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JPH07120452A - 細胞の選択的分離方法 - Google Patents

細胞の選択的分離方法

Info

Publication number
JPH07120452A
JPH07120452A JP5263754A JP26375493A JPH07120452A JP H07120452 A JPH07120452 A JP H07120452A JP 5263754 A JP5263754 A JP 5263754A JP 26375493 A JP26375493 A JP 26375493A JP H07120452 A JPH07120452 A JP H07120452A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
antibody
bound
carrier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5263754A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunori Inamori
和紀 稲森
Masahiro Seko
政弘 世古
Hideyuki Yokota
英之 横田
Masakazu Tanaka
昌和 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP5263754A priority Critical patent/JPH07120452A/ja
Publication of JPH07120452A publication Critical patent/JPH07120452A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特定の細胞のみを特異的にかつ効率よく分離
する方法を提供する。 【構成】 単離する細胞表面に発現されている抗原との
結合性を有するモノクロナール抗体またはポリクロナー
ル抗体あるいは結合性を保持されたそれらの断片を含む
タンパク質またはペプチドを、アミノ基またはイミノ基
を含有する分子量10000以下の化合物に結合し(修
飾抗体)、目的細胞を含んだ血液,血漿,血清,体液あ
るいは細胞懸濁液を修飾抗体と反応させ結合させ、得ら
れた修飾抗体の結合した細胞液を、カルボキシル基を表
面に含有する水不溶性担体に処理することにより目的細
胞を担体に結合させ、その他の細胞または他の物質を除
去し、目的細胞のみを上記担体から解離させる工程から
成る、細胞の選択的分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は従来のアフィニティクロ
マト法に改良を加えることにより、特定のマーカー抗原
を有する細胞あるいは細胞集団を効率よく分離する方法
に関するものである。本発明による細胞分離方法は生化
学分野の研究を目的とする場合のみならず、血液の体外
循環により特定の細胞を分離することにより、種々の疾
患の治療に際しても適用されるものである。たとえばC
D4陽性細胞あるいはCD8陽性細胞のいずれか一方を
分離除去することにより両者の比率を制御することがで
き、それにより免疫反応が過剰に作用する自己免疫疾患
やアレルギー性の疾患あるいは逆にAIDSに代表され
るような免疫不全性の疾患の治療に有用なものである。
またCD34陽性細胞を分離することにより、特に末梢
血中から極微量に存在する最も未分化な幹細胞を効率よ
く単離することが可能であり、癌,悪性腫瘍などにおい
て化学療法あるいは放射線療法を適用した場合にこれを
注入することにより、その造血機能を回復させることが
可能である。
【0002】
【従来の技術】現在適用されている細胞の分離方法とし
ては遠心分離法,所望の細胞以外の細胞を死滅させる方
法,蛍光抗体標識細胞分離法(以下FACSと言う),
水不溶性担体に目的細胞に親和性を有するリガンドを固
定化しこれに目的細胞を直接的または間接的に結合させ
る方法,免疫吸着カラムによる分離および免疫磁気ビー
ズによる分離法などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】遠心分離法は細胞の大
きさおよび比重の相違により分離する方法であり、白血
球,赤血球および血小板のように物理的性質に大きな相
違のある場合には有用であるが、たとえばT細胞とB細
胞のように物理的な差異の小さな細胞を分離する場合に
は適用できない。
【0004】所望の細胞以外の細胞を死滅させる方法は
種々検討されてきたが、これが適用されるのは移植手術
に際して自家骨髄中に存在する癌細胞を死滅させるため
に薬剤やモノクロナール抗体を用いる程度である。薬剤
は一般的に4−ヒドロパーオキシシクロホスファミドが
使用されるが、正常骨髄細胞までも損傷を受ける場合が
多い。また癌細胞やT細胞に結合する抗体が所望の細胞
以外の細胞を死滅させるために用いられてきたが、この
場合にも他の薬剤を併用する必要がある。しかし抗体と
癌細胞の結合性は変化しやすいため、癌細胞を完全に死
滅させることは困難である場合が多い。また併用する薬
剤においても目的とする正常細胞をも損傷させる場合が
生じやすい。
【0005】FACSは最初に細胞混合液を目的とする
細胞に発現されている膜抗原を認識するような蛍光標識
したモノクロナール抗体とインキュベートした後、処理
した細胞にレーザー光を照射することにより抗体が結合
した細胞のみが蛍光を発することを応用して、蛍光抗体
が結合した細胞を分離する方法である。この方法は研究
用に少量の細胞分離には効果的であるが、1×107
/時間の細胞処理速度が限界であるため診断や治療に要
する大量の細胞を分離するためには不適当である。たと
えばFACS装置を用いて有核細胞を約2×107 個含
有する20ml程度の血液を処理するのに数時間を要す
ることになり、一般に骨髄移植に必要とされる1〜2×
108 個の幹細胞を分離するためには数週間を要する。
またFACS装置は非常に高価なものであり、操作する
にも熟練した高度な技術が必要であり、維持するのに要
する費用も大きいなどの問題がある。
【0006】WO87−04628には2種類の細胞分
離方法が記載されている。一つは目的細胞の膜表面に存
在する抗原に対するモノクロナール抗体を直接分離装置
表面に固定化して用いる方法である。細胞分離は担体ま
たは装置に固定化されたモノクロナール抗体に対して、
該抗原陽性細胞が直接結合することで行なわれる。もう
一つの方法は最初に細胞混合液を目的細胞上の膜抗原に
結合するモノクロナール抗体とインキュベートして、そ
れから細胞表面上の抗体に結合する抗イムノグロブリン
抗体のようなリガンドを固定化した細胞分離装置で処理
される。これらの方法に含まれるパニング法では、抗体
を固定化したプラスチック皿上で分離される。この方法
の手順を記すと、細胞混合液は最初抗体を固定化したプ
ラスチック皿上に注がれ、抗体と目的細胞上の膜抗原と
を結合させるためにインキュベートされる。インキュベ
ート後プラスチック皿を洗浄して結合していない細胞を
除去して分離する。このようにパニング法は非常に簡単
ではあるが、抗原と抗体の結合が弱いために効率よく細
胞と抗体とを結合させるには細胞をプラスチック皿上で
長時間インキュベートする必要があり、このため目的以
外の細胞の非特異的な接着が生じ純度が低下するという
欠点がある。さらに細胞と抗体との結合が弱いために多
くの抗体が細胞と結合せずに残存し、多量の細胞を結合
させるためには大量の抗体をプラスチック皿に固定化す
る必要があり装置のコストが非常に高くなる。また赤血
球の非特異的な吸着を防止するために、この方法では細
胞混合液から先に赤血球を除去して用いなければならな
いなどの多くの欠点を有する。
【0007】免疫磁気ビーズ法は最初に細胞混合液を抗
体の結合した磁気ビーズとインキュベートすることによ
り目的細胞を磁気ビーズで標識する。標識後磁気装置を
用いて標識されていない細胞から標識細胞を分離する。
この技術は患者の骨髄液から癌細胞を除去して臨床に用
いるために応用されている。ビーズと目的細胞を効率よ
く結合させるために長時間のインキュベートが必要であ
り、そのため目的以外の細胞の非特異的な接着が生じ純
度が低下すると同時に小さな磁気ビーズに吸着した目的
細胞を回収することが非常に困難であり治療に適用する
ことは難しい。
【0008】免疫吸着カラム法は目的細胞上の膜抗原に
対する抗体などのリガンドをビーズ表面に固定化しこれ
をカラムに充填して細胞分離を行なうものである。この
場合もパニング法や磁気ビーズ法と同様に細胞膜抗原と
抗体の結合力が弱いため、細胞をビーズ表面の抗体に結
合させるにはインキュベートする必要があり、このため
目的以外の細胞の非特異的な接着が生じ純度が低下す
る。さらに抗原と抗体との結合が弱いために大量の抗体
を固定化する必要がありカラムのコストが非常に高くな
り大量の細胞分離が必要な治療分野への適用は困難であ
る。。
【0009】WO91−16116には目的細胞上の膜
抗原に対する抗体をビオチン標識したものを細胞混合液
中に加えて、インキュベートすることにより細胞−抗体
−ビオチン結合を形成させた後、多孔質アクリルアミド
ゲルにアビジンを固定化したビーズを充填したカラムを
通過させビオチン−アビジンの強力な結合を利用して目
的細胞をカラム内に結合させて分離する方法が記載され
ている。この方法は前述した種々の方法と比較すると処
理速度および純度の点で改良されており臨床応用が可能
である。しかしビオチン−アビジンの結合が非常に強固
であるため一旦細胞分離に用いてビーズに固定化したア
ビジンのすべてがビオチンと結合するとこの結合を切断
してカラムを再生することが困難である。したがってカ
ラムを並列に並べて一方のカラムが飽和になると他方の
カラムに切換え、その間に飽和したカラムの再生を行な
うといった方式を採用することができないため、カラム
の大容量化,プライミング容量の増大を招く。さらにア
クリルアミドビーズにアビジンが直結しているためアビ
ジンが有効に作用しにくく、細胞−抗体−ビオチン結合
体の吸着速度およびその効果が低下するなどの問題点が
ある。
【0010】本発明は上記のような欠点や問題点を改良
して目的の細胞を効率よく高速で分離が可能であり、純
度もよく分離された細胞の機能低下を招くことのない細
胞分離方法および装置を提供するものである。さらには
再生の可能な細胞分離方法および装置を提供することに
も本発明の大きな特徴がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は(1)単離する
細胞表面に発現されている抗原との結合性を有するモノ
クロナール抗体またはポリクロナール抗体あるいは結合
性を保持しているそれらの断片を含むタンパク質または
ペプチドを、アミノ基またはイミノ基を含有する分子量
10000以下の化合物に共有結合させ、(2)目的の
細胞を含んだ血液,血漿,血清,体液あるいは細胞懸濁
液のいずれかを(1)で得た修飾抗体と反応させること
により目的の細胞を結合させ、(3)(2)で得られた
修飾抗体の結合した細胞液を、カルボキシル基を表面に
含有する水不溶性担体と処理することにより目的細胞を
担体に結合させ、それ以外の細胞または他の物質を除去
し、(4)適当な方法により目的細胞のみを上記担体か
ら解離させるという工程を含むことを特徴とする細胞の
分離方法およびその装置に関するものである。
【0012】本発明により分離が可能な細胞は特に限定
されないが、特に内皮細胞,癌細胞,ランゲルハンス島
細胞,マクロファージ,単球,Bリンパ球,Tリンパ球
および造血系の各種細胞、さらには妊婦の血液中の胎児
細胞などのヒト細胞などが挙げられる。このうちBリン
パ球,Tリンパ球は多くの亜集団に分類されるが、特に
Tリンパ球においてCD4陽性細胞,CD8陽性細胞,
CD19陽性細胞,インターロイキン2レセプター(I
L2R)陽性細胞,トランスフェリンレセプター(Tr
R)陽性細胞などの亜集団を分離することは各種の自己
免疫疾患,AIDSあるいは移植術後の急性拒絶反応の
防止などに応用が可能となり有意義なものである。また
造血系の悪性腫瘍,癌の治療において行なわれる自家骨
髄移植療法のためにCD34を発現している造血幹細胞
の分離は現在注目されており今後需要の増すと思われる
分野である。
【0013】これらの細胞を認識する抗体としてはモノ
クロナール抗体,ポリクロナール抗体のいずれを用いる
ことも可能であるが、その単一性や結合特異性の点から
はモノクロナール抗体の方がより好ましい。また抗体分
子をそのまま利用することも可能であるが、各種プロテ
アーゼ処理により得られる抗原結合部位を含む断片であ
るFab,F(ab')2 あるいはFacbなども適用す
ることができる。さらには可変領域を構成するペプチド
またはそのうちでも相補性決定領域を構成するアミノ酸
配列から成るペプチドおよびその修飾ペプチドを用いる
ことができる。その他にも本発明をヒト体内の血液を体
外循環に応用する場合には抗体が血液中に遊離した際の
副作用,抗原性などを考慮して可変領域以外の部分をヒ
ト型抗体にするようなキメラ抗体を用いることも有用で
ある。これらの中で細胞(マーカー抗原)との結合強度
や遊離した場合の副作用などを考慮するとFab,F
(ab')2 あるいは可変領域を構成するペプチドを用い
ることが好ましい。これら抗体の作製方法は特に限定さ
れるものではないが、高純度に精製されたものを用いな
ければならない。モノクロナール抗体の場合には通常行
なわれているハイブリドーマを無血清培地による培養上
清から得る方法でよい。断片ペプチドの場合には抗体分
子の酵素処理により得ることができるが、遺伝子工学的
な手法により細菌,酵母などに産生させることも可能で
ある。
【0014】上記抗体とアミノ基またはイミノ基を含有
する化合物と結合させる方法は特に限定されるものでは
ない。一般的なものとしてはカルボジイミド化合物を用
いて抗体中のカルボキシル基と該アミノ基またはイミノ
基とを縮合させる方法,抗体分子に結合している糖鎖の
グリコール部位を開裂させてアルデヒド基を形成させて
これと該アミノ基またはイミノ基とのシッフ塩基を形成
後還元する方法などが挙げられる。
【0015】上記のアミノ基またはイミノ基を含有する
化合物としては、一分子内に少なくとも2個以上、好ま
しくは4個以上のアミノ基またはイミノ基を有する化合
物が好ましい。これらの化合物としては、分子量100
ないし20000、好ましくは150ないし10000
のポリエチレンイミン,ポリビニルアミンまたはポリア
リルアミンおよびこれらの誘導体が挙げられる。このう
ち特にポリエチレンイミンが好ましい。またそれ以外に
も安定性,安全性に問題がなければジアミン類もしくは
2個以上のアミノ基またはイミノ基を含有する種々の化
合物を用いることも可能である。
【0016】上記化合物の結合した抗体と細胞液との結
合は、懸濁液の場合には1%牛血清アルブミン(以下B
SAと言う)含有PBS溶液中で行なうのが好ましく、
4℃で30分ないし1時間程度インキュベートを行なっ
た後、同PBS溶液で2〜3回洗浄するのがよい。細胞
や抗体の種類により結合の容易さが異なるが、約1×1
7 個の細胞液を処理する場合には、5ないし500μ
g、好ましくは10ないし100μgの抗体を混合して
反応させるのが好ましい。
【0017】本発明で用いられる水不溶性担体は、その
素材自体あるいは溶出物に毒性がなければ合成,天然い
ずれでもよく、水不溶性または水不溶化された高分子化
合物はすべて適用可能である。これらの形状はビーズ,
繊維,中空糸などいずれも可能であり、分離する細胞の
大きさ,形状,性質などに応じて使い分けることができ
る。このうちビーズ状で使用する素材として適当なもの
は、ポリアクリルアミド,ポリアクリル酸エステル誘導
体,ポリビニルアルコール,ポリスチレンンおよびその
誘導体,セルロース,アガロース,キトサン,キチンお
よびその他の市販ビーズ状高分子がある。これらのうち
非特異的な吸着を防止するためには、親水性の強いポリ
アクリルアミド,ポリビニルアルコールおよびセルロー
スが好ましい。ビーズの粒径は分離する目的の細胞の大
きさにより変わるが、概して5ないし4000μmが適
当である。目的細胞の大きさが1ないし5μmの場合に
はビーズの粒径は5ないし500μm好ましくは10な
いし300μmであり、目的細胞の大きさが5ないし5
0μmの場合にはビーズの粒径は30ないし4000μ
m好ましくは50ないし2000μmが適している。ま
たビーズは多孔質であることが好ましく、その排除限界
分子量は5×106程度が好ましい。さらにビーズ全体
に占める細孔容量としては10ないし90%、好ましく
は20ないし80%がよい。
【0018】繊維状担体の素材としてはポリエステル,
ポリアミド,ポリエチレン(PE),セルロース,ポリ
プロピレン(PP),ポリエチレンテレフタレート(P
ET),レーヨン,ポリスチレン,ポリビニルアセター
ルなどが挙げられる。このうち改質の容易さ、強度保持
の点からポリエステル,セルロース,レーヨン,PE
T,ポリスチレンが好ましい。繊維の形状は織物,綿
状,不織布などいずれでもよいが、取扱いの容易さ、吸
着効率の点から不織布が好ましい。また繊維径は1ない
し200μm、好ましくは2ないし100μmさらに好
ましくは3ないし50μmである。これらの繊維は多孔
性であってもよく、孔径はビーズの場合と同様の範囲が
好ましい。
【0019】上記の水不溶性担体へのカルボキシル基の
導入は種々の方法が挙げられる。たとえばPE,PPの
場合にはアクリル酸(AA),メタクリル酸(MAA)
またはこれらの誘導体を重合時に共重合させて製造する
方法がある。またこれらの素材を電子線,紫外線または
オゾンを照射することによりラジカルやイオンを発生さ
せ、AA,MAAまたはこれらの誘導体をグラフトさせ
る方法がある。この場合には他のビニルモノマーを共存
させることも可能である。
【0020】綿やビスコースの場合には、過ヨウ素酸に
より酸化してそのグリコール部位を開裂させてアルデヒ
ド基を形成させこれを酸化してカルボキシル基を導入し
てもよいし、あるいはアルデヒド基にアンモニア,エチ
レンジアミン,ヘキサメチレンジアミンのような少なく
とも一級アミノ基を1個以上有する化合物を反応させて
シッフ塩基を形成しこれを還元してアミノ基を導入した
後、このアミノ基とAA,MAAおよびこれらの誘導体
あるいはポリアクリル酸(PAA),ポリメタクリル酸
(PMAA)およびこれらの誘導体ポリマーと縮合させ
てもよい。この際のPAA,PMAAおよびこれらの誘
導体ポリマーの分子量は200ないし20000が好ま
しく、500ないし10000がより好ましい。なおこ
こで言う誘導体ポリマーとはAAまたはMAAのモノマ
ー単位を少なくとも1種類を10ないし80モル%以上
含む他のビニルモノマーとの共重合体を意味している。
【0021】さらに電子線照射によりカルボキシル基を
導入する方法としては、AA,MAAまたはPAA,P
MAAおよびこれらの誘導体ポリマーとビニル基を1分
子中に少なくとも2個以上有する架橋性モノマーとの混
合溶液を担体にコーティングして乾燥させた後、電子線
を照射してカルボキシル基を導入することができる。こ
の場合のポリマーの分子量は200ないし20000が
好ましく、500ないし10000がさらに好ましい。
【0022】用いる架橋性モノマーとしてはメチレンビ
スアクリルアミド,トリメチロールプロパンジアクリレ
ート,トリメチロールプロパントリアクリレート,テト
ラメチロールメタンテトラアクリレート,トリアリルイ
ソシアヌレートのようなビニル基を複数個有するモノマ
ーの他に、化1の一般式で示される化合物が挙げられ
る。これら架橋性化合物のうちで化1を用いた場合がカ
ルボキシル基の導入効率が最も良好で、カルボキシル基
濃度も所望の値に制御することが可能である。化1にお
けるR1,R2,R3はそれぞれ水素原子またはメチル基
を示す。nは1ないし100の整数を示しているが、3
ないし70の整数が好ましく、5ないし60の整数がさ
らに好ましい。
【0023】
【化1】
【0024】コーティングする溶液の濃度は0.1ない
し20%、好ましくは0.5ないし10%であり、用い
る溶媒は架橋性化合物とPAA,PMAAおよびこれら
の誘導体ポリマーの両者を溶解する溶媒であればすべて
使用できるが、水,メタノール,エタノール,塩化メチ
レン,クロロホルム,アセトン,ジオキサン,テトラヒ
ドロフランまたはこれらの混合溶媒を用いることができ
る。PAA,PMAAおよびこれらの誘導体ポリマーと
架橋性化合物との混合比は50:1ないし1:50、好
ましくは30:1ないし1:30である。コーティング
する混合物は担体に対して0.5ないし30wt%、好
ましくは1ないし20wt%である。
【0025】特に不織布の場合においてカルボキシル基
の導入方法を種々検討したところ、AA,MAAまたは
PAA,PMAAおよびこれらの誘導体ポリマーと化1
で示される化合物とを混合してコーティングした後、電
子線照射により処理する方法が最も好ましい。この場合
に用いる素材としてはPET,PEあるいは綿が好まし
く特にPETが好ましい。照射線量は1ないし20Mr
ad、好ましくは2ないし10Mradである。このよ
うにしてカルボキシル基を導入した不織布はカルボキシ
ル基とポリエチレングリコールとの相乗効果により、特
にこれを用いて血液を体外循環させる場合においては血
小板,白血球などの粘着性がなく血液の補体活性や凝固
系因子の活性化も抑制されるなどの点からも有利であ
る。
【0026】先に述べた細胞の結合したアミノ基含有化
合物を上記のようなカルボキシル基含有担体を充填した
カラムに供して接触させることにより、両者のイオン結
合が生じ目的細胞が担体に捕集される。細胞は攪拌ある
いは振盪処理により容易に解離することができる。また
上記処理後におけるカルボキシル基含有担体は、pH
2.0ないし4.0好ましくはpH3.0ないし3.5
の酸性緩衝液により再生することが可能である。
【0027】
【実施例】本発明による細胞分離に関する実施例を以下
に示す。 <実施例1> CD34陽性細胞の分離 (1)バッフィコート細胞の分離 ヘパリンを加えた骨髄液を100×gで5分間遠心分離
を行ない、沈殿層の上部にあるバッフィコート細胞層
(有核細胞層)を採取する。さらにPBS溶液で同条件
での遠心分離による洗浄を2回行なった。洗浄したバッ
フィコート細胞を1%BSA含有PBS溶液に懸濁して
細胞数が5×107 個/ml程度になるように分散させ
た。
【0028】(2)抗CD34抗体へのアミノ基含有化
合物の結合 抗CD34抗体であるHPCA−1(ベクトンディッキ
ンソン社製)100μgをおよび過ヨウ素酸ナトリウム
200μgをpH4.5の0.1M酢酸緩衝液20ml
に溶解して、室温で振盪しながら3時間反応させ抗体の
糖鎖部位にアルデヒド基を導入した。これを同緩衝液で
透析した後、pH10.0の0.1M炭酸緩衝液100
ml中に加え、これに炭酸ナトリウムを加えることによ
りpHを9.0に調整した。さらに分子量が2000で
ある両末端にアミノ基を有するポリエチレンイミン10
μgを加えて、室温で振盪しながら20時間反応させ
た。反応後同炭酸緩衝液を外液として透析した後、水素
化ホウ素ナトリウム100μgを加えて室温で振盪しな
がら3時間還元反応させた。反応後硫安塩析により抗体
を回収して、再溶解してPBS溶液(pH7.4)を外
液として透析を行ない4℃で保存した。
【0029】(3)バッフィコート細胞の抗体との結合 (1)で得たバッフィコート細胞懸濁液に、(2)で得
た修飾抗体を10μg/mlの濃度になるように添加
し、4℃で30分間保温した。その後1%BSA含有P
BS溶液(pH7.4)で2回洗浄した。処理する細胞
は1×107 個/ml程度になるように同緩衝液中に再
分散させた。
【0030】(4)水不溶性担体へのカルボキシル基の
導入 化1においてR1,R2,R3 が水素原子でありnの値が1
4であるポリエチレンジアクリレート(CH2 =CH−
COO−(CH2 CH2 O)14−OC−CH2=C
2 )2g,AA0.72gおよびエチレンジアミン
0.15gを200mlのメタノールに溶解し、15c
m平方の大きさに切断した繊維径3.5μmのPET製
不織布をこの溶液に浸した後、5Mradずつ合わせて
10Mradの電子線を不織布の両面に照射した。電子
線照射の終了した不織布を水およびメタノールで3回ず
つ洗浄を行ない風乾した。得られた不織布のカルボキシ
ル基含量は水酸化ナトリウム溶液による滴定により定量
を行ない0.549meq/gであった。
【0031】(5)細胞の分離 上記不織布を一辺5cmの菱形のポリカーボネート製モ
ジュールケースの大きさおよび形状に合わせて切断して
それを20枚を充填したカラムを作製した。このカラム
に(3)で調製した抗体の結合した細胞の懸濁液1ml
をチュービングポンプにより1ml/分でカラムを通過
させながら10分間循環させた。その後PBS溶液(p
H7.4)で洗浄して、カラムを軽く振動させて細胞を
カラムから脱離させた。脱離した細胞を同PBS溶液を
流して回収した。CD34陽性細胞の回収率は蛍光標識
フローサイトメトリーによる定量結果から算出した。同
時にCD34陰性細胞との比率からCD34陽性細胞の
純度を算出した。また回収された細胞の生存率を、トリ
パンブルーを用いた色素排除法により生死を判別してN
eubauer型血球計算盤を用いて計量して算出し
た。これらの結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】<実施例2> CD4陽性細胞の分離 10%ヘパリン(100U/ml)添加ヒト末梢血を3
50×gで10分間遠心分離してバッフィコート細胞層
を採取し等量のマッコイ5A培地(GIBCO製)に混
和した後、等量ずつFicoll−Conray液上に
重層して750×gで20分間遠心分離した。得られた
単核細胞層を上記培地を含む別の試験管に採取して32
0×gで10分間遠心分離による洗浄を3回繰返した。
【0034】抗CD4抗体であるLeu−3a(ベクト
ンディッキンソン社製)100μgを実施例1と同様に
して、分子量が2000である両末端にアミノ基を有す
るポリエチレンイミンを結合させ、上記の単核細胞と結
合させた。処理する細胞は1×107 個/ml程度にな
るように1%BSA含有PBS溶液(pH7.4)中に
再分散させた。
【0035】実施例1と同様にして調製したカルボキシ
ル基含有不織布(0.544meq/g)を充填カラム
を作製して、同様の方法でCD4陽性細胞の分離回収
率,純度,生存率を評価した。結果を表1に示した。
【0036】<実施例3> CD8陽性細胞の分離 抗CD8抗体であるLeu−2a(ベクトンディッキン
ソン社製)100μgを用いて、その他は実施例2と同
様にしてCD8陽性細胞の分離回収率,純度,生存率を
評価した。結果を表1に示した。
【0037】
【発明の効果】以上示したように、本発明により細胞の
分離方法は目的の細胞のみを特異的にかつ効率よく高純
度に回収することが可能となった。本発明は生化学的研
究における細胞分離、あるいは医療を目的とした特定の
細胞捕集などの分野において有用に展開されるものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61M 1/36 545 9052−4C (72)発明者 田中 昌和 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次に示すような工程から成ることを特徴
    とする細胞の選択的分離方法。 (1)単離する細胞表面に発現されている抗原との結合
    性を有するモノクロナール抗体またはポリクロナール抗
    体あるいは結合性を保持しているそれらの断片を含むタ
    ンパク質またはペプチドを、アミノ基またはイミノ基を
    含有する分子量10000以下の化合物に共有結合させ
    る。 (2)目的の細胞を含んだ血液,血漿,血清,体液ある
    いは細胞懸濁液のいずれかを(1)で得た修飾抗体と反
    応させることにより目的の細胞を結合させる。 (3)(2)で得られた修飾抗体の結合した細胞液を、
    カルボキシル基を表面に含有する水不溶性担体と処理す
    ることにより目的細胞を担体に結合させ、それ以外の細
    胞または他の物質を除去する。 (4)目的細胞のみを上記担体から解離させる。
JP5263754A 1993-10-21 1993-10-21 細胞の選択的分離方法 Pending JPH07120452A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11287799A (ja) * 1997-11-22 1999-10-19 Stephen C Wardlaw 全血中の異常な有核細胞の検出、同定、計数及び確認方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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