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JPH07112404B2 - 緑茶の製茶方法 - Google Patents

緑茶の製茶方法

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Publication number
JPH07112404B2
JPH07112404B2 JP4143520A JP14352092A JPH07112404B2 JP H07112404 B2 JPH07112404 B2 JP H07112404B2 JP 4143520 A JP4143520 A JP 4143520A JP 14352092 A JP14352092 A JP 14352092A JP H07112404 B2 JPH07112404 B2 JP H07112404B2
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JP
Japan
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green tea
enzyme
tea
tea leaves
water
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Expired - Lifetime
Application number
JP4143520A
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Inventor
良三 谷口
Original Assignee
協同組合ティーライフクリエイティブ
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Filing date
Publication date
Application filed by 協同組合ティーライフクリエイティブ filed Critical 協同組合ティーライフクリエイティブ
Priority to JP4143520A priority Critical patent/JPH07112404B2/ja
Publication of JPH05308901A publication Critical patent/JPH05308901A/ja
Publication of JPH07112404B2 publication Critical patent/JPH07112404B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、茶生葉から緑茶(非
発酵茶)を製茶する方法、特に、温水及び冷水での抽出
性の良い緑茶を得るための製茶方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】緑茶は、その製茶方法から分類すると、
蒸製緑茶と釜炒り製緑茶とに分類される。このうち、蒸
製緑茶、例えば煎茶や玉露は、通常、蒸熱→粗揉→揉捻
→中揉→精揉→乾燥の工程により製造される。また、番
茶などは、もっと簡単な方法で、すなわち、茶生葉を蒸
熱した後粗揉し、精揉、乾燥させることにより製品とな
る。一方、釜炒り製緑茶は、釜炒り→揉捻→水乾→締炒
り→乾燥(仕上げ炒り)の工程により製造される。ま
た、茶葉の酸化酵素を不活性化する処理(殺青処理)と
して、蒸熱処理や釜炒り処理に代え、茶葉にマイクロ波
を照射して加熱する方法も行なわれている。
【0003】ところで、水を用いて茶の成分を浸出させ
る現在市販の水出し煎茶や水出し玉露は、緑茶の製造中
や再生加工中に生じる粉茶や長時間蒸熱された茶葉(深
蒸し茶)を単品で使用し、或いはそれらをブレンドした
ものである。この水出し緑茶は、水抽出した場合、適度
な味になるまでに1〜8時間位の長時間を要するため、
お茶の簡便性が失われ、また、製茶に際して蒸熱時間を
長くしているため、蒸熱時に茶葉中の爽快な香気成分が
逸散してしまい、香りの低いお茶となっている。また、
自動給茶機やティーバックなどに使用されている粉茶
は、香味が劣っていて嗜好性の点で問題があり、また、
抽出性の点でも劣っている。
【0004】そこで、茶葉を特定の酵素によって処理す
ることにより、水による茶成分の抽出性を高める方法が
種々提案されている。例えば、特開昭51−11599
9号公報には、茶生葉をマイクロ波殺青処理した後、そ
の茶葉を肉挽き機に通して細分し、次に、その細分した
茶葉にタンナーゼを添加し、水を加えた茶葉を再び肉挽
き機に通してから、常温で酵素処理した後、茶葉を水分
含有量が5%になるまで乾燥させるようにし、冷水抽出
度が高められた乾燥緑茶を得る方法が開示されている。
また、特開平1−300848号公報には、茶葉を25
〜60℃の水中でセルラーゼ、ペクチナーゼ及びホスホ
リパーゼにより処理し、茶成分の抽出性を良くして、香
り、味、外観などに優れた茶抽出液を得る方法が開示さ
れており、また、特開平2−203743号公報には、
濃縮された前記茶抽出液を凍結させてその凍結物をフィ
ルム包装することにより、保存中の変質を防止するよう
にする方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
51−115999号公報に開示された方法は、タンナ
ーゼによる酵素処理によって直接的に茶成分の抽出性が
高められる、というよりも、茶葉を肉挽き機に通し細分
することによって茶成分を物理的に滲出させてから、水
に不溶性であるガレート結合カテキンなどをタンナーゼ
によって酵素分解させることにより、茶成分中の可溶性
成分を多くし、冷水抽出度を高めるようにしたものであ
る。従って、この方法によっては、1枚1枚の茶葉を細
長く縒ったり特有の丸形に仕上げたりした、我々が普通
に目にする外観・形態の緑茶は得られない。また、この
方法では、茶葉を肉挽き機に通して細分するため、本来
の緑茶の香味が一部損われる、といった問題点がある。
【0006】また、特開平1−300848号公報に開
示された方法は、製茶された煎茶等を原料として使用
し、水によって茶成分を抽出する際にセルラーゼ、ペク
チナーゼ及びホスホリパーゼを水中に添加し、水を撹拌
しながら長時間(1時間程度)酵素処理することによ
り、濃縮された状態の抽出液を得る方法であり、この方
法によって得られた抽出液は、湯や冷水で希釈されて通
常のお茶として飲まれ、或いは、天然飲料、スポーツ飲
料、炭酸飲料、健康飲料などの原料として用いられるも
のである。また、特開平2−203743号公報に開示
された方法は、上記したような方法で得られた茶抽出液
を凍結させてその凍結物をフィルム包装し、保存中の茶
成分の変質を防止しようとするものである。従って、こ
れら各号公報に開示されたような方法によっては、温水
や冷水により短時間で抽出することができる簡便さを備
えた乾燥緑茶を得ることはできない。
【0007】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたものであり、温水や冷水により多くの茶成分が短
時間で抽出され、香味や色彩に優れたお茶を浸出させる
ことができる普通の外観・形態の乾燥緑茶が得られる製
茶方法を提供することを主たる目的とする。また、この
発明は、緑茶の水浸出液における苦渋味を軽減するこ
と、並びに、緑茶の茶葉の褐変を防止することをそれぞ
れ付加的な目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明では、茶生葉を
蒸熱したりマイクロ波照射で加熱したりして殺青処理す
る工程を含む緑茶の製茶方法においては、粗揉工程の前
(殺青工程の後)もしくは後に、釜炒り製緑茶の製茶方
法においては、釜炒り工程の後(殺青工程の後)に、ま
た、細断製茶する方法においては、前記した時点又は細
断工程の後に、それぞれ細胞壁消化酵素、例えば、ペク
チナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ又は植物組織崩
壊酵素、或いはそれらの酵素を2種類以上組み合わせた
混合物を水に溶解させた酵素水溶液を、例えば噴霧する
などして茶葉に対し供給するようにした。
【0009】上記したように細胞壁消化酵素の水溶液を
茶葉と接触させることにより、その酵素の作用により茶
葉の細胞壁が分解されて、細胞内容物が浸出され易くな
る。従って、製茶された緑茶は、温水や冷水によって抽
出操作を行なうと、多くの可溶性成分が短時間で水中へ
浸出してくる。
【0010】また、細胞壁消化酵素と共にタンナーゼを
水に溶解させて調製した酵素水溶液を茶葉に対して供給
するようにすることができる。この場合には、タンナー
ゼ酵素が、茶葉中に含まれているカテキン類のうち強い
苦渋味を呈するエピカテキンガレートとエピガロカテキ
ンガレートとに反応してそれらのエステル結合を加水分
解することにより、それらが没食子酸と軽快な苦味を呈
するエピカテキン及びエピガロカテキンとに変えられ
る。
【0011】また、揉捻工程を嫌気性条件下で行なうよ
うにするとよい。さらにまた、製茶工程の最終段階であ
る茶葉の乾燥を、真空乾燥機を用いて低温で行なうよう
にするとよい。これらの場合には、茶葉の褐変の原因で
ある茶葉中のカテキンの酸化が防止される。
【0012】
【実施例】以下、この発明の好適な実施例について説明
する。
【0013】この発明に係る製茶方法では、殺青工程終
了後から最終工程である乾燥工程に入るまでの適当な時
点で、細胞壁消化酵素を水に溶解させて調製した酵素水
溶液を茶葉に対して噴霧等により供給するようにした。
酵素水溶液を供給する時点は、殺青(蒸熱、マイクロ波
加熱、釜炒り)工程終了後、或いは粗揉工程後、また、
細断製茶する場合には、前記した時点又は細断工程後で
ある。細胞壁消化酵素としては、例えば、ペクチナー
ゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ又は植物組織崩壊酵
素、或いは、それらのうちの2種類もしくはそれ以上の
ものを組み合わせた混合物が使用される。
【0014】例えば、煎茶を蒸製により製造する場合
は、緑茶生葉→蒸熱→酵素水溶液噴霧→粗揉(粗揉→酵
素水溶液噴霧)→揉捻→中揉→精揉→乾燥の各工程を経
る。また、釜炒り製緑茶は、緑茶生葉→釜炒り→酵素水
溶液噴霧→揉捻→水乾→締炒り→乾燥の各工程を経て製
茶される。また、煎茶を蒸製により細断製茶する場合
は、緑茶生葉→蒸熱→酵素水溶液噴霧→粗揉(粗揉→酵
素水溶液噴霧)→機械カッティング→篩い分け→大形細
片のカッティング→揉捻→中揉→精揉→乾燥の各工程を
経る。さらに、釜炒り製緑茶の細断製茶は、緑茶生葉→
釜炒り→酵素水溶液噴霧→機械カッティング→篩い分け
→大形細片のカッティング→揉捻→水乾→乾燥の各工程
を経て行なわれる。
【0015】茶葉に酵素水溶液を噴霧する工程以外の上
記各工程は、従来から公知の工程であり、従来方法に従
い従来から使用されている機械を用いて行なえばよいの
で、この明細書では説明を省略する。細胞壁崩壊酵素に
よる反応は、酵素水溶液を茶葉に噴霧してから、例えば
65℃程度以上の温度で茶葉を乾燥させて酵素を失活さ
せるまで、0.3〜2.0時間程度継続し、そのときの
反応温度は15〜55℃程度とされる。また、酵素の量
は、生葉量に対して例えば0.01〜0.5%程度と
し、その酵素反応の間における茶葉水分量は、75〜2
0%/WB(ウェットベース)程度とされる。そして、
この間の酵素作用により茶葉の細胞壁が分解され、製茶
された緑茶に温水や冷水を注いだときに細胞内容物が浸
出され易くなる。
【0016】また、上記した細胞壁崩壊酵素と共にタン
ナーゼを水に溶解させて酵素水溶液を調製し、その酵素
水溶液を茶葉に噴霧するようにすることができる。この
場合における、茶葉に対するタンナーゼの作用機構につ
いて説明する。
【0017】茶葉には、カテキン類が15〜20%含ま
れており、このカテキン類がお茶の苦渋味を呈する主成
分となっている。このカテキン類のうち、5〜10%が
エピカテキン、20〜30%がエピガロカテキンであ
り、10〜15%がエピカテキンガレート、50〜60
%がエピガロカテキンガレートである。これらのカテキ
ン類のうち、エピカテキン及びエピガロカテキンは、軽
快な苦味を有し、エピカテキンガレート及びエピガロカ
テキンガレートが、お茶の強い苦渋味を呈する。タンナ
ーゼ酵素は、これらのカテキン類のうちエピカテキンガ
レート及びエピガロカテキンガレートに反応し、エステ
ル結合を加水分解して没食子酸とエピカテキン及びエピ
ガロカテキンとに変える働きをする。従って、タンナー
ゼを含んだ酵素水溶液を茶葉に噴霧することにより、そ
の酵素作用によってエピカテキンガレートやエピガロカ
テキンガレートによる強い苦渋味が消え、軽快な苦味に
改善される。
【0018】ここで、タンナーゼ酵素は、活性を示す最
適pHが5.5であり、pH4.5〜6.0においては
80%の活性を有している。また、タンナーゼ酵素が活
性を示す最適温度は40℃であり、30〜50℃におい
ては75%の活性を有していることが知られている。従
って、従来から行なわれている製茶加工の条件の範囲内
で、タンナーゼは十分な酵素活性を示す。
【0019】また、タンナーゼ酵素の使用量は、次のよ
うにして決められる。すなわち、茶葉中のガレートカテ
キン類の含有量A(mol)は、A=茶生葉量×固形分
割合×カテキン類含有割合×ガレートカテキン類の含有
割合÷エピガロカテキンの分子量=茶生葉×(20/1
00)×(20/100)×(70/100)÷446
である。ここで、タンナーゼの製品規格(キッコーマン
(株))は、5,000単位(U)/g(タンナーゼ1
単位(1U)は、30℃、pH5.5の条件で1分間に
1μmolのタンニン酸のエステル結合を加水分解する
ことができる酵素量である)であるから、タンナーゼの
必要添加量T(g)は、T=A÷(1/1,000,0
00)÷処理時間(分)÷5,000Uとなる。従っ
て、以上のようにして算出した量のタンナーゼ酵素を使
用することにより、強い苦渋味が無く軽快な苦味を持っ
たお茶を浸出させることのできる緑茶が得られる。
【0020】尚、緑茶を製造する過程においては、茶葉
中のカテキンが酸化を受け、茶葉の色沢の褐変化が起こ
り、特に、新茶期のミル芽茶や二番茶などのようにカテ
キン含有量が多い茶葉では著しい褐変が起こり、外観面
での緑茶の品質を落としている。このような茶葉の褐変
を防ぐための対策は、従来、茶生産農家による栽培製造
技術の改良に委ねられているのが現状である。そこで、
そのような問題を製茶技術面から解決するために、揉捻
工程を、密閉室内の空気を窒素ガスで置換し嫌気的雰囲
気をつくってその条件下で行なうようにしたり、揉捻工
程後における茶葉の乾燥処理を、低温で真空乾燥機を使
用して行なうようにしたり、細断製茶方式により、精揉
工程を省いた迅速な茶葉の乾燥を行なって、酸化時間の
短縮を図ったりすることができる。
【0021】次に、この発明に係る緑茶の製法の具体
例、並びに、その方法によって製茶された緑茶の品質検
査の結果について説明する。
【0022】[製法例1]
【0023】原料茶生葉として二番茶期の煎茶葉を使用
し、その茶生葉を2kgずつ、慣行煎茶製法に従い、2キ
ロ機(実験機)を使って処理し、それぞれ製茶した。細
胞壁消化酵素としては、マセロチーム2S(ヤクルト
(株)製植物組織分解酵素)及びセルラーゼ・オノズカ
3S(ヤクルト(株)製セルラーゼ酵素)を使用し、そ
の酵素を少量の水に溶解させた酵素水溶液を粗揉機内へ
添加した。製茶は、それぞれにつき2回行なった。粗揉
機内への酵素添加量、粗揉機からの茶葉の取出し時にお
ける水分量、並びに揉捻時間の各条件は、表1に示す通
りである。
【0024】
【表1】
【0025】3名の熟練審査員による官能審査の結果を
表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】表2に示した結果から分かるように、酵素
を添加せずに製茶した場合(No.1)の煎茶と比較し
て、酵素を添加して製茶した場合(No.2、No.3
及びNo.4)の煎茶は、茶葉の細胞壁の分解により外
観的には粉が多くなって評価を落としたが、内質につい
ては、濃厚な浸出液が得られ、香味が改良されており、
総合的には評価が高くなっている。尚、酵素を添加して
製茶された煎茶は、二番茶特有のこわ葉臭が目立たず、
苦渋味も少なかった。
【0028】次に、酵素による茶葉の細胞壁分解作用に
より茶葉の粒度における細粒化の程度がどのように変化
するかを見るために、ロータップ式振盪篩い機を使用し
て粒度分布を調べた。測定条件は、篩い目の開きを4,
760μm、2,830μm、1,680μm、1,1
90μm及び1,000μmの5種類とし、遠心効果K
=1.31、振盪時間300秒、茶量100gとした。
その結果を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】表3に示した結果より、マセロチーム2S
の酵素量が多くなる程、茶葉の細胞壁の分解が進み、粒
径1,000μm以下の細粒化が顕著に認められた。ま
た、マセロチーム2Sとセルラーゼ・オノズカ3Sとの
両方を添加したものは、マセロチーム2Sを単独使用し
たものに比べて茶葉の細胞壁分解は進んでいるが、セル
ラーゼによる効果は、粒度の点ではそれ程顕著には現れ
なかった。
【0031】さらに、それぞれの煎茶の成分を冷水(2
5℃)により30分間浸出したときの可溶性成分の量を
測定した。その結果を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】表4に示した結果より、添加するマセロチ
ーム2Sの量が増える程可溶性成分の量も増加し、セル
ラーゼ・オノズカ3Sを併用すると、茶葉の細胞壁分解
能力の相乗作用によりさらに可溶性成分量が増加するこ
とが分かる。
【0034】[製法例2]
【0035】原料茶生葉として二番茶期の煎茶葉を使用
し、それぞれ2kgの茶生葉を使用して製茶した。細胞壁
消化酵素としては、上記製法例1と同様、マセロチーム
2S及びセルラーゼ・オノズカ3S(何れもヤクルト
(株)商品名)を使用し、それぞれの酵素を生葉量に対
して0.1%ずつ少量の水に溶解させて酵素水溶液を調
製した。製茶は、茶生葉を蒸熱処理した後、酵素水溶液
を茶葉に均一に噴霧し、粗揉工程において50%/WB
の水分量の時期に粗揉機から取り出し、その茶葉をフー
ドプロセッサーにより細断して、#7号の篩いに通した
後、篩いの上方に残った茶葉を再度細断し、それらの細
断茶葉を30分間揉捻してその間に酵素による細胞壁分
解作用を促進させた後、中揉工程を経て、60℃で30
分間茶葉を乾燥処理することにより行なった。また、細
断処理を行なわない製茶は、慣行の煎茶製法に従って行
なった。表5に区制を示す。
【0036】
【表5】
【0037】3名の熟練審査員による官能審査の結果を
表6に示す。
【0038】
【表6】
【0039】表6に示した結果より、酵素処理及び細断
処理して製茶した場合(No.4)の煎茶は、色沢に優
れ、香気、水色共に良好で、味も濃厚であり、非常に高
品質の茶であることが分かる。
【0040】次に、それぞれの煎茶の成分を冷水(25
℃)により30分間浸出したときの可溶性成分の量を測
定した。その結果を表7に、酵素処理及び細断処理の何
れも行なわずに製茶した場合(No.1)の煎茶の可溶
性成分の量を100%としたときの数値で示す。
【0041】
【表7】
【0042】表7に示した結果より、酵素処理及び細断
処理して製茶した場合(No.4)の煎茶は、可溶性成
分の量が著しく増加しており、大変浸出し易い茶である
ことが分かる。一方、酵素処理を行なわずに細断処理し
て製茶した場合(No.2)の煎茶は、可溶性成分の浸
出が少なくなった。これは、細断茶葉については精揉工
程を行なわなかったためであり、この結果より、細断処
理だけによっては、可溶性成分の浸出増加は起こらない
ことが明らかになった。
【0043】[製法例3]
【0044】原料茶生葉として二番茶期の煎茶葉を使用
し、それぞれ2kgの茶生葉を使用して製茶した。酵素と
しては、上記したマセロチーム2S及びセルラーゼ・オ
ノズカ3S(何れもヤクルト(株)商品名)の他、キッ
コーマン(株)製のタンナーゼを使用し、それぞれの酵
素を生葉量に対して0.1%又は0.05%、少量の水
に溶解させて酵素水溶液を調製した。製茶は、茶生葉を
蒸熱処理した後、酵素水溶液を茶葉に均一に噴霧し、粗
揉工程において50%/WBの水分量の時期に粗揉機か
ら取り出し、その茶葉をフードプロセッサーにより細断
して、#7号の篩いに通した後、篩いの上方に残った茶
葉を再度細断し、それらの細断茶葉を30分間揉捻して
その間に酵素による細胞壁分解作用を促進させた後、中
揉工程を経て、60℃で30分間茶葉を乾燥処理するこ
とにより行なった。また、細断処理を行なわない製茶
は、慣行の煎茶製法に従って行なった。表8に区制を示
す。
【0045】
【表8】
【0046】3名の熟練審査員による官能審査の結果を
表9に示す。
【0047】
【表9】
【0048】また、苦渋味について官能評価した結果を
表10に示す。表中の数値は、苦渋味を感じないときの
苦渋味程度を0とし、強く感じるときの苦渋味程度を1
0とした場合のものである。
【0049】
【表10】
【0050】表10に示した結果より、タンナーゼを添
加して製茶した場合(No.3〜7)のそれぞれの煎茶
は、苦渋味が低減している。特に、マセロチーム2S及
びセルラーゼ・オノズカ3Sを併用した場合(特にN
o.5及びNo.7)の煎茶は、苦渋味が著しく低減し
ていることが分かる。これは、細胞壁消化酵素によって
茶葉の細胞壁が破壊されることにより、茶葉中のカテキ
ンとタンナーゼとの接触が促進されたことによるものと
考えられる。
【0051】さらに、それぞれの煎茶の浸出液中に含ま
れるカテキン類の量の変化を調べた。浸出液は、煎茶1
gに80℃の湯100ccを加えて30分間浸出させるこ
とにより得るようにし、その各茶浸出液を液体クロマト
グラフ分析した。その結果を表11に示す。
【0052】
【表11】
【0053】表11に示した結果より、タンナーゼを添
加して製茶した場合(No.3〜7)のそれぞれの煎茶
は、タンナーゼを添加せずに製茶した場合(No.1及
びNo.2)の煎茶に比べ、エピガロカテキンガレート
やエピカテキンガレートなどのエステル型カテキンの量
が減少し、エピガロカテキンやエピカテキンなどの遊離
型カテキンの量が増加しており、タンナーゼの作用によ
り、エステル型カテキンが遊離型カテキンに変換された
ことが分かる。
【0054】また、表9、表10及び表11に示した結
果から総合的に評価して、3種類の酵素を使用するとと
もに細断処理して製茶した場合(No.5)に、大変優
れた香味の煎茶が得られることが分かった。
【0055】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
かつ作用するので、この発明に係る製茶方法によると、
我々が普通に目にする外観・形態を有し、温水や冷水に
よって短時間で多くの茶成分を抽出可能な簡便さを備
え、香味や色彩に優れたお茶を浸出させることができる
乾燥緑茶が得られる。
【0056】また、細胞壁消化酵素と共にタンナーゼを
水に溶解させて酵素水溶液を調製し、その酵素水溶液を
茶葉に対し供給して酵素処理を行なうようにしたとき
は、苦渋味が低減されたお茶を浸出させることができる
緑茶が得られる。さらにまた、製茶工程のうちの揉捻工
程を嫌気的条件下で行なうようにしたり、最終工程の茶
葉の乾燥処理を低温での真空乾燥により行なうようにし
たときは、茶葉の褐変が見られない緑茶を得ることがで
きる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 茶生葉から、少なくとも蒸熱工程、粗揉
    工程、精揉工程及び乾燥工程を順次経て蒸製緑茶を製茶
    する方法において、前記粗揉工程の前もしくは後に、細
    胞壁消化酵素を水に溶解させた酵素水溶液を茶葉に対し
    て供給することを特徴とする緑茶の製茶方法。
  2. 【請求項2】 茶生葉から、少なくともマイクロ波殺青
    工程、粗揉工程、精揉工程及び乾燥工程を順次経て緑茶
    を製茶する方法において、前記粗揉工程の前もしくは後
    に、細胞壁消化酵素を水に溶解させた酵素水溶液を茶葉
    に対して供給することを特徴とする緑茶の製茶方法。
  3. 【請求項3】 粗揉工程と精揉工程との間に揉捻工程及
    び中揉工程を順に行なう請求項1又は請求項2記載の緑
    茶の製茶方法。
  4. 【請求項4】 茶生葉から、少なくとも釜炒り工程、揉
    捻工程、水乾工程、締炒り工程及び乾燥工程を順次経て
    釜炒り製緑茶を製茶する方法において、前記釜炒り工程
    の後に、細胞壁消化酵素を水に溶解させた酵素水溶液を
    茶葉に対して供給することを特徴とする緑茶の製茶方
    法。
  5. 【請求項5】 茶生葉から、少なくとも蒸熱工程、粗揉
    工程、細断工程及び乾燥工程を順次経て蒸製緑茶を細断
    製茶する方法において、前記粗揉工程の前もしくは後又
    は前記細断工程の後に、細胞壁消化酵素を水に溶解させ
    た酵素水溶液を茶葉に対して供給することを特徴とする
    緑茶の製茶方法。
  6. 【請求項6】 茶生葉から、少なくともマイクロ波殺青
    工程、粗揉工程、細断工程及び乾燥工程を順次経て緑茶
    を細断製茶する方法において、前記粗揉工程の前もしく
    は後又は前記細断工程の後に、細胞壁消化酵素を水に溶
    解させた酵素水溶液を茶葉に対して供給することを特徴
    とする緑茶の製茶方法。
  7. 【請求項7】 細断工程と乾燥工程との間に揉捻工程及
    び中揉工程を順に行なう請求項5又は請求項6記載の緑
    茶の製茶方法。
  8. 【請求項8】 茶生葉から、少なくとも釜炒り工程、細
    断工程、揉捻工程、水乾工程及び乾燥工程を順次経て釜
    炒り製緑茶を細断製茶する方法において、前記釜炒り工
    程の後又は前記細断工程の後に、細胞壁消化酵素を水に
    溶解させた酵素水溶液を茶葉に対して供給することを特
    徴とする緑茶の製茶方法。
  9. 【請求項9】 細胞壁消化酵素が、ペクチナーゼ、セル
    ラーゼ、ヘミセルラーゼ及び植物組織崩壊酵素からなる
    群より選ばれた1種類もしくは2種類以上の酵素である
    請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の緑茶の製茶
    方法。
  10. 【請求項10】 酵素水溶液を噴霧して茶葉と接触させ
    る請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の緑茶の製
    茶方法。
  11. 【請求項11】 細胞壁消化酵素と共にタンナーゼを水
    に溶解させて酵素水溶液を調製する請求項1ないし請求
    項10のいずれかに記載の緑茶の製茶方法。
  12. 【請求項12】 揉捻工程が嫌気的条件下で行なわれる
    請求項3、請求項4及び請求項7ないし請求項11のい
    ずれかに記載の緑茶の製茶方法。
  13. 【請求項13】 乾燥工程が、低温で真空乾燥する方法
    により行なわれる請求項1ないし請求項12のいずれか
    に記載の緑茶の製茶方法。
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