JPH0672171A - 四輪駆動車の駆動力配分装置 - Google Patents
四輪駆動車の駆動力配分装置Info
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- JPH0672171A JPH0672171A JP25382992A JP25382992A JPH0672171A JP H0672171 A JPH0672171 A JP H0672171A JP 25382992 A JP25382992 A JP 25382992A JP 25382992 A JP25382992 A JP 25382992A JP H0672171 A JPH0672171 A JP H0672171A
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- Japan
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- Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
- Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 センサーのフェイル時の走行安定性を確保す
る。 【構成】 前後輪1,2への駆動力の分配率を変えるク
ラッチ3の締結力を、車両の走行状態を検出するセンサ
ー4の検出値に基づいて制御する四輪駆動車の駆動力配
分装置において、前記センサー4の異常を検出する異常
検出手段5と、この異常検出手段5がセンサー4の異常
を検出したときにセンサー4の異常を告知する警報を出
力する警報出力手段6と、前記異常検出手段5がセンサ
ー4の異常を検出したときに前記クラッチ3の締結力を
車両の挙動を安定させる締結力に設定し、かつ前記警報
出力手段6が警報を出力した後にクラッチ3の締結力を
徐々に低下させる締結力設定手段7とを備えている。
る。 【構成】 前後輪1,2への駆動力の分配率を変えるク
ラッチ3の締結力を、車両の走行状態を検出するセンサ
ー4の検出値に基づいて制御する四輪駆動車の駆動力配
分装置において、前記センサー4の異常を検出する異常
検出手段5と、この異常検出手段5がセンサー4の異常
を検出したときにセンサー4の異常を告知する警報を出
力する警報出力手段6と、前記異常検出手段5がセンサ
ー4の異常を検出したときに前記クラッチ3の締結力を
車両の挙動を安定させる締結力に設定し、かつ前記警報
出力手段6が警報を出力した後にクラッチ3の締結力を
徐々に低下させる締結力設定手段7とを備えている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、四輪駆動車における
前後輪への駆動力の配分を制御する駆動力配分装置に関
し、特にクラッチの締結力を変えることによって前後輪
への駆動力分配率を変える駆動力配分装置に関するもの
である。
前後輪への駆動力の配分を制御する駆動力配分装置に関
し、特にクラッチの締結力を変えることによって前後輪
への駆動力分配率を変える駆動力配分装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】周知のように後輪駆動車をベースにした
四輪駆動車では、前輪への駆動力の分配率を変えること
によって動力性能のみならず、ステア特性が変化する。
この種の四輪駆動車における前後輪への駆動力の分配制
御は、前後輪の回転数差やヨーレート、舵角等の車両の
走行状態を表わす各種のパラメータに基づいて行われ
る。したがってこれらのパラメータを検出するセンサー
に異常が生じた場合には、前後輪への適正な駆動力配分
制御を行えなくなり、車両の挙動が不安定になる可能性
がある。
四輪駆動車では、前輪への駆動力の分配率を変えること
によって動力性能のみならず、ステア特性が変化する。
この種の四輪駆動車における前後輪への駆動力の分配制
御は、前後輪の回転数差やヨーレート、舵角等の車両の
走行状態を表わす各種のパラメータに基づいて行われ
る。したがってこれらのパラメータを検出するセンサー
に異常が生じた場合には、前後輪への適正な駆動力配分
制御を行えなくなり、車両の挙動が不安定になる可能性
がある。
【0003】そこで例えば特開平2−293221号公
報に記載された発明では、センサーの異常が検出された
場合には、駆動力配分用のクラッチの締結力を、センサ
ーの異常が検出される直前の締結力に維持し、センサー
の異常が継続的なものであれば、前記クラッチの締結力
を徐々に低下させるように構成している。
報に記載された発明では、センサーの異常が検出された
場合には、駆動力配分用のクラッチの締結力を、センサ
ーの異常が検出される直前の締結力に維持し、センサー
の異常が継続的なものであれば、前記クラッチの締結力
を徐々に低下させるように構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の装置で
は、センサーの異常が検出された場合に、クラッチの締
結力をその直前の状態に維持し、その後は入力データに
基づくクラッチの締結力の制御を中止するから、誤った
データによる前後輪への駆動力の分配制御を防止するこ
とができる。しかしながら上記従来の装置におけるいわ
ゆるフェイル時の制御は、車両の走行状態や路面の状態
が、センサーの異常の後にも変化しないことを前提とす
るものであり、したがってセンサーの異常が検出された
直後に、走行状態や路面の状態が変化した場合には、ク
ラッチの締結力すなわち前後輪の駆動力の分配率が不適
正になって、車両の挙動が不安定になるおそれがある。
すなわち、例えば、路面摩擦係数μの大きい高μ路を直
進走行しているときにセンサーの異常が検出され、その
直後に低μ路に進入するとともに加速旋回する場合、セ
ンサーの異常が検出されることに伴って維持されるクラ
ッチの締結力は、高μ路の直進走行に適した低い締結力
であるから、そのまま低μ路での加速旋回に入ると、後
輪がスリップしてしまい、意図した旋回や加速を行うこ
とができないおそれがある。また例えば、路面状況の変
化が激しいために、クラッチの締結力を大小に頻繁に変
化させて走行している途中でセンサーに異常が生じ、そ
の時のクラッチの締結力が低ければ、その後の走行時の
クラッチの締結力が不足して車両の挙動が不安定になる
おそれがある。
は、センサーの異常が検出された場合に、クラッチの締
結力をその直前の状態に維持し、その後は入力データに
基づくクラッチの締結力の制御を中止するから、誤った
データによる前後輪への駆動力の分配制御を防止するこ
とができる。しかしながら上記従来の装置におけるいわ
ゆるフェイル時の制御は、車両の走行状態や路面の状態
が、センサーの異常の後にも変化しないことを前提とす
るものであり、したがってセンサーの異常が検出された
直後に、走行状態や路面の状態が変化した場合には、ク
ラッチの締結力すなわち前後輪の駆動力の分配率が不適
正になって、車両の挙動が不安定になるおそれがある。
すなわち、例えば、路面摩擦係数μの大きい高μ路を直
進走行しているときにセンサーの異常が検出され、その
直後に低μ路に進入するとともに加速旋回する場合、セ
ンサーの異常が検出されることに伴って維持されるクラ
ッチの締結力は、高μ路の直進走行に適した低い締結力
であるから、そのまま低μ路での加速旋回に入ると、後
輪がスリップしてしまい、意図した旋回や加速を行うこ
とができないおそれがある。また例えば、路面状況の変
化が激しいために、クラッチの締結力を大小に頻繁に変
化させて走行している途中でセンサーに異常が生じ、そ
の時のクラッチの締結力が低ければ、その後の走行時の
クラッチの締結力が不足して車両の挙動が不安定になる
おそれがある。
【0005】この発明は、上記の事情に鑑みてなされた
もので、前後輪への駆動力の配分制御のためのセンサー
がフェイルした際にも走行安定性を確保することのでき
る駆動力配分装置を提供することを目的とするものであ
る。
もので、前後輪への駆動力の配分制御のためのセンサー
がフェイルした際にも走行安定性を確保することのでき
る駆動力配分装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、図1に示す構成としたことを特徴と
するものである。すなわちこの発明は、前後輪1,2へ
の駆動力の分配率を変えるクラッチ3の締結力を、車両
の走行状態を検出するセンサー4の検出値に基づいて制
御する四輪駆動車の駆動力配分装置において、前記セン
サー4の異常を検出する異常検出手段5と、この異常検
出手段5がセンサー4の異常を検出したときにセンサー
4の異常を告知する警報を出力する警報出力手段6と、
前記異常検出手段5がセンサー4の異常を検出したとき
に前記クラッチ3の締結力を車両の挙動を安定させる締
結力に設定し、かつ前記警報出力手段6が警報を出力し
た後にクラッチ3の締結力を徐々に低下させる締結力設
定手段7とを備えていることを特徴とするものである。
を達成するために、図1に示す構成としたことを特徴と
するものである。すなわちこの発明は、前後輪1,2へ
の駆動力の分配率を変えるクラッチ3の締結力を、車両
の走行状態を検出するセンサー4の検出値に基づいて制
御する四輪駆動車の駆動力配分装置において、前記セン
サー4の異常を検出する異常検出手段5と、この異常検
出手段5がセンサー4の異常を検出したときにセンサー
4の異常を告知する警報を出力する警報出力手段6と、
前記異常検出手段5がセンサー4の異常を検出したとき
に前記クラッチ3の締結力を車両の挙動を安定させる締
結力に設定し、かつ前記警報出力手段6が警報を出力し
た後にクラッチ3の締結力を徐々に低下させる締結力設
定手段7とを備えていることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】この発明で対象とする四輪駆動車の前後輪1,
2への駆動力の分配率は、クラッチ3の締結力を変える
ことによって変化し、またそのクラッチ3の締結力の制
御は、センサー4で検出した検出値に基づいて行われ
る。例えば、前後輪1,2の回転数差が大きい場合に
は、クラッチ3の締結力を高くし、またドリフトアウト
(アンダーステア)傾向が強くなっていれば、これを是
正するためにクラッチ3の締結力を低下させて後輪2へ
の駆動力の配分を多くする。このような制御のためのデ
ータを得るセンサー4に異常が生じた場合、これを異常
検出手段5が検出し、それに伴って締結力設定手段7が
クラッチ3の締結力を、車両の挙動が安定する締結力に
設定する。また警報出力手段6が、センサー4の異常を
告知する警報を出力する。この警報が出力された後に、
締結力設定手段7がクラッチ3の締結力を徐々に低下さ
せ、走行状態に基づいた駆動力の配分制御は行わない。
2への駆動力の分配率は、クラッチ3の締結力を変える
ことによって変化し、またそのクラッチ3の締結力の制
御は、センサー4で検出した検出値に基づいて行われ
る。例えば、前後輪1,2の回転数差が大きい場合に
は、クラッチ3の締結力を高くし、またドリフトアウト
(アンダーステア)傾向が強くなっていれば、これを是
正するためにクラッチ3の締結力を低下させて後輪2へ
の駆動力の配分を多くする。このような制御のためのデ
ータを得るセンサー4に異常が生じた場合、これを異常
検出手段5が検出し、それに伴って締結力設定手段7が
クラッチ3の締結力を、車両の挙動が安定する締結力に
設定する。また警報出力手段6が、センサー4の異常を
告知する警報を出力する。この警報が出力された後に、
締結力設定手段7がクラッチ3の締結力を徐々に低下さ
せ、走行状態に基づいた駆動力の配分制御は行わない。
【0008】
【実施例】つぎにこの発明を実施例に基づいて説明す
る。図2はこの発明の一実施例を示す模式図であって、
制御対象である四輪駆動トランスファ10は、エンジン
11に連結した自動変速機12の出力側に設けられてい
る。このトランスファ10は遊星歯車式のセンターディ
ファレンシャル13によって駆動力を後輪側と前輪側と
に分配するものであって、自動変速機12の出力軸であ
る駆動軸14がキャリヤ15に連結されており、またリ
ングギヤ16が出力軸17を介してリヤプロペラシャフ
ト18に連結されている。これに対してサンギヤ19
は、ドライブスプロケット20に連結され、これに巻き
掛けたチェーン21およびドリブンスプロケット22を
介してフロントプロペラシャフト23に駆動力を伝達す
るようになっている。またキャリヤ15とサンギヤ19
との間に差動制限クラッチ24が設けられており、その
係合油圧を高くすることにより、すなわちトルク容量を
大きくすることにより前輪側への駆動力の分配率を大き
くするようになっている。
る。図2はこの発明の一実施例を示す模式図であって、
制御対象である四輪駆動トランスファ10は、エンジン
11に連結した自動変速機12の出力側に設けられてい
る。このトランスファ10は遊星歯車式のセンターディ
ファレンシャル13によって駆動力を後輪側と前輪側と
に分配するものであって、自動変速機12の出力軸であ
る駆動軸14がキャリヤ15に連結されており、またリ
ングギヤ16が出力軸17を介してリヤプロペラシャフ
ト18に連結されている。これに対してサンギヤ19
は、ドライブスプロケット20に連結され、これに巻き
掛けたチェーン21およびドリブンスプロケット22を
介してフロントプロペラシャフト23に駆動力を伝達す
るようになっている。またキャリヤ15とサンギヤ19
との間に差動制限クラッチ24が設けられており、その
係合油圧を高くすることにより、すなわちトルク容量を
大きくすることにより前輪側への駆動力の分配率を大き
くするようになっている。
【0009】上記の差動制限クラッチ24に対する油圧
を制御するための装置として、リニアソレノイドバルブ
を主体とする油圧制御装置25と四輪駆動用電子制御装
置(4WD−ECU)26とが設けられている。この電
子制御装置26は、中央演算処理装置(CPU)とメモ
リー(ROM,RAM)ならびに入出力インターフェー
スを主体として構成されており、この電子制御装置26
には操舵角センサー27、ヨーレートセンサー28、各
車輪ごとに設けた車輪速度センサー29、横加速度(横
G)センサー30、前後加速度(前後G)センサー31
などの各センサーからの信号が入力されている。そして
電子制御装置26は、これらの入力されるパラメータに
基づいて、旋回時の目標ヨーレートを求めるとともにそ
の目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が小さくなる
よう差動制限クラッチ24に対する油圧を制御するよう
になっている。
を制御するための装置として、リニアソレノイドバルブ
を主体とする油圧制御装置25と四輪駆動用電子制御装
置(4WD−ECU)26とが設けられている。この電
子制御装置26は、中央演算処理装置(CPU)とメモ
リー(ROM,RAM)ならびに入出力インターフェー
スを主体として構成されており、この電子制御装置26
には操舵角センサー27、ヨーレートセンサー28、各
車輪ごとに設けた車輪速度センサー29、横加速度(横
G)センサー30、前後加速度(前後G)センサー31
などの各センサーからの信号が入力されている。そして
電子制御装置26は、これらの入力されるパラメータに
基づいて、旋回時の目標ヨーレートを求めるとともにそ
の目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が小さくなる
よう差動制限クラッチ24に対する油圧を制御するよう
になっている。
【0010】図3は実ヨーレートを目標ヨーレートに一
致させるように差動制限クラッチ24の油圧を制御する
制御ルーチンを示している。すなわち図3において、ス
テップ1では操舵角から求めた実舵角δ、各車輪の速度
v、ヨーレートγ、前後Gx、ならびに横Gy を読み込
み、ついでステップ2で車輪速度vから車体速度(車
速)Vを推定し、かつ各車輪の回転数Nを求める。また
ステップ3では、前輪回転数NF と後輪回転数NR と
を、それぞれの左右の車輪の平均回転数(NF =(NFL
+NFR)/2,NR =(NRL+NRR)/2)として求め
る。得られた前後輪の回転数NF ,NR から、前後輪の
回転数差の絶対値ΔNFRを求める(ステップ4)。つぎ
にステップ5で目標ヨーレートγ0 を求める。これは車
速Vに応じた係数K1(v)と舵角δとによって求める。そ
の係数K1(v)は、一般には、車速V、ホイールベースL
ならびにスタビリティファクタKh から、K1(v)=V/
{L(1+Kh ・V2 )}の式で演算する。なお、この
係数K1(v)は、加速度や路面の摩擦係数μなどに応じて
補正した係数であってもよい。
致させるように差動制限クラッチ24の油圧を制御する
制御ルーチンを示している。すなわち図3において、ス
テップ1では操舵角から求めた実舵角δ、各車輪の速度
v、ヨーレートγ、前後Gx、ならびに横Gy を読み込
み、ついでステップ2で車輪速度vから車体速度(車
速)Vを推定し、かつ各車輪の回転数Nを求める。また
ステップ3では、前輪回転数NF と後輪回転数NR と
を、それぞれの左右の車輪の平均回転数(NF =(NFL
+NFR)/2,NR =(NRL+NRR)/2)として求め
る。得られた前後輪の回転数NF ,NR から、前後輪の
回転数差の絶対値ΔNFRを求める(ステップ4)。つぎ
にステップ5で目標ヨーレートγ0 を求める。これは車
速Vに応じた係数K1(v)と舵角δとによって求める。そ
の係数K1(v)は、一般には、車速V、ホイールベースL
ならびにスタビリティファクタKh から、K1(v)=V/
{L(1+Kh ・V2 )}の式で演算する。なお、この
係数K1(v)は、加速度や路面の摩擦係数μなどに応じて
補正した係数であってもよい。
【0011】ステップ6では、一次遅れの補正を施した
目標ヨーレート(γ0 /(1+Ts)を求める。ここで
Tは時定数であって、予め定めた一定値あるいは車速の
増大に応じて大きくなる変数を採用することができる。
またsは、ラプラス演算子である。このような一次遅れ
の補正を行う理由は以下のとおりである。すなわち目標
ヨーレートγ0 は上述したように、車速Vと舵角δとに
基づいて求めることができ、ヨーレートの追従制御を行
うにあたっては舵角δと同程度の応答を示す。これに対
して実ヨーレートγは、転舵することによってタイヤに
横すべり角が生じ、その後、車体の向きが変わることに
より検出され、制御のうえでは二次遅れ要素になる。し
たがって実ヨーレートと目標ヨーレートとを、そのまま
用いて偏差を求めたのでは、旋回過渡時の偏差が大きく
なってしまい、制御誤差が大きくなる。そこで目標ヨー
レートに一次遅れの補正を施すことにより、旋回過渡時
の制御誤差を低減することとしたのである。
目標ヨーレート(γ0 /(1+Ts)を求める。ここで
Tは時定数であって、予め定めた一定値あるいは車速の
増大に応じて大きくなる変数を採用することができる。
またsは、ラプラス演算子である。このような一次遅れ
の補正を行う理由は以下のとおりである。すなわち目標
ヨーレートγ0 は上述したように、車速Vと舵角δとに
基づいて求めることができ、ヨーレートの追従制御を行
うにあたっては舵角δと同程度の応答を示す。これに対
して実ヨーレートγは、転舵することによってタイヤに
横すべり角が生じ、その後、車体の向きが変わることに
より検出され、制御のうえでは二次遅れ要素になる。し
たがって実ヨーレートと目標ヨーレートとを、そのまま
用いて偏差を求めたのでは、旋回過渡時の偏差が大きく
なってしまい、制御誤差が大きくなる。そこで目標ヨー
レートに一次遅れの補正を施すことにより、旋回過渡時
の制御誤差を低減することとしたのである。
【0012】このようにして求められた目標ヨーレート
γ0 と実ヨーレートγとに基づいてそれらの偏差Δγ
(=γ(γ0 −γ))をステップ7で演算する。ここで
偏差Δγとして、目標ヨーレートγ0 と実ヨーレートγ
との差と、実ヨーレートγとの積を採っているのは、次
の理由による。すなわちヨーレートは方向性のあるパラ
メータであるうえに、偏差Δγもドリフトアウト傾向と
スピン(オーバーステア)傾向とを正(+)、負(−)
の符号で表わすことになるから、上述のように積を採れ
ば、左旋回時および右旋回時のいずれであっても、ドリ
フトアウト傾向のときは正の値になり、また反対にスピ
ン傾向のときには負の値になる。
γ0 と実ヨーレートγとに基づいてそれらの偏差Δγ
(=γ(γ0 −γ))をステップ7で演算する。ここで
偏差Δγとして、目標ヨーレートγ0 と実ヨーレートγ
との差と、実ヨーレートγとの積を採っているのは、次
の理由による。すなわちヨーレートは方向性のあるパラ
メータであるうえに、偏差Δγもドリフトアウト傾向と
スピン(オーバーステア)傾向とを正(+)、負(−)
の符号で表わすことになるから、上述のように積を採れ
ば、左旋回時および右旋回時のいずれであっても、ドリ
フトアウト傾向のときは正の値になり、また反対にスピ
ン傾向のときには負の値になる。
【0013】このようにして求めたヨーレートの偏差Δ
γに基づいて、前後輪の回転速度差ΔNFRによる差動制
限クラッチ圧PCDを補正することにより、ステア特性を
加味した差動制限クラッチ圧PCDの制御を行う。
γに基づいて、前後輪の回転速度差ΔNFRによる差動制
限クラッチ圧PCDを補正することにより、ステア特性を
加味した差動制限クラッチ圧PCDの制御を行う。
【0014】すなわち図2に示すトランスファ10を備
えた車両は、後輪駆動をベースにした四輪駆動車であっ
て、差動制限を強めることによって前輪側への駆動力の
分配率が増大するから、ドリフトアウト傾向にある場合
には、後輪側への駆動力の分配率を高くしてスピン側に
補正する必要があり、また反対にスピン傾向にある場合
には、前輪側への駆動力の分配率を高くしてドリフトア
ウト側に補正する必要がある。そこで前記偏差Δγに応
じた補正係数K2(Δγ)は、図4に示すように、Δγが
プラス方向に大きい場合には、“1”より小さい値に設
定し、またマイナス方向に大きい場合には“1”より大
きい値に設定する。
えた車両は、後輪駆動をベースにした四輪駆動車であっ
て、差動制限を強めることによって前輪側への駆動力の
分配率が増大するから、ドリフトアウト傾向にある場合
には、後輪側への駆動力の分配率を高くしてスピン側に
補正する必要があり、また反対にスピン傾向にある場合
には、前輪側への駆動力の分配率を高くしてドリフトア
ウト側に補正する必要がある。そこで前記偏差Δγに応
じた補正係数K2(Δγ)は、図4に示すように、Δγが
プラス方向に大きい場合には、“1”より小さい値に設
定し、またマイナス方向に大きい場合には“1”より大
きい値に設定する。
【0015】一方、前後輪の回転数差ΔNFRに基づく差
動制限クラッチ24の係合油圧P(ΔNFR )は、直線走
行等の通常状態では図5に示すように、回転数差ΔNFR
の増大に従って高くするが、旋回時の実ヨーレートと目
標ヨーレートとの間に偏差が生じた場合には、その係合
油圧P(ΔNFR )に前記補正係数K2(Δγ)を掛けて補
正し(ステップ8)、その値を実際の係合油圧PCDとし
て差動制限クラッチ24に供給する。この実際の係合油
圧PCDと前後輪の回転数差ΔNFRとの関係を、偏差Δγ
をパラメータとして表せば、図6のとおりである。
動制限クラッチ24の係合油圧P(ΔNFR )は、直線走
行等の通常状態では図5に示すように、回転数差ΔNFR
の増大に従って高くするが、旋回時の実ヨーレートと目
標ヨーレートとの間に偏差が生じた場合には、その係合
油圧P(ΔNFR )に前記補正係数K2(Δγ)を掛けて補
正し(ステップ8)、その値を実際の係合油圧PCDとし
て差動制限クラッチ24に供給する。この実際の係合油
圧PCDと前後輪の回転数差ΔNFRとの関係を、偏差Δγ
をパラメータとして表せば、図6のとおりである。
【0016】各センサーを含めた全ての機能が正常に動
作していれば、差動制限クラッチ24の係合油圧PCDが
上述のように制御され、車両の動力性能および走行安定
性が優れたものとなる。しかしながら、センサーでの断
線やショートなどのフェイルが発生すると、上述した係
合油圧PCDの制御を行えなくなり、その場合には、以下
に述べるように係合油圧の制御が実行される。
作していれば、差動制限クラッチ24の係合油圧PCDが
上述のように制御され、車両の動力性能および走行安定
性が優れたものとなる。しかしながら、センサーでの断
線やショートなどのフェイルが発生すると、上述した係
合油圧PCDの制御を行えなくなり、その場合には、以下
に述べるように係合油圧の制御が実行される。
【0017】図7はいずれかのセンサーがフェイルした
場合の係合油圧PCDの制御ルーチンを示すフローチャー
トであって、入力信号が止まったり、あるいは入力値が
異常な値を示したりするなどのことに基づいて入力セン
サーのフェイルが判断されると(ステップ10の判断結
果が“イエス”になると)、係合油圧PCDが予め定めた
所定の圧力P0 に設定される(ステップ11)。この圧
力P0 は、車両の安定性を保つのに最も適した圧力であ
って、前後の車輪にかかる荷重や差動制限を行っていな
い状態でのトランスファ10による前後輪への駆動力の
分配率などに基づいて予め決められた圧力である。つぎ
にステップ12で入力センサーのフェイルを知らせるラ
ンプが点灯させられ、その後に係合油圧PCDが徐々に低
下させられる(ステップ13)。なお、ステップ10の
判断結果が“ノー”であれば、制御プロセスは直ちにリ
ターンする。
場合の係合油圧PCDの制御ルーチンを示すフローチャー
トであって、入力信号が止まったり、あるいは入力値が
異常な値を示したりするなどのことに基づいて入力セン
サーのフェイルが判断されると(ステップ10の判断結
果が“イエス”になると)、係合油圧PCDが予め定めた
所定の圧力P0 に設定される(ステップ11)。この圧
力P0 は、車両の安定性を保つのに最も適した圧力であ
って、前後の車輪にかかる荷重や差動制限を行っていな
い状態でのトランスファ10による前後輪への駆動力の
分配率などに基づいて予め決められた圧力である。つぎ
にステップ12で入力センサーのフェイルを知らせるラ
ンプが点灯させられ、その後に係合油圧PCDが徐々に低
下させられる(ステップ13)。なお、ステップ10の
判断結果が“ノー”であれば、制御プロセスは直ちにリ
ターンする。
【0018】この入力センサーフェイル時の制御を行っ
た場合の係合油圧PCDの変化を示せば図8のとおりであ
る。すなわち図8において、t1 時点でセンサーのフェ
イルが検出されると、係合油圧PCDはP0 の圧力に設定
される。この場合、係合油圧PCDが大きく変化すること
もあるが、設定される圧力P0 は、車両の挙動を安定さ
せることのできる圧力であるから、走行安定性が損われ
ることはない。なお、過渡的な安定性を確実にする必要
がある場合には、P0 の圧力への変化をある程度の時間
をかけてゆっくり行えばよい。係合油圧PCDを上記の圧
力P0 に設定した後、t2 時点でフェイルランプを点灯
し、その後、係合油圧PCDがゆっくり低下する。
た場合の係合油圧PCDの変化を示せば図8のとおりであ
る。すなわち図8において、t1 時点でセンサーのフェ
イルが検出されると、係合油圧PCDはP0 の圧力に設定
される。この場合、係合油圧PCDが大きく変化すること
もあるが、設定される圧力P0 は、車両の挙動を安定さ
せることのできる圧力であるから、走行安定性が損われ
ることはない。なお、過渡的な安定性を確実にする必要
がある場合には、P0 の圧力への変化をある程度の時間
をかけてゆっくり行えばよい。係合油圧PCDを上記の圧
力P0 に設定した後、t2 時点でフェイルランプを点灯
し、その後、係合油圧PCDがゆっくり低下する。
【0019】したがって入力センサーのフェイル時に、
差動制限クラッチ24の係合油圧PCDが極端に高くなっ
たり、あるいは反対に低くなったりすることがないた
め、車両の挙動が不安定になることが防止される。また
前後輪への駆動力の分配率を変える差動制限の中止は、
センサーの異常をフェイルランプによって運転者に知ら
せた後に行うので、車両の状態に応じた運転が可能にな
るため走行安定性を確保することができる。
差動制限クラッチ24の係合油圧PCDが極端に高くなっ
たり、あるいは反対に低くなったりすることがないた
め、車両の挙動が不安定になることが防止される。また
前後輪への駆動力の分配率を変える差動制限の中止は、
センサーの異常をフェイルランプによって運転者に知ら
せた後に行うので、車両の状態に応じた運転が可能にな
るため走行安定性を確保することができる。
【0020】なお、上記の実施例では、フェイルランプ
を点灯することで警報を発することとしたが、この発明
は、上記の実施例に限定されるものではなく、ランプ以
外の手段でセンサーのフェイルを運転者に知らせる構成
としてもよい。また上記の実施例では、前後輪への駆動
力の分配を遊星歯車式のトランスファによって行い、か
つその差動制限をクラッチによって行って駆動力の分配
率を変えるよう構成したが、この発明は上記の実施例に
限定されるものではなく、要は、クラッチの係合圧に応
じて前後輪への駆動力の分配率を変えるよう構成してあ
ればよい。
を点灯することで警報を発することとしたが、この発明
は、上記の実施例に限定されるものではなく、ランプ以
外の手段でセンサーのフェイルを運転者に知らせる構成
としてもよい。また上記の実施例では、前後輪への駆動
力の分配を遊星歯車式のトランスファによって行い、か
つその差動制限をクラッチによって行って駆動力の分配
率を変えるよう構成したが、この発明は上記の実施例に
限定されるものではなく、要は、クラッチの係合圧に応
じて前後輪への駆動力の分配率を変えるよう構成してあ
ればよい。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなようにこの発明
によれば、センサーがフェイルした場合、前後輪への駆
動力の分配率を変えるクラッチの締結力を、車両の挙動
が安定する締結力に一旦、設定するので、前後輪への駆
動力の配分が路面状態や走行状態に対して極端に乖離し
たものとならず、また駆動力走行状態に基づいた配分制
御の中止は、センサーのフェイルを運転者に告知した後
に行うので、車両の状態に応じた運転が可能になり、し
たがってこの発明によれば、センサーがフェイルした場
合の走行安定性を確保することができる。
によれば、センサーがフェイルした場合、前後輪への駆
動力の分配率を変えるクラッチの締結力を、車両の挙動
が安定する締結力に一旦、設定するので、前後輪への駆
動力の配分が路面状態や走行状態に対して極端に乖離し
たものとならず、また駆動力走行状態に基づいた配分制
御の中止は、センサーのフェイルを運転者に告知した後
に行うので、車両の状態に応じた運転が可能になり、し
たがってこの発明によれば、センサーがフェイルした場
合の走行安定性を確保することができる。
【図1】この発明の基本的な構成を示すブロック図であ
る。
る。
【図2】この発明の一実施例を模式的に示すブロック図
である。
である。
【図3】差動制限クラッチの係合油圧の制御ルーチンを
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【図4】ヨーレート偏差に基づく補正係数を示す線図で
ある。
ある。
【図5】前後輪の回転数差に基づく差動制限クラッチの
係合油圧を示す線図である。
係合油圧を示す線図である。
【図6】前後輪の回転数差と差動制限クラッチの実際の
係合油圧との関係をヨーレート偏差をパラメータとして
示す線図である。
係合油圧との関係をヨーレート偏差をパラメータとして
示す線図である。
【図7】センサーがフェイルした場合の係合油圧の制御
ルーチンの一例を示すフローチャートである。
ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】センサーがフェイルした場合の差動制限クラッ
チの係合油圧の変化を示す線図である。
チの係合油圧の変化を示す線図である。
1 前輪 2 後輪 3 クラッチ 4 センサー 5 異常検出手段 6 警報出力手段 7 締結力設定手段
Claims (1)
- 【請求項1】 前後輪への駆動力の分配率を変えるクラ
ッチの締結力を、車両の走行状態を検出するセンサーの
検出値に基づいて制御する四輪駆動車の駆動力配分装置
において、 前記センサーの異常を検出する異常検出手段と、この異
常検出手段がセンサーの異常を検出したときにセンサー
の異常を告知する警報を出力する警報出力手段と、前記
異常検出手段がセンサーの異常を検出したときに前記ク
ラッチの締結力を車両の挙動を安定させる締結力に設定
し、かつ前記警報出力手段が警報を出力した後にクラッ
チの締結力を徐々に低下させる締結力設定手段とを備え
ていることを特徴とする四輪駆動車の駆動力配分装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25382992A JPH0672171A (ja) | 1992-08-28 | 1992-08-28 | 四輪駆動車の駆動力配分装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25382992A JPH0672171A (ja) | 1992-08-28 | 1992-08-28 | 四輪駆動車の駆動力配分装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0672171A true JPH0672171A (ja) | 1994-03-15 |
Family
ID=17256715
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25382992A Pending JPH0672171A (ja) | 1992-08-28 | 1992-08-28 | 四輪駆動車の駆動力配分装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0672171A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1356975A2 (en) | 2002-04-23 | 2003-10-29 | Toyoda Koki Kabushiki Kaisha | Torque distribution control device for four-wheel drive vehicle |
-
1992
- 1992-08-28 JP JP25382992A patent/JPH0672171A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1356975A2 (en) | 2002-04-23 | 2003-10-29 | Toyoda Koki Kabushiki Kaisha | Torque distribution control device for four-wheel drive vehicle |
US6842681B2 (en) | 2002-04-23 | 2005-01-11 | Toyoda Koki Kabushiki Kaisha | Torque distribution control device for four-wheel drive vehicle |
EP1356975B1 (en) * | 2002-04-23 | 2009-12-16 | Jtekt Corporation | Torque distribution control device for four-wheel drive vehicle |
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