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JPH06323185A - 空燃比制御装置 - Google Patents

空燃比制御装置

Info

Publication number
JPH06323185A
JPH06323185A JP11176893A JP11176893A JPH06323185A JP H06323185 A JPH06323185 A JP H06323185A JP 11176893 A JP11176893 A JP 11176893A JP 11176893 A JP11176893 A JP 11176893A JP H06323185 A JPH06323185 A JP H06323185A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air
fuel ratio
concentration sensor
oxygen concentration
ion concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11176893A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisashi Oki
久 大木
Norihiko Nakamura
徳彦 中村
Tatsuo Kobayashi
辰夫 小林
Makoto Ueno
真 上野
Shigeki Miyashita
茂樹 宮下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP11176893A priority Critical patent/JPH06323185A/ja
Publication of JPH06323185A publication Critical patent/JPH06323185A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 燃焼ガスの空燃比を基に内燃機関に供給する
混合気をフィードバック制御する空燃比制御装置に関
し、内燃機関の始動直後から運転状態の過渡期に至るま
で高精度な空燃比制御を実行すること。 【構成】 酸素濃度センサが活性化していない場合はイ
オン濃度センサによる空燃比制御を実行する(ステップ
100〜130)。活性化している場合は内燃機関が過
渡状態であるかを見る(ステップ140)。過渡状態で
ない場合は、安定した出力特性を有する酸素濃度センサ
の検出値に基づいて空燃比制御を実行する(ステップ1
80,190,130)。過渡状態である場合は、応答
性に優れたイオン濃度センサの検出値を主とし、その検
出値を酸素濃度センサで補正して、時間おくれのない空
燃比制御を実行する(ステップ150〜170,13
0)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は空燃比制御装置に係り、
特に燃焼ガスの空燃比を検出して、その空燃比を基に内
燃機関に供給する混合気を所定の空燃比にフィードバッ
ク制御する空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車載用内燃機関においては、
大気中に排出される排気ガスのエミッションを良好に維
持するために、排気通路中に排気ガス浄化作用を有する
触媒コンバータを配設する構成が広く用いられている。
この触媒コンバータには、排気ガス中に含まれる一酸化
炭素COや炭化水素HC等の未燃成分、若しくは窒素酸
化物NOx等に代表される酸化物を有効に除去できるこ
とが要求される。
【0003】かかる要求を満たすため、一般に車載用内
燃機関の触媒コンバータとしては三元触媒を包含してな
るものが用いられている。ここで三元触媒は、排気ガス
中に酸素が過剰に含まれている場合は、その酸素を吸着
し、排気ガス中に酸素が不足している場合は吸着してい
た酸素を放出する部材である。
【0004】つまり、空燃比が燃料リーンである場合に
は、排気ガス中に存在するNOx等の酸化物から酸素を
奪って還元作用を発揮し、空燃比が燃料リッチである場
合には、排気ガス中に酸素を放出してCOやHC等の未
燃成分を酸化する作用を発揮することにより、排気ガス
の浄化を行う部材である。
【0005】従って、触媒コンバータ通過後において良
好な排気エミッションを確保するためには、三元触媒の
酸素吸着能力の範囲内で酸素の授受が続行されることが
必要である。そして、そのためには内燃機関から触媒コ
ンバータに流入する排気ガスの空燃比を、理論空燃比を
中心として燃料リッチと燃料リーンを繰り返すように制
御することが必要である。その空燃比がリッチまたはリ
ーンの何方かに大きく偏ると、燃焼ガス中の酸素過多量
または不足量が三元触媒の酸素吸着能力では吸収しきれ
なくなる場合が生ずるからである。
【0006】このため、上記した触媒コンバータを備え
る内燃機関においては、精度良く空燃比制御を実行でき
るとして公知の空燃比フィードバック制御が広く行われ
ている。この空燃比フィードバック制御とは、燃焼ガス
の空燃比を検出する空燃比センサを内燃機関の排気系に
配し、その検出値に基づいて内燃機関に供給する燃料の
量を微調整するものである。
【0007】かかる空燃比フィードバックセンサを実現
する空燃比センサとしては、従来より酸素濃度センサが
広く用いられている。この酸素濃度センサは、雰囲気中
の酸素濃度に応じた電流を発生するセンサで、燃焼ガス
の空燃比を容易かつ直接的に検出することができる。
【0008】しかしながら、この酸素濃度センサを用い
て空燃比制御を行う構成において、安定した検出精度の
確保するためには、燃焼ガスが均一になるまで十分に混
合された後に空燃比測定を行う必要があり、燃焼室と酸
素濃度センサとの間には適当な距離を要する。このた
め、酸素濃度センサによる空燃比の検出には、時間的遅
れを伴うことが避けられなかった。
【0009】このような時間的遅れは、内燃機関の運転
状態が定常状態にある場合にはなんら問題となることは
ないが、車両に対する加減速の要求に伴ってその運転状
態が変化する状況下では、大きく制御精度を悪化させる
こととなる。
【0010】更に、従来一般に用いられている酸素濃度
センサは、その出力特性が環境温度によって変動するも
のであり、所定の活性化温度領域に達するまでは全く出
力を発しないものであった。このため、かかる酸素濃度
センサを用いて空燃比制御装置を構成した場合、内燃機
関が始動した後酸素濃度センサが適当に加熱されて所定
温度に達するまでの間は空燃比フィードバック制御を実
行することができないという問題があった。
【0011】このように、酸素濃度センサを用いた空燃
比制御装置には、種々の問題が存在し、必ずしも理想的
な空燃比フィードバック制御を実現し得るのもではなか
った。これに対して特開平4−194336号公報は、
かかる空燃比制御装置の特性を改善すべく、燃焼室内に
おいて混合気が燃焼する際に発生する電離イオンの濃度
に基づいて空燃比を算出する空燃比制御装置について開
示している。
【0012】上記公報記載の装置は、内燃機関を構成す
る各気筒毎に公知のイオン濃度センサを設置して、各気
筒毎に燃焼に伴って発生するイオン濃度を検出するもの
である。この場合、イオン濃度センサの検出対象である
電離イオンは、酸素濃度と異なり燃焼ガスが十分に混合
されていなくても安定した検出が可能である。
【0013】このため、上記したように各気筒の燃焼室
内における空燃比検出が可能となり、混合気の燃焼後ほ
とんど時間的遅れなしに、かつ各気筒毎に正確な検出が
可能となる。更に、かかるイオン濃度センサは、従来の
酸素濃度センサと異なり活性化に時間を要することもな
く、内燃機関の始動後即座に正確な空燃比の検出が開始
できる。このため、内燃機関の始動直後から空燃比フィ
ードバック制御を実行することも可能となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
空燃比制御装置においては、イオン濃度センサが内燃機
関の各気筒燃焼室内に露出した状態で配設することが必
須要件である。そして、かかる環境下では混合気の燃焼
に伴って発生する“すす”等がイオン濃度センサに付着
することなる。
【0015】このような“すす”等が付着した場合、イ
オン濃度センサは、その構造上出力特性を変化させるこ
とが知られている。従って、上記従来の空燃比制御装置
の如く何らの較正手段も備えずに、イオン濃度センサが
発するイオン濃度信号を直接空燃比制御に用いる構成で
は、その出力特性が変化した場合には正確な制御を続行
することができなくなるという問題がある。
【0016】つまり、イオン濃度センサの検出値を基に
空燃比を算出する従来の空燃比制御装置は、内燃機関の
始動後即座に空燃比制御が開始でき、かつ時間的な遅れ
のないリアルタイム性に優れた空燃比制御を実行できる
反面、検出した空燃比の信憑性に欠け、結局高精度な空
燃比制御が実現できないという問題を有していた。
【0017】また、イオン濃度センサの空燃比に対する
出力値は、常用空燃比領域においてピーク値を有してい
る。すなわち、測定対象の空燃比がピーク値を示す空燃
比よりリーンとなるほどまた、測定対象の空燃比がピー
ク値を示す空燃比よりリッチとなるほどイオン濃度セン
サの出力値は小さくなる。
【0018】従って、イオン濃度センサの出力値がピー
ク値を示していない限り、その出力値に対応する空燃比
が、リッチ側とリーン側とにそれぞれ考えられ、その出
力値のみからではいずれの空燃比が検出されているのか
が特定できない事態が生ずる。特に、内燃機関の運転状
態が過渡状態にある場合は、吸気ポートに付着する燃料
の量や吸気管負圧の大きさ等が相互に作用して大きく空
燃比が変動するため、イオン濃度センサの出力値のみに
基づいて正確に空燃比を判断することは困難な場合があ
る。
【0019】このように、上記従来の装置においては、
イオン濃度センサを用いて空燃比を検出することにより
実現し得る優れた特性を十分に発揮することができず、
結局、内燃機関の始動直後から、また内燃機関の過渡運
転時において、高精度な空燃比制御を実現するという目
的が達成できないという問題を有していた。
【0020】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、イオン濃度センサと酸素濃度センサとを併用
し、適宜両センサの検出値を組み合わせて、または選択
的に用いることにより上記の課題を解決し得る空燃比制
御装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】図1は、上記の目的を達
成する空燃比制御装置の原理構成図を示す。すなわち、
図1(A)に示すように、内燃機関の燃焼ガス中の酸素
濃度を検出する酸素濃度センサ1を備え、該酸素濃度セ
ンサ1の検出値に基づいて内燃機関に供給する混合気の
空燃比をフィードバック制御する空燃比制御装置におい
て、前記酸素濃度センサ1が所定の活性状態に達してい
るか否かを検出する酸素濃度センサ活性検出手段2と、
前記内燃機関の燃焼室内に発生するイオンの濃度を検出
するイオン濃度検出手段3と、前記酸素濃度センサ1が
所定の活性状態に達していない場合には、前記イオン濃
度検出手段3で検出されたイオン濃度に基づいて燃焼ガ
スの空燃比を算出し、該算出値に応じて前記内燃機関に
供給する混合気の空燃比制御を行う空燃比制御手段4と
を備える空燃比制御装置によれば、内燃機関の始動開始
直後から高精度な空燃比制御が実現される。
【0022】また、図1(B)に示すように、内燃機関
の運転状態が所定水準を越える過渡状態であるか否かを
検出する過渡状態検出手段5を備え、該過渡状態検出手
段5により所定水準を越える過渡状態が検出された場合
には、前記酸素濃度センサ1で検出された酸素濃度と、
前記イオン濃度検出手段3で検出されたイオン濃度とに
基づいて燃焼ガスの空燃比を算出し、該算出値に応じて
内燃機関に供給する混合気の空燃比制御を行う空燃比制
御手段6とを備える空燃比制御装置によれば、過渡運転
時における高精度な空燃比フィードバック制御が実現さ
れる。
【0023】
【作用】上記図1(A)に示す空燃比制御装置におい
て、前記イオン濃度検出手段3は、内燃機関が始動する
と即座に燃焼ガス中のイオン濃度の検出を開始する。一
方、前記酸素濃度センサ1は、内燃機関が始動した後所
定の活性化温度領域に到達するまでの間は燃焼ガス中の
酸素濃度の検出ができない反面、活性化温度領域に達し
た後には、高精度にその酸素濃度を検出する。
【0024】また、前記空燃比制御手段4は、前記酸素
センサ活性検出手段2の検出信号に基づいて、前記酸素
濃度センサ1が活性化されているか否かを判断し、まだ
活性化されていないと判断した場合には前記イオン濃度
検出手段3の検出値を基に燃焼ガスの空燃比を算出す
る。また、前記酸素濃度センサ1がすでに活性化されて
いると判断した場合には、前記酸素濃度センサ1の検出
値を基に燃焼ガスの空燃比を算出する。
【0025】従って、上記図1(A)の空燃比制御装置
を備える内燃機関においては、始動直後から前記イオン
濃度検出手段3の検出値に基づく空燃比制御が開始さ
れ、かつ前記酸素濃度センサ1が活性化した後には、前
記酸素濃度センサ1の検出値に基づいた高精度な空燃比
制御が実行される。
【0026】また、図1(B)に示す空燃比制御装置に
おいて、前記過渡状態検出手段5により所定水準を越え
る過渡状態が検出された場合、前記空燃比制御手段6
は、前記イオン濃度検出手段3の検出値を、時間遅れの
ない現実の空燃比を表す値として取り込む。この際、前
記空燃比制御手段6は、前記酸素濃度センサ1の検出値
をも取り込み、燃焼ガスが燃料リッチ側であるのか燃料
リーン側であるのかを判断する。
【0027】この結果、内燃機関の運転状態の変動に伴
って燃焼ガスの空燃比が大幅に変動するにもかかわら
ず、前記イオン濃度センサ3の検出値が、燃料リッチ側
の空燃比を表すのか、あるいは燃料リーン側の空燃比を
表すのかの判断が可能となる。従って、上記図1(B)
の空燃比制御装置を備える内燃機関においては、内燃機
関の運転状態が過渡的に変化している場合にも、高精度
な空燃比制御が実行される。
【0028】
【実施例】図2は、本発明に係る内燃機関の燃料噴射装
置の一実施例の構成を表す全体図を示す。本実施例装置
を備える内燃機関10のシリンダヘッド11の中央部に
は点火プラグ12が配設されている。そして、内燃機関
10の燃焼室を構成するシリンダ13の外壁には、ウォ
ータジャケット内を流通する冷却水の温度を検出する水
温センサ14が配設されている。
【0029】内燃機関10の吸気孔には吸気管15が連
通している。この吸気管15には、吸入空気の脈動を吸
収するサージタンク16、アクセルペダル(図示せず)
と連動して吸入空気量を調整するスロットルバルブ1
7、及び吸入空気量を検出するエアフロメータ18が設
けられている。そして、サージタンク16には、その内
圧を測定する吸気圧センサ19が、またスロットルバル
ブ17には、その開度を検出するスロットルセンサ20
が設置されている。
【0030】また、符号21は燃料を吸気管15内に供
給するインジェクタを示す。このインジェクタ21には
周知の燃料系統(図示せず)から所定の圧力で燃料が供
給されている。そして、供給される燃料は、インジェク
タ21内を通ってその先端に設けられた燃料噴射孔に導
かれる。
【0031】燃料噴射孔には、後述の電子制御装置(E
CU)40から供給される駆動信号に応じて開閉する燃
料噴射弁が設けられている。従って、かかる燃料噴射弁
を適当に開弁させると、その開孔時間に応じた燃料が間
欠的に噴射され、その開弁時間を適当にデューティ制御
すれば、単位時間当たりの燃料噴射量を容易に変更する
ことができる。
【0032】また内燃機関10の排気孔に連通する排気
管22には、排気ガス中に含有されるHC,CO等の未
燃成分及びNOx等の酸化物を浄化する触媒コンバータ
として、マニホールド触媒コンータ23及びアンダフロ
ア触媒コンバータ24が連通している。
【0033】ここで、触媒コンバータ16を2段重ねる
構成を採用しているのは、触媒の持つ酸素吸着能力を十
分に確保して、より良好な排気エミッションを得るため
である。従って、必ずしも2段重ねて設ける必はなく、
何方か一方のみを配設する構成を採用してもよい。
【0034】ディストリビュータ25は図示されないク
ランクシャフトに連動すると共に、ECU40から供給
される点火信号に従って、各気筒点火プラグ12に高電
圧の点火信号を分配する。また、ディストリビュータ2
3には、クランクシャフトの回転状態を検出するクラン
ク角センサ26,27が設けられている。
【0035】ここで、クランク角センサ26は、クラン
クシャフトが2回転(内燃機関1サイクル)する間に所
定回数、例えば24回のパルス信号を出力する。また、
クランク角センサ27は、クランクシャフトが2回転す
る間に一回のパルス信号を出力する。そして、電子制御
装置40は、これら両クランク角センサ24,25の出
力信号を組み合わせて、単位時間当たりのクランクシャ
フトの回転数と、クランクシャフトの回転位置とを検出
する。
【0036】ところで、図2に示す内燃機関10は、マ
ニホールド触媒コンバータ23の上流に排気温センサ2
8共に、酸素濃度センサ29を備えている。この場合に
おいて排気温センサ28は、触媒コンバータ23,24
が過熱状態とならないよう、内燃機関10から排出され
る排気ガスの温度を適当に制御するために設置されたも
のである。
【0037】酸素濃度センサ29は、内燃機関10から
排出された排気ガス中の酸素濃度センサを検出するセン
サである。この酸素濃度は、排気ガスの空燃比を表す特
性値であり、所定の酸素濃度が維持されるように燃料の
供給量を制御すれば、触媒コンバータ23,24へ向け
て排出される排気ガスを理論空燃比付近に制御すること
が可能となる。
【0038】また、本実施例においては、燃焼ガスの空
燃比を検出する手段として、酸素濃度センサ29に加
え、内燃機関10の燃焼室30にその検出部を露出させ
た状態で、イオン濃度センサ31を配設している。この
イオン濃度センサ31は、雰囲気中に存在する電離イオ
ンの濃度に応じたイオン電流を発生するセンサとして知
られるものであり、燃焼室30内で混合気が燃焼する際
に生じるイオン濃度の検出のために配設されている。
【0039】すなわち、内燃機関においては、燃焼室内
で混合気が燃焼する際、C3H3 + ,COH + , H3O + ,H
5O2 + ,C2HO+ 等の電離イオンが発生し、その濃度は燃
焼した混合気の空燃比に対応した値を示すことが知られ
ている。従って、このイオン濃度を検出することができ
れば、混合気の空燃比を検出することが可能である。本
実施例におけるイオン濃度センサ31は、かかる要求を
満たす手段として配設されたものである。
【0040】そして、ECU40は、上記した水温セン
サ14,エアフロメータ18,吸気圧センサ19,スロ
ットルセンサ20,排気温センサ28等の検出値に基づ
いて内燃機関10に供給する混合気の空燃比として算出
した基準値を、酸素濃度センサ29及びイオン濃度セン
サ31の検出値に基づいて補正し、各気筒の吸気工程に
おいて、所望の噴射量が供給されるべくインジェクタ2
2に駆動信号を供給する。
【0041】次に図3〜図8を参照して、イオン濃度セ
ンサ31の出力特性と、その出力信号を処理して適切な
空燃比信号とするための検出回路について詳細に説明す
る。
【0042】図3は、イオン濃度センサ31の出力信号
を処理するためにECU40内に設けられた回路の構成
図を示す。同図に示すように、イオン濃度センサ31
は、電源41により直流駆動されており、その一方の端
子には電源電圧Eが供給されている。
【0043】また、イオン濃度センサ31の他方の端子
は、接地レベルの電位が維持されるべくアースされると
共に、所定の抵抗値Rcを有する抵抗器42及び入力イ
ンピーダンスRinを有する検出回路43の入力端子に接
続される。そして、これら抵抗器42の他端及び検出回
路43の他方の入力端子は、共に電源41の負極端子に
接続される。
【0044】内燃機関10の燃焼室30に露出したイオ
ン濃度センサ31にかかる結線を施した場合、燃焼室3
0内に電離イオンが発生すると、イオン濃度センサ31
にはそのイオン濃度に応じた電流Igが流通する。イオ
ンセンサ31に電流Igが流通すると、その電流は抵抗
器42及び検出回路43に分流して電源41の負極端子
に通じる閉ループを流通することになる。
【0045】従って、抵抗器42(または検出回路4
3)の両端電圧をVcとすると、イオン濃度センサ31
を流通する電流Igは下記のように表すことができる。
【0046】 Ig=Vc・(1/Rc+1/Rin) ・・・(1) ここで、上記したようにRc及びRinについては、所定
値の設定値であり定数であるから、結局Vcが検出でき
れば、イオン濃度センサ31を流通する電流Igを算出
できることになる。すなわち本実施例の検出回路43
は、その入力端子間に発生した電位差を出力する回路
で、イオン濃度センサ31の設置される燃焼室30で混
合気が燃焼した場合、例えば図4に示す如き波形の信号
を出力する。
【0047】尚、図4に示す波形は、燃焼室30内にお
いてえ時刻t1 に爆発工程における点火が実行された場
合の信号であり、図4中斜線で示す部分が、燃焼に伴っ
て発生した電離イオンに起因して生じた電圧信号であ
る。
【0048】信号処理回路44は、検出回路43から供
給されるかかる電圧信号を、空燃比の演算がし易いよう
に処理する回路である。図5は、その処理の一例として
検出回路43から供給される電圧信号のピーク値をホー
ルドする処理を行った際の信号波形を示している。
【0049】この場合、信号処理回路43では、先ず図
5(A)に示すように検出回路43から供給される電圧
信号から、電離イオンの発生に起因して発生する信号部
分(上記図4における斜線部分)だけを取り出す処理を
行う。イオン濃度センサ31の接地性等の影響により、
図4に示す如くバイアス電圧が重畳する場合にあるから
である。
【0050】そして、その処理を行った後の電圧波形の
ピーク値をホールドして、空燃比の演算を行う演算回路
45が確実に信号を取り込めるだけの時間を確保してい
る。この場合において、本実施例においては、図5に示
すように時刻t1 (またはt 11)が点火時期であれば、
クランク角センサ26、27から供給されるクランク角
信号に基づいてその前後に所定の時刻t2 (t12)及び
3 (t13)を設定し、その間をデータ取り込み期間と
している。
【0051】イオン濃度センサ31の配設された燃焼室
30で爆発工程が行われている期間以外に発せられる電
圧信号を無視するためである。この結果、信号処理回路
44から出力される信号は、図5(B)に示すように、
リセット時刻として設定されたt4 (t14)においてリ
セットされるまで確実に電離イオン濃度を表す電圧値に
維持される。
【0052】このため、演算回路45においては、信号
処理回路44から供給される電圧信号を、そのまま空燃
比に対応させて読み込むことができる。すなわち、上記
したように信号処理回路44においてピークホールド処
理を行う場合、そのピーク電圧値と、その電圧値が発生
した際に燃焼室30内で燃焼した混合気の空燃比との間
には図6に示すような関係が成立する。従って、かかる
関係を予めマップとして記憶しておけば、信号処理回路
44から供給される処理信号ピーク値に基づいて、燃焼
した混合気の空燃比を算出できることとなる。
【0053】また、図7は、信号処理回路44において
検出回路43から供給される電圧信号を積分処理するこ
とにより、演算回路45が読み込むだけの時間を確保し
た場合の信号波形を示している。
【0054】すなわち、この処理例を行う場合、信号処
理回路44では上記したピークホールドによる場合と同
様に、先ず検出回路43から供給される電圧信号からオ
フセット電圧を除去する(図7(A))。そして、クラ
ンク角センサ26,27の検出信号に基づいて設定した
所定の取り込み時期に入力された信号を積分し、図7
(B)に示す如き波形とする。
【0055】この場合、図7(B)に示す信号の波高値
は、イオン濃度センサ31の配設される燃焼室内30に
発生した電離イオンに起因してイオン濃度センサ31を
流通した電流Igの積分値に相当し、上記図5に示す信
号処理ピーク値と同様混合気の空燃比の代用特性値とな
る。
【0056】図8は、燃焼した混合気の空燃比と、それ
に対して発生した処理信号積分値との関係を表してい
る。同図に示すように、かかる構成を採った場合もピー
クホールド処理を行った場合と同様の特性を得ることが
でき、演算回路45における高精度な空燃比検出が可能
となる。
【0057】ところで、本実施例におけるイオン濃度セ
ンサ31は、上記したように燃焼室30内にその検出部
を露出させた状態で設置されている。つまり、イオン濃
度センサ31の検出するイオン濃度にれば、現に燃焼し
た混合気についてのイオン濃度の検出が可能であり、排
気管22に配設された酸素濃度センサ22に比べて極め
て優れたリアルタイム性を有している。
【0058】また、酸素濃度センサ29は、その温度が
所定の活性化温度領域に達していないと酸素濃度の検出
ができないのに対して、イオン濃度センサ31にはかか
る制限はなく、内燃期間10が冷間始動した直後であっ
ても安定したイオン濃度の検出が可能である。
【0059】従って、イオン濃度センサ31の検出する
イオン濃度に基づいて空燃比制御を実行することとすれ
ば、従来酸素濃度センサ29によっては実現できなかっ
た空燃比制御、すなわち内燃機関の始動直後から所定の
期間における空燃比制御及び内燃機関の運転状態が過渡
的に変化している際の時間遅れのない空燃比制御が実現
可能となる。
【0060】ところが、上記図6及び図8に示すよう
に、イオン濃度センサ31の検出値、すなわち信号処理
回路44の出力値は、常用空燃比領域にピーク値を有す
る特性を示す。このため、内燃機関10に供給されてい
る混合気の空燃比が大きく変動する状況下においては、
信号処理回路44の検出値(図6,8中、I)が、リッ
チ側の空燃比(図6,8中、A)を検出した結果なのか
リーン側の空燃比(図6,8中、B)を検出した結果な
のかが特定できない場合が生ずる。
【0061】つまり、図9(A)に示すように時刻t1
において加速のためスロットルバルブ17の開度(以
下、スロットル開度と称す)が大きくなると、それに伴
って内燃機関10に供給される混合気の空燃比(図9
(C))は通常リーン側へ偏る。加速時においては、適
切な量として演算した燃料を噴射する段階では、更に多
量の燃料が必要となっている場合があり、また燃料噴射
量が増加された直後においては、吸気ポート周辺への付
着量が増加するだけで燃焼室30内に流入する燃料の量
の増加に直接結びつかないからである。
【0062】一方、かかる状態から急に減速されるよう
な場合は、スロットル開度が小さくなると同時に(図9
(A)中、時刻t2 )空燃比(図9(C))はリッチ側
へ偏る。スロットル開度が小さくなると共に吸気負圧が
大きくなり、吸気ポート付近に付着していた燃料が急激
に気化するからである。
【0063】尚、図10は、かかる状況における空燃比
(図10(A))と、排出される燃焼ガス中のHC濃度
(図10(B))を測定した結果を示しているが、同図
よりその空燃比及びHC得ミッションが大幅に変動する
ことが判る。
【0064】このように、内燃機関10に供給される混
合気の空燃比は、運転状態が変化する場合には、その運
転状態に応じて大幅に変動する。更に、図9中、時刻t
3 〜t5 に示すように急加速・急減速が繰り返された場
合は、時刻t5 において加速に移行しているにもかかわ
らず、減速時に吸気ポートに付着した燃料の影響で燃料
リッチが持続されるような場合も生ずる。
【0065】かかる場合には、内燃機関10の運転状態
からは、空燃比がリッチ側に偏っているかリーン側に偏
っているかを判断することはできず、イオン濃度センサ
31の検出値が、リッチ側の空燃比を示しているのか、
あるいはリーン側の空燃比を示しているのかを特定する
ことは不可能である。
【0066】そこで、本実施例の空燃比制御装置におい
ては、イオン濃度センサ31と酸素濃度センサ29とを
併用することとし、内燃機関10の運転状態が過渡状態
にあるときは、イオン濃度センサ31から供給される時
間遅れのない検出値が示す空燃比を、酸素濃度センサ2
9から供給される検出値に基づいて特定することとし
た。
【0067】以下、図11に示す演算回路45が実行す
るルーチン処理のフローチャートを参照して、本実施例
装置の動作について説明する。
【0068】図11に示すように、このルーチンが起動
すると先ずステップ100において酸素センサ29が活
性化しているか否かを判別する。活性化しているか否か
は、酸素濃度センサ29の温度を測定し、その温度が活
性化温度領域、例えば200℃に達しているか否かで判
断することができる。
【0069】かかる判別を行うのは、酸素濃度センサ2
9が活性化温度領域に達していなければ、イオン濃度セ
ンサ31と酸素濃度センサ29とを併用する空燃比制御
は実行できないからである。従って、ステップ100に
おいて酸素濃度センサ29が活性化温度領域に達してい
ないと判別された場合は、両センサの併用による空燃比
制御は実行しない。
【0070】ところで、酸素濃度センサ29が活性化温
度領域に達していないと判別されるのは、内燃機関10
が始動された後所定の期間だけである。また、かかる間
は、一般に内燃機関10の早期暖機を目的とした燃料増
量補正が行われている。従って、酸素濃度センサ29に
よる検出を行うまでもなく空燃比はリッチ側に偏ってい
ると判断することができる。
【0071】そこで、本実施例においては、酸素濃度セ
ンサが活性化されていないと判別された場合、ステップ
110へ進みイオン濃度センサ31単独での空燃比制御
を行うこととした。すなわち、ステップ110において
燃焼室30内に発生するイオン濃度を検出する。
【0072】そして、その検出が終了したら、ステップ
120へ進み上記図6または図8に示す如きマップを参
照して、各燃焼室30で燃焼した混合気の空燃比を算出
する。以後、ステップ130において、算出した空燃比
に基づいて公知の空燃比フィードバック制御を実行して
今回の処理を終了する。
【0073】このように、本実施例の空燃比制御装置に
よれば酸素濃度センサ29が活性化するまでの間におい
ても、イオン濃度センサ31によって確実な空燃比制御
を実行することができる。
【0074】尚、本実施例においては、内燃機関の始動
直後において燃料増量補正を行うことから燃料がリッチ
側に偏っていると判断する構成としたが、これに限るも
のではなく、その間の空燃比を強制的にリッチ側または
リーン側に偏らせる構成であればよい。
【0075】一方、上記ステップ100において酸素濃
度センサ29が活性化されていると判別された場合は、
ステップ140へ進んで内燃機関10が過渡状態である
か否かを判別する。過渡状態であれば、上記したように
酸素濃度センサ29とイオン濃度センサ31とを併用し
た空燃比制御を実行する必要がある反面、過渡状態でな
い場合は、後述のように酸素濃度センサ29単独で空燃
比制御を実行することが好ましいからである。
【0076】従って、ステップ140において過渡状態
であると判別された場合は、ステップ150へ進んでイ
オン濃度センサ31によるイオン濃度の検出値を取り込
み、続くステップ160で酸素濃度センサ29による酸
素濃度の検出値を取り込む。
【0077】そして、これらのデータの取り込みが終了
したら、ステップ170において、上記した図6または
図8に示す如きマップをそれらの検出値で参照して、過
渡状態における内燃機関10で燃焼した混合気の空燃比
を特定する。以後、ステップ130において、特定した
空燃比に基づいて公知の空燃比フィードバック制御を実
行して今回の処理を終了する。
【0078】かかる処理を行うことにより、内燃機関1
0の運転状態が過渡的に変動している場合において、各
燃焼室30で燃焼した混合気の空燃比をリアルタイムに
検出することが可能となり、各気筒に供給すべき燃料の
量が刻々と変動しているにもかかわらず、極めて高精度
に要求される量を供給することが可能となる。
【0079】ところで、本実施例装置において内燃機関
10が過渡状態ではないと判断された場合は、上記した
ように酸素濃度センサ29単独による空燃比制御が実行
される。すなわち、ステップ140において内燃機関1
0が過渡状態でないと判別されると、ステップ180へ
進み、酸素濃度センサ29による酸素濃度の検出が実行
される。
【0080】そして、その検出が終了すると、ステップ
190へ進み検出した酸素濃度に基づいて空燃比の算出
を行い、以後、ステップ130において算出した空燃比
に基づいた空燃比フィードバック制御を実行して今回の
処理を終了する。
【0081】かかる処理を行うこととしたのは、内燃機
関10が定常状態にある場合は、イオン濃度センサ31
の検出値によるよりも、酸素濃度センサ29の検出値に
基づいて空燃比を算出するほうが良好な精度が確保でき
るからである。つまり、酸素濃度センサ29に基づく空
燃比制御における問題は、酸素濃度センサ29が活性化
されるまで制御が開始できないことと、混合気が燃焼し
てから酸素濃度が検出れるまでにある程度の時間を要す
ることである。
【0082】従って、酸素濃度センサ29が活性化さ
れ、かつ内燃機関が定常運転されている、すなわち燃料
供給量がほぼ一定である場合には、酸素濃度センサ29
による空燃比制御にはなんらの欠点も認められないこと
になる。
【0083】これに対して、図12に示すようにイオン
濃度センサ31の出力特性は、実線で示す新品特性と、
破線で示す経時品特性とを比較して明らかなように、使
用に伴ってその出力値が低下する傾向にある。この傾向
は、イオン濃度センサ31のイオン濃度検出部に燃料の
燃焼時に生ずる“すす”が付着することに起因するもの
で、イオン濃度センサ31を用いて空燃比の検出を行う
場合には避けられない構成である。
【0084】このように、イオン濃度センサ31は、そ
の応答性、取扱い性の面では酸素濃度センサ29に勝る
ものの、検出値の安定性の面では酸素濃度センサ29が
勝っている。本実施例において、内燃機関10が定常運
転している場合には酸素濃度センサ29単独による空燃
比制御を実行することとしたのは、かかる両センサの得
失を併せ考慮したものである。
【0085】ところで、上記したようにイオン濃度セン
サ31の出力特性が経時的に変化するものである以上、
イオン濃度センサ31の検出値に基づいて行うこととし
た空燃比制御、すなわち内燃機関10の始動直後、及び
内燃機関10の過渡運転時における空燃比制御において
良好な精度を確保するためには、何らかの手だてを講ず
る必要がある。
【0086】そこで、本実施例においては、図13に示
すように経時的に変化したイオン濃度センサ31の出力
特性を、新品時における出力特性に正規化する補正を行
うこととした。この補正は、酸素濃度センサ29の検出
値を基準としてイオン濃度センサ31の出力特性を監視
し、随時その特性を学習補正するものであり、図14に
示すフローチャートに沿った処理を実行することにより
実現される。
【0087】以下、演算回路45において同図に示すフ
ローチャートに沿った学習補正が実行される際の動作に
ついて説明する。
【0088】図14に示すルーチンが起動すると、先ず
ステップ200において、後述する補正係数Kに前回の
処理の際に算出した値KKをセットする。Kのセットが
終了したら、ステップ210へ進んでイオン濃度センサ
31の出力信号に基づいて信号処理回路44から供給さ
れる信号処理電圧の補正を行う。
【0089】すなわち、上記ステップ200において設
定した補正係数Kを用いて、 修正電圧値=K*処理電圧 ・・・(2) なる演算を行うことにより、適正な空燃比を表す修正電
圧値を演算し、その結果をH1 として記憶する。
【0090】次に、ステップ220においては、酸素濃
度センサ29による空燃比フィードバック制御が実行さ
れているか、すなわち酸素濃度センサ29が活性化温度
領域に達し、かつ内燃機関10が定常状態であるかを判
別する。本ルーチンは、上記したように酸素濃度センサ
29の検出値を基準としてイオン濃度センサ31の出力
特性を補正するものであり、酸素濃度センサ29に基づ
いた正確な空燃比の検出が行われていることが前提とな
るからである。
【0091】従って、ステップ220において酸素濃度
センサ29による空燃比フィードバック制御が実行され
ていないと判別された場合は、なんらの処理を行うこと
なくそのまま今回の処理を終了する。一方、酸素濃度セ
ンサ29による空燃比フィードバック制御が実行されて
いると判別された場合は、ステップ230へ進んで酸素
濃度センサ29の検出値に基づいた空燃比A/Fを算出
し、その値をAとして記憶する。
【0092】次に、ステップ240においては、上記ス
テップ210において記憶したH1に基づいて、すなわ
ちイオン濃度センサ31の出力値に基づいて、図15中
に実線で示す如く予め設定したマップを参照して空燃比
A/Fを算出し、その値をBとして記憶する。
【0093】そして、続くステップ250において|A
−B|が所定の判定値εに比べて小さいか否かを判別す
る。ここで、イオン濃度センサ31の出力特性が変化し
ておらず、補正の必要がないとすれば、AとBとはほぼ
等しい値になるはずである。また、図15に示すように
イオン濃度センサ31の出力値が、経時変化により所定
水準を越えて低下している(図15中、破線で示す曲
線)場合には、A>Bが成り立つはずである。
【0094】従って、|A−B|<εが成立する場合
は、上記ステップ210において演算した修正電圧値は
現時点では修正する必要がないことになり、かかる場合
はそのまま今回の処理を終了する。そして、|A−B|
<εが不成立であると判別された場合は、補正係数Kを
新たな値に更新する必要があるとしてステップ260へ
進む。
【0095】すなわち、ステップ260以降の処理は、
イオン濃度センサ31の出力特性変化に伴って図15中
に破線で示す如く低下した修正電圧値を、図15中に実
線で示す如き正規の修正電圧値に補正し得る値に、補正
係数Kの値を更新しようとするものである。以下、図1
5を参照して、補正係数Kの更新手順について説明す
る。
【0096】図15に示す如く、酸素濃度センサ29の
出力値に基づいて算出した空燃比、すなわち正真の空燃
比がAであるとすると、イオン濃度センサ31の出力値
に基づいて算出される修正電圧値は、本来H2 でなけれ
ばならない。しかしながら、イオン濃度センサ31の出
力特性が経時的に変化すると、図15中に破線で示す如
くその値がH1 にしか満たない状態となる。
【0097】従って、イオン濃度センサ31の出力値か
ら正確な空燃比を算出するためには、上記ステップ21
0においてH1 として算出された修正電圧値をH2 に修
正する必要がある。そして、かかる修正が行われた場合
には、イオン濃度センサ31の出力値に基づいて算出さ
れる修正電圧値の特性が図15中実線で示す特性と一致
することとなり、正確な空燃比の算出が実現されること
となる。
【0098】そこで、ステップ260において、先ず正
真の空燃比Aに対する正規の修正電圧値を図15中に実
線で示すマップから逆算し、続くステップ270におい
て補正係数Kを次式の如く更新する。(式中n n-1
更新後、更新前を示す) Kn =(H2 /H1 )*Kn-1 ・・・(3) そして、更新後の値をKKとして記憶して今回の処理を
終了する。
【0099】従って、次回本ルーチンが起動した際に
は、ステップ210において (H2 /H1 )*Kn-1 *処理電圧=(H2 /H1 )*H1 =H2 なる演算が実行され、処理電圧値はH2 として算出され
ることになる。このように、本実施例装置によれば、イ
オン濃度センサ31の出力特性が変化しても、その変化
を相殺して適正な修正電圧値を算出することができるた
め、イオン濃度センサ31の出力値に基づいて適正な空
燃比を算出することができる。
【0100】そして、かかる修正電圧値の学習補正を、
空燃比フィードバック中に実行する構成であるため、内
燃機関10の始動直後において、及び内燃機関10が過
渡状態である場合においてイオン濃度センサ31の出力
値に基づいて空燃比フィードバック制御を実行する際に
は、常に高精度な空燃比の算出が実現される。
【0101】つまり、本実施例装置によれば、内燃機関
10が始動した後、酸素濃度センサ29が活性化するま
での間はイオン濃度センサ31の出力値に基づいて、ま
た内燃機関10が活性化した後はイオン濃度センサ31
及び空燃比センサ29双方の出力値に基づいて、高精度
に、かつ時間遅れのない空燃比を算出することが可能と
なる。
【0102】従って、酸素濃度センサからの出力値のみ
を取り込んで空燃比の算出を行う空燃比制御装置と比べ
て、より広い領域で、かつ高い応答性の下に空燃比フィ
ードバック制御が実行可能となる。また、イオン濃度セ
ンサからの出力値のみに基づいて空燃比の算出を行う空
燃比制御装置に比べて、著しく空燃比の算出精度が向上
し、より適切な空燃比フィードバック制御が実行可能と
なる。
【0103】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、酸素濃度センサが活性化温度領域に達していない場
合には、イオン濃度検出手段による検出値に基づいて空
燃比を算出し、その値に基づいた空燃比制御が実行され
る。そして、酸素濃度センサ1が活性化した後は、安定
した出力特性を示す酸素濃度センサの出力値に基づいて
より高精度な空燃比制御が実行できる。
【0104】従って、本発明に係る空燃比制御装置によ
れば、酸素濃度センサのみを採用する空燃比制御装置に
比べてより広い領域で空燃比制御を実行することがで
き、またイオン濃度検出手段のみを採用する空燃比制御
装置に比べて高精度な空燃比制御を実行することができ
るという特長を有している。
【0105】また、請求項2記載の発明によれば、内燃
機関が過渡状態にあって供給すべき燃料の量が随時変動
する際に、燃焼した混合気の空燃比をイオン濃度検出手
段に基づいて時間遅れなく検出することができる。この
ため、酸素濃度センサにより空燃比の検出を行う場合と
異なり、タイムラグのない空燃比制御を実行することが
可能となる。
【0106】更に、本発明に係る空燃比制御装置によれ
ば、過渡状態において空燃比が大きく変動した場合に
も、酸素濃度センサの出力値に基づいて空燃比のおおよ
その把握が可能であり、イオン濃度検出手段の検出値に
基づいた適切な空燃比の算出がが可能である。このた
め、従来の空燃比制御装置に比べて過渡状態における空
燃比算出精度が画期的に向上し、より適切な空燃比制御
を実現できるという特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空燃比制御装置の原理図である。
【図2】本発明に係る空燃比制御装置の一実施例の構成
図である。
【図3】本実施例装置におけるイオン濃度センサの出力
信号の処理回路の一例のブロック構成図である。
【図4】イオン濃度センサの出力信号の一例を表す波形
である。
【図5】イオン濃度センサの出力信号の処理後の波形の
一例である。
【図6】イオン濃度センサのさらされた燃焼ガスの空燃
比と、その出力信号との関係を表すグラフの1例であ
る。
【図7】イオン濃度センサの出力信号の処理後の波形の
他の例である。
【図8】イオン濃度センサのさらされた燃焼ガスの空燃
比と、その出力信号との関係を表すグラフの他の例であ
る。
【図9】内燃機関の負荷状態と混合気の空燃比との関係
を説明するための図である。
【図10】内燃機関が急減速した際の空燃比と排気得ミ
ッションの変化の様子を表したグラフの一例である。
【図11】本実施例装置の実行するルーチン処理の一例
のフローチャートである。
【図12】イオン濃度センサの出力特性の経時変化を表
すグラフの一例である。
【図13】イオン濃度センサの出力特性を正規化する必
要性を説明するための図である。
【図14】イオン濃度センサの出力特性を学習補正する
ためのルーチン処理の一例のフローチャートである。
【図15】イオン濃度センサの出力特性の学習補正の原
理を説明するための図である。
【符号の説明】
1,29 酸素濃度センサ 2 酸素濃度センサ活性検出手段 3 イオン濃度検出手段 4 空燃比制御手段 5 過渡状態検出手段 6 空燃比制御手段 10 内燃機関 23 マニホールド触媒コンバータ 24 アンダフロア触媒コンバータ 26,27 クランク各センサ 30 燃焼室 31 イオン濃度センサ 40 電子制御装置(ECU) 41 電源 42 抵抗器 43 検出回路 44 信号処理回路 45 演算回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上野 真 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 宮下 茂樹 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の燃焼ガス中の酸素濃度を検出
    する酸素濃度センサを備え、該酸素濃度センサの検出値
    に基づいて内燃機関に供給する混合気の空燃比をフィー
    ドバック制御する空燃比制御装置において、 前記酸素センサが所定の活性状態に達しているか否かを
    検出する酸素濃度センサ活性検出手段と、 前記内燃機関の燃焼室内に発生するイオンの濃度を検出
    するイオン濃度検出手段と、 前記酸素濃度センサが所定の活性状態に達していない場
    合には、前記イオン濃度検出手段で検出されたイオン濃
    度に基づいて燃焼ガスの空燃比を算出すると共に、該算
    出値に応じて前記内燃機関に供給する混合気の空燃比制
    御を行う空燃比制御手段とを備えることを特徴とする空
    燃比制御装置。
  2. 【請求項2】 内燃機関の燃焼ガス中の酸素濃度を検出
    する酸素濃度センサを備え、該酸素濃度センサの検出値
    に基づいて内燃機関に供給する混合気の空燃比をフィー
    ドバック制御する空燃比制御装置において、 前記内燃機関の運転状態が所定水準を越える過渡状態で
    あるか否かを検出する過渡状態検出手段と、 該内燃機関の燃焼室内に発生するイオンの濃度を検出す
    るイオン濃度検出手段と、 前記過渡状態検出手段により所定水準を越える過渡状態
    が検出された場合には、前記イオン濃度検出手段で検出
    されたイオン濃度と、前記酸素濃度センサで検出された
    酸素濃度とに基づいて燃焼ガスの空燃比を算出すると共
    に、該算出値に応じて内燃機関に供給する混合気の空燃
    比制御を行う空燃比制御手段とを備えることを特徴とす
    る空燃比制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6453720B1 (en) * 1998-12-16 2002-09-24 Unisia Jecs Corporation Activation diagnosis method and activation diagnosis apparatus for air-fuel ratio sensor
JP2014218907A (ja) * 2013-05-06 2014-11-20 ダイヤモンド電機株式会社 イオン電流を用いた内燃機関の空燃比制御装置
JP2014218906A (ja) * 2013-05-06 2014-11-20 ダイヤモンド電機株式会社 イオン電流を用いた内燃機関の空燃比制御装置

Cited By (4)

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