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JPH0578783A - 成形性の良好な高強度冷延鋼板 - Google Patents

成形性の良好な高強度冷延鋼板

Info

Publication number
JPH0578783A
JPH0578783A JP23347091A JP23347091A JPH0578783A JP H0578783 A JPH0578783 A JP H0578783A JP 23347091 A JP23347091 A JP 23347091A JP 23347091 A JP23347091 A JP 23347091A JP H0578783 A JPH0578783 A JP H0578783A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strength
steel sheet
rolled steel
added
property
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP23347091A
Other languages
English (en)
Inventor
Kosaku Shioda
浩作 潮田
Naoki Yoshinaga
直樹 吉永
Osamu Akisue
治 秋末
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP23347091A priority Critical patent/JPH0578783A/ja
Publication of JPH0578783A publication Critical patent/JPH0578783A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、成形性の良好な高強度冷延鋼板を
提供する。 【構成】 Tiを添加した極低炭素鋼をベースに、固溶
体強化元素を添加して強度を上昇するにあたり、従来か
ら多用されているPの添加量を低減し、Mn、Crを積
極的に添加する。これにより、降伏強度の上昇を抑制し
強度を上昇できるので、面形状性が良好で耐デント性に
優れた高強度冷延鋼板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形性に優れた高強度
冷延鋼板に関するものであり、特に低歪域での高加工硬
化性(WH性)と高塗装焼付硬化性(BH性)を有する
Ti含有極低炭素高強度冷延鋼板に係るものである。
【0002】[本発明の技術的背景]本発明に関する高
強度冷延鋼板とは、自動車、家庭電気製品、建物などに
プレス成形をして使用されるものである。そして、表面
処理をしない狭義の冷延鋼板と、防錆のためにたとえば
Znメッキや合金化Znメッキなどの表面処理を施した
冷延鋼板の両方を含む。本発明による鋼板は、成形後の
面形状性が良好でかつ優れた耐デント性を有する深絞り
用高強度冷延鋼板であるので、使用にあたっては板厚を
減少すること、すなわち軽量化が可能となり、地球環境
保全に寄与しうるものである。
【0003】上記本発明に係わる冷延鋼板は、自動車等
のパネルなどに使用されるので、まず優れた加工性が要
求される。加工性には種々あるが、 a)成形品の面形状が良好であること、特に面歪がなく
形状がよく金型に凍結されること、 b)割れずに成形可能なこと、 c)表面にストレッチャーストレインが現れないこと、
が必須である。 そのためには、プレス成形時にYP−Elが0.2%以
下で低YPが好ましい。例えば、面歪の観点からは、降
伏強度(YP)が25kgf/mm2 以下である必要がある。
引張強度(TS)が35〜45kgf/mm2級の鋼板を前提
とすると、降伏比(YR=YP/TS)が0.55以下
の低YRの材料が好ましい。成形の可否は、引張特性値
で言えば主に平均塑性歪値(以下平均r値という)と全
伸び(T.El)で決定され、平均r値が1.5以上で
T.Elが35%以上であれば、狙いとする部品は成形
可能である。一方、強度の観点から考えてみると、プレ
ス成形して塗装焼付後の強度が高いほど好ましい。なぜ
ならば、製品の耐デント性が優れるからである。ここ
で、耐デント性とは完成した自動車に石などが当たる場
合、鋼板に生じる永久的な窪み変形に対する抵抗性を意
味する。そのためには、まずプレス時によく加工硬化し
(高WH)、かつ塗装焼付時に高いBH性が付与され、
塗装焼付後の強度(YP+WH+BH)が高くなること
が必要である。すなわち、最終的な目的である高強度鋼
板の利用による板厚減少を可能とするためには、WHが
4kgf/mm2 以上でかつBHも2kgf/mm2 以上、従ってW
H+BHが6kgf/mm2 以上必要となる。しかし、一般的
にはBH量が5kgf/mm2 超となるとストレッチャースト
レインが発生するので、注意を要する。ここで、WH量
とは2%引張変形時の変形応力からYPを差し引いた量
であり、一方BH量とは、2%予歪後170℃×20分
の塗装焼付相当の熱処理をして再引張をした際の応力の
増加量である。
【0004】以上の状況から明らかなように、パネル用
鋼板の板厚の減少が可能になるには、強度と加工性に優
れ、かつ多くの条件を同時に満足する必要がある。
【0005】
【従来の技術】最近の技術進歩により、極低炭素鋼の溶
製が容易になった現在、良好な加工性を有する極低炭素
冷延鋼板の需要は、益々増加しつつある。特に、Tiや
Nbを単独又は複合添加した極低炭素冷延鋼板に関する
加工性向上の技術が多数発表されている。例えば特開昭
58−185752号公報には表面性状を改良したTi
添加深絞用冷延鋼板が開示され、また特開昭59−31
827号公報および特開昭59−38337号公報など
には、TiとNbを複合添加した極低炭素冷延鋼板であ
るが、きわめて良好な加工性を有し、塗装焼付硬化(B
H)性を兼備し、溶融亜鉛メッキ特性にも優れている事
を提示している。
【0006】一方、加工性を確保しつつ強度を上昇させ
るために、従来から多くの試みがなされてきた。特に、
35kgf/mm2 以上の引張強度を有する鋼板にする場合に
は、鋼中にP、Si、などを添加し、これらの固溶体強
化機構を利用して強度を増加してきた。例えば、特公昭
57−57945号公報はTi含有極低炭素鋼で50kg
f/mm2 の引張強度を有する鋼板の製造例を示している
が、一般的にPやSiは固溶体強化能が非常に高く少量
の添加で強度を上昇でき、かつ延性や深絞り性がそれほ
ど低下せず、添加コストもそれほど上昇しないと考えら
れてきたからである。しかし、実際にはこれらの元素だ
けで強度の上昇を達成しようとすると強度のみならず降
伏強度も同時に著しく上昇するため、面形状不良が発生
し、特にPを多量に含有すると2次加工脆化を助長する
と言う問題があり、自動車のパネルには使用が制約され
る場合がある。また、溶融亜鉛メッキをする場合にはメ
ッキ不良をSiが惹起したり、P、Siが合金化速度を
著しく低下させたりするので、生産性が低下したりする
問題がある。
【0007】一方、固溶体強化元素としてMnやCrを
利用することも知られている。特開昭63−19014
1号公報および特開昭64−62440号公報にはMn
をTi含有極低炭素鋼へ添加し、また、特公昭59−4
2742号公報や前記した特公昭57−57945号公
報においては、MnとCrをTi添加極低炭素鋼へ添加
する技術が開示されているが、(i)MnやCrの添加
は、主な添加元素であるPやSiの補助的な役割しかな
く、したがって、得られた冷延鋼板も強度のわりには降
伏強度が高く、かつ(ii)上記(i)以外の目的で、
たとえば(a)加工硬化率を向上させる、(b)BH性
を付与する、(c)2次加工性を向上させる、(d)溶
融亜鉛メッキのメッキ性を改善する、などの目的で積極
的に添加しているわけでもない。
【0008】さらに、特開平2−111841号公報
は、Tiを添加した極低炭素鋼に1.5%以上3.5%
未満のMnを添加した焼付硬化性を有する良加工性冷延
鋼板および溶融亜鉛メッキ鋼板を開示している。多量の
Mnの添加により、Ar3 変態点の低下による熱間圧延
の操業安定性と金属組織の均一性を目的としている。ま
た、一層の延性の向上を目的にCrやVの0.2〜1.
0%までの添加も開示している。しかし、多量のMnや
Crの添加が機械的性質、特に強度と延性のバランスを
改善するという観点からの記述はない。さらに、2次加
工性、化成処理性、メッキ付着性の観点から、Siの添
加量を、0.03%以下としている。しかし、Siは有
効な固溶体強化元素でもあり、実際にはこれらの特性を
大きく阻害することなく0.03%超添加することも可
能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】自動車のパネルなどに
使用される鋼板には、プレスののちにスプリングバック
や面歪などが生じない良好な面形状性が厳しく要求され
る。ところで、面形状性は、降伏強度が低いほど好まし
いことはよく知られている。しかし、鋼板の高強度化
は、従来技術で述べたように一般に降伏強度の著しい上
昇を伴う。従って、降伏強度の上昇を極力抑制して、強
度の上昇を達成する必要がある。
【0010】さらに、プレス成形をしたあとの鋼板には
耐デント特性や耐2次加工脆化が要求される。耐デント
特性は、板厚が一定の場合、プレス加工して塗装焼付し
たのちの変形応力が高いほど良好となる。したがって、
同じ降伏強度の鋼板を考えた場合、低歪域での加工硬化
能が高く、かつ塗装焼付硬化能が高いほど、耐デント特
性は向上することになる。また、2次加工脆化は、鋼板
の深絞り加工した後荷重をかけたときに生じる脆性割れ
であるが、極低炭素鋼にPを多く添加すると発生しやす
くなるため、P添加を出来るだけ抑制することが好まし
い。
【0011】以上から、自動車のパネルなどに使用され
る望ましい高強度鋼板は、降伏強度はそれほど高くな
く、著しく加工硬化し、できれば塗装焼付硬化能や耐2
次加工脆化能を合わせ持つ鋼板である。勿論、平均r値
(深絞り特性)や伸び(張出特性)などの加工性にも優
れる必要があり、さらに常温で実質的に非時効である必
要がある。
【0012】本発明は、このような要望を満足するもの
であって、鋼中の成分を特定すること、すなわちTi含
有極低炭素鋼板にMnとCrを積極的に添加し、Pの添
加を抑制すると共にSiを強度の許容する範囲で低下せ
しめ、これによって引張強度が35〜45kgf/mm2 、降
伏強度が17〜25kgf/mm2 、低歪域での加工硬化能の
指標であるWH量(2%変形応力−降伏強度)が4kgf/
mm2 以上であり、塗装焼き付け効果能を有し、かつr平
均値と伸びが良好で、2次加工脆性の生じにくく、更に
必要に応じて溶融亜鉛メッキ特性も良好な高強度冷延鋼
板を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、鋭意研究を遂行し、以下に述べる
ような新知見を得た。すなわち、Tiを添加した極低炭
素鋼をベースに、代表的な固溶体強化元素であるP、S
i、Mn、Crを添加し、冷間圧延、焼鈍、調質圧延後
の引張特性、特に降伏強度と加工硬化現象を詳細に調査
した。その結果、従来から固溶体強化元素として多用さ
れているPやSiは、(a)まず微量の添加で著しく降
伏強度を上昇させること、(b)その結果低歪域での加
工硬化率が著しく減少することが判明した。一方、従来
固溶体強化元素としてあまり用いられないMn、Crを
添加すると、(a)降伏強度は殆ど上昇せず、引張強度
が上昇する、(c)その結果、低歪域での加工硬化率が
むしろこれらの添加により増加するという、極めて重要
な新知見を得た。
【0014】これらの機構についても検討を加えた結
果、(a)降伏強度はFe元素と添加したX元素との原
子半径の差で決定され、原子半径の差が大きいほど増加
する、(b)加工硬化率は転位のすべり挙動と深く関係
し、X元素の添加により積層欠陥エネルギーが低下する
と、転位の交差すべりが困難となる結果転位密度が上昇
し加工硬化率が増加する、という基本原理を構築した。
これによれば、P、SiはFeより著しく原子半径が小
さく、したがって原子半径差が大きくなるので降伏強度
が著しく上昇し、Mn、Crは原子半径がFeのそれと
極めて近いので殆ど降伏強度を変化させなかったものと
理解できる。一方、加工硬化率と関係する積層欠陥エネ
ルギーへの影響に関しては必ずしも明瞭でないが、初期
加工硬化後の転位構造の電子顕微鏡による詳しい観察結
果から、P、Siは調査した添加量の範囲内で殆ど積層
欠陥エネルギーに影響を与えないが、Mn、Crはこれ
を低下させる傾向のあることが初めて明らかとなった。
【0015】以上の機構により、Mn、Crを添加する
と降伏強度は殆ど変化せず、加工硬化率が増加して引張
強度が上昇したものと考える。このような特徴的な挙動
は、上述した本発明の目的を達成するためには、従来の
PやSiの添加より、Mn、Crの添加のほうが好まし
いことを意味する。したがって、本発明ではMn、Cr
の積極的な活用を従来技術の基本的な解決手段とする。
ただし、Mn、Crの添加だけでは、所望の強度が得ら
れない場合が発生したり、製造コストが上昇したりする
ので、適量のPやSiの添加も考える。
【0016】さらに本発明者らは、Mn、Crの積極的
な添加によりBH性も向上するという新知見も得た。こ
れは、これらの元素がCと引力の相互作用を有するた
め、TiCやNbCと平衡するマトリックス中の固溶C
をより安定化するので、これらの溶解度積が大きくな
り、焼鈍中に再固溶して残存する固溶C量が増加したも
のと考える。したがって、Mn、Crの添加はBH性を
付与するための新しい手段としても活用できる。また、
BH性に寄与する固溶Cは、極低炭素鋼の欠点として知
られている2次加工脆化の防止手段としてもBと同様に
有効である。
【0017】なお、2次加工脆化はPの添加により助長
されるが、本発明では強度付与にPの多量添加は行わ
ず、従ってこの脆化発生を抑制し得るといえる。さらに
本発明者らは、従来鋼において強化元素として多用され
ているSi、Pの添加量を抑制し、Mn、Crを活用す
る本発明鋼が、とくにゼンジマー方式の連続溶融亜鉛メ
ッキプロセスによる合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造に
おいて、次のような長所を有する新知見も得た。すなわ
ち、PやSiはZnとFeの合金化反応を抑制するた
め、これらの元素を多量に含む鋼板を製造するときに
は、ラインスピードを減少させ生産性を低下せざるをえ
なかった。また、Siの添加はメッキ密着性を劣化し、
プレス成形時に種々の問題を生じた。一方、Mn、Cr
の添加は、本発明の範囲内において、このような悪影響
をもたらせないことが判明した。
【0018】本発明は、このような思想と新知見に基づ
いて構築されたものであり、その要旨とするところは、
重量%で、 C :0.0005〜0.01%、 Si:0.03超
〜0.8%以下、Mn:0.4〜3.0%、
Cr:0.01〜3.0%、P :0.04%未満、
S :0.0010〜0.015%、Al:
0.005〜0.1%、 Ti:0.005〜0.
15%、N :0.0005〜0.006%、B :
0.0001〜0.0025% を含有し、残部Fe及び不可避的不純物から成ると共
に、引張強度35〜45kgf/mm2 、降伏強度17〜25
kgf/mm2 を示し、かつ低歪域での高加工硬化性(WH
性)と高塗装焼付硬化性(BH性)および耐2次加工脆
化性を有することを特徴とする成形性の良好な高強度冷
延鋼板である。
【0019】
【作用】以下に、本発明において鋼組成を上述のように
限定する理由についてさらに説明する。Cは成品の材質
特性を決定する極めて重要な元素であり、0.0005
%未満になると粒界強度が低下し、2次加工脆性が発生
する。またBH性の改善もなく、かつ製造コストが著し
く増加するので、その下限を0.0005%とする。一
方、0.01%超になると強度は上昇するが、成形性が
著しく低下する。従って、その上限を0.01%とす
る。
【0020】Siは、安価に強度を上昇する元素として
知られており、その添加量は狙いとする強度レベルに応
じて変化するが、下限を0.03%超とする。一方、添
加量が0.8%超となると、降伏強度が上昇しすぎてプ
レス時に面歪が発生する。さらに化成処理性の低下、溶
融亜鉛メッキの密着性の低下、合金化反応の遅延による
生産性の低下などの問題が発生するので、その上限を
0.8%とする。
【0021】Mnは、降伏強度をあまり上昇させず強度
を増加させる有効な固溶体強化元素であり、かつ焼付硬
化能を付与したり、化成処理性や溶融亜鉛メッキ性を改
善する効果も有するので、本発明においては積極的に添
加する。この様な効果を現わすには0.4%以上、好ま
しくは0.5%以上の添加を必要とする。一方、3.0
%を超えると焼鈍後低温変態生成物が増加し、降伏強度
が著しく増加したり延性が低下したりする。さらに、平
均r値も低下するのでその上限を3.0%とする。
【0022】CrもMn同様、降伏強度をほとんど上昇
させず強度を増加させる有効な元素であり、かつ焼付硬
化能を付与するので、本発明では積極的に利用する。し
かし、その含有量が0.01%未満では効果が現れず、
好ましい添加下限は0.1%超である。また、3%を超
えると熱延板の酸洗性が低下したり、製品板の化成処理
性が劣化したりするので、その範囲を0.01〜3%と
する。上記したMn及びCrの諸特性を最も有効に付与
するためには、Mn+Cr含有量を1.0%以上にする
ことが好ましい。
【0023】Pは安価に強度を上昇する元素として知ら
れているが、多量に添加すると、2次加工脆化を起こす
おそれがあり、さらに、連続溶融亜鉛メッキ時に合金化
反応が極めて遅くなって生産性が低下する。したがっ
て、出来るだけ少なくすることが良く、0.04%未満
とする。
【0024】S量は低い方が好ましいが、0.001%
未満になると製造コストが上昇するので、これを下限値
とする。一方、0.015%超になるとMnSやTiS
などの硫化物が数多く析出し、加工性が劣化するので、
これを上限値とする。
【0025】Alは脱酸調整に使用するが、0.005
%未満ではTiの添加歩留が低下する。一方、0.1%
超になるとコスト上昇を招く。
【0026】Tiは、全部のN、あるいはCやSの一部
あるいは全部を固定することにより、極低炭素鋼の加工
性と非時効性を確保する役割を有する。Tiは、全量の
NをTiNとして固定するので、Ti=Ti−3.4
2Nとした時2≦Ti/C≦20とする事が好まし
く、かつ0.005〜0.15%とする。Tiが0.0
05%未満ではその添加効果が現れず、一方、0.15
%超となると著しい合金コストの上昇を招くからであ
る。
【0027】Nは低い方が好ましい。しかし、0.00
05%未満にするには著しいコスト上昇を招く。一方、
余り多いと多量のTiやAlの添加が必要になったり、
加工性が劣化したりするので、0.0060%を上限値
とする。
【0028】Bは、Nが事前に固定されている場合には
結晶粒界に偏析し、2次加工脆化の防止に有効であり、
0.0001%未満では、その効果が不充分であるが、
0.0025%超になると添加コストの上昇やスラブ割
れの原因となるのでこの範囲とした。
【0029】本発明は以上のように構成されるが、この
様な成分で所望の特性を持つ高強度冷延鋼板とするに
は、以下の方法で製造することが好ましい。すなわち、
通常の方法で製造したスラブを熱延するに際し、その仕
上げ温度を、成品板の加工性を確保するという観点から
Ar3 −100℃以上とし、また、巻き取り温度を室温
から750℃とするのがよい。本発明はその成品材質が
熱延巻き取り温度の影響をあまり受けないという特徴を
有する。これは、NがTiNとして固定された極低炭素
鋼であるということに加え、MnやCrなどをかなり添
加しており熱延板の組織が著しく微細で均一化している
ことも一因と考えられる。巻き取り温度で750℃を上
限目標としたのは、コイル両端部での材質劣化に起因す
る歩留減少を防止する観点からである。
【0030】冷間圧延は通常の条件でよく、焼鈍後の深
絞り性を確保する目的から、その圧下率は50%以上と
する。連続焼鈍あるいはライン内焼鈍方式の連続溶融Z
nメッキ設備の焼鈍温度は、700℃〜900℃とする
のがよく、焼鈍温度が700℃未満では、再結晶が不充
分であること、また、加工性やBH性は焼鈍温度の上昇
とともに向上するが、900℃超では高温すぎて板破断
や板の平坦度が悪化するからである。
【0031】かくして、本発明によれば、引張強度が3
5〜45kgf/mm2 、降伏強度が17〜25kgf/mm2 、低
歪域での加工硬化能の指標であるWH量(2%変形応力
−降伏強度)が4kgf/mm2 以上で2kgf/mm2 以上のBH
性を有し、かつr平均値と伸びが良好で、2次加工脆性
の生じにくく、更に必要に応じて溶融亜鉛メッキ特性も
良好な高強度冷延鋼板が製造される。次に本発明を実施
例にて説明する。
【0032】
【実施例】
〔実施例1〕表1に示す組成を有する鋼を溶製し、スラ
ブ加熱温度1150℃、仕上げ温度910℃、巻き取り
温度650℃で熱間圧延し、4.0mm厚の鋼板とした。
酸洗後、80%の圧下率の冷間圧延を施し0.8mmの冷
延板とし、次いで均熱840℃で連続焼鈍をした。さら
に、0.5%の圧下率の調質圧延をし、JIS5号引張
試験片を採取し引張試験に供した。引張試験結果をまと
めて表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】ここで、本発明において重要となるWH量
は、圧延方向に2%の引張歪を付加した時の加工硬化量
であり、2%変形応力から降伏応力(YP)を差し引い
た量である。また、BH量は2%予歪材に170℃×2
0分の塗装焼付相当の熱処理を施してから再度引張試験
を行った場合の応力の上昇量(再引張試験時の下降伏応
力から2%変形応力を差し引いた値)である。また、2
次加工脆化遷移温度は、調質圧延した鋼板から直径50
mmのブランクを打ち抜き、ついで直径33mmのポンチで
カップ成形し、これに種々の温度で落重試験を施した場
合の延性−脆性遷移温度である。
【0036】表2から明らかなように、本発明鋼は、従
来鋼の同レベルの引張試験を有する高強度鋼板と比較し
て降伏強度が低く面形状性が良好であり、WHとBH量
が高いので、たとえば自動車の外板パネルには好適の材
料である。すなわち、本発明鋼は従来鋼と比較して、同
一強度でも降伏強度が低くプレス後の面形状が良好とな
ることが期待できる。
【0037】一方、図1に示すように、本発明鋼は、従
来鋼と比較して降伏強度が同一でも(WH+BH)量が
高いので耐デント特性(σd =YP+WH+BH)も同
時に改善される。さらに、表2に示すように本発明鋼は
従来鋼よりP、Siの添加量が少なく、MnやCrを多
量に添加しているのでBH量も高く、耐2次加工脆性に
も優れている。ここで、鋼2−5は、Ti<3.4Nと
なるため製品板を100℃で1時間人工時効すると降伏
点伸び(YP−El)が1.2%も生じた。これでは、
プレス時にストレッチャーストレインが発生する。
【0038】〔実施例2〕表1の1−1、1−2、2−
1、2−3に示す組成を有する鋼を溶製し、スラブ加熱
温度1150℃、仕上げ温度900℃、巻き取り温度5
00℃の条件で熱間圧延し、4.0mm厚の鋼板とした。
酸洗後、80%の圧下率の冷間圧延を施し0.8mmの冷
延板とし、次いで最高加熱温度820℃まで加熱してか
ら冷却し、460℃で慣用の溶融亜鉛メッキを行い(浴
中Al濃度は0.11%)、さらに加熱して520℃で
20秒間合金化処理後約10℃/秒で室温まで冷却し
た。得られた合金化亜鉛メッキ鋼板について機械的性
質、メッキ密着性、およびメッキ皮膜中のFe濃度を測
定した。これらの結果も表3にまとめて示す。
【0039】
【表3】
【0040】ここで、メッキ密着性は180°密着曲げ
を行い、亜鉛皮膜の剥離状況を、曲げ加工部にセロテー
プを接着したのち、これをはがしてテープに付着した剥
離メッキ量から判定した。評価は、下記の5段階とし
た。 1…剥離大、2…剥離中、3…剥離小、4…剥離少量、
5…剥離全く無 また、メッキ層中のFe濃度は、X線回折によって求め
た。
【0041】表3から明らかなように、本発明鋼は従来
鋼と比較して低YPで、かつWHとBH量が高く、耐デ
ント性と対応するσd も向上する。これは、実施例1で
も確認された点である。さらに、従来鋼と比較し本発明
鋼はメッキ密着性が良好であり、合金層中のFe濃度も
望ましい相と考えられているδ1 相のそれに相当する量
となっている。これは、本発明においてはメッキ密着性
を劣化させるSiや合金化反応を抑制するPやSiを極
力低減し、MnやCrを添加して強度を上昇させている
ためと考えられる。
【0042】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は多量のPやSiを添加せずに、従来にないプレス成形
性に優れた高強度冷延鋼板を得ることができ、また、得
られた鋼板は溶融亜鉛メッキ特性も良好であり、防錆機
能も発揮できる。その結果、本発明鋼を自動車のボディ
やフレームなどに使用すると、板厚の軽減すなわち車体
の軽量化が可能となるので、最近話題となっている地球
環境の保全にも本発明は大きく寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】降伏強度とσd (デント特性の指標)との関係
を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】本発明は、このような要望を満足するもの
であって、鋼中の成分を特定すること、すなわちTi含
有極低炭素鋼板にMnとCrを積極的に添加し、Pの添
加を抑制すると共にSiを強度の許容する範囲で低下せ
しめ、これによって引張強度が35〜45kgf/mm2 、降
伏強度が17〜25kgf/mm2 、低歪域での加工硬化能の
指標であるWH量(2%変形応力−降伏強度)が4kgf/
mm2 以上であり、塗装焼き付け効果能を有し、かつ平均
r値と伸びが良好で、2次加工脆性の生じにくく、更に
必要に応じて溶融亜鉛メッキ特性も良好な高強度冷延鋼
板を提供することを目的とするものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】かくして、本発明によれば、引張強度が3
5〜45kgf/mm2 、降伏強度が17〜25kgf/mm2 、低
歪域での加工硬化能の指標であるWH量(2%変形応力
−降伏強度)が4kgf/mm2 以上で2kgf/mm2 以上のBH
性を有し、かつ平均r値と伸びが良好で、2次加工脆性
の生じにくく、更に必要に応じて溶融亜鉛メッキ特性も
良好な高強度冷延鋼板が製造される。次に本発明を実施
例にて説明する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%として、 C :0.0005〜0.01%、 Si:0.03超〜0.8%以下、 Mn:0.4〜3.0%、 Cr:0.01〜3.0%、 P :0.04%未満、 S :0.0010〜0.015%、 Al:0.005〜0.1%、 Ti:0.005〜0.15%、 N :0.0005〜0.006%、 B :0.0001〜0.0025% を含有し、残部Fe及び不可避的不純物から成ると共
    に、引張強度35〜45kgf/mm2 、降伏強度17〜25
    kgf/mm2 を示し、かつ低歪域での高加工硬化性(WH
    性)と高塗装焼付硬化性(BH性)を有することを特徴
    とする成形性の良好な高強度冷延鋼板。
JP23347091A 1991-09-12 1991-09-12 成形性の良好な高強度冷延鋼板 Withdrawn JPH0578783A (ja)

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