JPH05347187A - 薄膜el素子 - Google Patents
薄膜el素子Info
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- JPH05347187A JPH05347187A JP4340163A JP34016392A JPH05347187A JP H05347187 A JPH05347187 A JP H05347187A JP 4340163 A JP4340163 A JP 4340163A JP 34016392 A JP34016392 A JP 34016392A JP H05347187 A JPH05347187 A JP H05347187A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 薄膜EL素子の発光特性および信頼性を改善
する。 【構成】 発光層5と、この発光層5を挟む一対の電極
層2,8を有する。電極層2,8のうち一方の電極層2と
発光層5との間に絶縁層9を介在させる。絶縁層9は、
電極層2側に配されたTaON膜3と、発光層5側に配
されたSi3N4膜(またはSiON膜)4とからなる。絶縁
層10は、例えばSi3N4膜6とSiO2膜7とからな
る。
する。 【構成】 発光層5と、この発光層5を挟む一対の電極
層2,8を有する。電極層2,8のうち一方の電極層2と
発光層5との間に絶縁層9を介在させる。絶縁層9は、
電極層2側に配されたTaON膜3と、発光層5側に配
されたSi3N4膜(またはSiON膜)4とからなる。絶縁
層10は、例えばSi3N4膜6とSiO2膜7とからな
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は薄膜EL(エレクトロ
・ルミネッセンス)素子に関し、より詳しくは、発光層
と電極層との間に絶縁層を有する薄膜EL素子に関す
る。
・ルミネッセンス)素子に関し、より詳しくは、発光層
と電極層との間に絶縁層を有する薄膜EL素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種の薄膜EL素子としては、図8に
示すように、ZnS:Mnなどからなる発光層104とI
TO(錫添加酸化インジウム)電極層102,金属電極層
106との間に、それぞれTaON膜(窒素を含有させた
Ta2O5膜)からなる絶縁層103,105を設けたもの
が提案されている(特開平1−130496号公報)。上
記文献(公報)には、TaON膜は比誘電率εrが20〜2
3と比較的大きいことから、通常のSiO2膜,Y2O3膜,
Si3N4膜(比誘電率εrが10以下)などよりも薄膜EL
素子の絶縁層として有益であり、発光特性を改善できる
旨が記載されている。なお、101はガラス基板であ
る。
示すように、ZnS:Mnなどからなる発光層104とI
TO(錫添加酸化インジウム)電極層102,金属電極層
106との間に、それぞれTaON膜(窒素を含有させた
Ta2O5膜)からなる絶縁層103,105を設けたもの
が提案されている(特開平1−130496号公報)。上
記文献(公報)には、TaON膜は比誘電率εrが20〜2
3と比較的大きいことから、通常のSiO2膜,Y2O3膜,
Si3N4膜(比誘電率εrが10以下)などよりも薄膜EL
素子の絶縁層として有益であり、発光特性を改善できる
旨が記載されている。なお、101はガラス基板であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者の実験によって、TaON膜を絶縁層とする薄膜EL
素子は、実際には、図4中に特性(c)で例示するよう
に、発光層が劣化して、発光特性(電圧−輝度特性)が通
常のSiO2膜,Y2O3膜,Si3N4膜からなるもの(同図中
に特性(b)で示す)よりも悪くなることが分かった。この
事情は、Ta2O3膜(比誘電率εrが23〜30)を絶縁層
とする薄膜EL素子でも同じであった。
者の実験によって、TaON膜を絶縁層とする薄膜EL
素子は、実際には、図4中に特性(c)で例示するよう
に、発光層が劣化して、発光特性(電圧−輝度特性)が通
常のSiO2膜,Y2O3膜,Si3N4膜からなるもの(同図中
に特性(b)で示す)よりも悪くなることが分かった。この
事情は、Ta2O3膜(比誘電率εrが23〜30)を絶縁層
とする薄膜EL素子でも同じであった。
【0004】そこで、この発明の目的は、発光特性およ
び信頼性に優れた薄膜EL素子を提供することにある。
び信頼性に優れた薄膜EL素子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するため、第1の発明の薄膜EL素子は、発光層と、
この発光層を挟む一対の電極層を有し、上記電極層のう
ち少なくとも一方の電極層と上記発光層との間に絶縁層
を介在させた薄膜EL素子において、上記絶縁層は、上
記電極層側に配されたTaON膜と、上記発光層側に配
されたSi3N4膜またはSiON膜とからなることを特徴
としている。ここで、SiON膜とは、Si,OおよびN
からなる膜(組成比は任意)を示している。
成するため、第1の発明の薄膜EL素子は、発光層と、
この発光層を挟む一対の電極層を有し、上記電極層のう
ち少なくとも一方の電極層と上記発光層との間に絶縁層
を介在させた薄膜EL素子において、上記絶縁層は、上
記電極層側に配されたTaON膜と、上記発光層側に配
されたSi3N4膜またはSiON膜とからなることを特徴
としている。ここで、SiON膜とは、Si,OおよびN
からなる膜(組成比は任意)を示している。
【0006】本発明者は、絶縁層としてTaON膜とSi
3N4膜またはSiON膜とを組み合わせることにより、
信頼性および発光特性に優れた薄膜EL素子を実現し
た。すなわち、比誘電率εrが大きいTaON膜によって
発光しきい値電圧を下げるとともに、発光層側に安定な
Si3N4膜またはSiON膜を配することによって上記T
aON膜と発光層との反応を抑えて輝度の低下を防ぎ、
かつ、絶縁破壊耐圧を高めた。これにより、従来に比し
て発光特性および信頼性を向上させることができた。
3N4膜またはSiON膜とを組み合わせることにより、
信頼性および発光特性に優れた薄膜EL素子を実現し
た。すなわち、比誘電率εrが大きいTaON膜によって
発光しきい値電圧を下げるとともに、発光層側に安定な
Si3N4膜またはSiON膜を配することによって上記T
aON膜と発光層との反応を抑えて輝度の低下を防ぎ、
かつ、絶縁破壊耐圧を高めた。これにより、従来に比し
て発光特性および信頼性を向上させることができた。
【0007】このように改善できたのは、次の理由によ
る。すなわち、図5中に特性(d)で示すように、絶縁層
を構成する膜の比誘電率εrの平均値が6.2程度(通常
のSiO2膜,Y2O3膜,Si3N4膜に相当するレベル)であ
る場合は、絶縁層の総膜厚は4000Å程度に設定され
る。総膜厚が4000Å以上だと発光しきい値電圧Vth
が大きくなり過ぎ(180V以上となる)、逆に、400
0Å以下だと絶縁層の破壊耐圧が低下して信頼性を損な
うからである。これに対して、絶縁層としてTaON膜
とSi3N4膜またはSiON膜とを組み合わせたものは、
比誘電率εrの平均値が20程度となる。したがって、
同図中に特性(e)で示すように、TaON膜の膜厚が〜6
000Å、Si3N4膜またはSiON膜の膜厚が〜100
0Å(したがって、総膜厚が〜7000Å)であっても発
光しきい値電圧Vthを150V程度に抑えることができ
る。
る。すなわち、図5中に特性(d)で示すように、絶縁層
を構成する膜の比誘電率εrの平均値が6.2程度(通常
のSiO2膜,Y2O3膜,Si3N4膜に相当するレベル)であ
る場合は、絶縁層の総膜厚は4000Å程度に設定され
る。総膜厚が4000Å以上だと発光しきい値電圧Vth
が大きくなり過ぎ(180V以上となる)、逆に、400
0Å以下だと絶縁層の破壊耐圧が低下して信頼性を損な
うからである。これに対して、絶縁層としてTaON膜
とSi3N4膜またはSiON膜とを組み合わせたものは、
比誘電率εrの平均値が20程度となる。したがって、
同図中に特性(e)で示すように、TaON膜の膜厚が〜6
000Å、Si3N4膜またはSiON膜の膜厚が〜100
0Å(したがって、総膜厚が〜7000Å)であっても発
光しきい値電圧Vthを150V程度に抑えることができ
る。
【0008】ただし、TaON膜の膜厚が6000Åを
超えるか、または、Si3N4膜またはSiON膜の膜厚が
1000Åを超えると、発光しきい値電圧Vthが大きく
なり過ぎる。一方、TaON膜の膜厚が1000Åを下
回ると、絶縁破壊耐圧を維持することができない(たと
え、Si3N4膜またはSiON膜の厚膜化でカバーしよう
としても、発光しきい値電圧Vthと両立できない)。ま
た、Si3N4膜またはSiON膜の膜厚が100Åを下回
ると、TaON膜と発光層との反応を抑えることができ
ず、輝度の低下が生じる。結局、上記TaON膜の厚さ
を1000〜6000Å、上記Si3N4膜またはSiON
膜の厚さを100〜1000Åに設定するのが望まし
い。これにより、絶縁破壊耐圧を維持して信頼性を高め
た上、発光しきい値電圧を下げて発光特性を向上させる
ことができる。
超えるか、または、Si3N4膜またはSiON膜の膜厚が
1000Åを超えると、発光しきい値電圧Vthが大きく
なり過ぎる。一方、TaON膜の膜厚が1000Åを下
回ると、絶縁破壊耐圧を維持することができない(たと
え、Si3N4膜またはSiON膜の厚膜化でカバーしよう
としても、発光しきい値電圧Vthと両立できない)。ま
た、Si3N4膜またはSiON膜の膜厚が100Åを下回
ると、TaON膜と発光層との反応を抑えることができ
ず、輝度の低下が生じる。結局、上記TaON膜の厚さ
を1000〜6000Å、上記Si3N4膜またはSiON
膜の厚さを100〜1000Åに設定するのが望まし
い。これにより、絶縁破壊耐圧を維持して信頼性を高め
た上、発光しきい値電圧を下げて発光特性を向上させる
ことができる。
【0009】また、上記目的を達成するため、第2の発
明の薄膜EL素子は、発光層と、この発光層を挟む一対
の電極層を有し、上記電極層のうち少なくとも一方の電
極層と上記発光層との間に絶縁層を介在させた薄膜EL
素子において、上記絶縁層は、TaON膜と、SiO2膜
またはSiON膜とからなる単位層を複数重ねてなる積
層膜を有することを特徴としている。
明の薄膜EL素子は、発光層と、この発光層を挟む一対
の電極層を有し、上記電極層のうち少なくとも一方の電
極層と上記発光層との間に絶縁層を介在させた薄膜EL
素子において、上記絶縁層は、TaON膜と、SiO2膜
またはSiON膜とからなる単位層を複数重ねてなる積
層膜を有することを特徴としている。
【0010】この第2の発明の薄膜EL素子も、第1の
発明の薄膜EL素子と同様に、従来に比して信頼性およ
び発光特性を高めることができる。すなわち、比誘電率
εrが大きいTaON膜によって発光しきい値電圧を下げ
ることができる。
発明の薄膜EL素子と同様に、従来に比して信頼性およ
び発光特性を高めることができる。すなわち、比誘電率
εrが大きいTaON膜によって発光しきい値電圧を下げ
ることができる。
【0011】同時に、発光層側に安定なSiO2膜または
SiON膜を配することによって、上記TaON膜と発光
層との反応を抑えて輝度の低下を防ぎ、かつ、絶縁破壊
耐圧を高めることができる。
SiON膜を配することによって、上記TaON膜と発光
層との反応を抑えて輝度の低下を防ぎ、かつ、絶縁破壊
耐圧を高めることができる。
【0012】また、上記単位層を構成するSiO2膜また
はSiON膜と、TaON膜との膜厚比SiO2/TaON
またはSiON/TaONの値が、1/15〜10/15
の範囲内にあるのが望ましい。この理由は、上記膜厚比
が1/15を下回った場合、TaON膜と発光層との反
応が抑えられず、輝度が低下するからである。一方、上
記膜厚比が10/15を超えた場合、絶縁層の比誘電率
εrの平均値が小さくなって、発光しきい値電圧Vthを
下げることができないからである。
はSiON膜と、TaON膜との膜厚比SiO2/TaON
またはSiON/TaONの値が、1/15〜10/15
の範囲内にあるのが望ましい。この理由は、上記膜厚比
が1/15を下回った場合、TaON膜と発光層との反
応が抑えられず、輝度が低下するからである。一方、上
記膜厚比が10/15を超えた場合、絶縁層の比誘電率
εrの平均値が小さくなって、発光しきい値電圧Vthを
下げることができないからである。
【0013】また、本発明者は、上記単位層の厚さを減
少させて300Å以下にした場合、図3に例示するよう
に、絶縁層全体の比誘電率εrの平均値が理論値よりも
大きくなることを発見した(なお、図3は、膜厚比SiO
N/TaONの値が1/5の場合を示している。)。した
がって、上記単位層の厚さを300Å以下に設定するこ
とによって、さらに発光しきい値電圧Vthを下げること
が可能となる。
少させて300Å以下にした場合、図3に例示するよう
に、絶縁層全体の比誘電率εrの平均値が理論値よりも
大きくなることを発見した(なお、図3は、膜厚比SiO
N/TaONの値が1/5の場合を示している。)。した
がって、上記単位層の厚さを300Å以下に設定するこ
とによって、さらに発光しきい値電圧Vthを下げること
が可能となる。
【0014】また、第1の発明と同様の理由により、T
aON膜とSiO2膜またはSiON膜とからなる単位層を
複数重ねてなる積層膜の厚さを1000〜6000Åに
設定するのが望ましい。
aON膜とSiO2膜またはSiON膜とからなる単位層を
複数重ねてなる積層膜の厚さを1000〜6000Åに
設定するのが望ましい。
【0015】
【実施例】以下、この発明の薄膜EL素子を実施例によ
り詳細に説明する。
り詳細に説明する。
【0016】図1は、第1の発明の一実施例の薄膜EL
素子の断面を示している。この薄膜EL素子は、ガラス
基板1上に、発光層5と、この発光層5の両側に設けら
れた一対の電極層2,8と、電極層2,8と発光層5との
間に挟まれた絶縁層9,10を有している。上記絶縁層
9は、電極層2側に配されたTaON膜3と、発光層5
側に配されたSi3N4膜(またはSiON膜)4とからなっ
ている。一方、絶縁層10は、発光層5側に配されたS
i3N4膜(またはSiON膜)6と、電極層8側に配された
SiO2膜(またはAl2O3膜)7とからなっている。
素子の断面を示している。この薄膜EL素子は、ガラス
基板1上に、発光層5と、この発光層5の両側に設けら
れた一対の電極層2,8と、電極層2,8と発光層5との
間に挟まれた絶縁層9,10を有している。上記絶縁層
9は、電極層2側に配されたTaON膜3と、発光層5
側に配されたSi3N4膜(またはSiON膜)4とからなっ
ている。一方、絶縁層10は、発光層5側に配されたS
i3N4膜(またはSiON膜)6と、電極層8側に配された
SiO2膜(またはAl2O3膜)7とからなっている。
【0017】この薄膜EL素子は次のようにして作製す
る。
る。
【0018】まず、ガラス基板1上に、ITOからなる
透明電極群(電極層)2を形成する。その上に、高周波ス
パッタ法により、Ta2O5焼結ターゲットと、Ar,O2,
N2,N2Oを混合してなるスパッタガスとを用いて、厚さ
3000ÅのTaON膜3を堆積し、続いて、Siターゲ
ットと、Ar,O2,N2,N2Oを混合してなるスパッタガ
スとを用いて、厚さ200ÅのSi3N4膜4を堆積す
る。次に、電子線蒸着法,CVD(化学気相成長)法また
はスパッタリング法により、厚さ8000Å程度のZn
S:Mnなどからなる発光層5を形成する。さらに、CV
D法またはスパッタリング法により、Si3N4膜6,Si
O2膜7(絶縁層10)を形成する。絶縁層10の厚さは
1500Å程度とする。次に、真空中または不活性ガス
雰囲気中で、熱処理(600℃,1時間)を行う。最後
に、Al−Niなどからなる背面電極群(電極層)8を形成
する(作製完了)。
透明電極群(電極層)2を形成する。その上に、高周波ス
パッタ法により、Ta2O5焼結ターゲットと、Ar,O2,
N2,N2Oを混合してなるスパッタガスとを用いて、厚さ
3000ÅのTaON膜3を堆積し、続いて、Siターゲ
ットと、Ar,O2,N2,N2Oを混合してなるスパッタガ
スとを用いて、厚さ200ÅのSi3N4膜4を堆積す
る。次に、電子線蒸着法,CVD(化学気相成長)法また
はスパッタリング法により、厚さ8000Å程度のZn
S:Mnなどからなる発光層5を形成する。さらに、CV
D法またはスパッタリング法により、Si3N4膜6,Si
O2膜7(絶縁層10)を形成する。絶縁層10の厚さは
1500Å程度とする。次に、真空中または不活性ガス
雰囲気中で、熱処理(600℃,1時間)を行う。最後
に、Al−Niなどからなる背面電極群(電極層)8を形成
する(作製完了)。
【0019】このようにして作製した薄膜EL素子は、
図4中に特性(a)で示すように、従来のもの(b),(c)に比
して、実際に発光特性を改善することができた。また、
絶縁破壊耐圧を高めることができた。さらに、通電時の
絶縁破壊による破壊孔も小さくなり、その発生数も減少
した。したがって、信頼性を改善することができた。
図4中に特性(a)で示すように、従来のもの(b),(c)に比
して、実際に発光特性を改善することができた。また、
絶縁破壊耐圧を高めることができた。さらに、通電時の
絶縁破壊による破壊孔も小さくなり、その発生数も減少
した。したがって、信頼性を改善することができた。
【0020】図2は、第2の発明の一実施例の薄膜EL
素子の断面を示している。この薄膜EL素子は、図1に
示した薄膜EL素子と同様に、ガラス基板1上に、発光
層5と、この発光層5の両側に設けられた一対の電極層
2,8と、電極層2,8と発光層5との間に挟まれた絶縁
層19,10を有している(なお、同一構成部分は同一符
号で表している。)。上記絶縁層19は、TaON膜13
とSiO2膜(またはSiON膜)14とからなる単位層を
複数重ねて構成されている。一方、絶縁層10は、発光
層5側に配されたSi3N4膜(またはSiON膜)6と、電
極層8側に配されたSiO2膜(またはAl2O3膜)7とか
らなっている。
素子の断面を示している。この薄膜EL素子は、図1に
示した薄膜EL素子と同様に、ガラス基板1上に、発光
層5と、この発光層5の両側に設けられた一対の電極層
2,8と、電極層2,8と発光層5との間に挟まれた絶縁
層19,10を有している(なお、同一構成部分は同一符
号で表している。)。上記絶縁層19は、TaON膜13
とSiO2膜(またはSiON膜)14とからなる単位層を
複数重ねて構成されている。一方、絶縁層10は、発光
層5側に配されたSi3N4膜(またはSiON膜)6と、電
極層8側に配されたSiO2膜(またはAl2O3膜)7とか
らなっている。
【0021】この薄膜EL素子を作製する場合、まず、
ガラス基板1上に、ITOからなる透明電極群(電極層)
2を形成する。その上に、高周波スパッタ法により、T
a2O5焼結ターゲットと、Ar,O2,N2,N2Oを混合して
なるスパッタガスとを用いてTaON膜13を堆積し、
続いて、基板1を移動(回転)させて、Siターゲット
と、Ar,O2,N2,N2Oを混合してなるスパッタガスと
を用いてSiO2膜14を堆積する。これにより、単位層
を構成する。このとき、単位層の厚さは例えば100Å
とし、膜厚比SiO2/TaON=1/5に設定する。そ
して、この手順を30回繰り返して、厚さ3000Åの
絶縁層19を形成する。この後、図1に示した薄膜EL
素子の場合と同一の材料および条件によって、発光層5
と、絶縁層10と、背面電極群(電極層)8を形成する
(作製完了)。
ガラス基板1上に、ITOからなる透明電極群(電極層)
2を形成する。その上に、高周波スパッタ法により、T
a2O5焼結ターゲットと、Ar,O2,N2,N2Oを混合して
なるスパッタガスとを用いてTaON膜13を堆積し、
続いて、基板1を移動(回転)させて、Siターゲット
と、Ar,O2,N2,N2Oを混合してなるスパッタガスと
を用いてSiO2膜14を堆積する。これにより、単位層
を構成する。このとき、単位層の厚さは例えば100Å
とし、膜厚比SiO2/TaON=1/5に設定する。そ
して、この手順を30回繰り返して、厚さ3000Åの
絶縁層19を形成する。この後、図1に示した薄膜EL
素子の場合と同一の材料および条件によって、発光層5
と、絶縁層10と、背面電極群(電極層)8を形成する
(作製完了)。
【0022】この薄膜EL素子も、従来のものに比し
て、発光特性および信頼性を改善することができた。し
かし、次の素子の検討結果で述べるように、信頼性は改
良の余地があった。
て、発光特性および信頼性を改善することができた。し
かし、次の素子の検討結果で述べるように、信頼性は改
良の余地があった。
【0023】図6は、第2の発明の別の実施例の薄膜E
L素子を示している。この薄膜EL素子は、ガラス基板
1上に、発光層5と、この発光層5の両側に設けられた
一対の電極層2,8と、電極層2,8と発光層5との間に
挟まれた絶縁層20,10を有している。上記絶縁層2
0は、電極層2側に配され、TaON膜13とSiO2膜
(またはSiON膜)14とからなる単位層を複数重ねて
なる積層膜19と、発光層5側に配されたSi3N4膜(ま
たはSiON膜)15とからなっている。一方、絶縁層1
0は、発光層5側に配されたSi3N4膜(またはSiON
膜)6と、電極層8側に配されたSiO2膜(またはAl2O
3膜)7とからなっている。
L素子を示している。この薄膜EL素子は、ガラス基板
1上に、発光層5と、この発光層5の両側に設けられた
一対の電極層2,8と、電極層2,8と発光層5との間に
挟まれた絶縁層20,10を有している。上記絶縁層2
0は、電極層2側に配され、TaON膜13とSiO2膜
(またはSiON膜)14とからなる単位層を複数重ねて
なる積層膜19と、発光層5側に配されたSi3N4膜(ま
たはSiON膜)15とからなっている。一方、絶縁層1
0は、発光層5側に配されたSi3N4膜(またはSiON
膜)6と、電極層8側に配されたSiO2膜(またはAl2O
3膜)7とからなっている。
【0024】この薄膜EL素子を作製する場合、まず、
ガラス基板1上に、ITOからなる透明電極群(電極層)
2を形成する。その上に、高周波スパッタ法により、T
a2O5焼結ターゲットと、Ar,O2,N2,N2Oを混合して
なるスパッタガスとを用いてTaON膜13を堆積し、
続いて、基板1を移動(回転)させて、Siターゲット
と、Ar,O2,N2,N2Oを混合してなるスパッタガスと
を用いてSiO2膜14を堆積する。これにより、単位層
を構成する。このとき、単位層の厚さは例えば100Å
とし、膜厚比SiO2/TaON=1/5に設定する。そ
して、この手順を30回繰り返して、厚さ3000Åの
絶縁層19を形成する。続いて、SiターゲットとAr,
O2,N2,N2Oを混合してなるスパッタガスとを用いて
厚さ200ÅのSi3N4膜15を堆積する。この後、図
1に示した薄膜EL素子の場合と同一の材料および条件
によって、発光層5と、絶縁層10と、背面電極群(電
極層)8を形成する(作製完了)。
ガラス基板1上に、ITOからなる透明電極群(電極層)
2を形成する。その上に、高周波スパッタ法により、T
a2O5焼結ターゲットと、Ar,O2,N2,N2Oを混合して
なるスパッタガスとを用いてTaON膜13を堆積し、
続いて、基板1を移動(回転)させて、Siターゲット
と、Ar,O2,N2,N2Oを混合してなるスパッタガスと
を用いてSiO2膜14を堆積する。これにより、単位層
を構成する。このとき、単位層の厚さは例えば100Å
とし、膜厚比SiO2/TaON=1/5に設定する。そ
して、この手順を30回繰り返して、厚さ3000Åの
絶縁層19を形成する。続いて、SiターゲットとAr,
O2,N2,N2Oを混合してなるスパッタガスとを用いて
厚さ200ÅのSi3N4膜15を堆積する。この後、図
1に示した薄膜EL素子の場合と同一の材料および条件
によって、発光層5と、絶縁層10と、背面電極群(電
極層)8を形成する(作製完了)。
【0025】本発明者は、上記Si3N4膜15の膜厚を
50Å,100Å,200Åと変化させて試料を作製し
た。そして、加速エージングを行って、しきい値電圧の
変化ΔVth,輝度の変化を調べたところ、図7に示すよ
うな結果が得られた。図7中、(f),(g),(h)はそれぞれ
Si3N4膜15の膜厚が50Å,100Å,200Åのと
きのΔVthを示し、(i),(j),(k)はそれぞれの輝度変化
率(変化ない状態を1とする)を示している。図から分か
るように、Si3N4膜15の膜厚が50Åのときは、発
光層5に対するTaON膜13の影響を抑えることがで
きず、このため、しきい値電圧の変化ΔVth,輝度の変
化率とも大きい。しかし、Si3N4膜15の膜厚が10
0Å以上のときは、TaON膜13の影響を抑えて、し
きい値電圧の変化ΔVth,輝度変化率を大幅に改善する
ことができた。したがって、信頼性を大幅に改善するこ
とができた。また、Si3N4膜15の膜厚が1000Å
を超えると発光しきい値電圧Vthが大きくなり過ぎる。
このため、Si3N4膜15の膜厚を100〜1000Å
に設定するのが望ましい。
50Å,100Å,200Åと変化させて試料を作製し
た。そして、加速エージングを行って、しきい値電圧の
変化ΔVth,輝度の変化を調べたところ、図7に示すよ
うな結果が得られた。図7中、(f),(g),(h)はそれぞれ
Si3N4膜15の膜厚が50Å,100Å,200Åのと
きのΔVthを示し、(i),(j),(k)はそれぞれの輝度変化
率(変化ない状態を1とする)を示している。図から分か
るように、Si3N4膜15の膜厚が50Åのときは、発
光層5に対するTaON膜13の影響を抑えることがで
きず、このため、しきい値電圧の変化ΔVth,輝度の変
化率とも大きい。しかし、Si3N4膜15の膜厚が10
0Å以上のときは、TaON膜13の影響を抑えて、し
きい値電圧の変化ΔVth,輝度変化率を大幅に改善する
ことができた。したがって、信頼性を大幅に改善するこ
とができた。また、Si3N4膜15の膜厚が1000Å
を超えると発光しきい値電圧Vthが大きくなり過ぎる。
このため、Si3N4膜15の膜厚を100〜1000Å
に設定するのが望ましい。
【0026】
【発明の効果】以上より明らかなように、第1の発明の
薄膜EL素子は、少なくとも一方の電極層と発光層との
間に介在させた絶縁層を、上記電極層側に配されたTa
ON膜と、上記発光層側に配されたSi3N4膜またはSi
ON膜とで構成しているので、発光特性および信頼性を
向上させることができる。
薄膜EL素子は、少なくとも一方の電極層と発光層との
間に介在させた絶縁層を、上記電極層側に配されたTa
ON膜と、上記発光層側に配されたSi3N4膜またはSi
ON膜とで構成しているので、発光特性および信頼性を
向上させることができる。
【0027】また、第2の発明の薄膜EL素子は、少な
くとも一方の電極層と上記発光層との間に介在させた絶
縁層は、TaON膜と、SiO2膜またはSiON膜とから
なる単位層を複数重ねてなる積層膜を有しているので、
この積層膜を上記電極層側に配し、Taに対してバリア
として働くSi3N4膜またはSiON膜を発光層側に配す
ることによって、発光特性および信頼性を向上させるこ
とができる。
くとも一方の電極層と上記発光層との間に介在させた絶
縁層は、TaON膜と、SiO2膜またはSiON膜とから
なる単位層を複数重ねてなる積層膜を有しているので、
この積層膜を上記電極層側に配し、Taに対してバリア
として働くSi3N4膜またはSiON膜を発光層側に配す
ることによって、発光特性および信頼性を向上させるこ
とができる。
【図1】 第1の発明の一実施例の薄膜EL素子の断面
を示す図である。
を示す図である。
【図2】 第2の発明の一実施例の薄膜EL素子の断面
を示す図である。
を示す図である。
【図3】 SiON膜とTaON膜とからなる単位層の厚
さと比誘電率εrとの関係を示す図である。
さと比誘電率εrとの関係を示す図である。
【図4】 薄膜EL素子の発光特性を示す図である。
【図5】 薄膜EL素子を構成する絶縁層の総膜厚と発
光しきい値電圧Vthとの関係を示す図である。
光しきい値電圧Vthとの関係を示す図である。
【図6】 第2の発明の別の実施例の薄膜EL素子の断
面を示す図である。
面を示す図である。
【図7】 薄膜EL素子のエージング結果を示す図であ
る。
る。
【図8】 従来の薄膜EL素子の断面を示す図である。
1 ガラス基板 2 透明電極
群 3,13 TaON膜 5 発光層 4,6,15 Si3N4膜 7 SiO2膜 8 背面電極群 9,10,20
絶縁層 14 SiO2膜 19 積層膜
群 3,13 TaON膜 5 発光層 4,6,15 Si3N4膜 7 SiO2膜 8 背面電極群 9,10,20
絶縁層 14 SiO2膜 19 積層膜
Claims (8)
- 【請求項1】 発光層と、この発光層を挟む一対の電極
層を有し、上記電極層のうち少なくとも一方の電極層と
上記発光層との間に絶縁層を介在させた薄膜EL素子に
おいて、 上記絶縁層は、上記電極層側に配されたTaON膜と、
上記発光層側に配されたSi3N4膜またはSiON膜とか
らなることを特徴とする薄膜EL素子。 - 【請求項2】 請求項1に記載の薄膜EL素子におい
て、 上記TaON膜の厚さが1000Å乃至6000Åであ
り、上記Si3N4膜またはSiON膜の厚さが100Å乃
至1000Åであることを特徴とする薄膜EL素子。 - 【請求項3】 発光層と、この発光層を挟む一対の電極
層を有し、上記電極層のうち少なくとも一方の電極層と
上記発光層との間に絶縁層を介在させた薄膜EL素子に
おいて、 上記絶縁層は、TaON膜と、SiO2膜またはSiON膜
とからなる単位層を複数重ねてなる積層膜を有すること
を特徴とする薄膜EL素子。 - 【請求項4】 請求項3に記載の薄膜EL素子におい
て、 上記絶縁層は、上記積層膜を上記電極層側に有し、上記
発光層側にSi3N4膜またはSiON膜を有することを特
徴とする薄膜EL素子。 - 【請求項5】 請求項3または4に記載の薄膜EL素子
において、 上記単位層を構成するSiO2膜またはSiON膜と、Ta
ON膜との膜厚比SiO2/TaONまたはSiON/Ta
ONの値が、1/15乃至10/15の範囲内にあるこ
とを特徴とする薄膜EL素子。 - 【請求項6】 請求項3乃至5のいずれかに記載の薄膜
EL素子において、上記単位層の厚さが300Å以下で
あることを特徴とする薄膜EL素子。 - 【請求項7】 請求項3乃至6のいずれかに記載の薄膜
EL素子において、上記TaON膜とSiO2膜またはSi
ON膜とからなる単位層を複数重ねてなる積層膜の厚さ
が1000Å乃至6000Åであることを特徴とする薄
膜EL素子。 - 【請求項8】 請求項4に記載の薄膜EL素子におい
て、上記Si3N4膜またはSiON膜の厚さが100Å
乃至1000Åであることを特徴とする薄膜EL素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4340163A JPH05347187A (ja) | 1992-04-13 | 1992-12-21 | 薄膜el素子 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9266592 | 1992-04-13 | ||
JP4-92665 | 1992-04-13 | ||
JP4340163A JPH05347187A (ja) | 1992-04-13 | 1992-12-21 | 薄膜el素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05347187A true JPH05347187A (ja) | 1993-12-27 |
Family
ID=26434049
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4340163A Pending JPH05347187A (ja) | 1992-04-13 | 1992-12-21 | 薄膜el素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05347187A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5789860A (en) * | 1995-08-11 | 1998-08-04 | Nippondenso Co., Ltd. | Dielectric thin film composition and thin-film EL device using same |
KR20010066386A (ko) * | 1999-12-31 | 2001-07-11 | 박종섭 | 플래시 메모리의 게이트전극 제조방법 |
US6740553B1 (en) * | 1999-06-25 | 2004-05-25 | Hyundai Electronics Industries Co., Ltd. | Capacitor for semiconductor memory device and method of manufacturing the same |
-
1992
- 1992-12-21 JP JP4340163A patent/JPH05347187A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5789860A (en) * | 1995-08-11 | 1998-08-04 | Nippondenso Co., Ltd. | Dielectric thin film composition and thin-film EL device using same |
US6036823A (en) * | 1995-08-11 | 2000-03-14 | Denso Corporation | Dielectric thin film and thin-film EL device using same |
US6740553B1 (en) * | 1999-06-25 | 2004-05-25 | Hyundai Electronics Industries Co., Ltd. | Capacitor for semiconductor memory device and method of manufacturing the same |
KR20010066386A (ko) * | 1999-12-31 | 2001-07-11 | 박종섭 | 플래시 메모리의 게이트전극 제조방법 |
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