JPH0510967B2 - - Google Patents
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- JPH0510967B2 JPH0510967B2 JP4082985A JP4082985A JPH0510967B2 JP H0510967 B2 JPH0510967 B2 JP H0510967B2 JP 4082985 A JP4082985 A JP 4082985A JP 4082985 A JP4082985 A JP 4082985A JP H0510967 B2 JPH0510967 B2 JP H0510967B2
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- composite semipermeable
- semipermeable membrane
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- polysulfone
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- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明はスルホン化ポリスルホンからなる複合
半透膜の製造方法に関し、詳しくは、スルホン化
されたポリスルホンからなる半透膜が支持膜とし
ての限外濾過膜上に製膜されてなる複合半透膜の
製造方法に関する。 (従来の技術) 式A と、式B とを繰返し単位として有する線状ポリスルホン共
重合体は、既にカナダ特許第847963号明細書に記
載されており、また、この共重合体のスルホン化
物も既に特開昭55−48222号広報に記載されてい
る。即ち、この公報には、上記ポリスルホン共重
合体を濃硫酸に溶解させてスルホン化することに
よつて、式Aの繰返し単位は実質的にすべてスル
ホン化されているが、式Bの繰返し単位は実質的
にすべてが非スルホン化状態で残存している親水
性のスルホン化ポリスルホンが生成することが記
載されている。 また、繰返し単位が式C からなるポリスルホンのスルホン化物は、米国特
許第3709841号明細書に記載されており、特開昭
50−99973号公報及び特開昭51−146379号公報に
は、このようなスルホン化ポリスルホンの溶液を
異方性限外濾過膜の表面の緻密層上に塗布し、溶
剤を蒸発させることにより、半透性を有する薄膜
が限外濾過膜上に積層されてなる逆浸透用の複合
半透膜を製造する方法が記載されている。同様に
Office of Water Research and Technology
Department of the Interior,Report No.2001
−20には、上記式Cの繰返し単位からなる異方性
限外濾過膜を予め乳酸水溶液にて目詰めし、この
限外濾過膜上に同じく上記式Cの繰返し単位から
なるポリスルホンのスルホン化物の溶液を塗布
し、溶剤を蒸発させて、複合半透膜を得る方法が
記載されている。 (発明の目的) しかしながら、本発明者らは、前記式Aの繰返
し単位のみからなるポリスルホンをスルホン化
し、このスルホン化ポリスルホンを乾燥した支持
膜上に薄膜状の半透膜に製膜することによつて、
複合半透膜を得ることができ、この複合半透膜が
特に耐塩素性及び耐PH性にすぐれたな逆浸透膜乃
至は限外濾過膜として有用であることを見出し
た。 更に、本発明者らは、前記式A及び式Bよりな
る線状ポリスルホン共重合体をスルホン化してな
るスルホン化ポリスルホン共重合体を、支持膜と
しての乾燥限外濾過膜上に製膜することによつ
て、前記した従来より知られている複合半透膜に
比べて、一層すぐれた物性及び性能を有し、特
に、好ましい場合には、食塩水溶液の処理におい
て、極めて高い塩化ナトリウム除去率を有すると
共に、耐塩素性、耐PH性及び耐熱性にすぐれた逆
浸透膜を得ることができることを見出した。 また、本発明者らは、支持膜としての限外濾過
膜上に上記スルホン化ポリスルホン又はスルホン
化ポリスルホン共重合体からなる薄膜状の半透膜
を製膜してなる複合半透膜の製造において、上記
重合体を含む製膜溶液にある種の水溶性有機又は
有機化合物からなる添加剤を存在せしめることに
よつて、得られる複合半透膜の物性、特に、溶液
の膜処理における溶質の除去率及び膜透過水量を
広範囲にわたつて制御し得ることを見出して、本
発明に至つたものである。 (発明の構成) 本発明によるスルホン化ポリスルホン複合半透
膜の製造方法の第1は、 繰返し単位A よりなるポリスルホンをスルホン化してなる重合
体であつて、好ましくはこの重合体0.5gをN−
メチル−2−ピロリドン100mlに溶解した溶液に
ついて、30℃において測定した対数粘度が0.2以
上であり、且つ、イオン交換容量が2.3ミリ当
量/g以下であるスルホン化ポリスルホンと、少
量の非プロトン性極性有機溶剤を含んでいてもよ
いアルキレングリコールアルキルエーテルと、添
加剤としての水溶性で且つ低揮発性の化合物とを
含有する製膜溶液を乾燥した支持膜上に塗布し、
次いで、この製膜溶液から有機溶剤を蒸発させる
ことを特徴とし、本発明によるスルホン化ポリス
ルホン複合半透膜の製造方法の第2は、 繰返し単位A 及び繰返し単位B よりなる線状ポリスルホン共重合体をスルホン化
してなる重合体(以下、スルホン化ポリスルホン
共重合体と称することがある。)であつて、好ま
しくはこの重合体0.5gをN−メチル−2−ピロ
リドン100mlに溶解した溶液について、30℃にお
いて測定した対数粘度が0.2以上であり、且つ、
イオン交換容量が2.3ミリ当量/g以下であるス
ルホン化ポリスルホン共重合体と、少量の非プロ
トン性極性有機溶剤を含んでいてもよいアルキレ
ングリコールアルキルエーテルと、添加剤として
の水溶性で且つ低揮発性の化合物とを含有する製
膜溶剤を乾燥した支持膜上に塗布し、次いで、こ
の製膜溶液から有機溶剤を蒸発させることを特徴
とする。 本発明の第1の方法において用いるスルホン化
ポリスルホンは、前記式Aで表わされる繰返し単
位を有するポリスルホン化スルホン化することに
よつて得られる親水性重合体である。このスルホ
ン化ポリスルホンは、前記式Aで表わされる繰返
し単位を有するポリスルホンを97〜98%濃硫酸中
に加え、常温にて数時間緩やかに撹拌することに
よつて得られる。反応後、得られた粘稠な反応液
を水中に投じた後、濾別することによつて、スル
ホン化ポリスルホンを水不溶性重合体として容易
に分離することができる。 本発明においては、かかるスルホン化ポリスル
ホンは、乾燥樹脂1gについて、イオン交換容量
が2.3ミリ当量/g以下であり、且つ、N−メチ
ル−2−ピロリドン100mlにこの重合体0.5gを溶
解した溶液について、30℃において測定した対数
粘度(以下、スルホン化ポリスルホン及びスルホ
ン化ポリスルホン共重合体の対数粘度の測定方法
は同じである。)が0.2以上、好ましくは0.5以上
であることが必要である。 繰返し単位が式Aのみからなるポリスルホンに
おいて、二つのエーテル基に挟まれた芳香環のす
べてのモノスルホン化されたとき、かかるスルホ
ン化ポリスルホンの理論イオン交換容量は2.4ミ
リ当量/gであるが、本発明において用いる部分
スルホン化ポリスルホンは、そのイオン交換容量
が2.3ミリ当量/g以下であることが必要である。
イオン交換容量が2.3ミリ当量/gを越えるとき
は、スルホン化ポリスルホンが水溶性を有するに
至り、水性媒体を含む液体を処理することが多い
半透膜としての使用に適さない。また、対数粘度
が0.2よりも小さいときは、スルホン化ポリスル
ホンの分子量が小さすぎるので、ピンホール等の
欠陥のない均一な薄膜に製膜することが困難であ
る。 本発明の第2の方法において用いるスルホン化
ポリスルホン共重合体は、前記した繰返し単位A
と繰返し単位Bとからなる線状ポリスルホン共重
合体を濃硫酸に溶解させ、常温にて数時間撹拌す
ることによつて、容易に得ることができる。スル
ホン化の程度は、前記したように、式Aの繰返し
単位におけるエーテル結合に挟まれた芳香環は実
質的にすべてモノスルホン化されるが、式Bの繰
返し単位は実質的にすべてが非スルホン化状態で
残存するので、式Aと式Bとの繰返し単位の比率
を変えた共重合体を用いることによつて、線状ポ
リスルホンのスルホン化の程度を溶易に制御する
ことができる。 本発明においては、かかるスルホン化ポリスル
ホン共重合体は、その前駆体である線状ポリスル
ホン共重合体が10モル%以上の繰返し単位Aと90
モル%以下の繰返し単位Bとからなるのが好まし
い。また、本発明においては、このスルホン化ポ
リスルホン共重合体も、前記スルホン化ポリスル
ホンと同様に、乾燥樹脂1gについて、イオン交
換容量が2.3ミリ当量/g以下であり、且つ、そ
の対数粘度が0.2以上、好ましくは0.5以上である
ことが必要である。スルホン化ポリスルホン共重
合体のイオン交換容量が2.3ミリ当量/gを越え
るときは、共重合体が水溶性を有するに至るから
である。また、対数粘度が0.2よりも小さいとき
は、ピンホール等の欠陥のない均一な薄膜に製膜
することが困難であるからである。 本発明の方法において用いる上記スルホン化ポ
リスルホン又はスルホン化ポリスルホン共重合体
が有するスルホン酸基は、式−SO3Mで表わさ
れ、ここに、Mは水素、アルカリ金属又はテトラ
アルキルアンモニウムを示す。 例えば、式Aで表わされる繰返し単位からなる
ポリスルホンをスルホン化した後、このスルホン
化ポリスルホンを水洗し、乾燥すれば、遊離のス
ルホン酸基を有するスルホン化ポリスルホンを得
ることができる。また、このスルホン化ポリスル
ホンを水酸化アルカリ金属又はアルカリ金属アル
コラートの水溶液やメタノール、エタノール溶液
等に懸濁させて処理すれば、スルホン酸基をアル
カリ金属塩とすることができる。スルホン化ポリ
スルホン共重合体の場合も同じである。上記水酸
化アルカリ金属としては、例えば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が、ま
た、アルカリ金属アルコラートとしては、例え
ば、ナトリウムメチラート、カリウムメチラー
ト、カリウムエチラート等が用いられる。また、
スルホン化ポリスルホン又はスルホン化ポリスル
ホン共重合体をテトラアルキルアンモニウム、例
えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化
テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピ
ルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウ
ム等の溶液で同様に処理すれば、重合体のスルホ
ン酸基を対応するテトラアルキルアンモニウム塩
とすることができる。 本発明による複合半透膜は、前記スルホン化ポ
ルスルホン又はスルホン化ポリスルホン共重合体
と、添加剤としての水溶性で且つ低揮発性の化合
物とを、少量の非プロトン性極性有機溶剤を含ん
でいてもよいアルキレングリコールアルキルエー
テルに溶解含有させて製膜溶液とし、これを乾燥
した支持膜上に塗布し、次いで、この製膜溶液か
ら有機溶剤を蒸発させることによつて得ることが
できる。 製膜溶液を調製するための有機溶剤としては、
本発明においては、アルキレン基の炭素数が2〜
4であり、アルキル基の炭素数が1〜4であるア
ルキレングリコールアルキルエーテルが特に好ま
しく用いられる。この溶剤は、本発明において用
いるスルホン化ポリスルホン及びスルホン化ポリ
スルホン共重合体のいずれに対してもすぐれた溶
解性を有すると共に、高揮発性であり、他方、本
発明において支持膜として好適に用いることがで
きるポリスルホン限外濾過膜を溶解しないからで
ある。このようなアルキレングリコールアルキル
エーテルの具体例としては、例えば、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエ
チルエーテル等のアルキレングリコールモノアル
キルエーテルや、エチレングリコールジメチルエ
ーテル、エチレングリコールジメチルエチルエー
テル、エチレングリコールジエチルエーテル等の
アルキレングリコールジアルキルエーテルを挙げ
ることができる。特に、エチレングリコールモノ
メチルエーテルがスルホン化ポリスルホン及びス
ルホン化ポリスルホン共重合体の溶解性にすぐれ
ると共に、高揮発性であるために、好ましく用い
られる。 しかし、用いるスルホン化ポリスルホン又はス
ルホン化ポリスルホン共重合体によつては、上記
アルキレングリコールアルキルエーテルに溶解さ
せることが困難であり、或いは単に膨潤のみする
場合もあるが、本発明者らは、かかる重合体も、
上記アルキレングリコールアルキルエーテルに少
量の非プロトン性極性有機溶剤を添加してなる混
合溶剤にはよく溶解することを見出した。このよ
うな非プロトン性極性有機溶剤としては、例え
ば、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピ
ロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド等が好ましく用いられ
る。かかる混合溶剤において、非プロトン性極性
有機溶剤の割合は、上記アルキレングリコールア
ルキルエーテル100重量部について5重量部以下、
特に、3重量部以下とするのがよい。混合溶剤に
おいて、上記アルキレングリコールアルキルエー
テル100重量部について、非プロトン性極性有機
溶剤が5重量部よりも多いときは、製膜溶液を支
持膜としての乾燥ポリスルホン限外濾過膜上に塗
布したとき、この限外濾過膜が溶解し、又は膨潤
するので、性能の良好な複合半透膜を得ることが
できないからである。 このように、製膜溶液の溶剤として、アルキレ
ングリコールアルキルエーテル又はこれと少量の
前記非プロトン性極性有機溶剤との混合溶剤を用
いることは、後述するように、支持膜に製膜溶液
を塗布した後、この製膜溶液から溶剤を蒸発除去
する工程において、常温乃至僅かの加熱によつて
実質的にすべての溶剤を除去することができ、且
つ、欠陥のない均一な薄膜を得ることができるの
で有利である。 製膜溶液におけるスルホン化ポリスルホン又は
スルホン化ポリスルホン共重合体の濃度は、得ら
れる複合半透膜におけるこれら重合体による半透
膜の膜厚にも関係するが、通常、0.05〜10重量%
の範囲が好ましく、特に0.1〜5重量%の範囲が
好ましい。 本発明においては、製膜溶液は特定の添加剤を
含有する。このような添加剤のうち、有機化合物
としては、多価アルコール、ポリアルキレングリ
コール、カルボン酸、その塩、ヒドロキシカルボ
ン酸及びその塩よりなる群から選ばれる少なくと
も1種が用いられる。これら添加剤としての有機
化合物は、水溶性であつて、且つ、低揮発性であ
ると共に、製膜溶液に溶解することを要し、従つ
て、炭素数2〜5の多価アルコール、低分子量の
ポリアルキレングリコール、カルボン酸、その
塩、ヒドロキシカルボン酸又はその塩が好ましく
用いられる。具体例としては、多価アルコールと
してエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセリン、1,4−ブタンジオール等を、
ポリアルキレングリコールとしてジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール等を、カルボン酸としてはクエン酸、
シユウ酸等を、ヒドロキシカルボン酸として乳
酸、ヒドロキシ酪酸等を、また、カルボン酸やヒ
ドロキシカルボン酸の塩としてはナトリウム塩、
カリウム塩等をそれぞれ挙げることができる。 また、本発明においては、水溶性であり、且
つ、製膜溶液に溶解する無機塩も添加剤として用
いることができる。かかる無機塩としては、例え
ば、塩化リチウム、硝酸リチウム、過塩素酸マグ
ネシウム等を例示することができる。 これら添加剤の製膜溶液における濃度は、通
常、0.1〜80重量%の範囲である。これら添加剤
の複合半透膜の形成におけるその作用は必ずしも
明らかではないが、スルホン化ポリスルホン又は
スルホン化ポリスルホン共重合体から形成される
半透膜の有する微孔孔径に関連し、また、製膜溶
液を支持膜である限外濾過膜上に塗布するとき、
製膜溶液の溶剤及び添加剤が限外濾過膜の表面を
変性するとみられ、かくして、用いる添加剤の種
類及び量を選択することによつて、本発明によれ
ば、複合半透膜の性能、特に、溶質に対する除去
率と膜透過水量を広範囲に制御することができ
る。 本発明の方法においては、上記のようにして調
製された製膜溶液は、次いで、支持膜としての乾
燥限外濾過膜上に塗布される。乾燥限外濾過膜
は、よく知られているように、湿式法にて調製さ
れた湿潤限外濾過膜を適宜の温度に加熱して、膜
がその微孔内に含有する水分を蒸発乾燥させるこ
とによつて得ることができる。本発明において
は、特に、前記式Cで表わされる繰返し単位を有
するポリスルホンからなり、且つ、湿潤状態にお
いて分画分子量が1000〜200000、特に、50000〜
150000である限外濾過膜が好ましく用いられる。 本発明の方法においては、前記したように、製
膜溶液の溶剤として、アルキレングリコールアル
キルエーテル又は少量の前記非プロトン性極性有
機溶剤を含有する混合溶剤を用いるので、通常、
加熱を要せずして、常温にて実質的にすべての溶
剤を蒸発させることができるが、しかし、製膜溶
液を支持膜上に塗布した後、溶剤を蒸発させるた
めに、必要に応じて加熱してもよい。加熱温度
は、用いた溶剤に応じて適宜に選べばよいが、通
常、150℃以下の温度で十分である。尚、製膜溶
液を支持膜上に塗布した後の溶剤の蒸発を促進す
るために、製膜溶液を予め加温し、これを支持膜
上に塗布してもよい。 このようにして得られる複合半透膜におけるス
ルホン化ポリスルホン又はスルホン化ポリスルホ
ン共重合体に基づく薄膜状の半透膜の膜厚は、製
膜溶液におけるこれら重合体の濃度や、支持膜へ
の製膜溶液の塗布厚みにもよるが、複合半透膜の
透水速度を高くするには薄いほうがよく、強度を
高めるためには厚いほうがよい。従つて、特に、
制限されるものではないが、スルホン化ポリスル
ホン又はスルホン化ポリスルホン共重合体に基づ
く半透膜は、通常、0.01〜5μmの範囲の膜厚を有
するのが好ましい。 このようにして得られる複合半透膜には、用い
る添加剤の種類によつては、尚、添加剤が膜中に
残存することもあるが、得られた複合半透膜を水
中に浸漬し、通水し、或いは直ちに水性液体の処
理を行なうことにより、これら添加剤は膜から除
去される。 (発明の効果) 本発明の第1の方法による複合半透膜は、特
に、耐塩素性及び耐PH性にすぐれ、逆浸透膜乃至
は限外濾過膜として使用するのに好適であり、ま
た、本発明の第2の方法による複合半透膜も、耐
塩素性及び耐PH性にすぐれ、逆浸透膜として使用
するのに好適であり、特に、式Aの繰返し単位が
50〜10モル%の範囲にあり、式Bの繰返し単位が
50〜90モル%の範囲にある線状ポリスルホン共重
合体のスルホン化物から得られる複合半透膜は、
低い圧力での処理によつて塩化ナトリウムに対し
て高い除去率を有すると共に、透水速度も実用的
に十分に大きい。また、必要に応じて、乾燥及び
再湿潤の操作によつて、複合半透膜の除去率を高
めることができる。 更に、本発明の方法によれば、製膜溶液に添加
する添加剤の種類及びその濃度を選択することに
よつて、得られる複合半透膜の性能、特に、溶質
に対する除去率及び透水速度を広範囲にわたつて
制御することができるので、用途に適した膜設計
を容易に行なうことができる。 (実施例) 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例により何ら限定されるもので
はない。尚、実施例において、得られた複合半透
膜の溶質除去率及び透水速度の測定は、特に、明
示しない限りは、濃度5000ppmの塩化ナトリウム
水溶液を温度25℃、圧力20Kg/cm2の条件にて膜処
理して、それぞれ次式により求めた。 除去率=(1−膜透過液中の溶質濃度/膜供給液中の溶
質濃度)×100(%) 透水速度=透過水量(m3)/有効膜面積(m2)×透過時
間(日) 実施例 1 (1) ポリスルホンの製造 特公昭46−21458号に記載されている方法に
従つて、繰返し単位が式A1 であるポリスルホンを製造した。 即ち、ヒドロキノン13.2g(0.12モル)を撹
拌器、窒素ガス導入管、水抜き管及び温度計を
備えたフラスコに入れ、これにスルホラン100
mlとキシレン50mlを加えた。マントルヒーター
による加熱下に撹拌しながら、150℃で1時間
還流を行ない、この際、水約3mlを抜き出し
た。 次いで、温度を110℃まで下げ、4,4′−ジ
クロルジフエニルスルホン34.5g(0.12モル)
と炭酸カリウム20.7g(0.15モル)を加えて重
合反応を開始した。155℃で50分間還流した後、
50分間の間に水を抜きながら、200℃まで昇温
し、更に、200〜215℃で30分間還流を続けた。
この反応の間に抜き出された水量は3.6mlであ
つた。 反応液の一部をガラス板に塗布し、水中に浸
漬したとき、フイルムを形成し得ることを確認
した後、反応後にスルホラン80mlを加え、100
℃まで温度を下げ、ジクロルメタン20mlを加え
た。このようにして得た反応混合物を純水中に
投じて、ポリスルホンを凝固させ、一晩放置し
た。これを分離し、ミキサーで粉砕し、純水と
イソプロピルアルコールで洗浄した後、80℃の
温度で6時間乾燥した。 このようにして得られたポリスルホンは、小
豆色粒状物であつて、この重合体0.5gをp−
クロルフエノール100mlに溶解した溶液として、
47℃において測定した対数粘度(以下、ポリス
ルホンの対数粘度の測定条件は同じである。)
は1.40であつた。 (2) スルホン化ポリスルホンの製造 上記のようにして得たポリスルホン10gを97
%濃硫酸80mlに加え、常温にて緩やかに4時間
撹拌反応させて、黒褐色の粘稠な反応液を得
た。これを氷浴中に投入して、スルホン化ポリ
スルホン凝固させた。水にて洗浄後、0.5N水
酸化ナトリウム水溶液800ml中に一晩放置した。
次いで、洗浄液が中性になるまでこの重合体を
洗浄した後、30℃で7時間真空乾燥した。 このようにして得られた淡黄色粒状のスルホ
ン化ポリスルホンは、対数粘度3.0、イオン交
換容量は1.92ミリ当量/gであつた。 (3) 複合半透膜の製造 前記式Cの繰返し単位からなり、平均分子量
が20000のポリエチレングリコールについての
除去率が10%であつて、分画分子量が100000で
あるポリスルホンからなる異方性限外濾過膜を
60℃の乾燥器中に5分間放置して、乾燥限外濾
過膜を得た。 前記スルホン化ポリスルホンをエチレングリ
コールモノメチルエーテルに溶解し、孔径10μ
mの瀘紙を用いて異物を除いて、濃度1.0重量
%の重合体溶液を調製し、更に、この溶液90g
に1,4−ブタンジオール10gを添加し、撹拌
して均一な製膜溶液とした。即ち、この製膜溶
液は、部分スルホン化ポリスルホン0.9重量%、
添加剤10重量%を含有する。 この製膜溶液を上記乾燥限外濾過膜上に塗布
し、室温にて放置して殆どすべての溶剤を蒸発
除去した後、60℃の温度で5分間加熱して、本
発明による複合半透膜を得た。 この複合半透膜の性能は、除去率50.0%、透
水速度5.9m3/m2・日であつた。 実施例 2 実施例1において、添加剤として乳酸を用い、
製膜溶液におけるその濃度を10重量%とした以外
は、実施例1と同様にして複合半透膜を得た。こ
の複合半透膜の性能は、除去率50.3%、透水速度
5.9m3/m2・日であつた。 実施例 3 実施例1において、添加剤として1,4−ブタ
ンジオール又は乳酸を第1表に示す濃度にて製膜
溶液に添加した以外は、実施例1同様にして複合
半透膜を得た。このようにして得た複合半透膜の
膜性能を第1表に示す。添加剤を添加しない製膜
溶液から得た複合半透膜の性能をも比較例として
第1表に示す。 1,4−ブタンジオールを10重量%までの範囲
で含む製膜溶液を用いるとき、比較例に比べて、
除去率を向上させ、又は変化させないで、透水速
度
半透膜の製造方法に関し、詳しくは、スルホン化
されたポリスルホンからなる半透膜が支持膜とし
ての限外濾過膜上に製膜されてなる複合半透膜の
製造方法に関する。 (従来の技術) 式A と、式B とを繰返し単位として有する線状ポリスルホン共
重合体は、既にカナダ特許第847963号明細書に記
載されており、また、この共重合体のスルホン化
物も既に特開昭55−48222号広報に記載されてい
る。即ち、この公報には、上記ポリスルホン共重
合体を濃硫酸に溶解させてスルホン化することに
よつて、式Aの繰返し単位は実質的にすべてスル
ホン化されているが、式Bの繰返し単位は実質的
にすべてが非スルホン化状態で残存している親水
性のスルホン化ポリスルホンが生成することが記
載されている。 また、繰返し単位が式C からなるポリスルホンのスルホン化物は、米国特
許第3709841号明細書に記載されており、特開昭
50−99973号公報及び特開昭51−146379号公報に
は、このようなスルホン化ポリスルホンの溶液を
異方性限外濾過膜の表面の緻密層上に塗布し、溶
剤を蒸発させることにより、半透性を有する薄膜
が限外濾過膜上に積層されてなる逆浸透用の複合
半透膜を製造する方法が記載されている。同様に
Office of Water Research and Technology
Department of the Interior,Report No.2001
−20には、上記式Cの繰返し単位からなる異方性
限外濾過膜を予め乳酸水溶液にて目詰めし、この
限外濾過膜上に同じく上記式Cの繰返し単位から
なるポリスルホンのスルホン化物の溶液を塗布
し、溶剤を蒸発させて、複合半透膜を得る方法が
記載されている。 (発明の目的) しかしながら、本発明者らは、前記式Aの繰返
し単位のみからなるポリスルホンをスルホン化
し、このスルホン化ポリスルホンを乾燥した支持
膜上に薄膜状の半透膜に製膜することによつて、
複合半透膜を得ることができ、この複合半透膜が
特に耐塩素性及び耐PH性にすぐれたな逆浸透膜乃
至は限外濾過膜として有用であることを見出し
た。 更に、本発明者らは、前記式A及び式Bよりな
る線状ポリスルホン共重合体をスルホン化してな
るスルホン化ポリスルホン共重合体を、支持膜と
しての乾燥限外濾過膜上に製膜することによつ
て、前記した従来より知られている複合半透膜に
比べて、一層すぐれた物性及び性能を有し、特
に、好ましい場合には、食塩水溶液の処理におい
て、極めて高い塩化ナトリウム除去率を有すると
共に、耐塩素性、耐PH性及び耐熱性にすぐれた逆
浸透膜を得ることができることを見出した。 また、本発明者らは、支持膜としての限外濾過
膜上に上記スルホン化ポリスルホン又はスルホン
化ポリスルホン共重合体からなる薄膜状の半透膜
を製膜してなる複合半透膜の製造において、上記
重合体を含む製膜溶液にある種の水溶性有機又は
有機化合物からなる添加剤を存在せしめることに
よつて、得られる複合半透膜の物性、特に、溶液
の膜処理における溶質の除去率及び膜透過水量を
広範囲にわたつて制御し得ることを見出して、本
発明に至つたものである。 (発明の構成) 本発明によるスルホン化ポリスルホン複合半透
膜の製造方法の第1は、 繰返し単位A よりなるポリスルホンをスルホン化してなる重合
体であつて、好ましくはこの重合体0.5gをN−
メチル−2−ピロリドン100mlに溶解した溶液に
ついて、30℃において測定した対数粘度が0.2以
上であり、且つ、イオン交換容量が2.3ミリ当
量/g以下であるスルホン化ポリスルホンと、少
量の非プロトン性極性有機溶剤を含んでいてもよ
いアルキレングリコールアルキルエーテルと、添
加剤としての水溶性で且つ低揮発性の化合物とを
含有する製膜溶液を乾燥した支持膜上に塗布し、
次いで、この製膜溶液から有機溶剤を蒸発させる
ことを特徴とし、本発明によるスルホン化ポリス
ルホン複合半透膜の製造方法の第2は、 繰返し単位A 及び繰返し単位B よりなる線状ポリスルホン共重合体をスルホン化
してなる重合体(以下、スルホン化ポリスルホン
共重合体と称することがある。)であつて、好ま
しくはこの重合体0.5gをN−メチル−2−ピロ
リドン100mlに溶解した溶液について、30℃にお
いて測定した対数粘度が0.2以上であり、且つ、
イオン交換容量が2.3ミリ当量/g以下であるス
ルホン化ポリスルホン共重合体と、少量の非プロ
トン性極性有機溶剤を含んでいてもよいアルキレ
ングリコールアルキルエーテルと、添加剤として
の水溶性で且つ低揮発性の化合物とを含有する製
膜溶剤を乾燥した支持膜上に塗布し、次いで、こ
の製膜溶液から有機溶剤を蒸発させることを特徴
とする。 本発明の第1の方法において用いるスルホン化
ポリスルホンは、前記式Aで表わされる繰返し単
位を有するポリスルホン化スルホン化することに
よつて得られる親水性重合体である。このスルホ
ン化ポリスルホンは、前記式Aで表わされる繰返
し単位を有するポリスルホンを97〜98%濃硫酸中
に加え、常温にて数時間緩やかに撹拌することに
よつて得られる。反応後、得られた粘稠な反応液
を水中に投じた後、濾別することによつて、スル
ホン化ポリスルホンを水不溶性重合体として容易
に分離することができる。 本発明においては、かかるスルホン化ポリスル
ホンは、乾燥樹脂1gについて、イオン交換容量
が2.3ミリ当量/g以下であり、且つ、N−メチ
ル−2−ピロリドン100mlにこの重合体0.5gを溶
解した溶液について、30℃において測定した対数
粘度(以下、スルホン化ポリスルホン及びスルホ
ン化ポリスルホン共重合体の対数粘度の測定方法
は同じである。)が0.2以上、好ましくは0.5以上
であることが必要である。 繰返し単位が式Aのみからなるポリスルホンに
おいて、二つのエーテル基に挟まれた芳香環のす
べてのモノスルホン化されたとき、かかるスルホ
ン化ポリスルホンの理論イオン交換容量は2.4ミ
リ当量/gであるが、本発明において用いる部分
スルホン化ポリスルホンは、そのイオン交換容量
が2.3ミリ当量/g以下であることが必要である。
イオン交換容量が2.3ミリ当量/gを越えるとき
は、スルホン化ポリスルホンが水溶性を有するに
至り、水性媒体を含む液体を処理することが多い
半透膜としての使用に適さない。また、対数粘度
が0.2よりも小さいときは、スルホン化ポリスル
ホンの分子量が小さすぎるので、ピンホール等の
欠陥のない均一な薄膜に製膜することが困難であ
る。 本発明の第2の方法において用いるスルホン化
ポリスルホン共重合体は、前記した繰返し単位A
と繰返し単位Bとからなる線状ポリスルホン共重
合体を濃硫酸に溶解させ、常温にて数時間撹拌す
ることによつて、容易に得ることができる。スル
ホン化の程度は、前記したように、式Aの繰返し
単位におけるエーテル結合に挟まれた芳香環は実
質的にすべてモノスルホン化されるが、式Bの繰
返し単位は実質的にすべてが非スルホン化状態で
残存するので、式Aと式Bとの繰返し単位の比率
を変えた共重合体を用いることによつて、線状ポ
リスルホンのスルホン化の程度を溶易に制御する
ことができる。 本発明においては、かかるスルホン化ポリスル
ホン共重合体は、その前駆体である線状ポリスル
ホン共重合体が10モル%以上の繰返し単位Aと90
モル%以下の繰返し単位Bとからなるのが好まし
い。また、本発明においては、このスルホン化ポ
リスルホン共重合体も、前記スルホン化ポリスル
ホンと同様に、乾燥樹脂1gについて、イオン交
換容量が2.3ミリ当量/g以下であり、且つ、そ
の対数粘度が0.2以上、好ましくは0.5以上である
ことが必要である。スルホン化ポリスルホン共重
合体のイオン交換容量が2.3ミリ当量/gを越え
るときは、共重合体が水溶性を有するに至るから
である。また、対数粘度が0.2よりも小さいとき
は、ピンホール等の欠陥のない均一な薄膜に製膜
することが困難であるからである。 本発明の方法において用いる上記スルホン化ポ
リスルホン又はスルホン化ポリスルホン共重合体
が有するスルホン酸基は、式−SO3Mで表わさ
れ、ここに、Mは水素、アルカリ金属又はテトラ
アルキルアンモニウムを示す。 例えば、式Aで表わされる繰返し単位からなる
ポリスルホンをスルホン化した後、このスルホン
化ポリスルホンを水洗し、乾燥すれば、遊離のス
ルホン酸基を有するスルホン化ポリスルホンを得
ることができる。また、このスルホン化ポリスル
ホンを水酸化アルカリ金属又はアルカリ金属アル
コラートの水溶液やメタノール、エタノール溶液
等に懸濁させて処理すれば、スルホン酸基をアル
カリ金属塩とすることができる。スルホン化ポリ
スルホン共重合体の場合も同じである。上記水酸
化アルカリ金属としては、例えば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が、ま
た、アルカリ金属アルコラートとしては、例え
ば、ナトリウムメチラート、カリウムメチラー
ト、カリウムエチラート等が用いられる。また、
スルホン化ポリスルホン又はスルホン化ポリスル
ホン共重合体をテトラアルキルアンモニウム、例
えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化
テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピ
ルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウ
ム等の溶液で同様に処理すれば、重合体のスルホ
ン酸基を対応するテトラアルキルアンモニウム塩
とすることができる。 本発明による複合半透膜は、前記スルホン化ポ
ルスルホン又はスルホン化ポリスルホン共重合体
と、添加剤としての水溶性で且つ低揮発性の化合
物とを、少量の非プロトン性極性有機溶剤を含ん
でいてもよいアルキレングリコールアルキルエー
テルに溶解含有させて製膜溶液とし、これを乾燥
した支持膜上に塗布し、次いで、この製膜溶液か
ら有機溶剤を蒸発させることによつて得ることが
できる。 製膜溶液を調製するための有機溶剤としては、
本発明においては、アルキレン基の炭素数が2〜
4であり、アルキル基の炭素数が1〜4であるア
ルキレングリコールアルキルエーテルが特に好ま
しく用いられる。この溶剤は、本発明において用
いるスルホン化ポリスルホン及びスルホン化ポリ
スルホン共重合体のいずれに対してもすぐれた溶
解性を有すると共に、高揮発性であり、他方、本
発明において支持膜として好適に用いることがで
きるポリスルホン限外濾過膜を溶解しないからで
ある。このようなアルキレングリコールアルキル
エーテルの具体例としては、例えば、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエ
チルエーテル等のアルキレングリコールモノアル
キルエーテルや、エチレングリコールジメチルエ
ーテル、エチレングリコールジメチルエチルエー
テル、エチレングリコールジエチルエーテル等の
アルキレングリコールジアルキルエーテルを挙げ
ることができる。特に、エチレングリコールモノ
メチルエーテルがスルホン化ポリスルホン及びス
ルホン化ポリスルホン共重合体の溶解性にすぐれ
ると共に、高揮発性であるために、好ましく用い
られる。 しかし、用いるスルホン化ポリスルホン又はス
ルホン化ポリスルホン共重合体によつては、上記
アルキレングリコールアルキルエーテルに溶解さ
せることが困難であり、或いは単に膨潤のみする
場合もあるが、本発明者らは、かかる重合体も、
上記アルキレングリコールアルキルエーテルに少
量の非プロトン性極性有機溶剤を添加してなる混
合溶剤にはよく溶解することを見出した。このよ
うな非プロトン性極性有機溶剤としては、例え
ば、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピ
ロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド等が好ましく用いられ
る。かかる混合溶剤において、非プロトン性極性
有機溶剤の割合は、上記アルキレングリコールア
ルキルエーテル100重量部について5重量部以下、
特に、3重量部以下とするのがよい。混合溶剤に
おいて、上記アルキレングリコールアルキルエー
テル100重量部について、非プロトン性極性有機
溶剤が5重量部よりも多いときは、製膜溶液を支
持膜としての乾燥ポリスルホン限外濾過膜上に塗
布したとき、この限外濾過膜が溶解し、又は膨潤
するので、性能の良好な複合半透膜を得ることが
できないからである。 このように、製膜溶液の溶剤として、アルキレ
ングリコールアルキルエーテル又はこれと少量の
前記非プロトン性極性有機溶剤との混合溶剤を用
いることは、後述するように、支持膜に製膜溶液
を塗布した後、この製膜溶液から溶剤を蒸発除去
する工程において、常温乃至僅かの加熱によつて
実質的にすべての溶剤を除去することができ、且
つ、欠陥のない均一な薄膜を得ることができるの
で有利である。 製膜溶液におけるスルホン化ポリスルホン又は
スルホン化ポリスルホン共重合体の濃度は、得ら
れる複合半透膜におけるこれら重合体による半透
膜の膜厚にも関係するが、通常、0.05〜10重量%
の範囲が好ましく、特に0.1〜5重量%の範囲が
好ましい。 本発明においては、製膜溶液は特定の添加剤を
含有する。このような添加剤のうち、有機化合物
としては、多価アルコール、ポリアルキレングリ
コール、カルボン酸、その塩、ヒドロキシカルボ
ン酸及びその塩よりなる群から選ばれる少なくと
も1種が用いられる。これら添加剤としての有機
化合物は、水溶性であつて、且つ、低揮発性であ
ると共に、製膜溶液に溶解することを要し、従つ
て、炭素数2〜5の多価アルコール、低分子量の
ポリアルキレングリコール、カルボン酸、その
塩、ヒドロキシカルボン酸又はその塩が好ましく
用いられる。具体例としては、多価アルコールと
してエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセリン、1,4−ブタンジオール等を、
ポリアルキレングリコールとしてジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール等を、カルボン酸としてはクエン酸、
シユウ酸等を、ヒドロキシカルボン酸として乳
酸、ヒドロキシ酪酸等を、また、カルボン酸やヒ
ドロキシカルボン酸の塩としてはナトリウム塩、
カリウム塩等をそれぞれ挙げることができる。 また、本発明においては、水溶性であり、且
つ、製膜溶液に溶解する無機塩も添加剤として用
いることができる。かかる無機塩としては、例え
ば、塩化リチウム、硝酸リチウム、過塩素酸マグ
ネシウム等を例示することができる。 これら添加剤の製膜溶液における濃度は、通
常、0.1〜80重量%の範囲である。これら添加剤
の複合半透膜の形成におけるその作用は必ずしも
明らかではないが、スルホン化ポリスルホン又は
スルホン化ポリスルホン共重合体から形成される
半透膜の有する微孔孔径に関連し、また、製膜溶
液を支持膜である限外濾過膜上に塗布するとき、
製膜溶液の溶剤及び添加剤が限外濾過膜の表面を
変性するとみられ、かくして、用いる添加剤の種
類及び量を選択することによつて、本発明によれ
ば、複合半透膜の性能、特に、溶質に対する除去
率と膜透過水量を広範囲に制御することができ
る。 本発明の方法においては、上記のようにして調
製された製膜溶液は、次いで、支持膜としての乾
燥限外濾過膜上に塗布される。乾燥限外濾過膜
は、よく知られているように、湿式法にて調製さ
れた湿潤限外濾過膜を適宜の温度に加熱して、膜
がその微孔内に含有する水分を蒸発乾燥させるこ
とによつて得ることができる。本発明において
は、特に、前記式Cで表わされる繰返し単位を有
するポリスルホンからなり、且つ、湿潤状態にお
いて分画分子量が1000〜200000、特に、50000〜
150000である限外濾過膜が好ましく用いられる。 本発明の方法においては、前記したように、製
膜溶液の溶剤として、アルキレングリコールアル
キルエーテル又は少量の前記非プロトン性極性有
機溶剤を含有する混合溶剤を用いるので、通常、
加熱を要せずして、常温にて実質的にすべての溶
剤を蒸発させることができるが、しかし、製膜溶
液を支持膜上に塗布した後、溶剤を蒸発させるた
めに、必要に応じて加熱してもよい。加熱温度
は、用いた溶剤に応じて適宜に選べばよいが、通
常、150℃以下の温度で十分である。尚、製膜溶
液を支持膜上に塗布した後の溶剤の蒸発を促進す
るために、製膜溶液を予め加温し、これを支持膜
上に塗布してもよい。 このようにして得られる複合半透膜におけるス
ルホン化ポリスルホン又はスルホン化ポリスルホ
ン共重合体に基づく薄膜状の半透膜の膜厚は、製
膜溶液におけるこれら重合体の濃度や、支持膜へ
の製膜溶液の塗布厚みにもよるが、複合半透膜の
透水速度を高くするには薄いほうがよく、強度を
高めるためには厚いほうがよい。従つて、特に、
制限されるものではないが、スルホン化ポリスル
ホン又はスルホン化ポリスルホン共重合体に基づ
く半透膜は、通常、0.01〜5μmの範囲の膜厚を有
するのが好ましい。 このようにして得られる複合半透膜には、用い
る添加剤の種類によつては、尚、添加剤が膜中に
残存することもあるが、得られた複合半透膜を水
中に浸漬し、通水し、或いは直ちに水性液体の処
理を行なうことにより、これら添加剤は膜から除
去される。 (発明の効果) 本発明の第1の方法による複合半透膜は、特
に、耐塩素性及び耐PH性にすぐれ、逆浸透膜乃至
は限外濾過膜として使用するのに好適であり、ま
た、本発明の第2の方法による複合半透膜も、耐
塩素性及び耐PH性にすぐれ、逆浸透膜として使用
するのに好適であり、特に、式Aの繰返し単位が
50〜10モル%の範囲にあり、式Bの繰返し単位が
50〜90モル%の範囲にある線状ポリスルホン共重
合体のスルホン化物から得られる複合半透膜は、
低い圧力での処理によつて塩化ナトリウムに対し
て高い除去率を有すると共に、透水速度も実用的
に十分に大きい。また、必要に応じて、乾燥及び
再湿潤の操作によつて、複合半透膜の除去率を高
めることができる。 更に、本発明の方法によれば、製膜溶液に添加
する添加剤の種類及びその濃度を選択することに
よつて、得られる複合半透膜の性能、特に、溶質
に対する除去率及び透水速度を広範囲にわたつて
制御することができるので、用途に適した膜設計
を容易に行なうことができる。 (実施例) 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例により何ら限定されるもので
はない。尚、実施例において、得られた複合半透
膜の溶質除去率及び透水速度の測定は、特に、明
示しない限りは、濃度5000ppmの塩化ナトリウム
水溶液を温度25℃、圧力20Kg/cm2の条件にて膜処
理して、それぞれ次式により求めた。 除去率=(1−膜透過液中の溶質濃度/膜供給液中の溶
質濃度)×100(%) 透水速度=透過水量(m3)/有効膜面積(m2)×透過時
間(日) 実施例 1 (1) ポリスルホンの製造 特公昭46−21458号に記載されている方法に
従つて、繰返し単位が式A1 であるポリスルホンを製造した。 即ち、ヒドロキノン13.2g(0.12モル)を撹
拌器、窒素ガス導入管、水抜き管及び温度計を
備えたフラスコに入れ、これにスルホラン100
mlとキシレン50mlを加えた。マントルヒーター
による加熱下に撹拌しながら、150℃で1時間
還流を行ない、この際、水約3mlを抜き出し
た。 次いで、温度を110℃まで下げ、4,4′−ジ
クロルジフエニルスルホン34.5g(0.12モル)
と炭酸カリウム20.7g(0.15モル)を加えて重
合反応を開始した。155℃で50分間還流した後、
50分間の間に水を抜きながら、200℃まで昇温
し、更に、200〜215℃で30分間還流を続けた。
この反応の間に抜き出された水量は3.6mlであ
つた。 反応液の一部をガラス板に塗布し、水中に浸
漬したとき、フイルムを形成し得ることを確認
した後、反応後にスルホラン80mlを加え、100
℃まで温度を下げ、ジクロルメタン20mlを加え
た。このようにして得た反応混合物を純水中に
投じて、ポリスルホンを凝固させ、一晩放置し
た。これを分離し、ミキサーで粉砕し、純水と
イソプロピルアルコールで洗浄した後、80℃の
温度で6時間乾燥した。 このようにして得られたポリスルホンは、小
豆色粒状物であつて、この重合体0.5gをp−
クロルフエノール100mlに溶解した溶液として、
47℃において測定した対数粘度(以下、ポリス
ルホンの対数粘度の測定条件は同じである。)
は1.40であつた。 (2) スルホン化ポリスルホンの製造 上記のようにして得たポリスルホン10gを97
%濃硫酸80mlに加え、常温にて緩やかに4時間
撹拌反応させて、黒褐色の粘稠な反応液を得
た。これを氷浴中に投入して、スルホン化ポリ
スルホン凝固させた。水にて洗浄後、0.5N水
酸化ナトリウム水溶液800ml中に一晩放置した。
次いで、洗浄液が中性になるまでこの重合体を
洗浄した後、30℃で7時間真空乾燥した。 このようにして得られた淡黄色粒状のスルホ
ン化ポリスルホンは、対数粘度3.0、イオン交
換容量は1.92ミリ当量/gであつた。 (3) 複合半透膜の製造 前記式Cの繰返し単位からなり、平均分子量
が20000のポリエチレングリコールについての
除去率が10%であつて、分画分子量が100000で
あるポリスルホンからなる異方性限外濾過膜を
60℃の乾燥器中に5分間放置して、乾燥限外濾
過膜を得た。 前記スルホン化ポリスルホンをエチレングリ
コールモノメチルエーテルに溶解し、孔径10μ
mの瀘紙を用いて異物を除いて、濃度1.0重量
%の重合体溶液を調製し、更に、この溶液90g
に1,4−ブタンジオール10gを添加し、撹拌
して均一な製膜溶液とした。即ち、この製膜溶
液は、部分スルホン化ポリスルホン0.9重量%、
添加剤10重量%を含有する。 この製膜溶液を上記乾燥限外濾過膜上に塗布
し、室温にて放置して殆どすべての溶剤を蒸発
除去した後、60℃の温度で5分間加熱して、本
発明による複合半透膜を得た。 この複合半透膜の性能は、除去率50.0%、透
水速度5.9m3/m2・日であつた。 実施例 2 実施例1において、添加剤として乳酸を用い、
製膜溶液におけるその濃度を10重量%とした以外
は、実施例1と同様にして複合半透膜を得た。こ
の複合半透膜の性能は、除去率50.3%、透水速度
5.9m3/m2・日であつた。 実施例 3 実施例1において、添加剤として1,4−ブタ
ンジオール又は乳酸を第1表に示す濃度にて製膜
溶液に添加した以外は、実施例1同様にして複合
半透膜を得た。このようにして得た複合半透膜の
膜性能を第1表に示す。添加剤を添加しない製膜
溶液から得た複合半透膜の性能をも比較例として
第1表に示す。 1,4−ブタンジオールを10重量%までの範囲
で含む製膜溶液を用いるとき、比較例に比べて、
除去率を向上させ、又は変化させないで、透水速
度
【表】
(注) * 製膜溶液における濃度
を大幅に改善することができる。更に、その他の
実施例においては、透水速度が著しく改善されて
いる。 実施例 4 第2表に示す添加剤を用いて、実施例1と同様
にして複合半透膜を調製した。 膜性能の評価においては、原液として濃度
500ppmのシヨ糖水溶液を用いて、温度25℃、圧
力20Kg/cm2にて透過実験を行なつた。結果を第2
表に示す。 実施例 5 (耐酸性) 実施例1において得た半透膜を蒸留水に2時間
浸漬し、次いで、25℃の0.5N塩酸水溶液に2時
間浸漬した後、実施例1と同じ条件下で塩化ナト
リウム水溶液についての膜性能を測定した。除去
率は45.0%、透水速度は5.8m3/m2・日であつて、
塩酸水溶液浸漬前と比べて実質的に変化がなかつ
た。従つて、本発明の複合半透膜は耐酸性にすぐ
れていることが理解される。
を大幅に改善することができる。更に、その他の
実施例においては、透水速度が著しく改善されて
いる。 実施例 4 第2表に示す添加剤を用いて、実施例1と同様
にして複合半透膜を調製した。 膜性能の評価においては、原液として濃度
500ppmのシヨ糖水溶液を用いて、温度25℃、圧
力20Kg/cm2にて透過実験を行なつた。結果を第2
表に示す。 実施例 5 (耐酸性) 実施例1において得た半透膜を蒸留水に2時間
浸漬し、次いで、25℃の0.5N塩酸水溶液に2時
間浸漬した後、実施例1と同じ条件下で塩化ナト
リウム水溶液についての膜性能を測定した。除去
率は45.0%、透水速度は5.8m3/m2・日であつて、
塩酸水溶液浸漬前と比べて実質的に変化がなかつ
た。従つて、本発明の複合半透膜は耐酸性にすぐ
れていることが理解される。
【表】
(注) * 製膜溶液における濃度
(耐アルカリ性) 実施例1において得た複合半透膜を蒸留水に2
時間浸漬し、次いで、25℃の0.5N水酸化ナトリ
ウム水溶液に2時間浸漬した後、実施例1と同じ
条件下で塩化ナトリウム水溶液についての膜性能
を測定した。除去率は45.0%、透水速度は6.0
m3/m2・日であつて、水酸化ナトリウム水溶液浸
漬前と比べて実質的に変化がなかつた。従つて、
本発明の複合半透膜は耐アルカリにすぐれている
ことが理解される。 (耐塩素性) 実施例3において得た複合半透膜aを蒸留水に
2時間浸漬した後、100ppmの塩素イオンを含む
水溶液に25℃の温度で4週間浸漬した。この後、
実施例1と同じ条件下で塩化ナトリウム水溶液に
ついての膜性能を測定した。除去率は67.0%、透
水速度は3.1m3/m2・日であつて、実質的に変化
がなかつた。同様に、塩素イオン濃度が
10000ppmの水溶液に4週間浸漬後の除去率は
68.0%、透水速度3.0m3/m2・日であつた。また、
膜性能の経時的な変化も調べたが、実質的な変化
はみられなかつた。従つて、本発明の半透膜は耐
塩素性にすぐれていることが理解される。 実施例 6 (1) 線状ポリスルホン共重合体の製造 特公昭46−21458号に記載されている方法に
従つて、式A1の繰返し単位57モル%と、式B
の繰返し単位43モル%とからなる線状ポリスル
ホン共重合体を製造した。 即ち、4,4′−ジヒドロキシジフエニルスル
ホン15.0g(0.06モル)及びヒドロキノン8.8g
(0.08モル)を撹拌器、窒素ガス導入管、水抜
き管及び温度計を備えたフラスコに入れ、これ
にスルホラン200mlとキシレン100mlを加えた。
マントルヒーターによる加熱下に撹拌しなが
ら、155℃で1時間還流を行ない、この際、水
5.6mlを抜き出した。 次いで、温度を110℃まで下げ、4,4′−ジ
クロルジフエニルスルホン40.2g(0.14モル)
と炭酸カリウム27.6g(0.20モル)を加えて重
合反応を開始した。162℃で1時間還流した後、
2.5時間の間に水を抜きながら、200℃まで昇温
し、更に、200〜215℃で4時間還流を続けた。
この反応の間に抜き出された水量は2.0mlであ
つた。 反応液の一部をガラス板に塗布し、水中に浸
漬したとき、フイルムを形成し得ることを確認
した後、100℃まで温度を下げ、ジクロルメタ
ン20mlを加えた。このようにして得た反応混合
物を純水中に投じて、ポリスルホン共重合体を
凝固させ、純水、次にアセトンで洗浄した後、
80℃で6.5時間乾燥した。 このようにして得られた線状ポリスルホン共
重合体は、淡黄色粒状物であつり、その対数粘
度は0.84であつた。 (2) スルホン化ポリスルホン共重合体の製造 上記のようにして得たポリスルホン共重合体
10gを97%濃硫酸80mlに加えて溶解させ、常温
にて4時間撹拌反応させて、黒褐色の粘稠な反
応液を得た。これを氷浴中に投入して、スルホ
ン化ポリスルホン共重合体を凝固させた。水に
て洗浄後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液800ml
中に一晩放置した。次いで、洗浄液が中性にな
るまでこの重合体を洗浄した後、60℃で5時間
真空乾燥した。 このようにして得られた淡黄色粒状のスルホ
ン化ポリスルホン共重合体は、対数粘度が
0.84、イオン交換容量は1.2ミリ当量/gであ
つた。 (3) 複合半透膜の製造 上記のようにして得たスルホン化ポリスルホ
ン共重合体をエチレングリコールモノメチルエ
ーテルに溶解して、1.0重量%の重合体溶液を
調製し、この溶液90gにグリセリンを濃度が
2.5重量%となるように添加し、撹拌して均一
な製膜溶液とした。 この製膜溶液を実施例1と同じ乾燥限外濾過
膜上に塗布し、室温にて放置して殆どすべての
溶接を蒸発除去した後、60℃の温度で5分間加
熱して、本発明による複合半透膜を得た。 この複合半透膜の性能は、除去率82.0%、透
水速度2.5m3/m2・日であつた。 実施例 7 実施例6において、添加剤として1,4−ブタ
ンジオールを用い、その製膜溶液における濃度を
10重量%とした以外は、実施例6と同様にして複
合半透膜を得た。この複合半透膜の性能は、除去
率85.6%、透水速度1.4m3/m2・日であつた。 実施例 8 実施例6において、式A1の繰返し単位と式B
の繰返し単位との比率が異なる種々のポリスルホ
ン共重合体を調製し、これをスルホン化して、そ
れぞれスルホン化ポリスルホン共重合体を得、こ
れらを用いて、実施例6と同様にして複合半透膜
を調製した。 これら複合半透膜の性能を第3表に示す。 比較例 1 式Cの繰返し単位を有するポリスルホン
(UCC社製P−1700)をNoshayらの方法(J.
Applied Polymer Sci.,20,1885(1976))に従
つてスルホン化した。
(耐アルカリ性) 実施例1において得た複合半透膜を蒸留水に2
時間浸漬し、次いで、25℃の0.5N水酸化ナトリ
ウム水溶液に2時間浸漬した後、実施例1と同じ
条件下で塩化ナトリウム水溶液についての膜性能
を測定した。除去率は45.0%、透水速度は6.0
m3/m2・日であつて、水酸化ナトリウム水溶液浸
漬前と比べて実質的に変化がなかつた。従つて、
本発明の複合半透膜は耐アルカリにすぐれている
ことが理解される。 (耐塩素性) 実施例3において得た複合半透膜aを蒸留水に
2時間浸漬した後、100ppmの塩素イオンを含む
水溶液に25℃の温度で4週間浸漬した。この後、
実施例1と同じ条件下で塩化ナトリウム水溶液に
ついての膜性能を測定した。除去率は67.0%、透
水速度は3.1m3/m2・日であつて、実質的に変化
がなかつた。同様に、塩素イオン濃度が
10000ppmの水溶液に4週間浸漬後の除去率は
68.0%、透水速度3.0m3/m2・日であつた。また、
膜性能の経時的な変化も調べたが、実質的な変化
はみられなかつた。従つて、本発明の半透膜は耐
塩素性にすぐれていることが理解される。 実施例 6 (1) 線状ポリスルホン共重合体の製造 特公昭46−21458号に記載されている方法に
従つて、式A1の繰返し単位57モル%と、式B
の繰返し単位43モル%とからなる線状ポリスル
ホン共重合体を製造した。 即ち、4,4′−ジヒドロキシジフエニルスル
ホン15.0g(0.06モル)及びヒドロキノン8.8g
(0.08モル)を撹拌器、窒素ガス導入管、水抜
き管及び温度計を備えたフラスコに入れ、これ
にスルホラン200mlとキシレン100mlを加えた。
マントルヒーターによる加熱下に撹拌しなが
ら、155℃で1時間還流を行ない、この際、水
5.6mlを抜き出した。 次いで、温度を110℃まで下げ、4,4′−ジ
クロルジフエニルスルホン40.2g(0.14モル)
と炭酸カリウム27.6g(0.20モル)を加えて重
合反応を開始した。162℃で1時間還流した後、
2.5時間の間に水を抜きながら、200℃まで昇温
し、更に、200〜215℃で4時間還流を続けた。
この反応の間に抜き出された水量は2.0mlであ
つた。 反応液の一部をガラス板に塗布し、水中に浸
漬したとき、フイルムを形成し得ることを確認
した後、100℃まで温度を下げ、ジクロルメタ
ン20mlを加えた。このようにして得た反応混合
物を純水中に投じて、ポリスルホン共重合体を
凝固させ、純水、次にアセトンで洗浄した後、
80℃で6.5時間乾燥した。 このようにして得られた線状ポリスルホン共
重合体は、淡黄色粒状物であつり、その対数粘
度は0.84であつた。 (2) スルホン化ポリスルホン共重合体の製造 上記のようにして得たポリスルホン共重合体
10gを97%濃硫酸80mlに加えて溶解させ、常温
にて4時間撹拌反応させて、黒褐色の粘稠な反
応液を得た。これを氷浴中に投入して、スルホ
ン化ポリスルホン共重合体を凝固させた。水に
て洗浄後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液800ml
中に一晩放置した。次いで、洗浄液が中性にな
るまでこの重合体を洗浄した後、60℃で5時間
真空乾燥した。 このようにして得られた淡黄色粒状のスルホ
ン化ポリスルホン共重合体は、対数粘度が
0.84、イオン交換容量は1.2ミリ当量/gであ
つた。 (3) 複合半透膜の製造 上記のようにして得たスルホン化ポリスルホ
ン共重合体をエチレングリコールモノメチルエ
ーテルに溶解して、1.0重量%の重合体溶液を
調製し、この溶液90gにグリセリンを濃度が
2.5重量%となるように添加し、撹拌して均一
な製膜溶液とした。 この製膜溶液を実施例1と同じ乾燥限外濾過
膜上に塗布し、室温にて放置して殆どすべての
溶接を蒸発除去した後、60℃の温度で5分間加
熱して、本発明による複合半透膜を得た。 この複合半透膜の性能は、除去率82.0%、透
水速度2.5m3/m2・日であつた。 実施例 7 実施例6において、添加剤として1,4−ブタ
ンジオールを用い、その製膜溶液における濃度を
10重量%とした以外は、実施例6と同様にして複
合半透膜を得た。この複合半透膜の性能は、除去
率85.6%、透水速度1.4m3/m2・日であつた。 実施例 8 実施例6において、式A1の繰返し単位と式B
の繰返し単位との比率が異なる種々のポリスルホ
ン共重合体を調製し、これをスルホン化して、そ
れぞれスルホン化ポリスルホン共重合体を得、こ
れらを用いて、実施例6と同様にして複合半透膜
を調製した。 これら複合半透膜の性能を第3表に示す。 比較例 1 式Cの繰返し単位を有するポリスルホン
(UCC社製P−1700)をNoshayらの方法(J.
Applied Polymer Sci.,20,1885(1976))に従
つてスルホン化した。
【表】
即ち、上記ポリスルホン60gを1,2−ジクロ
ロエタン300mlに溶解して、ポリスルホン溶液を
調製した。別に、活栓付き200ml三角フラスコに
リン酸トリエチル11.5ml(0.07モル)と1,2−
ジクロロエタン83mlを入れ、氷浴での冷却下、撹
拌しながら、これに三酸化イオウ溶液6ml(0.16
モル)を加えて、三酸化イオウ溶液を調製した。 撹拌後、二つの滴下ろうと及び塩化カルシウム
管を備えたフラスコに1,2−ジクロロエタン
120mlを入れ、撹拌しながら、一方の滴下ろうと
から上記ポリスルホン溶液を、他方の滴下ろうと
から上記三酸化イオウ溶液を1時間を要して上記
フラスコ内に滴下し、更に、室温にて2時間撹拌
を続けた。析出した重合体を濾別し、イソプロピ
ルアルコール、次に、純水で洗浄した後、90℃で
13時間乾燥した。 このようにして得られたスルホン化ポリスルホ
ン共重合体は、0.15重量%N−メチル−2−ピロ
リドン溶液として、30℃において測定した対数粘
度は0.91、イオン交換容量は1.0ミリ当量/gで
あつた。 このスルホン化ポリスルホンを用いて、実施例
6と同様にして、複合半透膜を調製した。膜性能
は、除去率84.3%、透水速度1.2m3/m2・日であ
つた。 実施例 9 実施例8において得た式A1の繰返し単位43モ
ル%と式Bの繰返し単位57モル%からなるポリス
ルホン共重合体のスルホン化物の1.0重量%エチ
レングリコールモノメチルエーテル溶液にグリセ
リン又は1,4−ブタンジオールを種々の濃度で
添加溶解して、製膜溶液を調製した。 これら製膜溶液を用いて、実施例6と同様にし
て複合半透膜を調製した。膜性能を第4表に示
す。 比較のために、添加剤を加えない製膜溶液を用
いて、同様にして調製した複合半透膜の性能も第
4表に示す。 実施例 10 実施例8において得た式A1の繰返し単位43
ロエタン300mlに溶解して、ポリスルホン溶液を
調製した。別に、活栓付き200ml三角フラスコに
リン酸トリエチル11.5ml(0.07モル)と1,2−
ジクロロエタン83mlを入れ、氷浴での冷却下、撹
拌しながら、これに三酸化イオウ溶液6ml(0.16
モル)を加えて、三酸化イオウ溶液を調製した。 撹拌後、二つの滴下ろうと及び塩化カルシウム
管を備えたフラスコに1,2−ジクロロエタン
120mlを入れ、撹拌しながら、一方の滴下ろうと
から上記ポリスルホン溶液を、他方の滴下ろうと
から上記三酸化イオウ溶液を1時間を要して上記
フラスコ内に滴下し、更に、室温にて2時間撹拌
を続けた。析出した重合体を濾別し、イソプロピ
ルアルコール、次に、純水で洗浄した後、90℃で
13時間乾燥した。 このようにして得られたスルホン化ポリスルホ
ン共重合体は、0.15重量%N−メチル−2−ピロ
リドン溶液として、30℃において測定した対数粘
度は0.91、イオン交換容量は1.0ミリ当量/gで
あつた。 このスルホン化ポリスルホンを用いて、実施例
6と同様にして、複合半透膜を調製した。膜性能
は、除去率84.3%、透水速度1.2m3/m2・日であ
つた。 実施例 9 実施例8において得た式A1の繰返し単位43モ
ル%と式Bの繰返し単位57モル%からなるポリス
ルホン共重合体のスルホン化物の1.0重量%エチ
レングリコールモノメチルエーテル溶液にグリセ
リン又は1,4−ブタンジオールを種々の濃度で
添加溶解して、製膜溶液を調製した。 これら製膜溶液を用いて、実施例6と同様にし
て複合半透膜を調製した。膜性能を第4表に示
す。 比較のために、添加剤を加えない製膜溶液を用
いて、同様にして調製した複合半透膜の性能も第
4表に示す。 実施例 10 実施例8において得た式A1の繰返し単位43
【表】
【表】
(注) * 製膜溶液における濃度
モル%と式Bの繰返し単位57モル%とからなるポ
リスルホン共重合体のスルホン化物の1.0重量%
のエチレングリコールモノメチルエーテル溶液を
用いて複合半透膜を調製するに際して、製膜溶液
における重合体濃度を変えた以外は、実施例8と
全く同様にして乾燥限外濾過膜上に製膜溶液を塗
布して、複合半透膜を調製した。このようにして
得た複合半透膜のそれぞれについて、その性能を
第5表に示す。
モル%と式Bの繰返し単位57モル%とからなるポ
リスルホン共重合体のスルホン化物の1.0重量%
のエチレングリコールモノメチルエーテル溶液を
用いて複合半透膜を調製するに際して、製膜溶液
における重合体濃度を変えた以外は、実施例8と
全く同様にして乾燥限外濾過膜上に製膜溶液を塗
布して、複合半透膜を調製した。このようにして
得た複合半透膜のそれぞれについて、その性能を
第5表に示す。
【表】
実施例 11
実施例8において得た式A1の繰返し単位17モ
ル%と式Bの繰返し単位83モル%からなるポリス
ルホン共重合体のスルホン化物1gをエチレング
リコールモノメチルエーテル99gとN,N−ジメ
チルホルムアミド1gとからなる混合溶剤に溶解
し、更に、これにグリセリン2.5gを添加し、10μ
mの瀘紙を用いて異物を除いて均一な製膜溶液を
調製した。 実施例6と同様にして、この製膜溶液を25℃の
温度で乾燥限外濾過膜上に塗布し、25℃の温度で
殆どすべての溶剤を蒸発させた後、60℃で5分間
加熱して溶剤を除去して、複合半透膜を得た。 この複合半透膜の性能は、除去率92.8%、透水
速度0.5m3/m2・日であつた。 実施例 12 実施例6において、ヒドロキノンの代わりにレ
ゾルシノールを用いた以外は、実施例6と同様に
して、式A2 なる繰返し単位57モル%と、式Bの繰返し単位43
モル%からなるポリスルホン共重合体を調製し
た。実施例6と同様にしてこれをスルホン化し
て、対数粘度0.93、イオン交換容量0.98ミリ当
量/gのスルホン化ポリスルホン共重合体を得
た。 この共重合体を用いて、実施例6と同様にして
複合半透膜を調製した。膜性能は、除去率90.3
%、透水速度1.8m3/m2・日であつた。 実施例 13 実施例6において、ヒドロキノンの代わりにカ
テコールを用いた以外は、実施例6と同様にし
て、式A3 なる繰返し単位7モル%と、式Bの繰返し単位43
モル%からなるポリスルホン共重合体を調製し、
実施例6と同様にしてこれをスルホン化して、対
数粘度1.02、イオン交換容量1.03ミリ当量/gの
スルホン化ポリスルホン共重合体を得た。 この共重合体を用いて、実施例6と同様にし
て、膜厚0.3μmの半透膜を有する複合半透膜を得
た。この複合半透膜の性能は、除去率90.1%、透
水速度1.8m3/cm2・日であつた。 実施例 14 実施例8において得た繰返し単位A143モル%
と式Bの繰返し単位57モル%とからなるポリスル
ホン共重合体10gを97%濃硫酸に溶解し、4時間
撹拌反応させて、黒褐色の粘稠な反応混合物を得
た。反応終了後、反応混合物を氷浴中に投入し、
重合体を凝固させ、純水で洗浄液が中性になるま
で重合体を洗浄し、60℃で7時間乾燥して、対数
粘度1.03、イオン交換容量1.0ミリ当量/gのス
ルホン化ポリスルホン共重合体を得た。 このスルホン化ポリスルホン共重合体1.0gを
エチレングリコールモノメチルエーテル99.5gに
溶解し、更に、これにグリセリン2.5gを添加溶
解して製膜溶液を調製した。この製膜溶液を用い
て、実施例6と同様にして複合半透膜を調製し
た。 この複合半透膜の性能は、除去率90.3%、透水
速度1.7m3/m2・日であつた。 実施例 15 (耐熱性の評価) 実施例6において得た複合半透膜及び実施例8
において得た複合半透膜bを95℃の熱水中に30分
間浸漬した後、除去率及び透水速度を測定した。
更に、このように熱水に30分間浸漬する操作を繰
り返して、同様に除去率及び透水速度を測定し
た。 その結果、実施例6の複合半透膜の性能は、こ
の熱水処理前において除去率82.0%、透水速度
2.5m3/m2・日、5回にわたる熱水浸漬の間、い
ずれも除去率82.3〜82.6%、透水速度2.4〜2.5
m3/m2・日であつて、実質的に変化がなかつた。 また、実施例8の複合半透膜bの性能は、この
熱水処理前において除去率94.0%、透水速度1.5
m3/m2・日、5回にわたる熱水浸漬の間、いずれ
も除去率95.5〜95.8%、透水速度1.2〜1.4m3/
m2・日であつて、実質的に変化がなかつた。 (耐酸性) 実施例8の複合半透膜bと同様にして得た複合
半透膜を蒸留水に2時間浸漬し、次いで、25℃の
0.5N塩酸水溶液に2時間浸漬した後、実施例1
と同じ条件下で、塩化ナトリウム水溶液について
の膜性能を測定した。結果を第6表に示すよう
に、本発明の複合半透膜は、浸漬の前後で膜性能
が変わらず、耐酸性にすぐれていることが理解さ
れる。 (耐アルカリ性) 実施例8の複合半透膜bと同様にして得た複合
半透膜を蒸留水に2時間浸漬し、次いで、25℃の
0.5N水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬した
後、実施例1と同じ条件下で塩化ナトリウム水溶
液についての膜性能を測定した。結果を第6表に
示すように、本発明の複合半透膜は、浸漬の前後
で膜性能が変わらず、耐アルカリ性にすぐれてい
ることが理解される。 (耐塩素性)
ル%と式Bの繰返し単位83モル%からなるポリス
ルホン共重合体のスルホン化物1gをエチレング
リコールモノメチルエーテル99gとN,N−ジメ
チルホルムアミド1gとからなる混合溶剤に溶解
し、更に、これにグリセリン2.5gを添加し、10μ
mの瀘紙を用いて異物を除いて均一な製膜溶液を
調製した。 実施例6と同様にして、この製膜溶液を25℃の
温度で乾燥限外濾過膜上に塗布し、25℃の温度で
殆どすべての溶剤を蒸発させた後、60℃で5分間
加熱して溶剤を除去して、複合半透膜を得た。 この複合半透膜の性能は、除去率92.8%、透水
速度0.5m3/m2・日であつた。 実施例 12 実施例6において、ヒドロキノンの代わりにレ
ゾルシノールを用いた以外は、実施例6と同様に
して、式A2 なる繰返し単位57モル%と、式Bの繰返し単位43
モル%からなるポリスルホン共重合体を調製し
た。実施例6と同様にしてこれをスルホン化し
て、対数粘度0.93、イオン交換容量0.98ミリ当
量/gのスルホン化ポリスルホン共重合体を得
た。 この共重合体を用いて、実施例6と同様にして
複合半透膜を調製した。膜性能は、除去率90.3
%、透水速度1.8m3/m2・日であつた。 実施例 13 実施例6において、ヒドロキノンの代わりにカ
テコールを用いた以外は、実施例6と同様にし
て、式A3 なる繰返し単位7モル%と、式Bの繰返し単位43
モル%からなるポリスルホン共重合体を調製し、
実施例6と同様にしてこれをスルホン化して、対
数粘度1.02、イオン交換容量1.03ミリ当量/gの
スルホン化ポリスルホン共重合体を得た。 この共重合体を用いて、実施例6と同様にし
て、膜厚0.3μmの半透膜を有する複合半透膜を得
た。この複合半透膜の性能は、除去率90.1%、透
水速度1.8m3/cm2・日であつた。 実施例 14 実施例8において得た繰返し単位A143モル%
と式Bの繰返し単位57モル%とからなるポリスル
ホン共重合体10gを97%濃硫酸に溶解し、4時間
撹拌反応させて、黒褐色の粘稠な反応混合物を得
た。反応終了後、反応混合物を氷浴中に投入し、
重合体を凝固させ、純水で洗浄液が中性になるま
で重合体を洗浄し、60℃で7時間乾燥して、対数
粘度1.03、イオン交換容量1.0ミリ当量/gのス
ルホン化ポリスルホン共重合体を得た。 このスルホン化ポリスルホン共重合体1.0gを
エチレングリコールモノメチルエーテル99.5gに
溶解し、更に、これにグリセリン2.5gを添加溶
解して製膜溶液を調製した。この製膜溶液を用い
て、実施例6と同様にして複合半透膜を調製し
た。 この複合半透膜の性能は、除去率90.3%、透水
速度1.7m3/m2・日であつた。 実施例 15 (耐熱性の評価) 実施例6において得た複合半透膜及び実施例8
において得た複合半透膜bを95℃の熱水中に30分
間浸漬した後、除去率及び透水速度を測定した。
更に、このように熱水に30分間浸漬する操作を繰
り返して、同様に除去率及び透水速度を測定し
た。 その結果、実施例6の複合半透膜の性能は、こ
の熱水処理前において除去率82.0%、透水速度
2.5m3/m2・日、5回にわたる熱水浸漬の間、い
ずれも除去率82.3〜82.6%、透水速度2.4〜2.5
m3/m2・日であつて、実質的に変化がなかつた。 また、実施例8の複合半透膜bの性能は、この
熱水処理前において除去率94.0%、透水速度1.5
m3/m2・日、5回にわたる熱水浸漬の間、いずれ
も除去率95.5〜95.8%、透水速度1.2〜1.4m3/
m2・日であつて、実質的に変化がなかつた。 (耐酸性) 実施例8の複合半透膜bと同様にして得た複合
半透膜を蒸留水に2時間浸漬し、次いで、25℃の
0.5N塩酸水溶液に2時間浸漬した後、実施例1
と同じ条件下で、塩化ナトリウム水溶液について
の膜性能を測定した。結果を第6表に示すよう
に、本発明の複合半透膜は、浸漬の前後で膜性能
が変わらず、耐酸性にすぐれていることが理解さ
れる。 (耐アルカリ性) 実施例8の複合半透膜bと同様にして得た複合
半透膜を蒸留水に2時間浸漬し、次いで、25℃の
0.5N水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬した
後、実施例1と同じ条件下で塩化ナトリウム水溶
液についての膜性能を測定した。結果を第6表に
示すように、本発明の複合半透膜は、浸漬の前後
で膜性能が変わらず、耐アルカリ性にすぐれてい
ることが理解される。 (耐塩素性)
【表】
実施例9において得た複合半透膜aを蒸留水に
2時間浸漬した後、100ppmの塩素イオンを含む水
溶液に25℃の温度で4時間浸漬した後、実施例1
と同じ条件下で塩化ナトリウム水溶液について膜
性能を測定した。除去率は90.6%、透水速度は
1.8m3/m2・日であつて、実質的に変化がなかつ
た。同様に、塩素イオン濃度が10000ppmのとき、
除去率は88.3%、透水速度は2.2m3/m2・日であ
つた。また、膜性能の経済的な変化も調べたが、
実質的な変化はみられなかつた。従つて、本発明
の半透膜は耐塩素性にすぐれていることが理解さ
れる。 (耐乾燥性) 実施例8で得た複合半透膜bを蒸留水に2時間
浸漬し、次いで、25℃の0.5N塩酸水溶液に2時
間浸漬し、蒸留水にて洗浄した後、この膜を25℃
の温度で2時間乾燥した。この乾燥膜を水に浸漬
して再湿潤した後の膜性能は、除去率99.5%、透
水速度0.3m3/m2・日であつた。 参考例 実施例1において用いた前記式Cで表わされる
繰返し単位を有するポリスルホン限外濾過膜は、
0.5%塩化ナトリウム水溶液を温度25℃、圧力20
Kg/cm2で処理したとき、除去率は0.2%、透水速
度は17.1m3/m2・日であるが、この限外濾過膜を
エチレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し
た後、60℃で6分間浸漬した場合の膜性能は、除
去率は2.0%、透水速度0.9m3/m2・日であつた。 また、上記限外濾過膜をグリセリン10重量%を
含むエチレングリコールモノメチルエーテルに浸
漬した後、60℃で6分間浸漬した。膜性能は、除
去率0.8%、透水速度9.3m3/m2・日であつた。
2時間浸漬した後、100ppmの塩素イオンを含む水
溶液に25℃の温度で4時間浸漬した後、実施例1
と同じ条件下で塩化ナトリウム水溶液について膜
性能を測定した。除去率は90.6%、透水速度は
1.8m3/m2・日であつて、実質的に変化がなかつ
た。同様に、塩素イオン濃度が10000ppmのとき、
除去率は88.3%、透水速度は2.2m3/m2・日であ
つた。また、膜性能の経済的な変化も調べたが、
実質的な変化はみられなかつた。従つて、本発明
の半透膜は耐塩素性にすぐれていることが理解さ
れる。 (耐乾燥性) 実施例8で得た複合半透膜bを蒸留水に2時間
浸漬し、次いで、25℃の0.5N塩酸水溶液に2時
間浸漬し、蒸留水にて洗浄した後、この膜を25℃
の温度で2時間乾燥した。この乾燥膜を水に浸漬
して再湿潤した後の膜性能は、除去率99.5%、透
水速度0.3m3/m2・日であつた。 参考例 実施例1において用いた前記式Cで表わされる
繰返し単位を有するポリスルホン限外濾過膜は、
0.5%塩化ナトリウム水溶液を温度25℃、圧力20
Kg/cm2で処理したとき、除去率は0.2%、透水速
度は17.1m3/m2・日であるが、この限外濾過膜を
エチレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し
た後、60℃で6分間浸漬した場合の膜性能は、除
去率は2.0%、透水速度0.9m3/m2・日であつた。 また、上記限外濾過膜をグリセリン10重量%を
含むエチレングリコールモノメチルエーテルに浸
漬した後、60℃で6分間浸漬した。膜性能は、除
去率0.8%、透水速度9.3m3/m2・日であつた。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 繰返し単位A よりなるポリスルホンをスルホン化してなるスル
ホン化ポリスルホンと、少量の非プロトン性極性
有機溶剤を含んでいてもよいアルキレングリコー
ルアルキルエーテルと、添加剤としての水溶性で
且つ低揮発性の化合物とを含有する製膜溶液を乾
燥した支持膜上に塗布し、次いで、この製膜溶液
から有機溶剤を蒸発させることを特徴とするスル
ホン化ポリスルホン複合半透膜の製造方法。 2 スルホン化ポリスルホンが、その0.5gをN
−メチル−2−ピロリドン100mlに溶解した溶液
について、30℃において測定した対数粘度が0.2
以上であり、且つ、イオン交換容量が2.3ミリ当
量/g以下であることを特徴とする特許請求の範
囲第1項記載のスルホン化ポリスルホン複合半透
膜の製造方法。 3 スルホン化ポリスルホンの有するスルホン酸
基が式−SO3M(但し、Mは水素、アルカリ金属
又はテトラアルキルアンモニウムを示す。)で表
わされることを特徴とする特許請求の範囲第1項
記載のスルホン化ポリスルホン複合半透膜の製造
方法。 4 添加剤が多価アルコール、ポリアルキレング
リコール、カルボン酸、その塩、ヒドロキシカル
ボン酸及びその塩よりなる群から選ばれる少なく
とも1種であることを特徴とする特許請求の範囲
第1項記載のスルホン化ポリスルホン複合半透膜
の製造方法。 5 添加剤が無機塩であることを特徴とする特許
請求の範囲第1項記載のスルホン化ポリスルホン
複合半透膜の製造方法。 6 繰返し単位A 及び繰返し単位B よりなる線状ポリスルホン共重合体をスルホン化
してなるスルホン化ポリスルホン共重合体と、少
量の非プロトン性極性有機溶剤を含んでいてもよ
いアルキレングリコールアルキルエーテルと、添
加剤としての水溶性で且つ低発揮性の化合物とを
含有する製膜溶液を乾燥した支持膜上に塗布し、
次いで、この製膜溶液から有機溶剤を蒸発させる
ことを特徴とするスルホン化ポリスルホン複合半
透膜の製造方法。 7 線状ポリスルホン共重合体が10モル%以上の
繰返し単位Aと、90モル%以下の繰返し単位Bと
からなることを特徴とする特許請求の範囲第6項
記載のスルホン化ポリスルホン複合半透膜の製造
方法。 8 スルホン化ポリスルホンが、その0.5gをN
−メチル−2−ピロリドン100mlに溶解した溶液
について、30℃において測定した対数粘度が0.2
以上であり、且つ、イオン交換容量が2.3ミリ当
量/g以下であることを特徴とする特許請求の範
囲第6項記載のスルホン化ポリスルホン複合半透
膜の製造方法。 9 スルホン化ポリスルホン共重合体の有するス
ルホン酸基が式−SO3M(但し、Mは水素、アル
カリ金属又はテトラアルキルアンモニウムを示
す。)で表わされることを特徴とする特許請求の
範囲第6項記載のスルホン化ポリスルホン複合半
透膜の製造方法。 10 添加剤が多価アルコール、ポリアルキレン
グリコール、カルボン酸、その塩、ヒドロキシカ
ルボン酸及びその塩よりなる群から選ばれる少な
くとも1種であることを特徴とする特許請求の範
囲第6項記載のスルホン化ポリスルホン複合半透
膜の製造方法。 11 添加剤が無機塩であることを特徴とする特
許請求の範囲第6項記載のスルホン化ポリスルホ
ン複合半透膜の製造方法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4082985A JPS61200817A (ja) | 1985-02-28 | 1985-02-28 | スルホン化ポリスルホン複合半透膜の製造方法 |
CA000483835A CA1263572A (en) | 1984-06-15 | 1985-06-12 | Sulfonated polysulfone composite semipermeable membranes and process for producing the same |
DK266485A DK171671B1 (da) | 1984-06-15 | 1985-06-13 | Semipermeabel kompositmembran omfattende en semipermeabel membran af et delvis sulfoneret polysulfon på en ultrafiltreringsstøttemembran af et polysulfonmateriale |
AU43682/85A AU573846B2 (en) | 1984-06-15 | 1985-06-14 | Polysulfone surfaced membrane |
EP85304335A EP0165077B2 (en) | 1984-06-15 | 1985-06-17 | Sulfonated polysulfone composite semipermeable membranes |
DE8585304335T DE3575870D1 (de) | 1984-06-15 | 1985-06-17 | Semipermeable composit-membranen aus sulfoniertem polysulfon und verfahren zu ihrer herstellung. |
US07/157,123 US4818387A (en) | 1984-06-15 | 1988-02-10 | Sulfonated polysulfone composite semipermeable membranes and process for producing the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4082985A JPS61200817A (ja) | 1985-02-28 | 1985-02-28 | スルホン化ポリスルホン複合半透膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61200817A JPS61200817A (ja) | 1986-09-05 |
JPH0510967B2 true JPH0510967B2 (ja) | 1993-02-12 |
Family
ID=12591538
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4082985A Granted JPS61200817A (ja) | 1984-06-15 | 1985-02-28 | スルホン化ポリスルホン複合半透膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61200817A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU5981201A (en) * | 2000-05-02 | 2001-11-12 | Bernd Schindler | Sulfonated aryl sulfonate matrices and method of production |
US9283523B2 (en) * | 2012-05-25 | 2016-03-15 | Pbi Performance Products, Inc. | Acid resistant PBI membrane for pervaporation dehydration of acidic solvents |
CN111100349B (zh) * | 2018-10-25 | 2022-12-09 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种耐氯复合物、聚乙烯组合物及其制备方法和应用 |
-
1985
- 1985-02-28 JP JP4082985A patent/JPS61200817A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61200817A (ja) | 1986-09-05 |
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