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JPH067527B2 - 超低鉄損方向性けい素鋼板およびその製造方法 - Google Patents

超低鉄損方向性けい素鋼板およびその製造方法

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Publication number
JPH067527B2
JPH067527B2 JP20774585A JP20774585A JPH067527B2 JP H067527 B2 JPH067527 B2 JP H067527B2 JP 20774585 A JP20774585 A JP 20774585A JP 20774585 A JP20774585 A JP 20774585A JP H067527 B2 JPH067527 B2 JP H067527B2
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JP
Japan
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steel sheet
silicon steel
oriented silicon
grain
iron loss
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP20774585A
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JPS6269503A (ja
Inventor
氏裕 西池
征夫 井口
康宏 小林
一弘 鈴木
成子 筋田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP20774585A priority Critical patent/JPH067527B2/ja
Publication of JPS6269503A publication Critical patent/JPS6269503A/ja
Publication of JPH067527B2 publication Critical patent/JPH067527B2/ja
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  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、超低鉄層方向性けい素鋼板およびその製造
方法に関し、とくに被膜密着性に優れるだけでなく歪取
り焼鈍の如き高温処理を施した場合であっても特性の劣
化を生じることなしに優れた鉄損特性を維持できる鉄損
が極めて低い方向性けい素鋼板を、その有利な製造方法
に併せて提案しようとするものである。
方向性けい素鋼板は主として変圧器その他の電気機器の
鉄心として利用され、その磁化特性が優れていること、
とくに鉄損(W17/50で代表される)が低いことが要求さ
れている。
このためには、第一に鋼板中の2次再結晶粒の<001
>粒方位を圧延方向に高度に揃えることが必要であり、
第二には、最終製品の鋼中に存在する不純物や析出物を
できるだけ減少させる必要がある。かかる配慮の下に製
造される方向形けい素鋼板は、今日まで多くの改善努力
によって、その鉄損値も年を追って改善され、最近では
板厚0.30mmの製品でW17/50の値が1.05W/kgの低鉄損のも
のが得られている。
しかし、数年前のエネルギー危険を境にして、電力損失
のより少ない電気機器を求める傾向が一段と強まり、そ
れらの鉄心材料として、さらに鉄損の低い一方向性けい
素鋼板が要請されるようになっている。
(従来の技術) ところで、方向性けい素鋼板の鉄損を下げる手法として
は、Si含有量を高める、製品板厚を薄くする、2次再結
晶粒を細かくする、不純物含有量を低減する、そして
(110)〔001〕方位の2次再結晶粒をより高度に
揃えるなど、主に冶金学的方法が一般に知られている
が、これらの手法は、現行の生産手段の上からはもはや
限界に達していて、これ以上の改善は極めて難しく、た
とえ多少の改善が認められたとしても、その努力の割に
は鉄損改善の実効は僅かとなるに至っていた。
これらの方法とは別に、特公昭54-23647号公報に開示さ
れているように、鋼板表面に2次再結晶阻止領域を形成
させることにより、2次再結晶粒を細粒化させる方法が
提案されている。しかしながらこの方法は、2次再結晶
粒径の制御が安定していないため、実用的とは云いがた
い。
その他特公昭58-5968号公報には、2次再結晶後の鋼板
の表面にボールペン状小球により、微小歪を鋼板表層に
導入することによって、磁区の幅を微細化し、鉄損を低
減する技術が、また、特公昭57-2252号公報には、最終
製品板表面に、圧延方向にほぼ直角にレーザービームを
数mm間隔に照射し、鋼板表層に高転位密度領域を導入す
ることにより、磁区の幅を微細化し、鉄損を低減する技
術が提案されている。さらに、特開昭57-188810号公報
には、放電加工により鋼板表層に微小歪を導入し、磁区
幅を微細化し、鉄損を低減する同様の技術が提案されて
いる。これら3種類の方法は、いずれも2次再結晶後の
鋼板の地鉄表層に微小な塑性歪を導入することにより磁
区幅を微細化し鉄損の低減を図るものであって、均しく
実用的であり、かつ鉄損低減効果も優れているが、鉄板
の打抜き加工、せん断加工、巻き加工などの後の歪取り
焼鈍や、コーティングの焼付け処理の如き熱処理によっ
て、塑性歪導入による効果が減殺される欠点を伴う。な
おコーティング処理後に微小な塑性歪の導入を行う場合
は、絶縁性を維持するために絶縁コーティングの再塗布
を行わねばならず歪付与工程、再塗布工程と、工程の大
幅増加になり、コストアップをもたらす。
またこれらの技術とは別に、特公昭52-24499号公報にお
いて、仕上げ焼鈍後のけい素鋼板表面を鏡面仕上げする
か、又はその鏡面仕上げ面上に金属薄めっきを施すこ
と、さらにはその上に絶縁被膜を塗布焼付することによ
る低鉄損方向性けい素鋼板の製造方法が提案されてい
る。
しかしながらこの鏡面仕上げによる鉄損向上手法には、
基本的に以下に述べるような2つの重要な欠点があっ
た。
第1の鏡面状態のままでは表面の絶縁性がないのでその
ままでは使用できないため、なんらかの絶縁コーディン
グを施す必要があるが、通常用いられているりん酸塩系
のコーティングは鏡面への密着性が極めて悪く使用に耐
えないこと、 第2の鏡面状態では、鉄損はインダクションの高いW
17/50では低下するものの、インダクションが低くなる
ほど逆に鉄損が劣化することである。
第1図に、鏡面研磨前および研磨後における鉄損特性を
インダクション胃の数で示す。
同図より明らかなように鉄損は、1.5Tより小さいインダ
クションでは逆に鏡面状態の方が劣化する。
ところでエネルギーコストが高くなるにつれて設計磁束
密度は低くなる傾向にあり、すでに巻き鉄心では1.5Tか
ら1.3Tと低いインダクションでの使用が主流になってい
る。したがって鏡面状態におけるこのような鉄損劣化の
傾向は鏡面化状態の素材の工業的使用を困難にしてい
る。
また鏡面表面に薄金属めっきを施す技術に関しても上述
した欠点は一般的には継承されていて、やはりりん酸塩
系の絶縁コーティングが施しにくいという欠点があっ
た。
なおかような薄金属層は、前掲特公昭52-24499号公報に
開示されているように、その上に重ねて絶縁層を形成し
た場合には、めっき層そのものの密着性に問題があっ
て、巻き鉄心への使用には耐え得ず、さらに800℃の高
温で焼鈍した場合には、めっき層の曲げ密着性が一層劣
化するという問題もあった。
その他特公昭56-4150号公報には、平滑仕上げ後の表面
に、酸化物系セラミックス薄膜を蒸着させることによっ
て、鉄損の改善を図る方法が開示されているが、この方
法も600℃以上の高温焼鈍を施した場合にはセラミック
ス層のはく離が生じるという欠点を有しており、やはり
トランス成形時に800℃程度の温度の焼鈍が不可欠な配
電用巻鉄心素材としては使用に耐え得ないという問題が
あった。
(発明が解決しようとする問題点) この発明は上記の問題を有利に解決するもので、次の
(1)〜(3)を目的とする。
(1) 鏡面状態における低鉄損をインダクションの低い
領域でも保持し、かつ密着性の良い絶縁被膜の具備が可
能な方向性けい素鋼板を提供すること、 (2) また上記けい素鋼板の鉄損をさらに良好にして、
密着性のよい絶縁被膜の具備を可能にした方向性けい素
鋼板を提供すること、 (3) さらに鉄損の安定性を増し、鉄損をより一層向上
させること、 である。
(問題点を解決するための手段) けい素鋼板の圧延方向に引張り力を付与した場合、けい
素鋼板の鉄損が低下することはよく知られているとおり
である。
第2図に、表面にフォルステライトを酸化物層として具
備している一般的な商用方向性けい素鋼板とその方向性
けい素鋼板の表面酸化物を除去し鏡面状態に仕上げた場
合、さらに鏡面仕上げを施した鋼板の長手方向に2kg/
mm2の引張り力を加えた各場合におけるインダクション
と鉄損との関係について調べた結果を示す。
同図から明らかなように、鏡面仕上げを施した場合でし
かもインダクションが小さい側であっても引張り力を付
与すれば、鉄損が非常に良好になることが判明した。
ここに鏡面化した表面に引張り力を付与できる表面層を
被成させ得る技術が問題となる。
鏡面状態の表面に張力を付与する表面層を形成する場
合、従来採用されていた方法は、MgOを主成分とする焼
鈍分離剤を塗布して焼鈍することによりけい素鋼板表面
にフォルステライト被膜を形成させることであり、一般
的によく知られている技術である。
しかしこの技術は酸化物が不均一に生成するため鏡面化
したことによる鉄損改善効果を喪失せしめる。
またりん酸塩系コーティングにシリカを添加したいわゆ
る張力コートは前述した如く直接鏡面に施すことはでき
ない。
それ以外に前掲特公昭52-24499号公報に開示された薄め
っき技術および特公昭56-4150号公報に開示されは酸化
物系セラミック被膜があるが、前述した如く前者の場合
は引張り効果はほとんどない上に密着性が劣るため実用
化できず、一方後者の場合は高温焼鈍後の密着性に問題
がある。
そこで発明者らは、鏡面仕上げ表面に張力を効果的に付
与し得る被膜につき種々検討を重ねた結果、以下に述べ
る知見を得た。
(イ)基本的には金属を、鏡面仕上げ表面上に蒸着させ
ることによって、密着性に富みしかも鋼板に対して効果
的に張力を付与し得る被膜が得られる。
(ロ)また金属蒸着層を被成させるに当り、外表面に至
るに従ってN,C,OおよびSなどの成分を増加させるこ
とによって、張力効果が増大すると共に、絶縁被膜との
密着性も向上する。
(ハ)さらに蒸着の際、鋼板の長手方向に外部から張力
を付加しておくことにより、鉄損低減効果のより一層の
増大がもたられる。
この発明は、上記の知見に立脚するものであり、その要
旨構成は次のとおりである。
1. 酸化物除去跡に研磨処理による平滑な仕上げ表面を
もつ方向性珪素鋼板にして、該仕上げ表面は、中心線平
均粗さ0.4μm以下の鏡面状態であって、しかも張力
付与型の金属蒸着層を具備して成る超低鉄損方向性けい
素鋼板。
2. 酸化物除去跡に研磨処理による平滑な仕上げ表面を
もつ方向性珪素鋼板にして、該仕上げ表面は、中心線平
均粗さ0.4μm以下の鏡面状態であって、しかも厚み
方向に成分が異なり、最外層が実質的にセラミックスで
ある張力付与型の金属ベース蒸着層を具備して成る超低
鉄損方向性けい素鋼板。
3. 仕上げ焼鈍済みの方向性けい素鋼板につき、その表
面の酸化物を除去してから、研磨を施して中心線平均粗
さで0.4μm以下の鏡面状態に仕上げ、ついで該鏡面
仕上げ表面上に、ドライプレーティングによって張力付
与型の金属蒸着層を被成して成る超低鉄損方向性けい素
鋼板の製造方法。
4. 仕上げ焼鈍済みの方向性けい素鋼板につき、その表
面の酸化物を除去してから、研磨を施して中心線平均粗
さで0.4μm以下の鏡面状態に仕上げ、ついで該鋼板
の長手方向に対し外部張力付加の下に、該鏡面仕上げ表
面上に、ドライプレーティングによって張力付与型の金
属蒸着層を被成して成る超低鉄損方向性けい素鋼板の製
造方法。
5. 仕上げ焼鈍済みの方向性けい素鋼板につき、その表
面の酸化物を除去してから、研磨を施して中心線平均粗
さで0.4μm以下の鏡面状態に仕上げ、ついで該鏡面
仕上げ表面上に、ドライプレーティングによって金属蒸
着層を形成させつつ、該ドライプレーティング処理途中
から終了までの間にN,C,O及びSのうち少なくとも一種
を含むガスを漸次導入することによって、最外層が実質
的にセラミックスになる張力付与型の金属ベース蒸着層
を被成して成る超低鉄層方向性けい素鋼板の製造方法。
6.仕上げ焼鈍済みの方向性けい素鋼板につき、その表面
の酸化物を除去してから、研磨を施して中心線平均粗さ
で0.4μm以下の鏡面状態に仕上げ、ついで該鋼板の
長手方向に対し外部張力付加の下に、該鏡面仕上げ表面
上に、ドライプレーティングによって金属蒸着層を形成
させつつ、該ドライプレーティング処理途中から終了ま
での間にN,C,O及びSのうち少なくとも一種を含むガス
を漸次導入することによって、最外層が実質的にセラミ
ックスになる張力付与型の金属ベース蒸着層を被成して
成る超低鉄層方向性けい素鋼板の製造方法。
以下この発明について具体的に説明する。
この発明の方向性けい素鋼板において、その成分組成は
とくに限定されることはなく、従来公知のものいずれも
が適合するが、とりわけ以下の組成、 C:0.03〜0.050%、 Si:2.50〜4.5%、 Mn:0.01〜0.2%、 Mo:0.003〜0.1%、 Sb:0.005〜0.2%、 N:0.0005〜0.01%、 SおよびSeの1種あるいは2種合計で、0.005〜0.05%を
含有する組成、 C:0.03〜0.08%、 Si:2.0〜4.0%、 S:0.005〜0.05%、N:0.001〜0.01%、 Al:0.01〜0.06%、 Sn:0.01〜0.5%、 Cu:0.01〜0.3%、 Mn:0.01〜0.2%を含有する組
成、 C:0.03〜0.06%、 Si:2.0〜4.0%、 S:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.0040%、 N:0.001〜0.01%、Mn:0.01〜0.2%を含有する組成、 C:0.03〜0.05%、 Si:2.0〜4.0%、 Sb:0.005〜0.2%、 N:0.0005〜0.01%、 SおよびSeのうちいずれか1種または2種:0.005〜0.0
5%を含有する組成、 C:0.03〜0.05%、 Si:2.0〜4.0%、 N:0.0005〜0.01%、SおよびSeのうちいずれか1種
または2種:0.005〜0.05%を含有する組成、 が好適である。
この発明においては、上記の如き好適組成になる最終仕
上げ焼鈍を経た方向性けい素鋼板につき、その表面が、
中心線平均粗さ0.4μm以下の鏡面状態にあることが
肝要である。
第3図に、表面研磨前の鉄損W17/50が0.85W/kgであるコ
イルサンプルに種々の程度に研磨を施したときの、表面
粗さと鉄損値との関係について調べた結果を示す。
同図より明らかなように、表面粗さが中心線平均粗さRa
で0.4μm以下とすることによって、鉄損特性は研磨
前よりも改善されている。この点、表面がRa=0.4μ
mを超えて粗面になるほど鉄損特性は劣化している。
従ってこの発明では、仕上げ焼鈍後の方向性けい素鋼板
につき、その表面粗さをRaで0.4μm以下の範囲に限
定した。
かかる鏡面仕上げ表面上に被成する金属蒸着層の蒸着金
属としては、Ti,AlおよびSiなどが好適である。
また被成手段としては、真空蒸着、イオンプレーティン
グ、スパッタリングおよびCVD法などのいわゆるドライ
プレーティング法が有利に適合し、かような被成手段に
よって好ましくは0.1〜10.0μm厚程度の金属蒸着層
を被成させるわけである。
ところで上述のようにして、鏡面仕上げ表面上に金属を
蒸着させた鋼板は、表面の絶縁性に欠けているのでその
ままでは積鉄心または巻鉄心として用いることはできな
い。
しかしながらこの点については、蒸着処理半ばに処理雰
囲気中にN,C,Oおよび/またはSを含むガスたとえ
ば窒素系,炭素系,酸素系および/またはいおう系の反
応ガスを導入し、蒸着層の最外層に蒸着金属の窒化物、
炭化物などを形成させることによって、有利に解決され
る。
すなわち蒸着層最外層を実質的にセラミックスとするこ
とによって、表面に絶縁性が付与され、鉄心に組立てた
場合に、良好な層間抵抗が維持できるのであり、しかも
かような被膜構成とすることによって張力付与効果も一
段と高まり、さらにはその上に重ねてりん酸塩等の絶縁
コーティングを施した場合に、その絶縁性および被膜密
着性も大幅に向上するのである。
次にこの発明に従う一方向性けい素鋼板の製造工程につ
いて、一般的な説明を含めてより詳しく説明する。
さて前述の如く好適成分組成に調整した溶湯を、連続鋳
造法または造塊-分塊法によってけい素鋼スラブとした
のち、常法に従って熱間圧延を施す。
次に熱延板は800〜1100℃の均一化焼鈍を経て1回の冷
間圧延で最終板厚とする1回冷延法か又は、通常850℃
から1050℃の中間焼鈍をはさんでさらに冷延する2回冷
延法にて、後者の場合最初の圧下率は50%から80%程
度、最終の圧下率は50%から85%程度で0.15mmから0.35
mm厚の最終冷延板厚とする。
最終冷延を終わり製品板厚に仕上げた鋼板は表面脱脂後
750℃から850℃の湿水素中で脱炭1次再結晶焼鈍を施
す。
その後は通常、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布するが、この発明では、一般的には仕上げ焼鈍
後の形成を不可欠としていたフォルステライトをとくに
成形させない方がその後の鋼板の鏡面処理を簡便にする
のに有効であるので、焼鈍分離剤としてAl2O3,ZrO2,T
iO2等を50%以上MgOに混入して使用するのが好まし
い。
その後2次再結晶焼鈍を行うが、この工程は{110}〈0
01〉方位の2次再結晶粒を充分発達させるために施され
るもので、通常箱焼鈍によって直ちに1000℃以上に昇温
し、その温度に保持することによって行われる。
この場合{110}〈001〉方位に、高度に揃った2次再結
晶粒組織を発達させるためには820℃から900℃の低温で
保定焼鈍する方が有利であり、そのほか例えば0.5〜15
℃/hの昇温速度の徐熱焼鈍でもよい。
ついで乾水素中において1100℃以上、1〜20時間程度の
純化焼鈍を施す。
その後、鋼板表面の酸化物被膜を、公知の酸洗などの化
学的除去や切削、研削などの機械的除去法またはそれら
の組合わせより除去する。
この酸化物除去処理の後、化学研磨、電解研磨などの化
学的研磨や、バフ研磨などの機械的研磨あるいはこれら
の組合せなど従来の手法により鋼板表面を鏡面状態つま
り中心線平均粗さ0.4μm以下に仕上げるのである。
次に、鏡面仕上げ表面上に金属蒸着層を被成させるわけ
であるが、被成手段としては、真空蒸着、イオンプレー
ティング、スパッタリングおよびCVD法などのいわゆ
るドライプレーティング法が有利に適合することは前述
したとおりである。
この点、被成手段としてたとえば特公昭52-24499号公報
に開示されているような化学めっきあるいは電気めっき
を使用した場合には、金属層の密着性が劣るので、実使
用には供し得ない。
そしてかような蒸着膜を被成させることによって、鋼板
表面には効果的に引張り力が付与され、効果的な鉄損の
低減がもたらされるのである。
かかる蒸着膜によって付与される張力はできる限り大き
いことが望ましいが、0.1kg/mm2以上であれば良好な
鉄損改善効果が得られる。なお付与張力の大きさは、蒸
着条件すなわち蒸着金属、蒸着層の厚みおよび蒸着時の
地鉄温度、雰囲気などを調整することによって適宜に制
御できる。
また上述した如き蒸着処理を、鋼板の長手方向に対し外
部張力を付与した状態で行うことによって、鉄損特性の
より一層の向上がもたらされる。
第4図に、鋼板の長手方向に種々の大きさの外部張力を
付加した条件下に蒸着処理を行った場合の、外部張力と
鉄損との関係について調べた結果を示す。
同図より明らかなように、外部張力を付加することによ
って鉄損は改善され、とくに付加張力が0.1〜20kg/mm2
の範囲を満足する場合に、顕著な鉄損低減効果が見られ
た。
従って外部張力の付加の下に蒸着を行う場合、その付加
張力は0.1〜20kg/mm2程度とするのが望ましい。
ところで上述したような、鏡面仕上げ表面上に金属を蒸
着させたままの鋼板は、表面の絶縁性に欠けている。従
って積鉄心や巻鉄心の用途に供する場合には、絶縁性を
付与する手立を講じる必要があるが、金属層表面は密着
性に劣るため、りん酸塩コーティングのような通常の絶
縁コーティングを施したとしても密着性の良い絶縁被膜
は得られない。
そこでかような場合には、蒸着処理の途中で雰囲気中に
N,C,Oおよび/またはSを含むガスを導入して蒸着層表
面を実質的にセラミックスとすることにより、被膜密着
性の改善を図るのである。
ここにN,C,Oおよび/またはSを含むガスとして
は、NH3,N2,CH4,C2H2,O2およびH2Sなどが好適であ
る。
一例として、鏡面仕上げ表面上に金属Alを蒸着しただ
けの鋼板および最外層をAlNに変化させた鋼板それぞれ
に、りん酸塩系のコーティング処理を施して絶縁被膜を
形成させたものにつき、丸棒の周囲に板を巻付けて絶縁
被膜が破壊されない最小丸棒径を求める曲げテストによ
って密着性を比較したところ、蒸着金属Alの上にりん酸
塩系コーティングを施したものでは最小径が胃55mmであ
ったのに対し、最外層をAlNにしたもののそれは15mmで
あり、密着性は格段に優れていた。
なおかように最表層をセラミックスに変化させる場合に
おいても、その蒸着処理を、鋼板の長手方向に対する外
部張力の付加の下に行うことにより、一層の鉄損の低減
が実現されることが確かめられた。
(実 施 例) 実施例1 2次再結晶焼鈍後の素材(W17/50=0.88W/kg)に、酸洗
ついで化学研磨を施して、Ra=0.3μmの鏡面仕上げ表面
とした。この鋼板に0〜20kg/mm2の張力を付与しなが
ら、10-4torrの真空中でAlを蒸着し、1μm厚の蒸着層
を被成した。
かくして得られた製品の鉄損特性について調べた結果を
表1に示す。
なお比較のため化学研磨の度合を少なくしてRa=0.6μm
としたサンプルに2kg/mm2の張力を付与しながら、Alを
1μm厚蒸着した試料についても同様の調査を行い、得
られた結果を表1に併記した。
同表より明らかなように、この発明に従い得られた鋼板
はいずれも鉄損特性が向上しており、とくに1〜20kg
/mm2の外部張力を付加した場合にはとりわけ優れた値が
得られている。
実施例2 実施例1と同じ素材を用いRa=0.3μmの鏡面仕上げ表面
とした。この鋼板に0〜20kg/mm2の張力付加の下に、Cr
を蒸着した。
また蒸着半ばに雰囲気中にNH3ガスを導入して最外層にC
rNを形成させた。
さらに各々のサンプルに対してりん酸塩系の張力コーテ
ィングを施した。
かくして得られた各製品の鉄損値および密着性について
調べた結果を表2に示す。
ここに密着性は、板を丸棒に巻付けたときに被膜の破壊
が生じない最小径が30mm以下の場合を○で、一方30mmよ
り大きい場合を×で表わした。
なお、比較のため、鏡面仕上げ表面に電気めっきによっ
てCr層を形成させた鋼板についても同様の調査を行い、
得られた結果を表2に併記した。
(発明の効果) かくしてこの発明によれば、密着性に富みしかも鉄損特
性に優れた方向性けい素鋼板を安定して得ることがで
き、とくに蒸着層最外層を実質的にセラミックスとした
場合には、絶縁コーティング被膜の密着性にも優れ、し
かもかような密着性はその後に高温処理を加えた場合で
あって劣化することはない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、鏡面研磨前および後におけるインダクション
と鉄損との関係を示したグラフ、 第2図は、鏡面研磨前、研磨後および研磨後に鋼板の長
手方向に張力を付加した場合におけるインダクションと
鉄損との関係を示したグラフ、 第3図は、鋼鉄の表面研磨後の中心線平均粗さと鉄損と
の関係を示したグラフ、 第4図は、鋼板の長手方向に外部張力を付加する条件下
に蒸着処理を行った場合の付加張力と鉄損との関係を示
したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 一弘 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 筋田 成子 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭53−144419(JP,A) 特開 昭49−96920(JP,A) 特開 昭60−39123(JP,A)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物除去跡に研磨処理による平滑な仕上
    げ表面をもつ方向性珪素鋼板にして、該仕上げ表面は、
    中心線平均粗さ0.4μm以下の鏡面状態であって、し
    かも張力付与型の金属蒸着層を具備することを特徴とす
    る、超低鉄損方向性けい素鋼板。
  2. 【請求項2】酸化物除去跡に研磨処理による平滑な仕上
    げ表面をもつ方向性珪素鋼板にして、該仕上げ表面は、
    中心線平均粗さ0.4μm以下の鏡面状態であって、し
    かも厚み方向に成分が異なり、最外層が実質的にセラミ
    ックスである張力付与型の金属ベース蒸着層を具備する
    ことを特徴とする、超低鉄損方向性けい素鋼板。
  3. 【請求項3】仕上げ焼鈍済みの方向性けい素鋼板につ
    き、その表面の酸化物を除去してから、研磨を施して中
    心線平均粗さで0.4μm以下の鏡面状態に仕上げ、つ
    いで該鏡面仕上げ表面上に、ドライプレーティングによ
    って張力付与型の金属蒸着層を被成することを特徴とす
    る、超低鉄損方向性けい素鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】仕上げ焼鈍済みの方向性けい素鋼板につ
    き、その表面の酸化物を除去してから、研磨を施して中
    心線平均粗さで0.4μm以下の鏡面状態に仕上げ、つ
    いで該鋼板の長手方向に対し外部張力付加の下に、該鏡
    面仕上げ表面上に、ドライプレーティングによって張力
    付与型の金属蒸着層を被成することを特徴とする、超低
    鉄損方向性けい素鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】仕上げ焼鈍済みの方向性けい素鋼板につ
    き、その表面の酸化物を除去してから、研磨を施して中
    心線平均粗さで0.4μm以下の鏡面状態に仕上げ、つ
    いで該鏡面仕上げ表面上に、ドライプレーティングによ
    って金属蒸着層を形成させつつ、該ドライプレーティン
    グ処理途中から終了までの間にN,C,O及びSのうち少な
    くとも一種を含むガスを漸次導入することによって、最
    外層が実質的にセラミックスになる張力付与型の金属ベ
    ース蒸着層を被成することを特徴とする、超低鉄層方向
    性けい素鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】仕上げ焼鈍済みの方向性けい素鋼板につ
    き、その表面の酸化物を除去してから、研磨を施して中
    心線平均粗さで0.4μm以下の鏡面状態に仕上げ、つ
    いで該鋼板の長手方向に対し外部張力付加の下に、該鏡
    面仕上げ表面上に、ドライプレーティングによって金属
    蒸着層を形成させつつ、該ドライプレーティング処理途
    中から終了までの間にN,C,O及びSのうち少なくとも一
    種を含むガスを漸次導入することによって、最外層が実
    質的にセラミックスになる張力付与型の金属ベース蒸着
    層を被成することを特徴とする、超低鉄層方向性けい素
    鋼板の製造方法。
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