JPH05285692A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤInfo
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- JPH05285692A JPH05285692A JP9513692A JP9513692A JPH05285692A JP H05285692 A JPH05285692 A JP H05285692A JP 9513692 A JP9513692 A JP 9513692A JP 9513692 A JP9513692 A JP 9513692A JP H05285692 A JPH05285692 A JP H05285692A
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- Japan
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- flux
- welding
- wire
- cored wire
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、溶接作業性に優れたチタニヤ系フ
ラックス入りワイヤで、溶接金属の機械的性能を劣化さ
せることなく大電流溶接においてスラグ被包性を改善し
たワイヤを提供する。 【構成】 鋼製外皮中にフラックスを充填してなるフラ
ックス入りワイヤにおいてフラックス組成の組合せと脱
酸剤の調整と、かつ電流とワイヤ径の比を限定した高電
流用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
さらに附加成分としてNi、Mo、Cuを含有してなる
フラックス入りワイヤ。
ラックス入りワイヤで、溶接金属の機械的性能を劣化さ
せることなく大電流溶接においてスラグ被包性を改善し
たワイヤを提供する。 【構成】 鋼製外皮中にフラックスを充填してなるフラ
ックス入りワイヤにおいてフラックス組成の組合せと脱
酸剤の調整と、かつ電流とワイヤ径の比を限定した高電
流用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
さらに附加成分としてNi、Mo、Cuを含有してなる
フラックス入りワイヤ。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼構造物の溶接に用いる
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関す
るものであり、さらに詳しくは300<I/D<400
の範囲において高電流溶接においても溶接作業性に優れ
かつ良好なビード形状が得られるフラックス入りワイヤ
に関する。
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関す
るものであり、さらに詳しくは300<I/D<400
の範囲において高電流溶接においても溶接作業性に優れ
かつ良好なビード形状が得られるフラックス入りワイヤ
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、溶接の自動化、高能率化の進展に
伴い、ガスシールドアーク溶接はますます広く利用され
ている。特に最近では高能率化の手段として、電流密度
を高めて溶融速度を増加させることが一般的に採られて
いる。然し高電流密度溶接ではスパッターの多発、耐気
孔性、耐割れ性、融合不良さらにはスラグの被包性が劣
化してビード形状、外観が乱れる等多くの問題が生ず
る。即ち、鋼ワイヤをCO2ガスで使用して溶接する場
合、電流密度を高めると安定した溶滴移行性が得られ
ず、ビード表面は不均一となり、スパッターが急増し母
材表面へ付着する。また付着したスパッター除去作業も
困難となる。
伴い、ガスシールドアーク溶接はますます広く利用され
ている。特に最近では高能率化の手段として、電流密度
を高めて溶融速度を増加させることが一般的に採られて
いる。然し高電流密度溶接ではスパッターの多発、耐気
孔性、耐割れ性、融合不良さらにはスラグの被包性が劣
化してビード形状、外観が乱れる等多くの問題が生ず
る。即ち、鋼ワイヤをCO2ガスで使用して溶接する場
合、電流密度を高めると安定した溶滴移行性が得られ
ず、ビード表面は不均一となり、スパッターが急増し母
材表面へ付着する。また付着したスパッター除去作業も
困難となる。
【0003】スパッター発生量の少ないシールドガスと
してAr−CO2混合ガスを使用して溶接するとピンチ
力によって中央部に幅の狭い過大な溶け込み、いわゆる
フィンガー状の溶け込みを呈する。また積層溶接の突合
せ継手溶接では、溶け込み幅が小さいため融合不良など
の欠陥が発生する等の問題点があった。このフィンガー
状溶け込み形状を改善する手段としてシールドガスにH
eを添加した、例えば特開昭59−45084号公報の
Ar−He−CO2−O2の4種混合ガスによる溶接方法
が提案されている。この方法の効果としてアークの広が
りにより溶け込み形状は改善されるが、特殊シールドガ
スであるためガスのコストが高くなるという実用上の問
題を残している。
してAr−CO2混合ガスを使用して溶接するとピンチ
力によって中央部に幅の狭い過大な溶け込み、いわゆる
フィンガー状の溶け込みを呈する。また積層溶接の突合
せ継手溶接では、溶け込み幅が小さいため融合不良など
の欠陥が発生する等の問題点があった。このフィンガー
状溶け込み形状を改善する手段としてシールドガスにH
eを添加した、例えば特開昭59−45084号公報の
Ar−He−CO2−O2の4種混合ガスによる溶接方法
が提案されている。この方法の効果としてアークの広が
りにより溶け込み形状は改善されるが、特殊シールドガ
スであるためガスのコストが高くなるという実用上の問
題を残している。
【0004】一方、鋼ワイヤの代わりにフラックス入り
ワイヤを用い、CO2もしくはAr−CO2混合ガスと組
み合わせ電流密度300〜550A/mm2で溶接する
高電流密度溶接法(特開昭56−160878号公報)
が提案されている。しかし、この方法はスラグを多く生
成するフラックス入りワイヤを用いているため、ビード
外観は良好であるが多層溶接において、スラグ巻き込み
等の欠陥が生じ易い等の問題がある他、ワイヤ突出し長
さを非常に長くして溶接するためスパッターが多く発生
するという問題がある。
ワイヤを用い、CO2もしくはAr−CO2混合ガスと組
み合わせ電流密度300〜550A/mm2で溶接する
高電流密度溶接法(特開昭56−160878号公報)
が提案されている。しかし、この方法はスラグを多く生
成するフラックス入りワイヤを用いているため、ビード
外観は良好であるが多層溶接において、スラグ巻き込み
等の欠陥が生じ易い等の問題がある他、ワイヤ突出し長
さを非常に長くして溶接するためスパッターが多く発生
するという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するためになされたものであって、フラックス組成
を限定し、かつ電流(A)とワイヤ径D(mm)の比が
300<I/D<400の範囲において、安価なCO2
溶接でもアークが安定し、スパッターが少なく、かつ、
円形の良好な溶け込み形状が得られると共に、耐割れ性
が良好で融合不良等の欠陥発生の少ない高品質な溶接部
の得られる高電流溶接用フラックス入りワイヤの提供を
目的とする。
解決するためになされたものであって、フラックス組成
を限定し、かつ電流(A)とワイヤ径D(mm)の比が
300<I/D<400の範囲において、安価なCO2
溶接でもアークが安定し、スパッターが少なく、かつ、
円形の良好な溶け込み形状が得られると共に、耐割れ性
が良好で融合不良等の欠陥発生の少ない高品質な溶接部
の得られる高電流溶接用フラックス入りワイヤの提供を
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤの要旨は、ワイ
ヤ全重量に対してTiO2:4.0〜6.0%、TiO2
を含む酸化物の総量:7.5%以下、金属弗化物(F換
算値):0.02〜0.08%、Al:0.10〜0.
50%、Mg:0.10〜0.65%、SiO2/S
i:0.5〜2.0%、Mn/Si:3.0〜6.0%
でかつ、電流I(A)とワイヤ径D(mm)の比が、3
00<I/D<400の範囲である高電流用ガスシール
ドアーク溶接用フラックス入りワイヤにある。さらに附
加成分としてNi:0.45〜1.6%、Mo:0.0
5〜0.25%、Cu:0.10〜0.40%の一種ま
たは二種以上を含有してなるフラックス入りワイヤにあ
る。以下に本発明に係わるワイヤを上記構成にした理由
を詳細に説明する。
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤの要旨は、ワイ
ヤ全重量に対してTiO2:4.0〜6.0%、TiO2
を含む酸化物の総量:7.5%以下、金属弗化物(F換
算値):0.02〜0.08%、Al:0.10〜0.
50%、Mg:0.10〜0.65%、SiO2/S
i:0.5〜2.0%、Mn/Si:3.0〜6.0%
でかつ、電流I(A)とワイヤ径D(mm)の比が、3
00<I/D<400の範囲である高電流用ガスシール
ドアーク溶接用フラックス入りワイヤにある。さらに附
加成分としてNi:0.45〜1.6%、Mo:0.0
5〜0.25%、Cu:0.10〜0.40%の一種ま
たは二種以上を含有してなるフラックス入りワイヤにあ
る。以下に本発明に係わるワイヤを上記構成にした理由
を詳細に説明する。
【0007】
【作用】本発明者らは、フラックス入りワイヤによる高
電流ガスシールドアーク溶接でのビード形成とスラグ被
包性について種々実験を積ねた結果、次のような知見を
得て本発明を完成したものである。 (1)CO2溶接におけるアーク安定性は、鋼ワイヤよ
りフラックス入りワイヤが優れる。また高電流溶接の場
合は、ビード形状や外観を良好にするためには、スラグ
の被包性が重要な要因となり、フラックス組成の組み合
わせにより、高電流溶接でもスラグの被包性が均一とな
り良好な溶接が可能になる。 (2)高電流溶接における溶接金属の材質を高品質なも
のにするには、脱酸性元素の調整が必要である。 (3)合金剤は、目的に合った強度や特性を得るために
合金剤の調整が必要である。
電流ガスシールドアーク溶接でのビード形成とスラグ被
包性について種々実験を積ねた結果、次のような知見を
得て本発明を完成したものである。 (1)CO2溶接におけるアーク安定性は、鋼ワイヤよ
りフラックス入りワイヤが優れる。また高電流溶接の場
合は、ビード形状や外観を良好にするためには、スラグ
の被包性が重要な要因となり、フラックス組成の組み合
わせにより、高電流溶接でもスラグの被包性が均一とな
り良好な溶接が可能になる。 (2)高電流溶接における溶接金属の材質を高品質なも
のにするには、脱酸性元素の調整が必要である。 (3)合金剤は、目的に合った強度や特性を得るために
合金剤の調整が必要である。
【0008】本発明は上記知見に基づいて完成したもの
であり、以下に本発明の構成理由について詳細に説明す
る。まず、本発明においてワイヤ全重量に対してTiO
2を4.0〜6.0%の範囲と限定したのは、TiO2は
他のスラグ形成剤にはない優れた被包性およびはくり性
を有する他、アーク安定剤として不可欠の成分である。
40%未満では良好なビード外観、形状が得られない。
一方6.0%を超えるとスラグ生成量が過剰となり、ス
ラグ巻き込みが生じると共に酸性成分である為に溶接時
にスラグとして分離され難く、溶接金属中に非金属介在
物として残留し、溶接金属中の酸素量を増加させ切り欠
き靱性を悪化させる。従ってTiO2の添加量は4.0
〜6.0%の範囲とする。TiO2源としては、ルチー
ルや合成ルチール、チタンスラグ等が使用される。
であり、以下に本発明の構成理由について詳細に説明す
る。まず、本発明においてワイヤ全重量に対してTiO
2を4.0〜6.0%の範囲と限定したのは、TiO2は
他のスラグ形成剤にはない優れた被包性およびはくり性
を有する他、アーク安定剤として不可欠の成分である。
40%未満では良好なビード外観、形状が得られない。
一方6.0%を超えるとスラグ生成量が過剰となり、ス
ラグ巻き込みが生じると共に酸性成分である為に溶接時
にスラグとして分離され難く、溶接金属中に非金属介在
物として残留し、溶接金属中の酸素量を増加させ切り欠
き靱性を悪化させる。従ってTiO2の添加量は4.0
〜6.0%の範囲とする。TiO2源としては、ルチー
ルや合成ルチール、チタンスラグ等が使用される。
【0009】更に、本発明ではスラグ形成剤として酸化
鉄、SiO2、Al2O3、ZrO2、MnO、MgO、B
iO3、Na2O、K2O等の酸化物を併用することがで
きるが、前記TiO2を含めた酸化物の添加量の総和が
7.5%を超えると溶接金属中の酸素量が増加し、切り
欠き靱性を低下させる他にスラグ生成量が多くなると共
にスラグ巻き込み等の欠陥を生じ易くするので上限を
7.5%以下にする必要がある。金属弗化物は、アーク
安定性を高めると共に脱水素作用によって溶接金属の耐
割れ性、低温靱性を向上させる作用がある。これらの作
用はF量換算で0.02%以上添加することにより有効
に発揮される。しかし、0.08%を超えるとスラグ流
動性が過大となり、スラグ被包性を悪くし、ビード形状
が悪化する。従って金属弗化物(F換算)の添加量は
0.02〜0.08%の範囲とする。弗化物としてはN
a、K、Li、Mg、Ca等のアルカリ金属およびアル
カリ土類金属の弗化物が一般的に用いられる。
鉄、SiO2、Al2O3、ZrO2、MnO、MgO、B
iO3、Na2O、K2O等の酸化物を併用することがで
きるが、前記TiO2を含めた酸化物の添加量の総和が
7.5%を超えると溶接金属中の酸素量が増加し、切り
欠き靱性を低下させる他にスラグ生成量が多くなると共
にスラグ巻き込み等の欠陥を生じ易くするので上限を
7.5%以下にする必要がある。金属弗化物は、アーク
安定性を高めると共に脱水素作用によって溶接金属の耐
割れ性、低温靱性を向上させる作用がある。これらの作
用はF量換算で0.02%以上添加することにより有効
に発揮される。しかし、0.08%を超えるとスラグ流
動性が過大となり、スラグ被包性を悪くし、ビード形状
が悪化する。従って金属弗化物(F換算)の添加量は
0.02〜0.08%の範囲とする。弗化物としてはN
a、K、Li、Mg、Ca等のアルカリ金属およびアル
カリ土類金属の弗化物が一般的に用いられる。
【0010】Alは強力な脱酸剤であり溶接金属中の酸
素量を低減するのに有効である。添加量が0.10%未
満ではその効果が十分得られず、一方0.50%を超え
るとAlが溶接金属中へ歩留って靱性を劣化させる。従
ってAlの適正範囲は0.10〜0.50%とする。A
lは単体もしくはAl−Mg、Fe−Al等の合金の形
態で添加してもよい。MgはAlと同様に強力な脱酸剤
である。特に溶接金属中の酸素量を低減するのに最良で
ある。添加量が0.10%未満ではその効果が得られ
ず、一方、0.65%を超えるとスパッタ発生量が多く
なる他スラグの被包性を劣化させる。従ってMgの適正
範囲は0.10〜0.65%とする。Mgは単体もしく
は、Ni−Mg、Ca−Mg、Fe−Mg、Al−M
g、Fe−Si−Mg等のMg合金の形態で添加しても
よい。
素量を低減するのに有効である。添加量が0.10%未
満ではその効果が十分得られず、一方0.50%を超え
るとAlが溶接金属中へ歩留って靱性を劣化させる。従
ってAlの適正範囲は0.10〜0.50%とする。A
lは単体もしくはAl−Mg、Fe−Al等の合金の形
態で添加してもよい。MgはAlと同様に強力な脱酸剤
である。特に溶接金属中の酸素量を低減するのに最良で
ある。添加量が0.10%未満ではその効果が得られ
ず、一方、0.65%を超えるとスパッタ発生量が多く
なる他スラグの被包性を劣化させる。従ってMgの適正
範囲は0.10〜0.65%とする。Mgは単体もしく
は、Ni−Mg、Ca−Mg、Fe−Mg、Al−M
g、Fe−Si−Mg等のMg合金の形態で添加しても
よい。
【0011】更に、本発明の主旨である大電流溶接にお
いてスラグを均一に被包させるためにはSiO2/Si
のバランスが重要であることが判った。Siは有効な脱
酸剤であると共に、ビード形状、外観および溶接作業性
を改善する。大電流溶接では溶融スラグが高温に保持さ
れる時間が長くなるため、溶融スラグがビード全体を均
一に被包させることが難しくなる。特に板厚が薄くなる
に従ってスラグの被包性が劣化してくる。これは、板厚
が薄くなるに従って溶接部の冷却速度が遅くなり溶融ス
ラグはビード上端部へ流れ易くなりビードを均一に被包
できなくなる。その結果ビード形状、外観も悪くなる。
本発明者らは、この欠点を解消すべく検討を重ねた結果
SiO2/Siの比が大きく影響することを見いだし
た。
いてスラグを均一に被包させるためにはSiO2/Si
のバランスが重要であることが判った。Siは有効な脱
酸剤であると共に、ビード形状、外観および溶接作業性
を改善する。大電流溶接では溶融スラグが高温に保持さ
れる時間が長くなるため、溶融スラグがビード全体を均
一に被包させることが難しくなる。特に板厚が薄くなる
に従ってスラグの被包性が劣化してくる。これは、板厚
が薄くなるに従って溶接部の冷却速度が遅くなり溶融ス
ラグはビード上端部へ流れ易くなりビードを均一に被包
できなくなる。その結果ビード形状、外観も悪くなる。
本発明者らは、この欠点を解消すべく検討を重ねた結果
SiO2/Siの比が大きく影響することを見いだし
た。
【0012】まず、軟鋼外皮を用いて、ワイヤ全重量に
対しTiO2:5.0%、Al2O3:0.3%、Zr
O2:0.6%、CaF2:0.1%、Mn:2.3%、
Al:0.3%、Mg:0.3%、SiO2:0.15
〜1.8%、Si:0.3〜0.8%、残部鉄粉および
不可避的不純物からなるフラックスを含有フラックス入
りワイヤ1.4mmφを12種類試作した。このワイヤ
を用いて鋼種SM−400B、板厚12.7mmtの平
板上に溶接電流500A、アーク電圧40V、溶接入熱
30kJ/cm、シールドガス:CO2100% 25
リッター/分の条件で溶接しスラグの被包性を調査し
た。その結果を図1に示す。同図の横軸はワイヤ中のS
i量、縦軸はワイヤ中のSiO2量である。この結果、
ワイヤ量のSiO2量が少ない領域と多い領域でスラグ
被包性が悪くなる傾向を示している。この傾向をSiO
2/Siで整理すると0.5〜2.0の範囲がスラグ被
包性が良好であることが判った。しかし、Siは0.8
%を超えると溶接金属中のSiが過剰となって靱性を劣
化させるので好ましくない。従ってSiO2/Si比は
0.5〜2.0の範囲とする。
対しTiO2:5.0%、Al2O3:0.3%、Zr
O2:0.6%、CaF2:0.1%、Mn:2.3%、
Al:0.3%、Mg:0.3%、SiO2:0.15
〜1.8%、Si:0.3〜0.8%、残部鉄粉および
不可避的不純物からなるフラックスを含有フラックス入
りワイヤ1.4mmφを12種類試作した。このワイヤ
を用いて鋼種SM−400B、板厚12.7mmtの平
板上に溶接電流500A、アーク電圧40V、溶接入熱
30kJ/cm、シールドガス:CO2100% 25
リッター/分の条件で溶接しスラグの被包性を調査し
た。その結果を図1に示す。同図の横軸はワイヤ中のS
i量、縦軸はワイヤ中のSiO2量である。この結果、
ワイヤ量のSiO2量が少ない領域と多い領域でスラグ
被包性が悪くなる傾向を示している。この傾向をSiO
2/Siで整理すると0.5〜2.0の範囲がスラグ被
包性が良好であることが判った。しかし、Siは0.8
%を超えると溶接金属中のSiが過剰となって靱性を劣
化させるので好ましくない。従ってSiO2/Si比は
0.5〜2.0の範囲とする。
【0013】Si、Mnはいずれも脱酸剤として機能を
有するがMn/Siを規定したのは、溶接金属の機械的
性質、特に強度の調整と靱性を向上させるためである。
即ち、Mnは高電流溶接では大入熱となり、焼入れ性を
高めて靱性劣化を防止する効果を有するが、Mn/Si
が3.0未満では、この効果が発揮されず溶接金属材質
に問題を生じる。一方Mn/Siが6.0を超えると溶
接金属の強度が高くなりすぎて靱性が劣化する。従って
Mn/Siは3.0〜6.0の範囲とする。さらに溶接
金属の機械的性質を向上させるためにNiを0.45〜
1.6%、Moを0.05〜0.25%、Cuを0.1
0〜0.40%の範囲で添加することができる。特にM
oは大電流溶接による連続多層溶接大入熱溶接において
は、強度低下や靱性劣化の防止に効果がある。Niは低
温靱性の向上にCuは耐錆性に効果がある。
有するがMn/Siを規定したのは、溶接金属の機械的
性質、特に強度の調整と靱性を向上させるためである。
即ち、Mnは高電流溶接では大入熱となり、焼入れ性を
高めて靱性劣化を防止する効果を有するが、Mn/Si
が3.0未満では、この効果が発揮されず溶接金属材質
に問題を生じる。一方Mn/Siが6.0を超えると溶
接金属の強度が高くなりすぎて靱性が劣化する。従って
Mn/Siは3.0〜6.0の範囲とする。さらに溶接
金属の機械的性質を向上させるためにNiを0.45〜
1.6%、Moを0.05〜0.25%、Cuを0.1
0〜0.40%の範囲で添加することができる。特にM
oは大電流溶接による連続多層溶接大入熱溶接において
は、強度低下や靱性劣化の防止に効果がある。Niは低
温靱性の向上にCuは耐錆性に効果がある。
【0014】以上が本発明のフラックス組成の主要構成
であるが、溶接条件として大電流溶接にて上記フラック
ス組成が有効に作用するもので、その溶接条件を溶接電
流(A)とワイヤ径(D)の関係より300<I/D<
400の範囲とする。また、本発明はフラックスの充填
率は上述の構成要件を満たす限り8〜20%の範囲で選
択でき、ワイヤ径は特に限定されないが、高電流溶接に
おいて溶着速度の観点から1.2〜1.6mmφ程度の
細径ワイヤが望ましい。ワイヤの断面形状は特に限定さ
れないが、アークの安定性、ワイヤ送給性および直進性
の優れたシームレスタイプが最適である。
であるが、溶接条件として大電流溶接にて上記フラック
ス組成が有効に作用するもので、その溶接条件を溶接電
流(A)とワイヤ径(D)の関係より300<I/D<
400の範囲とする。また、本発明はフラックスの充填
率は上述の構成要件を満たす限り8〜20%の範囲で選
択でき、ワイヤ径は特に限定されないが、高電流溶接に
おいて溶着速度の観点から1.2〜1.6mmφ程度の
細径ワイヤが望ましい。ワイヤの断面形状は特に限定さ
れないが、アークの安定性、ワイヤ送給性および直進性
の優れたシームレスタイプが最適である。
【0015】以上のように構成されたフラックス入りワ
イヤを用いて300<I/D<400の範囲で大電流溶
接を行うと、アークが安定でスパッターが少なく、かつ
スラグ被包性が均一でビード形状、外観の良好で、融合
不良等の溶接欠陥発生の少ない高品質な溶接部が高能率
で得られる。次に実施例に基づいて本発明ワイヤを更に
具体的に説明する。
イヤを用いて300<I/D<400の範囲で大電流溶
接を行うと、アークが安定でスパッターが少なく、かつ
スラグ被包性が均一でビード形状、外観の良好で、融合
不良等の溶接欠陥発生の少ない高品質な溶接部が高能率
で得られる。次に実施例に基づいて本発明ワイヤを更に
具体的に説明する。
【0016】
【実施例】表1に試作したワイヤの構成を表2に試験結
果を示す。同表においてNo.1〜8は比較例で、N
o.9〜18が本発明になるワイヤの実施例である。い
ずれも軟鋼外皮を用いて1.4mmφ径に仕上げたワイ
ヤを使用し、下記の条件で溶接して得られた溶接作業性
および溶着金属の引張特性および衝撃値を調べたとこ
ろ、表2の結果が得られた。
果を示す。同表においてNo.1〜8は比較例で、N
o.9〜18が本発明になるワイヤの実施例である。い
ずれも軟鋼外皮を用いて1.4mmφ径に仕上げたワイ
ヤを使用し、下記の条件で溶接して得られた溶接作業性
および溶着金属の引張特性および衝撃値を調べたとこ
ろ、表2の結果が得られた。
【0017】
【表1】
【0018】〔溶接条件〕 溶 接 電 流 : 直流逆極性 500A 溶 接 電 圧 : 40V 溶 接 速 度 : 40cm/分 シールドガス : CO2 25リッター/分 ワイヤ突出し長さ: 25mm
【0019】溶接金属の性能は図2に示す開先形状を用
いた。 母材:板厚20mm、鋼種:SM490B、積層法:4
層6パス 尚、溶接金属の物性は、板厚方向および開先幅方向の中
央部から採取した試験片を用いて調査した。また、溶接
作業性は、鋼種:SM490B、板厚12.7mmの平
板上にストリンガービード溶接にて評価した。
いた。 母材:板厚20mm、鋼種:SM490B、積層法:4
層6パス 尚、溶接金属の物性は、板厚方向および開先幅方向の中
央部から採取した試験片を用いて調査した。また、溶接
作業性は、鋼種:SM490B、板厚12.7mmの平
板上にストリンガービード溶接にて評価した。
【0020】表2の試験結果から明らかな様に、本発明
外であるNo.1〜No.8のワイヤは溶接金属の伸び
や靱性、さらには溶接作業性のいずれかの点で問題があ
ることが解った。まずNo.1は酸化物の総量が本発明
の範囲外でスラグ過多となって溶接金属の伸びが低くス
パッタ発生量も多かった。No.2は機械的性能は良好
であるが、フラックス中の弗化物が多くスラグが流れ易
くなり被包性が劣化した。また、No.3、No.4は
TiO2、Mg、Al、SiO2/Si量が本発明外でス
ラグ被包性が悪くビード形状が悪化した。No.5は弗
化物が入っていないために溶融金属中のスラグの浮上が
そこなわれてスラグ巻込み等により伸びが低下した。N
o.6はMn/Siが高く強度が高くなりすぎて伸びが
低下した。また、No.7はスラグ過多、No.8はA
l、Mgが入っていないために溶接金属中の介在物が多
くなり溶接金属の伸びが低下した。これに対しNo.9
〜No.18の本発明になるワイヤは、溶接金属の機械
的性能および溶接作業性も良好なことが確認できた。
外であるNo.1〜No.8のワイヤは溶接金属の伸び
や靱性、さらには溶接作業性のいずれかの点で問題があ
ることが解った。まずNo.1は酸化物の総量が本発明
の範囲外でスラグ過多となって溶接金属の伸びが低くス
パッタ発生量も多かった。No.2は機械的性能は良好
であるが、フラックス中の弗化物が多くスラグが流れ易
くなり被包性が劣化した。また、No.3、No.4は
TiO2、Mg、Al、SiO2/Si量が本発明外でス
ラグ被包性が悪くビード形状が悪化した。No.5は弗
化物が入っていないために溶融金属中のスラグの浮上が
そこなわれてスラグ巻込み等により伸びが低下した。N
o.6はMn/Siが高く強度が高くなりすぎて伸びが
低下した。また、No.7はスラグ過多、No.8はA
l、Mgが入っていないために溶接金属中の介在物が多
くなり溶接金属の伸びが低下した。これに対しNo.9
〜No.18の本発明になるワイヤは、溶接金属の機械
的性能および溶接作業性も良好なことが確認できた。
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、溶
接作業性に優れたチタニヤ系フラックス入りワイヤで添
加成分の組合せおよび添加量を規定することにより、溶
接金属の機械的性能を劣化させることなく大電流溶接に
おいてスラグ被包性を改善した。その結果、チタニヤ系
フラックス入りワイヤの欠点を解消し用途を大幅に拡大
し得ることになった。
接作業性に優れたチタニヤ系フラックス入りワイヤで添
加成分の組合せおよび添加量を規定することにより、溶
接金属の機械的性能を劣化させることなく大電流溶接に
おいてスラグ被包性を改善した。その結果、チタニヤ系
フラックス入りワイヤの欠点を解消し用途を大幅に拡大
し得ることになった。
【図1】スラグ被包性におよぼすワイヤ中のSi量とS
iO2量の関係を示す図面。
iO2量の関係を示す図面。
【図2】溶接金属の性能試験に使用した開先形状を示す
図面である。
図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石出 博俊 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内
Claims (2)
- 【請求項1】 鋼製外皮中にフラックスを充填してなる
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
て、ワイヤ全重量に対して TiO2:4.0〜6.0% TiO2を含む酸化物の総量:7.5%以下 金属弗化物(F換算値):0.02〜0.08% Al:0.10〜0.50% Mg:0.10〜0.65% SiO2/Si:0.5〜2.0 Mn/Si:3.0〜6.0 でかつ、電流I(A)とワイヤ径D(mm)の比が30
0<I/D<400の範囲である高電流溶接用ガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。 - 【請求項2】 附加成分としてNi:0.45〜1.6
%、Mo:0.05〜0.25%、Cu:0.10〜
0.40%の一種または二種以上を含有してなる請求項
1記載の高電流溶接用ガスシールドアーク溶接用フラッ
クス入りワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9513692A JPH05285692A (ja) | 1992-04-15 | 1992-04-15 | ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9513692A JPH05285692A (ja) | 1992-04-15 | 1992-04-15 | ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05285692A true JPH05285692A (ja) | 1993-11-02 |
Family
ID=14129404
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9513692A Pending JPH05285692A (ja) | 1992-04-15 | 1992-04-15 | ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05285692A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011025298A (ja) * | 2009-07-28 | 2011-02-10 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | ガスシールドアーク溶接方法 |
JP2013226578A (ja) * | 2012-04-25 | 2013-11-07 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | 原油油槽鋼の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
JP2013226577A (ja) * | 2012-04-25 | 2013-11-07 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | 原油油槽鋼のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
JP2013252551A (ja) * | 2012-06-08 | 2013-12-19 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
-
1992
- 1992-04-15 JP JP9513692A patent/JPH05285692A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011025298A (ja) * | 2009-07-28 | 2011-02-10 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | ガスシールドアーク溶接方法 |
JP2013226578A (ja) * | 2012-04-25 | 2013-11-07 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | 原油油槽鋼の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
JP2013226577A (ja) * | 2012-04-25 | 2013-11-07 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | 原油油槽鋼のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
JP2013252551A (ja) * | 2012-06-08 | 2013-12-19 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
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