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JPH05277740A - クラッド鋼管の溶接方法 - Google Patents

クラッド鋼管の溶接方法

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Publication number
JPH05277740A
JPH05277740A JP6501392A JP6501392A JPH05277740A JP H05277740 A JPH05277740 A JP H05277740A JP 6501392 A JP6501392 A JP 6501392A JP 6501392 A JP6501392 A JP 6501392A JP H05277740 A JPH05277740 A JP H05277740A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
groove
clad
steel
alloy steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6501392A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinori Ogata
佳紀 尾形
Hiroshi Tamehiro
博 為広
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP6501392A priority Critical patent/JPH05277740A/ja
Publication of JPH05277740A publication Critical patent/JPH05277740A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 内質の良好なクラッド鋼管を得ること。 【構成】 通常のX型開先形状を前提として、内面側の
低合金鋼部分をクラッド材を溶融しないようにワイヤー
溶融量を制御しながらガスシールド溶接を行い、ついで
1つの電源に接続する2本の高合金系溶接ワイヤーの間
隔をクラッド材の開先幅よりもわずかに広しくて潜弧溶
接を行う。 【効果】 開先断面に多少の変化があっても溶接金属割
れや、成分希釈などに起因する溶接欠陥のない溶接部が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表層にステンレス鋼ある
いは高Ni系合金などの耐食性に優れた高合金鋼、母材
として炭素鋼あるいは低合金鋼(以下低合金鋼という)
を使用するクラッド鋼を、UOEなどの方法によって鋼
管を製造する場合のシーム溶接方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に化学工業、石油、ガス井などに使
用される鋼管、構造用材は優れた耐食性が要求され、特
に腐食性の強い石油、ガス搬送に用いられる鋼管材に
は、従来から使用されている低合金鋼では寿命が短く、
ステンレス鋼や高Ni系高合金が用いられ、これが増加
する傾向にある。しかし、これら高合金材料は非常に高
価である一方、強度が低いため構造物の設計にあたって
はその肉厚を厚くしなければならず、コスト高となる。
そのために、近時クラッド鋼が注目されるようになって
いる。
【0003】この種クラッド鋼を鋼管に製造するために
は、通常クラッド材が内側となるようにUOE法で管体
を形成し、シーム部を突き合わせ溶接するものである
が、特に鋼管の内側の溶接において次のような問題が生
じる。即ち内側の低合金鋼部分の溶接では、通常低合金
鋼用の溶接ワイヤーで溶接を行なうが、その際にクラッ
ド材を少しでも溶融すると、該溶接金属中にクラッド材
の主要部分であるNi,Crなどが希釈されマルテンサ
イト組織を生成し溶接金属割れが発生する。また、次の
クラッド材つまり表層の溶接では、通常クラッド材の成
分以上の組成を有する溶接ワイヤーによって溶接を行な
うが、その際クラッド材のみならず低合金鋼や前記低合
金鋼の溶接部も溶融されるため、溶接方法の選択によっ
ては該溶接金属成分の組成がクラッド材よりもNi,C
r成分などが少なくなり溶接金属部の耐食性がその特性
を維持できなくなる。
【0004】したがって、このような溶接上の問題点を
解決するため特開昭63−10095号公報には、X型
開先の深さ、角度を指定し、内側炭素鋼をMIG(ガス
シールド溶接)、高合金鋼削除部分を潜弧溶接(サブマ
ージ溶接、もしくはSAW)で1ラン溶接を可能にする
ことが開示されている。すなわち該公報には、突き合わ
せ部に炭素鋼の内側開先と干渉しない幅を削除すること
で溶接時の希釈率を低下させることを前提にMIG法と
SAW法の組合せで溶接速度の高速化を計っている。
【0005】しかし、上記の方法では内面側開先形状を
2段開先として加工が必要であるため、通常UOEで使
用される開先加工機がそのまま使用できず、そのつど開
先加工機のバイトあるいはカッターを組み替える必要が
生じるためUOEの製造能力自体の低下が避けられな
い。また上記開先形状は、内側の低合金鋼部分のMIG
溶接時に高合金鋼削除部分を溶融しないように配慮され
た形状となっているが、通常、シーム部長手方向の開先
形状は開先深さ、幅ともにバラツキがあり、そのような
開先断面を一定の溶接条件で溶接した場合、開先断面の
大小によって溶接金属量の過不足を生じ、後続溶接され
た高合金鋼削除部分の潜弧溶接金属は外観形状、および
その成分とも均一な溶接部が得られない場合がある。
【0006】一方、特開昭59−137191号公報で
は、ステンレスクラッド鋼管の溶接において、突き合わ
せ部をX型開先とし、内側を2段開先として、低合金鋼
開先部分を潜弧溶接した後、高合金鋼削除部分を10〜
50mm幅の帯板電極を用いてバンドアーク溶接によって
溶接する方法が開示されている。しかし、該法は低合金
鋼開先部を潜弧溶接法で溶接するため、高合金鋼削除部
分の溶接前に鋼管の内側の潜弧溶接時に生じたスラグの
除去が必要であること、また開先変動による溶接金属量
の過不足、それにともなう後続バンドアーク溶接におけ
るビード外観、溶接金属成分の均一性が得られない場合
がある。また帯板電極を用いたバンドアーク溶接では、
帯幅にわたってアークが均一となりにくく、すなわち波
状のアークとなり均一な溶接部を得られない場合があ
る。さらに、上記した開示例はいずれも内側の高合金鋼
削除部分の溶接において、溶接アークが直接に低合金鋼
溶接金属部および低合金鋼部にも作用するため、該溶接
金属の成分はより多く希釈された成分となりやすく、低
希釈溶接はそれほど期待できないという問題が依然とし
て残っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解消すべくなされたものであって、ステンレ
ス鋼や高Ni系合金鋼などからなる高合金(本発明にお
いて高合金鋼とはこの意味に用いる)と、低合金鋼との
クラッド鋼を造管するに際し、特にUOE法で成形した
管体を突き合わせ溶接するにあたって、X型開先の内側
の低合金鋼部分をガスシールド溶接するに際し、クラッ
ド材を溶融しないようワイヤー溶融量を制御し、且つそ
の次のクラッド材開先部の溶接では特殊電極を使用して
クラッド材の溶接金属部に低合金鋼部分の希釈を抑制し
て溶接欠陥の起きない、また耐食性の優れたクラッド鋼
管の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、以下の構成を要旨とする。 (1)外側の低合金鋼と内側のステンレス鋼や高Ni系
合金鋼などの高合金(以下クラッド材という)からなる
クラッド鋼にX型の開先加工をほどこし、該X型開先部
をシーム溶接して、クラッド鋼管を製造するにあたり、
内側突き合わせ部分の低合金鋼開先部分をクラッド材を
溶融しないように低合金鋼用溶接ワイヤーでワイヤー溶
融量を制御しながら炭酸ガス、MIGあるいはMAGな
どでガスシールド溶接を行ない、次いで内側クラッド材
を潜弧溶接するに際して、1つの電源に接続する2本の
高合金系溶接ワイヤーを電極とし、この2本のワイー間
隔を前記内側開先幅よりわずかに広幅とし、かつシーム
溶接線方向に直角となるように配置して溶接することを
特徴とするクラッド鋼管の溶接方法。
【0009】(2)外側の低合金鋼と内側のステンレス
鋼や高Ni系合金鋼などの高合金(以下クラッド材とい
う)からなるクラッド鋼にX型の開先加工をほどこし、
該X型開先部をシーム溶接して、クラッド鋼管を製造す
るにあたり、内側に深さが8〜11mm、角度が60〜8
0°の開先を設け、突合せルート厚み3〜9mm、さらに
外側に角度が60〜100°となる開先を設けて突合せ
シーム溶接部を形成し、外側開先底部に低合金鋼用溶接
ワイヤーで仮付溶接をし、次いで内側低合金鋼開先部分
をクラッド材を溶融しないように低合金鋼用溶接ワイヤ
ーでワイヤー溶融量を制御しながらガスシールド溶接を
行ない、さらに内側のクラッド材部分を溶接するに際
し、1つのワイヤー送給機構から供給される2本の高合
金系溶接ワイヤーをワイヤー間隔が前記内側開先幅より
やや広くするとともに、シーム溶接線方向に直角となる
ように配置して潜弧溶接することを特徴とするクラッド
鋼管の溶接方法。
【0010】(3)内側のクラッド材厚さが2〜4mmで
あることを特徴とする請求項1あるいは2記載のクラッ
ド鋼管の溶接方法。 (4)内側の開先幅をほぼ12〜14mmとし、かつ該開
先部分を潜弧溶接する2本の高合金系溶接ワイヤー間隔
を13〜17mm幅とすることを特徴とする請求項1ある
いは2記載のクラッド鋼管の溶接方法。
【0011】さらに本発明においては、特に内側の低合
金鋼の溶接においてクラッド材を溶融しないように溶接
することを特徴とするが、その場合以下の条件を採用す
ることが好ましい。すなわち、 低合金鋼部の溶接金属量はクラッド材との境界から
0.5〜1.5mm程度少ない高さまでのワイヤー溶融量
を設定する。すなわち上記範囲外のワイヤー溶融量が多
すぎた場合は、クラッド材をも溶融し溶接金属中にクラ
ッド材のNi,Cr成分などが混入し、マルテンサイト
組織の形成および溶接金属割れなどの問題が起こる。一
方、逆に上記範囲外のワイヤー溶融量が少なすぎた場合
は、次のクラッド材部分の潜弧溶接において低合金鋼部
分の希釈率が多くなり、該溶接金属の耐食性に有用なN
iおよびCr成分が薄められることになる。
【0012】また内側のクラッド材を潜弧溶接するにあ
たって次の条件を採用することが好ましい。すなわち、 2本の溶接ワイヤーは、その送給やアークを安定にす
るため、細い方が好ましく0.9〜1.6mmの範囲とす
ることが好ましい。 溶接ワイヤーはシーム溶接線方向に直角に配置する
が、前後進角は5°の範囲まで許容できる。この角度が
大き過ぎるとアークが不安定となりビード形状を悪くす
る。
【0013】溶接フラックスはメルトおよびボンドフ
ラックスのいずれでもよい。 溶接電流は400〜600A、アーク電圧は25〜4
2Vとすること、すなわち、この条件範囲外の高電流側
では溶込深さが大きくなり低合金鋼部の希釈率が増大し
て好ましくない。また逆に条件範囲外の低電流側では、
希釈率は小さいが適正な溶着量を得るために溶接速度を
極端に遅くしなければならず非能率となる。 溶接速度は20〜50cm/min で良好な溶接部を得る
ことが可能である。
【0014】以下本発明を詳細に説明する。本発明が対
象とするクラッド鋼は、低炭素鋼や、低合金鋼などを母
材とし、その表面にステンレス例えばSUS316や高
Ni系高合金鋼例えばインコロイ825などを合わせ材
として接着したものであり、このもの自体は従来実施さ
れている方法により製造がなされる。クラッド鋼(板)
はUOE法によって管体に成形され、溶接部となる両端
部には開先が設けられている。開先形状は一般に突合せ
溶接に用いる各種の形状を設けることができるが、UO
E法にはX形開先が通常用いられる。
【0015】図1に本発明の開先形状の一例を示す。内
側クラッド材1と外側低合金鋼2からなる。クラッド鋼
は、シーム部3に深さh1 が7〜11mmの範囲にθ1
60〜80°の開先5と、突合せルート厚みh2 が3〜
9mmの開先を設ける。一方、外側の底合金鋼には深さh
3 がクラッド鋼の厚みtに対してh3 =t−(h1 +h
2 )で60〜90°の開先6を設ける。開先形状を上記
の範囲とするのは、溶接ビード形状はもちろんのこと、
健全な溶接部を得るためである。
【0016】図2は本発明の溶接工程を示すもので、ま
ず外側開先6に低合金溶接ワイヤーで炭酸ガスシールド
溶接法によって仮付け溶接7し(図a)、次いで内側開
先5に低合金溶接ワイヤーを用いてガスシールド溶接8
を行う。本発明ではこの内側の低合金鋼の溶接部を得る
方法に第一の特徴がある。すなわち、前記した開先形状
に対して低合金鋼部の溶接金属量はクラッド材と低合金
鋼の境界から0.5〜1.5mm程度少ない高さまでのワ
イヤー溶融量を設定する。すなわち上記範囲外のワイヤ
ー溶融量が多すぎた場合は、クラッド材をも溶融し溶接
金属中にクラッド材のNi,Cr成分などが混入し、マ
ルテンサイト組織の形成および溶接金属割れなどの問題
が起こる。一方、逆に上記範囲外のワイヤー溶融量が少
なすぎた場合は、次のクラッド材部分の潜弧溶接におい
て低合金鋼部分の希釈率が多くなり、該溶接金属の耐食
性に有用なNiおよびCr成分が薄められることにな
る。溶接金属量の調整方法はワイヤー溶融量をコントロ
ールすることによって、すなわち溶接電流を変化させる
ことによって行う。以下その方法について述べる。
【0017】一般的にUO造管のシーム溶接線の開先寸
法h1 ,h2 ,h3 、およびθ1 ,θ2 はそのシーム部
長さが長いこと、さらには開先加工後のUO成形時の変
形などもあって、溶接時のシーム開先線全線にわたって
必ずしも一定寸法が得られるとは限らず、多少開先断面
形状、すなわち溶接断面積に変動があることは避けられ
ない。そのような変動があっても、溶接前にさきだって
シーム溶接部の開先深さh1 、および開先の幅を一定ピ
ッチ毎に実測を行い、各々測定箇所の開先断面積、およ
び低合金鋼部のクラッド材を溶融しないためのワイヤー
溶融量の計算を行い、溶接に際して必要な溶接電流を順
次調整出力する。なお当然のことながら、ワイヤー溶融
量は溶接速度を考慮することが必要で、その条件はあら
かじめ事前検討によって得られた溶接電流とワイヤー溶
融量、必要溶接断面積および溶接速度の関係式から得ら
れるもので、以上の開先形状(寸法)の実測と溶接電流
の調整によってクラッド鋼材を溶融しない低合金鋼部の
健全な溶接が可能となる。
【0018】開先形状の実測は測定ピッチが短いほど好
ましいが、UO鋼管の場合は300〜500mmピッチ毎
の実測でも本発明者らの検討結果によれば、シーム溶接
線長手方向の開先断面積の変化が十分に把握できること
がわかった。また開先形状の変化をリアルタイムに検出
する方法として、レーザセンサーなどを使用し、検出さ
れた信号をコンピュータによってグラフ処理し、低合金
鋼の開先に必要な溶接電流の計算および溶接電源への出
力信号を与えることでワイヤー溶融量の制御が可能な方
法も本発明の基本となることはろちろんである。さらに
この制御方法は低合金鋼の溶接以外に次項で述べるクラ
ッド材の溶接にも適用が可能である。
【0019】その後、あるいは同時に該低合金鋼溶接部
上のクラッド材開先部分をクラッド材の組成以上に貴な
溶接ワイヤーで潜弧溶接を行うが、本発明はこのクラッ
ド材の溶接部9(図c)を得る方法にも特徴がある。図
3は本発明の潜弧溶接装置の概要であり、溶接チップ1
1にワイヤー送給装置12により送給された2本の溶接
ワイヤー13,14を保持し、ワイヤー先端をクラッド
材開先部3上にセットする。2本の溶接ワイヤー13,
14の間隔は、クラッド材の開先幅よりもわずかに大き
くし、それぞれのワイヤー13および14の先端は、ク
ラッド材1の開先幅よりもほぼ1mmずつ外側すなわち、
クラッド材上に位置させ、電源15に接続されたチップ
11を通して、同時に2本のワイヤー13,14に同一
の電流を流して、クラッド材開先部を潜弧溶接する。
【0020】図4はワイヤー13,14の配置を示して
いるが、同図(a)に示すようにシーム溶接方向(矢
印)と直角に位置せしめることが、本発明の基本であ
る。すなわちこのように配置することにより、アークに
よって溶けた溶接金属は溶融池16を作り、クラッド材
と融合し、開先部を充して両側クラッド材と容易に連続
する。また同図(b)に示すようにシーム溶接方向に直
角ではなく、多少偏向配置したワイヤー13,14でも
溶融池16の連続があれば許容され、しかもこのように
偏向可能にすることは広幅の間隔ワイヤー(電極)を用
いて狭幅の開先に調整使用することができる。しかし、
2本のワイヤー13と14のシーム溶接方向に直角な位
置からみた距離lが大きくなると、各電極(ワイヤー)
で溶融された溶融池16,16′が独立し、波状あるい
はすじ状のビードとなって、本発明の目的である無欠陥
均一ビードとはならない。
【0021】本発明はこのようにクラッド材に直接溶接
ワイヤーからのアークをあてるため、低合金鋼部分およ
びその溶接金属からの溶込が少なくてすみ、低希釈率の
溶接金属となる。
【0022】上記のように、本発明は2本の溶接ワイヤ
ーが1つの電源に接続されているため、両ワイヤーに供
給される電流は均一であり、均一なアークが供給され
る。ワイヤーはクラッド材の組成よりも多量の合金元素
を含有する高合金系熔接ワイヤーが用いられる。例え
ば、クラッド鋼に使用するクラッド材がインコロイ82
5(40Ni−20Cr−3Mo)系であれば、溶接材
料は低合金鋼部からの希釈を考慮してインコネル625
(60Ni−20Cr−9Mo)系が好ましい。このほ
か、本発明を有効に実施するためには溶接の条件を選ぶ
ことが好ましく、このことについては前記した通りであ
る(〜)。
【0023】さらに内側の溶接後、外側の低合金鋼の開
先部分の潜弧溶接10(図2のd図)を行いクラッド鋼
管の溶接を終了するが、この部分の潜弧溶接は通常の低
合金鋼UO鋼管の溶接方法、条件および溶接材料の使用
が可能であり、特に限定しない。
【0024】なお、溶接工程としては上記では内面側の
溶接後、外面側の溶接を行う工程で述べたが、この方法
では内面側の1ラン溶接が可能で作業能率が非常に良好
となるためで、内面の低合金鋼部の溶接後に外面側の潜
弧溶接を行い、最後に内面側のクラッド材部分の溶接を
行う工程も含むものである。
【0025】
【実施例】次に本発明の実施例について示す。表1に示
す組成の外径609.6mm、厚み20mm(クラッド材厚
み3mm)のUOE高合金クラッド鋼管から200mm幅、
長さが1000mmの弧状試験片を切り出し、1000mm
長さ方向に表2に示すように内側の開先形状がシーム部
長手方向バラツキがある場合を想定して、開先深さの異
なる3種類の開先を4枚ずつ加工し、それぞれ開先加工
した試験片同士を突き合わせてX型の試験片を準備し
た。
【0026】溶接はまず外側の低合金鋼の開先内に通常
のUO鋼管の溶接と同様に炭酸ガス溶接による仮付け溶
接を行った(溶接入熱、約35000J/cm)。次に内
面側の溶接に先だって3種類の開先について内側の開先
幅および開先深さの実測を300mmピッチで各3箇所ず
つ行った。その後内側の低合金鋼部分の溶接は、従来法
の開先形状bに対応した。すなわち該部の溶接金属量は
クラッド材と低合金鋼の境界から1.0mm少ない高さま
でのワイヤー溶融量(溶接電流)を設定して同一条件で
他の開先aおよびcとも溶接を行った。
【0027】一方本発明法では、あらかじめ実測した開
先形状の測定値をもとに開先a,b,cの各々について
上記と同様溶接金属量をクラッド材と低合金鋼の境界か
らそれぞれ1.0mm少ない高さまでのワイヤー溶融量を
設定して溶接を行った。さらにその上からクラッド材の
開先部を図3で示した潜弧溶接法で2本の溶接ワイヤー
間隔を16mmに設定して一定条件で溶接を行い、最後に
外側を通常の4電極潜弧溶接を実施し、クラッド鋼管の
内側と外側を想定した溶接を終了した。その後溶接部か
らマクロ試料を採取し、溶接金属割れ有無および溶接金
属の硬度測定によって溶接部の評価を行った。使用した
溶接材料、溶接条件を表3、溶接部の品質として特に内
側低合金鋼部の溶接金属の割れ有無、および該溶接金属
の最高硬さ、さらにはクラッド材溶接金属部の孔食試験
(10%FeCl3 ・6H2 0溶液、32.5℃×48
hr浸漬試験)結果を表4に示す。
【0028】本発明法では低合金鋼部の溶接において、
開先形状のバラツキに対応したワイヤー溶融量、すなわ
ち溶接電流値を設定したことによってクラッド材が全く
溶融されないため、溶接金属には割れの発生も無く、ま
た最高硬度も低く良好な低合金鋼の溶接部が得られた。
さらに本発明法では低合金鋼部の溶着金属量がクラッド
材と低合金鋼の境界から1mm程度少ない高さまでに制御
されたことによってクラッド材溶接金属の耐孔食性も良
好な結果が得られた。
【0029】一方、比較法(従来法)では開先b材では
特別問題なかったものの、開先a材では開先断面が小さ
いにもかかわらず、ワイヤー溶融量の制御を行わないた
めにクラッド材を溶融し、低合金鋼溶接金属中にクラッ
ド材成分が混じり、マルテンサイトの生成によって溶接
金属割れの発生が認められた。また最高硬度にもその影
響が著しくでている。また開先c材で溶接金属の割れ、
最高硬度の上昇はないがクラッド材溶接金属の孔食試験
において孔食の発生がみられた。これは開先断面が大き
いにもかかわらず、溶接条件を一定としたため、低合金
鋼溶接時の溶着金属量が少ないため、クラッド材の潜弧
溶接において低合金鋼を多く希釈したためと推定され
る。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればク
ラッド鋼管の溶接に際し、特に内側低合金鋼部の溶接に
おいて開先断面のバラツキがある場合でもクラッド材を
溶融することがなく、またクラッド材溶接時においても
成分希釈などに起因する欠陥のない溶接部を得ることが
でき、UOE法などの造管に即した安定且つ迅速な生産
を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クラッド鋼の開先を示す図である。
【図2】本発明の溶接工程を示す図である。
【図3】本発明のクラッド材の溶接装置を示す図であ
る。
【図4】本発明のワイヤー配置を示す図である。
【符号の説明】 1 クラッド材 2 低合金鋼 3 内側シーム部 4 外側シーム部 5 内側開先 6 外側開先 7 仮付け溶接 8 内側ガスシールド溶接部 9 内側潜弧溶接部 10 外側潜弧溶接部 11 溶接チップ 12 ワイヤー送給装置 13,14 溶接ワイヤー 15 溶接電源 16 溶融池

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外側の低合金鋼と内側のステンレス鋼や
    高Ni系合金鋼などの高合金(以下クラッド材という)
    からなるクラッド鋼にX型の開先加工をほどこし、該X
    型開先部をシーム溶接して、クラッド鋼管を製造するに
    あたり、内側突き合わせ部分の低合金鋼開先部分をクラ
    ッド材を溶融しないように低合金鋼用溶接ワイヤーでワ
    イヤー溶融量を制御しながら炭酸ガス、MIGあるいは
    MAGなどでガスシールド溶接を行ない、次いで内側ク
    ラッド材を潜弧溶接するに際して、1つの電源に接続す
    る2本の高合金系溶接ワイヤーを電極とし、この2本の
    ワイヤー間隔を前記内側開先幅よりわずかに広幅とし、
    かつシーム溶接線方向に直角となるように配置して溶接
    することを特徴とするクラッド鋼管の溶接方法。
  2. 【請求項2】 外側の低合金鋼と内側のステンレス鋼や
    高Ni系合金鋼などの高合金(以下クラッド材という)
    からなるクラッド鋼にX型の開先加工をほどこし、該X
    型開先部をシーム溶接して、クラッド鋼管を製造するに
    あたり、内側に深さが8〜11mm、角度が60〜80°
    の開先を設け、突合せルート厚み3〜9mm、さらに外側
    に角度が60〜100°となる開先を設けて突合せシー
    ム溶接部を形成し、外側開先底部に低合金鋼用溶接ワイ
    ヤーで仮付溶接をし、次いで内側低合金鋼開先部分をク
    ラッド材を溶融しないように低合金鋼用溶接ワイヤーで
    ワイヤー溶融量を制御しながらガスシールド溶接を行な
    い、さらに内側のクラッド材部分を溶接するに際し、1
    つのワイヤー送給機構から供給される2本の高合金系溶
    接ワイヤーをワイヤー間隔が前記内側開先幅よりやや広
    くするとともに、シーム溶接線方向に直角となるように
    配置して潜弧溶接することを特徴とするクラッド鋼管の
    溶接方法。
  3. 【請求項3】 内側のクラッド材厚さが2〜4mmである
    ことを特徴とする請求項1あるいは2記載のクラッド鋼
    管の溶接方法。
  4. 【請求項4】 内側の開先幅をほぼ12〜14mmとし、
    かつ該開先部分を潜弧溶接する2本の高合金系溶接ワイ
    ヤー間隔を13〜17mm幅とすることを特徴とする請求
    項1あるいは2記載のクラッド鋼管の溶接方法。
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