JPH06221438A - 溶射ピストンリング - Google Patents
溶射ピストンリングInfo
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- JPH06221438A JPH06221438A JP2715893A JP2715893A JPH06221438A JP H06221438 A JPH06221438 A JP H06221438A JP 2715893 A JP2715893 A JP 2715893A JP 2715893 A JP2715893 A JP 2715893A JP H06221438 A JPH06221438 A JP H06221438A
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- Japan
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- weight
- piston ring
- film
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- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
- Coating By Spraying Or Casting (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 内燃機関や圧縮機等に用いられるピストンリ
ングの外周面を、耐摩耗性、耐焼付性、初期なじみ性に
優れた面とする。 【構成】 ピストンリング1の母材の外周摺動面に、微
細クロムカーバイド3−25重量%、モリブデン30−
80重量%、ニッケル−クロム合金10−40重量%か
らなるプラズマ溶射皮膜を形成する。
ングの外周面を、耐摩耗性、耐焼付性、初期なじみ性に
優れた面とする。 【構成】 ピストンリング1の母材の外周摺動面に、微
細クロムカーバイド3−25重量%、モリブデン30−
80重量%、ニッケル−クロム合金10−40重量%か
らなるプラズマ溶射皮膜を形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関や圧縮機等に用
いられるピストンリングに関し、更に詳しくは、少なく
とも外周摺動面に溶射皮膜を形成した溶射ピストンリン
グに関する。
いられるピストンリングに関し、更に詳しくは、少なく
とも外周摺動面に溶射皮膜を形成した溶射ピストンリン
グに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンの小型軽量化、高出力化
などの高性能化に伴い、ピストンリングに要求される条
件はますます苛酷なものとなり、より高度な耐摩耗性、
耐焼付性、初期なじみ性などが要求されている。
などの高性能化に伴い、ピストンリングに要求される条
件はますます苛酷なものとなり、より高度な耐摩耗性、
耐焼付性、初期なじみ性などが要求されている。
【0003】従来から内燃機関用のピストンリングの表
面処理に多く使用されていた硬質クロムめっきは、高鉛
燃料を使用する場合や腐食雰囲気下で使用する場合に耐
摩耗性に難点があり、その代替として溶射処理が施され
るようになった。しかしながら、溶射皮膜は耐摩耗性に
優れているものの、運転中に溶射皮膜の剥離や脱落を生
じるという問題があった。
面処理に多く使用されていた硬質クロムめっきは、高鉛
燃料を使用する場合や腐食雰囲気下で使用する場合に耐
摩耗性に難点があり、その代替として溶射処理が施され
るようになった。しかしながら、溶射皮膜は耐摩耗性に
優れているものの、運転中に溶射皮膜の剥離や脱落を生
じるという問題があった。
【0004】そこで、鋳鉄材や鋼材からなるピストンリ
ング母材との結合性が高い Cr3C2を含有するプラズマ溶
射皮膜を形成したピストンリングと、フェライトが多く
析出している軟質な鋳鉄材からなるシリンダライナとの
組み合わせが提案された。この場合、皮膜の耐剥離性は
向上するが、 Cr3C2粒子は硬度が高く、鋭利な形状とな
っているため、シリンダライナに対する攻撃性が高くな
るという問題があった。
ング母材との結合性が高い Cr3C2を含有するプラズマ溶
射皮膜を形成したピストンリングと、フェライトが多く
析出している軟質な鋳鉄材からなるシリンダライナとの
組み合わせが提案された。この場合、皮膜の耐剥離性は
向上するが、 Cr3C2粒子は硬度が高く、鋭利な形状とな
っているため、シリンダライナに対する攻撃性が高くな
るという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、従来のプラズマ溶射による皮膜の欠点を解消し、耐
摩耗性に優れ、相手材への攻撃性が少ない溶射皮膜を形
成した溶射ピストンリングを提供することである。
は、従来のプラズマ溶射による皮膜の欠点を解消し、耐
摩耗性に優れ、相手材への攻撃性が少ない溶射皮膜を形
成した溶射ピストンリングを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、微細クロムカーバイド粉末、モリ
ブデン粉末、ニッケル−クロム合金粉末を所定の割合で
混合し、ピストンリングの摺動面に溶射することによっ
て、耐摩耗性に優れ、相手材に対する攻撃性の低い溶射
ピストンリングが得られることを発見し、本発明を完成
させた。
の結果、本発明者は、微細クロムカーバイド粉末、モリ
ブデン粉末、ニッケル−クロム合金粉末を所定の割合で
混合し、ピストンリングの摺動面に溶射することによっ
て、耐摩耗性に優れ、相手材に対する攻撃性の低い溶射
ピストンリングが得られることを発見し、本発明を完成
させた。
【0007】すなわち本発明の溶射ピストンリングは、
微細クロムカーバイド3〜25重量%、モリブデンが3
0〜80重量%、ニッケル−クロム合金が10〜40重
量%、からなるプラズマ溶射皮膜を少なくとも外周摺動
面に有することを特徴とする。
微細クロムカーバイド3〜25重量%、モリブデンが3
0〜80重量%、ニッケル−クロム合金が10〜40重
量%、からなるプラズマ溶射皮膜を少なくとも外周摺動
面に有することを特徴とする。
【0008】
【作用】溶射皮膜は微細クロムカーバイドと、モリブデ
ンと、ニッケル−クロム合金とからなる。溶射皮膜中に
含まれる微細クロムカーバイドは、皮膜の硬度や靱性を
高め、耐摩耗性を向上させる。また、クロムカーバイド
の粒子は微細であるため、相手材への攻撃性が低い。溶
射皮膜全体を100重量%として、クロムカーバイドの
含有量が3重量%未満では上記の効果が顕著に得られ
ず、また25重量%を超えてもその効果に著しい変化は
ない。従って、クロムカーバイドの含有量は3〜25重
量%とする。好ましいクロムカーバイドの含有量は5〜
15重量%である。
ンと、ニッケル−クロム合金とからなる。溶射皮膜中に
含まれる微細クロムカーバイドは、皮膜の硬度や靱性を
高め、耐摩耗性を向上させる。また、クロムカーバイド
の粒子は微細であるため、相手材への攻撃性が低い。溶
射皮膜全体を100重量%として、クロムカーバイドの
含有量が3重量%未満では上記の効果が顕著に得られ
ず、また25重量%を超えてもその効果に著しい変化は
ない。従って、クロムカーバイドの含有量は3〜25重
量%とする。好ましいクロムカーバイドの含有量は5〜
15重量%である。
【0009】溶射皮膜中に含まれるモリブデンは、皮膜
の耐摩耗性及び耐焼付性を高めるとともに、高温時の硬
度や耐食性を高めるのに有効に作用する。溶射皮膜全体
を100重量%として、モリブデンの含有量が30重量
%未満では上記の効果が顕著に得られず、また80重量
%を超えてもその効果に著しい変化はない。従って、モ
リブデンの含有量は30〜80重量%とする。好ましい
モリブデンの含有量は50〜70重量%である。
の耐摩耗性及び耐焼付性を高めるとともに、高温時の硬
度や耐食性を高めるのに有効に作用する。溶射皮膜全体
を100重量%として、モリブデンの含有量が30重量
%未満では上記の効果が顕著に得られず、また80重量
%を超えてもその効果に著しい変化はない。従って、モ
リブデンの含有量は30〜80重量%とする。好ましい
モリブデンの含有量は50〜70重量%である。
【0010】一方、溶射皮膜中に含まれるニッケル−ク
ロム合金は、皮膜の耐酸化性及び耐食性の向上に寄与
し、また鋳鉄材や鋼材等からなるピストンリング母材と
の結合性が良好なため、皮膜の密着性を向上させる。ニ
ッケル−クロム合金の含有量は、溶射皮膜全体を100
重量%として、10〜40重量%とする。ニッケル−ク
ロム合金の含有量が10重量%未満では上記の効果が顕
著に得られず、また40重量%を超えてもその効果に著
しい変化はない。ニッケル−クロム合金の好ましい含有
量は20〜35重量%である。なお、ニッケル−クロム
合金中におけるニッケルとクロムの含有比率は70:3
0〜90:10とするのが好ましい。
ロム合金は、皮膜の耐酸化性及び耐食性の向上に寄与
し、また鋳鉄材や鋼材等からなるピストンリング母材と
の結合性が良好なため、皮膜の密着性を向上させる。ニ
ッケル−クロム合金の含有量は、溶射皮膜全体を100
重量%として、10〜40重量%とする。ニッケル−ク
ロム合金の含有量が10重量%未満では上記の効果が顕
著に得られず、また40重量%を超えてもその効果に著
しい変化はない。ニッケル−クロム合金の好ましい含有
量は20〜35重量%である。なお、ニッケル−クロム
合金中におけるニッケルとクロムの含有比率は70:3
0〜90:10とするのが好ましい。
【0011】溶射皮膜は通常のプラズマ溶射や大気プラ
ズマ溶射によっても形成することができるが、いわゆる
減圧プラズマ溶射によって形成するのが好ましい。減圧
プラズマ溶射は図5に示すプラズマガン5を用いて行
う。プラズマガン5は、銅などからなる環状の陽極6
と、タングステンなどからなり陽極6の上部に位置する
陰極7と、電源8とを有する。陽極6はプラズマガスを
噴出するノズルを形成する。陽極6及び陰極7の内部に
はキャビティ(図示せず)が形成され、冷却機能を有す
る。
ズマ溶射によっても形成することができるが、いわゆる
減圧プラズマ溶射によって形成するのが好ましい。減圧
プラズマ溶射は図5に示すプラズマガン5を用いて行
う。プラズマガン5は、銅などからなる環状の陽極6
と、タングステンなどからなり陽極6の上部に位置する
陰極7と、電源8とを有する。陽極6はプラズマガスを
噴出するノズルを形成する。陽極6及び陰極7の内部に
はキャビティ(図示せず)が形成され、冷却機能を有す
る。
【0012】減圧プラズマ溶射を行うには、まず陽極6
の先端から20〜200mm離れた位置にピストンリング
母材2を設置し、チャンバ内の空気をポンプ等で吸引し
て、10-10 〜10-20 Torr程度の真空にするととも
に、酸素等の有害ガスを除去する。次にAr等の不活性ガ
スをチャンバ内に導入して、約20〜150Torrの低圧
に調整する。この状態で陽極6と陰極7との間に高電圧
を印加すると、アーク放電9により不活性ガスが加熱さ
れ、プラズマ化される。プラズマ化されたガスは膨張
し、高温かつ高速で陽極6から噴出し、プラズマジェッ
ト流10をつくる。
の先端から20〜200mm離れた位置にピストンリング
母材2を設置し、チャンバ内の空気をポンプ等で吸引し
て、10-10 〜10-20 Torr程度の真空にするととも
に、酸素等の有害ガスを除去する。次にAr等の不活性ガ
スをチャンバ内に導入して、約20〜150Torrの低圧
に調整する。この状態で陽極6と陰極7との間に高電圧
を印加すると、アーク放電9により不活性ガスが加熱さ
れ、プラズマ化される。プラズマ化されたガスは膨張
し、高温かつ高速で陽極6から噴出し、プラズマジェッ
ト流10をつくる。
【0013】このプラズマジェット流10中に、皮膜が
所望の組成となるように配合した原料粉末11を投入す
る。粉末11の供給口は、図5のようにノズル6内に設
けてもよいし、あるいはノズル6の直下に設けてもよ
い。粉末11はプラズマジェット流10中で溶融、加速
されて母材2に衝突する。衝突した粉末11は瞬時に偏
平化して、母材温度まで急冷し、皮膜3を形成する。
所望の組成となるように配合した原料粉末11を投入す
る。粉末11の供給口は、図5のようにノズル6内に設
けてもよいし、あるいはノズル6の直下に設けてもよ
い。粉末11はプラズマジェット流10中で溶融、加速
されて母材2に衝突する。衝突した粉末11は瞬時に偏
平化して、母材温度まで急冷し、皮膜3を形成する。
【0014】上記のように減圧下においてプラズマ溶射
を行ったのは、プラズマジェット中のガス速度を高速に
するためである。粉末粒子は大気プラズマ溶射の場合よ
りも高速に加速されて母材に衝突し、溶射皮膜3は空孔
の体積比率が5%以下の緻密な組織となる。そのため、
皮膜3は耐酸化性、耐食性及び膜付着性が向上するとと
もに、相手材に対する攻撃性が低くなる。また、減圧下
においてプラズマ溶射を行うことにより、溶融から凝固
に至る過程において雰囲気による粉末粒子の酸化がなく
なる。そのため、皮膜3中には酸化物が混在せず、皮膜
粒子間の結合力が強くなり、皮膜3の機械的強度及び耐
摩耗性が向上する。
を行ったのは、プラズマジェット中のガス速度を高速に
するためである。粉末粒子は大気プラズマ溶射の場合よ
りも高速に加速されて母材に衝突し、溶射皮膜3は空孔
の体積比率が5%以下の緻密な組織となる。そのため、
皮膜3は耐酸化性、耐食性及び膜付着性が向上するとと
もに、相手材に対する攻撃性が低くなる。また、減圧下
においてプラズマ溶射を行うことにより、溶融から凝固
に至る過程において雰囲気による粉末粒子の酸化がなく
なる。そのため、皮膜3中には酸化物が混在せず、皮膜
粒子間の結合力が強くなり、皮膜3の機械的強度及び耐
摩耗性が向上する。
【0015】なお、母材2の表面には予めショットブラ
スト等で10〜20μm 程度の大きさの凹凸を形成して
おくのが好ましい。それによって、溶融粒子が母材の凸
部に衝突した際に、凸部が局部溶融を起こして合金化し
やすく、また機械的にも溶融粒子の凝固収縮応力による
アンカー効果が生じて、皮膜の接着力が強固となる。ま
た、溶射直前に母材2を予熱して400〜550℃の高
温にし、移行アークにより母材2の表面をクリーニング
すると、表面が活性化し、溶射後に母材2と皮膜3との
間に相互拡散層が形成され、母材2と皮膜3とは強固に
接合する。
スト等で10〜20μm 程度の大きさの凹凸を形成して
おくのが好ましい。それによって、溶融粒子が母材の凸
部に衝突した際に、凸部が局部溶融を起こして合金化し
やすく、また機械的にも溶融粒子の凝固収縮応力による
アンカー効果が生じて、皮膜の接着力が強固となる。ま
た、溶射直前に母材2を予熱して400〜550℃の高
温にし、移行アークにより母材2の表面をクリーニング
すると、表面が活性化し、溶射後に母材2と皮膜3との
間に相互拡散層が形成され、母材2と皮膜3とは強固に
接合する。
【0016】皮膜3の厚さは50〜500μm に形成す
るのが好ましく、特に100〜300μm に形成するの
が好ましい。
るのが好ましく、特に100〜300μm に形成するの
が好ましい。
【0017】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳
細に説明する。図1は本発明の一実施例によるピストン
リングを示す概略断面図である。本発明のピストンリン
グ1は、鋳鉄材や鋼材等からなるピストンリング母材2
の外周摺動面に溝部4が削設され、その溝部4に溶射皮
膜3が形成されている。また、図2は本発明の他の実施
例によるピストンリングを示す概略断面図である。ピス
トンリング1は、ピストンリング母材2の平坦な外周摺
動面に溶射皮膜3が形成されている。
細に説明する。図1は本発明の一実施例によるピストン
リングを示す概略断面図である。本発明のピストンリン
グ1は、鋳鉄材や鋼材等からなるピストンリング母材2
の外周摺動面に溝部4が削設され、その溝部4に溶射皮
膜3が形成されている。また、図2は本発明の他の実施
例によるピストンリングを示す概略断面図である。ピス
トンリング1は、ピストンリング母材2の平坦な外周摺
動面に溶射皮膜3が形成されている。
【0018】〔実施例1〕本実施例では、図4に示す科
研式摩耗試験機により高温湿式摩耗試験を行った。試験
機は、回転可能なドラム型シリンダライナ材18と、シ
リンダライナ材18の外周面に摺接する供試材15を押
圧するアーム13と、アーム13の一端に取り付けられ
た重錘14と、アーム13の他端に取り付けられたバラ
ンサ16と、供試材15とバランサ16との間でアーム
13を支えている支点12とからなる。シリンダライナ
材18は駆動装置(図示せず)によって所定の速度で回
転するとともに、ヒータ17を内蔵して所望の温度に調
節され、供試材15の湾曲面と摺接する。その際、シリ
ンダライナ材18と供試材15とが摺接する部位に潤滑
油19が注油される。なお、アーム13が供試材15を
シリンダライナ材18方向へ押圧する力は、重錘14の
重量を変えることにより変化させることができる。その
力は供試材15とシリンダライナ材18との接触面圧と
なる。
研式摩耗試験機により高温湿式摩耗試験を行った。試験
機は、回転可能なドラム型シリンダライナ材18と、シ
リンダライナ材18の外周面に摺接する供試材15を押
圧するアーム13と、アーム13の一端に取り付けられ
た重錘14と、アーム13の他端に取り付けられたバラ
ンサ16と、供試材15とバランサ16との間でアーム
13を支えている支点12とからなる。シリンダライナ
材18は駆動装置(図示せず)によって所定の速度で回
転するとともに、ヒータ17を内蔵して所望の温度に調
節され、供試材15の湾曲面と摺接する。その際、シリ
ンダライナ材18と供試材15とが摺接する部位に潤滑
油19が注油される。なお、アーム13が供試材15を
シリンダライナ材18方向へ押圧する力は、重錘14の
重量を変えることにより変化させることができる。その
力は供試材15とシリンダライナ材18との接触面圧と
なる。
【0019】供試材15の基材としては球状黒鉛鋳鉄材
(FCD 60)を使用し、縦100mm、横50mm、厚さ10
mmの角柱状に加工し、さらにその一端面を湾曲面となる
ように研削加工した。次に、Cr3C2 粉末10重量%、Mo
粉末60重量%、Ni-Cr 合金粉末30重量%(Ni:80
重量%、Cr:20重量%)からなる混合粉末を用意し
た。なお、それぞれの粉末は325メッシュであった。
(FCD 60)を使用し、縦100mm、横50mm、厚さ10
mmの角柱状に加工し、さらにその一端面を湾曲面となる
ように研削加工した。次に、Cr3C2 粉末10重量%、Mo
粉末60重量%、Ni-Cr 合金粉末30重量%(Ni:80
重量%、Cr:20重量%)からなる混合粉末を用意し
た。なお、それぞれの粉末は325メッシュであった。
【0020】その混合粉末を用いて、減圧プラズマ溶射
により供試材15の湾曲面に約200μm の厚さの溶射
皮膜を形成した。溶射条件は以下の通りであった。
により供試材15の湾曲面に約200μm の厚さの溶射
皮膜を形成した。溶射条件は以下の通りであった。
【0021】溶射条件 使用ガン:メテコ社製LPC-9MB プラズマ溶射ガン 電圧:70V 電流:500A 雰囲気ガス:Ar チャンバ内圧力:30Torr 母材予熱温度:400℃
【0022】得られた供試材15の湾曲面における金属
組織の顕微鏡写真(×100)を図3に示す。図3によ
り明らかなように、溶射皮膜3と母材2の接合部は合金
化して拡散結合しており、皮膜3中には空孔が極めて少
ない。皮膜3中の空孔率は、平均で1.2体積%であっ
た。
組織の顕微鏡写真(×100)を図3に示す。図3によ
り明らかなように、溶射皮膜3と母材2の接合部は合金
化して拡散結合しており、皮膜3中には空孔が極めて少
ない。皮膜3中の空孔率は、平均で1.2体積%であっ
た。
【0023】得られた供試材15及びFC25からなる
シリンダライナ材18を上記の科研式摩耗試験機に取り
付けて、以下に示す試験条件で高温湿式摩耗試験を行っ
た。供試材15及びシリンダライナ材18の耐摩耗性試
験の結果を図6に示す。
シリンダライナ材18を上記の科研式摩耗試験機に取り
付けて、以下に示す試験条件で高温湿式摩耗試験を行っ
た。供試材15及びシリンダライナ材18の耐摩耗性試
験の結果を図6に示す。
【0024】試験条件 摩擦速度:0.50m/秒 潤滑油:低粘度オイル シリンダライナ材温度:180℃ 給油量:3滴/分 重錘の重量:50kg 時間:240分
【0025】〔比較例1〕実施例1の供試材15と同じ
基材に、Cr3C2 粉末10重量%、Mo粉末60重量%、Ni
-Cr 合金粉末30重量%(Ni:80重量%、Cr:20重
量%)からなる混合粉末を用いて、実施例1と同様にし
て厚さが約200μm の溶射皮膜を形成した。
基材に、Cr3C2 粉末10重量%、Mo粉末60重量%、Ni
-Cr 合金粉末30重量%(Ni:80重量%、Cr:20重
量%)からなる混合粉末を用いて、実施例1と同様にし
て厚さが約200μm の溶射皮膜を形成した。
【0026】得られた供試材15と、実施例1と同じシ
リンダライナ材18とを組み合わせ、実施例1と同様に
して高温湿式摩耗試験を行った。供試材15及びシリン
ダライナ材18の耐摩耗性試験の結果を図6に示す。な
お、図6は比較例1における供試材及びシリンダライナ
材の摩耗量を100%として、実施例1における供試材
及びシリンダライナ材の摩耗量を割合(%)で示したも
のである。
リンダライナ材18とを組み合わせ、実施例1と同様に
して高温湿式摩耗試験を行った。供試材15及びシリン
ダライナ材18の耐摩耗性試験の結果を図6に示す。な
お、図6は比較例1における供試材及びシリンダライナ
材の摩耗量を100%として、実施例1における供試材
及びシリンダライナ材の摩耗量を割合(%)で示したも
のである。
【0027】図6から明らかなように、実施例1の供試
材は比較例1の供試材よりも耐摩耗性に優れ、また、相
手材であるシリンダライナ材の摩耗量も大幅に減少して
いる。
材は比較例1の供試材よりも耐摩耗性に優れ、また、相
手材であるシリンダライナ材の摩耗量も大幅に減少して
いる。
【0028】
【発明の効果】以上詳述した通り、窒化チタン粉末、モ
リブデン粉末、ニッケル−クロム合金粉末及び白鋳鉄粉
末を所定の割合で混合してプラズマ溶射した皮膜が外周
摺動面に形成されている本発明のピストンリングは、耐
摩耗性に優れており、相手材に対する攻撃性が低い。
リブデン粉末、ニッケル−クロム合金粉末及び白鋳鉄粉
末を所定の割合で混合してプラズマ溶射した皮膜が外周
摺動面に形成されている本発明のピストンリングは、耐
摩耗性に優れており、相手材に対する攻撃性が低い。
【図1】本発明の一実施例によるピストンリングを示す
概略断面図である。
概略断面図である。
【図2】本発明の別の実施例によるピストンリングを示
す概略断面図である。
す概略断面図である。
【図3】実施例1においてプラズマ溶射皮膜を形成した
供試材の金属組織の顕微鏡写真(×100)である。
供試材の金属組織の顕微鏡写真(×100)である。
【図4】科研式摩耗試験機の概略図である。
【図5】プラズマ溶射を行う装置(プラズマガン)を示
す概略断面図である。
す概略断面図である。
【図6】実施例及び比較例の摩耗試験における供試材及
びシリンダライナ材の摩耗量を示すグラフである。
びシリンダライナ材の摩耗量を示すグラフである。
1 ピストンリング 2 ピストンリング母材 3 溶射皮膜 4 溝部 5 プラズマガン 6 陽極 7 陰極 8 電源 9 アーク放電 10 プラズマジェット流 11 原料粉末 12 支点 13 アーム 14 重錘 15 供試材 16 バランサ 17 ヒータ 18 ドラム型シリンダライナ材 19 潤滑油
Claims (1)
- 【請求項1】 微細クロムカーバイド3〜25重量%、
モリブデンが30〜80重量%、ニッケル−クロム合金
が10〜40重量%、からなるプラズマ溶射皮膜を少な
くとも外周摺動面に有する溶射ピストンリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2715893A JPH06221438A (ja) | 1993-01-25 | 1993-01-25 | 溶射ピストンリング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2715893A JPH06221438A (ja) | 1993-01-25 | 1993-01-25 | 溶射ピストンリング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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1993
- 1993-01-25 JP JP2715893A patent/JPH06221438A/ja active Pending
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