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JPH06259820A - 記録再生装置および記録再生方法 - Google Patents

記録再生装置および記録再生方法

Info

Publication number
JPH06259820A
JPH06259820A JP4415293A JP4415293A JPH06259820A JP H06259820 A JPH06259820 A JP H06259820A JP 4415293 A JP4415293 A JP 4415293A JP 4415293 A JP4415293 A JP 4415293A JP H06259820 A JPH06259820 A JP H06259820A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
probe
recording medium
recording
tip
contact state
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4415293A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Kuroda
亮 黒田
Keisuke Yamamoto
敬介 山本
Takahiro Oguchi
高弘 小口
Kyoji Yano
亨治 矢野
Kunihiro Sakai
邦裕 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP4415293A priority Critical patent/JPH06259820A/ja
Publication of JPH06259820A publication Critical patent/JPH06259820A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録再生装置および記録再生方法を、装置全
体の小型化が図れるようにする。 【構成】 記録再生装置100 は、記録媒体10と導電性
探針110 の先端との接触状態を検出するための接触状態
検出回路180 と、接触状態検出回路180 で検出された接
触状態に応じて記録媒体10と導電性探針110 の先端と
の接触状態を調整するための接触状態制御回路190 とを
含む。接触状態検出回路180 では、圧電カンチレバー12
0 の第1の電極121 と第2の電極123 との間の容量リア
クタンスが検出され、検出した容量リアクタンスに応じ
た接触状態検出信号SC が発生される。接触状態制御回
路190 では、接触状態検出回路180 から送られてくる接
触状態検出信号SC に応じてZ方向駆動素子制御信号C
Z が発生され、発生されたZ方向駆動素子制御信号CZ
がZ方向駆動素子130 に出力される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録再生装置および記
録再生方法に関し、特に、高密度大容量の記録と再生と
を行うことができる記録再生装置および記録再生方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、米国特許US−P−434399
3号明細書に記載されているように、ナノメートル以下
の分解能で導電性物質表面を観察可能な走査型トンネル
顕微鏡(STM)が開発され、金属および半導体表面の
原子配列や有機分子の配向などの観察が原子および分子
スケールでなされている。また、走査型トンネル顕微鏡
の原理を応用し、記録媒体に対して原子分子スケールで
アクセスして記録および再生を行うことにより、高密度
メモリを実現するという提案がなされている(米国特許
US−P−4575822号明細書,US−P−501
5850号明細書,特開昭63−161552号公報,
特開昭63−161553号)。
【0003】一方、走査型トンネル顕微鏡技術を発展さ
せ、絶縁性物質表面を走査型トンネル顕微鏡と同様の分
解能で観察可能な原子間力顕微鏡(AFM)も開発され
ている(米国特許US−P−4724318号明細
書)。原子間力顕微鏡では、観察対象物質表面に近接さ
せた探針を支持するカンチレバーの変位を検出すること
により、物質表面と探針との間に働く原子間力を検出し
ている。このようなカンチレバーの変位検出法として、
トンネル電流を用いる方法,光波干渉計による方法,光
てこ法,カンチレバーの共振周波数シフトを検出する方
法(欧州特許公開EP−A−290648号明細書)な
どが提案されている。
【0004】また、走査型トンネル顕微鏡と原子間力顕
微鏡とを複合化した装置構成を高密度メモリに応用し、
記録および再生中の探針位置制御を原子間力顕微鏡の原
理を応用して行う記録再生装置も提案されている(特開
平1−245445号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
記録再生装置においては、探針位置制御のために原子間
力顕微鏡の原理を応用し、カンチレバーの変位検出法と
してトンネル電流法,光波干渉計法および光てこ法など
を用いているため、変位検出のための電気系,機械系お
よび光学系の装置構成が大きくなり、小型化に適してい
るとは言い難かった。このことは、記録再生の高速化の
ために探針のマルチ化を考えたとき、個々の探針を支持
する個々のカンチレバーの変位検出系が大きくなり、装
置全体の大きさが実用的でないことを意味する。また、
他のカンチレバー変位検出法として提案された共振周波
数シフト検出法も光てこ法を応用したものであったり、
カンチレバーに水晶振動子を貼り付けたものであったり
するために、そのままでは、やはり変位検出のための電
気系,機械系および光学系の装置構成が大きいものであ
り、小型化には適していていなかった。
【0006】本発明の目的は、装置全体の小型化が図れ
る記録再生装置および記録再生方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の記録再生装置
は、導電性を有する探針と、該探針の先端との間に流れ
る電流の有無により記録状態と非記録状態とが区別可能
な記録媒体と、前記探針の先端が前記記録媒体と互いに
対向するよう前記探針が一端に取り付けられた、一対の
電極,該一対の電極に挟持された圧電体および前記一対
の電極と前記圧電体とを支持する支持体を有する圧電ユ
ニモルフ構造体を備える圧電カンチレバーと、前記探針
の先端が前記記録媒体の表面に対して垂直方向に移動す
るよう前記圧電カンチレバーを駆動する駆動手段と前記
記録媒体と前記探針の先端との間に情報記録用電圧を印
加する情報記録用電圧印加手段と、前記記録媒体と前記
探針の先端との間に情報再生用電圧を印加する情報再生
用電圧印加手段と、前記記録媒体と前記探針の先端との
間に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記一対の
電極間の容量リアクタンスを検出して前記記録媒体と前
記探針の先端との接触状態を検出する接触状態検出手段
と、該接触状態検出手段で検出された接触状態に応じて
前記駆動手段を制御する接触状態制御手段とを含む。
【0008】または、導電性を有する探針と、該探針の
先端との間に流れる電流の有無により記録状態と非記録
状態とが区別可能な記録媒体と、前記探針の先端が前記
記録媒体と互いに対向するよう前記探針が一端に取り付
けられた、二対以上の電極,該各一対の電極にそれぞれ
挟持された複数の圧電体および前記二対以上の電極と前
記複数の圧電体とを支持する支持体を有する圧電バイモ
ルフ構造体を備える圧電カンチレバーと、前記探針の先
端が前記記録媒体の表面に対して垂直方向に移動するよ
う前記圧電カンチレバーを駆動する駆動手段と前記記録
媒体と前記探針の先端との間に情報記録用電圧を印加す
る情報記録用電圧印加手段と、前記記録媒体と前記探針
の先端との間に情報再生用電圧を印加する情報再生用電
圧印加手段と、前記記録媒体と前記探針の先端との間に
流れる電流を検出する電流検出手段と、前記各一対の電
極間の容量リアクタンスをそれぞれ検出して前記記録媒
体と前記探針の先端との接触状態を検出する接触状態検
出手段と、該接触状態検出手段で検出された接触状態に
応じて前記駆動手段を制御する接触状態制御手段とを含
む。
【0009】または、導電性を有する探針と、該探針の
先端との間に流れる電流の有無により記録状態と非記録
状態とが区別可能な記録媒体と、前記探針の先端が前記
記録媒体と互いに対向するよう前記探針が一端に取り付
けられた、一対の電極,該一対の電極に挟持された圧電
体および前記一対の電極と前記圧電体とを支持する支持
体を有する圧電ユニモルフ構造体体を備える圧電カンチ
レバーと、前記記録媒体と前記探針の先端との間に情報
記録用電圧を印加する情報記録用電圧印加手段と、前記
記録媒体と前記探針の先端との間に情報再生用電圧を印
加する情報再生用電圧印加手段と、前記記録媒体と前記
探針の先端との間に流れる電流を検出する電流検出手段
と、前記一対の電極間の容量リアクタンスを検出して前
記記録媒体と前記探針の先端との接触状態を検出する接
触状態検出手段と、該接触状態検出手段で検出された接
触状態に応じて前記探針の先端が前記記録媒体の表面に
対して垂直方向に移動するよう前記圧電カンチレバーを
駆動制御する接触状態制御手段とを含む。
【0010】または、導電性を有する探針と、該探針の
先端との間に流れる電流の有無により記録状態と非記録
状態とが区別可能な記録媒体と、前記探針の先端が前記
記録媒体と互いに対向するよう前記探針が一端に取り付
けられた、二対以上の電極,該各一対の電極にそれぞれ
挟持された複数の圧電体および前記二対以上の電極と前
記複数の圧電体とを支持する支持体を有する圧電バイモ
ルフ構造体を備える圧電カンチレバーと、前記記録媒体
と前記探針の先端との間に情報記録用電圧を印加する情
報記録用電圧印加手段と、前記記録媒体と前記探針の先
端との間に情報再生用電圧を印加する情報再生用電圧印
加手段と、前記記録媒体と前記探針の先端との間に流れ
る電流を検出する電流検出手段と、前記各一対の電極間
の容量リアクタンスをそれぞれ検出して前記記録媒体と
前記探針の先端との接触状態を検出する接触状態検出手
段と、該接触状態検出手段で検出された接触状態に応じ
て前記探針の先端が前記記録媒体の表面に対して垂直方
向に移動するよう前記圧電カンチレバーを駆動制御する
接触状態制御手段とを含む。
【0011】本発明の記録再生方法は、一対の電極,該
一対の電極に挟持された圧電体および前記一対の電極と
前記圧電体とを支持する支持体を有する圧電ユニモルフ
構造体を備える圧電カンチレバーの一端に取り付けられ
た導電性を有する探針を、該探針の先端との間に流れる
電流の有無により記録状態と非記録状態とが区別可能な
記録媒体の表面に接触させ、前記一対の電極間の容量リ
アクタンスを検出して、前記記録媒体と前記探針の先端
との接触状態を検出し、該接触状態の検出結果に基づい
て、該接触状態を調整するように前記探針を前記記録媒
体の表面と垂直方向に移動させながら、記録時には、前
記記録媒体と前記探針前記探針との間に情報記録用電圧
を印加して、前記記録媒体に情報を記録し、再生時に
は、前記記録媒体と前記探針前記探針との間に情報再生
用電圧を印加し、該記録媒体と該探針前記探針との間に
流れる電流を検出した結果に基づいて、前記記録媒体に
記録されている情報を再生する。
【0012】ここで、前記接触状態の調整および前記探
針の前記記録媒体の表面に対する垂直方向の移動が、非
接触状態では、前記探針を前記記録媒体の表面に近づけ
る方向に移動し、所定のしきい値以下の弱い接触状態で
は、前記探針の移動を停止し、前記所定のしきい値以上
の強い接触状態では、前記探針を前記記録媒体の表面か
ら遠ざける方向に移動するものであってもよい。
【0013】または、二対以上の電極,該各一対の電極
にそれぞれ挟持された複数の圧電体および前記二対以上
の電極と前記複数の圧電体とを支持する支持体を有する
圧電バイモルフ構造体を備える圧電カンチレバーの一端
に取り付けられた導電性を有する探針を、該探針の先端
との間に流れる電流の有無により記録状態と非記録状態
とが区別可能な記録媒体の表面に接触させ、前記各一対
の電極間の容量リアクタンスをそれぞれ検出して前記記
録媒体と前記探針の先端との接触状態を検出し、該接触
状態の検出結果に基づいて、該接触状態を調整するよう
に前記探針を前記記録媒体の表面と垂直方向に移動させ
ながら、記録時には、前記記録媒体と前記探針前記探針
との間に情報記録用電圧を印加して、前記記録媒体に情
報を記録し、再生時には、前記記録媒体と前記探針前記
探針との間に情報再生用電圧を印加し、該記録媒体と該
探針前記探針との間に流れる電流を検出した結果に基づ
いて、前記記録媒体に記録されている情報を再生する。
【0014】ここで、前記接触状態の調整および前記探
針の前記記録媒体の表面に対する垂直方向の移動が、非
接触状態では、前記探針を前記記録媒体の表面に近づけ
る方向に移動し、所定のしきい値以下の弱い接触状態で
は、前記探針の移動を停止し、前記所定のしきい値以上
の強い接触状態では、前記探針を前記記録媒体の表面か
ら遠ざける方向に移動するものであってもよい。
【0015】
【作用】本発明の記録再生装置は、記録媒体と探針の先
端との接触状態を検出する接触状態検出手段と、接触状
態検出手段で検出された接触状態に応じて駆動手段を制
御する接触状態制御手段とを含むことにより、記録媒体
の表面に大きな凹凸などがあっても、記録媒体と探針の
先端との接触状態を常に保つことができる。
【0016】特に、探針の先端が記録媒体と互いに対向
するよう探針が一端に取り付けられた圧電カンチレバー
が、一対の電極,該一対の電極に挟持された圧電体およ
び前記一対の電極と前記圧電体とを支持する支持体を有
する圧電ユニモルフ構造体を備えている場合には、探針
の先端が記録媒体の表面に接触すると、圧電カンチレバ
ーの自由端(すなわち、探針が取り付けられた側の一
端)は接触により固定端となる。その結果、圧電カンチ
レバーは片持ち構造から両持ち構造へと変化するため、
圧電カンチレバーの機械的共振周波数が高域側へシフト
する。しかも、この機械的共振周波数のシフト量は、記
録媒体と探針の先端との接触の程度(すなわち、記録媒
体と探針の先端との間に働く力の大きさ)に比例して変
化する。したがって、圧電カンチレバーの機械的共振周
波数のシフト量を検出することにより、記録媒体と探針
の先端との接触の程度を検出することができる。換言す
ると、圧電カンチレバーの機械的特性および電気的特性
は互いに密接に関連することを利用すると、圧電カンチ
レバーの電気的特性を測定することにより、圧電カンチ
レバーの機械的特性を知ることができる。このことか
ら、圧電カンチレバーを構成する一対の電極間の容量リ
アクタンスを検出することにより記録媒体と探針の先端
との接触状態を検出するとともに、この検出結果に基づ
いて記録媒体と探針の先端との接触状態を制御すること
により、記録媒体の表面に大きな凹凸などがあっても、
記録媒体と探針の先端との接触状態を常に保つことがで
きる。
【0017】本発明の記録再生方法は、記録媒体と探針
の先端との接触状態を検出し、接触状態の検出結果に基
づいて探針を記録媒体の表面と垂直方向に移動させなが
ら、情報の記録および再生を行うことにより、記録媒体
と探針の先端との接触状態を常に保ったまま記録および
再生を行うことができる。
【0018】さらに、本発明の記録再生装置および記録
再生方法では、圧電カンチレバーをマイクロマシーン技
術により小型化および集積化し、かつ、接触状態検出手
段をフォトリソグラフィー,Siプロセスなどのマイク
ロエレクトロニクス技術により小型化および集積化する
ことにより、装置全体の大きさが小型化し、特に、記録
再生の高速化のために探針をマルチ化したとき、装置全
体の大きさが実用的なものとなる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して説明する。
【0020】図1は本発明の記録再生装置の第1の実施
例を示す概略構成図である。
【0021】記録再生装置100 は、記録媒体10と、導
電性探針110 と、圧電カンチレバー120 と、Z方向駆動
素子130 と、XY方向駆動素子140 と、記録用パルス電
圧印加回路150 と、再生用バイアス電圧印加回路160
と、電流電圧変換回路170 と、接触状態検出回路180
と、接触状態制御回路190 とを含む。記録再生装置100
の各構成要素について、以下に詳細に説明する。
【0022】(1)記録媒体10 記録媒体10は、たとえばAu,Pt,Cuなどの金属
またはn+−Si ,Ge,GaAsなどの半導体からな
る導電性基板11と、導電性基板11上に形成された、
たとえば前記金属や前記半導体の酸化膜,窒化膜,ポリ
イミド,ポリメタクリル酸メチル,アラキジン酸などの
有機材料,生体高分子材料からなる絶縁性薄膜12とか
ら構成されており、記録媒体10と導電性探針110 の先
端との間に流れる電流の有無によって記録状態と非記録
状態との区別ができるものである。なお、絶縁性薄膜1
2の作成法としては、たとえば、基板表面の酸化処理や
基板表面への上記絶縁性薄膜材料の蒸着,スパッタリン
グあるいはスピンコート,ラングミュア・ブロジェット
法による吸着などがある。
【0023】(2)導電性探針110 ,圧電カンチレバー
120 ,Z方向駆動素子130 およびXY方向駆動素子140 導電性探針110 は、圧電カンチレバー120 の一端に取り
付けられている。圧電カンチレバー120 は、蒸着やスパ
ッタリングによって順次積層された、たとえばAuやP
tなどからなる第1の電極121 ,たとえばZnOやPZ
Tからなる圧電体122 ,たとえばAuやPtなどからな
る第2の電極123 ,たとえばSiO2 やSi34などか
らなる絶縁性の支持体124 、および、たとえばAuやP
tなどからなる第3の電極125 から構成され、マイクロ
マシーン技術により小型化,集積化されている。すなわ
ち、圧電カンチレバー120 は、一対の電極(第1の電極
121 と第2の電極123 )と、一対の電極に挟持された圧
電体(圧電体122 )と、一対の電極および圧電体を支持
する支持体とからなる圧電ユニモルフ構造体となってい
る。なお、導電性探針110 は、圧電カンチレバー120 の
第3の電極125 と電気的に接続されている。Z方向駆動
素子130 は、圧電カンチレバー120 を図示Z軸方向に駆
動するためのものであり、また、XY方向駆動素子140
は、圧電カンチレバー120 を図示X軸方向およびY軸方
向に駆動するためのものである。
【0024】(3)記録用パルス電圧印加回路150 ,再
生用パルス電圧印加回路160 および電流電圧変換回路17
0 記録用パルス電圧印加回路150 は、記録時に外部から入
力される記録情報信号SR に応じて記録用パルス電圧V
P を発生し、発生した記録用パルス電圧VP を圧電カン
チレバー120 の第3の電極125 に供給することにより、
記録媒体10と導電性探針110 の先端との間に記録用パ
ルス電圧VP を印加するためのものである。再生用バイ
アス電圧印加回路160 は、再生時に再生用バイアス電圧
B を発生し、発生した再生用バイアス電圧VB を圧電
カンチレバー120 の第3の電極125 に供給することによ
り、記録媒体10と導電性探針110 の先端との間に再生
用バイアス電圧VB を印加するためのものである。電流
電圧変換回路170 は、再生時に記録媒体10と導電性探
針110 の先端との間に流れる電流を検出するとともに、
検出した電流を電圧に変換したのち二値化して再生情報
信号SP を作成するものである。
【0025】(4)接触状態検出回路180 および接触状
態制御回路190 接触状態検出回路180 は、記録媒体10と導電性探針11
0 の先端との接触状態を検出するためのものであり、後
述するように圧電カンチレバー120 の第1の電極121 と
第2の電極123 との間の容量リアクタンスを検出し、検
出した容量リアクタンスに応じた接触状態検出信号SC
を発生する。接触状態制御回路190 は、接触状態検出回
路180 で検出された接触状態に応じて記録媒体10と導
電性探針110 の先端との接触状態を調整するためのもの
であり、接触状態検出回路180 から送られてくる接触状
態検出信号SC に応じてZ方向駆動素子制御信号CZ
発生し、発生したZ方向駆動素子制御信号CZ をZ方向
駆動素子130 に出力する。これらの接触状態検出回路18
0 および接触状態制御回路190 は、たとえばSi基板を
用いてフォトリソグラフィー,Siプロセスなどのマイ
クロエレクトロニクス技術によって小型化,集積化され
て、圧電カンチレバー120 の近傍に設けられている。
【0026】次に、記録再生装置100 の記録時の動作お
よび再生時の動作について、詳細に説明する。
【0027】記録時には、圧電カンチレバー120 は、導
電性探針110 の先端が記録媒体10の記録位置にくるよ
うに、XY方向駆動素子140 によって図示X軸方向およ
びY軸方向にそれぞれ駆動されたのち、導電性探針110
の先端が記録媒体10の絶縁性薄膜12と接触するま
で、Z方向駆動素子駆動130 によって図示Z軸方向に駆
動される。その後、絶縁性薄膜12の耐圧を越える波高
値を有する記録用電圧パルスVP が、絶縁性薄膜12と
導電性探針110 の先端との間に、記録用パルス電圧印加
回路150 によって印加される。これにより、絶縁性薄膜
12に、局所的な絶縁破壊が生じる。絶縁性薄膜12の
絶縁破壊が生じた部分では、絶縁性薄膜12の膜厚方向
の導電率が”0”から有限値rへと変化する。その結
果、記録ビット15が、絶縁性薄膜12に形成される。
【0028】再生時には、絶縁性薄膜12の耐圧を越え
ない再生用バイアス電圧VB が、絶縁性薄膜12と導電
性探針110 の先端との間に再生用バイアス電圧印加回路
160によって印加される。このとき絶縁性薄膜12と導
電性探針110 の先端との間に流れる電流が、電流電圧変
換回路170 によって検出される。絶縁性薄膜12の記録
が行われている部分(すなわち、記録ビット15が形成
されている部分)では、絶縁性薄膜12の膜厚方向の導
電率は有限値rとなっているため、絶縁性薄膜12と導
電性探針110 の先端との間に電流が流れる。一方、絶縁
性薄膜12の記録が行われていない部分(すなわち、記
録ビット15が形成されていない部分)では、絶縁性薄
膜12の膜厚方向の導電率は”0”であるため、絶縁性
薄膜12と導電性探針110 の先端との間には電流が流れ
ない。したがって、電流電圧変換回路170 で検出される
電流を電圧に変換したのち、変換した電圧を二値化する
ことにより、再生情報信号SP を作成することができ
る。すなわち、絶縁性薄膜12の記録が行われている部
分の再生情報信号SP の値は”1”となり、絶縁性薄膜
12の記録が行われている部分の再生情報信号SP の値
は”0”となる。図2(A)は、電流電圧変換回路170
で変換された電圧の波形の一例を示すグラフであり、図
2(B)は、このときの再生情報信号SP を示すグラフ
である。なお、電流電圧変換回路170 は検出可能最低電
流レベルを有するものであり、検出可能最低電流レベル
以下の電流が入力された場合には、電流電圧変換回路17
0 で作成される再生情報信号SP の値は”0”となる。
すなわち、図2(A)に斜線で示す部分は、不感帯とな
る。
【0029】以上述べた記録動作および再生動作は、記
録再生装置100 の接触状態検出回路180 および接触状態
制御回路190 を動作させることなく行われたが、この場
合には、以下に示すような問題が生じる。
【0030】絶縁性薄膜12の表面は必ずしも平らであ
るとは限らず、図3に示すように、絶縁性薄膜12の表
面には凹凸が存在する。この凹凸の大きさがある程度小
さければ、弾性体である圧電カンチレバー120 が凹凸に
追従して撓む。その結果、導電性探針110 の先端は、図
示破線の矢印で示すように、絶縁性薄膜12の表面をな
らうため、記録時および再生時に記録エラーおよび再生
エラーが生じることはない。しかしながら、図4(A)
に示すように、ステップまたは穴などが絶縁性薄膜12
の表面に存在する場合には、絶縁性薄膜12の段差20
と段差21とで挟まれた凹部において、圧電カンチレバ
ー120 が追従しきれないために、導電性探針110 の先端
が、図示破線の矢印で示すように、絶縁性薄膜12の表
面から離れる。その結果、この凹部においては、記録ビ
ット15の形成ができなくなり、記録エラーおよび再生
エラーが生じる。このときの再生情報信号SP の波形図
を、図4(B)に示す。この場合、絶縁性薄膜12の前
記凹部に存在すべき記録ビットは、上記の理由により、
記録時に形成されなかったり、仮りに形成されたとして
も再生できなかったりするため、再生情報信号SP が欠
落する。なお、絶縁性薄膜12の表面が傾いている場合
や、圧電カンチレバー120 を支持する部材(不図示)と
記録媒体10を支持する部材(不図示)との間に機械的
緩和がある場合にも、同様の問題が生じる。
【0031】以下、記録再生装置100 の接触状態検出回
路180 および接触状態制御回路190の動作について説明
する。
【0032】前述したように、図1に示した圧電カンチ
レバー120 は、圧電体122 と、圧電体122 を挟持する第
1の電極121 および第2の電極123 と、圧電体122 ,第
1の電極121 および第2の電極123 を支持する絶縁性の
支持体124 とを含み、全体として圧電ユニモルフ構造と
なっている。導電性探針110 の先端が絶縁性薄膜12の
表面に接触すると、圧電カンチレバー120 の自由端(す
なわち、導電性探針110 が取り付けられた側の一端)は
接触により固定端となる。その結果、圧電カンチレバー
120 は片持ち構造から両持ち構造へと変化するため、圧
電カンチレバー120 の機械的共振周波数が高域側へシフ
トする。しかも、この機械的共振周波数のシフト量は、
絶縁性薄膜12と導電性探針110 の先端との接触の程度
(すなわち、絶縁性薄膜12と導電性探針110 の先端と
の間に働く力の大きさ)に比例して変化する。したがっ
て、圧電カンチレバー120 の機械的共振周波数のシフト
量を検出することにより、絶縁性薄膜12と導電性探針
110 の先端との接触の程度を検出することができる。換
言すると、圧電カンチレバー120 の機械的特性および電
気的特性は互いに密接に関連することを利用すると、圧
電カンチレバー120の電気的特性を測定することによ
り、圧電カンチレバー120 の機械的特性を知ることがで
きる。
【0033】そこで、記録再生装置100 では、圧電カン
チレバー120 の第1の電極121 と第2の電極123 との間
の容量リアクタンスを接触状態検出回路180 で測定して
絶縁性薄膜12と導電性探針110 の先端との接触状態を
検出するとともに、この検出結果に基づいて接触状態制
御回路190 において作成したZ方向駆動素子制御信号D
Z で、たとえばピエゾ素子からなるZ方向駆動素子130
を制御することにより、絶縁性薄膜12と導電性探針11
0 の先端との接触状態を制御する。
【0034】以上述べた接触状態の制御について、図5
乃至図8を用いて以下に詳細に説明する。
【0035】接触状態検出回路180 は、図5に示すよう
に、プラス側入力端子が圧電カンチレバー120 の第1の
電極121 と接続された差動アンプ181 と、圧電カンチレ
バー120 の第1の電極121 と差動アンプ181 のマイナス
側入力端子との間に設けられた抵抗値Rの抵抗182 と、
圧電カンチレバー120 の第2の電極123 と差動アンプ18
1 のマイナス側入力端子との間に設けられた発振器183
と、差動アンプ181 の出力電圧VSIG および発振器183
から出力される参照電圧VREF がそれぞれ入力されるロ
ックインアンプ184 とを含む。
【0036】接触状態検出回路180 では、正弦波電圧V
(ω)が、発振器183 から圧電カンチレバー120 の第1の
電極121 と第2の電極123 との間に抵抗182 を介して印
加され、このときの抵抗182 の両端間の電位差が差動ア
ンプ181 により検出される。差動アンプ181 の出力電圧
SIG のうち第1の電極121 と第2の電極123 との間の
容量リアクタンスを反映した電圧成分は、正弦波電圧V
(ω)と比べて位相が90°遅れている。したがって、ロ
ックインアンプ183 で、発振器183 から出力される参照
電圧VREF によって差動アンプ181 の出力電圧VSIG
位相検波されることにより、第1の電極121 と第2の電
極123 との間の容量リアクタンスの大きさを示す接触状
態検出信号SC が作成できる。
【0037】絶縁性薄膜12と導電性探針110 の先端と
が接触していない場合には、第1の電極121 と第2の電
極123 との間の容量リアクタンスの周波数特性は、たと
えば図6に実線で示す特性となり、圧電カンチレバー12
0 の機械的共振周波数をfrとすると、容量リアクタン
スも周波数fr で極小値をとる。一方、導電性探針110
の先端が絶縁性薄膜12に接触した場合には、第1の電
極121 と第2の電極123 との間の容量リアクタンスの周
波数特性は、たとえば図6に破線で示す特性となる。こ
の場合には、圧電カンチレバー120 の機械的共振周波数
はfr からfrよりも大きいfr’ にシフトするため、
容量リアクタンスが極小値となる周波数も周波数fr
ら周波数fr よりも大きい周波数fr’ にシフトする。
【0038】したがって、周波数fr よりもわずかに小
さい周波数fo の正弦波電圧W(ω)を発振器182 から出
力して、第1の電極121 と第2の電極123 との間の容量
リアクタンスを検出すると、導電性探針110 の先端が絶
縁性薄膜12に接触することにより、容量リアクタンス
の値がC1 からC2 に変化する。さらに、導電性探針11
0 の先端と絶縁性薄膜12との間に働く力が増すと、こ
の力の大きさに比例して容量リアクタンスの値がC2
り大きくなる。その結果、容量リアクタンスを測定する
ことにより、絶縁性薄膜12と導電性探針110 の先端と
の接触状態の検出が可能となる。
【0039】図7に、第1の電極121 と第2の電極123
との間の容量リアクタンスとZ方向駆動素子130 による
圧電カンチレバー120 の図1図示Z軸方向への駆動量と
の関係を測定した結果の一例を示す。
【0040】Z方向駆動素子130 により圧電カンチレバ
ー120 を図1図示Z軸方向へ駆動していくと、駆動量Z
O で第1の電極121 と第2の電極123 との間の容量リア
クタンスがC1 からC2 に変化する。これにより、導電
性探針110 の先端が絶縁性薄膜12に接触したことがわ
かる。その後、さらに圧電カンチレバー120 を図1図示
Z軸方向へ駆動していくと容量リアクタンスの値も増大
していくため、容量リアクタンスの増大量から、絶縁性
薄膜12と導電性探針110 の先端との接触の程度(すな
わち、絶縁性薄膜12と導電性探針110 の先端との間に
働く力の大きさ)を検出することができる。
【0041】絶縁性薄膜12と導電性探針110 の先端と
の接触状態の制御の具体例について、図8(A)乃至
(D)をそれぞれ参照して以下に説明する。
【0042】図8(A)に示すように、導電性探針110
の先端が絶縁性薄膜12と接触しながら図示右方向に走
査されているとき、導電性探針110 の先端が段差20ま
で走査されてくると、段差20の前後で絶縁性薄膜12
と導電性探針110 の先端とが接触状態から非接触状態に
変化するため、接触状態検出回路180 (図1参照)で検
出される第1の電極121 と第2の電極123 との間の容量
リアクタンスが、同図(B)に示すように、C2 からC
1 に変化する。接触状態制御回路190 (図1参照)で
は、同図(C)に示すように、Z方向駆動素子制御信号
Z の振幅が、接触状態検出回路180 から送られてくる
接触状態検出信号SC の変化に応じて大きくされて、Z
方向駆動素子130 に出力される。その結果、導電性探針
110 の先端が、同図(A)に破線の矢印で示すように、
Z方向駆動素子130 により絶縁性薄膜12側に駆動され
る。
【0043】その後、導電性探針110 の先端が絶縁性薄
膜12に接触するまで駆動されると、前記容量リアクタ
ンスが、同図(B)に示すように、C1 からC2 に戻
る。接触状態制御回路190 では、前記容量リアクタンス
がC2 であることを示す接触状態検出信号SC が送られ
てくると、同図(C)に示すように、Z方向駆動素子制
御信号SZ の振幅が保持されて、Z方向駆動素子130 に
出力される。その結果、Z方向駆動素子130 による導電
性探針110 の先端の絶縁性薄膜12側への駆動が停止さ
れる。この状態で、導電性探針110 は、同図(A)に破
線の矢印で示すように、その先端が絶縁性薄膜12に接
触した状態で図示右方向に走査される。
【0044】続いて、導電性探針110 の先端が段差21
まで走査されてくると、絶縁性薄膜12と導電性探針11
0 の先端との接触の程度が強くなるため(すなわち、絶
縁性薄膜12と導電性探針110 の先端との間に働く力が
大きくなるため)、接触状態検出回路180 で検出される
第1の電極121 と第2の電極123 との間の容量リアクタ
ンスが、同図(B)に示すように、C2 からC3 に変化
する。接触状態制御回路190 では、同図(C)に示すよ
うに、Z方向駆動素子制御信号SZ の振幅が、接触状態
検出回路180 から送られてくる接触状態検出信号SC
変化に応じて小さくされて、Z方向駆動素子130 に出力
される。その結果、導電性探針110 の先端が、同図
(A)に破線の矢印で示すように、Z方向駆動素子130
により絶縁性薄膜12と反対側に駆動される。
【0045】その後、導電性探針110 が、その先端と絶
縁性薄膜12との接触の程度が元に戻るまで駆動される
と、前記容量リアクタンスが、同図(B)に示すよう
に、C 3 からC2 に戻る。接触状態制御回路190 では、
前記容量リアクタンスがC2 であることを示す接触状態
検出信号SC が送られてくると、同図(C)に示すよう
に、Z方向駆動素子制御信号SZ の振幅が保持されて、
Z方向駆動素子130 に出力される。その結果、Z方向駆
動素子130 による導電性探針110 の先端の絶縁性薄膜1
2と反対側への駆動が停止される。この状態で、導電性
探針110 は、同図(A)に破線の矢印で示すように、そ
の先端が絶縁性薄膜12に接触した状態で図示右方向に
走査される。
【0046】以上のようにして絶縁性薄膜12と導電性
探針110 の先端との接触状態の制御を行うことにより、
絶縁性薄膜12と導電性探針110 の先端との接触状態を
常に保ったまま導電性探針110 の走査を行うことができ
るため、絶縁性薄膜12の表面にステップや穴などの段
差が存在したり、絶縁性薄膜12の表面の傾きや圧電カ
ンチレバー120 を支持する部材と絶縁性薄膜12を支持
する部材との間の機械的緩和などがあっても、記録エラ
ーおよび再生エラーをなくすことができる。図8(D)
に、このときの再生情報信号SP の一例を示す。この図
より、段差20と段差21とに挟まれた凹部にも、記録
ビット15を確実に形成することができるとともに、該
凹部に形成された記録ビット15を確実に再生すること
ができることがわかる。また、非接触状態および強く接
触しすぎた状態でのみZ方向駆動素子130 の駆動を行
い、ちょうどいい接触状態では駆動を停止するようにす
ることにより、Z方向駆動素子130 の駆動制御が簡易に
なるため、制御にかかる時間を短くすることができる。
このことは、記録再生の高速化に寄与し、さらに、探針
をマルチ化したときの複数の駆動素子制御を著しく簡単
化するものである。
【0047】図9は、本発明の記録再生装置の第2の実
施例を示す概略構成図である。
【0048】図1に示した記録再生装置100 は、たとえ
ばピエゾ素子からなるZ方向駆動素子130 を用いて、導
電性探針110 の先端を図示Z軸方向に駆動した。これに
対して、本実施例の記録再生装置200 は、圧電カンチレ
バー220 をユニモルフ駆動させることにより、導電性探
針210 の先端を図示Z軸方向に駆動するものであり、以
下に示す点で、図1に示した記録再生装置100 と異な
る。 (1)接触状態制御回路290 からは、接触状態検出信号
C に応じた圧電カンチレバー駆動電圧VD (直流電
圧)が出力される。 (2)接触状態検出回路280 から出力される正弦波電圧
V(ω)と接触状態制御回路290 から出力される圧電カン
チレバー駆動電圧VD とを加算する加算回路300を含
む。 (3)圧電カンチレバー220 の第1の電極221 へは、加
算回路300 の出力電圧が印加される。 (4)図1に示したZ方向駆動素子130 に相当する手段
を含まない。
【0049】本実施例の記録再生装置200 の動作につい
ては、図1に示した記録再生装置100 の動作と同様であ
るので、説明を省略する。
【0050】次に、本発明の記録再生装置の他の実施例
について説明する。
【0051】図1に示した記録再生装置100 および図9
に示した記録再生装置200 はともに、ユニモルフ構造の
圧電カンチレバー(圧電カンチレバー120 および圧電カ
ンチレバー220 )を含んだが、圧電ユニモルフ構造の圧
電カンチレバーの代わりに、圧電バイモルフ構造の圧電
カンチレバーを用いてもよく、また、圧電ユニモルフ構
造の圧電カンチレバーを複数個並列に設けたものを用い
てもよい。特に、後者の場合には、記録動作および再生
動作を各圧電カンチレバーごとに並列に行うことによ
り、記録動作および再生動作に要する時間を短縮するこ
とができる。ただし、この場合には、一つの圧電カンチ
レバーに対する機械的駆動機構および電気的制御回路を
小型化および集積化することが重要となり、この点から
も、図9に示したような圧電カンチレバーそのものをZ
方向駆動素子として用いる方が望ましい。
【0052】なお、以上の説明では、記録ビットの形成
方法として、電圧パルスを印加して絶縁性薄膜の絶縁破
壊を生じさせる方法を例に挙げたが、この方法に限定さ
れるわけでなく、電圧パルスの印加により記録媒体自身
の導電率が”0”とある有限値との間を変化するような
方法であればよい。たとえば、絶縁性薄膜の代わりに、
ジアセチレンの電界重合によるポリジアセチレン化のよ
うに、モノマー分子がポリマー化することにより導電性
を生じるような材料を用いてもよい。
【0053】
【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、次の効果を奏する。
【0054】導電性探針を圧電カンチレバーで支持し、
記録媒体と導電性探針の先端との接触状態を圧電カンチ
レバーの圧電ユニモルフ構造または圧電バイモルフ構造
の容量リアクタンスの値の変化から検出し、この検出結
果をもとに、前記接触状態が最適となるように圧電カン
チレバーを駆動するような構成とすることにより、複数
の導電性探針,複数の圧電カンチレバーおよび電気的制
御回路などの個々の素子をマイクロマシーンやマイクロ
エレクトロニクスなどのリソグラフィー技術を用いて、
たとえばSi基板上などに一体的に形成することが可能
となる。したがって、装置全体の小型化が可能となり、
しかも個々の素子を一体的に形成するため、複数素子間
の特性のばらつきが低減し、信頼性も向上する。
【0055】さらに、記録媒体の表面に大きな凹凸など
があっても、記録媒体と探針の先端との接触状態を常に
保つことができるため、装置全体の機械的振動,記録媒
体の表面形状および記録媒体と探針との間のコンタミや
異物の影響で、記録媒体と探針との間の間隔が変動し
て、記録媒体と探針の先端とが非接触状態になることに
寄因する記録エラーや再生エラーを防止することができ
るとともに、信頼性,安定性およびSN比を向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録再生装置の第1の実施例を示す概
略構成図である。
【図2】図1に示した記録再生装置の再生時の動作を説
明するための図であり、(A)は電流電圧変換回路で変
換された電圧の波形の一例を示すグラフ、(B)はこの
ときの再生情報信号を示すグラフである。
【図3】絶縁性薄膜の表面に小さな凹凸が存在する場合
の導電性探針の先端の動きを説明するための図である。
【図4】接触状態検出回路および接触状態制御回路を動
作させない場合に生じる問題を説明するための図であ
り、(A)は導電性探針の先端の動きを説明するための
図、(B)は再生情報信号を示すグラフである。
【図5】図1に示した接触状態検出回路を示すブロック
図である。
【図6】図1に示した圧電カンチレバーの第1の電極と
第2の電極との間の容量リアクタンスの周波数特性の一
例を示すグラフである。
【図7】図1に示した圧電カンチレバーの第1の電極と
第2の電極との間の容量リアクタンスとZ方向駆動素子
による圧電カンチレバーの図1図示Z軸方向への駆動量
との関係を測定した結果の一例を示すグラフである。
【図8】図1に示した記録再生装置における導電性探針
の先端と絶縁性薄膜との接触状態の制御の具体例を説明
するための図であり、(A)は導電性探針の先端の走査
状態を示す図、(B)は容量リアクタンスの変化を示す
グラフ、(C)はZ方向駆動素子制御信号の振幅の変化
を示すグラフ、(D)は再生情報信号を示すグラフであ
る。
【図9】本発明の記録再生装置の第2の実施例を示す概
略構成図である。
【符号の説明】
10,50 記録媒体 11,51 導電性基板 12,52 絶縁性薄膜 15,55 記録ビット 20,21 段差 100,200 記録再生装置 110,210 導電性探針 120,220 圧電カンチレバー 121,221 第1の電極 122,222 圧電体 123,223 第2の電極 124,224 支持体 125,225 第3の電極 130 Z方向駆動素子 140,240 XY方向駆動素子 150,250 記録用パルス電圧印加回路 160,260 再生用バイアス電圧印加回路 170,270 電流電圧変換回路 180,280 接触状態検出回路 181 差動アンプ 182 抵抗 183 発振器 184 ロックインアンプ 190,290 接触状態制御回路 VP 記録用パルス電圧 VB 再生用バイアス電圧 VD 圧電カンチレバー駆動電圧 SR 記録情報信号 SP 再生情報信号 SC 接触状態検出信号 SZ Z方向駆動素子制御信号 X,Y,Z 軸 C1〜C3 容量リアクタンスの値
フロントページの続き (72)発明者 矢野 亨治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 酒井 邦裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性を有する探針と、 該探針の先端との間に流れる電流の有無により記録状態
    と非記録状態とが区別可能な記録媒体と、 前記探針の先端が前記記録媒体と互いに対向するよう前
    記探針が一端に取り付けられた、一対の電極,該一対の
    電極に挟持された圧電体および前記一対の電極と前記圧
    電体とを支持する支持体を有する圧電ユニモルフ構造体
    を備える圧電カンチレバーと、 前記探針の先端が前記記録媒体の表面に対して垂直方向
    に移動するよう前記圧電カンチレバーを駆動する駆動手
    段と前記記録媒体と前記探針の先端との間に情報記録用
    電圧を印加する情報記録用電圧印加手段と、 前記記録媒体と前記探針の先端との間に情報再生用電圧
    を印加する情報再生用電圧印加手段と、 前記記録媒体と前記探針の先端との間に流れる電流を検
    出する電流検出手段と、 前記一対の電極間の容量リアクタンスを検出して前記記
    録媒体と前記探針の先端との接触状態を検出する接触状
    態検出手段と、 該接触状態検出手段で検出された接触状態に応じて前記
    駆動手段を制御する接触状態制御手段とを含むことを特
    徴とする記録再生装置。
  2. 【請求項2】 導電性を有する探針と、 該探針の先端との間に流れる電流の有無により記録状態
    と非記録状態とが区別可能な記録媒体と、 前記探針の先端が前記記録媒体と互いに対向するよう前
    記探針が一端に取り付けられた、二対以上の電極,該各
    一対の電極にそれぞれ挟持された複数の圧電体および前
    記二対以上の電極と前記複数の圧電体とを支持する支持
    体を有する圧電バイモルフ構造体を備える圧電カンチレ
    バーと、 前記探針の先端が前記記録媒体の表面に対して垂直方向
    に移動するよう前記圧電カンチレバーを駆動する駆動手
    段と前記記録媒体と前記探針の先端との間に情報記録用
    電圧を印加する情報記録用電圧印加手段と、 前記記録媒体と前記探針の先端との間に情報再生用電圧
    を印加する情報再生用電圧印加手段と、 前記記録媒体と前記探針の先端との間に流れる電流を検
    出する電流検出手段と、 前記各一対の電極間の容量リアクタンスをそれぞれ検出
    して前記記録媒体と前記探針の先端との接触状態を検出
    する接触状態検出手段と、 該接触状態検出手段で検出された接触状態に応じて前記
    駆動手段を制御する接触状態制御手段とを含むことを特
    徴とする記録再生装置。
  3. 【請求項3】 導電性を有する探針と、 該探針の先端との間に流れる電流の有無により記録状態
    と非記録状態とが区別可能な記録媒体と、 前記探針の先端が前記記録媒体と互いに対向するよう前
    記探針が一端に取り付けられた、一対の電極,該一対の
    電極に挟持された圧電体および前記一対の電極と前記圧
    電体とを支持する支持体を有する圧電ユニモルフ構造体
    を備える圧電カンチレバーと、 前記記録媒体と前記探針の先端との間に情報記録用電圧
    を印加する情報記録用電圧印加手段と、 前記記録媒体と前記探針の先端との間に情報再生用電圧
    を印加する情報再生用電圧印加手段と、 前記記録媒体と前記探針の先端との間に流れる電流を検
    出する電流検出手段と、 前記一対の電極間の容量リアクタンスを検出して前記記
    録媒体と前記探針の先端との接触状態を検出する接触状
    態検出手段と、 該接触状態検出手段で検出された接触状態に応じて前記
    探針の先端が前記記録媒体の表面に対して垂直方向に移
    動するよう前記圧電カンチレバーを駆動制御する接触状
    態制御手段とを含むことを特徴とする記録再生装置。
  4. 【請求項4】 導電性を有する探針と、 該探針の先端との間に流れる電流の有無により記録状態
    と非記録状態とが区別可能な記録媒体と、 前記探針の先端が前記記録媒体と互いに対向するよう前
    記探針が一端に取り付けられた、二対以上の電極,該各
    一対の電極にそれぞれ挟持された複数の圧電体および前
    記二対以上の電極と前記複数の圧電体とを支持する支持
    体を有する圧電バイモルフ構造体を備える圧電カンチレ
    バーと、 前記記録媒体と前記探針の先端との間に情報記録用電圧
    を印加する情報記録用電圧印加手段と、 前記記録媒体と前記探針の先端との間に情報再生用電圧
    を印加する情報再生用電圧印加手段と、 前記記録媒体と前記探針の先端との間に流れる電流を検
    出する電流検出手段と、 前記各一対の電極間の容量リアクタンスをそれぞれ検出
    して前記記録媒体と前記探針の先端との接触状態を検出
    する接触状態検出手段と、 該接触状態検出手段で検出された接触状態に応じて前記
    探針の先端が前記記録媒体の表面に対して垂直方向に移
    動するよう前記圧電カンチレバーを駆動制御する接触状
    態制御手段とを含むことを特徴とする記録再生装置。
  5. 【請求項5】 一対の電極,該一対の電極に挟持された
    圧電体および前記一対の電極と前記圧電体とを支持する
    支持体を有する圧電ユニモルフ構造体を備える圧電カン
    チレバーの一端に取り付けられた導電性を有する探針
    を、該探針の先端との間に流れる電流の有無により記録
    状態と非記録状態とが区別可能な記録媒体の表面に接触
    させ、 前記一対の電極間の容量リアクタンスを検出して、前記
    記録媒体と前記探針の先端との接触状態を検出し、 該接触状態の検出結果に基づいて、該接触状態を調整す
    るように前記探針を前記記録媒体の表面と垂直方向に移
    動させながら、 記録時には、前記記録媒体と前記探針前記探針との間に
    情報記録用電圧を印加して、前記記録媒体に情報を記録
    し、 再生時には、前記記録媒体と前記探針前記探針との間に
    情報再生用電圧を印加し、該記録媒体と該探針前記探針
    との間に流れる電流を検出した結果に基づいて、前記記
    録媒体に記録されている情報を再生することを特徴とす
    る記録再生方法。
  6. 【請求項6】 前記接触状態の調整および前記探針の前
    記記録媒体の表面に対する垂直方向の移動が、 非接触状態では、前記探針を前記記録媒体の表面に近づ
    ける方向に移動し、 所定のしきい値以下の弱い接触状態では、前記探針の移
    動を停止し、 前記所定のしきい値以上の強い接触状態では、前記探針
    を前記記録媒体の表面から遠ざける方向に移動するもの
    であることを特徴とする請求項5記載の記録再生方法。
  7. 【請求項7】 二対以上の電極,該各一対の電極にそれ
    ぞれ挟持された複数の圧電体および前記二対以上の電極
    と前記複数の圧電体とを支持する支持体を有する圧電バ
    イモルフ構造体を備える圧電カンチレバーの一端に取り
    付けられた導電性を有する探針を、該探針の先端との間
    に流れる電流の有無により記録状態と非記録状態とが区
    別可能な記録媒体の表面に接触させ、 前記各一対の電極間の容量リアクタンスをそれぞれ検出
    して前記記録媒体と前記探針の先端との接触状態を検出
    し、 該接触状態の検出結果に基づいて、該接触状態を調整す
    るように前記探針を前記記録媒体の表面と垂直方向に移
    動させながら、 記録時には、前記記録媒体と前記探針前記探針との間に
    情報記録用電圧を印加して、前記記録媒体に情報を記録
    し、 再生時には、前記記録媒体と前記探針前記探針との間に
    情報再生用電圧を印加し、該記録媒体と該探針前記探針
    との間に流れる電流を検出した結果に基づいて、前記記
    録媒体に記録されている情報を再生することを特徴とす
    る記録再生方法。
  8. 【請求項8】 前記接触状態の調整および前記探針の前
    記記録媒体の表面に対する垂直方向の移動が、 非接触状態では、前記探針を前記記録媒体の表面に近づ
    ける方向に移動し、 所定のしきい値以下の弱い接触状態では、前記探針の移
    動を停止し、 前記所定のしきい値以上の強い接触状態では、前記探針
    を前記記録媒体の表面から遠ざける方向に移動するもの
    であることを特徴とする請求項7記載の記録再生方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006070704A1 (ja) * 2004-12-28 2006-07-06 Kyoto University 高密度情報記録、再生、消去方法、並びにそれに使用される媒体及び装置

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