JPH05305418A - 吸引鋳造法による薄板鋳塊の製造方法 - Google Patents
吸引鋳造法による薄板鋳塊の製造方法Info
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- JPH05305418A JPH05305418A JP11026592A JP11026592A JPH05305418A JP H05305418 A JPH05305418 A JP H05305418A JP 11026592 A JP11026592 A JP 11026592A JP 11026592 A JP11026592 A JP 11026592A JP H05305418 A JPH05305418 A JP H05305418A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 表面品質が良好で、凝固収縮に伴う内部欠陥
の少ない薄板鋳塊が得られる吸引鋳造法による薄板鋳塊
の製造方法を提供する。 【構成】 薄板鋳塊用のキャビティが形成された鋳型1
の外周に加熱装置4を配設し、この加熱装置4によって
鋳型1の片面または両面に先端部から溶湯注入口に向か
って正の温度勾配を付与せしめ、この鋳型1内を減圧す
ることによって溶融金属保持炉の溶融金属Mを鋳型1内
に注入する。
の少ない薄板鋳塊が得られる吸引鋳造法による薄板鋳塊
の製造方法を提供する。 【構成】 薄板鋳塊用のキャビティが形成された鋳型1
の外周に加熱装置4を配設し、この加熱装置4によって
鋳型1の片面または両面に先端部から溶湯注入口に向か
って正の温度勾配を付与せしめ、この鋳型1内を減圧す
ることによって溶融金属保持炉の溶融金属Mを鋳型1内
に注入する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸引鋳造法による薄板
鋳塊の製造方法に関し、詳細には、通常の金属薄板材の
製造工程では少量生産のため製造コストが高くなるスパ
ッタリングターゲット材(寸法:厚さ10mm以下、表面積
50mmφ〜 300mm×1000mm程度、材質:アルミ合金、コバ
ルト系合金等)など、あるいは加工が難しい難加工材
(金属間化合物、クロム合金、鉄基,ニッケル基,コバ
ルト基鋳造合金等)の薄板材を対象とし、且つ板厚が数
mm〜50mm程度で長さが板厚の5倍以上の寸法からなる薄
板鋳塊の製造方法に関するものである。
鋳塊の製造方法に関し、詳細には、通常の金属薄板材の
製造工程では少量生産のため製造コストが高くなるスパ
ッタリングターゲット材(寸法:厚さ10mm以下、表面積
50mmφ〜 300mm×1000mm程度、材質:アルミ合金、コバ
ルト系合金等)など、あるいは加工が難しい難加工材
(金属間化合物、クロム合金、鉄基,ニッケル基,コバ
ルト基鋳造合金等)の薄板材を対象とし、且つ板厚が数
mm〜50mm程度で長さが板厚の5倍以上の寸法からなる薄
板鋳塊の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記のような薄板鋳塊(以下鋳塊と言う
こともある)の一般的な製造方法としては、薄板鋳塊用
のキャビティが形成された鋳型に直接溶融金属を注入し
て薄板鋳塊を製造するバッチ式の鋳造法が適しており、
重力鋳造法、低圧鋳造法および吸引鋳造法が適用され
る。
こともある)の一般的な製造方法としては、薄板鋳塊用
のキャビティが形成された鋳型に直接溶融金属を注入し
て薄板鋳塊を製造するバッチ式の鋳造法が適しており、
重力鋳造法、低圧鋳造法および吸引鋳造法が適用され
る。
【0003】重力鋳造法は、雨堰方式と呼ばれる多孔11
を有するタンディッシュ(雨堰)12を用い、上注ぎ方式
で直接鋳型13の薄板鋳塊用のキャビティC内に溶融金属
Mを注入する方式(図2参照)、あるいは精密鋳造方式
(ロストワックス法)のように緻密なセラミックで鋳型
や押湯部を構成し、この鋳型の薄板鋳塊用のキャビティ
内に溶融金属を注入する方式がある。
を有するタンディッシュ(雨堰)12を用い、上注ぎ方式
で直接鋳型13の薄板鋳塊用のキャビティC内に溶融金属
Mを注入する方式(図2参照)、あるいは精密鋳造方式
(ロストワックス法)のように緻密なセラミックで鋳型
や押湯部を構成し、この鋳型の薄板鋳塊用のキャビティ
内に溶融金属を注入する方式がある。
【0004】また、低圧鋳造法は、周知のように溶融金
属保持炉と鋳型とを注湯管で連結し、溶融金属保持炉の
湯面にガス圧を作用させ溶融金属保持炉内の溶融金属を
注湯管を介して鋳型内に注入する方式であり、吸引鋳造
法は、低圧鋳造法と同構成の装置において鋳型内を減圧
にして溶融金属保持炉内の溶融金属を注湯管を介して鋳
型内に注入する方式である。
属保持炉と鋳型とを注湯管で連結し、溶融金属保持炉の
湯面にガス圧を作用させ溶融金属保持炉内の溶融金属を
注湯管を介して鋳型内に注入する方式であり、吸引鋳造
法は、低圧鋳造法と同構成の装置において鋳型内を減圧
にして溶融金属保持炉内の溶融金属を注湯管を介して鋳
型内に注入する方式である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の方式
により薄板鋳塊を製造する場合、重力鋳造法の雨堰12を
用いる上注ぎ方式では、比較的注湯流の乱れを抑制し易
い利点はあるが、注湯時に多数のスプラッシュが発生
し、鋳型13として金型を用いる場合は表面性状が問題と
なる。また、最終凝固部に当たる板厚中心部に中心線収
縮と称する内部欠陥や、鋳塊の凝固収縮に伴う引巣欠陥
が発生し易く、これらを防止するためには、凝固収縮部
に十分な溶融金属を供給する必要があるが、雨堰12を介
しては押湯部が十分に保持できず押湯効果が不十分な場
合が多く、健全な長尺薄板鋳塊を製造することが難し
い。
により薄板鋳塊を製造する場合、重力鋳造法の雨堰12を
用いる上注ぎ方式では、比較的注湯流の乱れを抑制し易
い利点はあるが、注湯時に多数のスプラッシュが発生
し、鋳型13として金型を用いる場合は表面性状が問題と
なる。また、最終凝固部に当たる板厚中心部に中心線収
縮と称する内部欠陥や、鋳塊の凝固収縮に伴う引巣欠陥
が発生し易く、これらを防止するためには、凝固収縮部
に十分な溶融金属を供給する必要があるが、雨堰12を介
しては押湯部が十分に保持できず押湯効果が不十分な場
合が多く、健全な長尺薄板鋳塊を製造することが難し
い。
【0006】また、精密鋳造方式では、表面は美麗な薄
板鋳塊が得られるものの、板厚中心部の凝固収縮に伴う
引巣等の欠陥を防止することは困難である。さらに、鋳
型製造コストが高いといった経済的な問題もある。
板鋳塊が得られるものの、板厚中心部の凝固収縮に伴う
引巣等の欠陥を防止することは困難である。さらに、鋳
型製造コストが高いといった経済的な問題もある。
【0007】これに対して、低圧鋳造方式または吸引鋳
造方式では、重力鋳造法に比べて注湯流が制御し易いた
め表面性状の良好な薄板鋳塊が得やすく、また凝固収縮
部への溶融金属の供給が、溶融金属保持炉から注湯管を
介して自然に行われるため、健全な薄板鋳塊が得られ
る。
造方式では、重力鋳造法に比べて注湯流が制御し易いた
め表面性状の良好な薄板鋳塊が得やすく、また凝固収縮
部への溶融金属の供給が、溶融金属保持炉から注湯管を
介して自然に行われるため、健全な薄板鋳塊が得られ
る。
【0008】また、この内でも、吸引鋳造方式は、鋳造
時に水素などのガス成分の除去効果も期待できるため、
高品質な鋳塊の製造に適していると言える。しかしなが
ら、本方式でも健全な長尺薄板鋳塊を製造するには、次
のような問題点がある。すなわち、図3に示すように、
鋳型14の幅面(広面)に注湯管15を接続する構造とし、
この鋳型14を排気装置16に接続された減圧チャンバー17
内に設けて吸引鋳造を行うと、鋳型14が金型、セラミッ
ク型あるいは広面の一方が金型で他方がセラミック型ま
たは断熱性耐火材からなる型などの組合せ型としても、
注湯後の鋳型14内における凝固が型との当接面から進行
するため最終凝固部が、薄板鋳塊の板厚中心部あるいは
断熱性耐火材の型を片面に使用した場合にはその断熱面
近傍(断熱面から約 3mm以内の所)になり、いづれにせ
よ、その部位には凝固収縮に伴う内部欠陥が認められ
る。
時に水素などのガス成分の除去効果も期待できるため、
高品質な鋳塊の製造に適していると言える。しかしなが
ら、本方式でも健全な長尺薄板鋳塊を製造するには、次
のような問題点がある。すなわち、図3に示すように、
鋳型14の幅面(広面)に注湯管15を接続する構造とし、
この鋳型14を排気装置16に接続された減圧チャンバー17
内に設けて吸引鋳造を行うと、鋳型14が金型、セラミッ
ク型あるいは広面の一方が金型で他方がセラミック型ま
たは断熱性耐火材からなる型などの組合せ型としても、
注湯後の鋳型14内における凝固が型との当接面から進行
するため最終凝固部が、薄板鋳塊の板厚中心部あるいは
断熱性耐火材の型を片面に使用した場合にはその断熱面
近傍(断熱面から約 3mm以内の所)になり、いづれにせ
よ、その部位には凝固収縮に伴う内部欠陥が認められ
る。
【0009】そこで、本発明の目的は、比較的品質に優
れた薄板鋳塊が得られる吸引鋳造法に着目し、この方法
が有する上記問題点を解消して、表面品質が良好で、凝
固収縮に伴う内部欠陥の少ない薄板鋳塊が得られる吸引
鋳造法による薄板鋳塊の製造方法を提供することであ
る。
れた薄板鋳塊が得られる吸引鋳造法に着目し、この方法
が有する上記問題点を解消して、表面品質が良好で、凝
固収縮に伴う内部欠陥の少ない薄板鋳塊が得られる吸引
鋳造法による薄板鋳塊の製造方法を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係わる吸引鋳造法による薄板鋳塊の製造
方法の一つは、薄板鋳塊用のキャビティが形成された鋳
型の片面または両面に、鋳型の先端部から溶湯注入口に
向かって正の温度勾配を付与せしめ、この鋳型内を減圧
することによって溶融金属保持炉の溶融金属を鋳型内に
注入するものである。
めに、本発明に係わる吸引鋳造法による薄板鋳塊の製造
方法の一つは、薄板鋳塊用のキャビティが形成された鋳
型の片面または両面に、鋳型の先端部から溶湯注入口に
向かって正の温度勾配を付与せしめ、この鋳型内を減圧
することによって溶融金属保持炉の溶融金属を鋳型内に
注入するものである。
【0011】また、一つは、薄板鋳塊用のキャビティが
形成された鋳型の長手方向の一方の外側部に、前記キャ
ビティに湯口を開口し且つ断熱性耐火材で構成された溶
融金属注湯室を設けると共にこの溶融金属注湯室と溶融
金属保持炉とを注湯管で連通せしめる一方、前記鋳型の
片面または両面に、鋳型の先端部から溶湯注入口に向か
って正の温度勾配を付与せしめ、この鋳型内を減圧する
ことによって溶融金属保持炉の溶融金属を溶融金属注湯
室を介して鋳型内に注入するものである。
形成された鋳型の長手方向の一方の外側部に、前記キャ
ビティに湯口を開口し且つ断熱性耐火材で構成された溶
融金属注湯室を設けると共にこの溶融金属注湯室と溶融
金属保持炉とを注湯管で連通せしめる一方、前記鋳型の
片面または両面に、鋳型の先端部から溶湯注入口に向か
って正の温度勾配を付与せしめ、この鋳型内を減圧する
ことによって溶融金属保持炉の溶融金属を溶融金属注湯
室を介して鋳型内に注入するものである。
【0012】
【作用】次に本発明の構成並びに作用を詳細に説明す
る。図1は、本発明に係わる吸引鋳造法による薄板鋳塊
の製造方法に適用される好ましい設備の一例を示す概念
図であって、薄板鋳塊Sを鋳造するための鋳型1、溶融
金属Mを一端受けるための断熱性耐火材で構成された溶
融金属注湯室2、溶融金属注湯室2から鋳型1内に溶融
金属Mを注入するための湯口3、鋳型1の先端から湯口
3に向かって正の温度勾配を付与するために、鋳型1の
両面に設けられた加熱装置4、溶融金属注湯室2に溶融
金属Mを注入するための注湯管5、鋳型1や溶融金属注
湯室2を収容しこれらの内部を減圧にするための減圧チ
ャンバー6、減圧チャンバー6に連結され鋳型1内を減
圧にするための排気装置7、から構成されている。
る。図1は、本発明に係わる吸引鋳造法による薄板鋳塊
の製造方法に適用される好ましい設備の一例を示す概念
図であって、薄板鋳塊Sを鋳造するための鋳型1、溶融
金属Mを一端受けるための断熱性耐火材で構成された溶
融金属注湯室2、溶融金属注湯室2から鋳型1内に溶融
金属Mを注入するための湯口3、鋳型1の先端から湯口
3に向かって正の温度勾配を付与するために、鋳型1の
両面に設けられた加熱装置4、溶融金属注湯室2に溶融
金属Mを注入するための注湯管5、鋳型1や溶融金属注
湯室2を収容しこれらの内部を減圧にするための減圧チ
ャンバー6、減圧チャンバー6に連結され鋳型1内を減
圧にするための排気装置7、から構成されている。
【0013】なお、この例では、溶融金属注湯室2を設
けこれに注湯管5を接続したが、溶融金属注湯室2を設
けずに鋳型1に直接注湯管5を接続してもよい。また、
加熱装置4を鋳型1の上下両面に設けたが、いずれか一
方に設けてもよい。また、減圧チャンバー6を用いてい
るが、排気装置7を直接鋳型1または鋳型1と溶融金属
注湯室2とに連結して排気する方式としてもよい。
けこれに注湯管5を接続したが、溶融金属注湯室2を設
けずに鋳型1に直接注湯管5を接続してもよい。また、
加熱装置4を鋳型1の上下両面に設けたが、いずれか一
方に設けてもよい。また、減圧チャンバー6を用いてい
るが、排気装置7を直接鋳型1または鋳型1と溶融金属
注湯室2とに連結して排気する方式としてもよい。
【0014】鋳型1として、鋼、鋳鉄、銅などの金型を
用いる場合は、鋳型1内を減圧にするため、排気用の孔
またはスリットを設ける必要がある。また、セラミック
型を用いる場合は、通気性のある材料であればセラミッ
ク型自体を通して排気できるが、緻密な材料であれば、
前記金型と同様に排気用の孔またはスリットを設ける必
要がある。また、金型やセラミック型の代わりに黒鉛型
を用いることも可能である。さらに、薄板鋳塊用キャビ
ティを形成するのに片面を金型か黒鉛型、対面をセラミ
ック型とし、板厚方向に方向性凝固させる鋳型構造とす
ることも有効である。
用いる場合は、鋳型1内を減圧にするため、排気用の孔
またはスリットを設ける必要がある。また、セラミック
型を用いる場合は、通気性のある材料であればセラミッ
ク型自体を通して排気できるが、緻密な材料であれば、
前記金型と同様に排気用の孔またはスリットを設ける必
要がある。また、金型やセラミック型の代わりに黒鉛型
を用いることも可能である。さらに、薄板鋳塊用キャビ
ティを形成するのに片面を金型か黒鉛型、対面をセラミ
ック型とし、板厚方向に方向性凝固させる鋳型構造とす
ることも有効である。
【0015】本発明では、上記の如く、鋳型1とは別に
鋳型1に接続して溶融金属注湯室2を設け、これらの内
部を減圧にして溶融金属保持炉内の溶融金属Mを注湯管
5を通して吸い上げるに際し、溶融金属Mを一端前記溶
融金属注湯室2に受けた後、湯口3を介して溶融金属M
を鋳型1内に注入するので、注入初期における鋳型1内
への流入溶融金属の乱れを少なくすることができ表面品
質の良好な薄板鋳塊Sが製造できる。また、溶融金属注
湯室2内に溶融金属Mを保持しながら、しかも加熱装置
4により鋳型1の先端から湯口3に向けて正の温度勾配
を付与しながら鋳造できるので、鋳型1内の凝固が鋳型
1の先端から順次湯口3に向かって進行し、また凝固部
には溶融金属注湯室2から自然に溶融金属が供給される
ので、凝固収縮による内部欠陥の極めて少ない薄板鋳塊
Sを製造することができる。
鋳型1に接続して溶融金属注湯室2を設け、これらの内
部を減圧にして溶融金属保持炉内の溶融金属Mを注湯管
5を通して吸い上げるに際し、溶融金属Mを一端前記溶
融金属注湯室2に受けた後、湯口3を介して溶融金属M
を鋳型1内に注入するので、注入初期における鋳型1内
への流入溶融金属の乱れを少なくすることができ表面品
質の良好な薄板鋳塊Sが製造できる。また、溶融金属注
湯室2内に溶融金属Mを保持しながら、しかも加熱装置
4により鋳型1の先端から湯口3に向けて正の温度勾配
を付与しながら鋳造できるので、鋳型1内の凝固が鋳型
1の先端から順次湯口3に向かって進行し、また凝固部
には溶融金属注湯室2から自然に溶融金属が供給される
ので、凝固収縮による内部欠陥の極めて少ない薄板鋳塊
Sを製造することができる。
【0016】上記のような加熱装置4による正の温度勾
配の作用をより効果的に得るためには、先端から湯口ま
での温度差を少なくとも50℃は取る必要がある。また、
溶融金属注湯室2の作用をより効果的に得るためには、
溶融金属注湯室2内の溶融金属Mが鋳型1内のそれより
凝固が遅くなるようにする必要がある。従って、溶融金
属注湯室2としては、前記断熱性耐火物で構成すること
に加えて室内の高さを板厚よりも大きい寸法に形成する
とよい。また、このような寸法にすることにより、太い
注湯管5を用いることができるので、注湯管5内での溶
融金属Mの凝固による閉塞が防止できる。またさらに、
本発明の方法は吸引鋳造法であるため、通常の重力鋳造
法や低圧鋳造法と比べて水素などのガス成分の除去効果
も優れており、ブローホールなどのガス起因欠陥も少な
い。
配の作用をより効果的に得るためには、先端から湯口ま
での温度差を少なくとも50℃は取る必要がある。また、
溶融金属注湯室2の作用をより効果的に得るためには、
溶融金属注湯室2内の溶融金属Mが鋳型1内のそれより
凝固が遅くなるようにする必要がある。従って、溶融金
属注湯室2としては、前記断熱性耐火物で構成すること
に加えて室内の高さを板厚よりも大きい寸法に形成する
とよい。また、このような寸法にすることにより、太い
注湯管5を用いることができるので、注湯管5内での溶
融金属Mの凝固による閉塞が防止できる。またさらに、
本発明の方法は吸引鋳造法であるため、通常の重力鋳造
法や低圧鋳造法と比べて水素などのガス成分の除去効果
も優れており、ブローホールなどのガス起因欠陥も少な
い。
【0017】本発明方法を適用する金属(合金を含む)
は、特に限定するものではないが、実用的には、Sn、A
l、Cu、Fe、Ni、Co、Ti、Zr、Crなどを主成分とする金
属に適用される。また、溶融金属注湯室2の断熱性耐火
材として一般的な酸化物系耐火材(酸化アルミニウム、
酸化マグネシウム、シリカなど)を用いる場合は、融点
が2000℃以下の金属に限定することが望ましい。
は、特に限定するものではないが、実用的には、Sn、A
l、Cu、Fe、Ni、Co、Ti、Zr、Crなどを主成分とする金
属に適用される。また、溶融金属注湯室2の断熱性耐火
材として一般的な酸化物系耐火材(酸化アルミニウム、
酸化マグネシウム、シリカなど)を用いる場合は、融点
が2000℃以下の金属に限定することが望ましい。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。上記図1
に示す設備を用い、Al-0.7wt%Ti溶湯(融点 800℃)を
溶融金属保持炉に準備し、幅 200mm×長さ1000mm×厚さ
12mmの薄板鋳塊を製造した。
に示す設備を用い、Al-0.7wt%Ti溶湯(融点 800℃)を
溶融金属保持炉に準備し、幅 200mm×長さ1000mm×厚さ
12mmの薄板鋳塊を製造した。
【0019】この製造に際し、鋳型1は、下型を厚さ19
mmの鋼板、上型を厚さ10mmで通気性を有するアルミナシ
リカ系耐火物ボード(気孔率80〜95%)とし、板厚高さ
の炭素鋼製の枠に取付けた構成とした。また、溶融金属
注湯室2は、上面に通気性を有するアルミナシリカ系耐
火物ボードを用い、50mm×50mm× 200mmの内空間を有す
るようにアルミナシリカ系耐火材で構成し、鋳型1に内
径10mmの孔4個からなる湯口3を介して取付けた。ま
た、溶融金属注湯室2の底面には、内径30mmの塗型を塗
布した鋼管を注湯管5として取付けた。加熱装置4は、
ニクロムヒーターで上型の耐火物ボード上面のみに設
け、加熱温度は、耐火物ボードの肉厚中心部の温度が、
鋳型1の先端部側で 100℃、湯口3側で 160℃になるよ
うに付与し、温度勾配を60℃に取った。
mmの鋼板、上型を厚さ10mmで通気性を有するアルミナシ
リカ系耐火物ボード(気孔率80〜95%)とし、板厚高さ
の炭素鋼製の枠に取付けた構成とした。また、溶融金属
注湯室2は、上面に通気性を有するアルミナシリカ系耐
火物ボードを用い、50mm×50mm× 200mmの内空間を有す
るようにアルミナシリカ系耐火材で構成し、鋳型1に内
径10mmの孔4個からなる湯口3を介して取付けた。ま
た、溶融金属注湯室2の底面には、内径30mmの塗型を塗
布した鋼管を注湯管5として取付けた。加熱装置4は、
ニクロムヒーターで上型の耐火物ボード上面のみに設
け、加熱温度は、耐火物ボードの肉厚中心部の温度が、
鋳型1の先端部側で 100℃、湯口3側で 160℃になるよ
うに付与し、温度勾配を60℃に取った。
【0020】鋳造に当たっては、注湯管5の先端を溶融
金属保持炉のAl-0.7wt%Ti溶湯M(温度 900℃)内に装
入した後、減圧チャンバー6と排気装置7を連結してい
る配管のバルブを開け、減圧チャンバー6内を吸引して
減圧した。この減圧によって、減圧チャンバー6内が減
圧されるにつれ、鋳型1内および溶融金属注湯室2内も
通気性の耐火物ボードを介して減圧され、Al-0.7wt%Ti
溶湯Mが溶融金属注湯室2内に吸い上げられ、さらに湯
口3を通って鋳型1内に注入される。この時の溶融金属
注湯室2内および鋳型1内への注入は約10秒で行い、ま
た注入終了後の保持は約90秒行った。
金属保持炉のAl-0.7wt%Ti溶湯M(温度 900℃)内に装
入した後、減圧チャンバー6と排気装置7を連結してい
る配管のバルブを開け、減圧チャンバー6内を吸引して
減圧した。この減圧によって、減圧チャンバー6内が減
圧されるにつれ、鋳型1内および溶融金属注湯室2内も
通気性の耐火物ボードを介して減圧され、Al-0.7wt%Ti
溶湯Mが溶融金属注湯室2内に吸い上げられ、さらに湯
口3を通って鋳型1内に注入される。この時の溶融金属
注湯室2内および鋳型1内への注入は約10秒で行い、ま
た注入終了後の保持は約90秒行った。
【0021】このようにして製造した薄板鋳塊は、湯口
3が大きく構成できるため湯流れの乱れもなく、良好な
表面性状を有していた。さらに、鋳型1内の金属溶湯M
は、加熱装置4によって鋳型1の先端から湯口3に向け
て正の温度勾配が付与されているので、凝固が鋳型1の
先端から順次湯口3に向かって進行しており、また溶融
金属注湯室2内および湯口3での凝固が鋳型1内より十
分遅れて凝固するので、凝固部には溶融金属注湯室2か
ら自然に溶融金属Mが供給されており、これにより最終
凝固部が湯口3近傍になるため、凝固収縮による内部欠
陥が極めて少な
3が大きく構成できるため湯流れの乱れもなく、良好な
表面性状を有していた。さらに、鋳型1内の金属溶湯M
は、加熱装置4によって鋳型1の先端から湯口3に向け
て正の温度勾配が付与されているので、凝固が鋳型1の
先端から順次湯口3に向かって進行しており、また溶融
金属注湯室2内および湯口3での凝固が鋳型1内より十
分遅れて凝固するので、凝固部には溶融金属注湯室2か
ら自然に溶融金属Mが供給されており、これにより最終
凝固部が湯口3近傍になるため、凝固収縮による内部欠
陥が極めて少な
【0022】一方、比較のため、加熱装置4を使用せ
ず、他は同一条件にして吸引鋳造を行ったところ、これ
により製造された薄板鋳塊は、断熱面(上面)側の深さ
2mm以内の表層部に微細な凝固収縮欠陥が分散して確認
された。
ず、他は同一条件にして吸引鋳造を行ったところ、これ
により製造された薄板鋳塊は、断熱面(上面)側の深さ
2mm以内の表層部に微細な凝固収縮欠陥が分散して確認
された。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる吸
引鋳造法による薄板鋳塊の製造方法によれば、表面品質
が良好で、凝固収縮に伴う内部欠陥の少ない薄板鋳塊が
得られる。
引鋳造法による薄板鋳塊の製造方法によれば、表面品質
が良好で、凝固収縮に伴う内部欠陥の少ない薄板鋳塊が
得られる。
【図1】本発明に係わる吸引鋳造法による薄板鋳塊の製
造方法に適用される設備の一例を示す概念図である。
造方法に適用される設備の一例を示す概念図である。
【図2】重力鋳造法による薄板鋳塊製造設備の説明図で
あって、 (a)は正面断面図、 (b)は側面断面図である。
あって、 (a)は正面断面図、 (b)は側面断面図である。
【図3】吸引鋳造法による薄板鋳塊製造設備の説明図で
あって、 (a)は正面概念図、 (b)は (a)のY−Y断面
図、 (c)は薄板鋳塊の斜視図である。
あって、 (a)は正面概念図、 (b)は (a)のY−Y断面
図、 (c)は薄板鋳塊の斜視図である。
1:鋳型 2:溶融金属注湯室
3:湯口 4:加熱装置 5:注湯管
6:減圧チャンバー 7:排気装置 M:溶融金属
S:薄板鋳塊
3:湯口 4:加熱装置 5:注湯管
6:減圧チャンバー 7:排気装置 M:溶融金属
S:薄板鋳塊
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西 誠治 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 國井 一孝 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 小田 正彦 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 薄板鋳塊用のキャビティが形成された鋳
型の片面または両面に、鋳型の先端部から溶湯注入口に
向かって正の温度勾配を付与せしめ、この鋳型内を減圧
することによって溶融金属保持炉の溶融金属を鋳型内に
注入することを特徴とする吸引鋳造法による薄板鋳塊の
製造方法。 - 【請求項2】 薄板鋳塊用のキャビティが形成された鋳
型の長手方向の一方の外側部に、前記キャビティに湯口
を開口し且つ断熱性耐火材で構成された溶融金属注湯室
を設けると共にこの溶融金属注湯室と溶融金属保持炉と
を注湯管で連通せしめる一方、前記鋳型の片面または両
面に、鋳型の先端部から溶湯注入口に向かって正の温度
勾配を付与せしめ、この鋳型内を減圧することによって
溶融金属保持炉の溶融金属を溶融金属注湯室を介して鋳
型内に注入することを特徴とする吸引鋳造法による薄板
鋳塊の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11026592A JPH05305418A (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 吸引鋳造法による薄板鋳塊の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11026592A JPH05305418A (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 吸引鋳造法による薄板鋳塊の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05305418A true JPH05305418A (ja) | 1993-11-19 |
Family
ID=14531308
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11026592A Withdrawn JPH05305418A (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 吸引鋳造法による薄板鋳塊の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05305418A (ja) |
-
1992
- 1992-04-28 JP JP11026592A patent/JPH05305418A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19990706 |