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JPH07113144A - 表面性状に優れた非磁性ステンレス鋼及びその製造方法 - Google Patents

表面性状に優れた非磁性ステンレス鋼及びその製造方法

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Publication number
JPH07113144A
JPH07113144A JP25989693A JP25989693A JPH07113144A JP H07113144 A JPH07113144 A JP H07113144A JP 25989693 A JP25989693 A JP 25989693A JP 25989693 A JP25989693 A JP 25989693A JP H07113144 A JPH07113144 A JP H07113144A
Authority
JP
Japan
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less
stainless steel
weight
magnetic
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25989693A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhisa Miyakusu
克久 宮楠
Sadao Hirotsu
貞雄 廣津
Shigeto Hayashi
茂人 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP25989693A priority Critical patent/JPH07113144A/ja
Publication of JPH07113144A publication Critical patent/JPH07113144A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 HV380以上の硬さ及び透磁率μ1.05
以下の表面性状に優れ、皿バネ,座金等として使用され
る安価な非磁性ステンレス鋼を得る。 【構成】 この非磁性ステンレス鋼は、C:0.08%
以下,Si:3.0%以下,Mn:2.0%以下,S:
0.003%未満,Ni:9.5〜11.5%,Cr:
16.0〜20.0%及びN:0.1〜0.25%を含
み、式(1)で定義される非磁性安定指数Xが14.5
〜19.0の範囲にある。材料温度40〜180℃,圧
延率40〜70%で冷間圧延され、必要に応じ600℃
以下の温度に1時間以内保持する時効処理が施される。 X=Ni+0.60×Mn+9.69×(C+N)+
0.18×Cr−0.11Si2 ・・・・(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強力な磁場中で使用さ
れるバネ部品等の材料として好適な非磁性ステンレス鋼
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超電導マグネットによる磁気浮上を利用
したリニアモータカーの実用研究が盛んに行われてい
る。リニアモータカーは、コンクリートパネル及びリニ
アモータカーにそれぞれ取り付けられた超電導コイルの
反発力を推進力として移動する。超電導コイルは、非磁
性のボルト・ナットを使用しコンクリートパネルに取り
付けられる。ボルトは、車両通過時の衝撃,コイルの熱
膨張等によって緩まないように、皿バネ及び座金を介し
て固定される。
【0003】使用される皿バネや座金の材質には、ボル
トが緩まないように締付けトルクを大きく設計すること
から高強度であること、超電導コイルで発生する磁場に
影響を与えないように非磁性であること、更に耐食性に
優れていること等が要求される。また、通常の電力装置
の電源トランス内等においても、強い磁場が発生してい
る。この種の機器で使用されるバネ部品についても、非
磁性化することにより発熱等に起因した電力損失を低減
することができる。このような要求特性をもつ材料とし
て、SUS304,SUS316等のオーステナイト系
ステンレス鋼が従来から使用されていた。また、近年で
はSUS304N1,SUS304N2等の高Nオース
テナイト系ステンレス鋼も使用されるようになってきて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のオース
テナイト系ステンレス鋼は、強磁場での使用に要求され
る種々の特性を十分に満足する材料とは言えない。たと
えば、SUS304では、加工率が約20%以上の冷間
加工を施すと加工誘起マルテンサイト相が生成する。そ
の結果、磁性を帯び、透磁率μが1.05を超えるよう
になる。SUS316は、冷間加工後においても低い透
磁率が維持されるが、高強度を確保できない。また、合
金成分としてNi,Moの含有量が高いことから高価な
材料である。SUS304N1,SUS304N2等の
オーステナイト系ステンレス鋼は、熱間圧延時に山形状
の表面欠陥が発生し易い。発生した表面欠陥は、熱延後
の鋼板表面をグラインー等で研削しても、除去されずに
残留することが多く、製品加工後のバレル研磨程度では
除去されない。残存した表面疵は、耐食性等の製品特性
に悪影響を及ぼすことから、製品歩留りを低下させる原
因となる。
【0005】熱延後の表面疵を防止するため、種々の方
法が提案されている。たとえば、特開昭57−1615
3号公報では、δcal =3(Cr+Mo+1.5×Si
+0.5×Nb)−2.8(Ni+0.5×Mn+0.
5×Cu)−84(C+N)−19.8で提示されるδ
フェライトの計算値を4.0以下にしている。δcal
4.0によって熱間加工性にある程度の改善はみられる
ものの、機械的性質や耐食性等を考慮してステンレス鋼
を成分設計していることを考慮したとき、多くの鋼種に
ついてδcal を4.0以下の一定値に合せることは困難
である。ステンレス鋼の溶製時においても、目標設定成
分に対し高い的中精度を得ることが難しい。特開昭57
−127506号公報では、連鋳時における溶鋼の過熱
温度ΔT(スーパーヒート)とN含有量との積に応じて
熱延時の加熱温度を調節することにより、表面疵の発生
を抑制している。しかし、過熱温度ΔT及びN含有量
は、連鋳時に種々変化する。また、同時に複数のスラブ
を加熱する実ラインにおける加熱炉操業を考慮すると、
全スラブを対象として熱延時の加熱温度を制御すること
は困難になる。
【0006】Ti等の特殊成分を添加することにより、
表面疵の発生を防止することも一部で行われている。し
かし、Ti等を添加すると介在物が増加し、ストリンガ
ー疵が増加する欠点が現れる。しかも、特殊な添加元素
は一般的に高価であるため、鋼材のコストを上昇させる
原因ともなる。本発明は、このような問題を解消すべく
案出されたものであり、冷間圧延の条件制御によって強
度及び靭性を満足させ、特定された成分系においてS含
有量を低減することにより熱延時の割れ発生を防止し、
表面性状の良好な非磁性ステンレス鋼を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の非磁性ステンレ
ス鋼は、その目的を達成するため、C:0.08重量%
以下,Si:3.0重量%以下,Mn:2.0重量%以
下,S:0.003重量%未満,Ni:9.5〜11.
5重量%,Cr:16.0〜20.0重量%及びN:
0.1〜0.25重量%を含み、式(1)で定義される
非磁性安定指数Xが14.5〜19.0の範囲にあり、
且つ透磁率μが1.05以下であることを特徴とする。
この非磁性ステンレス鋼は、更にCu:1.0重量%以
下,Mo:3.0重量%以下,B:0.010重量%以
下,Al:0.10重量%以下,Ca:0.050重量
%以下,希土類元素:0.050重量%以下及びY:
0.030重量%以下のうちの1種又は2種以上を含む
ことができる。 X=Ni+0.60×Mn+9.69×(C+N) +0.18×Cr−0.11Si2 ・・・・(1) 本発明の非磁性ステンレス鋼は、前記の成分・組成を持
つステンレス鋼に、材料温度を40〜180℃の範囲に
維持しながら圧延率40〜70%の冷間圧延を施すこと
により製造される。冷間圧延後、更に600℃以下の温
度に1時間以内保持する時効処理を施しても良い。
【0008】
【作用】本発明者等は、Cr−Ni系オーステナイトス
テンレス鋼のバネ特性に及ぼす合金元素,冷間圧延及び
熱処理の影響を広範な観点から調査・研究した。その結
果、合金元素及びその含有量が特定されたステンレス鋼
に施す冷間圧延の圧延温度及び圧延率を制御するとき、
目標とする強度及び靭性が維持されることを見い出し
た。また、熱延時に発生した割れが熱延後のコイルにお
いて山形状の表面欠陥になることを突き止め、割れ発生
とスラブ中のS量との間に密接な相関関係があることを
見い出した。その結果、成分系が特定されたステンレス
鋼においてS含有量を低減することにより、表面性状が
改善されることが判った。以下、本発明の非磁性ステン
レス鋼に含まれる合金元素及びその含有量を説明する。 C:0.08重量%以下 マトリックスに固溶して材質を硬化させる作用が強く、
オーステナイト相を安定化し、且つバネ特性を向上させ
る上で、有効な合金元素である。しかし、0.08重量
%を超えて多量のCが含まれると、耐食性が低下する。
【0009】Si:3.0重量%以下 高強度を得る上で、有効な合金元素である。しかし、S
i含有量の増加に伴って、冷間加工後の透磁率が急激に
上昇する。その結果、非磁性を維持できなくなる。この
点で、Si含有量の上限を3.0重量%に設定した。 Mn:2.0重量%以下 Niと同様にオーステナイト相を安定化させる作用を呈
し、冷間加工による透磁率の上昇を抑制する。しかし、
2.0重量%を超える多量のMnを含有させると、製鋼
段階における製造性等が劣化し、生産コストが上昇す
る。
【0010】S:0.003重量%以下 熱間加工性を低下させ、熱間圧延中のスラブ表面に微小
な割れを発生させる有害元素である。発生した微小な割
れは、熱間圧延後のコイル表面に山形状の疵やヘゲ状の
表面疵となって現れる。これらの表面疵は、γ粒界にS
が偏析し、粒界の割れ感受性を高めることによって発生
するものと考えられる。たとえば、C:0.02〜0.
08重量%,Si:0.5〜3.0重量%,Mn:0.
5〜2.0重量%,S:0.0005〜0.009重量
%,Ni:8.5〜12.0重量%及びN:0.1〜
0.25重量%の範囲で合金成分を含む種々の鋼を12
30℃に加熱した後、熱間圧延し、ホットコイルに発生
したヘゲ疵の個数をS含有量との関係でみると、図1に
示した関係が成立していた。図1に示すように、S含有
量の低減に応じてヘゲ疵が減少する。このことから、S
含有量は低いほど好ましいが、経済的な理由からS含有
量の上限を0.003重量%未満、好ましくは0.00
2重量%に設定した。
【0011】Ni:9.5〜11.5重量% オーステナイト相を安定化させる上で、必須の合金成分
である。冷間加工後に透磁率μ1.05以下の非磁性を
確保するためには、9.5重量%以上のNiを含有させ
ることが必要である。しかし、11.5重量%を超えて
高価なNiを多量に含有させることは、コストの上昇を
招き、安価なオーステナイト系ステンレス鋼を提供でき
なくなる。 Cr:16.0〜20.0重量% ステンレス鋼の基本成分であり、優れた耐食性を得る上
で16.0重量%以上のCr含有が必要である。しか
し、20.0重量%を超える多量のCrが含有される
と、多量のδフェライトが生成し、非磁性が確保できな
くなる。
【0012】N:0.1〜0.25重量% オーステナイト系ステンレス鋼の硬度及び強度を向上さ
せる作用を呈すると共に、オーステナイト相を安定化さ
せる合金元素である。これらの作用は、0.10重量%
以上のN含有量で顕著に現れる。しかし、0.25重量
%を超える多量のNが含まれると、ブローホールが発生
し易くなり、健全な鋼塊が得られ難くなる。本発明の非
磁性ステンレス鋼は、更にCu,Mo,B,Al,C
a,希土類元素及びYのうちの1種又は2種以上を必要
に応じて含むことができる。これら任意成分の作用は、
次の通りである。 Cu:1.0重量%以下 オーステナイト相の安定化に寄与し、冷間加工後の非磁
性を維持する。しかし、1.0重量%を超える多量のC
uを含有すると、溶接時の高温割れ感受性が高くなる。
【0013】Mo:3.0重量%以下 時効処理後の硬さを著しく高め、耐食性の改善にも有効
に働く。しかし、3.0重量%を超える多量のMoが含
まれると、δフェライトの生成量が多くなり、非磁性を
維持できなくなる。 B:0.010重量%以下 靭性を向上させると共に、熱間加工性の改善に顕著な効
果を発揮する。しかし、0.010重量%を超えるB含
有は、多量の析出物が生成する原因となり、靭性を劣化
させる。 Al:0.10重量%以下 脱酸剤として有効な元素である。しかし、鋼中に多量に
残存するほど添加すると、介在物を形成し、疲労強度を
著しく低下させる。この点で、Al含有量の上限を0.
10重量%に設定した。
【0014】Ca:0.050重量%以下 靭性を向上させると共に、熱間加工性の改善に顕著な効
果を発揮する。しかし、0.050重量%を超えるCa
含有は、多量の析出物が生成する原因となり、靭性を劣
化させる。 希土類元素:0.050重量%以下 靭性を向上させると共に、熱間加工性の改善に顕著な効
果を発揮する。しかし、0.050重量%を超えて希土
類元素を含有させると、多量の析出物が生成する原因と
なり、靭性を劣化させる。 Y:0.030重量%以下 希土類元素と同様に靭性を向上させると共に、熱間加工
性の改善に顕著な効果を発揮する。しかし、0.030
重量%を超えて希土類元素を含有させると、多量の析出
物が生成する原因となり、靭性を劣化させる。
【0015】X:14.5〜19.0 式(1)で定義される非磁性安定指数Xは、本発明者等
による実験結果から導き出された指標である。本発明が
対象とするSi,N及びMnを含有させて成分調整した
オーステナイト系ステンレス鋼は、冷間加工し、或いは
更に熱処理を施すことにより、高硬度、すなわち高強度
が得られると共に、透磁率が上昇する。非磁性安定指数
Xは、このような材料の硬さと透磁率の指標として使用
される。非磁性安定指数Xが大きいほど、冷間加工後で
得られる鋼材の透磁率及びビッカース硬度が低くなる。
HV380以上の硬さをもつ比較的安価なオーステナイ
ト系ステンレス鋼を得る上からNi含有量が制限されて
いる本発明の成分系においては、X≦19.0が必要と
なる。しかし、非磁性安定指数Xが14.5未満になる
と、δフェライトが生成し易くなり、冷間圧延後に透磁
率μ1.05以下の非磁性が安定して得られ難くなる。
【0016】冷間圧延の圧延率:40〜70% 仕上げ焼鈍材に施す冷間圧延は、ビッカース硬さでHV
380以上を得るために、40〜70%の圧延率で行わ
れる。圧延率が40%未満では、必要とする強度が得ら
れない。逆に70%を超える圧延率では、圧延率の上昇
に見合った硬度の上昇がほとんどみられず、却って冷間
圧延後の形状及び成形性が劣化する傾向が現れる。 冷間圧延時の材料温度:40〜180℃ オーステナイト相が安定で、冷間圧延を施しても非磁性
が得られる成分系のステンレス鋼を冷間圧延するとき、
圧延中に材料温度が上昇することに起因して必要とする
強度が得られないことがある。本発明においては、圧延
中の材料温度を40〜180℃の範囲に維持することに
より、安定して高い強度を得ている。特に、高強度を発
現させるためには、冷間圧延率が低いほど材料温度を低
く設定する。
【0017】時効処理:冷間圧延されたステンレス鋼に
1時間以内の時効処理を施すと、より高い強度が得られ
る。しかし、時効処理温度が600℃を超えると、強度
が低下する傾向がみられる。時効処理温度の下限は、特
に規定されるものではない。しかし、硬度を必要レベル
まで上昇させるためには、低温ほど長時間の熱処理が必
要とされる。したがって、実操業面では、300〜60
0℃の範囲で時効処理を行うことが好ましい。
【0018】
【実施例】本実施例で使用したステンレス鋼の成分を、
表1に示す。表1において、Bグループが本発明で規定
した要件を満足するステンレス鋼である。Aグループは
従来の材料であり、A1がSUS304,A2がSUS
316である。Cグループは、個々の合金成分及び含有
量に関しては本発明で規定した要件を満足するものの、
非磁性安定指数Xが本発明範囲を外れる鋼である。
【0019】
【表1】
【0020】各ステンレス鋼を30kg高周波誘導溶解
炉で溶製し、熱間圧延により板厚10mm及び板幅10
0mmの熱延板とした。熱延板に1050℃に5分間保
持する均熱処理を施した後、圧延率0〜80%で冷間圧
延した。一部の鋼については、実ラインで熱間圧延及び
冷間圧延した。また、一部の供試材については、時効処
理を施した。このときの冷間圧延及び熱処理の条件を表
2に示す。なお、表2における製造法Dは本発明法、同
Eは比較法を示す。
【0021】
【表2】
【0022】焼鈍・酸洗後の冷延板についてヘゲ疵の発
生状況を調査した。ヘゲ疵が多発したものを1,ヘゲ疵
が発生したものを2,ヘゲ疵が僅かに発生したものを
3,ヘゲ疵が発生しなかったものを4として、表面性状
を4段階評価した。また、得られた冷延板から試験片を
切り出し、ビッカース硬さ(HV)を測定した。更に、
磁気天秤を使用し1000エルステッドの磁場の下で、
各試験片の透磁率を測定した。これらの調査結果を表3
に示す。
【0023】
【表3】
【0024】表3から明らかなように、従来鋼であるA
1及びA2に本発明法を適用して製造した従来鋼A1
は、冷間圧延によって透磁率が急激に上昇し、非磁性鋼
として使用できなかった。同じく従来鋼A2は、圧延率
70%で冷間圧延しても非磁性鋼としての透磁率が確保
されているものの、得られる硬さがHV380を満たさ
なかった。これに対し、本発明法に従って製造されたB
グループの本発明鋼は、冷間圧延後も透磁率が1.05
以下となっており、冷間圧延後のオーステナイト相は安
定であった。また、冷間圧延後のビッカース硬さは、H
V380以上であり、非磁性及び強度の双方に優れてい
ることが判った。ヘゲ疵についてみると、S含有量が本
発明範囲を外れる比較鋼C1及びC2では、冷間圧延後
のコイル表面にヘゲ疵が発生しており、歩留り低下の原
因となった。他方、S含有量が0.003重量%未満に
規制されたBグループの本発明鋼では、ヘゲ疵の発生傾
向が著しく改善されていた。なかでも、S含有量が0.
002重量%以下であるB6〜B11の鋼は、ヘゲ疵の
発生が皆無であった。また、B,希土類元素,Ca,Y
等を添加した鋼は、S含有量が0.002〜0.002
9重量%の範囲にあっても、S含有量0.002重量%
以下の鋼と同様にヘゲ疵の発生がみられなかった。
【0025】成分的に本発明範囲を満足する鋼であって
も、表2及び図2の比較法にみられるように、圧延率が
70%を超える冷間圧延を本発明鋼B1に施した場合、
透磁率が1.05を超えていた。逆に圧延率30%未満
の冷間圧延では、550℃に30分間加熱する熱処理を
施しても、ビッカース硬さがHV340程度に過ぎず、
目標とするHV380を大きく下回っていた。冷間圧延
時の材料温度は、図3に示すように、冷間圧延した鋼材
に時効処理を施した後の硬さに影響を与えた。目標とす
るビッカース硬さHV380以上を得るためには、冷間
圧延時の材料温度を40〜180℃に維持し、圧延率4
0%以上で冷間圧延する必要があることが図3から判
る。更に、本発明鋼B2に本発明範囲の冷間圧延を付与
しても、本発明範囲を外れる700℃×1時間の熱処理
を冷間圧延後に施したものでは、ビッカース硬さがHV
362と著しく低下し、目標値HV380に達しなかっ
た。
【0026】非磁性安定指数Xが本発明範囲を下回る比
較鋼C1では、低い透磁率が期待できる下限値40%の
圧延率及び上限値180℃の材料温度で冷間圧延した場
合でも、冷間圧延後の透磁率が1.05を超えていた。
また、非磁性安定指数Xが本発明範囲を超える比較鋼C
2では、硬さの上昇が期待できる上限値70%の圧延率
及び下限値40℃の材料温度で冷間圧延し、500℃に
1時間加熱する熱処理を施しても、熱処理後の硬さはH
V380に満たなかった。以上の対比から明らかなよう
に、成分的に本発明で規定した範囲を満足する鋼に対
し、本発明範囲の冷間圧延及び時効処理を施したもので
は、ビッカース硬さHV380以上及び透磁率μ1.0
5以下の非磁性ステンレス鋼を安定して得ることができ
た。
【0027】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、合金成分を特定した条件下で組み合わせ、更に冷間
圧延条件及び時効処理条件を制御することにより、ビッ
カース硬さHV380以上及び透磁率μ1.05以下の
非磁性ステンレス鋼が安定して得られる。この非磁性ス
テンレス鋼は、表面性状に優れた安価で高強度の材料で
あり、特に強磁場中で皿バネ,座金等として使用され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 S含有量とヘゲ疵の関係を示すグラフ
【図2】 冷間圧延の圧延率が透磁率に与える影響を示
したグラフ
【図3】 冷間圧延時の圧延率及び材料温度が時効処理
後の硬さに与える影響を示したグラフ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.08重量%以下,Si:3.0
    重量%以下,Mn:2.0重量%以下,S:0.003
    重量%未満,Ni:9.5〜11.5重量%,Cr:1
    6.0〜20.0重量%及びN:0.1〜0.25重量
    %を含み、式(1)で定義される非磁性安定指数Xが1
    4.5〜19.0の範囲にあり、且つ透磁率μが1.0
    5以下である表面性状に優れた非磁性ステンレス鋼。 X=Ni+0.60×Mn+9.69×(C+N) +0.18×Cr−0.11Si2 ・・・・(1)
  2. 【請求項2】 C:0.08重量%以下,Si:3.0
    重量%以下,Mn:2.0重量%以下,S:0.003
    重量%未満,Ni:9.5〜11.5重量%,Cr:1
    6.0〜20.0重量%及びN:0.1〜0.25重量
    %を含み、更にCu:1.0重量%以下,Mo:3.0
    重量%以下,B:0.010重量%以下,Al:0.1
    0重量%以下,Ca:0.050重量%以下,希土類元
    素:0.050重量%以下及びY:0.030重量%以
    下のうちの1種又は2種以上を含み、式(1)で定義さ
    れる非磁性安定指数Xが14.5〜19.0の範囲にあ
    り、且つ透磁率μが1.05以下である表面性状に優れ
    た非磁性ステンレス鋼。 X=Ni+0.60×Mn+9.69×(C+N) +0.18×Cr−0.11Si2 ・・・・(1)
  3. 【請求項3】 C:0.08重量%以下,Si:3.0
    重量%以下,Mn:2.0重量%以下,S:0.003
    重量%未満,Ni:9.5〜11.5重量%,Cr:1
    6.0〜20.0重量%及びN:0.1〜0.25重量
    %を含み、式(1)で定義される非磁性安定指数Xが1
    4.5〜19.0の範囲にあるステンレス鋼に、材料温
    度を40〜180℃の範囲に維持しながら圧延率40〜
    70%の冷間圧延を施すことを特徴とする硬度HV38
    0以上で透磁率μ1.05以下の表面性状に優れた非磁
    性ステンレス鋼の製造方法。 X=Ni+0.60×Mn+9.69×(C+N) +0.18×Cr−0.11Si2 ・・・・(1)
  4. 【請求項4】 請求項3記載の冷間圧延後に、600℃
    以下の温度に1時間以内保持する時効処理を施す非磁性
    ステンレス鋼の製造方法。
  5. 【請求項5】 C:0.08重量%以下,Si:3.0
    重量%以下,Mn:2.0重量%以下,S:0.003
    重量%未満,Ni:9.5〜11.5重量%,Cr:1
    6.0〜20.0重量%及びN:0.1〜0.25重量
    %を含み、更にCu:1.0重量%以下,Mo:3.0
    重量%以下,B:0.010重量%以下,Al:0.1
    0重量%以下,Ca:0.050重量%以下,希土類元
    素:0.050重量%以下及びY:0.030重量%以
    下のうちの1種又は2種以上を含み、式(1)で定義さ
    れる非磁性安定指数Xが14.5〜19.0の範囲にあ
    るステンレス鋼に、材料温度を40〜180℃の範囲に
    維持しながら圧延率40〜70%の冷間圧延を施すこと
    を特徴とする硬度HV380以上で透磁率μ1.05以
    下の表面性状に優れた非磁性ステンレス鋼の製造方法。 X=Ni+0.60×Mn+9.69×(C+N) +0.18×Cr−0.11Si2 ・・・・(1)
  6. 【請求項6】 請求項5記載の冷間圧延後に、600℃
    以下の温度に1時間以内保持する時効処理を施す非磁性
    ステンレス鋼の製造方法。
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