JPH06306404A - 圧粉焼結品の製造方法及び圧粉焼結用粉体 - Google Patents
圧粉焼結品の製造方法及び圧粉焼結用粉体Info
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- JPH06306404A JPH06306404A JP5120593A JP12059393A JPH06306404A JP H06306404 A JPH06306404 A JP H06306404A JP 5120593 A JP5120593 A JP 5120593A JP 12059393 A JP12059393 A JP 12059393A JP H06306404 A JPH06306404 A JP H06306404A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 Cによる耐摩耗性等の向上を達成しつつ、圧
粉密度及び焼結密度の高い圧粉焼結品を製造し、特にC
の偏析によるじん性低下を来すことのない焼結品を提供
すること。 【構成】 ガスアトマイズにより製造した13%Cr系
のSUS粉末(粒径約149μm以下)と、給油量40
〜330ml/100gのCB微粉末(粒径10〜40
mmμ)とを所定量配合し、バインダとしてステアリン酸
亜鉛を1wt%添加し、ブレード付の混合撹拌機に投入
し、十分に混合撹拌した。混合撹拌後のSUS粉末表面
は、CB微粉末がほぼ均一にまぶされた状態となる。こ
の圧粉焼結用粉体を用いて圧粉成形,焼結を行うと、圧
粉成形密度,焼結密度ともに良好で、C偏析のない焼結
品を得ることができた。
粉密度及び焼結密度の高い圧粉焼結品を製造し、特にC
の偏析によるじん性低下を来すことのない焼結品を提供
すること。 【構成】 ガスアトマイズにより製造した13%Cr系
のSUS粉末(粒径約149μm以下)と、給油量40
〜330ml/100gのCB微粉末(粒径10〜40
mmμ)とを所定量配合し、バインダとしてステアリン酸
亜鉛を1wt%添加し、ブレード付の混合撹拌機に投入
し、十分に混合撹拌した。混合撹拌後のSUS粉末表面
は、CB微粉末がほぼ均一にまぶされた状態となる。こ
の圧粉焼結用粉体を用いて圧粉成形,焼結を行うと、圧
粉成形密度,焼結密度ともに良好で、C偏析のない焼結
品を得ることができた。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧粉焼結品の製造方法
及び圧粉焼結用粉体に係り、特に高C含有とすることに
よって焼結品の耐摩耗性等を向上させた圧粉焼結品の製
造方法及び圧粉焼結用粉体に関する。
及び圧粉焼結用粉体に係り、特に高C含有とすることに
よって焼結品の耐摩耗性等を向上させた圧粉焼結品の製
造方法及び圧粉焼結用粉体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、SUS粉末の圧粉焼結品において
耐摩耗性を向上するため、SUS粉末に黒鉛粉末(グラ
ファイト)を混合した混合粉末を用いて圧粉成形し、焼
結するといったことがなされていた。また、SUS粉末
をアトマイズで製造する際に用いる溶湯中に予めCを添
加しておき、Cがプレアロイされた状態のSUS粉末を
用いる場合もあった。
耐摩耗性を向上するため、SUS粉末に黒鉛粉末(グラ
ファイト)を混合した混合粉末を用いて圧粉成形し、焼
結するといったことがなされていた。また、SUS粉末
をアトマイズで製造する際に用いる溶湯中に予めCを添
加しておき、Cがプレアロイされた状態のSUS粉末を
用いる場合もあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、グラファイ
ト混合の場合には、グラファイトの偏析が生じ、焼結品
の品質が不良となる場合があった。また、Cをプレアロ
イした場合には、偏析の問題はないものの圧粉密度を向
上することができず、焼結品の密度を向上できないた
め、品質の良い焼結品の製造が困難であった。
ト混合の場合には、グラファイトの偏析が生じ、焼結品
の品質が不良となる場合があった。また、Cをプレアロ
イした場合には、偏析の問題はないものの圧粉密度を向
上することができず、焼結品の密度を向上できないた
め、品質の良い焼結品の製造が困難であった。
【0004】そこで、本発明においては、Cによる耐摩
耗性等の向上を達成しつつ、圧粉密度及び焼結密度の高
い圧粉焼結品を製造するための製造方法及び圧粉焼結用
粉体を提供することを目的とする。
耗性等の向上を達成しつつ、圧粉密度及び焼結密度の高
い圧粉焼結品を製造するための製造方法及び圧粉焼結用
粉体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】かかる目的を達
成するためになされた本発明の圧粉焼結品の製造方法
は、金属又は合金粉末とカーボンブラック微粉末とを機
械的に切りながら混合撹拌した圧粉材料を用いて圧粉成
形し、焼結することを特徴とする。
成するためになされた本発明の圧粉焼結品の製造方法
は、金属又は合金粉末とカーボンブラック微粉末とを機
械的に切りながら混合撹拌した圧粉材料を用いて圧粉成
形し、焼結することを特徴とする。
【0006】カーボンブラック(以下、CBと記載す
る)は、ファーネスブラック(Furnace bla
ck)とかアセチレンブラック(Acetylene
black)などとしてよく知られている様に、粒径1
0-3μm程度と非常に微細で球状を呈する。このため、
圧粉焼結に通常用いられる金属・合金粉末に比べて極め
て小さい。一方、炭化水素等が気相中で熱分解されて形
成されるものであるため、タール分を含んでおり、粘着
性がある。この様に、金属・合金粉末とは粒径が大きく
異なること、及びCBはその粘着性がありCB同士が団
子状にまとまり易いことから、単に金属・合金粉末とC
Bとを混合撹拌しただけでは、両者が分離した状態にな
り偏析状態が生じ易い。
る)は、ファーネスブラック(Furnace bla
ck)とかアセチレンブラック(Acetylene
black)などとしてよく知られている様に、粒径1
0-3μm程度と非常に微細で球状を呈する。このため、
圧粉焼結に通常用いられる金属・合金粉末に比べて極め
て小さい。一方、炭化水素等が気相中で熱分解されて形
成されるものであるため、タール分を含んでおり、粘着
性がある。この様に、金属・合金粉末とは粒径が大きく
異なること、及びCBはその粘着性がありCB同士が団
子状にまとまり易いことから、単に金属・合金粉末とC
Bとを混合撹拌しただけでは、両者が分離した状態にな
り偏析状態が生じ易い。
【0007】しかし、本発明によれば、機械的に切りな
がら混合撹拌するから、CBの微粉末は団子状になら
ず、金属・合金粉末の表面に均一にまぶされた状態とな
る。従って、偏析のない焼結品が製造できる。また、微
粉末であるので、CBが、圧粉成形の際に金属・合金粉
末の隙間を埋め、圧粉成形密度を向上させる。従って、
最終製品における焼結密度も向上する。
がら混合撹拌するから、CBの微粉末は団子状になら
ず、金属・合金粉末の表面に均一にまぶされた状態とな
る。従って、偏析のない焼結品が製造できる。また、微
粉末であるので、CBが、圧粉成形の際に金属・合金粉
末の隙間を埋め、圧粉成形密度を向上させる。従って、
最終製品における焼結密度も向上する。
【0008】また、本発明の圧粉焼結品の製造方法は、
請求項2記載の様に、金属又は合金の粉末表面に予めC
B微粉末をまぶした圧粉焼結用粉体を用いて圧粉成形
し、焼結することとしてもよい。この様にしておけば、
機械的に切りながら混合撹拌する必要がなく、便利であ
る。
請求項2記載の様に、金属又は合金の粉末表面に予めC
B微粉末をまぶした圧粉焼結用粉体を用いて圧粉成形
し、焼結することとしてもよい。この様にしておけば、
機械的に切りながら混合撹拌する必要がなく、便利であ
る。
【0009】なお、前記CB微粉末として、吸油量が1
50ml/100g以下のものを用いることが望まし
い。吸油量(タール分の含有量)が多いとそれほど圧粉
密度を向上できなくなるからである。これは、吸油量の
高いCBを用いると、その粘着性が高くなり過ぎ、圧粉
成形の時にCBがバネの様な役割を呈する結果、圧粉密
度をそれほど向上することができないためと考えられ
る。なお、さらに望ましくは吸油量が100ml/10
0g以下、より望ましくは50ml/100g以下とす
るとよい。吸油量が減るほど圧粉密度が向上する傾向に
あるからである。
50ml/100g以下のものを用いることが望まし
い。吸油量(タール分の含有量)が多いとそれほど圧粉
密度を向上できなくなるからである。これは、吸油量の
高いCBを用いると、その粘着性が高くなり過ぎ、圧粉
成形の時にCBがバネの様な役割を呈する結果、圧粉密
度をそれほど向上することができないためと考えられ
る。なお、さらに望ましくは吸油量が100ml/10
0g以下、より望ましくは50ml/100g以下とす
るとよい。吸油量が減るほど圧粉密度が向上する傾向に
あるからである。
【0010】また、本発明は、圧粉焼結用粉体自体をも
対象とする。本発明の圧粉焼結用粉体は、金属又は合金
の粉末表面にCB微粉末をまぶしたものである。そし
て、やはり、前記CB微粉末は、吸油量が150ml/
100g以下であることが望ましく、さらに望ましくは
100ml/100g以下、より望ましくは50ml/
100g以下となる。前述の様に、吸油量が減るほど圧
粉密度が向上する傾向にあるからである。
対象とする。本発明の圧粉焼結用粉体は、金属又は合金
の粉末表面にCB微粉末をまぶしたものである。そし
て、やはり、前記CB微粉末は、吸油量が150ml/
100g以下であることが望ましく、さらに望ましくは
100ml/100g以下、より望ましくは50ml/
100g以下となる。前述の様に、吸油量が減るほど圧
粉密度が向上する傾向にあるからである。
【0011】
【実施例】次に、本発明を一層明らかにするために、実
施例を以下に説明する。実施例では、ガスアトマイズに
より製造した13%Cr系のSUS粉末と、CB微粉末
とを用いて、C含有量を2.5wt%以下で種々変えた
円柱体(直径11.4mm,高さ9.0mm)の圧粉焼
結を行った。
施例を以下に説明する。実施例では、ガスアトマイズに
より製造した13%Cr系のSUS粉末と、CB微粉末
とを用いて、C含有量を2.5wt%以下で種々変えた
円柱体(直径11.4mm,高さ9.0mm)の圧粉焼
結を行った。
【0012】SUS粉末は、JIS相当品でいうとSU
S410であり、粒径約149μm以下に分級したもの
を用いた。CB微粉末としては、下記表の様な粒径等を
有するものを用いた。なお、表中の表示記号とは、各種
試験結果の図面上での表示記号を意味する。
S410であり、粒径約149μm以下に分級したもの
を用いた。CB微粉末としては、下記表の様な粒径等を
有するものを用いた。なお、表中の表示記号とは、各種
試験結果の図面上での表示記号を意味する。
【0013】
【表1】
【0014】圧粉成形に当たっては、上記SUS粉末と
CB微粉末とを最終製品で予定しているC含有量に基づ
いて所定量配合し、さらにバインダとしてステアリン酸
亜鉛を1wt%添加し、これをブレード付の混合撹拌機
に投入し、機械的に切りながら十分に混合撹拌した。混
合撹拌後のSUS粉末表面の電子顕微鏡写真を図1に示
す。この写真はNo.3のCB微粉末を用いた例であ
り、CB含有量が2.5wt%の条件の場合である。写
真で全体がぼやっとして金属光沢が確認できないのは、
SUS粉末表面に微細なCB微粉末がほぼ均一にまぶさ
れた状態であることを意味している。なお、CB微粉末
自体はさらに倍率をあげないと視認することはできな
い。
CB微粉末とを最終製品で予定しているC含有量に基づ
いて所定量配合し、さらにバインダとしてステアリン酸
亜鉛を1wt%添加し、これをブレード付の混合撹拌機
に投入し、機械的に切りながら十分に混合撹拌した。混
合撹拌後のSUS粉末表面の電子顕微鏡写真を図1に示
す。この写真はNo.3のCB微粉末を用いた例であ
り、CB含有量が2.5wt%の条件の場合である。写
真で全体がぼやっとして金属光沢が確認できないのは、
SUS粉末表面に微細なCB微粉末がほぼ均一にまぶさ
れた状態であることを意味している。なお、CB微粉末
自体はさらに倍率をあげないと視認することはできな
い。
【0015】次に、このCB微粉末をまぶされたSUS
粉末を型に入れ、7t/cm2 の荷重にて圧粉成形を行
った。そして、真空中で最初に500℃にて30分焼結
を行うことによりバインダとして添加したステアリン酸
亜鉛を消失させ、次に、同じく真空中で1200℃にて
60分の焼結を行った。なお、No.1のCBを用いた
場合には、C含有量1.0%以上を狙ったときに混合撹
拌の時点でCが分離してしまい焼結品を得ることができ
なかった。また、No.2のCBを用いた場合には、C
含有量1.5%以上を狙ったときに混合撹拌の時点でC
が分離してしまい焼結品を得ることができなかった。
粉末を型に入れ、7t/cm2 の荷重にて圧粉成形を行
った。そして、真空中で最初に500℃にて30分焼結
を行うことによりバインダとして添加したステアリン酸
亜鉛を消失させ、次に、同じく真空中で1200℃にて
60分の焼結を行った。なお、No.1のCBを用いた
場合には、C含有量1.0%以上を狙ったときに混合撹
拌の時点でCが分離してしまい焼結品を得ることができ
なかった。また、No.2のCBを用いた場合には、C
含有量1.5%以上を狙ったときに混合撹拌の時点でC
が分離してしまい焼結品を得ることができなかった。
【0016】一方、従来技術との比較のため、Cをプレ
アロイしたSUS粉末を単独で用いて同様の条件で円柱
体を圧粉焼結すると共に(図中表示記号×)、CBに変
えてグラファイト(粒径約10μm)を用いて同様に圧
粉焼結を行った(図中表示記号◇)。
アロイしたSUS粉末を単独で用いて同様の条件で円柱
体を圧粉焼結すると共に(図中表示記号×)、CBに変
えてグラファイト(粒径約10μm)を用いて同様に圧
粉焼結を行った(図中表示記号◇)。
【0017】まず、CBをまぶした粉体の性質について
調べた見掛け密度ADと流動度FRについて説明する。
なお、これらは、No.1〜No.4のCBを用いた場
合についてだけ計測し、No.5のCBを用いた場合に
ついては計測しなかった。見掛け密度ADの関係を調べ
た結果を図2に示す。図示の様に、CB含有量が多くな
る程、見掛け密度ADが低下した。CBの方がSUSよ
りも密度が小さいのであるから、これは当然である。一
方、吸油量が多いほどその低下の度合が大きいという傾
向が分かった。これは、吸油量が多いほど粘着性が高
く、全体としてかさばる様になるためと考えられる。
調べた見掛け密度ADと流動度FRについて説明する。
なお、これらは、No.1〜No.4のCBを用いた場
合についてだけ計測し、No.5のCBを用いた場合に
ついては計測しなかった。見掛け密度ADの関係を調べ
た結果を図2に示す。図示の様に、CB含有量が多くな
る程、見掛け密度ADが低下した。CBの方がSUSよ
りも密度が小さいのであるから、これは当然である。一
方、吸油量が多いほどその低下の度合が大きいという傾
向が分かった。これは、吸油量が多いほど粘着性が高
く、全体としてかさばる様になるためと考えられる。
【0018】流動度FRは、図3に示す。給油量の最も
少ないNo.4のCBを用いる場合に流動性が最もよか
った。一方、給油量の最も多いNo.1のCBが流動性
が最も悪かった。なお、No.2とNo.3ではそれほ
ど流動性の差はなかった。今回計測しなかったがNo.
5を用いた場合にも、No.4同様にかなり流動性が良
くなることが予想される。
少ないNo.4のCBを用いる場合に流動性が最もよか
った。一方、給油量の最も多いNo.1のCBが流動性
が最も悪かった。なお、No.2とNo.3ではそれほ
ど流動性の差はなかった。今回計測しなかったがNo.
5を用いた場合にも、No.4同様にかなり流動性が良
くなることが予想される。
【0019】次に、Cプレアロイ品と、各実施例とにつ
いて圧粉成形後の圧粉密度GDを調べた結果を図4に示
す。図示の様に、No.3,4,5では著しく圧粉密度
が向上することが分かる。ここで、No.1とNo.3
は、粒径はほぼ同じで、前者の方が給油量が大きい。ま
た、No.2とNo.3は比表面積が比較的近いが、給
油量がNo.2の方が2倍となている。これらのことか
ら、給油量が少ない程、圧粉成形密度GDを向上させる
ことが分かる。このことは、同図(B)の様に給油量に
ついて整理してみるとより一層明瞭になる。
いて圧粉成形後の圧粉密度GDを調べた結果を図4に示
す。図示の様に、No.3,4,5では著しく圧粉密度
が向上することが分かる。ここで、No.1とNo.3
は、粒径はほぼ同じで、前者の方が給油量が大きい。ま
た、No.2とNo.3は比表面積が比較的近いが、給
油量がNo.2の方が2倍となている。これらのことか
ら、給油量が少ない程、圧粉成形密度GDを向上させる
ことが分かる。このことは、同図(B)の様に給油量に
ついて整理してみるとより一層明瞭になる。
【0020】次に、この圧粉成形体の脆さを調べるた
め、JISラトラー試験を行い、ラトラー値RVを計測
した結果を図5に示す。なお、ラトラー試験とは、金網
製のカゴ内に圧粉成形した試料を入れ、カゴを回転させ
たときに試料がどの程度崩れるかを計測する試験で、ラ
トラー値RVはカゴから落ちた量を示している。RV=
100%ということは、完全にばらばらになってカゴか
ら落ちたことを意味する。No.1,No.2のCBを
用いた場合には、CB混合量が0.5wt%,1.0w
t%程度でもかなり崩れ易いことが分かった。このこと
から、給油量が大きいと、成形体が脆いということが分
かる。一方、No.3のCBを用いた場合は2.5wt
%についてもほとんど崩れなかった。No.4のCB
は、2.0wt%以上ではほとんど崩れてしまった。こ
のことから、同じ程度の給油量であるならば、粒径が小
さい方が崩れ難いということも分かった。但し、最も重
要な要素は給油量と考えられる。No.1とNo.3で
は粒径はほとんど同じなのに、前者はきわめて崩れ易い
のに対し、後者はほとんど崩れないからである。
め、JISラトラー試験を行い、ラトラー値RVを計測
した結果を図5に示す。なお、ラトラー試験とは、金網
製のカゴ内に圧粉成形した試料を入れ、カゴを回転させ
たときに試料がどの程度崩れるかを計測する試験で、ラ
トラー値RVはカゴから落ちた量を示している。RV=
100%ということは、完全にばらばらになってカゴか
ら落ちたことを意味する。No.1,No.2のCBを
用いた場合には、CB混合量が0.5wt%,1.0w
t%程度でもかなり崩れ易いことが分かった。このこと
から、給油量が大きいと、成形体が脆いということが分
かる。一方、No.3のCBを用いた場合は2.5wt
%についてもほとんど崩れなかった。No.4のCB
は、2.0wt%以上ではほとんど崩れてしまった。こ
のことから、同じ程度の給油量であるならば、粒径が小
さい方が崩れ難いということも分かった。但し、最も重
要な要素は給油量と考えられる。No.1とNo.3で
は粒径はほとんど同じなのに、前者はきわめて崩れ易い
のに対し、後者はほとんど崩れないからである。
【0021】次に、焼結後の状態について種々調べた結
果を説明する。まず、焼結前のCB添加量と、焼結後の
C含有量とを調べた結果を図6に示す。(A)から分か
るように、C含有量は焼結によりやや減少している。し
かし、(B)に示すように、SUS粉末自体が含有する
Oの量(通常0.2wt%)を添加したCBから引く
と、ほぼ、(添加したC)=(焼結後のC)となる。こ
れは焼結によるC含有量の低下は、添加したCBが消え
てなくなる訳ではなく、SUS粉末が含有していたOの
還元に使われたということを意味している。従って、C
Bを用いて歩留まりが悪くなった訳ではなく、グラファ
イトを添加しても同様の歩留まりとなる。また、Cプレ
アロイの場合も同様の歩留まりとなる。
果を説明する。まず、焼結前のCB添加量と、焼結後の
C含有量とを調べた結果を図6に示す。(A)から分か
るように、C含有量は焼結によりやや減少している。し
かし、(B)に示すように、SUS粉末自体が含有する
Oの量(通常0.2wt%)を添加したCBから引く
と、ほぼ、(添加したC)=(焼結後のC)となる。こ
れは焼結によるC含有量の低下は、添加したCBが消え
てなくなる訳ではなく、SUS粉末が含有していたOの
還元に使われたということを意味している。従って、C
Bを用いて歩留まりが悪くなった訳ではなく、グラファ
イトを添加しても同様の歩留まりとなる。また、Cプレ
アロイの場合も同様の歩留まりとなる。
【0022】次に、焼結密度SDについて調べて見た。
図7に示す様に、No.3,No.4,No.5が共に
焼結密度が良好で、給油量が多くなると焼結密度が低下
する傾向が分かった。これも、同図(B)に示すように
給油量について整理し直して見るとより一層明らかにな
る。
図7に示す様に、No.3,No.4,No.5が共に
焼結密度が良好で、給油量が多くなると焼結密度が低下
する傾向が分かった。これも、同図(B)に示すように
給油量について整理し直して見るとより一層明らかにな
る。
【0023】また、幅方向収縮率と高さ方向収縮率とを
調べると、図8に示す様に、Cプレアロイの比較例で
は、ほとんど収縮がないことが分かった。従って、焼結
による焼き締りが少なく、焼結密度が十分に上がらな
い。このことは、製品強度の向上が望めないことを意味
している。一方、グラファイトの比較例と本実施例で
は、C含有量の高い部分でかなりの収縮率となった。従
って、CプレアロイよりもCB混合型の方が焼き締りが
良好なことが分かった。一方、混合型であっても、グラ
ファイトを用いた比較例ではCの偏析により、じん性が
低くなった。これに対し、CBを用いた実施例では焼結
品にC偏析がなく、じん性が良好であった。
調べると、図8に示す様に、Cプレアロイの比較例で
は、ほとんど収縮がないことが分かった。従って、焼結
による焼き締りが少なく、焼結密度が十分に上がらな
い。このことは、製品強度の向上が望めないことを意味
している。一方、グラファイトの比較例と本実施例で
は、C含有量の高い部分でかなりの収縮率となった。従
って、CプレアロイよりもCB混合型の方が焼き締りが
良好なことが分かった。一方、混合型であっても、グラ
ファイトを用いた比較例ではCの偏析により、じん性が
低くなった。これに対し、CBを用いた実施例では焼結
品にC偏析がなく、じん性が良好であった。
【0024】この様に、CBを用いると、同じC含有量
の焼結品を製造する場合に、圧粉成形密度を向上させ、
焼結密度も向上させ、強度の高い製品を得ることがで
き、しかもC偏析が生じないので、じん性も良い製品を
製造することができる。また、この場合、特にC含有量
の多い焼結品を製造するに当たっては給油量が小さいほ
どよい。そして、図7の(B)図によれば、概ね150
ml/100gを境に焼結密度が向上することから、1
50ml/100g以下とするとよいということが分か
る。そして、ラトラー値RVや圧粉成形密度GD等を総
合勘案した場合には、望ましくは100ml/100g
以下、特に、50ml/100g以下であると一層よい
ということが分かった。特に、C含有量2.0wt%程
度のものを製造する場合には、給油量が100ml/1
00g以下に抑制されるべきである。
の焼結品を製造する場合に、圧粉成形密度を向上させ、
焼結密度も向上させ、強度の高い製品を得ることがで
き、しかもC偏析が生じないので、じん性も良い製品を
製造することができる。また、この場合、特にC含有量
の多い焼結品を製造するに当たっては給油量が小さいほ
どよい。そして、図7の(B)図によれば、概ね150
ml/100gを境に焼結密度が向上することから、1
50ml/100g以下とするとよいということが分か
る。そして、ラトラー値RVや圧粉成形密度GD等を総
合勘案した場合には、望ましくは100ml/100g
以下、特に、50ml/100g以下であると一層よい
ということが分かった。特に、C含有量2.0wt%程
度のものを製造する場合には、給油量が100ml/1
00g以下に抑制されるべきである。
【0025】以上本発明の実施例を説明したが、本発明
は上述した実施例に限定されるものではなく、その要旨
を逸脱しない範囲内で種々なる態様にて実現することが
できることはいうまでもない。例えば、SUS粉末以外
の各種金属・合金粉末を用いての圧粉焼結においても本
発明を適用することができることはもちろんである。
は上述した実施例に限定されるものではなく、その要旨
を逸脱しない範囲内で種々なる態様にて実現することが
できることはいうまでもない。例えば、SUS粉末以外
の各種金属・合金粉末を用いての圧粉焼結においても本
発明を適用することができることはもちろんである。
【0026】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の圧粉焼結品
の製造方法及び圧粉焼結用粉体によれば、Cによる耐摩
耗性等の向上を達成しつつ、圧粉密度及び焼結密度の高
い圧粉焼結品を製造することができ、特にCの偏析によ
るじん性低下を来すということもない。特に、請求項
3,5に記載のように、給油量の少ないCBを用いる
と、C含有量の多めの製品を製造する場合に、圧粉密度
及び焼結密度を向上させる効果が高い。
の製造方法及び圧粉焼結用粉体によれば、Cによる耐摩
耗性等の向上を達成しつつ、圧粉密度及び焼結密度の高
い圧粉焼結品を製造することができ、特にCの偏析によ
るじん性低下を来すということもない。特に、請求項
3,5に記載のように、給油量の少ないCBを用いる
と、C含有量の多めの製品を製造する場合に、圧粉密度
及び焼結密度を向上させる効果が高い。
【図1】 実施例におけるCBをまぶした状態のSUS
粉末の粒子構造の顕微鏡写真である。
粉末の粒子構造の顕微鏡写真である。
【図2】 実施例の圧粉成形用粉体の見掛け密度を計測
した結果のグラフである。
した結果のグラフである。
【図3】 実施例の圧粉成形用粉体の流動度を計測した
結果のグラフである。
結果のグラフである。
【図4】 実施例及び比較例による圧粉成形体の圧粉密
度を計測した結果のグラフである。
度を計測した結果のグラフである。
【図5】 実施例の圧粉成形体についてラトラー値を計
測した結果のグラフである。
測した結果のグラフである。
【図6】 実施例の圧粉焼結体についてCB混合量と焼
結後のC含有量との関係を計測した結果のグラフであ
る。
結後のC含有量との関係を計測した結果のグラフであ
る。
【図7】 実施例及び比較例の圧粉焼結体について焼結
密度を計測した結果のグラフである。
密度を計測した結果のグラフである。
【図8】 実施例及び比較例の圧粉焼結体について幅方
向及び高さ方向の収縮率を計測した結果のグラフであ
る。
向及び高さ方向の収縮率を計測した結果のグラフであ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 金属又は合金粉末とカーボンブラック微
粉末とを機械的に切りながら混合撹拌した圧粉材料を用
いて圧粉成形し、焼結することを特徴とする圧粉焼結品
の製造方法。 - 【請求項2】 金属又は合金の粉末表面に予めカーボン
ブラック微粉末をまぶした圧粉焼結用粉体を用いて圧粉
成形し、焼結することを特徴とする圧粉焼結品の製造方
法。 - 【請求項3】 前記カーボンブラック微粉末として、吸
油量が150ml/100g以下のものを用いることを
特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧粉焼結品の製
造方法。 - 【請求項4】 金属又は合金の粉末表面にカーボンブラ
ック微粉末をまぶした圧粉焼結用粉体。 - 【請求項5】 前記カーボンブラック微粉末は、吸油量
が150ml/100g以下であることを特徴とする請
求項4記載の圧粉焼結用粉体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5120593A JPH06306404A (ja) | 1993-04-22 | 1993-04-22 | 圧粉焼結品の製造方法及び圧粉焼結用粉体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5120593A JPH06306404A (ja) | 1993-04-22 | 1993-04-22 | 圧粉焼結品の製造方法及び圧粉焼結用粉体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06306404A true JPH06306404A (ja) | 1994-11-01 |
Family
ID=14790108
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5120593A Pending JPH06306404A (ja) | 1993-04-22 | 1993-04-22 | 圧粉焼結品の製造方法及び圧粉焼結用粉体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06306404A (ja) |
-
1993
- 1993-04-22 JP JP5120593A patent/JPH06306404A/ja active Pending
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