JPH0688163A - 熱間工具鋼 - Google Patents
熱間工具鋼Info
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- JPH0688163A JPH0688163A JP31840791A JP31840791A JPH0688163A JP H0688163 A JPH0688163 A JP H0688163A JP 31840791 A JP31840791 A JP 31840791A JP 31840791 A JP31840791 A JP 31840791A JP H0688163 A JPH0688163 A JP H0688163A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】特に大型製品の鍛造に使用される金型等におけ
る使用中のヒートラック、大割れ、あるいは軟化による
摩耗、へたりを著しく改善できる高強度高靱性の熱間工
具鋼。 【構成】重量%で、C:0.20〜0.45、Si:
0.30以下、Mn:0.5〜2.0、Ni:0.5〜
2.0、Cr:1.0〜4.0、V:0.05〜0.2
0未満、Nb:0.01〜0.15、および、Mo:
0.2〜2.0、W:0.4〜4.0の1種または2種
(2種の場合、1/2W+Mo:0.2〜2.0)を含
有し、または、更に、Co:0.2〜3.0を含有し、
および、または、S:0.005以下、P:0.020
以下とし、残部Feおよび不可避の不純物からなる、熱
間工具鋼。
る使用中のヒートラック、大割れ、あるいは軟化による
摩耗、へたりを著しく改善できる高強度高靱性の熱間工
具鋼。 【構成】重量%で、C:0.20〜0.45、Si:
0.30以下、Mn:0.5〜2.0、Ni:0.5〜
2.0、Cr:1.0〜4.0、V:0.05〜0.2
0未満、Nb:0.01〜0.15、および、Mo:
0.2〜2.0、W:0.4〜4.0の1種または2種
(2種の場合、1/2W+Mo:0.2〜2.0)を含
有し、または、更に、Co:0.2〜3.0を含有し、
および、または、S:0.005以下、P:0.020
以下とし、残部Feおよび不可避の不純物からなる、熱
間工具鋼。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、特に大型製品の鍛造
に使用される金型において、使用中のヒートクラック、
大割れ、あるいは軟化による摩耗、へたりを著しく改善
できるようにした高強度高靱性の熱間工具鋼に関する。
に使用される金型において、使用中のヒートクラック、
大割れ、あるいは軟化による摩耗、へたりを著しく改善
できるようにした高強度高靱性の熱間工具鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車に代表される大型鍛造部品の金型
において、型底コーナー部からの大割れが問題となる用
途などには、靱性が高く割れ感受性の低いJIS−SK
T4種が用いられ、又強度不足によるたわみや、金型の
熱影響による軟化に伴う摩耗が激しい用途には、JIS
−SKD61,62種などが使用されている。更に、一
部の用途には上記両材料を改善した特公昭54−269
75号公報や特公昭54−38570号公報で提案され
た材料も使用されている。この様な用途に使用される金
型材料には、以下のような特性が要求される。 1)使用時の熱影響による、型表面の軟化が少ないこ
と。 2)大割れに対する感受性が低いこと。 3)強度が高く、へたりが少ないこと。 4)耐ヒートチェック性に優れること。 5)焼入れ性がよく、型材内部まで靱性が高いこと。
において、型底コーナー部からの大割れが問題となる用
途などには、靱性が高く割れ感受性の低いJIS−SK
T4種が用いられ、又強度不足によるたわみや、金型の
熱影響による軟化に伴う摩耗が激しい用途には、JIS
−SKD61,62種などが使用されている。更に、一
部の用途には上記両材料を改善した特公昭54−269
75号公報や特公昭54−38570号公報で提案され
た材料も使用されている。この様な用途に使用される金
型材料には、以下のような特性が要求される。 1)使用時の熱影響による、型表面の軟化が少ないこ
と。 2)大割れに対する感受性が低いこと。 3)強度が高く、へたりが少ないこと。 4)耐ヒートチェック性に優れること。 5)焼入れ性がよく、型材内部まで靱性が高いこと。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来から使用されてい
る材料において、JIS−SKT4種では、大割れ感受
性が極めて高いものの、高温軟化抵抗性が低く、摩耗に
よる寿命で廃却あるいは再加工を行っている。また、数
回再加工し、型彫り面を下げていくと、焼入れ性が低い
ことから、型材中心部では硬さ低下を生じており、強度
不足による、へたり、割れなどが発生する。従って、型
寿命を一層向上させるためには、高温軟化抵抗性と焼入
れ性を大きく改善させる必要がある。一方、JIS−S
KD61,62種では、型材の強度が高い上、高温軟化
抵抗性も比較的優れているために、摩耗やへたりは改善
されるものの、大型材の場合には型材中心部の靱性が低
く、型底コーナー部からの大割れを生じる場合があり、
寿命向上のためには靱性の改善は不可欠である。さら
に、これらを改善した、特公昭54−26975号公報
や特公昭54−38570号公報で提案された材料も、
靱性や軟化抵抗性の点でかならずしも十分でない。
る材料において、JIS−SKT4種では、大割れ感受
性が極めて高いものの、高温軟化抵抗性が低く、摩耗に
よる寿命で廃却あるいは再加工を行っている。また、数
回再加工し、型彫り面を下げていくと、焼入れ性が低い
ことから、型材中心部では硬さ低下を生じており、強度
不足による、へたり、割れなどが発生する。従って、型
寿命を一層向上させるためには、高温軟化抵抗性と焼入
れ性を大きく改善させる必要がある。一方、JIS−S
KD61,62種では、型材の強度が高い上、高温軟化
抵抗性も比較的優れているために、摩耗やへたりは改善
されるものの、大型材の場合には型材中心部の靱性が低
く、型底コーナー部からの大割れを生じる場合があり、
寿命向上のためには靱性の改善は不可欠である。さら
に、これらを改善した、特公昭54−26975号公報
や特公昭54−38570号公報で提案された材料も、
靱性や軟化抵抗性の点でかならずしも十分でない。
【0004】本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、特
に靱性と高温軟化抵抗性を改善した熱間工具鋼を提供す
ることを目的とする。
に靱性と高温軟化抵抗性を改善した熱間工具鋼を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上述の問題点
を解決すべく従来の成分について多くの改良研究を重ね
た結果、靱性および高温軟化抵抗性を同時に向上させる
ためには、Cを可能なかぎり低目に抑えることが有効で
あること、さらに、Vは耐摩耗性に有効である反面、縞
状偏析を助長するためにあえて低目に制限し、このVの
効果を補うためにNbを少量添加すること、が耐摩耗性
を損なわずに靱性を向上させるために有効であることを
見出し、本発明を完成した。
を解決すべく従来の成分について多くの改良研究を重ね
た結果、靱性および高温軟化抵抗性を同時に向上させる
ためには、Cを可能なかぎり低目に抑えることが有効で
あること、さらに、Vは耐摩耗性に有効である反面、縞
状偏析を助長するためにあえて低目に制限し、このVの
効果を補うためにNbを少量添加すること、が耐摩耗性
を損なわずに靱性を向上させるために有効であることを
見出し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本願の第1の発明に係る熱間工具鋼
は、重量%で、C :0.20〜0.45%、Si:
0.30%以下、Mn:0.5〜2.0%、Ni:0.
5〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、V :0.0
5〜0.20%未満、Nb:0.01〜0.15%、お
よび、Mo:0.2〜2.0%、W :0.4〜4.0
%、の1種または2種(2種の場合、1/2W+Mo:
0.2〜2.0%)を含有し、残部Feおよび不可避の
不純物からなることを特徴とする。
は、重量%で、C :0.20〜0.45%、Si:
0.30%以下、Mn:0.5〜2.0%、Ni:0.
5〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、V :0.0
5〜0.20%未満、Nb:0.01〜0.15%、お
よび、Mo:0.2〜2.0%、W :0.4〜4.0
%、の1種または2種(2種の場合、1/2W+Mo:
0.2〜2.0%)を含有し、残部Feおよび不可避の
不純物からなることを特徴とする。
【0007】また、本願の第2の発明に係る熱間工具鋼
は、重量%で、C :0.20〜0.45%、Si:
0.30%以下、Mn:0.5〜2.0%、Ni:0.
5〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、V :0.0
5〜0.20%未満、Nb:0.01〜0.15%、C
o:0.2〜3.0%、および、Mo:0.2〜2.0
%、W :0.4〜4.0%、の1種または2種(2種
の場合、1/2W+Mo:0.2〜2.0%)を含有
し、残部Feおよび不可避の不純物からなることを特徴
とする。
は、重量%で、C :0.20〜0.45%、Si:
0.30%以下、Mn:0.5〜2.0%、Ni:0.
5〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、V :0.0
5〜0.20%未満、Nb:0.01〜0.15%、C
o:0.2〜3.0%、および、Mo:0.2〜2.0
%、W :0.4〜4.0%、の1種または2種(2種
の場合、1/2W+Mo:0.2〜2.0%)を含有
し、残部Feおよび不可避の不純物からなることを特徴
とする。
【0008】さらに、本願の第3の発明に係る熱間工具
鋼は、重量%で、C :0.20〜0.45%、Si:
0.30%以下、Mn:0.5〜2.0%、Ni:0.
5〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、V :0.0
5〜0.20%未満、Nb:0.01〜0.15%、お
よび、Mo:0.2〜2.0%、W :0.4〜4.0
%、の1種または2種(2種の場合、1/2W+Mo:
0.2〜2.0%)を含有し、更に、S :0.005
%以下、P :0.020%以下、とし、残部Feおよ
び不可避の不純物からなることを特徴とする。
鋼は、重量%で、C :0.20〜0.45%、Si:
0.30%以下、Mn:0.5〜2.0%、Ni:0.
5〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、V :0.0
5〜0.20%未満、Nb:0.01〜0.15%、お
よび、Mo:0.2〜2.0%、W :0.4〜4.0
%、の1種または2種(2種の場合、1/2W+Mo:
0.2〜2.0%)を含有し、更に、S :0.005
%以下、P :0.020%以下、とし、残部Feおよ
び不可避の不純物からなることを特徴とする。
【0009】また、本願の第4の発明に係る熱間工具鋼
は、重量%で、C :0.20〜0.45%、Si:
0.30%以下、Mn:0.5〜2.0%、Ni:0.
5〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、V :0.0
5〜0.20%未満、Nb:0.01〜0.15%、C
o:0.2〜3.0%、および、Mo:0.2〜2.0
%、W :0.4〜4.0%、の1種または2種(2種
の場合、1/2W+Mo:0.2〜2.0%)を含有
し、更に、S :0.005%以下、P :0.020
%以下、とし、残部Feおよび不可避の不純物からなる
ことを特徴とする。
は、重量%で、C :0.20〜0.45%、Si:
0.30%以下、Mn:0.5〜2.0%、Ni:0.
5〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、V :0.0
5〜0.20%未満、Nb:0.01〜0.15%、C
o:0.2〜3.0%、および、Mo:0.2〜2.0
%、W :0.4〜4.0%、の1種または2種(2種
の場合、1/2W+Mo:0.2〜2.0%)を含有
し、更に、S :0.005%以下、P :0.020
%以下、とし、残部Feおよび不可避の不純物からなる
ことを特徴とする。
【0010】
【作用】次に本発明の化学成分の限定理由について述べ
る。 C:Cは焼入れ焼戻しにより、十分なマトリックス硬さ
を与えると共に、Cr,Mo,W,V,Nbなどと結合
して炭化物を形成し、高温強度、耐摩耗性を与える元素
である。しかしながら、0.45%を超えて多すぎると
ミクロ偏析を助長し巨大共晶炭化物を多く生成して、靱
性および高温強度を低下せしめるため、その上限を0.
45%とした。一方、0.2%未満では十分な硬さが得
られないのでその下限を0.20%とした。 Si:Siは0.3%を超えて多量に添加すると、熱伝
導性を悪くし、耐ヒートチェック性を阻害すると共にマ
トリックスの靱性も低下させるので、0.30%以下と
した。 Mn:Mnは、脱酸材として添加し鋼の清浄度を高める
と共に焼入れ性を向上させる元素で、少なくとも0.5
添加する必要がある。しかし、2.0%を超えて添加す
ると靱性が低下すると共に、被削性が劣化するので、上
限を2.0%とした。 Ni:Niは、焼入れ性を高めるのに、本発明において
非常に有効な成分であり、その効果を得るために、少な
くとも0.5%必要である。しかし、2.0%を超えて
添加すると、A1 変態点を低下させて耐熱性を劣化させ
ると共に、被削性も劣化させるので、上限を2.0%と
した。 Cr:Crは、Cと結合して硬質炭化物を形成し耐摩耗
性を向上させるとともに、焼入れ性を高める元素であ
る。そのためには1.0%以上が必要である。しかしな
がら、4.0%を超えて多量に添加するとCr炭化物の
凝集粗大化を招き、本発明鋼にとって重要な耐軟化抵抗
性を著しく阻害するため、Cr量を1.0〜4.0%と
した。 V:Vは固溶しにくい炭化物を形成し、耐摩耗性および
耐軟化性を高める元素であるが、ミクロ偏析(縞状偏
析)を助長する元素でもあり、本発明鋼において靱性の
点から過剰の添加は好ましくないため、上限を0.20
%未満とした。一方、0.05%未満では耐摩耗性向上
効果が得られないので、下限を0.05%とした。 Nb:Nbは、Vと同様に固溶しにくい炭化物を形成
し、耐摩耗性および耐軟化抵抗性を改善する元素であ
る。さらに、焼入れ加熱時にオーステナイト結晶粒の粗
大化を抑制し、靱性を向上させる。この効果はVより顕
著であり、少量の添加でより大きな効果が得られる。こ
のため本発明ではVの効果を補う目的でNbを積極的に
添加し、その量を0.01〜0.15%とした。 Mo,W:Mo及びWは、ともに微細な炭化物を形成
し、耐摩耗性や軟化抵抗性を改善する元素である。ただ
し、その効果はMoの方がWよりも2倍強く、同じ効果
を得るのにWはMoの2倍必要である。両元素はあまり
多く添加すると、巨大炭化物を生成したり、縞状偏析を
助長し、靱性や耐ヒートチェック性を低下させるので、
上限をMo当量(1/2W+Mo)で2.0%とした。
また、少ない過ぎると上記添加効果が得られないので、
下限をMo当量で0.2%とした。
る。 C:Cは焼入れ焼戻しにより、十分なマトリックス硬さ
を与えると共に、Cr,Mo,W,V,Nbなどと結合
して炭化物を形成し、高温強度、耐摩耗性を与える元素
である。しかしながら、0.45%を超えて多すぎると
ミクロ偏析を助長し巨大共晶炭化物を多く生成して、靱
性および高温強度を低下せしめるため、その上限を0.
45%とした。一方、0.2%未満では十分な硬さが得
られないのでその下限を0.20%とした。 Si:Siは0.3%を超えて多量に添加すると、熱伝
導性を悪くし、耐ヒートチェック性を阻害すると共にマ
トリックスの靱性も低下させるので、0.30%以下と
した。 Mn:Mnは、脱酸材として添加し鋼の清浄度を高める
と共に焼入れ性を向上させる元素で、少なくとも0.5
添加する必要がある。しかし、2.0%を超えて添加す
ると靱性が低下すると共に、被削性が劣化するので、上
限を2.0%とした。 Ni:Niは、焼入れ性を高めるのに、本発明において
非常に有効な成分であり、その効果を得るために、少な
くとも0.5%必要である。しかし、2.0%を超えて
添加すると、A1 変態点を低下させて耐熱性を劣化させ
ると共に、被削性も劣化させるので、上限を2.0%と
した。 Cr:Crは、Cと結合して硬質炭化物を形成し耐摩耗
性を向上させるとともに、焼入れ性を高める元素であ
る。そのためには1.0%以上が必要である。しかしな
がら、4.0%を超えて多量に添加するとCr炭化物の
凝集粗大化を招き、本発明鋼にとって重要な耐軟化抵抗
性を著しく阻害するため、Cr量を1.0〜4.0%と
した。 V:Vは固溶しにくい炭化物を形成し、耐摩耗性および
耐軟化性を高める元素であるが、ミクロ偏析(縞状偏
析)を助長する元素でもあり、本発明鋼において靱性の
点から過剰の添加は好ましくないため、上限を0.20
%未満とした。一方、0.05%未満では耐摩耗性向上
効果が得られないので、下限を0.05%とした。 Nb:Nbは、Vと同様に固溶しにくい炭化物を形成
し、耐摩耗性および耐軟化抵抗性を改善する元素であ
る。さらに、焼入れ加熱時にオーステナイト結晶粒の粗
大化を抑制し、靱性を向上させる。この効果はVより顕
著であり、少量の添加でより大きな効果が得られる。こ
のため本発明ではVの効果を補う目的でNbを積極的に
添加し、その量を0.01〜0.15%とした。 Mo,W:Mo及びWは、ともに微細な炭化物を形成
し、耐摩耗性や軟化抵抗性を改善する元素である。ただ
し、その効果はMoの方がWよりも2倍強く、同じ効果
を得るのにWはMoの2倍必要である。両元素はあまり
多く添加すると、巨大炭化物を生成したり、縞状偏析を
助長し、靱性や耐ヒートチェック性を低下させるので、
上限をMo当量(1/2W+Mo)で2.0%とした。
また、少ない過ぎると上記添加効果が得られないので、
下限をMo当量で0.2%とした。
【0011】Co:本願の第2および第4の発明鋼には
Coを添加する。Coは、高温での炭化物の凝集粗大化
を抑制し、特に耐軟化抵抗性に効果のある元素であり、
特に高温変形抵抗の高い高合金鋼などの鍛造用ダイなど
に用いて有効である。これらの効果を得るためには少な
くとも0.2%必要であり、3.0%を超えるとヒート
チェック性や靱性を低下させるので上限を3.0%とし
た。
Coを添加する。Coは、高温での炭化物の凝集粗大化
を抑制し、特に耐軟化抵抗性に効果のある元素であり、
特に高温変形抵抗の高い高合金鋼などの鍛造用ダイなど
に用いて有効である。これらの効果を得るためには少な
くとも0.2%必要であり、3.0%を超えるとヒート
チェック性や靱性を低下させるので上限を3.0%とし
た。
【0012】S,P:本願の第3および第4の発明にお
いては、特に応力集中の厳しい複雑形状の大物金型の場
合における大割れを防止するために、S,Pを極低値に
制限して特に靱性を向上させた。Sは、MnS等を形成
し、これが熱間加工方向に延びることにより、特に横方
向の靱性を低下させる。0.005%を超えると、この
影響が現れるので、特に高い靱性を必要とする場合には
Sの量は0.005%以下に制限した。Pは、凝固時に
合金元素の偏析を助長し、熱間加工後の縞状偏析を多く
する。また、使用前の焼戻し処理時、および使用中の型
表面温度の上昇時にマトリックス粒界に偏析して靱性を
低下させる。この効果は0.02%を超えると顕著にな
るので、特に高い靱性を必要とする用途に対しては、
0.020%以下に制限した。
いては、特に応力集中の厳しい複雑形状の大物金型の場
合における大割れを防止するために、S,Pを極低値に
制限して特に靱性を向上させた。Sは、MnS等を形成
し、これが熱間加工方向に延びることにより、特に横方
向の靱性を低下させる。0.005%を超えると、この
影響が現れるので、特に高い靱性を必要とする場合には
Sの量は0.005%以下に制限した。Pは、凝固時に
合金元素の偏析を助長し、熱間加工後の縞状偏析を多く
する。また、使用前の焼戻し処理時、および使用中の型
表面温度の上昇時にマトリックス粒界に偏析して靱性を
低下させる。この効果は0.02%を超えると顕著にな
るので、特に高い靱性を必要とする用途に対しては、
0.020%以下に制限した。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例により、詳細に説明す
る。 (実施例1)表1に示したA〜Mの13ヒートを100
kg真空誘導溶解炉にて出鋼し、平均径190mmの鋳
塊に鋳込み、これを径30mmに鍛伸して供試材とし、
各供試材の特性を試験した。
る。 (実施例1)表1に示したA〜Mの13ヒートを100
kg真空誘導溶解炉にて出鋼し、平均径190mmの鋳
塊に鋳込み、これを径30mmに鍛伸して供試材とし、
各供試材の特性を試験した。
【0014】
【表1】
【0015】各特性試験方法を次に示す。 1)軟化抵抗試験は、径30mm×高さ30mmの各試
験片を焼入れ焼戻しによってHRC44にし、カンタル
炉で600°C×30時間保持後、空冷して試験片のD
/4部(半径の中心部)の硬さを測定し、軟化の程度を
評価した。 2)シャルピー衝撃試験は、JIS4号角10mm×長
さ55mm、Vノッチの試験片に対し、HRC44にな
るように焼入れ焼戻しして600°Cで試験を行った。 3)高温強度試験は、平行部径5mm、ゲージ長さ25
mmの試験片に対し、HRC44になるように焼入れ焼
戻しして600°Cで試験を行った。 4)ヒートチェック試験は、径20mm×高さ15mm
の試験片に対し、HRC44になるよう焼入れ焼戻し、
これをガスバーナーで600°Cに加熱し、30°Cの
水中に入れて冷却する加熱−冷却を500回繰り返し、
試験片端面10mm当たりの平均クラック長さ、および
最大クラック長さを測定し、評価を行った。
験片を焼入れ焼戻しによってHRC44にし、カンタル
炉で600°C×30時間保持後、空冷して試験片のD
/4部(半径の中心部)の硬さを測定し、軟化の程度を
評価した。 2)シャルピー衝撃試験は、JIS4号角10mm×長
さ55mm、Vノッチの試験片に対し、HRC44にな
るように焼入れ焼戻しして600°Cで試験を行った。 3)高温強度試験は、平行部径5mm、ゲージ長さ25
mmの試験片に対し、HRC44になるように焼入れ焼
戻しして600°Cで試験を行った。 4)ヒートチェック試験は、径20mm×高さ15mm
の試験片に対し、HRC44になるよう焼入れ焼戻し、
これをガスバーナーで600°Cに加熱し、30°Cの
水中に入れて冷却する加熱−冷却を500回繰り返し、
試験片端面10mm当たりの平均クラック長さ、および
最大クラック長さを測定し、評価を行った。
【0016】その試験結果を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】表2に示す通り、本発明鋼(A〜H)は比
較鋼(I〜M)に比べ軟化抵抗性、靱性、高温強度、ヒ
ートチェック性の全ての特性において優れた鋼であるこ
とが明らかとなった。特に、大型用金型に多く用いられ
ている、SKT4(比較鋼I)と比較すると、本発明鋼
は靱性が同等以上であるにもかかわらず、耐軟化抵抗
性、高温強度、ヒートチェック性等の高温強度特性が極
めて高く、使用中の熱影響による、金型のだれ、摩耗、
へたりが極端に抑えられることを示している。
較鋼(I〜M)に比べ軟化抵抗性、靱性、高温強度、ヒ
ートチェック性の全ての特性において優れた鋼であるこ
とが明らかとなった。特に、大型用金型に多く用いられ
ている、SKT4(比較鋼I)と比較すると、本発明鋼
は靱性が同等以上であるにもかかわらず、耐軟化抵抗
性、高温強度、ヒートチェック性等の高温強度特性が極
めて高く、使用中の熱影響による、金型のだれ、摩耗、
へたりが極端に抑えられることを示している。
【0019】(実施例2)表1に示した本発明鋼Cを電
気炉にて出鋼し、幅400mm×高さ300mm×長さ
550mmのブロック材を製造し、HRC44に焼入れ
焼戻した。この材料の中心部の断面硬さ分布を同様に製
造したSKT4(比較鋼I)と比較して第1図に示し
た。第1図から、本発明鋼では焼入れ性が良く、中心部
まで十分に硬さが得られており、型彫面を再加工により
掘り下げて使用しても寿命の低下が少ないことが期待さ
れる。
気炉にて出鋼し、幅400mm×高さ300mm×長さ
550mmのブロック材を製造し、HRC44に焼入れ
焼戻した。この材料の中心部の断面硬さ分布を同様に製
造したSKT4(比較鋼I)と比較して第1図に示し
た。第1図から、本発明鋼では焼入れ性が良く、中心部
まで十分に硬さが得られており、型彫面を再加工により
掘り下げて使用しても寿命の低下が少ないことが期待さ
れる。
【0020】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明鋼は、従来
鋼に比べ、使用中のヒートクラック、大割れ、あるいは
軟化による摩耗、へたりを著しく改善した高強度高靱性
の熱間工具鋼であり、焼入れ性も優れる点から特に大型
部品の鍛造に使用される大型金型に使用して、金型コス
トを下げることができる。更に、一般の熱間ハンマーや
プレス金型としても利用価値の広い金型材料であり、産
業上寄与するところは大である。
鋼に比べ、使用中のヒートクラック、大割れ、あるいは
軟化による摩耗、へたりを著しく改善した高強度高靱性
の熱間工具鋼であり、焼入れ性も優れる点から特に大型
部品の鍛造に使用される大型金型に使用して、金型コス
トを下げることができる。更に、一般の熱間ハンマーや
プレス金型としても利用価値の広い金型材料であり、産
業上寄与するところは大である。
【図1】 本発明鋼Cおよび比較鋼Iの実体焼入れ材の
断面硬さ分布を示す図である。
断面硬さ分布を示す図である。
なし
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.20〜0.45%、 Si:0.30%以下、 Mn:0.5〜2.0%、 Ni:0.5〜2.0%、 Cr:1.0〜4.0%、 V :0.05〜0.20%未満、 Nb:0.01〜0.15%、および、 Mo:0.2〜2.0%、 W :0.4〜4.0%、 の1種または2種(2種の場合、1/2W+Mo:0.
2〜2.0%)を含有し、残部Feおよび不可避の不純
物からなることを特徴とする熱間工具鋼。 - 【請求項2】 重量%で、 C :0.20〜0.45%、 Si:0.30%以下、 Mn:0.5〜2.0%、 Ni:0.5〜2.0%、 Cr:1.0〜4.0%、 V :0.05〜0.20%未満、 Nb:0.01〜0.15%、 Co:0.2〜3.0%、および、 Mo:0.2〜2.0%、 W :0.4〜4.0%、 の1種または2種(2種の場合、1/2W+Mo:0.
2〜2.0%)を含有し、残部Feおよび不可避の不純
物からなることを特徴とする熱間工具鋼。 - 【請求項3】 重量%で、 C :0.20〜0.45%、 Si:0.30%以下、 Mn:0.5〜2.0%、 Ni:0.5〜2.0%、 Cr:1.0〜4.0%、 V :0.05〜0.20%未満、 Nb:0.01〜0.15%、および、 Mo:0.2〜2.0%、 W :0.4〜4.0%、 の1種または2種(2種の場合、1/2W+Mo:0.
2〜2.0%)を含有し、更に、 S :0.005%以下、 P :0.020%以下、 とし、残部Feおよび不可避の不純物からなることを特
徴とする熱間工具鋼。 - 【請求項4】 重量%で、 C :0.20〜0.45%、 Si:0.30%以下、 Mn:0.5〜2.0%、 Ni:0.5〜2.0%、 Cr:1.0〜4.0%、 V :0.05〜0.20%未満、 Nb:0.01〜0.15%、 Co:0.2〜3.0%、および、 Mo:0.2〜2.0%、 W :0.4〜4.0%、 の1種または2種を(2種の場合、1/2W+Mo:
0.2〜2.0%)含有し、更に、 S :0.005%以下、 P :0.020%以下、 とし、残部Feおよび不可避の不純物からなることを特
徴とする熱間工具鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31840791A JPH0688163A (ja) | 1991-11-05 | 1991-11-05 | 熱間工具鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31840791A JPH0688163A (ja) | 1991-11-05 | 1991-11-05 | 熱間工具鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0688163A true JPH0688163A (ja) | 1994-03-29 |
Family
ID=18098810
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31840791A Pending JPH0688163A (ja) | 1991-11-05 | 1991-11-05 | 熱間工具鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0688163A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1087030A2 (en) * | 1999-09-22 | 2001-03-28 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Method of producing tool steel and tool |
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JP2011042849A (ja) * | 2009-08-24 | 2011-03-03 | Daido Steel Co Ltd | 金型用鋼 |
EP3040438A1 (en) * | 2013-08-27 | 2016-07-06 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | High-strength steel, and crankshaft manufactured using said high-strength steel |
JP2017061712A (ja) * | 2015-09-24 | 2017-03-30 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 優れた熱伝導率および靱性を有する熱間工具鋼 |
CN110195194A (zh) * | 2018-11-08 | 2019-09-03 | 李岩 | 一种热作模具钢的制备方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH04358040A (ja) * | 1991-06-03 | 1992-12-11 | Hitachi Metals Ltd | 熱間工具鋼 |
-
1991
- 1991-11-05 JP JP31840791A patent/JPH0688163A/ja active Pending
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