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JP3076467B2 - 面合わせ方法およびそれを用いたトンネル顕微鏡および記録再生装置 - Google Patents

面合わせ方法およびそれを用いたトンネル顕微鏡および記録再生装置

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JP3076467B2
JP3076467B2 JP04346303A JP34630392A JP3076467B2 JP 3076467 B2 JP3076467 B2 JP 3076467B2 JP 04346303 A JP04346303 A JP 04346303A JP 34630392 A JP34630392 A JP 34630392A JP 3076467 B2 JP3076467 B2 JP 3076467B2
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JP
Japan
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cantilever
piezoelectric element
type piezoelectric
sample
cantilever type
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JP04346303A
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敬介 山本
高弘 小口
邦裕 酒井
亮 黒田
義勇 鈴木
優 中山
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)
  • Control Of Position Or Direction (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は逆電圧効果により駆動す
るカンチレバー型圧電素子に関わるものであり、これを
用いた面合わせ方法およびそれを応用した記録再生装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年半導体プロセス技術を背景にして半
導体を機械的構造体として用いた半導体圧力センサー、
半導体加速センサー、マイクロアクチュエーター等の機
械的電気素子(マイクロメカニクス)が脚光を浴びるよ
うになってきた。
【0003】かかる素子の特徴として、小型でかつ高精
度の機械機構部品を提供でき、かつ半導体ウエハを用い
るためにSiウエハ上に素子と電気回路を一体化できる
ことが挙げられる。また、半導体プロセスをベースに作
製することで、半導体プロセスのバッチ処理による生産
性の向上を期待できる。特に、圧電体薄膜を利用したカ
ンチレバー型圧電素子のものが挙げられ、これは非常に
微細な動きを制御することが可能なので、原子レベル、
分子レベルを直接観察できる走査型トンネル顕微鏡(以
下STMと称す)に応用されている。
【0004】例えば、スタンフォード大学のクエート等
により提案されたカンチレバー型圧電素子をもちいたS
TMプローブ(IEEE Micro Electro
Mechanical Systems,p188
199,Feb,1990)がある。これは図12に示
すようにSiウエハ1のウエハの裏面を一部除去してシ
リコンメンブレンを形成し、表面にAl4とZnO5の
薄膜を順次積層し、バイモルフのカンチレバーを形成し
た後、裏面より反応性のドライエッチングによりシリコ
ンメンブレンとウエハ表面のエッチングの保護層(シリ
コン窒化膜)を除去して、STMプローブ変位用のバイ
モルフカンチレバー型圧電素子を作製している。このカ
ンチレバーの上面自由端部にトンネル電流検知用プロー
ブ1を取り付け、良好なSTM像を得ている。
【0005】また、STMの技術を応用した原子間力顕
微鏡(以後AFMと略す)が開発され[Binning
et al.,Phys.Rev.Lett.,5
6,930(1986)]、STMと同様、表面の凹凸
情報を得ることができるようになった。AFMは、試料
表面に対して1ナノメートル以下の距離まで接近させた
探針を支持するカンチレバー(弾性体)が、試料−探針
間に働く力を受けて、たわむ量から逆に力を検出し、こ
の力を一定にするように試料−探針間の距離を制御しな
がら試料表面を走査することにより、表面の三次元形状
をナノメートル以下の分解能で観察するものである。A
FMでは、STMのように試料が導電性を有する必要が
なく、絶縁性試料、特に半導体レジスト面や生体高分子
などを原子・分子のオーダーで観察可能であるため、広
い応用が期待されている。
【0006】さらに、AFMの原子間力の情報を探針と
サンプル表面とを原子間力が発生可能な距離に近付けた
状態で、カンチレバーの固有振動数からのシフトからそ
の原子間力を検出検出する方法も提案されている(特開
昭63−309802号公報)。
【0007】一方、STMの手法を用いて、半導体ある
いは高分子材料等の原子オーダー、分子オーダーの観察
評価、微細加工(E.E.Ehrichs,4th I
nternational Conference o
n Scanning Tunnering Micr
oscopy/spectroscopy,’89,S
13−3)、及び記録再生装置の様々な分野への応用が
研究されている。なかでも、大容量を有する記録装置の
要求がますます高まっているコンピューターの計算情報
等への応用が研究されている。これは、半導体プロセス
技術の進展により、マイクロプロセッサが小型化し、計
算能力が向上したことに伴って記録装置の小型化が望ま
れているためである。
【0008】これらの要求を満たす目的で、記録媒体と
の間隔が微調整可能な駆動手段上に存在するトンネル電
流発生用プローブからなる変換器から電圧印加すること
によって記録媒体表面の形状を変化させる事により記録
書き込みし、形状の変化によるトンネル電流の変化を検
知することにより情報の読みだしを行い最少記録面積が
10-4μm2となる情報処理装置が提案されている(U
SP4575822)。
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ST
Mあるいは、AFMに用いるカンチレバー型圧電素子を
用いて、容易にサンプル表面とカンチレバー型圧電素子
との距離を計測するところにある。
【0009】以上が本発明の目的であり、これを達成す
べく位置だし制御法および面合わせ方法およびそれをも
ちいた記録再生装置を提供することにある。
【0010】
【0011】
【0012】本発明の面合わせ方法は、カンチレバーの
長手方向に直交する面での変位を変化させるためのすく
なくとも1層の圧電体層と、該圧電層に電圧を印加する
ための電極とを具備するカンチレバー型圧電素子を用い
る面合わせ方法であって、前記カンチレバーを同一基板
上に少なくとも2本以上設け、各カンチレバーの固有振
動数で変位させ、前記固有振動数での圧電素子のアドミ
ッタンス変化によりサンプル表面との距離を各々計測
し、この複数の測定距離が近似あるいは一致するように
駆動させて前記基板とサンプルとの面合わせを行うこと
を特徴とする。
【0013】また、カンチレバーの長手方向に直交する
面での変位を変化させるためのすくなくとも1層の圧電
体層と、該圧電層に電圧を印加するための電極とを具備
するカンチレバー型圧電素子を用いる面合わせ方法であ
って、前記カンチレバーを同一基板上に少なくとも2本
以上設け、圧電素子のアドミッタンスの周波数特性か
ら、サンプル表面との距離を各々計測し、この複数の測
定距離が近似あるいは一致するように駆動させて前記基
板とサンプルとの面合わせを行うことを特徴とする。
【0014】トンネル顕微鏡および記録再生装置におい
ては上記の各位置出し制御方法および面合わせ方法がそ
れぞれ用いられる。
【0015】
【作用】本発明は、カンチレバー型圧電素子を用い、固
有振動数あるいは、その付近の周波数で自由端を変位さ
せることが特徴である。固有振動数で振動させるとエネ
ルギーを最少にすることができるので、同じエネルギー
でも非常に大きく自由端を動かすことができる。しか
し、自由端がサンプル表面に接触すると、振動モードが
変化するのでカンチレバー型圧電素子のアドミッタンス
に変化が現れる。このアドミッタンスを計測しながら圧
電素子による位置だしを行う。つまりカンチレバー型圧
電素子を駆動させる目的と、距離の計測を行う目的の両
者を両立させることができるのが本発明の特徴である。
【0016】本発明においては、カンチレバー型圧電素
子の自由端とサンプル間の距離が光学的な手段や特別な
センサーを用いること無く、計測することができる。か
つ従来と同じカンチレバー型圧電素子を用いて、電気的
な計測を行うだけで、簡単に距離を計測でき、装置の簡
易化、IC化が容易に行える。
【0017】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して
説明する。
【0018】[実施例1] 図1にはSi基板2に形成されたカンチレバー型圧電
素子1とサンプル7が示されている。このカンチレバー
圧電素子1は別の伸縮する圧電素子3に固定されてい
る。
【0019】図2はこの圧電カンチレバー型圧電素子1
の構成を詳細に示す図である。
【0020】これは、Si基板に、通常のIC作製プ
ロセスとシリコンの異方性エッチングとにより作製した
ものである。Si基板2上に絶縁層8と下金電極9、Z
nO圧電体層10、中金電極11、ZnO圧電体層1
2、上金電極13の順に積層された構造で、バイモルフ
カンチレバー型圧電素子は構成される。このとき、上電
極13と下電極9とを短絡させ、中電極との間で電圧を
印加すると、カンチレバー型圧電素子1の自由端は逆圧
電効果により屈曲運動をする。
【0021】このときの変位量、次式で表わされる。
【0022】 ΔZ/ΔV=〔3L231Z(b2−a2)〕/{4(b−a)〔YM(a3−b 3 +c3)+YZ(C3−b3)〕}・・・・・・・・・・(1)式 このとき、Lはカンチレバーの自由端までの長さ、YM
は電極薄膜のヤング率、YZは圧電体薄膜のヤング率、
2×aは中電極の膜厚、b−aは、圧電体の膜厚 c−bは上、下電極の膜厚である。
【0023】また、このときの1次の固有振動数Frは
次式で表わされる。
【0024】 Fr=0.162×(E/ρ)1/2×t/L2・・・・・・・・・・(2)式 このとき、 Eはカンチレバーのヤング率 ρはカンチレバーの密度 tはカンチレバーの膜厚である。
【0025】例えば、カンチレバーの長さを300μ
m、中電極の膜厚を0.2μm、圧電体の膜厚を0.3
μm、上下電極の膜厚を0.1μm、d31=4.0pC
/Nとし、さらに金のヤング率が7.8×1010N/m
2、カンチレバーの密度ρが1.11×104Kg/m3
であるならば、 ΔZ/ΔV=1.59μm/V Fr=6470Hzとなる。
【0026】次に、図1に示した交流電源5でバイモル
フ型のカンチレバー型圧電素子1を駆動させると屈曲運
動を始める。このとき、同時に電圧計6によって、圧電
素子のアドミッタンスも測定できるようになっている。
なお、この交流電流は、V0sinωtの信号がでるように
なっており、振幅と周波数を変えることができるように
構成されている。また、圧電素子3は可変の直流電源4
でカンチレバー型圧電素子のZ方向の距離をコントロー
ルできるように構成されている。
【0027】いま、カンチレバー型圧電素子がサンプル
7に対して充分に遠い距離にある場合(サンプルに接触
しない)には、その屈曲運動変位の周波数応答は図3
(a)に示すようになる。つまり、固有振動数より充分
低い周波数帯域(図中のA)では(1)式で計算される
変位量を持つ。また、このときの最大変位量(図中の
B)が得られる周波数は(2)式で計算される周波数と
一致する。同時に図1で示した回路によりカンチレバー
型圧電素子のアドミッタンスを計測すると図3(b)に
示すようになる。
【0028】これは駆動周波数とカンチレバーの固有振
動数が一致するとエネルギーが最少ですむので、アドミ
ッタンスの極大値点(図中のB)は前述した固有振動数
と一致するためである。
【0029】図4はA点、B点においてのカンチレバー
型圧電素子1の先端変位量の印加電圧振幅依存性を示す
図であり、固有振動数より低いA点では、(1)式で計
算される変位量である。一方、固有振動数(B点)で駆
動すると、はるかに高い変位量が得られる。詳しくは、
だいたい機械的Q値倍の変位量が得られる。この機械的
Q値は形状、材料等で決まるもので、数十から数千まで
達する。
【0030】次に、図1において直流電源4から圧電素
子3に電圧を印加してカンチレバー型圧電素子の先端を
サンプル7に接触させる。このときのアドミッタンスの
周波数依存性は図5に示すようになる。先述した固有振
動数B点で見られた極大値を見ることはできない。これ
は、図8に示すようにカンチレバー型圧電素子1の先端
が接触して片持ち梁状態から両持ち梁状態に近い状態に
変わり、これにより、固有振動数が変化したことによ
る。
【0031】以上のことより、アドミッタンスの変化を
モニターすれば、カンチレバー型圧電素子1の先端がサ
ンプル7の表面に接触したかどうかを容易に判断するこ
とができる。
【0032】次に、位置だし制御方法について説明す
る。
【0033】図1において、カンチレバー型圧電素子1
をサンプル7表面に接触しない程度に圧電素子3を調整
する。その後、交流電源5で固有振動数でカンチレバー
を屈曲運動させる。例えば、カンチレバーの長さを30
0μm、中電極の膜厚を0.2μm、圧電体の膜厚を
0.3μm、上下電極の膜厚を0.1μm、d31=4.
0pC/N、機械的Q値を70とすると、ΔZ/ΔVは
以下の値となる。
【0034】ΔZ/ΔV=1.59μm/V (固有
振動数以下のとき) ΔZ/ΔV=111 μm/V (固有振動数のと
き) このときに、アドミッタンスの印加電圧依存性を計測す
ると、図6に示すものとなる。
【0035】カンチレバーの自由端がサンプル表面に接
触したときにアドミッタンスに変化が現れるので、その
ときの印加電圧と固有振動数での変位量が判ればカンチ
レバーの先端の静止点とサンプル表面との距離を容易に
計測できる。
【0036】図7は圧電素子を用いてカンチレバー型型
圧電素子1を徐々にサンプル7に近付けたときのアドミ
ッタンスの極大値を得る周波数をプロットしたものであ
る。これらが接触したときに大幅な周波数シフトが見ら
れる。この方法によっても、接触状態にあるか、非接触
状態にあるかを精度良く確認することができ、正確な位
置だしを行うことができる。
【0037】以上説明したように、カンチレバー型圧電
素子を固有振動数で屈曲運動をさせて位置だしを行う方
法と、外部からの駆動でサンプル表面まで接近させてカ
ンチレバー型圧電素子の固有振動数から位置だしを行う
方法のいずれにおいても精度良く位置だしを行うことが
できる。
【0038】[実施例2]本実施例において図1に示し
たカンチレバー型圧電素子を用いた面合わせ方法につい
て述べる。
【0039】図9は、2個のカンチレバー型圧電素子1
をSi基板2上に形成したものである。サンプル7は複
数のZ方向駆動素子102によって保持され、Z軸並び
に傾きを変えることができる。これらは、支持体101
で固定されている。複数のカンチレバー型圧電素子1は
アクチュエータ駆動回路103およびアドミッタンス検
出回路104にそれぞれ接続され、Z方向位置制御回路
105で固有振動周波数でのアドミッタンス変化の計測
と固有振動数の計測ができるように構成されている。Z
方向駆動回路106は複数のZ方向駆動素子102を駆
動するためのもので、Z方向位置制御回路105からの
信号でフィードバック制御される。
【0040】まず、2個のカンチレバー型圧電素子1を
アクチュエータ駆動回路103により固有振動数で屈曲
運動させる。このとき、実施例1と同様の方法でアドミ
ッタンス検出回路104によりサンプル7表面との距離
を計測する。これによりZ方向位置制御回路105にて
2個のカンチレバー型圧電素子1からサンプル7の距離
が一致あるいは近似するようにZ方向駆動回路106に
よりZ方向駆動素子102を動作させる。このような方
法においては、2個のカンチレバー型圧電素子1とサン
プル7表面を等距離とすることができる。
【0041】また、2個のアドミッタンスの周波数依存
性を計測し、その距離一致あるいは近似させることも
できる。このように両者の計測方法においても良好な位
置合わせを行える。例えば、カンチレバー型圧電素子1
が複数個(3個以上)ある場合には3点以上のカンチレ
バー型圧電素子の計測結果が一致あるいは近似となるよ
うに調節することにより良好な面合わせを行うことがで
きる。
【0042】[実施例3]本実施例では、図1に示した
カンチレバー型圧電素子を用いたSTM装置について述
べる。
【0043】図10は本実施例のSTM装置の構成を示
す図である。支持台101の上にZ方向駆動素子102
とXY走査機構110が設置され、観察物であるサンプ
ル7はXY方向に移動可能である。また、Si基板2上
に形成されたカンチレバー型圧電素子1はサンプルと対
向する位置に支持体101により固定され、そのカンチ
レバーの先端に探針108が作製されている。XY走査
機構110はXY駆動回路107によって駆動され、Z
方向駆動素子102はZ方向駆動回路106によって駆
動される。サンプル7と探針108との間には電圧印加
回路113によりバイアス電圧が印加され、これらの間
に流れるトンネル電流はトンネル電流検出回路109に
より検出される。また、Z方向に関しては、アクチュエ
ータ駆動回路103によりサンプル7と探針108との
間に流れるトンネル電流の値が一定となるようにフィー
ドバック制御が行われている。これらの全ての回路はマ
イクロコンピュータ112により統一して制御され、観
察結果の表示が行われる。上記のように構成されたST
M装置において、まず、カンチレバー型圧電素子1を実
施例2と同様な方法を用いてアドミッタンスを計測する
ことによりサンプル7の表面と探針108との距離を計
測する。このとき、本実施例で用いたカンチレバー型圧
電素子1の変位量が、 ΔZ/ΔV=1.59μm/V (固有振動数以下の
とき) ΔZ/ΔV=111 μm/V (固有振動数のと
き) であるために、高速なSTM動作を行う場合にはカンチ
レバー型圧電素子1のみの駆動でZ軸方向の動きを行う
ことが適している。この場合、カンチレバー型圧電素子
1を固有振動数以下の周波数で駆動するので、サンプル
7と探針108とが1μmいないになるように位置だし
を行う。その後、固有振動数以下の周波数でZ軸駆動を
行う。
【0044】上記のような駆動を行うと、容易にサンプ
ル7と探針108との距離を計測することができる。つ
まり、トンネル電流の検出による距離の計測(数nm以
下)とカンチレバー型圧電素子1のアドミッタンスによ
る距離の計測(数十μm以下)とを組み合せることによ
って、原子レベルから数十μmオーダーの凹凸に対する
情報を得ることができ、広範囲の距離についての計測を
高精度に行うことができる。
【0045】また、STMにおいては、探針がサンプル
に接触しているにも関わらず、探針先端のコンタミネー
ションによりトンネル電流が流れにくくなる現象がよく
見られる。このような場合にはSTM像として誤った情
報が得ることが多くなるが、本発明によれば探針が接触
しているかどうかを容易に判断することができるので、
事前に探針の状態をモニターすることができ、より正確
STM像を得ることができるという利点を有する。
【0046】[実施例4]本実施例においては、上述し
た位置だし方法および面合わせ方法を応用した記録再生
装置について述べる。
【0047】図11は本実施例の記録再生装置の構成を
示す図である。本実施例は図10に示したSTMの構成
を用いたものであるため同じ構成については図10と同
じ番号を付している。
【0048】支持台101の内部には、Z方向駆動素子
102と、該Z方向駆動素子102上に載置されたXY
走査機構110が設けられている。XY走査機構110
の上には基板111が設けられ、基板111上には電極
116と記録媒体117とが設置されている。XY走査
機構110は、XY方向駆動回路107によって駆動さ
れ、記録媒体117には記録用電圧印加回路114によ
り記録ビットの書き込み、あるいは、再生用電圧印加回
115により記録ビットの読出し用のパルス電圧が印
加される。Z方向駆動回路106によってZ方向駆動素
子102が駆動してXY走査機構110上の記録媒体1
17の傾きとZ軸の調整ができる。
【0049】Si基板2には10mm角のものが用いら
れ、Si基板2上には複数のカンチレバー型圧電素子1
が記録媒体117と対向する向きに支持体101に取り
付けられている。各カンチレバー型圧電素子1の自由端
部には探針108が設けられている。各探針108に個
々に流れるトンネル電流は電流検出回路109によって
それぞれ検出される。各カンチレバーはアクチュエータ
駆動回路103によって駆動される。また、アドミッタ
ンスは駆動時にもアドミッタンス検出回路104によっ
て検出され、これらの情報はZ方向位置制御回路105
による探針108と記録媒体117の位置を制御するた
めに用いられる。上記の全ての回路はマイクロコンピュ
ータ112により制御される。
【0050】記録媒体117は、マイカ基板上にエピタ
キシャル成長させたAu薄膜(2500Å)上に有機記
録層を積層したものを用いた。有機記録層としては、ス
クアリリウム−ビス−6−オクチアズレンのLB膜(1
層)を使用した。なお、LB膜の形成方法については特
開昭63−161552号公報に開示されている方法を
用いた。
【0051】まず、個々のカンチレバー型圧電素子1が
記録媒体117に対して位置が近似あるいは等価となる
ように実施例2に示した方法を用いて面合わせを行う。
このとき、全てのカンチレバー型圧電素子1上の探針1
08と記録媒体107との距離がカンチレバーの固有振
動数以下の変位量(ストローク±1μm)の範囲に納ま
るように調整する必要がある。このように調整すること
により全てのカンチレバー型圧電素子1が自らの逆電圧
効果によって、記録媒体117の凹凸に追従してトンネ
ル電流を検出することができる。以上により、位置だし
および面合わせが行われる。
【0052】次に、本実施例における記録再生方法につ
いて述べる。
【0053】まず、探針108の1本を陽極側、電極1
16を陰極側として5Vのパルス電圧を印加し、記録ビ
ットを生じさせた。次に、探針108と記録層との距離
をカンチレバー型圧電素子1によって保持したまま探針
108とAu薄膜との間に1Vの電圧を印加してトンネ
ル電流を測定したところ、0.5mA程度の電流が流
れ、記録ビットが形成されていることが確認できた。
【0054】次に上記の記録再生装置を用いて記録を連
続的に行った。カンチレバー1本に対して1ビットあた
り5msecの速度で複数のカンチレバーを順次駆動し
て記録を行い、その記録内容を確認したところ複数のカ
ンチレバー型圧電素子1による個々の記録ビットにエラ
ーの発生は見られなかった。
【0055】
【発明の効果】本発明の面合わせ方法においては、精度
よく面合わせを行うことができ、これらの各方法を用い
たトンネル顕微鏡および記録再生装置においては、探針
の制御を良好に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で行われる位置制御方法を説明
するための図である。
【図2】図1中のカンチレバー型圧電素子1の構成を示
す断面図である。
【図3】(a)および(b)のそれぞれは、カンチレバ
ー型圧電素子1の自由な状態における変位−周波数変化
およびアドミッタンス−周波数の関係を示す図である。
【図4】カンチレバー型圧電素子1の変位特性を示す図
である。
【図5】カンチレバー型圧電素子1の接触時のアドミッ
タンスを示す図である。
【図6】カンチレバー型圧電素子1の接触によるアドミ
ッタンスの変化を示す図である。
【図7】カンチレバー型圧電素子1の接触による固有振
動数の変化を示す図である。
【図8】カンチレバー型圧電素子1の接触状態を示す摸
式図である。
【図9】本発明の対象である面合わせの状態を示す図で
ある。
【図10】本発明によるトンネル顕微鏡の実施例の構成
を示す図である。
【図11】本発明による記録再生装置の実施例の構成を
示す図である。
【図12】STMに用いられるプローブの構造を示す図
である。
【符号の説明】
1 カンチレバー型圧電素子 2 Si基板 3 圧電素子 4 直流電源 5 交流電源 6 電圧計 7 サンプル 101 支持体 102 Z方向駆動素子 103 アクチュエータ駆動回路 104 アドミッタンス検出回路 105 Z方向位置制御回路 106 Z方向駆動回路 107 XY方向駆動回路 108 探針 109 電流検出回路 110 XY走査機構 111 基板 112 マイクロコンピュータ 113 電圧印加回路 114 記録用電圧印加回路 115 再生用電圧印加回路 116 電極 117 記録媒体
フロントページの続き (72)発明者 黒田 亮 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 鈴木 義勇 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 中山 優 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−137856(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 7/00 - 7/34 G01B 21/00 - 21/32 G11B 9/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カンチレバーの長手方向に直交する面で
    の変位を変化させるための少なくとも1層の圧電体層
    と、該圧電層に電圧を印加するための電極とを具備する
    カンチレバー型圧電素子を用いる面合わせ方法であっ
    て、 前記カンチレバーを同一基板上に少なくとも2本以上設
    け、 各カンチレバーをその固有振動数で変位させ、前記固有
    振動数での圧電素子のアドミッタンス変化によりサンプ
    ル表面との距離を各々計測し、この複数の測定距離が近
    似あるいは一致するように駆動させて前記基板とサンプ
    ルとの面合わせを行うことを特徴とする面合わせ方法。
  2. 【請求項2】 カンチレバーの長手方向に直交する面で
    の変位を変化させるための少なくとも1層の圧電体層
    と、該圧電体層に電圧を印加するための電極とを具備す
    るカンチレバー型圧電素子を用いる面合わせ方法であっ
    て、 前記カンチレバーを同一基板上に少なくとも2本以上設
    け、 圧電素子のアドミッタンスの周波数特性から、サンプル
    表面との距離を各々計測し、この複数の測定距離が近似
    あるいは一致するように駆動させて前記基板とサンプル
    との面合わせを行うことを特徴とする面合わせ方法。
  3. 【請求項3】 カンチレバーの長手方向に直交する面で
    の変位を変化させるための少なくとも1層の圧電体層と
    該圧電体層に電圧を印加するための電極とを備えるカン
    チレバー型圧電素子と、 前記カンチレバーが少なくとも複数設けられた基板と、 前記カンチレバー型圧電素子の自由端にそれぞれ取り付
    けられた探針とを有し、 前記カンチレバー型圧電素子と対向位置にサンプルを配
    置し、深針を介してサンプル表面の凹凸の情報を出力す
    トンネル電流顕微鏡において、請求項1または請求項2 に記載の方法を用いてカンチレ
    バー型圧電素子とサンプルとの面合わせを行った後にサ
    ンプル表面をカンチレバー型圧電素子で走査することを
    特徴とするトンネル顕微鏡。
  4. 【請求項4】 カンチレバーの長手方向に直交する面で
    の変位を変化させるための少なくとも1層の圧電体層と
    該圧電層に電圧を印加するための電極とを備えるカンチ
    レバー型圧電素子と、 前記カンチレバー型圧電素子の自由端に取り付けられた
    探針とを有し、 前記カンチレバー型圧電素子と対向位置にサンプルを配
    置し、深針を介してサンプル表面に記録または再生を行
    う記録再生装置において、前記カンチレバー型圧電素子をその固有振動数で変位さ
    せ、前記カンチレバー型圧電素子のアドミッタンス変化
    により、記録媒体表面との距離を測定する手段と、 該計測結果に基づいて記録媒体表面をカンチレバー型圧
    電素子で走査する手段とを有する ことを特徴とする記録
    再生装置。
  5. 【請求項5】 カンチレバーの長手方向に直交する面で
    の変位を変化させるための少なくとも1層の圧電体層と
    該圧電層に電圧を印加するための電極とを備えるカンチ
    レバー型圧電素子と、 前記カンチレバーが少なくとも複数設けられた基板と、 前記カンチレバー型圧電素子の自由端にそれぞれ取り付
    けられた探針とを有し、 前記カンチレバー型圧電素子と対向位置に記録媒体を配
    置し、深針を介して記録媒体表面に記録または再生を行
    う記録再生装置において、請求項1または請求項2 に記載の方法を用いてカンチレ
    バー型圧電素子と記録媒体との面合わせを行った後に記
    録媒体表面をカンチレバー型圧電素子で走査することを
    特徴とする記録再生装置。
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