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JPH0611716B2 - 経皮吸収促進剤 - Google Patents

経皮吸収促進剤

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Publication number
JPH0611716B2
JPH0611716B2 JP5244987A JP5244987A JPH0611716B2 JP H0611716 B2 JPH0611716 B2 JP H0611716B2 JP 5244987 A JP5244987 A JP 5244987A JP 5244987 A JP5244987 A JP 5244987A JP H0611716 B2 JPH0611716 B2 JP H0611716B2
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JP
Japan
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drug
absorption enhancer
absorption
agents
skin
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JP5244987A
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JPS63218630A (ja
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昌三 村西
文男 神山
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP5244987A priority Critical patent/JPH0611716B2/ja
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Publication of JPH0611716B2 publication Critical patent/JPH0611716B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は経皮投与形製剤に含有される薬物の吸収性を向
上させる経皮吸収促進剤に関する。
(従来の技術) 全身もしくは局部での薬効を得るために,経皮投与形製
剤を用い,薬物(生理活性物質)を皮膚を介して吸収さ
せることが行われている。この経皮投与法は,従来の経
皮投与法に比べて利点が多い。例えば,薬物を経皮投与
すると,腸で吸収された薬物は肝臓へ循環して代謝を受
けるため,その薬効を発揮する前にかなりの量が分解さ
れてしまう。これに対して,経皮投与法では,吸収され
た薬物は体内の初回循環時に肝臓を通過しない。そのた
め,肝臓での代謝により薬効が大幅に減じるということ
がない。非ステロイド系抗炎症剤を経皮投与すると胃腸
障害を生じやすいが,経皮投与ではこのような胃腸障害
が生じにくい。薬物の吸収性をコントロールすれば,薬
物が短時間に大量に吸収されるために起こる副作用を軽
減することが可能となる。長時間にわたり一定の血中濃
度を維持できれば薬物の投与回数を減らすこともでき
る。
しかし,経皮吸収製剤を用いて薬物を投与しても,該薬
物が皮膚を透過しにくく生体利用率(バイオアベイラビ
リティ)が低い場合が多い。これに対して,経皮吸収製
剤の剤形の改良,薬物を含有する基剤の改良,経皮吸収
促進剤の添加などの研究が行われている。これらのう
ち,剤形の改良および基剤の改良という手段により,含
有される薬物の種類によってはある程度の効果が得られ
るが画期的な吸収作用の向上は期待できない。そのた
め,もっぱら薬物の経皮吸収性を高める経皮吸収促進剤
の研究が進められている。
薬物の経皮吸収にあたっては,皮膚表面に存在する角質
層が体内へ異物が侵入するのを防ぐバリアー機能を有す
るため,該薬物が皮膚を通して吸収されないのがその主
な原因と考えられる。そのため,角質層のバリアー機能
を弱めて充分な量の薬物を吸収させるための吸収促進剤
が使用されている。経皮吸収促進剤として知られている
化合物のうち,例えば,サリチル酸,尿素,ジメチルス
ルホキシドは角質を溶解することが知られているが,こ
れらを添加しても薬物の経皮吸収性は必ずしも良好では
ない。プロピレングリコール,グリセリン,ピロリドン
カルボン酸ソーダなどは角質層に水分を保持させ得る
が,薬物吸収促進効果がほとんど認められない。上記化
合物の他,ミリスチン酸イソプロピル,アジピン酸イソ
プロピルなどの有機酸エステル類;ラウリル硫酸ナトリ
ウム,ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノラウレ
ートなどの界面活性剤;チオグリセロール,尿素誘導体
またはピロリドン型化合物とハロゲン化炭化水素などと
の混合物(特開昭60-13720号公報);チオグリコール酸
カルシウム(特開昭60-11431号公報);1−置換アザシ
クロアルカン−2−オン(特公昭60-37092号公報)など
も知られている。しかしこれらの吸収促進剤を用いても
皮膚を通しての薬物の吸収量は必ずしも充分であるとは
いえず,そのため実用的な薬理効果が得られない場合が
多い。上記促進剤のうちには,悪臭の原因となったり化
合物自体が皮膚を刺激し紅斑やかぶれの原因となること
もある。さらに液体の吸収促進剤のうち強力な溶剤とし
ての作用を有するものは,合成樹脂を溶解させる場合も
ある。そのため接触する製剤容器,衣類,装身具などか
ら刺激物質を溶出し,これが皮膚かぶれの原因となるこ
ともある。このように,経皮吸収製剤の薬物を効果的に
吸収させて充分な薬理効果を与え,かつ皮膚に対して安
全性の高い経皮吸収促進剤はいまだ得られていないのが
現状である。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記従来の欠点を解決するものであり,その目
的とするところは,経皮吸収製剤に含有される薬物を効
果的に皮膚に通じて吸収させて充分な薬理効果を与え,
かつ皮膚に対する刺激性がなく生体に対して安全な経皮
吸収促進剤を提供することにある。本発明の他の目的
は,基剤や薬物を変成させることのない経皮吸収促進剤
を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 発明者らは,従来,経皮吸収促進剤として用いられてき
た界面活性剤の作用に注目し,その副作用を低減させる
ことを目的に,生化学の分野で用いられる各種ノニオン
系界面活性剤,特に膜蛋白質溶解剤のスクリーニングを
行った。その結果,特定のタイプのグルコース誘導体が
経皮吸収促進剤として有用であることを見出した。本発
明の経皮吸収促進剤は,次式(I)で示されるn−オクチ
ル−β−D−(チオ)−グルコピラノシドでなり,その
ことにより上記目的が達成される: ここで,Xは0またはS;Rはn−オクチル基を示す。
本発明において,例えば「経皮吸収促進剤」は「経粘膜
吸収促進剤」をも包含していう。このように,「経皮」
とは,「皮膚を介する」ことのみならず「粘膜(口腔粘
膜,眼粘膜,鼻腔粘膜など)を介する」ことをも包含す
る。
本発明の経皮吸収促進剤は,上記式で示され,Xが0の
化合物は,n−オクチル−β−D−グルコピラノシド
(OG)であり,XがSの化合物は,n−オクチル−β−
D−チオグルコピラノシド(OTG)である。
上記吸収促進剤を用いた経皮吸収促進剤中に,該促進剤
は0.1〜30重量%の割合で含有される。この割合は,軟
膏剤,クリーム製剤,液剤などでは製剤全体に対する含
有量を示し,テープ製剤やパップ剤などの貼付剤では,
薬物含有層に対する含有量を示す。後述の薬物含有量に
ついても同様である。吸収促進剤の量が過少であると薬
物の吸収促進効果が得られない。過剰であっても薬物の
吸収性はそれ以上向上しないばかりか,基剤との相溶性
が悪化する場合もある。
使用される薬物(生理活性物質)は経皮投与により生体
膜を透過しうるものであればよく,特に限定されない。
例えば,消炎鎮痛剤,ホルモン剤,消毒殺菌剤,抗ヒス
タミン剤,抗真菌剤,ビタミン剤,吸歛剤,紫外線吸収
剤,金属イオン封鎖剤,催眠,鎮静剤,向精神・抗てん
かん剤,抗パーキンソン病剤,強心剤,抗不整脈剤,抗
狭心症剤,抗高血圧剤,鎮痒剤,引赤発泡剤,皮膚軟化
剤,発汗防止・防臭剤,頭髪用剤がある。
上記薬物のうち消炎鎮痛剤としては,アミノ安息香酸エ
チル,塩酸ジブカイン,塩酸テトラカイン,塩酸プロカ
イン,リドカイン,サリチル酸メチル,グアイアズレ
ン,グアイアズレンスルホン酸ナトリウム,アルミニウ
ムクロロヒドロキシアラントイネート,ベンダザック,
インドメサシン,グリチルレチン酸,グリチルリチン
酸,ブフェキサマック,デキストラン,硫酸ナトリウ
ム,クロタミトン,フルフェナム酸ブチル,アラントイ
ン,アロエ末,イクタモール,グリチルリチン酸ジカリ
ウム,グリチルリチン酸モノアンモニウム,β−グリチ
ルレチン酸,ステアリン酸グリチルレチニル,グリチル
レチン酸ステアリル,ヒノキチオールなどがある。
ホルモン剤とてしては,ヒドロコルチゾン,酢酸ヒドロ
コルチゾン,酪酸ヒドロコルチゾン,フルオシノロンア
セトニド,ピバル酸フルメタゾン,フルオシノニド,フ
ルオロメソロン,プロピオン酸ベクロメタゾン,デキサ
メタゾン,デキサメタゾンリン酸ナトリウム,酢酸デキ
サメタゾン,フルドロキシコルチド,吉草酸ベタメタゾ
ン,ジプロピオン酸ベタメタゾン,トリアムシノロンア
セトニド,プレドニゾロン,メチルプレドニゾロン,酢
酸メチルプレドニゾロン,吉草酸ジフルコルトロン,プ
ロピオン酸クロベタゾール,アムシノニド,ハルシノニ
ド,吉草酸酢酸プレドニゾロン,酪酸プロピオン酸ヒド
ロコルチゾンなどの副腎皮質ホルモン;インシュリン,
エストラジオール,エストロン,エチニルエストラジオ
ール,ジエチルスチルベストール,ヘキセストロール,
プロスタグランジン類などのその他のホルモン剤があ
る。
消毒殺菌剤としては,フェノール,レゾルシン,サリチ
ル酸,ヘキサクロロフェン,マーキュロクローム,チメ
ロサール,アクリノール,ヨウ素,塩化ベンザルコニウ
ム,塩化ベンゼトニウム,ペニシリンV,ベンザペニシ
リンG,ストレプトマイシン,クロラムフェニコール,
テトラサイクリン,塩酸テトラサイクリン,エリスロマ
イシン,フラジオマイシン,硫酸フラジオマイシン,バ
シトラシン,塩酸オキシテトラサイクリン,硫酸カナマ
イシン,カナマイシン,クロロマイセチン,ポリミキシ
ンB,ニトロフラゾン,過マンガン酸カリウム,ホウ
酸,ホウ砂,安息香酸,安息香酸ナトリウム,サリチル
酸ナトリウム,ソルビン酸,ソルビン酸カリウム,デヒ
ドロ酢酸,デヒドロ酢酸ナトリウム,パラオキシ安息香
酸エチル,パラオキシ安息香酸ブチル,パラオキシ安息
香酸プロピル,パラオキシ安息香酸メチル,イソプロピ
ルメチルフェノール,クレゾール,クロルキシレノー
ル,チモール,パラクロルフェノール,感光素101号,
感光素201号,クロラミンT,チアントール,塩化リゾ
チーム,塩酸クロルヘキシジン,グルコン酸クロルヘキ
シジン,トリクロロカルバニリド,3−トリフルオルメ
チル−4,4′−ジクロロカルバニリド,ヘキサクロロ
フェンなどがある。
抗ヒスタミン剤としては,塩酸イソチペンジル,ジフェ
ニルイミダゾール,硫酸クレミゾール,ジフェンヒドラ
ミン,ラウリル硫酸ジフェンヒドラミン,マレイン酸ク
ロルフェニラミンなどが;抗真菌剤としては,クリサロ
ピン,ウンデシレン酸,ウンデシレン酸亜鉛,ペンタク
ロルフェノール,酢酸フェニル水銀,チメロサール,ト
リコマイシン,トルナフテート,フェニルヨードウンデ
シノエート,クロトリマゾール,ハロプロジン,バリオ
チン,ピロールニトリン,シッカニン,ナイスタチン,
エキサラミド,シクロピロクス・オラミン,硝酸ミコナ
ゾール,硝酸エコナゾール,硝酸イソコナゾールなどが
ある。
ビタミン剤としては,レチノール,酢酸レチノール,パ
ルミチン酸レチノール,デヒドロレチノール,エルゴカ
ルシフェロール,d1−α−トコフェロール酢酸dl−α−
トコフェロール,コハク酸dl−α−トコフェロールカル
シウム,ユビキノン,フィトナジオン,メナキノン,メ
ナジオン,チアミン塩酸塩,チアミン硝酸塩,チアミン
リン塩酸,リボフラビン,フラビンモノヌクレオチド,
リボフラビン酪酸エステル,塩酸ピリドキシン,5′−
リン酸ピリドキサール,ジカプリル酸ピリドキシン,ジ
パルミチン酸ピリドキシン,トリパルミチン酸ピリドキ
シン,シアノコバラミン,ヒドロキシコバラミン,デオ
キシアデノシルコバラミン,メチルコバラミン,ニコチ
ン酸,ニコチン酸アミド,ニコチン酸ベンジル,パント
テン酸カルシウム,パントテン酸ナトリウム,パントテ
ニルアルコール,ジカルボエトキシパントテン酸エチル
エステル・プロピレングリコール液,アセチルオパント
テニルエチルエーテル,パントテニルエチルエーテル,
ビオチン,葉酸,コリン,イノシトール,アスコルビン
酸,アスコルビン酸ナトリウム,ステアリン酸アスコル
ビン,パルミチン酸アスコルビル,ジパルミチン酸アス
コルビルなどがある。
吸歛剤としては,酸化亜鉛,カラミン,硫酸アルミニウ
ム,酢酸鉛,次硝酸ビスマス,次没食子酸ビスマス,タ
ンニン酸,塩化酸化ジルコニウム,アラントインクロル
ヒドロキシアルミニウム,アラントインジヒドロキシア
ルミニウム,アルミニウムヒドロキシクロライド,塩化
亜鉛,塩化アルミニウム,塩化第二鉄,カラミン,塩化
性臭化アルミニウム,アルミニウムフェノルスルホン
酸,アルミニウムナフタリンスルホン酸,硫酸アルミニ
ウムカリウム,パラフェノールスルホン酸亜鉛などがあ
る。
紫外線吸収剤としては,ウロカニン酸,4−メトキシケ
イ皮酸−2−エトキシエチル,パラアミノ安息香酸エチ
ル,2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノンなどが;金属イオン封鎖剤としては,エデト酸
二ナトリウム,クエン酸ナトリウム,ポリリン酸ナトリ
ウム,メタリン酸ナトリウム,グルコン酸などがある。
催眠・鎮静剤としては,バルビタール,チオペンター
ル,抱水クロラール,臭化カリウムなどが;向精神・抗
てんかん剤としては,クロルプロマジン,レセルピン,
クロルジアゼポキシドなどが;抗パーキンソン病剤とし
ては,クロルゾキサゾン,レボドパなどが;強心剤とし
ては,ジギトキシン,ジゴキシンなどが;抗不整脈剤と
しては,塩酸プロカインアミド,塩酸プロプラノール,
塩酸リドカイン,塩酸インデノロールなどが;抗狭心剤
としては,ジピリダモール,亜硝酸アミル,ニトログリ
セリン,硝酸イソソルビドなどが;抗高血圧剤として
は,レセルピン,硫酸グアネチジンなどが;鎮痒剤とし
ては,イクタモール,モクタール,カンフル,チモー
ル,ジフェンヒドラミン,クロルフェニラミン,塩酸プ
ロメタジン,N−エチル−o−クロトノトルイジンなど
が;引赤発泡剤としては,カンタリス,トウガラシチン
キ,イクタモール,テレピン油,次没食子酸ビスマスな
どが;皮膚軟化剤としては,精製硫黄,沈降硫黄,サリ
チル酸,尿素などが;発汗防止・防臭剤としては,塩化
アルミニウム,硫酸アルミニウム,酢酸アルミニウム,
フェノールスルホン酸アルミニウム,過ホウ酸ナトリウ
ムなどが;頭髪用剤としては,二硫化セレン,臭化アル
キルイソキノリニウム,ジンクピリチオン,ビフェナミ
ン,チアントール,カンタリスチンキ,ジョウキョウチ
ンキ,トウガラシチンキ,臭素酸カリウム,臭素酸ナト
リウム,塩化カルプロニウム,塩化アセチルコリン,塩
化ピロカルピン,ビタミンA油などがある。これら薬物
の配合量は,薬物の種類,製剤の使用目的などにより異
なるが,通常,薬物は製剤中に0.01〜30重量%の割合で
含有される。
本発明の経皮吸収促進剤を利用して種々の経皮吸収製剤
が調製される。例えば,支持体表面に粘着性を有する薬
物含有層が形成されたテープ製剤やパッチ剤,支持体表
面に比較的粘着性に乏しい薬物含有層が形成されたパッ
プ剤などの貼付剤;軟膏剤やクリーム製剤;液剤(懸濁
液剤を含む)などがある。上記製剤のうちテープ製剤や
パッチ剤の薬物含有層に用いられる基剤としては,アク
リル酸エステルを(共)重合成分とする(共)重合体,
天然ゴム,合成イソプレンゴム,スチレン−ブタジエン
ゴム,ポリイソブチレン,スチレン−イソプレン共重合
体,ポリビニルエーテル,シリコンゴムなどが用いられ
る。粘着性を付与するため必要に応じて粘着付与樹脂が
利用される。それには,ロジン,ロジン誘導体,ポリテ
ルペン樹脂,クマロン−インデン樹脂,石油系樹脂,テ
ルペンフェノール樹脂などがある。さらに必要に応じて
薬物含有層中には液状ポリブテン,鉱油,ラノリン,液
状ポリイソプレン,液状ポリアクリレートなどの可塑
剤;充填剤;老化防止剤などが含有される。
パップ剤の薬物含有層を形成する基剤としては,アルギ
ン酸ナトリウム,ゼラチン,コーンスターチ,トラガン
トガムなどの天然ポリマー;セルロース誘導体(例えば
メチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,カル
ボキシメチルセルロース),デンプン誘導体(デンプン
分解物を含む;例えば,デキストリン,カルボキシメチ
ルデンプン)などの天然ポリマーから誘導されるポリマ
ー;ポリビニルアルコール,ポリアクリル酸ナトリウ
ム,メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体,ポリ
ビニルエーテル,ポリビニルピロリドンなどの合成ポリ
マーがある。薬物含有層には上記基剤以外に保湿剤とし
てグリセリン,プロピレングリコールなどの多価アルコ
ールや精製水が含有される。その他,必要に応じて無機
充填剤(カオリン,ベントナイト,亜鉛華,二酸化チタ
ンなど);粘度調整剤;架橋剤;老化防止剤などが含有
される。
貼付剤(テープ製剤,パップ剤,パッチ剤など)の支持
体としては,貼付剤に通常利用される支持体が用いられ
る。このような支持体の素材としては,酢酸セルロー
ス,エチルセルロース,ポリエチレンテレフタレート,
酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体,ナイロン,エチレン
−酢酸ビニル共重合体,可塑化ポリ塩化ビニル,ポリウ
レタン,ポリエチレン,ポリ塩化ビニリデン,アルミニ
ウムなどがある。これらは,例えば,単層のシート(フ
ィルム)や二枚以上の積層(ラミネート)体として用い
られる。アルミニウム以外の素材は織布や不織布として
利用してもよい。
貼付剤を得るには,例えば,上記基剤に薬物および吸収
促進剤,さらに必要に応じて粘着付与剤,可塑剤,保湿
剤,充填剤などを加えて混合し,離型紙上に塗布して薬
物含有層を形成し,これを支持体表面へ積層・密着させ
る。離型紙は貼付剤の使用時に剥離される。上記薬物と
吸収促進剤とを含有する混合液を直接支持体表面に塗布
してもよい。
得られた貼付剤のうち基剤用ポリマーとして非水溶性ポ
リマー,例えばアクリル系ポリマーを用いたものは,通
常,薬物含有層自体が粘着性を有する。これに対して,
水溶性ポリマーを用いた場合は,通常,薬物含有層には
粘着性がなく,パップ剤の形態の貼付剤となる。
軟膏剤,クリーム製剤の基剤の主成分はミツロウ,油
脂,ラノリン,白色ワセリン,パラフィン,プラスチベ
ース,ゼレン50W(商品名),高級脂肪酸,高級アルコ
ール,マクロゴール,カルボキシビニルポリマーなどで
ある。この他,必要に応じて脂溶性溶解剤,精製水,水
溶性溶解剤,安定化剤,pH調整剤などが用いられる。上
記脂溶性溶解剤としては,流動パラフィン,ミリスチン
酸イソプロピル,セバシン酸ジエチルなどが,水溶性溶
解剤としては,アルコール(例えばエタノール),多価
アルコール(例えばグリセリン)などが用いられる。軟
膏剤やクリーム製剤を得るには,例えば上記基剤,薬
物,経皮吸収促進剤,さらに必要に応じて精製水,水溶
性溶解剤,pH調整剤などを加えて均一に混合する。
液剤の場合には,精製水,エタノール,グリコール類,
トラガント,アラビアゴム,アルギン酸ナトリウム,ゼ
ラチン,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロー
ス等の混合溶液が用いられる。これら混合溶液に薬物,
経皮吸収促進剤,および必要に応じて安定剤などを加え
て液剤(懸濁剤を含む)が調製される。
(作用) 本発明の経皮吸収促進剤を含む製剤を皮膚表面に密着さ
せると,含有される薬物が容易に皮膚を通して吸収され
る。その詳細な機構は不明であるが,その一因として,
吸収促進剤が皮膚の細胞の細胞膜に作用してそのバリヤ
ー性を下げるためと考えられる。そのため,通常,薬物
を透過しにくい皮膚表面の角質層をも透過するので含有
される薬物が容易に皮膚を通して吸収されると考えられ
る。従来の経皮吸収促進剤を含む製剤を用いた場合に
は,皮膚の状態の個体差により含有される薬物の吸収性
に大きなバラツキがあったが,本発明の経皮吸収促進剤
を使用することによりこのような個体差も小さくなる。
本発明の経皮吸収促進剤を含む製剤を用いると必要な薬
効を得るのに充分な量の薬物が容易に吸収されるため,
従来のように大量の薬物を製剤中に含有させる必要がな
い。つまり,薬物のバイオアベイラビリティが高い。こ
のような吸収促進効果は従来の吸収促進剤を用いたとき
よりもはるかに高い。さらに,本発明に用いる吸収促進
剤は皮膚に対する刺激性がなく人体への安全性が高い。
含有される薬物を変性させることもない。特に,本発明
の吸収促進剤は,従来,膜蛋白質の溶解剤として用いら
れていることからも理解されるように,蛋白質を失活さ
せることがほとんどない。そのため,例えば蛋白質やポ
リペプチドでなる薬物を含む製剤に好適に用いられる。
(実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。
実施例1 難吸収性薬物のモデルとして6−カルボキシフルオレセ
イン(CF)を用い,この化合物の皮膚透過性および吸収性
に対する本発明の経皮吸収促進剤の影響を調べた。経皮
吸収促進剤としては,n−オクチル−β−D−グルコピ
ラノシド(OG)を用いた。まず,CF(イーストマンコダッ
ク社製)をリン酸緩衝液(pH7.4)に0.02w/v%となるよう
に溶解させた。これにOG(和光純薬社製)を所定の濃度
となるように溶解させ被検溶液とした。この被検溶液を
用い,下記方法によりin vitro薬物透過性試験およびin
vivo(ラット)薬物吸収試験を行った。OG濃度を0w/v
%(コントロール)0.3w/v%および1.5w/v%とし,各試
験項目により適当なOG濃度の被検溶液を選択した。それ
ぞれの試験結果を第1図(a)および(b)に示す。
in vitro薬物透過性試験法:開口径が25mmのフランツ形
拡散セルを準備する。フランツ形拡散セルのレセプター
部の外壁部には37℃の温水を循環させてレセプター部の
温度を一定に保つ。Wistar系雄性ラット(体重180〜200
g)の脱毛処理した腹部の表皮を摘出し,これをセルに
装着する。皮膚とレセプター液面との間に気泡が入らな
いように注意してレセプター部にレセプター液(pH7.2の
生理食塩水)を満たす。装置のドナー側に被検溶液0.3m
1を滴下し,レセプター相のCF濃度を経時的に螢光光度
法により測定する。
in vivo(ラット)薬物吸収性試験:Wistar系ラット
(体重200〜250g)の腹部を試験開始24時間前に除毛し
ておく。被検溶液10m1を,J.Pharm.Dyn.,648〜655(19
84)に記載のガラスチャンバー(i.d.3cm)に入れ,このチ
ャンバーを上記ラットの除毛皮膚に装着し,チャンバー
中の被検溶液をラットの皮膚に接触させる。経時的に採
血し,血中のCF濃度および蛋白質濃度を測定する。
第1図から,in vitro薬物透過性試験(第1図(a))で
は,OG濃度が0.3w/v%以上の場合に(CFの吸収性に顕著
な効果が認められることがわかる。in vivo(ラット)
薬物吸収性試験においては,OG濃度が1.5w/v%の場合の
血中CF濃度は,後述の比較例1に示される公知の吸収促
進剤(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(Azo
ne)およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体(HCO-
60))を併用(それぞれ2.0w/v%および3.0w/v%)した
ときとほぼ同等の効果が得られた。このように,公知の
経皮吸収促進剤よりも少量で効果が得られる。さらに,
ガラスチャンバー中の被験溶液に溶出する蛋白質の量は
後述の比較例1とほぼ同等(15μg以下)であることか
ら皮膚に対する安全性も確認される。
実施例2 OGの代わりにn−オクチル−β−D−チオグルコピラノ
シド(OTG)を用いたこと以外は実施例1に準じて試験を
行った。その結果を第2図(a)および(b)に示す。in viv
o(ラット)薬物吸収性試験においては,OTG濃度が1.5w
/v%の場合の血中CF濃度は,後述の比較例1に示される
公知の吸収促進剤 (AzoneおよびHCO-60)を併用(それ
ぞれ2.0w/v%および3.0w/v%)したときとほぼ同等の効
果が得られた。このように,公知の経皮吸収促進剤より
も少量で効果が得られる。
比較例1 OGの代わりに1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オ
ン(Azone ;Azと略)およびポリオキシエチレン硬化ヒマ
シ油誘導体(HCO-60)(いずれも界面活性剤の一種)を用
いたこと以外は実施例1に準じて試験を行った。その結
果を第3図(a)および(b)に示す。
実施例3 (A)テープ製剤の調製:アクリル酸2エチルヘキシル40
モル%,アクリル酸ブチル50モル%およびビニルプロリ
ドン10モル%からなる共重合体を25重量%の割合で含有
する酢酸エチル溶液を調製した。この溶液に共重合体
(固形分)100重量部に対して,薬物としてインドメタ
シン8重量部,経皮吸収促進剤としてOG3重量部を添加
して充分に混合した。これを片面がシリコーン処理され
たポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(剥
離紙)上に乾燥後の厚さが60μmとなるように塗布し,
70℃のギアオーブンで20分間乾燥した。得られた粘着層
表面に支持体としてポリエチレンフィルムをラミネート
したテープ製剤を得た。上記剥離紙は使用時に剥離除去
される。
(B)テープ製剤の性能評価:(A)項で得られたテープ製剤
20mmをヌードマウスの表皮に貼付し,実施例1に準じ
て,in vitro薬物透過性試験を行なった。24時間後にレ
セプター液をサンプリングし,逆相系カラムを用いた高
速液体クロマトグラフィにより薬物濃度を測定し,薬物
透過率を算出した。薬物透過率は25%であった。
次に,(A)項で得られたテープ製剤を用い,in vivoで家
兎による薬物吸収性の評価を行った。その結果を表1に
示す。試験法は次のとおりである。
in vivo(家兎)薬物吸収性評価:貼付剤を60cm2の大き
さに裁断し,これを日本白色家兎(雄)の脱毛した背部
の皮膚表面に貼付した。経時的に家兎の耳介静脈から採
血し,遠心分離を行って血漿を得る。これを逆相系カラ
ムを用いた高速液体クロマトグラフィーにかけ薬物濃度
を測定する。
比較例2 経皮吸収促進剤(OG)を添加しないこと以外は実施例3と
同様にテープ製剤の調製を行った。これを用いて実施例
3と同様の方法で評価を行った。24時間後の薬物透過率
は2.8%であった。in vivo(家兎)薬物吸収性試験の結
果を表1に示す。
実施例4 (A)軟膏の調製:マクロゴール4000 60重量部およびマク
ロゴール1500 40重量部の混合物にニフェジピン(薬
物)10重量部,OTG6重量部を添加し,80℃にて充分に
混合して軟膏を得た。
(B)軟膏の性能評価:本実施例(A)項で得られた軟膏40mg
をポリエチレンフィルム(20mm)に均一に塗布した。
この軟膏塗布フィルムをヌードマウスの表皮に貼付し,
実施例3(B)項に準じてin vitro薬物透過性試験を行っ
た。24時間後の薬物透過率は5.4%であった。
次に,本実施例(A)項で得られた軟膏500mgを家兎(雄)
の脱毛した背部の皮膚表面(40cm2)に塗布し,経時的に
採血して血液中の薬物濃度をガスクロマトグラフィー(E
CD)により測定した。このようなin vivo(家兎)薬物吸
収性試験の結果を表2に示す。上記各試験においてはニ
フェジピンの分解を阻止するため,その操作を遮光下で
行った。
比較例3 経皮吸収促進剤(OTG)を添加しないこと以外は実施例4
と同様に軟膏の調製を行った。これを用いて実施例4と
同様の方法で評価を行った。24時間後の薬物透過率は0.
15%であった。in vivo(家兎)薬物吸収性試験の結果
を表2に示す。
実施例5 (A)液剤の調製:インシュリンを20U/mlの割合で,そし
てOGを0.5w/v%の割合で0.01Mリン酸緩衝液に溶解させ
て液剤を調製した。
(B)液剤の性能評価:本実施例(A)項で得られた液剤0.2m
lをHIRAIらの方法(International Journal of Pharmace
utics,(1981)317〜325)に従って,ラット(体重250
g;試験前に20時間絶食させる)の鼻粘膜に投与した。
ラット血中のグルコースの濃度の変化(液剤投与時のグ
リコース濃度を100%とする)を表3に示す。
比較例4 OGを含有しないこと以外は実施例5と同様の液剤を調製
し,その性能評価を同様の方法で行った。その結果を表
3に示す。
表3から,実施例5においては,血糖値の低下が認めら
れ,これはインシュリンが効果的に経粘膜吸収される結
果であると考えられる。
(発明の効果) このように,n−オクチル−β−D−(チオ)グリコピ
ラノシドが経皮吸収促進剤として有用であることが見い
出された。このような吸収促進剤を含有する経皮吸収製
剤は,薬物の経皮吸収性に極めて優れる。そのため,必
要な薬理効果を得るために従来のように大量の薬物を製
剤中に含有させる必要がない。用いられる吸収促進剤は
皮膚や粘膜に対する刺激性がないため,長時間貼付して
もかぶれが生じない。薬物を変質させることもない。さ
らに,吸収促進剤が原因となって薬物が析出したり,テ
ープ製剤の粘着物性が低下することもない。このような
製剤では,種々の薬物を経皮吸収させることができる。
そのため,含有される薬物の種類により各種の医療用に
利用されうる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は,本発明の経皮吸収促進剤を用い
たときのin vitro薬物透過性試験およびin vivo薬物吸
収性試験の結果を示すグラフ,そして第3図は従来の経
皮吸収促進剤を用いたときのin vitro薬物透過性試験お
よびin vivo薬物吸収性試験の結果を示すグラフであ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式(I)で示されるn−オクチル−β−D
    −(チオ)−グルコピラノシドでなる経皮吸収促進剤: ここで,Xは0またはS;Rはn−オクチル基を示す。
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