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JPH07173509A - 耐摩耗性材料,その製造方法およびその材料を使用した圧縮機 - Google Patents

耐摩耗性材料,その製造方法およびその材料を使用した圧縮機

Info

Publication number
JPH07173509A
JPH07173509A JP5320428A JP32042893A JPH07173509A JP H07173509 A JPH07173509 A JP H07173509A JP 5320428 A JP5320428 A JP 5320428A JP 32042893 A JP32042893 A JP 32042893A JP H07173509 A JPH07173509 A JP H07173509A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
alloy
balance
wear
resistant material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5320428A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Morioka
勉 森岡
Kunpei Kobayashi
薫平 小林
Shinobu Sato
佐藤  忍
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP5320428A priority Critical patent/JPH07173509A/ja
Publication of JPH07173509A publication Critical patent/JPH07173509A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/02Parts of sliding-contact bearings
    • F16C33/04Brasses; Bushes; Linings
    • F16C33/06Sliding surface mainly made of metal
    • F16C33/12Structural composition; Use of special materials or surface treatments, e.g. for rust-proofing
    • F16C33/121Use of special materials

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、冷媒の変更に伴って使用温度
が上昇した場合においても、圧縮機を構成する摺動材の
寸法変化や硬度低下が少なく安定したなじみ性,耐摩耗
性および耐久性を発揮する耐摩耗性材料,その製造方法
およびその材料を使用した圧縮機を提供することにあ
る。 【構成】本発明に係る耐摩耗性材料は、重量%で0.2
〜4%のNi,0.1〜6%のMo,0.2〜8%のC
r,0.5〜5%のCu,0.5〜3%のV,0.3〜
7%のWおよび0.1〜1%のPから選択される少なく
とも2種の元素および0.1〜3%のC,残部Feから
成る第1相20と,0.03〜3%のP,残部Cuまた
は0.03〜3%のP,5〜15%のSn,残部Cuか
ら成る第2相21とを有し、上記第1相20と第2相2
1との界面の少なくとも一部にFe−C−Pから成る第
3相22を有することを特徴とする。すなわちFe基焼
結合金の空孔部にCu基合金を溶浸することにより、潤
滑性を与える第2相21と耐摩耗性に優れた第3相22
とを形成して構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性材料,その製造
方法およびその材料を使用した圧縮機に係り、特に優れ
たなじみ性,耐摩耗性および耐焼付性を有し、耐久性に
優れた耐摩耗性材料,その製造方法およびその材料を使
用した圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍機、冷蔵庫、空調機やショーケース
においては冷媒を圧縮する圧縮機が主要機器として装備
されている。上記用途例において一般的に使用されてい
る圧縮機として、図1および図2に示すような密閉型の
ロータリ圧縮機がある。
【0003】この圧縮機1は、ケ―シング2の内部にモ
ータ3aとシリンダ8a,8bおよびローラ10a,1
0bから成る圧縮要素3bとを内装し、圧縮要素3bは
モータ3aから延びる回転軸4を主軸受5と副軸受6に
挿通され、この主軸受5と副軸受6との間に、仕切板7
を介して2基のシリンダ8a,8bを配設し、各シリン
ダ8a,8b内において、前記回転軸4に形成された偏
心部9a,9bにそれぞれ円筒状のローラ10a,10
bを嵌合させる一方、図2に示すように偏心回転するロ
ーラ10a,10bに対して常時押し付けて接触するよ
うに、ベーン11a,11bが配設されて構成される。
ベーン11a,11bは、偏心部9a,9bおよびロー
ラ10a,10bの回転に応じて各ローラ外周面に摺接
しながら往復動し、各シリンダ8a,8b内部を圧力的
に仕切る役割を果している。こうして圧縮機1は、モー
タ3の駆動によって前記ローラ10a,10bをシリン
ダ8a,8b内において偏心回転させることにより、吸
込み口12を通り、シリンダ8a,8b内の吸込みチャ
ンバ13a,13bに吸入したガスを圧縮チャンバ14
a,14b方向に移動させながら圧縮して吐出口15か
ら吐出するものである。
【0004】上記のような圧縮機1においては、主副軸
受5,6と回転軸4、シリンダ8とベーン11a,11
b、このベーンとローラ10など相互に摺接する摺動部
における摩耗が特に顕著になるため、高い耐摩耗性を有
する材料で形成する必要がある。
【0005】従来、この種の材料としては、高速度鋼や
共晶黒鉛鋳鉄の溶製材、さらにより具体的には2.3%
Si−3.4%C−残部Feから成るFC鋳物材、SM
F4030などのSMF−4種材(鉄−炭素−銅系合
金)など耐摩耗性を高めた材料が一般に使用されてい
る。特に高度の耐焼付性および耐摩耗性が要求されるロ
ーラを構成する耐摩耗材料としては、Mo−Ni−Cr
−C−Si−残部Fe合金(モニクロ鋳鉄)が広く利用
され、またベーン材としてはSKH−51,SUS44
0C、シリンダ材としては、FC200等が一般に使用
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
冷凍機用、冷蔵庫用、空調機用などの冷媒として一般的
に使用されていたフロンが環境破壊の一因となることが
判明し、フロンに代替する新しい冷媒の開発が進められ
ている。
【0007】ところが現在までに開発段階にある新規な
冷媒はいずれも運転温度が、従来のフロンと比較して大
幅に上昇するため、従来の耐摩耗性材料で摺動部を形成
した圧縮機では種々の問題点が発生することが確認され
ている。
【0008】すなわち冷媒の変更に伴い使用環境温度の
上昇が必至となり、そのため、ローラ等の摺動部材の寸
法が熱膨張により変化し、摺動部材相互の微小なクリア
ランスが拡大して冷媒の圧縮効率が低下し、最終的に冷
却能力の低下を招来する問題点がある。
【0009】また使用温度の上昇に伴い、摺動材を構成
する合金組織の変態等により、その硬度および耐摩耗性
が低下したり、摺動材のなじみ性が悪化して圧縮機とし
ての能力が低下してしまう問題点が確認されている。
【0010】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであり、冷媒の変更に伴って使用温度が上昇
した場合においても、圧縮機を構成する摺動材の寸法変
化や硬度低下が少なく安定したなじみ性,耐摩耗性およ
び耐久性を発揮する耐摩耗性材料,その製造方法および
その材料を使用した圧縮機を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段と作用】本発明者らは上記
の目的を達成するため、圧縮機の摺動部を構成する耐摩
耗性合金材料の組成を種々変えて、その摺動特性を比較
検討し、さらに各合金材料の高温度使用条件下において
も安定した合金組織を形成することが可能な材料の調製
方法を研究した。その結果、所定組成を有する鉄(F
e)基焼結合金の空孔部に、所定量のPやSnを含有す
るCu基合金を含浸せしめて潤滑相を形成した合金材料
で摺動部材を形成したときに、高温度使用条件下におい
てもなじみ性が良好で極めて安定した耐摩耗特性および
耐久性を有する圧縮機が得られた。また、上記Fe基焼
結合金組織(第1相)とCu基合金組織(第2相)との
間に硬質なステダイト相(第3相)を形成したときに、
特に耐摩耗性がより向上し、圧縮機のローラ材料として
好適な耐摩耗性材料が初めて得られることを見出した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
【0012】すなわち本発明に係る第1の耐摩耗性材料
は、重量%で0.2〜4%のNi,0.1〜6%のM
o,0.2〜8%のCr,0.5〜5%のCu,0.5
〜3%のV,0.3〜7%のWおよび0.1〜1%のP
から選択される少なくとも2種の元素および0.1〜3
%のC,残部Feから成る第1相と,0.03〜3%の
P,残部Cuまたは0.03〜3%のP,5〜15%の
Sn,残部Cuから成る第2相とを有し、上記第1相と
第2相との界面の少なくとも一部にFe−C−Pから成
る第3相を有することを特徴とする。
【0013】また本発明に係る第2の耐摩耗性材料は、
重量%で0.2〜4%のNi,0.1〜2%のMo,
0.1〜2%のC,残部鉄から成る第1相と、0.2〜
8%のCr,0.1〜2%のMo,0.1〜2%のC,
残部Feから成る第2相と、5〜15%のSn,残部C
uから成る第3相とを有することを特徴とする。
【0014】さらに本発明に係る第3の耐摩耗性材料
は、重量%で0.2〜4%のNi,0.2〜8%のC
r,0.5〜5%のCu,および0.1〜1%のPから
選択される少なくとも1種の元素および0.1〜3%の
C,残部Feから成る第1相と、5〜15%のSn,残
部Cuから成る第2相との界面部に、上記第1相および第
2相の複合金属から成る第3相を有することを特徴とす
る。
【0015】上記各耐摩耗性材料において、耐摩耗性材
料に対する潤滑相の容積比率、すなわちFe基焼結合金
の空孔部の容積比率は5〜25%に設定するとよい。
【0016】また本発明に係る第1の圧縮機は、シリン
ダとこのシリンダ内面に摺接するローラとから成る圧縮
要素および軸受を介して回転自在に支持される回転軸を
ケーシングに内装し、回転軸の偏心部にローラを嵌合さ
せ、回転軸の回転に伴って上記ローラがシリンダ内を偏
心回転するように構成した圧縮機において、上記ローラ
を本発明の第1または第2の耐摩耗性材料で形成したこ
とを特徴とする。
【0017】さらに本発明に係る第2の圧縮機は、シリ
ンダとこのシリンダ内面に摺接するローラとから成る圧
縮要素および軸受を介して回転自在に支持される回転軸
をケーシングに内装し、回転軸の偏心部にローラを嵌合
させ、回転軸の回転に伴って上記ローラがシリンダ内を
偏心回転するように構成した圧縮機において、上記軸受
および/またはシリンダを本発明の第3の耐摩耗性材料
で形成したことを特徴とする。
【0018】本発明に係る耐摩耗性材料は、比較的に硬
度が高いFe基焼結合金によって材料全体の構造強度,
靭性および耐摩耗性を発現させるとともに、Cu基合金
から成る潤滑相によって摺動材料としてのなじみ性およ
び耐焼付き性を発現させている。特に上記Fe基焼結合
金組織とCu基合金組織との間に極めて硬度が高いステ
ダイト相を形成することによって耐摩耗特性を大幅に改
善している。
【0019】以下本発明に係る耐摩耗性材料を構成する
Fe基焼結合金(耐摩耗相)の組織等の限定理由を以下
に述べる。
【0020】Niは基材の靭性を向上させるための元素
であり、0.2〜4wt%含有する。Ni含有量が0.
2wt%未満の場合では、靭性を改善する効果が少ない
一方、含有量が4wt%を超える場合には、焼結合金中
に残留するオーステナイト組織の割合が高まり、材料の
安定性や硬度が低下してしまう。
【0021】Crは、材料の耐摩耗性および耐食耐熱性
を向上させる元素であり、0.2〜8wt%含有する。
Crの含有量が0.2wt%未満の場合には、耐摩耗性
および耐食耐熱性を十分に向上させられず、一方、含有
量が8wt%を超える場合には、成形性を阻害して所定
の密度が得られない。
【0022】Moは、材料の耐摩耗性,高温強度および
摺動特性を改善するために0.1〜6wt%の範囲で含
有する。Mo添加量が0.1wt%未満の場合には、十
分耐摩耗性および摺動特性を改善できず、一方、含有量
が6wt%を超えると、Crと同様に成形性を阻害して
しまう。
【0023】Cuは摺動部材として使用される材料の初
期摺動特性を改善する元素であり、0.5〜5wt%材
料中に含有される。Cu含有量が0.5wt%未満の場
合には、改善効果が充分ではなく、一方で焼付きを誘発
する元素でもあり、特に含有量が5wt%を超える場合
には焼付きが生じ易くなるため、その含有量は0.5〜
5wt%の範囲に設定される。
【0024】Wは、Cと化合して高硬度の複炭化物を生
成して材料の耐摩耗性を向上するために、0.3〜7w
t%含有する。W含有量が0.3wt%未満の場合は耐
摩耗特性の改善効果が十分でなく、含有量が7wt%を
超えると相手材を摩耗させる。
【0025】Vは、Wと同様に高硬度の炭化物を形成し
て材料の耐摩耗性を改善するために0.5〜3wt%の
範囲で含有する。V含有量が0.5wt%未満の場合に
は、耐摩耗効果が少なく、含有量が3wt%を超える場
合にはWと同様に相手材の摩耗を顕著にする。
【0026】Pは、Cuと化合して高硬度のCu3 Pを
生成したり、Feと化合して高硬度のステダイト相(第
3相)を形成して材料全体の耐摩耗性を改善するのに有
効な元素であり、合金中に0.1〜1wt%含有され
る。ここで上記ステダイト相は、FeとPとCとの三元
共晶体であり、極めて高い硬度を有するため材料の耐摩
耗性を大幅に改善することができる。上記Pの含有量が
0.1wt%未満の場合には、ステダイト相の生成量が
少なく、耐摩耗性の改善効果が少ない一方、含有量が1
wt%を超えると、材料の強度が著しく低下する。
【0027】なお上記ステダイト相を形成するために必
要なP成分は、予めFe基焼結合金中に含有させておい
てもよいが、後述する溶浸操作で使用するCu基合金中
に含有させておいてもよい。ここでSnを含むCu基合
金中にPを添加することにより、Cu基地を硬化させ、
なじみ性の良いりん青銅を形成することができる。P成
分はりん青銅を形成するためにCu基合金中に残る割合
が高い。したがって、ステダイト相を形成するために必
要なP成分も含めてCu基合金中に予めP成分を含有さ
せる場合には、Fe基焼結合金中に予め含有させる場合
と比較して、その含有量を0.03〜3wt%と大きく
設定することが望ましい。
【0028】Cは、基地を構成するFeおよび種々の添
加元素と化合して、高硬度の炭化物を生成すると共に、
ステダイト相を生成するために必要な元素であり、0.
1〜3wt%含有する。
【0029】C含有量が0.1wt%未満の場合には、
炭化物およびステダイト相の生成量が少なく耐摩耗性の
改善効果が充分ではない。
【0030】一方、含有量が3wt%を超える場合に
は、炭化物およびステダイト相の生成量が多く、基材の
靭性が低下すると共に、摺動時の相手攻撃性が増大して
しまう。
【0031】上記組成を有するFe基焼結合金の空孔部
には、通常の溶浸法等によってCuまたはCu基合金が
含浸され、この含浸されたCu基合金によって潤滑相が
形成される。このCu基合金から成る潤滑相は、材料の
なじみ性を改善する上で極めて有効である。ここで前記
Fe基焼結合金またはCu基合金中にPが含有されてい
ると、溶浸操作時にFe基焼結合金の粒界に溶融したC
uが侵入し、PとFeとCとの共晶反応が進行して三元共
晶体から成る高硬度のステダイト相が粒界に分散して形
成される。このステダイト相が形成されることにより、
材料全体の耐摩耗性が大幅に改善される。
【0032】また上記Cu基合金としてはSnを5〜1
5wt%含有した青銅を使用することが望ましい。Sn
はCuと合金化されてより硬い青銅となり、材料の初期
摺動特性を改善する効果を発揮する。含有量が5%未満
では改善効果が少なく、また含有量が15wt%を超え
ると、高硬度のδ相(デルタ青銅:Cu3 Sn2 )が析
出し、相手攻撃性が増大するため、Snの含有量は5〜
15wt%の範囲に設定される。
【0033】さらに耐摩耗性材料に対する上記潤滑相の
容積比率、すなわちFe基焼結合金の空孔部の容積比率
は5〜25vol%に設定する。容積比率が5vol%未満の場
合には、潤滑相の割合が相対的に低下し、材料のなじみ
性の改善効果が少なくなる一方、容積比率が25vol%を
超えると、軟質な潤滑相の割合が過大になり、材料全体
の耐摩耗性が低下してしまう。
【0034】ところで、近年圧縮機も、インバータ制御
によってその回転数が大きく変動するような過酷な条件
で運転される場合が多く、回転数が急激に変化する瞬間
において、耐摩耗性材料で形成した摺動材の潤滑状態が
悪化して焼付きを生じる危険性も高くなっている。しか
るに本願材料のように潤滑相を形成した耐摩耗性材料で
摺動部材を形成することにより、上記焼付きの危険性を
大幅に低減することが可能になる。
【0035】上記諸特性を発揮する本発明の耐摩耗性材
料は、下記の手順によって製造される。すなわち、まず
鉄粉に前記各種元素粉末および潤滑材を所定量添加して
混合粉末とし、得られた混合粉末を成形圧500〜70
0MPaで圧縮して所定形状の成形体とした後に、得ら
れた成形体を水素等の還元ガス雰囲気、ないし非酸化性
ガス雰囲気において、温度500〜700℃で1〜2時
間脱脂処理する。さらに脱脂した成形体を、減圧雰囲気
ないし非酸化性ガス雰囲気において温度1000〜12
00℃で1.5〜3時間加熱してFe基焼結合金とす
る。さらにFe基焼結合金の空孔部に、CuまたはCu
基合金を含浸させる。この含浸(溶浸)操作は通常の溶
浸法に従ってなされる。すなわち上記Fe基焼結合金と
Cu基合金等とを接触させた状態でCuの融点またはC
u基合金の共晶温度以上に加熱することにより、Cu基
合金等を空孔部に溶浸せしめ、潤滑相を形成すると共
に、必要に応じて粒界部にステダイト相を形成する。
【0036】この溶浸処理によりFe基焼結合金の基地
組織の空孔にCu基合金から成る潤滑相が生成される。
この潤滑相の容積比率は耐摩耗性材料の全容積に対して
5〜25vol%に設定するとよい。この潤滑相は材料
のなじみ性を向上させるとともに、Fe基焼結合金の基
地組織の空孔を封じる役割(封孔作用)を果して耐圧性
(気密性)を与える。この溶浸処理を行うことにより、
圧縮機内の冷媒ガスが耐摩耗性材料中を通り抜けること
が防止できるため、圧縮機の体積効率を大幅に改善する
ことができる。
【0037】本発明に係る第2の耐摩耗性材料において
は構成成分としてPを含まないため、ステダイト相は形
成されない。しかしながら、高靭性で耐摩耗性に優れた
Fe基焼結合金組織と、なじみ性に優れたCu基合金相
から成る潤滑相とを備えているため、摺動特性が優れて
おり、特に圧縮機のローラを構成する耐摩耗性材料とし
て好適である。
【0038】また本発明に係る第3の耐摩耗性材料にお
いては、第1の材料と比較して、Mo,V,W成分を含有
しておらず、Mo,V,W等の硬い炭化物が形成されな
いため、材料全体の耐摩耗性は若干低下するが、摺動材
料として使用した場合に相手攻撃性が小さくなる。した
がって、圧縮機を構成するシリンダや軸受の材料として
好適である。
【0039】
【実施例】次に本発明に係る耐摩耗性材料およびその材
料を摺動部に使用した圧縮機の一実施例について、摺動
部としてローラ,副軸受およびシリンダを有するロータ
リ式圧縮機を例にとり、従来例と比較して説明する。
【0040】実施例1〜5および比較例1 実施例1〜5の圧縮機に使用するローラを下記のように
調製した。すなわち、平均粒径145μmのFe粉,S
US410L粉,SKD−11粉,Fe−1Cr−0.
3Mo粉,Fe−2Ni−1Mo粉,平均粒径20μm
のFe3 P粉および黒鉛粉末(グラファイト)を所定量
ずつ秤量し、最終的に表1の左欄に示す組成となるよう
に、各粉末を混合し、この混合粉末100重量部に対し
て潤滑剤を1重量部添加して混合し、5種類の均一な粉
末混合体を製造した。
【0041】次に各混合体を成形圧600〜700MP
aで加圧して、外径33mm、内径23mm、高さ15mmの
寸法を有し、成形密度が6.8〜7.0g/cm3 の成形
体を得た。そして各成形体を水素ガス雰囲気において温
度600℃で2時間加熱することにより脱脂した。
【0042】次に脱脂した各成形体を減圧した水素ガス
雰囲気において温度1100〜1190℃で2時間焼結
し徐冷した。そして温度850〜950℃で40〜90
分間保持した後にガス冷却を行って各焼結体の焼入処理
を実施した結果、密度が6.6〜7.0g/cm3 のFe
基焼結合金を得た。
【0043】次に焼入れ処理した各Fe基焼結合金を、
P−Cu合金粉末またはP−Sn−Cu合金粉末上に載
置した状態で上記Cu合金の融点温度以上に加熱してC
u合金を溶融せしめることにより、Fe基焼結合金の空
孔部にCu合金を溶浸せしめ、表1に示す組成を有する
潤滑相を形成した。そして最終的に表1に示すような組
成を有するFe基焼結合金相と潤滑相とを有する各種ロ
ーラを調製した。
【0044】各ローラより試験片を切り出し、その金属
組織を顕微鏡観察したところ、図3に示すように、Ni
−Mo−Fe,Cr−Mo−Fe等の高靭性粒子から成
るFe基焼結合金20の組織と、このFe基焼結合金20
の空孔部を埋めたCu基合金から成る潤滑相21と、F
e−P−Cの三元共晶体から成るステダイト相22とか
ら成る合金組織が観察された。
【0045】なお、P成分を含まないFe基焼結合金ま
たはCu基合金を使用した場合には、ステダイト相は形
成されていなかった。
【0046】一方、上記焼結合金性のローラと比較する
ため、比較例1として従来材であるモニクロ鋳鉄(Fe
−0.3Mo−1Ni−1.2Cr−3.2C)溶製品
を使用し、実施例1〜5と同一寸法のローラを製造し
た。
【0047】次に上記各ローラと組み合せて使用するベ
ーンとして、従来材であるSUS440C(Fe−17
Cr−1.1C)溶製品をイオン窒化処理を施して所定
寸法のベーンを製造した。
【0048】またシリンダはFe−2.2Si−3.4
Cの組成を有するFC200材を使用した。
【0049】こうして製造した実施例1〜5および比較
例1の各ローラ、ベーンおよびシリンダを図1,2に示
すロータリ式圧縮機に実装し、インバータ制御により所
定間隔で高速運転および低速運転を繰り返すという最も
潤滑条件が悪化する条件を設定し、また冷凍機油温を1
30℃に設定して連続的に3000時間運転する耐久試
験を実施した。そして運転時間が3000時間に達した
時点における各ローラ外周部およびベーン先端部の摩耗
量を測定測定し、下記表1に示す結果を得た。
【0050】
【表1】
【0051】表1に示す結果から明らかなように、実施
例1〜5に係る圧縮機においては、耐摩耗性、潤滑性お
よび熱的安定性に優れた材料で摺動部としてのローラを
構成しているため、高温度で過酷な運動条件下で長時間
運転した後においても、摺動部の摩耗が、比較例1で示
す従来材で形成した圧縮機よりも小さくなり、優れた耐
久性を有している。特に摺動部におけるかじりの発生が
少なく、特にシリンダの内径摩耗量はいずれも1μm以
下であり、またシリンダ内面において焼付きなどの異常
摩耗の現象も発生せず、初期摺動特性も改善されること
が確認された。
【0052】実施例6〜10および比較例2〜3 実施例1〜5と同様な手順でFe基焼結合金にCu基合
金を溶浸せしめて、最終的に表2に示す組成を有する実
施例6〜10の圧縮機に使用する副軸受を調製した。
【0053】一方、比較例としてFC200材(比較例
2),SMF−4材(比較例3)で同一寸法の副軸受を
調製した。また上記各種副軸受と摺動する圧縮機の回転
軸としては、FCD600材で形成したものを使用し
た。
【0054】こうして製造した実施例6〜10および比
較例2〜3の各副軸受および回転軸を図1,2に示すロ
ータリ式圧縮機に実装し、実施例1〜5と同様に耐久試
験を実施し、各副軸受および回転軸の摩耗量等を測定し
て下記表2に示す結果を得た。
【0055】
【表2】
【0056】表2に示す結果から明らかなように、実施
例6〜10に係る圧縮機においては、いずれも摺動部の
摩耗量が、比較例2,3で示す従来材で形成した圧縮機
よりも小さくなり、優れた耐久性を有していることが判
明した。
【0057】実施例11〜15および比較例4 実施例1〜5と同様な手順でFe基焼結合金にCu基合
金を溶浸せしめて、最終的に表3に示す組成を有する実
施例11〜15の圧縮機に使用するシリンダを調製し
た。
【0058】一方、比較例4としてFC200材で同一
寸法のシリンダを調製した。また上記各種シリンダと摺
動する圧縮機のローラとしては、実施例1で形成したも
のを使用した。
【0059】こうして製造した実施例11〜15および
比較例4の各シリンダおよびベーンを図1,2に示すロ
ータリ式圧縮機に実装し、実施例1〜5と同様に耐久試
験を実施し、各シリンダおよびベーン側面の摩耗量を測
定して下記表3に示す結果を得た。
【0060】
【表3】
【0061】表3に示す結果から明らかなように、実施
例11〜15に係る圧縮機においては、いずれも摺動部
の摩耗量が、比較例4で示す従来材で形成した圧縮機よ
りも小さくなり、優れた耐久性を有していることが判明
した。
【0062】上記各実施例においては、ロータリ圧縮機
に本発明の耐摩耗性材料を適用した例で示しているが、
適用対象はロータリ圧縮機に限定されず、例えば、スク
ロール圧縮機、レシプロ圧縮機等の種々の形式の圧縮機
についても同様に適用することができる。
【0063】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る耐摩耗性
材料,その製造方法およびその材料を使用した圧縮機に
よれば、従来材と比較して高温度条件下においても安定
であり、かつ優れた耐摩耗性、潤滑性および耐焼付性を
有する材料で摺動部を形成しているため、長期間に亘っ
て過酷な条件で運転した場合においても、優れた耐久性
を発揮する圧縮機を提供することができる。
【0064】特に摺動部の材料組織において、なじみ性
に優れたCu基合金から成る潤滑相が形成されているた
め、摺動材としての相手攻撃性も小さく、初期摺動特性
も優れた長寿命の圧縮機を提供することができる。
【0065】特にFe基焼結合金組織(第1相)とCu
基合金(第2相)との間に極めて硬度が高いステダイト
相(第3相)を形成することによって耐摩耗特性を大幅
に改善することができ、耐久性に優れた圧縮機を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】密閉型ロータリ圧縮機の構造を示す縦断面図。
【図2】図1に示す圧縮機のロータ部を示す平断面図。
【図3】本発明に係る耐摩耗性材料の金属組織を模式的
に示す断面図。
【符号の説明】
1 圧縮機 2 ケ―シング 3a モータ 3b 圧縮要素 4 回転軸 5 主軸受 6 副軸受 7 仕切板 8,8a,8b シリンダ 9,9a,9b 偏心部 10,10a,10b ローラ 11,11a,11b ベーン 12 吸込み口 13a,13b 吸込みチャンバ 14a,14b 圧縮チャンバ 15 吐出口 20 Fe基焼結合金 21 潤滑相 22 ステダイト相
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/46 F16C 33/12 B 6814−3J

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で0.2〜4%のNi,0.1〜
    6%のMo,0.2〜8%のCr,0.5〜5%のC
    u,0.5〜3%のV,0.3〜7%のWおよび0.1
    〜1%のPから選択される少なくとも2種の元素および
    0.1〜3%のC,残部Feから成る第1相と,0.0
    3〜3%のP,残部Cuまたは0.03〜3%のP,5
    〜15%のSn,残部Cuから成る第2相とを有し、上
    記第1相と第2相との界面の少なくとも一部にFe−C
    −Pから成る第3相を有することを特徴とする耐摩耗性
    材料。
  2. 【請求項2】 重量%で0.2〜4%のNi,0.1〜
    6%のMo,0.2〜8%のCr,0.5〜5%のC
    u,0.5〜3%のV,0.3〜7%のWおよび0.1
    〜1%のPから選択される少なくとも2種の元素および
    0.1〜3%のC,残部Feから成る混合粉末を成形後
    焼結して焼結合金とし、この焼結合金に0.03〜3%
    のP,残部Cuから成る合金または0.03〜3%の
    P,5〜15%のSn,残部Cuから成る合金を溶浸す
    ることを特徴とする耐摩耗性材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 重量%で0.2〜4%のNi,0.1〜
    2%のMo,0.1〜2%のC,残部鉄から成る第1相
    と、0.2〜8%のCr,0.1〜2%のMo,0.1
    〜2%のC,残部Feから成る第2相と、5〜15%の
    Sn,残部Cuから成る第3相とを有することを特徴と
    する耐摩耗性材料。
  4. 【請求項4】 重量%で0.2〜4%のNi,0.1〜
    2%のMo,0.2〜8%のCr,0.1〜2%のC,
    残部Feから成る混合粉末を成形後焼結して焼結合金と
    し、この焼結合金に5〜15%のSn,残部Cuから成
    る合金を溶浸することを特徴とする耐摩耗性材料の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 重量%で0.2〜4%のNi,0.2〜
    8%のCr,0.5〜5%のCu,および0.1〜1%
    のPから選択される少なくとも1種の元素および0.1
    〜3%のC,残部Feから成る第1相と、5〜15%の
    Sn,残部Cuから成る第2相との界面部に、上記第1相
    および第2相の複合金属から成る第3相を有することを
    特徴とする耐摩耗性材料。
  6. 【請求項6】 重量%で0.2〜4%のNi,0.2〜
    8%のCr,0.5〜5%のCu,および0.1〜1%
    のPから選択される少なくとも1種の元素および0.1
    〜3%のC,残部Feから成る混合粉末を成形後焼結し
    て焼結合金とし、この焼結合金に、5〜15%のSn,
    残部Cuから成る合金を溶浸することを特徴とする耐摩
    耗性材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 シリンダとこのシリンダ内面に摺接する
    ローラとから成る圧縮要素および軸受を介して回転自在
    に支持される回転軸をケーシングに内装し、回転軸の偏
    心部にローラを嵌合させ、回転軸の回転に伴って上記ロ
    ーラがシリンダ内を偏心回転するように構成した圧縮機
    において、上記ローラを請求項1または3記載の耐摩耗
    性材料で形成したことを特徴とする圧縮機。
  8. 【請求項8】 シリンダとこのシリンダ内面に摺接する
    ローラとから成る圧縮要素および軸受を介して回転自在
    に支持される回転軸をケーシングに内装し、回転軸の偏
    心部にローラを嵌合させ、回転軸の回転に伴って上記ロ
    ーラがシリンダ内を偏心回転するように構成した圧縮機
    において、上記軸受および/またはシリンダを請求項5
    記載の耐摩耗性材料で形成したことを特徴とする圧縮
    機。
JP5320428A 1993-12-20 1993-12-20 耐摩耗性材料,その製造方法およびその材料を使用した圧縮機 Pending JPH07173509A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102029386A (zh) * 2010-12-06 2011-04-27 中南大学 一种高硬度粉末冶金低合金钢
DE102014013478A1 (de) 2014-09-11 2016-03-17 Wieland-Werke Ag Verbundwerkstoff

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