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JPH04343841A - 離型剤セット - Google Patents

離型剤セット

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Publication number
JPH04343841A
JPH04343841A JP3147914A JP14791491A JPH04343841A JP H04343841 A JPH04343841 A JP H04343841A JP 3147914 A JP3147914 A JP 3147914A JP 14791491 A JP14791491 A JP 14791491A JP H04343841 A JPH04343841 A JP H04343841A
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JP
Japan
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jacket
plaster
polymer
crown
jacket crown
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JP3147914A
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Koichi Okada
浩一 岡田
Masaya Sasaki
真哉 佐々木
Yoshimi Ikenaga
池永 義美
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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  • Dental Prosthetics (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯冠補綴用材料として
用いられる硬質レジンジャケット冠の作成時に石膏模型
に塗布することにより、ジャケット冠硬化物と石膏模型
との離型を容易にすることを目的とする離型剤セットに
関する。
【0002】
【従来の技術】近年歯冠補綴材料として、硬質レジンが
広く用いられるようになってきた。この理由は、最近で
は、硬質レジンの機械的物性の向上には著しいものがあ
り、口腔内での長期間の使用に耐えられるようになって
きたこと、審美性が優れること、作成が比較的容易であ
ることなどが挙げられる。そして現在では、特に義歯や
前装冠材料として著しく普及しつつある。一方、歯冠欠
損部を修復する重要な方法の一つとして、ジャケット冠
を用いる方法がある。従来ではこのジャケット冠に用い
られる材料としては、金属や陶材がほとんどであり、硬
質レジンをこのジャケット冠に用いることは、皆無では
なかったにせよ、ほんの一部の臨床家が試行しているに
過ぎないのが現状である。硬質レジンをこのジャケット
冠にも用いることは、多くのメリットのある事が明らか
であるにもかかわらず、いまなお治療手段として普及し
ていないことは以外とも受け取れる。
【0003】この事は以下の理由に因っている。即ち、
硬質レジンジャケット冠の作成方法としては、石膏支台
歯模型上に重合硬化前のペースト状硬質レジンを盛り上
げた後、重合硬化、形態修正を行う方法が採られるが、
この方法では、硬化後のジャケット冠を石膏模型から分
離することが極めて困難である事に起因している。これ
は、硬質レジン材料は重合によって収縮するため、支台
歯上に歯冠形態を持って築盛されたレジンペーストが重
合すると、ジャケットの内面方向に向かって収縮が起こ
り、支台歯を強く締め付けるためである。
【0004】一般的に、歯科技工において石膏模型上で
レジン材料を重合硬化する場合、硬化後の成形物と石膏
との分離を容易にするために、石膏模型上にはあらかじ
め分離材が塗布される。かかる離型剤としては、例えば
、高級脂肪酸塩、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナ
トリウム、ポリメタアクリル酸ナトリウムなどの水溶液
やパラフィンワックスが従来より用いられている。また
最近では、特開昭61−134305号に開示されたシ
リコンゴム組成物、特開昭63−309250号に開示
されたガム質水溶液等も提案されている。
【0005】しかしながらこれらの従来の分離材は、義
歯床を作成する場合を想定しており、確かにレジン義歯
床を石膏模型から分離することに対しては効果的であっ
た。しかし、上記の分離材を、本発明が対象とする硬質
レジンジャケット冠の作成に用いると、石膏模型との分
離は非常に困難である。また、たとえ分離できたとして
も、ジャケット冠硬化物や石膏模型の破折を招くことが
多かった。この理由としては、義歯床の作成においては
、レジン材料と石膏が接する面は複雑な形状をしておら
ず平面的であるため、重合時のレジンの寸法収縮が起き
ても石膏模型をレジンが強く締め付ける作用をもたらさ
ないが、ジャケット冠の場合、円筒状の支台歯模型を上
からかぶせるようにレジンペーストが築盛されるため、
重合に伴う寸法収縮が起きると支台歯模型をレジン硬化
物が強く締め付けることになるからである。
【0006】一方、特開平1−277553号において
はレジンシートを用いたジャケット冠の作成方法が開示
されているが、この方法で作成されたレジンジャケット
冠においては、ジャケット内面に使用したレジンシート
がジャケット冠内部にそのまま残ってしまうため、ジャ
ケット冠の強度が低下したり、マージン部分にレジンシ
ートが露出して審美上好ましくないといった欠点がある
。また操作手順が煩雑であり、術者の高度な熟練が要求
されるなどの技工上の欠点もあり、実際の歯科臨床上に
おいては受け入れ難い手法である。
【0007】硬質レジンジャケット冠を石膏支台歯上で
作成するための分離材として、特開平1−135347
号には無機粉末、アルコール、水からなる離型剤が提案
されている。この離型剤を用いると、離型剤中の無機粉
末が、離型剤と接していた面の硬質レジン中に混入して
しまい、機械的強度低下したり元の支台歯との適合性が
悪くなったりする欠点があった。また、離型性能におい
ても大きく改良されていなかった。
【0008】特開平1−136653号には重合禁止剤
を用いた離型剤が提案されている。この離型剤を用いる
と、離型剤が塗布された石膏面に接していたレジンペー
ストの部分(つまりジャケット冠内面)の重合が、重合
禁止剤の作用により不十分となる。そのために、機械的
強度が低下したり、元の支台歯との寸法適合性が悪くな
ったりするという欠点があった。
【0009】また、特開平2−129109号にはポリ
マーの水性エマルジョンと重合禁止剤とからなる離型用
組成物が提案されているが、石膏模型とジャケット冠と
の離型性に於いてはある程度のレベルには達しているも
のの、重合禁止剤を使用しているため、上記と同じ理由
から適切な分離材とは言えない。
【0010】このように未重合層をジャケット冠内面に
生じることのデメリットとして、機械的強度の低下と適
合性の悪化が挙げられる。硬質レジンに限らず、ジャケ
ット冠を作成する場合、元の支台歯との寸法及び形状の
適合性は最も重視される点あでる。特にマージン部分(
ジャケット冠切縁と支台歯との境界部分)においてこの
要求は厳しいものがある。マージン部分に未重合層が出
来ると、離型後この未重合層は洗浄等により除去される
ため、そのぶん支台歯の形状と寸法の再現性が損なわれ
、適合性が悪くなってしまう。この状態で元の口腔内の
支台歯にセメント合着すると、ジャケット冠と支台歯の
マージン部分にはさまれたセメント層(マージンライン
)が、滑らかな曲線にならずにギザギザになったり、一
様な厚みを持ったものにならずに部分的に厚くなったり
して審美上非常に好ましくないものとなる。
【0011】このことを鑑みると、理想的なレジンジャ
ケット冠の作成方法としては、第一にマージン部分を除
くジャケット内面では離型を促すためにある程度の厚み
を持つポリマーの被膜を作り、かつ、マージン部分では
良好な適合性を確保するために、離型の障害とならない
程度にできるだけ薄い被膜を作っておくこと、第二に硬
質レジンの重合を阻害しないような離型剤を選べば適合
性と離型性が両立することが理解される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、硬
質レジンを用いてジャケット冠を石膏支台歯模型上で作
成する場合に、適合性と離型性が両立する適当な分離材
がなかったことが、硬質レジンジャケット冠の普及の妨
げになっていた。本発明の目的は、石膏模型上で硬質レ
ジンを重合硬化しレジンジャケット冠を作成する場合に
おいて、該石膏模型とジャケット冠硬化物とが容易に分
離でき、操作が容易で、かつ、ジャケット冠内面の重合
を阻害することなく、元の支台歯との適合性に優れたジ
ャケット冠を作成することが出来るような離型剤セット
を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述したような離型の際
に障害となるジャケット冠の締め付けを緩和するために
、ジャケット冠内面と支台歯との間にある程度の厚みを
有する被膜を介在させておくと、離型が容易になる。 また一方では、マージン部分で適合性を確保することは
、できるだけ薄い被膜を作っておくことにより解決され
る。本発明者らは、この適合性と離型性の要件を満たし
、離型が容易で未重合層が出来ない様な被膜の材質につ
いて検討した結果、石膏支台歯においてマージン部分を
除いた面にゴム弾性を有するポリマーの被膜を形成し、
マージン部分にはカルボキシル基またはその塩を有する
ポリマー被膜を形成すれば目的が達成されることを見い
だし本発明を完成するに至った。
【0014】即ち本発明は、ゴム弾性を有するポリマー
の水性エマルジョンと、カルボキシル基またはその塩を
有するポリマーを含む溶液との2包装とから成る、離型
剤セットである。
【0015】マージン部分を除く石膏支台歯部分(ジャ
ケット冠内面に相当する部分)に形成されるポリマーの
被膜はゴム弾性を有するものでなければならない。ここ
で言うゴム弾性とは、一般に言われている様に常温での
弾性率が106N/m2程度、破断時の伸びが100%
以上にも及ぶような性質の事を指す。このような高弾性
ポリマーを石膏とレジンジャケット冠との間に介在させ
ると、重合収縮によって締め付けられた状態から石膏支
台歯とジャケット冠をはずす時に、このポリマーが離型
の瞬間に変形するため、離型し易いことを見い出した。
【0016】このようなゴム弾性を有するポリマーの被
膜を石膏模型上に形成させる方法は、ゴム弾性を有する
ポリマーの水性エマルジョンを石膏模型上に塗布する事
により行われる。石膏とは、主に硫酸カルシウム水和物
の結晶の凝集体であり、互いの結晶は密に寄り合わさっ
ているのではなく、それぞれの間には比較的大きな空隙
がある。従って、このエマルジョンを石膏上に塗布する
と、水は空隙を通って速やかに石膏内部に染み込むが、
エマルジョン粒子は空隙を通ることが出来ないため石膏
内部に染み込まずに水と分離されて表面上に残る。この
ような状態になるとエマルジョン粒子が速やかに崩壊し
、弾性ポリマーの被膜を形成する。
【0017】ここで、弾性ポリマーの被膜を作るに際し
て、エマルジョンのかわりにポリマーの溶液を用いる方
法は、ポリマーが溶剤と共に石膏内部に染み込んでしま
うため十分な厚みの被膜を作ることが困難である。また
、この場合厚い被膜を作ろうとしてポリマー含有量を高
くすると溶液の粘度が著しく高くなり、塗布しにくいも
のとなってしまう。この点において、本発明による水性
エマルジョンは厚い被膜を作るのに有利であり、先の従
来技術の特開昭63−309250号で述べたガム質の
水溶液と本発明で用いるエマルジョンとは本質的に異な
る。また該特許で言うところのガム質とは、古くから慣
用的にガムと称されてきた多糖類の事を指しており、本
発明で言うところのゴム弾性を有するポリマーとは全く
異質のものである。
【0018】被膜がゴム弾性を有するものでなければな
らない他の理由として、ジャケット冠硬化物を離型後、
石膏模型(あるいはジャケット冠内面)に残る被膜を容
易に剥すことが出来なければならないことが挙げられる
。なお、ジャケット冠作成後、被膜を残さず取り除き、
石膏支台歯模型を元通りの状態に戻すことは、歯科技工
上において望まれている重要な用件の一つである。
【0019】本発明のゴム弾性を有するポリマーの水性
エマルジョンの具体的な例としては、ポリウレタンエマ
ルジョン、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマ
ルジョン、エチレン−酢ビエマルジョン、クロロプレン
ゴムラテックス、天然ゴムラテックス、アクリロニトリ
ル−ブタジエン系ゴムラテックス、スチレン−ブタジエ
ン系ゴムラテックスなどが挙げられる。これらの水性エ
マルジョン中にはポリマーが10ないし80重量%、よ
り好ましくは20ないし65重量%含まれる。
【0020】これらの中でもポリマー成分としてシス−
1,4−ポリイソプレンを主成分とする天然ゴムラテッ
クス、特に東南アジアに多く生息するヘベア樹から得ら
れたラテックスが、離型性、出来た被膜と接していた硬
質レジンの面に未重合層が出来ない事、石膏支台歯から
被膜を除去し易いという点において本発明では有用であ
る。
【0021】本発明は、石膏支台歯のマージン部をのぞ
く、ジャケット冠の内面に相当する部分に塗布される上
記のゴム弾性を有するポリマーの水性エマルジョンに加
えて、マージン部分の石膏面に塗布されるカルボキシル
基またはその塩を有するポリマーを含む溶液が組合わさ
れてなる離型剤セットである。ここでいうカルボキシル
基またはその塩を有するポリマーとは、該ポリマー中に
おいて、カルボキシル基またはその塩を少なくとも1個
持つ一種類あるいは複数種のモノマー単位が5モル%以
上共重合したポリマーのことを指す。ここで言うカルボ
キシル基においては、空気中や石膏上の水分で容易に加
水分解されてカルボキシル基になるような、カルボキシ
ル基の活性エステル(例えば、酸ハロゲン化物、シリロ
キシエステル、酸イミダゾリド等)であってもかまわな
い。また、該ポリマー中において、近接する2個のカル
ボキシル基同士が酸無水物の形をとっていてもよい。一
方、カルボキシル基の塩としては、例えばナトリウム塩
、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる
【002
2】このカルボキシル基またはその塩を有するポリマー
の溶液は、先の水性エマルジョンを塗布しないマージン
部分の石膏が露出した面に塗布される。その結果、カル
ボキシル基が石膏中のカルシウムイオンと架橋反応して
ゲル化を起こし、マージン部分には非常に薄い硬質の被
膜が速やかに形成され、この薄い被膜が出来ることによ
り石膏表面の微少な凹凸を塞いで、本発明の目的の一つ
である離型を容易にする。また、従来技術で述べた離型
剤のように、重合禁止剤を含まないので、ジャケット冠
内面の未重合層の生成を防ぐことが出来る。
【0023】本発明のカルボキシル基またはその塩を有
するポリマーを含む溶液自体は、離型剤としてはすでに
公知であるが、本発明が意図するジャケット冠の作成に
おいてはこれらを単独で従来から知られているような方
法で用いても離型剤としての用は全くなさない。本発明
のようにゴム弾性を有するポリマーと組み合わせて、上
記のような方法で石膏支台歯模型に対して適用すること
により適合性と離型性が両立するジャケット冠の作成が
初めて可能になったのである。
【0024】かかるカルボキシル基を有するポリマーと
してはスチレン−マレイン酸共重合物、イソブチレン−
マレイン酸共重合物、カルボキシメチルセルロースとそ
のナトリウム塩等のセルロース誘導体、アラビアゴムや
タラカントガム等の天然ガム質、デンプングリコール酸
ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのカ
ルボキシル基を有するポリマーは、1ないし30%の溶
液として用いられる。溶媒としては、水、メタノール、
エタノール、酢酸エチル、クロロホルム、トルエン等の
通常の揮発性溶剤がなんら制限なく用いられるが、沸点
が高すぎると塗布後の乾燥に時間がかかり好ましくない
【0025】また上記のカルボキシル基またはその塩を
有するポリマーを含む溶液の中でも、アルギン酸ナトリ
ウム水溶液が、離型性、塗布性、塗布後の被膜の生成が
速いこと、出来た被膜が硬質レジンの未重合層を生成さ
せにくい事等の理由から特に優れている。
【0026】本発明で用いられるゴム弾性を有するポリ
マーの水性エマルジョンとカルボキシル基またはその塩
を有するポリマーを含む溶液は、石膏塗布に際しての識
別を容易にするために適当な着色剤が添加されることも
ある。また、酸化防止剤などの安定化剤や、粘度を調節
するために増粘剤や界面活性剤などが添加されることも
ある。
【0027】次に本発明の離型剤セットを用いたジャケ
ット冠の作成方法について述べる。本発明の離型剤セッ
トは以下のような使い方をして初めて良好なジャケット
冠を作成することが出来る。また、本発明のような離型
剤セットを以下のように使うことは今まで知られていな
かった。
【0028】本発明で用いられる石膏支台歯のマージン
形態としては、ショルダー、あるいはシャンファータイ
プが用いられるが、本発明で用いるゴム弾性を有するポ
リマーの水性エマルジョンはこれらの石膏支台歯模型に
於いて、マージン部分より上の部分に塗布される。塗布
後生成する被膜の厚さを調整するために、複数回この塗
布−乾燥の工程を繰り返すこともできる。被膜の厚さは
通常30ないし500ミクロン、より好ましくは50な
いし200ミクロンの範囲が適切である。1回もしくは
数回の塗布でこのような厚みの膜が生成するように、水
性エマルジョンの、ポリマー含有量や粘度が調節される
。なお、マージンの部分に30ミクロン以上もの厚い被
膜を介在させると、出来上がったジャケット冠の適合性
が著しく悪くなるので、この部分には水性エマルジョン
を塗布してはならない。
【0029】次に、水性エマルジョンを塗布しなかった
マージン部分にカルボキシル基またはその塩を有するポ
リマーを含む溶液を塗布する。このマージン部分は、歯
科技工上、特にもとの支台歯との寸法適合性が要求され
るため、可能な限り薄い被膜であることが望ましい。反
面、薄すぎると石膏表面の微少な凹凸を塞ぐことが出来
ないため離型しにくくなってしまう。通常は、1ないし
30ミクロン、より好ましくは1ないし10ミクロンの
厚さの被膜が生成するように、カルボキシル基またはそ
の塩を有するポリマーを含む溶液の濃度と粘度を調節す
る。
【0030】実際には、エマルジョンに由来する被膜を
除いて、マージン部分の石膏面だけをを、カルボキシル
基またはその塩を有するポリマーを含む溶液で厳密に塗
り分けることは困難であり、マージン部分だけでなく、
先にエマルジョンを塗布して出来た後の被膜の上にも塗
布して差し支えない。このカルボキシル基またはその塩
を有するポリマーを含む溶液をマージン部分に塗布しな
いでジャケット冠を作成しても、離型は困難である。ま
た、ゴム弾性を有するポリマーの水性エマルジョンを用
いないで、カルボキシル基またはその塩を有するポリマ
ーを含む溶液だけを石膏支台歯全面に塗布しても離型は
全く出来ない。
【0031】このようにして石膏支台歯模型上を本発明
の離型剤セットで処理した後、常法にしたがって硬質レ
ジンペーストを築盛して、ジャケット冠を作成する。こ
のための硬質レジンとしては、従来より使用されている
硬質レジンがなんら制限なく使用出来る。かかる硬質レ
ジンとしては、トリエチレングリコールジメタクリレー
ト、メチルメタクリレート、ビスフェノールA誘導体の
ジメタクリレート等のメタクリレートモノマーを主成分
とするものである。また、ポリメチルメタクリレート粉
末や、シリカ系のガラスフィラーがさらに配合されてい
るケースが多い。これらの硬質レジンは配合される重合
開始剤、重合方法の違いによって、常温重合(2ペース
ト)型、加熱重合型、光重合型等があるが、本発明の離
型剤セットは、特に光重合型のものに適している。
【0032】前述のポリマーの水溶液を石膏支台歯マー
ジン部に塗布し、乾燥した後、これらの硬質レジンペー
ストが支台歯上に築盛される。なおその際、天然歯の色
調を再現するために、色調の異なるレジンペーストを積
層するテクニックが一般に行われている。支台歯上で重
合硬化後、形態修正、研磨が行われた後、石膏模型上か
ら離型され、ジャケット冠が完成する。
【0033】
【実施例】次に本発明を実施例により説明するが、本発
明はかかる実施例に限定されるものではない。 実施例1 図1はマージン部分の形態がショルダータイプである石
膏模型支台歯を示す。天然ゴムラテックス(マレーシア
産、ゴム成分含有量60重量%)を平筆でマージン部よ
り上の面にむらなく塗布した。この状態を図2に示した
。1分程度このままで放置すると乾燥して被膜が形成さ
れたため、つぎにアルギン酸ナトリウム(君津化学製、
AD−20)の4%水溶液を図3に示すようにマージン
部分に塗布した。この時マージンよりも下の石膏部分と
、天然ゴムの被膜の下端にも塗布した。乾燥後、市販の
光重合型硬質レジンシステム(クラレ製、セシード)を
用いてマニュアルにしたがってジャケット冠を作成した
。即ち、オペークプライマー塗布→オペーカー塗布→光
硬化(αライト(モリタ製作所製)180秒照射)→デ
ンチンペースト積層→光硬化→エナメルペースト積層→
光硬化→形態修正→研磨の工程を行った。図4は出来上
がったジャケット冠の状態を示す、一部を切り欠いた斜
視図である。出来上がったジャケット冠と石膏模型を手
で引っ張ることにより、容易に分離することが出来た。 またジャケット内面には未重合層は認められず、元の支
台歯との寸法適合性に優れていた。支台歯上に残った天
然ゴムの被膜は容易に引き剥すことが出来た。なお、寸
法適合性の評価は、出来上がったジャケット冠を、天然
ゴムの被膜を引き剥した後の石膏模型上に元通りにセッ
トし、石膏模型とジャケット冠とを歯軸を中心に手で軽
く捻ってみて、両者が動かないようであれば適合性が優
れ、容易に動くようであれば適合性が悪いと判断した。
【0034】比較例1 実施例1において、アルギン酸ナトリウム水溶液を用い
ないで、マージン部より上の部分を天然ゴムラテックス
で塗布して被膜を形成させただけでジャケット冠を作成
したところ、光硬化後、手で引っ張っても石膏からジャ
ケット冠硬化物を分離することが出来なかった。
【0035】比較例2 実施例1において、天然ゴムラテックスを用いないでア
ルギン酸ナトリウム水溶液を支台歯面全部に塗布した以
外、他は同様にしてジャケット冠を作成したところ、光
硬化後、手で引っ張っても石膏からジャケット冠硬化物
を分離することが出来なかった。
【0036】比較例3 実施例3で用いた天然ゴムラテックスを、マージン部分
を含む支台歯全面に塗布して被膜を形成させた後、同様
にジャケット冠を作成した。光硬化後、手で引っ張ると
容易に分離できた。石膏模型から天然ゴムの被膜を剥し
、出来上がったジャケット冠をこの模型上にセットして
歯軸を中心に手で捻ってみると容易に動かすことができ
、寸法適合性が悪かった。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、石膏支台歯上にレ
ジンペーストを築盛し、そのまま重合硬化して硬質レジ
ンジャケット冠を作成する場合、本発明の離型剤セット
を用いると操作性に優れ、石膏支台歯模型からジャケッ
ト冠硬化物が容易に離型できる。また、出来上がったジ
ャケット冠は、元の支台歯との適合性に優れ、ジャケッ
ト内面に未重合層が出来ることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の作成方法において使われる石膏支台歯
模型の形の例。
【図2】天然ゴムラテックスが塗布された後の状態を示
す支台歯模型。
【図3】図2の模型にさらにアルギン酸ナトリウム水溶
液が塗布された後の状態を示す図。
【図4】石膏模型上で出来上がった硬質レジンジャケッ
ト冠の一部を切り欠た斜視図。
【符号の説明】
1  石膏支台歯 2  天然ゴムラテックス塗布後に出来た膜3  アル
ギン酸ナトリウムの水溶液塗布後に出来た膜4a  硬
質レジンオペーク層 4b  硬質レジンデンチン層 4c  硬質レジンエナメル層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  (a)ゴム弾性を有するポリマーの水
    性エマルジョンと(b)カルボキシル基またはその塩を
    有するポリマーを含む溶液の2包装からなる離型剤セッ
    ト。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013006794A (ja) * 2011-06-24 2013-01-10 Tokuyama Dental Corp 歯科用石膏模型用離型材キット
JP6304913B1 (ja) * 2017-10-20 2018-04-04 宏 重村 歯科鋳造用パターンの作製方法

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