JPH06124627A - 高速再閉路接地開閉器 - Google Patents
高速再閉路接地開閉器Info
- Publication number
- JPH06124627A JPH06124627A JP4271798A JP27179892A JPH06124627A JP H06124627 A JPH06124627 A JP H06124627A JP 4271798 A JP4271798 A JP 4271798A JP 27179892 A JP27179892 A JP 27179892A JP H06124627 A JPH06124627 A JP H06124627A
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- JP
- Japan
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- opening
- speed
- current
- switch opening
- puffer
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 数サイクルの間電流零点を形成しない誘導電
流を遮断可能な高速再閉路接地開閉器を提供する。 【構成】 パッファ形消弧室7の操作装置9に、開極動
作の速度を制御する制御手段23を設ける。制御手段
を、開極時に電磁誘導電流を遮断可能な圧力上昇値が得
られる第1の開極位置近傍から一時的に開極動作を減速
し、開極終期の第2の開極位置から開極動作を加速する
ように設定する。制御手段としては、例えば、開極動作
の速度を減速する緩衝装置を使用して、減速時に緩衝装
置を動作させ、加速時に緩衝装置の動作を解除するよう
に設定することが可能である。開極終期の第2の開極位
置としては、具体的には、零ミス電流が発生した場合に
おける零ミス電流の終了点に対応する開極位置近傍に設
定することが可能である。
流を遮断可能な高速再閉路接地開閉器を提供する。 【構成】 パッファ形消弧室7の操作装置9に、開極動
作の速度を制御する制御手段23を設ける。制御手段
を、開極時に電磁誘導電流を遮断可能な圧力上昇値が得
られる第1の開極位置近傍から一時的に開極動作を減速
し、開極終期の第2の開極位置から開極動作を加速する
ように設定する。制御手段としては、例えば、開極動作
の速度を減速する緩衝装置を使用して、減速時に緩衝装
置を動作させ、加速時に緩衝装置の動作を解除するよう
に設定することが可能である。開極終期の第2の開極位
置としては、具体的には、零ミス電流が発生した場合に
おける零ミス電流の終了点に対応する開極位置近傍に設
定することが可能である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力用高電圧送電線に
おいて、送電線路の碍子連アークホーン間の逆フラッシ
オーバー(逆閃絡)によって発生する地絡事故を線路用
遮断器によって除去した後、アークホーン部に持続する
電磁誘導電流アークを遮断器の開閉動作と協調した高速
閉極動作によって消弧し、かつ即時の開極動作により誘
導電流を遮断して、遮断器の再閉路による再送電を可能
にする高速再閉路接地開閉器(HSES)に関する。
おいて、送電線路の碍子連アークホーン間の逆フラッシ
オーバー(逆閃絡)によって発生する地絡事故を線路用
遮断器によって除去した後、アークホーン部に持続する
電磁誘導電流アークを遮断器の開閉動作と協調した高速
閉極動作によって消弧し、かつ即時の開極動作により誘
導電流を遮断して、遮断器の再閉路による再送電を可能
にする高速再閉路接地開閉器(HSES)に関する。
【0002】
【従来の技術】送電線に雷が落ちると、送電線に吊られ
た碍子連のアークホーンに逆フラッシオーバーが発生す
る。送電線に生じる事故の大半は、この逆フラッシオー
バーを原因とする1線地絡事故である。地絡事故による
故障を解消するためには、故障区間を無電圧として、事
故原因である逆フラッシオーバーを消弧してしまえば良
い。具体的には、故障を起こした送電線の両端にある送
電線路用の遮断器に再閉路動作を行わせることが有効で
ある。再閉路動作とは、一旦開極して、故障区間を無電
圧とし、逆フラッシオーバーを消弧した後、再度投入す
ることである。このような再閉路動作を行うことによ
り、停電に至ることなく、再送電を行うことができる。
再閉路の代表的な方式としては単相再閉路方式がある。
この単相再閉路方式は、電力の変動が少なく、過渡安定
度に優れているため広く使われている。
た碍子連のアークホーンに逆フラッシオーバーが発生す
る。送電線に生じる事故の大半は、この逆フラッシオー
バーを原因とする1線地絡事故である。地絡事故による
故障を解消するためには、故障区間を無電圧として、事
故原因である逆フラッシオーバーを消弧してしまえば良
い。具体的には、故障を起こした送電線の両端にある送
電線路用の遮断器に再閉路動作を行わせることが有効で
ある。再閉路動作とは、一旦開極して、故障区間を無電
圧とし、逆フラッシオーバーを消弧した後、再度投入す
ることである。このような再閉路動作を行うことによ
り、停電に至ることなく、再送電を行うことができる。
再閉路の代表的な方式としては単相再閉路方式がある。
この単相再閉路方式は、電力の変動が少なく、過渡安定
度に優れているため広く使われている。
【0003】ところが、近年では電力需要の増大に伴っ
て、高電圧送電線として1100kVなどのUHV系送
電線が用いられている。このUHV系送電線にて単相再
閉路を行う場合には、従来の500kV系統の場合に比
較して、同一回線の他相や併架された他回線から受ける
静電電磁誘導が大きくなる。このような他相からの静電
電磁誘導が大きいと、碍子連アークホーンの逆フラッシ
オーバーが発生した時、たとえ故障区間両端の遮断器を
開極状態にしたにせよ、逆フラッシオーバーを消弧する
ことが難しくなる。そこで、UHV系のような高電圧送
電線では、逆フラッシオーバーを消弧するために、高電
圧送電線の1線地絡相に高速再閉路接地開閉器が設置さ
れている。すなわち、事故発生箇所をその両端の遮断器
によって送電線路から切り離した後、この高速再閉路接
地開閉器を遮断器の開閉動作と協調して高速投入するこ
とにより、碍子連アークホーンに持続する電磁誘導電流
アークを消弧し、且つ即座に開極動作を行って誘導電流
を遮断して、遮断器の再閉路による再送電を可能にして
いる。
て、高電圧送電線として1100kVなどのUHV系送
電線が用いられている。このUHV系送電線にて単相再
閉路を行う場合には、従来の500kV系統の場合に比
較して、同一回線の他相や併架された他回線から受ける
静電電磁誘導が大きくなる。このような他相からの静電
電磁誘導が大きいと、碍子連アークホーンの逆フラッシ
オーバーが発生した時、たとえ故障区間両端の遮断器を
開極状態にしたにせよ、逆フラッシオーバーを消弧する
ことが難しくなる。そこで、UHV系のような高電圧送
電線では、逆フラッシオーバーを消弧するために、高電
圧送電線の1線地絡相に高速再閉路接地開閉器が設置さ
れている。すなわち、事故発生箇所をその両端の遮断器
によって送電線路から切り離した後、この高速再閉路接
地開閉器を遮断器の開閉動作と協調して高速投入するこ
とにより、碍子連アークホーンに持続する電磁誘導電流
アークを消弧し、且つ即座に開極動作を行って誘導電流
を遮断して、遮断器の再閉路による再送電を可能にして
いる。
【0004】以下、この高速再閉路接地開閉器を採用し
た保護システムを、図面を参照して具体的に説明する。
図5はこのシステムの構成を示す説明図である。図にお
いて、1はブッシング、3はUHV系の鉄塔である。2
は高電圧用の送電線であり、上相、中相、下相の3線を
有し、ブッシング1と鉄塔3または鉄塔3同士の間に張
り渡されている。各鉄塔3には、アークホーン3aを備
えた碍子連3bが設けられ、この碍子連3bによって送
電線2が鉄塔3に吊り下げられている。送電線2の一定
区間の両端には、遮断器(GCB)と高速再閉路接地開
閉器(HSES)が設けられている。なお、4は雷雲、
5は雷である。このシステムにおいて、3線の送電線2
のうちの1つに雷雲4から雷5が落ちると、その送電線
2を吊り下げている碍子連3bのアークホーン3aに逆
フラッシオーバー3cが発生し、送電線2からこの逆フ
ラッシオーバー3cを介して鉄塔3へ地絡事故電流が流
れ、地絡事故が生じる。
た保護システムを、図面を参照して具体的に説明する。
図5はこのシステムの構成を示す説明図である。図にお
いて、1はブッシング、3はUHV系の鉄塔である。2
は高電圧用の送電線であり、上相、中相、下相の3線を
有し、ブッシング1と鉄塔3または鉄塔3同士の間に張
り渡されている。各鉄塔3には、アークホーン3aを備
えた碍子連3bが設けられ、この碍子連3bによって送
電線2が鉄塔3に吊り下げられている。送電線2の一定
区間の両端には、遮断器(GCB)と高速再閉路接地開
閉器(HSES)が設けられている。なお、4は雷雲、
5は雷である。このシステムにおいて、3線の送電線2
のうちの1つに雷雲4から雷5が落ちると、その送電線
2を吊り下げている碍子連3bのアークホーン3aに逆
フラッシオーバー3cが発生し、送電線2からこの逆フ
ラッシオーバー3cを介して鉄塔3へ地絡事故電流が流
れ、地絡事故が生じる。
【0005】この逆フラッシオーバー3cにより1線地
絡事故が起きた場合の遮断器(GCB)および高速再閉
路接地開閉器(HSES)の動作順序を、図6の動作シ
ーケンス図に沿って説明する。すなわち、地絡事故発生
前は、遮断器(GCB)は投入状態、高速再閉路接地開
閉器(HSES)は開極状態にある。送電線2に地絡事
故が発生すると、送電線保護リレー時間であるT1 時間
経過後、まず遮断器(GCB)が開極動作を行う。しか
し、事故送電線2には、他相からの静電電磁誘導により
誘導電流が流れ、それによってアークホーン3a間には
依然として逆フラッシオーバー3cが持続している。そ
こで、遮断器(GCB)が開極した状態で、高速再閉路
接地開閉器(HSES)の投入動作を強制的に高速で行
い、アークホーン3a部分で接地されている誘導電流を
高速再閉路接地開閉器(HSES)側に導くことによ
り、アークホーン3aの逆フラッシオーバーを消弧す
る。高速再閉路接地開閉器(HSES)は、θ時間投入
状態を続けて逆フラッシオーバーを消弧した後、開極状
態に戻って誘導電流を遮断し、最後に遮断器が投入動作
を行い送電を再開する。
絡事故が起きた場合の遮断器(GCB)および高速再閉
路接地開閉器(HSES)の動作順序を、図6の動作シ
ーケンス図に沿って説明する。すなわち、地絡事故発生
前は、遮断器(GCB)は投入状態、高速再閉路接地開
閉器(HSES)は開極状態にある。送電線2に地絡事
故が発生すると、送電線保護リレー時間であるT1 時間
経過後、まず遮断器(GCB)が開極動作を行う。しか
し、事故送電線2には、他相からの静電電磁誘導により
誘導電流が流れ、それによってアークホーン3a間には
依然として逆フラッシオーバー3cが持続している。そ
こで、遮断器(GCB)が開極した状態で、高速再閉路
接地開閉器(HSES)の投入動作を強制的に高速で行
い、アークホーン3a部分で接地されている誘導電流を
高速再閉路接地開閉器(HSES)側に導くことによ
り、アークホーン3aの逆フラッシオーバーを消弧す
る。高速再閉路接地開閉器(HSES)は、θ時間投入
状態を続けて逆フラッシオーバーを消弧した後、開極状
態に戻って誘導電流を遮断し、最後に遮断器が投入動作
を行い送電を再開する。
【0006】ところで、以上のように、逆フラッシオー
バーを消弧するために、遮断器(GCB)が開極した状
態で、高速再閉路接地開閉器(HSES)の投入動作を
行った場合に、高速再閉路接地開閉器(HSES)に流
れる電磁誘導電流は、図7に示すように、2000Aに
も達する。そして、このような大電流遮断時には、図8
に示すように、電気回路の過渡現象分と故障送電線が他
線から受ける静電誘導電圧が重畳した過渡回復電圧が印
加される。このような比較的大きな電流と、比較的大き
な上昇率、および高い波高値の過渡回復電圧条件の遮断
は、単にSF6ガス中で棒状の接触子を開閉するだけの
並切り形の接地開閉器では遮断することができず、遮断
器と同様にパッファ形の消弧室を有する高速再閉路接地
開閉器(HSES)が必要となる。
バーを消弧するために、遮断器(GCB)が開極した状
態で、高速再閉路接地開閉器(HSES)の投入動作を
行った場合に、高速再閉路接地開閉器(HSES)に流
れる電磁誘導電流は、図7に示すように、2000Aに
も達する。そして、このような大電流遮断時には、図8
に示すように、電気回路の過渡現象分と故障送電線が他
線から受ける静電誘導電圧が重畳した過渡回復電圧が印
加される。このような比較的大きな電流と、比較的大き
な上昇率、および高い波高値の過渡回復電圧条件の遮断
は、単にSF6ガス中で棒状の接触子を開閉するだけの
並切り形の接地開閉器では遮断することができず、遮断
器と同様にパッファ形の消弧室を有する高速再閉路接地
開閉器(HSES)が必要となる。
【0007】図1を参照して、従来のパッファ形消弧室
を有する高速再閉路接地開閉器(HSES)の一例を説
明する。この図において、接地容器6内には、パッファ
形消弧室7や、導体8などが収納されている。そして、
パッファ形消弧室7の可動部は、操作装置9によって開
閉駆動されるようになっており、パッファ形消弧室7の
可動部と操作装置9との間には、操作装置9の動作スト
ロークを変換して必要な開極長さを得るためのリンク部
10が設けられている。また、導体8は、その両端部に
て、絶縁スペーサ11a,11bを介して接地容器6に
対して支持され、電気的に絶縁されている。さらに、パ
ッファ形消弧室7の可動部の近傍には、接地容器6を貫
通する形で接地端子部12が設けられ、パッファ形消弧
室7の可動部に電気的に接続されており、接地開閉器の
閉極時には、このパッファ形消弧室7を介して導体8が
接地端子部12に接続されるようになっている。
を有する高速再閉路接地開閉器(HSES)の一例を説
明する。この図において、接地容器6内には、パッファ
形消弧室7や、導体8などが収納されている。そして、
パッファ形消弧室7の可動部は、操作装置9によって開
閉駆動されるようになっており、パッファ形消弧室7の
可動部と操作装置9との間には、操作装置9の動作スト
ロークを変換して必要な開極長さを得るためのリンク部
10が設けられている。また、導体8は、その両端部に
て、絶縁スペーサ11a,11bを介して接地容器6に
対して支持され、電気的に絶縁されている。さらに、パ
ッファ形消弧室7の可動部の近傍には、接地容器6を貫
通する形で接地端子部12が設けられ、パッファ形消弧
室7の可動部に電気的に接続されており、接地開閉器の
閉極時には、このパッファ形消弧室7を介して導体8が
接地端子部12に接続されるようになっている。
【0008】図2に、図1のパッファ形消弧室の詳細な
構造を示す。この場合、図2は開極終了時の状態を示し
ている。図において、Aは固定接触子部であり、固定接
触子13、シールド14aによって構成されている。ま
た、Bは可動接触子部であり、操作装置9に連結される
筒状の操作ロッド15にパッファシリンダ16が取り付
けられ、このパッファシリンダ16上に可動接触子17
および絶縁ノズル18が取り付けられている。パッファ
シリンダ16内には、パッファピストン19が挿入され
ており、また、パッファシリンダ16の外周部には、固
定接触子部Aのシールド14aに対向するシールド14
bが設けられ、これらのパッファピストン19およびシ
ールド14bは、接地容器1に対して固定されている。
そして、このように固定されたパッファピストン19お
よびシールド14bに対して、部材16〜18が一体に
移動するように構成されている。
構造を示す。この場合、図2は開極終了時の状態を示し
ている。図において、Aは固定接触子部であり、固定接
触子13、シールド14aによって構成されている。ま
た、Bは可動接触子部であり、操作装置9に連結される
筒状の操作ロッド15にパッファシリンダ16が取り付
けられ、このパッファシリンダ16上に可動接触子17
および絶縁ノズル18が取り付けられている。パッファ
シリンダ16内には、パッファピストン19が挿入され
ており、また、パッファシリンダ16の外周部には、固
定接触子部Aのシールド14aに対向するシールド14
bが設けられ、これらのパッファピストン19およびシ
ールド14bは、接地容器1に対して固定されている。
そして、このように固定されたパッファピストン19お
よびシールド14bに対して、部材16〜18が一体に
移動するように構成されている。
【0009】このような構成を有する図2のパッファ形
消弧室の動作は次の通りである。すなわち、開極動作時
には、パッファシリンダ16内のガスが圧縮され、先端
の絶縁ノズル18部に図中点線矢印で示すような2方向
のガス流が生じ、固定接触子13と可動接触子17の間
に生じるアークが消弧される。また、開極終了後は、シ
ールド14a,14bの効果により、固定接触子部と可
動接触子部の間の絶縁が確保される。この場合、図2に
示すような開極終了時におけるパッファシリンダ16の
先端部内面とパッファピストン19の端面との間のギャ
ップL0 は、開極動作時にパッファシリンダ16とパッ
ファピストン19とが衝突しないような必要十分な長さ
にされる。
消弧室の動作は次の通りである。すなわち、開極動作時
には、パッファシリンダ16内のガスが圧縮され、先端
の絶縁ノズル18部に図中点線矢印で示すような2方向
のガス流が生じ、固定接触子13と可動接触子17の間
に生じるアークが消弧される。また、開極終了後は、シ
ールド14a,14bの効果により、固定接触子部と可
動接触子部の間の絶縁が確保される。この場合、図2に
示すような開極終了時におけるパッファシリンダ16の
先端部内面とパッファピストン19の端面との間のギャ
ップL0 は、開極動作時にパッファシリンダ16とパッ
ファピストン19とが衝突しないような必要十分な長さ
にされる。
【0010】図9に、以上のような従来の高速再閉路接
地開閉器(HSES)における、開極動作時のストロー
ク(開極移動特性)とパッファシリンダ内の圧力上昇の
特性を示す。この図において、X0 は開極開始位置を示
しており、開極初期に遮断可能な最小の圧力上昇値ΔP
1aが得られる開極位置をX1 、その時の開極距離をL1
とし、また、圧力上昇が十分であれば遮断可能な開極距
離L2 となる開極位置をX2 としている。また、開極終
期に得られる遮断可能な最小の圧力上昇値をΔP1bとし
ている。ガス遮断器に使用されていることから明らかな
ように、パッファ形消弧室の遮断性能は優秀であるた
め、2000A〜3000Aの電磁誘導電流の消弧は、
比較的容易であり、この図9に示すように、低い圧力上
昇値(ΔP1a ,ΔP1b)で消弧できる。その反面、高
い過渡回復電圧が印加されるため、開極距離を十分大き
く取らないと、遮断は成功しない。また、図9におい
て、開極初期の遮断可能な最小の圧力上昇値ΔP1aが得
られた時の開極距離L1 は遮断するためには十分な大き
さではなく、開極距離L2 になって初めて遮断可能にな
る。したがって、この場合、開極開始位置X0 から遮断
可能な開極距離L2 となる開極位置X2 までの時間が、
遮断可能最短アーク時間Tamin となり、開極開始位置
X0 から開極終期に遮断可能な最小の圧力上昇値ΔP1b
が得られるまでの時間が、遮断可能最長アーク時間Ta
max となる。そして、遮断可能な開極距離L2 となる開
極位置X2 から、開極終期に遮断可能な最小の圧力上昇
値ΔP1bが得られるまでの時間が、遮断可能アーク時間
幅Tw となる。この遮断可能アーク時間幅Tw は、一般
的に、遮断電流の半波の時間以上であれば十分である。
地開閉器(HSES)における、開極動作時のストロー
ク(開極移動特性)とパッファシリンダ内の圧力上昇の
特性を示す。この図において、X0 は開極開始位置を示
しており、開極初期に遮断可能な最小の圧力上昇値ΔP
1aが得られる開極位置をX1 、その時の開極距離をL1
とし、また、圧力上昇が十分であれば遮断可能な開極距
離L2 となる開極位置をX2 としている。また、開極終
期に得られる遮断可能な最小の圧力上昇値をΔP1bとし
ている。ガス遮断器に使用されていることから明らかな
ように、パッファ形消弧室の遮断性能は優秀であるた
め、2000A〜3000Aの電磁誘導電流の消弧は、
比較的容易であり、この図9に示すように、低い圧力上
昇値(ΔP1a ,ΔP1b)で消弧できる。その反面、高
い過渡回復電圧が印加されるため、開極距離を十分大き
く取らないと、遮断は成功しない。また、図9におい
て、開極初期の遮断可能な最小の圧力上昇値ΔP1aが得
られた時の開極距離L1 は遮断するためには十分な大き
さではなく、開極距離L2 になって初めて遮断可能にな
る。したがって、この場合、開極開始位置X0 から遮断
可能な開極距離L2 となる開極位置X2 までの時間が、
遮断可能最短アーク時間Tamin となり、開極開始位置
X0 から開極終期に遮断可能な最小の圧力上昇値ΔP1b
が得られるまでの時間が、遮断可能最長アーク時間Ta
max となる。そして、遮断可能な開極距離L2 となる開
極位置X2 から、開極終期に遮断可能な最小の圧力上昇
値ΔP1bが得られるまでの時間が、遮断可能アーク時間
幅Tw となる。この遮断可能アーク時間幅Tw は、一般
的に、遮断電流の半波の時間以上であれば十分である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図5に示し
た通り、送電線2は上相、中相、下相を有しており、各
相には所定の負荷電流が流れているが、このような送電
線2の中相において地絡事故が発生し、図6に示すよう
な動作シーケンスで再閉路動作を実施するものと仮定す
ると、送電線2の各相に流れる電流は、図10の電流変
化図に示すようになる。すなわち、図10に示すよう
に、送電線2の中相においては、地絡事故発生時T
01と、遮断器(GCB)の開極開始時T02との間だけ事
故電流が流れている。ところが、送電線2の中相は、他
の健全相である上相および下相や併架された他の回線か
ら静電電磁誘導を受ける。そのため、遮断器が開極した
状態では、送電線2の中相のアークホーンには誘導電流
に起因する逆フラッシオーバーが依然として生じている
ため、この逆フラッシオーバーの消弧のために、高速再
閉路接地開閉器(HSES)を投入する(投入時
T03)。すると、高速再閉路接地開閉器には、図10に
示すように、その投入時T03以降、最初は直流成分の含
まれた地絡事故電流と電磁誘導電流とが重畳され電流零
点よりも変移した電流が流れ、その後地絡事故電流が接
地されるにつれて電磁誘導電流成分が多くなり、電流零
点を通る交流電流が流れることになる。したがって、高
速再閉路接地開閉器(HSES)によってこのような誘
導電流を遮断する場合には、電流零点になるタイミング
を捕らえて開極動作を行うことにより、電流を比較的容
易に遮断することができる。
た通り、送電線2は上相、中相、下相を有しており、各
相には所定の負荷電流が流れているが、このような送電
線2の中相において地絡事故が発生し、図6に示すよう
な動作シーケンスで再閉路動作を実施するものと仮定す
ると、送電線2の各相に流れる電流は、図10の電流変
化図に示すようになる。すなわち、図10に示すよう
に、送電線2の中相においては、地絡事故発生時T
01と、遮断器(GCB)の開極開始時T02との間だけ事
故電流が流れている。ところが、送電線2の中相は、他
の健全相である上相および下相や併架された他の回線か
ら静電電磁誘導を受ける。そのため、遮断器が開極した
状態では、送電線2の中相のアークホーンには誘導電流
に起因する逆フラッシオーバーが依然として生じている
ため、この逆フラッシオーバーの消弧のために、高速再
閉路接地開閉器(HSES)を投入する(投入時
T03)。すると、高速再閉路接地開閉器には、図10に
示すように、その投入時T03以降、最初は直流成分の含
まれた地絡事故電流と電磁誘導電流とが重畳され電流零
点よりも変移した電流が流れ、その後地絡事故電流が接
地されるにつれて電磁誘導電流成分が多くなり、電流零
点を通る交流電流が流れることになる。したがって、高
速再閉路接地開閉器(HSES)によってこのような誘
導電流を遮断する場合には、電流零点になるタイミング
を捕らえて開極動作を行うことにより、電流を比較的容
易に遮断することができる。
【0012】しかしながら、このように送電線の中相に
て地絡事故が発生した後、中相以外の2相のうちの1相
(この例では上相)あるいは併架された他の回線の1相
で、時刻T04において地絡事故(後追い故障)が発生
し、この後追い故障事故のタイミングが、中相の高速再
閉路接地開閉器(HSES)の開極タイミングと重なる
とともに、後追い故障事故電流に直流電流成分が多い場
合には、中相の送電線には、上相の事故電流による電磁
誘導で生じた直流電流成分の多い誘導電流が流れ、図1
0のA部分に示すように、中相の高速再閉路接地開閉器
(HSES)には、数サイクルの間、電流零点を形成し
ない零ミス電流が流れることになる。この零ミス電流を
遮断することは、通常の交流電流の零点遮断に比較する
と格段に困難である。この場合、電流が再び零点を形成
した時に、遮断可能な最小の圧力上昇値を確保できれ
ば、零点を形成した時点で電流を遮断することが可能と
なる。しかしながら、前述した通り、従来の高速再閉路
接地開閉器(HSES)によって得られる遮断可能アー
ク時間幅Tw (図9)は、電流が再び零点を形成するま
での時間幅よりも短いため、電流遮断を行うことは結局
困難である。
て地絡事故が発生した後、中相以外の2相のうちの1相
(この例では上相)あるいは併架された他の回線の1相
で、時刻T04において地絡事故(後追い故障)が発生
し、この後追い故障事故のタイミングが、中相の高速再
閉路接地開閉器(HSES)の開極タイミングと重なる
とともに、後追い故障事故電流に直流電流成分が多い場
合には、中相の送電線には、上相の事故電流による電磁
誘導で生じた直流電流成分の多い誘導電流が流れ、図1
0のA部分に示すように、中相の高速再閉路接地開閉器
(HSES)には、数サイクルの間、電流零点を形成し
ない零ミス電流が流れることになる。この零ミス電流を
遮断することは、通常の交流電流の零点遮断に比較する
と格段に困難である。この場合、電流が再び零点を形成
した時に、遮断可能な最小の圧力上昇値を確保できれ
ば、零点を形成した時点で電流を遮断することが可能と
なる。しかしながら、前述した通り、従来の高速再閉路
接地開閉器(HSES)によって得られる遮断可能アー
ク時間幅Tw (図9)は、電流が再び零点を形成するま
での時間幅よりも短いため、電流遮断を行うことは結局
困難である。
【0013】本発明は以上のような従来技術の有する問
題点を解消するために提案されたものであり、その目的
は、数サイクルの間電流零点を形成しない誘導電流を遮
断可能な高速再閉路接地開閉器を提供することである。
題点を解消するために提案されたものであり、その目的
は、数サイクルの間電流零点を形成しない誘導電流を遮
断可能な高速再閉路接地開閉器を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の高速再閉路接地
開閉器は、遮断器を結ぶ高電圧送電線の各相に設置さ
れ、前記送電線に設けられた碍子連のアークホーンの逆
フラッシオーバーによる1線地絡事故時に、前記送電線
の両端にある遮断器を開極することにより切り離された
送電線を高速で閉極接地し、前記碍子連に持続している
他相または他回線からの電磁誘導電流アークを消弧し、
その後開極動作を行うことにより、前記遮断器の再閉極
による再送電を可能とするパッファ形消弧室およびその
操作装置を備えた高速再閉路接地開閉器である。そし
て、前記パッファ形消弧室の操作装置に、開極動作の速
度を制御する制御手段を設け、この制御手段を、開極時
に前記電磁誘導電流を遮断可能な圧力上昇値が得られる
第1の開極位置近傍から一時的に開極動作を減速し、開
極終期の第2の開極位置から開極動作を加速するように
設定したことを特徴としている。この場合、開極動作の
速度を制御する制御手段としては、例えば、開極動作の
速度を減速する緩衝装置を使用して、減速時に緩衝装置
を動作させ、加速時に緩衝装置の動作を解除するように
設定することなどが可能である。また、開極終期の第2
の開極位置としては、具体的には、零ミス電流が発生し
た場合における零ミス電流の終了点に対応する開極位置
近傍に設定することが可能である。
開閉器は、遮断器を結ぶ高電圧送電線の各相に設置さ
れ、前記送電線に設けられた碍子連のアークホーンの逆
フラッシオーバーによる1線地絡事故時に、前記送電線
の両端にある遮断器を開極することにより切り離された
送電線を高速で閉極接地し、前記碍子連に持続している
他相または他回線からの電磁誘導電流アークを消弧し、
その後開極動作を行うことにより、前記遮断器の再閉極
による再送電を可能とするパッファ形消弧室およびその
操作装置を備えた高速再閉路接地開閉器である。そし
て、前記パッファ形消弧室の操作装置に、開極動作の速
度を制御する制御手段を設け、この制御手段を、開極時
に前記電磁誘導電流を遮断可能な圧力上昇値が得られる
第1の開極位置近傍から一時的に開極動作を減速し、開
極終期の第2の開極位置から開極動作を加速するように
設定したことを特徴としている。この場合、開極動作の
速度を制御する制御手段としては、例えば、開極動作の
速度を減速する緩衝装置を使用して、減速時に緩衝装置
を動作させ、加速時に緩衝装置の動作を解除するように
設定することなどが可能である。また、開極終期の第2
の開極位置としては、具体的には、零ミス電流が発生し
た場合における零ミス電流の終了点に対応する開極位置
近傍に設定することが可能である。
【0015】
【作用】以上のように構成された本発明の作用は次の通
りである。すなわち、パッファ形消弧室の開極時には、
制御手段によって、電磁誘導電流を遮断可能な圧力上昇
値が得られる第1の開極位置近傍から開極速度を減速す
ることにより、開極動作途中の圧力上昇値が緩やかな傾
きで低下し、その結果、開極終了までの時間を長くする
ことができるため、遮断可能アーク時間幅を長くするこ
とができる。また、この場合、零ミス電流時の圧力上昇
値は遮断可能な最小の圧力上昇値に近い値になる。そし
て、開極終期の第2の開極位置付近から開極動作を加速
することにより、再び電流が零点を形成した時点で遮断
可能な十分な圧力上昇値を得ることができる。
りである。すなわち、パッファ形消弧室の開極時には、
制御手段によって、電磁誘導電流を遮断可能な圧力上昇
値が得られる第1の開極位置近傍から開極速度を減速す
ることにより、開極動作途中の圧力上昇値が緩やかな傾
きで低下し、その結果、開極終了までの時間を長くする
ことができるため、遮断可能アーク時間幅を長くするこ
とができる。また、この場合、零ミス電流時の圧力上昇
値は遮断可能な最小の圧力上昇値に近い値になる。そし
て、開極終期の第2の開極位置付近から開極動作を加速
することにより、再び電流が零点を形成した時点で遮断
可能な十分な圧力上昇値を得ることができる。
【0016】したがって、送電線の1相で地絡事故が発
生して、遮断器が開極し、続いて、逆フラッシオーバー
の消弧のために高速再閉路接地開閉器(HSES)を投
入した後に、隣接する他相あるいは併架された他の回線
で、地絡事故相の高速再閉路接地開閉器(HSES)の
開極タイミングと重なる後追い故障事故が発生し、この
後追い故障事故電流に直流電流成分が多く含まれ、地絡
事故相の高速再閉路接地開閉器(HSES)に、数サイ
クルの間電流零点を形成しない零ミス電流が流れた場合
でも、零ミス電流が流れている間は圧力上昇値は低く抑
えられ、電流が再び零点を形成した時点で遮断可能な十
分な圧力上昇値が得られるため、電流零点で電流遮断を
行うことができる。また、以上のように、開極動作途中
において、圧力上昇値を低く抑えることができるため、
パッファ形消弧室を構成するパッファシリンダの容積を
小さくすることができ、その結果、高速再閉路接地開閉
器全体を小型化できるという利点もある。
生して、遮断器が開極し、続いて、逆フラッシオーバー
の消弧のために高速再閉路接地開閉器(HSES)を投
入した後に、隣接する他相あるいは併架された他の回線
で、地絡事故相の高速再閉路接地開閉器(HSES)の
開極タイミングと重なる後追い故障事故が発生し、この
後追い故障事故電流に直流電流成分が多く含まれ、地絡
事故相の高速再閉路接地開閉器(HSES)に、数サイ
クルの間電流零点を形成しない零ミス電流が流れた場合
でも、零ミス電流が流れている間は圧力上昇値は低く抑
えられ、電流が再び零点を形成した時点で遮断可能な十
分な圧力上昇値が得られるため、電流零点で電流遮断を
行うことができる。また、以上のように、開極動作途中
において、圧力上昇値を低く抑えることができるため、
パッファ形消弧室を構成するパッファシリンダの容積を
小さくすることができ、その結果、高速再閉路接地開閉
器全体を小型化できるという利点もある。
【0017】
【実施例】以下には、本発明による高速再閉路接地開閉
器(HSES)の一実施例について、図1乃至図4を参
照して説明する。
器(HSES)の一実施例について、図1乃至図4を参
照して説明する。
【0018】本発明による一実施例は、基本的に、図1
および図2に示すような構成を有しており、この構成
は、従来技術の説明として前述した通りである。すなわ
ち、図1に示すように、接地容器6内には、パッファ形
消弧室7や、導体8などが収納されている。そして、パ
ッファ形消弧室7の可動部は、操作装置9によって開閉
駆動されるようになっており、パッファ形消弧室7の可
動部と操作装置9との間には、操作装置9の動作ストロ
ークを変換して必要な開極長さを得るためのリンク部1
0が設けられている。また、導体8は、その両端部に
て、絶縁スペーサ11a,11bを介して接地容器6に
対して支持され、電気的に絶縁されている。さらに、パ
ッファ形消弧室7の可動部の近傍には、接地容器6を貫
通する形で接地端子部12が設けられ、パッファ形消弧
室7の可動部に電気的に接続されており、接地開閉器の
閉極時には、このパッファ形消弧室7を介して導体8が
接地端子部12に接続されるようになっている。
および図2に示すような構成を有しており、この構成
は、従来技術の説明として前述した通りである。すなわ
ち、図1に示すように、接地容器6内には、パッファ形
消弧室7や、導体8などが収納されている。そして、パ
ッファ形消弧室7の可動部は、操作装置9によって開閉
駆動されるようになっており、パッファ形消弧室7の可
動部と操作装置9との間には、操作装置9の動作ストロ
ークを変換して必要な開極長さを得るためのリンク部1
0が設けられている。また、導体8は、その両端部に
て、絶縁スペーサ11a,11bを介して接地容器6に
対して支持され、電気的に絶縁されている。さらに、パ
ッファ形消弧室7の可動部の近傍には、接地容器6を貫
通する形で接地端子部12が設けられ、パッファ形消弧
室7の可動部に電気的に接続されており、接地開閉器の
閉極時には、このパッファ形消弧室7を介して導体8が
接地端子部12に接続されるようになっている。
【0019】そしてまた、パッファ形消弧室の詳細な構
造についても、前述した通りである。すなわち、図2に
示すように、Aは固定接触子部であり、固定接触子1
3、シールド14aによって構成されている。また、B
は可動接触子部であり、操作装置9に連結される筒状の
操作ロッド15にパッファシリンダ16が取り付けら
れ、このパッファシリンダ16上に可動接触子17およ
び絶縁ノズル18が取り付けられている。パッファシリ
ンダ16内には、パッファピストン19が挿入されてお
り、さらに、パッファシリンダ16の外周部には、固定
接触子部Aのシールド14aに対向するシールド14b
が設けられ、これらのパッファピストン19およびシー
ルド14bは、接地容器1に対して固定されている。そ
して、このように固定されたパッファピストン19およ
びシールド14bに対して、部材16〜18が一体に移
動するように構成されている。
造についても、前述した通りである。すなわち、図2に
示すように、Aは固定接触子部であり、固定接触子1
3、シールド14aによって構成されている。また、B
は可動接触子部であり、操作装置9に連結される筒状の
操作ロッド15にパッファシリンダ16が取り付けら
れ、このパッファシリンダ16上に可動接触子17およ
び絶縁ノズル18が取り付けられている。パッファシリ
ンダ16内には、パッファピストン19が挿入されてお
り、さらに、パッファシリンダ16の外周部には、固定
接触子部Aのシールド14aに対向するシールド14b
が設けられ、これらのパッファピストン19およびシー
ルド14bは、接地容器1に対して固定されている。そ
して、このように固定されたパッファピストン19およ
びシールド14bに対して、部材16〜18が一体に移
動するように構成されている。
【0020】以上のような基本的構成に加えて、本実施
例の操作装置9は、図3に示すように構成されている。
すなわち、操作装置9は、駆動源21と、この駆動源2
1の駆動力によりリンク部10を介してパッファ形消弧
室7の可動部Bを駆動する駆動ロッド22を備えるとと
もに、駆動源21と駆動ロッド22との間には、駆動ロ
ッド22の動作速度を減速することでパッファ形消弧室
7の可動部Bの速度を減速する緩衝装置(制御手段)2
3が設けられている。
例の操作装置9は、図3に示すように構成されている。
すなわち、操作装置9は、駆動源21と、この駆動源2
1の駆動力によりリンク部10を介してパッファ形消弧
室7の可動部Bを駆動する駆動ロッド22を備えるとと
もに、駆動源21と駆動ロッド22との間には、駆動ロ
ッド22の動作速度を減速することでパッファ形消弧室
7の可動部Bの速度を減速する緩衝装置(制御手段)2
3が設けられている。
【0021】この場合、緩衝装置23は、図4に示すよ
うに、従来例と同様に、開極開始位置をX0 、開極初期
に遮断可能な最小の圧力上昇値ΔP1aが得られる開極位
置をX1 、その時の開極距離をL1 とし、また、遮断可
能な開極距離L2 となる開極位置をX2 、開極終期に得
られる遮断可能な最小の圧力上昇値をΔP1bとした場合
に、開極位置(第1の開極位置)X1 の付近から動作
し、開極動作を減速するように設定されている。また、
この緩衝装置23は、零ミス電流の終了点に対応する開
極位置をX3 とした場合に、この開極位置X3 の付近の
第2の開極位置からその動作を解除して開極動作を加速
するように設定されている。なお、図4中においては、
比較のために、従来例における開極特性(ストローク)
を点線で示している。
うに、従来例と同様に、開極開始位置をX0 、開極初期
に遮断可能な最小の圧力上昇値ΔP1aが得られる開極位
置をX1 、その時の開極距離をL1 とし、また、遮断可
能な開極距離L2 となる開極位置をX2 、開極終期に得
られる遮断可能な最小の圧力上昇値をΔP1bとした場合
に、開極位置(第1の開極位置)X1 の付近から動作
し、開極動作を減速するように設定されている。また、
この緩衝装置23は、零ミス電流の終了点に対応する開
極位置をX3 とした場合に、この開極位置X3 の付近の
第2の開極位置からその動作を解除して開極動作を加速
するように設定されている。なお、図4中においては、
比較のために、従来例における開極特性(ストローク)
を点線で示している。
【0022】次に、本実施例の作用について説明する。
すなわち、本実施例においては、緩衝装置23を動作さ
せることにより、開極動作途中の開極速度が減速するた
め、図4に示すように、圧力上昇値は緩やかな傾きで低
下するが、その結果、開極終了までの時間を従来よりも
大幅に長くすることができるため、遮断可能アーク時間
幅を長くすることができる。また、この場合、零ミス電
流時の圧力上昇値は、遮断可能な最小の圧力上昇値に近
い値になる。そして、開極終期に再び電流が零点を形成
する時には、緩衝装置23の動作を解除することによ
り、開極動作が加速するため、圧力上昇値が再び上昇
し、遮断可能な十分な圧力上昇値が得られる。図4で
は、開極開始位置X0 から遮断可能な開極距離L2 とな
る開極位置X2までの時間が、遮断可能最短アーク時間
Tamin となり、開極開始位置X0 から開極終期に遮断
可能な最小の圧力上昇値ΔP1bが得られるまでの時間
が、遮断可能最長アーク時間Tamax となる。そして、
遮断可能な開極距離L2 となる開極位置X2 から、開極
終期に遮断可能な最小の圧力上昇値ΔP1bが得られるま
での時間が、遮断可能アーク時間幅Tw となる。この場
合、本実施例の遮断可能アーク時間幅Tw は、前述した
従来例の遮断可能アーク時間幅に比べて、3〜4倍程度
に長くできる。
すなわち、本実施例においては、緩衝装置23を動作さ
せることにより、開極動作途中の開極速度が減速するた
め、図4に示すように、圧力上昇値は緩やかな傾きで低
下するが、その結果、開極終了までの時間を従来よりも
大幅に長くすることができるため、遮断可能アーク時間
幅を長くすることができる。また、この場合、零ミス電
流時の圧力上昇値は、遮断可能な最小の圧力上昇値に近
い値になる。そして、開極終期に再び電流が零点を形成
する時には、緩衝装置23の動作を解除することによ
り、開極動作が加速するため、圧力上昇値が再び上昇
し、遮断可能な十分な圧力上昇値が得られる。図4で
は、開極開始位置X0 から遮断可能な開極距離L2 とな
る開極位置X2までの時間が、遮断可能最短アーク時間
Tamin となり、開極開始位置X0 から開極終期に遮断
可能な最小の圧力上昇値ΔP1bが得られるまでの時間
が、遮断可能最長アーク時間Tamax となる。そして、
遮断可能な開極距離L2 となる開極位置X2 から、開極
終期に遮断可能な最小の圧力上昇値ΔP1bが得られるま
での時間が、遮断可能アーク時間幅Tw となる。この場
合、本実施例の遮断可能アーク時間幅Tw は、前述した
従来例の遮断可能アーク時間幅に比べて、3〜4倍程度
に長くできる。
【0023】以上のように、本実施例においては、遮断
可能アーク時間幅を従来に比べて大幅に引き延ばすこと
ができるため、前述のように電流零点が数サイクル形成
されない場合、すなわち、送電線の1相で地絡事故が発
生して、遮断器が開極し、続いて、逆フラッシオーバー
の消弧のために高速再閉路接地開閉器(HSES)を投
入した後に、隣接する他相あるいは併架された他の回線
で、地絡事故相の高速再閉路接地開閉器(HSES)の
開極タイミングと重なる後追い故障事故が発生し、この
後追い故障事故電流に直流電流成分が多く含まれ、地絡
事故相の高速再閉路接地開閉器(HSES)に、数サイ
クルの間電流零点を形成しない零ミス電流が流れた場合
においても、電流零点が再び形成された時点では、遮断
可能な十分な圧力上昇値が得られ、電流零点で電流遮断
を行うことができる。また、以上のように、開極動作途
中において、圧力上昇値を低く抑えることができるた
め、パッファ形消弧室を構成するパッファシリンダの容
積を小さくすることができ、その結果、高速再閉路接地
開閉器全体を小型化できるという利点もある。したがっ
て、本実施例によれば、遮断範囲の大きさのいかなる誘
導電流でも遮断可能な、優れた高電圧送電線用の高速再
閉路接地開閉器を容易に実現できる。
可能アーク時間幅を従来に比べて大幅に引き延ばすこと
ができるため、前述のように電流零点が数サイクル形成
されない場合、すなわち、送電線の1相で地絡事故が発
生して、遮断器が開極し、続いて、逆フラッシオーバー
の消弧のために高速再閉路接地開閉器(HSES)を投
入した後に、隣接する他相あるいは併架された他の回線
で、地絡事故相の高速再閉路接地開閉器(HSES)の
開極タイミングと重なる後追い故障事故が発生し、この
後追い故障事故電流に直流電流成分が多く含まれ、地絡
事故相の高速再閉路接地開閉器(HSES)に、数サイ
クルの間電流零点を形成しない零ミス電流が流れた場合
においても、電流零点が再び形成された時点では、遮断
可能な十分な圧力上昇値が得られ、電流零点で電流遮断
を行うことができる。また、以上のように、開極動作途
中において、圧力上昇値を低く抑えることができるた
め、パッファ形消弧室を構成するパッファシリンダの容
積を小さくすることができ、その結果、高速再閉路接地
開閉器全体を小型化できるという利点もある。したがっ
て、本実施例によれば、遮断範囲の大きさのいかなる誘
導電流でも遮断可能な、優れた高電圧送電線用の高速再
閉路接地開閉器を容易に実現できる。
【0024】なお、本発明は、前記実施例に限定される
ものではなく、パッファ形消弧室およびその操作装置の
具体的な構成の細部は適宜選択可能である。すなわち、
制御手段などの具体的構成は、適宜選択可能である。例
えば、制御手段として、緩衝装置に加えて開極位置検出
装置および零ミス電流検出装置を使用し、これらの検出
装置から緩衝装置に指令を送ることによって緩衝装置の
動作を開始するように構成することなどが可能である。
ものではなく、パッファ形消弧室およびその操作装置の
具体的な構成の細部は適宜選択可能である。すなわち、
制御手段などの具体的構成は、適宜選択可能である。例
えば、制御手段として、緩衝装置に加えて開極位置検出
装置および零ミス電流検出装置を使用し、これらの検出
装置から緩衝装置に指令を送ることによって緩衝装置の
動作を開始するように構成することなどが可能である。
【0025】
【発明の効果】以上述べたように、本発明においては、
パッファ形消弧室の操作装置に、開極動作の速度を制御
する制御手段を設けることにより、数サイクルの間電流
零点を形成しない誘導電流を遮断可能な高速再閉路接地
開閉器を提供することができる。
パッファ形消弧室の操作装置に、開極動作の速度を制御
する制御手段を設けることにより、数サイクルの間電流
零点を形成しない誘導電流を遮断可能な高速再閉路接地
開閉器を提供することができる。
【図1】本発明による高速再閉路接地開閉器(HSE
S)の一実施例および従来例を示す構成図。
S)の一実施例および従来例を示す構成図。
【図2】図1のパッファ形消弧室の詳細な構造を示す図
であり、開極終了時の状態を示す構成図。
であり、開極終了時の状態を示す構成図。
【図3】図1の操作装置の構成を示すブロック図。
【図4】図1の高速再閉路接地開閉器(HSES)にお
ける、開極動作時のストローク(開極移動特性)とパッ
ファシリンダ内の圧力上昇の特性を示す特性図。
ける、開極動作時のストローク(開極移動特性)とパッ
ファシリンダ内の圧力上昇の特性を示す特性図。
【図5】高速再閉路接地開閉器を使用した保護システム
の構成を示す説明図。
の構成を示す説明図。
【図6】逆フラッシオーバにより1線地絡事故が起きた
場合の遮断器(GCB)および高速再閉路接地開閉器
(HSES)の動作順序を示す動作シーケンス図。
場合の遮断器(GCB)および高速再閉路接地開閉器
(HSES)の動作順序を示す動作シーケンス図。
【図7】高速再閉路接地開閉器(HSES)の動作相へ
の他相からの静電誘導電流および電磁誘導電流の特性を
示す波形図。
の他相からの静電誘導電流および電磁誘導電流の特性を
示す波形図。
【図8】高速再閉路接地開閉器(HSES)の開極時の
過渡回復電圧波形図。
過渡回復電圧波形図。
【図9】従来の高速再閉路接地開閉器(HSES)にお
ける、開極動作時のストローク(開極移動特性)とパッ
ファシリンダ内の圧力上昇の特性を示す特性図。
ける、開極動作時のストローク(開極移動特性)とパッ
ファシリンダ内の圧力上昇の特性を示す特性図。
【図10】送電線の1相で地絡事故が発生し、他相で後
追い故障事故が発生した際における、高速再閉路接地開
閉器(HSES)と送電線の各相に流れる電流の変化を
示す電流波形図。
追い故障事故が発生した際における、高速再閉路接地開
閉器(HSES)と送電線の各相に流れる電流の変化を
示す電流波形図。
GCB…遮断器 HSES…高速再閉路接地開閉器 A…固定接触子部 B…可動接触子部 1…ブッシング 2…送電線 3…鉄塔 6…接地容器 7…パッファ形消弧室 8…導体 9…操作装置 10…リンク部 11a,11b…絶縁スペーサ 12…接地端子部 13…固定接触子 14a,14b…シールド 15…操作ロッド 16…パッファシリンダ 17…可動接触子 18…絶縁ノズル 19…パッファピストン 21…駆動源 22…駆動ロッド 23…緩衝装置(制御手段)
Claims (1)
- 【請求項1】 遮断器を結ぶ高電圧送電線の各相に設置
され、前記送電線に設けられた碍子連のアークホーンの
逆フラッシオーバーによる1線地絡事故時に、前記送電
線の両端にある遮断器を開極することにより切り離され
た送電線を高速で閉極接地し、前記碍子連に持続してい
る他相または他回線からの電磁誘導電流アークを消弧
し、その後開極動作を行うことにより、前記遮断器の再
閉極による再送電を可能とするパッファ形消弧室および
その操作装置を備えた高速再閉路接地開閉器において、 前記パッファ形消弧室の操作装置に、開極動作の速度を
制御する制御手段を設け、この制御手段を、開極時に前
記電磁誘導電流を遮断可能な圧力上昇値が得られる第1
の開極位置近傍から一時的に開極動作を減速し、開極終
期の第2の開極位置から開極動作を加速するように設定
したことを特徴とする高速再閉路接地開閉器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4271798A JPH06124627A (ja) | 1992-10-09 | 1992-10-09 | 高速再閉路接地開閉器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4271798A JPH06124627A (ja) | 1992-10-09 | 1992-10-09 | 高速再閉路接地開閉器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06124627A true JPH06124627A (ja) | 1994-05-06 |
Family
ID=17505006
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4271798A Pending JPH06124627A (ja) | 1992-10-09 | 1992-10-09 | 高速再閉路接地開閉器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06124627A (ja) |
-
1992
- 1992-10-09 JP JP4271798A patent/JPH06124627A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A521 | Written amendment |
Effective date: 20041210 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041210 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090407 |