平であることを確認す
る。この際、油圧が完全に抜け、ケーソン躯体2の沈下
が完全に止ったことを確認するまでは、根切底には立ち
入らないように注意する。
【0065】以下、刃口躯体1の第2実施例について説
明する。それは、刃口躯体1を現場打ちするものであ
る。それには、先ず図23に示すように、地山8の刃口
躯体該当位置に、刃口躯体1よりも大きい穴8bを掘削
する。この穴8bは、外側(敷地境界線側)は垂直で、
内側は傾斜している。尚、ケーソン躯体の沈設予定地の
地盤が崩れ易い土質である場合には、敷地境界線に沿っ
て、山留め用の横矢板23が設けられている。
【0066】穴8bの底にコンクリートの頭板22を設
置する。次に、刃口躯体1の外側型枠材となるコンパネ
24と内側型枠材となるコンパネ25とをセパレータ2
6で接続して刃口躯体1の型枠を作成する。
【0067】このようにして作成された型枠を頭板22
上に立設する。この際、コンパネ25と穴8bの傾斜面
との間に適当な数の支持棒27を挿入し、コンパネ24
が頭板22に対して直角になるようにする。
【0068】次に、コンパネ24とコンパネ25とで形
成された型枠の先端部分に、刃先金物28を設置する。
刃先金物28は、図25に示すように、コンパネ24と
接する鉄板28aと、コンパネ25と接する鉄板28b
と、鉄板28aと鉄板28bとの間を接続する鉄板28
cと、鉄板29と、鉄板30と、摩擦切り31とから構
成されている。
【0069】鉄板28aと鉄板28bとは、型枠を兼用
している。又、鉄板29及び鉄板30の各下端は、夫々
鉄板28b及び鉄板28aに固定されており、それらの
各上端は、夫々図26に示すように、上方の第1ロット
躯体2aまで達している。
【0070】又、鉄板28a及び鉄板28bの各左右両
縁には、継鉄32が直角に取り付けられている。継鉄3
2には複数のボルト穴32aが設けられている。
【0071】上記構造の刃先金物28を、コンパネ24
とコンパネ25の間に左右方向に並べて配設し、隣接す
る刃先金物28の各継鉄32を、ボルト穴32aにボル
トを差し込むことによって接続する。
【0072】又、コンパネ24の上記刃先金物28の上
方位置にマガジン33を取り付ける。マガジン33は、
ビニールシート等の滑材を巻いた筒を内蔵しており、刃
口躯体1が沈下する時、この滑材を外へ繰り出すことに
よって、ケーソンの周面と土との間の摩擦を軽減する機
能を有する。
【0073】上記の刃先金物28の設置及び接続と、マ
ガジン33の設置が終了したらコンパネ24とコンパネ
25との間にコンクリートを流し込んで刃口躯体1を構
築する。刃口躯体1のコンクリート打ちは、第1ロット
躯体2aのコンクリート打ちの時に一緒に行い、刃口躯
体1と第1ロット躯体2aとを一体化する。このように
して構築された刃口躯体は、上記のように鉄板によって
補強された刃先金物28を有するので、耐圧強度が極め
て大きい。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るケー
ソンの刃口躯体は、地上で構築されるケーソン躯体とは
独立に地中で構築されるから、この刃口躯体を予め工場
等で先行的に製作すると共に先行的に穴を掘削し、ケー
ソン躯体の工事と併行して刃口躯体を構築することがで
き、工期を著しく短縮することができると云う極めて優
れた効果を奏する。
【0075】又、ケーソン躯体の第1ロット躯体の構築
は、地面上で行うことができるから、従来の工法では必
要であった支保工等を使用しなくても済む。従って、従
来支保工の設置及び撤去に要していた人時がゼロとなる
ため、構築工事を短時日で実施することができると云う
効果も奏する。
【0076】しかも、支保工の撤去時におけるケーソン
躯体の不同沈下の恐れもなくなり、工事の安全性、精
度、及び効率が向上すると云う効果も奏する。
【0077】又、刃口躯体を鉄板とプレキャストコンク
リートとによって一体構成し、無筋にしても充分の耐圧
が得られるように構成しているから、軽量で材料も少な
くて済む。従って、現場での運搬、取り付け等の作業が
容易となり、且つ、コストが安くなると云う効果を奏す
る。
【0078】更に、刃口躯体の先端に摩擦切り部材を取
り付けているため、ケーソン躯体の圧入沈設時の摩擦を
小さくでき、圧入沈設が円滑に行われ、それが工期短縮
及び精度の向上につながると云う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る刃口躯体を用いたケーソン工事の
実施例を示す上面図である。
【図2】同A−A断面図である。
【図3】同A−A要部断面図である。
【図4】同B−B断面図である。
【図5】同C−C断面図である。
【図6】同右側面図である。
【図7】同実施例の敷地の地質柱状図である。
【図8】本発明に係る刃口躯体の一実施例を示す説明図
である。
【図9】同刃口躯体を地中に設置した様子を示す説明図
である。
【図10】同刃口躯体と第1ロット躯体との連結を示す
説明図である。
【図11】土質がローム層の場合における掘削前の刃口
躯体周りの土の様子を示す説明図である。
【図12】同場合における刃口躯体周りの掘削の様子を
示す説明図である。
【図13】同場合における圧入時の刃口躯体周りの土の
様子を示す説明図である。
【図14】同場合における圧入後の土の様子を示す説明
図である。
【図15】土質が粘土層の場合における掘削前の刃口躯
体周りの土の様子を示す説明図である。
【図16】同場合における刃口躯体周りの掘削の様子を
示す説明図である。
【図17】同場合における圧入時の刃口躯体周りの土の
様子を示す説明図である。
【図18】同場合における圧入後の土の様子を示す説明
図である。
【図19】土質が砂質土の場合における掘削前の刃口躯
体周りの土の様子を示す説明図である。
【図20】同場合における刃口躯体周りの掘削の様子を
示す説明図である。
【図21】同場合における圧入時の刃口躯体周りの土の
様子を示す説明図である。
【図22】同場合における圧入後の土の様子を示す説明
図である。
【図23】本発明に係る刃口躯体の第2の実施例を示す
説明図である。
【図24】同実施例の下部の詳細を示す説明図である。
【図25】同実施例における刃先金物の構造を示す説明
図である。
【図26】同実施例における鉄筋を示す説明図である。
【図27】従来技術を示す説明図である。
【符号の説明】
1 刃口躯体 2 ケーソン躯体 3 捨てコンクリート 4 型枠 5 支保工 6 刃先金物 7 梁 8 地山 9 アースアンカー 10 油圧ジャッキ 11 加圧桁 12 開口 13 ミニバックホウ 14 タワークレーン 15 クラブホッパー 16 クラムシェル 17 ダンプトラック 18、31 摩擦切り 19 ローム層 20 粘土層 21 砂質土 22 頭板 23 横矢板 24、25 コンパネ 26 スペーサ 27 支持棒 28 刃先金物 29、30 鉄板 32 継鉄 33 マガジン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーソン躯体の周壁下端に設けられ、且
    つ刃型形状をなす刃口躯体であって、前記ケーソン躯体
    の構築とは独立に、前記ケーソン躯体を沈設する地中に
    先行的に構築した後に、地上で構築された前記ケーソン
    躯体と連結されることを特徴とするケーソンの刃口躯体
    形成工法。
  2. 【請求項2】 前記刃口躯体は、予め鉄板とプレキャス
    トコンクリートとで一体構成された既製品を使用するこ
    とを特徴とする請求項1に記載のケーソンの刃口躯体形
    成工法。
  3. 【請求項3】 前記刃口躯体は、現場打ちで作成され、
    その刃先金物を鉄板で補強すると共に、型枠を兼用する
    ことを特徴とする請求項1に記載のケーソンの刃口躯体
    形成工法。
  4. 【請求項4】 前記刃口躯体の先端部に、摩擦切り部材
    を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の
    ケーソンの刃口躯体形成工法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009084918A (ja) * 2007-10-01 2009-04-23 Hiroshi Saito 地下構造物の施工方法及びこの施工方法により得られた地下構造物

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