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JPH06298751A - 塩酸ジルチアゼムの製造法 - Google Patents

塩酸ジルチアゼムの製造法

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Publication number
JPH06298751A
JPH06298751A JP10199893A JP10199893A JPH06298751A JP H06298751 A JPH06298751 A JP H06298751A JP 10199893 A JP10199893 A JP 10199893A JP 10199893 A JP10199893 A JP 10199893A JP H06298751 A JPH06298751 A JP H06298751A
Authority
JP
Japan
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methoxyphenyl
epoxy
propionic acid
optically active
mmol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10199893A
Other languages
English (en)
Inventor
Masatoshi Hayashi
正敏 林
Masao Yamamoto
雅夫 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Chemiphar Co Ltd
Original Assignee
Nippon Chemiphar Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Chemiphar Co Ltd filed Critical Nippon Chemiphar Co Ltd
Priority to JP10199893A priority Critical patent/JPH06298751A/ja
Publication of JPH06298751A publication Critical patent/JPH06298751A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Nitrogen- Or Sulfur-Containing Heterocyclic Ring Compounds With Rings Of Six Or More Members (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 公知のジルチアゼム(塩酸塩)の各種の製法
に比べて更に有利な製法を提供する。 【構成】 一般式 【化1】 (上記一般式において、Rは炭素数1〜4個のアルキル
基を示す。)で表わされる(−)−(2R*,3S*)
−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
ロピオン酸エステルを出発原料として用い、途中光学分
割を行なうことなく塩酸ジルチアゼムを製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩酸ジルチアゼムの製
造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】次の化学式(1)
【0003】
【化2】 で表わされるベンゾチアゼピン誘導体は、分子内に二つ
の不斉炭素を有することから、理論的には四種類の光学
異性体が存在する。そして、これらの四種類の光学異性
体うちで、(+)−(2S,3S)体のみが、強力な冠
血管拡張剤としての薬効を有することが既に見出されて
いる。この(+)−(2S,3S)体は、塩酸ジルチア
ゼムの名前で知られている。
【0004】上記の化学式(1)のベンゾチアゼピン誘
導体の代表的製法としては、たとえば、特公昭46−4
3785号公報に記載されている次に示すような方法が
知られている。まず、下記一般式(2)で示されるβ−
フェニルグリシッド酸エステル:
【0005】
【化3】 (ただし、上記一般式(2)においてR1 はエステル残
基を表わす)と下記化学式(3)で表わされる2−アミ
ノチオフェノール:
【0006】
【化4】 とを加熱反応させて、下記化学式(3)の1,5−ベン
ゾチアゼピン誘導体:
【0007】
【化5】 を製造し、次いでこの1,5−ベンゾチアゼピン誘導体
を、下記一般式(4)で表わされる酢酸、プロピオン酸
などの脂肪酸:
【0008】
【化6】 (ただし、上記一般式(4)においてR2 はアルキル基
を表わす)と縮合反応させて、下記化学式(5)の1,
5−ベンゾチアゼピン誘導体:
【0009】
【化7】 を製造し、次にこの1,5−ベンゾチアゼピン誘導体を
その5位窒素部位におけるアルカリ金属塩としたのち、
下記一般式(6)のアミン誘導体:
【0010】
【化8】 (ただし、上記一般式(6)においてR3 とR4 とはい
ずれもアルキル基を表わし、Xはハロゲン原子を表わ
す)と縮合反応させることによって、目的の化学式
(1)のベンゾチアゼピン誘導体を得る。
【0011】ただし、上記の化学式(1)のベンゾチア
ゼピン誘導体は、前述のように四種の光学異性体の混合
物であるため、強力な冠血管拡張剤としての薬効を有し
ている塩酸ジルチアゼム、即ち(+)−(2S,3S)
体を得るためには、生成した化学式(1)のベンゾチア
ゼピン誘導体を光学分割する必要がある。しかしなが
ら、この生成物を光学分割する方法を利用する場合に
は、複雑な製造工程を経て製造した生成物中のうち、目
的の光学異性体以外の大部分の生成物を無駄にする結果
となるため、工業的製法としては有利でないこと、また
化学式(1)のベンゾチアゼピン誘導体を光学分割して
目的の光学異性体のみを高純度で得るための適当な光学
分割剤が見い出されていないなどの理由で、この生成物
の光学分割以外の方法が検討されてきた。特公昭53−
18038号公報では、前記一般式(2)で示されるβ
−フェニルグリシッド酸エステルを2−ニトロチオフェ
ノールと反応させて得られるラセミ型α−2−ヒドロキ
シ−3−(p−アルコキシフェニル)−3−(O−ニト
ロフェニルチオ)−プロピオン酸を光学分割して光学活
性α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフェニ
ル)−3−(O−ニトロフェニルチオ)−プロピオン酸
とし、これを還元して光学活性α−2−ヒドロキシ−3
−(p−アルコキシフェニル)−3−(O−アミノフェ
ニルチオ)−プロピオン酸とし、これを分子内閉環反応
させて光学活性α−2−(p−アルコキシフェニル)−
3−ヒドロキシチ−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾ
チアゼピン−4(5H)−オンとし、これを縮合剤の存
在下にω−ジアルキルアミノアルキルハライドと縮合反
応させて光学活性α−2−(p−アルコキシフェニル)
−3−ヒドロキシ−5−(ω−ジアルキルアミノアルキ
ル)−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼピン−
4(5H)−オンとし、次いでこれを脂肪酸アシル化剤
と反応させて光学活性のα−2−(p−アルコキシフェ
ニル)−3−アシルオキシ−5−(ω−ジアルキルアミ
ノアルキル)−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾチア
ゼピン−4(5H)−オン(ジルチアゼム)を得る方法
を開示している。この方法は、β−フェニルグリシッド
酸エステルを2−ニトロチオフェノールと反応させて、
ラセミ型α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフ
ェニル)−3−(O−ニトロフェニルチオ)−プロピオ
ン酸を一旦製造し、これを光学分割して光学活性体と
し、その後、還元して光学活性のアミノ体とし、これか
ら光学活性を維持したまま、閉環反応、縮合反応、そし
てアシル化反応にかけ、目的の光学活性体であるジルチ
アゼムを得るとの製造法である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、公知のジル
チアゼムの各種の製法に比べて更に有利な製法を提供す
るものである。
【0013】すなわち本発明者は、上記の特公昭53−
18038号公報に記載のジルチアゼムの製造法に比べ
て更に前の段階でジルチアゼムに対応する光学活性を有
する中間体を得て、これを出発原料として、途中、面倒
な光学分割操作を経ることなく、目的のジルチアゼムを
得ることができれば、ジルチアゼムの製造法として更に
有利な製造法が開発できるとの発想のもとに、まず、光
学活性な遊離の(−)−(2R*,3S*)−2,3−
エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
を得ることを考えたが、この化合物はそのラセミ体と同
様不安定な化合物と考えられるため、これを単離して取
り扱うことは非常に困難であるとの結論に達した。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の理由により、本発
明者は2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩の段階で光学分割を行なったとこ
ろ、安定な光学活性体が得られ、これをジアルキル硫酸
などの存在下でエステル化すると、新規な光学活性の
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エステルが安定
に得られることを見い出した。そして、この新規な光学
活性化合物を出発原料とすれば、途中、光学分割を行な
うことなく塩酸ジルチアゼムを得ることを見出した。
【0015】従って、本発明は、一般式(7):
【0016】
【化9】 (上記一般式(7)において、Rは炭素数1〜4個のア
ルキル基を示す。)で表わされる(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸エステルを出発物質として、途中光学
分割を行なうことなく、塩酸ジルチアゼムを製造する方
法にある。
【0017】上記の(−)−(2R*,3S*)−2,
3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ
ン酸エステルは、下記式(8)
【0018】
【化10】 (上記式中、A+ は有機塩基の共役酸またはアルカリ金
属イオンを示す。)で表わされる(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩を、ジアルキル硫酸あるいは1−メ
チル−2−ハロピリジニウム塩の存在下に低級アルコー
ル(炭素数1〜4のアルコール)を作用することにより
エステル化して得ることができる。
【0019】本発明の一般式(7)の(−)−(2R
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルの製造のための出発物
質となる(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキ
シ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸塩は、
本件と同一出願人の特許出願(特願昭59−26743
3号)に係る発明の名称「新規な光学活性エポキシプロ
ピオン酸誘導体およびその製造法」に記載の方法(具体
例は、本明細書に参考例として記載した)に従って製造
することができる。次いで得られた光学活性のプロピオ
ン酸塩をエステル化に付して、本発明の光学活性(−)
−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−
メトキシフェニル)プロピオン酸エステルとする。例え
ば、メチルエステルを得る反応では、ジメチルホルムア
ミド溶媒中、炭酸水素ナトリウムを加えて、硫酸ジメチ
ルとプロピオン酸塩を数時間反応させれば良い。あるい
は、プロピオン酸塩に対して1−メチル−2−クロロピ
リジニウム・メチル硫酸塩、トリエチルアミン、メタノ
ールを等モル量用い、ジクロロメタン中で反応させても
良い。
【0020】なお、本発明の光学活性(−)−(2R
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルは、下記の化学反応を
利用することにより光学活性を維持したまま、塩酸ジル
チアゼム合成における公知の光学活性中間体(+)−
(2S,3S)−3−(2−アミノフェニルチオ)−2
−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ
ン酸へと誘導できた。そして、この光学活性中間体を用
いて、光学活性を維持したまま、特公昭53−1803
8号公報に記載の反応を行なうことにより、容易に塩酸
ジルチアゼムが得られる。
【0021】
【化11】
【0022】
【実施例】
[参考例1]アセトニトリル108mlおよび水12m
lの混合溶媒によく粉砕した(±)−(2RS,3S
R)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸カリウム塩11.61g(50.0ミ
リモル)および(−)−(S)−α−メチルベンジルア
ミン・1/2硫酸塩8.51g(50.0ミリモル)を
加え室温にて30分間はげしく撹拌する。不溶物を濾別
し、濾液を−20℃にて2時間冷却すると無色針状晶が
析出するのでこれを濾過して、(−)−(2R*,3S
*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸・(−)−(S)−α−メチルベンジ
ルアミン塩[以後(−)−1・(−)−2塩と略記す
る]5.60gを得た。収率[全塩の半量を100%と
して計算、以下同じ]71.0%。mp:127.5−
128.5℃(分解)。[α]D 23 :−120°(c=
1.02,メタノール) また、先に濾別した不溶物をメタノールで洗浄し、洗浄
液を減圧下にて濃縮乾固して得られる固体をアセトニト
リルより洗浄して、(−)−1・(−)−2塩0.60
g(7.6%)を得た。この塩は、上記の塩とIRスペ
クトルが一致した。mp:126.5−127℃(分
解)。[α]D 23 :−117°(c1.07,メタノー
ル)
【0023】IR(KBr)cm-1:3440,300
0〜2950,2700,2520,2200,163
0,1610,1565,1535,1510,141
0,1290,1250,880,765,7001 H−NMR(CDCl3 /CD3 OD=6/1)δ: 1.62(d,3H,J=7Hz,−CHC 3 ) 3.35(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.73(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(s,3H,−OC 3 ) 4.36(q,1H,J=7Hz,−CCH3 ) 6.8−7.2(m,4H,芳香族プロトン) 7.2−7.5(m,5H,芳香族プロトン)
【0024】[参考例2](−)−1・(−)−2塩
4.41g(14.0ミリモル)を、乾燥ベンゼン14
mlに懸濁させ、これに室温で、95%ナトリウムメト
キシド0.80gの乾燥メタノール溶液(14ml)を
徐々に加える。室温で1時間撹拌後、反応液を濾過しベ
ンゼンで洗浄して、(−)−(2R*・3S*)−2,
3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ
ン酸ナトリウム塩2.68gを得た。収率:88.4
%。mp:約220℃(分解)。[α]D 23 :−158
°(c=0.697,アセトン:水=1.0:1.0)
【0025】IR(KBr)cm-1:3040,300
5,2950,2900,2835,1605,151
0,1435,1415,1245,1020,89
0,8301 H−NMR((CD32 CO:D2 O=1:1;内
部標準DSS)δ; 3.47(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.83(s,3H,−OC 3 ) 3.95(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.96(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン) 7.31(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン)
【0026】[参考例3]2−クロロピリジン11.3
6g(100.0ミリモル)に乾燥ジクロロエタン15
mlを加え、加熱還流下、ジメチル硫酸12.61g
(100.0ミリモル)のジクロロエタン15ml溶液
を滴下する。1時間加熱還流後、室温まで冷却して1−
メチル−2−クロロピリジニウムメチル硫酸塩溶液を得
た。これをメスフラスコに移しジクロロメタンを用いて
正確に100mlとした。さらに精製することなく、こ
れを以下の実施例に用いた。
【0027】[実施例1](−)−(2R*・3S*)
−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
ロピオン酸ナトリウム塩[以後(−)−3と略記する]
2.59g(12.0ミリモル)を塩化メチレン12m
lに懸濁させ、トリエチルアミン1.34g(13.2
ミリモル)及びメタノール・塩化メチレン溶液(メタノ
ール1ミリモル/ml含有)13.2mlを加え、よく
撹拌する。これに室温で、参考例3で得た1−メチル−
2−クロロピリジニウムメチル硫酸塩溶液13.2ml
(13.2ミリモル)を徐々に加える。反応液を室温で
一夜撹拌後、溶媒を減圧下留去し、新たに酢酸エチルを
加え、水および飽和食塩水で洗浄する。芒硝で乾燥した
後、溶媒を留去し、残渣を蒸留して、(−)−(2R*
・3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフ
ェニル)プロピオン酸メチルエステル2.08gを得
た。収率:83.2%。bp:99−101℃/2.5
×10-1トール。 [α]D 23 :−160°(c=0.892,クロロホル
ム)
【0028】IR(neat)cm-1:3020,29
60,2920,2840,1760,1615,15
15,1440,1250,1030,8351 H−NMR(CDCl3 )δ: 3.50(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80及び3.81(s×2.6H,−OC 3 及び
−CO2 3 ) 4.04(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.86(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.19(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
【0029】[実施例2](−)−3を4.32g(2
0.0ミリモル)にジメチルホルムアミド20mlおよ
び粉末状の炭酸水素ナトリウム6.72g(80.0ミ
リモル)を加え、撹拌する。これにジメチル硫酸5.0
4g(40.0ミリモル)を加える。16時間後、反応
混合物を氷水200mlに注入しエーテルで抽出後水で
洗浄する。エーテル層を芒硝で乾燥し、溶媒を留去後
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル
2.45gを得た。収率:58.9%。IRと 1H−N
MRの機器データは実施例1のデータと完全に一致し
た。[α]D 23 :−155°(c=0.897,クロロ
ホルム)。bp:107〜113℃/0.12トール
【0030】[実施例3](−)−3を3.89g(1
8.0ミリモル)を塩化メチレン30mlに懸濁させ、
トリエチルアミン2.00g(19.8ミリモル)およ
びエタノール0.91g(19.8ミリモル)をすばや
く加え、よく撹拌する。これに室温で、参考例3で得た
1−メチル−2−クロロピリジニウムメチル硫酸塩溶液
19.8ml(19.8ミリモル)を徐々に加える。反
応液を室温で一夜撹拌後、溶媒を減圧下留去し、新たに
酢酸エチルを加え、酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩
水で洗浄する。芒硝にて乾燥した後、溶媒を留去し、そ
して残渣を蒸留して、(−)−(2R*,3S*)−
2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロ
ピオン酸エチルエステル3.33gを得た。収率:8
3.3%。bp:110−111℃/2.5×10-2
ール。[α]D 23 :−152°(c=1.10,クロロ
ホルム)
【0031】IR(neat)cm-1:2990,29
50,2910,2840,1760,1615,15
15,1440,1300,1250,1200,11
75,1030,835,7801 H−NMR(CDCl3 )δ; 1.32(t,3H,J=7Hz,−OCH2 3 ) 3.48(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(s,3H,−OC 3 ) 4.03(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 4.27(q,2H,J=7Hz,−OC 2 CH3 ) 6.87(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.21(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 塩酸ジルチアゼムの製造法
【特許請求の範囲】
【化1】 (上記一般式において、Rは炭素数1〜4個のアルキル
基を示す。)で表わされる(−)−(2R*,3S*)
−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
ロピオン酸エステルを出発物質として、途中光学分割を
行なうことなく、塩酸ジルチアゼムを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩酸ジルチアゼムの製
造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】次の化学式(1)
【0003】
【化2】 で表わされるベンゾチアゼピン誘導体(α−2−(p−
メトキシフェニル)−3−アセトキシ−5−(β−メチ
ルアミノエチル)−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾ
チアゼピン−4(5H)−オン塩酸塩)は、分子内に二
つの不斉炭素を有することから、理論的には四種類の光
学異性体が存在する。そして、これらの四種類の光学異
性体うちで、(+)−(2S,3S)体のみが強力な冠
血管拡張剤としての薬効を有することが既に見出されて
いる。この(+)−(2S,3S)体は、塩酸ジルチア
ゼムの名前で知られている。
【0004】上記の化学式(1)のベンゾチアゼピン誘
導体の代表的製法としては、たとえば、特公昭46−4
3785号公報に記載されている次に示すような方法が
知られている。まず、下記一般式(2)で示されるβ−
フェニルグリシッド酸エステル:
【0005】
【化3】 (ただし、上記一般式(2)においてRはエステル残
基を表わす)と下記化学式(3)で表わされる2−アミ
ノチオフェノール:
【0006】
【化4】 とを加熱反応させて、下記化学式(3)の1,5−ベン
ゾチアゼピン誘導体:
【0007】
【化5】 を製造し、次いでこの1,5−ベンゾチアゼピン誘導体
を、下記一般式(4)で表わされる酢酸、プロピオン酸
などの脂肪酸:
【0008】
【化6】 (ただし、上記一般式(4)においてRはアルキル基
を表わす)と縮合反応させて、下記化学式(5)の1,
5−ベンゾチアゼピン誘導体:
【0009】
【化7】 を製造し、次にこの1,5−ベンゾチアゼピン誘導体を
その5位窒素部位におけるアルカリ金属塩としたのち、
下記一般式(6)のアミン誘導体:
【0010】
【化8】 (ただし、上記一般式(6)においてRとRとはい
ずれもアルキル基を表わし、Xはハロゲン原子を表わ
す)と縮合反応させることによって、目的の化学式
(1)のベンゾチアゼピン誘導体を得る。
【0011】ただし、上記の化学式(1)のベンゾチア
ゼピン誘導体は、前述のように四種の光学異性体の混合
物であるため、強力な冠血管拡張剤としての薬効を有し
ている塩酸ジルチアゼム、即ち(+)−(2S,3S)
体を得るためには、生成した化学式(1)のベンゾチア
ゼピン誘導体を光学分割する必要がある。しかしなが
ら、この生成物を光学分割する方法を利用する場合に
は、複雑な製造工程を経て製造した生成物中のうち、目
的の光学異性体以外の大部分の生成物を無駄にする結果
となるため、工業的製法としては有利でないこと、また
化学式(1)のベンゾチアゼピン誘導体を光学分割して
目的の光学異性体のみを高純度で得るための適当な光学
分割剤が見い出されていないなどの理由で、この生成物
の光学分割以外の方法が検討されてきた。
【0012】特公昭53−18038号公報では、前記
一殿式(2)で示されるβ−フェニルグリシッド酸エス
テルを2−ニトロチオフェノールと反応させて得られる
ラセミ型α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフ
ェニル)−3−(O−ニトロフェニルチオ)−プロピオ
ン酸を光学分割して光学活性α−2−ヒドロキシ−3−
(p−アルコキシフェニル)−3−(O−ニトロフェニ
ルチオ)−プロピオン酸とし、これを還元して光学活性
α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフェニル)
−3−(O−アミノフェニルチオ)−プロピオン酸と
し、これを分子内閉環反応させて光学活性α−2−(p
−アルコキシフェニル)−3−ヒドロキシチ−2・3−
ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オ
ンとし、これを縮合剤の存在下にω−ジアルキルアミノ
アルキルハライドと縮合反応させて光学活性α−2−
(p−アルコキシフェニル)−3−ヒドロキシ−5−
(ω−ジアルキルアミノアルキル)−2・3−ジヒドロ
−1・5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オンとし、
次いでこれを脂肪酸アシル化剤と反応させて光学活性の
α−2−(p−アルコキシフェニル)−3−アシルオキ
シ−5−(ω−ジアルキルアミノアルキル)−2・3−
ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オ
ン(ジルチアゼム)を得る方法を開示している。この方
法は、β−フェニルグリシッド酸エステルを2−ニトロ
チオフェノールと反応させて、ラセミ型α−2−ヒドロ
キシ−3−(p−アルコキシフェニル)−3−(O−ニ
トロフェニルチオ)−プロピオン酸を一旦製造し、これ
を光学分割して光学活性体とし、その後、還元して光学
活性のアミノ体とし、これから光学活性を維持したま
ま、閉環反応、縮合反応、そしてアシル化反応にかけ、
目的の光学活性体であるジルチアゼムを得るとの製造法
である。
【0013】
【発明を解決しようとする課題】本発明は、公知の塩酸
ジルチアゼムの各種の製法に比べて更に有利な製法を提
供するものである。
【0014】すなわち本発明者は、上記の特公昭53−
18038号公報に記載の塩酸ジルチアゼムの製造法に
比べて更に前の段階で塩酸ジルチアゼムに対応する光学
活性を有する中間体を得て、これを出発原料として、途
中、面倒な光学分割操作を経ることなく、目的の塩酸ジ
ルチアゼムを得ることができれば、塩酸ジルチアゼムの
製造法として更に有利な製造法が開発できるとの発想の
もとに、まず、光学活性な遊離の(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸を得ることを考えたが、この化合物は
そのラセミ体と同様不安定な化合物と考えられることか
ら、これを単離して取り扱うことは非常に困難であると
の結論に達した。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の理由により、本発
明者は2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩の段階で光学分割を行なったとこ
ろ、安定な光学活性体が得られ、これをジアルキル硫酸
などの存在下でエステル化すると、新規な光学活性の
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エステルが安定
に得られることを見い出した。そして、更にこの新規な
光学活性化合物を出発原料とすれば、途中の工程におい
て、特に光学分割を行なう必要なく塩酸ジルチアゼムが
得られることを見出した。
【0016】従って、本発明は、一般式(7):
【0017】
【化9】 (上記一般式(7)において、Rは炭素数1〜4個のア
ルキル基を示す。)で表わされる(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸エステルを出発物質として、途中光学
分割を行なうことなく、塩酸ジルチアゼムを製造する方
法にある。
【0018】上記の(−)−(2R*,3S*)−2,
3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ
ン酸エステルは、下記式(8)
【0019】
【化10】 (上記式中、Aは有機塩基の共役酸またはアルカリ金
属イオンを示す。)で表わされる(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩を、ジアルキル硫酸あるいは1−メ
チル−2−ハロピリジニウム塩の存在下に低級アルコー
ル(炭素数1〜4のアルコール)を作用することにより
エステル化して得ることができる。
【0020】本発明の一般式(7)の(−)−(2R
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルの製造のための出発物
質となる(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキ
シ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸塩は、
本件と同一出願人の特許出願(特願昭59−26743
3号)に係る発明の名称「新規な光学活性エポキシプロ
ピオン酸誘導体およびその製造法」に記載の方法(具体
例は、本明細書に参考例として記載した)に従って製造
することができる。次いで得られた光学活性のプロピオ
ン酸塩をエステル化に付して、本発明の光学活性(−)
−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−
メトキシフェニル)プロピオン酸エステルとする。例え
ば、メチルエステルを得る反応では、ジメチルホルムア
ミド溶媒中、炭酸水素ナトリウムを加えて、硫酸ジメチ
ルとプロピオン酸塩を数時間反応させれば良い。あるい
は、プロピオン酸塩に対して1−メチル−2−クロロピ
リジニウム・メチル硫酸塩、トリエチルアミン、メタノ
ールを等モル量用い、ジクロロメタン中で反応させても
良い。
【0021】なお、本発明の光学活性(−)−(2R
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルは、下記の化学反応を
利用することにより光学活性を維持したまま、塩酸ジル
チアゼム合成における公知の光学活性中間体(+)−
(2S,3S)−3−(2−アミノフェニルチオ)−2
−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ
ン酸へと誘導できた。そして、この光学活性中間体を用
いて、光学活性を維持したまま、特公昭53−1803
8号公報に記載の反応、あるいは特開昭57−1365
81号公報に記載の反応を行なうことにより、容易に目
的の塩酸ジルチアゼムが得られる。
【0022】
【化11】
【0023】
【実施例】 [参考例1]アセトニトリル108mlと水12mlと
の混合溶媒に、よく粉砕した(±)−(2RS,3S
R)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸カリウム塩11.61g(50・0ミ
リモル)と(−)−(S)−α−メチルベンジルアミン
・1/2硫酸塩8.51g(50.0ミリモル)を加
え、室温にて30分間激しく撹拌する。不溶物を濾別
し、瀘液を−20℃にて2時間冷却すると無色針状晶が
析出した。これを濾過して(−)−(2R*,3S*)
−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
ロピオン酸・(−)−(S)−α−メチルベンジルアミ
ン塩[以下、(−)−1・(−)−2塩と略記する]
5.60gを得た。収率[全塩の半量を100%として
計算した、以下の例においても同じ。]:71.0%。
mp:127.5−128.5℃(分解)。 [α] 23:−120°(c=1.02,メタノー
ル) また、先に濾別した不溶物をメタノールで洗浄し、洗浄
液を減圧下にて濃縮乾固して得られる固体をアセトニト
リルより洗浄して、(−)−1・(−)−2塩0.60
g(7.6%)を得た。この塩は、上記の塩とIRスペ
クトルが一致した。mp:126.5−127℃(分
解)。[α] 23:−117°(c=1.07,メタ
ノール)
【0024】IR(KBr)cm−1:3440,30
00〜2950,2700,2520,2200,16
30,1610,1565,1535,1510,14
10,1290,1250,880,765,700 H−NMR(CDCl/CDOD=6/1)δ: 1.62(d,3H,J=7Hz,−CHC ) 3.35(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.73(d,IH,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(s,3H,−OC ) 4.36(q,1H,J=7Hz,−CCH) 6.8−7.2(m,4H,芳香族プロトン) 7.2−7.5(m,5H,芳香族プロトン)
【0025】[参考例2](−)−1・(−)−2塩
4.41g(14.0ミリモル)を、乾燥ベンゼン14
mlに懸濁させ、これに室温で、95%ナトリウムメト
キシド0.80gの乾燥メタノール溶液(14ml)を
徐々に加える。室温で1時間撹拌後、反応液を濾過しベ
ンゼンで洗浄して、(−)−(2R*・3S*)−2,
3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ
ン酸ナトリウム塩2.68gを得た。収率:88.4
%。mp:約220℃(分解)。[α] 23:−15
8°(c=0.697,アセトン:水=1.0:1.
0)
【0026】IR(KBr)cm−1:3040,30
05,2950,2900,2835,1605,15
10,1435,1415,1245,1020,89
0,830 H−NMR((CDCO:DO=1:1;内
部標準DSS)δ; 3.47(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.83(s,3H,−OC ) 3.95(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.96(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン) 7.31(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン)
【0027】[参考例3]2−クロロピリジン11.3
6g(100.0ミリモル)に乾燥ジクロロエタン15
mlを加え、加熱還流下、ジメチル硫酸12.61g
(100.0ミリモル)のジクロロエタン15ml溶液
を滴下する。1時間加熱還流後、室温まで冷却して1−
メチル−2−クロロピリジニウムメチル硫酸塩溶液を得
た。これをメスフラスコに移しジクロロメタンを用いて
正確に100mlとした。さらに精製することなく、こ
れを以下の実施例に用いた。
【0028】[実施例1](−)−(2R*・3S*)
−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
ロピオン酸ナトリウム塩[以下では、(−)−3と略記
する]2.59g(12.0ミリモル)を塩化メチレン
12mlに懸濁させたのち、トリエチルアミン1.34
g(13.2ミリモル)およびメタノール・塩化メチレ
ン溶液(メタノール1ミリモル/ml含有)13.2m
lを加え、よく撹拌する。これに室温にて、参考例3で
得た1−メチル−2−クロロピリジニウムメチル硫酸塩
溶液13.2ml(13.2ミリモル)を徐々に加え
る。反応液を室温で一夜撹拌した後、溶媒を減圧下留去
し、新たに酢酸エチルを加えたのち、水および飽和食塩
水で順次洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、
溶媒を留去し、残渣を蒸留して、(−)−(2R*・3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸メチルエステル2.08gを得た。収
率:83.2%。bp:99−101℃/2.5×10
−1トール。[α] 23:−160°(c=0.89
2,クロロホルム)。
【0029】IR(neat)cm−1:3020,2
960,2920,2840,1760,1615,1
515,1440,1250,1030,835 H−NMR(CDCl)δ: 3.50(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80及び3.81(s×2.6H,−OC 及び
−CO ) 4.04(d,IH,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.86(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.19(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
【0030】[実施例2](−)−3を4.32g(2
0.0ミリモル)にジメチルホルムアミド20mlおよ
び粉末状の炭酸水素ナトリウム6.72g(80.0ミ
リモル)を加え、撹拌する。これにジメチル硫酸5.0
4g(40.0ミリモル)を加える。16時間後、反応
混合物を氷水200mlに注入しエーテルで抽出後水で
洗浄する。エーテル層を芒硝で乾燥し、溶媒を留去して
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル
2.45gを得た。収率:58.9%。IRとH−N
MRのデータは実施例1のデータと完全に一致した。
[α] 23:−155°(c=0.897,クロロホ
ルム)。bp:107〜113℃/0.12トール。
【0031】[実施例3](−)−3を3.89g(1
8.0ミリモル)を塩化メチレン30mlに懸濁させ、
トリエチルアミン2.00g(19.8ミリモル)およ
びエタノール0.91g(19.8ミリモル)をすばや
く加え、よく撹拌する。これに室温で、参考例3で得た
1−メチル−2−クロロピリジニウムメチル硫酸塩溶液
19.8m1(19.8ミリモル)を徐々に加える。反
応液を室温で一夜撹拌後、溶媒を減圧下留去し、新たに
酢酸エチルを加え、酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩
水で洗浄する。芒硝にて乾燥した後、溶媒を留去し、そ
して残渣を蒸留して、(−)−(2R*,3S*)−
2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロ
ピオン酸エチルエステル3.33gを得た。収率:8
3.3%。bp:110−111℃/2.5×10−2
トール。[α] 23:−152°(c=1.10,ク
ロロホルム)。
【0032】IR(neat)cm−1:2990,2
950,2910,2840,1760,1615,1
515,1440,1300,1250,1200,1
175,1030,835,780 H−NMR(CDCl)δ; 1.32(t,3H,J=7Hz,−OCH ) 3.48(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(s,3H,−OC ) 4.03(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 4.27(q,2H,J=7Hz,−OC CH) 6.87(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.21(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
【0033】[実施例4]窒素雰囲気下、2−アミノチ
オフェノール2.69g(21.5ミリモル)および
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル
4.48g(21.5ミリモル)をトルエンに溶解し、
10時間加熱還流する。冷却した後、溶媒を減圧下で留
去し、残渣を70%エタノールで再結晶し、(+)−
(2R*,3R*)−3−(2−アミノフェニルチオ)
−2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロ
ピオン酸メチルエステル5、15gを得た。収率71.
8%。mp:109〜112℃。[α] 23:+10
2°(c=0.536,クロロホルム)。
【0034】IR(KBr)cm−1:3530,34
40,3350,3060,2960,2840,17
30,1610,1505,1290,1245,11
80,1090,1020,745 H−NMR(CDCl)δ; 3.56(s,3H,−CO ) 3.78(s,3H,−OC ) 4.0〜4.4(br,s,3H,−N 及び−O
,重水を加えると消失) 4.49(s,2H,><) 6.4〜7.4(m,8H,芳香族プロトン)
【0035】[実施例5](+)−(2R*,3R*)
−3−(2−アミノフェニルチオ)−2−ヒドロキシ−
3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸メチルエス
テル333mg(1.0ミリモル)に1規定水酸化ナト
リウム水溶液2.0mlを加え、さらに水5mlとメタ
ノール1mlと加え、50℃で30分間撹拌する。冷却
後、1規定塩酸2.0mlを加え、一夜放置する。析出
した結晶を濾過し、水でよく洗浄して、(+)−(2
S,3S)−3−(2−アミノフェニルチオ)−2−ヒ
ドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
278mgを得た。収率87.1%。mp:138〜1
39℃。[α] 23:+346°(c=0.355,
エタノール)。
【0036】[実施例6](+)−(2S,3S)−3
−(2−アミノフェニルチオ)−2−ヒドロキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸(すなわち、d
−α−2−ヒドロキシ−3−(p−メトキシフェニル)
−3−(O−アミノフェニルチオ)−プロピオン酸)
5.8gにキシレン100mlを加え、水を除去しつつ
12時間還流する。還流を終えたのちにキシレンを留去
し、残渣をエタノールより再結晶すると、融点196〜
198℃、[α] 24:+129°(c=0.48
6,エタノール)のd−α−2−(p−メトキシフェニ
ル)−3−ヒドロキシ−2・3−ジヒドロ−1・5−ベ
ンゾチアゼピン−4(5H)−オンが、収率4.5gで
得られる。
【0037】[実施例7]64%水素化ナトリウム1.
07gをジメチルスルホキシド77mlに加え、70℃
で1時間加熱撹拌する。得られた反応液に、d−α−2
−(p−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2・3
−ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−
オン7.8gを室温で加える。これを25〜26℃で1
時間撹拌したのち、β−ジメチルアミノエチルクロリド
3.06gを滴下し、室温で一夜撹拌する。次いで、約
45℃で30分間加熱したのち、反応液を氷水に加えて
ベンゼンにて抽出する。ベンゼン層を10%塩酸で抽出
し、塩酸層を水酸化ナトリウムでアルカリ性とし、再び
ベンゼンで抽出する。ベンゼン抽出液を乾燥した後、溶
媒を留去すると、d−α−2−(p−メトキシフェニ
ル)−3−ヒドロキシ−5−(β−ジメチルアミノエチ
ル)−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼピン−
4(5H)−オン8gが油状物として得られる。上記の
油状物に無水酢酸170mlを加え、水浴中で4時間加
熱したのち、減圧下に無水酢酸を留去する。残渣をベン
ゼンに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄
し、乾燥したのち、ベンゼンを留去する。残渣をエーテ
ルに溶解させ、塩酸・メタノールを加え、析出する塩酸
塩の結晶を濾取する。この結晶をエタノールで再結晶す
ると、[α] 27:+96.6°(c=0.61,メ
タノール)の、d−α−2−(p−メトキシフェニル)
−3−アセトキシ−5−(β−ジメチルアミノエチル)
−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼピン−4
(5H)−オン塩酸塩((+)−(2S,3S)体、す
なわち、目的の塩酸ジルチアゼム)7.76gが得られ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (上記一般式において、Rは炭素数1〜4個のアルキル
    基を示す。)で表わされる(−)−(2R*,3S*)
    −2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
    ロピオン酸エステルを出発物質として、途中光学分割を
    行なうことなく、塩酸ジルチアゼムを製造する方法。
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