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JPH0598576A - 透湿性布帛の製法、これに用いる潜在多孔性樹脂膜およびその多孔質膜、この多孔質膜を有する透湿性布帛 - Google Patents

透湿性布帛の製法、これに用いる潜在多孔性樹脂膜およびその多孔質膜、この多孔質膜を有する透湿性布帛

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Publication number
JPH0598576A
JPH0598576A JP3282097A JP28209791A JPH0598576A JP H0598576 A JPH0598576 A JP H0598576A JP 3282097 A JP3282097 A JP 3282097A JP 28209791 A JP28209791 A JP 28209791A JP H0598576 A JPH0598576 A JP H0598576A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
fine particles
porous
moisture
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3282097A
Other languages
English (en)
Inventor
Taizo Igarashi
泰蔵 五十嵐
Teruo Hori
照夫 堀
Hironori Sato
裕則 佐藤
Katsushige Takeuchi
克栄 竹内
Mitsuru Mizubukuro
満 水嚢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MITSUYA SEISEN KK
Original Assignee
MITSUYA SEISEN KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MITSUYA SEISEN KK filed Critical MITSUYA SEISEN KK
Priority to JP3282097A priority Critical patent/JPH0598576A/ja
Publication of JPH0598576A publication Critical patent/JPH0598576A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G18/00Polymeric products of isocyanates or isothiocyanates
    • C08G18/06Polymeric products of isocyanates or isothiocyanates with compounds having active hydrogen
    • C08G18/08Processes
    • C08G18/0804Manufacture of polymers containing ionic or ionogenic groups
    • C08G18/0819Manufacture of polymers containing ionic or ionogenic groups containing anionic or anionogenic groups
    • C08G18/0823Manufacture of polymers containing ionic or ionogenic groups containing anionic or anionogenic groups containing carboxylate salt groups or groups forming them

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
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  • Health & Medical Sciences (AREA)
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  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 布帛にポリエステル樹脂製の多孔質膜を設け
て透湿性布帛を製造するに際し、ポリエステル樹脂に水
溶性化合物の微粒子またはこれと水不溶性の蛋白質微粒
子とを分散混合した樹脂溶液を用い、この樹脂溶液を流
延したのち、表裏方向に電圧を印加した状態で硬化させ
て樹脂膜を形成し、ついでこの樹脂膜中の水溶性化合物
の微粒子を洗い出して多孔質膜とする。 【効果】 布帛とポリエステル樹脂製の多孔質膜とから
なる透湿性布帛の透湿度を画期的に高めることができ、
また特に多孔質膜中に水不溶性の蛋白質微粒子を含ませ
たものでは、上記の改良された透湿度以外に、結露防止
や触感の向上などにも好ましい結果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透湿性布帛の製法と、
これに用いる潜在多孔性樹脂膜およびその多孔質膜と、
この多孔質膜を有する透湿性布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】ナイロン、ポリエステルなどの合成繊維
の織物や不織布などの布帛に、ポリウレタン樹脂などを
コ―テイングして、人工皮革としたり、スポ―ツ用ウエ
ア―用アウタ―素材としたものが市場に出回つており、
樹脂の種類や各種の工夫によつて透湿、防水といつた快
適性機能を持たせる検討が行われている。
【0003】そのひとつとして、ポリウレタン樹脂から
なる多孔質膜で被覆した布帛が知られており、これは、
布帛にポリウレタン樹脂の水混和性有機溶剤溶液を塗布
し、ついでこれを水浴中に浸漬してポリウレタン樹脂か
らなる多孔質膜を形成する、いわゆる湿式凝固法で製造
されている。
【0004】また、この湿式凝固法において、ポリウレ
タン樹脂にフツ素ゴムを幹ポリマ―とするフツ素樹脂共
重合体を加えたり(特開平2−104771号公報)、
ポリウレタン樹脂からなる多孔質膜の表面部分に無孔質
膜を設ける(特開平2−112479号公報)などし
て、透湿性や膜の表面強度などを改良する試みもなされ
ている。
【0005】一方、上記の多孔質膜とは異なる無孔質膜
を有する布帛として、ポリウレタン分子のソフトセグメ
ントへの親水性の導入によつて発現する水分の吸収・放
出機構を活用したり、ソフトセグメントに立体的なヘリ
ツクス構造をとる特殊な成分を導入して、その立体構造
の間隙の透過機構を活用することにより、上記膜に透湿
性を付与するようにしたものや、ポリエステル樹脂に親
水基を導入し、この親水基部分を通して水蒸気を透過さ
せるようにしたものも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、これら公知
の多孔質膜ないし無孔質膜で被覆された布帛は、その透
湿度が上記膜の厚さに大きく影響され、ポリウレタン樹
脂の場合、実用的に問題のない50ミクロン位の厚さ
で、せいぜい6000g/m2・24時間の透湿度しか得
られておらず、ポリエステル樹脂の場合は、せいぜい3
000g/m2・24時間の透湿度しか得られていない。
【0007】透湿度を飛躍的に上げる方法としては、直
径1〜10ミクロン程度の細孔を貫通させる方法が考え
られるが、膜の表裏を貫通するミクロンサイズの孔を経
済的に再現よく確実にあける方法は、今のところ見出さ
れていない。
【0008】また、現在主に用いられているポリウレタ
ン樹脂を環境面からみた場合、ポリウレタン樹脂を溶解
するのに不可欠なジメチルホルムアミド(以下、DMF
という)の水質汚染に関する問題が提起されており、D
MF以外の有機溶剤を溶解用溶剤とする樹脂を用いるの
が好ましい。この目的に特に適つた樹脂は、ポリエステ
ル樹脂であるが、前述の如く既存のポリエステル樹脂製
の透湿膜では高々3000g/m2・24時間程度の透湿
度しか得られない。
【0009】本発明は、上記の現状に鑑み、ポリエステ
ル樹脂製の透湿膜にて被覆された布帛を製造するにあた
り、その透湿度を画期的に高めることを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため鋭意検討した結果、ポリエステル樹脂
の有機溶剤溶液中に、水溶性化合物の微粒子を混練り
し、これを布帛にコ―テイングしたのち、表裏方向に電
圧を印加しながら硬化させると、得られる樹脂膜は上記
微粒子が表裏方向に繋がつた状態で配向されたものとな
り、これをその後水で洗い出すと、上記微粒子が存在し
ていた部分が空隙となり、これによつて表裏を貫通する
多数個の微孔が形成されて、布帛の透湿度が著しく高め
られたものとなることを見い出した。
【0011】また、本発明者らの引き続く研究により、
上記した水溶性化合物の微粒子が表裏方向に繋がつた状
態の樹脂膜、つまり潜在多孔性の樹脂膜は、上記の混練
物を布帛上に直接コ―テイングする代わりに、ガラス板
や離型紙などの上に所望厚みにキヤステイングし、これ
を上記と同様に電場中で硬化させることにより、布帛と
は別体の単独の樹脂膜として得ることができ、その後こ
の膜を布帛に貼り合わせたうえで上記微粒子を水で洗い
出して多孔質膜とするか、あるいは膜単独の状態で上記
微粒子を洗い出して多孔質膜を形成したのちこれを布帛
に貼り合わせるようにしても、透湿度の著しく高められ
た布帛が前記同様に得られることを見い出した。
【0012】さらに、本発明者らは、前記の潜在多孔性
の樹脂膜の形成に際し、水溶性化合物の微粒子を混練り
したポリエステル樹脂溶液中に、上記微粒子と共に水不
溶性の蛋白質微粒子を混練りしておくと、コ―テイング
やキヤステイング後の電場中での硬化により、この蛋白
質微粒子も表裏方向に繋がつた状態で配向され、この蛋
白質微粒子は水溶性化合物の微粒子のように水で洗い出
されることなく、多孔質膜としたのちも膜中に上記状態
で配向されており、この表裏方向に繋がつた蛋白質微粒
子を通じて水蒸気が透過するため、透湿度がさらに一段
と向上し、また吸水性や結露防止さらにはポリエステル
樹脂製の透湿膜の難点とされていた触感の向上にも好結
果が得られることを見出した。
【0013】本発明は、以上の知見をもとにして完成さ
れたものであり、まず請求項1,2に記載の製法とし
て、布帛に多孔質膜を設けて透湿性布帛を製造する方法
において、上記多孔質膜の作製に際し、水溶性化合物の
微粒子単独、あるいはこれと架橋されたゼラチンまたは
コラ―ゲンの微粒子などを代表例とする水不溶性の蛋白
質微粒子とを含ませたポリエステル樹脂溶液を用い、こ
の樹脂溶液を流延したのち、表裏方向に電圧を印加した
状態で硬化させて潜在多孔性樹脂膜を形成し、ついでこ
の樹脂膜中の水溶性化合物の微粒子を水で洗い出して多
孔質膜とすることを特徴とする透湿性布帛の製法に係る
ものである。
【0014】この本発明の透湿性布帛の製法には、請求
項3〜5に記載されるとおり、潜在多孔性樹脂膜および
その多孔質膜の形成を布帛と一体に行う場合(請求項
3)と、潜在多孔性樹脂膜の形成を布帛とは別体に行
い、この膜を布帛に貼り合わせたのちに多孔質膜とする
場合(請求項4)と、潜在多孔性樹脂膜およびその多孔
質膜の形成を共に布帛とは別体に行つたのち、この多孔
質膜を布帛に貼り合わせる場合(請求項5)とが含まれ
る。
【0015】また、本発明では、上記の各請求項におけ
る潜在多孔性樹脂膜として、つまり布帛と一体または別
体のいずれの形態をもとりうる上記樹脂膜として、表裏
方向に繋がる多数個の水溶性化合物の微粒子またはこれ
と水不溶性の蛋白質微粒子とを有することを特徴とする
樹脂膜(請求項6,7)と、この膜中の水溶性化合物の
微粒子を水で洗い出して多孔質化したことを特徴とする
多孔質膜(請求項8)と、さらにこの多孔質膜が請求項
3〜5の方法で布帛に実際に一体化されてなる高度の透
湿度を有する透湿性布帛(請求項9)とを、提供できる
ものである。
【0016】
【発明の構成・作用】本発明の透湿性布帛の製法におい
て、その最も大きな特徴点は、布帛に直接コ―テイング
するか、あるいはガラス板や離型紙などにキヤステイン
グすることによつて所望厚みに流延した水溶性化合物の
微粒子またはこれと水不溶性の蛋白質微粒子とを含む樹
脂溶液を、電場下で硬化させる点にあり、これは、電場
下では極性物質が電場方向に配向するという事実に基づ
いたものである。
【0017】一般に、非極性の媒体中に極性の微粒子を
分散させて電場下に置くと、微粒子が電場方向に配列す
ることがわかつている。しかし、このような事実を布帛
のコ―テイングに応用した例はまだ見当たらない。
【0018】本発明者らは、上記の極性微粒子として水
溶性物質の微粒子またはこれと水不溶性の蛋白質微粒子
とを選び、媒体としてポリエステル樹脂を選べば、電場
下において上記微粒子が電場方向に配向する、特に布帛
あるいはキヤステイング層の表裏方向に電場をかけてや
れば、上記微粒子が表裏方向に配向するものと考え、こ
れに基づき樹脂の硬化後に上記配向した水溶性物質の微
粒子を水で洗い出してやると、上記微粒子が存在してい
たところが空隙となつて、この微粒子の径と同じ径の表
裏を貫通する孔が得られ、一方配向した水不溶性の蛋白
質微粒子は水で洗い出されることなくそのままの状態で
膜中に残り、これが透湿度や触感などに好結果を与える
のではないかと考えた。
【0019】このような考えのもとに、上記水溶性物質
の微粒子として無機物質または有機物質からなる多種多
様のものを選択使用し、また水不溶性の蛋白質微粒子と
しては架橋されたゼラチンまたはコラ―ゲンの微粒子な
どを用いて、種々の実験・検討を試みたところ、やはり
上記に予想したとおりの結果が得られ、これにより透湿
度の著しく高められた、また蛋白質微粒子を用いたもの
では吸水性や結露防止にすぐれると共に、触感も良好で
ある布帛を、経済的に再現よく確実に製造できることを
知り、本発明を完成したものである。
【0020】本発明で用いられる水溶性物質の微粒子
は、無機物質または有機物質の中から選ぶことができ、
ポリエステル樹脂の成分に不溶であり、硬化温度におい
て固体であつて、かつ極性を有するものが用いられる。
【0021】無機物質としては、水溶性金属塩が用いら
れ、たとえば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カ
ルシウム、塩化マグネシウムなどの塩酸塩、硫酸ナトリ
ウムなどの硫酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムな
どの炭酸塩や重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩が用いら
れ、その他燐酸塩、硝酸塩、ケイ酸塩なども用いること
ができる。また、これらの無機化合物は結晶水を持つて
いてもよい。
【0022】有機物質としては、分子内に極性基を有す
る天然物または合成物のいずれをも用いることができ、
特に好適なものとしては、イ)有機カルボン酸、有機ス
ルホンまたはこれらの塩、ロ)セルロ―ス、グルコ―ス
誘導体、ハ)アミノ誘導体などが挙げられる。
【0023】上記のイ成分としては、たとえば、ポリ
(メタ)アクリル酸(塩)、α−オレフインとマレイン
酸との共重合物の塩、(アルキル)ナフタレンスルホン
酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、リグニンスルホン酸の
塩、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸、グルコン酸およびこ
れらの塩などがある。また、上記のロ成分としては、た
とえば、カルボキシメチルセルロ―ス(塩)、ヒドロキ
シエチル(プロピル)セルロ―ス、シヨ糖などがある。
さらに、上記のハ成分としては、たとえば、L−グルタ
ミン酸(塩酸塩、ナトリウム塩)、アラニン、L−リジ
ン(塩酸塩)、セリシン、未架橋のゼラチンなどが挙げ
られる。
【0024】これらの無機物質または有機物質は、水滴
の粒径(約100ミクロン)よりも小さい粒径、好まし
くは1〜20ミクロン程度に粉砕された微粒子として、
本発明に使用される。
【0025】本発明に用いられる水不溶性の蛋白質微粒
子は、既述のように、透湿度や吸水性の向上および結露
防止に寄与すると共に、ポリエステル樹脂膜の触感の向
上にも好結果を与えるものであり、特に好ましくは、粒
子表面がグルタルアルデヒドや塩化シアヌルなどで架橋
されたゼラチン微粒子やコラ―ゲン微粒子が用いられ
る。市販品としては、昭和電工(株)製の工業用コラ―
ゲンCX260−1,3やCX240−1などが挙げら
れる。これら微粒子は、膜の厚さよりも小さい粒径、好
ましくは1〜20ミクロン程度に粉砕されたものである
のがよい。
【0026】本発明において、ポリエステルの原料とし
て用いるジカルボン酸またはその低級アルキルエステル
誘導体は、テレフタル酸またはその低級アルキルエステ
ル誘導体を主原料とするが、その一部成分として、たと
えばシユウ酸、マロン酸、マレイン酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、1・4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、2・5−ノルボルナンジカルボン酸などの脂肪
族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、
フタル酸、イソフタル酸、5−(アルカリ金属)スルホ
イソフタル酸、ジフエイン酸、1・4−ナフタレンジカ
ルボン酸、2・6−ナフタレンジカルボン酸、1・2−
ビス(フエノキシ)エタン−P/P´−ジカルボン酸な
どの芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性
誘導体などを共重合成分として含むものであつてもよ
い。また、酸成分の20モル%程度以下の量で、P−
(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸のようなオキシカ
ルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を用いること
もできる。
【0027】一方、グリコ―ル成分としては、エチレン
グリコ―ルを主原料とするが、その一部成分として、た
とえばプロピレングリコ―ル、ネオペンチルグリコ―
ル、1・4−ブタンジオ―ル、1・6−ヘキサンジオ―
ル、1・4−シクロヘキサンジオ―ル、1・4−シクロ
ヘキサンジメタノ―ル、1・10−デカメチレングリコ
―ル、4・4−ジヒドロキシビフエニル、1・4−ビス
(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2・5−ナフタ
レンジオ―ル、これらのグリコ―ルにエチレンオキシド
が付加したグリコ―ル、ポリエチレングリコ―ルなどを
共重合成分として含むものであつてもよい。
【0028】本発明で使用するポリエステル樹脂は、上
記のテレフタル酸またはその低級アルキルエステル誘導
体を主原料とするジカルボン酸成分と、エチレングリコ
―ルを主原料とするグリコ―ル成分とを、常法により、
エステル化反応またはエステル交換反応して得られるも
のである。その分子量は、特に規定されないが、一般に
は重量平均分子量で5万〜200万程度であるのがよ
い。
【0029】このようなポリエステル樹脂は、潜在多孔
性樹脂膜の作製に際し、有機溶剤溶液として取り扱われ
るが、ここで用いる有機溶剤としては、トルエンを代表
例とする芳香族溶剤、アセトン、メチルエチルケトンな
どのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸
エステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環
状エ―テル類や、これらの混合溶剤が挙げられ、その他
パ―クロロエチレンを代表例とする塩素系溶剤の使用も
可能である。また、水質汚染などの面で問題のならない
量であれば、DMFやN−メチルピロリドンなどのアミ
ド系溶剤も、混合溶剤の一部として使用してもよい。
【0030】本発明で用いる布帛としては、ナイロン6
やナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊維、ポ
リエチレンテレフタレ―トで代表されるポリエステル系
合成繊維、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリビニ
ルアルコ―ル系合成繊維、トリアセテ―トなどの半合成
繊維、あるいはナイロン6/木綿、ポリエチレンテレフ
タレ―ト/木綿などの混紡繊維から構成された織物、編
み物、不織布などを挙げることができる。
【0031】また、これらの布帛は、はつ水処理が施さ
れたものであつてもよい。この場合、布帛のはつ水性
は、JIS L−1096のスプレ―法にてはつ水度が
90以上あることが望ましい。はつ水剤は、パラフイン
系はつ水剤やポリシロキサン系はつ水剤、フツ素系はつ
水剤など公知のものでよく、その処理は一般に行われて
いる公知の方法で行つたものでよい。特に良好なはつ水
性を必要とする場合は、フツ素系はつ水剤を使用し、た
とえば、旭硝子社製品のアサヒガ―ド730(フツ素系
はつ水剤エマルシヨン)の5重量%の水溶液でパデイン
グ処理したのち、160℃にて1分間の熱処理を施す方
法などによつて行えばよい。
【0032】つぎに、本発明の透湿性布帛の製法とし
て、まず潜在多孔性樹脂膜およびその多孔質膜の形成を
布帛と一体に行う方法について説明する。最初に、ポリ
エステル樹脂に水溶性化合物の微粒子またはこれと水不
溶性の蛋白質微粒子とを分散混合させたポリエステル樹
脂溶液を調製する。
【0033】水溶性化合物の微粒子は、樹脂固形分重量
に対し0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜20重
量%の使用量とするのが適当である。上記微粒子の使用
量が少ないと貫通孔の数が不足して目的とする透湿度が
得られず、また多すぎると多孔質膜の物理的強度が低下
する懸念がある。
【0034】水不溶性の蛋白質微粒子は、既述のよう
に、透湿度や吸水性の向上、結露防止、触感を良くする
成分として、必要に応じて用いられるが、上記の性能を
十分に発揮させるための使用量としては、樹脂固形分重
量に対し、通常10〜20重量%とするのが適当であ
る。この場合、水溶性化合物の微粒子の使用量を0.3
〜20重量%として、両者の合計量が樹脂固形分重量に
対し0.1〜30重量%となるようにするのが望まし
い。
【0035】水溶性化合物の微粒子またはこれと水不溶
性の蛋白質微粒子とをポリエステル樹脂溶液中に良好に
分散させるために、分散剤として界面活性剤を添加した
ほうがよい場合がある。このような分散剤としては、ポ
リオキシアルキレン基を含有する非イオン界面活性剤
(たとえばポリオキシエチレンノニルフエニルエ―テ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸ソルビタ
ンエステルおよびこれのポリオキシエチレン付加物な
ど)が好適なものとして用いられる。
【0036】また、このようなポリエステル樹脂溶液中
には、その他の添加剤として、多官能性イソシアネ―ト
化合物(たとえば日本ポリウレタン社製の商品名コロネ
―トEH、同コロネ―トHL)などの架橋剤を添加し
て、樹脂膜の強度増大と共に布帛との接着性を向上させ
るようにしてもよい。
【0037】このように調製されるポリエステル樹脂溶
液は、擬塑性であることが好ましく、その粘度として
は、B型粘度計で測定して、2000〜数万センチポイ
ズ、好ましくは5000〜30000センチポイズの範
囲にあるのがよい。このような粘性にするには、ポリエ
ステル樹脂の濃度や水溶性化合物の微粒子またはこれと
水不溶性の蛋白質微粒子との濃度を適宜調整して行えば
よい。
【0038】本発明の製法においては、上記のポリエス
テル樹脂溶液を用いて、これを布帛上にコ―テイングす
る。コ―テイング量は、樹脂膜の膜厚(たとえば5〜1
00ミクロン)にあわせて適宜決定すればよい。また、
コ―テイングは、たとえばナイフコ―タやコンマコ―
タ、リバ―スコ―タなどを用いた通常のコ―テイング法
を採用して行えばよい。
【0039】このようにコ―テイングされた布帛は、つ
ぎに、電場下に置かれて乾燥硬化される。このときの電
場は、布帛の表面および裏面にセツトされた電極に電圧
を印加することによつて、つまり表裏方向に電圧を印加
することによつて、形成される。電圧の印加は、直流ま
たは交流を選択できるが、直流の方がより好ましい。電
圧は、通常100〜10万ボルトとするのがよく、低す
ぎると水溶性化合物の微粒子またはこれと水不溶性の蛋
白質微粒子の配向が不十分となり、また高すぎると放電
が起こつて好ましくない場合がある。
【0040】電圧の印加の方法としては、ガラス板や離
型紙のような非導電性のプレ―トの下部に銅のような金
属電極をセツトし、プレ―トの上部の空間に同様の電極
をセツトし、この両電極間に電圧を印加する方法や、高
電圧における放電を防止するために電源の一方の極をア
―スし、残る一方の極のみを正または負に分極する方法
などがある。下部電極と上部電極の間隔も自由にセツト
することができるが、通常は数mm〜10数cmの範囲を選
べばよい。
【0041】このような電場に置かれたとき、ポリエス
テル樹脂溶液中に分散された水溶性化合物の微粒子また
はこれと水不溶性の蛋白質微粒子とは、瞬時に電場印加
方向、つまり表裏方向に数珠つなぎに配向し、ポリエス
テル樹脂溶液の乾燥硬化と共にそのまま固定される。そ
の結果、表裏方向に繋がる多数個の水溶性化合物の微粒
子またはこれと水不溶性の蛋白質微粒子とが含まれた樹
脂膜、すなわち潜在多孔性の樹脂膜が形成される。
【0042】樹脂溶液の乾燥硬化は、樹脂溶液中の有機
溶剤を揮散除去するため、一般に加熱によつて行われ
る。溶剤を効率よく除去するためには、電場印加部分を
ボツクスによつて覆い、ボツクス内に加熱空気を送りこ
みながら加熱する方法をとればよい。有機溶剤の除去時
間は、できるだけ短いことが好ましく、数分以下で行わ
れることが好ましい。なお、樹脂溶液中に前記した多官
能性のイソシアネ―ト化合物やメラミン化合物、エポキ
シ化合物、フエノ―ル樹脂などの架橋剤を含むときに
は、これによる架橋反応を完結させるために、100〜
140℃にて0.5〜5分間の条件で加熱乾燥すること
が望ましい。
【0043】このようにして乾燥硬化が終わつたコ―テ
イング布帛は、ついで、水洗され、表裏方向に繋がる多
数個の水溶性化合物の微粒子が洗い出される。水洗方法
としては、単に水浴に潜らせる方法や、水蒸気を噴霧す
る方法などを採用すればよい。この水洗後、乾燥して水
分を除去することにより、水溶性化合物の微粒子が数珠
つなぎに配向していたところが空隙となり、表裏方向に
貫通した多数個の細孔を有する多孔質膜が形成される。
【0044】また、この多孔質膜は、水溶性化合物の微
粒子と共に水不溶性の蛋白質微粒子を含ませたもので
は、この蛋白質微粒子が表裏方向に繋がつたままで硬化
が行われ、この繋がつた部分を通じて水蒸気の通過が起
こるため、触感や結露防止性が改良されるのみならず、
透湿性や吸水性の向上も達成されるので、水洗によつて
生じる上記の貫通孔の効果とあいまつて一段とすぐれた
透湿膜となる。
【0045】このような多孔質膜で被覆された布帛、つ
まり本発明の透湿性布帛は、十分な耐水圧を有している
と共に、その透湿度が5000g/m2・24時間以上、
好ましくは6000g/m2・24時間以上、さらに好ま
しくは7000g/m2・24時間以上という透湿性に格
段にすぐれたものとなつている。
【0046】以上の説明は、コ―テイング用樹脂液を布
帛に直接コ―テイングする場合、つまり潜在多孔性樹脂
膜およびその多孔質膜の形成を布帛と一体に行う場合で
あるが、上記膜の形成を布帛とは別体に行うことも可能
である。
【0047】この場合、ガラス板や離型紙のような非導
電性のキヤステイングプレ―トを用意し、この上に上述
と同様のコ―テイング用ポリエステル樹脂溶液をキヤス
テイングする。ついで、プレ―トの上下部にセツトされ
た電極に前記同様に電圧を印加しながら、上記のポリエ
ステル樹脂溶液の乾燥硬化を行うと、表裏方向に繋がる
多数個の水溶性化合物の微粒子またはこれと水不溶性の
蛋白質微粒子とを有する潜在多孔性樹脂膜が形成され
る。
【0048】つぎに、この潜在多孔性樹脂膜を接着剤に
より布帛上に貼り合わせ、その後前記同様に水洗するこ
とにより、多孔質膜を有する透湿性布帛が得られる。ま
た、上記の潜在多孔性樹脂膜をプレ―ト上でそのまま前
記同様に水洗して多孔質膜とし、その後この多孔質膜を
接着剤により布帛上に貼り合わせることにより、上記同
様の透湿性布帛を得ることもできる。
【0049】このようにして得られる透湿性布帛は、耐
水圧および透湿度において、前記の直接コ―テイングの
場合と同様に、従来品に比べて格段にすぐれた性能を発
揮する。また、上記方法では、潜在多孔性樹脂膜および
その多孔質膜をこれら単独の膜製品として取り扱えるた
め、この膜製品を中間製品として入手して所望の場所で
所望の透湿性布帛を製造できる。さらに、これら膜製品
は、その性能面より、透湿性布帛以外の用途にも用いる
ことが可能である。
【0050】上記の潜在多孔性樹脂膜またはその多孔質
膜を用いた透湿性布帛の製法において、これら膜を布帛
に貼り合わせるための接着剤としては、通常用いられて
いるものがいずれも使用でき、特にウレタン系、アクリ
ル系またはポリエステル系の一液型あるいは二液型の硬
化型接着剤が好ましく用いられる。また、この接着剤を
用いて全面接着を行うと、せつかく貫通した細孔が塞が
れてしまうため、膜面積の50%以下で接着することが
望ましい。
【0051】以上のように、本発明によれば、十分な耐
水圧を有し、しかも高透湿度の透湿性布帛を得ることが
できるから、ゴルフウエア、スキ―ウエアなどのスポ―
ツウエアや、防寒衣、雨衣、作業衣などに、あるいはカ
―テンや壁装材といつた産業用資材として、広範囲な用
途に使用することができる。
【0052】なお、以上の説明からもわかるように、本
発明に用いられる水不溶性の蛋白質微粒子は、これが電
場での乾燥硬化で表裏方向に繋がつて配向されることに
より、これ自体ポリエステル樹脂膜の透湿度や吸水性を
高める成分として機能することから、水溶性化合物の微
粒子を全く使用せずこの蛋白質微粒子だけを用いて上記
の電場配向を行うことにより、水洗工程による多孔質化
を経ることなく、無孔質膜としてのポリエステル樹脂透
湿膜とすることも可能である。
【0053】このような透湿膜においても、後記の参考
例に示すように比較的良好な透湿度が得られることか
ら、結露防止にすぐれ、また触感の良好なポリエステル
樹脂透湿膜として、利用することができる。また、この
ような透湿膜を得るにあたり、ポリエステル樹脂以外の
樹脂成分、たとえば従来のポリウレタン樹脂やアクリル
樹脂、ポリアミノ酸ウレタン樹脂、フツ素樹脂などの公
知の各種の樹脂を単独でまたは混合系で使用することも
できる。
【0054】
【実施例】つぎに、本発明を実施例によつてさらに具体
的に説明する。なお、実施例における性能の測定、評価
として、透湿度はJIS Z−0208により、耐水圧
はJIS L−1096(低水圧法)により、それぞれ
行つた。なおまた、実施例中の部はいずれも重量部であ
る。
【0055】実施例1§(1−1)ポリエステル樹脂溶液の調製 テレフタル酸1000部、エチレングリコ―ル700
部、トリエチレングリコ―ル50部、トリエチルアミン
1.8部を、精留塔つきの反応槽に仕込み、窒素ガスで
槽内を2.5kg/cm2 に加圧し、230〜240℃の温
度で120分エステル化反応を行つた。さらに、重縮合
反応を行い、275℃,0.1mmHgで溶融粘度3000
ポイズのポリエステル樹脂を得た。これを反応槽から押
し出してポリエステル樹脂チツプとした。このチツプを
トルエン/メチルエチルケトン=8/2の混合溶剤に溶
解して、固形分濃度30重量%のポリエステル樹脂溶液
を調製した。
【0056】§(1−2)コ―テイング用樹脂溶液の調
ジエツトミルなどの微粉砕機を用いて平均粒径10ミク
ロン程度に粉砕された水溶性化合物の微粒子を、ポリエ
ステル樹脂溶液100部に対し所定重量部加え、さらに
多官能性イソシアネ―ト化合物(日本ポリウレタン社製
の商品名コロネ―トEH)4部とトルエン5部を加えて
混合し、超音波洗浄器中に入れて10分間超音波を照射
して分散させ、10種のコ―テイング用樹脂溶液を調製
した。
【0057】これらコ―テイング用樹脂溶液の粘度は、
B型粘度計、25℃の条件で、18000〜30000
センチポイズの範囲にあり、擬塑性を有し、コ―テイン
グ液として使用しやすいものであつた。後記の表1に、
各コ―テイング用樹脂溶液に用いた水溶性化合物の種
類、平均粒径および混合量を示す。
【0058】§(1−3)透湿性布帛の製造 基布として、経糸にナイロン70デニ―ル/24フイラ
メント、緯糸にナイロン70デニ―ル/34フイラメン
トを用いた経糸密度120本/インチ、緯糸密度90本
/インチの平織物(タフタ)を用意し、フツ素系はつ水
剤エマルシヨン(旭硝子社製のアサヒガ―ド710)の
5重量%水溶液にてパデイング(絞り率30%)処理を
行い、160℃で1分間加熱処理を行つた。
【0059】このようにはつ水処理した布帛上に、(1
−2)で調製した各コ―テイング用樹脂溶液を、乾燥皮
膜重量がそれぞれ30g/m2になるように塗布量を調整
してコ―テイングしたのち、2cmの間隙をもつてセツト
された銅電極板の底面から0.5cmの高さにこの布帛を
セツトし、8KVの直流電圧を両電極間に印加しなが
ら、160℃で1.5分間乾燥して硬化させた。
【0060】この乾燥硬化後の布帛の断面を、走査型電
子顕微鏡で観察したところ、いずれも水溶性化合物の微
粒子が樹脂膜の表裏方向に繋がつて固定されているのが
認められた。つぎに、この布帛を、超音波発生装置を備
えた50℃の温水浴に浸漬し、超音波を発生させながら
10分間洗浄して、上記微粒子とさらに未乾燥の溶剤を
洗いだし、その後120℃で1分間乾燥して水分を除去
し、本発明の試料番号1〜10の透湿性布帛を得た。
【0061】比較例1 実施例1の(1−2)において、水溶性化合物の微粒子
を加えずにコ―テイング用樹脂溶液を調製し、これを用
いて実施例1の(1−3)と同様にして、試料番号11
の透湿性布帛を得た。また、実施例1の(1−3)にお
いて、電圧を印加しないで乾燥硬化させ、その後同様に
水洗,乾燥して、試料番号12〜15の透湿性布帛を得
た。さらに、実施例1の(1−3)において、電圧の印
加による乾燥硬化までを行い、水洗をせずに試料番号1
6〜19の透湿性布帛を得た。
【0062】上記の実施例1の試料番号1〜10の透湿
性布帛と、比較例1の試料番号11〜19の透湿性布帛
とについて、その透湿度および耐水圧を調べた結果は、
つぎの表1,表2に示されるとおりであつた。この表か
ら、本発明の透湿性布帛は、十分な耐水圧と格段にすぐ
れた透湿度を有しているが、比較例の透湿性布帛は透湿
度に劣つていることがわかる。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】実施例2 実施例1で得られたポリエステル樹脂溶液100部に対
し、多官能性イソシアネ―ト化合物(日本ポリウレタン
社製の商品名コロネ―トEH)3部と共に、後記の表3
に示す水溶性化合物の微粒子またはこれと水不溶性の蛋
白質微粒子を所定量混合し、超音波照射によつてよく分
散混合したのち、ポリプロピレンコ―ト紙からなる離型
紙上にコンマコ―タを用いて固形分が20g/m2になる
ようにキヤステイングし、実施例1と同様にして12K
Vの電圧を印加しつつ110℃で2分間加熱乾燥して硬
化させた。
【0066】つぎに、この硬化した樹脂膜の上に、さら
に二液型ポリウレタン〔大日本インキ化学工業(株)製
のクリスボン4070〕を5mm幅で1cm間隔の格子状に
3g/m2の塗布量で塗布し、100℃で1分間乾燥して
接着剤層を有する樹脂膜を得た。なお、この接着剤の乾
燥は、電圧を印加せずに別の装置で行つた。
【0067】ついで、経糸、緯糸とも50デニ―ル/2
4フイラメントのポリエチレンテレフタレ―トフイラメ
ントウ―リ―糸を用い、経密度140本/インチ、緯密
度80本/インチで製織、精練、染色した布帛に、上記
の接着剤を有する樹脂膜を、120℃に加熱した熱ロ―
ルを通して貼り合わせ、2日間エ―ジングしたのち、離
型紙を剥離した。その後、実施例1と同様に水洗し、乾
燥して、本発明の試料番号20〜23の透湿性布帛を得
た。
【0068】参考例1 水溶性化合物の微粒子を使用せず、表3に示す水不溶性
の蛋白質微粒子だけを所定量用いるようにした以外は、
実施例2と同様にして硬化したポリエステル樹脂膜を形
成し、この樹脂膜を用いて、以下実施例2と同様にし
て、試料番号24,25の透湿性布帛を得た。
【0069】比較例2 電圧を印加しないで乾燥硬化させた以外は、実施例2と
同様にして、試料番号26〜30の透湿性布帛を得た。
【0070】上記の実施例2の試料番号20〜23の透
湿性布帛と、参考例1の試料番号24,25の透湿性布
帛と、比較例2の試料番号26〜30の透湿性布帛とに
ついて、その透湿度を調べた。結果をつぎの表3に示
す。この表から、本発明の透湿性布帛は、比較例のもの
に比べ透湿度がやはり格段に大きいものであることが明
らかである。特に、蛋白質微粒子としてコラ―ゲンを混
合して用いた試料番号23の透湿性布帛は、スエ―ド調
の触感を示すと共に、結露防止性にもすぐれ、高い透湿
度とあいまつて新しい素材として評価されるものであ
る。
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】以上のように、本発明の透湿性布帛は、
耐水圧および透湿性において上記した極めて良好な性能
を有しているほか、柔軟な風合を有し、また耐洗濯性も
良好であり、スポ―ツウエア、雨衣などの用途に最適で
ある。また、特に実施例2に示す布帛に接着する前の樹
脂膜、つまり潜在多孔性の樹脂膜は、これを水洗乾燥し
て多孔質膜とすることにより、高透湿性を有するポリエ
ステルフイルムとして、これ単独で種々の用途、たとえ
ば壁装材などに使用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 14/06 7199−3B 15/15 15/568 7199−3B D06M 15/568

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 布帛に多孔質膜を設けて透湿性布帛を製
    造する方法において、上記多孔質膜の作製に際し、水溶
    性化合物の微粒子単独またはこれと水不溶性の蛋白質微
    粒子とを含ませたポリエステル樹脂溶液を用い、この樹
    脂溶液を流延したのち、表裏方向に電圧を印加した状態
    で硬化させて潜在多孔性樹脂膜を形成し、ついでこの樹
    脂膜中の水溶性化合物の微粒子を水で洗い出して多孔質
    膜とすることを特徴とする透湿性布帛の製法。
  2. 【請求項2】 水不溶性の蛋白質微粒子が、架橋された
    ゼラチンまたはコラ―ゲンの微粒子である請求項1に記
    載の透湿性布帛の製法。
  3. 【請求項3】 潜在多孔性樹脂膜およびその多孔質膜の
    形成を布帛と一体に行う請求項1または請求項2に記載
    の透湿性布帛の製法。
  4. 【請求項4】 潜在多孔性樹脂膜の形成を布帛とは別体
    に行い、この膜を布帛に貼り合わせたのちに多孔質膜と
    する請求項1または請求項2に記載の透湿性布帛の製
    法。
  5. 【請求項5】 潜在多孔性樹脂膜およびその多孔質膜の
    形成を布帛とは別体に行つたのち、この多孔質膜を布帛
    に貼り合わせる請求項1または請求項2に記載の透湿性
    布帛の製法。
  6. 【請求項6】 表裏方向に繋がる多数個の水溶性化合物
    の微粒子またはこれと水不溶性の蛋白質微粒子とを有す
    ることを特徴とする潜在多孔性樹脂膜。
  7. 【請求項7】 水不溶性の蛋白質微粒子が、架橋された
    ゼラチンまたはコラ―ゲンの微粒子である請求項6に記
    載の潜在多孔性樹脂膜。
  8. 【請求項8】 請求項6または請求項7に記載の潜在多
    孔性樹脂膜中の水溶性化合物の微粒子を水で洗い出して
    多孔質化したことを特徴とする多孔質膜。
  9. 【請求項9】 布帛に請求項8に記載の多孔質膜が設け
    られていることを特徴とする透湿性布帛。
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