JPH06306543A - 耐遅れ破壊特性に優れた高強度pc棒線とその製造方法 - Google Patents
耐遅れ破壊特性に優れた高強度pc棒線とその製造方法Info
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- JPH06306543A JPH06306543A JP11115193A JP11115193A JPH06306543A JP H06306543 A JPH06306543 A JP H06306543A JP 11115193 A JP11115193 A JP 11115193A JP 11115193 A JP11115193 A JP 11115193A JP H06306543 A JPH06306543 A JP H06306543A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 PC棒線の遅れ破壊特性を改善する。
【構成】 化学成分として、重量%で、C:0.10〜
0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.2
〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含有し、
残部鉄及び不可避的不純物から成り、組織がオーステナ
イト粒度番号で10番以上及び下部ベーナイトの比率が
40%以上である事を特徴とする1500MPaの強度
を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線。
0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:0.2
〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含有し、
残部鉄及び不可避的不純物から成り、組織がオーステナ
イト粒度番号で10番以上及び下部ベーナイトの比率が
40%以上である事を特徴とする1500MPaの強度
を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建設用等に用いられる
優れた耐遅れ破壊特性を示す高張力PC棒線とその製造
方法に関するものである。
優れた耐遅れ破壊特性を示す高張力PC棒線とその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、構造物の大型化に伴い引張強さ1
500MPa以上のPC鋼線の開発が要求されてきてい
る。しかし、引張強度が1200MPaを超えると遅れ
破壊の危険性が高まることがよく知られており、例えば
ボルト鋼等に於いては、現在使用されている強度は11
00MPa級が上限となっているのが現状である。
500MPa以上のPC鋼線の開発が要求されてきてい
る。しかし、引張強度が1200MPaを超えると遅れ
破壊の危険性が高まることがよく知られており、例えば
ボルト鋼等に於いては、現在使用されている強度は11
00MPa級が上限となっているのが現状である。
【0003】遅れ破壊の対策として、従来、高強度ボル
ト用鋼において数々の研究開発がなされているが、例え
ば、特開平3−243744号公報、特開平3−243
745号公報に、それぞれ重量%で、C=0.30〜
0.50、Si=0.05〜0.50、Mn<0.5
0、Cr=0.1〜5.0、Al=0.005〜0.1
0、Nb=0.005〜0.20、Cu=0.01〜
0.60、Mo=0.01〜0.80、N=0.005
〜0.30、及びC=0.35〜0.50、Si<0.
20、Mn<0.35、Cr<0.25、Al=0.0
05〜0.10、V=0.05〜0.50、Nb=0.
005〜0.20、Ti<0.10、Zr<0.15、
Cu=0.05〜0.60、Ni=1.0〜3.0、M
o=0.4〜1.5の化学成分を含有する高強度鋼及び
その製造方法が記載されている。これらの発明は、遅れ
破壊クラックがオーステナイト粒界を起点及び伝播径路
として発生する事に注目し、粒界偏析元素の低減、粒の
細粒化等により粒界強化を図り、耐遅れ破壊性を改善す
るものである。
ト用鋼において数々の研究開発がなされているが、例え
ば、特開平3−243744号公報、特開平3−243
745号公報に、それぞれ重量%で、C=0.30〜
0.50、Si=0.05〜0.50、Mn<0.5
0、Cr=0.1〜5.0、Al=0.005〜0.1
0、Nb=0.005〜0.20、Cu=0.01〜
0.60、Mo=0.01〜0.80、N=0.005
〜0.30、及びC=0.35〜0.50、Si<0.
20、Mn<0.35、Cr<0.25、Al=0.0
05〜0.10、V=0.05〜0.50、Nb=0.
005〜0.20、Ti<0.10、Zr<0.15、
Cu=0.05〜0.60、Ni=1.0〜3.0、M
o=0.4〜1.5の化学成分を含有する高強度鋼及び
その製造方法が記載されている。これらの発明は、遅れ
破壊クラックがオーステナイト粒界を起点及び伝播径路
として発生する事に注目し、粒界偏析元素の低減、粒の
細粒化等により粒界強化を図り、耐遅れ破壊性を改善す
るものである。
【0004】又、PC鋼棒の遅れ破壊特性を改善する手
段が特開昭49−90207号公報に記載されている。
この発明は、炭素含有量0.20〜0.90%の鋼材を
熱間圧延後あるいは熱間圧延冷却後A3 変態点以上に再
加熱後強制空冷を施し、マルテンサイト量を30%以下
に抑制し、主組織をパーライト、ベーナイトまたはフェ
ライトとする事によりPC鋼棒の遅れ破壊特性の改善を
図るものである。
段が特開昭49−90207号公報に記載されている。
この発明は、炭素含有量0.20〜0.90%の鋼材を
熱間圧延後あるいは熱間圧延冷却後A3 変態点以上に再
加熱後強制空冷を施し、マルテンサイト量を30%以下
に抑制し、主組織をパーライト、ベーナイトまたはフェ
ライトとする事によりPC鋼棒の遅れ破壊特性の改善を
図るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平3−24374
4号公報及び特開平3−243745号公報記載の発明
は、窒素含有量及び窒化物を形成する合金元素の含有量
を規定する事により、再加熱時のオーステナイト粒の粗
大化を抑制するものである。しかし、この技術により得
られるオーステナイト粒径の微細化度合いには限界があ
る為、PC鋼線に応用した場合、その遅れ破壊特性の改
善にも自ずと限界がある。
4号公報及び特開平3−243745号公報記載の発明
は、窒素含有量及び窒化物を形成する合金元素の含有量
を規定する事により、再加熱時のオーステナイト粒の粗
大化を抑制するものである。しかし、この技術により得
られるオーステナイト粒径の微細化度合いには限界があ
る為、PC鋼線に応用した場合、その遅れ破壊特性の改
善にも自ずと限界がある。
【0006】また、特開昭49−90207号公報記載
の発明の様に、遅れ破壊の起点となるマルテンサイトの
含有量を規定しても、その組織を積極的に微細化しない
のでは大幅な遅れ破壊特性改善にはつながらない。
の発明の様に、遅れ破壊の起点となるマルテンサイトの
含有量を規定しても、その組織を積極的に微細化しない
のでは大幅な遅れ破壊特性改善にはつながらない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は以下の通
りである。
りである。
【0008】 化学成分として、重量%で、C:0.
10〜0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含
有し、残部鉄及び不可避的不純物から成り、組織がオー
ステナイト粒度番号で10番以上及び下部ベーナイトの
比率が40%以上である事を特徴とする1500MPa
の強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒
線。
10〜0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含
有し、残部鉄及び不可避的不純物から成り、組織がオー
ステナイト粒度番号で10番以上及び下部ベーナイトの
比率が40%以上である事を特徴とする1500MPa
の強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒
線。
【0009】 化学成分として、重量%で、C:0.
10〜0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含
有し、その他強化元素としてCr:0.1〜2.0%、
Mo:0.01〜2.0%、V:0.01〜1.0%、
W:0.01〜2.0%、Ni:0.1〜2.0%、C
u:0.1〜2.0%、Ti:0.01〜0.5%、N
b:0.01〜0.5%、B:0.0002〜0.00
5%の1種類または2種類以上を含有し、残部鉄及び不
可避的不純物から成り、組織がオーステナイト粒度番号
で10番以上及び下部ベーナイトの比率が40%以上で
ある事を特徴とする1500MPaの強度を有する耐遅
れ破壊特性に優れた高強度PC棒線。
10〜0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含
有し、その他強化元素としてCr:0.1〜2.0%、
Mo:0.01〜2.0%、V:0.01〜1.0%、
W:0.01〜2.0%、Ni:0.1〜2.0%、C
u:0.1〜2.0%、Ti:0.01〜0.5%、N
b:0.01〜0.5%、B:0.0002〜0.00
5%の1種類または2種類以上を含有し、残部鉄及び不
可避的不純物から成り、組織がオーステナイト粒度番号
で10番以上及び下部ベーナイトの比率が40%以上で
ある事を特徴とする1500MPaの強度を有する耐遅
れ破壊特性に優れた高強度PC棒線。
【0010】 前記またはの1500MPaの強
度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線の製
造方法において、前記成分を含有する鋼片を加熱条件9
50℃以上1200℃以下、仕上げ温度600℃以上9
50℃以下で棒線に圧延後、Ms点±200℃の範囲で
オーステンパー処理する事を特徴とする1500MPa
の強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線
の製造方法。
度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線の製
造方法において、前記成分を含有する鋼片を加熱条件9
50℃以上1200℃以下、仕上げ温度600℃以上9
50℃以下で棒線に圧延後、Ms点±200℃の範囲で
オーステンパー処理する事を特徴とする1500MPa
の強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線
の製造方法。
【0011】 前記またはの1500MPaの強
度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線の製
造方法において、前記成分を含有する鋼片を加熱条件9
50℃以上1200℃以下、仕上げ温度600℃以上9
50℃以下で棒線に圧延後、直ちにMs点±200℃の
範囲でオーステンパー処理し、更に250℃以上の温度
及び1秒以上の時間でT(20+log10t)≧100
00(T:焼戻し温度(K)、t:焼戻し時間(時
間))を満足する様に焼戻し処理する事を特徴とする1
500MPaの強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高
強度PC棒線の製造方法。
度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線の製
造方法において、前記成分を含有する鋼片を加熱条件9
50℃以上1200℃以下、仕上げ温度600℃以上9
50℃以下で棒線に圧延後、直ちにMs点±200℃の
範囲でオーステンパー処理し、更に250℃以上の温度
及び1秒以上の時間でT(20+log10t)≧100
00(T:焼戻し温度(K)、t:焼戻し時間(時
間))を満足する様に焼戻し処理する事を特徴とする1
500MPaの強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高
強度PC棒線の製造方法。
【0012】ここで、ベーナイト比率は、C断面切断方
向のサンプルをSEMまたは光学顕微鏡等により500
0倍以下で観察し、単位面積当たりのベーナイト面積の
百分率と定義する。
向のサンプルをSEMまたは光学顕微鏡等により500
0倍以下で観察し、単位面積当たりのベーナイト面積の
百分率と定義する。
【0013】
【作用】本発明者は、耐遅れ破壊特性に優れた高張力P
C棒線とその製造方法の開発を進めた結果、鋼片から棒
線へ圧延する際の加熱温度及び仕上げ温度を制御し、イ
ンラインにてオーステンパー処理する事によりオーステ
ナイト粒を微細化した上、更にオーステナイト粒界に炭
化物の析出量が少ない下部ベーナイト組織の比率を多く
する事がPC鋼棒の遅れ破壊特性改善に効果的である事
を見いだした。
C棒線とその製造方法の開発を進めた結果、鋼片から棒
線へ圧延する際の加熱温度及び仕上げ温度を制御し、イ
ンラインにてオーステンパー処理する事によりオーステ
ナイト粒を微細化した上、更にオーステナイト粒界に炭
化物の析出量が少ない下部ベーナイト組織の比率を多く
する事がPC鋼棒の遅れ破壊特性改善に効果的である事
を見いだした。
【0014】そこでまず、PC棒線の耐遅れ破壊性を改
善するために必要なオーステナイト粒径及び下部ベーナ
イトの比率を検討した。
善するために必要なオーステナイト粒径及び下部ベーナ
イトの比率を検討した。
【0015】例えば、0.35%C+2.0%Si+
0.80%Mn+0.020%Ti+20ppmB+
0.045%Al組成の122角鋼片より圧延し、線径
7.0φの棒鋼線を製造するにあたり、その加熱温度及
び仕上げ温度を変え棒線のオーステナイト粒径を変化さ
せ、更に圧延終了後に370℃のソルトバスに浸漬する
時間をさまざまに変えて下部ベーナイトの比率を変化さ
せたPC鋼線の耐遅れ破壊特性を調べた。つまり、図1
に示すように円周にノッチを設けた試験片1を作り、試
験片1のノッチ部を50℃の20%NH4 SCN水溶液
中に浸漬し、試験片1に0.7σB の定引張荷重を負荷
して破断までの時間を測定し、耐遅れ破壊特性を評価し
た。
0.80%Mn+0.020%Ti+20ppmB+
0.045%Al組成の122角鋼片より圧延し、線径
7.0φの棒鋼線を製造するにあたり、その加熱温度及
び仕上げ温度を変え棒線のオーステナイト粒径を変化さ
せ、更に圧延終了後に370℃のソルトバスに浸漬する
時間をさまざまに変えて下部ベーナイトの比率を変化さ
せたPC鋼線の耐遅れ破壊特性を調べた。つまり、図1
に示すように円周にノッチを設けた試験片1を作り、試
験片1のノッチ部を50℃の20%NH4 SCN水溶液
中に浸漬し、試験片1に0.7σB の定引張荷重を負荷
して破断までの時間を測定し、耐遅れ破壊特性を評価し
た。
【0016】その結果を整理したのが図2である。オー
ステナイト粒度番号で10番以上及び下部ベーナイトの
比率が40%以上であれば、PC鋼線の遅れ破壊特性が
改善される事が判明した。特に、オーステナイト粒度番
号で12番以上、下部ベーナイト比率で60%以上の場
合に改善が著しく、この範囲内に制御する事が望まし
い。
ステナイト粒度番号で10番以上及び下部ベーナイトの
比率が40%以上であれば、PC鋼線の遅れ破壊特性が
改善される事が判明した。特に、オーステナイト粒度番
号で12番以上、下部ベーナイト比率で60%以上の場
合に改善が著しく、この範囲内に制御する事が望まし
い。
【0017】次に、前述の組織を確保する圧延方法を検
討した。まず、オーステナイト粒径を10番以上へ安定
的に制御する方法を検討した。従来の線材は、122角
の鋼片を1250℃程度に加熱し、仕上げミル直後の温
度が1100℃程度で圧延され製造されている。しか
し、この方法では、得られる線材のオーステナイト粒度
番号は8〜10番程度であり、それ以上のものを安定的
に製造する事は困難である。そこで、鋼片の加熱温度を
低める事により加熱炉内での鋼片のオーステナイト粒径
の粗大化を抑制し、しかもその後低温で圧延する事によ
りオーステナイト粒径の微細化を図る事とした。オース
テナイト粒径に及ぼす加熱温度と圧延仕上げ温度の影響
を検討し、整理したのが図3である。オーステナイト粒
度番号で10番以上を確保する為には、加熱温度で12
00℃以下、仕上げ温度で950℃以下とする事が必要
である。特に安定的に微細化する事を考えると、110
0℃以下の加熱温度及び800℃以下の仕上げ温度が望
ましい。しかし、加熱温度950℃未満及び仕上げ温度
600℃未満では熱間圧延の変形抵抗が急増し、熱間圧
延が困難となるのでこれを下限とした。
討した。まず、オーステナイト粒径を10番以上へ安定
的に制御する方法を検討した。従来の線材は、122角
の鋼片を1250℃程度に加熱し、仕上げミル直後の温
度が1100℃程度で圧延され製造されている。しか
し、この方法では、得られる線材のオーステナイト粒度
番号は8〜10番程度であり、それ以上のものを安定的
に製造する事は困難である。そこで、鋼片の加熱温度を
低める事により加熱炉内での鋼片のオーステナイト粒径
の粗大化を抑制し、しかもその後低温で圧延する事によ
りオーステナイト粒径の微細化を図る事とした。オース
テナイト粒径に及ぼす加熱温度と圧延仕上げ温度の影響
を検討し、整理したのが図3である。オーステナイト粒
度番号で10番以上を確保する為には、加熱温度で12
00℃以下、仕上げ温度で950℃以下とする事が必要
である。特に安定的に微細化する事を考えると、110
0℃以下の加熱温度及び800℃以下の仕上げ温度が望
ましい。しかし、加熱温度950℃未満及び仕上げ温度
600℃未満では熱間圧延の変形抵抗が急増し、熱間圧
延が困難となるのでこれを下限とした。
【0018】次に、圧延後の恒温変態条件を検討した結
果が図4である。Ms点より200℃以上高い温度では
高温変態生成物を生成してしまい、下部ベーナイトを4
0%以上安定的に生成させ、強度1500MPa以上の
鋼棒を製造する事が困難となる。また、Ms点より20
0℃以上低い温度ではマルテンサイトの生成する量が増
大し、下部ベーナイトを40%以上安定的に生成させる
事が困難となり、高い遅れ破壊特性を確保する事が困難
となるので、恒温変態温度をMs点±200℃の範囲に
規定した。
果が図4である。Ms点より200℃以上高い温度では
高温変態生成物を生成してしまい、下部ベーナイトを4
0%以上安定的に生成させ、強度1500MPa以上の
鋼棒を製造する事が困難となる。また、Ms点より20
0℃以上低い温度ではマルテンサイトの生成する量が増
大し、下部ベーナイトを40%以上安定的に生成させる
事が困難となり、高い遅れ破壊特性を確保する事が困難
となるので、恒温変態温度をMs点±200℃の範囲に
規定した。
【0019】さらに、インラインで高周波コイル内を通
過させる、直接通電加熱する、またはソルトバス内を通
過させる事により焼戻し処理を実施すれば、工程省略及
び省エネルギーの観点からメリットが大きい。特に高周
波コイル内を通過させる急速加熱による焼戻し処理は、
炭化物を微細にオーステナイト粒内に析出させ、オース
テナイト粒界への炭化物の析出を抑制する事が可能とな
り、遅れ破壊特性を向上させる事となる。しかし、図5
に示す様に、250℃以上の温度及び1秒以上の時間で
T(20+log10t)≧10000の条件を満足しな
ければ降伏比90%以上を確保する事が困難となり、J
ISG3109を満足しなくなる。
過させる、直接通電加熱する、またはソルトバス内を通
過させる事により焼戻し処理を実施すれば、工程省略及
び省エネルギーの観点からメリットが大きい。特に高周
波コイル内を通過させる急速加熱による焼戻し処理は、
炭化物を微細にオーステナイト粒内に析出させ、オース
テナイト粒界への炭化物の析出を抑制する事が可能とな
り、遅れ破壊特性を向上させる事となる。しかし、図5
に示す様に、250℃以上の温度及び1秒以上の時間で
T(20+log10t)≧10000の条件を満足しな
ければ降伏比90%以上を確保する事が困難となり、J
ISG3109を満足しなくなる。
【0020】なお、圧延工程内でPC鋼線特有の異径形
状へ加工する事により、大幅な省工程を図る事も出来
る。
状へ加工する事により、大幅な省工程を図る事も出来
る。
【0021】次に成分限定理由を述べる。
【0022】《C》Cは下部ベーナイト棒線の高強度を
得るために0.10%以上必要であるが、多すぎると靱
性とともに耐遅れ破壊特性を劣化させ、溶接性も劣化さ
せる為0.39%以下とした。
得るために0.10%以上必要であるが、多すぎると靱
性とともに耐遅れ破壊特性を劣化させ、溶接性も劣化さ
せる為0.39%以下とした。
【0023】《Si》Siは鋼の脱酸および強度を高め
るのに必要な元素であるが、0.1%未満ではその効果
が得難い為0.1%以上とした。また3.0%を超える
とオーステナイト域加熱時に粒界に偏析する量が多くな
り過ぎ、著しく粒界を脆化させるとともに耐遅れ破壊特
性を劣化させる為3.0%以下とした。
るのに必要な元素であるが、0.1%未満ではその効果
が得難い為0.1%以上とした。また3.0%を超える
とオーステナイト域加熱時に粒界に偏析する量が多くな
り過ぎ、著しく粒界を脆化させるとともに耐遅れ破壊特
性を劣化させる為3.0%以下とした。
【0024】《Mn》Mnは鋼の脱酸および焼入れ性を
確保し、フェライト等の軟質組織の形成を抑制するのに
必要な元素であるが、0.2%未満ではその効果は得難
いので0.2%以上とした。また1.5%を超えるとオ
ーステナイト域加熱時に粒界に偏析する量が多くなり過
ぎ、著しく粒界を脆化させるとともに耐遅れ破壊特性を
劣化させる為1.5%以下とした。
確保し、フェライト等の軟質組織の形成を抑制するのに
必要な元素であるが、0.2%未満ではその効果は得難
いので0.2%以上とした。また1.5%を超えるとオ
ーステナイト域加熱時に粒界に偏析する量が多くなり過
ぎ、著しく粒界を脆化させるとともに耐遅れ破壊特性を
劣化させる為1.5%以下とした。
【0025】《Ni》Niは、腐食環境中に素材の一部
のFeが溶解した後にNiが素材表面に残留する事によ
り素材表面をNiコーティングするのと同じ状況にな
り、それ以上の腐食進行を抑制する事により鋼材の耐食
性を向上させ、鋼材の耐遅れ破壊特性を向上させる元素
である。しかし、0.1%未満ではその効果が不十分で
ある為0.1%以上とした。又、2.0%を越えるとベ
ーナイト変態時間が長くなりすぎる上、腐食環境中に於
いて鋼材表面に腐食孔が著しく発生するようになり、む
しろ遅れ破壊特性が劣化するので2.0%以下とした。
ただし、Niは焼き入れ性を上げ、ベーナイト変態時間
を大幅に遅らせるので0.8%以下が望ましい。
のFeが溶解した後にNiが素材表面に残留する事によ
り素材表面をNiコーティングするのと同じ状況にな
り、それ以上の腐食進行を抑制する事により鋼材の耐食
性を向上させ、鋼材の耐遅れ破壊特性を向上させる元素
である。しかし、0.1%未満ではその効果が不十分で
ある為0.1%以上とした。又、2.0%を越えるとベ
ーナイト変態時間が長くなりすぎる上、腐食環境中に於
いて鋼材表面に腐食孔が著しく発生するようになり、む
しろ遅れ破壊特性が劣化するので2.0%以下とした。
ただし、Niは焼き入れ性を上げ、ベーナイト変態時間
を大幅に遅らせるので0.8%以下が望ましい。
【0026】《Cu》Cuは、腐食環境中に素材の一部
のFeが溶解した後にCuが素材表面に残留する事によ
り素材表面をCuコーティングするのと同じ状況にな
り、それ以上の腐食進行を抑制する事により鋼材の耐食
性を向上させ、鋼材の耐遅れ破壊特性を向上させる元素
である。しかし、0.1%未満ではその効果が不十分で
ある為0.1%以上とした。又、2.0%を越えると粒
界に偏析して粒界を脆化させ、鋼材の遅れ破壊特性が劣
化するので2.0%以下とした。ただし、Cuは焼き入
れ性を上げ、ベーナイト変態時間を大幅に遅らせるので
1.0%以下が望ましい。
のFeが溶解した後にCuが素材表面に残留する事によ
り素材表面をCuコーティングするのと同じ状況にな
り、それ以上の腐食進行を抑制する事により鋼材の耐食
性を向上させ、鋼材の耐遅れ破壊特性を向上させる元素
である。しかし、0.1%未満ではその効果が不十分で
ある為0.1%以上とした。又、2.0%を越えると粒
界に偏析して粒界を脆化させ、鋼材の遅れ破壊特性が劣
化するので2.0%以下とした。ただし、Cuは焼き入
れ性を上げ、ベーナイト変態時間を大幅に遅らせるので
1.0%以下が望ましい。
【0027】《Al》Alは鋼の脱酸の安定化、均質化
及び細粒化を図るのに有効な元素であるが、0.005
%未満ではその効果を得る事は出来ない。一方、0.1
%を越えて含有させてもその効果は飽和してしまい、ま
た介在物の増大によるきずが発生し、靱性を劣化させる
ため0.005%以上0.1%以下とした。
及び細粒化を図るのに有効な元素であるが、0.005
%未満ではその効果を得る事は出来ない。一方、0.1
%を越えて含有させてもその効果は飽和してしまい、ま
た介在物の増大によるきずが発生し、靱性を劣化させる
ため0.005%以上0.1%以下とした。
【0028】《Mo》Moは焼き入れ性を上げ、フェラ
イト等の軟質組織の形成を抑制するのに必要な元素であ
る上、腐食環境中にMoO-4イオンを形成し、素材表層
のFeと錯体を形成する事により耐食性の高いコーティ
ングを施し、腐食の進行を抑制する事により鋼材の耐食
性を向上させ、PC棒線の耐腐食疲労特性を向上させる
元素である。しかし、0.01%未満ではその効果が不
十分である為0.01%以上とした。又、2.0%を越
えるとその効果は飽和し、コストの上昇を招き実用的で
はないので2.0%以下とした。ただし、Moは焼き入
れ性を上げる元素である為、ベーナイトへの変態時間を
考えると0.5%以下が望ましい。
イト等の軟質組織の形成を抑制するのに必要な元素であ
る上、腐食環境中にMoO-4イオンを形成し、素材表層
のFeと錯体を形成する事により耐食性の高いコーティ
ングを施し、腐食の進行を抑制する事により鋼材の耐食
性を向上させ、PC棒線の耐腐食疲労特性を向上させる
元素である。しかし、0.01%未満ではその効果が不
十分である為0.01%以上とした。又、2.0%を越
えるとその効果は飽和し、コストの上昇を招き実用的で
はないので2.0%以下とした。ただし、Moは焼き入
れ性を上げる元素である為、ベーナイトへの変態時間を
考えると0.5%以下が望ましい。
【0029】《W》Wは焼き入れ性を上げ、フェライト
等の軟質組織の形成を抑制するのに必要な元素である
上、腐食環境中にWO-4イオンを形成し、素材表層のF
eと錯体を形成する事により耐食性の高いコーテンィグ
を施し、腐食の進行を抑制する事により鋼材の耐食性を
向上させる。しかし、0.01%未満ではその効果が不
十分である為0.01%以上とした。又、2.0%を越
えるとその効果は飽和し、コストの上昇を招き実用的で
はないので2.0%以下とした。ただし、Wは焼き入れ
性を上げる元素である為、ベーナイトへの変態時間を考
えると0.5%以下が望ましい。
等の軟質組織の形成を抑制するのに必要な元素である
上、腐食環境中にWO-4イオンを形成し、素材表層のF
eと錯体を形成する事により耐食性の高いコーテンィグ
を施し、腐食の進行を抑制する事により鋼材の耐食性を
向上させる。しかし、0.01%未満ではその効果が不
十分である為0.01%以上とした。又、2.0%を越
えるとその効果は飽和し、コストの上昇を招き実用的で
はないので2.0%以下とした。ただし、Wは焼き入れ
性を上げる元素である為、ベーナイトへの変態時間を考
えると0.5%以下が望ましい。
【0030】《Cr》Crは焼き入れ性を上げ、フェラ
イト等の軟質組織の形成を抑制するのに必要な元素であ
るが、効果を得る為には0.1%以上必要であり、多す
ぎると靱性を劣化させ、耐遅れ破壊特性の劣化を招く元
素であるため2.0%以下とした。
イト等の軟質組織の形成を抑制するのに必要な元素であ
るが、効果を得る為には0.1%以上必要であり、多す
ぎると靱性を劣化させ、耐遅れ破壊特性の劣化を招く元
素であるため2.0%以下とした。
【0031】《V、Ti、Nb》V、Ti、Nbは結晶
粒の微細化に寄与し、かつ水素との親和性に富み、鋼中
での水素の拡散・集積を抑制することにより耐遅れ破壊
特性向上に有効な元素であるため、V:0.01%以
上、Ti:0.01%以上、Nb:0.01%以上必要
である。ただし多すぎるとその効果は飽和し、むしろ靱
性を劣化させ、耐遅れ破壊特性の劣化を招く元素である
ため、V:1.0%以下、Ti:0.5%以下、Nb:
0.5%以下とした。
粒の微細化に寄与し、かつ水素との親和性に富み、鋼中
での水素の拡散・集積を抑制することにより耐遅れ破壊
特性向上に有効な元素であるため、V:0.01%以
上、Ti:0.01%以上、Nb:0.01%以上必要
である。ただし多すぎるとその効果は飽和し、むしろ靱
性を劣化させ、耐遅れ破壊特性の劣化を招く元素である
ため、V:1.0%以下、Ti:0.5%以下、Nb:
0.5%以下とした。
【0032】《B》Bは鋼の焼入れ性を一段と向上させ
る作用があるので、特に太いPC棒線でより高い強度が
要求される場合に添加するが、0.0002%未満では
その効果を得る事は出来ない。一方、0.005%を越
えて含有させてもその効果は飽和してしまい、しかも靱
性も劣化し、耐遅れ破壊特性が劣化する為0.0002
%以上0.005%以下とした。
る作用があるので、特に太いPC棒線でより高い強度が
要求される場合に添加するが、0.0002%未満では
その効果を得る事は出来ない。一方、0.005%を越
えて含有させてもその効果は飽和してしまい、しかも靱
性も劣化し、耐遅れ破壊特性が劣化する為0.0002
%以上0.005%以下とした。
【0033】《P、S、N》P、S、Nに関して特に規
定はしないが、Pは凝固時にミクロ偏析し、さらにオー
ステナイト域加熱時に粒界に偏析し、粒界を脆化させる
とともに耐遅れ破壊特性を劣化させる元素であるため
0.015%以下が望ましい。Sは不可避的不純物であ
るが、オーステナイト域加熱時に粒界に偏析し、粒界を
脆化させるとともに耐遅れ破壊特性を劣化させる元素で
あるため0.02%以下が望ましい。Nはオーステナイ
ト加熱時に粒界に偏析し、粒界を脆化させるとともに耐
遅れ破壊特性も劣化させる元素であるため0.03%以
下が望ましい。
定はしないが、Pは凝固時にミクロ偏析し、さらにオー
ステナイト域加熱時に粒界に偏析し、粒界を脆化させる
とともに耐遅れ破壊特性を劣化させる元素であるため
0.015%以下が望ましい。Sは不可避的不純物であ
るが、オーステナイト域加熱時に粒界に偏析し、粒界を
脆化させるとともに耐遅れ破壊特性を劣化させる元素で
あるため0.02%以下が望ましい。Nはオーステナイ
ト加熱時に粒界に偏析し、粒界を脆化させるとともに耐
遅れ破壊特性も劣化させる元素であるため0.03%以
下が望ましい。
【0034】
【実施例】本発明の成分要件を満たす供試鋼の化学成分
を表1、表2に示す。この組成を有する122角の鋼片
の棒鋼を加熱炉で1200〜950℃の範囲に加熱後、
7φ線材に仕上げ温度950〜600℃の範囲で圧延
し、Ms点±200℃温度範囲のソルトバスへ挿入して
オーステンパー処理を実施し、更に冷速10℃/S以上
で冷却し焼き入れ後、高周波コイル内を通過させて25
0〜480℃の範囲で焼戻し処理を実施し、強度150
0MPaの7φPC棒線を製造した。これらのPC棒線
について、前述の遅れ破壊評価試験により耐遅れ破壊特
性を評価した。その結果を表3、表4に示す。また、比
較例のPC棒線の遅れ破壊特性評価結果を表5、表6に
示した。
を表1、表2に示す。この組成を有する122角の鋼片
の棒鋼を加熱炉で1200〜950℃の範囲に加熱後、
7φ線材に仕上げ温度950〜600℃の範囲で圧延
し、Ms点±200℃温度範囲のソルトバスへ挿入して
オーステンパー処理を実施し、更に冷速10℃/S以上
で冷却し焼き入れ後、高周波コイル内を通過させて25
0〜480℃の範囲で焼戻し処理を実施し、強度150
0MPaの7φPC棒線を製造した。これらのPC棒線
について、前述の遅れ破壊評価試験により耐遅れ破壊特
性を評価した。その結果を表3、表4に示す。また、比
較例のPC棒線の遅れ破壊特性評価結果を表5、表6に
示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】この表より、本発明例は比較例に比べて破
断時間が約2倍以上長く、遅れ破壊しにくい事が明らか
となった。
断時間が約2倍以上長く、遅れ破壊しにくい事が明らか
となった。
【0042】
【発明の効果】本発明により1500MPa級以上の引
張強度を有し、耐遅れ破壊特性の優れたPC棒線が得ら
れる。これによってコンクリート構造物の寿命及び安全
性が向上する。
張強度を有し、耐遅れ破壊特性の優れたPC棒線が得ら
れる。これによってコンクリート構造物の寿命及び安全
性が向上する。
【図1】PC遅れ破壊評価試験用試験片を示す図であ
る。
る。
【図2】PC鋼線の組織とPC鋼線の耐遅れ破壊特性と
の関係を示す図である。
の関係を示す図である。
【図3】PC鋼線の組織のオーステナイト粒度番号に及
ぼす加熱温度及び仕上げ温度の影響を示す図である。
ぼす加熱温度及び仕上げ温度の影響を示す図である。
【図4】PC鋼線の組織の下部ベーナイト組織に及ぼす
ソルト温度の影響を示す図である。
ソルト温度の影響を示す図である。
【図5】PC鋼線のインライン焼戻し条件とPC鋼線の
降伏比との関係を示す図である。
降伏比との関係を示す図である。
1 試験片
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒
線とその製造方法
線とその製造方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】 化学成分として、重量%で、C:0.
10〜0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含
有し、残部鉄及び不可避的不純物から成り、組織がオー
ステナイト粒度番号で10番以上及び下部ベーナイトの
比率が40%以上である事を特徴とする1500MPa
以上の強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC
棒線。
10〜0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含
有し、残部鉄及び不可避的不純物から成り、組織がオー
ステナイト粒度番号で10番以上及び下部ベーナイトの
比率が40%以上である事を特徴とする1500MPa
以上の強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC
棒線。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】 化学成分として、重量%で、C:0.
10〜0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含
有し、その他強化元素としてCr:0.1〜2.0%、
Mo:0.01〜2.0%、V:0.01〜1.0%、
W:0.01〜2.0%、Ni:0.1〜2.0%、C
u:0.1〜2.0%、Ti:0.01〜0.5%、N
b:0.01〜0.5%、B:0.0002〜0.00
5%の1種類または2種類以上を含有し、残部鉄及び不
可避的不純物から成り、組織がオーステナイト粒度番号
で10番以上及び下部ベーナイトの比率が40%以上で
ある事を特徴とする1500MPa以上の強度を有する
耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線。
10〜0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含
有し、その他強化元素としてCr:0.1〜2.0%、
Mo:0.01〜2.0%、V:0.01〜1.0%、
W:0.01〜2.0%、Ni:0.1〜2.0%、C
u:0.1〜2.0%、Ti:0.01〜0.5%、N
b:0.01〜0.5%、B:0.0002〜0.00
5%の1種類または2種類以上を含有し、残部鉄及び不
可避的不純物から成り、組織がオーステナイト粒度番号
で10番以上及び下部ベーナイトの比率が40%以上で
ある事を特徴とする1500MPa以上の強度を有する
耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】 前記またはの耐遅れ破壊特性に優
れた高強度PC棒線の製造方法において、前記成分を含
有する鋼片を加熱条件950℃以上1200℃以下、仕
上げ温度600℃以上950℃以下で棒線に圧延後、M
s点±200℃の範囲でオーステンパー処理する事を特
徴とする1500MPa以上の強度を有する耐遅れ破壊
特性に優れた高強度PC棒線の製造方法。
れた高強度PC棒線の製造方法において、前記成分を含
有する鋼片を加熱条件950℃以上1200℃以下、仕
上げ温度600℃以上950℃以下で棒線に圧延後、M
s点±200℃の範囲でオーステンパー処理する事を特
徴とする1500MPa以上の強度を有する耐遅れ破壊
特性に優れた高強度PC棒線の製造方法。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】 前記またはの耐遅れ破壊特性に優
れた高強度PC棒線の製造方法において、前記成分を含
有する鋼片を加熱条件950℃以上1200℃以下、仕
上げ温度600℃以上950℃以下で棒線に圧延後、直
ちにMs点±200℃の範囲でオーステンパー処理し、
更に250℃以上の温度及び1秒以上の時間でT(20
+log10t)≧10000(T:焼戻し温度(K)、
t:焼戻し時間(時間))を満足する様に焼戻し処理す
る事を特徴とする1500MPa以上の強度を有する耐
遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線の製造方法。
れた高強度PC棒線の製造方法において、前記成分を含
有する鋼片を加熱条件950℃以上1200℃以下、仕
上げ温度600℃以上950℃以下で棒線に圧延後、直
ちにMs点±200℃の範囲でオーステンパー処理し、
更に250℃以上の温度及び1秒以上の時間でT(20
+log10t)≧10000(T:焼戻し温度(K)、
t:焼戻し時間(時間))を満足する様に焼戻し処理す
る事を特徴とする1500MPa以上の強度を有する耐
遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線の製造方法。
Claims (4)
- 【請求項1】 化学成分として、重量%で、C:0.1
0〜0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含
有し、残部鉄及び不可避的不純物から成り、組織がオー
ステナイト粒度番号で10番以上及び下部ベーナイトの
比率が40%以上である事を特徴とする1500MPa
の強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒
線。 - 【請求項2】 化学成分として、重量%で、C:0.1
0〜0.39%、Si:0.10〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、Al:0.005〜0.10%を含
有し、その他強化元素としてCr:0.1〜2.0%、
Mo:0.01〜2.0%、V:0.01〜1.0%、
W:0.01〜2.0%、Ni:0.1〜2.0%、C
u:0.1〜2.0%、Ti:0.01〜0.5%、N
b:0.01〜0.5%、B:0.0002〜0.00
5%の1種類または2種類以上を含有し、残部鉄及び不
可避的不純物から成り、組織がオーステナイト粒度番号
で10番以上及び下部ベーナイトの比率が40%以上で
ある事を特徴とする1500MPaの強度を有する耐遅
れ破壊特性に優れた高強度PC棒線。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の1500MPa
の強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線
の製造方法において、前記成分を含有する鋼片を加熱条
件950℃以上1200℃以下、仕上げ温度600℃以
上950℃以下で棒線に圧延後、Ms点±200℃の範
囲でオーステンパー処理する事を特徴とする1500M
Paの強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC
棒線の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1または2記載の1500MPa
の強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC棒線
の製造方法において、前記成分を含有する鋼片を加熱条
件950℃以上1200℃以下、仕上げ温度600℃以
上950℃以下で棒線に圧延後、直ちにMs点±200
℃の範囲でオーステンパー処理し、更に250℃以上の
温度及び1秒以上の時間でT(20+log10t)≧1
0000(T:焼戻し温度(K)、t:焼戻し時間(時
間))を満足する様に焼戻し処理する事を特徴とする1
500MPaの強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高
強度PC棒線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11115193A JPH06306543A (ja) | 1993-04-15 | 1993-04-15 | 耐遅れ破壊特性に優れた高強度pc棒線とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11115193A JPH06306543A (ja) | 1993-04-15 | 1993-04-15 | 耐遅れ破壊特性に優れた高強度pc棒線とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06306543A true JPH06306543A (ja) | 1994-11-01 |
Family
ID=14553758
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11115193A Withdrawn JPH06306543A (ja) | 1993-04-15 | 1993-04-15 | 耐遅れ破壊特性に優れた高強度pc棒線とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06306543A (ja) |
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---|---|---|---|---|
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-
1993
- 1993-04-15 JP JP11115193A patent/JPH06306543A/ja not_active Withdrawn
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