JPH06113868A - シュードモナス属細菌によるシクロプロパン脂肪酸の製造方法 - Google Patents
シュードモナス属細菌によるシクロプロパン脂肪酸の製造方法Info
- Publication number
- JPH06113868A JPH06113868A JP28551892A JP28551892A JPH06113868A JP H06113868 A JPH06113868 A JP H06113868A JP 28551892 A JP28551892 A JP 28551892A JP 28551892 A JP28551892 A JP 28551892A JP H06113868 A JPH06113868 A JP H06113868A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 シュードモナス属細菌を用いて特定のシクロ
プロパン脂肪酸を効率よく製造する方法を提供する。 【構成】 シュードモナス属細菌をプロパノール及び/
又はプロピオン酸もしくはその塩を含む培地において培
養し2−ペンチル−1−シクロプロパン−1−デカン酸
又は2−ヘプチル−1−シクロプロパン−1−オクタン
酸を得るシクロプロパン脂肪酸の製造方法。
プロパン脂肪酸を効率よく製造する方法を提供する。 【構成】 シュードモナス属細菌をプロパノール及び/
又はプロピオン酸もしくはその塩を含む培地において培
養し2−ペンチル−1−シクロプロパン−1−デカン酸
又は2−ヘプチル−1−シクロプロパン−1−オクタン
酸を得るシクロプロパン脂肪酸の製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシュードモナス属細菌を
用いて、プロピオン酸等を添加した培地において培養を
行い自然界に極めて稀なシクロプロパン脂肪酸を製造す
る方法に関するものである。
用いて、プロピオン酸等を添加した培地において培養を
行い自然界に極めて稀なシクロプロパン脂肪酸を製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シクロプロパン環を持つ脂肪酸が乳酸菌
の1種(Lactobacillus arabinosus)に見いだされ(Hofma
nnとLucas, J. Am. Chem. Soc., 72巻、4328頁〜
4329頁、1950年)、乳酸菌よりラクトバシル酸
と名付けられた。これは下記の化合物(1)として示さ
れる。その後それが炭素数19、シクロプロパン環の位
置が(n−7)(メチル基炭素から数えて7つめの炭
素)である2−ヘキシル−1−シクロプロパン−1−デ
カン酸(ここでは19:0cp(n−7)と表わす。)
であることが確かめられた。さらにこの脂肪酸は乳酸菌
以外にも大腸菌等いくつかの細菌に含まれており、ラク
トバシル酸以外に、下記の化合物(2)、2−ヘキシル
−1−シクロプロパン−1−オクタン酸(17:0cp
(n−7))を含むものも見いだされた。
の1種(Lactobacillus arabinosus)に見いだされ(Hofma
nnとLucas, J. Am. Chem. Soc., 72巻、4328頁〜
4329頁、1950年)、乳酸菌よりラクトバシル酸
と名付けられた。これは下記の化合物(1)として示さ
れる。その後それが炭素数19、シクロプロパン環の位
置が(n−7)(メチル基炭素から数えて7つめの炭
素)である2−ヘキシル−1−シクロプロパン−1−デ
カン酸(ここでは19:0cp(n−7)と表わす。)
であることが確かめられた。さらにこの脂肪酸は乳酸菌
以外にも大腸菌等いくつかの細菌に含まれており、ラク
トバシル酸以外に、下記の化合物(2)、2−ヘキシル
−1−シクロプロパン−1−オクタン酸(17:0cp
(n−7))を含むものも見いだされた。
【0003】
【化1】
【0004】そしてこれら2つのシクロプロパン酸はそ
れぞれバクセン酸(18:1(n−7))及びパルミト
レイン酸(16:1(n−7))を前駆体として生成さ
れることも明らかにされた(Law, Acc. chem. Rec.,4
巻、199頁〜203頁、1971年)。すなわちこれ
らのモノエン酸とS−アデノシルメチオニンとの反応に
より、それぞれ炭素数の1つ多いシクロプロパン酸が生
合成される。特徴的なことは、この反応が(n−7)の
炭素に特異的であることである。酵母等の真核微生物及
び藍藻にはシクロプロパン酸は見いだされていないが、
ある種の鞭毛虫類に炭素数19のシクロプロパン脂肪酸
が見いだされた報告がある(MeyerとHolz,J.Biol. Che
m.,241巻、5000頁〜5007頁、1966
年)。一方、2重結合を1つ含むシクロプロペン環を持
つ脂肪酸が、アオギリ科植物(Sterculia faetide) の種
子油に見いだされ(Nunn, J. Chem. Soc., 313頁〜3
18頁、1950年)、その名にちなみステルクリン酸
(2−オクチル−1−シクロプロペン−1−オクタン
酸)(ここでは19:1cp(n−9)で表わす)(下
記の化合物(3))と名付けられた。またアオイ科植物
(Malva sylvestris)から、炭素数18のシクロプロペン
脂肪酸であるマルバリン酸(2−オクチル−1−シクロ
プロペン−1−ヘプタン酸)(18:1cp(n−
8))(下記の化合物(4))も見いだされた。シクロ
プロパン脂肪酸は上記の植物種子油に含まれるシクロプ
ロペン脂肪酸を還元したジヒドロステルクリン酸等に相
当する。大腸菌、ビブリオ、サルモネラ、シュードモナ
ス等各種の細菌培養により、シクロプロパン脂肪酸の生
産を実施することができるが、生成される酸は全て前記
の化合物(1)と(2)のみである。
れぞれバクセン酸(18:1(n−7))及びパルミト
レイン酸(16:1(n−7))を前駆体として生成さ
れることも明らかにされた(Law, Acc. chem. Rec.,4
巻、199頁〜203頁、1971年)。すなわちこれ
らのモノエン酸とS−アデノシルメチオニンとの反応に
より、それぞれ炭素数の1つ多いシクロプロパン酸が生
合成される。特徴的なことは、この反応が(n−7)の
炭素に特異的であることである。酵母等の真核微生物及
び藍藻にはシクロプロパン酸は見いだされていないが、
ある種の鞭毛虫類に炭素数19のシクロプロパン脂肪酸
が見いだされた報告がある(MeyerとHolz,J.Biol. Che
m.,241巻、5000頁〜5007頁、1966
年)。一方、2重結合を1つ含むシクロプロペン環を持
つ脂肪酸が、アオギリ科植物(Sterculia faetide) の種
子油に見いだされ(Nunn, J. Chem. Soc., 313頁〜3
18頁、1950年)、その名にちなみステルクリン酸
(2−オクチル−1−シクロプロペン−1−オクタン
酸)(ここでは19:1cp(n−9)で表わす)(下
記の化合物(3))と名付けられた。またアオイ科植物
(Malva sylvestris)から、炭素数18のシクロプロペン
脂肪酸であるマルバリン酸(2−オクチル−1−シクロ
プロペン−1−ヘプタン酸)(18:1cp(n−
8))(下記の化合物(4))も見いだされた。シクロ
プロパン脂肪酸は上記の植物種子油に含まれるシクロプ
ロペン脂肪酸を還元したジヒドロステルクリン酸等に相
当する。大腸菌、ビブリオ、サルモネラ、シュードモナ
ス等各種の細菌培養により、シクロプロパン脂肪酸の生
産を実施することができるが、生成される酸は全て前記
の化合物(1)と(2)のみである。
【0005】
【化2】
【0006】これらの脂肪酸の生理活性については、こ
れらを含む油脂を摂取すると不飽和化酵素が阻害され、
ステアリン酸が増加し、オレイン酸が減少することが報
告されている(Reiser とRaju, Biochem. Biophys. Res.
Commun 17巻、8頁〜、1964年)。またラクトバ
シル酸を培地に加えると、乳酸菌は炭素数18の不飽和
酸を作らないことも報告された(Hofmannら、J. Biol. C
hem., 213巻、349頁〜355頁、1957年)。
シクロプロパン脂肪酸は乳酸菌等の培養においてビオチ
ン類似の増殖促進作用が認められている(HofmannとPano
s, J. Biol. Chem.,210巻、687頁〜693頁、1
954年)。各種細菌の培養において、培養後期すなわ
ち対数増殖期後期より、前駆体のモノエン酸の減少とシ
クロプロパン酸の増加がみられ、後者は前者より細胞膜
の流動性を減少させることがわかっている(Jarrel ら、
Biechemistry, 22巻、5611頁〜5619頁、19
83年)し、これは低温で培養するほど、又はモノエン
酸の減少とシクロプロパン酸の増加が認められることと
符合する。大腸菌やシュードモナス属細菌における、温
度以外の培養条件のシクロプロパン脂肪酸(前記化合物
(1)と(2))組成への影響も明らかにされており、
溶存酸素の減少、pHの減少及び塩分濃度の増加が、こ
れらシクロプロパン脂肪酸組成の増加に寄与することが
報告されてきた。
れらを含む油脂を摂取すると不飽和化酵素が阻害され、
ステアリン酸が増加し、オレイン酸が減少することが報
告されている(Reiser とRaju, Biochem. Biophys. Res.
Commun 17巻、8頁〜、1964年)。またラクトバ
シル酸を培地に加えると、乳酸菌は炭素数18の不飽和
酸を作らないことも報告された(Hofmannら、J. Biol. C
hem., 213巻、349頁〜355頁、1957年)。
シクロプロパン脂肪酸は乳酸菌等の培養においてビオチ
ン類似の増殖促進作用が認められている(HofmannとPano
s, J. Biol. Chem.,210巻、687頁〜693頁、1
954年)。各種細菌の培養において、培養後期すなわ
ち対数増殖期後期より、前駆体のモノエン酸の減少とシ
クロプロパン酸の増加がみられ、後者は前者より細胞膜
の流動性を減少させることがわかっている(Jarrel ら、
Biechemistry, 22巻、5611頁〜5619頁、19
83年)し、これは低温で培養するほど、又はモノエン
酸の減少とシクロプロパン酸の増加が認められることと
符合する。大腸菌やシュードモナス属細菌における、温
度以外の培養条件のシクロプロパン脂肪酸(前記化合物
(1)と(2))組成への影響も明らかにされており、
溶存酸素の減少、pHの減少及び塩分濃度の増加が、こ
れらシクロプロパン脂肪酸組成の増加に寄与することが
報告されてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シュ
ードモナス属細菌を用いて特定のシクロプロパン脂肪酸
を効率よく製造する方法を提供することにある。
ードモナス属細菌を用いて特定のシクロプロパン脂肪酸
を効率よく製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため種々検討を重ねた結果、シクロプロパン脂
肪酸産生細菌の中で前記化合物(1)及び(2)以外の
シクロプロパン脂肪酸を生産する可能性のある細菌及び
培養条件の探索において、1種のシュードモナス属細菌
(Pseudomonas sp. ATCC 12085)がエタノール等の
アルコール類を資化することを見いだした。さらに細菌
細胞を超音波破砕し、粗抽出液を用いて各種アルコール
のアルコールデヒドロゲナーゼ活性を測定した結果、プ
ロパノールが最も大きい活性を示した。そこで本発明者
らは、このシュードモナス属細菌を用いて、化合物
(1)、(2)以外のシクロプロパン脂肪酸を生産すべ
く鋭意研究を重ねた結果、プロパノール及プロピオン酸
を培地に添加することにより自然界には稀なシクロプロ
パン脂肪酸を製造しうることを見いだし、本発明を完成
するに至った。
達成するため種々検討を重ねた結果、シクロプロパン脂
肪酸産生細菌の中で前記化合物(1)及び(2)以外の
シクロプロパン脂肪酸を生産する可能性のある細菌及び
培養条件の探索において、1種のシュードモナス属細菌
(Pseudomonas sp. ATCC 12085)がエタノール等の
アルコール類を資化することを見いだした。さらに細菌
細胞を超音波破砕し、粗抽出液を用いて各種アルコール
のアルコールデヒドロゲナーゼ活性を測定した結果、プ
ロパノールが最も大きい活性を示した。そこで本発明者
らは、このシュードモナス属細菌を用いて、化合物
(1)、(2)以外のシクロプロパン脂肪酸を生産すべ
く鋭意研究を重ねた結果、プロパノール及プロピオン酸
を培地に添加することにより自然界には稀なシクロプロ
パン脂肪酸を製造しうることを見いだし、本発明を完成
するに至った。
【0009】(1)すなわち本発明はシュードモナス属
細菌をプロパノール及び/又はプロピオン酸もしくはそ
の塩を含む培地において培養し2−ペンチル−1−シク
ロプロパン−1−デカン酸(18:0cp(n−6))
又は2−ヘプチル−1−シクロプロパン−1−オクタン
酸(18:0cp(n−8))を得ることを特徴とする
シクロプロパン脂肪酸の製造方法、(2)培地がプロピ
オン酸の塩を含むことを特徴とする(1)項記載のシク
ロプロパン脂肪酸の製造方法及び(3)プロピオン酸の
塩がプロピオン酸ナトリウムである(2)項記載のシク
ロプロパン脂肪酸の製造方法、を提供するものである。
本発明において培地の組成はプロパノール又はプロピオ
ン酸を含むこと以外は特に制限はないが、通常の海洋性
細菌用培地(ペプトン及び酵母エキス)のものを用いる
ことができる。pHは通常5〜9、好ましくは6〜8と
する。培地中のプロパノール又はプロピオン酸の濃度は
0.5〜1.0%とするのが好ましい。接種するシュー
ドモナス属細菌の量は特に制限はないが、通常培養液の
1%容量である。培養温度は22〜28℃が好ましい。
本発明方法により得られた脂肪酸の分離は以下のように
できる。すなわち増殖終了後の培養液から遠心沈降法に
より集菌し、クロロホルム−メタノール(1:2)溶液
により脂質抽出を行う。抽出された脂質を加水分解し、
沸点を下げるためにメチルエステルとする。得られたメ
チルエステル混合物を減圧蒸留にかけることにより目的
化合物が精製される。減圧蒸留にかける前に低温結晶法
あるいは尿素付加法などの操作により不飽和酸と飽和酸
とを分別しておくとさらに効果的に精製される。得られ
た脂肪酸のメチルエステルは加水分解後酸性にすること
により目的の脂肪酸とすることができる。
細菌をプロパノール及び/又はプロピオン酸もしくはそ
の塩を含む培地において培養し2−ペンチル−1−シク
ロプロパン−1−デカン酸(18:0cp(n−6))
又は2−ヘプチル−1−シクロプロパン−1−オクタン
酸(18:0cp(n−8))を得ることを特徴とする
シクロプロパン脂肪酸の製造方法、(2)培地がプロピ
オン酸の塩を含むことを特徴とする(1)項記載のシク
ロプロパン脂肪酸の製造方法及び(3)プロピオン酸の
塩がプロピオン酸ナトリウムである(2)項記載のシク
ロプロパン脂肪酸の製造方法、を提供するものである。
本発明において培地の組成はプロパノール又はプロピオ
ン酸を含むこと以外は特に制限はないが、通常の海洋性
細菌用培地(ペプトン及び酵母エキス)のものを用いる
ことができる。pHは通常5〜9、好ましくは6〜8と
する。培地中のプロパノール又はプロピオン酸の濃度は
0.5〜1.0%とするのが好ましい。接種するシュー
ドモナス属細菌の量は特に制限はないが、通常培養液の
1%容量である。培養温度は22〜28℃が好ましい。
本発明方法により得られた脂肪酸の分離は以下のように
できる。すなわち増殖終了後の培養液から遠心沈降法に
より集菌し、クロロホルム−メタノール(1:2)溶液
により脂質抽出を行う。抽出された脂質を加水分解し、
沸点を下げるためにメチルエステルとする。得られたメ
チルエステル混合物を減圧蒸留にかけることにより目的
化合物が精製される。減圧蒸留にかける前に低温結晶法
あるいは尿素付加法などの操作により不飽和酸と飽和酸
とを分別しておくとさらに効果的に精製される。得られ
た脂肪酸のメチルエステルは加水分解後酸性にすること
により目的の脂肪酸とすることができる。
【0010】次に本発明の好ましい実施態様を説明す
る。上記シュードモナス属細菌を、基本培地(1リット
ルの人工海水中にペプトン3g、酵母エキス1g、HE
PES 200mM pH7.5)及びエタノール添加
培地(基本培地にエタノール10gを加えたもの)で培
養すると最終菌体濃度は後者は前者の5倍を示した。そ
こで本菌のアルコールデヒドロゲナーゼ活性を測定し
た。培養菌体を超音波により破砕し、遠心分離により細
胞破砕物を取り除いた上清より一定濃度の蛋白質溶液に
調製したものを試料とした。反応液としてこのタンパク
質溶液とNAD+ の溶液とし、アルコールを加えること
により反応を開始させ、生成するNADHを比色法によ
り測定した。その結果、最大の活性はプロパノールで示
され、その値を100%とすればエタノールは88%、
ブタノールは57%、メタノールは0%であった。次に
基本培地にプロパノール10g/リットルを加えたもの
で本菌の培養を行った。その結果はプロパノールのデヒ
ドロゲナーゼ活性は高いものの、最終菌体濃度は基本培
地の2倍に留まり、エタノールのそれには及ばなかっ
た。一方菌体脂質中の脂肪酸組成を調べた結果、エタノ
ール添加培地及び基本培地においては、16:0、1
6:1(n−7)、17:0cp(n−7)、18:1
(n−7)、19:0cp(n−7)の5つの脂肪酸が
認められたのに対して、プロパノール添加培地において
は上記の酸以外にさらに15:0、17:0、17:1
(n−8)、18:0cp(n−8)、18:0cp
(n−6)の脂肪酸も認められた。このシュードモナス
属細菌の菌体脂質中の脂肪酸組成を示すガスクロマトグ
ラムを図1に示す。図1(a)は基本培地であり、図1
(b)は基本培地に0.5%プロパノールを加えたもの
である。これは次式によりプロパノールを出発物質とす
る脂肪酸合成により、炭素数15及び17の奇数鎖脂肪
酸が合成され、2つのモノエン酸(17:1(n−6)
(化合物(5))と17:1(n−8))(化合物
(6))よりそれぞれ2つの炭素数18のシクロプロパ
ン脂肪酸(18:6cp(n−6)(化合物(7))と
18:0cp(n−8))(化合物(8))が生成した
ことを示す。
る。上記シュードモナス属細菌を、基本培地(1リット
ルの人工海水中にペプトン3g、酵母エキス1g、HE
PES 200mM pH7.5)及びエタノール添加
培地(基本培地にエタノール10gを加えたもの)で培
養すると最終菌体濃度は後者は前者の5倍を示した。そ
こで本菌のアルコールデヒドロゲナーゼ活性を測定し
た。培養菌体を超音波により破砕し、遠心分離により細
胞破砕物を取り除いた上清より一定濃度の蛋白質溶液に
調製したものを試料とした。反応液としてこのタンパク
質溶液とNAD+ の溶液とし、アルコールを加えること
により反応を開始させ、生成するNADHを比色法によ
り測定した。その結果、最大の活性はプロパノールで示
され、その値を100%とすればエタノールは88%、
ブタノールは57%、メタノールは0%であった。次に
基本培地にプロパノール10g/リットルを加えたもの
で本菌の培養を行った。その結果はプロパノールのデヒ
ドロゲナーゼ活性は高いものの、最終菌体濃度は基本培
地の2倍に留まり、エタノールのそれには及ばなかっ
た。一方菌体脂質中の脂肪酸組成を調べた結果、エタノ
ール添加培地及び基本培地においては、16:0、1
6:1(n−7)、17:0cp(n−7)、18:1
(n−7)、19:0cp(n−7)の5つの脂肪酸が
認められたのに対して、プロパノール添加培地において
は上記の酸以外にさらに15:0、17:0、17:1
(n−8)、18:0cp(n−8)、18:0cp
(n−6)の脂肪酸も認められた。このシュードモナス
属細菌の菌体脂質中の脂肪酸組成を示すガスクロマトグ
ラムを図1に示す。図1(a)は基本培地であり、図1
(b)は基本培地に0.5%プロパノールを加えたもの
である。これは次式によりプロパノールを出発物質とす
る脂肪酸合成により、炭素数15及び17の奇数鎖脂肪
酸が合成され、2つのモノエン酸(17:1(n−6)
(化合物(5))と17:1(n−8))(化合物
(6))よりそれぞれ2つの炭素数18のシクロプロパ
ン脂肪酸(18:6cp(n−6)(化合物(7))と
18:0cp(n−8))(化合物(8))が生成した
ことを示す。
【0011】
【化3】
【0012】これらの脂肪酸は水素添加を受けないこと
及びそのピコリニルエステルのマススペクトル(図2及
び3)よりシクロプロパン脂肪酸と決定された。すなわ
ち図2及び3に示すように、分子量372及び275と
247の強いピークより(n−6)及び(n−8)のシ
クロプロパン酸であることが判る(Harvey, Biomed. Mas
s Spectrom.,11巻、187頁〜192頁、1984
年)。図2は脂肪酸18:0cp(n−6)、図3は脂
肪酸18:0cp(n−8)である。これらの内の1つ
(18:0cp(n−8)は植物に見られるマルバリン
酸の還元物(ジヒドロマルバリン酸)である。
及びそのピコリニルエステルのマススペクトル(図2及
び3)よりシクロプロパン脂肪酸と決定された。すなわ
ち図2及び3に示すように、分子量372及び275と
247の強いピークより(n−6)及び(n−8)のシ
クロプロパン酸であることが判る(Harvey, Biomed. Mas
s Spectrom.,11巻、187頁〜192頁、1984
年)。図2は脂肪酸18:0cp(n−6)、図3は脂
肪酸18:0cp(n−8)である。これらの内の1つ
(18:0cp(n−8)は植物に見られるマルバリン
酸の還元物(ジヒドロマルバリン酸)である。
【0013】さらにプロパノールの代わりにプロピオン
酸塩を用いても同じシクロプロパン脂肪酸を生ずること
が判った。以下の実施例に示すように、0.5%プロパ
ノールを添加した培地において、全脂肪酸に対して1
8.8%の18:0cp(n−8)と5.7%の18:
0cp(n−6)という最大値が得られる。すなわちこ
れ以上のプロパノールを基本培地に加えても所要培養時
間が増加するだけでなく目的物の組成も減少する。プロ
ピオン酸ナトリウムの場合、所要培養時間がプロパノー
ルよりも延長すると共に、500mMプロピオン酸ナト
リウム(約5%)を添加した培地において全脂肪酸に対
して14.5%の18:0cp(n−8)と6.7%の
18:0cp(n−6)という最大値を得た。すなわち
プロパノールの方がプロピオン酸ナトリウムより1/1
0という低い濃度で目的物を同様に生成するものの、一
方プロピオン酸ナトリウムを用いると18:0cp(n
−6)の生成比率がプロパノールよりも高い。本発明に
おいてプロピオン酸ナトリウムを用いる方が、2−ペン
チル−1−シクロプロパン−1−デカン酸の2−ヘブチ
ル−1−シクロプロパン−1−オクタン酸に対する生成
比率の上昇が見られる。
酸塩を用いても同じシクロプロパン脂肪酸を生ずること
が判った。以下の実施例に示すように、0.5%プロパ
ノールを添加した培地において、全脂肪酸に対して1
8.8%の18:0cp(n−8)と5.7%の18:
0cp(n−6)という最大値が得られる。すなわちこ
れ以上のプロパノールを基本培地に加えても所要培養時
間が増加するだけでなく目的物の組成も減少する。プロ
ピオン酸ナトリウムの場合、所要培養時間がプロパノー
ルよりも延長すると共に、500mMプロピオン酸ナト
リウム(約5%)を添加した培地において全脂肪酸に対
して14.5%の18:0cp(n−8)と6.7%の
18:0cp(n−6)という最大値を得た。すなわち
プロパノールの方がプロピオン酸ナトリウムより1/1
0という低い濃度で目的物を同様に生成するものの、一
方プロピオン酸ナトリウムを用いると18:0cp(n
−6)の生成比率がプロパノールよりも高い。本発明に
おいてプロピオン酸ナトリウムを用いる方が、2−ペン
チル−1−シクロプロパン−1−デカン酸の2−ヘブチ
ル−1−シクロプロパン−1−オクタン酸に対する生成
比率の上昇が見られる。
【0014】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。 実施例1 基本培地(1リットルの人工海水中にペプトン3g、酵
母エキス1g、HEPES200mM、pH7.5)に
0.5%プロパノール(5g/リットル)を加え、Pseu
domonas sp.(ATCC 12085) を植菌し、フラスコによる振
とう培養(25℃)を77時間行った。その結果、1
8:0cp(n−8)と18:0cp(n−6)が生成
され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれぞれ18.
8%、及び5.7%であった。 実施例2 基本培地に1.0%プロパノールを加え、Pseudomonas
sp. を実施例1と同様に77時間培養した結果、18:
0cp(n−8)と18:0cp(n−6)が生成さ
れ、それらの全脂肪酸に対する比率はそれぞれ9.0
%、及び5.7%であった。
に説明する。 実施例1 基本培地(1リットルの人工海水中にペプトン3g、酵
母エキス1g、HEPES200mM、pH7.5)に
0.5%プロパノール(5g/リットル)を加え、Pseu
domonas sp.(ATCC 12085) を植菌し、フラスコによる振
とう培養(25℃)を77時間行った。その結果、1
8:0cp(n−8)と18:0cp(n−6)が生成
され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれぞれ18.
8%、及び5.7%であった。 実施例2 基本培地に1.0%プロパノールを加え、Pseudomonas
sp. を実施例1と同様に77時間培養した結果、18:
0cp(n−8)と18:0cp(n−6)が生成さ
れ、それらの全脂肪酸に対する比率はそれぞれ9.0
%、及び5.7%であった。
【0015】実施例3 基本培地に0.2%プロパノールを加え、Pseudomonas
sp. を実施例1と同様に54時間培養した結果、18:
0cp(n−8)と18:0cp(n−6)が生成さ
れ、それらの全脂肪酸に対する比率はそれぞれ6.6
%、及び3.6%であった。 実施例4 基本培地に2.0%プロパノールを加え、Pseudomonas
sp. を実施例1と同様に175時間培養した結果、1
8:0cp(n−8)と18:0cp(n−6)が生成
され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれぞれ4.6
%、及び2.5%であった。
sp. を実施例1と同様に54時間培養した結果、18:
0cp(n−8)と18:0cp(n−6)が生成さ
れ、それらの全脂肪酸に対する比率はそれぞれ6.6
%、及び3.6%であった。 実施例4 基本培地に2.0%プロパノールを加え、Pseudomonas
sp. を実施例1と同様に175時間培養した結果、1
8:0cp(n−8)と18:0cp(n−6)が生成
され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれぞれ4.6
%、及び2.5%であった。
【0016】実施例5 基本培地に500mMプロピオン酸ナトリウムを加え、
Pseudomonas sp. を実施例1と同様に232時間培養し
た結果、18:0cp(n−8)と18:0cp(n−
6)が生成され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれ
ぞれ14.5%、及び6.7%であった。 実施例6 基本培地に300mMプロピオン酸ナトリウムを加え、
Pseudomonas sp. を実施例1と同様に232時間培養し
た結果、18:0cp(n−8)と18:0cp(n−
6)が生成され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれ
ぞれ11.3%、及び6.6%であった。 実施例7 基本培地に100mMプロピオン酸ナトリウムを加え、
Pseudomonas sp. を実施例1と同様に232時間培養し
た結果、18:0cp(n−8)と18:0cp(n−
6)が生成され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれ
ぞれ8.1%、及び6.7%であった。
Pseudomonas sp. を実施例1と同様に232時間培養し
た結果、18:0cp(n−8)と18:0cp(n−
6)が生成され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれ
ぞれ14.5%、及び6.7%であった。 実施例6 基本培地に300mMプロピオン酸ナトリウムを加え、
Pseudomonas sp. を実施例1と同様に232時間培養し
た結果、18:0cp(n−8)と18:0cp(n−
6)が生成され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれ
ぞれ11.3%、及び6.6%であった。 実施例7 基本培地に100mMプロピオン酸ナトリウムを加え、
Pseudomonas sp. を実施例1と同様に232時間培養し
た結果、18:0cp(n−8)と18:0cp(n−
6)が生成され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれ
ぞれ8.1%、及び6.7%であった。
【0017】実施例8 基本培地に10mMプロピオン酸ナトリウムを加え、Ps
eudomonas sp. を実施例1と同様に119時間培養した
結果、18:0cp(n−8)と18:0cp(n−
6)が生成され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれ
ぞれ7.7%、及び4.7%であった。 実施例9 基本培地に2mMプロピオン酸ナトリウムを加え、Pseu
domonas sp. を実施例1と同様に47時間培養した結
果、18:0cp(n−8)と18:0cp(n−6)
が生成され、それらの全脂肪酸に対してそれぞれ2.2
%、及び2.1%であった。
eudomonas sp. を実施例1と同様に119時間培養した
結果、18:0cp(n−8)と18:0cp(n−
6)が生成され、それらの全脂肪酸に対する比率はそれ
ぞれ7.7%、及び4.7%であった。 実施例9 基本培地に2mMプロピオン酸ナトリウムを加え、Pseu
domonas sp. を実施例1と同様に47時間培養した結
果、18:0cp(n−8)と18:0cp(n−6)
が生成され、それらの全脂肪酸に対してそれぞれ2.2
%、及び2.1%であった。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、シュードモナス属細菌
の培養において、培地にプロピオン酸塩またはプロパノ
ールを加えることにより自然界に稀なシクロプロパン脂
肪酸を効率よく生産できる。本発明方法により得られる
2−ペンチル−1−シクロプロパン−1−デカン酸及び
2−ヘプチル−1−シクロプロパン−1−オクタン酸は
不飽和酵素阻害剤及び細菌増殖促進剤として有用であ
る。
の培養において、培地にプロピオン酸塩またはプロパノ
ールを加えることにより自然界に稀なシクロプロパン脂
肪酸を効率よく生産できる。本発明方法により得られる
2−ペンチル−1−シクロプロパン−1−デカン酸及び
2−ヘプチル−1−シクロプロパン−1−オクタン酸は
不飽和酵素阻害剤及び細菌増殖促進剤として有用であ
る。
【図1】シュードモナス属細菌の菌体脂質中の脂肪酸組
成を示すガスクロマトグラムである。
成を示すガスクロマトグラムである。
【図2】シュードモナス属細菌により生成される脂肪酸
(18:0cp(n−6))のピコリニルエステルのマ
ススペクトルである。
(18:0cp(n−6))のピコリニルエステルのマ
ススペクトルである。
【図3】シュードモナス属細菌により生成される脂肪酸
(18:0cp(n−8))のピコリニルエステルのマ
ススペクトルである。
(18:0cp(n−8))のピコリニルエステルのマ
ススペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山岡 正和 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技術 院化学技術研究所内 (72)発明者 中原 東郎 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技術 院化学技術研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 シュードモナス属細菌をプロパノール及
び/又はプロピオン酸もしくはその塩を含む培地におい
て培養し2−ペンチル−1−シクロプロパン−1−デカ
ン酸又は2−ヘプチル−1−シクロプロパン−1−オク
タン酸を得ることを特徴とするシクロプロパン脂肪酸の
製造方法。 - 【請求項2】 培地がプロピオン酸の塩を含むものであ
ることを特徴とする請求項1記載のシクロプロパン脂肪
酸の製造方法。 - 【請求項3】 プロピオン酸の塩がプロピオン酸ナトリ
ウムである請求項1記載のシクロプロパン脂肪酸の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28551892A JPH0698007B2 (ja) | 1992-09-30 | 1992-09-30 | シュードモナス属細菌によるシクロプロパン脂肪酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28551892A JPH0698007B2 (ja) | 1992-09-30 | 1992-09-30 | シュードモナス属細菌によるシクロプロパン脂肪酸の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06113868A true JPH06113868A (ja) | 1994-04-26 |
JPH0698007B2 JPH0698007B2 (ja) | 1994-12-07 |
Family
ID=17692574
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28551892A Expired - Lifetime JPH0698007B2 (ja) | 1992-09-30 | 1992-09-30 | シュードモナス属細菌によるシクロプロパン脂肪酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0698007B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7674609B2 (en) | 2001-02-09 | 2010-03-09 | The University Of Hull | Culture of Crypthecodinium cohnii and microorganisms derived therefrom |
CN110129400A (zh) * | 2019-05-25 | 2019-08-16 | 华南理工大学 | 一种提高微生物油脂奇数碳链脂肪酸含量的方法 |
-
1992
- 1992-09-30 JP JP28551892A patent/JPH0698007B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7674609B2 (en) | 2001-02-09 | 2010-03-09 | The University Of Hull | Culture of Crypthecodinium cohnii and microorganisms derived therefrom |
CN110129400A (zh) * | 2019-05-25 | 2019-08-16 | 华南理工大学 | 一种提高微生物油脂奇数碳链脂肪酸含量的方法 |
CN110129400B (zh) * | 2019-05-25 | 2023-09-01 | 华南理工大学 | 一种提高微生物油脂奇数碳链脂肪酸含量的方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0698007B2 (ja) | 1994-12-07 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |